BlazBlue Wiki Story:BBDW Chapter 5

Story:BBDW Chapter 5

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Chapter 5: Eyes That Inherit Time (時の継ぎ目 Toki no Tsugi Me)

第1節『十三①』/ 1. Juusan - 1

Summary
ラーベと共にフガクに引き上げられ、意識を

取り戻すシエル。しかしそこに、彼女が護衛 すべき人物の姿は見当たらなかった。

――――

―――― ……………………。

1: シエル……
2: シエル=サルファー

1:
2:

1: 頼りになる素体の少女
2: 好奇心旺盛な護衛の女の子

1:
2:

1: ラーベ……
2: アストロラーベ

1:
2:

1: 分析に長けた独立思考型ユニット
2: 時々調子のいい見守り役

1:
2:

1: 僕は……/私は……

1:

オペレーター

シークエンスクリア! システム、ランニング!

Operator
TA

――対象を捕捉した。情報に過不足無し。観測を開始する。

TA
カガミ

来た……? いたか!? 見つけたのか!? タカマガハラ!

Kagami
TC

イエス。対象を捕捉しました。

TC
TB

そう急かさないでよ。今観測中なんだから。 すぐにそっちに……ああ、ほら。

TB
TB

――帰ってきたよ。

TB
ラーベ

…………。

Raabe
カガミ

ラーベ! ……機能を停止している?

Kagami
カガミ

いやこっちはいい、データさえ無事ならどうとでもなる。 レイ! シエル!?

Kagami
シエル

…………。

Ciel
カガミ

シエル! シエル、シエル!? しっかりしろ! くそっ、メディカルルームに運べ!

Kagami
カガミ

タカマガハラ、観測状態はどうなってる!?

Kagami
TA

認識に問題は生じていない。過不足なく観測されている。

TA
TB

意識がないのは僕らのせいじゃなくて、 あの素体の意識そのものの問題だよ。

TB
TB

正常に調整されれば、そのうち目を覚ますんじゃない?

TB
カガミ

そうか……。

Kagami
カガミ

……おい。

Kagami
カガミ

待て。そんな馬鹿な……。 これは……どういうことだ?

Kagami
シエル

…………確認。確認。――完了。 システムに異常なし。

Ciel
カガミ

……うむ。こっちの解析でも異常なし。

Kagami
カガミ

はぁぁ〜〜……よかったぁ……。 一時はどうなることかと……。

Kagami
カガミ

生身で境界に飛び込むなんて冗談じゃない。私があの場に いたとしても同じ判断をしただろうが、二度とごめんだ……。

Kagami
カガミ

なにもかもいっぺんに失ったかと思ったよ……。 お前が目を覚ましてくれてよかった、シエル。

Kagami
シエル

……はい。

Ciel
シエル

……境界……生身で……あ。そうです。

Ciel
シエル

覚えています。ファントムフィールドが崩壊するからと、 私たちはラーベさんの指示で起動中の窯から境界に入り……。

Ciel
シエル

それで……。

Ciel
カガミ

今しがたようやくまともな意識を取り戻したってわけだ。 意識だけでなく、記憶もはっきりしてるようでなによりだ。

Kagami
カガミ

これも、レイが きっちりお前とラーベを観測し続けてくれたおかげだ。

Kagami
シエル

……そうだったんですね。 レイさんのおかげで……。

Ciel
シエル

境界の中にありながら、自分だけでなく私とラーベさんを 観測し続けてくださったなんて……すごい方です。

Ciel
シエル

……あの、カガミさん。

Ciel
カガミ

……なんだ?

Kagami
シエル

そのレイさんは…… どちらにいるのですか?

Ciel

第1節『十三②』/ 1. Juusan - 2

Summary
荒野で目を覚ますと、目の前には十三という

少女と、ドライと名乗る男。仲間とはぐれた ことを説明する途中、野盗の襲撃を受ける。

フガクにて、シエルは仲間の危機を知る。タ

カマガハラは捜索を続け、探査範囲を境界内 からファントムフィールドへと広げていく。

少女

……か?

Young Woman
少女

だい……か?

Young Woman
少女

…………。 ……………………。

Young Woman
少女

……いつまで寝てるんだ、さっさと起きろ!!</style>

Young Woman
少女

やっと起きたのか。これで起きなかったら、 ゴミと判断して捨てていくつもりだったんだけど。

Young Woman

1: お……おはようございます
2: こ、ここはどこ?

1:
2:

少女

呑気な奴だ。 こんな荒んだ場所で、ぐっすり眠るなんて。

Young Woman
少女

まあ、アンタが死のうが私には関係ないけど。

Young Woman
少女

ここがどこかって? 見てわからない?

Young Woman
少女

見渡す限りの荒れ地。 水も食料も手に入らない、不毛の地だよ。

Young Woman
少女

で。アンタ、なに? 行き倒れ?

Young Woman
少女

こんななにもない場所でぶっ倒れてるなんて 変わった趣味だね。

Young Woman
少女

……もしかして、死にたがり? だったら、邪魔して悪かったかな。

Young Woman
男性

十三。どうやらこの方は そういうわけではなさそうですよ。

Man
十三と呼ばれた少女

なんだ。ドライはこいつのこと知ってるのか。

"Juusan"
ドライと呼ばれた男性

いいえ、なにも。

"Drei"
ドライと呼ばれた男性

ただ非常に戸惑っておられるようです。 ご自分の状況がわかっていないのではないでしょうか。

"Drei"
ドライと呼ばれた男性

やはり。

"Drei"
ドライと呼ばれた男性

このような場所に倒れていたのです、 なにか事情がおありなのでしょう。

"Drei"
ドライと呼ばれた男性

どうぞ警戒なさらないでください。 我々に害意はありません。

"Drei"
十三と呼ばれた少女

……今のところは、ね。

"Juusan"
ドライと呼ばれた男性

彼女は十三。私のことはドライとお呼びください。 あなたのお名前をうかがっても、宜しいですか?

"Drei"
ドライ

……レイさん、とおっしゃるのですね。

Drei
ドライ

レイさんはなぜ、 こちらで倒れていらしたのですか?

Drei
ドライ

私共が偶然この場を通りかかったのも、何かの縁。 是非、事情をおうかがいしたいのですが。

Drei

1: シエルとラーベさんは……?
2: 女の子と、丸い機械を知りませんか?

1:
2:

十三

誰、それ? アンタの連れ?

Juusan
十三

知らない。アンタの連れ?

Juusan
ドライ

あいにく、心当たりはありませんね。 もしや仲間とはぐれてしまったのですか?

Drei
十三

もういいだろ、ドライ。

Juusan
十三

アンタが放っとけないと言うから付き合ってやったんだ。 コイツは生きてたんだから、それでいいじゃないか。

Juusan
十三

余計なことまで関わる必要はない。 あとはコイツの好きにさせよう。

Juusan
ドライ

待ってください、十三。 まさかこのまま彼を、置いていくというのですか?

Drei
ドライ

待ってください、十三。 まさかこのまま彼女を、置いていくというのですか?

Drei
十三

当たり前だろ。 コイツがどうなろうと、どうでもいいし関係ないよ。

Juusan
ドライ

しかしこの方はどう見ても、なんの力も持たぬ一般人。 このようなところに置き去りになどできません。

Drei
ドライ

もし次に彼を見つけるのが、よからぬ者であったら……。

Drei
ドライ

もし次に彼女を見つけるのが、よからぬ者であったら……。

Drei
ドライ

ああ、ほら。ちょうど、彼奴らのようにです。

Drei
十三

ちッ……面倒くさいな……。 だから時間を無駄にしたくなかったんだ。

Juusan
ドライ

この辺りを根城にしている、盗賊のような連中です。 通りがかる者を襲っては、身ぐるみを剥いでしまう。

Drei
ドライ

……場合によっては、 体そのものもバラバラにして売りさばいてしまうとか。

Drei
十三

へぇ……ようするに雑魚ってことか。

Juusan
十三

遊び相手にもならない雑魚は嫌いだ。 あぁ、本当に面倒くさい。

Juusan
十三

ほら、アンタもいつまで呆けてるんだ。 自分の身くらい自分で守りなよ。

Juusan
十三

その内に私が……排除してやるよ。

Juusan
シエル

……では、レイさんはフガクに 帰還していないのですか!?

Ciel
カガミ

……ああ、そうだ。

Kagami
カガミ

タカマガハラシステムが境界でキャッチできた反応は、 たしかに3人のものだった。

Kagami
カガミ

だが実際にサルベージできたのは、シエルとラーベのみ。 レイの行方はわからない。

Kagami
シエル

そんな……。

Ciel
シエル

そんな……そんなこと、は、だめです。 そんなこと、あっては、だめです……!

Ciel
シエル

私たちがいたのは、境界なんです! サルベージできなかったということは……。

Ciel
シエル

レイさんはおひとりで、 まだ境界にいるということになります……。

Ciel
TB

通常なら、情報の断片として境界に溶けて消えてしまうだろうね。

TB
TB

運よくどこかの時間軸に流れ着いたとしても、 まともな状態ではいられないよ。

TB
シエル

……っ!

Ciel
カガミ

タカマガハラ。シエルを不安にさせないでくれ。 それはあくまでも『通常なら』の例に過ぎない。

Kagami
カガミ

シエルも少し冷静になれ。 お前たちをサルベージできたことには理由がある。

Kagami
カガミ

タカマガハラの観測下に入る寸前まで、 レイによって観測されていたからだ。

Kagami
カガミ

そのこと自体がすでに信じがたい奇跡だが、 レイの観測に問題はなかった。

Kagami
カガミ

つまりまだ自己観測によって、 境界内に存在している可能性は……十分にある。

Kagami
シエル

……十分、とは、どれくらいの確率ですか……?

Ciel
カガミ

…………。

Kagami
カガミ

とにかく、探すしかない。 今、タカマガハラシステムが境界内を探してる。

Kagami
カガミ

……どうだ? 反応はあったか?

Kagami
TC

……ノー。フガク探査可能範囲に、該当の反応はありません。

TC
TB

これはダメだよ。全然ダメだ。成果なし。 境界をいくら探しても見つからないんじゃないかな。

TB
TB

捜索対象を広げるべきだと思うよ。 というより、変えるべきかな。

TB
TA

我々の観測範囲内において出現が確認されている ファントムフィールドを捜索対象に含める。

TA
TA

計測を開始。

TA
カガミ

…………まだか。

Kagami
TB

そりゃまだだよ。 なにを探させてるのか、わかってる?

TB
カガミ

わかっている。 いいからそっちはそっちのことに集中してくれ。

Kagami
TB

はいはい。やってるよ。 そっちはずいぶん焦ってるみたいだね。

TB
TB

ちょっとしたおしゃべりくらいでパフォーマンスが落ちるような システムじゃないって、知ってるだろうにさぁ。

TB
シエル

…………っ。

Ciel
カガミ

おい、待て。シエル。 どこへ行くつもりだ?

Kagami
シエル

捜索対象のファントムフィールドに《浸入》 (ダイブ) し、 内部から捜索します!

Ciel
カガミ

気持ちはわかるが、シエルは待機だ。 下手に動くな。

Kagami
シエル

ですが!

Ciel
カガミ

レイが、サルベージ直前まで自身ごとシエルを 観測していたことは間違いない。

Kagami
カガミ

ならば、そのまま自己観測を続けることも可能だったはずだ。

Kagami
カガミ

レイがまだ存在している可能性はかなり高い。 それは本当だ。信じろ。

Kagami
シエル

……………………はい。

Ciel
カガミ

ファントムフィールド内で見つけられた場合、 《浸入》 (ダイブ) してレイを連れ戻すのはお前の役目だ。

Kagami
カガミ

そのときは速やかに対応してもらう。 だからそれまでは、待機だ。いいな。

Kagami
シエル

…………了解。

Ciel
シエル

(……なにもできない。)

Ciel
シエル

(待っているしかできない……。)

Ciel
シエル

レイさん…… どうか無事でいてください……。

Ciel

第1節『十三③』/ 1. Juusan - 3

Summary
荒野で十三・ドライと共に野盗を排除。二人

は観測の力に興味を示し、この世界を仕切る 『灰の王』を探す旅を共にすることに。

二人もまた、他の世界からこの荒野に紛れ込

んだのだとドライは言った。腰を落ち着けて 話すため、行く手のダイナーへと向かう。

十三

…………。

Juusan
ドライ

不届き者は片付いたようですね。 レイさん、お怪我はありませんか?

Drei

1: ドライさん、すごく頼もしいですね!
2: 十三さん、すごく強いんですね!

1:
2:

ドライ

私の魔術が誰かを守ることに役立つのは、 実に喜ばしいことです。

Drei
ドライ

おや、意外そうな顔ですね。魔術に見えませんでしたか? こう見えて私は、それなりの魔術師なのですよ。

Drei
ドライ

私も初めて彼女の技を見た時は驚きました。

Drei
ドライ

彼女のように小さな身体から、あれほどの威力の攻撃が 繰り出されるのですから。

Drei
ドライ

出会ってそれほど長い時間はたっていませんが、 彼女の戦闘における実力は絶大な信頼に値しますよ。

Drei
十三

その『さん』ってつけるやつ、やめろ。 なんか聞いててうっとうしい。

Juusan
十三

ドライはともかく、私のことをそんな呼び方したら…… 勢いあまって死ぬことになるから。

Juusan
ドライ

やれやれ、十三は乱暴な言い方をしますね。 とはいえ、私のことも『ドライ』で結構ですよ。

Drei
ドライ

私はあなたをレイさん、とお呼びしますがね。

Drei
十三

そんなことより、アンタ。

Juusan
十三

今の戦い。なにやった?

Juusan
十三

アンタだよ、アンタ。さっきなんかやってただろ。 いや……『なんか』とかじゃない。あれは『観測』だ。

Juusan
十三

……なんとなく、わかってきたよ。 そうか、アイツが言ってたのは……アンタか。

Juusan
ドライ

『観測』……? 成程、どうりで。 ですが、驚くべきことです。

Drei
ドライ

一時的にとはいえ他者の存在を……それも複数、同時に観測し、 疑似的に戦力とするなど……常人に行えることではありません。

Drei
ドライ

レイさん、あなたは一体……。

Drei
十三

……化け物の『ご友人』だろ。

Juusan
ドライ

化け物?

Drei
ドライ

もしや、出会った頃にお聞かせいただいた 『探し人』のことですか?

Drei
十三

……そう。 仕方ないから、もののついでに探してやってたけど。

Juusani
十三

その当人の方から現れたっていうなら、仕方ない。 アンタの力になれって頼んだ奴に感謝しな。

Juusan
十三

それでアンタ、連れとはぐれたって言ったっけ?

Juusan
十三

……心当たりは?

Juusan
十三

面倒だな……やっぱりやめるか。

Juusan
ドライ

困っている人を前にして、 そのような言い方はいかがなものかと思いますよ。

Drei
ドライ

この方の力になると、決めたのでしょう?

Drei
十三

言っただろ、頼まれただけだって。 私が望んでそう決めたんじゃないよ。

Juusan
十三

……誰に頼まれたか? だから、化け物だよ。

Juusan
十三

だけど力になるって言ったって…… アンタ、なにもわからないんだろ。

Juusan
十三

そんな状態の奴を、どうしろって言うんだ。

Juusan
ドライ

ふむ……そうですね……。

Drei
ドライ

ではお連れの方が見つかるまで、我々に 同行していただくというのはいかがですか?

Drei
ドライ

幸か不幸か、我々もまだこの世界に不慣れでして。 情報収集をしていれば、なにか耳に入るかもしれません。

Drei
ドライ

いかがでしょう、十三?

Drei
十三

…………。

Juusan
十三

アンタの観測は、なにかと便利そうだ。

Juusan
十三

……そうだね。こっちの用が終わるまで付き合うなら 考えてやってもいい。

Juusan
ドライ

最後まで……ですか? しかし、さすがにそれはいささか危険ではありませんか?

Drei

1: そっちの用って?
2: 危険なことはしたくない……

1:
2:

十三

ふぅん、その聞き方だと、事と次第によっては手伝うつもり? いいよ、教えてあげる。

Juusan
十三

その願いは叶わないよ。 この『世界』にいる以上、危険からは逃げられない。

Juusan
十三

逃げるなら勝手にしな……と言いたいところだけど、 ドライがうるさそうだ。気は乗らないけど教えてあげるよ。

Juusan
十三

私たちはこの『世界』を仕切ってる 『灰の王』に会いに行く。

Juusan
十三

そいつに会って、確かめたいことがあるんだ。 それが私とドライの、共通の用事だよ。

Juusan
ドライ

とはいえ、実は『灰の王』については我々も 詳しくはありません。

Drei
ドライ

確実なのは、非常に強い力を持っているということ…… 私と十三が共闘関係を結んでいるのは、そのためです。

Drei
ドライ

もしあなたの力が借りられるのなら、私たちにとって 思いがけない好機を得られるかもしれませんが……。

Drei
ドライ

それにしても、この旅路はかなり危険をともないます。 そこまでの同行となると、賛同はできませんね。

Drei
十三

それ、私に関係ある?

Juusan
十三

使えるものは使う。

Juusan
十三

助けてほしいなら、それなりの代償を払ってもらう。 それだけの話だよ。

Juusan
十三

『灰の王』が誰であろうと、観測の力があれば 殺せないものを殺すことだって可能だ。

Juusan
十三

だから、これは取引だよ。

Juusan
十三

連れが見つかるまで同行を許す代わりに 私たちの用にも付き合ってもらう。

Juusan
十三

だってドライ……コイツがひとりでうろつくのも アンタは『賛同しない』でしょ?

Juusan
ドライ

ええ、賛同しません。 この世界は、危険な場所です。どこも治安が悪い。

Drei
ドライ

しかし、我々の旅路は更なる危険も……。

Drei
十三

そう。当然、危険だ。

Juusan
十三

だから道中は、私がアンタを守ってあげる。

Juusan

1: 守る……?

1:

十三

そう。例えば……。

Juusan
人相の悪い男

ヒャッハー! そこを動くなテメェら!! 金目のもんと食料、身ぐるみ全部置いていきなぁ!!

覆面の男

おっと、女がいるじゃねぇか。ツイてるぜぇ。 男ふたりはバラして、女は手土産にするってのはどうだ?

覆面の男

おっと、女がいるじゃねぇか。ツイてるぜぇ。 あのデカい男はバラしちまって、女どもは手土産にしようぜ。

十三

……ああいうくだらない連中から。 私が守ってあげるよ。

Juusan

私が必ずお守りします。

シエル

私はレイさんの護衛です。

Ciel
人相の悪い男

ヒャァッハァーーー! みんなぁ、やっちまえ!!

十三

狙う相手を間違えたよ。 バラされるのは、オマエたちだ。

Juusan
ドライ

立ちはだかると言うのなら、容赦はしません。 叩き潰すのみ!

Drei
人相の悪い男

ヒイィィ〜! た、助けてぇ〜!!

十三

……くだらない。 時間を無駄にしたよ。

Juusan
ドライ

いつもながらお見事です、十三。

Drei
ドライ

それにレイさんも。 ご一緒できるのが心強いですよ。

Drei
十三

どうかな……。観測の力は不安定で、そう簡単に 制御できるものじゃない。

Juusan
十三

そいつが、いつまでそんなに器用に戦い続けられると思う?

Juusan
ドライ

……それほど気に掛けておられるとは、 よほどレイさんが心配なのですね。

Drei
十三

はぁ!? 違う。なに勝手なこと言ってるの。 殺すよ?

Juusan
ドライ

ははは。

Drei
ドライ

ああ、こうして和やかに談笑していたいところですが、 また今のような連中に声をかけられてはとても落ち着けません。

Drei
ドライ

そろそろ場所を移してはどうでしょう。

Drei
十三

勝手に話を変えるな。

Juusan
十三

……フン。もういいよ。 行くよ、レイ。

Juusan
十三

……レイ?

Juusani
ラーベ

くそ、こっちも窯の内部に超高密度エネルギーの片鱗を感知した。 時間がない、急げ、飛び込め!!

Raabe
シエル

了解!!

Ciel
シエル

レイさん、手を離さないでください!

Ciel

1: (シエル、ラーベさん。無事かな……)
2: は、はい、すぐ行きます!

1:
2:

十三

ぼけっとしていたら置いてくよ。 考え事は後にして。

Juusan
十三

普通に喋って。 そのお行儀のいい話し方は好きじゃない。

Juusan
ドライ

この先にキャンプ地のような場所があるはずです。 ここの世界の人たちはダイナーと呼んでいるようですが。

Drei
ドライ

……ああ、ええ。お察しの通り、私や十三は この世界の住人ではありません。

Drei
ドライ

他の世界から、なにかの理由でこの世界に 紛れ込んでしまった者なのです。

Drei
ドライ

その辺りについても、腰を落ち着けてゆっくり話しましょう。

Drei

第1節『十三④』/ 1. Juusan - 4

Summary
フガクでは捜索の結果、目標の位置を捕捉し

ていた。対処が困難な状況に手が打てずにい ると、突然ココノエとテイガーが現れる。

TA

当該反応を捕捉した。

TA
カガミ

……当該? なんの……ん? 待て、今なんて言った、なにを見つけたって!?

Kagami
TA

当該反応を捕捉した。

TA
カガミ

レイか!?</style>

Kagami
シエル

……っ!

Ciel
カガミ

待て、シエル! 場所と状況を確認してからだ!

Kagami
カガミ

詳細を報告してくれ、タカマガハラ。

Kagami
TB

はいはい。捜索範囲を大小問わずファントムフィールドにまで 広げてたわけだけど……。

TB
TB

そのうちのひとつから、たった今突然、 レイの反応が確認された。

TB
TB

なんか突然、引っかかったんだよね。 内部できっかけになることがあったのかもしれない。

TB
シエル

そ、それは、レイさんの身に なにかあったということですか……!?

Ciel
TC

イエス。状況は不明ですが、 フガクないしそれに関連する事項を強く認識したと見られます。

TC
シエル

カガミさん、早く私をそのフィールドに……!

Ciel
カガミ

急かすな、座ってろ。

Kagami
カガミ

見つけたからってホイホイ気軽に飛び込めるものじゃないんだ、 《浸入》 (ダイブ) は。よくわかってるはずだろう。

Kagami
シエル

……すみません。

Ciel
TB

ちょっと驚きだよね。

TB
TB

境界に落ちてなお存在を保っていたばかりか、 そのまま別のファントムフィールドに漂着してるなんて。

TB
TB

しかも、そこでも平然と自己を保っている。 これほどの観測力を持った存在っていうと……。

TB
カガミ

おしゃべりは後にしてくれ。 反応があったファントムフィールドはどこだ?

Kagami
オペレーター

タカマガハラシステムから座標が提示されました。 モニターに出力します。

Operator
カガミ

……やはりか。くそっ、かなり遠いな。

Kagami
TB

当たり前だろ。ファントムフィールドだよ。 同じ時間速度なわけがない。

TB
シエル

時間速度……?

Ciel
カガミ

前に話さなかったか。ファントムフィールドと境界内に 存在するフガク内部とでは、時間の流れの速度が著しく違う。

Kagami
カガミ

そもそも境界内では、時間の流れなんてものは意味を成さない。 そこを漂っているわけだから、フガクは時間の流れが遅いわけだ。

Kagami
カガミ

加えて、ファントムフィールドの時間はというと、 常に加速している状態にある。

Kagami
カガミ

この時間の流れ……時間速度の乖離があればあるほど、 『遠い』。

Kagami
シエル

では……レイさんが今いるファントムフィールドは、 フガクよりもかなり時間速度が速いのですね。

Ciel
カガミ

そうだ。……本来は時間をかけて《浸入》 (ダイブ) 可能範囲まで 近付くんだが……今回は時間をかけられない。

Kagami
カガミ

遅れれば遅れるほど、今まさにファントムフィールド内にいる レイと、時間の誤差が生じてしまう。

Kagami
シエル

そうすると、どうなりますか……?

Ciel
カガミ

簡潔に言うと、サルベージできなくなる。

Kagami
シエル

な……っ。

Ciel
カガミ

だからどうにかして、通常の手順をすっ飛ばして極力速やかに……。

Kagami
カガミ

できれば瞬時に『時間の並列化』を行い、《浸入》 (ダイブ) できる状態に しなくちゃならないんだが……スタッフも技術も足りない。

Kagami
カガミ

ああくそっ、今すぐ劇的にフガク内の技術レベルが上がれ!

Kagami
TC

ノー。不可能です。

TC
???

そうでもないぞ。

???
カガミ

なんだと? なにを……って、お前……!?

Kagami
シエル

あなたは……!

Ciel
ココノエ

ふふん、驚いているな。いい顔をするじゃないか。 間が抜けていて実に愉快だ。

Kokonoe
シエル

ココノエ博士!? なぜここにいらっしゃるのですか……? レイさんもいないのに……。

Ciel
ココノエ

そのレイの類まれな観測のおかげだ。

Kokonoe
ココノエ

ファントムフィールド内で私をこれでもかと観測してくれたんでな。 その後は自己観測に切り替えて、ここまで来た。

Kokonoe
カガミ

馬鹿な、そんなことが……。

Kagami
ココノエ

可能かどうかを議論している時間はあるのか? 技術レベルを劇的に上げたいんだろう?

Kokonoe
カガミ

っ、そうか、お前がいれば……! 協力を頼めるか、ココノエ! 一刻を争うんだ!

Kagami
ココノエ

そのために声をかけたんだろうが。

Kokonoe
ココノエ

私の存在を確立してくれた礼をしなくちゃならない。 それと、お前たちがしようとしていることにも興味がある。

Kokonoe
ココノエ

次元境界潜航船フガク――タカマガハラシステム。 どちらも私手ずから改造してやろう。

Kokonoe
ココノエ

なに、心配するな。後悔はさせん。 多分な。ふふふッ……。

Kokonoe

第2節『願望を叶える者①』/ 1. Wish-Granter - 1

Summary
時間の並列化に目途がついたココノエたち。

しかし準備には24時間かかる上、浸入から 救出までに使える時間は8時間のみだった。

シエル

…………。

Ciel
テイガー

…………。

Tager
シエル

……………………。

Ciel
テイガー

シエル、だったか。少し落ち着いてはどうだ。

Tager
テイガー

今の私にその記憶はないが、記録によれば お前は冷静で職務に忠実な兵士だと聞いているぞ。

Tager
シエル

テイガーさん……。

Ciel
シエル

カガミさんにも言われたばかりだというのに…… すみません。

Ciel
シエル

でも、自分でもわからないのです。 こんなにも身体が落ち着かないのは、何故なのでしょう。

Ciel
テイガー

命あるものならば、当然の反応だ。

Tager
テイガー

人は皆なにかにすがり、寄り添い生きている。 その対象は人、物、神、概念、時間、それぞれだ。

Tager
テイガー

そういったものが見えなくなった時、 人は普段の自分ではいられなくなる。

Tager
テイガー

それが、不安というものだ。

Tager
シエル

不安……。

Ciel
シエル

はい、私は不安なのだと思います。

Ciel
シエル

レイさんが本当に無事なのか…… そう考えると、身体が落ち着かなくなります。

Ciel
シエル

この気持ちを、どうしたらいいのか……。

Ciel
ココノエ

お前たち。お喋りは程々にしておけ。

Kokonoe
シエル

ココノエさん。

Ciel
ココノエ

めずらしいな、テイガー。 お前が他人にアドバイスとは。

Kokonoe
ココノエ

シエルに自分と似たところを感じたか?

Kokonoe
テイガー

ココノエ。私は……。

Tager
カガミ

ああ、いいよいいよ。

Kagami
カガミ

むしろうちのシエルにプラスの影響があるかもしれない。 見ての通り『経験』の少ない部下でね。

Kagami
カガミ

だが今はそれよりも、大事なことがある。 レイを助けられるかどうか、だ。

Kagami
カガミ

シエルもそれが一番気になってるんだろ?

Kagami
カガミ

早速、現状を共有しておきたいのだが。 心の準備はいいか?

Kagami
シエル

心の準備が必要となるような内容……ということでしょうか?

Ciel
カガミ

うん。単刀直入に言うが、いい報せと悪い報せがある。 といっても全体的に見ればそう悲観するものでもないんだけれど。

Kagami
カガミ

いい報せから言おうか。

Kagami
カガミ

今しがた、フガクとファントムフィールドにおける 異なった時間速度の並列化の、シミュレーションに成功した。

Kagami
テイガー

並列化……時間の速度と同じにすることか。

Tager
ココノエ

平たく言えばそうだ。この船に積まれているシステムを 最大限に活用すれば、可能だと判明した。

Kokonoe
シエル

ココノエさんが計算されたのですか?

Ciel
カガミ

本来なら、私の船を他人にいじくり回させるなんて 絶対にごめんだが……今は緊急事態だからね。

Kagami
カガミ

ファントムフィールドを自己観測で作り変えるほどの 知識と技術は、伊達じゃない。

Kagami
カガミ

計算だけなら私ひとりでも可能だが、実現できるレベルの 技術とシステムの構築は、ココノエなしでは不可能だった。

Kagami
カガミ

優秀な助手が来てくれて助かったよ。

Kagami
ココノエ

おいこら、誰が助手だ。 ありがたく思えよ、この天才の頭脳を貸してやったのだからな。

Kokonoe
ココノエ

だがまあ、タカマガハラを直接弄れるというのは 私にとっても悪くない話だ。

Kokonoe
ココノエ

私の想像していたものとは少々違ったが、 かなり得るものも大きかった。

Kokonoe
ココノエ

とはいえ、約束の報酬は必ず頂くがな。

Kokonoe
テイガー

……報酬?

Tager
カガミ

うおっほん! とにかくだ!

Kagami
カガミ

時間速度の並列化が実現可能となった今、 レイ救出の可能性は大きく上がったわけだ。

Kagami
テイガー

その点は理解した。 それで、悪い方の報せはなんだ?

Tager
ココノエ

時間速度の並列化、と言葉にするのは簡単だが 実際それを行うには膨大な演算が必要だ。

Kokonoe
ココノエ

複数の観測によって生まれる相対速度や重力場の ズレを少しずつ修正する作業だ。

Kokonoe
ココノエ

必要な演算量は、普段ファントムフィールドを観測する 場合とは比べものにならない。

Kokonoe
ココノエ

つまりだな。時間の並列化を行うには時間がかかり、 かつそれを維持するには限界がある。

Kokonoe
ココノエ

並列化の準備に必要な時間は、試算でおよそ24時間。 並列化の後、それを維持できるのは……8時間程度だ。

Kokonoe
テイガー

8時間? その間に《浸入》 (ダイブ) し、 レイを救出、サルベージするというのか?

Tager
ココノエ

その通りだ。

Kokonoe
シエル

…………。

Ciel
シエル

8時間のリミットを越えると、どうなるのですか?

Ciel
ココノエ

タカマガハラシステムがダウンし、 時間の並列化も当然解除される。

Kokonoe
ココノエ

再び時間の並列化を行うには、かなりの時間が必要だ。

Kokonoe
ココノエ

そうなればまず間違いなく、再並列化の前に ファントムフィールドにリセットがかかるだろう。

Kokonoe
ココノエ

リセットに巻き込まれたレイがどうなるかは 断言できないが……。

Kokonoe
ココノエ

情報の再構成に巻き込まれるのは避けられない。 おそらく、ここに無事戻れることはないだろう。

Kokonoe
シエル

そんな……。

Ciel
カガミ

シエル。いま我々にできることはひとつしかない。

Kagami
カガミ

来るべき8時間のために、最善の準備を整えることだ。 それがレイを救う鍵になる。

Kagami
カガミ

もちろん私も、全力を尽くすつもりだよ。

Kagami
シエル

……了解しました。

Ciel
カガミ

それからもうひとり……レイ救出のために 全力を尽くしてもらわなきゃいけない者がいるんだが……。

Kagami
シエル

もうひとり……ですか? それは、どなたのことでしょうか。

Ciel
テイガー

レイ自身のことだろう。

Tager
シエル

あ……なるほど。

Ciel
カガミ

その通りだ。 先ほども言ったが、時間は限られている。

Kagami
カガミ

《浸入》 (ダイブ) の準備が整うまでに、レイが窯の位置…… いや、せめて観測者だけでも見つけてくれれば……。

Kagami
シエル

カガミさん。 時間の並列化が必要ということは……

Ciel
シエル

フガクとファントムフィールド内で、 時間の流れる速度が違うということですよね?

Ciel
シエル

準備に24時間かかる、とおっしゃいました。

Ciel
シエル

フガクで24時間たつと、ファントムフィールド内では どのくらい時間がたつのでしょうか……?

Ciel
カガミ

……ざっと7日間くらいかな。

Kagami
シエル

7日間……こちらからは、なにもできないのですね。

Ciel
カガミ

今はまだ捕捉をするだけで精一杯だが、 数時間のうちには通信の目途をつけるつもりだ……。

Kagami
ココノエ

通信なら間もなく目途がつきそうだぞ。

Kokonoe
カガミ

うむ、間もなく目途が……なに!? なんでだ!? どうやった!?

Kagami
カガミ

あっちは加速し続けるフィールドだぞ!?

Kagami
ココノエ

時間速度のズレが生じるのは、2つの異なる観測…… つまり、フガクとフィールドの2箇所で起きた現象だ。

Kokonoe
ココノエ

私には、単独で境界に潜入できる優秀な部下がいるのでな。 中継地点になってもらった。

Kokonoe
カガミ

くそ! うらやましいな!

Kagami
カガミ

待てよ、シエルやラーベならあるいは……。

Kagami
ココノエ

気持ちはわかるが、今はそれどころじゃないだろう。

Kokonoe
ココノエ

それよりもだ。 たった今、その部下から興味深いデータが送られてきた。

Kokonoe
ココノエ

レイの存在するファントムフィールドに 素体が存在するようだ。

Kokonoe
カガミ

素体だと? まさか……バベルの連中か?

Kagami
ココノエ

……いや。このデータには見覚えがある。

Kokonoe
ココノエ

これは……ふふ、なるほどな。 面白いことになりそうだ。

Kokonoe

第2節『願望を叶える者②』/ 1. Wish-Granter - 2

Summary
ドライと十三はダイナーで『ゲーム』の存在

を知る。にわかに騒がしくなった外では、若 い男女がドライブ能力者に囲まれていた。

ドライ

さあ、どうぞ食べてください!

Drei
十三

……ドライ、頼みすぎじゃない?

Juusan
ドライ

レイさんは空腹のようですし、 まだお若い。これくらいいけるでしょう。

Drei
ドライ

十三も、どうぞ遠慮せずに。

Drei
十三

……前にも言っただろう。私はそんなに食べない。 元々、食事をそこまで必要としないんだ。

Juusan
ドライ

ですが食べてはいけないというわけではないのでしょう?

Drei
ドライ

食は胃よりも心を満たしてくれます。 こうやって皆で食卓を囲むことが重要なのです。

Drei
ドライ

さあ、どうぞ。

Drei
十三

アンタね……。

Juusan'
十三

はぁ……わかったわかった、食べるよ。 ……ホント面倒な奴。

Juusan

1: 食事を必要としないってどうして?
2: こんなにたくさん食べられないかも……

1:
2:

十三

……それ、アンタに関係ある?

Juusan
十三

人にあれこれ聞かれるのは嫌いなんだ。 余計なことは詮索しないで。

Juusan
十三

死にたいなら話は別だけど。

Juusan
ドライ

どうか気を悪くしないでください。 彼女は、昔のことや自分のことを話したがらないのです。

Drei
ドライ

ははは、そんなに気を遣わなくても良いのですよ。 さあ、お代わりもありますから、お腹いっぱい召し上がれ。

Drei
十三

こういう奴だから。 空気を読んでもらうのは、諦めた方がいいよ。

Juusan
十三

そんなことよりも……時間がもったいない。 話をするなら今の内だよ、ドライ。

Juusan
ドライ

そうですね。 レイさんは食事をしながら聞いてください。

Drei
ドライ

お察しの通り、私たちもあなたと同じように 外の世界から来た人間です。

Drei
ドライ

ある日突然、気が付くとこの世界に取り込まれていたのです。 ですから、この世界のことはそれほど詳しいわけではありません。

Drei
ドライ

ですがこの世界で目覚めたとき…… 私は『何者か』の気配を強く感じ取りました。

Drei
ドライ

瞬間的に、私は直感したのです。

Drei
ドライ

その『何者か』こそが…… 私が会わなければならない人物である、と。

Drei
ドライ

そして人探しをしている最中、十三と出会ったのです。

Drei
十三

私の場合は少しだけ違うけど…… この世界に来た時に『ソイツ』の気配を感じたのは同じ。

Juusan
十三

まあ、私の方は『殺さなきゃいけない相手』の気配だったけど。

Juusan
十三

何にせよ、外から来た境遇。探してる相手。 私たちの目的は一致したってわけ。

Juusan
十三

この世界の空気そのものに気配を充満させられるほどの存在だ。 当然、探し始めてすぐに情報も見つかったよ。

Juusan
十三

そこで出てきた名前が『灰の王』。

Juusan
十三

そのご大層な名前の奴が、この世界を支配しているんだってさ。

Juusan
ドライ

さぞおかしいと思われたことでしょう。

Drei
ドライ

たったこれだけのあやふやな情報を元に、お互い同じ目的かも わからない相手を追って、旅をしているのですから。

Drei
ドライ

しかし、右も左もわからない世界にわけもわからず放り込まれた 身としましては、微かであっても目的がほしいものでして。

Drei
ドライ

それが私にとってこの気配の主であり『灰の王』なのです。

Drei
十三

ドライがすがろうとしている奴と、私が殺そうとしている奴は もしかしたら同一人物かもしれない。

Juusan
十三

それでも一緒についてくるっていうんだから、変な奴だよ。

Juusan
ドライ

『灰の王』についても、この世界についても まだまだ知らないことの方が多いのですから、当然です。

Drei
ドライ

十三。あなたと同じように、私もまた、 手段を選ぶ類の人間ではありませんから。

Drei
十三

ふん……好きにすれば。

Juusan
十三

……ん?

Juusan
十三

アンタ、なに?

Juusan
痩せた男

な……なあ、話が聞こえちまったんだけどさ…… もしかして、あんたらもゲームの参加者なのか?

ドライ

ゲーム?

Drei
ドライ

質問の意味がわかりかねるのですが…… ゲームとはいったい、なんのことでしょうか?

Drei
痩せた男

ごまかすなって。 あんたら、『灰の王』を目指してるって言ってたじゃないか。

痩せた男

だったら、ドライブ能力者なんだろ?

十三

…………。

Juusan
痩せた男

お、俺は違うからな! ただ違うって言いたかっただけなんだよ!

痩せた男

だから殺さないでくれよ、な?

十三

なに、あれ? 敵ってわけじゃなさそうだけど。

Juusan'
ドライ

気になることを言っていましたね。

Drei
ドライ

彼の言い分だと、『ドライブ能力者はゲームに参加している』 という風にも捉えられましたが……。

Drei
痩せた男

おい、すげぇぞ! すぐそこでバトルが始まってる!

痩せた男

ドライブ能力者同士のバトルだ!

痩せた男

あんたたちも見といた方がいいんじゃないか!?

十三

……食事は静かに摂る主義なんだけどな。

Juusan
ドライ

ええ、同感です。 ですが、ドライブ能力者同士の戦いというのは、気になりますね。

Drei
ドライ

騒がしくなってきたのは、 すぐ外に野次馬が集まっているのでしょうか。

Drei
ドライ

なにか情報が得られるかもしれません。 我々も、行ってみましょう。

Drei
野次馬の女

すごーい! 私、ドライブ能力者のバトルって初めて見た!

野次馬の男

でも、この人数差じゃあのふたりは駄目だろうな。 もう完全に囲まれてるじゃないか。

十三

なにこれ、すごい人だかり。

Juusan
十三

あっちの奴らが……ドライブ能力者か。

Juusan
少女

きゃあ!

Young Woman
青年

シオシオ! 大丈夫!?

Young Man'
シオシオと呼ばれた少女

ええ……タロ先輩こそ、私にお構いなく!

"Shioshio"
シオシオと呼ばれた少女

とはいえ、完全に囲まれてしまいましたね……。

"Shioshio"
タロと呼ばれた青年

……みたいだね。

"Taro"
タロと呼ばれた青年

何とか俺がスキを作ってみるから シオシオは上手くタイミングを合わせて。

"Taro"
シオシオと呼ばれた少女

やってみますけど、この人数差では望み薄ですわね……。

"Shioshio"
屈強そうなドライブ能力者

そうそう、いい加減諦めた方がいいんじゃないか?

Strong-looking Drive-user
屈強そうなドライブ能力者

あんたらもそこそこ強いドライブを持ってるみたいだけど たったふたりじゃ、どうしようもないだろ?

Strong-looking Drive-user
屈強そうなドライブ能力者

おとなしくクリスタルを渡すっていうなら 見逃してやらないこともないぜ?

Strong-looking Drive-user
十三

あれが騒ぎの元凶か。 なんだ、もう終わりそうだよ。

Juusan
痩せた男

おーい、あんたたち! こっちこっち!

痩せた男

今、どっちのチームが勝つか、賭けを開催しているんだ。 よかったら、あんたたちも賭けてみないか?

痩せた男

あのふたりに賭けてる奴はほとんどいないから 今なら大穴につぎ込むチャンスだぜ。

ドライ

……悪趣味なことですね。 大勢がふたりを取り囲む様で、博打を楽しむとは。

Drei
ドライ

しかし何か情報を得られればと思いましたが この状況ではどうにもなりませんね。

Drei
ドライ

あのドライブ能力者たちと話せればいいのですが。

Drei

1: あのふたりを助けよう
2: 戦いを止めよう

1:
2:

ドライ

正しい決断です。 多勢で無勢をいたぶる卑劣な行為、看過出来ません。

Drei
ドライ

そうですね。

Drei
ドライ

今この場にいるドライブ能力者は、 あの者たちの他は私たちだけのようです。

Drei
ドライ

この戦いを止められるのは、私たちしかいません。

Drei
ドライ

十三、あなたはどうしますか?

Drei
十三

……アイツらがどうなろうが、私には関係ないよ。

Juusan
十三

助けたいなら、勝手にすれば? でも、面倒に巻き込むのはやめて。

Juusan
ドライ

そうですか……残念です。

Drei
ドライ

行きましょう、レイさん!

Drei
十三

…………。

Juusan
十三

なんで自分から揉め事に首を突っ込むんだか。

Juusan
痩せた男

なあなあ、あんたはどっちに賭けるんだい!?

痩せた男

ほら、早くしなきゃバトルが終わってしまうよ!

