BlazBlue Wiki Story:BBDW Event Otherworldly Tales of the Hollownight Train

Story:BBDW Event Otherworldly Tales of the Hollownight Train

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序節 彷徨える魂/

Summary
ふと目覚めた鉄道列車の中、夢現に遭遇した

テンジョウと名乗る人物。そして亡霊が 迫る危機をイザヨイという女性に救われる。

ラーベ

……おい。

Raabe
ラーベ

おい。起きろ。

Raabe
ラーベ

<size=130%>起きろ、レイ!</size>

Raabe
ラーベ

……目が覚めたか?

Raabe
ラーベ

だから寝るなって!

Raabe

1: わあ、びっくりした! ふわぁ、なんだか眠くって……

シエル

心拍数の上昇を確認。 瞬間的にではありますが、脳波も覚せい状態にあるようです。

Ciel
シエル

瞬間的にでも、眠気は収まったのではないでしょうか。

Ciel
シエル

あくびは脳に酸素を行き渡らせるための、重要な運動です。 血流を促すためにも、体も動かしてください。

Ciel
シエル

……どうでしょうか。 少しでも眠気が収まるといいのですが。

Ciel
ラーベ

まったく。《浸入》 (ダイブ) 直後に寝るやつがあるか。 というか、そんなに急に眠くなるか?

Raabe
シエル

……その他のバイタル情報も正常です。

Ciel
シエル

ですが、低周波を含む振動を検知しています。 この揺れが睡眠を誘うのだと思います。

Ciel
ラーベ

……確かに揺れてるな。どこだ、ここ?

Raabe
シエル

閉鎖的な屋内、設置された座席の様子と天井高、 それに振動と物音からして……。

Ciel
シエル

鉄道列車の車両内と推測されます。

Ciel
ラーベ

やっぱりそう思う? そうだよねぇ。 これ列車の中だよねぇ。

Raabe
ラーベ

こういうことも……あるのか……? 珍しいパターンだな。

Raabe
シエル

なにが珍しいのですか?

Ciel
ラーベ

《浸入》 (ダイブ) 先は、極力安定した場所に設定される。 水中や空中に出たら一大事だろ。

Raabe
ラーベ

移動中の乗り物の中っていうのも、危険な場所だ。 座標情報と《浸入》 (ダイブ) のタイミングがちょっとでもずれてみろ。

Raabe
ラーベ

列車の慣性を引きずったまま、 外に放り出される可能性だってある。

Raabe
ラーベ

……なのに、こんな場所に出た。 考えられる理由はとりあえずふたつだ。

Raabe
ラーベ

ひとつ。 フガク及びタカマガハラシステムの設定に異常が生じた。

Raabe
ラーベ

もうひとつは、このファントムフィールドにおいて 安定していると判断される場所が、ここだった。

Raabe
シエル

列車の中が安定している……とは、どういうことでしょう。 非常に不安定な場所です。

Ciel
シエル

列車以外の場所が極端に不安定な場所、 ということでしょうか。

Ciel
ラーベ

かもね。

Raabe
ラーベ

さてさて。ここが列車であるのなら、だ。 行き先や目的があるはずだ。

Raabe
ラーベ

どんな列車なのか、どんなやつが乗ってるのか。 そのあたりを把握したいところだな。

Raabe
シエル

この車両は無人のようです。

Ciel
シエル

列車についての情報を得るのなら、 別の車両へ移動したほうがいいかもしれません。

Ciel
ラーベ

そうだな。友好的な人物と接触できるといいんだが。

Raabe
ラーベ

とりあえずざっと、この車両の中を見ておこう。 なにか情報源になるようなものはないか、チェックだ。

Raabe
???

…………。

???
ラーベ

おーい、レイ。 ぼさっとしてないで、お前も手伝え。

Raabe
ラーベ

揺れが気持ちいいからって、また寝るんじゃないぞ〜。

Raabe
ラーベ

ふーむ、特になにもないか……。 そっちはどうだ、シエル。

Raabe
シエル

特に情報が得られそうなものは、ありません。

Ciel
シエル

誰かがいた痕跡も見られませんでした。

Ciel

1: そこにいる人は? もしかして見えてない?

ラーベ

人? どこに人がいるって? おいおい、まだ寝ぼけてるんじゃないだろうな?

Raabe
ラーベ

見えてないって、なにがだ? おいおい、まだ寝ぼけてるんじゃないだろうな?

Raabe
???

…………。

???
???

其方……余のことが……。

???
???

これは……この景色は……。

???
???

……もし、そこの。 其方。そう、其方だ。

???
???

ああ、よかった。余の声が聞こえるのだな。 では余の姿はどうだ? 見えているか?

???
???

おお……なんということ。 よもや誰かと話ができるとは。

???
???

ああ、では……景色はどうだろうか。 余が見ているこの光景が見えるか?

???
???

列車の中とは違う…… どこか寂れた、朽ちかけたような光景が。

???
???

そうか、わかるか。

???
???

まさかこのようなことが起こるとは。 このような巡り合わせがあるとは。

???
???

……ああ、余がひとりで喜んでいるばかりでは、 其方にはなにがなにやらわからぬな。すまない。

???
???

余の名は、テンジョウ。

???
テンジョウ

ここは……おそらく、余の意識の中だ。 理屈はわからぬが、どうやら其方を引きこんでしまったらしい。

Tenjo
テンジョウ

……だが、余に説明できるのはここまでだ。 これ以上は余にも、なにがどうなっているのかわからぬのだ。

Tenjo
テンジョウ

そもそも、余が誰なのか、何者なのか…… 自分で自分がわからぬ。

Tenjo
テンジョウ

わかるのは、テンジョウという名の響きが、 余にとってひどくしっくりくるということくらい。

Tenjo
テンジョウ

それも、つい先ほどそう感じたばかりなのだ。

Tenjo
テンジョウ

それまでは、このような意識の中らしき光景と…… あの列車の中とを、ぼんやりとした影となって彷徨うばかり。

Tenjo
テンジョウ

ところが、其方と目が合った瞬間に、 己がどのような姿なのかわかるようになった。

Tenjo
テンジョウ

意識もはっきりとして、こうして其方と言葉を交わしている。

Tenjo
テンジョウ

不思議であろう? 余はとても不思議だ。 だが嬉しい。誰かに余の存在を見つけてもらえて……。

Tenjo
テンジョウ

…………む?

Tenjo
テンジョウ

……何か来る。よくないものだ。

Tenjo
亡霊

オオオオォォォォ……。

Ghost
テンジョウ

!!

Tenjo
テンジョウ

な、なんだ、こやつは……!? どうしてこのようなものが、余の意識の中に……。

Tenjo

1: 逃げましょう! 下がってください、危ない

テンジョウ

あ、ああ……だが、これはいささかまずいぞ。 後ろからも現れた……!

Tenjo
テンジョウ

其方こそ、前へ出るでない。危ないぞ……! それに、後ろからも現れておる……。

Tenjo
亡霊A

ウオオォォ……。

Ghost A
亡霊B

アア、アァ……。

Ghost B
テンジョウ

逃げ道がない……。 せめて、其方だけでも逃がさねば……。

Tenjo
???

待ちなさい!

???
???

自我を失い悪しきに染まった亡者よ。 今すぐその方たちから離れなさい。

???
テンジョウ

其方は……?

Tenjo
???

話は後です。下がっていてください。

???
亡霊A

ウオオォォッ!!

Ghost A
???

理性など残されてはいないのですね……憐れな。

???
???

であればこそ、 ここにいる方々を傷付けさせるわけにはいきません。

???
イザヨイ

我が名はイザヨイ。 悪を裁き秩序と正義を守る者。

Izayoi
イザヨイ

……断罪、執行!

Izayoi

序節② 生ける魂/

Summary
再び目を覚まし、シエルたち、テンジョウ、

イザヨイと再会。一同は死者の魂を終着駅の 『死』へと運ぶ、『冥界列車』の中にいた。

シエル

レイさん……レイさん。 しっかりしてください。

Ciel
シエル

……あ……気がつかれました。 意識はありますか? 私がわかりますか?

Ciel
ラーベ

よかった、目を開けたか。 シエル、質問の前にバイタルをチェックしてくれ。

Raabe
シエル

はっ、そ、そうでした。すぐに行います。

Ciel
シエル

……スキャン終了。 レイさんのバイタル、正常です。

Ciel
ラーベ

ならばよし。けど、どうしたっていうんだ一体。 気が付いたら倒れてたから、目茶苦茶驚いたじゃないか。

Raabe
ラーベ

とりあえず、具合が悪いとかではないみたいだな。 でも油断せず、不調が出たらすぐに教えてくれ。

Raabe
ラーベ

……んで……結局、お前は何者なんだ?

Raabe
???

…………。

???

1: あ! あなたはさっきの! あれ、どこかで見たような……?

シエル

この方を、ご存知なのですか?

Ciel
ラーベ

だとしたら、ますます気になるな。

Raabe
シエル

レイさんが倒れられたすぐあとに、 この方が声をかけてくださったのです。

Ciel
ラーベ

勘ぐるようで悪いが、説明してもらえないか?

Raabe
ラーベ

お前は突然現れて、倒れたレイを見るなり 『これはいけない』と言い残して姿を消した。

Raabe
ラーベ

……かと思えば、レイが目を覚ましたとたんに また現れた。

Raabe
ラーベ

レイが目を覚ましたのと、なにか関係があると 考えていいんだろうか?

Raabe
イザヨイ

……名乗るのが遅れました。 私の名は、イザヨイ。

Izayoi
イザヨイ

レイさん、とおっしゃるのですね。 あなたが私と会ったのは『誰かの意識の中』です。

Izayoi
イザヨイ

意図的にかはわかりませんが…… 他者の意識に引きずり込まれたのでしょう。

Izayoi
イザヨイ

あのままでいれば、意識の主の認識に呑み込まれ、 こちらへ戻ってくることができなくなる恐れもありました。

Izayoi
イザヨイ

連れ戻せてよかった。 ご無事でなによりです。

Izayoi
シエル

では、レイさんを助けてくださったのですね。 ……ありがとうございます。

Ciel
シエル

我々では状況がわからないままでした。 助かりました。

Ciel

1: ありがとうございました! そんな危ない状態だったのか……

ラーベ

そういうことなら、私からも礼を言わないとな。 助かった。

Raabe
ラーベ

ただそうなると……レイは一体誰の意識に 引きずり込まれたんだ?

Raabe
ラーベ

あのときこの場には、 我々以外誰もいなかったはずだが……。

Raabe
イザヨイ

おそらく、彼女の意識かと。

Izayoi
ラーベ

彼女?

Raabe
テンジョウ

…………!?

Tenjo
ラーベ

うわっ!? び、び、びっくりした……!

Raabe
ラーベ

え、い、いつからいた?

Raabe
シエル

わ、わかりません。たった今……だと思います。 音も反応もなく、突然現れたように感じています。

Ciel
テンジョウ

……驚かせたようだな、すまない。 余は……テンジョウという。

Tenjo
テンジョウ

実はずっとここにいたのだ。 ただ誰も、余に気付かなかった。

Tenjo
テンジョウ

今は見えているのだな。よかった。

Tenjo
シエル

はい……目視できています。 気付かなかったとは、どういうことでしょう。不思議です。

Ciel
ラーベ

存在が誰にも認識されていなかった、ってことかな。

Raabe
ラーベ

……ん。ってことは、意識の中に引きずり込まれた レイが、その意識の主を認識したことで、

Raabe
ラーベ

我々にも見えるようになった。 ……って流れか。

Raabe
ラーベ

なるほど。理屈は納得できる。

Raabe
テンジョウ

迷惑をかけてしまったようだな……すまない。 だが釈明させてほしい。

Tenjo
テンジョウ

レイと申したか。其方を余の意識に 取り込んでしまったのは、偶然だ。

Tenjo
テンジョウ

其方をどうこうするつもりはなかった。

Tenjo
テンジョウ

……さっき意識の中でも申したが、余は自分のことすら よくわかっていない。

Tenjo
テンジョウ

なぜここにいるのかも……わからないのだ。

Tenjo
ラーベ

……姿の認識が確立されても、 自己の認識はまだ確立しきれていないようだな。

Raabe
ラーベ

もっとも、今の言葉が全て事実なら、だが。

Raabe
テンジョウ

すぐに信じてもらえるとは、思っていない。 だが其方らに危害を加えるつもりはない。

Tenjo
テンジョウ

どうかそれだけは、信じてほしい。

Tenjo
イザヨイ

その点に関しては、当面信用できるかと思います。 彼女の気配からは、邪悪なものを感じません。

Izayoi
イザヨイ

始めからレイさんに危害を加えるつもりなら、 もっと危機的な状況になっていたでしょうし。

Izayoi
イザヨイ

……ところで。今度は私から質問させてください。 あなたがたは、どうやってこの列車に乗られたのですか?

Izayoi
シエル

はい。我々は次元境界潜航船フガクに搭載された、 タカマガハラシステ……。

Ciel
ラーベ

<size=130%>わーーーーーたしたちのことか!</size> 私の名はアストロラーベ。ラーベちゃんでいいぞ。

Raabe
ラーベ

こっちはシエルで、 レイのことは……もうわかっているか。

Raabe
ラーベ

私たちは、まあ、その。常に行動を共にしている。 で、列車に乗っている理由だが……よくわからなくてな。

Raabe
ラーベ

気が付いたら、全員ここにいた。

Raabe
イザヨイ

気が付いたら……ですか。

Izayoi
イザヨイ

あなたがたは、生きている存在……ですよね?

Izayoi

1: 生きてると思います 死んだ覚えはないですね……

シエル

同意見です。レイさんも私も バイタル情報は正常ですし、ラーベさんの機能も正常です。

Ciel
シエル

同意見です。死に至るほどの異常が発生していたのなら、 なんらかの痕跡が記録されているはず。

Ciel
イザヨイ

……そうですよね。 私にも、あなたがたが生きているように思えます。

Izayoi
イザヨイ

ですが……だとすれば、 ここにいるのはよろしくないですね。

Izayoi
ラーベ

よろしくない? それはどういうことだ?

