Story:BBDW Event Guide of Devilish Dreams ~Nightmare Fiction~

From BlazBlue Wiki

第1節 記憶のない男/

Summary
イシャナ島を再訪し、カズマと再会したシエルた

ち。しかし直後、景色が一変。見知らぬ街並みの 中、ハザマと名乗る男が現れた。

案内人ファジーから脱出方法を聞いた一行は、そ

のために必要な6つのエレメントを集めるため、 彼女に追われた方角へと進む。

シエル

……浸入完了。 シエル=サルファー、状態に問題ありません。 ダイブ

Ciel
シエル

レイさんのバイタルにも異常は見られませんが、 ご気分などに問題はありませんか?

Ciel

1: 大丈夫!
2: この感覚には慣れないけどね……

1:
2:

ラーベ

そいつはなにより。 頼もしい、いいお返事だ。

'Raabe
ラーベ

順応が早すぎるのも考え物だ。 慣れないなら、それでいい。

'Raabe
シエル

周囲の危険性を確認します。 ……即座に危険となりそうな生体の反応は、ありません。

Ciel
シエル

ここは、以前にトリニティさんが観測者として 成立していたファントムフィールドです。

Ciel
シエル

観測者を失った現在は、場としては停滞した状態に なるそうですが……。

Ciel
シエル

そのせいでしょうか。 やはり以前と同じように、無人のようですね。

Ciel
ラーベ

だな。

'Raabe
ラーベ

今回は、このファントムフィールドの調査が目的だ。 タカマガハラシステムが異質な介入を検知した。

'Raabe
ラーベ

何者が、なんの目的で行った介入なのか…… 誰かによるものなのか、自然発生的なことなのか、詳細は不明だ。

'Raabe
ラーベ

ここは解放されたばかりのファントムフィールド。 状態は決して安定しているとは言い難い。

'Raabe
ラーベ

なにが起こっても不思議じゃない、くらいの気持ちでいてくれ。 実際、なんでも起こりうる。

'Raabe
シエル

了解しました。では、現状を確認するために、 イシャナ各所を見に行ってみましょう。

Ciel

1: そうしよう。久し振りにあちこち見たいし
2: カズマさんやトリニティさんに会えるかも

1:
2:

ラーベ

お前にとっては、入学するはずだった学園になるな。 特別思い入れがあるかもしれないが、目的は忘れてくれるなよ。

'Raabe
ラーベ

そうだな、そのふたりを探すのもいいだろう。 ここに存在している人間に、現状を聞くのが手っ取り早い。

'Raabe
ラーベ

ふぅむ……今のところ、特に変わった様子はないなぁ。

'Raabe
シエル

そうですね。私たちが去った時点でのイシャナと、 状況に大きく変化はないようです。

Ciel
カズマ

あれ……?

Kazuma
シエル

あ。発見しました、カズマさんです。

Ciel
ラーベ

カズマ=クヴァルか。

'Raabe
ラーベ

前回イシャナを訪れたときは協力者だったが、 今回もそうとは限らない。

'Raabe
ラーベ

無条件に気を許すなよ、シエル、レイ。

'Raabe
シエル

あ……はい、わかりました。

Ciel
カズマ

レイくんじゃないですか。 それにシエルさんと……ラーベさん、でしたっけ。

Kazuma
カズマ

レイさんじゃないですか。 それにシエルさんと……ラーベさん、でしたっけ。

Kazuma
ラーベ

……お前、私たちのことを覚えているのか?

'Raabe
カズマ

うわ、ちゃんと喋ってる……。 そういう感じだったんですね、ラーベさんって。

Kazuma
カズマ

ええ、はい。覚えていますよ。 当たり前じゃないですか。

Kazuma
カズマ

あれだけの目に一緒に遭ったっていうのに、 そう簡単に忘れたりしませんよ。いくら僕が忘れっぽくても。

Kazuma
カズマ

でもどうしたんですか? 確か……どこでしたっけ? どこかに戻るとかなんとか言っていたような……。

Kazuma
ラーベ

……ふむ。こいつは奇妙だな。

'Raabe
ラーベ

例外はいくらでもあるが、本来ファントムフィールドを 解放したら、そこに存在していた異物は徐々に世界から消える。

'Raabe
ラーベ

中でも、異邦人である我々の情報は即座に消えてしまうんだ。

'Raabe
ラーベ

だから基本的には、ファントムフィールド内の 本来の住人たちは私たちのことを忘れるはずなんだけど……。

'Raabe
ラーベ

カズマ=クヴァルは、 どうもしっかりバッチリ覚えてるみたいだ。

'Raabe
カズマ

Kazuma
シエル

カズマさんが私たちのことを記憶しているということと、 検知された異質な介入には、関連性があるのでしょうか。

Ciel
ラーベ

その可能性は大いにあるぞ。

'Raabe
ラーベ

……カズマ。お前、本当にカズマか?

'Raabe
カズマ

な……なにをおかしなことを言っているんですか。 それは、そうですよ。

Kazuma
カズマ

というか、カズマでないのにこんな冴えない人間の格好を する意味がわかりません……。

Kazuma
ラーベ

なら、なにかおかしなことはなかったか? 我々がイシャナを去った後、どんなことがあったか説明できるか?

'Raabe
カズマ

いえ……おかしなこととかは、特には……。 ああでも……。

Kazuma
シエル

これは……!

Ciel
カズマ

な、な、なんっ……なにが、なにが起こったんですか!? ここは? 僕たちさっきまで、公園にいたはずでは!?

Kazuma
シエル

周囲の景色が一変しています。 ここは……イシャナではないです、よね。

Ciel
カズマ

違いますよ。こんな場所、見たこともありません……。

Kazuma
ラーベ

事象干渉……か? 狙いはカズマか、それとも我々か……。

'Raabe
ラーベ

間違いなくなにかおかしなことが起こっているのは、 確認できたな。

'Raabe
カズマ

のんきに状況分析してる場合じゃないですよ。 どこなんですか、ここ……?

Kazuma
ラーベ

のんきじゃないから、状況分析してるんだ。 お前がわからないんなら、調べてみるしかないな。

'Raabe
ラーベ

イシャナとは建築物の様式がまるで違う。 別の都市と考えるべきだろう。

'Raabe
ラーベ

ちょっと周囲をスキャンしてみるから、待ってなさい。

'Raabe
ラーベ

……またおかしなところに出たもんだな。

'Raabe
カズマ

な、なんです? なにがわかったんです?

Kazuma
ラーベ

ここは……仮に『この世界』と呼ぶが。 この世界は、都市の一部しか存在していない。

'Raabe
ラーベ

スキャンできる範囲があまりに狭い。ごく一部の範囲のみが 存在し、それ以外のエリアが存在していないことになっている。

'Raabe
シエル

存在しないというのは…… 観測されていないということになりますよね。

Ciel
シエル

ならば逆に、ここは誰かが観測している ということですか?

Ciel
ラーベ

たぶんね。

'Raabe
カズマ

あの、ちょっとよくわからないんですけど。 僕もしかして、別の世界に飛んできちゃったんですか?

Kazuma
ラーベ

と、断定できるほど、ここのことをよくわかっていない。 まずは……。

'Raabe

1: 情報収集、ですね
2: まずは……なにしましょう?

1:
2:

ラーベ

その通り。

'Raabe
ラーベ

情報収集だ!

'Raabe
シエル

確認のため、周囲の反応を検索してみました。 ですが……目立った生体反応はありません。

Ciel
シエル

おそらく近辺は、イシャナのようにほぼ無人の状態です。

Ciel
ラーベ

空気中には微量の魔素と、 なんらかの力を持った物質が混在しているな。

'Raabe
ラーベ

これは……なんだ。あまり馴染みがないが……。

'Raabe
???

魔術の素となる、マナだそうですよ

???
シエル

っ!?

Ciel
カズマ

だ、誰ですか……?

Kazuma
黒いスーツの男

ああ、すみません。驚かせてしまいましたかね。 そう警戒しないでください、怪しいものではありませんよ。

Man in a Black Suit
シエル

そういうわけにはいきません。

Ciel
シエル

多少簡易的であったとはいえ、先程周囲を検索した際には、 あなたの反応は確認できませんでした。

Ciel
シエル

どこから現れたのですか……?

Ciel
黒いスーツの男

検索? おやおや、不思議な力をお持ちのようですねぇ。 そのことでしたら、簡単なことです。

Man in a Black Suit
黒いスーツの男

私こう見えて、身を潜めるのは得意でして。 あなたがたの様子を窺うべく、隠れていただけですよ。

Man in a Black Suit
黒いスーツの男

だって、誰もいないおかしな街にいつの間にか放り出されたと 思っていたら、突然あなたがたが現れたんですから。

Man in a Black Suit
黒いスーツの男

驚いて身を潜めるのは、当然の反応だと思いませんか?

Man in a Black Suit
シエル

それは……。

Ciel
ラーベ

思わんな。 シエルの索敵から逃れるのは、そうたやすいことじゃない。

'Raabe
ラーベ

完璧に隠密しておきながら、こうして姿を現したということは、 こちらが警戒すべき相手でないと判断したからだよな。

'Raabe
ラーベ

ところがこちらは、めちゃくちゃ警戒している。 問題なければ、何者なのか教えてもらえないか?

'Raabe
ラーベ

我々も、突然おかしな街に放り出されて、 なにがなにやらわからない状態なんでね。

'Raabe
黒いスーツの男

私が何者か……ですか。 これは少々、難しいご質問ですねぇ。

Man in a Black Suit
黒いスーツの男

実は私、自分が何者で、なぜこんなところにいるのか さっぱりわからない状態でして……。

Man in a Black Suit
カズマ

それって……記憶喪失ってこと、ですか?

Kazuma
黒いスーツの男

どうでしょう。己についての情報を知らない、という意味では、 とてもよく似ているかもしれませんがね。

Man in a Black Suit
黒いスーツの男

ああ、ですがご安心ください。 名乗る名前なら……名前……ええと、どうしましょうかね。

Man in a Black Suit
ハザマ

では、私のことはどうぞハザマ、とお呼びください。

Hazama
シエル

ハザマさん……ですね。 私はシエル=サルファーと申します。

Ciel
カズマ

……カズマ=クヴァルです。 あ、こちらはレイくんで……。

Kazuma
カズマ

……カズマ=クヴァルです。 あ、こちらはレイさんで……。

Kazuma
ラーベ

私のことはラーベと呼んでくれ。

'Raabe
ハザマ

なるほど、なるほど。シエルさんに、カズマさん。 レイさんに、ラーベさん。ですね。

Hazama

1: さっき、マナと言っていましたけど……
2: もしかして魔術師なんですか?

1:
2:

ハザマ

ええ。マナというのは、自然界に存在する力の素…… のようなものらしくてですね。

Hazama
ハザマ

それがこの街の空気には、多分に含まれているそうです。 人から聞いた話ですけど。

Hazama
ハザマ

いえいえ、とんでもない。 私、魔術についてはからきしでして。

Hazama
ハザマ

ただ魔術で用いるマナという力の源が、 この街の空気に多分に含まれていると、そう聞いただけです。

Hazama
カズマ

マナ? 確かにそれらしいものの存在は感じますが……。

Kazuma
シエル

カズマさんはイシャナの学生さんでしたね。 空気中のマナについて、なにかわかりますか?

Ciel
カズマ

うーん、すみません、はっきりしたことはなんとも……。 マナも感じますし、そうじゃない別の混ざりものもあるような……。

Kazuma
ハザマ

おやまあ。混ざりものですか。 そのせいなんですかねぇ。

Hazama
ラーベ

そのせい、というと?

'Raabe
ハザマ

ときどき見かけるんですよ。 なにか禍々しいものが集まったような、恐ろしい影を。

Hazama
カズマ

影……?

Kazuma
ハザマ

そうです。路地裏や、日影になった暗がりから…… そぉっと這い出してきて……。

Hazama
ハザマ

わぁっ!

Hazama
ハザマ

……と。 あはは、驚きました?