十三

……うざいよ、アンタ。

Juusan
十三

どっちに賭けるかだって? いいよ、教えてあげる。

Juusan
十三

私は、確実に勝てる賭けしかやらない。

Juusan
十三

私が賭けるのは……

Juusan
十三

……私自身だけだ。

Juusan

第2節『願望を叶える者③』/ 1. Wish-Granter - 3

Summary
助けた男女はタロ、シオリと名乗り、『ゲー

ム』の詳細を話す。クリスタルを奪い合い、 『灰の王』に謁見すると願望が叶うのだと。

屈強そうなドライブ能力者

な、なんだこいつら!? 特にあのチビ女……めちゃくちゃ強いぞ!?

Strong-looking Drive-user
屈強そうなドライブ能力者

おい! な、仲間を呼ぶなんて、卑怯だぞ!!

Strong-looking Drive-user
ドライ

あれだけの人数差でふたりを囲んでおきながら 不利になった途端にこの口ぶり……。

Drei
ドライ

想像以上に、どうしようもない者たちですね。

Drei
十三

けど、この程度じゃ遊び相手にもならないよ。

Juusan
十三

さてどうする……? この場で殺してやろうか。

Juusan
細身のドライブ能力者

ひ、ひいぃぃ……!! こ、降参する! だから殺さないで!!

Thin Drive-user
十三

…………。

Juusan
十三

だったら10数える前に、さっさと消えなよ。

Juusan
屈強そうなドライブ能力者

う、うぅ……す、すみませんでしたぁ……!!

Strong-looking Drive-user
ドライ

ん……? 彼奴ら、なにか落としていきましたね。

Drei
ドライ

これは……なんでしょうか。

Drei
タロと呼ばれた青年

ねえ、君たち。

"Taro"
タロと呼ばれた青年

お陰で助かっちゃったよ。 君たちもドライブ能力者なんだ?

"Taro"
タロ

俺はタロ。タロ=ササガエ。 よかったら、タロって呼んでよ。

Taro
タロ

ほら、シオシオもちゃんとお礼と自己紹介して。

Taro
シオリ

シオリ=キリヒトですわ。 どなたか存じませんけど……先ほどはありがとうございました。

Shiori
シオリ

ですが……。

Shiori
シオリ

そのクリスタルは、私たちが頂きます。

Shiori
ドライ

……クリスタル?

Drei
ドライ

なぜそのように警戒しているのかはわかりませんが 我々は敵ではありません。どうか武器を下ろしてください。

Drei
ドライ

まずは、少々お話を聞かせていただきたいのですが。

Drei
タロ

……この人の言う通りだよ。シオシオ。 俺の勘だけど、この人たちは敵じゃない気がする。

Taro
シオリ

タロ先輩は甘いです! シフォンケーキのように甘々ですわ!

Shiori
シオリ

先ほどもそうやって裏切られたではありませんか!

Shiori
タロ

うっ……さっきは確かに俺が甘かったと思うけど。 でも多分この人たちは大丈夫だよ!

Taro
タロ

だって君たち……この世界に来たばかりなんでしょ?

Taro
シオリ

……えっ?

Shiori
ドライ

ええ。あなたの仰る通りですが、どうしてそれを?

Drei
タロ

『ゲーム』も『クリスタル』のことも、 よく知らないみたいだから。

Taro
タロ

俺たちも少し前までそうだったんだ。 ねえ、良かったら場所を移して話をしないか?

Taro
十三

断る。

Juusan
タロ

ええ!? 即答なの!?

Taro
十三

アンタたちが信用できる保証は? それに、アンタの技……『術式』だろ?

Juusan
十三

そんなものを使う奴は、なおさら信用できない。 アンタ……『図書館』じゃないの?

Juusan
タロ

おっとと。

Taro
タロ

どうやらそっちの怖いお姉さんは、俺たちに近い場所から やって来たみたいだね。

Taro
タロ

でも安心してよ。 俺たちはお姉さんが思ってる『図書館』じゃないから。

Taro
十三

…………。

Juusan
タロ

じゃあ、こういうのはどう?

Taro
タロ

俺たちの知ってる情報を全部タダで教えるよ。 もちろん見返りはいらない。

Taro
タロ

あ、ちょっとだけお願いしたいことはあるんだけど…… それは聞いてから断ってくれてもいいから。

Taro
タロ

これならどう? そっちにはメリットしかないよね。

Taro

1: 話を聞いてみたい
2: なんか怪しい気が……

1:
2:

ドライ

そうですね、私もレイさんに賛成です。 情報こそが、我々の目的を達成するための命綱ですから。

Drei
タロ

お、そっちの人たちは話がわかるみたいでよかった〜。

Taro
ドライ

お言葉ですが、おふたりとも。 我々はこの世界のことを、まだほとんどなにも知りません。

Drei
ドライ

ここは彼らの話を聞いてみませんか? 情報こそが、我々の目的を達成するための命綱ですから。

Drei
タロ

お、そっちの人は話がわかるみたいでよかった〜。

Taro
十三

ちっ……わかったよ。

Juusan
十三

だけど話を聞くだけだ。 そっちの頼みとやらは、知らないから。

Juusan
タロ

うん、うん! それで十分! お姉さんも、ありがとう!

Taro
タロ

シオシオも、いいよね?

Taro
十三

…………。

Juusan
シオリ

……はぁ。タロ先輩が本気でそうしたいと仰るなら、 シオリに止める理由はありませんわ。

Shiori
ドライ

私たちはそちらのダイナーで食事の途中でした。 宜しければ共に食卓を囲みましょう。

Drei
タロ

いいね、俺もうお腹ぺこぺこ!

Taro
十三

やれやれ。騒がしいのは苦手なんだけどな……。

Juusan
タロ

はい、これ。飲み物買ってきたよ。 あ、もちろんさっき助けてくれたお礼だから気にしないで!

Taro
十三

それ、ご機嫌取りのつもり? そんなことより、そっちの持ってる情報を教えて。

Juusan
タロ

じゅうじゅう……じゃない。十三……だっけ? せっかちなお姉さんだなぁ……。

Taro
タロ

この世界にはね、俺やシオシオ、それに十三やドライ、 レイの他にも大勢のドライブ能力者がいるんだ。

Taro
タロ

そして誰もがみんな、別の世界からこの世界にやってきたと 感じてる。当然、俺とシオシオもね。そして面白いことに……。

Taro
タロ

そのドライブ能力者たちはみんな『クリスタル』と 呼ばれるものを奪い合って、戦いを繰り返しているんだ。

Taro
タロ

『クリスタル争奪戦』って言えばわかりやすいかな。

Taro
ドライ

それが先程から耳にしている『ゲーム』ですか。

Drei
十三

それで、さっきの雑魚どもが落としていった石…… あれがその『クリスタル』か。

Juusan
タロ

そう。この世界のドライブ能力者たちは全員クリスタルを持ってて 争奪戦で負けを認めると、相手にそれを奪われる。

Taro
ドライ

全員……? 私たちはクリスタルなど持ってはいませんが……。

Drei
タロ

いいや、持ってるよ。

Taro
タロ

心の中で石をイメージして、念じてみなよ。

Taro

1: 念じてみる

1:

ドライ

なんと……確かに念じるだけで、石が現れました。

Drei
ドライ

まるでレイさんの観測のようですね……。

Drei
タロ

安心したよ。そのクリスタルの大きさだと、3人とも確かに この世界で一度もゲームに参加してないみたいだね。

Taro
ドライ

そういえば、先ほどの者たちが逃げる際に落としたクリスタルは もっと大きかったように思いますね。

Drei
シオリ

ゲームの勝者は、敗者のクリスタルを吸収できるのですわ。 そして吸収する度に、石はどんどん大きくなる……。

Shiori
シオリ

そして他のすべてのクリスタルを吸収した最後のひとりだけが 『灰の王』への謁見を許され……。

Shiori
シオリ

ひとつだけ願望 (ゆめ) を叶えることができると言われています。

Shiori
ドライ

願望を叶える……ですか。 それはまた実に大きな話ですね……。

Drei
十三

じゃあ、なに?

Juusan
十三

この世界にやって来たドライブ能力者たちは、 本当かどうかもわからない、願望が叶うという噂のために、

Juusan
十三

会ったこともない『灰の王』を目指して、 お互いに殺し合ってるってこと?

Juusan
十三

そんなこと本気で信じると思う? 大体そんなことして『灰の王』になんの得があるの?

Juusan
シオリ

それはゲームの開催者である『灰の王』に 直接聞くしかありませんわ。

Shiori
シオリ

不思議に思うでしょうけど、今の話は全部 『この世界のルール』なのですから、仕方ないでしょう?

Shiori

1: 観測者……?
2: 『灰の王』って何者?

1:
2:

ドライ

まさか……この世界そのものを観測しているというのですか? 馬鹿な、それほどの力を持つ者など……。

Drei
ドライ

……いえ、私の探している方なら、あるいは。

Drei
ドライ

もしや本当に、あの方だというのですか……?

Drei
ドライ

このように大規模な計画を立てる方に、 ひとりだけ心当たりがあります。

Drei
ドライ

いや、しかしあの方だとしても、さすがにこの規模は……。

Drei
十三

ドライ。

Juusan
十三

下手に推理を口にするべきじゃない。 誰が聞いてるかわからないよ。

Juusan
ドライ

……ええ、そうですね。

Drei
十三

とにかく。

Juusani
十三

クリスタルを集めれば『灰の王』に会えるんだろ?

Juusan
十三

願望とやらに興味はないけど、ソイツには会わなきゃいけない。 だったら……やることは決まったね。

Juusan
ドライ

『ゲーム』に参加し、クリスタルを集める……ですね。

Drei
タロ

だよな! そうこなくちゃ!

Taro
タロ

で、ここからが俺たちのお願いなんだけどさ。

Taro
十三

……仲間になれっていうんだろ?

Juusan
タロ

ええ!? なんでわかったの!?

Taro
十三

アンタ、馬鹿にしてる? そんなの、見ればわかるに決まってる。

Juusan
十三

さっきの奴らも、アンタたちも、チームで動いてた。 人数差がある状況で、当たり前のように戦ってた。

Juusan
十三

つまりこの『ゲーム』は、チーム人数は固定じゃない。 誰と組もうが、何人で組もうが自由ってこと。

Juusan
十三

……まあ、上限はあるのかもしれないけど。

Juusan
十三

少なくとも、さっきの奴らの人数……4人くらいなら チームで戦っても構わないってことなんでしょ?

Juusan
タロ

さすがお姉さん。そこまでわかってるなら、話が早い!

Taro
タロ

同時に戦うことが許されるのは4人までなんだけどさ。 実はこのゲーム、1チ-ムの人数に制限はないんだ。

Taro
タロ

つまり何人で組んでも、代表として戦うのが4人であれば 問題ないってこと。

Taro
タロ

当然、どのチームも基本4人以上でメンバーを集めてる。

Taro
タロ

俺たちはふたりだし、そっちは3人でしょ? だから組んだ方が、お互い都合が良いと思うんだよね。

Taro
タロ

……どうかな?

Taro
十三

……好きにすれば。

Juusan
タロ

お願い、お姉さん! そこをなんとか!!

Taro
タロ

……えええっ!!?</style>

Taro
タロ

いいの!? 絶対ダメって言われると思ってたのに!!

Taro
十三

……気に入らないなら他をあたるんだね。

Juusan
タロ

いや、気に入る! 気に入りました!

Taro
ドライ

私も少々意外でした。本当に良かったのですか?

Drei
十三

何度も言わせないで。

Juusan
十三

『灰の王』が、もし本当に私の探してる奴なら 辿り着く可能性は少しでも上げた方が好都合でしょ。

Juusan
十三

それに……アイツは、少しは見込みがある。 私のことをお姉さんと呼んでたし。

Juusan
ドライ

…………は?

Drei
十三

私はチビじゃない。 今度私をそう呼ぶやつがいたら……問答無用で殺すから。

Juusan
ドライ

なるほど。 先ほど言われたことを気にしていたのですね……。

Drei

第2節『願望を叶える者④』/ 1. Wish-Granter - 4

Summary
一同はチームとして共に戦うことを決め、互

いの能力や願望を確認する。そこに突如開く 通信回線……その発信者はココノエだった。

ドライ

これから共に行動するとして、あなた方は 『灰の王』の居場所をご存じなのですか?

Drei
シオリ

いえ、ハッキリとそれを知る人は、今のところ お会いしたこともありませんわ。

Shiori
シオリ

ただ、『灰の王』は、この世界の中央に位置する『塔』に 座して待っていると言われています。

Shiori
シオリ

ですから『灰の王』に会うためには、クリスタルを集めたうえで その塔を見つけなければなりません。

Shiori
ドライ

世界の中央にそびえる塔……ですか。 大きなものであればすぐに見つかりそうなものですが……。

Drei
ドライ

詳しい場所を誰も知らないのであれば、 なんらかの術で隠されているのかもしれませんね。

Drei
十三

ねえ、クリスタルを集めるならさっさと集めに行かない? その辺のドライブ能力者を倒して奪えばいいんだよね。

Juusan
ドライ

まあまあ、そう焦らないでください。

Drei
ドライ

まだ我々は知らない情報が多すぎます。 ゲームのことも、この世界のことも、この方たちのことも。

Drei
タロ

そうだね。同じチームとして動くことになるんだから 俺たちのことも教えておくよ。

Taro
タロ

まず俺からね。俺の得意技は……これだよ。

Taro
ドライ

それは……糸ですか。 珍しい技ですね。

Drei
タロ

術式で編んだ特別製の糸だよ。 ちょっとやそっとのことじゃ切れないし、伸縮自在。

Taro
タロ

おまけに、術式で編んでるから、何度だって出せる。 俺の体力が尽きない限りはね。

Taro
タロ

接近戦もやれなくはないけど、この糸を使った攻撃が得意かな。 スピードにはそこそこ自信があるよ。

Taro
タロ

ま、スピードで言えばそこのシオシオの方が 俺なんかより数段上だけどね。

Taro
シオリ

またまた、タロ先輩ったら……。 そんなに言われる程でもありますわ。

Shiori

1: 自信たっぷりだね

1:

シオリ

はい、それはもう。

Shiori
シオリ

だって、シオリの技は暗殺の技。 敵に気付かれず、一瞬で息の根を止めるための技ですから。

Shiori
十三

そんな小さな身体で暗殺? へえ……面白いね。

Juusan
シオリ

はい。キリヒト家は、毒を以って暗殺を成す一族。 このナイフに塗ったシオリの毒は、特別製ですわよ。

Shiori
シオリ

もちろん、毒だけがシオリの強さじゃありませんけど。 試してみます?

Shiori
ドライ

いえ、先ほどの戦いを見れば、おふたりの実力はわかります。 ドライブ能力者として、確かな腕をお持ちのようですね。

Drei
タロ

そっちこそ、俺、驚いちゃったよ。

Taro
タロ

ドラドラは、とんでもない威力の術を使うし。 まるで、魔法かと思ったよ。

Taro
ドライ

……ドラドラ?

Drei
タロ

じゅうじゅうは、ものすごい速度から 信じられないくらい正確な一撃。

Taro
タロ

もしかして、じゅうじゅうも暗殺者だったりする?

Taro
十三

じゅうじゅう……。

Juusan
タロ

それからそっちのレイは…… なんだか不思議な技を使うよね。

Taro
タロ

黒い影のようなものを操って戦っていたように見えたけど…… あれ、どういう原理なの?

Taro

1: 呼び方が……
2: 僕(私)はあだ名なし?

1:
2:

タロ

なんだかしっくりくるのが思いつかなくて。 とりあえず保留ってことで!

Taro
十三

じゅうじゅう……。

Juusan
タロ

もしかして、気に入ってくれた? これからよろしくね、じゅうじゅう!

Taro
十三

…………。

Juusan
ドライ

ま、まあ……それについては置いておきましょう。 あなた方の実力も、よくわかりました。

Drei
タロ

うん、ありがとう。

Taro
タロ

あとは……さっきのクリスタルを吸収して……。

Taro
タロ

あっ、その前に。

Taro
タロ

手に入れたクリスタルの配分なんだけどさ、 君たちに全部預けるってことでいいよね?

Taro
ドライ

我々にですか。それはまた何故でしょう。 あなた方にも必要なものなのではないのですか?

Drei
タロ

チームとして持っていれば問題ないんだ。

Taro
タロ

だったら、強い君たちに持っててもらった方がいいかなって。 俺たちが君たちを信用している証にもなるし。

Taro
ドライ

わかりました。ではレイさん。 我々を代表してクリスタルの所持をお願いします。

Drei

1: 僕(私)なの!?

1:

ドライ

はい。私が思うに、このメンバーの中であなたが最も 中立かつ客観的な立ち位置です。

Drei
ドライ

ですから、代表者はレイさんこそ相応しい。

Drei
ドライ

十三も、異論はありませんよね。

Drei
十三

……まあね。

Juusan
十三

でも、もし他の奴に奪われたらタダじゃおかないけど。

Juusan
タロ

じゃあレイ、クリスタルを出して。

Taro
タロ

そしてこの手に入れたクリスタルに手をかざして、 自分の内に取り込むように、イメージするんだ。

Taro
ドライ

なんと。レイさんのクリスタルに 統合されるとは驚きです。

Drei
ドライ

それに、クリスタルから感じる気配も濃くなりました。 なるほど、こうやって大きくしながら集めていくのですね。

Drei
タロ

そういうこと。

Taro
タロ

さっきの奴らはドライブ能力者といっても 少数の能力者だけを狙った、おいはぎみたいな存在。

Taro
タロ

当然、そんなに強い相手を狙うことはないから 手に入るクリスタル量だって、どうしても少ない。

Taro
タロ

だけど、強いドライブ能力者同士の戦いは 一気にクリスタルを集めるチャンスでもあるんだ。

Taro
ドライ

その辺の戦力差、戦う日程、仲間の疲労…… それらのバランスを取って進める必要があるというわけですか。

Drei
ドライ

この戦いが『ゲーム』と呼ばれる理由がわかってきた気がします。

Drei
タロ

俺たちが知ってる情報は、こんなところかな。

Taro
タロ

また何かあったら聞いてね。 知ってることでよければ、なんでも答えるから。

Taro
十三

……なら、あとひとつ教えて。

Juusan
十三

アンタたちの『願望』 (ゆめ) は、なに?

Juusan'
十三

こんなわけのわからないルールを押し付けられて それでも『灰の王』を目指すのは、なんで?

Juusan
タロ

……すごく身勝手な願望さ。 力になりたい人がいるんだ。

Taro
タロ

その人はいつもひとりで戦ってて……すごく苦しんでた。

Taro
タロ

その人は、誰にも助けを求めなかったけど…… でも、せめて俺だけは力になりたいんだ。

Taro
タロ

だけど今の俺にはそんな力はない。 だから力が欲しい。そんな、俗っぽい身勝手な願望だよ。

Taro
シオリ

シオリは……大好きな人に会いたいのです。

Shiori
シオリ

大好きな人に会うことが、本当にその人のためになることなのか シオリは自信がありません。

Shiori
シオリ

だけど……。

Shiori
シオリ

タロ先輩と同じお気持ちです。 やっぱりシオリも大好きな人の力になりたい。

Shiori
シオリ

あの方には、もっと笑っていてもらいたいのです。

Shiori
十三

そう……。

Juusani
タロ

逆にそっちの願望も、よかったら教えてよ。

Taro
十三

……私の願望は、誰かに叶えてもらう必要なんかないから。 ゲームもクリスタルも興味ないよ。

Juusan
ドライ

私は……そうですね。 確かめたいことがあります。

Drei
ドライ

願望が叶うなら、そのことに使おうと思います。

Drei
タロ

ふぅん……レイは?

Taro

1: シエルに会いたい
2: みんなに会いたい

1:
2:

タロ

シエル? レイの仲間?

Taro
タロ

みんな? 仲間がいたの?

Taro
ドライ

この世界に来た時に、はぐれてしまったそうです。

Drei
シオリ

それは……心配ですわね……。

Shiori
タロ

まあでも、安心して。きっと大丈夫だよ。

Taro
タロ

こんな世界に放り込まれて、俺たちも生きてるんだから。 世界はどこかで繋がってる。きっと無事に会えるはずだよ。

Taro
ドライ

世界は繋がっている……確かに、そうですね。

Drei
ドライ

レイさん。 仲間の方と再会を目指して、進みましょう。

Drei
ドライ

きっとこの先のどこかで、情報が……。

Drei
ドライ

ッ……!!?

Drei
タロ

通信!? どこから!?

Taro
シオリ

みなさま、警戒を!

Shiori
シオリ

どこかに敵が潜んでいるのかもしれませんわ!

Shiori
通信

……る……めか……こを……こう、して……

Transmission
通信

よし……安定してきたぞ……。

Transmission
十三

げっ……!

Juusani
ココノエ

あー、聞こえるか。聞こえるな? 私だ。天才科学者のココノエ様だ。

Kokonoe

第3節『第一戦目①』/ 3. The First Battle - 1

Summary
短時間の通信に成功したカガミたち。わずか

に見て取れた現地の状況は厳しく、またココ ノエはひとつの反応に興味を示していた。

ココノエ

よし、始めるぞ。フガクと通信の波数を同調。 時間軸を固定する。

Kokonoe
ココノエ

あー。あー。テステス。

Kokonoe
ココノエ

駄目か……まだかなりズレがあるな。

Kokonoe
ココノエ

通信に使う波数をマイナス方向に。 ふむ……近づいてきた。

Kokonoe
ココノエ

ここを接続して……こうして…… いいぞ、ここだ! 出力を上げろ!

Kokonoe
ココノエ

よし……安定してきたぞ……。

Kokonoe
ココノエ

あー、聞こえるか。聞こえるな? 私だ。天才科学者のココノエ様だ。

Kokonoe
ココノエ

ちょっ、おいコラ! まだ私が喋ってるだろうが、押すな!

Kokonoe
シエル

レイさん!

Ciel
カガミ

私の声が聞こえるか、レイ!?

Kagami
ココノエ

ああ、くそ! もういい! いいか、通信は1分しか持たん、手短に話せ!

Kokonoe
カガミ

とにかく無事でよかった。 だが時間がない、私の話をよく聞いてほしい。

Kagami
カガミ

我々は今、そのファントムフィールドからレイを サルベージするため、全力を尽くしている。

Kagami
カガミ

だが準備には時間がかかる。 およそ160時間だ。

Kagami
カガミ

おまけに、《浸入》 () から脱出するまでに許された時間は わすか8時間しかない。

Kagami
カガミ

だから、我々が《浸入》 (ダイブ) するまでの間、 レイはそこで観測者の情報を探ってくれ。

Kagami
カガミ

今回の任務は、お前ひとりに頼るしかない。だから……。

Kagami
シエル

レイさん、私が必ずそちらに行きます。 だからどうか……それまでご無事でいてください!

Ciel
シエル

あっ……。

Ciel
シエル

レイさん……。

Ciel
ココノエ

安心しろ、お前たちの声は届いたはずだ。 完全にこちらからの一方通行の通信ではあるがな。

Kokonoe
ココノエ

現状ではこの程度が限界だ。 今後再び通信が繋がるという保証もない。

Kokonoe
カガミ

いや、お前の協力のおかげで望みが見えたんだ。 感謝してる。

Kagami
カガミ

絶望的な状況ではあるが、我々はやるべきことをやるしかない。 それほど大きなファントムフィールドでないのが唯一の救いだな。

Kagami
ココノエ

ああ。私の観測していた階層都市よりも、 やや大きい程度だろう。

Kokonoe
ココノエ

そのほとんどがひどく乾燥した地域のようだ。 生命反応もかなり少なく、まばらだな。

Kokonoe
ココノエ

生き抜くにはなかなか厳しい環境と見える。

Kokonoe
カガミ

そうだね……。 ただ……気になるな。

Kagami
シエル

気になるとは……なにがでしょうか。

Ciel
カガミ

あちこちに、妙な反応があるんだ。 ……というか、大量のドライブ反応がある。

Kagami
カガミ

まるで大勢のドライブ能力者がいるみたいにね。

Kagami
シエル

大勢のドライブ能力者……ですか。 レイさんはひとりで大丈夫でしょうか。

Ciel
カガミ

……観測者の条件は、異物ではないドライブ能力者だ。

Kagami
カガミ

フィールドのドライブ能力者が多いということは、 それだけ観測者を探すハードルも上がるということ。

Kagami
カガミ

フガクのバックアップもなしに、その中から 観測者を探すというのは、並大抵の難易度じゃないだろう。

Kagami
カガミ

レイにとって厳しい状況であることに間違いはない。 それでも我々は、レイを信じるしかないんだ。

Kagami
カガミ

……乗り越えなければならない、試練だな。 レイにとっても、我々にとっても。

Kagami
カガミ

さて、とにかくこちらは 準備を全速力で進めようじゃないか。

Kagami
カガミ

なにせレイの救出は、我々のサポートに かかっているんだからね。

Kagami
シエル

はい……わかりました。

Ciel
シエル

私も《浸入》 (ダイブ) に備えて、準備を進めます。

Ciel
ココノエ

さて……気になるのはレイの近くにある この反応だが……。

Kokonoe
ココノエ

やはり『奴』で間違いなさそうだ。 こいつが吉と出るか、凶と出るか……。

Kokonoe

第3節『第一戦目②』/ 3. The First Battle - 2

Summary
十三たちはココノエからの通信を受け取った

ことで、この先の行動について検討。しかし そのさなか魔物が現れ、全員で応戦する。

魔物が落としたメモで、バトルの場所と時間

が示される。タロからルールの詳細を聞きな がら、一行は指定された場所へと向かった。

タロ

今のが、レイの仲間の人?

Taro
ドライ

そのようですね。 話の内容は私には理解できませんでしたが……。

Drei
ドライ

レイさんを助けようとしていることだけは 伝わってきました。

Drei
シオリ

……タロ先輩。 さっきの人、ココノエと名乗ってましたけど……。

Shiori
タロ

うん。第七機関のココノエ博士……だと思う。 こんなところで名前を聞くなんて、驚きだ。

Taro
ドライ

おや、あなた方もご存じなのですか?

Drei
タロ

ううん、直接知ってるわけじゃないんだ。噂だけ。 ほとんど都市伝説みたいな人だよ。

Taro
タロ

でも、あのココノエ博士が仲間って…… レイって、いったい何者?

Taro

1: ……詳しく話せない
2: 自分でもよくわからない

1:
2:

タロ

……ごめん、そうだよね。 簡単に言えないことって、誰にでもあるよね。

Taro
ドライ

不思議な人ですね、レイさんは。 ですが悪い人ではない……それは確かです。

Drei
ドライ

それにしても、映りこんだ背景はこの世界のどこかとは とても思えない場所でしたね。

Drei
ドライ

とても高度な技術が使われているように思えます。 まるで世界の外側、あるいは別の世界であるかのような。

Drei
ドライ

少なくともこの近辺では見られない技術です。 かなり遠方であることは間違いないでしょう。

Drei
ドライ

だとすると、レイさんが仲間の方々と 合流するのは、そう簡単ではなさそうですね。

Drei
ドライ

十三、なにかいい手はありませんか?

Drei
十三

……どうしてそこで、私に聞くの?

Juusan
ドライ

いえ、私の気のせいでしたら申し訳ありませんが…… 先ほどの『ココノエ博士』をご存じのようでしたので。

Drei
十三

……別に。こっちが勝手に知ってるだけだよ。 といってもそんなに詳しいわけじゃない。

Juusan
十三

だいたい、さっきの話だと、わざわざ会いに行かなくても あっちから勝手に来てくれるんじゃないの?

Juusan
ドライ

どうでしょうね。あの様子では、すぐこちらへ向かう というわけにはいかないようでしたから。

Drei
ドライ

十三はレイさんを助ける理由があるのでしょう? お仲間のところへお連れできれば、助けたことになるのでは?

Drei
十三

違う、私はこう言ったんだ。 仕方ないから、もののついでだってね。

Juusan
タロ

まあまあ、ふたりとも落ち着いて。

Taro
タロ

そんなことより――

Taro
魔物

ギョワアアアア!!!

Monster
タロ

――あっちをなんとかしなきゃ!

Taro
シオリ

くっ、数が多いですわよ!

Shiori
十三

……そうだね、話はあとだ。 まずはこの雑魚どもを片付けるよ。

Juusan
シオリ

きますわよ! みなさま、お気をつけて!

Shiori
魔物

ギャア! ギャアア!

Monster
ドライ

むっ……逃げますか。 魔物のくせに、いい判断です。

Drei
十三

だけど、妙な動きだった。 まるで、こちらを試しているみたいな……。

Juusan
タロ

いや……今の魔物はもしかしたら……。

Taro
タロ

あっ、ほら! なにか落とした!

Taro
十三

……どういうこと? それ、なに?

Juusan
タロ

やっぱり。次のバトルの指示だよ。 場所と時間が記されてる。

Taro
ドライ

ずいぶんと面倒な伝え方をするのですね。

Drei
シオリ

これだけではありませんわ。

Shiori
シオリ

今までも、街ですれ違う子供が伝えてきたり、 廃墟の壁に書かれていたり……。

Shiori
シオリ

そうそう、矢文で伝えられたこともありました。 とにかく、毎回異なる凝った方法で伝えてくるんです。

Shiori
十三

よくわからないけど、そこに書かれた場所に行けば、 ドライブ能力者がいるってこと?

Juusan
タロ

そう。相手のチームにもなんらかの方法で 同じ情報が伝わってるんだ。

Taro
タロ

で、その時間、その場所に行けば 相手のチームとバトルになるって仕組みさ。

Taro
十三

指示に従わなかったら?

Juusan
タロ

試したことはないけど……失格になるって噂だよ。

Taro
十三

失格? 失格になるとどうなるの?

Juusan
タロ

……クリスタルごと消失する。消えるんだ。

Taro
ドライ

質問ばかりですみませんが、消えるとはどういう……?

Drei
シオリ

あの……このメモに書かれた時刻まで、あまり時間がありません。 話でしたら、移動しながらにしませんか?

Shiori
シオリ

遅れてしまっては大変ですわ。

Shiori
ドライ

そうですね。 まずはメモに書かれた場所に向かいましょう。

Drei
十三

じゃあ、バトルに負けたら問答無用で死ぬってことか。

Juusan
タロ

死ぬのとは違うって。 この世界から追い出されるだけだよ。

Taro
ドライ

つまり、元いた世界に戻る……そういうことでしょうか。

Drei
タロ

多分、ね。この世界の人たちはみんなそう言ってる。 ……もっとも、それを証明する手段はないけれど。

Taro
タロ

負けてクリスタルを奪われたら消えるのは間違いないよ。 俺たちも、何度か見てきたからね。

Taro
タロ

だからさっきの能力者たちも、逃げた後おそらく……。

Taro
ドライ

そうですか……。

Drei
ドライ

となると、我々も進むしかないということですね。

Drei

1: 辞退はできないんだね
2: できれば戦いは回避したい……

1:
2:

ドライ

ええ。

Drei
ドライ

ゲームで負ければ失格。 ゲームから逃げても失格。

Drei
ドライ

ならば我々は、このゲームに勝ち進むしか道がありません。 今はそのために、成すべきことを成さなければ。

Drei
ドライ

難しいかもしれませんね。

Drei
ドライ

ゲームに参加しなければ失格……失格になれば クリスタルは消失し、我々も消えてしまう。

Drei
ドライ

それを避けるためには、ゲームに参加し、 勝ち続けなければならないのですから。

Drei
ドライ

私たちはもう、このゲームを仕掛けた者の 手の内ということですよ。

Drei
ドライ

ゲームを仕掛けた開催者……おそらく『灰の王』のね。

Drei
ドライ

レイさん、あなたの仲間と合流するためにも なんとしてもこのゲームを勝ち抜きましょう。

Drei
タロ

じゃあ、勝ち抜くためにもう少し説明しておくから 移動しながら聞いてね。

Taro
タロ

このゲームがクリスタルの争奪戦っていうのは 既に話した通りだけど……。

Taro
タロ

ルールとしては単純明快。 負けを認めれば、相手にクリスタルを奪われる。

Taro
タロ

試合の勝利条件は、相手チームの『リーダー』が 敗北を認めること。

Taro
タロ

逆に言えば、 リーダーが敗北しなければゲームは終わらない。

Taro
タロ

だからチームの勝利が確定するまで、油断しちゃ駄目だよ。 徹底的に戦うこと。

Taro
タロ

でも、負けを認めてクリスタルを奪われた者は そこでゲームオーバー。

Taro
タロ

もうゲームに復帰することはできないよ。 数分もしたらその場からスッと消えてしまうからね。

Taro
ドライ

では、戦力を集中して各個撃破する作戦も有効そうですね。

Drei
タロ

うん、もちろんそいつはハマればいい作戦だ。 けど、逆に集中して攻められるリスクも負う。

Taro
十三

チームが4人構成だからね。様々な局面が考えられる。 それだけひとりひとりの負担も大きい。

Juusan
十三

リーダーの敗北がチームの負けっていうのなら、 なおさらだ。

Juusan
十三

ひとり倒れただけで戦力差も大きくなる。 だから位置取りがなによりも大事になるはず。

Juusan
ドライ

意外ですね。あなたはひとりで戦うタイプかと思いましたが 戦術にも精通していたとは。

Drei
十三

……私には、戦いしかなかったから。 それで? リーダーを判別する方法はあるの?

Juusan
タロ

ない。相手のリーダーが誰なのかを見破るのも ゲームの大切な要素なんだ。

Taro
十三

ふぅん……。

Juusan'
タロ

それから、これが一番大切なことなんだけど。 リーダーは、念じるだけでチーム全員と意思疎通が可能だ。

Taro
十三

はぁ? なんだって?

Juusan
タロ

だからリーダーは同時に、重要な指揮官でもある。 戦場を見極めて、誰がどう動くのかを瞬時に指示するんだ。

Taro
タロ

チーム内で誰がリーダーかを決めておけば、 ゲームのシステムが勝手に認識してくれる。

Taro
タロ

不思議だけどね。

Taro
十三

……よくわからないな。

Juusan
十三

なんだって『灰の王』はこんな面倒なルールを敷いたの? そもそも『灰の王』の目的はなに?

Juusan
タロ

さあね。俺たちが知ってるのは、彼の作ったルールだけ。 知りたければ……『灰の王』へ辿り着くしかないよ。

Taro
十三

知れば知るほどムカついてきた。 やっぱりソイツは……私が殺す奴かもね。

Juusan
タロ

怖いなぁ……。 でさ、ポジション分けなんだけど。

Taro
タロ

じゅうじゅうとドラドラが前衛。俺が後衛。 レイがリーダー、でどうかな?

Taro
シオリ

ええ〜? シオリは補欠なんですかぁ?

Shiori
十三

戦力のことを考えたら、妥当だね。 アンタのスタミナじゃ、長期戦や連戦はキツそうだし。

Juusan
十三

レイがリーダーっていうのは、悪くない。 意外と冷静だし、やれることが幅広いし。

Juusan
十三

私が前衛っていうのもいいね。 ちょっとやる気も出てきたよ。次の対戦場所はまだ?

Juusan
シオリ

……はぁ、仕方ありませんわね。 あなたがたがお強いのは事実ですし。

Shiori
シオリ

対戦する場所には、間もなく到着のはずですわ。 皆さん、気を引き締めてくださいね。

Shiori

第3節『第一戦目③』/ 3. The First Battle - 3

Summary
到着した荒野で、レリウス、リンファ、アラ

クネ、ツヴァイと激突。巧妙な戦略に苦戦す るが、リーダーの指示で形勢は逆転する。

勝負は決着し、敵チームからクリスタルが手

に入る。初戦から強敵を破った喜びと疲労を 共有しつつ、一行はダイナーへと向かった。

ドライ

こちらが、指定された場所……ですか。 あそこに、人影が見えます。

Drei
タロ

……どうやら、向こうの方が先に着いてたみたいだね。

Taro
ツヴァイ

おっ、誰かと思えばドライじゃないか。 久しぶりだな、元気にしていたか?

Zwei
ドライ

なんと……これは驚きました。 我が師ツヴァイ、なぜあなたがこのような世界に。

Drei
ツヴァイ

おいおい、馬鹿な質問をするなよ弟子。 相変わらず生真面目な奴め。

Zwei
ツヴァイ

これだけドライブ能力者が集まっている世界なんだ。 わかるだろ?

Zwei
ドライ

あなたが私たちの対戦相手……ということですか。

Drei
ツヴァイ

そういうこと。少しは喜んでくれてもいいんじゃないか? 久しぶりの師弟の再会なんだから。

Zwei
ドライ

本来ならばそうしたいところですが……今の私にとっては あまり好ましい再会とは言えませんので。

Drei
十三

アイツ、強いね。何者?

Juusan
ドライ

ツヴァイ……私の魔術師としての師ですよ。

Drei
ドライ

魔道協会の最高位となる称号を与えられた大魔術師でしたが よくわからない理由でその地位をすべて捨てた方です。

Drei
ドライ

自由奔放で……悪く言えば、実に身勝手な方でした。 ですが……その強さは間違いなく本物です。

Drei
タロ

へえ〜、でもこんなところで再会できるなんて、すごい偶然だね!

Taro
タロ

ねえ、お姉さん。ドラドラのお師匠さん……なんだよね? 可愛い弟子のために、負けてやってくれたりしない?

Taro
ツヴァイ

ん? ドラドラ、というのは我が弟子のことか?

Zwei
ツヴァイ

はっはっは! おもしろいな、君! 確かに、可愛い弟子のためだもんな!

Zwei
ツヴァイ

……だけど、そいつは無理だ。 なんせ私にも、この世界で目指すものがあるのでね。

Zwei
ドライ

では、あなたも願望を叶えるために『灰の王』を目指していると? ……意外ですね。

Drei
ツヴァイ

意外? なにが?

Zwei
ドライ

あなたは常に、ご自身の道を自ら切り拓いてこられた。

Drei
ドライ

そのあなたが、他者の手で願望を叶えようと しておられるのは……意外です。

Drei
ツヴァイ

私だけじゃない。 うちのチームの他の者だって、同じだ。

Zwei
ツヴァイ

皆、それぞれの願望を叶えるために。 自らの意思で戦いの道を選んだ者たちだ。

Zwei
ツヴァイ

だがね、ドライ。時間は有限なんだ。 若い君にはわかるまいが……。

Zwei
ツヴァイ

人生は短い! ショートカットできるなら、近道したっていいんだよ!

Zwei
ツヴァイ

そして私の最終目標を達成するためには、今この瞬間! どうしても、先に叶えねばならぬ願望があるのだ!!

Zwei
ドライ

宜しければ、その願望とやら……お聞きしても?

Drei
ツヴァイ

究極のスパイスの調合だ!!!</style>

Zwei
ツヴァイ

これこそが私の最終目標!</style> 究極のカレーへの道となる!!</style>

Zwei
シオリ

あの……よくわからないのですが……。 でしたら、究極のカレーを叶えてもらえばよいのでは……。

Shiori
ツヴァイ

いきなりゴールに辿り着いてはつまらないだろう!? 自分の道は、自ら切り拓くから楽しい! そうだろう我が弟子よ!

Zwei
シオリ

えっ、だって先ほど、近道してもいいって……。

Shiori
シオリ

すみません、シオリ、少々頭が混乱してきました……。 あの、ドライ様? この方は……こういう方ですか?

Shiori
ドライ

さすがはわが師ツヴァイ。 その自由奔放なお姿、かつて憧れた師そのものです。

Drei
シオリ

えーと…………。

Shiori
タロ

シオシオ、あんまり考えない方がいいと思うよ。

Taro
タロ

それより、そんなにすごい人と一緒にいるってことは あっちの3人もかなり手強そうだね。

Taro
タロ

寡黙そうなお兄さんと……。

Taro
タロ

可愛い女の子と……。

Taro
タロ

えーと……黒いかたまり?

Taro
アラクネ

キヒ……キヒヒヒヒヒ! アオ、アオあお蒼アオアオ……よこせ!!

Arakune
アラクネ

貴様のクリスタル! ワレ、頂くゾ!

Arakune
タロ

この人、マジでやばそうだな…… ていうか、あんまり戦いたくない……。

Taro
タロ

そっちの子とお兄さんは話が通じそうだね。 ねえ、君たちも叶えたい願望があるの?

Taro
リンファ

もちろん! ボクの願望は、立派なお医者様になること!

Linhua
レリウス

……くだらんな。 これから戦う相手に語る意味などない。

Relius
タロ

なんだか全然一枚岩じゃないチームだね……。

Taro
十三

急造の寄せ集めだ、当然だよ。 だけど、最後の答えには同感だ。

Juusan
十三

これから戦う相手に語る必要なんかない。 これから消える相手なら、なおさらね。

Juusan
ツヴァイ

ほう、なかなか言ってくれるじゃないか。

Zwei
ツヴァイ

確かに我々は一枚岩ではないが……こと戦いに関しては それほど悪いチームではないぞ?

Zwei
十三

なら、試してみればいい。簡単だよ。 どちらが正しいのかは、結果が教えてくれる。

Juusan
ドライ

……そうですね。十三の言う通りです。

Drei
ドライ

お互いに信じる道があるのならば、戦うほかありません。

Drei
ドライ

私も、師を超えることで証明してみせましょう。 私の信じる道が、いかに正しいのかを。

Drei
ツヴァイ

ふむ、確かに……これ以上のお喋りは時間の無駄というものか。 よろしい、では始めよう!

Zwei
ツヴァイ

この私を超えてみるがいい、我が弟子ドライよ!

Zwei
ドライ

望むところです!

Drei
リンファ

ボクも負けない!

Linhua
レリウス

…………。

Relius

1: 僕(私)を見ている?

1:

レリウス

……なるほどな、なかなかおもしろい趣向だ。

Relius
タロ

それじゃあ、いくよ! 皆、作戦通りに!

Taro
アラクネ

キッヒヒヒヒ!!

Arakune
タロ

くそっ……こいつ、動きが読めない! おまけに攻撃方法もめちゃくちゃだ!

Taro
アラクネ

死ねシネシネシネ消えろォ!! ワレ蒼を手にスル……貴様ら、邪魔だ!!

Arakune
タロ

術糸、縫製!!

Taro
アラクネ

……きひっ? いまナニかしたか?

Arakune
タロ

また攻撃がすり抜けた!? どうなってるの、こいつの身体!!

Taro
リンファ

あわわわわ……ひゃあっ!!

Linhua
十三

ちっ……今のは惜しかった。

Juusan
十三

ねぇアンタ。いつまで逃げるつもり? 本当に戦う気、ある?

Juusan
リンファ

だ、だって君、強すぎるし!! それに、逃げちゃ駄目なんてルールはないんだから!!

Linhua
リンファ

ボクは遠慮なく逃げ回らせてもらうよ〜!

Linhua
十三

また逃げた……。 戦意のない奴は、面倒だな……。

Juusan
ドライ

ヌゥンッ!!