Raabe
イザヨイ

この列車は『冥界列車』。死者の魂を乗客とし、 終着駅である『死』へと運ぶもの。

Izayoi
テンジョウ

死者の魂を死へ運ぶ列車……。 これがそうだというのか?

Tenjo
イザヨイ

はい。

Izayoi
ラーベ

終着駅は『死』と言ったな。 このまま乗り続けてるとどうなる?

Raabe
イザヨイ

『死』へ到達するのですから、死ぬことになります。

Izayoi
シエル

我々はまだ死んでいませんが……それでも死ぬのですか?

Ciel
イザヨイ

試したことがあるわけではありませんから、 どのような現象が起こるのかはわかりませんが……。

Izayoi
イザヨイ

『そういうもの』だと理解しておいたほうがいいでしょう。

Izayoi
ラーベ

となると、乗り続けているのはあまりにまずい。 どうにかして列車から降りられないか?

Raabe
イザヨイ

降りるにはまず、列車を止めなければなりません。 私もそのために、この最前車両まできたのです。

Izayoi
イザヨイ

列車である以上、動かしている機関やそれを管理する車掌が いるはずですから……なんとか掛け合えないかと思って。

Izayoi
ラーベ

そしたら、私たちを見つけたわけだな。

Raabe
ラーベ

ここ、一番前だったのか。

Raabe
イザヨイ

はい。おそらく……。

Izayoi
イザヨイ

この列車は、車両によって様子がずいぶんと違うので、 間違いないとまでは断言できませんけれど……。

Izayoi
テンジョウ

であれば、ここのさらに前に、機関室があるのではないか? 車掌とやらもそこにいるだろう。

Tenjo
テンジョウ

さっそく、掛け合ってみようではないか。

Tenjo
イザヨイ

ええ、そうしましょう。 では、ちょっと失礼。

Izayoi
イザヨイ

……あら?

Izayoi
イザヨイ

すみません、どなたかいらっしゃいませんか? 車掌さん、おられませんか?

Izayoi
シエル

どうしましたか?

Ciel
イザヨイ

扉が開かないのです。 すみません! どなたかいらっしゃいませんか!?

Izayoi
ラーベ

シエル、ちょっと、扉の向こう。

Raabe
シエル

はい。索敵します。

Ciel
シエル

…………生体反応、動体反応、共にありません。

Ciel
テンジョウ

車掌はいないのか。 機関室にいなければ……どこにいるのだ?

Tenjo
ラーベ

さあなぁ……車内を巡回中とか?

Raabe
シエル

扉を破壊して侵入しますか?

Ciel
ラーベ

やめとけ、列車にどんな影響が出るかわからん!

Raabe
ラーベ

この先は機関室なんだぞ。 なにで動いてるかもわからない。爆発でもしたらどうする。

Raabe
シエル

……確かに、そうです。 破壊は最終手段にします。

Ciel
イザヨイ

仕方ありません……戻って車掌を探しましょう。

Izayoi
ラーベ

ちなみに、ここに来る前には見かけなかったんだよな?

Raabe
イザヨイ

はい。ですが……先程も申しましたが、 この列車は車両によってずいぶんと様子が違います。

Izayoi
イザヨイ

どこかで入れ違いになった可能性はあります。

Izayoi
ラーベ

おー、それは厄介、厄介……。

Raabe
イザヨイ

皆さんも、よろしければ一緒に探しにいきましょう。

Izayoi
イザヨイ

ここに留まっていては、また誰かが誰かの意識に 呑まれることも、あるかもしれませんから。

Izayoi
テンジョウ

ぜひ、余も連れていってくれ。 ひとりきりでいるのは……心細い。

Tenjo
ラーベ

こちらは問題ない。

Raabe
ラーベ

この列車がどんな場所なのか、 実際に見て把握しておきたくもあるしな。

Raabe
イザヨイ

では、参りましょう。 列車内は広いです。迷わないよう、はぐれずに。

Izayoi
シエル

はい、了解しました。

Ciel

2号車 夢見る魂/

Summary
列車の停止を試みるも、機関室への扉は開か

ず、中からの生体反応もない。皆は協力し て、列車を管理する車掌の捜索を開始する。

ラーベ

おお、どっからどう見ても、公園だな。 空間の認識が乱れてるのか。列車の中だってことを忘れそうだ。

Raabe
テンジョウ

おや。あそこに人がいるようだぞ。

Tenjo
人影

…………。

Shadow
人影

…………。

Shadow
イザヨイ

……あれは、この列車の乗客ですね。

Izayoi
シエル

この列車や車掌について、 なにか情報が得られるかもしれません。

Ciel
シエル

交渉してきます。

Ciel
ラーベ

いやどうかな……あの様子だと、難しそうじゃないか?

Raabe
シエル

なぜですか?

Ciel
ラーベ

情報を引き出せるほど、 まともな意識がある状態には見えない。

Raabe
イザヨイ

はい。冥界列車の乗客ですから、彼らは死者の魂です。

Izayoi
イザヨイ

彼らはああして列車に乗りながら、生前の記憶を夢に見ます。 そうしながら少しずつ、自我を失い……。

Izayoi
イザヨイ

最終的に終着駅へと到達して、完全なる死を迎える。 ……と、言われています。

Izayoi
テンジョウ

記憶を、夢に……そうか。 その夢が安らかなものであればよいな。

Tenjo
テンジョウ

穏やかな夢を見ながら……安らかに死を迎えてくれれば。

Tenjo
ラーベ

そう誰も彼も穏やかな記憶ばかりではないだろうがな……。

Raabe
シエル

まだ自我が多く残っている方を探して、 情報を聞き出すというわけにはいかないでしょうか。

Ciel
テンジョウ

……夢を見ている者を、起こすのか?

Tenjo
シエル

はい。車掌捜索の手がかりが得られるかもしれません。

Ciel
ラーベ

気が進まないって気持ちは、わからんでもないがな。 死者の眠りを妨げてでも、私たちは死を回避したい。

Raabe
ラーベ

お前もそうじゃないのか?

Raabe
テンジョウ

余は……わからぬ。 死にたいと願うつもりはないが……。

Tenjo
テンジョウ

……いや。其方たちを死なせるわけにはいかぬな。 すまぬ、余の気後れは忘れてくれ。

Tenjo
テンジョウ

どうしてか、つい彼らに強く心惹かれるのだ。 彼らがどのような人であったのか、知りようもないが……。

Tenjo
テンジョウ

死してなお苦しむようなことがなければいいと、 切に願ってしまう。

Tenjo

1: 優しい人なんですね 僕もそう思います

テンジョウ

…………。

Tenjo
テンジョウ

よせ、くすぐったい。 それにそんなことはない。

Tenjo
テンジョウ

そんなことはない……はずだ。

Tenjo
テンジョウ

……そうか。 其方がそういう心の持ち主で、嬉しく思う。

Tenjo
テンジョウ

だがいけないな。余のこの気持ちは、優しさではない。 甘さだ。

Tenjo

1: 優しい人なんですね 私もそう思います

テンジョウ

…………。

Tenjo
テンジョウ

よせ、くすぐったい。 それにそんなことはない。

Tenjo
テンジョウ

そんなことはない……はずだ。

Tenjo
テンジョウ

……そうか。 其方がそういう心の持ち主で、嬉しく思う。

Tenjo
テンジョウ

だがいけないな。余のこの気持ちは、優しさではない。 甘さだ。

Tenjo
テンジョウ

いかんいかん。己がはっきりしないせいか、 思い悩むようなことばかり頭に浮かぶ。

Tenjo
テンジョウ

今は車掌を探すことだけを、考えていなければ。

Tenjo
シエル

……対象、接近。 周囲の人々がこちらに集まってきています。警戒してください。

Ciel
乗客

オオォォォ……。

Passenger
テンジョウ

か、彼らも夢を見ているのか? それとも、自我がまだ残っている状態なのだろうか……?

Tenjo
ラーベ

どちらにしても、友好的には見えないな。

Raabe
乗客

オオ……ォォァア……ッ。

Passenger
イザヨイ

Izayoi
イザヨイ

下がってください。危険です。

Izayoi
シエル

敵性反応を感知。 戦闘態勢に移行します。

Ciel
テンジョウ

待ってくれ、彼らはすでに死した魂なのだろう? それを害するのか……!?

Tenjo
ラーベ

そんなこと言ってる場合じゃないだろ! こっちが害されるわ!

Raabe
イザヨイ

このままでは囲まれます。前方へ突破しましょう。 先陣は私が。

Izayoi
シエル

レイさん及びテンジョウさんの護衛を担当します。

Ciel
ラーベ

ここが列車の中だってことを忘れるな。 周囲に被害を出し過ぎないようにしてくれよ!

Raabe
シエル

了解! 対象の排除を開始します。

Ciel

ーーー/

Summary
乗客である死者の魂が行く手に群がり、立ち

ふさがる。生に焦がれ押し寄せる彼らを退け ながら、一行はさらに先へと進む。

シエル

戦闘終了。周辺の敵性反応、排除完了しました。 ですがこの車両内にはまだ乗客が残っています。

Ciel
シエル

引き続き、警戒にあたります。

Ciel
テンジョウ

レイ……。 今のは、余の意識の中で現れた者たちと同じなのだろうか。

Tenjo
ラーベ

テンジョウの意識の中でも襲われたのか。 同様の存在だとして……何故こちらを襲う?

Raabe
イザヨイ

私たちが『生きている』からかと。

Izayoi
イザヨイ

魂は死を忌避し、生に焦がれるものです。 乗客の中には、ひどく望まない形で死を迎えた者もいるでしょう。

Izayoi
イザヨイ

彼らからすれば、私たちは闇夜を照らす一筋の光に 見えるのかもしれません。

Izayoi
ラーベ

その光に引き寄せられていると。 なるほどねぇ。

Raabe
シエル

新たな敵性反応です。後方から接近中。

Ciel
ラーベ

車掌らしき姿はない。 一応捜索しつつ、別の車両へ向かおう。

Raabe
シエル

了解です。

Ciel
イザヨイ

先に行ってください。後方は私が引き受けます。

Izayoi
テンジョウ

…………。

Tenjo
テンジョウ

死してなお、生に焦がれるか……。

Tenjo
テンジョウ

……すまない。なんでもない。行こう。

Tenjo

3号車 悪しき魂/

Summary
シエル、イザヨイの勇と美を、テンジョウは

讃える。イザヨイは戦うだけが力ではない、 と口にしつつも、嬉しさに頬を染めた。

ラーベ

扉ひとつ開けるだけでこうも見た目が変わるとはな。 すごい違和感。

Raabe
テンジョウ

ずいぶん静かな場所だ。それにいささか、不気味だな。

Tenjo
ラーベ

人の姿はないか……。 まー、車掌が人の姿をしているかどうかもわからないんだけど。

Raabe
シエル

この車両にはいないのでしょうか。

Ciel
ラーベ

そう判断するのはまだ早いかな。 一通り探してはみよう。

Raabe
ラーベ

いないと断定した車両に実はいましたーなんてことになったら、 時間の無駄もはなはだしい。

Raabe
イザヨイ

障害物が多くて、見通しが悪いですね。 私が先行します。皆さんは後からついてきてください。

Izayoi
シエル

索敵でしたら、私が行います。

Ciel
イザヨイ

索敵自体はお願いします。ですがシエルさんは、 レイさんたちの側で護衛にあたってください。

Izayoi
イザヨイ

私のことはどうぞ、ご心配なさらず。

Izayoi
シエル

レイさんの護衛は、私の最優先事項です。 了解しました。

Ciel
テンジョウ

……其方らは勇ましいな。それに美しい。

Tenjo
イザヨイ

<size=130%>へっ……!?</size> な、な、なにを……なにを突然おっしゃるのですか。

Izayoi
イザヨイ

美しいだなんて、そんな……。

Izayoi
テンジョウ

照れずともよいではないか。 感じたままの言葉だ。

Tenjo
テンジョウ

イザヨイもシエルも、とても強く、輝かしい。 誰かを守り戦おうという姿が眩しいくらいだ。

Tenjo
テンジョウ

余にもそのような力があれば、今とて皆を守って戦うことが できたであろうに。歯痒いものよ。

Tenjo
イザヨイ

…………。

Izayoi
イザヨイ

戦うだけが、人の力ではありません。

Izayoi
イザヨイ

武器を携えることなく、誰かの盾になることもなく、 それでも振るえる力はあります。

Izayoi
イザヨイ

むしろそういう力こそ、本当の……!

Izayoi
イザヨイ

あ……いえ。これは私の勝手な、憧れのようなものです。 気にしないでください。

Izayoi
イザヨイ

それより、車掌を探しましょう。 なにが潜んでいるかわかりませんから、皆さん、気を付けて。

Izayoi
ラーベ

なんだ。照れてるのか?

Raabe
イザヨイ

ち、違います。 私のことはいいですから、皆さんも車掌を探してください!

Izayoi
シエル

なぜ照れるのですか? とても意義のあるお話だったと思います。

Ciel
シエル

できればもう少し、詳細にうかがいたいです。

Ciel
イザヨイ

も、もう。本当にいいですから……。

Izayoi
テンジョウ

ふふふっ。イザヨイ。 其方、かわいらしいな。

Tenjo
イザヨイ

ん、な……っ!?

Izayoi
イザヨイ

な、なななな、なにを、おっしゃっているのか……!

Izayoi
テンジョウ

かわいらしいと言ったのだ。

Tenjo
テンジョウ

凛々しく武器を構える姿もよいが、そうして憧れを口にしたり、 頬を染めたりしている姿は実によい。

Tenjo
テンジョウ

愛らしくて、微笑ましい。 レイもそうは思わぬか?

Tenjo

1: かわいいと思います! シエルだってかわいいです

イザヨイ

レイさんまで……こ、こんなときに。 そんな、そんなこと。も、もう!

Izayoi
ラーベ

こういう取り乱して狼狽える姿を、可愛らしいと評する 感性もあるんだ。勉強になったろ、シエル。

Raabe
シエル

冷静で頼もしいイザヨイさんの、 これまでのイメージと違う一面への評価ですね。

Ciel
シエル

イザヨイさんはかわいい。覚えました。

Ciel
イザヨイ

そ、そそそ、そうですよ! シエルさんのほうがかわいらしいです!