Hazama

1: び、びび、びっくりしたぁ……
2: ふざけないでください、ハザマさん

1:
2:

ハザマ

新鮮な反応をありがとうございます。 そう素直に驚いてくださると、驚かせがいがあるというもの。

Hazama
ハザマ

ご存知ですか? 人の脳は刺激がないと、あっという間に衰えるんだとか。

Hazama
ハザマ

刺激は豊かな人生のためにも必要ということですね。 大事になさってください、ええ。

Hazama
ハザマ

あらら、お気に召しませんでした? それは残念です。大変失礼いたしました。

Hazama
ハザマ

ですが、ご存知ですか?  人の脳は刺激がないと、あっという間に衰えるんだそうですよ。

Hazama
ハザマ

刺激は豊かな人生のためにも必要です、 大事になさってくださいね。

Hazama
ハザマ

といったところで、どうぞ後ろをご覧ください。

Hazama
カズマ

後ろ?

Kazuma
カズマ

わぁぁっ!!

Kazuma
シエル

な……す、すみません、反応、遅れました!

Ciel
ラーベ

いやいやいや、反応なんてなかったぞ。 というかほんの今さっき、そこに反応ごと現れたんだ!

'Raabe
ハザマ

こんな感じにですね、突然遭遇することがあるんですよ…… いやぁ、困りますよねぇ。

Hazama
ハザマ

あ、そうだ。

Hazama
ハザマ

私、見るからに善良な一般市民といった様相ですが、 少しなら戦闘もできるんです。

Hazama
ハザマ

見たところ皆さま、私が敵なのか味方なのか、 判断に困っておられるご様子。ですから……。

Hazama
ハザマ

自己紹介がてら、私がどんな人物で、どんな『存在』なのか。 どうぞその眼でご覧になってください。 モノHazama

ハザマ

はぁ……なんとか……倒せましたかね?

Hazama
ハザマ

はぁ〜、疲れました。私こういう荒っぽいことは、 普段やらないんですよ。緊張しましたぁ〜。

Hazama
ラーベ

ほう? さっきお前、自分の名前以外わからない、 みたいなこと言ってなかったか?

'Raabe
ハザマ

あらら、細かいことが気になるタイプですか。 ええ、言いましたよ。

Hazama
ハザマ

ですが別に嘘をついているつもりはありません。 実際に、私は私のことがよくわからないのですから。

Hazama
ハザマ

さっきの発言も、そんな気がしてならないという程度のことです。 あるじゃないですか、そういうこと。

Hazama
ラーベ

ほー……。

'Raabe
ハザマ

もう、そんなに疑わしい目で見ないでくださいよ。 私、あなたがたに危害を加えるようなことはしてないはずですよ。

Hazama
シエル

先程、レイさんを驚かせようとしていました。

Ciel
ハザマ

え、あれも危害に入ります? いやだなぁ、他愛のない悪戯じゃないですか。

Hazama
ハザマ

私のこと、信じられませんか? んー、困りましたねぇ。

Hazama
ハザマ

でしたら、あと私が信頼を勝ち得るために提供できるのは、 些細な情報くらいです。

Hazama
ハザマ

例えば、この街からの脱出方法であるとか。

Hazama
カズマ

知ってるんですか!? ここから出る方法を。

Kazuma
ハザマ

ええ。そう言っているんですけど。 おわかりになりませんでした?

Hazama
カズマ

な、う、ぐ。 わ、わかります……。

Kazuma
ラーベ

詳しく教えてくれ。私たちはまだこの街に来て間もない。 状況すらほとんど把握できていない状態なんだ。

'Raabe
ハザマ

あら、それはさぞ不安だったことでしょうねぇ。 誰もいない、どこにも行けない、閉ざされた街ですから。

Hazama
ハザマ

あ、この街がどこにも行けない造りになっていることは、 もうご存知ですよね?

Hazama
シエル

先程ラーベさんが周囲を検索した際、 都市の一部以外のエリアが検出されませんでした。

Ciel
シエル

そのことでしょうか。

Ciel
ハザマ

ええ、ええ、そのことですとも。 そう、都市の一部のエリア以外、ここには存在していません。

Hazama
ハザマ

ですからずーっと真っ直ぐ、同一方向に歩き進めると…… いつの間にかエリアの反対から出てきてしまうのです。

Hazama
ハザマ

ぐるぐると、 狭い市街地の中を延々と歩かされることになるわけです。

Hazama
ラーベ

なるほどな、そうなってるのか。 それで? 脱出方法はなんなんだ?

'Raabe
ハザマ

この街の空気には、マナが多分に含まれているというお話は 先程いたしましたね。

Hazama
ハザマ

そのマナを集めたもの、マナの結晶が必要になります。

Hazama
カズマ

マナを、結晶化させるのですか?

Kazuma
ハザマ

いわゆる魔術師の方々が言う結晶化と、 厳密に同一かどうかはわかりませんが。そうらしいですよ。

Hazama
ハザマ

そしてマナの他に、 それを活性化させるための鍵が必要なんだそうです。

Hazama
ハザマ

鍵は6つあり、魔術師の言う6つの属性に対応しているんだとか。

Hazama
シエル

6つの属性……魔術師といえばカズマさんです。 カズマさん、ご存知ですか?

Ciel
カズマ

ええ……火、風、水、土、光、闇。魔術の基本となる分類です。 その属性のこと……でしょうね。

Kazuma
ハザマ

さすが、お詳しい。 この場に魔術師であるあなたがいてくださってよかったですよ。

Hazama
ラーベ

詳しいのは、ハザマ、そちらもだ。 都市の構造についても鍵についても、かなり詳しいみたいだな。

'Raabe
ラーベ

誰から聞いたんだ? 『らしい』だの『だとか』だの、 説明の端々に伝聞系が使われている。

'Raabe
ハザマ

ですからそのように腹を探らずとも、 知っていることはお話しますよ。

Hazama
ハザマ

都市のことも、マナのことも、鍵のことも、あなたがたに出会う 前に遭遇した方から、教えていただきました。

Hazama
シエル

それはどのような方ですか?

Ciel
???

僕だよ。

???
カズマ

うわ、わ! ま、また急に出た!?

Kazuma
???

出た、だなんてひっどいなぁ。オバケみたいに。 ……っていっても、似たようなもんかな? かなかな?

???
ファジー

こんにちは。僕はファジー。よろしく!

Fuzzy
シエル

ファジー……さん。はじめまして。 私は……。

Ciel
ファジー

シエルでしょ。そっちがラーベで、気の弱そうなのがカズマ。

Fuzzy
ファジー

それで、そっちの君がレイかな? 知ってるよ〜。あ、どうして知ってるのかは聞かないでね。

Fuzzy
ラーベ

お前も隠密タイプか……。

'Raabe
カズマ

あ、あなたは……女性、なんですか? それとも男性?

Kazuma
ファジー

アハハ、さぁねぇ〜。そんなことより、君たちにとっては ここから出ることのほうが大事なんじゃないのかな?

Fuzzy
シエル

それは、その通りです。脱出するには、マナの結晶と 6つの鍵が必要だという情報は、本当なのですか?

Ciel
ファジー

うん、本当だよ。

Fuzzy
ファジー

鍵っていうのは、6つのエレメントのことなんだ。 6つの属性の力が宿ったエレメントを集めてね。

Fuzzy
カズマ

それがあれば……このおかしな街から脱出できると?

Kazuma
ファジー

ま、そういうことかな。最後にそれを使う特別な場所があるから、 全部集めたら僕が案内してあげてもいいけど。

Fuzzy
ラーベ

聞きたいんだが、お前はなぜそれを知っているんだ?

'Raabe
ファジー

さあ、それは僕にもわからないかな〜。

Fuzzy
ファジー

ただ僕は求められたからここにいて、 与えられたから役目を果たすだけ。

Fuzzy
ファジー

で、僕の役目っていうのは、 この街に迷い込んだかわいそうな迷子を案内してあげること。

Fuzzy
ラーベ

…………。

'Raabe
ファジー

脱出したいんなら、エレメントがある場所に案内してあげるけど。 どうする? もちろん、嫌ならそれでいいよ。

Fuzzy
ハザマ

嫌だなんてとんでもない。探しますよ。 ねぇ……皆さん?

Hazama
ハザマ

まさか、私を見捨てたりしないですよね。 しないでくださいよ。

Hazama
ハザマ

この先、さっきみたいに戦闘になることもあるかもしれません。 そのとき私だけではとても対処できませんよ。

Hazama
ハザマ

どうかご助力いただけませんか。

Hazama
シエル

ラーベさん、レイさん、どうしますか?

Ciel
ラーベ

そうだなぁ……。事態としては、あれもこれも釈然としないし 非常に怪しいんだが……。

'Raabe

1: 行くしかなくない?
2: 試しにやってみようよ!

1:
2:

カズマ

僕もそう思います。他にやるべきことも、 やれそうなことも今のところないわけですし……。

Kazuma
カズマ

ポジティブですねぇ。でも、今は他に選択肢がありませんし。 行くしかない……のでは?

Kazuma
ラーベ

……まあ、そうだな。 やってみるとするか、マナとエレメント集め。

'Raabe
ハザマ

ああ、よかった。 またひとりで放り出されるのかと、ひやひやしましたよ〜。

Hazama
ラーベ

そんなタマか、お前?

'Raabe
ハザマ

なにをおっしゃいます。 か弱いしがない庶民ですよ、私。

Hazama
ラーベ

か弱いしがない庶民は、そんなこと言わないんだよなぁ。

'Raabe
ファジー

じゃ、みんなで行くってことでいいのかな? かなかな?

Fuzzy
ファジー

だったら……向かう前に、君たちのことを教えてほしいな。

Fuzzy
シエル

自己紹介は不要だとおっしゃっていませんでしたか?

Ciel
ファジー

君たちの名前は知ってるよ。 でも君たちは、名前だけの存在じゃないでしょ。

Fuzzy
ファジー

それに、僕のことも知ってほしいな。

Fuzzy
ファジー

ここはとってもあやふやで、不鮮明な場所だから。 お互いのことをちゃんと認識しておかないと。

Fuzzy
ファジー

とくに君。レイには、ちゃんと僕のこと、 見ててもらいたいかなって。

Fuzzy
ファジー

だから少しだけ、僕と遊んでもらうよ。

Fuzzy
ファジー

あっ。でも遊びでつい殺しちゃっても、文句は聞かないからね。 フフフ……。

Fuzzy
ファジー

それじゃ、行っくよー!

Fuzzy

第2節 始まりは小さな灯火/

Summary
突然攻撃してきたノエルは、ハザマに激しい怒り

を燃やす。過去の記憶がないというハザマの言葉 も届かず、戦闘になってしまう。

ノエルに勝利すると姿が消え、あとには火のエレ

メントが残された。ファジーが次のエレメントの 場所を伝え、一行は歩みを進める。

ファジー

あー、楽しかった! うん、思ったより楽しめたよ!

Fuzzy
シエル

楽しい……先ほども仰っていましたが あなたは戦闘を『遊び』と捉えているのですね。

Ciel
ファジー

だって、こんなに楽しいことって他にないじゃない。 ないよね?

Fuzzy
ファジー

僕と遊んでくれる人ってなかなかいないしさ。 だって皆、遊びの最中ですぐに壊れちゃうんだもん。

Fuzzy
ファジー

まあ、僕も性能を全部見せたわけじゃないけど。 君たちは最後まで遊んでくれたから、合格かな〜?

Fuzzy
ラーベ

お互いを認識するのが目的だと思っていたが、 目当ては戦闘のほうか? いわゆる戦闘狂ってやつか。

'Raabe
ラーベ

さて……合格らしいが。 こいつの言うことを真に受けていいのかどうか、判断に困るな。

'Raabe
ファジー

アハハハ、そんなに固くならないでよ。 別に君たちを殺したくて試したんじゃないからね。

Fuzzy
ファジー

お互いを認識するための遊び、って感じかな?

Fuzzy
ファジー

僕は君たちのことがわかったし、君たちも僕のことが なんとなくわかったんじゃない?

Fuzzy
ファジー

特にそこの君……レイはね。

Fuzzy
ラーベ

確かに、多少なりとそちらのデータは収集できた。 それじゃ早速、エレメントの場所を教えてもらおうか。

'Raabe
ファジー

おっけー。

Fuzzy
ファジー

この道を真っ直ぐ行けば、ちょっと景色が変わってくる。 そこにあるよ。

Fuzzy
ハザマ

真っ直ぐ、ですか。 もう少し詳細な説明はないものですかねぇ。

Hazama
ハザマ

今ひとつ信用ならないと言いますか、 適当な対応をされている気がすると言いますか。

Hazama
ハザマ

いえ、疑っているというわけではないんですけれどね。

Hazama
ファジー

自分の不審さ棚に上げて、よく言うなぁ! 大丈夫、大して広い街じゃないんだし。

Fuzzy
ファジー

すぐに辿り着いて、すぐにここだってわかるよ。 たぶんね。

Fuzzy
カズマ

たぶんって。ハザマさんじゃないですけど、ものすごく不安に なるテンションなんですよね……ファジーさん……。

Kazuma
カズマ

本当に大丈夫なんですか?