Drei
ツヴァイ

甘い!!

Zwei
ドライ

なっ……!

Drei
ドライ

さすがは十聖のツヴァイ。 我が術を片手で相殺するとは、お見事です。

Drei
ツヴァイ

お前の技は確かにパワーはある。 だが雑すぎる。それに真っすぐだ。

Zwei
ツヴァイ

お前の生き方同様、不器用なんだよ。

Zwei
ドライ

確かに私は、あなたのように自由な生き方はできません。 それでも!!

Drei
ツヴァイ

くっ!?

Zwei
ドライ

私はこのチームで、あなたに勝つつもりです。

Drei
ツヴァイ

ふむ……確かに、なかなかいいチームではある。 だけど、それで勝つというには、どうかな?

Zwei
ツヴァイ

見たところそっちのチームで最強なのは、 あの白い髪の少女だろう。

Zwei
ツヴァイ

たしかにあの少女は脅威だ。 本当に人の身体かと疑うほどにね。

Zwei
ツヴァイ

1対1であれば、私が相手をしても勝てるかどうか。 ……だから、リンファを彼女にあてた。

Zwei
ツヴァイ

アレは戦意や殺気を正面から斬り倒すタイプだ。 だけどリンファのような力なき少女相手ではどうだ?

Zwei
ツヴァイ

リンファには殺気がない。狂気もない。 おまけに一向に攻撃もせず、ただ逃げ回るだけ。

Zwei
ツヴァイ

あの手のタイプは、リンファのように逃げ回る一般人には 本来の10%も力を出せないよ。

Zwei
ツヴァイ

あっちの糸使いの少年は、経験が足りない。 それに、お前と同じく真面目で正直なタイプだ。

Zwei
ツヴァイ

だからアラクネをぶつけた。彼の技量では、 流動体のアラクネにダメージを与えるのは難しいだろう。

Zwei
ツヴァイ

レリウスはいかなる時も冷静、かつどんな環境にも対応できる。 私ですら奴の底は見えない。

Zwei
ツヴァイ

相手にどれほどの力があっても、レリウスであれば問題ない。 少なくとも、時間稼ぎ程度はね。

Zwei
ドライ

時間稼ぎ……?

Drei
ツヴァイ

そうだ、ドライ。 何故ならお前では私には勝てない。

Zwei
ツヴァイ

さっきのやり取りで確信したよ。 お前の力は昔のままだ。私の想定を上回れていない。

Zwei
ツヴァイ

つまりこの戦いは……私とお前の力の差が そのまま勝敗を決することになる!

Zwei
ドライ

ぐはぁっ!!

Drei
ドライ

ぐっ、くぅ……な、なんという力…… これが十聖ツヴァイの本気というわけですか……。

Drei
ドライ

確かに、まずい状況です……なんとかしなければ……。

Drei
レリウス

…………。

Relius
レリウス

ふむ……まるで動くつもりがないようだな。 面白いものを見せてくれるかと思ったが、見込み違いか?

Relius
レリウス

その眼でなにを観ているのか、興味はあるが…… このままじっとしているわけにもいかないのでな。

Relius
レリウス

消える前に、その中身を少し見せてもらうとするか。

Relius

1: チームに指示を出す
2: ポジションを入れ替える

1:
2:

ドライ

頭の中に声が……これは、レイさん!?

Drei
十三

おもしろいね、これが指揮官の能力ってこと? それに……へぇ。

Juusan
タロ

あー、なるほどそういう作戦ね! 了解、了解っと!

Taro
ドライ

な、なんですかこれは? 突然頭の中に声が……ポジションを、入れ替える?

Drei
十三

ふん……うまくいかなかったら、ただじゃおかないから。 けど、いいよ。今はその作戦に乗ってあげる。

Juusan
タロ

よ〜し、それじゃフォーメーションベータってことで!

Taro
ドライ

師ツヴァイよ、残念です……。 我々の手で決着をつけたかったのですが……。

Drei
ツヴァイ

ん? あっ!?

Zwei
ツヴァイ

おい待て、ドライ! 馬鹿な、あの馬鹿正直な男が逃げの手だと!?

Zwei
ツヴァイ

ちぃっ!

Zwei
十三

やっぱりアンタの方が遊び相手によさそうだね。 ほら、相手を探してるんだろ? かかってきなよ。

Juusan
十三

言っておくけど、私から逃げようとしても無駄だよ。 獲物を追うのは得意なんだ、昔から。

Juusan
ツヴァイ

くっ……こいつは参った。 だが確かに、逃がしてはもらえなさそうだ!

Zwei
リンファ

あれ? あの人、どこに行ったんだろう? おっかしいなぁ、ついさっきまで後ろにいたはず……。

Linhua
リンファ

えっ?

Linhua
リンファ

うわっ!? ひゃあああ!? な、な、なにこの糸!?

Linhua
リンファ

うううーーん!! ぜ、全然切れない……!

Linhua
タロ

よーし、捕まえたよ!

Taro
タロ

俺の糸は術式で編んだ特別製だからね、 そう簡単には切れないよ。

Taro
タロ

あんまり女の子には使いたくないんだけど…… なるべくきつく縛らないようにするから、ごめんね?

Taro
アラクネ

ギヤアアァァァ!!

Arakune
アラクネ

カ、身体が……ワレの身体が崩れるルルルぅぅ!! キサマ、貴様貴様、なにをシタ!!

Arakune
ドライ

その肉体、液体を空間に固定しているようですね。 ですが、内側から魔術で爆ぜればどうですか?

Drei
ドライ

すみませんが、手加減はできませんよ。 私の魔術は……不器用ですからね。

Drei
アラクネ

オノレエエエエ!!

Arakune
レリウス

それぞれの特性を瞬時に把握し、ポジションを入れ替えたか。 やはり貴様のその眼……興味深い。

Relius
レリウス

そちらのチームのリーダーは貴様で間違いないな。

Relius

1: 答える
2: 答えない

1:
2:

レリウス

あるいは願望など叶えずとも…… 私の求めるものが見つかったのかもしれないな。

Relius
レリウス

是非ともその眼を私に見せてくれ。

Relius
レリウス

無言は肯定と受け取ろう。 その眼……どこで手に入れた?

Relius
レリウス

まあいい……これからじっくりと見せてもらうとしよう。

Relius
アラクネ

レリ、レリレリレリウスぅ! ワレの身体、崩れるうぅ……キサマも戦エ!

Arakune
リンファ

なんとか逃げて来れたけど、危なかったぁ……。 ねぇ、あの人たち本当に強いよ!?

Linhua
ツヴァイ

ふぅ、完全に一本取られたよ。 てっきり指揮官はドライかと思っていたのだが。

Zwei
ツヴァイ

こちらの有利を消すような、的確なポジションだった。 いや、敵ながら実にお見事な指揮だ。

Zwei
ツヴァイ

やれやれ。こうなっては集まって戦うしかないね。 各個撃破でもされたら終わりだ。

Zwei
ドライ

お見事です、レイさん。 一気に形勢はこちらに傾きましたね。

Drei
十三

くだらない鬼ごっこは終わりだよ。 さっさと私がせん滅してやる。

Juusan
タロ

俺たちのチームワーク、見せてやろうよ!

Taro
シオリ

見てください、相手チームのクリスタルが出現しました! さすが皆さん! これでこちらの勝利ですわ!

Shiori
アラクネ

ギヒアアア……ワレの、ワレのクリスタル……!

Arakune
ツヴァイ

まいった。 残念だけど、君たちの想いの方が強かったみたいだ。

Zwei
ツヴァイ

……私がこちらのリーダーだよ。完敗だ。

Zwei
リンファ

そんな……ボクの医学の道は、 こんなところで終わってしまうの……。

Linhua
ツヴァイ

そんなことはない。ここで敗北したとしても 我々という存在は、本来あるべき世界に帰るだけだ。

Zwei
ツヴァイ

だからリンファの願望はまだ終わってはいない。 むしろここから始まるんだ。胸を張りなさい。

Zwei
リンファ

ツヴァイさん……ありがとう。

Linhua
レリウス

レイ……だったか。 今日は面白いものを見せてもらった。

Relius
レリウス

今度はその中身を……是非見せてもらいたいものだ。 貴様の今後には、大いに期待している。

Relius
ツヴァイ

ま、そういうわけだ。 私たちも別に死ぬわけじゃないから、気にしないでくれ。

Zwei
ツヴァイ

元の世界に帰ったら、究極のスパイス探しに明け暮れるだけさ。

Zwei
ツヴァイ

それでは、君たちの幸運を祈っているよ。 そこの未熟な弟子のこと、よろしく頼む。

Zwei
ドライ

なっ……ツヴァイ、私はまだあなたに……!

Drei
ドライ

消えた……。

Drei
ドライ

レイさんに、すべてのクリスタルが集まって……。 これで、ゲームに勝利したということですか。

Drei
タロ

そう。あの4人のクリスタルを、 レイが手に入れたってことだよ。

Taro
タロ

はぁ〜……。それにしても、手強い相手だったね。 いきなりあんな強敵と当たるなんて。

Taro
シオリ

それでも勝ったのですから、すごいことですわ! 特にレイさんの作戦……お見事でした!

Shiori
タロ

うん。頭の中に声が響いた時は驚いちゃった。 あの一瞬で、大した判断力だよ。

Taro
タロ

でも、これでこのチームで1勝。 誰も脱落しなかったし、幸先は良いと思うよ!

Taro
タロ

まだまだ強敵が現れるかもしれないけど、 力を合わせれば、きっとなんとかなるよね!

Taro
十三

『灰の王』に辿り着くまで、すべての障害は排除するだけ。 誰が相手だろうが、関係ないよ。

Juusan
十三

むしろ強い相手なら大歓迎だ。 あの程度の奴らじゃ、物足りないし。

Juusan
十三

……アンタたち、私と組んで正解だったね。

Juusan
ドライ

しかし油断はできませんよ。我々の他にどのような ドライブ能力者がいるのか、わかっていないのですから。

Drei
ドライ

それに体力も消耗しています。もし今この状況で 他のチームに襲われれば、ひとたまりもありません。

Drei
ドライ

なるべく早く休める場所を探す必要がありますね。

Drei
シオリ

あ、でしたら。確かこの先にダイナーがあったはずですわ。 そこなら食事もとれますし、少し休んでいきましょう。

Shiori
十三

いいね……おなか空いたし。

Juusan
タロ

じゅうじゅう、意外と食いしん坊キャラだったりする?

Taro
タロ

よし、じゃあとにかくまずはダイナーに向かおう! 次の戦いまで、作戦も練っておかなきゃね!

Taro

第4節 『助けてあげる①』/ 4. I'll Save You - 1

Summary
一同は食卓を囲み、様々に会話を交わす。し

かし食事が届くと同時に次の対戦指示が手渡 され、慌ただしく指定の場へ向かうことに。

チンピラ

ぐ……ぐえぇ……っ。

Ruffian
タロ

……残りはどう!?

Taro
シオリ

今ので最後ですわ!

Shiori
タロ

よかった〜……よし、今のうちにダイナーに急ごう。 これ以上雑魚の相手は嫌だからね!

Taro
十三

……やっとついた。

Juusan
ドライ

中々厳しい道中でしたね。 大した距離ではなかったはずですが……。

Drei
タロ

次から次へと絡まれるんだもんなぁ。 精神的には、さっきの対戦よりきつかった……。

Taro
タロ

レイは大丈夫?

Taro
シオリ

たぶん、私たちがクリスタルを手に入れるのを見ていたのですわ。 それで標的にされたのでしょうね……。

Shiori
十三

面倒くさい連中だな……。 あんまり関わりたくない。

Juusan
タロ

それには同感。 とりあえずメシ休憩にしよう。腹が減ったよ。

Taro
シオリ

ふぅ……ようやく一息、ですわね。

Shiori
十三

…………。

Juusan
ドライ

どうしました、十三?

Drei
十三

戻ってくる間に倒した連中、誰もクリスタルを 落とさなかったな。

Juusan
タロ

そうだね。彼らはドライブ能力者じゃなかったから。

Taro
タロ

ただ、どうもドライブ能力者のクリスタルは、 裏で高値で取引されてるみたいなんだ。

Taro
タロ

さっきの連中はみんな、それを狙って襲ってきたんだろう。

Taro
十三

金になるのか……。

Juusan
シオリ

どうやら、結構な値打ちらしいですわ。 彼らにとっては、集めたって綺麗なだけの石ですのに。

Shiori
ドライ

ということは、能力があるわけでもない一般の人間が、 ああして通りかかる能力者を襲撃しているということですか。

Drei
ドライ

なんと乱れた世の中でしょう……嘆かわしい。

Drei
タロ

そうだね。治安はお世辞にもいいとは言えないよ。

Taro
タロ

この世界には俺たちみたいな、別の世界から招かれた ドライブ能力者の他に、そういう『普通の人』が暮らしてる。

Taro
タロ

ああいう荒っぽい連中の他にも、ダイナーの周辺で暮らしてる 人とか、ダイナーを経営してる人とか。あと、魔物とかね。

Taro
シオリ

そういった人や魔物は、別の世界から来たわけではなくて、 初めからこの世界で暮らしている人たちのようです。

Shiori
シオリ

もちろん、ドライブ能力者ではありませんから、 倒したとしてもクリスタルは手に入りませんわ。

Shiori
シオリ

もっとも、別の能力者から奪ったクリスタルを持っていれば、 その限りではないかもしれませんけれど。

Shiori
十三

……ここに着くまでのあの戦いは、 全部無駄骨だったってことか……聞いたらなんか疲れた。

Juusan
タロ

はは、そうなるね。私怨や憂さ晴らしでもない限りは、 体力を使うだけかも。

Taro
タロ

ドライブ能力者はクリスタルを見せて証明すれば、 ダイナーでの食事や宿泊も無料だしね。

Taro
ドライ

そうなのですか!?

Drei
シオリ

え、ええ……そうです。私たち、ずっとそうやってきましたし。

Shiori
十三

……もっと早く知りたかった。

Juusan
タロ

あー……ああいう連中から、巻き上げてたクチかぁ。

Taro
ドライ

もちろん、襲撃してきた者たちからのみで、 そうではない一般の人々に手を出したことはありませんよ。

Drei
ドライ

ですが……まさかそのような仕組みがあったとは……。

Drei
十三

ここまでどれだけ無駄骨を折らされてきたんだ、まったく。

Juusan
シオリ

ま、まあまあ、知らなかったのですから、仕方ありませんわ。 それぞれの感じでそう落ち込まないでくださいませ。

Shiori

1: この世界の人はみんな普通の人?
2: ドライブ能力者はいないのかな?

1:
2:

タロ

普通ってのは、ドライブのない人ってことだよね。 うーん。絶対とは言えないけど、俺が知る限りではそうだな。

Taro
シオリ

どうでしょう。断言まではできませんけれど、ダイナー付近の 方々は違うのではないでしょうか。見たことありませんもの。

Shiori
シオリ

意図的に能力を隠していたら、わかりませんけれど。 そうまでする必要もないと思いますし……。

Shiori
ラーベ

私たちの目的は観測者探しだ。観測者が見つからなければ、 私たちがここにいる意味はない。そうだな?

Raabe
シエル

はい。

Ciel
ラーベ

で? 観測者の条件は?

Raabe
シエル

ドライブ能力者であることと……ファントムフィールド化した 『時間軸』の世界の住人であることです。

Ciel
シエル

あ……異物であれば、観測者の候補から外れますが……。

Ciel

1: (観測者は、その世界の能力者だから……)
2: (ゲームの参加者は観測者じゃないかも?)

1:
2:

十三

なに、レイ。 難しい顔して考えこんじゃって。

Juusan
シオリ

もしかして、はぐれたというお仲間のことを 考えていらしたのでは?

Shiori
シオリ

その方々がドライブ能力者なら、 ゲームの途中で会うかもしれませんわ。

Shiori
シオリ

もしこの世界に来れば、 自動的に参加させられてしまうんですもの。

Shiori
十三

そういえば、あの通信はもう来ないの?

Juusan
タロ

無理じゃないかな。前だって向こうから一方的に話しかけてくる だけだったし。それもやっと繋がってる感じだったよ。

Taro
シオリ

……そうですね……あの様子からすると、こちらから通信を 繋ぐ手立てもないのでは?

Shiori
シオリ

あるのでしたら、レイさんが 連絡取らないわけがありませんわ。

Shiori
十三

そっか……。じゃあ、どちらにせよしばらくは 私たちに付き合うしかないわけだ。

Juusan
十三

ならいい。

Juusan'
シオリ

……あのう。

Shiori
シオリ

もし仲間の方々と連絡がついて……再会できたら、 レイさんはチームを抜けてしまいますの?

Shiori
タロ

シオシオがそんな風に言うなんて珍しいな。 レイにいてほしい、ってことでしょ。

Taro
シオリ

それはまあ、いてほしいです。

Shiori
シオリ

レイさんの扱う不思議な力はユニークですし、 状況に柔軟に対応できる能力をお持ちです。

Shiori
シオリ

それになにより、レイさんが一緒にいると、 普段より軽やかに動ける気がいたしません?

Shiori
タロ

ああ、うん。俺もそう思う!

Taro
タロ

不思議なんだけど、普段の自分より もう一段階強くなれたような気がするんだよね。

Taro
十三

……気のせいじゃない?

Juusan
タロ

いや、そんなことないって。 じゅうじゅうはそう感じない?

Taro
十三

……別に。

Juusani
ドライ

私は、タロさんに同意しますよ。

Drei
ドライ

始めは、庇護対象が近くにいるからと 気持ちが高揚しているだけかと思っておりましたが……。

Drei
ドライ

何度が戦場を共にして、レイさんの 力の影響であると今では確信しております。

Drei
ドライ

レイさんは観測の力をお持ちです。

Drei
ドライ

その力でもって、私たちをより強い存在だと 認識してくださっているおかげでしょう。

Drei
シオリ

そんなことまでできますの? ますます、チームにいてほしい人材ですわ。

Shiori
十三

そう一生懸命引き止めようとしなくたって、 どうせしばらくは一緒に行くしかない。

Juusan
十三

それはレイ自身が よく身に染みてわかってるんじゃない。

Juusan
タロ

はは。だけどもし自分が足手まといだと思ってたら、 そんなことないから、気にしないでね。

Taro
タロ

むしろ頼もしいと思ってるくらいなんだから。

Taro
タロ

……あ、そうだ。君に聞いておきたかったんだ。 さっきの対戦、どうだった?

Taro
タロ

いきなりリーダーを任せることになっちゃったけど…… 問題はなかったかな?

Taro
ドライ

前衛も後衛も、レイさんにお任せするのは 少々危険がありすぎましたからね。

Drei
ドライ

賢明な役割分担だったと、私は思いますが。

Drei
タロ

そっか、それならよかった。 実はさ、リーダーをお願いしてむしろよかったって思ってるんだ。

Taro
タロ

レイは戦場を広く見ることができてたし、 シオシオも言ってたけど、状況への対応力に優れてると思う。

Taro
タロ

俺たちの中で一番リーダー向きだよ。

Taro
十三

……まあ確かに、向いてるかもね。私はやれって言われても 絶対嫌だし、アンタがやるのがいいと思うよ。

Juusan
タロ

うん。よかったらこれからも、リーダーをお願いできないかな。

Taro

1: 自分でよければ
2: 大役だな……

1:
2:

ドライ

頼もしいお言葉です、レイさん。 どうぞよろしくお願いいたします。

Drei
シオリ

あなたなら大丈夫ですわ。 もちろん、戦闘は私たちがバッチリこなしますから。

Shiori
店員

6番席のお客さん! 料理できたよー!</style>

Shop Staff
シオリ

あ、私たちですわ。 できたようですね。

Shiori
タロ

俺、取ってくるよ。

Taro
十三

…………。

Juusan
タロ

そんなに嫌そうな顔しないでよ、じゅうじゅう〜。 味が微妙なのは俺もわかってるよ。

Taro
シオリ

でも腹が減ってはなんとやら。 それなりには食べないと、次の対戦がしのげませんもの。

Shiori
タロ

神妙な顔してても、味は変わらないし。 強気の姿勢で食事に向かおう。

Taro
十三

……強気の姿勢でも味は変わらないんだけど。

Juusan
ドライ

空腹を満たせるだけも十分な状況です。 この環境で、味に言及するのは贅沢というものでしょう。

Drei
タロ

ただいま……戻ったよ。

Taro
ドライ

おや、どうされましたか? なんとも言えない顔をされていますよ。

Drei
十三

強気の姿勢は? 見た目からして食欲が失せるほど不味そうなの?

Juusan
シオリ

……いえ、そうではありません。 食事と一緒に、これを渡されましたの。

Shiori
十三

なにこれ。カード?

Juusan
ドライ

もしやそれは、次の対戦の指定ですか?

Drei
シオリ

ええ、そうです。場所はかなり近いのですけれど、 時間の指定が1時間後でして……。

Shiori
タロ

のんびり食って休憩って訳にもいかなくなったな……。

Taro
十三

こっちの都合はお構いなしってことね。 『灰の王』って、もしかして私たちのこと舐めてない?

Juusan
タロ

うう〜ん……ただひとつわかるのは、時間に遅れたら不戦敗で、 俺たちは問答無用で消滅するってことかな。

Taro
タロ

そうなったら『灰の王』に会うことはできなくなる。

Taro
シオリ

あーもう! さっさと食べちゃいましょう! 時間がありませんわよ!?

Shiori
十三

味わう暇がないのは都合がいいかも、ね。 ……はぁ。

Juusan

第4節 『助けてあげる②』/ 4. I'll Save You - 2

Summary
指定された森へと辿り着くと、タオカカ、

チャチャカカ、ナイン、獣兵衛が現れた。た だならぬ気配を放つ相手とのバトルに挑む。

戦いの後、ナインは無意識の願望が叶ったこ

とを自覚し、満足して去った。勝利を収めた 一行は、近くのダイナーへ戻り休むことに。

ドライ

なんとか間に合いましたね。

Drei
シオリ

ええ、時間的にはちょうどいいくらいですわ。

Shiori
十三

で? 相手はどこ? 誰もいないけど。

Juusan
タロ

まだ来てないんじゃないかな。

Taro
タロ

このまま誰も現れないといいんだけどね。 そしたらこっちの不戦勝になる。

Taro
十三

余計な戦闘をしなくていいってわけだ。 それなら、そのほうが楽でいい。

Juusan
ドライ

なにをおっしゃいます。強制的に参加させられたゲームとはいえ、 正々堂々、正面から勝ち得てこその勝利でしょう。

Drei
タオカカ

おっ! 奴らもう来てるニャス。 せっかちニャスねぇ。それともあわてん坊さんニャスか。

Taokaka
タオカカ

急いだって、ごほうびに肉まんが もらえるわけじゃないニャスのにねぇ。

Taokaka
チャチャカカ

げぇ〜、相手来てるニャスかぁ。面倒くさい…… なんで来るニャス。

Chachakaka
チャチャカカ

向こうがさぼってくれれば、チャチャたちが不戦勝だったのに。

Chachakaka
チャチャカカ

ここは木陰があって気持ちいいし、 のーんびりお昼寝したかったニャス。

Chachakaka
タオカカ

ナイスアイデアニャス! ここはあいつらにお任せして、タオたちはのんびりと……。

Taokaka

そうしてあげたいのはやまやまだけど、 まだお昼寝には早いわよ、ふたりとも。

Voice
ナイン

すぐそこに、叩きのめすべき敵がいるんだもの。 お昼寝はそのあと。そういう約束だったでしょ?

Nine
チャチャカカ

うにゃ〜……やっぱそうなっちゃうニャス? でもあんまやる気しないニャスよね〜。

Chachakaka
ナイン

ん〜、もう、しょうがないわねぇ。 じゃあ私がふたりの分も頑張りましょうか。

Nine
ナイン

大丈夫、相手が誰であろうと、私の敵じゃないわ。 すぐに全員消し屑にして、みんなでのんびり休憩しましょうか。

Nine
獣兵衛

おいおい、ナイン。それにタオ、チャチャも。 そういうわけにはいかんだろうが、シャキっとしろ。

Jubei
獣兵衛

相手がどんな連中かもわからんうちから、侮るんじゃない。 油断大敵という言葉を知らんのか。

Jubei
ナイン

そうは言うけど。 今までだって大した敵にあたってこなかったじゃない。

Nine
ナイン

私とあなたが組めば、どんな相手だって雑魚よ、雑魚。 そうでしょう? 獣兵衛。

Nine
獣兵衛

今回もそうとは限らんだろう。よく見てみろ。 これまでの連中とは、ちょっとばかり雰囲気が違うぞ。

Jubei
ナイン

……ふぅん?

Nine
ドライ

彼女たちが相手チームのようですね。 それにしても、ずいぶんと……ワイルドなチームメンバーですね。

Drei
十三

……猫ばかり……。

Juusan
タロ

ちょっとかわいい相手だけど、 あんまり強そうには見えない……よね?

Taro
十三

いや……どうかな。 あのカカ族ふたりもそこそこやるみたいだけど……。

Juusan
十三

あっちの魔女と眼帯の獣人は、気を付けたほうがいい。

Juusan
ドライ

十三、あの者たちをご存知なのですか?

Drei
十三

……ちょっと心当たりがあるだけ。

Juusan
タロ

そっか。でもじゅうじゅうがそう言うんなら、 油断しないほうがよさそうだ。

Taro
シオリ

ええ……確かに、ただならぬ感じがいたします。

Shiori
タロ

どういう人たちなのかある程度分かってから、 バトルを始めたいな……ちょっと話しかけてみようか。

Taro
タロ

やあ、こんにちは。君たちが次の対戦相手……だよね?

Taro
獣兵衛

ということは、そちらもゲームに参加している ドライブ能力者で間違いないようだな。

Jubei
獣兵衛

俺は獣兵衛。 こっちのカカ族ふたりは、タオカカとチャチャカカだ。

Jubei
チャチャカカ

ニャス。

Chachakaka
タオカカ

ニャス!

Taokaka
獣兵衛

それから彼女が……。

Jubei
ナイン

……ナインよ。

Nine
ナイン

そちらは?

Nine
ドライ

私はドライと申します。彼女は十三。 彼はレイさん。

Drei
ドライ

私はドライと申します。彼女は十三。 彼女はレイさん。

Drei
タロ

俺はタロ。それで、この子がシオリだ。

Taro
シオリ

お手合わせ、よろしくお願いしますわ。

Shiori
タロ

ところで……4人チームなんだな。 補欠要員はいないんだね。

Taro
タオカカ

そんなもん、いらないニャス! タオたちはとーっても強いのネ!

Taokaka
タオカカ

誰もタオとチャチャのスピードにはついてこられないニャス!

Taokaka
チャチャカカ

もちろん持ち味はスピードだけじゃないニャスよ。

Chachakaka
チャチャカカ

チャチャたちの見た目で侮った連中はみんな、 この爪でズタズタにしてやるのニャス。

Chachakaka
ドライ

スピードを生かした戦術が得意なチームのようですね。

Drei
シオリ

急襲攻撃が主体でしょうか……。

Shiori

1: ナインの魔術に気を付けて
2: 獣兵衛は戦術指揮もできるはず

1:
2:

ナイン

あら。あなた、もしかして私を知っているの? そうじゃないなら、大した観察眼ね。それとも知識かしら。

Nine
獣兵衛

ほう。どこで仕入れた情報だ? この短期間で見抜いたというのなら、大した観察眼だ。

Jubei
獣兵衛

だが……それだけでは俺たちには勝てないぞ!!

Jubei
シオリ

っ……すごい威圧感。 十三やレイの警告も、頷けますわ……!

Shiori
タロ

うん……睨まれるだけで、体中がビリビリする。

Taro
十三

フン。どんな相手だろうと関係ない。 向かって来るなら、斬り払うまで。

Juusan
十三

大口は、私を倒してからにして!

Juusan
ナイン

いい度胸じゃない。いいわ、来なさい。 ひとり残らず灰にしてあげる!

Nine
タオカカ

っしゃー! やったるニャス! ぶっ倒して、ごほーびに肉まん買ってもらうニャス!

Taokaka
チャチャカカ

はー……しょうがないニャスか。 さっさと片付けて、お昼寝タイムニャス。

Chachakaka
ドライ

来ますよ。みなさん!

Drei
タロ

戦術は前回のままで! 行こう!

Taro
タオカカ

ふぎゃん!

Taokaka
タオカカ

あうぅぅ……も、もうダメニャス……。

Taokaka
チャチャカカ

こうさーん、こうさんニャース。

Chachakaka
獣兵衛

…………勝負あった、と認めざるを得ないな。

Jubei
ナイン

悔しいけど、そうね。人数差の問題じゃないわ。 あなたたちが強かったのよ。

Nine
タロ

ど……どうも。結構、運もあったと思うけどね……。

Taro
シオリ

どっちが勝ってもおかしくない対戦でしたもの……。

Shiori
シオリ

レイさんが的確に指示を飛ばしてくださったから、 対応できた……そう見えました。

Shiori
十三

……観測の力、か。 それで勝敗が決まったとは、あんまり考えたくないな。

Juusan
十三

癪に障る。

Juusan
ドライ

まあまあ、そう言わずに。今は勝利を喜びましょう。

Drei
タオカカ

こっちはちっとも喜べないのニャスー!

Taokaka
タオカカ

世界中のうまいものを お腹いっぱい食べさせてもらうはずだったのに!

Taokaka
チャチャカカ

チャチャは一生、三食昼寝つきの生活を叶えてもらう 予定だったニャスのに……アテが外れたニャス……。

Chachakaka
獣兵衛

やれやれ……参ったな。 俺は俺で、故郷の復興を願ってゲームに参加していたんだが……。

Jubei
獣兵衛

そもそもよくわからん異世界の不思議な力に願ったところで、 この世界にはない俺の故郷が復活するはずもないか。

Jubei
獣兵衛

そもそも叶わぬ願いだったと思えば、仕方ない。 諦めもつく。

Jubei
獣兵衛

お前たちの力は、それに見合うだけのものだったしな。

Jubei
ドライ

こちらこそ、いい経験になりました。 拳を交えることができてよかった。

Drei
タロ

一歩間違えば、こっちもやばかった……。

Taro
獣兵衛

はは、若者の糧になったのなら、本望だ。

Jubei
獣兵衛

……さて。それじゃあクリスタルを渡そう。 ナイン。

Jubei
ナイン

……ええ。

Nine
シオリ

……よし。吸収完了、ですわね。

Shiori
十三

何度見ても、実感ないな。

Juusan
ナイン

…………。

Nine
タオカカ

ん? どしたニャス、帽子の人?

Taokaka
ナイン

……私ね、願い事なんてなかったのよ。 そもそも自分の願いを誰かに叶えてもらうつもりがないの。

Nine
ナイン

それでもこの世界に呼ばれた以上、 このゲームとやらに参加しないわけにはいかなかったし……。

Nine
ナイン

負けるのは嫌いだからそれなりに全力でやってきたわ。

Nine
ナイン

だけど今、わかったの。 そしてわかったと同時に、叶えてもらうまでもなく叶ったわ。

Nine
チャチャカカ

は? なに言ってるニャス?

Chachakaka
ナイン

私は自分でも気づかないうちに、素敵な人に出会いたいって…… そう夢見ていたんだと思うの!

Nine
十三

……は?

Juusan
ナイン

そんな人は世界中探したっていやしない。そう自分の気持ちに 蓋をして、見ないようにしていたのかもしれないわ……。

Nine
ナイン

でも今、私、本当の意味で目が覚めた気分。

Nine
ナイン

こんなに素敵な人がすぐ側にいたことに、 今になってようやく気付いたんだもの……。

Nine
獣兵衛

……へ? す、素敵な人って、お、俺のことか……!?

Jubei
ナイン

ええ、そうよ! 他に誰がいるっていうの?

Nine
ナイン

この場にいる誰よりも 素敵で凛々しい面立ちをしてるっていうのに。

Nine
獣兵衛

え、ええと、はは……いや、その。

Jubei
タロ

なんだ、なんだ?

Taro
シオリ

んもう、わからないんですか、タロさん。 あれは……恋ですわ。

Shiori
シオリ

よく見てくださいませ。ナインさんの、獣兵衛さんを見つめる 瞳……あれはまさしく、恋する乙女の瞳です!

Shiori
タロ

そ、そうなの?

Taro
シオリ

そうなのです!

Shiori
ナイン

ああ……タオカカやチャチャカカがあまりにも愛くるしいから、 気を取られていたせいかしら……。

Nine
ナイン

それともこれでお別れだと思うからこそ、 急に運命が動いたのかしら。

Nine
ナイン

それでも私、この長くない共闘の時間を一緒にすごせて…… 本当によかったと思っているわ。

Nine
獣兵衛

あ……ああ。それは俺も、同意見だ。 タオカカたちはもちろんだが、ナイン、お前が一緒でよかったよ。

Jubei
獣兵衛

これほど頼もしい魔術師は、他にいまい。

Jubei
ナイン

ねえ……ここで私たちはこの世界から消えるけど、 もし元の世界に戻って、戻った世界で会えたら……。

Nine
ナイン

そのときはどうか、お茶をご一緒してくださらない?

Nine
獣兵衛

お茶だと? そういうのはガラじゃないんだが……。

Jubei
シオリ

もーう! 女の子からの、勇気を振り絞った デートのお誘いですわよ! 断るおつもりですか!?

Shiori
獣兵衛

いいっ!? い、いや、俺は……。

Jubei
チャチャカカ

ひゅーひゅー。 いいじゃんいいじゃん、付き合っちゃえよ〜。

Chachakaka
タオカカ

お? お茶しないならタオが代わりに うまいもの食べてあげるニャスよ?

Taokaka
獣兵衛

お、お前たちまで首を突っ込んでくるんじゃない……!

Jubei
獣兵衛

あ、ええと、その……。

Jubei
ナイン

……はい。

Nine
獣兵衛

そ、その、妙なテンションをやめてくれ。 そうしたら……お茶くらいなら。一緒に行くから。

Jubei
シオリ

やった、やりましたわ、ナインさん……! おめでとうございます……!

Shiori
ナイン

ありがとう。あんたたちに負けて、むしろよかったわ。

Nine
シオリ

元の世界に戻ったら、どうか幸せになってくださいね……っ。

Shiori
ナイン

ふふ、気が早いわよ。まだ戻ってもいないんだから。

Nine
ナイン

……それじゃあ、あんたたちはこの不毛な土地で、 引き続き頑張りなさいね。

Nine
ナイン

私を負かせたんだから、簡単に敗退するんじゃないわよ。

Nine
十三

言われるまでもない。 負けるつもりはないよ。

Juusan
獣兵衛

頼もしいな。こうなったからには、応援している。

Jubei
タオカカ

そんじゃまー、タオたちは帰るニャス! バイバイニャス!

Taokaka
チャチャカカ

ふぁ〜あ、これでやっとのんびり寝られるニャス……。

Chachakaka
シオリ

……消えてしまいましたわね。

Shiori
タロ

そうだね。

Taro
ドライ

戦いは厳しいものでしたが、最後は微笑ましくもありましたね。

Drei
十三

くだらない。どうでもいいよ。それより戻ろう。 クリスタルは手に入れたし、もうここに用はない。

Juusan
ドライ

十三は繊細な少女の想いには鈍感ですね。

Drei
十三

……なにそれ。馬鹿にしてる? 喧嘩売ってるの?

Juusan
ドライ

いえいえ、とんでもない。

Drei
タロ

はは、まあまあ。でも十三の言う通り、 いつまでもここにいてもしょうがない。

Taro
タロ

近くのダイナーに引き返そうか。 今日はさすがにもう、対戦はないだろうし。

Taro
シオリ

ですわね。今度こそ、ゆっくり休みましょう。

Shiori
シオリ

レイさんも、お疲れ様でした。 今回も見事な指揮官ぶりでしたわよ。

Shiori
シオリ

次もよろしくお願いしますわ。

Shiori

第4節 『助けてあげる③』/ 4. I'll Save You - 3

Summary
眠れず外に出ると、十三の姿が。「私が

助けてあげる」と言い放つ彼女は、それが かつて誰かに言われた言葉だと微笑んだ。

タロ

はぁ〜、食べた食べた。 おなかいっぱいだ。

Taro
シオリ

やっとゆっくり食事ができましたわ……。 対戦に次ぐ対戦のうえ、移動は徒歩。もうへとへとです。

Shiori
ドライ

そうですね。本日は皆さん、本当にお疲れ様でした。

Drei
ドライ

ダイナーの宿泊部屋も抑えられましたし、 今夜はゆっくり休むとしましょう。

Drei
十三

一番休みが必要そうなのはレイだろうな。 ぐったりしてるじゃないか。

Juusan
ドライ

それはそうでしょう。戦いの場にこそ慣れているようですが、 レイさんは戦士でも兵士でもないようです。

Drei
ドライ

訓練を受けたわけでもない一般人、といった様子です。 そうではない我々とは、疲労の溜まり方も違いますよ。

Drei
十三

ふぅん……。

Juusan'
シオリ

はぁ……私、確かに特別な訓練を受けて育った身ですけれど、 さすがに今日は堪えましたわ。

Shiori
シオリ

はしたないですけど、お腹がいっぱいになったら 今度は眠たくて……。

Shiori
タロ

体が休みを求めてる証拠だろうね。 かくいう俺も、もう今にも寝そう……。

Taro
タロ

ここで突っ伏す前に、部屋に戻っておくよ。 意地悪なゲームの運営が、夜中に叩き起こすかもしれないしね。

Taro
ドライ

そうならないことを祈りましょう。 私も、引き上げます。

Drei
ドライ

レイさんも、参りましょう。

Drei
十三

レイも、部屋に戻るよ。 でないとここにひとりで置いていく。

Juusan

…………。

……………………。

十三

……なにしてるの?

Juusan
十三

こんな世界で夜中に外をうろつくなんて、 正気とは思えないんだけど。

Juusan
十三

どれだけ治安が悪いか、散々思い知ってるだろうに。

Juusan
十三

……なに。寝れないの?

Juusan
十三

ふぅん。

Juusan
十三

……慣れない環境だと、人間は緊張して普段通りに睡眠を とれない……って、聞いたことあるな。そういえば。

Juusan
十三

アンタもそれ?

Juusan
十三

……機能不全みたいなものだよね。 しょうがないな。じゃあ、その気になるまで近くにいてあげるよ。

Juusan
十三

私が側にいれば、誰に絡まれたって心配ないでしょ。

Juusan

1: ありがとう
2: 頼もしいよ

1:
2:

十三

……どういたしまして。

Juusan
十三

だろうね。

Juusan'
十三

…………星、たくさん見えるな。

Juusan
十三

私がいた世界より、魔素が薄いからかな。 よく見える。

Juusan
十三

…………。

Juusan
十三

……あの通信の画面で、最後に映った……白い髪の女の子。 あの子……アンタの仲間?

Juusan

1: そうだよ、ちょっと心配性なんだ
2: うん、護衛をしてくれてるんだ

1:
2:

十三

ああ。そんな感じだった。 必死そうな顔してたし。

Juusan
十三

へぇ、護衛か。 大層な護衛つけてもらってるんだな。

Juusan
十三

……どんな奴なの? 笑ったり、泣いたりする? アンタと……仲はいいの?

Juusan
十三

そうだ。そいつ、人を殺すような料理を作る? そうじゃなきゃ、クッキーを焼く?

Juusan
十三

会いたい?

Juusan
十三

……ああ。次々に聞いても、困るか。 ちょっと興味があってさ。

Juusan
十三

外にいたアンタが、ずいぶんぼーっとしてたから。 その、仲間のことを考えてたのかなーって。

Juusan
十三

……私にもさ。 ずいぶん昔に、そんな人がいたような気がするんだ。

Juusan'
十三

いつでも、ちょっとでも暇があると、 そいつのことばっかり考えてた。そんな相手が……。

Juusan
十三

……誰なのか、どんなやつなのか、全然思い出せないんだけど。

Juusan
十三

会いたいわけじゃないんだ。

Juusan
十三

会ったら……きっと殺す。 そうだな、殺すためになら会いたいかも。

Juusan
十三

おかしいと思うだろ。でもそう思うんだ。 理由もわからないけど。

Juusan
十三

…………。

Juusan
十三

……私は、巻き込まれてこのファントムフィールドに 招かれたわけじゃないんだ。

Juusan
十三

私は自分の意思で、自主的に、境界を使って ファントムフィールドを渡ることができる。

Juusan
十三

今回もそうやって、自分の意思でここに来た。

Juusan
十三

どうやらアンタも、同じようにして あちこち行ってるらしいじゃないか。

Juusan
十三

……アンタを助けるように言って来た、おせっかい野郎に聞いた。

Juusan
十三

私がファントムフィールドを渡ってるのは、 ある人物を探すためだ。

Juusan
十三

そいつもファントムフィールドを、あちこち渡り歩いてる。 その気配を追いかけてるんだ。

Juusan
十三

……何故追うのかって? 殺すためだよ。

Juusan
十三

『その女』を見つけて、殺す。それが今の私の目的。 ただ『灰の王』はそいつとは違う。今回のは、ただの寄り道だ。

Juusan
十三

……ベラベラと話し過ぎたな。 アンタと仲間のことを聞こうと思ってたのに。

Juusan
十三

ダイナーに戻ろう。 チンピラに絡まれなくても、このまま外にいると風邪ひくぞ。

Juusan
十三

…………。

Juusan
十三

……仲間のことが気がかりなのはわかるけど。 必ず行くって言ってたんだから、信じて待っててやれば。

Juusan
十三

それまでは、 アンタのやれることを、やるべきことをやればいい。

Juusan
十三

それまでは……私が守ってあげるよ。

Juusan
十三

いや、私流に言うと……『助けてあげる』かな。

Juusan
十三

――昔、誰かに言われた言葉なんだ。

Juusan

第5節 『誰かを求めてる①』/ 5. Wishing For Someone - 1

Summary
次の対戦場所へと向かう道中、アナザーダー

ク=マイに遭遇する。クリスタルを狙う彼女 に、狂気の笑みを浮かべた十三が挑む。

マイが強力な一撃を放った刹那──Esとジ

ンが割って入り、刃を止める。戦況の変化を 面倒くさいと吐き捨て、マイは立ち去った。

タロ

おはよう、レイ。 ようやくお目覚めだね。朝ごはんにする?

Taro
タロ

って、あちこち痛そうだね。 大丈夫?

Taro
シオリ

大丈夫じゃないですわ。 シオリも、全身バッキバキです……。

Shiori
タロ

ええ、そっちも? でもシオシオ、昨日はほとんど戦ってないよね。

Taro
シオリ

仕方ないじゃないですか……。

Shiori
シオリ

休憩場所はゴツゴツした岩肌ばかりでしたし、 やっと布団で寝れると思ったら固い木のベッド。

Shiori
シオリ

おかげで首も腰も寝違えて……シオリの身体は、 タロ先輩のように鈍感にはできていないんです。

Shiori
シオリ

ねえ、レイもそう思いますよね!?