Izayoi
テンジョウ

シエルがかわいらしくないとは言っていない。 シエルも其方も、それぞれに愛らしいぞ。

Tenjo
シエル

ご評価いただき、ありがとうございます。

Ciel
シエル

……褒められたのですよね。 なぜイザヨイさんはそうも謙遜されているのですか?

Ciel
ラーベ

そういうところも、またかわいいと言われるゆえんだな。

Raabe
イザヨイ

や、やめてくださいってば! かわ、かっ……かわいいとか、今の状況に必要ないですよね!?

Izayoi
イザヨイ

テンジョウさんも! もうこの話はおしまいです! 真面目に捜索してください!

Izayoi
テンジョウ

すまぬ、すまぬ。そう怒るな。 なにもからかうつもりはなかったのだ。

Tenjo
テンジョウ

其方の外見もさることながら、人柄が実に好ましい。 その偽りない余の本心を、言葉にせずにおれなんだ。

Tenjo
テンジョウ

許せ。

Tenjo
イザヨイ

う……は、はい……。 別にそんな、怒っているわけでは……。

Izayoi
シエル

複数の敵性反応の接近を確認。

Ciel
ラーベ

おっと。本当にそんな場合ではなくなったな。

Raabe
亡霊

オオォォオォ……。

Ghost
イザヨイ

列車の乗客である、死者の魂ですね。 亡霊のような存在です……。

Izayoi
イザヨイ

悪しき気配を感じます。 生前より、よからぬことに手を染めて生きてきた魂でしょう。

Izayoi
テンジョウ

死してなお、人を害するか……。

Tenjo
シエル

戦闘態勢に移行します。

Ciel
イザヨイ

ええ。ここで立ち止まるわけにはいきません。 倒して、先へ進みましょう!

Izayoi
シエル

対象を確認。 排除を開始します!

Ciel

ーーー/

Summary
敵を退ける手際を褒めるテンジョウ。しかし

イザヨイは、道半ばの身に余る言葉は受け取 れない、と謙虚な姿勢を貫くのだった。

テンジョウ

見事なものだな。本当に勇ましい。

Tenjo
イザヨイ

……お褒めいただけるのは嬉しいのですが、 もうそれはやめにしてください。

Izayoi
イザヨイ

私はまだ途上の身。 精神的にも肉体的にも、力不足にあえぐばかりです。

Izayoi
イザヨイ

そんな身に余る言葉を素直に受け取れません。

Izayoi
テンジョウ

そのような……ああ、いや。 気持ちがわからぬわけでもない。

Tenjo
テンジョウ

わかった。 褒めちぎりたい気持ちは少し抑えるとしよう。

Tenjo
イザヨイ

お願いします。

Izayoi
ラーベ

……車掌の姿はないなぁ。

Raabe
ラーベ

もうちょい探して、それでも見つからなかったら、 別の車両へ行こう。

Raabe
シエル

はい、わかりました。

Ciel

4号車 使命ある魂/

Summary
車掌を探す道中、イザヨイは生者の身で列車

にいる理由を語った。そこで耳にしたある言 葉から、シエルたちは彼女の正体に気づく。

シエル

これは……廊下、ですね。

Ciel
ラーベ

かなり長い廊下に見えるが、 実際は列車の中を移動しているにすぎないわけだ。

Raabe
シエル

……さきほどまでと同じ駆動音を感知しています。 本当に同じ列車の中なのですね。

Ciel
イザヨイ

ええ。車両ごとに、中の様子はまるで別の場所で あるかのように違います。

Izayoi
イザヨイ

自分がどこにいるのか、どこへ向かっているのか…… すぐにでもわからなくなってしまいそう。

Izayoi
テンジョウ

もしもここが、生前に見た景色に近いのなら。

Tenjo
テンジョウ

運ばれる死した者たちはなおのこと、 己がどこにいるのかわからなくなってしまうだろうな。

Tenjo
ラーベ

死んだ者たちに思いをはせるのは結構だが、 あまり入れ込まないでくれよ。

Raabe
ラーベ

こっちはなにも慰霊を目的にしているわけじゃない。

Raabe
テンジョウ

そうであった。車掌探しだな。 とはいえ……この廊下は静かだ。車掌らしき姿もないな。

Tenjo

1: 手分けして探す? 先の方、見てこようか

シエル

あちこちに部屋もあるようですし、 そのほうが効率がいいでしょうか。

Ciel
ラーベ

いや、それはちょっとリスクがある。 固まって動いたほうがいい。

Raabe
シエル

危険です。賛成できません。 それなら私が行きます。

Ciel
ラーベ

いや、なるべく固まって動こう。 シエルの言う通り、危険だ。

Raabe
ラーベ

空間そのものに認識の歪みが生じている以上、 どこでどんな断裂が生まれるかわからない。

Raabe
ラーベ

死んだものを運ぶ列車、なんて場所なんだ。 危険な存在がうろついている可能性も高い。

Raabe
ラーベ

なにより、連絡手段がない状況で手分けなんかしたら、 合流するときどうするんだ。はぐれたらそこで終わりだぞ。

Raabe
シエル

……そう言われてみれば、そうですね。

Ciel
ラーベ

というわけで、効率は悪いがまとまって動く。 テンジョウとイザヨイもそうしてくれ。

Raabe
テンジョウ

わかった。ふらふらと彷徨って、また姿が 見えなくなってしまっては困るものな。

Tenjo
イザヨイ

私は始めからそのつもりです。 ここは危険な場所ですから。

Izayoi
テンジョウ

ふうむ……見当たらないな。

Tenjo
シエル

はい。 車掌らしき人物を視認できていません。

Ciel
ラーベ

そもそもどんな姿をしてるんだろうなぁ。車掌って。

Raabe
イザヨイ

すみません、私にもわかりません。

Izayoi
イザヨイ

時折見かける、ぼんやりと虚空を見つめる乗客たちとは、 明らかに雰囲気が違うだろうとは……思っているのですが。

Izayoi
テンジョウ

まだ探し始めたばかりだ。列車は動き続けているのだし、 知らぬ間に降りてしまったなどということはあるまい。

Tenjo
テンジョウ

そのうち見つかるとも。

Tenjo
シエル

はい。捜索を続けます。

Ciel
ラーベ

そういえば……イザヨイ。 お前も、別に死んだ魂ってわけじゃないんだろう?

Raabe
イザヨイ

ええ。違います。 あなたがたと同じく、まだ生きている者です。

Izayoi
ラーベ

だったらどうしてこの列車に乗ってるんだ?

Raabe
イザヨイ

それは……。

Izayoi
イザヨイ

……人を、探していて。

Izayoi
テンジョウ

人?

Tenjo
イザヨイ

はい。ある方が、なにかを追いかけるようにして この列車に乗るのを見たのです。

Izayoi
イザヨイ

その人も死んだわけでないのに……。 だから、見つけて連れ戻さなければと……思って。

Izayoi
ラーベ

それでお前まで乗り込んだっていうのか? 乗り続けてると死ぬ列車に?

Raabe
ラーベ

命知らずとはこのことだな。

Raabe
シエル

大切な人なんですね。

Ciel
イザヨイ

え?

Izayoi
シエル

違うのですか? 大切だからこそ、その人を追って列車に乗ったのでは。

Ciel
イザヨイ

…………いえ。 大切……そうですね、大切な人です。

Izayoi
イザヨイ

とても強くて、憧れている人なのです。 名前は、ジン=キサラギ。

Izayoi
イザヨイ

もしもこの先、みなさんが私と離れ離れになり、 その後にジン=キサラギと名乗る人と会うことがありましたら。

Izayoi
イザヨイ

すぐに列車を降りて欲しいと、伝えてください。

Izayoi
ラーベ

……うん? ジン=キサラギ?

Raabe
シエル

以前に別のファントムフィールドで、 その名前を聞いたことがあります。

Ciel
イザヨイ

!? ジン兄様を知っているのですか!?

Izayoi
シエル

はい。 ですが、私の聞いた人物と同一かは不明です。

Ciel
シエル

統制機構のとても強い人で、ひとりで戦争を終わらせた人物。 その人の名がジン=キサラギであると、記憶しています。

Ciel
イザヨイ

それ、ジン兄様のことです。 間違いありません。

Izayoi
テンジョウ

なんと。其方の兄は大変な英傑なのだな。

Tenjo
テンジョウ

人によっては、その偉大さは重圧にもなろう。 それにしても凄まじい。ひとりで戦争を……そうか。

Tenjo

1: 同じような話を聞いたような…… もしかして、ツバキさん?

シエル

はい。以前にツバキ=ヤヨイさんから聞きました。

Ciel
ラーベ

やっぱり、そう思うか、レイ。 ……実は私もちょっと気になってた。

Raabe
イザヨイ

……驚きました。 どうして私の名を?

Izayoi
ラーベ

いや、その。ちょっと縁があってな。 お前は私たちを知らないだろうが、私たちはお前を知ってるんだ。

Raabe
ラーベ

正確には『ツバキ=ヤヨイ』を知っている。 と言った方がいいのかな。

Raabe
イザヨイ

……なるほど。奇妙なあなた方のことです。 私の知らない縁を多くお持ちなのでしょうね。

Izayoi
イザヨイ

その名を名乗ることが、今の私に相応しいとは思えませんが…… 確かに、私はツバキ=ヤヨイです

Izayoi
テンジョウ

ツバキ、か。良い名前だな。 だがなぜ、イザヨイと名乗る?

Tenjo
イザヨイ

私が装備している、この武具全て……これらは、 私の生家に伝わる『封印兵装・十六夜』というものです。

Izayoi
イザヨイ

長く兵装を身に着け、戦い続けた私は……友の支えもあって、 この兵装の本来の力。真の姿を得ることができました。

Izayoi
イザヨイ

その誇りの証と、この武具を受け継ぐ者としての戒めのために、 名を『イザヨイ』としたのです。

Izayoi
イザヨイ

この身は、この兵装そのものでもあるのだと。

Izayoi
テンジョウ

……良い友も、いるのだな。其方には。

Tenjo
イザヨイ

……はい。

Izayoi
ラーベ

ここにも車掌はいないかねぇ。

Raabe
テンジョウ

仕方ない。別の車両を探してみよう。

Tenjo
シエル

っ、待ってください。

Ciel
テンジョウ

……この列車の乗客か?

Tenjo
イザヨイ

そのようです。彼らもまたすでに死した存在。

Izayoi
イザヨイ

ですが、その制服は……。

Izayoi
衛士

アア……ァァア……

Soldier
シエル

敵性反応を感知。 警戒してください。こちらへの攻撃意思があります。

Ciel
テンジョウ

なぜ、攻撃を?

Tenjo
イザヨイ

生前の強い意識か、もしくは私たちの存在に引かれてか……。 どちらにせよ、ここを通るためには倒さねばなりません。

Izayoi
テンジョウ

倒す……。

Tenjo
イザヨイ

彼らは、かつて使命を帯びた者。 その矜持に報いるためにも、お相手します。

Izayoi
シエル

了解、戦闘態勢に移行。 対象の排除を開始します。

Ciel

5号車 熱き魂/

Summary
行く手に戦闘の音を聞き、駆けつけた一行は

イカルガの忍・バングを発見。苦戦する彼に 代わって、車両を彷徨う亡霊に立ち向かう。

ラーベ

……この車両は下水道か。 水まで流れてる。ご丁寧なことだな。

Raabe
シエル

屋内、野外、地下……空間の形式は様々ですね。

Ciel
テンジョウ

本当に不思議な列車だ。 見た目だけでなく……臭いまで、しっかり感じられる。

Tenjo
イザヨイ

……できれば、 なるべく早くに抜け出したい場所ですね。

Izayoi
イザヨイ

もしもここに車掌がいるのなら、 すぐにでも見つけたいです。

Izayoi
テンジョウ

同感だ。 だがかなり入り組んでいるようだぞ。探すのは一苦労……。

Tenjo
ラーベ

……ん? 静かに。 なにか聞こえたぞ。シエル、どうだ?

Raabe
シエル

確認しました。 人間の声です。性別は男性。

Ciel
イザヨイ

亡霊でしょうか?

Izayoi
シエル

……生体反応を感知しています。

Ciel
テンジョウ

では、生きている者か?

Tenjo
シエル

状態は不明ですが、感知できる物音からして…… 交戦中のようです。

Ciel

1: 行ってみよう! それはどこから?

テンジョウ

うむ。もしも生者であるのなら、 亡霊に襲われているかもしれん。

Tenjo
シエル

この車両の中です。正確な位置を特定します。

Ciel
イザヨイ

シエルさん、案内をお願いできますか?

Izayoi
シエル

はい。音の発生源を特定。 こちらです!

Ciel
???

<size=120%>ぬおおお!!  くぬぅぅ、なんというしぶとさ!</size> <size=120%>まだ倒れぬとは!!</size>

???
???

<size=120%>だがしかぁし!</size> 拙者とて退けぬ理由があるのでござる!

???
???

ゆえに貴様にここで負けるわけには…… <size=120%>いかぁぁぁぬ!!</size>

???
テンジョウ

男の声だ。余にも聞こえてきたぞ。 確かに誰かが戦っているようだ、急ごう。

Tenjo
ラーベ

ああ。 しかしこの声、どっかで聞いた覚えがあるような……。

Raabe
???

ぐぬぅぅ……! こ、これしきの怪我で……!

???
???

まだまだでござる! 拙者はまだ膝をついてもおらぬ!

???
???

このシシガミ=バング、 ここで倒れるわけにはいかんのでござる!!

???
ラーベ

あれは……!

Raabe
シエル

バングさんです!

Ciel
イザヨイ

知り合いですか?

Izayoi
ラーベ

まあ、ちょっとな。 我々がジン=キサラギを知っているのと同じような経緯だ。

Raabe
テンジョウ

あの者、負傷しておるようだ。 だというのに、無茶を……。

Tenjo

1: 助けましょう! 行こう、シエル!

イザヨイ

ええ。生ある者の魂を、亡霊たちに 引き渡すわけにはいきません。

Izayoi
イザヨイ

助太刀に入ります!