Kazuma
ファジー

さあねぇ? 僕は与えられた役割をこなすだけだからね。 自分では嘘をついてる認識はないけど、真偽は知らないよ?

Fuzzy
ファジー

ま、信じるも信じないも君たち次第ってヤツかな。かなかな?

Fuzzy
ラーベ

上手い手だな。この世界のことをなにひとつ知らない我々は、 信じる信じない以前に、言う通りにしてみる他ない。

'Raabe
ファジー

そうそう。やってみたらいいじゃん。 僕は知ってることを教えてあげる。

Fuzzy
ファジー

あとは好きに頑張ってね〜!

Fuzzy
シエル

反応、消失。 確認できる範囲では、ファジーさんの居所を検出できません。

Ciel
ラーベ

こういうところが、隠密タイプの嫌なところだ。 言いたいことだけ言って、さっさと姿をくらますんだから。

'Raabe
ラーベ

非常に鵜呑みにしがたい情報提供だったが、 とはいえ選択肢は少ない。

'Raabe
ラーベ

我々がやるべきは、ここからの脱出方法を探すこと。 それがエレメント探しだと言われるなら、やるしかないだろう。

'Raabe
シエル

了解しました。

Ciel
ハザマ

私もお供させてくださいよ。こんな得体のしれない場所で またひとりぼっちなんて、耐えられません。

Hazama
ハザマ

よろしくお願いしますね。

Hazama
カズマ

……僕としては、ファジーさんよりこの人のほうが、 言動を鵜呑みにしたくない感じがします……。

Kazuma
ハザマ

いやぁ、でも驚きましたよ。

Hazama
シエル

驚いたとは、なににですか?

Ciel
ハザマ

まさかレイさんたちの戦闘能力が ここまで高いとは思っていませんでしたから。

Hazama
シエル

ありがとうございます。

Ciel
ハザマ

いやぁ、お恥ずかしながら 私、戦闘は専門外なんですよ。

Hazama
ハザマ

どちらかというと、潜入や調査のほうが得意でして。 あ、これもなんとなく、そんな気がするだけなんですけどね。

Hazama
ハザマ

いやはや、こんなにも強い方々と出会えて幸運ですよ。 カズマさんにいたっては、魔術師だとか! いやぁ、すごいです。

Hazama
カズマ

は、はあ……そうですか。

Kazuma
ハザマ

あなた方と一緒なら、エレメント集めもたやすく クリアできそうです。心強いことですよ。

Hazama
ラーベ

…………。

'Raabe
ハザマ

おや、先程からずいぶんと熱心にご覧になっていますが、 私の顔になにかついていますか?

Hazama
ラーベ

……いや。状況について思案していただけだ。気にするな。 話すべきと判断したら、それはもうベラベラと話すよ。

'Raabe
ハザマ

おや、そうですか? でしたら、構わずにおきましょうか。 存分に思案なさってください。

Hazama
ラーベ

……なあ、レイ。

'Raabe
ラーベ

あのカズマは本物だと思うか?

'Raabe

1: 本物だと思う
2: どういう意味?

1:
2:

ラーベ

そうか……。 お前がそう思うってことは、多分本当に『そう』なんだろうな。

'Raabe
ラーベ

いや、ちょっと気になってな。 違うと思ったら教えてくれ。

'Raabe
ラーベ

状況を掴むための手がかりが少ない上に、カズマを含めて 出会った人物も、どいつもこいつも掴みどころがない。

'Raabe
ラーベ

一応、味方側も気を付けておけよ。

'Raabe
シエル

ファジーさんが言っていた通り、 急に景色が変わりましたね。

Ciel
シエル

お話の通りなら、ここに鍵…… エレメントがあるはずです。

Ciel
カズマ

見たところ、特に怪しいなにかがある という感じはしませんけど。

Kazuma
カズマ

これだけ広い場所ですし、手分けして探してみますか?

Kazuma
ハザマ

エレメントと呼ばれているものが、実際にどういう形状なのか わからない以上、軽率に手を分けるのはいかがなものでしょう。

Hazama
ハザマ

わかりやすく鍵の形をして、そのへんに転がっていてくれれば いいんですが……そう都合よく済むとは思えないんですよ。

Hazama
ラーベ

その点は同意だな。 もしかしたら目に見える状態でもないかもしれない。

'Raabe
ハザマ

触れることも躊躇うような危険物が 『鍵』だなんてオチだけは止めてほしいものですねぇ。

Hazama
シエル

それは、以前カガミさんが言っていた『フラグ』と 呼ばれるものですね。

Ciel
ラーベ

こら、言うんじゃない。 こういうのは、そう言った瞬間にフラグになるんだ。

'Raabe
カズマ

…………。

Kazuma
ハザマ

カズマさん? なにやら先程から難しい顔をされていますが 気になることでもありましたか?

Hazama
カズマ

ああ、いえ、そういうわけではないんですけど…… ちょっと。色々と考えてしまって。

Kazuma
ハザマ

それはそうですよね。突然、前触れもなくこんなことに なってしまったのですから。

Hazama
ハザマ

ついつい考えてしまうその気持ち、わかりますよ。

Hazama
ハザマ

大変なことに巻き込まれてしまいましたね、お互い。

Hazama
カズマ

はは、そうですね……。

Kazuma
ハザマ

皆さんは、もしかしてこういう不思議な現象に、 ちょくちょく遭遇していたりするんですか?

Hazama
ハザマ

とても落ち着いて対処、分析していらっしゃるように 見えますし、戦闘にもずいぶん慣れているようでした。

Hazama
ラーベ

よく見ているな。その観察眼は、どこで培ったんだ?

'Raabe
ラーベ

先ほども、潜入や調査は得意だとも言っていたが。 どういう仕事をしている?

'Raabe
ハザマ

あはは、嫌ですね。忘れたんですか? 私、自分についての情報がどうにもあやふやでして。

Hazama
ハザマ

さっきも言いましたでしょう。調査が得意だというのも、 そんな気がしているだけだって。深い意味はありませんよ。

Hazama
ハザマ

ただの好奇心、です。

Hazama
ラーベ

そうか。では記憶がないお前にひとつ教えてあげよう。 よく喋るやつは信用されにくい。覚えておくといい。

'Raabe
ハザマ

あはは……これは手厳しい。

Hazama
シエル

……!

Ciel
シエル

生体反応を確認! こちらに近づいてきま――!

Ciel
ハザマ

<size=110%>ぎょえーっ!</size>

Hazama
シエル

変わった悲鳴ですね。

Ciel
ハザマ

今はそんなことどうでもいいでしょう! 私、撃ち殺されそうになったんですよ!?

Hazama
ラーベ

当たっていないのなら未遂だ。 シエル、敵の位置はどこだ?

'Raabe
シエル

正面、12時の方向です!

Ciel
シエル

ノエルさん?

Ciel
シエル

ノエルさんがどうしてここに……。 私たちと同じように、飛ばされてきたのですか?

Ciel
ノエル

あなた方は何者ですか? どうして私を知っているんですか?

Noel
ラーベ

なるほど、カズマのケースとは違うようだな。

'Raabe
ラーベ

いや、待て……この反応は……。

'Raabe
ラーベ

わかったぞ。こいつがエレメントだ。 ノエル=ヴァーミリオンが火のエレメントを所持している。

'Raabe
シエル

何故ファジーさんが言っていた鍵のひとつを ノエルさんが所持しているのでしょうか?

Ciel
ラーベ

所持というか、こいつ自身から異質な反応を感じる。

'Raabe
ラーベ

ノエル=ヴァーミリオン本人というより、エレメントとやらに ノエルの情報を上書きしている状態かもしれない。

'Raabe
ノエル

すみませんが、関係のない方は下がっていてもらえますか。 私はそこにいる、ハザマさんに用があるんです。

Noel
ハザマ

え? 私? 私ですか? え、ちょっと待って、待ってくださいよ。

Hazama
ハザマ

申し訳ないのですが、私はあなたのことを存じ上げません。 ……もしかしたら、存じ上げているはずなのかもしれませんが。

Hazama
ハザマ

そうだ、教えていただけませんかね。 私とあなたは、どのような関係なのでしょうか?

Hazama
ノエル

よくもそんなことが言えますね……!

Noel
ノエル

あなたが私にしたこと、私の大切な友達にしたことを、 忘れたんですか!

Noel
ラーベ

穏やかじゃないな。 お前、何をやらかした?

'Raabe
ハザマ

そんなこと知るはずがないでしょう!? 私が聞きたいところですよ!

Hazama
ハザマ

えぇと、あなた……ノエルさん? でしたっけ? おそらく人違いだと思うのですが……。

Hazama
ノエル

人違いなんかではありません!

Noel
ハザマ

そう言われましても……。 まるで覚えがないのでなんと返せばいいものか……。

Hazama
カズマ

あれだけお怒りなんですから、とりあえず謝った方が いいのでは?

Kazuma
シエル

まずは謝る姿勢からというのは大切だと聞きます。

Ciel
ハザマ

身に覚えのないことで謝るのは納得しかねますが…… 仕方ありませんね。時には頭を下げるのも大人の役目……。

Hazama
ハザマ

えーっと、ノエルさんでしたっけ?

Hazama
ハザマ

このたびは、まことに申し訳ございませんでした。 さぞお心が傷つけられたことでしょう。

Hazama
ハザマ

残念ながらあなたのこともわからないのですが、 心からお詫び申し上げます、はい。

Hazama
ノエル

そんな上辺だけの言葉に……意味なんてない。

Noel
ノエル

そもそも、それで謝ってるおつもりですか!? いいえ、だったとしても、謝って許せることじゃないんです!

Noel
ノエル

私は絶対に倒さなければならない……! 私の敵であるあなたを!

Noel
ハザマ

ええ、ちょっと、話が違うじゃないですか。 謝ったのに状況が悪化してますよ!

Hazama
ハザマ

とにかくその銃をしまってもらえませんかね? 恐い恐い。

Hazama
シエル

ノエルさんの敵対反応、戦闘レベルが上昇しています。

Ciel
ハザマ

見ればわかりますよ!!

Hazama
ノエル

問答無用です!

Noel
ハザマ

ひいっ!

Hazama
ノエル

あなただけは許せない!

Noel
ハザマ

ま、待ってください! これでは和解できるものも、できませんよ!

Hazama
ノエル

和解なんて……できると思っているんですか……!

Noel
ハザマ

<size=110%>おわーっ!?<size=110%>

Hazama
カズマ

あのままにしておいて大丈夫なんですか……?

Kazuma
ハザマ

大丈夫じゃないです! 私ああいう性質の人とは合わないんです!

Hazama
ハザマ

彼女、火の属性をお持ちでしょう? 私は闇の属性。根本的に合わないんですよ。

Hazama
ハザマ

カズマさんもそうでしょう? 風に属しているあなたも、ああいう類、苦手じゃありません?

Hazama
カズマ

え? 僕ですか? 僕は……その……。

Kazuma
ハザマ

いやぁ困った困った!

Hazama
ハザマ

なので、ここはレイさんたちに お任せします!

Hazama

1: えぇっ!?
2: お任せされましても……

1:
2:

ハザマ

そんな、動揺だなんて白々しい。 そうなるって薄々わかっていたんじゃありませんか?

Hazama
ハザマ

私が頼れるのは今はあなたしかいません! よろしくお願いしますよ!

Hazama
ハザマ

そうだ、シエルさんなんて こういうときの対処方法をよくご存じでしょう。

Hazama
ハザマ

なにせ光の属性を帯びた方ですから。

Hazama
ノエル

なにをこそこそ話しているんですか……!

Noel
ノエル

あなたたち! おとなしくハザマさんを引き渡してください!

Noel
ノエル

さもなければ、力づくでも……!

Noel
ラーベ

おっと、これ以上会話で引き延ばすのは難しそうだな。

'Raabe
ラーベ

やむをえないな。 シエル、レイ、戦闘準備だ。

'Raabe
シエル

了解しました! 対象の排除を開始します。

Ciel
ラーベ

……消えた?