Shiori

1: ……うーん、おはよう……
2: あれ、他のふたりはどこ?

1:
2:

シオリ

んもう! シオリを無視しないでくださる!?

Shiori
タロ

まだ寝ぼけてるみたいだな。 よっぽど疲れてたんだねぇ。

Taro
タロ

まあ、昨日は大活躍だったもんね。お疲れ様。

Taro
シオリ

んもう! シオリを無視しないでくださる!?

Shiori
タロ

とっくに起きて、外に出て行ったよ。 じゅうじゅうは剣の素振り。ドラドラは瞑想だってさ。

Taro
タロ

ふたりとも、昨日あれだけ戦ったばかりなのにね……。 あのふたりの強さの理由がわかった気がするよ。

Taro
十三

やっと起きたのか。 よくそんなに寝られるな……。

Juusan
十三

素質はありそうなのに、体は平凡そのものだね。 少しは鍛えたら?

Juusan
十三

時間なら、まだありそうだし。

Juusan
ドライ

おはようございます、レイさん。

Drei
ドライ

次の対戦の指示があるまで動きようがない、 というのも難儀なものですね。

Drei
ドライ

いつ指示があるかもわかりませんから、 体力も温存しておいたほうがいいでしょうし。

Drei
ドライ

たてられる対策も、 かなり制限されてしまいます。

Drei
タロ

事前準備からすでにゲームは始まってるってことだね。 さて、この時間をどう使うべきか……。

Taro
シオリ

シオリは、散歩でもしたい気分ですわ。 ここにいなきゃいけないってルールでもありませんし。

Shiori
ドライ

散歩……ですか。

Drei
ドライ

ふと思ったのですが、指示が我々と 行き違いになるという可能性はないのでしょうか?

Drei
タロ

どういうこと?

Taro
ドライ

指示といっても、その提示方法は毎回違う。 我々が事前にその方法を知ることはできないのです。

Drei
ドライ

ならば、そう。例えば散歩、食事、睡眠…… あらゆる理由で、指示を見逃す可能性は存在すると思うのですが。

Drei
タロ

確かにそうだね。でも、そういう理由で 失格になったって話は聞いたことないなぁ。

Taro
タロ

考えてみれば、それもおかしな話だよね。

Taro
ドライ

ええ、不確定要素が多すぎます。 ですから……これは仮定になってしまうのですが……。

Drei
ドライ

『灰の王』はなんらかの方法で、我々の行動を監視し より確実な方法で、指示を飛ばしているのではないでしょうか。

Drei
ドライ

我々のゲーム参加が『灰の王』にとって意味のあることならば 見落としによるゲーム脱落など、許容するとは思えません。

Drei
十三

つまり『灰の王』はどこかで私たちを観ているってことか。 ふん……どこまでも陰気な奴だ。

Juusan
十三

まあでも、だったらこっちは向こうの都合なんか 考えるだけ無駄ってことだね。

Juusan
十三

遠慮せず、外でもどこでも行けばいい。

Juusan
シオリ

そうですわね、いつまでも部屋の中にいては 全身カビが生えてしまいそうです。

Shiori
シオリ

ここは散歩でもして、 少しでもリフレッシュしておきましょう。

Shiori
シオリ

…………。

Shiori
十三

確かに、見落としは許容しない性格みたいだ。 これなら誰だって気付くからね。

Juusan
タロ

確かにそうかもしれないけどさ。 なにも地面にこんなにでかでかと書かなくてもよくない?

Taro
タロ

あっ、ねえねえ。 これ書いた人がきっとまだ近くにいるんじゃない?

Taro
タロ

その人を見つけて、『灰の王』の居場所を 聞くっていうのはどうかな?

Taro
ドライ

聞いて……どうするのです?

Drei
タロ

えっ? ほら、探す手間も省けるかな〜って。

Taro
ドライ

ですが、クリスタルを集めなければ謁見はできないのでしょう? ならば、今居場所がわかったとて、さして意味はないかと。

Drei
ドライ

それに……能力者全員に強制的にルールを課せるほど力を持つ者が そのように足のつく方法を選ぶとは思えません。

Drei
ドライ

おそらく体力を無駄にするだけですよ。

Drei
シオリ

ええ、それにどうやら、そんな時間もなさそうですわよ。

Shiori
シオリ

これを見る限り、次の対戦場所はかなり遠いみたいですし。 すぐに移動しないと、間に合わなくなりますわ。

Shiori
十三

場所も時間も、対戦の間隔も指示のやり方も適当か。 自分勝手な奴だな。

Juusan
十三

……本来とは別の理由で、殺してやりたくなってきたよ。

Juusan
タロ

まあ、今までもこんな感じだったしね。 その辺は慣れるしかないかな……。

Taro
タロ

さて、じゃあ。あまりゆっくりもしてられなくなったし、 移動しながら次の対戦の作戦でも考えようか。

Taro
シオリ

では皆さん、荷物をまとめてください。 準備ができたら、すぐに出発しますわ。

Shiori
タロ

はぁ〜、毎日毎日歩いてばっかり。 この世界には列車も魔操船もないのかなぁ……。

Taro
ドライ

魔操船? 初めて耳にする名ですね。 察するにそれは、タロさんの世界の乗り物ですか?

Drei
タロ

そうそう。何百人も乗せた大きな船が空を飛んでね。 遠く離れた場所にも、ものの数日で行くことができるんだ。

Taro
タロ

魔素を利用した技術で船体を浮かせるんだよ。

Taro
ドライ

魔操船というのは、私のいた世界で言うところの 飛行機のようなものでしょうかね。

Drei
ドライ

やはり私とあなたの世界は、 随分と様相が異なるようです。

Drei
シオリ

飛行機……ですか。

Shiori
シオリ

不思議なものですわね。私たちは今こうして同じ場所に いるというのに、その生まれも文化も、全然違うなんて。

Shiori
シオリ

そうですわ。 よかったら、皆さんの世界のことを、教えていただけません?

Shiori
シオリ

ほら、お互いのことをもっとよく知ることにもできますし。 ちょっとした暇つぶしにもなりますもの。

Shiori
十三

……興味ないね。 話すようなこともないし。

Juusan
ドライ

いいではないですか。 確かにお互いを知ることは、戦力の上昇にも繋がります。

Drei
十三

……はぁ。 いいよ、好きにすれば。

Juusani
ドライ

では十三の承諾も得られたということで。

Drei
ドライ

そうですね……私が思い浮かべる『自分のいた世界』は、 ここよりもずっと緑豊かで、人の多い世界でしたね。

Drei
ドライ

多くの人々が日々の糧のために学び、働くような 世界です。

Drei
ドライ

その中で私は、 イシャナと呼ばれる島で長く暮らしておりました。

Drei
十三

イシャナ……魔術師の島か。

Juusan
ドライ

ご存知でしたか、それは驚きです。

Drei
タロ

ってことは、ドラドラが使ってるのって魔術なの? なんとなく、俺達の使う術式とは違うなーとは思ってたけど……。

Taro
ドライ

ええ、ですがタロさんの技を見る限り、その術式とやらの 基礎構造には、魔術の要素が組み込まれているようです。

Drei
ドライ

これは私の予想ですが、術式を開発した方は かなり魔術に詳しい方だったのではないでしょうか。

Drei
ドライ

おそらくは相当高位の魔術師…… もしかすると、私に近い立場の者かもしれませんね。

Drei
タロ

へえ……それは興味深い話だね。 ドラドラたちの使う魔術って、ドライブ能力とは違うの?

Taro
ドライ

似て非なるもの、といった具合でしょうか。

Drei
ドライ

魔術が才能と知識、技術によって編み出される テクニカルなものであるのに対して、

Drei
ドライ

ドライブは魂の力、 各々個人の魂から発せられる力です。

Drei
ドライ

そのドライブによって特殊な魔術が操れたり、常人とは違った 魔術の使い方ができたりすることもありますから、

Drei
ドライ

根源を別にしてはいるものの、 密接なかかわりのある力とも言えますね。

Drei
シオリ

魔術では、どのようなことができるのですか?

Shiori
ドライ

色々ですとも。 それこそ魔術師個人の技術と才能に左右されます。

Drei
ドライ

炎や氷といった自然物を操る術に長けている者もいれば、 私のように肉体増強に才を見出される者もいます。

Drei
ドライ

このゲームの中で魔術師と遭遇したならば、 やはり一番は攻撃用の魔術を警戒するべきでしょうね。

Drei
ドライ

私の知る魔術師には、強力な氷の魔術を扱う方がいました。 珍しいものでいうと、重力を操る魔術……なども存在します。

Drei
ドライ

大掛かりな魔術であれば、相応の準備や詠唱、集中が必要に なりますから、そういった隙を狙うという戦法もあるでしょうね。

Drei
タロ

その辺りも術式に似てるんだな。

Taro
タロ

ねえ、じゅうじゅうはどんなところで暮らしてたの?

Taro
タロ

たぶん、俺やシオシオがいたところとそんなに大きく違わない 世界なんじゃないかと思うんだけど。

Taro
十三

…………。

Juusan
十三

私が暮らしていたのは……教会だった。

Juusan
十三

ずっとそこにいたから、そこ以外の世界のことは あんまり知らない。

Juusan
シオリ

教会にいたというのは……おひとりでですか?

Shiori
十三

違う。 私を妹と呼ぶ女が、ふたりいた。 JuusanRei

タロ

妹と呼ぶ……って、お姉さん!? じゅうじゅう、ひとりっこじゃなかったんだ!

Taro
十三

……だから、そこでの生活以外は、ほとんど知らない。 私の知ってる外の世界は全部、教会を出てからのものだから。

Juusan
シオリ

そうなのですか……。 なにか事情がおありなのですわね。

Shiori
シオリ

私は暗殺者の一族ですから……なんとなく、わかりますわ。 あなたにはどこか、近いものを感じていますし。

Shiori
シオリ

レイはどうなんですか? あなたのいた世界、気になります。

Shiori

1: フガクのことを話す
2: 仲間たちのことを話す

1:
2:

ドライ

世界の外を航行する船、ですか。 信じがたい技術です。

Drei
ドライ

その船の中に、レイさんの仲間がいるのですね。

Drei
ドライ

世界の外を旅する方たち……ですか。

Drei
ドライ

しかしそのような旅を可能にする船があるとは。 あなたの仲間は、信じがたい知識と技術をお持ちなのですね。

Drei
タロ

でもさすがに、船の中で生まれ育ったわけでは ないでしょ?

Taro
タロ

そのフガクっていう船に乗る前は、 どんなところにいたの?

Taro
シオリ

――待ってください。

Shiori
シオリ

なにか聞こえます。 …………人の声です。あっちの方向から。

Shiori
十三

敵かもしれない。前に出ないで。

Juusan
タロ

じゅうじゅう!? ひとりで行くと危ないって! くそ、俺たちも追いかけよう!

Taro
傷を負った男

うぅ……!

倒れている男

……ぁ……ぐ……!

シオリ

これは……皆さん、ひどい怪我ですわ。 息はあるようですが……下手に動かすのは危険な状況です。

Shiori
シオリ

でも、いったいなにが……いえ。 『なにと戦ったら』こんな状態になるのですか……?

Shiori
十三

この感覚……。 こいつら、ドライブ能力者だ。

Juusan'
ドライ

まさか……彼らが我々の対戦相手でしょうか?

Drei
ドライ

ドライブ能力者にこれほどの重傷を負わせるということは おそらく怪我を負わせたものたちも、かなりの強者でしょう。

Drei
ドライ

あるいはよほど大勢か、強力な武器を持っているのか……。

Drei
十三

……ひとりだ。 これをやった奴は、ひとりだよ。

Juusan'
タロ

ひ、ひとり!? いやいや、さすがにそれは無理でしょ!?

Taro
タロ

4人のドライブ能力者をひとりでこんなにするって どれだけ強くても無理だって!

Taro
十三

無理じゃない。圧倒的な力の差だ。 それにこの感覚……。

Juusan
???

あれ? 君、もしかして……。

???
アナザーダーク=マイ

やっぱりレイだ。 こんなところで会うなんて、奇遇だね。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

そんなに警戒しないでよ。 大丈夫、今回の目的は君じゃない。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

まあ、遊びついでに殺してあげても 別にいいんだけどさ。ククク……。

Another Dark Mai
シオリ

……マイ様? やっぱり、そうだ。マイ様ですわよね!? いえ、でも……そのお姿は……?

Shiori
タロ

近づくな!!</style>

Taro
タロ

シオシオ……違うよ。『アレ』は……マイマイじゃない。 似てるけど、絶対に違う。なにかもっと、どす黒いモノだ。

Taro
アナザーダーク=マイ

ん? あ〜……そうか。 もしかして君たちは、マイ=ナツメの知り合い?

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

でも……そっか、マイ=ナツメは一緒じゃないんだね。 だったらいいや、君たちも見逃してあげるよ。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

運が良かったね。 もしあいつといたら、一緒に殺してるところだ。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

それより、ちょっとそっちの雑魚どもに用があるんだけど、 そこをどいてくれる?

Another Dark Mai
傷を負った男

うぅ……も、もう許して、くれ……。

シオリ

あっ……た、倒れた方たちから、クリスタルが……!

Shiori
アナザーダーク=マイ

まったく、面倒なルールだよ。ギリギリ死なない 状態じゃなきゃ、クリスタルが手に入らないなんて。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

殺せば勝ちにしてくれたらわかりやすいのに。

Another Dark Mai
シオリ

クリスタルを集めてるって…… まさか、あなたもゲームの参加者……?

Shiori
タロ

シオシオ!</style>

Taro
アナザーダーク=マイ

……あれ?

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

あ〜……そっか、そういうこと。 お前たちも、クリスタルを持ってるんだね。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

だったら、話は別だなぁ……?

Another Dark Mai
タロ

うそだろ……なんて殺気だ……!

Taro
ドライ

皆さん、下がってください! 彼女は普通ではありません!

Drei
ドライ

この気配……これは十聖すら遥かに凌ぐほどの……。 そんな……これほどの力、信じられません……!

Drei
アナザーダーク=マイ

よし、決めた。やっぱりお前たちのクリスタルももらおう。 その方が手っ取り早く標的に辿り着けそうだし。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

安心して、すぐに消してあげるからさぁ!

Another Dark Mai
十三

消す? おもしろいな……やってみなよ。

Juusan
アナザーダーク=マイ

……へぇ?

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

あれ? お前……その身体、もしかして……。 あぁ〜、そういうこと?

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

歪だね、素体ってやつは。 ……つくりものが、人に口を出すな!!

Another Dark Mai
十三

その気配、やっぱり……。 クク……アハハハハハ!

Juusan
十三

あぁ……ようやくだ。やっと見つけたよ。 この、ひどく懐かしい、腐った生ゴミみたいな臭い!

Juusan
十三

消すだって? いや……お前は私がせん滅する。 私がお前を……『壊して』あげるよ。

Juusan
アナザーダーク=マイ

意外とやるね、人形。

Another Dark Mai
十三

私をそう呼ぶな!

Juusan
ドライ

なんという戦いでしょう…… あの速度では、手出しすらできません。

Drei
ドライ

我々では、逆に足手まといになってしまいます……!

Drei
シオリ

でも、十三が押しているようにも見えますわ。 あのまま戦いが続けば、勝てるのでは!?

Shiori

1: 十三の動きが……
2: 均衡が崩れつつある

1:
2:

ドライ

レイさんの言う通りです。 今の十三は冷静さを欠いている……焦りすぎです。

Drei
ドライ

確かに……十三の動きが僅かに鈍くなっている。 このままでは、まずいですよ。

Drei
ドライ

なにを焦っているのです、十三!? それは、あなたの本来の動きではありません……!

Drei
十三

私の前で、その気配を撒き散らすなぁ!!

Juusan
アナザーダーク=マイ

なにを怒っているのかは知らないけど……訳アリかな?

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

でも、いいの? 本当にそんな状態で……僕の攻撃を避けられるのかなぁ!?

Another Dark Mai
十三

くっ……ちぃっ……!?

Juusan
アナザーダーク=マイ

さよなら……人形。

Another Dark Mai
十三

――ッ!?

Juusan'
アナザーダーク=マイ

くっ……だれだ!?

Another Dark Mai
Es

何者かは知りませんが、その力を有する者を 見過ごすことはできません。

Es
アナザーダーク=マイ

そっちこそ誰? 僕は戦いの邪魔をされるのが嫌いなんだ。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

邪魔した代償として、死んでもらうけどいいよね?

Another Dark Mai
???

おもしろいな……その話、僕にも聞かせてもらおうか。

???
タロ

うそ、ジンジン!?

Taro
ジン

邪魔をされるのが嫌い、だと? ……奇遇だな。僕もだ。

Jin
ジン

見たところ、貴様が戦っているのは僕たちの次の対戦相手だ。 となると貴様は、僕にとって邪魔者ということになる。

Jin
ジン

邪魔の代償として、貴様も死んでみるか?

Jin
アナザーダーク=マイ

へぇ……驚いた。 お前はジン=キサラギか。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

なんてことだ。今日はものすごく運命的な日だよ。 こんなにも知ってる顔ばかりに会えるなんて。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

でも……さすがにこれだけウジャウジャ湧かれると ちょっと面倒くさいな。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

よし、クリスタルは別の奴から奪うことにしよう。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

どうせ遅かれ早かれ、君たちとはまた会うだろうからね。 君たちを殺すのは……もう少し、先だ。

Another Dark Mai
ジン

……行ったか。

Jin
ジン

さて……どういう状態だ、これは?

Jin

第5節 『誰かを求めてる②』/ 5. Wishing For Someone - 2

Summary
ジンとEsに続き現れたノエル、ひなた。彼

らが次の対戦相手だったが、ジンは灰の王に 向かって呼びかけ、対戦の中止を要求する。

タロ

いや〜まさかこんなところでジンジンと再会できるなんて。 やっぱり持つべき者は親友だよ。ねぇ、ジンジン。

Taro
ジン

あいにくだが、再会を喜んでいる暇などない。 僕とお前は、今はクリスタルを奪い合う関係だ。

Jin
ジン

それに……お互い、同じところから来たとも限らない。

Jin
タロ

え、それってどういうこと?

Taro
ジン

……いや、お前は知らなくていいことだ。

Jin
ジン

それよりも、何故その女がここにいる?

Jin
十三

…………。

Juusan
ドライ

彼女は十三。私たちの仲間です。

Drei
ドライ

先ほども我々を助けるため、彼女がひとりで あの槍の少女を止めてくれました。ですから……。

Drei
ドライ

よろしければ、その殺気を収めていただけないでしょうか。

Drei
ジン

……いいだろう。

Jin
ジン

だが、覚えておけ。その女は危険な存在だ。 あのマイ=ナツメに似た女と同様にな。

Jin
シオリ

マイ様……。

Shiori
???

キサラギ少佐〜!

???
ノエル

ふぅ……やっと追いつきましたぁ……。

Noel
ノエル

ひどいですよ、キサラギ少佐も、エスさんも。 私たちをあんな森の中に置き去りにするなんて……。

Noel
ノエル

私はともかく、ひなたさんは少佐たちみたいに 速く走れないんですから。

Noel
ひなた

はぁ、はぁ……ご、ごめんねノエルちゃん…… 私、足遅くて……。

Hinata
シオリ

ノ、ノエル!? どうしてあなたまでここにいるんですか!?

Shiori
ノエル

えっ? あれ? シオリ? うわ〜、ひさしぶりだねぇ! 元気だった!?

Noel
シオリ

あ、相変わらず能天気ですわね……。 先ほどまで、とんでもない事態だったというのに。

Shiori
ノエル

え? とんでもないって? あれ、みんななにかあったんですか?

Noel
Es

はい、実は……。

Es
ノエル

ええ!? マイがタロ先輩たちを殺そうとした!?

Noel
シオリ

違いますわ、ノエル。あれはマイ様によく似た、別人です。 あれはシオリの知るマイ様ではありませんもの。

Shiori
ノエル

そう……とにかく、シオリたちが無事でよかった。

Noel
ノエル

えっと、十三ちゃん……だっけ? あなたも大変だったね。

Noel
十三

……っ……いや、たいしたことないから。

Juusan
ノエル

……? そう?

Noel
ノエル

でも、こんな人気もない場所でなにをしてたの? あ〜、もしかして道に迷っちゃったとか?

Noel
シオリ

えぇと、それはですね……。

Shiori
ジン

そいつらは、次のゲームの対戦場所に向かうところだった。 そしてその対戦相手とは……僕たちのことだ。

Jin
ひなた

ええっ!? そんな……ノエルちゃんのお友達と、 戦わなきゃいけないの?

Hinata
ひなた

人違いってことは……ないんですよね……?

Hinata
ジン

ならばこのメモを見せてやればいい。

Jin
タロ

……俺たちに提示された場所と時間と、同じだ。

Taro
ジン

そういうことだ。

Jin
ジン

これだけ人気のない場所でドライブ能力者同士が遭遇して まったく無関係の偶然というはずがないだろう。

Jin
ドライ

……では、ここで始めますか? あなた方には借りがあるとはいえ、手加減はできませんが。

Drei
ひなた

ま、待って! この人たち、すごく危ない目にあった あとなんでしょう?

Hinata
ひなた

対戦時刻まではまだ時間があるし……まずは手当てをしたり、 ゆっくり休んでもらったほうがいいんじゃないでしょうか。

Hinata
ひなた

こんな状態で戦わなくちゃいけないなんて……。

Hinata
ドライ

…………。

Drei
ジン

…………。

Jin
ジン

……ふん。

Jin
ジン

確かに、予定外の邪魔が入った以上、 この状況のまま戦うのは公平とは言えまい。

Jin
ジン

今回のゲームは中止だ。それでいいな?

Jin
タロ

ええ? いやでもジンジン? そんな中止って、俺らが勝手に決めていいの……?

Taro
タロ

ルールは『灰の王』が全部決めてるんだから、そんな勝手な ことをしたら、どっちも失格なんてことになるかもしれないよ。

Taro
ジン

『灰の王』とやらは、僕たちの動きを把握している。 この世界で奴に知られず、何かをすることは不可能だ。

Jin
ジン

そうだろう!? 『灰の王』よ!</style>

Jin
ジン

僕たちはこのゲームの中止を要求する!</style> 不満があるのならそう知らせろ!</style>

Jin
タロ

えええ〜……ジンジンってば相変わらず強引なんだから〜。 でも本当にそんなやり方で大丈夫なのかなぁ。

Taro
シオリ

……あ。 どうやらその心配は杞憂みたいですわよ。

Shiori
シオリ

ほら、野生のリスがそこに。口になにかくわえていますわ。

Shiori
タロ

ほんとだ! メモに次の対戦場所と時間が書いてあるよ!

Taro
ノエル

こっちも、鳥が落とした木の実に、文字が彫られてます!

Noel
ひなた

王様が許してくれたってことですよ、きっと。

Hinata
十三

フン。命拾いしたね。

Juusan
ジン

ああ、お互いにな。

Jin
タロ

えっと、じゅうじゅう? そんな怖い顔して……どうしたの?

Taro
ドライ

おそらく、十三は先ほどの戦いで相当消耗しています。 今の状態で戦えば、我々はおそらく負けていたでしょう。

Drei
タロ

じゅうじゅうが? 全然そんな風には見えないけど……。

Taro
ドライ

当然でしょう。我々はともかく、戦うかもしれない相手の前で 疲労を気取られるような下手を彼女が打つはずがありません。

Drei
ドライ

十三は戦闘の申し子のような人です。

Drei
ドライ

しかしあのジン=キサラギという者も、 おそらく十三の状態に気付いていた。

Drei
ドライ

戦えば容易くクリスタルを奪えていたはずですが…… 彼は崇高な精神の持ち主ですね。さすがタロさんのご友人です。

Drei
タロ

へへ……うん、そうなんだ。 ジンジンはちょっと愛想はないけど、いい奴なんだよ。

Taro
ジン

……話は以上だ。

Jin
ジン

これ以上貴様らと馴れ合うつもりはない。 縁があればまた会うこともあるだろうがな。

Jin
ノエル

あっ、もう行くんですかキサラギ少佐? 待ってください、皆まだ話が……。

Noel
ノエル

あ、ありがとうございました皆さん! ひなたちゃん、行こう! また置いて行かれちゃう!

Noel
ひなた

う、うん! それじゃあ、この先も気を付けてくださいね!

Hinata
ひなた

ジンさん、待って〜! 置いていかないで〜!

Hinata
Es

…………。

Es
Es

最後にひとつ、お聞きしても良いでしょうか。

Es
Es

あなたたちが『灰の王』を目指すのはやはり、 願望を叶えるため……ですか?

Es
ドライ

タロさんとシオリさんはそうですが、私と十三、 それにレイさんは違います。

Drei
ドライ

私たちは、『灰の王』に会うことそのものが目的です。

Drei
Es

……やはり。 あなたたちもそうですか。

Es
ドライ

私たちも……とは?

Drei
Es

我々のチームも、そうです。

Es
Es

私も、ひなたも、ジンも、ノエルも。 私たちは、記憶にない『なにか』を探しています。

Es
Es

そしてその手がかりが『灰の王』にあると予感しているんです。 それが私たちがゲームを続ける理由です。

Es
十三

記憶にない『なにか』……。

Juusan
Es

あなたたちにも、なにかある気がしました。

Es
Es

もしかしたら、この出会いには意味があるのかもしれません。

Es
Es

……ジンの言っていた通り、また会うこともあるかもしれませんね。

Es
ドライ

……行ってしまわれましたか。

Drei
タロ

はぁ……ジンジンともう少し話したかったなぁ。

Taro
シオリ

気持ちはわかりますけれど、 今しがた言われたばかりではないですか。

Shiori
シオリ

この先、またどこかで会えるかもしれないって。

Shiori
タロ

そうだね。そのときは敵同士かもしれないけど。 ……ジンジンと戦うのは、ちょっと嫌だなぁ。

Taro
シオリ

そうですわねぇ……。

Shiori
シオリ

とりあえず、どこか休める場所に移動しましょう。

Shiori
シオリ

次の対戦は明日ですし、それまでに傷の手当ても補給も、 しっかり行っておきたいですわ。

Shiori
タロ

そうだね! あ〜、俺もうお腹ペコペコだよ。

Taro
ドライ

確かに、慌ただしく出てきてしまいましたからね。 ダイナーへ行きましょう。

Drei
タロ

そうと決まれば、さっさと移動しよっか! ほら、行くよ! レイもじゅうじゅうも!

Taro
十三

さっきの女……どこかで見覚えがあるような……。

Juusan

第5節 『誰かを求めてる③』/ 5. Wishing For Someone - 3

Summary
対戦は中止され、傷の手当と補給のためダイ

ナーへと向かう道中、ナイフを手にした謎の 男の襲撃を受ける。一行も応戦することに。

襲撃者が本気でないことに気づき、十三は刀

を下ろす。アベンジと名乗ったその男は非礼 を詫び、手を組みたいと話を持ち掛ける。

ドライ

…………。

Drei
タロ

どうしたの、ドラドラ? さっきから難しい顔してるけど、なにか考え事?

Taro
ドライ

……エスさんの言葉が少し気になりまして。

Drei
シオリ

ああ……例の『さがしもの』のことですか?

Shiori
シオリ

不思議ですわよね。シオリの知る限り、ゲームの参加者は皆、 願望を叶えるために『灰の王』を探していました。

Shiori
シオリ

けれど、あの方々は違いました。 なにかを探すために、『灰の王』を目指している、と。

Shiori
シオリ

確か、ドライと十三も同じようなことを おっしゃっていましたよね。

Shiori
ドライ

『灰の王』とは、いったい何者なのでしょう。 私の知る誰かなのか。十三の殺すべき者なのか。

Drei
ドライ

それともあの者たちの探している者なのか。 あるいは、それらがすべて同一人物を指しているのか。

Drei
ドライ

なにかしらの手がかりとなれば良いのですが。 ……妙な不安のようなものが拭えません。

Drei
十三

今いない奴のことなんか、わかるわけないよ。 そんなの考えるだけ時間の無駄だ。

Juusan
十三

その『灰の王』に会えば、全部わかるんでしょ? だったら私たちはただ、そいつを目指せばいい。

Juusan
十三

それよりも……気になるのは、あの槍の女だ。

Juusan
十三

アイツが纏っているアレは…… アレは、私の分身と同じ気配がした。

Juusan

1: 分身って、どういうこと?
2: マイさんの正体に心当たりが?

1:
2:

十三

黒くて、暗くて、強大な力だ。 私であって、私じゃない、もうひとつの姿……。

Juusan
十三

かつて私は、その力の『心臓』だった。

Juusan
十三

確信はない。だけど、近しいモノなのは間違いないね。 昔の話だ。私はそいつの『心臓』だった。

Juusan
十三

その力は……そいつは、こう呼ばれてるよ。

Juusan
十三

……『災厄』ってね。

Juusan

1: 災厄? それってどこかで……

1:

十三

――ッ!!

Juusan'
十三

下がれ、レイ!!

Juusan
シオリ

敵ですわ! タロ先輩、周囲の警戒を!

Shiori
タロ

なんだこれ、ナイフ!?

Taro
タロ

くそっ、全然気配が読めない! どこから攻撃してきたんだ!?

Taro
ドライ

そこです! ヌゥン!!</style>

Drei
???

……ほう。 お前、魔術師か。

???
シオリ

突然背後から攻撃してくるなんて卑怯ですわ! あなた、いったい何者ですか!?

Shiori
???

…………。

???
十三

答えるつもりはないって。

Juusan
十三

その殺気……へぇ、面白いね。 いいよ、来なよ。少しだけ、遊んであげる。

Juusan
十三

……やめた。

Juusan
シオリ

やめって……どういうことですか?

Shiori
シオリ

この方はドライブ能力者で、おまけに レイを殺そうとしたんですよ!

Shiori
ドライ

……殺気ですよ。ひとりで4人を襲撃する割に この方の殺気は、あまりにも薄い。

Drei
ドライ

まるで最初から本気ではなく、 私たちを試そうとしているようでした。

Drei
???

どうやら、運だけで生き残ってきた能力者ではないようだな。

???
十三

目的はなに? まさか興味本位ってわけじゃないよね。

Juusan
十三

まあ、返答によってはやっぱり殺すことになるけど。

Juusan
アベンジ

俺はアベンジ。 試すような真似をした非礼を詫びよう。

Avenge
アベンジ

だが、試させてもらったのには理由がある。 お前たちを強者と見込んで、話をさせてくれ。

Avenge
十三

……いいよ、続けて。

Juusan
アベンジ

少し前から様子を見させてもらっていた。 お前たちは、『灰の王』を目指しているそうだな。

Avenge
シオリ

そうですけど……あの…… 様子を見せてもらったって……どこから?

Shiori
アベンジ

お前たちがダイナーを出た頃からだ。

Avenge
シオリ

ダイナー……って、朝からじゃないですか!! 信じられない! ストーカー! あなたストーカーですか!?

Shiori
十三

微かに、ダイナーを出てから妙な感覚があった。 アレはアンタだったのか。

Juusan
十三

それで? 私たちが『灰の王』を目指していたら、 なんだっていうの。

Juusan
アベンジ

単刀直入に言う。俺と手を組んで欲しい。

Avenge
十三

ああ、そっちか。残念、じゃあね。

Juusan
アベンジ

お前たちは、願望を叶えるためではなく 『灰の王』に会うことを目的としているな?

Avenge
アベンジ

俺も同じだ。

Avenge
十三

……どういうこと?

Juusan
アベンジ

俺はこの世界に来てから、ずっと『灰の王』に 疑問を持っていた。

Avenge
アベンジ

何故か周りの奴らは皆、この世界を疑いもせず 己の願望に囚われ、ゲームに夢中になっていたが。

Avenge
アベンジ

この世界の中央にそびえ立つと言われている『塔』のことは 知っているな?

Avenge
ドライ

ええ、聞いています。

Drei
アベンジ

『灰の王』は塔の中にいるそうだが、 その姿を見た者は誰もいない。

Avenge
アベンジ

『そいつ』は塔の中で、このゲームの勝者を待つのだという。

Avenge
アベンジ

だが……なぜそんなことをする?

Avenge
タロ

なぜって……願望を叶えるやつを決めるためだろ?

Taro
アベンジ

違う。そこじゃない。 ならば戦いで勝者だけを決めればいいはずだ。

Avenge
アベンジ

だが『灰の王』は、この世界に妙な枷を嵌めた。

Avenge
十三

……クリスタル、か。

Juusan
アベンジ

そうだ。クリスタルとはなんだ? なぜゲームの勝者にそいつを奪わせる?

Avenge
アベンジ

……先日、俺のクリスタルを狙った ドライブ能力者がいた。

Avenge
アベンジ

勝ったのは俺だ。相手のクリスタルを手に入れた。 そして俺は、そのクリスタルを破壊した。

Avenge
アベンジ

……中に詰まっていたのは、なんだと思う?

Avenge
ドライ

魔力……? いえ、まさか……。

Drei
アベンジ

そうだ。中に詰まっていたのは、ドライブだった。

Avenge
アベンジ

クリスタルとは、持ち主のドライブを吸って成長する 強力なエネルギータンクだ。

Avenge
アベンジ

ではなぜ、『灰の王』はドライブを集めさせるのか……。 その理由があるはずだ。

Avenge

1: すべてのドライブを奪うため?
2: ドライブでなにかをするつもり?

1:
2:

アベンジ

そうだ。『灰の王』は、この世界にドライブ能力者を集め、 そいつらからドライブを奪おうとしている。

Avenge
アベンジ

そうだ。『灰の王』は大量のドライブを集めて、 なにかに使うつもりだ。

Avenge
アベンジ

奴が集めたドライブを使ってなにをするのか…… そこまでは俺もまだ掴めてはいない。

Avenge
十三

へぇ、おもしろい仮説だ。

Juusan
十三

ドライブの力をなにかに使う……か。 やっぱりそいつは、私が殺す奴かもしれないな。

Juusan
ドライ

なにか心当たりでも?

Drei
十三

……どうかな。

Juusan'
十三

だけど話は大体わかったよ。 それで? 組む条件はなに?

Juusan
アベンジ

俺がお前たちの眼となる。 だからお前たちは、ゲームを進めて力を集めて欲しい。

Avenge
十三

なぜひとりで力を集めないの?

Juusan
アベンジ

ゲームに参加すれば、否応なしに次の対戦を迫られ、 自由には動けない。

Avenge
アベンジ

だがゲームに参加する条件はふたり以上のチームだ。 単独で動く限り、俺は自由に情報を集められる。

Avenge
ドライ

単独ではゲームに参加できない……?

Drei
ドライ

なるほど、あの槍の少女が自由に動き回っていたのは、 そういうことですか。

Drei
ドライ

彼女はゲームのルールとは異なる形で クリスタルを集めている……。

Drei
アベンジ

塔を目指せば目指すほど戦いは厳しくなる。 情報収集はそちらにとっても悪い話ではないはずだ。

Avenge
アベンジ

どうだ、俺と組まないか。

Avenge
十三

だってさ。どうする?

Juusan

1: 僕(私)が決めていいの?
2: 情報は必要だよね

1:
2:

十三

他に誰がいるの? アンタがうちのリーダーだろ。

Juusan
十三

そう……なら決まりだね。

Juusan
十三

へぇ、即決するなんて意外だな。

Juusan
タロ

ちょっ……ちょっと待って!?

Taro
タロ

『灰の王』はゲーム全体を把握しているんだから 俺たちの会話だって聞いてるんじゃないの?

Taro
タロ

これってルール違反じゃないの? 本当に大丈夫?

Taro
ドライ

おそらく心配はいりませんよ。これがルール違反ならば、 アベンジさん自身、とっくに消えてるはずです。

Drei
アベンジ

『灰の王』は世界にルールを敷いてはいるが、 ゲームを壊さない限りは寛容だ。

Avenge
アベンジ

……契約成立だな。

Avenge
アベンジ

情報があれば共有する。 お前たちは『灰の王』の指示に従い、塔を目指せ。

Avenge
ドライ

あとひとつだけ、お聞きしたいのですが。

Drei
ドライ

あなたは我々をずっと見ていたと言いました。 ならば、先ほど我々が出会ったチームも見たはず。

Drei
ドライ

なぜ、彼らではなく私たちに声を掛けたのですか?

Drei
アベンジ

……知っている奴がいた。 そいつには、同じことを言えない。それだけだ。

Avenge
ドライ

そうでしたか……。

Drei
アベンジ

お前は魔術師だったな。なにかの時は、魔術で合図をしろ。 こちらは、用がある時だけ姿を現す。

Avenge
アベンジ

塔に入るには、お前たちが頼りだ。……負けるなよ。

Avenge
ドライ

なんとも強引な人だ……。 おや? シオリさん、浮かない顔ですが考え事ですか?

Drei
シオリ

……いえ。ただ……あの人は、なぜそうまでして 灰の王を目指すのか、と思いまして。

Shiori
十三

本心を言うつもりはなかったんだろうね。 そこは、お互い様だ。

Juusan
タロ

まあ、いま考えたってわからない……ってことで。

Taro
タロ

あ〜、今日は色々ありすぎて本当に疲れたよ。 ほら、ダイナーはもうすぐそこだ。早く進もう。

Taro
シオリ

……そうですわね。行きましょう。

Shiori

第6節 『大事な人だから①』/ 6. Because You're Important To Me - 1

Summary
ココノエたち技術者がフガクで時間と戦う

中、シエルは無力感に歯がゆさを覚えてい た。テイガーはそんな彼女に言葉をかける。

ココノエ

おい、もっと簡略化しろ。コードが複雑すぎる。 余計な負荷は少しでも減らせ。処理を溜めさせるな。

Kokonoe
今にも倒れそうなスタッフ

……す、すみません。

ココノエ

おい、倒れるなよ。まだやれるはずだ。 お前がここにいるのはなんのためだ? 手を動かし続けろ。

Kokonoe
ココノエ

倒れたら特別に、体力回復のキャンディーを分けてやる。 そしたら起きてすぐにまた手を動かせ。わかったな?

Kokonoe
今にも倒れそうなスタッフ

はい……わ、わかりました!

テイガー

……他所のスタッフを死なせるなよ。 さすがに無茶をさせすぎではないのか?

Tager
ココノエ

そんなことを気にかけている余裕はない。 とにかく今回は、時間との勝負なんだ。

Kokonoe
テイガー

……それは、そうだが。

Tager
カガミ

いいんだ、テイガー。

Kagami
カガミ

ココノエの言う通り、我々には時間がない。 間に合わなければレイを失うかもしれない。

Kagami
カガミ

そうなったら、なにもかもが水の泡だ。 うちのスタッフもきついだろうが、踏ん張ってもらうしかない。

Kagami
ココノエ

私のクローンでも作っておくべきだったな。 それならもっと作業効率が上がったろうに。

Kokonoe
カガミ

同感だ。 私もラーベ以外に私自身を複製しておくべきだったか。

Kagami
カガミ

とはいえ、自分自身と方針の違いでも生じたら 面倒なことこの上ないしな……。

Kagami
テイガー

ココノエがふたり以上存在するなど考えたくもない。 勘弁してくれ。

Tager
テイガー

平和的に話が進むとは思えないし、なにより私の体がもたん。

Tager
ココノエ

なんだと。その言い方だと、まるで私がいつも お前に苦労ばかりかけているかのようではないか。訂正しろ。

Kokonoe
カガミ

その一言で、お前の日々の苦労が窺えるようだ。 どうだ、ひと段落したらうちに職場を変えないか、テイガー。

Kagami
テイガー

考えておこう。

Tager
ココノエ

この体たらくの現場だぞ。私のところよりずっと過酷じゃないか。 あと、目の前で引き抜きを画策するんじゃない。

Kokonoe
カガミ

それでもなお移動したいほどそっちが過酷かもしれないだろうが。

Kagami
カガミ

ん、ココノエ、こっち終わった。 そっちの続きを引き受けるから、お前はタカマガハラを見てくれ。

Kagami
ココノエ

わかった。あとは任せる。

Kokonoe
テイガー

……こういう場面だと、どちらも頼もしい上司のようなんだがな。

Tager
シエル

…………。

Ciel
テイガー

…………。

Tager
カガミ

……ああ、シエルか。また来ていたんだな。

Kagami
テイガー

ずいぶんと気落ちしているようだな。 ……無理もないが。

Tager
カガミ

あの子があそこまで沈んだ顔をしているのは、初めて見た。 普段なら、いい傾向だと喜ぶんだが、今はそれどころじゃないな。

Kagami
テイガー

……ふむ。

Tager
テイガー

シエル=サルファー。

Tager
シエル

……テイガーさん。

Ciel
テイガー

レイのことが気にかかるのか。

Tager
シエル

……はい。

Ciel
シエル

皆さんが必死に頑張ってくださっている中で、こんな顔をして うろうろしていては、士気に関わります。推奨されない行動です。

Ciel
シエル

ですが……どうしても……普段通りにできないのです。

Ciel
テイガー

……そうか。 気持ちはわかる。

Tager
シエル

………私にはなにもできません。

Ciel
シエル

レイさんが大変な状況に陥っているというのに、 安全なフガクで時間を待つことしかできない。

Ciel
シエル

私がこうしていられるのは、全てレイさんのおかげ なのに……そのレイさんは……!

Ciel
テイガー

お前がここに存在していることが、レイの功績なら、 その功績をお前が否定するものではない。

Tager
シエル

否定、するつもりは……。

Ciel
テイガー

そうか? お前がなにもできないと自分を責めることは、 お前を助けた者の意向に反するとは思わないか?

Tager
テイガー

レイはそんなことのために お前を助けたのだと思うか?

Tager
シエル

…………思いません。

Ciel
テイガー

ではなぜ助けたと思う?

Tager
シエル

え……?

Ciel
シエル

それは……ええと…… 私が、任務の遂行に必要だから……でしょうか。

Ciel
テイガー

きちんとレイの人柄や、 性質を考えたうえでの結論か?

Tager
シエル

…………。

Ciel
シエル

……私の答えは、不適切だと思います。

Ciel
シエル

レイさんは……もっと、任務とは違う 道徳的な観点から私を助けたのだと思います。

Ciel
シエル

それはつまり……あの方が、優しいから……。 私を生かそうと思ってくれたから……。

Ciel
テイガー

そうだな。つまりレイにとってお前は、 そうするに足るほどの存在ということだ。

Tager
シエル

……私が……。

Ciel
テイガー

レイは助けるべき者を助けた。 では助けられたお前は、どうする?

Tager
シエル

レイさんを助けたいです! 今すぐにでも!