Izayoi
シエル

了解! レイさんは私の後ろにいてください。 要救助者もレイさんも、お守りします。

Ciel
バング

<size=120%>ぐおぉぉ!?</size>

Bang
バング

うぐぐ……やるではないか、お主……。 さぞ名のある武人と見える……。

Bang
亡霊

…………。

Ghost
バング

だが相手が悪かったでござるな……。 拙者はシシガミ=バング……イカルガの誇りを受け継ぎし忍……!

Bang
バング

拙者にはやらねばならぬことがある! それを果たすまでは、 どのような武人が相手であろうと決して、決して退かぬぞ!!

Bang
ラーベ

それだけ声が上げられるなら、 まだ死にそうにないな!

Raabe
バング

ややっ!? 喋るボールが……何やつ!?

Bang
シエル

助太刀に来ました。ご無事ですか?

Ciel
イザヨイ

ここはひとまず、私たちが引き受けます。 あなたは下がってください!

Izayoi
バング

おお、それはありがたい。 だがこれは男同士の戦い、手助けは……!

Bang
テンジョウ

やらねばならぬことがあるのであろう。 誇りも良いが、命は粗末にするものではない。

Tenjo
バング

しかし……! あ……んん? お主、は……。

Bang
シエル

警戒してください。来ます!

Ciel

ーーー/

Summary
敵を退け、冥界列車についてバングと話す。

列車は乗客の命だけでなく、記憶をも奪う可 能性が浮上し、一行は共に解決へと急ぐ。

シエル

対象の排除を完了しました。 周囲に敵性反応はありません。戦闘行動を終了します。

Ciel
ラーベ

よし。お疲れ。

Raabe
バング

倒した……で、ござるか……。 いやはや、見事。助かったでござる。

Bang
イザヨイ

間に合ってよかったです。 今の敵は、自我を失い戦うことしかできなくなった亡霊……。

Izayoi
イザヨイ

倒され、取り込まれれば、 たとえ命ある者であったとしてもどうなるか……。

Izayoi
バング

亡霊? 幽霊ということでござるか?

Bang
バング

……いかに打撃を重ねようと ほとんど手ごたえがなかったのは、そのせいか。

Bang
バング

ううむ、幽霊といい、この不快な場といい、 ここはおかしなところでござる。

Bang
バング

拙者は確かに、 列車に乗り込んだはずであったのだが……。

Bang
ラーベ

列車とわかって、自ら乗り込んだパターンか、お前も。 だがこれがどんな列車なのかは、わかっているのか?

Raabe
バング

……いや。 いかにしてここへ辿り着いたのかもわからぬ。

Bang
バング

ただ……拙者には、お仕えしていた主がいるでござる。

Bang
バング

その主が、この列車にひとり、入っていかれたのを お見かけしてな。お声掛けせねばと追いかけたのだ。

Bang
バング

だが乗り込んでみれば乗客は皆、 顔色は悪いし話しかけても無反応。

Bang
バング

主は見つからず、車両を移動すればわけのわからぬ 空間に出るばかり。さらに駅にも止まらない。

Bang
バング

一体なんなのでござるか、この列車は。

Bang
イザヨイ

これは……冥界列車。 死した魂を『死』へと運ぶ列車です。

Izayoi
バング

死した魂? となると……では、乗っている乗客たちは……。

Bang
ラーベ

すでに死んだ者の魂ってことだ。

Raabe
バング

死んだ……そんな、そんなはずは……。

Bang
シエル

このまま列車に乗り続けていれば、 バングさんも死んでしまう可能性があります。

Ciel
シエル

バングさんは、まだ死んだ人ではないですよね?

Ciel
バング

お、おお、その通り、拙者はまだ死んでおらぬ! 死んでたまるものか!

Bang
バング

いや、拙者よりも! 拙者の主でござる。

Bang
バング

その方もまたこの列車に乗り込んでおる…… このままでは、本当に死んでしまうやもしれぬのではないか!?

Bang
イザヨイ

そうですね……そうなります。

Izayoi
バング

それはいかん!! お助けせねば!!

Bang
バング

待っていてくだされ、今すぐこのシシガミ=バングが 駆け付けて……!

Bang
バング

いっ……いだだだだだだ……。

Bang
テンジョウ

これ、そう急に動くでない。 致命傷ではないようだが、浅くはない傷を負っている。

Tenjo
テンジョウ

主を助けようとする忠義は立派なことだが、 使命があるならばこそ、その身を案じ、労われ。

Tenjo
バング

…………。

Bang
テンジョウ

どうした? 余の顔になにかついておるか?

Tenjo
バング

い、いえ、滅相もない! ……お心遣い感謝するでござる。

Bang
テンジョウ

無鉄砲な男だ。 手当てをしよう。シエル、手伝ってくれぬか。

Tenjo
シエル

はい。

Ciel
バング

……かたじけないでござる。

Bang
ラーベ

落ち着いたようだな。よしよし。

Raabe
イザヨイ

私たちは列車を止めるために、車掌を探しています。

Izayoi
イザヨイ

その道中で、バングさんの探している方を 見つけられるかもしれません。

Izayoi
イザヨイ

どのような方なのですか?

Izayoi
バング

それが……。

Bang
バング

実は、しかとこの目で見て、確かにそのお姿を追いかけたの だが……どうしてか先程から、そのお姿が思い出せぬのだ。

Bang
バング

お呼びしていた名もあったはずなのだが…… 喉の、このへんまで出てきているのに、思い出せぬ……。

Bang
シエル

なぜでしょう。……列車に乗った魂が、徐々に自我を 失う現象と関係があるでしょうか。

Ciel
イザヨイ

すみません、私にもわかりません。

Izayoi
イザヨイ

もしかしたら、乗客の生死にかかわらず…… 列車は徐々に自我や記憶を失わせるのかもしれません。

Izayoi
テンジョウ

余が己のことをなにも思い出せぬのも、 そのせいだろうか。

Tenjo
ラーベ

可能性は十分ありそうだな。

Raabe
ラーベ

であれば、ますます列車を早々に止めなければ。 レイの記憶を持っていかれるとかなりまずい。

Raabe
バング

……お主たち。拙者も同行させてもらえぬか。

Bang
テンジョウ

なにを申す。其方、深手を負っているのだぞ。

Tenjo
バング

足を引っ張る真似はせぬ。拙者同様、主が己を失っていくやも しれぬというときに、じっと座ってはおれぬのだ。

Bang
バング

だがおっしゃる通り、情けないが、 この傷で十分動けるとも思えぬ。

Bang
バング

このバング、手負いの身なれど、粉骨砕身の思いで お主らの手足をとなると約束する。

Bang
バング

だから……どうか、 拙者の主をお助けするのを手伝ってもらえまいか!

Bang

1: もちろん、一緒に行きましょう むしろ放っておけない

イザヨイ

その体で列車内を移動するのは、 少々危険だとは思いますが……。

Izayoi
イザヨイ

かといって、ひとり置いていっては、いつ亡霊に見つかるかも わかりません。賢明なご判断かと思います。

Izayoi
テンジョウ

確かに、この傷の彼をここへ置いていくのは 気が引けるな。

Tenjo
テンジョウ

またいつ先程のような亡霊が現れて、 襲ってくるかもわからぬのだから。

Tenjo
バング

では、同行を許してくださるか! 皆の衆……かたじけない!

Bang
ラーベ

そうと決まれば早速、車掌捜索再開だ。 列車はいつか終着駅に到着する。

Raabe
ラーベ

それまでに見つけないと、全員それこそ冥界行きだ。

Raabe
テンジョウ

手を貸そう。ゆくぞ、バング。

Tenjo
バング

すまぬ。助かるでござる。

Bang

6号車 交わる魂/

Summary
テンジョウ、イザヨイと共に、誰かの記憶を

垣間見る。その後、一同のもとを訪れたジン に対し、バングは「主の仇」と拳を向けた。

シエル

この場所は……以前見た階層都市でしょうか?

Ciel
ラーベ

あるいは、階層都市によく似た場所かだね。 それにしても広いな。改めて列車の中とは信じられん。

Raabe
バング

おお、ここはカグツチではないか!

Bang
ラーベ

ん、バングはこの都市を知っているのか?

Raabe
バング

うむ! 確かあれは……んん? いつであったかは忘れたが……。

Bang
バング

だが拙者はこの都市に長く滞在していたことがあるのだ。 カグツチのことならばよく知っておる。

Bang
バング

それで、ここからどうする? 手分けして車掌を探すのでござるか?

Bang
ラーベ

んー、手分けできれば早いかもしれないけど、 生者の気配に寄ってくる奴らがいるからなぁ。

Raabe
ラーベ

やっぱり、戦力を分散するのはリスクが大きい。 ひとりのところを襲われても逆に時間がかかるだけだし。

Raabe
バング

成程。で、あるならば、皆で行くしかないでござるな。

Bang
バング

な〜に、この辺は拙者の庭も同然でござる。 案内ならば拙者に任せるでござるよ!

Bang
バング

確かすぐそこの角に、美味い『けばぶ』があるから 皆、腹ごなしでも……ん?

Bang
バング

なんと! 店がなくなっているでござる! おかしいでござるな、確かそこに建物が……。

Bang
バング

いや、そもそもあんな建物でござったか? 拙者の記憶では、 いや、ぐぬぬ……これはどうなっているでござる。

Bang
ラーベ

この景色を生み出した者と、バングの記憶にあるイメージに ズレがあるということだよ。

Raabe
ラーベ

時代が異なるのか、そもそも別の場所なのか、それとも 元々の『認識がズレ』ているのかはわからんが……。

Raabe
ラーベ

なんにせよ、手探り状態で進んでいくしか……ん? レイ? おい?

Raabe
シエル

レイさん!?

Ciel
テンジョウ

レイ、大事ないか?

Tenjo
イザヨイ

……見たところ怪我はなさそうですね。 気を失っていただけのようです。

Izayoi
テンジョウ

其方らだけか。他の者はどこへ行ったのだ?

Tenjo
テンジョウ

それにこの場所は……先ほどまでとは様相が異なる。 我らはいつの間にか、別の車両に移動したのであろうか。

Tenjo
イザヨイ

いえ……この感覚……。 おそらくここは、何者かの意識の中ですね。

Izayoi
テンジョウ

成程。ならばその者がどこかに――

Tenjo
イザヨイ

待ってください、誰かいます!

Izayoi
???

御館様、ご報告に参りました。

???
???

入れ。

???
間者

失礼致します。

Agent
仮面の人物

どうであった?

Masked Person
間者

先方は、御館様の申し出に応える気はまるでありませぬ。

Agent
間者

使いの者を捕らえ、まるで申し出そのものをなかったかのような 振る舞い。戦火はなおも拡大し、今や全土に……。

Agent
仮面の人物

……守備隊はどうか。

Masked Person
間者

徹底抗戦により戦線はかろうじて維持できておりますが……。

Agent
仮面の人物

……よい。申せ。

Masked Person
間者

……主力部隊はすでに壊滅の憂き目にございます。 残りの部隊も奮闘なれど、そう長くは……。

Agent
間者

また、焼け出された民の多くは城を目指しております。 このままでは城内が避難民で溢れることになりましょう。

Agent
仮面の人物

左様か……。大義であった。もうよい、下がれ。

Masked Person
間者

……ハッ、では。

Agent
仮面の人物

…………。

Masked Person
仮面の人物

民は全て受け入れよ。ひとり残らず、全てだ。

Masked Person
間者

……仰せのままに。

Agent
仮面の人物

苦しみを被るのは民ばかりか……。

Masked Person
???

レイさん…… レイさん!

???
ラーベ

意識が戻ったか。様子はどうだ?

Raabe
シエル

体のどこにも異常は認められません。

Ciel
ラーベ

テンジョウとイザヨイも目を覚ましたか。 そちらも大丈夫そうだな。

Raabe
イザヨイ

私たちが意識を失ってから、 どのくらいの時間が経ちましたか?

Izayoi
シエル

約320秒です。

Ciel
ラーベ

やはり『レイの時』と同じ現象か?

Raabe
イザヨイ

おそらくは。

Izayoi
ラーベ

うーん……とりあえず、話を聞かせてくれるか。

Raabe
ラーベ

成程……戦時下らしき世界か。

Raabe
ラーベ

その人物の素性が掴めれば、 もう少しこの列車のヒントも得られるかもしれないが……。

Raabe
イザヨイ

……戦争……。

Izayoi
イザヨイ

戦争は、好きではありません。

Izayoi
イザヨイ

いかに大義を掲げようと、人同士が争い、 何の関係もない人々を大勢巻き込むなど、決して許されません。

Izayoi
イザヨイ

少なくともあの人物は……自分から戦争を始める類の 人物とは思えませんでした。

Izayoi
ラーベ

ふむ……だがまあ、現時点では情報が少なすぎる。

Raabe
ラーベ

確かに3人がその人物の意識に 介入を受けたことは気になるが……。

Raabe
ラーベ

答えの出ない推理に時間を使うよりは 車掌を探した方が早そうだな。

Raabe
バング

確かに、猶予がいつまであるか わからぬこの状況でござるからな。

Bang
バング

ささっと探して、車掌がいないのであれば 別の車両にいくでござるよ。

Bang
シエル

生体反応を検知。近いです。

Ciel
ラーベ

生体反応と来たか。車掌であればいいが…… 警戒は緩めるんじゃないぞ。

Raabe
ジン

む、貴様たちは…… 死者、ではないな。

Jin
イザヨイ

ジン兄様! ご無事だったのですね!

Izayoi
ジン

ツバキ? どうしてここに。

Jin
イザヨイ

決まっているでしょう、ジン兄様が心配だからです!

Izayoi
ジン

僕を追ってきたのか……無茶をするな。

Jin
ジン

だけど、僕にはここでやるべきことがあるんだ。 お前は先に、自分のいるべき世界に戻っていてくれ。

Jin
イザヨイ

ですが、ジン兄様……。

Izayoi
バング

…………っ!

Bang
テンジョウ

バング? どうかしたのか?