'Raabe
シエル

ノエルさんの反応、近辺にありません。 代わりに、これが……。

Ciel
カズマ

これは……マナの塊、ですかね。 そんな感じがしますけれど。

Kazuma
カズマ

火の属性の力を強く感じます。

Kazuma
ハザマ

おそらく、それが火のエレメント…… 鍵のひとつでしょうねえ。

Hazama
ファジー

ぴんぽーん! 大正解!

Fuzzy
ラーベ

お前、どこかで我々を見ていたな。 いくらなんでもタイミングが良すぎる。

'Raabe
ファジー

えー? なんの話?

Fuzzy
ファジー

そんなことよりも、次の鍵の場所のほうが気になるんじゃない? 気になるよね?

Fuzzy
カズマ

それはまあ……。

Kazuma
ファジー

でしょでしょ?

Fuzzy
ファジー

そんな君たちに教えてあげる。 この道を行った突き当りのビルの屋上が、次の目的地だよ。

Fuzzy
ラーベ

またひどくおおざっぱな道案内だが…… そこに行けば次のエレメントがあるんだな?

'Raabe
ファジー

たぶんね。そうだと思うよ。

Fuzzy
ラーベ

そうだと思うって…… 自分の言葉に少しは責任を持ちなさいよ。

'Raabe
ファジー

アハハハ、面白いね君。 僕に責任だって。

Fuzzy
ファジー

次もうまく手に入るといいね。 気が向いたら、僕もどこかで見ていてあげようかな。かなかな?

Fuzzy
ファジー

じゃ、次も頑張ってねー!

Fuzzy
カズマ

と……とりあえず行ってみますか?

Kazuma
ハザマ

そういたしましょう。 ここで立ち尽くしていても、進展は見込めないでしょうから。

Hazama
ハザマ

さて、次はなんのエレメントが鍵として現れるのでしょうねぇ。

Hazama

第3節 煽る追い風/

Summary
一行の行く手に、レイチェルが現れる。

彼女は、集めた鍵によって至る世界の最奥に、 カズマの求める真実が待つと語った。

シエル

付近の状況を確認。生体反応は認められません。 指定された場所はここだと思うのですが……どうしますか?

Ciel
ラーベ

ふむ……。

'Raabe
ラーベ

ノエルの時のように、また誰かが出てくるのか それともエレメントがどこかに隠されているのか……。

'Raabe
ラーベ

少なくとも周囲に、エレメントの反応はなさそうだ。

'Raabe
ラーベ

少し様子を見てみるとしようか。

'Raabe
ハザマ

それにしてもここは風通しが良くていいですねぇ。

Hazama
ラーベ

のんきだな……風通しがいいなんてレベルじゃないぞ。 こんなところで突風に煽られてみろ。地面に真っ逆さまだ。

'Raabe
カズマ

…………。

Kazuma

1: どうしたんですか?
2: ボーっとしてたら危ないですよ

1:
2:

カズマ

あ、いえ。 少し懐かしい気持ちになっていました。

Kazuma
カズマ

あ、すみません。 少し考え事をしていました。

Kazuma
カズマ

イシャナでは、ひとりでいることが多かったんです。

Kazuma
カズマ

その時は風の通りがいい場所で、 よくぼけーっと時間を潰していて……。

Kazuma
カズマ

なんか馴染みがあるんですよ。こういう場所。

Kazuma
ハザマ

おや、気が合いますね。

Hazama
ハザマ

いやぁ、私もこういう高い場所に縁があるような 気がしているんですよ。

Hazama
カズマ

いや、気が合うっていうのは、どうでしょう……。 僕はあんまり……そう思いませんが。

Kazuma
ハザマ

あら、振られちゃいました。

Hazama
ラーベ

なーんかうさん臭いからなーハザマの場合。

'Raabe
ハザマ

本人の目の前でそんなひどいこと言わないでくださいよ!

Hazama
ハザマ

これでも皆さんと仲良くなりたいと 思っているんですから。

Hazama
ハザマ

はぁ、悲しいですねぇ。 私としてはカズマさんとも仲良くなりたいのに……。

Hazama
カズマ

は、はぁ……。 なんか、すみません。

Kazuma
シエル

カズマさん、先ほどから心拍数が増加しています。 体調が良くないのではありませんか?

Ciel
カズマ

そういうわけではないのですが……。

Kazuma
カズマ

態度が悪くてすみません。 ただ、ハザマさんのことがどうにも苦手に感じてしまって……。

Kazuma
???

無理もないことね。

???
シエル

レイチェルさん。

Ciel
シエル

もしかして、次の鍵を持つのは…… レイチェルさんですか?

Ciel
ラーベ

ノエルのときと同様の、強い反応を確認した。 間違いないな。

'Raabe
レイチェル

あなたと彼はよく似ているけれど、 根本的にはまったく異なる存在だもの。

Rachel
レイチェル

拒絶感や不和を感じるのは当然だわ。

Rachel
カズマ

僕とハザマさんが似ている? えぇと……なんのことかまったく理解できないのですが……。

Kazuma
レイチェル

言ったでしょう。似ていても異なる存在だと。 どこまでいっても交わることはない。『同じ』にはなれない。

Rachel
カズマ

あなたは…… 僕のなにを知っているんですか……?

Kazuma
レイチェル

…………。

Rachel
カズマ

教えてください。 僕のことをなにか知っているんですよね?

Kazuma
レイチェル

私から教えられることはないわ。

Rachel
レイチェル

真実が知りたいのなら この世界の最奥を目指しなさい。

Rachel
カズマ

世界の最奥……? そこに行けば、なにかわかるんですか?

Kazuma
レイチェル

さあ、どうかしら。

Rachel
レイチェル

どちらにせよ、そこへ行くには鍵が必要になるわ。 あなたたちは鍵が欲しいのでしょう?

Rachel
ハザマ

ええ、もちろんです。

Hazama
ハザマ

いつまでもこのような世界に 居座りたくはないですからね。

Hazama
ハザマ

レイさん、すみませんが ご協力お願いできます?

Hazama
ハザマ

私、この方も……かなり苦手な感じです。 戦力としては、あまり期待しないでください。

Hazama

1: 鍵のためにも、戦おう
2: 当人じゃないとはいえ気が引けるな……

1:
2:

カズマ

……はい。 世界の最奥……なにかあるかもしれない、そこへの鍵。

Kazuma
カズマ

この世界から抜け出すためにも、 エレメントを回収しましょう。

Kazuma
カズマ

お気持ちはわかりますが……今の僕たちには、 鍵とエレメントが必要です。

Kazuma
カズマ

心苦しいですが……やりましょう。 この世界から抜け出すために。

Kazuma
レイチェル

そう。決めたのね。 鍵を求め、世界の最奥を目指すことを。

Rachel
レイチェル

それなら私も手加減をする必要はないわね。 特にあなたを相手にするということであれば。

Rachel
ハザマ

はい? 私ですか?

Hazama
レイチェル

ええ。あなたのことを黒焦げにしたいと思っていたの。 ちょうどいい機会ね。

Rachel
ハザマ

ま、またこういう展開ですか? なんとか穏便にお願いできませんかね……?

Hazama
レイチェル

無理な話ね。 私、あなたがとても嫌いだもの。

Rachel
シエル

レイチェルさんの戦闘レベルが上昇しています!

Ciel
レイチェル

さあ……無様なダンスを見せてちょうだい。

Rachel

第4節 在るべき土地とは/

Summary
イシャナ入学前の記憶がないことの不安を口にす

るカズマ。ハザマは共感を示すが、現れたナオト はハザマを信用するなと警告する。

ラーベ

まったく、ファジーのやつめ……。

'Raabe
ハザマ

ラーベさん、そう怒らずに。 場所を教えてくれるだけでもいいとしましょう。

Hazama
シエル

エレメントが手に入った瞬間に現れて 場所だけ教えて再び消失。

Ciel
シエル

不思議な方ですね。

Ciel
ラーベ

消える必要はないと思うんだがな。

'Raabe
ラーベ

で、だ。 あいつが言っていたのはこの公園だろう?

'Raabe
シエル

はい。その可能性は極めて高いかと。 周囲には、この他に公園はないようですので。

Ciel
カズマ

世界の最奥まで行けば……。

Kazuma

1: カズマさん?
2: どうしたの?

1:
2:

カズマ

えっ?

Kazuma
ラーベ

お前、ずっと様子が変だぞ。 なにか気になることでもあったのか?

'Raabe

1: もしかして記憶のこと?
2: お腹空いた?

1:
2:

カズマ

え、ええ。そうです。

Kazuma
カズマ

い、いえ……。

Kazuma
カズマ

僕の記憶について少し……。

Kazuma
ハザマ

記憶、ですか。

Hazama
ハザマ

そういえば、先ほどご自身について 尋ねていましたね。それと何か関係が?

Hazama
カズマ

……僕、イシャナへ入学する前の記憶がないんです。

Kazuma
ハザマ

それはそれは……。

Hazama
シエル

記憶喪失ということですか?

Ciel
カズマ

そこもよくわかっていなくて。 おそらく記憶喪失みたいなものだと思うんですが……。

Kazuma
ハザマ

そうだったのですか……。 さぞお困りでしょうねぇ。

Hazama
カズマ

ハザマさんは自分の過去を知っているんですか?

Kazuma
ハザマ

うーん、どうでしょうねえ。

Hazama
ハザマ

もしかしたら知っていたのかもしれないし なーんにも知らないのかもしれません。

Hazama
ラーベ

はっきりしないな。

'Raabe
ハザマ

ええまあ、今は自分のことですらあやふやですから。 はっきりとお答えすることはできませんね。

Hazama
ハザマ

ですが、自分について考える気持ちは なんとなくわかりますよ。

Hazama
ハザマ

自分という存在がどうあるべきなのか それがわからないのは不安だと思います。

Hazama
カズマ

そうですね……。

Kazuma

1: 大丈夫?
2: カズマさんはカズマさんだよ

1:
2:

カズマ

お気遣いありがとうございます。 でも、大丈夫です。

Kazuma
ハザマ

カズマさんのためにも――

Hazama
ハザマ

おっとっと。

Hazama
ハザマ

いきなり攻撃してくるとは 穏やかじゃないですねぇ。

Hazama
ナオト

ちっ、外したか。

Naoto
カズマ

彼は…… 僕と同じ学生ですか?

Kazuma
ハザマ

そのようですね。 イシャナの人間ではないようですが。

Hazama
ラーベ

ここに現れたってことは 次の鍵を持つのは黒鉄ナオトか。

'Raabe
シエル

その可能性が高いかと。

Ciel
ハザマ

彼は黒鉄ナオトさんと言うのですね。

Hazama
ハザマ

それにしても先ほどの攻撃もそうですが、 私はどうにもあちらこちらで嫌われているようですね。

Hazama
ナオト

嫌われて当たり前だろうが! てめぇのせいで散々な目にあってんだよ!

Naoto
ハザマ

おや、私があなたになにかしたということですか?

Hazama
ハザマ

うーん、他人を貶めるようなことは しない主義なんですがねぇ……。

Hazama
ハザマ

ああ、もしかして見てくれでそう判断してます?

Hazama
ハザマ

それなら悲しいですねぇ。 見てくれだけで誤解を受けるというのは。

Hazama
ナオト

てめっ……!

Naoto

1: ナオト、落ち着いて

1:

ナオト

これが落ち着いてられるかよ!

Naoto
ナオト

おい、そのアホをこっちに渡せ! ぶん殴ってやらあ!

Naoto
シエル

ナオトさんの攻撃性反応が上昇しています。

Ciel
ハザマ

平和的に解決できたらいいんですが そうはいかないみたいですからね。

Hazama
ハザマ

せめてレイさんには信用してもらえるよう 今回は私も頑張りましょうか。

Hazama
ラーベ

どうする気だ?

'Raabe
ハザマ

それはもちろん戦うんですよ?

Hazama
ラーベ

戦闘は専門外だと言ってなかったか?

'Raabe
ハザマ

確かに戦闘は専門ではありませんが……。

Hazama
ハザマ

相手は土のエレメントの鍵を持つ者じゃないですか。 それなら私にとって戦いやすい相手というものです。

Hazama
カズマ

僕も戦います。

Kazuma
カズマ

レイさんたちに任せっきりというのも 申し訳ないので……。

Kazuma
ハザマ

そうですか! それならお互い頑張りましょう! カズマさん!