Ciel
テイガー

今すぐは無理だ。わかっているな。 では今のお前がするべきことはなにか。

Tager
テイガー

それは、いざレイを助けに向かうとなったときに、 万全の態勢で臨めるよう自らを整えることではないか?

Tager
シエル

は、はい。わかります。わかっては、いるのです……。

Ciel
テイガー

だが、己がコントロールできないか。

Tager
シエル

はい……。

Ciel
テイガー

それはよくないな。兵士としては致命的だ。

Tager
テイガー

己をコントロールできないまま、戦場へ赴けば、 思わぬところで味方を窮地に追いやることになりかねない。

Tager
テイガー

お前の場合、味方とはつまりレイのことだ。

Tager
シエル

……っ!

Ciel
テイガー

だが、だからといって無理に自分を押し殺したり、 考えすぎたりするな。

Tager
テイガー

心を殺すべきじゃない。人を動かすのは、心だからだ。

Tager
シエル

心……。

Ciel
テイガー

……そうだな。 シエル、お前は何故、レイを助けたいんだ?

Tager
シエル

それは……私がレイさんの護衛だからです。 護衛対象の救出は、最優先任務です。

Ciel
テイガー

任務だから、レイを助けるのか? 理由はそれだけか? 己にきちんと聞いてみろ。

Tager
シエル

己に……ですか?

Ciel
シエル

…………私は。

Ciel
シエル

私が、レイさんを助けたいのは…… レイさんに、会いたいからです。

Ciel
シエル

レイさんがいなくなったら、 嫌だからです……。

Ciel
テイガー

なぜ、嫌だと思うんだ? 任務に失敗するからか?

Tager
シエル

違います、一緒にいたいからです。

Ciel
シエル

もっとレイさんと一緒にいて、 もっと色々な場所に行きたいからです。

Ciel
シエル

…………。

Ciel
シエル

……私は、レイさんと一緒に……いたいのですね。

Ciel
テイガー

それがお前の『心』のようだな。

Tager
シエル

……レイさんは、いつも私を気遣ってくれます。 力を貸してくれて、力を使ってくれます。

Ciel
シエル

私にとって、レイさんは唯一の人です。 だから、助けたい。会いたいです。

Ciel
テイガー

それがわかれば、不安に思うこともないだろう。 じきに準備は整い、お前は《浸入》 (ダイブ) する。

Tager
テイガー

《浸入》 (ダイブ) できるのは、お前だけだ。 お前だけがレイを助けられる。

Tager
テイガー

そのために、今のお前ができることはなんだ。 お前は本当に、今なにもできないのか?

Tager
シエル

……いいえ。

Ciel
シエル

《浸入》 (ダイブ) の際、ベストコンディションで作戦行動が行えるよう、 万全の準備を整えておくことです。

Ciel
シエル

……まだ、胸のあたりがざわざわとしていて、 落ち着きませんが……。

Ciel
シエル

全てがレイさん救出に繋がると信じて…… できることを、やります。

Ciel
テイガー

それでいい。

Tager
テイガー

自分を信じろ。お前は強い。 お前が行けば、必ずレイを助けることができる。

Tager
テイガー

どんなことがあろうと、成し遂げてみせるだろう?

Tager
シエル

はい。 必ず。

Ciel
テイガー

……いい目になった。

Tager
テイガー

それだけの奮起をさせるのだ。 お前にとってレイは、大事な存在なのだな。

Tager
シエル

……大事……。

Ciel
シエル

はい。大事な人です。

Ciel
シエル

ありがとうございます、テイガーさん。 私、ひとまずトレーニングルームへ行ってきます。

Ciel
テイガー

ああ。訓練相手が必要なときは、声をかけるといい。

Tager
シエル

はい。そのときは、よろしくお願いします。

Ciel
シエル

失礼いたします。

Ciel
テイガー

……行ったか。 これで、前向きに動いてくれるならいいんだが……。

Tager
不健康そうなスタッフ

すみませんテイガーさん。 ココノエ博士がお呼びです。

テイガー

わかった、今行く。

Tager
テイガー

やれやれ、一難去って一難か。 無理難題を聞くのも、部下の仕事だな。

Tager

第6節 『大事な人だから②』/ 6. Because You're Important To Me - 2

Summary
十三たちの次の対戦者はバレット、アハト、

ライチ、マコト、そしてマイだった。シオリ は想い人と敵する立場での再会に動揺する。

タロ

ふぅ……あのガレキの山を越えたら、 対戦の指定場所だと思うよ。

Taro
十三

それ、さっきも聞いた。

Juusan
タロ

あ、あはは……そうなんだよねぇ。

Taro
タロ

この辺り、地形が似てて。 地図に描いてある場所がどこなのかよくわからないんだ。

Taro
シオリ

次はぜひ、もっとわかりやすくてランドマーク的なものが ある場所での対戦を希望しますわ……。

Shiori
シオリ

これじゃあ、対戦までにへとへとになってしまいそう。

Shiori
ドライ

それでなくても、寝ても覚めても戦いを続けるばかりの 日々ですからね……。

Drei
ドライ

肉体的のみならず、精神的な疲労も蓄積してくるでしょう。 レイさんは、大丈夫ですか?

Drei
十三

こんなこと、いつまで続けなくちゃいけないんだ? いい加減、飽きてきた。

Juusan
十三

クリスタルなんかなくったって、さっさと『灰の王』がいる っていう塔に乗りこんじゃえばいいのに。

Juusan
タロ

俺もそう思ったことがあったんだけど…… どうやら駄目みたいなんだ。

Taro
ドライ

駄目、というと?

Drei
タロ

じゅうじゅうが言ったみたいに、直接塔に乗り込んで 『灰の王』に会いに行こうとした連中がいたらしいんだ。

Taro
タロ

だけど塔の周りには障壁があって、 資格のある人でないと入れないようになっていた。

Taro
タロ

だからその人たちは障壁を壊して、無理矢理中に入ろうと したんだ。そうしたら……消えちゃったんだって。

Taro
十三

消えた? 対戦に負けたときみたいに?

Juusan
タロ

たぶんね。俺が直接その現場を見たわけじゃないから、 はっきりしたことはわからないけど。

Taro
シオリ

ルールを破ろうとしたから、失格とみなされた…… ってことなんでしょうか。

Shiori
タロ

そういう感じなんじゃないかな。

Taro
十三

所詮噂話だろ。ルール違反した奴らが全員消えたって いうんなら、なんで消されたってことがわかるんだ。

Juusan
タロ

俺もそれは疑問に思ったけど……消されたのは 塔の障壁を攻撃した人だけだったらしいよ。

Taro
タロ

現場に居合わせたけど、 攻撃はせずに残った人の証言なんだって。

Taro
ドライ

楽な近道はない、ということですね。

Drei
ドライ

我々はルールにのっとって、 王に認められるまで戦い続けるしかない。

Drei
十三

面倒だな……。

Juusan
ドライ

急がば回れと申しますから。 ああ、ほら。今度は合っていたようです。

Drei
ドライ

対戦相手がいらっしゃっていますよ。

Drei
バレット

お前たちが次の対戦相手か。

Bullet
アハト

今回は5人? 私たちと同じね。

Acht
タロ

全員女性のチームか……て、あれ?

Taro
シオリ

マイ様!?</style>

Shiori
マイ

シオリ! それに……タロ先輩まで……!

Mai
シオリ

マイ様ーーーーーーーーー!!!!!!</style>

Shiori
マイ

うわっ、わっ! シオリ、急に飛びついたら危ないって。

Mai
シオリ

ああ、今度こそ本物のマイ様ですわ! あ〜ん、マイ様、お会いしたかったですぅ〜!

Shiori
シオリ

まさかこんな異世界で出会えるなんて、 私たち運命で繋がっているとしか思えませんわ!

Shiori
マコト

シオリってば、どこにいても相変わらずだなぁ。

Makoto
マコト

まさか会えるなんて思ってなかったから びっくりしたけど、なんか安心しちゃった。

Makoto
シオリ

マコトも一緒だなんて。こちらこそ驚きましたわ。

Shiori
タロ

やあ、ふたりとも。 元気そうでなによりだよ。

Taro
マイ

はい、タロ先輩も。 ……お会いできて、嬉しいです。

Mai
マコト

んふふ、よかったね、マイ。 タロ先輩にも会えてさ。

Makoto
マイ

ち、ちょっとマコト、変な言い方しないでよ……!

Mai
十三

……前に見た『マイ』ってやつと、よく似てるな。

Juusan
ドライ

ですが別人のようですね。こちらがシオリさんの言う 『マイ様』ご本人のようです。気配がまるで違います。

Drei
ライチ

お知り合いなの?

Litchi
マコト

あ、はい! 学生時代のクラスメイトと、先輩なんです。

Makoto
アハト

巡り合わせって重なるものね。 私のよく知った顔もいるみたい。

Acht
ドライ

アハト。思いがけない再会ですね。

Drei
アハト

まったくだわ。『灰の王』は同窓会でも開きたいのかしら。

Acht
ライチ

まあ、そちらも知り合いだったの? すごい偶然ね。

Litchi
マコト

先輩たちも……気が付いたらこの世界にいた、って感じ?

Makoto
タロ

うん、そう。 ってことは、そっちも同じような事情なんだね。

Taro
マコト

はい。チーム全員、色々願い事を叶えてもらうつもりで、 『灰の王』を目指してます。

Makoto
タロ

こっちもそう。全部同じだね。 ってことは……やっぱりマコマコたちが対戦相手なんだね。

Taro
マイ

……そうなりますね。

Mai
バレット

現実を確認できたか? だったら同窓会はもう終わりだ。

Bullet
バレット

私たちは戦うために、ここに来た。 話がすんだなら、構えろ。

Bullet
シオリ

戦うって、そんな……マイ様と!?

Shiori
マイ

……シオリや、タロ先輩と戦う……。 せっかく、偶然とはいえ会えたのに……。

Mai
マコト

マイ、シオリ……そんな顔しないでよ……。 私までやりづらくなってきちゃうよ。

Makoto
タロ

シオシオ。気持ちはわかるけど……。

Taro
シオリ

で、できません、そんなこと!

Shiori
シオリ

マイ様と戦うことなんて、シオリにはできませんわ。 マイ様は私にとって大好きな、大事な人なんです!

Shiori
シオリ

その人に武器を向けるなんて、ありえませんわ!

Shiori
マコト

…………。

Makoto
マイ

シオリ……。

Mai
マイ

……私も……。

Mai
シオリ

前のように、引き分けにしましょうよ!

Shiori
シオリ

必ずしも戦って、勝敗を決めなければならないわけでは ないでしょう!?

Shiori
マイ

引き分け? そんなことできるの?

Mai
ドライ

私たちもつい先ほど知ったばかりですが、イレギュラーが 起こった際は、試合の無効を申請することができるようです。

Drei
ドライ

受理されれば、その場で即座に次の対戦が指示され、 それまでの対戦はなしになります。

Drei
マコト

そっか、それができるなら、この対戦も 無効にしてもらえるよう頼んでみるのはアリかも……!

Makoto
バレット

いいや、ナシだ。

Bullet
シオリ

な、なんでですか!?

Shiori
アハト

あなたたちは違うのかもしれないけれど、私はなにも 遊びや暇つぶしでこのゲームに参加しているわけではないの。

Acht
バレット

私たちには叶えたい願望がある。そのために戦ってきたし、 仲間の願いも叶えるつもりでここまで共にやってきた。

Bullet
バレット

クリスタルを得られるかもしれない貴重な機会を、 みすみす逃してなるものか!

Bullet
アハト

なにも本当に殺し合いをするわけじゃないわ。このおかしな世界に 残るか、帰るか。残存を賭けた戦いをしているにすぎない。

Acht
アハト

そうでしょう?

Acht
マイ

わ、わかってる……。それはそうなんだけど……。

Mai
シオリ

それでもシオリは、マイ様と戦いたくなんかありません! やっとこうしてお会いできたのに!

Shiori
ライチ

……なんだか可哀想になってきたわ。

Litchi
アハト

だったら、こっちのチームに入れば?

Acht
シオリ

え?

Shiori
マコト

はいい?</style> ちょっと、何言ってんの、アハトさん!?

Makoto
アハト

私たちのチームに入れば、あなたが戦いたくないマイさんと 一緒のチームになれるわよ。もちろん戦う必要なんかなくなる。

Acht
十三

私たちの前で堂々と引き抜きしようっていうの? 舐められたものだな。

Juusan
ドライ

ですが、シオリさんのお気持ちを考えると、 確かに彼女にとっては利の多い話ですよ。

Drei
アハト

戦いそのものが嫌なんじゃなくて、マイさんと争うのが 嫌なのでしょう? だったらその願いを叶えるのは簡単じゃない。

Acht
シオリ

そ、それは……。 シオリは……シオリは……。

Shiori
シオリ

それなら確かに、マイ様に刃を向けることはありません。 でも、タロ先輩たちは……。

Shiori
バレット

うだうだとまどろっこしい!</style>

Bullet
バレット

腹を決めきれないというのなら、決めやすくしてやる!

Bullet
タロ

ッ!?

Taro
タロ

じゅうじゅう!?

Taro
十三

さがっていろ。私がやる。

Juusan
マコト

バレットさん!

Makoto
バレット

どうするのかさっさと決めろ。 タイムリミットは決着がつくまでだ!

Bullet
アハト

いいわね。私もそれに乗るわ。

Acht
アハト

……私の魔術が全てを凍り付かせるのが先か、 あの子が心を決めるのが先か……。

Acht
ドライ

そういうことであれば、あなたのお相手は私がいたしましょう。

Drei
アハト

面白いわね。あなたとこうして向かい合って戦うなんて。 一度やってみたかったのよ。

Acht
ドライ

奇遇ですね、アハト。 実は私もです。

Drei
ドライ

ぐっ……!

Drei
ドライ

なんのぉぉぉっ!

Drei
マイ

……っ。 始まっちゃった……。

Mai
マコト

どうする、マイ? ここで見てるってわけにはいかないよ。

Makoto
マイ

うん……そうだよね……。

Mai
ライチ

無理をすることはないのよ。

Litchi
マコト

ライチさん……!

Makoto
ライチ

大事な人と戦いたくない気持ちは、よくわかるわ。 私も、あなたと同じ立場だったら迷うと思うもの。

Litchi
ライチ

でも……私は私の願いのために、戦わないわけにはいかないの。 引き分けには応じてあげられない。

Litchi
ライチ

戦いたくなければ、戦わなくてもいいわ。 だけど私は、私の大事な人のために戦いたい。だから……。

Litchi
ライチ

たぁぁぁぁぁぁっ!</style>

Litchi
タロ

レイ……!

Taro

1: 大丈夫、心配いらないよ
2: 戦いは僕たち(私たち)に任せて!

1:
2:

シオリ

…………っ。

Shiori
ライチ

あなた、優しいのね。

Litchi
ライチ

あなたのその優しさに、私も応えるわ。 行くわよ!

Litchi

第6節 『大事な人だから③』/ 6. Because You're Important To Me - 3

Summary
思い悩むシオリに対し、マイは互いに武器を

向けても大事な友達だと伝えた。その言葉で シオリは吹っ切れ、本気で戦う決心をする。

ライチ

なかなかやるのね。その動き、判断力……見かけによらず、 かなりの戦いを潜り抜けてきているみたい。

Litchi
ライチ

それにその、不思議な技……。 そんな戦い方をする人は、初めてよ。

Litchi
十三

させるか!

Juusan'
アハト

あら、残念。 うまく不意打ちできたと思ったのに。

Acht
アハト

だけどそんなに素早く反応して、庇いにくるなんて…… もしかしてその子がそっちのリーダーなのかしら?

Acht
十三

くだらない憶測だな。あんまりにも見え見えの 攻撃だったから、ついでに振り払っただけだ。

Juusan
バレット

どこへ行く。お前の相手はこの私だ!

Bullet
十三

ちっ! 大人しく転がっていればいいのに……!

Juusan
バレット

あれしきで私を仕留められると思ったか? 馬鹿にするな!

Bullet
十三

それはこっちの……台詞だ!!

Juusan
アハト

押されてるわね。少し手助けしてあげようかしら。

Acht
アハト

――っ!

Acht
アハト

あう、くぅ……!

Acht
アハト

相変わらず、頑丈ね。

Acht
ドライ

お褒めいただき、光栄です、アハト。 あなたの魔術も、相変わらず鋭い。

Drei
ドライ

ですがまだ、私を打ち倒すには至っておりませんよ。 よその手助けをしている暇は……ないはず!

Drei
アハト

すごい圧……。これだけ本気ってことは、 あなたの叶えたい願いとやらも私と同じということかしら。

Acht
ドライ

ではあなたも感じていらっしゃるのですね。 この世界に満ちる空気に潜む、あの方の気配を。

Drei
アハト

ふふ。 そういうことならますます引き下がれなくなったわ。

Acht
アハト

そう簡単に誰かに託せる願いじゃない。 たとえ相手があなたであっても。

Acht
アハト

なんとしても私が、私の手で到達しなければ。

Acht
ドライ

それはこちらとて同じこと。

Drei
ドライ

なにがなんでもあなたを倒し、クリスタルを手に入れて、 事の真相をこの目にします。

Drei
アハト

あなたにだけは、譲れないわ!

Acht
ドライ

ふんっ!!!

Drei
バレット

くっ、強い……こんな強敵がいようとは……。

Bullet
十三

諦めな。アンタじゃ私には勝てない。 特に、ここでは。

Juusan
バレット

ハッ、ふざけるな! 相手が誰だろうと関係ない!

Bullet
バレット

……私にも譲れない願いがある。

Bullet
バレット

どうしても会いたい人がいる…… それが叶うのなら、なにを犠牲にしても惜しくはない!

Bullet
十三

知るか! 叶えたいなら勝手に叶えればいいだろ!

Juusan
バレット

ああ、そうするつもりだとも! だから私の願望のために、消えろ!!

Bullet
マコト

……そうだよね。突然こんなところに連れて来られて、 最初はなにがなんだかわかんないって感じだったけど。

Makoto
マコト

それでも、叶うなら叶えたい願いがあって、 みんなでここまで頑張ってきたんだ。

Makoto
マイ

それは……うん……そうだよね。

Mai
マコト

大丈夫、マイとシオリは下がってて。 ふたりの分も、あたしが戦うからさ!

Makoto
タロ

そういうことなら、俺が相手になるよ。

Taro
マコト

タロ先輩が!?

Makoto
タロ

気が進まないっていうふたりに戦わせたくないって気持ち、 よくわかるよ。俺も同じ気持ちだ。

Taro
タロ

それになにより、レイやみんなにばかり 戦わせていられない。

Taro
タロ

レイたちは、貧弱だった俺たちのチームに 加わって、ここまで引っ張ってきてくれた恩人なんだ。

Taro
タロ

こんなところで、俺だけ見てるわけにはいかないよ。

Taro
シオリ

……っ。

Shiori
タロ

これで4対4。シオシオたちが戦う必要はない。 だから、安心して待っててよ。

Taro
タロ

それじゃあ……行くよ!

Taro
マイ

待って!</style>

Mai
マコト

うわ、っととと……ど、どうしたのマイ?

Makoto
マイ

私も戦う。戦いたい!

Mai
シオリ

ま、マイ様!? どうして、そんな……!

Shiori
マイ

タロ先輩とマコトの言う通りだと思ったんだ。

Mai
マイ

シオリも先輩も、私の大事な人だけど……。

Mai
マイ

でもここまで一緒にやってきた、 ライチさんやバレットさん、アハトさんだって、大事な仲間だ。

Mai
マイ

何度も助けてもらった。 今回だけ、私だけが逃げるなんて、なんだか納得がいかないよ。

Mai
シオリ

マイ様……本気でおっしゃっているのですね。 でも……でもシオリは……。

Shiori
シオリ

……駄目。できません。 だってシオリ、ずっとマイ様に会いたかったのに……っ。

Shiori
シオリ

…………マイ様と戦えば、 シオリかマイ様、どちらかが消えてしまう……。

Shiori
シオリ

そんなこと、したくもさせたくもありません……。

Shiori
マイ

シオリ。それはシオリの本心?

Mai
シオリ

も、もちろん、ですわ!

Shiori
マイ

ねえ、シオリ。私はなにも、シオリと敵対したいわけじゃない。 この先一緒にやれるなら、それは嬉しいよ。だけどね。

Mai
マイ

もしシオリが私のためにって思って、自分の本当の気持ちを 捻じ曲げようとしているなら、それは嬉しくないよ。

Mai
シオリ

――っ!!

Shiori
マイ

私もそうだったから、シオリがこの世界で どんなふうに過ごしてきたのかよくわかる。

Mai
マイ

タロ先輩やチームのみんなと一緒に、 毎日厳しい戦いを繰り返してきたはず。

Mai
マイ

その人たちに背を向けることは、 シオリにとって辛いことじゃない?

Mai
シオリ

ど、どうしてそれを……。

Shiori
マイ

わかるよ。友達だもん。 シオリがどんな子か、私はよく知ってる。

Mai
シオリ

でも……でもシオリは……! マイ様に武器を向けるなんて……。

Shiori
マイ

大丈夫だよ、シオリ。心配しないで。

Mai
マイ

言ったでしょ。私たちは友達なんだから。

Mai
マイ

もしここで武器を向け合って戦ったとしても、 シオリのことを敵だなんて思ったりしない。

Mai
マイ

友達じゃなくなることもないし、嫌いになったりもしない。 私が勝ってもシオリが勝っても、大事な人のままだよ。

Mai
シオリ

……ほ……本当に? 本当に、嫌いにならないでくださいますか?

Shiori
マイ

当然。

Mai
マコト

そんなこと心配してたの!? もー、心配しすぎ!

Makoto
マコト

マイだけじゃないよ。あたしだって、どんなことがあっても シオリの友達なんだからね。

Makoto
タロ

俺にとっても、どんな状況だろうと、みんなかわいい後輩だよ。 こんなゲームひとつで、変わることなんてない。

Taro
シオリ

マイ様……マコト、タロ先輩……。

Shiori
シオリ

……ごめんなさい。シオリ、マイ様にお会いできた喜びで、 どうかしていたんですわ。

Shiori
マイ

うわっ! あ、あぶな……っ!

Mai
シオリ

まだ受けた恩を返すほど、働いておりませんの。

Shiori
シオリ

尻込みして皆様を惑わせた分も含めて、 チームに貢献しなければなりませんわ!

Shiori
シオリ

マイ様、お覚悟!

Shiori
マイ

……ふふっ、シオリ相手に油断するなんて、命とりだったね。 もう不意打ちは食らわないよ!

Mai
シオリ

なんの! シオリをそう簡単に捕まえられると、思わないでくださいまし!

Shiori
マイ

まだまだぁ! せやぁっ!!

Mai
アハト

どうやら、あっちも踏ん切りがついたみたいね。

Acht
ドライ

ですがそうなると、困りましたね。 ゲームのルールでは、対戦は4対4が最大人数だったはずです。

Drei
ライチ

そうね。だったら私が対戦メンバーから抜けるわ。 選手交代よ。

Litchi
ドライ

であれば、こちらは私が。

Drei
ドライ

なに、私が信頼する仲間たちです。 相手がアハトであろうと、負けることはありませんよ。

Drei
アハト

だったら、全力でお相手してあげないとね。

Acht
バレット

腹が決まったなら、ここからは本気で行くぞ! 全員、隊列を組め!

Bullet
マイ

はい!

Mai
マコト

了解!

Makoto
十三

ずいぶん待たせてくれたじゃないか。 これ以上迷うようなら、アンタから叩き斬ってやろうと思ったけど。

Juusan
シオリ

お待たせいたしまして、申し訳ありません。 でもシオリを捉えるのは難しいですよ?

Shiori
十三

その大口が嘘じゃないって、証明してもらうから。

Juusan
シオリ

はいですわ。

Shiori

1: こっちも負けじと隊列組もう!
2: シオリ、一緒に頑張ろう

1:
2:

タロ

りょーかい! 俺も、出遅れた分を取り戻すよ!

Taro
シオリ

ええ! シオリ=キリヒト、全力で参ります!

Shiori
十三

はぁぁぁぁっ!

Juusan'

第6節 『大事な人だから④』/ 6. Because You're Important To Me - 4

Summary
十三の攻撃で勝負は決着、マイたちは応援の

言葉を残して消えていった。ダイナーに戻っ た一行は、観測者の正体について話し合う。

十三

これで――終わりだ!

Juusan
バレット

がはっ……!

Bullet

1: 十三の勝ちだ!
2: 僕たち(私たち)の勝ちだ!

1:
2:

バレット

まだ、まだ……っ、くそ、力が入らない……!

Bullet
十三

……無理に立ち上がったって同じことだよ。 勝負はついた。

Juusan
バレット

くそっ……!

Bullet
シオリ

クリスタルが……!

Shiori
ライチ

リーダーの敗北が決まったようね……。 おめでとう。そちらの勝ちよ。

Litchi
マコト

ああ、そうだった! リーダー倒されたら終わりなんだった! 忘れてた〜……もっとサポートに行けばよかった、ごめん!

Makoto
バレット

いや。その作戦指揮も含めて、リーダーの役割だ。 悔しいが……実力差だ。

Bullet
マイ

うん。とっても強かった。 私もまだまだ、修行しないといけないな。

Mai
バレット

特にお前。お前は強かった。 どこかで会ったことがあるような気もするが……。

Bullet
バレット

私の知っている奴とは比べ物にならない強さだ。 完敗だよ。

Bullet
十三

…………。

Juusan
ライチ

どちらも真剣にぶつかり合った、いい勝負だったと思うわ。 参加できなかったのが、ちょっと惜しいくらい。

Litchi
ドライ

同感です。

Drei
アハト

勝負の内容なんて、私にはどうでもいいことだわ。 負けたからには、退場。そのルールからは逃れられない。

Acht
アハト

だから……ドライ。

Acht
アハト

あとはあなたに託すわ。 ……必ずやり遂げて。

Acht
ドライ

ええ。必ず。

Drei
マコト

あたしたちのクリスタル、ちゃんと吸収されたみたいだね。

Makoto
マイ

うん。もらってくれたのがシオリたちでよかった。

Mai
タロ

そう言ってもらえるのは、嬉しいね。

Taro
シオリ

でも……これでマイ様たちは、消えてしまうのですよね……。 せっかく、お会いできたのに……。

Shiori
マコト

もー、シオリ。そんなに不安そうな顔しないでよ! 大丈夫。消えるって言っても、元の世界に戻るだけなんでしょ。

Makoto
マコト

だったらあたしたちの本当の世界で、 シオリが帰ってくるのを待ってるからさ!

Makoto
シオリ

だけど……そ、そんな保障、どこにもないんですよ! 本当にそうなるのかなんて……。

Shiori
マイ

心配しないで。きっとまたすぐ会えるよ。 私たちとシオリは、みんなつながってるから。

Mai
マコト

あ! マイに会いたいからって、すぐに戻って来たら ダメだからね? どうせなら最後まで勝ってね!

Makoto
シオリ

……はい! マイ様の分も、マコトの分も、シオリが願いを叶えてきますわ!

Shiori
マコト

その意気だよ!

Makoto
マイ

それじゃあ、またね。頑張って、みんな!

Mai
ドライ

……行ってしまいましたね。

Drei
十三

……中々手ごわかったよ。

Juusan
タロ

やられそうだった?

Taro
十三

まさか。私の方が強い。だから私が勝った。

Juusan
シオリ

あ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!</style>

Shiori
タロ

うわっ! どうしたシオシオ!?

Taro
シオリ

し……し……しまったですわ〜〜〜〜〜!!!

Shiori
ドライ

一体何事ですか?

Drei
シオリ

マイ様とマコトの願いを受け継いで、この先戦っていこうと 心に決めたところでしたのに……。

Shiori
シオリ

ふたりの願い事を聞くのを忘れてしまいましたわ!!!</style>

Shiori
十三

なんだ……そんなことで大声出すな。

Juusan
シオリ

そんなことではありません、大事なことです!

Shiori
シオリ

あ〜ん、マイ様のお願い事を知る チャンスでもありましたのに!

Shiori
タロ

まあまあ、聞けなかったのはしょうがないじゃないか。 ふたりからの、託された思いだけ受け継いでいくってことで。

Taro
シオリ

あうぅ〜……大失態ですぅ。 マイ様、マコト〜! ちょっと一回戻ってきてくださいまし〜!

Shiori
十三

んな無茶な。

Juusan'
ドライ

ははは。おふたりとは、友情でつながっているという お話だったではありませんか。

Drei
ドライ

そう嘆くことはありませんよ。シオリさんの思う、 おふたりの願いが……きっとおふたりの気持ちそのものでしょう。

Drei
シオリ

ドライさん……。そうでしょうか……。

Shiori
ドライ

ええ。そうですとも。 友情とは、そういうものです!

Drei
シオリ

そう……なんですね。 わかりましたわ! シオリ、めげません!

Shiori
シオリ

私の思うふたりの願い……。そう、きっとマコトは、 世界一大きなマロンパフェが食べたいに違いありませんわ。

Shiori
シオリ

それにマイ様は……そう、きっとシオリに会いたいはずです。 そしてふたりきりで甘い時間をすごしたいはず……。

Shiori
十三

……ドライもドライだけど、それに乗せられて それだけおめでたい想像できるシオリも、相当だな。

Juusan
シオリ

ああ、やる気がわいてきましたわ! 皆様、次の対戦に備えて、しっかり体を休めましょう!

Shiori
タロ

流れはともかく、シオシオに元気が出てなによりだ。

Taro
タロ

それじゃあ気を取り直して、最寄りのダイナーを目指そうか。

Taro
シオリ

はい!

Shiori
十三

はぁ……頭が単純なやつは、うらやましいよ。

Juusan
タロ

いや〜。なんだかんだ今日も無事に勝ててよかった。 俺たち、結構順調に勝ち進んでるよね。

Taro
タロ

クリスタルもだいぶ大きくなってきたし、そろそろ 『塔』に向かうことも考え始めなきゃ。

Taro
シオリ

それは早計だと思いますわ、タロ先輩。

Shiori
シオリ

クリスタルをどれだけ集めれば塔に入れるのかも謎ですし 例のアベンジさんからの連絡だってまだなにも無いのですから。

Shiori
ドライ

ええ、シオリさんの言う通りです。 もう少し情報を集めなければなりません。

Drei
ドライ

我々はまだ、この世界のことをほとんど知らない状態で 戦い続けているのですよ。

Drei
タロ

アベンジか……。連絡がないと言えば、そういえばさ。 レイの仲間からの連絡はなにかあった?

Taro

1: それが、まだなにも
2: このままだったらどうしよう

1:
2:

タロ

そっかぁ……。でも、元気出して。 きっとまた会えるよ。

Taro
タロ

探してるのは、観測者……だっけ? その人を探しながら、連絡を待ってみようよ。

Taro
ドライ

…………。

Drei
タロ

大丈夫、そんなことないって。 あっちだって探してくれてるんだから、きっとまた会えるよ。

Taro
タロ

探してるのは、観測者……だっけ? その人を探しながら、連絡を待ってみようよ。

Taro
ドライ

…………。

Drei
ドライ

レイさん、ひとつお尋ねしたいことが。 以前から気にはなっていたのですが……。

Drei
ドライ

あなたが探している『観測者』とは、この世界や、我々が この世界に呼ばれたことにも関係している人物ではないですか?

Drei
ドライ

お仲間からの通信や、あなたの戦いぶりを見ていれば かなり特殊な事情がおありだということはわかります。

Drei
ドライ

ですが我々の付き合いもそろそろ長い。 宜しければ……話してはみませんか?

Drei
ドライ

あなたが探しているという『観測者』のことを。 私たちも、なにか力になれるかもしれません。

Drei

1: 観測者のことを話す

1:

タロ

この世界を生み出している者……か。 規模が大きすぎて、正直よくわからないけど……。

Taro
タロ

でもきっと、嘘じゃないんだろうな。それだけはわかるよ。

Taro
シオリ

そうですね。現にシオリたち自身がこうして、外の世界から 強引にここに呼ばれているわけですから。

Shiori
シオリ

今の話を信じない理由はありませんわ。

Shiori
ドライ

つまり観測者の条件は、元々この世界に存在している ドライブ能力者……そういうことですね?

Drei
ドライ

つまり私たちのように、外の世界から呼ばれてきた者は省かれる。 そうなると『灰の王』がその観測者である可能性はかなり高い。

Drei
ドライ

レイさんはそう睨んでいるということですか。

Drei
ドライ

そしてこれは私の勘ですが……十三。 あなたも観測者のことを知っていたのではありませんか?

Drei
タロ

そうなの、じゅうじゅう!?

Taro
十三

……まぁね。けど『灰の王』がそうだという確証はなかった。 確信めいたものになったのは、最近だよ。

Juusan
十三

それが『灰の王』だっていうなら ゲームは私にとって好都合。それだけのこと。

Juusan
ドライ

そうですか……いえ、あなたの目的は問いません。 共に戦ってくれるだけで、我々としては心強いのですからね。

Drei
タロ

それじゃあ、俺とシオシオ以外はみんな本当に 願望のために『灰の王』を目指してるんじゃないってことかぁ。

Taro
タロ

なんだか少し複雑な気持ちかも……。

Taro
十三

へぇ、アンタ見た目より繊細なんだ? そんなの気にする必要ある?

Juusan
十三

戦う理由なんか普通それぞれ違うものでしょ。 アンタはアンタの目指すもののために戦えばいいんじゃない?

Juusan
タロ

じゅうじゅう……。 うん、そうだね。じゅうじゅうの言う通りだ。

Taro
タロ

前も言ったと思うけど、俺には力になりたい、 支えたい人がいるんだ。その人のために、俺は戦う。

Taro
タロ

もちろん、みんなのためにも頑張るから。 だからみんなも、困った時はいつでも俺を頼ってよ。

Taro
ドライ

ははは、頼もしいことです。 その時は是非、よろしくお願いしますよ。

Drei
シオリ

…………。

Shiori
ドライ

シオリさん? どうかされましたか?

Drei
シオリ

いえ、ただ……。 こうして世界の話を聞いていて、ふと思ったのです。

Shiori
シオリ

私たちがどの世界に『いるべき』なのか。 それを決めているのは、一体どなたなのでしょうか……と。

Shiori
タロ

いるべき? シオシオ、それどういうこと?

Taro
シオリ

いいえ、なんでもありませんわ。

Shiori
シオリ

それより、また明日もゲームの指示があるかもしれません。 今日はこの辺にさせていただきますね。

Shiori
タロ

変なシオシオ……。

Taro
ドライ

シオリさんの仰る通り、次の戦いがいつなのかわかりません。 我々もそろそろ休むとしましょう。

Drei
十三

…………。

Juusan

7節『似て非なる存在①』/ 7. An Existence it'd be a Mistake to Imitate - 1

Summary
次の対戦地への移動中、アベンジが現れる。

彼はゲームの終わりが近いことを伝え、以後 更に危険は増していくとチームに警告した。

シオリ

皆さん、お揃いですわね。 では出発しましょうか。

Shiori
タロ

対戦場所を確認しておいたよ。 ここから一時間くらい歩くみたいだ。

Taro
十三

向こうの一方的な指示で、あちこち移動させられ続ける日々か。 慣れたけど、うんざりするのは変わらないな。

Juusan
ドライ

とはいえ、こう連日戦って勝利をおさめ、 クリスタルを手に入れているのです。

Drei
ドライ

もうずいぶん我々のもとに集まっているはずですよ。

Drei
シオリ

それならそれで、あといくつ集めればいい、 とか視覚的にわかればいいのに。

Shiori
シオリ

あれこれルールを押し付けるわりに、 そういうところ不親切ですわ。

Shiori
???

ぼやかずとも、そう長くはかからないだろう。

???
シオリ

だ、誰です!?

Shiori
タロ

アベンジ……なんだ、あんたか。 びっくりしたよ。

Taro
十三

まだ生き残ってたんだな。姿を見なくなったから、 どこかで誰かにクリスタルを奪われたのかと思ってた。

Juusan
アベンジ

ふ……今更、そんな下手は踏まない。 それなりの切り抜け方はあるものだ。

Avenge
ドライ

十三も心配なさっていたのですね。 ご無事でなによりです、アベンジさん。

Drei
十三

誰が心配するか。勝手に作るな。

Juusan
ドライ

ははは。

Drei
ドライ

ところで今しがた、そう長くはかからないと おっしゃっておりましたが、

Drei
ドライ

アベンジさんは我々があとどれくらいクリスタルを 集めればよいのか、ご存知なのですか?

Drei
アベンジ

いや。だが周囲の状況から、このゲームの終わりが 近いんだろうと踏んでいる。

Avenge
シオリ

どういうことです?

Shiori
アベンジ

ドライブ能力者同士の対戦の数が減っている。

Avenge
アベンジ

この世界に残っているドライブ能力者の総数が、 かなり少なくなってきているんだ。

Avenge
アベンジ

今後ぶつかる対戦相手は、少なくとも 複数のチームのクリスタルを吸収している状態だろう。

Avenge
タロ

それってつまり…… 一回の対戦で、結構な量のクリスタルが手に入るってこと?

Taro
タロ

……この場合『量』って言い方が合ってるのかは わかんないけど。

Taro
アベンジ

そういうことだ。

Avenge
アベンジ

……だからその分、警戒を怠るな。

Avenge
シオリ

対戦相手は、それだけ勝ち残っている相手……。 これまで以上の強敵も予想されるのですものね。

Shiori
アベンジ

それだけじゃない。

Avenge
アベンジ

対戦が減ったということは、この世界の住人たちにとっての 客と娯楽が減ったということでもある。

Avenge
アベンジ

どこもかしこも治安はさらに悪化しているし、 どいつもこいつも残ったドライブ能力者を標的にし始めている。

Avenge
ドライ

ああ……我々の持つクリスタルは、 高額で取引されているとのことでしたね。

Drei
ドライ

その希少価値も当然、上がっているわけですか。

Drei
アベンジ

今やドライブ能力者は、歩く宝石も同然だ。

Avenge
アベンジ

……そんなもの手に入れたところで、 意味などないだろうにな。

Avenge
シオリ

どうしてです? お金になるのなら、この世界の人にとっては 見逃せないチャンスなのではありません?

Shiori
シオリ

狙われるのは御免ですけれど、どう見ても豊かでは なさそうですし……当然の流れだとも思いますわ。

Shiori
タロ

そうだな……。ゲームが進行してドライブ能力者が減れば、 ダイナーだって商売する相手がいなくなるわけだし……。

Taro
アベンジ

だからこそ、このゲームが世界の情勢に 根付いたものでないことが判明しただろう。

Avenge
シオリ

え……?

Shiori
アベンジ

考えてもみろ。

Avenge
アベンジ

この世界にある、ダイナーを初めとした設備や環境は、 ドライブ能力者を対象にしているものばかりだ。

Avenge
アベンジ

だというのに、ゲームは進行すればするほど、 ドライブ能力者は減っていく。

Avenge
アベンジ

ドライブ能力者を相手に商売をするうまみなどないのに、だ。 生活の形態として、あまりに不自然だ。

Avenge
十三

……儲かるわけでもない相手に、善意で商売するような 人柄だとは思えないしな。ここの連中。

Juusan
ドライ

見た目は粗暴であれど、食事や休息場所を与えてくれる 優しい人たちなのだ……と主張したいのは、やまやまですが。

Drei
ドライ

アベンジさんのおっしゃりたいことは、理解できます。 彼らの暮らしは、彼らの社会を支えるためのものとは思えない。

Drei
ドライ

まるで初めから『そうあるべし』と 決められていたかのようです……。

Drei
タロ

確かに。 クリスタルを見せれば食事がとれるとかも……。

Taro
タロ

俺たちには都合がいいけど、 ここに住んでる人たちにとっては旨味がないよな……。

Taro
タロ

『灰の王』から手当てが出てるとかなのかなって思ってたけど、 それにしては暮らしが質素すぎるし。

Taro
シオリ

ゲームありきの社会情勢……ゲームの進行を支えるため のシステム。そんな印象を、受けないとは言えませんわね。

Shiori
十三

私たちだけじゃなくて、ダイナーの連中も 『灰の王』にとっては駒か舞台装置でしかないんだろうな。

Juusan
十三

どうでもいいとは思っても、やっぱり気に入らない。

Juusan
ドライ

ということは……。

Drei
ドライ

逆に言えば、そうまでして。つまり完全にそのための環境を 作り上げてまで、ゲームを行いたい理由があるのでしょうね。

Drei
アベンジ

ああ。伊達や酔狂じゃない。 『灰の王』には確実に目的がある。

Avenge
十三

目的ね……。

Juusan
アベンジ

能力者が追加投入されないところを見ると、 目当てのドライブ能力者はすでにこの世界にいるんだろう。

Avenge
アベンジ

そいつの動向を監視している可能性もある。

Avenge
アベンジ

…………。

Avenge
アベンジ

……レイだったな。

Avenge
アベンジ

お前は観測の力を持っているらしいな。

Avenge
十三

それがどうした? なにか問題でもあるっての?

Juusan
アベンジ

そうじゃない。睨むな。

Avenge
アベンジ

……お前の力は、他にはない特異なものだ。 周囲には十分気を付けておいたほうがいい。

Avenge
シオリ

まさか、『灰の王』の狙いは レイさんだとおっしゃるんですか?

Shiori
アベンジ

断言はできない。だが可能性はある。 ……それだけ希少価値と利用価値の高い能力だ。

Avenge
アベンジ

ゲームを逸脱して、接触してくることもあるかもしれない。

Avenge

1: その方が話は早いかも
2: 警戒しておきます

1:
2:

十三

来るなら来いって? 上等だな。言うじゃないか、レイ。

Juusan
ドライ

ええ。私たちも気を付けておきましょう。 あなたの身近にどんな危険が潜んでいるか、わかりませんから。

Drei
アベンジ

……ふ。

Avenge
アベンジ

この世界の風土になじんだのかわからんが…… ちょっと見ない間に、一端の顔をするようになったな。

Avenge
タロ

レイのこと? そうだろ。

Taro
タロ

うちのチームのリーダーなんだ。 俺たちの頼れる仲間さ。

Taro
シオリ

ちょっと頼りない見た目だからって侮ると、 痛い目みますわよ。

Shiori
アベンジ

そうか。 ……お前たちに声をかけたのは、正解だったようだ。

Avenge
十三

利用しやすそうだから?