Tenjo
バング

ジン=キサラギ……ここで会ったが100年目ッ!! 我が主の仇は取らせてもらうでござる!!

Bang
ラーベ

おいおい!? なにしてる!?

Raabe
ジン

……何者だ。何故僕を狙った?

Jin
バング

拙者はシシガミ=バング! 我が主の仇であるお主に、ここで会えるとは……!

Bang
バング

お主の命は、拙者が討たせてもらうでござる!

Bang
ジン

……僕には関係のない話だ。

Jin
バング

なにおう!?

Bang
ジン

僕は殺すべき相手を追ってここに来た。 くだらない復讐などに付き合うつもりはない。

Jin
バング

お主になくとも、拙者にはある。いざ、尋常に!!

Bang
イザヨイ

な、なぜお二人が……!? やめてください、バングさん!

Izayoi

1: 二人を止めよう! 殺し合いなんてダメだ!

イザヨイ

ええ、そうですね……私も加勢します。 なんとか二人を止めましょう!

Izayoi

ーーー/

Summary
テンジョウの言葉にバングは拳を収め、ジン

は立ち去った。イザヨイはジンのためにも列 車を止める、と決意を新たにする。

バング

ぐ……うぅ……。

Bang
イザヨイ

ジン兄様! そこまでです、刀を納めてください!

Izayoi
ジン

……降りかかる火の粉を払っただけだ。 殺すつもりはない。

Jin
バング

おのれ、ジン=キサラギ……あやつだけは必ず拙者の手で…… 殿の仇は、拙者が取らねばならぬのだ……。

Bang
テンジョウ

もうよせ、バング。

Tenjo
バング

テ、テンジョウ殿。いや、拙者は止まることなどできぬ……。

Bang
テンジョウ

無理をするでない。其方は人を探しているのであろう? 本来の目的を忘れるな。

Tenjo
テンジョウ

其方にとって一番大切なことはなにか。それを思い出せ。

Tenjo
バング

…………そう、でござるな。 確かに、テンジョウ殿の言う通りでござる。かたじけない。

Bang
イザヨイ

ジン兄様。兄様はこの列車で誰を探しているのですか?

Izayoi
ジン

……お前には関係のないことだ。

Jin
イザヨイ

いいえ……この列車は、魂を死へと運ぶ存在。 そのような場所に兄様をひとりでは行かせられません。

Izayoi
イザヨイ

どうか私と共に、お戻りください……!

Izayoi
ジン

……それはできない。

Jin
ジン

すまない、ツバキ。 だが僕は『あれ』を見つけなければ……。

Jin
イザヨイ

ジン兄様……!

Izayoi
ラーベ

……いいのか、一緒に行かなくて。

Raabe
イザヨイ

一緒に行ったとしても、私にはあの方を 止めることはできません……昔から、そうでした。

Izayoi
イザヨイ

ならば私は、この列車を止めます。

Izayoi
イザヨイ

それがジン兄様を引き留めるための、最良と判断しました。

Izayoi
ラーベ

そうか……冷静かつ合理的な判断ってやつだな。

Raabe
ラーベ

まあ我々としても、一緒に来てくれた方が助かる。 まだこの列車は、わからないことの方が多いからな。

Raabe
イザヨイ

……ええ。先を急ぎましょう。

Izayoi

7号車 名も知らぬ魂/

Summary
霧に包まれる車両で仮面の人物の夢を見る。

そして乗客の記憶が目の前に現れた。立って いたのは、セリカ、ナインの姉妹だった。

ラーベ

む……。

Raabe
バング

霧が出てきたでござるな。 これはまた……難儀でござる。

Bang
シエル

視界が制限されています。

Ciel
シエル

敵性反応は今のところありませんが、 乗客に接触する可能性があります。周囲に気を付けてください。

Ciel
テンジョウ

はぐれてしまうと、合流するのが大変そうだ。

Tenjo
イザヨイ

ここまで視界が悪いと、手をつないだ方が安全な気もしますが、 そうすると亡霊に対して対処が遅れかねませんね。

Izayoi
ラーベ

そこまでしなくとも気をつけていれば…… あれ? レイは?

Raabe
赤ん坊

ほぎゃぁ、ほぎゃぁ!

Baby
???

おお、どうした。

???
???

お腹が空いた……はまだであろう? おしめも先ほど替えたばかり……。

???
???

ああ、落ち着くがよい。

???
赤ん坊

ほやぁ……。

Baby
仮面の人物

なるほど……其方、抱き上げて欲しかったのだな。

Masked Person
仮面の人物

それにしても、其方は調子がいいな。 抱き上げた途端に泣き止むとは。

Masked Person
仮面の人物

それほど、母が恋しかったのか? ふふ……。

Masked Person
仮面の人物

今日は天気がよい。 太陽がイカルガの地を明るく照らしている。

Masked Person
仮面の人物

……いずれ其方は、余の歩んできた道を引き継ぎ、 歩むことになるだろう。

Masked Person
仮面の人物

賢しく育った其方が、 民を幸せに導くことを願ってやまない。

Masked Person
仮面の人物

其方がその目で見る世の中が、平穏であるよう…… 出来る限りのことを……。

Masked Person
仮面の人物

だからどうか。どうか、強く。そして叶うなら、幸せに。 ホムラ――

Masked Person
テンジョウ

…………。

Tenjo
イザヨイ

……おふたりのその顔。もしかしてですが…… どなたかの記憶、もしくは意識の中に入られましたか?

Izayoi

1: 入ってました イザヨイさんも?

イザヨイ

やっぱり……そうでしたか。私もです。

Izayoi
イザヨイ

ということは、あなたもなのですね。

Izayoi
テンジョウ

余も見ていた。ひとりの女性が、 赤子を抱き上げているところであった。

Tenjo
テンジョウ

……ふたりも同じものを見たか?

Tenjo
イザヨイ

はい。 女性が赤ちゃんをあやしてる光景でした。

Izayoi
テンジョウ

3人とも同じものを見たというのか……。 今のは一体何であろうか。

Tenjo
イザヨイ

わかりません。ですがあの女性の……赤ん坊への 深い愛情は強く感じられました。

Izayoi
テンジョウ

うむ……あの慈しむような声色。とても優しそうであった。

Tenjo
テンジョウ

余にも子供が出来たら、あのように接することが できるであろうか。

Tenjo
イザヨイ

自分の子供ならば、できるのではないでしょうか。 ……想像でしかありませんけれど。

Izayoi
ラーベ

あ、いたいた。いきなり立ち止まらないでくれ。 危うくはぐれるところだ。

Raabe
イザヨイ

すみません。

Izayoi
バング

ラーベ殿、いたでござるか?

Bang
ラーベ

ああ、こっちだ。

Raabe
ラーベ

まったく、急に3人そろって立ち止まるんじゃない。 びっくりしただろ。一体どうしたんだ?

Raabe
テンジョウ

実は、3人一緒に誰かの意識か夢の中に入ったようでな。

Tenjo
ラーベ

……記憶? それは……。

Raabe
シエル

っ、お話中にすみません。 前方に反応があります。なにか……誰か、います。

Ciel

…………。

Man
バング

あれは乗客……で、ござるか?

Bang
イザヨイ

座ったまま動きませんね。声も上げず身じろぎもしないのは、 少し気味が悪いです。

Izayoi
???

ただいまーっと。

???
セリカ

さ〜て、今日は気合い入れてご飯作るよ〜。 何品くらい作れるかな……んー。

Celica
セリカ

いつもより人数多いんだし、 いっぱいあったほうがいいだろうし。

Celica
セリカ

ま、いっか。作れるだけ作っちゃお! 久し振りの家族団らんだもん、ご馳走、ご馳走。

Celica
テンジョウ

……これは……なんだ?

Tenjo
イザヨイ

乗客の生前の記憶……でしょうか?

Izayoi
イザヨイ

しかし異質です。これまで接触してきた亡霊たちは、 ただ眠るように夢を見ているだけだったのに。

Izayoi
イザヨイ

自発的に動き、話しているなんて……。

Izayoi
シエル

……生体反応はありません。 ですが……亡霊とも違うもののような……。

Ciel
???

ただいま。

???
セリカ

あ、おかりなさい、ナインお姉ちゃん。 今日は早かったね!

Celica
ナイン

早く帰れって言ったのセリカじゃない。 ……あなたとの約束は守るわ。

Nine
セリカ

ありがと。じゃあ早速取り掛かるね! 今日はご馳走。色々作るよ、楽しみにしてて。

Celica
ナイン

いつも楽しみにしてるわよ、セリカの作ってくれる食事は。

Nine
ナイン

……ただ、一緒に食べることになる相手に不満はあるけど。 せっかくのセリカの手料理がまずくなるわ……。

Nine
ナイン

そもそも、あいつに味なんてわかるわけないじゃない。 セリカのご飯なんて、あの男にはもったいないわ。

Nine
ナイン

水と雑草でも平気な顔して食べるわよ、きっと。

Nine
セリカ

もう、お姉ちゃん。そんなこと言わないの。 今日はすっごく久し振りにみんなでご飯食べられるんだから。

Celica
ナイン

…………わかってるわよ。

Nine
バング

……なにやら複雑な家庭の事情があるようでござるな。

Bang
ラーベ

そうだねぇ。……めちゃくちゃプライベートを のぞき見している感じになってるな、これ。

Raabe
ナイン

ところで、セリカ気づいてる?

Nine
セリカ

うん。知ってる。 そこになにかよくないものが溜まってるね……。

Celica
ナイン

悪霊の類いかしら。 いずれせによ、私の家に来るなんていい度胸だわ。

Nine
ナイン

己がいかに無価値か、思い知らせてあげないと。

Nine
シエル

敵性反応を確認!

Ciel
バング

な、なにやらこちらを見てるでござるよ! 違うでござる! 拙者たちは悪霊ではござらん!

Bang
イザヨイ

あなた方に敵対するつもりはありません!

Izayoi
ナイン

へえ。私たちが気づかないとでも思ってたみたいね。 無様に慌てふためているけど、もう遅いわ。

Nine
セリカ

早く追い払っちゃおう!

Celica
セリカ

それで、お姉ちゃんと父さんに食べてもらう晩ご飯、 作らなくちゃ。

Celica
ラーベ

レイ、テンジョウ下がれ!

Raabe
シエル

来ます! 対象を補足、戦闘態勢に移行します!

Ciel

ーーー/

Summary
一行を敵と見なし迫る二人に応戦すると、や

がて影のように消えてしまう。霧の中残され た男はひとり、ただじっと座り込んでいた。

シエル

……敵性反応の消滅を確認。

Ciel
イザヨイ

消滅……? 消えたのですか。

Izayoi
ラーベ

らしい。ひとまず危機は去ったようだ。

Raabe
バング

ふぅ……しかし、今のは何でござったのか。

Bang
シエル

セリカさんと、お姉さんのナインさん……でしたね。

Ciel
イザヨイ

お知り合いでしたか?

Izayoi
ラーベ

ああ、まあな。といっても向こうは、こっちのことは わからなかったみたいだが。

Raabe
ラーベ

今のも……亡霊か?

Raabe
イザヨイ

いえ……違うと思います。 恐らく、誰かの記憶が強く形を成したものでしょう。

Izayoi
イザヨイ

……誰かの見ている夢が、具現化したもの……というと、 近いでしょうか。

Izayoi
テンジョウ

誰かの……夢? 誰の夢だ? 今しがた目にした少女らしい亡霊は、どこにもいないようだぞ。

Tenjo
ラーベ

となると、該当者はそこの『彼』じゃないか?

Raabe
テンジョウ

そうか。この男の夢が、形になって現れたか。

Tenjo
テンジョウ

少女たちの話に出てきた、父親であろうか。 安らかな眠りであればよいのだが……。

Tenjo
ラーベ

かもしれないね。証拠はないけど。 かといってわざわざ確かめる必要もないだろ。

Raabe
ラーベ

それより、今は車掌だ。先へ進もう。

Raabe
シエル

はい、わかりました。

Ciel

8号車 旅立つ魂/

Summary
人気のない車両に、ふらふらと男が現れた。

言葉を交わすと、男は徐々にリッパーとして の記憶を取り戻し、一行に牙をむく。

イザヨイ

……静かですね。

Izayoi
バング

この列車においてはおかしな言い方かもしれぬが、 人の気配がしないでござるな。

Bang
テンジョウ

そうだな。この車両には誰もいないのだろうか。

Tenjo
ラーベ

空なら空ってどこかに書いておいてほしいな……。 探す手間が省けるのに。

Raabe
シエル

現在、近辺に生体反応や動体反応、 不審な物音などは感知されません。

Ciel
シエル

もう少し先に進んで……レイさん?

Ciel
シエル

レイさん!?

Ciel
ラーベ

おい、どうしたレイ!?

Raabe
シエル

原因不明です。レイさん! しっかりしてくださ――

Ciel
仮面の人物

ふむ……。

Masked Person
仮面の人物

これは裁可してもよかろう。

Masked Person
仮面の人物

これは……ううむ。難しいものよな。 誰も彼もの望みは叶えてやれぬものな……。

Masked Person
仮面の人物

ふぅ……。

Masked Person
仮面の人物

こんな小さな書面で、多くの人の暮らしが左右されていく。 それが、余がなさねばならぬこととはいえ……。

Masked Person
仮面の人物

む? これは……書類ではないな。 ……手紙?

Masked Person
仮面の人物

……一体誰から……あ。

Masked Person
仮面の人物

あやつからの手紙、か。

Masked Person
仮面の人物

まったく、こんなところに忍び込ませるなんて。 誰かに見つかったらどうするつもりなのか。

Masked Person
仮面の人物

……いや、あやつのことだ。 そんな下手は踏まぬか。

Masked Person
仮面の人物

…………。

Masked Person
仮面の人物

ふふ。こちらの心配ばかりだな。 今はあちらの方がよほど厳しい状況だろうに……。

Masked Person
仮面の人物

……余は、其方のほうが心配だ。

Masked Person
テンジョウ

ここは……あの者の記憶の中、か……。

Tenjo
イザヨイ

どうやらそのようですね。

Izayoi
テンジョウ

であるならば、今あの者が手にしている手紙は、 よほど大切な記憶なのだろうな。

Tenjo
テンジョウ

面で表情は見えぬが、 声色のなんと柔らかくて、愛おし気なことか。

Tenjo
イザヨイ

恋文……でしょうか。

Izayoi
テンジョウ

そうかもしれぬな。 そうであってほしい。

Tenjo
テンジョウ

そうであったら嬉しいと、不思議と思ってしまうのだ。

Tenjo
???