Hazama
カズマ

……はい。

Kazuma
ハザマ

あらら、つれない反応ですねぇ。 やはり信用してもらえてないということですか。

Hazama
ハザマ

それならますます頑張らなくてはいけませんね。

Hazama
ナオト

やっとやる気になったってのかよ。

Naoto
ナオト

上等だ! かかってこい!

Naoto

第5節 影は水深く/

Summary
残るエレメントは3つ。なにかに焦っているよう

なカズマをハザマは諭すが、その後現れたジンは ハザマを『蛇』だと形容する。

ジンに勝利し水のエレメントを入手。ハザマは自

分だけがこの世界以前の記憶を持たないことに違 和感を覚えながら、次の目的地へ。

ファジー

やあやあ、みんな頑張ってるかな? かなかな?

Fuzzy
ファジー

3つ目のエレメントも無事に回収できたみたいだね。 これで必要なエレメントはもうあと半分。でもまだ半分。

Fuzzy
ファジー

あと3つ、このままうまく手に入れることができるかな〜?

Fuzzy
ハザマ

どうでしょう。 できればあまり苦労せずに、手に入るといいのですけれど。

Hazama
カズマ

せめて戦闘が避けられればいいんですが…… そうはいかないんでしょうね。

Kazuma
ハザマ

なにが待っているとしても、我々はファジーさんの 案内のままに進むしかありませんからねぇ。

Hazama
ハザマ

従順に、ついていきますよ。 それで、次はどちらへ向かうんです?

Hazama
ファジー

フフフ……オッケー、その通り。 じゃあ行こっか。

Fuzzy
ファジー

今回は特別大サービス。 この僕が直接、道案内をしてあげるよ。

Fuzzy
シエル

今回だけ急に道案内をするのは、なぜなのでしょう。 理由がなければ、不自然な気がします。

Ciel
ラーベ

んー、確かにそうなんだよな。 ただのファジーの気まぐれって可能性もあるが。

'Raabe
ラーベ

だけどハザマも言ってた通り、 我々には進む以外に選択肢がない。

'Raabe
ラーベ

裏があろうがなかろうが、脱出方法を知っているのは ファジーだけという事実に変わりはないからね。

'Raabe
ラーベ

ま、それでも用心するに越したことはない。

'Raabe
ラーベ

我々は、彼らとは少し距離を取って進むとしよう。

'Raabe
シエル

はい……了解しました。 レイさんは念のため、私の後ろにいてください。

Ciel
シエル

心配しないでください。 私が必ず、レイさんを護ります。

Ciel

1: ありがとう、シエル
2: 僕のことも頼りにしてね

1:
2:

シエル

はい。どういたしまして。

Ciel
シエル

……返答が適切でないように思えます。 こういうとき、なんと言うのが適切なのでしょう……。

Ciel
シエル

はい、もちろんです。 いつでも頼りにしています。

Ciel
シエル

レイさんがいなければ、 ファントムフィールドの解放は不可能ですから。

Ciel

1: ありがとう、シエル
2: 私のことも頼りにしてね

1:
2:

シエル

はい。どういたしまして。

Ciel
シエル

……返答が適切でないように思えます。 こういうとき、なんと言うのが適切なのでしょう……。

Ciel
シエル

はい、もちろんです。 いつでも頼りにしています。

Ciel
シエル

レイさんがいなければ、 ファントムフィールドの解放は不可能ですから。

Ciel
ファジー

そっちの話はまとまったのかな? かなかな?

Fuzzy
ファジー

じゃあじゃあ、次のエレメント目指して! みんなレッツゴーだよ!

Fuzzy
カズマ

……あの。

Kazuma
カズマ

もう随分と歩いてきましたけど、 次のエレメントのある場所はまだ遠いのですか?

Kazuma
ファジー

うーん、どうかな?

Fuzzy
ファジー

どこに行けばいいのかは知ってても、 僕はこの街をこれっぽっちも知らないからね。

Fuzzy
ファジー

そこに行けば本当にエレメントがあるのかだって 僕にはわからないんだから。

Fuzzy
カズマ

そんな無責任な……。

Kazuma
カズマ

ここのことをまったく知らない。僕らとも初対面。 誰がどうしてエレメントなんてものを用意したのかもわからない。

Kazuma
カズマ

じゃあ、どうしてあなたは僕たちのことを案内してるんですか?

Kazuma
ファジー

えー、またそういう質問?

Fuzzy
ファジー

さっきも言ったと思うけど? それがこの世界で僕に与えられた役目だって。

Fuzzy
ファジー

物覚えの悪い人は嫌いかな〜。

Fuzzy
ファジー

誰だって、世界の中ではなんらかの役割や立場を与えられるよね。 そういう風にできてるんだよ、最初から。

Fuzzy
ファジー

で、僕が今回は案内役だった。 ただそれだけのことじゃない。フフフ。

Fuzzy
カズマ

……でも、最奥に行けばなにかしらの真実はわかるんですよね? そう仰ってましたよね?

Kazuma
ファジー

さあ、どうかな〜。 わかったらいいね〜。

Fuzzy
ファジー

わかるかどうかも、行けばわかるんじゃない? アハハ。

Fuzzy
カズマ

…………。

Kazuma
ハザマ

そう不安そうな顔をなさらないでください、カズマさん。 それにファジーさんの言うことも、もっともではないですか。

Hazama
ハザマ

わからないのなら、行ってみればいい。 確かにその通りだと私も思いますよ。

Hazama
カズマ

それは……そうでしょうけれど。

Kazuma
ハザマ

僭越ながら、カズマさん。あなたが本当に『真実』を 知りたいのなら、自ら動く以上の近道はないと思いますよ。

Hazama
ハザマ

なにかを知りたい、なにかを手に入れたいと思うのなら、 ご自身の手を伸ばすのです。

Hazama
ハザマ

私も好奇心旺盛なほうですが、なにもせずに立ち止まっていて 知り得ることなんてほとんどありませんよ。

Hazama
カズマ

ハザマさん……。

Kazuma
カズマ

そう、ですね……ええ、たしかに。 僕も、そう思います。

Kazuma
カズマ

僕の知っていることは、とても少ない。 イシャナの島で学んだことだけです。

Kazuma
カズマ

……イシャナでないここでなら、 今まで見つけられなかったことも見つかるかも……。

Kazuma
ハザマ

ええ。 あなたが望むのなら、きっと見つけられますよ。

Hazama
カズマ

……あなたにそう言われると、どうしてか 素直にうなずけません。

Kazuma
ハザマ

おやおや。 そんな不審者を見るような目で見ないでくださいよ。

Hazama
ハザマ

……つい今さっき知り合ったばかりですし、 私のことを信じられないのも無理のないことです。

Hazama
ハザマ

ですが、あなた自身の気持ちは信じて差し上げたほうが よろしいのではないですかね。

Hazama
カズマ

僕自身の気持ち……ですか。

Kazuma
ハザマ

ええ、そうです。 そのほうが、あなたにとっても幸福でしょう。

Hazama
ハザマ

……ですが、なにを信じてどうするにせよ、 奥に進むためには鍵が必要ですね。

Hazama
ハザマ

エレメントという鍵が。

Hazama
ジン

ハザマ……相も変わらず、よくしゃべる男だ。

Jin
ラーベ

む。ようやく次のエレメントのお出ましか。

'Raabe
ジン

貴様ら。忠告しておくが、あまりそのハザマという男を 信用しない方が身のためだぞ。

Jin
ジン

そいつの思惑や姿が、目に見えている通りだとは思わないことだ。

Jin
ジン

その男は『蛇』だ。 信用すれば……心の内まで喰われる。

Jin
ハザマ

やれやれ、また私を知っている方ですか……。 今回もなんの話だかまったく身に覚えがありませんけど。

Hazama
ハザマ

それにしても酷い言われようですが、あなた一体、私にとって どういう存在なんですか?

Hazama
ジン

道化め……。

Jin
ジン

貴様という存在は、世を、人を乱す。 それを見過ごすことは僕にはできない。

Jin
ジン

抜け、ハザマ。 今ここで貴様を消す。

Jin
ハザマ

ち、ちょっと! 抜けとか言われましても、困りますよ。 レイさん! 助けてください!

Hazama

1: えっ、僕ですか!?
2: ど、どうしようかな……

1:
2:

ハザマ

そうですよ。レイさん! ここまで一緒に戦ってきた、仲間からのお願いです!

Hazama
ハザマ

そんな、冷たいことを言わないでください。 ここまで一緒に戦ってきた、仲間からお願いです!

Hazama

1: えっ、私ですか!?
2: ど、どうしようかな……

1:
2:

ハザマ

そうですよ。レイさん! ここまで一緒に戦ってきた、仲間からのお願いです!

Hazama
ハザマ

そんな、冷たいことを言わないでください。 ここまで一緒に戦ってきた、仲間からお願いです!

Hazama
ハザマ

大体、この人を倒さないとエレメントは手に入らないんですから ここは当然、協力して倒す一手でしょう!?

Hazama
ハザマ

相手は水属性です。私にとっても得意な相手。

Hazama
ハザマ

さっさと鍵を揃えて、早くこんな場所から 脱出してしまいましょう。

Hazama
ラーベ

やれやれ……どうにも嫌な予感が消えないが、 やつの言うことは正論だ。

'Raabe
ラーベ

今はエレメントを入手し、先へ進むしかない。 ここがどんな場所なのか、把握するためにもな。

'Raabe
シエル

了解しました。レイさんは後ろに。 対象を補足。これより戦闘行動を開始します。

Ciel
ファジー

おみごと! 無事に水のエレメントも手に入れたみたいだねー。

Fuzzy
ファジー

君たちの戦いぶりを見ていたら、僕もまた 遊びたくなってきちゃったよ。フフフ……。

Fuzzy
ハザマ

その言い方だと、やはりあなた……姿を消してる間も ずっと私たちのことを視ているみたいですねぇ。

Hazama
ファジー

アハハ、つい口が滑っちゃったかな〜。

Fuzzy
ハザマ

ではその、ずっと見ていたあなたにお聞きしたいのですが。

Hazama
ハザマ

先ほどから、向こうは私のことを知っていて、私は向こうの ことを知らない……そんな場面が続いています。

Hazama
ハザマ

そこにいるレイさんやカズマさんたちは この場所に来る前のことを覚えている。でも私は覚えていない。

Hazama
ハザマ

どうして、同じように呼ばれて同じようにここにいるのに そういった差が生じているのでしょうか?

Hazama
ハザマ

……と聞いても、あなたはそんな理由は知らないと 言い続けるのでしたね。今の質問は独り言だと思ってください。

Hazama
ファジー

フフフ、やっと僕のこと理解できてきたみたいだね。

Fuzzy
ファジー

そうそう、僕になにを聞いても、なんの意味もないんだよね。 答えは自分たちの目で見なきゃ。

Fuzzy
ハザマ

でしたらさっさと、次のエレメントに向かいましょう。 次はどちらに行けばよろしいのですか?

Hazama
ファジー

はいは〜い。 次はね〜……。

Fuzzy

第6節 目が眩むほどの強い光/

Summary
道中、シエルとラーベはこの世界の特殊な状況に

ついて語る。行く手にはツバキが現れ、やはりハ ザマを敵視。断罪すると迫る。

ラーベ

やれやれ、さっきから同じような景色ばかりだな。 これは次のエレメントまで、まだまだ遠そうだ。

'Raabe
シエル

ラーベさん。 ひとつ気になることを聞いてもいいでしょうか。

Ciel
ラーベ

いいよ、なに?

'Raabe
シエル

ずっと疑問に思っていたのですが、 この場所は、ファントムフィールドなのでしょうか?