Juusan
アベンジ

それもある。

Avenge
アベンジ

さて……俺はドライブ能力者と世界情勢の現状について 伝えに来ただけだ。

Avenge
アベンジ

用は済んだ。お前たちと一緒にいて、 余計なトラブルに巻き込まれる前に、退散するとしよう。

Avenge
シオリ

まるで私たちがトラブルの中心部みたいに 言わないでください。不本意ですわ。

Shiori
アベンジ

望んでいなくてもそうなる。 お前たちは勝ち残っているドライブ能力者のチームだ。

Avenge
アベンジ

襲撃すれば、それだけでかいクリスタルが手に入る。 一攫千金だ。

Avenge
タロ

そういうそっちだって、ゲームに参加していなくても クリスタルを持ってはいるんだろ?

Taro
タロ

大勢に囲まれて、奪われたりしないようにしてよ。 心配なのもあるけど、情報源としても結構頼りにしてるんだからさ。

Taro
アベンジ

さっきも言ったが、そんな下手は踏まない。 ひとりでいる分、逃げ隠れするのは簡単だ。

Avenge
アベンジ

お前たちこそ、頼りにしているんだ。 やられてくれるなよ。

Avenge
十三

言われなくても。

Juusan
アベンジ

そうであってほしいものだ。

Avenge
ドライ

……彼は鼻がきくのでしょうかね。 それとも、勘がいいのか……はたまた運なのか。

Drei
シオリ

このタイミングの良さだと、 なんだか押し付けられたような気になりますわね。

Shiori
タロ

ま、まさか。たまたまだよ。それにアベンジも 言ってたじゃないか。治安が悪くなってるって。

Taro
タロ

だから……。

Taro
荒くれ者

おーおー5人もいるじゃねぇか、豊作だ!

ならず者

大人しくクリスタルを出しやがれ! そうすりゃ、軽く痛い目見てもらうだけですませてやるよぉ!

チンピラ

ヒヒヒッ、でもこいつら、 クリスタル取っちまったら消えちまうんだろ?

Ruffian
ならず者

だったら抵抗してもしなくても同じか? アッヒャッヒャ、どうでもいいや、めんどくせぇやっちまえ!

十三

…………。

Juusan
十三

……めんどくさいはこっちの台詞だよ……。

Juusan
ドライ

治安の低下は、確かに著しいようです。 嘆かわしいことですね。

Drei
十三

フン、前と一緒だろ。命を粗末にしたいっていうんなら、 その無謀を体に教えてやるまでだ。

Juusan
十三

行くよ、みんな。 命知らずたちをせん滅してやる。

Juusan
タロ

りょーかい。

Taro
シオリ

ちょっと過激な準備運動ですわね!

Shiori

7節『似て非なる存在②』/ 7. An Existence it'd be a Mistake to Imitate - 2

Summary
次の対戦者は、ヴァルケンハインとレイチェ

ル、ラケル、ナオト。十三とレイチェルは観 測者を巡る因縁について暫し言葉を交わす。

十三

……まだ着かないの?

Juusan
タロ

いや、もうすぐ。あの瓦礫を越えた辺りだよ。

Taro
シオリ

はぁ、ようやくですわ。ここに来る間、何度もガラの悪い 方々に声をかけられて……普段以上に疲れました。

Shiori
ドライ

アベンジさんがおっしゃっていた治安の低下が、 身に滲みますね。

Drei
ドライ

……ん? これは……。

Drei
シオリ

香り? 花……薔薇の香りですね。

Shiori
タロ

この世界に薔薇なんてあった?

Taro
ドライ

いえ……今のところ見覚えは……。

Drei
十三

ちょうど、対戦場所のあたりから漂ってる。 行ってみよう。実際に見てみれば、なにがあるのかはっきりする。

Juusan
タロ

そうだね。なにかおかしなことが起こってるのかも しれないから、慎重に様子を見よう。

Taro
ヴァルケンハイン

……遅い!</style>

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

対戦相手はまだか!? いい加減待ちくたびれた。 時間も迫るというのに、どこで油を売っているんだ、連中は!?

Valkenhayn
ナオト

まだ時間まではもうちょっとあるよ。そうカッカするなって。 さっきから機嫌悪いな、ヴァルケンハイン。

Naoto
ヴァルケンハイン

機嫌だと? 悪くもなる、当然だろう!? 機嫌どころの話じゃない。不愉快だ!!

Valkenhayn
ラケル

いやね、大きな声を出して。確かに快適な環境では ないけれど、文句を言ったって仕方がないじゃない。

Raquel
レイチェル

そうよ、ヴァルケンハイン。少し落ち着きなさい。 ウロウロと辺りを歩き回って、みっともないわよ。

Rachel
レイチェル

……ねえ、ヴァルケンハイン。

Rachel
ヴァルケンハイン

はい、レイチェル様。どのような状況であろうと、 己を見失うことなく平静であること……。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

それがアルカード家に仕える者としての当然の態度でございます。 それを……あの者はまるで理解しておりません。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

まったく嘆かわしいことです……。我がことながら、 お見苦しい様をお目にかけまして、申し訳ございません。

Valkenhayn
レイチェル

いいのよ、ヴァルケンハイン。 誰にでも若かりし頃というものは、あるものだわ。

Rachel
レイチェル

それより、紅茶を淹れて。薔薇のいい香りがしてきたわ。 蒸らすには十分だと思うけれど。

Rachel
ヴァルケンハイン

おお、失礼いたしました。 ただいまお持ちします。

Valkenhayn
ナオト

おっと、こっちもいいころだな。 ……しかし、こんなところでまでお茶会とはな。

Naoto
ラケル

どこで飲んだって、ナオトの紅茶が美味しいことに 変わりはないわ。

Raquel
ナオト

そりゃ、どうも。お褒めにあずかり光栄だ。

Naoto
ラケル

だけどそちらの執事さんの紅茶も美味しそうね。 あとで一杯いただける?

Raquel
レイチェル

あら、いいわよ。遠慮することはないわ。

Rachel
ヴァルケンハイン

ええ。いつでもご用意いたしますよ、ラケル様。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

あぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜!!!</style> やめろやめろ!! なんなんだ貴様らは!

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

俺たちは戦いに来ているんだぞ!? ここで、今から、対戦相手と殴り合うためにここまで来たんだ!

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

なのに、紅茶だと!?</style> そんなもの悠長に飲んでいる場合か!

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

どこからか奇襲でもされたらどうする!? 警戒心というものがないのか!?

Valkenhayn
ナオト

んなこと言ったって、まだ相手が来てないだろ。 今からピリピリしてたってしょうがないだろ。

Naoto
ナオト

まあ……確かに、こんなところでお茶会ってのは、 どうかなぁとは思うけどさ。

Naoto
ナオト

ティーセットどころか、テーブルと椅子まであるし。 どこから出したんだよ。

Naoto
レイチェル

アルカード家の秘密よ。

Rachel
ナオト

……あんま深入りしないほうがよさそうだ。

Naoto
ヴァルケンハイン

小僧。レイチェル様への口の利き方がなっていないぞ。 何度も言っているが、態度を改めろ。

Valkenhayn
レイチェル

構わないわ、ヴァルケンハイン。 彼もまた、若いのだから。

Rachel
レイチェル

そうそう、若いといえば。 そちらのヴァルケンハインもこちらに来たらどう?

Rachel
レイチェル

ヴァルケンハインの紅茶でも飲んで、 紳士らしい物腰を身に着けたらいいわ。

Rachel
ヴァルケンハイン

うぐぐぐ……ええい、うるさい!! 俺の名前を呼ぶな、紛らわしい!!

Valkenhayn
レイチェル

ふふふふ。度し難い劣悪な世界に放り込まれて 辟易していたけれど、この面白い状況が見られるのは悪くないわ。

Rachel
ヴァルケンハイン

レイチェル様のお心の、慰めになっているのでしたら 何よりでございます。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

ですが……こうしてかつての己を見ることになろうとは、 思いませんでした。いやはや、お恥ずかしい。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

それはこちらの台詞だ!</style> なんだそのザマは。 牙を失ったのか?

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

それが自分の未来の姿かと思うと嘆かわしい。 俺は絶対に貴様のような、耄碌した老いぼれにはならんぞ! もうろく

Valkenhayn
レイチェル

ですってよ、ヴァルケンハイン。

Rachel
ヴァルケンハイン

それは私めへのお言葉でしょうか、レイチェル様。 それともあそこで喚く子犬めへの言葉でしょうか。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

誰が子犬だ!!!</style>

Valkenhayn
ナオト

あーあぁ、完全に遊ばれてるよ。 悪趣味だな……。

Naoto
ラケル

そう? 私も面白いと思うけれど。 ナオトもいつかどう?

Raquel
ナオト

いやいや、勘弁してくれ。未来の自分だの過去の自分だのと 会話するなんて、俺は絶対嫌だぞ。

Naoto
ナオト

ましてやそれを、自分の主人に見られるとかさ……。 じいさんのほうのヴァルケンハインにも同情するぜ。

Naoto
ヴァルケンハイン

貴様に同情されるいわれはない。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

が……レイチェル様にお楽しみいただけるのならば、 このような奇妙な巡り合わせも良いものだ。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

なにがいいものか! ふざけるな!!</style>

Valkenhayn
ナオト

声がでかいんだよ。

Naoto
ナオト

あと左右でその怖い顔で睨むなって。 背もでかいし、威圧感あんだからさ……。

Naoto
ナオト

はぁ……ヴァルケンハインがふたりって時点で相当頭痛ぇのに、 ラケルと同じ顔したレイチェルって子までいるなんてな。

Naoto
ナオト

いつまでたっても慣れねぇ。頭がどうにかなりそうだ。

Naoto
ラケル

忠誠心が足りないのではなくて?

Raquel
ラケル

自分のご主人様が誰なのかわかっていれば、 顔が同じくらいでそう混乱することもないでしょう?

Raquel
ナオト

んな簡単に行くか。 そんな風に割り切れるような似かたじゃないんだよ。

Naoto
レイチェル

あなたも同じ顔した誰かがもうひとりいれば、面白かったのに。

Rachel
ナオト

冗談じゃないって。

Naoto
ヴァルケンハイン

いい加減にしろ! その気の抜けた会話をやめて 戦闘準備をしろと言っているんだ!

Valkenhayn
レイチェル

だから落ち着きなさい、ヴァルケンハイン。 そう急かさなくても、時間通りに始まるわよ。

Rachel
レイチェル

そうでしょう、ヴァルケンハイン?

Rachel
ヴァルケンハイン

あ?

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

はい、そのようです。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

ぐぅっ……そっちか……くそっ、紛らわしくて苛々する……。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

……だが確かに、もう待つ必要はないようだな。

Valkenhayn
ナオト

対戦相手が来たのか?

Naoto
ヴァルケンハイン

そうだ。嗅ぎ慣れない臭いがする。 ……隠れても無駄だぞ! さっさと出てこい!!

Valkenhayn
タロ

いやぁ……臭いかぁ。できればもう少し様子を見て そっちの戦力とか状況とか、把握したかったんだけどな。

Taro
シオリ

あの大柄な男性ふたりは、獣人ですのね。 これでは、特別な策なく身を隠すのは無理ですわ。

Shiori
ドライ

獣人……獣と人のハイブリット、といった存在でしょうか。 本当にそうなのであれば、ぜひお手合わせ願いたいものですね。

Drei
十三

願わなくても、お手合わせするんだよ、今から。

Juusan
レイチェル

……あら。あなた……。

Rachel
十三

…………レイチェル=アルカードか。

Juusan
ドライ

お知り合いですか?

Drei
十三

ちょっとだけね。あんまり良好な関係じゃない。

Juusan
十三

……アルカードには関わりたくないって、 アンタたちの父親にも言ったんだけどな。

Juusan
ラケル

父親……お父様をご存知なの?

Raquel
十三

ちょっと縁があってね。 ……縁があるのは、そっちのウサギ頭もだけど。

Juusan
レイチェル

そうね。 でもお父様とまで繋がりがあるなんて、驚きだわ。

Rachel
レイチェル

よければ、どんな繋がりなのか聞かせてもらえないかしら。

Rachel
十三

別に……大したことじゃない。 アンタらの父親に言われて、ここにやってきたってだけの話。

Juusan
ラケル

お父様が、あなたをここへ導いたということ?

Raquel
レイチェル

面白い話ね。あなた、自分の意思で境界を移動するのね。 それで、なんのためにここへ?

Rachel
レイチェル

お父様があなたに、なにを言ったの?

Rachel
十三

……こいつを助けるようにってさ。

Juusan
十三

大事なご友人らしい。

Juusan

1: 友人……なのかな?
2: 以前お世話になりました

1:
2:

ナオト

あの人と友達……お前、大人しそうに見えて すごい奴なんだな……びびる。

Naoto
ラケル

お父様の言うことよ。 あまり言葉通りに受け取らないほうがいいわ。

Raquel
ラケル

どんな含みがあるのか、知れないもの。

Raquel
ヴァルケンハイン

クラヴィス様のご友人ともなれば、 邪険にするわけには参りませんな。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

幻想生物の世話になるなど、不運だったな、小僧。 その呪いはいつまでも付きまとうぞ。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

幻想生物の世話になるなど、不運だったな、小娘。 その呪いはいつまでも付きまとうぞ。

Valkenhayn
タロ

な、なんか、とんでもない人……なのか?

Taro
ドライ

そのようですね。 そんな方が助けるようにと言ったのであれば……。

Drei
ドライ

レイさんもまた、かなりの要人のようです。

Drei
シオリ

だったら、不戦勝にしてもらえないでしょうか。 だったら楽なんですけど。

Shiori
レイチェル

…………。

Rachel
ヴァルケンハイン

貴様らの事情などどうでもいい。不戦勝などさせるものか。 これでようやく戦えるのだぞ!!

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

紅茶だの茶菓子だの、くだらない話を聞くこともない。 積もりに積もったうっぷんを、晴らさせてもらう!

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

急くな、若造。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

……レイチェル様、なにかお考えがございますか?

Valkenhayn
ナオト

ラケルは? 親父さんの話、もっと聞いたほうがいいか?

Naoto
ラケル

……お父様が、彼を助けるようにと言ったのよね。

Raquel
ラケル

であれば、あの少年にはなにか特別なものが…… 助けなければならないだけの理由があるはず。

Raquel
ラケル

……お父様が、彼女を助けるようにと言ったのよね。

Raquel
ラケル

であれば、あの少女にはなにか特別なものが…… 助けなければならないだけの理由があるはず。

Raquel
ラケル

理由のないことはなさらない方だもの。

Raquel
ラケル

それが誰のためになって、誰を振り払うことになろうと…… お父様には、常にお考えがある……。

Raquel
レイチェル

そうね。 間違いなく、そうするだけの理由があるのよ。

Rachel
レイチェル

……であれば、ええ、戦いましょう。

Rachel
ナオト

いいのか? クラヴィスさんは、あいつを助けろって言ったんだろ?

Naoto
ナオト

もし俺たちが勝ったら、 その言葉に反することにならないか?

Naoto
レイチェル

お父様が選んだ人物に間違いがないか、確かめたいわ。

Rachel
レイチェル

もしもそれに足る人物でないのなら…… お父様があの子に求めているものは重荷すぎる。

Rachel
レイチェル

それはこの世界においてに限らず……ね。

Rachel
ナオト

どういう意味だ?

Naoto
シオリ

わたくしたちにも詳しく教えていただきたいですわね。 レイさんが、なんだとおっしゃるの?

Shiori
レイチェル

特別なご友人よ。お父様のね。

Rachel
レイチェル

対戦の時間は過ぎているわ。 始めましょう。

Rachel
ヴァルケンハイン

レイチェル様のご意思に従うのが、私の意思でございます。 このヴァルケンハイン、いつでも駆ける準備はできております。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

チッ……アルカードのため、クラヴィスのためだと思うと 腹に据えかねるが、この際構うものか。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

思い切り暴れられるのならそれでいい!

Valkenhayn
ナオト

俺も参加するんでいいんだよな?

Naoto
ラケル

……いいわ。私も……レイというようね。 彼に興味があるわ。

Raquel
ラケル

……いいわ。私も……レイというようね。 彼女に興味があるわ。

Raquel
ラケル

もしレイが私やレイチェルの思っている通りの 力を持っているなら、向こうが私たちに負けるはずがない。

Raquel
ラケル

それにナオトにとっても、いい特訓相手になるわ。

Raquel
ナオト

特訓ね。こんなときでも教育熱心だな、お前は。

Naoto
十三

めんどくさい感じになったな……。 やっぱり、アルカードに関わるとろくなことがない。

Juusan
ドライ

おやおや。 どうやら思いの外、根深い因縁がおありのようですね。

Drei
十三

たぶん、私が思ってる以上のね。

Juusan
タロ

相手はどんな人たちなの、じゅうじゅう?

Taro
十三

知らない奴もいるから、はっきりは言えないけど…… ウサギ頭とじいさんを甘く見たら死ぬよ。

Juusan
十三

人間の常識を外れてる連中だ。

Juusan
シオリ

ということは、残りも常識を外れてる可能性があるって ことですわね。

Shiori
タロ

厳しい戦いになりそうだけど、やるしかない!

Taro
ドライ

その通りです。心してかかりましょう!

Drei
ヴァルケンハイン

行くぞぉぉぉっ!</style> うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!</style>

Valkenhayn

7節『似て非なる存在③』/ 7. An Existence it'd be a Mistake to Imitate - 3

Summary
レイチェルは十分に力を見極めると、戦いを

止める。彼女の父の意図を図った末に、判断 を下し……自らのチームの敗北を宣言した。

遂にフガクは時間の並列化を成功させる。カ

ガミとココノエの手で強化された新装備を身 に纏い、シエルは目標への浸入を開始した。

ヴァルケンハイン

……驚きましたな。クラヴィス様が気にかける方と、 そのチームメンバー……侮ったつもりはありませんが。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

思いの外に強敵ですな。

Valkenhayn
ドライ

なんという強烈な蹴り……老体から繰り出される威力とは 思えません。これが……人狼……。

Drei
ヴァルケンハイン

うらぁぁぁぁぁぁぁっ!!</style>

Valkenhayn
タロ

っ、嘘だろ、俺の糸を―― うわぁぁぁぁぁっ!!</style>

Taro
タロ

あう、ぐっ……。

Taro
シオリ

タロさん!

Shiori
十三

くそっ、今行く!

Juusan
ヴァルケンハイン

ついて来るか……!

Valkenhayn
十三

フン、この程度……。

Juusan
ナオト

もらったぁ!</style>

Naoto
十三

なっ、ぐ……っ。

Juusan'

1: ナオトに好きにはさせない!
2: 十三、避けて!

1:
2:

ナオト

なに――!?

Naoto
十三

……っ!?

Juusan'
ナオト

っ、く、なんだ……? 急に体勢が崩れた!?

Naoto
十三

……戸惑ってる暇はないぞ。

Juusan
ラケル

気を付けて、ナオト。 ……観測の力が働いているわ。

Raquel
ヴァルケンハイン

観測の力だと? この重圧感はそのせいか……!

Valkenhayn
レイチェル

……無意識、なのかしら。

Rachel
レイチェル

不器用にも観測をコントロールしようとしているのね。 今はまだ自在には扱えないようだけれど……。

Rachel
ヴァルケンハイン

未熟といえど、これほどの存在を知りながら、 クラヴィス様が排除よりも保護を優先するとは……。

Valkenhayn
タロ

……う……うぅ……。

Taro
ドライ

タロさん、しっかりしてください。 十三、援護を!

Drei
十三

わかってる。 ……癪だけど、レイ、アンタの力を……!

Juusan
レイチェル

もういいわ。

Rachel
シオリ

え……?

Shiori
ラケル

……わかったわ。

Raquel
ナオト

ちょっと待てよ、まだ俺はやれるぞ!

Naoto
ヴァルケンハイン

そうだ! 観測の力がなんだ、 この程度の足かせで膝をつくつもりはないぞ!

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

……そうではない。 もう十分力を見たと、レイチェル様が判断されたのだ。

Valkenhayn
十三

フン、力を見るだなんて、ずいぶんな余裕だな。 それで勝ったつもり?

Juusan
レイチェル

勝つつもりなど最初からないわ。 対戦を始める前にも言ったはずよ。

Rachel
レイチェル

お父様のお眼鏡に敵う観測者であるのなら、 そちらのチームが負けるはずがない、と。

Rachel
レイチェル

レイ。

Rachel
レイチェル

生憎、私は覚えがないのだけれど、あなたはどこかで お父様に会っているのね。

Rachel
レイチェル

そしてそのとき、お父様はあなたの力を知った。

Rachel
レイチェル

きっとあなたの力を危ぶまれたことでしょう。だけどその 危険性をわかったうえで、今のあなたを必要だと判断した。

Rachel
レイチェル

だから……十三。あなたに、レイを 助けるように言ったのよ。

Rachel
十三

…………。

Juusan
十三

奴はなにを考えてる? 私やレイを利用して…… なんのつもりだ?

Juusan
レイチェル

さあ。わからないわ。 私はお父様のお考えを見通せるわけではないもの。

Rachel
レイチェル

だけどお父様が保護するべきと判断したのなら、そして これだけ惜しみなく力を示してくれたのなら……。

Rachel
レイチェル

ここで私たちが 万が一にも倒してしまうわけにはいかないの。

Rachel
シオリ

それって……つまり、どういうことですか?

Shiori
レイチェル

私たちの負けを認めるわ。

Rachel
ナオト

えぇっ!?

Naoto
ヴァルケンハイン

ふざけるな! 俺たちはまだ戦える、負けていない! 貴様が勝手に俺の勝ち負けを決めるな……うぐっ!?

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

口を慎め。いくらレイチェル様の温情があったとて、 看過できぬ範囲があるぞ。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

うぐぐぐ……くそ、放せ!

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

レイチェル様がお決めになったのだ。 それに従うのが我が道理。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

不服だろうが、付き合ってもらうぞ。

Valkenhayn
ラケル

…………。

Raquel
ラケル

ねえ、あの子はどうしたの?

Raquel
ナオト

ラケル? あの子って誰のことだよ。

Naoto
ラケル

レイと一緒にいた子よ。

Raquel
ラケル

ここは境界の影響が少なすぎて、はっきりと認識できないの だけれど……私、あなたと前にどこかで会ったわ。

Raquel
ラケル

そのときはあなた、違う子と一緒だった。

Raquel
ナオト

そう……なのか?

Naoto

1: シエルとはぐれちゃった
2: ひとりでこの世界に来た

1:
2:

ラケル

そう……だからあなたひとりの力で、 観測をコントロールして戦っているのね。

Raquel
ラケル

すごいわ。強くなったのね、あなた。

Raquel
ラケル

前はあの女の子の補助があるから、 なんとか形にできているという感じだったのに。

Raquel
ラケル

それじゃあ、あの子はもういなくても大丈夫ね。

Raquel
ラケル

あら……違うの? まだなにか役割があったのかしら。 もうあなたひとりで、なんでもできそうなのに。

Raquel
ナオト

そりゃそうだろ、ラケル。

Naoto
ナオト

事情はよくわかんねぇけど…… どんだけ強くなったって、大事なやつは大事なままなんだから。

Naoto
ナオト

むしろ自分の側にいつもいてくれる大事な人がいるなら、 その人のために強くなりたいって思ったりするんだしさ。

Naoto
ナオト

なんの役割とかじゃなくて、側にいてほしい子には、 そりゃ側にいてほしいよ。

Naoto
ラケル

そう……。レイにとってのあの子も、 そういう存在なのね。

Raquel
ラケル

側にいてほしいと思う気持ちは、私にもわかるわ。 利便性ではなく、もっとあやふやな気持ちでよ。

Raquel
ラケル

……次に会うときは、あの子も一緒だといいわ。 あの子があなたのことをどう思っているのか、聞いてみたいの。

Raquel
ナオト

お前がそんなことに興味を持つなんて、珍しいな。

Naoto
ラケル

そうかしら。私は好奇心が旺盛なほうよ。

Raquel
ナオト

まあ、確かに。

Naoto
ナオト

……レイ、だっけ。お前の持ってる力、 なんか大変そうなんだな。

Naoto
ナオト

俺が言うのもおかしいけど……まあ、頑張れよ。

Naoto
ナオト

せっかくこうして会って、戦って、そんで半端な結果だけど 負かされたわけだから。応援してるよ。

Naoto
ヴァルケンハイン

くそぉっ……!

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

レイチェル様。クリスタルの吸収が完了したようです。

Valkenhayn
レイチェル

そうね。私たちの奇妙な夢も、ここで終わり。 まあまあ楽しかったわ。

Rachel
ラケル

この世界で最後に会えたのが、あなたたちだったのは、 運命のようなものを感じるわね。

Raquel
レイチェル

運命だったのだと思うわ。 誰の手引きで紡がれたものかはわからないけれど。

Rachel
レイチェル

……そろそろ行きましょう。 また、どこかで会いましょうね。

Rachel
シオリ

……消えてしまいましたわ。 わたくしたちの勝ち……でいいのですわよね。

Shiori
十三

向こうがいいって言ってるんだから、いいんじゃない。 あっちの目的は達成できたみたいだし。

Juusan
十三

それより……。 大丈夫なの? そいつ。

Juusan'
タロ

っ、つ……あ、はは……じゅうじゅう、 心配してくれるんだ……あい、ってて。

Taro
ドライ

ああ、無理に起き上がろうとしなくても結構ですよ。 ダイナーまでは、私が運びましょう。

Drei
シオリ

……応急手当だけはしておきますけれど、 とてもすぐに動ける状態ではありません。

Shiori
シオリ

どうか無茶なさらないでくださいな。

Shiori
十三

動けないなら、置いていく?

Juusan
タロ

……ぶっちゃけ、そうしてほしいかも。 戦力になれないどころか、かなりのお荷物になる。

Taro
ドライ

なにを言うのです! そんな無情が許されるものですか。 重傷人ですよ? そのうえ我々の仲間です。

Drei
シオリ

足手まといだというのはよくわかりますけれど、 だからといってこんな荒野に置き去りにはできませんわ。

Shiori
シオリ

明日の寝覚めが悪くなりそうですもの。

Shiori
十三

……どうせそんなこと、言い出すだろうと思ってたよ。 好きにしなよ。私はどうでもいいから。

Juusan
タロ

ごめんね……思いっきりもらっちゃって。

Taro
タロ

あのおじいさんじゃないほうの人狼の人、 めちゃくちゃ強かったよ……。

Taro
シオリ

わたくしは見ていただけですけれど、おじいさんの方も 相当強かったですわよ。

Shiori
ドライ

ええ。私までタロさんのような状態にならなくて、 本当によかったです。

Drei

1: 観測の力が使いこなせれば……
2: 怪我をしなかったことにできれば

1:
2:

シオリ

……そうすれば、タロ先輩が怪我をしないですむように、 事象を変えられたかも……ってことですか?

Shiori
タロ

これは、俺が下手を踏んだだけだよ。 レイの責任じゃない。

Taro
ドライ

レイさん。いけませんよ。

Drei
タロ

え、なにが?

Taro
ドライ

レイさんの力は、観測の力。観測することで、 実際になにが起こったのかを確定させることができる力です。

Drei
ドライ

とても強力で、素晴らしい力ですとも。 ですがこれは、言い換えれば現実を改変する力です。

Drei
ドライ

無闇に、しかも己の欲のために使用するのは危険です。 あまり率先してするべきではない。……私はそう思います。

Drei
十三

……昔の話だけど。 お前みたいに観測の力を持ってしまったやつを知ってる。

Juusan
十三

そいつはその力を散々利用されて、振り回され続けてた。 まあ、私にはあんまり関係ないんだけど。

Juusan
十三

でも観測の力ってのは、便利なものじゃないし、 便利に使えるものでもないから……。

Juusan
十三

……気を付けたほうがいいよ。

Juusan
タロ

……レイも心配してくれてるんだよな。 ありがとう。とりあえず生きてるし、大丈夫だよ。

Taro
タロ

あと、置いていってくれなんて言ってごめん。 もちろん最後まで、みんなと一緒に行きたいよ。

Taro
タロ

だから悪いんだけど、ドラドラ。 治療ができる場所まで、お願いしてもいいかな。

Taro
ドライ

当然です。さあ、しっかり掴まって。 肩に担ぎますよ。

Drei
シオリ

一応、痛み止め代わりに麻痺毒を少しだけ投与しますわ。 より動けなくはなりますけれど、痛みはマシになるはずです。

Shiori
タロ

はは……ありがとう。助かるよ、シオシオ。

Taro
十三

帰り道も、いわゆる治安の悪い連中だとか、魔物だとかが 出てくるかもしれない。

Juusan
十三

戦闘は私が行くけど、シオリとレイは いつでもすぐに対応できるようにしておけ。

Juusan
シオリ

了解です。

Shiori
シエル

(……長くトレーニングルームにいたと思っていたのに、 まだ2時間しかたっていない……。)

Ciel
シエル

(レイさんのいるファントムフィールドが 発見されて、《浸入》 (ダイブ) に向けて準備が始まってからは、)

Ciel
シエル

(まだ一日もたっていない。)

Ciel
シエル

(なのに……もう何日も顔を見ていないような気がする……。)

Ciel
シエル

(体の中に、穴が開いたようです。 これを何と呼んだらいいのですか……。)

Ciel
シエル

(レイさん……。)

Ciel
シエル

……ううん。余計なことを考えて、 バイタリティに不調をきたしてはいけません。

Ciel
シエル

今はカガミさんたちを信じて、レイさんを信じて、 自分にできることをする……。

Ciel
シエル

あ……。

Ciel
テイガー

トレーニングルームにいたのか。

Tager
シエル

テイガーさん。 はい。ウォーミングアップをしておこうと思いました。

Ciel
シエル

体が緊張で固まっていましたが、もう万全です。 いつでも《浸入》 (ダイブ) に臨めると思います。

Ciel
テイガー

それはなによりだ。その状態を維持しておくといい。

Tager
シエル

はい。

Ciel
シエル

……カガミさんやココノエさんは、いかがですか?

Ciel
テイガー

相変わらず、あちこちいじくり回している。

Tager
テイガー

俺は搭載されている計器がオーバーロードしたんでな。 冷却しきるまで邪魔だと追い出されたところだ。

Tager
シエル

そ、それは大丈夫なのですか?

Ciel
テイガー

故障のことを心配しているのか? 問題ない。 そうなったとしてもココノエがあとで修理してくれるだろう。

Tager
シエル

…………。

Ciel
テイガー

どうかしたか? 複雑そうな顔をしているが。

Tager
シエル

いえ。その。たとえ修理できるとしても、 今はお辛くないのだろうかと気になりました。

Ciel
シエル

……いえ、レイさんだったら、そんなことを 危惧されるのではないかと……思いました。

Ciel
テイガー

そうか。

Tager
テイガー

安心しろ、そう辛くはない。慣れたものだ。

Tager
シエル

そうですか……。

Ciel
テイガー

……私のことより、レイだ。 不安にさせるつもりはないんだが……もうかなり時間がたった。

Tager
テイガー

フガクの中よりも、ファントムフィールド内のほうが 時間の経過が早いのだったな。

Tager
テイガー

前回の通信以降、 向こうはどれくらい経っているのだろうか。

Tager
シエル

正確な数値を把握していないので、断言できませんが…… 少なくとも数日は経過しているはずです。

Ciel
テイガー

数日か。状況がどう変わっているのかが気がかりだな。

Tager
カガミ

シエル、司令室に来い。大至急だ。

Kagami
シエル

は、はい。なにかありましたか!?

Ciel
カガミ

《浸入》 (ダイブ) だ。 早く来い。

Kagami
シエル

Ciel
シエル

はい!

Ciel
シエル

シエル=サルファー、参りました!

Ciel
カガミ

よし。すぐに準備を始める。位置につけ。

Kagami
シエル

了解!

Ciel
テイガー

入れるのか?

Tager
ココノエ

今だけ、数分間だけな。

Kokonoe
ココノエ

偶然も重なって、なんとか調整できた。 だが現状を長く保っていられない。

Kokonoe
カガミ

聞いての通りだ。こちらからどれくらいサポートできるかは、 定かではない。ラーベもない。

Kagami
カガミ

だが今を逃したら、次にいつ行けるかもわからない。

Kagami
カガミ

ファントムフィールドの解放を確認できたら、帰還を行う。 約束できるのはそれだけだ。

Kagami
シエル

問題ありません。行かせてください。

Ciel
シエル

必ずレイさんと合流し、窯を破壊してきます。

Ciel
ココノエ

ああ、その前に。 シエル、ちょっとこっちに来い。

Kokonoe
シエル

え? ですがこれから《浸入》 (ダイブ) なのでは……。

Ciel
ココノエ

いいから来い。すぐに終わる。

Kokonoe
テイガー

ココノエ、まさかシエルに改造を……。

Tager
ココノエ

お前から改造してやろうか……。

Kokonoe
カガミ

おお〜。いいじゃないか、いいじゃないか。

Kagami
テイガー

ほう。

Tager
シエル

あの……これは?

Ciel
カガミ

私がココノエに頼んでおいた新装備だよ。

Kagami
シエル

新装備……ですか?

Ciel
ココノエ

急ごしらえではあるが、性能は保証する。

Kokonoe
ココノエ

詳細不明のファントムフィールドに単身《浸入》 (ダイブ) するんだ。 装備を強化する必要は十分にあるだろう?

Kokonoe
シエル

ココノエさん、ありがとうございます。

Ciel
カガミ

一応私も手を加えているぞ。 シエルのデータを提供したのも私だ。

Kagami
ココノエ

そうだな。共同制作ということにしておいてやろう。

Kokonoe
カガミ

なにおう。

Kagami
シエル

おふたりとも、ありがとうございます。 とても心強いです。

Ciel
シエル

至急、装備を整え、《浸入》 (ダイブ) します!

Ciel
カガミ

……頼んだ。

Kagami
カガミ

《浸入》開始!</style>

ダイブKagami

8節『約束①』/ 8. Promise - 1

Summary
ダイナーでは、先の戦いでタロが負った傷の

手当てが続いていた。しかし休息も束の間、 チームに宛てた次の対戦指示が届けられる。

シオリ

ただいま戻りましたわ。 少ないですけど、いくつか薬草を手に入れてきました。

Shiori
ドライ

シオリさん、ご苦労様です。

Drei
シオリ

さっそく薬の調合を始めますわね。 ……タロ先輩の様子はどうですか?

Shiori
ドライ

つい先ほど、目を覚ましたところですよ。 今はひなたさんが付いてくれています。

Drei
ドライ

痛みのせいで、あまり眠れないようですね。

Drei
シオリ

そうですか……あの。 皆さん、本当にありがとうございます。

Shiori
ノエル

気にしないで。この世界では争う相手かもしれないけど、 こういうときに助け合ったって別にいいと思う。

Noel
Es

はい。ノエルさんの言う通りです。

Es
Es

今の私たちは対戦相手ではありません。 行動を制限されているわけでもありません。

Es
Es

それに……タロさんが回復に向かっているのは、 彼自身の生命力のおかげです。

Es
ノエル

そうだよ。応急処置をしたのだってシオリたちだし。 私たちは、せいぜい護衛役くらいにしかなってないもん。

Noel
ノエル

……その護衛だって、ほとんどキサラギ少佐がひとりで やってるようなものだけど。

Noel
Es

ジンさんが、ご友人のタロさんのためと仰るのですから ノエルさんが気に病む必要はないと思います。

Es
ジン

勝手に決めつけるな。僕の知らないところで勝手に死なれるのも 元学友として気分が悪いだけだ。

Jin
Es

はい、ですからジンさんはタロさんを心配して……。 違うのですか?

Es
ジン

違う。二度と間違えるな。

Jin
Es

そうですか、了解しました。

Es
シオリ

ふふっ……あっと、こうしてはいられませんわ。 シオリはタロ先輩のところへ薬を持って行かないと。

Shiori
ドライ

私も一緒に行きましょう。

Drei
ひなた

あ、シオリさん。おかえりなさい。

Hinata
シオリ

ただいまですわ。これ、痛み止めになる薬草です。 部屋の端で調合させていただきますね。

Shiori
シオリ

タロ先輩、具合はいかがです?

Shiori
タロ

傷は痛むけど……なんとか大丈夫だよ。 酷くなってる感じもないし、みんなのおかげだね。

Taro
タロ

……けど、まともに動けるようになるには しばらく時間がかかっちゃいそうだよ。

Taro
タロ

みんなに迷惑かけちゃうなんて、ほんと情けないや……。

Taro
シオリ

それは言わないお約束ですわよ。 こんな時のために、補欠としてシオリがいるんですから。

Shiori
ドライ

ええ、チーム戦である以上、誰が離脱するかはわかりません。 今回はたまたまそれがタロさんだったというわけですよ。

Drei
ドライ

あとは私どもにお任せください。 タロさんはまず、体の方をしっかり治すことが先決です。

Drei
ひなた

ふふっ、いいチームですね。

Hinata
タロ

ひなひなも、ありがとう。 おかげで、随分楽になったよ。

Taro
ひなた

ひなひな…… ふふ、そんな風に呼ばれるの、初めて。

Hinata
タロ

ジンジンたちにもあとでお礼しなきゃ。 ところで、じゅうじゅうは?

Taro
ドライ

ひとりで外を警戒していますよ。

Drei
ドライ

……もっとも本人曰く、 馴れ合うのは性に合わない、外で風にでもあたってくる……。

Drei
ドライ

……だ、そうですが。

Drei
シオリ

まったく、素直じゃありませんわね。

Shiori
タロ

はは、でもじゅうじゅうらしいや。

Taro
ジン

思っていたより元気そうだな。 その様子なら、護衛なんか必要なかったか。

Jin
タロ

またまた、ジンジンってば相変わらず厳しいんだから。

Taro
タロ

それで? みんな揃ってどうしたの?

Taro
ノエル

食事の用意ができましたので、呼びに来たんです。 あ、タロ先輩の分はあとで持ってきますからね。

Noel
シオリ

え"っ……あの、ノエル? まさかその食事って、ノエルが作った……とか?

Shiori
ノエル

えっ? ううん、ダイナーで注文したやつだよ。 どうして?

Noel
シオリ

あっ、ううん、だったら別に……あは、あははは……。

Shiori
ノエル

あ、でもタロ先輩のお粥だけは私の手作りですよ。 具材も栄養もたっぷりですからね。

Noel
タロ

え〜手作り? それは楽しみだなぁ!

Taro
シオリ

タロ先輩、せっかく助かった命なのに……ご愁傷さまです。

Shiori
タロ

え? え? なにシオシオ? どういうこと?

Taro
シオリ

なんでもありませんわ。 はいこれ。特性の薬です。食後に飲んでくださいね。

Shiori
タロ

ああ、ありがとう。 そうだ、ジンジン。少しだけ、いいかな。

Taro
ジン

……ああ。

Jin
ノエル

それでは、私たちは先に食事にしましょう。 タロ先輩のお粥は、あとで持ってきますね。

Noel
ドライ

十三、外の警戒はもう大丈夫なのですか?

Drei
十三

ん……特に気配も感じないし、地形も把握したから 誰かが近づけばすぐに……。

Juusan
十三

……私は風にあたってくるって言ったはずだけど。

Juusan
ドライ

そうでしたね、失礼しました。

Drei
十三

ふん……。 あいつの様子は?

Juusani
シオリ

空元気……といった感じでしょうか。 けど、しばらく休めば回復はすると思いますわ。

Shiori
Es

そうですね、安静にして栄養価の高いものを摂取していれば、 数日で動けるようになるかと思われます。

Es
十三

その様子じゃ、戦力として数えるのは厳しそうだね。 今後の戦術を考える必要がありそうだ。

Juusan
シオリ

ちょっと、十三。今はそんなこと……!

Shiori

1: 大事なことだね
2: 大丈夫、シオリがいる

1:
2:

シオリ

レイまで。

Shiori
ドライ

いえ、正しい意見ですよ。タロさんの体調に関わらず 我々は勝ち進むしかないのですから。

Drei
シオリ

……そう、ですわね。

Shiori
シオリ

そりゃ、シオリだって頑張りますけど…… それよりまずは、タロ先輩が心配じゃないんですか?

Shiori
ドライ

みんな、心配ですよ。でも……。

Drei
ドライ

私たちは戦うことを止めるわけにはいきません。 タロさんの体調に関わらず、勝ち続けるしかないのですから。

Drei
シオリ

……そう、ですわね。

Shiori
ノエル

でも、頑張るためにはご飯を食べて 体にパワーをつけておかなきゃ!

Noel
ノエル

さあさあ皆さん、まずはご飯にしましょう! ほら、十三ちゃんも。そんなに怖い顔してないで!

Noel
十三

えっ、いや、私は……。おい、押すな!

Juusan
ノエル

いいからいいから。ほら、座って。

Noel
ノエル

十三ちゃんってきっと、私より年下でしょう? お姉さんの言うことは聞かなきゃダメだよ?

Noel
十三

うっ……わ、わかった……座る。 座るから、そんなに押すなって……。

Juusan
十三

はぁ……どの世界でもこんなに強引なのか……。

Juusan
ノエル

じゃあシオリ、料理運ぶのを手伝ってもらえる?

Noel
シオリ

ええ、あそこに並んでる料理でいいのですわね。 あら、この紙に包まれているのもですか?

Shiori
ノエル

えっ? 包み……ってなに?

Noel
シオリ

…………あ。

Shiori
ドライ

シオリさん? どうしました?

Drei
シオリ

これを……。

Shiori
ドライ

パンの包み紙、ですか?

Drei
シオリ

ええ。ここに、次の指示が……。

Shiori
ジン

それで、僕に話か?

Jin
タロ

引き留めてごめん。そんなに大した話じゃないんだ。

Taro
タロ

ただ、こんな世界でもなきゃ、なかなかジンジンと 話せる機会なんてないから。

Taro
ジン

…………。

Jin
ジン

そうだな。士官学校を出てから、初めてか。 立場も家も、なにも関係なくお前と話をするのは。

Jin
ジン

ただし、今はある意味敵同士ではあるが……ふん、因果なものだ。 友人が話をするのに、敵である必要があるなんてな。

Jin
タロ

あはは、まったくだよ。

Taro
ジン

それで、傷の具合はどうなんだ?

Jin
タロ

それなりに痛いけど、動けないほどじゃないよ。 骨の何本かは折れたみたいだけど。

Taro
ジン

……やせ我慢は程々にしておくことだ。 もう学生じゃないんだからな。

Jin
ジン

どの道、その体ではもう、ゲームには参加できないだろう。

Jin
タロ

あぁ……そうだね。 情けないよ、自分が。

Taro
タロ

ジンジンは……強くなったんだなぁ。

Taro
ジン

…………。

Jin
タロ

いや……変わったのかな。

Taro
タロ

俺が近くにいられた学生のころは、 もっと柔らかい雰囲気だったけど……。

Taro
タロ

いつも気を張っていて、自分を押し殺していて、 危うげな印象があった。

Taro
タロ

今は……ジンジンの心配をすることすら 俺なんかじゃ畏れ多いくらいだよ。

Taro
タロ

まるで抜き身の刀だ。こうやって目の前にいるだけで、 今にも斬られるんじゃないかって冷や汗かいちゃいそうだ。

Taro
タロ

その殺気、ずっと出してなきゃ駄目なの?