レイさん……レイさん!

???
シエル

はっ……大丈夫ですか?

Ciel
シエル

ラーベさん、レイさんの意識が戻りました。 バイタルは正常のままです。

Ciel
バング

おお、気が付いたか。それはよかった。

Bang
ラーベ

テンジョウとイザヨイも、 つい今意識を取り戻したところだ。

Raabe
ラーベ

なんなんだ、お前たち。 3人同時に倒れるとか、びっくりするから勘弁してくれ。

Raabe
テンジョウ

倒れた……余たちがか。

Tenjo
ラーベ

そうだ。ふらふら〜っとな。

Raabe
イザヨイ

そうでしたか……ご心配をおかけしてすみません。 私は、もう大丈夫です。

Izayoi
ラーベ

そんならいいが。なにがあったんだ? 何者かに襲撃でもされたか?

Raabe
イザヨイ

いいえ、そうではありません。 ……簡単に説明しますね。

Izayoi
ラーベ

……なるほどな。 誰かの記憶に引きずり込まれたと。

Raabe
バング

それで、3人とも同じ記憶を見たのでござるか。

Bang
テンジョウ

ああ。おそらく女性だろう仮面の者が、 恋文らしきものを目にして喜んでいた。

Tenjo
テンジョウ

恐ろしい記憶や、悪い記憶などではなかった。 危ない目に遭ったわけではない、安心してくれ。

Tenjo
ラーベ

ふーむ……そうか。

Raabe
シエル

何者かの害意ある襲撃というわけでないようですね。

Ciel
ラーベ

今のところはな。だが油断はしてくれるなよ。 それと、なにか問題が生じたらすぐに言ってくれ。

Raabe
イザヨイ

ええ、わかりました。 レイさんの様子にも、気を配っておきます。

Izayoi
ラーベ

そいつは助かる。

Raabe
ラーベ

さて、じゃあ動けるようなら車掌探しの続きといくか。 問題ないか?

Raabe
イザヨイ

はい。動けます。

Izayoi
バング

では、捜索再開でござるな! ……うん?

Bang

……………………。

Man
シエル

あれは……。

Ciel
テンジョウ

なにやら、他の亡者とは様子が少し違うな。 じっとこちらを見つめているようだぞ。

Tenjo

1: なにがご用ですか? 車掌さんを見かけませんでしたか?

……………………。

Man

…………ご用?

Man

……………………。

Man

…………車掌?

Man

……おい、オマエ……オレが……見えてんのか。

Man

オレが。本当に。ミえてるって? マジで? マジマジのマジに?

Man

……ッハ。

Man

ッハハ、ヒッヒヒ、ヒャッハハハハ!!

Man
イザヨイ

下がってください、様子がおかしいです。

Izayoi
シエル

あなたは何者ですか?

Ciel

何者? さぁ……何者だったんだろ。 オレはダレで、ココはドコ?

Man

あ〜アァ、あァ、わっかんねぇ……なんもわかんねぇ。 でも……オレは……。

Man
ラーベ

あ、お前……!

Raabe

1: リッパー! リッパー?

リッパー

……リッパー。うん。うんうん。 へぇ、そっか、オレ『リッパー』っていうのか。

Ripper
リッパー

りっぱー? リッパー。あー……言われてみれば確かに。 そんな名前だった気がしてきたぁ……。

Ripper
リッパー

やぁっぱり。なんとなくだけど、オレのこと知ってるような 気がしたんだよねぇ〜。そんなニオイがしてさぁ。

Ripper
リッパー

ッヒッヒ、あ〜よかったぁ。そうそう、オレはリッパー。 オマエらがダレだか知らねーけど、よろしくね。

Ripper
バング

なんだ、こやつ。妙な男であるな……。

Bang
バング

やい、お主。一体どういうつもりで声をかけてきた? なにかよからぬ企みがあるのではなかろうな!?

Bang
リッパー

えー、たくらみ? んー、どうだろなぁ。 ただオレは……オレのことを教えてほしかっただけだよ。

Ripper
リッパー

んで、オマエはそれを教えてくれた。 ありがとなぁ〜。

Ripper
リッパー

おかげで……大事なものを思い出した。 だから……。

Ripper
リッパー

<size=120%>お礼に、殺してやんよぉ!!!!</size>

Ripper
シエル

っ! レイさん……! 大丈夫ですか?

Ciel
シエル

敵性反応を感知。戦闘態勢に移行します!

Ciel
バング

突然切りかかるとはなんたる卑怯! 漢の風上にも置けぬでござる!!

Bang
リッパー

ククッ……ヒャッハハハハハ! オマエも、オマエも、オマエもオレを見てる……。

Ripper
リッパー

いい感じだぁ〜〜〜!

Ripper
リッパー

さぁて……どいつから切り刻んでやろうかなぁ!

Ripper
イザヨイ

なんて危険人物なの……自我を保っているうえで、 見境なく攻撃することしか考えていないかのよう。

Izayoi
イザヨイ

放置しておけません。我が手にて、断罪します!

Izayoi
リッパー

あぁ……こいよぉ……全員まとめてかかってこいやぁ!!!

Ripper

ーーー/

Summary
リッパーを下すと、彼は満足したように敗北

を認める。「ここに車掌はいない」という言 葉を残し、再びふらふらと立ち去った。

リッパー

っ、ククク……いってぇ……メチャクチャしやがるじゃん。 あー、いてぇ。

Ripper
シエル

……対象の敵性反応、低下していきます。

Ciel
テンジョウ

負けを認めたか……?

Tenjo
リッパー

おーおー、認めた認めた。オレの負け〜〜〜。 あちこちボロボロ、こんなに痛いんじゃもうどうしようもねぇ。

Ripper
リッパー

ヒッヒッヒッ……マジでいてぇ。 ああ、すげぇな。本当にいてぇ……。最高の気分だ。

Ripper
バング

気味の悪い男でござるな。

Bang
リッパー

そう嫌うなよ。安心しな。もう気がすんだ。 どっか狭くて暗い所で、大人しくしてることにするよ。

Ripper
イザヨイ

……戦意がないというのなら、 これ以上は罪を問わずにおきます。

Izayoi
リッパー

へっへ、アリガトさん。 そんじゃまー……バイバイ〜〜〜イ。

Ripper
リッパー

あ。そーだ。

Ripper
リッパー

オマエら、車掌探してるんだろ?

Ripper
シエル

は、はい。

Ciel
リッパー

だったらよそに行くんだな。 ここには今にも消えそうな、亡霊しかいねぇよ。

Ripper
テンジョウ

……行ってしまったな。 結局あの男は、何者だったのだろうか。

Tenjo
ラーベ

今回の件に深く関わっているわけではなさそうだ。 だったら、あまり関係を持たないほうがいい。

Raabe
ラーベ

彼が絡むと、どうしても物騒な展開になる。

Raabe
イザヨイ

私も、そう感じてなりません。

Izayoi
イザヨイ

行きましょう。 私たちは車掌を探して、列車を止めなければなりません。

Izayoi
リッパー

……へぇ。車掌を探して、コイツを止めるのか。 そしたらオレもさっさと降りちまお〜。

Ripper
リッパー

そんで……そうだなぁ。 どこ行こっかな〜……。

Ripper
リッパー

どっかにチョロくて扱いやすい、 住処がねぇもんかなぁ〜っと。

Ripper

9号車 忠義の魂/

Summary
またも夢へと入り込み、バングのような人物

と『殿』との会話を耳にする。その後夢から 覚めると、列車では敵の襲撃を受けていた。

テンジョウ

ここの景色は興味深いな…… このようなもの、見たこともない。

Tenjo
ラーベ

あー、ちょっとちょっと。なにが起きるかわからないから、 あまりその辺を触らないように。

Raabe
シエル

スキャン完了。周囲に敵性反応はありません。

Ciel
ラーベ

よし、では進むとしよう。早く車掌を探さないとね。

Raabe
バング

むぅ……殿は一体いずこにおられるのか……。 殿〜!? どこでござるか、殿〜!!

Bang
ラーベ

こらこら! こんなところで大声を出すんじゃない!? またよからぬ霊やらが寄ってきたらどうする!?

Raabe
バング

ぬぅぅ、め、面目ない……。

Bang
テンジョウ

ふふ……しかしシシガミよ。 其方がそこまで想う主君とは、どのような人物なのだ?

Tenjo
テンジョウ

やはり其方のように、真っ直ぐな者なのであろうか。

Tenjo
バング

我が殿、でござるか?

Bang
テンジョウ

よければ聞かせてくれまいか。 其方もその方が、気が紛れよう。

Tenjo
バング

そうでござるな……。 我が主は……素晴らしい人物でござった。

Bang
バング

誰にでも公平で、誰よりも平和を愛し、 人々を慈しむ心に溢れているお方だ。

Bang
バング

人の上に立つべき者は、ああいう方のことを指すのでござろう。 仕えることができた拙者はまこと誉れでござるよ。

Bang
テンジョウ

そうか……善き主君であったのだな。

Tenjo
バング

だが、拙者はその人を守れなかった。

Bang
バング

絶対に守らねばならぬ此処一番の時に拙者は敗れ、 気がついたときには全てが終わっていた。

Bang
バング

……なんとも情けない話でござるよ。

Bang
イザヨイ

…………。

Izayoi
バング

拙者、殿のお側にいることが出来ず、死に際も逸した 不甲斐ない身。だが、自害することを殿は許さぬ。

Bang
バング

故に、拙者は決めたのだ。

Bang
バング

もう一度あの方を、今度こそ助けられるなら…… 自分はなんでもすると。

Bang
テンジョウ

其方の決意、よくわかった。 語ってくれた其方に感謝を申そう。

Tenjo
テンジョウ

しかし、ふふ……そう気負うなとも言いたいのだが、 気負っている方が其方らしいと思えて仕方ないな。

Tenjo
バング

テンジョウ殿……お気遣い、まことに痛み入る。

Bang
バング

さて、しんみりする時間は終わりでござる! なんとしても殿を見つけねば!

Bang
ラーベ

ふーむ……しかし、車掌はどこにいるのやら。

Raabe
ラーベ

これだけ探しても見つからないとなると そろそろ存在も疑わざるを得なくなって……。

Raabe
ラーベ

なっ――お、おい、レイ!?

Raabe
???

なんと、そのようなことが。それはまことか?

???
バング?

はい、お恥ずかしながら、まことにございます。

Bang?
仮面の人物

では、其方の体調はもう万全なのだな?

Masked Person
バング?

は、おかげさまでなんの問題なく、元気にございます。

Bang?
仮面の人物

しかし、川魚で腹を下し寝込むとは…… ある意味其方らしい。

Masked Person
バング?

いや、殿! この三日間、拙者が厠から離れられなくなったのは、 朝食係を任せた部下の……。

Bang?
バング?

いや、部下のせいにするのはよくないでござりまするな。 拙者も食中毒になどならぬよう、もっと胃袋を鍛えなければ!

Bang?
仮面の人物

しかし、その魚、よほど美味かったのだな。 余も是非一度、食してみたいものだ。

Masked Person
バング?

な、な、なりませぬ!

Bang?
バング?

殿に万が一のことがあっては拙者……!

Bang?
仮面の人物

ふふふ、其方は心配性であるな。

Masked Person
???

レイさん…… しっかりしてくださいレイさん!

???
バング

気が付かれたか!? よかったでござるよ!

Bang
イザヨイ

こ、これは!?

Izayoi
バング

お主たちが倒れた直後に敵が現れたのでござる! 今しばらく持ちこたえるゆえ、準備を!

Bang
イザヨイ

はい! テンジョウさんこちらに!

Izayoi
テンジョウ

うむ、すまない。

Tenjo
バング

では、切り抜けるでござるよッ!

Bang

ーーー/

Summary
敵を退け、一同に夢の内容を語る。バングの

探す『殿』が夢の主であり、観測者である可 能性が高まった。一行は捜索を続ける。

ラーベ

……ふむ、成程。なかなか興味深い話だ。

Raabe
バング

その者は、本当に拙者だったのでござるか?

Bang
バング

しかし拙者にはそのような出来事の記憶はござらんが……。

Bang
イザヨイ

あの人が本当にバングさんだったのかはわかりません。 あくまで、よく似ていたという感覚です。

Izayoi
バング

もしそれが本当に拙者だったとすれば…… もしやその、拙者が話していた相手とは……。

Bang
テンジョウ

其方の主君である可能性が、高いな。

Tenjo
ラーベ

ふむ……そうなると……バングの『殿』が このフィールドの観測者という可能性も……。

Raabe
イザヨイ

何のお話ですか?

Izayoi
ラーベ

……いや、こちらの話だ。

Raabe
ラーベ

とにかく、この列車にバングの『殿』がいる可能性は 結構高くなったと思うよ。

Raabe
バング

そ、そうでござるか!? ならば急ごう、早く殿を探さねば!

Bang
ラーベ

あ、おい待て! ひとりで行動するんじゃない、こら!!

Raabe
テンジョウ

ふふ、本当に真っ直ぐな男であるな。

Tenjo

終節① 冷たき魂/

Summary
最後尾に着くも、車掌は未だ見つからない。

突如響いた剣戟の音を辿り先頭車両に戻る と、ジンが無数の亡霊に取り囲まれていた。

ラーベ

……これで、一通り車両は確認したんじゃないか?