Ciel
シエル

私たちが浸入したのは 確かにイシャナのファントムフィールドでした。 ダイブ

Ciel
シエル

あそこは、島ひとつだけの世界のはずです。

Ciel
シエル

島の外に転移はできませんし、この街並みからして、 イシャナの知らないエリアだとは思えません。

Ciel
シエル

……浸入した先とは別のファントムフィールドに 移動する、などということは、可能なのでしょうか? ダイブ

Ciel
ラーベ

うんうん、シエルの口からそんな言葉が聞けるなんて 実に成長したね……。

'Raabe
ラーベ

そうだね。まだ次のエレメントも遠そうだし、丁度いい。 私の考えていることを、少し話しておくよ。

'Raabe
ラーベ

いいか、観測者を失ったファントムフィールドは、 停滞する情報の集合体のようなものだ。

'Raabe
ラーベ

その情報にアクセスして、いじることが可能なのが、 観測者だ。

'Raabe
ラーベ

……イシャナには観測者がいない。だから外から別の観測者が 介入することは、観測者が存在しているときほど難しくない。

'Raabe
シエル

別の観測者がイシャナに介入した……ということですか。

Ciel
シエル

それが、タカマガハラシステムが検知した 異常反応かもしれませんね。

Ciel
ラーベ

ああ。あのファントムフィールドに、なにかあったのは 間違いないからな。

'Raabe
ラーベ

その結果、イシャナを構成していた情報を巻き込んで 誰かが新たな世界を構築した可能性もあるし……。

'Raabe
ラーベ

もしくは、新たな観測者がファントムフィールドを乗っ取って、 別の世界に作り替えたっていう可能性もある。

'Raabe
ラーベ

観測の力を持った者であれば、イシャナという土台がある分、 乗っ取りは簡単だろうからね。

'Raabe
シエル

では……世界の構造は断定できないにせよ、ここには 観測者が存在している可能性が高いのですね。

Ciel
シエル

観測者は、誰なのでしょうか。

Ciel
ラーベ

現時点では、ハザマかファジーだな。 一応、カズマの可能性もある。

'Raabe
ラーベ

ただ『異物』であるはずの我々を、世界が排除しようという 動きが見られないのが気になるな。

'Raabe
ラーベ

それと、ファジーの言うこの世界の『最奥』というのは、 おそらく窯のある場所だろう。

'Raabe
ラーベ

ファントムフィールドの観測者は、窯へ近づかれるのを 拒む性質がある。

'Raabe
ラーベ

なのに状況は、順調に『最奥』へ向かうための鍵を集めている。 さほど大きな障害もなくだ。

'Raabe
ラーベ

まだまだわからないことだらけだよ。 今私に言えるのは『誰も信用するな』ということくらいだ。

'Raabe
ラーベ

そして、ほんのわずかでも違和感を覚えたら すぐに情報を共有し警戒すること。いいね?

'Raabe
シエル

はい、了解しました。

Ciel
ツバキ

お待ちしていました。ハザマ大尉。

Tsubaki
シエル

ツバキさん! ツバキさんもエレメントをお持ちなのですか。

Ciel
ツバキ

……? なんの話ですか?

Tsubaki
ツバキ

何者かは知りませんが、関係のない者は下がってください。 私の目的はそこにいる、ハザマ大尉だけですから。

Tsubaki
ハザマ

はぁ、なるほど。今度はこういう感じですか。 ……なかなか趣味がよろしい。

Hazama
ツバキ

ハザマ大尉。あなたは私から大切なものをすべて奪った。 あなただけは、絶対に許すことはできません。

Tsubaki
ツバキ

いえ、私だけではありません……あなたの重ねた罪、 私が今この場で、そのすべてを断罪します。

Tsubaki
カズマ

断罪とは穏やかではありませんね……。 ハザマさん、あなた彼女に一体どんな酷いことをしたんですか?

Kazuma
ハザマ

ですから私じゃありませんって。 信じてください、私はなにも知らないんですよ。

Hazama
ハザマ

あなたがたの目に私がどう映っているのかはわかりませんが、 私は今こうして、あなたがたと行動を共にしているんです。

Hazama
ハザマ

力を合わせて一緒にこの不思議な空間から脱出しようとしている、 今目の前にいる『私』を信じてはいただけませんかね?

Hazama
ハザマ

ここまで道を共にしてきた仲間じゃないですか!

Hazama
ラーベ

芝居がかったその態度が逆に怪しいんだよなー。

'Raabe
ツバキ

……仲間。わかりました。

Tsubaki
ツバキ

ハザマ大尉が『仲間』と呼ぶのであれば あなた方も、見逃すわけには参りません。

Tsubaki
ラーベ

え? いやいや、それはハザマが勝手に言ったことで……。

'Raabe
ツバキ

問答は無用です。ここまでハザマ大尉とあなた方が共に やって来たのは変わらない事実なのですから。

Tsubaki
ツバキ

しらを切るのであれば、力で吐かせるしかありませんね。

Tsubaki
カズマ

これはもしかして、僕まで巻き添えを食っているのでは……?

Kazuma
ファジー

アハハハ、君たち本当に愉快だねぇ。

Fuzzy
ファジー

彼女が光のエレメントを持っているんだから、 どっちにしても彼女を倒さないと先には進めないんだよ?

Fuzzy
ファジー

それをわかっているのかな? かなかな?

Fuzzy
カズマ

それでもハザマさんと同類に見られるのは 何故かとても嫌な感じがするのですが……。

Kazuma
カズマ

そうは言っても、エレメントを手に入れなければ 先へ進むことすらできないのでは、仕方ありませんね。

Kazuma
ツバキ

ハザマ大尉の仲間であれば、あなた方も私にとっては敵です。

Tsubaki
ツバキ

戯言や詭弁ももう結構。 そのようなものは……もう十分です。

Tsubaki
ツバキ

あなた方のその罪、まとめて私が断罪します!

Tsubaki

第7節 踏み出した先は闇/

Summary
カズマとハザマの不和を抱えつつ、一行は最後の

鍵を持つサヤの元へ。強力なドライブ能力を行使 する彼女に、協力して立ち向かう。

サヤに勝利。彼女は姿を消す刹那、ハザマの中に

『なにか』が潜むと言い残す。謎を残したまま、 一行は最後の目的地へと歩き出す。

ファジー

おめでとー! 光のエレメントも無事に手に入れたみたいだね。

Fuzzy
ファジー

これでエレメントも残るはあとひとつ。 次はどこかな? みんな気になるかな? なるよね〜?

Fuzzy
ファジー

……あら? この空気……どうしたのかな? かなかな?

Fuzzy
カズマ

エレメントを手に入れたのはよかったとして…… それはともかく、ですよ。

Kazuma
カズマ

ハザマさん! あなたは一体なんなんですか!?

Kazuma
ハザマ

……はい? なに……とは、なにがでしょう?

Hazama
カズマ

とぼけるのは止めてください。

Kazuma
カズマ

ここに来てから、出会う人、出会う人、 みんなあなたをこの上なく敵視しているじゃありませんか!

Kazuma
カズマ

もしかして僕たちは、あなたのなにかしらに 巻き込まれているのではないのですか?

Kazuma
カズマ

そしてあなたは、それをわかっていながらずっと隠している。 ……違いますか?

Kazuma
ハザマ

いやいや、巻き込むだなんて。 そんなこと私にできるはずないじゃないですか。

Hazama
ハザマ

私だってこの空間から抜け出したいのは、 あなた方と同じですよ。

Hazama
ハザマ

それに私は何度もご説明したように、自分自身のことすら あやふやなんです。

Hazama
ハザマ

あの方たちのこともまったくわからないんですよ。 わからない人のことで責められても……答えようがないですよ。

Hazama
ラーベ

お前が本当にわかっていないなら、な。

'Raabe
ラーベ

それでも、ここで出会った者たちが、お前になにかしらの 目に遭わされたことは間違いなさそうだが。

'Raabe
ハザマ

私はただ、この状況から抜け出したいだけ。

Hazama
ハザマ

……あなたもそうではありませんか? カズマさん。

Hazama
カズマ

それはまあ、そうですけど。

Kazuma
ハザマ

でしょう? あなたはご自分の置かれている状況から抜け出したい。

Hazama
ハザマ

その気持ち、よくわかりますよ。

Hazama
カズマ

え……?

Kazuma
ハザマ

あなたは今の『自分』に囚われている。いつだって、そこから 抜け出したいと思ってきたのではありませんか?

Hazama
カズマ

……それは、僕に記憶がないことを言っているのでしょうか? 今はそんなこと、関係……。

Kazuma
ハザマ

ないですかねぇ。

Hazama
ハザマ

ああ、せっかくです。聞かせてくださいよ。 あなたが欲しているのは、本当に記憶なのですか?

Hazama
カズマ

どういう意味ですか?

Kazuma
ハザマ

あなたが記憶と呼んでいるものは、一体なんなんでしょうか。

Hazama
ハザマ

両親の名前ですか? 生まれた場所ですか? 昔の思い出ですか? 経歴ですか?

Hazama
ハザマ

本当にそれが、あなたが心から欲しているものなのですか?

Hazama
ハザマ

あなたの本心は? それがあなたの願望ですか?

Hazama
カズマ

な、なにを……言って……。

Kazuma
カズマ

っ……い、今はそんな話をしているんじゃありませんよ。

Kazuma
カズマ

あなたと話していると、本当に調子がおかしくなりそうだ……。 すみませんが、僕にそういう話をするのはもうやめてください。

Kazuma
ハザマ

あらら、嫌われてしまいましたか。

Hazama
ラーベ

…………。

'Raabe
ハザマ

……なにか?

Hazama
ラーベ

いや、話のすり替えが上手いやつだと思ってな。

'Raabe
ラーベ

まるでこの場を抜け出すよりも、カズマとの会話を 優先しているように聞こえたが。

'Raabe
ハザマ

おっと、そうでした。 今はこの状況をどうにかすることを優先すべきでしたね。

Hazama
ハザマ

どうにも、彼を見ていると放っておけなくなってしまうのですよ。 まるでなにも知らない子供のように見えてしまいまして。

Hazama
ラーベ

なにも知らない……ね。 自分についてなにもわかっていないお前が言うのは、面白いな。

'Raabe
ハザマ

これはこれは、痛いところをつきますね。

Hazama
ハザマ

ですがこれ以上は、あまりゆっくりもしていられません。 そろそろ最後のエレメントを目指しましょう。

Hazama
ハザマ

ファジーさん、残るエレメントへと案内してもらえますか?

Hazama
ファジー

ふふふ、もちろんだよ。次は〜……。

Fuzzy
ハザマ

おやおや、これはまた、いかにもなにか出そうな場所ですね。 ここらで激しい戦闘でもあったのでしょうか?

Hazama
シエル

生体反応を検知しました。 何者かが、かなりの速度で接近しています。

Ciel
シエル

ですがこの反応は……。

Ciel
ハザマ

うわああ!?

Hazama
サヤ

あぁ……すんでのところで回避されましたか。 あと僅かでその首を落とせたというのに……忌々しい。

Saya
ラーベ

サヤか。最後のエレメントを持つのは彼女だな。

'Raabe
ラーベ

一応聞くが、ハザマ。 今回もお前は、彼女に覚えがないと言うんだな?

'Raabe
ハザマ

と、当然でしょう!?

Hazama
ハザマ

こんな、刀を振り回す恐ろしい方を敵に回すようなこと、 どうして私ができるっていうんですか。

Hazama
ハザマ

首を落とされるような覚えなんて、まるでありませんよ!

Hazama
サヤ

覚えがありませんか。ならばお教えしましょう。

Saya
サヤ

あなたは私から、大切なものを『奪う者』。 そのあなたを、どうして私が許すことができましょうか。

Saya
サヤ

ああ、忌々しい。私から大切なものを……兄様を奪ったあなた。 その心の臓を抉り取ろうとも許せるものではありません。

Saya
サヤ

兄様こそが、私の生きる意味そのものだったのです。 あの方がいたから、私はこの世に存在できていたのです。

Saya
ハザマ

おやまあ。自分以外の誰かを、己の存在意義にするなんて、 そんな考え、私には理解しかねますね。

Hazama
ハザマ

私がどうこうしなくたって、その人があなたの前から消える 可能性なんていくらでもあるでしょうに……。

Hazama
ハザマ

だというのに私のせいだと言われても、 逆恨みされているように思えてなりませんよ。

Hazama
カズマ

存在意義……。 僕は……なんのために……。

Kazuma
サヤ

よくも私の前でそのような戯言を吐けたものですね。

Saya
サヤ

もはや問答は不要。 なにが真実であろうとも、これから起こる結果は変えられません。

Saya
サヤ

その器の中身まで、私が喰ろうてくれましょう。

Saya
ラーベ

あのドライブ、ソウルイーターか! まずいぞ、これは。

'Raabe
ラーベ

暴走でもされたら、ハザマどころか全員喰われることになる。

'Raabe
ハザマ

どうやら彼女は闇に属する者のようですね。

Hazama
ハザマ

私と属性は同じ。不得手というわけではありませんが、 得意な相手というわけでもありません。

Hazama
ハザマ

戦闘はレイさんに頼ることになるかと 思いますが、一緒に最後のエレメントを手に入れましょう!