Taro
ジン

……癖なんだ。すまないが、我慢してくれ。

Jin
タロ

それが癖になっちゃうくらい、死線を くぐり抜けてきたってことか……。

Taro
タロ

まいったな、強くなるわけだよ。 士官学校の頃から、すっかり差を開けられちゃったな。

Taro
タロ

そのユキアネサだってそう。

Taro
タロ

前は剣そのものに振り回されてたけど、 今はジンジンの武器として、体の一部みたいに感じるからね。

Taro
タロ

もう、俺の護衛もジンジンには必要なくなっちゃったな。

Taro
ジン

……タロ。 今のお前には、他に護るべき人間がいるだろう。

Jin
ジン

お前の目指している道も、簡単ではないぞ。

Jin
タロ

それも見抜かれてるか……ああ、わかってるよ。 俺だって生半可な気持ちで決めたわけじゃないから。

Taro
ジン

そうか……ならいい。

Jin
タロ

ジンジンこそ、もう見つかったの? 『探してる相手』。 殺さなきゃいけないはずの誰か……だっけ?

Taro
ジン

……いいや。 僕の道も簡単ではないからな。

Jin
ジン

だが……自分でも不思議なんだが そいつが見つかる方が良いとは……僕自身、思えないんだ。

Jin
タロ

そっか……大変だね、お互い。

Taro
ジン

……そうだな。

Jin

8節『約束②』/ 8. Promise - 2

Summary
森を移動する十三たちは、ファジーとハザマ

の奇襲を受けた。対戦そのものの妨害を狙う 襲撃に、一行は応戦しつつ目的地へと急ぐ。

シオリ

ちょっとちょっと! タロ先輩、荷物はシオリが持ちますから!

Shiori
タロ

なに言ってんの、大丈夫だって! こんな怪我くらいで……っ。

Taro
タロ

つぅ……。

Taro
シオリ

ほら、だから言ったじゃないですか!

Shiori
タロ

だ、大丈夫、大丈夫、これくらい……うぎっ……!

Taro
Es

ものすごい冷や汗です。 おそらくタロさんは、やせ我慢をしていると思われます。

Es
シオリ

そんなの、誰が見たってわかりますわよ。

Shiori
ひなた

やっぱり、まだ安静にしてたほうが いいんじゃないかなぁ……。

Hinata
ノエル

そ、そうですよタロ先輩。 せめて傷が塞がるまでは寝てるべきです!

Noel
十三

言って聞くタマじゃないよ。 それより、自分たちの心配したほうがいいんじゃない?

Juusan
十三

……そっちも次、決まってるんでしょ。

Juusan
ノエル

えっ! な、な、なんでわかるんですか!?

Noel
ジン

貴様のせいだ、ノエル=ヴァーミリオン。 昨日より明らかに、気が張っている。

Jin
ノエル

そんな……それならそうと、教えてくれても いいじゃないですかぁ。

Noel
ノエル

タロ先輩たちに気を使わせないようにと、 内緒にしてたのに〜……。

Noel
ジン

教えたところで、貴様に隠し通せるはずがない。 貴様以外の全員がわかっていることだ。

Jin
Es

はい、そうですね。

Es
ノエル

そ、そんなぁ!? ひなたちゃん! ひなたちゃんは、そんなことないよね!?

Noel
ひなた

え? ええっと……あ、あはは。 ノエルちゃん、あんまり嘘が得意じゃなさそうだから……。

Hinata
ノエル

みんな、ひどいよぉ〜!!

Noel
ひなた

だけどタロさん。本当に無理はしないでくださいね。 まだ寝てなくちゃいけないのは、間違いないんだから。

Hinata

1: 大丈夫、タロはみんなで支えるよ
2: 十三が言ってた通りだからなぁ

1:
2:

ドライ

レイさんの言う通りです。 私たちは、チームですから。

Drei
ドライ

タロさんのことは、我々にお任せください。

Drei
十三

ま、本当に動けなくなったら置いていくけどね。

Juusan
タロ

マジで……?

Taro
ドライ

ええ、タロさんはなにを言っても付いてくるでしょう。 我々に彼を止める手立てはありません。

Drei
ドライ

タロさんのことは、我々にお任せください。

Drei
十三

ま、本当に動けなくなったら置いていくけどね。

Juusan
タロ

マジで……?

Taro
ジン

ああ、置いていく時は一切の遠慮をしないでくれ。 タロは優しくされると甘えるところがあるからな。

Jin
タロ

ひどい、ジンジンまで!

Taro
ジン

僕たちもそろそろ行くぞ。 これ以上、遊んでいる暇はない。

Jin
Es

そうですね。時間を考えても あまりゆっくりしていると間に合わなくなりそうです。

Es
シオリ

皆さん、お世話になりました。 次に会う時は……今度こそ敵同士ですね。

Shiori
ノエル

そう……だね。 塔を目指す者同士、どこかでまた会うことになるよね。

Noel
ジン

それまで負けるなよ、タロ。

Jin
タロ

ジンジンこそ!

Taro
十三

もういいかい? さっさと行くよ。

Juusan
ドライ

それでは、我々はこれで。

Drei
ノエル

行っちゃいましたね……。 本当に大丈夫かな、タロ先輩。

Noel
ジン

問題ない、ああ見えて頑丈なやつだ。

Jin
ひなた

…………。

Hinata
Es

ひなた? どうしました?

Es
ひなた

こうしてまた、みんな塔を目指す…… 塔に行けば、本当に私たちの願望は叶うのかな?

Hinata
Es

もしや、またあの夢を見たのですか?

Es
ひなた

……うん。

Hinata
ひなた

『誰か』がいた夢。私たちが知らないはずの『誰か』。 塔に行けば、私もEsちゃんも、それがわかるのかな。

Hinata
ひなた

もうずっと思い出せない『誰か』のことが……。

Hinata
Es

…………。

Es
ドライ

……妙、ですね。

Drei
十三

……だね。

Juusani
シオリ

妙とは、なにがでしょうか?

Shiori
十三

さっきから纏わりついてくる気配のことだよ。 たぶんだけど、ドライブ能力者。

Juusan
タロ

えっ? て、敵!? いつっ……つうぅ……!

Taro
シオリ

んもう、タロ先輩。ご自分の状態を自覚してください。 ここはシオリに任せてくださいな。

Shiori
シオリ

でも……シオリにはなんの気配も感じられませんわ。 本当に敵なのでしょうか? アベンジさんなのでは?

Shiori
十三

あいつが私たちを付けまわす理由がないし、 それにアベンジからはもっと殺気が感じられた。

Juusan
十三

今追ってきてるやつに敵意は感じられないから、 殺し屋のアンタじゃ察知できないんじゃないかな。

Juusan
ドライ

ええ。私も魔術によって淀みを微かに感じられる程度です。 一定の間隔で、ずっと我々についてくる気配の淀みを。

Drei
シオリ

魔術で……でも、ならば十三はなぜ その気配を感じられるのですか?

Shiori
シオリ

十三は、魔術は使えませんわよね?

Shiori
十三

…………。 昔、いたんだ。

Juusan
十三

近くにいるだけで、こういう感覚を覚えるやつがね。

Juusan
タロ

それじゃ、じゅうじゅうの知り合いなの? だったら味方になってくれる……とか?

Taro
十三

それはないかな。 私はそいつのことが、大嫌いだからね。

Juusan
ドライ

ではやはり、敵ですか。 今度の対戦相手でしょうか?

Drei
十三

どうかな……。 敵でも味方でも気味の悪い蛇みたいな男だよ。

Juusan'
シオリ

あ……。 でもやっぱり、敵みたいですわね。

Shiori
シオリ

対戦に指定された場所までは、まだしばらく先ですけど この『臭い』は誤魔化せませんわ。

Shiori
タロ

臭い……? 本当だ、言われてみれば。 なんだろうこの臭い、あまりいい臭いじゃないけど……。

Taro
シオリ

この臭いなら、幼い頃から何度も嗅いできました。 これは……死臭ですわ。

Shiori
タロ

死……ええっ!?

Taro

1: みんな、気を付けて!
2: 辺りを囲まれてる!

1:
2:

ドライ

森の中で挟み撃ちですか。厄介ですね。

Drei
ドライ

しかし敵の姿が見えません。いったいどこに……?

Drei
タロ

うそだろ?! 地面から出てきたぞ!! 気持ちわる……なんだ、こいつら!?

Taro
シオリ

これは……アンデッドですわ!

Shiori
ドライ

アンデッド……死してなお戦う獣ですか。 見るからに動きは鈍そうですが……少々数が多い。厄介ですね。

Drei
ドライ

しかしこの手の術は、必ず術者が近くにいるはず。 これほどの数です。きっと我々の見える場所に……。

Drei
シオリ

――そこですわっ!

Shiori
ファジー

あれあれ〜? 気付いた? 気付いちゃった? おっかしいな〜、完璧に隠れてたはずなんだけど。

Fuzzy
ファジー

あ、もしかして殺気が漏れてたとか? 君、ひょっとして殺し屋かな? かなかな〜?

Fuzzy
シオリ

子ども……? いえ、でもこの無邪気な殺気。 見た目に惑わされてはいけませんわね。

Shiori
十三

へぇ、死霊使いか。 それに、この感じ……いや、似てるけど違う……。

Juusan
十三

そんなに力も感じないし……気のせいか。

Juusan
ファジー

ん〜? そこのお姉さん、なんか失礼なこと言った? せっかくだからお姉さんから遊んであげようかな? かなかな?

Fuzzy
十三

あぁ、わかった。あんた『混ざりもの』か。 どうりで中途半端な気配をしてるわけだ。

Juusan
ファジー

あはは、おもしろいお姉さんだね。ちょっとムカついちゃったから すぐに殺しちゃってもいいかな。……いいよね?

Fuzzy
十三

試してみる? 半端なハーフヴァンパイアごときに 私を殺せるかどうか。

Juusan
ファジー

っ……! だったら、試してあげるよ!!

Fuzzy
十三

……ふん。

Juusani
タロ

じゅうじゅう、大丈夫!? くそっ、シオシオ! 援護を!

Taro
シオリ

わかっていますわよ! けど……こいつらが!

Shiori
ドライ

はぁッ!!

Drei
ドライ

一匹一匹はそれほど脅威ではありませんが、数が多い……。 これをすべて退けるのは骨が折れますよ。

Drei
ファジー

あれあれぇ〜? お姉さん、どうしたのかな? かなかな? あんなに大口叩いて、逃げ回るだけなの?

Fuzzy
十三

…………。

Juusan
タロ

やばいぞ、あのじゅうじゅうが防戦一方だなんて。 あの子、とんでもなく強いぞ!?

Taro

1: 十三なら大丈夫だよ
2: なんとか援護してみよう

1:
2:

ドライ

ええ。レイさんの言う通りですよ。

Drei
ドライ

一見押されているように見えますが、 十三はあの鋭い攻撃をすべて見切っています。

Drei
ドライ

彼女が攻撃に転じないのは、理由があるのです。

Drei
ドライ

いえ、手を出す必要はありませんよ。見てください。

Drei
ドライ

一見押されているように見えますが、 十三はあの鋭い攻撃をすべて見切っています。

Drei
ドライ

彼女が攻撃に転じないのは、理由があるのです。

Drei
シオリ

理由……ですか?

Shiori
ドライ

ええ。その理由のひとつめが……。

Drei
ドライ

ぬぅん!!</style>

Drei
タロ

なっ……攻撃!? どこから!?

Taro
ドライ

理由のひとつめ。 我々の隙を狙っていた、もうひとりの存在です。

Drei
ハザマ

おやおや、いなされてしまいましたか。 おまけに私の存在も気取られていたようで……参りましたね。

Hazama
ハザマ

ファジーさんと戦う彼女といい、あなたといい、 とても強い力をお持ちのようですね。いや本当に強い。

Hazama
ドライ

隙をついて背後から攻撃とは卑怯な……。 どなたかお聞きしても良いでしょうか?

Drei
ハザマ

これはこれは、失礼しました。 私、ハザマと申します。

Hazama
ハザマ

あなたがたには、次の対戦相手、と言ったほうが ご理解いただきやすいでしょうか。

Hazama
シオリ

対戦相手ですって!?

Shiori
シオリ

ちょっと! 場所も時間も、全然違いますわよ!

Shiori
ハザマ

ええ、その通りです。 ですから我々、いわゆる捨て駒というやつでして。

Hazama
タロ

捨て駒だって?

Taro
ドライ

なるほど……そういう手も許されているのですね。

Drei

1: どういうこと?

1:

ドライ

このゲームは4人までバトルに参加することができますが 見ての通り、彼らはふたりしかいません。

Drei
ドライ

他に気配も感じませんし、今この場には本当に 彼らふたりしかいないのでしょう。

Drei
ドライ

では、彼らはふたりしかいないチームなのでしょうか?

Drei
シオリ

ゲームが終盤に差し掛かり、勝ち進んだチームも強敵ばかり…… ふたりだけのチームで勝ち進むのは考えにくいですわ。

Shiori
シオリ

つまり……残りのふたりは、別にいる。

Shiori
ドライ

ええ。だから捨て駒なのです。

Drei
ドライ

我々はチームの全員がここにいる。

Drei
ドライ

もし我々がこのまま負けたり、仮に勝ったとしても 時間が足りなくなって指定場所に辿り着けなければ?

Drei
タロ

俺たちはゲーム不参加で敗北になる……。

Taro
タロ

じゃあこいつら、単なる時間稼ぎの嫌がらせ!?

Taro
ハザマ

だから言ったでしょう。我々は捨て駒ですよ。

Hazama
ファジー

ああもう、逃がしちゃった!

Fuzzy
十三

……ああ、やっぱりお前か。

Juusan
ハザマ

おや? 私のことをご存じで? あいにく、あなたには見覚えがありませんが……。

Hazama
十三

……蛇の言うことは信じられないね。

Juusan
十三

それより、あんたたち本気? たったふたりで、時間稼ぎできると思ってるの?

Juusan
ハザマ

いや〜、私は正直あまり自信がないんですけど。 ファジーさんがどうしてもって言うもんですから。

Hazama
ファジー

うーん、だってここ、森の中だし?

Fuzzy
ファジー

そこら中、仕込んでおいた魔獣だらけだし、 いけるかな〜。かなかなぁ? アハハハ!

Fuzzy
シオリ

確かに数はかなりのものですわね。

Shiori
シオリ

けれど、こんなもの、術者を倒せば動けなくなる ただの操り人形でしょう!?

Shiori
ファジー

うん、その通り! 僕が死ねば、この子たちももう一度死ぬ。だから……。

Fuzzy
タロ

消えた……!?

Taro
ファジー

君たちに見つからないように、 姿を消させてもらうよ。

Fuzzy
ドライ

気配まで完全に消すとは……お見事です。

Drei
シオリ

そんな……あの強烈な殺気も完全に消えた……? 先ほどのものは、わざと気付かせたのですね。

Shiori
ファジー

アハハハ、当たり前だよそんなの。

Fuzzy
ファジー

君みたいな弱い子に、僕が見つかるわけないじゃない。 昔から得意なんだよ、かくれんぼ。

Fuzzy
シオリ

くっ……。

Shiori
十三

ハザマも消えたか。 殺意がないっていうのもなかなか面倒だね。

Juusan
十三

目的は時間稼ぎ。 本気で攻撃をするつもりはない……か。

Juusan
シオリ

ちっ……せい!

Shiori
シオリ

薄暗い森の中で、これほどの数となると厄介ですわね。

Shiori
シオリ

いくら弱いモンスターとはいえ、 あと何匹出てくるかもわかりませんし……。

Shiori
十三

片っ端から斬ってやってもいいけど…… レイ、どうする?

Juusan
十三

このチームのリーダーはあんただ。 レイの判断に任せるよ。

Juusan

1: 走って逃げよう
2: 対戦場所はどっち?

1:
2:

ドライ

一気に森を抜ける手ですか。確かに、森さえ抜けてしまえば、 いかに気配を隠しても見つけられます。

Drei
ドライ

それに、相手の狙いである時間稼ぎの無効化にもなる。

Drei
十三

いいね、それでいこう。

Juusan
十三

敵に背を向けるのは嫌いだけど…… 相手の思惑に乗るのはもっと嫌いなんだ。

Juusan
ドライ

対戦場所は、右の方向ですが……。 なるほど、この状況を無視するつもりですか。

Drei
ドライ

さすがレイさん。 思い切った一手です。

Drei
シオリ

相手の狙いは時間稼ぎ……シオリたちが誘いに乗らず 一気にこの森を抜けてしまえば……。

Shiori
シオリ

あの方たちも、こちらを追ってくるしかない。

Shiori
十三

確かに、バカ正直に相手の土俵で戦う必要はないか。 いいね、それでいこう。

Juusan
十三

敵に背を向けるのは嫌いだけど…… 相手の思惑に乗るのはもっと嫌いなんだ。

Juusan
タロ

え? え? 一気に森を抜けるって……。

Taro
ドライ

ご心配なく。怪我をされているタロさんは私が担ぎますので。 肉体強化の魔術を使えば、容易いことです。

Drei
ドライ

それでは、失礼!

Drei
タロ

えええ? すごい、こんなに軽々と……!?

Taro
シオリ

じゃあ皆さん、行きますわよ! さん、に、いち……!!

Shiori
ファジー

あ〜〜〜! うそ〜!? 逃げた!!?

Fuzzy
ファジー

あのお姉さん、 絶対逃げるような性格じゃないと思ったのに……。

Fuzzy
ハザマ

おやまあ、思ったより冷静な方たちですねぇ。 これはおもしろくなってきました。

Hazama
ハザマ

さて、では追いますか、ファジーさん。 このまま逃げられては、私たちの働きが無駄になってしまいます。

Hazama
ファジー

くっそ〜。仕方ないなぁ……。

Fuzzy
十三

さて、と……。

Juusan
十三

それで? 嫌がらせの時間稼ぎはもう終わり?

Juusan
ハザマ

ええ、あんなに堂々と逃げられては仕方がありません。 私、本当は戦闘なんてしたくないんですけど……。

Hazama
ハザマ

このままタダであなた方を行かせるわけにもいきませんし。

Hazama
ドライ

まさか本当に、ふたりで我々と戦うつもりですか?

Drei
ファジー

うーん? まだまだ手駒も用意してるし。 僕らだけで、全然問題ないかな〜。かなかな。

Fuzzy
シオリ

またアンデッド……もう、しつこいですわね!

Shiori
シオリ

さっさと倒してしまいましょう。 のんびりしていられる時間はありませんわ!

Shiori
ドライ

そうですね。それに、彼らふたりをここで倒せるのなら、 相手チームの戦力を削ぐことにもつながります。

Drei
ドライ

戦いましょう、レイさん。

Drei
十三

ふん……。

Juusani

8節『約束③』/ 8. Promise - 3

Summary
激戦の末に辿り着いた対戦場所に、カズマと

キイロが待ち受ける。多重の策による窮地を 救ったのは、浸入に成功したシエルだった。

シオリ

はぁ、はぁ……んもう! 本当に戦う気があるんですか、あなたたち!?

Shiori
シオリ

さっきから、逃げてばかりじゃないですか!

Shiori
ファジー

アハハハ、そうかな〜? え〜、そんなことないと思うけどなぁ?

Fuzzy
シオリ

って言いながら、逃げるなー!!

Shiori
ファジー

アハハハ、今度は鬼ごっこだね。 僕に追いつけるかな? かなかな?

Fuzzy
シオリ

こんのぉ〜……!

Shiori
ハザマ

ちょっとちょっと、ファジーさん。 楽しんでいないで、こっちも手伝っていただけませんかね。

Hazama
ハザマ

この方、めちゃくちゃ強いんですよ!

Hazama
十三

フッ……!

Juusani
ハザマ

ひぃっ!?

Hazama
ハザマ

はあぁ〜……今のは危ないところでした。 やられてしまったかと思いましたよ……。

Hazama
十三

ほざけ、ピエロめ。

Juusan
十三

――ドライ!!

Juusan'
ドライ

承知!! はぁッ!!</style>

Drei
ハザマ

おっとこれはいけません!

Hazama
ドライ

ぬぅっ……障壁!?

Drei
ドライ

どうやら、相手チームが揃ったようですね。

Drei
タロ

あのふたりを追っているうちに、対戦場所に着いてたのか……。

Taro
カズマ

間一髪でしたね。大丈夫ですか、ハザマさん?

Kazuma
ハザマ

大丈夫じゃないですよ、死んだかと思いました。 本当に間一髪で……ヒヤヒヤさせないでください、カズマさん。

Hazama
ハザマ

本番の戦闘前にやられちゃったら、どうするんですか。

Hazama
キイロ

どうするって、そのまま消えちゃうだけでしょ。 やられたらやられたで、仕方ないじゃない。

Kiiro
ハザマ

おやおや、冷たい方ですねぇ。 こんな方と留守番なんて、大変だったでしょう。

Hazama
カズマ

へ? いや……まあ、はい。

Kazuma
キイロ

そんなことより、これだけ時間かけたんだから、 相手の戦闘データはしっかりとれたんでしょうね?

Kiiro
ハザマ

ええ、それはもう。こう見えても、諜報部に 所属しておりますのでね。お任せください。

Hazama
シオリ

戦闘データ……?

Shiori
ドライ

捨て駒……というのもブラフですか。 いやはや、まんまと相手の作戦に振り回されていますね。

Drei
十三

最初から、こっちの手の内を知るための尖兵か。 確かに、あのふたりならうってつけだね。

Juusan
十三

もちろん、もし時間稼ぎが成功して、私たちが失格になれば それはそれで狙い通りだったんだろうけど……。

Juusan
シオリ

二重の罠ということですか。 なかなか卑怯な手を使ってくれますわね。

Shiori
カズマ

ハザマさん。ファジーさん。 相手のチーム構成を教えていただけますか?

Kazuma
ハザマ

相手のメインアタッカーは、あの怖い顔をした彼女……。 あちらの屈強な方もかなりの使い手ですね。頭の回転も早い。

Hazama
ハザマ

おそらくカズマさん、あなたと同じ魔術師ですよ。あの方。

Hazama
カズマ

さっきから僕を睨んでるので、 あっちも気付いてるみたいですね……。

Kazuma
ファジー

毒使いの子は、動きは速いけど力は足りないかな。 背後を取るのは得意そうだけど、気を付けてれば問題ないよ。

Fuzzy
ファジー

それから奥の男の人は、ただの怪我人だね。 動けないっぽいから、無視かな。かなかな。

Fuzzy
ファジー

それから〜……。

Fuzzy
ファジー

あの大人しそうな男の子。

Fuzzy
ファジー

あの大人しそうな女の子。

Fuzzy
ファジー

かなり不気味だよね。 なんていうか……すごく気持ち悪い。

Fuzzy
カズマ

へぇ、そんな風には見えないですけど…… って、あれ?

Kazuma
カズマ

その制服、もしかしてあなた、 イシャナの関係者だったりします?

Kazuma

1: カズマさんですよね?
2: 僕(私)がわからないんですか?

1:
2:

カズマ

僕を知ってるんですか? すみません、覚えていなくて。

Kazuma
カズマ

あまり人の顔を覚えるのは得意じゃないんです…… 人違い、ってことは……あ、なさそうですね。

Kazuma
カズマ

まあ、でしたら。そうですか、はい。

Kazuma
キイロ

あなた、お名前は?

Kiiro
キイロ

……へぇ。レイっていうの。

Kiiro
キイロ

ファジーの言う通り、確かにおもしろいわね、あなた。 よかったら、うちのチームに入ってみない?

Kiiro
キイロ

私の良い『眼』になりそうだわ。

Kiiro
キイロ

あら残念。フられちゃった。

Kiiro
十三

ちっ……惜しい。

Juusan
キイロ

いやぁね、横から急に。 まだ話してる途中だっていうのに、野蛮なんだから。

Kiiro
十三

アンタ……素体だろ?

Juusan
十三

悪いけど、素体と会ったら破壊するって決めてるんだ。

Juusan
キイロ

あら……あなた。へぇ……。 どこから来たの? お姉さん、ちょっと興味あるわ。

Kiiro
ドライ

ふむ、確かに魔術師で間違いないようですね。 その服……イシャナの学生ですか?

Drei
ドライ

私の知るものとは少々デザインが異なるようですが……。

Drei
カズマ

この魔力……とんでもないな。 僕なんかより遥かに格上の魔術師だ……。

Kazuma
カズマ

というか、格上どころか十聖でもおかしくない……。 ええ、こんな人と戦って無事ですむと思えないんですけど。

Kazuma
ドライ

もし戦意を喪失したのなら、逃げても良いのですよ。 もちろん、背後を狙うようなこともしないとお約束しましょう。

Drei
カズマ

……それは願ってもないご提案なんですが、 残念ながらそうもいかないんですよね……。

Kazuma
カズマ

こんな僕でも、叶えてもらいたい願望というものが ありまし……て!

Kazuma
ドライ

宜しい。ならばこのドライの全力を以って、 あなたを打ち負かしましょう!

Drei
ドライ

せいやっ!!</style>

Drei
カズマ

うわああああぁぁっ!!?</style>

Kazuma
カズマ

ひ、ひえぇ……な、なんですかそのパンチの威力は。 あなた、魔術師なんじゃないんですか……!?

Kazuma
ドライ

これが私の肉体強化の魔術です。 さあ、あなたの力も見せてください。存分に戦いましょう。

Drei
カズマ

ひ、ひいぃ……!!

Kazuma
ファジー

アハハハ! 楽しい、楽しいねぇお姉さん!

Fuzzy
シオリ

くっ……次から次へと、どうなってるんですか!? 幻覚でもなさそうだし……ああもう、面倒くさい!

Shiori
ファジー

すごいすごい! お姉さんも結構強いんだね。 でも……それだけじゃ僕には勝てないかな。かなかな!?

Fuzzy
シオリ

くうぅっ……!

Shiori
ハザマ

さて、皆さん盛り上がっているようですけど…… あなたは戦わないんですか?

Hazama
ハザマ

私の見たところ、直接戦うタイプではないみたいですが……。

Hazama
ハザマ

なんなんですかね、これ。あなたに観られると 体が重くなるような、変な感じがするんですよね。

Hazama
ハザマ

あ〜、もしかして。 あなたのそれ、観測の力だったりします?

Hazama
ハザマ

……ふふ、やはりそうでしたか。でも、それなら納得です。 あなたたちがここまで生き残っている理由がわかりましたよ。

Hazama
ハザマ

つまり、あなたさえ潰せば、そちらのチームは怖くない。 やはり最初から、狙うべきはあなただったのですね。

Hazama
タロ

レイ、気を付けて! ひとり、そっちに行ってるよ!

Taro
ハザマ

ウロボロス!!

Hazama
十三

ちっ……狙いを変えてきた!?

Juusan
キイロ

ハザマ! こっちの生意気な子は任せたわよ! 私がその『眼』を潰す!

Kiiro
十三

しまった……逃げろ、レイ!!

Juusan
キイロ

もう遅いわ! この距離、捉えた!

Kiiro
タロ

レイーーーっ!!</style>

Taro
キイロ

……なっ!!?

Kiiro
ハザマ

キイロさん!? 大丈夫ですか!?

Hazama
キイロ

くっ……邪魔が入ったわ……。 でも、いったい誰が……。

Kiiro
シエル

レイさん、遅くなってすみませんでした。

Ciel
シエル

ですが、ギリギリ間に合ったようで、なによりです。

Ciel

1: 来てくれたんだね、シエル!
2: って、どうしたのその格好!?

1:
2:

シエル

はい。シエル=サルファー、これより新装備にて レイさんの護衛任務に着任します。

Ciel
シエル

ココノエさんとカガミさんに用意していただきました。 これより、護衛任務を再開します!

Ciel
キイロ

驚いたわ……あなたも素体ね? そっちのチームメンバーみたいだけど、何者?

Kiiro
キイロ

ていうか、補欠の介入はルール違反じゃないの? どうなってるのよ。

Kiiro
シエル

ルール……ですか? チームというのも、なんのお話か理解できませんが……。

Ciel
シエル

私の任務はただひとつ。 レイさんをお護りすることです。

Ciel
キイロ

まさか……部外者?

Kiiro
タロ

そういえば、アベンジが言ってたっけ。 どのチームにも属さなければルールには縛られないって……。

Taro
ファジー

えぇ〜、そんなのズルくない?

Fuzzy
シオリ

ルール外で時間稼ぎをしていたあなたがそれを言います?

Shiori
キイロ

ふぅん……。

Kiiro
キイロ

まあいいわ。そっちがひとり増えたということは 手に入るクリスタルの量も増えるということだし。

Kiiro
キイロ

まとめて消滅させてあげる。

Kiiro
シエル

対象の戦闘レベルの上昇を確認。 レイさん、下がってください。

Ciel
十三

……あんたがレイの仲間か。 へぇ……。

Juusan
シエル

……? レイさん、この方も敵ですか?

Ciel

1: 十三は仲間だよ
2: 僕(私)を助けてくれたんだよ

1:
2:

If Choice 1:
シエル

そうですか。失礼しました。

Ciel
シエル

では、こちらの皆さんが味方で、 あちらの4名が敵ということですね

Ciel
シエル

状況を把握しました。 危険を排除します。

Ciel
……そうでしたか。
If Choice 2:
Ciel
シエル

不甲斐ないです。私がそばにいない間に レイさんを危険に晒してしまいました。

Ciel
シエル

これより、任務を再開させていただきます。

Ciel
シエル

状況を把握しました。 危険を排除します。

Ciel
十三

勝手に場を仕切るな。 うちのリーダーはレイなんだ。

Juusan
シエル

レイさんがリーダー…… 指揮官ということですね。わかりました。

Ciel
シエル

ではレイさん、指示をお願いします。

Ciel

1: 協力して対処しよう

1:

シエル

了解しました。 これより戦闘を開始します。

Ciel

9節『灰の王①』/ 9. The Ashen King - 1

Summary
激闘の末に勝利を掴むと、クリスタルが強く

輝いた。勝者の資格を得たのだとアベンジは 言い、一行は灰の王との謁見に向かう。

アベンジの情報をもとに、世界の中央にある

『塔』を目指す一行。しかし道中、窯を守る 防衛機構が働き魔物の襲撃は激しさを増す。

シエル

敵の戦闘レベル低下を確認。水晶状の発光体が出現。 引き続き警戒してください。

Ciel
シオリ

クリスタルのことなら大丈夫ですわ。 これを手に入れるために、私たちは戦っているんですから。

Shiori
シオリ

それで、ええと…… あなたのお名前を伺ってもいいですか?

Shiori
シエル

私はシエル=サルファーと申します。 御剣機関のスレイプニールです。

Ciel
シエル

クリスタル……とは、この発光体のことでしょうか?

Ciel
タロ

うん、そうだよ。勝負に勝ったチームは、 負けたチームのクリスタルを手に入れられるんだ。

Taro
ファジー

あーあ、負けちゃった。これでこの遊びもおしまいか。 ま、思ったより楽しめたから別にいいか〜。

Fuzzy
キイロ

まさかクリスタルのことすら知らない子が 乱入してくるなんてね。

Kiiro
キイロ

しかも、ちょっと変わった素体の子……。 ふふ、ここでお別れなのが残念だわ。

Kiiro
ハザマ

これで私の願望も叶わず、ですか。 いや、実に残念です。

Hazama
カズマ

……ハザマさんの願望って、なんだったんですか?

Kazuma
ハザマ

私の願望ですか? もちろん、世界平和ですよ。

Hazama
カズマ

……はぁ。そうですか……。

Kazuma
ハザマ

おや、信じていない顔をなさっていらっしゃる。 いけませんよぉ、人は見かけによらないものです。

Hazama
ハザマ

……などとお話していたら、 あらあら、そろそろお時間のようですね。

Hazama
ハザマ

では、私たちはお先に失礼いたします。 そちらの皆さんも、またどこかでお会いしましょう。

Hazama
シエル

消えてしまいました……。

Ciel
シエル

この世界は、かなり特殊な世界のようですね。

Ciel
シエル

すみません、お手数ですが…… 状況とこの世界について、お教えいただけませんか。

Ciel
ドライ

あなたはこの世界の外からいらしたばかりなのですね。 でしたら、私からお話しましょう。

Drei
シエル

ドライブ能力者を集めて行うゲーム……ですか。 そのようなファントムフィールドが存在するとは、驚きです。

Ciel
シエル

そんな危険な世界だったなんて……。 レイさん、ご無事でなによりです。

Ciel
シエル

皆さんも、レイさんの身の安全を 確保していただき、ありがとうございます。

Ciel
シエル

おかげでレイさんと合流することができました。

Ciel
タロ

それはお互いさまだから、 礼には及ばないよってやつなんだけどさ。

Taro
タロ

ファントムフィールドっていうのが、 この世界のことなんだよね?

Taro
タロ

それでエルエルは、レイをこの世界から 救出するためにきた、でいいんだよね。

Taro
タロ

ってことは、この世界から脱出する方法も知ってるの?

Taro
シエル

エルエルとは、私のことでしょうか。

Ciel
タロ

うん。君、シエルっていうんでしょ。だからエルエル。 それとも、シエシエのほうがよかった?

Taro
シエル

いえ、エルエルで構いません。

Ciel
シエル

ファントムフィールドからの脱出には、 フガクによるサルベージを使用するつもりです。

Ciel
シエル

そのためにはこのフィールドの観測者を発見し、窯を破壊して、 ファントムフィールドの解放を完了させなければなりません。

Ciel
タロ

フガク? カマ?

Taro
シエル

必要な手順があるということです。

Ciel
シエル

そのためにも、これから私は レイさんに同行します。

Ciel
シオリ

詳しいことはわかりませんけど……その窯とやらを見つけるために シオリたちと一緒に来てくれる……ということですか?

Shiori
シエル

はい。私の任務は窯の破壊と、 レイさんの護衛です。

Ciel
シエル

お話を聞く限り、『灰の王』と呼ばれる者が 観測者である可能性はかなり高いと思われます。

Ciel
シエル

私が皆さんのチームに入り、『灰の王』を目指すのが 最善の手と考えます。

Ciel
タロ

大歓迎だよ。俺は怪我でこのザマだし エルエルがチームに入ってくれるなら心強いしね。

Taro
シオリ

シオリも賛成ですわ。

Shiori
ドライ

私も異論ありません。シエルさんの戦闘能力はかなりのもの。 塔を目指す上で戦力アップは間違いありません。

Drei
ドライ

十三も、よろしいですか?

Drei
十三

それがレイの望みなら構わない。

Juusan
十三

だけど……まさかあんたの仲間が素体だったとはね。 つくづく、妙な縁を感じるよ。

Juusan
シオリ

さて……。では、クリスタルも手に入りましたし、 一旦近くのダイナーにでも……。

Shiori
シオリ

って、あら? レイさん、クリスタルが……!

Shiori
タロ

な、なに!? 急にどうしたの!? レイのクリスタル!?

Taro
ドライ

奇妙な光り方ですね。 これまで、このように光る様子は見たことがありません。

Drei
ドライ

なにか意味があるのでしょうか?

Drei
???

どうやら『資格』を得たようだな。

???
シエル

何者ですか!

Ciel
十三

いたのか、アベンジ。

Juusan
シエル

……チームの方ですか?

Ciel
シオリ

チームメンバーではありませんけれど、シオリたちの協力者です。 単独行動をしていらして、情報収集をしてくださっているのですわ。

Shiori
シオリ

それにしても。 いつもながら、前触れなく現れますわね。

Shiori
タロ

今、資格って言ってたけど……?

Taro
アベンジ

ああ。お前たちは資格を得た。 塔に入るための、な。

Avenge
アベンジ

それだけのクリスタルを集めたということだろう。

Avenge
アベンジ

塔の情報を持ってきたのだが…… いいタイミングだったようだな。

Avenge
ドライ

ゲームに勝ち抜いた者は、塔に入り『灰の王』への 謁見を許される。

Drei
ドライ

つまり我々は勝者とみなされたのですね。

Drei
タロ

……ってことは、ジンジンたちも負けちゃったのか。 俺たちが最後の勝者で、願望を叶えられるんだよね?

Taro
アベンジ

それはどうだろうな。

Avenge
アベンジ

ゲームを勝ち抜けるチーム数も、願望を叶えられる人数も 明示されているわけではない。

Avenge
アベンジ

複数の勝ち抜きチームが存在する可能性もあるだろう。

Avenge
アベンジ

現に、他に生き残ったチームが存在することは 俺がこの目で確認している。

Avenge
シオリ

たしかに。これまで得てきた情報でも、 勝者が1チームだけという話はありませんでした。

Shiori
シオリ

複数のチームが同時に塔を目指す可能性もありそうですわね。

Shiori
アベンジ

そういうことだ。

Avenge
アベンジ

だが、今のところ塔に入る資格を得た者がいるという話は 他からは聞こえてこない。

Avenge
アベンジ

それに、塔の正確な位置を知る者すらいなかった。 おそらくお前たちが最初の資格者と考えていいはずだ。

Avenge
タロ

なるほどね……んじゃ、さっそくその塔に向かうとしますか! いよいよ『灰の王』とご対面ってことだし!

Taro
タロ

……で、その塔の正確な位置って、どこ?

Taro
シオリ

はぁ……タロ先輩……。

Shiori
アベンジ

……そのために、俺がここにいる。

Avenge
アベンジ

言ったはずだ。 お前たちが戦っている間、俺は塔の情報を集めると。

Avenge
ドライ

ではつまり……。

Drei
アベンジ

ああ。塔の場所の当たりはついた。 もっとも、確認はこれからだがな……。

Avenge
アベンジ

世界の中央に塔は位置すると言われていることは お前たちも知っているな?

Avenge
アベンジ

だが、俺がどれだけ情報を集めても、実際にその塔を 見たという者は皆無だった。

Avenge
アベンジ

不思議に思わないか? 誰も見たことがないのに 塔は世界の中央にあるという噂だけがひとり歩きしているんだ。

Avenge
アベンジ

そこで俺はひとつの仮説をたててみた。この噂は 『灰の王』が意図的に流したものなのではないか……とな。

Avenge
十三

おもしろいね。 『灰の王』って奴が、わざわざ自分の場所を教えたわけか。

Juusan
十三

でもなんでそんなことをする?

Juusan
アベンジ

さあな、そこまではわからん。

Avenge
アベンジ

だが、その噂を流したのが『灰の王』本人なのであれば、 世界の中央にあるという情報は正しいということだ。

Avenge
アベンジ

あとは世界の中央がどこなのかを、洗い出せばいい。

Avenge
アベンジ

お前たち、この世界には『壁』があることを知っているか?

Avenge
ドライ

いえ、存じません。壁ですか?

Drei
アベンジ

そうだ。ゲームに参加せずにすんでいた分、 俺はこの世界をくまなく歩き回ってみた。

Avenge
アベンジ

その結果、世界にはそこから先に進むことのできない 『壁』が存在することがわかった。

Avenge
アベンジ

東西南北、すべての方向にな。

Avenge
アベンジ

まるで世界そのものが巨大なひとつの部屋なんだ。

Avenge
タロ

世界に果てがあるってこと? そんなことってあるの?

Taro
シエル

そういう風にファントムフィールドが構築されている場合、 可能です。実際にそういう世界は他にもありました。

Ciel
シエル

そのときはもっと小規模でしたが。

Ciel
ドライ

巨大な部屋……それならば確かに 世界の中央がどこに存在するのか、割り出すことはできそうですね。

Drei
アベンジ

ああ。この地点より、北東に徒歩で約2時間。 そこに塔は存在する。

Avenge
十三

そこに行けば、いよいよ『灰の王』をご対面できるんだな。

Juusan
シエル

北東に徒歩2時間……。 っ……これは……。

Ciel
シエル

アベンジさんの情報は正しいと思います。

Ciel
シオリ

あら。なぜそう思われるんです?

Shiori
シエル

その予測地点に、窯の反応を感知しました。

Ciel
タロ

さっきも言ってたね。窯ってなんなの?

Taro
シエル

窯は、ファントムフィールド、 つまりこの世界を構築するためのエネルギー源のようなものです。

Ciel
シエル

本来は世界のどこかに存在しながら、 その所在はわからないように隠されているのですが……。

Ciel
シエル

この世界では、すでに窯は出現しているようです。

Ciel
シエル

これはつまり、世界を構築した主である観測者が 自分の立場を自覚し、理解していることを意味します。

Ciel
シエル

そして窯の地点に『灰の王』が存在するのであれば、 その者が観測者である可能性は非常に高いと言えます。

Ciel
シエル

さすがはレイさんです。

Ciel
シエル

すでに観測者の場所を把握し、さらには窯所在地に侵入するための 手段まで獲得されていたとは。

Ciel

1: 運がよかったんだ
2: 仲間のおかげだよ

1:
2:

十三

『灰の王』が観測者っていうのは単なる予測だったけど ゲームを勝ち進んだのは運じゃない。

Juusan
十三

チームと、レイの力だろ。

Juusan
十三

チームと……レイの力だろ。 あんたの頑張りがあったから、ここまで来れたんだ。

Juusan
十三

最初は面倒だし置いて行こうかと思ったけど…… あそこであんたに会えてラッキーだったな。

Juusan
シエル

…………。

Ciel
シエル

レイさんが、皆さんに 称賛されているのを見ると……。

Ciel
シエル

なんだか不思議と、良い気持ちになります。

Ciel
十三

なんであんたが喜んでるんだよ。 変なやつ。

Juusan
シエル

喜ぶ……私は喜んでいるのですか。

Ciel
十三

……さあね。自分で考えな。

Juusan
タロ

エルエル、いい子なんだなぁ。 そんな感じがする。

Taro
タロ

んじゃ、クリスタルも集まったし、 今度こそ塔を目指そうか。北東でいいんだよね?

Taro
シオリ

ええ。他のチームと競争にならないとも限りませんし、 なるべく急ぎましょう。

Shiori
シオリ

でもその前に…… まずは邪魔を片付ける必要がありそうですわね。

Shiori
シエル

前方に敵性反応を感知しました。 みなさん、警戒してください。

Ciel
魔獣

ギャアアア!