Raabe
シエル

そうですね。 先頭車両から最後尾の車両まで、全て確認しました。

Ciel
シエル

ですが……車掌らしき存在は確認できていません。

Ciel
バング

どうなっておるのだ? どこかの車両で見逃したのでござろうか。

Bang
テンジョウ

車両ひとつひとつはかなり広い。 入れ違いになったのかもしれぬ。

Tenjo
イザヨイ

そもそも、私たちが想定しているような 姿ではないのかもしれません。

Izayoi
イザヨイ

車掌という言葉に引きずられて、 人型のものだとばかり思っていましたが……。

Izayoi
ラーベ

それを言い出すと、車掌の存在そのものが 本当にあるのかどうかから疑う必要も出てくるぞ。

Raabe
バング

だが車掌がいなければ、どうやって列車を止めるのだ! 拙者は列車の操作などわからぬぞ。

Bang
シエル

車両を破壊しますか?

Ciel
テンジョウ

それは……なんとかならないだろうか。 乗客のことを考えると、心が痛む。

Tenjo
ラーベ

こちらとしても、どこにどんな影響が出るかわからないことは したくない。だが、降りなければ我々は死ぬ。

Raabe
イザヨイ

連結部を破壊すれば、最後尾の車両だけ切り離すことも できるのではないでしょうか。

Izayoi
ラーベ

これまで移動してきて、車両のつなぎ目なんてあったか? 扉を開けたら即別空間、って感じだっただろう。

Raabe
テンジョウ

それに、今いる車両を切り離しても、逃れられるのは我等だけ。 イザヨイやバングが探している『大切な人』は救えぬぞ。

Tenjo
イザヨイ

それは……。

Izayoi
バング

ぐ、ぬう……。

Bang
ラーベ

!?

Raabe
バング

この音は!?

Bang
シエル

先頭車両の方からです。剣戟……交戦中の物音です。 向かいますか?

Ciel

1: また誰かが襲われてるのかも! 車掌がいるかもしれない

テンジョウ

それはいけない。できるならば、助けてやらねば。

Tenjo
バング

その御心に胸打たれましたぞ、テンジョウ殿。

Bang
バング

拙者も追い詰められているところを助けられた身。

Bang
バング

同じように苦難に立たされている者があるのならば、 助太刀いたしたい!

Bang
イザヨイ

確かに……そうですね。 先頭車両ということは、機関室も近いはず。

Izayoi
イザヨイ

今その場にいなくとも、 異常を察して現れるかもしれません。

Izayoi
バング

おお、なるほど! さすがはレイ殿、 冷静であるな。急いで向かおうぞ!

Bang
イザヨイ

先導します。着いてきてください!

Izayoi
シエル

了解しました!

Ciel
テンジョウ

なんと、これは……。

Tenjo
イザヨイ

亡霊が……これほどたくさん集まっているなんて!

Izayoi
バング

戦っている者は無事でござるか!?

Bang
ジン

……亡霊たちの動きが乱れたと思ったら、お前たちか。

Jin
イザヨイ

ジン兄様! これは一体……。

Izayoi
ジン

話している暇はない。下がっていろ! 次から次へと現れる……亡霊どもめ、忌々しい。

Jin
亡霊

オォォォォ……。

Ghost
亡霊

オォオ……オォォォ……。

Ghost
ジン

ちっ……また続々と出てきたか。 さっさと離れろ。邪魔だ。

Jin
イザヨイ

そんな! いくらジン兄様でも無茶です! これだけの数をおひとりでなんて……!

Izayoi
イザヨイ

私も戦います!

Izayoi
ジン

……ふん。好きにしろ。

Jin
ラーベ

レイ、シエル、こちらも戦闘準備だ。 捌き切らないと、そのうちこっちへも押し寄せてくるぞ!

Raabe
シエル

了解。戦闘態勢に移行。

Ciel
シエル

レイさん、そばにいてください。 テンジョウさんは、もう少し後方へ下がってください。

Ciel
テンジョウ

わかった。だが余に構うな。 自分の身の安全くらいは守ろう。

Tenjo
バング

……っ。

Bang
テンジョウ

バング……。

Tenjo
バング

……心配めされるな。拙者、愛と正義のために戦う男。

Bang
バング

敵とは言え、目の前の窮している者を見捨てられぬでござる。 シシガミ=バング、全力で助太刀いたす!

Bang

終節② 先逝く魂/

Summary
開いた機関室に座していたのは、夢に現れた

仮面の人物……車掌である、テンジョウの肉 体だった。一行は彼女に最後の戦いを挑む。

亡霊

アァァアァァァァ……。

Ghost
シエル

……敵性反応の消失を確認。 対象の排除を完了しました。

Ciel
イザヨイ

はぁ、はぁ……。 これで全部ですか?

Izayoi
バング

の、ようでござるな……。

Bang
ラーベ

なんとか乗り切ったか。

Raabe
ジン

…………。

Jin
イザヨイ

ジン兄様、これは一体……。

Izayoi
イザヨイ

そうだ、やるべきこととおっしゃっていたのは、 どうなったのです?

Izayoi
ジン

……全ての車両を探して回った。

Jin
ジン

だがどの車両にも、煩わしい亡霊がうろついているばかり。 僕が探しているものは見つからなかった。

Jin
ジン

ツバキ……いや、イザヨイ。 貴様たちが探している車掌とやらもな。

Jin
シエル

探していてくださったのですね。

Ciel
ジン

見なかったという事実があるだけだ。

Jin
ジン

僕の探しているものがないのなら、こんな列車に用はない。 すぐさま止めようと、ここまで来た。

Jin
ジン

……見ろ。

Jin
テンジョウ

……あ。なんと、気付かなんだ。

Tenjo
シエル

機関室の扉が、少し開いています。

Ciel
ラーベ

最初に開けようとしたときは、 確かに固く閉ざされていたはずだ。びくともしなかった。

Raabe
ラーベ

なのに今はなぜ開いている……?

Raabe
ジン

さあな。理由など知る必要もない。

Jin
ジン

僕はただこの列車を止めたいだけだ。 ここを管理している者がいるとすれば、ここ以外にはない。

Jin
ジン

だから押し入ろうとしたんだが、それを阻むかのように 先程の亡霊たちが押し寄せてきたんだ。

Jin
イザヨイ

中に、入られては困るものがあるのでしょうか?

Izayoi
ジン

知らない。だからそれを確かめに行く。

Jin

1: 僕たちも行きます なにがあるのか気になるね

ジン

僕は貴様らがなにをどうしようと構わない。 好きにしろ。……僕も自分のやりたいようにやる。

Jin
ジン

調査したいと言うのなら止めはしない。 貴様らがなにをしようと、僕には関係ないことだ。

Jin

1: 私たちも行きます なにがあるのか気になるね

ジン

僕は貴様らがなにをどうしようと構わない。 好きにしろ。……僕も自分のやりたいようにやる。

Jin
ジン

調査したいと言うのなら止めはしない。 貴様らがなにをしようと、僕には関係ないことだ。

Jin
イザヨイ

あ、待ってください、ジン兄様! 私たちも行きましょう。

Izayoi
バング

あいわかった。 鬼が出るか蛇が出るか。どこまでもお供するでござるよ。

Bang
シエル

気を付けてください、レイさん。 私が先行します。

Ciel
テンジョウ

これが……機関室?

Tenjo
ラーベ

とてもそうは見えないな。 どちらかというと、これは……。

Raabe
シエル

誰かが座り込んでいます。

Ciel
仮面の人物

…………。

Masked Person
バング

あ……あ……。

Bang
バング

<size=130%>あなた様は!!</size> おお、このようなところにおられたのですね!?

Bang
ラーベ

バング、どうした?

Raabe
バング

ラーベ殿、あの方が拙者の探し人でござる! 拙者の主でござる!!

Bang
バング

よもやまさかこのようなところにいらっしゃるとは…… 道理で見つからないわけでござる。

Bang
バング

だがよかった、見つけられて本当によかったでござる!

Bang
バング

ええと……ああ、お姿を目の前にしてなお、 なんとお呼びすればよいかわからぬとは、不甲斐ない!

Bang
バング

ですがどうぞご安心くだされ、このシシガミ=バングが、 必ずやこの列車からお助けいたしますぞ!

Bang
ジン

……うかつに近付くな。妙だ。

Jin
バング

妙? なんと無礼な! あの方は……うぬぬ、あの方は! まだはっきりと想い出せぬが……!

Bang
バング

とにかくとても高貴にして尊いお方でござるぞ!!

Bang
バング

さあ、主。どうぞこちらへ。……どうなされた? 拙者の声が聞こえぬでござるか?

Bang
仮面の人物

…………。

Masked Person
イザヨイ

レイさん。 ……お気づきですよね?

Izayoi

1: 夢で見た人ですね 何度も会った人だ

イザヨイ

ええ。引きこまれた夢の中で……誰かの意識の中で、 何度も見ましたね。

Izayoi
イザヨイ

ええ。繰り返し引き込まれた意識の中で、 あの人の姿を見てきました。

Izayoi
イザヨイ

私たちを取り込んだ意識の主は、 おそらくあの方なのでしょう。

Izayoi
ラーベ

あれが、レイたちが見てきた人物……? バングの主の記憶を見ていたのか。

Raabe
テンジョウ

…………。

Tenjo
シエル

テンジョウさん? どうしましたか?

Ciel
テンジョウ

ああ、そうか……。

Tenjo
テンジョウ

あれは、余だ。余そのものだ。

Tenjo
ラーベ

……なに?

Raabe
イザヨイ

それはどういうことですか?

Izayoi
テンジョウ

不思議な心地だ。初めてレイに、 見つけてもらえたときを思い出す。

Tenjo
テンジョウ

己が鮮明に、描き出されていくかのような感覚。

Tenjo
テンジョウ

『あれ』を目にしたことで、余は全て思い出したぞ。 ああ、何故忘れていたのであろうか……。

Tenjo
テンジョウ

冥界列車の車掌は、余だ。

Tenjo
シエル

え……?

Ciel
テンジョウ

いつからそのような役目にあったのかは、定かではないが…… 死の運び手として、余は死した者たちの魂を運んでいた。

Tenjo
テンジョウ

だがいつの間にか、あそこにいる肉体から切り離され、 魂だけが列車の中を彷徨っていた……。

Tenjo
テンジョウ

数多の乗客たちと同じように、自身の記憶に浸りながら…… 緩やかに消えゆく運命であった。

Tenjo
テンジョウ

だがそこに……其方たちが現れた。 其方が余を見てくれた。

Tenjo
ラーベ

……テンジョウの意識に引きずり込まれた レイがテンジョウを認識したことで、

Raabe
ラーベ

魂が明確な姿形を得たわけだ。

Raabe
ラーベ

それも『死せる魂』ではなく『ひとりの人』として。

Raabe
バング

……なんと。

Bang
バング

では、テンジョウ殿も拙者の主だというのでござるか……?

Bang
バング

テンジョウ……そうだ、テンジョウ様。 な、なぜ拙者は忘れていたのか。

Bang
バング

『テンジョウ』こそ、 拙者のお仕えする唯一の主の名ではござらぬか!

Bang
テンジョウ

シシガミよ。其方もまた、思い出してくれたか。

Tenjo
バング

も、申し訳ございませぬ!!

Bang
バング

これほど近くにおりながら、 主であることすら思い出せずにいたとは……!

Bang
テンジョウ

よい、許す。

Tenjo
テンジョウ

余こそ、其方のことをまるで思い出せなかった。 余自身の記憶の中でお主の姿を見たというのにだ……。

Tenjo
テンジョウ

なんとも情けない。薄情なことよ……。

Tenjo
バング

とんでもない! 拙者のほうこそ!

Bang
テンジョウ

よい、よい。 そもそも、其方が余のことをわかるはずがないではないか。

Tenjo
テンジョウ

記憶がないだけではない。 其方とは、面を外さずに言葉を交わしたことがないのだから。

Tenjo
テンジョウ

ああ、だが、そうか……其方は余を追いかけて、 この列車に乗り込んできてくれたのだな。

Tenjo
テンジョウ

心配をかけたのだな……。ありがとう、シシガミ。

Tenjo
バング

も……もったいないお言葉でございます。 テンジョウ様。

Bang
バング

拙者は…… テンジョウ様をお救いできれば……。

Bang
バング

いや……今しがた、肉体から切り離された魂だと おっしゃいましたか?

Bang
テンジョウ

うむ。申した。

Tenjo
バング

であれば…… このままでは、テンジョウ様の魂が危険でござる。

Bang
バング

他の亡霊のように自我をなくしてしまう前に、 どうか速やかにお体にお戻りください!

Bang
バング

そちらにおわす、動かぬ仮面のテンジョウ様こそが、 御身のお体でございましょう!

Bang
テンジョウ

うむ……それができぬのだ。

Tenjo
イザヨイ

できないとは、どうしてですか?

Izayoi
テンジョウ

それは……。

Tenjo
仮面のテンジョウ

……其方らは……乗客だな。

Masked Tenjo
ジン

……っ!

Jin
ラーベ

仮面をしたほうのテンジョウが……立ち上がった。 なぜ突然動き出した?

Raabe
仮面のテンジョウ

このような場所にまでやってきては……いけない。 列車の運行に……支障がでる……席へ戻るがよい。

Masked Tenjo
仮面のテンジョウ

そして列車が終わりへ到達するまで…… 安らかに、過ごすといい……。

Masked Tenjo
バング

テンジョウ様、なにをおっしゃっているのです! そのようなことできませぬ!!

Bang
バング

拙者はテンジョウ様を連れ戻すために ここへやってきたのでござる。

Bang
バング

あなた様は我が主! 天ノ矛坂テンジョウ! 祖国イカルガを治める領主様にあらせられます!

Bang
バング

断じて、冥界列車の車掌などではございませぬ!

Bang
仮面のテンジョウ

……車内では……車掌である余の指示に……従いなさい。 でなければ……危険、であろう。

Masked Tenjo
バング

<size=130%>テンジョウ様!</size>

Bang
テンジョウ

落ち着け、シシガミ。……我が肉体ながら残念なことだが…… あれは己を『車掌』と定めておる。

Tenjo
テンジョウ

其方の言葉は理解できまい……。

Tenjo
バング

そんな……なぜ……。

Bang
ラーベ

そう観測されているからだろうな。

Raabe
イザヨイ

観測……ですか。

Izayoi
ラーベ

自分を、魂を運ぶ列車の主だと定め続けているのは、 それがあの仮面のテンジョウにとって紛れもなく『事実』だからだ。

Raabe
ラーベ

この空間にこの列車が存在するように、 あのテンジョウを車掌と定めた者がいる。観測者だ。

Raabe
イザヨイ

この世界を観ている者……。

Izayoi
イザヨイ

では、それを否定するためには、 観測者による観測を断ち切らねばなりませんね。

Izayoi
ラーベ

ほう、理屈に詳しいじゃないか。話が早い。

Raabe
イザヨイ

私の封印兵装・十六夜は、本来そういった 他者の観測に対抗することができる武具ですから。

Izayoi
ラーベ

なるほど、そいつは興味津々だ。

Raabe
バング

ええい、そのようなことより、 結論を早く言ってほしいでござる!