Hazama

1: せ、精一杯がんばります
2: 本当に、いいんでしょうか……

1:
2:

ラーベ

やむをえないな。 まずはソウルイーターをなんとかするのが優先だ。

'Raabe
ラーベ

状況が状況だ、仕方ない。 とにかくサヤを取り押さえるんだ。

'Raabe
ハザマ

これが最後の戦闘ですね。 それでは参りますよ!

Hazama
サヤ

かはっ……!

Saya
シエル

……対象の戦闘レベルの低下を確認。 これ以上の戦闘行為の必要はないと思います。

Ciel
サヤ

く、ふふ、成程……。

Saya
サヤ

底知れぬ違和感の理由が、ようやくわかりました。

Saya
サヤ

ハザマ……あなたの中にある『なにか』、それこそが 不穏の正体でありましたか……。

Saya
ハザマ

『なにか』? ……ああ、やはり……そういうことですか。

Hazama
ラーベ

どういうことだ? ひとりで納得するんじゃないぞ。

'Raabe
ハザマ

……ええ。 この世界で目覚めたときから感じていたことなんですがね。

Hazama
ハザマ

私の中に『なにか』がいるのです。 不穏な影のような、なにかの存在が。

Hazama
ハザマ

それは気のせいなどではなかったようです。 この不思議な街とも関係があるのかもしれません。

Hazama
サヤ

フッ……『蛇』め。さっさと影に喰われ、 消えてしまえばよいのに。本当に忌々しいこと。

Saya
サヤ

あなた方も、せいぜいご留意ください。 そこなる『蛇』に、寝首をかかれぬよう……。

Saya
カズマ

…………。

Kazuma
ファジー

こんぐらっちゅれーしょん! すべてのエレメントを集めたみたいだね〜!

Fuzzy
ファジー

これで僕も安心かな。かなかな。

Fuzzy
ファジー

こういうの、肩の荷が降りたっていうの? 案内役なんて立場からも解放されて自由だし。

Fuzzy
ファジー

はぁ〜ようやく好きに遊べるよ。

Fuzzy
ファジー

あっ、でもその前に。 まだ最後の仕事があるんだった。

Fuzzy
シエル

最後の仕事、とはなんでしょうか?

Ciel
ファジー

全ての鍵を集めた君たちをね、ある場所に連れて行くことだよ。

Fuzzy
ファジー

これで、僕の仕事はおしまい。

Fuzzy
ファジー

あ、もちろん行くかどうかは君たちに任せるけど? もし行かない場合でも僕の仕事はここでおしまいだからね〜。

Fuzzy
ファジー

どうする? 行っちゃう? それともやめとく?

Fuzzy
ファジー

ま、そこまで行かない場合は永遠にこの世界に閉じ込められる ってことになっちゃうんだけどね。アハハハ。

Fuzzy
ラーベ

つまりその場所というのが『最奥』ということか。

'Raabe
ハザマ

この世界から抜け出すためにここまで来たんです。

Hazama
ハザマ

当然、私は『最奥』まで行きますよ。 皆さんは……どうされるおつもりです?

Hazama

1: 行きましょう
2: できればやめたい……

1:
2:

ラーベ

ああ。我々には進むしか選択肢がない。

'Raabe
ラーベ

その場所に行けばおそらく、窯のことも、 この世界のこともわかるはずだ。

'Raabe
ラーベ

気持ちはわかるがそういうわけにもいかないな。 たとえ罠だとしても、先に進むしかないだろう。

'Raabe
ラーベ

その場所に行けばおそらく、窯のことも、 この世界のこともわかるはずだ。

'Raabe
ハザマ

ああ、よかった。 では皆さんも気持ちは同じということで、早速……。

Hazama
ラーベ

勘違いするなよ。提示された手順に従うことが、 こちらの目的に沿っているだけだ。

'Raabe
ラーベ

お前に協力してやるためじゃない。

'Raabe
ハザマ

いやはや、つれないですね……。 胸が痛む思いです。ええ。

Hazama
カズマ

……。

Kazuma
カズマ

自分の中のなにか……。

Kazuma
シエル

カズマさん、移動します。 問題がありましたか?

Ciel
カズマ

あっ、いえ、大丈夫です。すぐに行きますよ!

Kazuma
カズマ

早くその場所に行って、元の場所に…… イシャナに戻りましょう。

Kazuma

8節 数ある狭間にて/

Summary
『最奥』で鍵を起動し現れたのは、ハザマか

ら切り離された精神の影。それ自体が窯であ る世界の観測者、ユウキ=テルミだった。

死闘の末にテルミは逃亡、介入の影響は消失して

いく。残されたイシャナでハザマとカズマは、ど こか清々しい笑みを浮かべていた。

カズマ

ここ、は……。

Kazuma
シエル

イシャナの地下で見た部屋と、よく似ています。

Ciel
ラーベ

ここが『最奥』……か。

'Raabe
ハザマ

おや? 皆さんどうなさったんです? ずいぶんと驚いた顔をして。この場所に見覚えでも?

Hazama

1: よく似た場所を見たことがあります
2: ないしょです

1:
2:

ハザマ

ほう。それはそれは、興味深いことです。 どんな場所だったのか、じっくりうかがいたいところですが……。

Hazama
ハザマ

今はさすがに、 のんびりお話をしている状況ではないですかね。

Hazama
ハザマ

ええっ、そんな、私だけ仲間はずれじゃないですかぁ。

Hazama
ハザマ

仕事柄なのか元々の性質なのか、 隠されると余計に気になって仕方がありません。

Hazama
ハザマ

ですが……今はさすがに、そんなお話をしている場合では ありませんかね。

Hazama
ファジー

ラーベの言う通り、ここが最奥。 君たちが目指していた場所だよ。

Fuzzy
ファジー

脱出するためには、ここで集めてきた6つの鍵を…… エレメントを起動させるんだ。

Fuzzy
ラーベ

そうすると、なにが起こるんだ?

'Raabe
ファジー

それは、やってみてからのオタノシミかな? かなかな? ま、なにが起きるのか僕も知らないからね。アハハハ。

Fuzzy
ラーベ

ここまできてなお、やってみる他ないとはな。

'Raabe
カズマ

エレメントを起動させれば……集めてきたマナが活性化して、 この場に充満するでしょう。

Kazuma
カズマ

通常よりも濃密なマナが集まることになります。

Kazuma
ハザマ

なにか弊害があるのですか?

Hazama
カズマ

基本的には、ないはずです。 むしろ環境としては良好な状態になるかと思います……。

Kazuma
ファジー

起動させるなら、カズマがやるのがいいんじゃないかな〜。 なんたってマナやエレメントを扱うのが、魔術師だもんね。

Fuzzy
シエル

カズマさん、エレメントの起動はできそうですか?

Ciel
カズマ

それは、ええ、はい。 大して難しいことではありませんから。

Kazuma
カズマ

……ですが……。

Kazuma
ハザマ

なにやら先程から、思案していらっしゃるご様子ですね。

Hazama
ハザマ

私も、カズマさんが行うのが一番確実で、いい方法だと 思いますが……気が進まないのならば、無理にとは申しませんよ。

Hazama
ハザマ

非常に残念ですが、別の起動方法を探すことも、 できるかもしれませんし……。

Hazama
カズマ

…………。

Kazuma
カズマ

……いえ。

Kazuma
カズマ

やります。

Kazuma
ラーベ

おい、待て……。

'Raabe
ハザマ

本当に、いいのですか?

Hazama
カズマ

はい。やらせてください。

Kazuma
ハザマ

おお……ここまで空気の質感が変わると、私にもわかりますよ。 エレメントの起動は、無事に行えているようですねぇ。

Hazama
シエル

これが……マナの活性化ですか? なんでしょうか、この感じは、どこかで……。

Ciel
ラーベ

馬鹿な。これは……! おい、カズマ! エレメントの起動を停止しろ!

'Raabe
カズマ

…………。

Kazuma
ラーベ

聞いているのか!? 反応しろ、カズマ!!

'Raabe
カズマ

……ああ……やっぱり。 そうなんじゃないかと……思って、いました……。

Kazuma

1: カズマさん、どうしたの?
2: 誰と話をしているの?

1:
2:

カズマ

誰って……。

Kazuma
ハザマ

うっ、ぐ、う……。

Hazama
シエル

ハザマさん? どうしたのですか?

Ciel
ハザマ

気を付けてください。なにか……集まっています……!

Hazama
ラーベ

な……なんだ、あれは?

'Raabe
ファジー

さあ、なにかな〜、なんだろうね? なんだと思う?

Fuzzy
ファジー

レイはどう? 君の『眼』には、どんな風に見えてるかな? かなかな?

Fuzzy
ラーベ

見るな。っていうのは無理か。 なるべく考えるな。あれは……マナの集合体なんかじゃないぞ。

'Raabe
シエル

ラーベさん、レイさん! 大変です。

Ciel
シエル

窯の出現を確認しました。

Ciel
シエル

ですが……窯らしきものは、どこにも見当たりません。それに、 窯が出現したのなら、観測者は誰になるのでしょうか……?

Ciel
ラーベ

どっちも、目の前だ。

'Raabe
シエル

え? ど、どういうことですか?

Ciel
ラーベ

あいつが出現したとたんに、窯が世界に観測された。 つまりあの人影が……あいつが、ここの観測者だ。

'Raabe
ラーベ

そして窯でもある。この反応は間違いない。 超高密度の魔素……奴こそが窯だ。

'Raabe
ハザマ

なんですって? 魔素?

Hazama
ハザマ

では、もしかして今カズマさんの魔術で 活性化させられているのは……。

Hazama
ラーベ

そうだ、エレメントでもマナでもない。 魔素だ!

'Raabe
???

<size=130%>は〜い、はいはいはいはい、お疲れちゃ〜〜〜ん。</size>

???
シエル

!?

Ciel
???

ここまでご苦労さんだぜ、まったく。 おかげでこうして、のびのび口がきける。

???

1: 影が喋った!
2: 誰、ですか?

1:
2:

???

キヒヒヒヒ、影、影ねぇ……。 まぁ今のところはそれでもいいか……。

???
???

なんだ、俺の名前が知りたいのか? 知らないのか? いいぜ、教えてやるよ……。

???
カズマ

……ユウキ=テルミ……。

Kazuma
精神体テルミ

おおっと。なんだよ、あっさりバラしちまいやがってよぉ。 ああ……そうそう。そうだよ、よーく覚えとけ。

Spirit Body Terumi
精神体テルミ

ユウキ=テルミ。それが俺の名前だ。

Spirit Body Terumi
ハザマ

あなたが、私の中に潜んでいたものですね。

Hazama
ハザマ

さきほど戦った、サヤさんという方が存在を 感じ取っていた……得体の知れないモノ。

Hazama
ハザマ

そんな姿だとは、思いませんでしたよ。

Hazama
精神体テルミ

ヒャハハハハ! 俺様もテメェがそんなザマになってるとは、 知らなかったぜ。ハザマちゃん。

Spirit Body Terumi
シエル

やはり、あなたもハザマさんをご存知なのですね。

Ciel
精神体テルミ

ご存知、ご存知、よぉ〜く知ってるぜぇ。 テメェらのこともな。

Spirit Body Terumi
精神体テルミ

この俺様のために、街中駆けずり回ってお使いしてきてくれた、 バカな奴等だ。ヒャッハハハハハハ!

Spirit Body Terumi
カズマ

僕たちを……利用、していたんですか? ファジーさん、あなたも……?

Kazuma
ファジー

僕はなぁんにも知らないよ。 役割を演じているだけ。僕はコマだから。

Fuzzy
ファジー

そして君たちもコマ。でもコマは大事だよね。 だってさ、コマがないとゲームにならないじゃない。

Fuzzy
精神体テルミ

その通りだ。そしてテメェらに与えられる コマとしての役目は……。

Spirit Body Terumi
精神体テルミ

<size=130%>この俺様のためにここでくたばるってことだよぉ!</size> <size=130%>ヒャーッハハハハハ。</size>

Spirit Body Terumi
ラーベ

なるほどな。 私たちはこいつの策略の中で踊らされていたというわけか。

'Raabe
ラーベ

カズマが起動し、活性化させたのは マナでもエレメントでもなく、こいつだったってことだ。

'Raabe
シエル

そんな……では、この街から脱出できるという話は 偽りだったのですか?