Bang
バング

どうすればテンジョウ様を お助けすることができるでござるか!?

Bang
ジン

……他者の認識によって自己認識が歪められているのなら、 それを修正するほかない。

Jin
バング

であるからして、具体的にはどうすればよいのだ!

Bang
ラーベ

現状の観測を塗り替えるためには、 より上位の観測者に観測させなければならない。

Raabe
ラーベ

つまりこの場合は……レイ。

Raabe
ラーベ

お前がテンジョウを車掌ではなく 『テンジョウ』として認識する必要がある。

Raabe

1: いつもやってるやつですね 任せてください!

ラーベ

そうだ。もう慣れたもんだろう。

Raabe
ラーベ

よーし、いい返事だ!

Raabe
テンジョウ

レイ、其方が観測を? そのようなことができるのか。

Tenjo
テンジョウ

……ああ。其方のその不思議な力が、そうか。 だからこそ、其方は余の存在をも繋ぎ止めることができたのだな。

Tenjo
ジン

それで? 僕たちはどうすればいい?

Jin
シエル

戦います。

Ciel
バング

戦う!? テンジョウ様とか!? そのようなこと、できるはずがなかろう!

Bang
ラーベ

交戦することで相互に強く認識を持つことができる。

Raabe
ラーベ

テンジョウは観測者としての レイを強く認識し、

Raabe
ラーベ

レイはより鮮明に テンジョウを認識できるようになる。

Raabe
ラーベ

まどろっこしい理屈なんか説明しても時間の無駄か。 とにかく、そうするのが一番手っ取り早いんだ!

Raabe
イザヨイ

バングさんのためらわれるお気持ちはわかります。

Izayoi
イザヨイ

ですが忠義ある者ならば、 主君のために己の矜持をも捧げてください。

Izayoi
バング

己の矜持……。

Bang
イザヨイ

あなたはそれができる人物のはず。

Izayoi
バング

イザヨイ殿……。

Bang
テンジョウ

余からも、頼む。シシガミよ。

Tenjo
テンジョウ

余の肉体に、余の魂を受け入れるよう説得してくれ。 言葉では通じぬから、その自慢の拳で。

Tenjo
バング

そ、そのような……。

Bang
バング

……いえ。承知いたしました。

Bang
バング

このシシガミ=バング、 主への忠義ゆえに、主自身と戦いまする!

Bang
ジン

足手まといになるなよ。

Jin
バング

お主こそ! 遅れを取るでないぞ!

Bang
ジン

ふん……。

Jin
シエル

テンジョウさんの体から敵性反応を確認しました。 反応、増大しています。

Ciel
仮面のテンジョウ

……席に、戻るがよい。 我が……憐れなる乗客たちよ……。

Masked Tenjo
イザヨイ

来ます!

Izayoi
バング

うおぉぉぉぉ! 参る!!

Bang

エピローグ/

Summary
肉体と魂は一つとなり、列車は停止。皆は残

された時間を、テンジョウと共に過ごす。 もうしばし、このひと時に幕が下りるまで。

仮面のテンジョウ

席、に……戻れ……。 死せる……べき……者たち……よ。

Masked Tenjo
イザヨイ

まだ、完全には認識を塗り替えられていない……? よほど強い観測のもとにいるのですね。

Izayoi
シエル

テンジョウさん。あなたは冥界列車の車掌ではありません。 ご自分の事をどうか思い出してください。

Ciel
仮面のテンジョウ

…………。

Masked Tenjo
仮面のテンジョウ

余、は……。

Masked Tenjo

1: あなたはイカルガという国の領主だ あなたはバングが仕えた主だ あなたは心優しい母親だ あなたは誰かに愛された人だ

仮面のテンジョウ

……イカルガ……。

Masked Tenjo
仮面のテンジョウ

余の……ああ……余の、愛した……祖国……。

Masked Tenjo
仮面のテンジョウ

バング……。

Masked Tenjo
仮面のテンジョウ

シシガミ=バング……。 ああ……懐かしや。懐かしい名……。

Masked Tenjo
仮面のテンジョウ

母……親……?

Masked Tenjo
仮面のテンジョウ

余は……ああ、抱いた……この腕に…… 愛しい子を……。

Masked Tenjo
仮面のテンジョウ

……愛、され……て……。

Masked Tenjo
仮面のテンジョウ

……そう。かつて、ひととき……ほんのひととき…… 確かにあの人は……余の側に……。

Masked Tenjo
テンジョウ

……………………。

Tenjo
テンジョウ

……また其方に礼を言わねばならぬな。

Tenjo
テンジョウ

ありがとう、レイ。 其方のおかげで……余はようやく、己を取り戻せた。

Tenjo
シエル

テンジョウさんと、テンジョウさんが…… ひとつになったように、見えました。

Ciel
シエル

魂が肉体に戻った、と解釈してよろしいですか?

Ciel
テンジョウ

うむ。どうやらそのようだ。

Tenjo
テンジョウ

余の名は天ノ矛坂テンジョウ。

Tenjo
テンジョウ

かつてひとつの国を総べ、頼もしき臣に恵まれ、 己を受け継ぐ子を成し、淡くも愛を教わった。

Tenjo
テンジョウ

そして……。

Tenjo
シエル

!?

Ciel
シエル

窯の出現を確認しました。 すぐ、そこです。

Ciel
ジン

窯だと?

Jin
イザヨイ

これは……こんなところに窯が……!?

Izayoi
ラーベ

やはり車掌が……テンジョウが観測者だったか。 この窯こそが、列車の駆動力になっていたんだ。

Raabe
ラーベ

そして観測者であるテンジョウは、 自らに『死の運び手』の役目を与えた。

Raabe
バング

なにがなにやら、わからぬ……。

Bang
バング

結局、テンジョウ様は列車を降りれるのか? 降りれないのか!?

Bang
テンジョウ

案ずるな、シシガミ。それに其方はもう知っていよう。

Tenjo
テンジョウ

余は列車を降りられぬ。 なぜなら余は、もう死んでいるのだから。

Tenjo
イザヨイ

えっ……!?

Izayoi
バング

そ、それは……。

Bang
ラーベ

なんだ。本当に知っていたのか。

Raabe
シエル

テンジョウさんが、すでに死んでいる……。

Ciel
シエル

……確かに、 テンジョウさんからは生体反応がありません。

Ciel
イザヨイ

そんな……。

Izayoi
ラーベ

一番最初に 機関室に生体反応がなかったのを覚えているか?

Raabe
ラーベ

確証はないが、あのときからテンジョウの肉体は ここにあったんだろう。

Raabe
ラーベ

だがすでに死んだ肉体だった。 だからシエルの索敵に引っかからなかった。

Raabe
バング

では……では、テンジョウ様はどうなるのだ!?

Bang
テンジョウ

簡単なことだ。 このまま列車や魂たちと共に『死』へ向かう。

Tenjo
バング

テンジョウ様……。

Bang
テンジョウ

シシガミよ。死した余を、なおも追いかけてきてくれたこと、 助けようとしてくれたこと、嬉しく思う。

Tenjo
バング

その、ような……もったいないお言葉……っ!

Bang
バング

拙者は……拙者はあなた様を、主君を守れなかった!

Bang
バング

あなた様が命を落とすとわかっていて、 お側でお守りできなかった家臣でござる!

Bang
バング

お救い出来なかった……今も、かつても。 申し訳ありませぬ……!!

Bang
テンジョウ

なにを謝ることがある。

Tenjo
テンジョウ

……お主が、余の知っているシシガミと 同一の存在であるのか、余にはわからぬが……。

Tenjo
テンジョウ

それでも其方がシシガミ=バングであるのなら。

Tenjo
テンジョウ

其方が余の側にいなかったのは、 きっと余自身の指示であろう。

Tenjo
テンジョウ

だから悲しむことはない。誇ってくれ。 其方は余のために、立派に働いたのだろうから。

Tenjo
バング

テンジョウ様……。

Bang
テンジョウ

であるならば、其方に責はない。 頭を下げるのは筋が違うというもの。

Tenjo
テンジョウ

むしろ、余こそ其方に詫びねばなるまいな。

Tenjo
バング

……滅相もない!

Bang
テンジョウ

…………さて、もうよいだろう。 ラーベ、この電車はどうすれば止まるのだ?

Tenjo
テンジョウ

車掌となったが、余には止め方がわからぬ。

Tenjo
ラーベ

窯が冥府列車の動力なので、 窯を破壊すれば自然と止まるはず。

Raabe
テンジョウ

そうか。ならば、止めてほしい。 いつまでもこのままではよくないであろう?

Tenjo
ラーベ

ああ。おそらくだが、ここは死と列車しかない世界の、 ものすごく小さなファントムフィールドだ。

Raabe
ラーベ

このままにしておいても、終着駅に着けば消えてなくなるだけ。 その前に窯を破壊して停車させなければならないだろう。

Raabe
ラーベ

もっとも、破壊前に世界としての情報は保全するけどな。

Raabe
テンジョウ

余に難しいことはわからぬゆえ、その辺りは任せる。 ただ……列車に乗っている死者の魂はどうなるのであろうか。

Tenjo
ラーベ

どうともならん。世界は停滞状態となる。

Raabe
ラーベ

魂たちは列車の中で今まで通り、 緩やかに死への支度をするだろうさ。

Raabe
テンジョウ

そうか……。ならばよい、窯は破壊してくれ。

Tenjo
シエル

わかりました。

Ciel
シエル

……第666拘束機関解放。次元干渉虚数法陣展開。

Ciel
シエル

『蒼の魔道書・写本』 (ブレイブルー) ……起動!

Ciel
シエル

……反応の消失を確認。『窯』の破壊を完了しました。

Ciel
ジン

……止まったか。

Jin
ラーベ

私たちの任務は終了だな。いつでも帰還できるわけだが…… お前たちはどうする?

Raabe
テンジョウ

この世界は、停滞状態となるのだったな?

Tenjo
ラーベ

ああ。今はなにも変わってないが、窯がなくなった以上、 この世界をお前の観測通りに保つ力も働いていない。

Raabe
ラーベ

世界を構築する全ての情報は、 いずれゆっくりとあるべき形に戻っていく。

Raabe
テンジョウ

ならば、消えるまでの間、余はここに留まろうと思う。

Tenjo
テンジョウ

死者である余に行くべきところはない。 乗客である多くの魂を慰めて過ごすつもりだ。

Tenjo
バング

でしたら、今しばらくの間、拙者もお供いたします。

Bang
テンジョウ

……余と共に死ぬ、などという戯れ言は聞かぬぞ?

Tenjo
バング

いいえ! 拙者はただ、この世界に留まれるのであれば その限界まで、テンジョウ様のお力になりたいのです!

Bang
テンジョウ

ふふ、そうか。それは頼もしいことよ。

Tenjo
イザヨイ

それでしたら、私も付き合いましょう。

Izayoi
イザヨイ

死者の魂はとても不安定です。 嘆きや悲しみを吸って、荒れ狂うこともあります

Izayoi
イザヨイ

そういった者を祓う役も必要になるでしょうから。

Izayoi
イザヨイ

ジン兄様は……いかがされますか?

Izayoi
ジン

……しばらくは、この場に留まらねばならないようだからな。 勝手にさせてもらおう。

Jin
ジン

まだ僕は、ここに僕の探しているものが…… その残滓だけでもありはしないかと思っている。

Jin
ジン

……そのついでに、亡霊と剣を交えることがあれば、 対処するまでだ。

Jin

1: 僕たちも手伝いたいです もう少しみんなといたいな

テンジョウ

其方らも? それは……本当に頼もしい。 ではひとつ、付き合ってもらおうか。

Tenjo
テンジョウ

ただし無理はするでないぞ。 そのようなこと、余は望んでいない。

Tenjo
テンジョウ

もう少し、残された時間を共に過ごせることが嬉しいのだ。

Tenjo
テンジョウ

ほう、それは嬉しい申し出だな。 其方らがいてくれたら、場もより明るくなろう。

Tenjo
テンジョウ

ただし無理はしてくれるな。 其方らに必要な時がきたら、遠慮せずこの世界から引き上げよ。

Tenjo
テンジョウ

残された時間をしばし、共にすごせたら…… 余には十分な喜びだ。

Tenjo

1: 私たちも手伝いたいです もう少しみんなといたいな

テンジョウ

其方らも? それは……本当に頼もしい。 ではひとつ、付き合ってもらおうか。

Tenjo
テンジョウ

ただし無理はするでないぞ。 そのようなこと、余は望んでいない。

Tenjo
テンジョウ

もう少し、残された時間を共に過ごせることが嬉しいのだ。

Tenjo
テンジョウ

ほう、それは嬉しい申し出だな。 其方らがいてくれたら、場もより明るくなろう。

Tenjo
テンジョウ

ただし無理はしてくれるな。 其方らに必要な時がきたら、遠慮せずこの世界から引き上げよ。

Tenjo
テンジョウ

残された時間をしばし、共にすごせたら…… 余には十分な喜びだ。

Tenjo
シエル

ではもう少し、よろしくお願いします。

Ciel
ラーベ

おいこら、なにを勝手に話をまとめてるんだ。

Raabe
ラーベ

……と言いたいところだが、まあいいか。 時間切れで死ぬことはなくなったんだしな。

Raabe
テンジョウ

……ありがとう。 ああ、本当に……余は果報者だな。

Tenjo
テンジョウ

ではしばし……このひと時に幕が下りるまで。 皆との時間を楽しませてもらうとしょう。

Tenjo