Ciel
精神体テルミ

ヒヒヒヒ、そんなことねぇよ。 ちゃぁんと出してやるぜ。

Spirit Body Terumi
精神体テルミ

俺様が満足行くまで、テメェを呑み込んだら、 その残りカスくらいは境界に放り出してやるから、安心しろぉ!

Spirit Body Terumi
ハザマ

なにを勝手なことをおっしゃっているのですか。

Hazama
ハザマ

例えここまで、あなたの思惑通りにことが進んでいても、 我々はあなたに呑み込まれるつもりなどありませんよ。

Hazama
ハザマ

……薄々存在を感じていながら、 ここまで連れてきてしまったのは私の責任です。

Hazama
ハザマ

巻き込んでしまった形になるのでしょうね……。 申し訳ありません、レイさん。

Hazama
ハザマ

ですが私ひとりでは対処しきれない相手でもあります。 どうかお力添えください。

Hazama

1: みんなそろって、ここから出ましょう
2: あいつを倒して、ここから出る!

1:
2:

ハザマ

ありがとうございます。 本当に……あなたと出会えてよかった。

Hazama
精神体テルミ

威勢がいいじゃねぇか。 そういうツラ見てると、ほえ面かかせてやりたくなるぜぇ。

Spirit Body Terumi
シエル

戦闘態勢へ移行。対象を補足。 いつでも、行けます!

Ciel
ラーベ

相手は姿かたちを明確に獲得できていない状態だ。 存在として確立しているとは言い切れない。

'Raabe
ラーベ

反応はかなり強大だが…… その強大な力を十分に発揮することはできないだろう。

'Raabe
ラーベ

叩くなら、魔素が集まりきる前のほうがいい。 さっさと片付けてしまえ。

'Raabe
ファジー

ごーごー! がんばれー!

Fuzzy
ハザマ

カズマさんも、いいですね。

Hazama
カズマ

え、あ……えっと。 ……はい。

Kazuma
精神体テルミ

へぇ……揃いも揃って……ヒヒヒヒ。

Spirit Body Terumi
ハザマ

では、参りますよ。テルミさん。

Hazama
精神体テルミ

ぐっ、くそ……! 力が……いや、なにもかもだ。なにもかも足りてねぇ!

Spirit Body Terumi
カズマ

…………。

Kazuma
ファジー

うわ、すご。ほんとに勝っちゃった。

Fuzzy
ハザマ

……どうやら今の戦いで、私からあの影……テルミさんは 完全に抜け出したようですね。

Hazama
ハザマ

おかしな感覚です。 気味が悪いような、とてもすっきりしたような。

Hazama
精神体テルミ

ヒ、ヒヒ……ヒャハハハ……! ほんっと、とんだ性悪だな。

Spirit Body Terumi
精神体テルミ

だが確かに、テメェらの勝ちだ。俺はテメェらに、負けた。 そうだな?

Spirit Body Terumi
カズマ

はい。そう……なると思います。

Kazuma
精神体テルミ

ヒッ、ヒヒヒッ! ああそう、そうかよそうかよ。 チッ、面白くねぇなぁ。

Spirit Body Terumi
精神体テルミ

面白くねぇ……まったく面白くねぇぜ。 テメェら全員まとめて取り込んでやろうって思ってたのによぉ。

Spirit Body Terumi
精神体テルミ

アテがハズレちまった。

Spirit Body Terumi
カズマ

……僕たちをここから返してください。

Kazuma
カズマ

それさえ叶うなら…… あなたに余計に危害を加えようなんて、思いませんよ。

Kazuma
精神体テルミ

ハッ! 危害? 危害、危害、俺に危害を加えるってか? ヒャハハッ、デケェこと言うじゃねぇの。

Spirit Body Terumi
精神体テルミ

だがそれはナシだ。

Spirit Body Terumi
シエル

抵抗するおつもりですか?

Ciel
精神体テルミ

抵抗するおつもりが、どこにあるっていうんだよ。 俺がするのは抵抗じゃねぇ。

Spirit Body Terumi
精神体テルミ

<size=130%>逃亡だ!!</size>

Spirit Body Terumi
カズマ

……あ。あ、あれ?

Kazuma
シエル

ここは……。

Ciel

1: イシャナだ!
2: 戻ってこられた?

1:
2:

カズマ

はい、イシャナです。 あのおかしな街に迷い込む直前にいた場所と同じです……。

Kazuma
シエル

……どうやらそのようです。 あの不思議な街に迷い込む直前に、私たちが立っていた場所です。

Ciel
シエル

ですが、これは一体どういうことなのでしょうか。 私たちは確かに観測者を倒しましたが、窯は破壊できていません。

Ciel
シエル

それなのに…… あのファントムフィールドから脱出できています。

Ciel
ラーベ

ゆっくりじっくり調べられていない以上、あくまでも 仮説だが……。

'Raabe
ラーベ

さっきいた街は、未知のファントムフィールドでは なかったんだろう。

'Raabe
ラーベ

土台はこの、すでに観測者を失ったイシャナだ。

'Raabe
ラーベ

そこに観測の力を引っ提げて、あのテルミとかいう影が 乗り込んできた。そして場を乗っ取り、書き変えた。

'Raabe
カズマ

……観測し直した、という感じですかね。

Kazuma
ラーベ

そういう感じだろう。

'Raabe
ラーベ

つまり、私たちが転移したのではなく、私たちの周囲が一瞬にして 姿を変えていた……可能性が、非常に高い。

'Raabe
ハザマ

まあまあ、確かに不思議な体験でしたが、 それがどのような仕組みになっていたのかは、

Hazama
ハザマ

今はいいではありませんか。

Hazama
ハザマ

こうして皆、無事に解放されたのです。そのことを喜びましょうよ。

Hazama
ハザマ

ああ〜、よかった。

Hazama
シエル

ハザマさん。それに、ファジーさんも。 一緒にイシャナにこられたのですね。

Ciel
ファジー

ブッブー、違うよ〜。さっきラーベが言ってたじゃん。 僕たち君たちが戻ってきたんじゃないの。

Fuzzy
ファジー

僕たちが突然、ここにお邪魔させられてたの。

Fuzzy
シエル

あ。そうでした。では、ファジーさんたちは この状況においては、異物になるのでしょうか。

Ciel
ラーベ

ファントムフィールドがどう判断するのか、 保証できないけど……おそらくはそうだろうな。

'Raabe
ラーベ

お前たちが、イシャナの関係者でなければだけど。

'Raabe
ハザマ

ん〜、大変興味深い場所のようですが、 残念ながら私は関係者ではありませんねぇ。

Hazama
ファジー

僕も違う。僕としては、あんまりここの空気好きじゃないな。 馴染めなさそう。

Fuzzy
ラーベ

……異物は、観測者がファントムフィールドから解放された のちに、徐々に本来あるべき場所へと戻っていく。

'Raabe
ラーベ

お前たちもじきに、 お前たちがいるべき世界にその情報を移すだろう。

'Raabe
ファジー

じゃあ、それまではここにいろってことかぁ〜。

Fuzzy
ファジー

ま、いっか。 知らないところだし、色々見て回ろうかな。かなかな。

Fuzzy
ハザマ

あらら、行ってしまいましたね。 まあ、彼の好きにさせておきますか。

Hazama
ハザマ

それより、レイさん。 シエルさん、カズマさん、ラーベさん。

Hazama
ハザマ

ご助力いただき、ありがとうございました。

Hazama
ハザマ

私ひとりで彷徨っていたときは、 どうしたものかと途方に暮れていたものですが……。

Hazama
ハザマ

皆さんと合流してからは、まさにとんとん拍子。

Hazama
ハザマ

色々ありましたが、こうしてあの奇妙な街から脱出できたこと、 心よりお礼申し上げます。

Hazama
ラーベ

……それなんだが。どうも釈然としないんだよなぁ。

'Raabe
ラーベ

まるで踊らされていただけのような気がする。

'Raabe
ハザマ

まさか! あなたがたが偶然、私の前に現れてくださったことで、 私の運命は大きく変わりました。

Hazama
ハザマ

救われたと言ってもいいかもしれません。

Hazama
ハザマ

あなたがたは恩人です。もしもどこかで私の力が 必要になったときは、ぜひ、お声がけくださいね。

Hazama
ハザマ

もっとも、そのときあなたがたの目の前に現れる私が、 今ここにいる私と同一であるかは……わかりませんが。

Hazama
ハザマ

改めて申し上げておきましょう。 私の名は『ハザマ』。どうぞ、お見知りおきください。

Hazama
ハザマ

レイさん。

Hazama

1: よろしく

1:

ハザマ

はい。よろしくお願いいたします。

Hazama
シエル

…………。

Ciel
ラーベ

……この一件が、システムが検知した異常かどうか、 戻ってデータのすり合わせを行う必要がある。

'Raabe
ラーベ

かなり長居をしたから、船へ戻ろう。

'Raabe
カズマ

……もう、行かれるのですか。

Kazuma
カズマ

あまり長居をするのは良くない、みたいなことを、 以前もおっしゃっていましたっけ。

Kazuma
シエル

はい。 私たちはあくまでも、この世界の外側からの混入物ですので。

Ciel
カズマ

…………。

Kazuma
カズマ

……またお会いできて、嬉しかったですよ。 それにご一緒できて……本当によかった。

Kazuma
カズマ

おかげで自分について、 少し知ることができたような気がします。

Kazuma
カズマ

ありがとうございました。

Kazuma
シエル

いいえ。私たちにとっては、これが任務です。

Ciel
カズマ

相変わらずですね、シエルさんは……。

Kazuma
カズマ

……僕には計り知れない大変な『任務』を されているのでしょうけれど……その。頑張ってくださいね。

Kazuma
カズマ

応援していますよ。

Kazuma

1: ありがとう
2: カズマさん、お元気で

1:
2:

カガミ

レイ! シエル! よかった、戻ってこられたんだな〜!

Kagami
シエル

わ。驚きました。どうしたんですか、カガミさん。 とても慌てていらっしゃいます。

Ciel
カガミ

慌てもするよ! 浸入が成功して少ししたところで、 タカマガハラシステムが、お前たちのことを見失ったんだ。

Kagami
カガミ

そのままどこにいるのか、しばらく見つけられなくて……。

Kagami
カガミ

ついさっき、イシャナのファントムフィールドの中に 反応を確認できたところだったんだぞ!

Kagami
カガミ

なにがあった? いや、内部での出来事については ラーベのデータを見たほうが早いな。

Kagami
カガミ

こちらはこちらで、調査に取り掛かる。 まずはメディカルチェックを受けてこい。

Kagami
カガミ

今回は特に、念入りにな!

Kagami
シエル

は……はい。

Ciel
カガミ

まったく、どこよそ見してたんだか。 しっかりしてくれよ、もう……。

Kagami
シエル

こちらはこちらで、大変だったようですね。

Ciel
シエル

メディカルルームへ行きましょう。 ご一緒します、レイさん。

Ciel
ハザマ

ほ〜う、これがかの有名なイシャナですか。 こうして見ると、ただのゴーストタウンですねぇ。

Hazama
ハザマ

……さて。次はどこへ行きましょうかねぇ。 私の中にあった鎖は、おかげさまで外すことができましたし。

Hazama
ハザマ

どこへでも行けますね、これで。

Hazama
ハザマ

それにしても、テルミさんときたら。私までまとめて 全部取り込もうだなんて、荒っぽいやり方をなさる。

Hazama
ハザマ

……あの少年がいなければ、危なかったですよ。 ふふ。

Hazama
ハザマ

……あの少女がいなければ、危なかったですよ。 ふふ。

Hazama
ハザマ

ですが実り多い一時でした!

Hazama
ハザマ

私にとっても、テルミさんにとっても。 そして、もうひとりにとっても。

Hazama
ハザマ

『最果てを観る者』。 面白そうじゃないですか。 エンドゲイザー

Hazama
カズマ

…………。

Kazuma
カズマ

イシャナ……。 ここで過ごした数年間は、僕になにもくれなかった。

Kazuma
カズマ

でも……やっと、僕のいる意味を知れた気がする……。 やっと……少しだけ……。

Kazuma
カズマ

取り戻せた気がする。

Kazuma