Monster
十三

魔物か。さっきやり合ったドライブ能力者に比べれば、 つまらない雑魚だ。

Juusan
十三

来なよ。さっさと片付けてあげる。

Juusan
ドライ

妙ですね。 ゲームの対戦場所にこれだけ多くの魔物が現れるなんて。

Drei
ドライ

ゲームの邪魔にならないように、対戦場所には出現しないよう 『灰の王』が管理しているのかと思っていましたが。

Drei

1: 事情が変わったんだと思う
2: 窯の位置を特定したからかな

1:
2:

シエル

はい。 ここは自ら異物を取り込み続けてきたフィールドです。

Ciel
シエル

異物も世界の一部とみなされ、世界の防衛機構が積極的に 異物を排除しようとはしてこなかったでしょう。

Ciel
シエル

ですが私が窯の存在を感知したことで、 防衛機構を刺激した可能性が高いです。

Ciel
シエル

……招かれざる異物である私は排除対象でしょうし、 窯を感知されたことは世界を危険に晒すことでしょうから。

Ciel
シエル

レイさんの言う通りだと思います。 ここは自ら異物を取り込み続けてきたフィールドです。

Ciel
シエル

異物も世界の一部とみなされ、世界の防衛機構が積極的に 異物を排除しようとはしてこなかったでしょう。

Ciel
シエル

ですが私は、ゲームのために召集された ドライブ能力者ではありません。

Ciel
シエル

……招かれざる異物である私は排除対象でしょうし、 窯を感知されたことは世界を危険に晒すことでしょうから。

Ciel
ドライ

防衛機構……つまりは、世界が正しくあろうとするための 反発力ですね。

Drei
ドライ

ならば狙いはシエルさんだけでなく、 私たち全員かもしれませんね。

Drei
ドライ

私たちもまた、窯が存在することを知ってしまっています。

Drei
シエル

あっ……すみません……。 私のせいでみなさんまで巻き込んでしまいました。

Ciel
タロ

エルエル、いい子すぎ!

Taro
タロ

気にすることじゃないよ。たぶんだけど、ゲームを勝ち進めば どっちみち全部知ることになってた気がするし。

Taro
タロ

だってチームリーダーのレイは エルエルと同じ目的で動いてるんだからね。

Taro
タロ

だったらもう、一蓮托生! じゃない? あははは……つっ……いたたた……。

Taro
シオリ

調子に乗らないでください、タロ先輩。 ご自分が重傷だってこと、忘れてたでしょう。

Shiori
シオリ

でも、タロ先輩の言う通りですわ。

Shiori
シオリ

このチームに、いまさら巻き込まれて迷惑なんて 思う人はいませんわよ。

Shiori
シエル

……タロさん、シオリさん、ありがとうございます。

Ciel
アベンジ

すまないが、お喋りは移動しながらにしてくれ。

Avenge
アベンジ

その防衛機構だか反発力だかのせいで魔物が 襲撃してくるのなら、ここに留まるのは悪手だ。

Avenge
ドライ

そうですね。みなさん、行きましょう。 世界の中央へ。『灰の王』が待つ、塔へ。

Drei
ドライ

そこで、我々の旅も終わりを見るはずです――

Drei

9節『灰の王②』/ 9. The Ashen King - 2

Summary
フガクとの通信が途絶した中、活動限界時間

は徐々に迫る。窯を破壊し、あるべき世界に 戻すため、一行は困難な歩みを進めていく。

シオリ

やはり、駄目ですか?

Shiori
シエル

……はい。何度も試してみましたが、どうしても フガクとの通信が繋がりません。

Ciel
シエル

以前フガクから通信を試みた時も、完全に一方通行でしか 繋がりませんでした。

Ciel
シエル

おそらく、時間速度の並列化による影響を 受けているのだと思われます。

Ciel
ドライ

時間速度のズレ……ですか。にわかには信じがたいお話ですが あなた方の技術力を見るに、事実なのでしょうね。

Drei
シエル

……通信ができない以上、私たちとフガクの状況に 変化がないことを前提にして動かなければなりません。

Ciel
シエル

レイさん。以前に一度通信が繋がったときに、 カガミさんから発言があったかと思いますが……。

Ciel
シエル

私たちがフガクに帰還できる活動限界まで、 あと8時間……正確には、あと7時間と12分しかありません。

Ciel
シエル

そのリミットまでに、我々は窯を破壊し このファントムフィールドを解放しなければなりません。

Ciel
タロ

あんまり時間がないね……。

Taro
タロ

あのさ、エルエル、確認なんだけど。 窯を破壊したら、俺たちは元の世界に戻されるんだよね?

Taro
シエル

はい。みなさんは他の世界から引き寄せられた異物ですから、 ファントムフィールドの解放と共に、あるべき世界に戻されます。

Ciel
タロ

そしたら、ここでの記憶ってどうなるの?

Taro
タロ

エルエルの話だと、 この世界自体がなかったことになっちゃうんだろ?

Taro
シエル

……ここでの記憶はすべて失われます。 タロさんは何事もなかったように、元の世界で目覚めるはずです。

Ciel
タロ

そっかぁ……せっかく知り合えたのに寂しいな。

Taro
タロ

レイやエルエルも、 俺たちのことを忘れちゃうわけ?

Taro
シエル

いえ、我々はフィールドでの記憶を忘れることはありません。 忘れるのは、元の世界に戻る皆さんだけです。

Ciel
タロ

ふぅん……そうなんだ。でも、なんで? 同じように 元の場所に戻るのに、エルエルたちはなんで覚えてるの?

Taro
シエル

それは……あれ? なぜでしょう、レイさん。

Ciel

1: 観測のおかげ?
2: ……知ってると思う?

1:
2:

シエル

そうですね。そうだと思います。

Ciel
シエル

私たちを観測しているシステムには、 膨大なデータが蓄積されていると、私の上司が言っていました。

Ciel
シエル

そのデータには、私たちがファントムフィールドで行った 活動のデータも含まれます。

Ciel
シエル

そのため、私たちは記憶を保持して様々な ファントムフィールドへ赴くことができるのでしょう。

Ciel
シエル

そうですよね……そのお話は、まだうかがっていないはずです。

Ciel
シエル

予想するに、私たちをフガクで観測している システムのおかげかもしれません。

Ciel
シエル

そのシステムには、私たちがファントムフィールドで行った 活動の全データが記録されています。

Ciel
シエル

そのため、私たちは記憶を保持して様々な ファントムフィールドへ赴くことができるのでしょう。

Ciel
十三

システム……。

Juusan'
十三

確かココノエがいたな。 ってことは……タカマガハラシステムのことか?

Juusan
十三

そんなものを積んでるなんて、とんでもない船だな。

Juusan
シエル

十三さん、ココノエ博士をご存じなのですか?

Ciel
十三

……さんは付けるな、十三でいい。

Juusan
十三

別に、ご存じってほど接点があるわけじゃない。 ただ……少し知ってる程度だよ。

Juusan
十三

けど、絶対に私をその船に呼ぼうだなんて考えないで。

Juusan
十三

特にレイ。いいか。 絶対に私を観測するなよ、いいな? 絶対だぞ!

Juusan
十三

いいな!?</style>

Juusan
タロ

そのシステムってやつを俺は知らないけど…… でも安心したよ。

Taro
タロ

レイやエルエルは、俺たちのことを 覚えていてくれるんだな。

Taro
タロ

皆きれいさっぱり忘れるんじゃ、あまりに寂しいもんね。 全部が消えてしまうなんてさ。

Taro
シエル

消える……。 そうですね。消えるのは、怖いです。

Ciel
シエル

私も、もしかしたらレイさんがこのまま 消えてしまうんじゃないかと……そう考えるのは恐怖でした。

Ciel
シエル

でも、カガミさんやココノエさん、皆さんのおかげで 私はまたこうしてレイさんに会えました。

Ciel
シエル

だから……約束します。 私がレイさんを、今度こそ全力で護ります。

Ciel
シエル

もう二度と、あなたを危険には晒しません。 必ず任務を遂行して、無事にフガクに帰りましょう。

Ciel

1: 一緒にがんばろう

1:

シエル

一緒に……はい、そうですね。 一緒にがんばりましょう。よろしくお願いします。

Ciel
シエル

……っ!

Ciel
シエル

敵性反応を感知。 数体の魔物がこちらに接近中です。

Ciel
ドライ

塔に着くまで、できるだけ体力は温存したい ところですが……どうしますか?

Drei
シオリ

でも、回り道をしていたら他のチームに 先を越されるかもしれませんわ。

Shiori
シオリ

できるだけ最短ルートで進むには……。

Shiori
十三

魔物……世界の反発力ってやつか。 ねえ、全部ぶった切れば問題ないんだよね?

Juusan
シエル

異物を排除する力が有限なのかはわかりませんが…… 窯に辿り着くまで、退けながら進むしかありません。

Ciel
十三

だったら難しく考える必要はないじゃないか。 全部、斬り倒していくとしよう。

Juusan

9節『灰の王③』/ 9. The Ashen King - 3

Summary
到達した世界の中心、そこにはただ荒野が広

がっていた。しかし力を蓄えたクリスタルを かざすと、強い光と共に巨大な塔が現れる。

シエル

敵性反応の消失を確認。 周囲に他の反応は感じられません。

Ciel
ドライ

我々が進むほど、魔物の数も心なしか増えている気がします。

Drei
ドライ

これが異物を排除しようとする力なのであれば、つまり 我々が目的地に近づいている……ということなのでしょうね。

Drei
ドライ

シエルさん、窯とやらの位置はわかりますか?

Drei
シエル

はい、あの……。それが、朧げには感知できているのですが…… すみません、正確な位置が掴み切れません。

Ciel
シエル

間違いなく、この近辺だと思われるのですが……変ですね。 『塔』はどこにも見当たりません。

Ciel
アベンジ

やはり、入り口は隠されているということか……。 だがそうだな……地図を見ても、間違いない。

Avenge
アベンジ

この場所が、我々が立つ世界の中心地点だ。

Avenge
タロ

ここ? いやいや、荒野のど真ん中だし 塔も入り口も本当に何もなさそうだよ!?

Taro
タロ

まさか、地面の中に隠してるわけじゃないだろうし 本当にここで合ってるの?

Taro
シエル

この近くなのは間違いありません。 窯の反応が、それを証明しています。ですがいったい……。

Ciel
十三

クリスタルを集めることが、塔に入る条件……か。 レイ、クリスタルを出してみて。

Juusan
ドライ

あぁ、そういう仕掛けですか。 レイさん、お願いできますか。

Drei
ドライ

なんと……。

Drei
アベンジ

力を集めたクリスタルだけが、塔を出現させられるわけか。 やはり俺だけでは、難しかったな。

Avenge
シエル

窯の反応を正確に感知しました。 この塔の上で、間違いありません。

Ciel
タロ

じゃあ、そこに『灰の王』もいるのか……。

Taro
十三

だろうね。くだらないゲームとやらを考えた奴の顔が ようやく見れるわけだ。

Juusan
シオリ

周辺に罠などもなさそうですわね。 このまま中に入りましょう。

Shiori
タロ

これが塔の中……? 外の世界とは、全然違う感じだ。

Taro
タロ

俺のいたところじゃ、こういう様式はなかったよ。 これじゃまるで噂に聞いた第七機関みたいだ。

Taro
ドライ

確かに外の世界とは違い、ここには 高度な建築技術が用いられているようです。

Drei
ドライ

かなり頑丈な作りに見えますね。 これならば、塔の内部での戦闘にも耐えられそうです。

Drei
シオリ

いきなり物騒な話をしますわね……。

Shiori
シオリ

でも確かに、世界がシオリたちを排除するというのならば いつどこで魔物が現れるかわかりませんものね。

Shiori
シオリ

今のうちにチーム構成を決めておきます?

Shiori
十三

なんで? もうゲームは終わったんだから、 チームも定員も関係ないんじゃない?

Juusan
十三

現に、『灰の王』から次の指示もないわけだし。 それに、相手が魔物ならなおさらだと思うけど。

Juusan
ドライ

そうですね。もはやルールなどと言っている場合でもありません。 ここにいる全員で、危機に対応しなければ。

Drei
タロ

でもさ……静かすぎない? こんな場所に、魔物なんかいるのかな?

Taro
タロ

案外、塔の中にいるのは『灰の王』ひとりだけかも。

Taro
シオリ

それは楽観的すぎますわ。

Shiori
シオリ

外から見ても塔の高さはかなりありましたし、 ここを登りきるまでは、まだまだ長いのですから。

Shiori
シオリ

油断せず進みましょう。もしかしたら、侵入者を阻む 罠なんかも、あるかもしれませんから。

Shiori
タロ

え〜? 『灰の王』が俺たちを呼んだんだから、罠なんて――

Taro
タロ

なな、なんで扉が勝手に閉まるわけ!?

Taro
シオリ

だから言ったでしょう!? 罠ですわよ!!

Shiori
シエル

前方に敵性反応、多数! 気を付けてください!

Ciel
シオリ

これはまた頑丈そうなのが出てきましたわね……。 やはりすんなりと通してはもらえませんか……。

Shiori
十三

『灰の王』が仕掛けた罠なのか、世界が私たちを 排除しようとしているのか、どっちか知らないけど……。

Juusan
十三

……邪魔するつもりなら、さっさと来なよ。 遊んであげるから。

Juusan
シエル

これより、敵の排除を開始します。

Ciel

9節『灰の王④』/ 9. The Ashen King - 4

Summary
侵入者を阻むように現れたゴーレムを倒し、

塔を上って灰の王へと近づいていく。ドライ には、『彼』の正体が判り始めていた。

多数のゴーレムを下し、最上階の扉を開く。

静寂の中、影のように一人の男が現れ…… ドライが「ゼクス」と彼の名を呼んだ。

タロ

はぁ……はぁ……だいぶ登ってきたはずだけど 『灰の王』は本当にここにいるのかな……。

Taro
タロ

怪我人には結構きつい高さだよ、これ……。

Taro
十三

だったらその辺で休んでる? 帰りでいいなら迎えに来てあげるよ。

Juusan
十三

それともまた、ドライに抱えてもらう?

Juusan
ドライ

私は一向に構いませんが。

Drei
タロ

が、頑張るって、頑張るよ! そんな何度もドラドラに迷惑かけられないよ。

Taro
シオリ

はいはい。せめてシオリが肩くらい 貸して差し上げますわよ。

Shiori
タロ

悪いね、シオシオ……。

Taro
シオリ

ここに捨てていくのも寝覚めが悪くなりますし、 仕方ありませんわ。

Shiori
シオリ

……それに、マイ様が悲しむかもしれませんし。

Shiori
タロ

え? マイマイがなに?

Taro
シオリ

な、なんでもありません! ……それより! 先ほどから、辺りの雰囲気が随分変わってきましたわね。

Shiori
タロ

そういえば、本当だ。 なんだろう、壁も変わった材質が使われてるね。

Taro
アベンジ

目的地が近いのかもしれないな。

Avenge
アベンジ

ゲームなどという趣向を凝らす奴だ。 この塔の作りにも、意味があるのかないのか……。

Avenge
アベンジ

だが、進めば進むほどわからなくなる。

Avenge
アベンジ

この世界にゲームなどというくだらんルールを敷き 世界を構築してきたのが『灰の王』のはずだ。

Avenge
アベンジ

その王の居城に、なぜ衛兵のひとりすらいない? 魔物の類は住み着いてるようだが、ここに人間はいないのか?

Avenge
シオリ

言われてみれば確かに、その通りですわ。

Shiori
シオリ

塔の外には大勢の人が暮らしていて、当たり前のように 『灰の王』の存在を信じ、支配者のように語っていました。

Shiori
シオリ

なのに、誰も『灰の王』を見たことはなく、塔の場所も知らない。 おまけに塔の中は無人。考えると、かなり妙な状況です。

Shiori
シオリ

『灰の王』とは、本当に存在する人物なのでしょうか。

Shiori
アベンジ

……もうひとつ、気になっていることがある。

Avenge
タロ

気になってること?

Taro
アベンジ

時折俺たちを襲ってくるゴーレムのことだ。 あのゴーレムからは、魔術の痕跡が感じられた。

Avenge
シオリ

では、『灰の王』とはドライさんと同じ、魔術師なのですか?

Shiori
アベンジ

それならば、ドライが口を閉ざしている理由がわからない。

Avenge
アベンジ

だが俺は魔術師ではないからな、そこまでの確証はない。 ドライが違うと言えば違うのだろうが……。

Avenge
ドライ

……そうですね。

Drei
ドライ

確かにアベンジさんの言う通り、あのゴーレムの残骸には 何者かが魔術を用いた形跡が見られました。

Drei
アベンジ

ならば、なぜそのことを黙っていた?

Avenge
ドライ

『灰の王』が、私の追っている者である可能性が高いからです。

Drei
タロ

ドラドラ、言ってたよね。探してる人がいるって。 それが『灰の王』かもしれないって。

Taro
ドライ

ええ、どうも私の予想は当たっていたようですね。

Drei
ドライ

皆さんにそのことをお話しなかったのは、私もまだ 『彼』の真意を測りかねているからです。

Drei
ドライ

なんの目的で、ゲームを始めたのか。 クリスタルを集めて、いったいなにをしようとしているのか……。

Drei
ドライ

それがもし危険なことであれば、場合によっては 私は『彼』を止めなければなりません。

Drei
ドライ

ですから皆さんに、余計な情報を与えたくはありませんでした。 私と『彼』の関係を知れば、迷いが生まれるかもしれませんから。

Drei
アベンジ

……友、なのか?

Avenge
ドライ

いえ。私にとって彼は、理想を体現された者です。 私程度が彼の友など畏れ多い。

Drei
ドライ

もし彼の目的に正義があるのならば、共に往くことも 確かに考えましたが、今の彼は私の知る彼ではないかもしれない。

Drei
ドライ

今はただ……私は、彼の真意を知りたいのです。

Drei
十三

あんたの性格は面倒すぎる。難しいことを考えすぎなんだよ。 もっと自分に正直になればいいのに。

Juusan
タロ

じゅうじゅうも、似たようなところあると思うけどなぁ。

Taro
十三

……死にたい?

Juusan
タロ

えっ、あっ、いたたた……俺、ほら、怪我人だから!

Taro
十三

…………ふん。

Juusan
シエル

皆さん、気を付けてください。窯の反応は、すぐ近くです。 そろそろ目的地にたどり着きます。

Ciel
アベンジ

む……。

Avenge
シオリ

扉が見えます。あの奥に『灰の王』がいるのでしょうか?

Shiori
タロ

かな……あれ、なんだろ、これ……。 体が勝手に震えて……。

Taro
ドライ

……やはり。

Drei
十三

へぇ……この気配。確かに『王』を名乗るだけのことはありそうだ。 ドライ、あんたのお友達はなかなか面白そうなやつだよ。

Juusan
アベンジ

……待て。魔術の波動を感じる。

Avenge
ドライ

これは……! 扉越しに、何らかの魔術が発動しています!

Drei
十三

こんなのが、最後の腕試しのつもりか? だとしたら、私たちも舐められたもんだ。

Juusan
シオリ

けど、数が多い……皆さん、ここが最後の正念場ですわよ!

Shiori
ドライ

では……開けますよ。

Drei
シオリ

ここも、静かですわね……。

Shiori
シオリ

また罠が仕掛けられているかもしれません。 警戒して進みましょう。

Shiori
タロ

ここまでずっと階段を登りっぱなしで また罠とか、本当勘弁してよ……?

Taro
タロ

っていうか、誰もいないっぽい……よね? おかしいな、さっきは確かに、気配みたいなのを感じたんだけど。

Taro

1: 止まって!
2: 誰かいる!

1:
2:

タロ

えっ――

Taro
十三

奥だ……コイツが、そうなのか。

Juusan
タロ

えっ、どこに!?

Taro
十三

目を凝らしてみろ。部屋の奥だ。

Juusan
???

……現れたか。

???
ドライ

あぁ……あなたはやはり……。

Drei
ドライ

ゼクス……!!

Drei

10節『バベルの尖槍①』/ 10. Babel's Sharp Spear - 1

Summary
ゼクスは一行を窯へと導いた。彼はこの世界

の観測者でありながら不安定な状態にあり、 戦うことで自己を再観測してほしいと語る。

ドライ

ゼクス……ああ、やはりあなただったのですね。

Drei
ドライ

この世界で目を覚ましたときからずっと、 空気に混じって感じられていた魔力の主……。

Drei
ドライ

よもやまさかと思っておりましたが、 本当にあなたであったとは……。

Drei
シオリ

ドライのお知り合い……? ゼクスとおっしゃるようですけど……。

Shiori
タロ

なんだか、威圧的な雰囲気の人だな……。 いや、人なのか……?

Taro
アベンジ

……どうだろうな。

Avenge
シエル

この方が『灰の王』、なのでしょうか?

Ciel
ゼクス

いかにも、私の名は『ゼクス』。 そしてこの世界においては『灰の王』でもある。

Sechs
ゼクス

我が地に招かれ、戦いを強いられた者たちよ。 ここまで到達したことへの賞賛と慰労をまずは贈ろう。

Sechs
十三

……全部を仕組んだ張本人か。ふん、偉そうに。

Juusan
ゼクス

お前たちの到達を、長く、待っていた。

Sechs
シオリ

あなたが『灰の王』ならば、 あなたが私たちの願い事を叶えてくださるの?

Shiori
シオリ

ゲームを勝ち抜いて塔へと到達した者は、 あなたに謁見して願望を叶えてもらえるはずですわ。

Shiori
ゼクス

その通りだ。望むものがあるのなら、叶えよう。

Sechs
ゼクス

……狭苦しい無法の地においては、 私の望むものだけが存在し、望まぬものは存在しえない。

Sechs
シエル

『望むものだけが存在し、望まぬものは存在しえない』。 それは、あなたが観測者だから成せることだと考えます。

Ciel
シエル

ゼクスさん。あなたはこの世界の『観測者』なのですね?

Ciel
ゼクス

…………。

Sechs
ゼクス

肯定しよう。未確定存在 (ストレンジャー)

Sechs
タロ

それって……叶えてもらえる願いは、この世界限定ってこと? それじゃああんまり、俺にとっては意味がないな……。

Taro
十三

どうせそんなことだろうと思ったよ。

Juusan
十三

なんでも願いを叶えるなんて大口叩いてくれたけど、 そんなこと神様でもない限りできやしない。

Juusan
十三

いや、神様にだってできない。

Juusan
ドライ

いえ。ゼクスなら、すべてを叶えることはできなくとも、 ある程度のことは可能にしてみせるでしょう。

Drei
ドライ

それだけの力と知識を持つ方です。

Drei
ゼクス

…………。

Sechs
ゼクス

お前たちがどのような願いを託し、どのような世界を望もうとも、 そのためにはしてもらわなければならないことがある。

Sechs
シオリ

クリスタルを集める以外にも、ですか? まだ私たちになにかさせるつもりですの?

Shiori
アベンジ

むしろそれが、奴の狙いの本命だろう。 クリスタル集めはただの名目だ。

Avenge
アベンジ

その結果、選別されてここまでやってくる者…… それを『灰の王』は待っていた。

Avenge
アベンジ

その『してもらいたいこと』をさせるために。 そうだろう?

Avenge
ゼクス

そうだ。

Sechs
アベンジ

ならば教えてもらおうか。 お前はゲームの勝者になにをさせるつもりだ?

Avenge
アベンジ

一体なにを成すために、ゲームなんて回りくどいことを 俺たちにさせていた?

Avenge
シオリ

そうですわ。結構大変だったんですからね。

Shiori
シオリ

こっちの都合もお構いなしに戦わされるなんて…… それだけの重大な理由がなければ、納得できません。

Shiori
ドライ

私も、是非お聞きしたい。

Drei
ドライ

あなたが何故このようなことを執り行い…… 何故このような場所でひとり、『勝者』を待ち続けたのかを。

Drei
ゼクス

…………。

Sechs
ゼクス

……ついて来い。 『その』ために必要なものがある。

Sechs
十三

待ちなよ。どこに行くつもりだ?

Juusan
十三

……ちっ。答えるつもりはないわけだ。 勝手なやつだな、本当に。

Juusan
ドライ

行ってみましょう、皆さん。ここまで来たならば、 彼の真意を知らずに後退する意味はないでしょう。

Drei
ドライ

それにゼクスのことです……彼の行いに 意味がないはずがない。

Drei
ドライ

迷うことなどありますまい!

Drei
シオリ

そ、それはそうですけど……どうしたんですか、ドライ。 なんだかすごい勢い……。

Shiori
タロ

ドラドラにとっては、 かなり思い入れのある人みたいだね。

Taro
十三

さっきもそんなこと言ってたけど、その様子からして あいつはお前が探してた人物なんだな?

Juusan
ドライ

はい。間違いありません。 あの方こそ、私の探し求めていたお方。

Drei
ドライ

私にとって唯一無二の存在であり、 彼についていくために私は全てを投げ捨てたのです。

Drei
十三

ふうん……。

Juusan'
ドライ

十三。あなたの探していた人物は……いかがですか? もしやあなたもゼクスを探していたのですか?

Drei
十三

いや。私の思ってたやつとは違った。 ……ちょっと似てる気がするけどね。

Juusan
十三

といっても、未だにはっきり思い出せないんだけど。

Juusan
アベンジ

ここまで来て、今更尻込みする必要もあるまい。 行こう。見失う。

Avenge
シエル

はい。私たちにとっても、彼が観測者であるのなら その動向は無視できません。

Ciel
シエル

それに……彼が向かう方向から、窯の気配を強く感じます。

Ciel
十三

窯……か。

Juusani
シオリ

これは……な、なんなんです? 塔の上に、こんなものがあったなんて……。

Shiori
タロ

見たこともないものだけど……これがとんでもないもの だってことは、なんとなくわかるよ……。

Taro
タロ

場の空気だけで、圧倒されそうだ……。

Taro
ドライ

これは……。

Drei
十三

……窯だな。間違いない。

Juusan
シエル

はい。私たちが探している窯も、これに間違いありません。

Ciel
ゼクス

……見えるか。窯が。

Sechs
アベンジ

見える、とはどういう意味だ? 本来ならば見えるはずがないかのような、言い方だな。

Avenge
ゼクス

その通りだ。 だから問うた。

Sechs
シオリ

あ、あなたには、見えないのですか?

Shiori
ゼクス

……否。

Sechs
ゼクス

燃えるように口を開ける窯の姿が見える。 認識できる。

Sechs
ゼクス

ただしこれを観測しているのは、私ではない。

Sechs
シエル

あなたではない……? ですが、この世界の観測者は、あなたのはずです。

Ciel
シエル

窯がこの世界に存在しているということは、 あなたが観測しているはずですが……。

Ciel
ゼクス

私には、観測できなかった。 いや、認識しきれなかった。

Sechs
ゼクス

だから連れてきた。 もうひとりの『観測者』を。

Sechs
シエル

っ!?

Ciel
ゼクス

いるのだろう。観測を行える力を持つ者が。

Sechs
ゼクス

その力によって、お前たちは『勝利』を観てきた。 ……誰だ?

Sechs
シオリ

そんなことまで、把握しているのですか……。

Shiori
ゼクス

誰だ。

Sechs
十三

……下がってろ、レイ。

Juusan
タロ

くっ……。

Taro
ゼクス

……お前か。

Sechs

1: そうです
2: ……違います

1:
2:

ゼクス

……いい目だ。

Sechs
ゼクス

……ふ。

Sechs
ゼクス

警戒する必要はない。 私に、観測者を害する必要がないからだ。

Sechs
十三

だったらなぜ尋ねる? そっちの思惑も知らないで、馬鹿正直に信じられるか。

Juusan
シエル

…………。

Ciel
ゼクス

思惑か。

Sechs
ゼクス

観測者よ。 お前に私を観測してほしい。

Sechs
ゼクス

してほしいことは、それだけだ。

Sechs
アベンジ

……どういうつもりだ? お前が『観測者』なのだろう?

Avenge
シエル

あなたの存在を含めて、この世界にあるものは 全てあなたの観測下にあります……『灰の王』。

Ciel
シエル

その観測者であるあなたを、 改めて別の観測のもとに置こうというのですか?

Ciel
ゼクス

そうだ。

Sechs
ゼクス

確かに私は『観測者』として『此処』に在る。 だがこの存在は、決して完全なものではない。

Sechs
ゼクス

『私』という個体の存在はひどく不確定で不確実だ。

Sechs
ゼクス

あいまいな情報を繋ぎ合わせて、 かろうじて『私』らしき姿を構築しているにすぎない。

Sechs
ゼクス

要するに、私を私足らしめるだけの認識、 観測が足りていないのだ……。

Sechs
ドライ

なんと……そのようなことが起こりうるのですか。 不完全な状態で存在しているなど……。

Drei
十三

だとしたら、とんでもないやつだな。

Juusan
十三

半端な状態だって言いながら、それでもなお観測者として ファントムフィールドをひとつ作り出してるんだから。

Juusan
シエル

はい……とても信じられないことです。

Ciel
シエル

この世界は荒廃し、不衛生な環境にあります。ですがそれは、 足りない観測力によって生じた不安定さとは別のものです。

Ciel
シエル

そういった『世界』として 揺ぎなく保たれているように感じます。

Ciel
シエル

それを……おっしゃるように半端な状態で 成したというのであれば……。

Ciel
シエル

本来の力が備わっていたとき どれだけの強力な観測者になっていたか、想像もできません。

Ciel
タロ

でもそれって、どういうことなんだ?

Taro
タロ

この世界にいる以上、俺のことも観測者…… ええと、ゼクスさんが観測? ってやつをしてるんでしょ?

Taro
タロ

俺は普通だよ。 特になにか、状態がおかしいって感じもしない。

Taro
タロ

なのに自分のことだけ半端だなんてさ……。

Taro
ゼクス

……『私』に関わる情報を意図的に隠匿している者がいる。 それゆえに、私は私を正確に観測できない。

Sechs
ドライ

なんですって!?

Drei
シエル

情報を隠匿……ですか……。 観測者になるほどの人の情報を……。

Ciel
アベンジ

心当たりがありそうだな。

Avenge
シエル

……はい。 バベルが関わっているのかもしれません。

Ciel
アベンジ

バベル?

Avenge
シエル

説明が難しいのですが……簡潔に言うと、 私やレイさんが所属する組織の、対抗勢力です。

Ciel
シオリ

あなたたちの敵、ですか。

Shiori
シオリ

でもどうして? ゼクスさんはなにかバベルって方々と因縁があるのですか?

Shiori
ゼクス

どうやら、そのようだ。

Sechs
ゼクス

だが事情や関わりなどはどうでもいいことだ。 私にはお前の観測が必要だ。

Sechs
ゼクス

全ての『世界』のために。

Sechs

1: 全ての世界のためって?
2: なにを企んでるの?

1:
2:

ゼクス

言葉の通りだ。 それ以上の意味はない。

Sechs
ゼクス

あらゆる『世界』『場』があるべき形であるために。 異なるものへと変貌させぬために。

Sechs
ゼクス

世界を歪めんとする意志と対峙するために、力が要る。 私にも、お前にも。

Sechs
ゼクス

企みも謀りもない。 今の私にはそれすら持ちえない。

Sechs
ゼクス

だが意図的に隠匿された『私』の情報は、やがて必要になる。 私にも、お前にも。

Sechs
ゼクス

あらゆる『世界』『場』があるべき形であるために。 異なるものへと変貌させぬために。

Sechs
十三

わけのわからない物言いを、鵜呑みにしろって?

Juusan
十三

レイがアンタを観測した結果、 とんでもない力を取り戻したアンタが手の平を返さない保証は?

Juusan
シエル

レイさんに危害が及ぶ可能性があるのなら、 それを了承することはできません。

Ciel
ゼクス

怯えることはない。

Sechs
ゼクス

私を観るのが『レイ』である以上、 私はその観測を逸脱した行動はとれない。

Sechs
ゼクス

もし私が意に反するようであれば、 その力でもって制するといい。

Sechs
ゼクス

さあ。どうする。

Sechs

1: わかった。やります
2: 不安だけど……やるしかないか

1:
2:

ゼクス

その決断に感謝する。

Sechs
ゼクス

不安は不要だ。ただ観ればいい。

Sechs
ゼクス

……窯は境界へと繋がる。 境界にはあらゆる世界のあらゆる情報が揺蕩っている。

Sechs
ゼクス

近ければ近いほど、観測者としての力は増すだろう。 お前もまた、例外ではないはず。

Sechs
ゼクス

ゆえに、ここで戦え。私と刃を交わせ。 それこそが最も正確に私を観測できる術だ。

Sechs
ドライ

ゼクスと戦う? 本気ですか? あなたと戦うなど、こちらが無事ではすみません。

Drei
ゼクス

これは滅ぼし合うための戦いではない。 それに、さっきも言ったが私の力は微々たるものだ。

Sechs
ゼクス

たとえ窯の近くであっても、それは変わらない。

Sechs
ゼクス

だからこの脆弱な力の全てを観ろ、レイ。 そして私を、認識してくれ。

Sechs

10節『バベルの尖槍②』/ 10. Babel's Sharp Spear - 2

Summary
ゼクスの観測中に黒いマイが乱入し、強襲す

る。一同は応戦するも、彼女に埋め込まれた 黒の因子による驚異的な力に圧倒される。

シエル

!?

Ciel
タロ

な、なんだ、突然!?

Taro
アナザーダーク=マイ

やっぱり、それが狙いか。

Another Dark Mai
ゼクス

…………。

Sechs
ドライ

あなたは!

Drei
シエル

マイさん……!?

Ciel
アナザーダーク=マイ

あれ。君にまで会うなんてね。 まあ、どうせそのうち会うだろうとは思ってたけど。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

ま、積もる話は……仕事を終えてから!!</style>

Another Dark Mai
ゼクス

っ!

Sechs
ドライ

ゼクス!

Drei
ドライ

お下がりください。あなたの盾になるのなら本望……!

Drei
アナザーダーク=マイ

へえ。盾になれると思ってるんだ? その程度で!

Another Dark Mai
ドライ

うぐぅぅっ……! な、なんだ、この力……!?

Drei
アナザーダーク=マイ

はぁぁぁぁっ!!

Another Dark Mai
ドライ

ぐぅっ、あ、ぐ……! っ!?

Drei
ドライ

ぐあぁぁぁぁぁっ……!!

Drei
シオリ

ドライ!?

Shiori
タロ

速い……それに、強い! 前に戦ったときも強かったけど、ここまでだっけ……!?

Taro
十三

好き勝手させるか!

Juusan
アナザーダーク=マイ

馬鹿だな。力の差もわからないの?

Another Dark Mai
十三

うっ、ぐ……!

Juusan
アナザーダーク=マイ

ほら、どうした!? さっきの威勢が跡形もないじゃないか! それで僕に勝つつもり!?

Another Dark Mai
シエル

はぁぁぁっ!</style>

Ciel
アナザーダーク=マイ

そらっ!!

Another Dark Mai
シエル

くぅっ……!

Ciel
十三

なんだ、あいつ……。

Juusan
十三

尋常じゃなく強くなってる。つい数日前に会ったばっかり なのに、あのときとは比べものにならない。

Juusan
タロ

そんな……! あのときだってめちゃくちゃ強かったのに!?

Taro
シエル

確かに……私も以前、戦ったことがありますが、 そのときよりもずっと攻撃が重い……。

Ciel
アベンジ

……なにかあるな。様子が違う。

Avenge
アナザーダーク=マイ

なにかだって? ククク……なにかもなにもないだろ。 ここにある特別なものといえば、ひとつだけだ。

Another Dark Mai
ドライ

特別なもの……ま、まさか……。

Drei
ゼクス

……黒の因子を持つ者か。

Sechs
アベンジ

なに? 黒の因子?

Avenge
ゼクス

そうだ。……やつの中には黒の因子が組み込まれている。 人であるには間違いないが、その性質は変異している。

Sechs
ゼクス

深く魔素に侵されている状態と言える……。 ゆえに、境界に近ければ近いほど、その力は増す。

Sechs
十三

なるほど。アレに近い性質ってことか……。

Juusan
シエル

あれとは、なんですか? マイさんの持つ因子について、なにか情報をお持ちなのですか?

Ciel
十三

お持ちだけど、 今それについてあれこれ説明してられる余裕はないよ。

Juusan
十三

それに簡単に言葉で説明できるものじゃない……。

Juusan
アナザーダーク=マイ

ふ……その通り!

Another Dark Mai

1: こっちに来た!?
2: やばい……避けられない……!

1:
2:

シエル

レイさん!</style>

Ciel
アベンジ

っ! 危ない、こっちへ!

Avenge
シオリ

よ、よかった、ご無事で。

Shiori
タロ

不意打ちなんて……。

Taro
アナザーダーク=マイ

卑怯だって? これだけ頭数揃えておいて、 僕を捕まえられないそっちが無力なだけだろう。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

ねえ、レイ。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

仕事の依頼はゼクスの始末だけど…… 君は残しておくと厄介そうだからね。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

先に消しておいたほうがいいよね!!

Another Dark Mai
シエル

くぅぅぅ……さ、させません!

Ciel
アナザーダーク=マイ

いつまでもつかな? ちょっと、試してあげるよ。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

君たちがどれだけ無謀な挑戦をしてるのか、 わからせてあげるから!!

Another Dark Mai

10節『バベルの尖槍③』/ 10. Babel's Sharp Spear - 3

Summary
窮地に響く銃声。ゲームを勝ち抜いたノエル

たちが塔へ辿り着き、戦局は拮抗する。十三 はその間に自身の『力』の観測を要求した。

観測に成功した、十三の持つ『力』──

事象兵器『巨人・タケミカヅチ』。それは災 厄すらも抑え込む、極大な巨人の腕だった。

アナザーダーク=マイ

うっ、ぐぅ……!

Another Dark Mai
シエル

はぁ、はぁ、はぁ……。

Ciel
アナザーダーク=マイ

……っ、ククククククク、アハハハハ! なぁんてね。勝ったと思った?

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

冗談だろ。その程度で僕が倒せるものか。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

ああ……この力が いつでも出せるわけじゃないっていうのが癪に障るけど……。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

今の僕が、君たちには倒せないほど強いってことに 間違いはないし、いいか。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

それが確かめられたから、気がすんだよ。 だからもう、遊びは終わりだ。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

死んでよ。 レイ。

Another Dark Mai
シエル

う、ぐ……レイさん、 下がって、ください……っ!

Ciel
アナザーダーク=マイ

クククッ、観測の力で僕を制御しようとしても、無駄だよ。 君にはそれができない。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

君はよく知ってるはずだからね。 僕に勝てないってことを。

Another Dark Mai
十三

チッ、なにを勝手なことを……!

Juusan
アナザーダーク=マイ

もう終わりだって言っただろ。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

レイも、ゼクスも。まとめて消えろ!

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

――朱墜『蒼溟月尖華』!!!</style>

Another Dark Mai
タロ

うわぁぁ……っ。

Taro
シオリ

タロ先輩……!

Shiori
ドライ

ぐぬぅぅ……。

Drei
ドライ

ゼクス、だけは守らねば……!

Drei
ドライ

があぁぁぁぁぁ……っ!!

Drei
ドライ

…………。

Drei
アベンジ

う……ぐ……。

Avenge
シオリ

あうぅ……。

Shiori
シエル

っ、う……だい、じょうぶ、ですか…… レイさん……。

Ciel

1: シエル、大丈夫!?
2: 守ってくれたんだ……ありがとう

1:
2:

シエル

はい、大丈夫です。問題ありません。 私は……レイさんの、護衛ですから……。

Ciel
シエル

いえ、これが私の役目です。 それに……あなたを守るために、私はここへ来たのですから……。

Ciel
シエル

っ、う、ぐ……。

Ciel
十三

全員、下がってろ……。 近くにいると、邪魔だ……。

Juusan
アナザーダーク=マイ

フフ……君たちはまだ戦うつもりなんだ? だけどそんな状態で、なにができる?

Another Dark Mai
ゼクス

…………。

Sechs
十三

くっ……なにが、か……。 確かにな……。

Juusan
十三

……こうなったら……『アイツ』を頼るしか……。

Juusan
アナザーダーク=マイ

フッ――

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

っ!?

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

……またお前たちか。

Another Dark Mai
ノエル

皆さん! 助太刀にきましたよ!

Noel
シエル

ノエルさん……。

Ciel
十三

なんで、ここにいる……!?

Juusan
Es

ゲームの勝者として『灰の王』への謁見資格を得たからです。

Es
ひなた

みんな、しっかりして!

Hinata
シオリ

エス、ひなた……あなたがたまで……!

Shiori
アベンジ

……やはり、複数のチームに資格が与えられる方式だったか。

Avenge
アベンジ

『灰の王』……ゼクスの目的が観測の力であるのなら、 たったひとチームに勝者を絞る必要はないからな。

Avenge
アベンジ

むしろある程度絞れたなら、当たりが来るまで 『灰の王』として待ち続けるつもりだったんだろう。

Avenge
タロ

みんながいるってことは……。

Taro
アナザーダーク=マイ

チィッ……!

Another Dark Mai
ノエル

ドライさん、しっかりしてください!

Noel
ひなた

ひどい傷……手当てしないと……。 でもこんなところじゃ……。

Hinata
シオリ

ええ……ここを切り抜けてからでないと、 手当てのしようもありませんわ。

Shiori
ゼクス

……問題ない。ドライはまだ死にはしない。

Sechs
ひなた

え……? あ、あなた、は……。

Hinata
Es

ゼクス……。

Es
Es

ではあなたが……『灰の王』……?

Es
ジン

……やはり、僕の知るマイ=ナツメではないな。

Jin
ジン

それにこの不穏な気配……嫌な感じがする。 貴様、一体なにを取り込んでいる?

Jin
アナザーダーク=マイ

取り込んだんじゃない。 手に入れたんだ。

Another Dark Mai
十三

黒の因子だそうだ。

Juusan
十三

それがなんなのか、秩序の力を持っているアンタになら、 なんとなくわかるだろ。

Juusan
十三

だから奴は境界の近く、 つまり窯の近くではケタ外れに強くなる。

Juusan
十三

それから……あのふざけた因子を持っているがゆえに、 私にとって倒さなければならない標的にもなった。

Juusan
十三

つまり、そいつは私の獲物だ。

Juusan
ジン

……ほう。

Jin
ジン

その話を聞いた以上、 僕も大人しく剣を引くわけにはいかないな。

Jin
ジン

黒の因子……その気配、その感じ。 僕が殺さねばならないモノだ!

Jin
アナザーダーク=マイ

ジン=キサラギ……秩序の力か。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

均衡を保つための力。世界のバランサー。 相対する者の力が強ければ強いほど、秩序の力も強くなる……。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

厄介な相手がまた増えたな。 だけど、構うもんか。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

秩序の力だろうが素体だろうが、 なんでも好きにかかってきたらいいよ。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

僕はそんなものに、負けるわけにはいかないんだから!

Another Dark Mai
シエル

激しい攻防です。私たちも加わりましょう!

Ciel
十三

いや。その前にやってもらうことがある。

Juusan
シエル

え?

Ciel
十三

私を観測しろ、レイ。

Juusan
シエル

観測? 十三さんはすでに、ゼクスさんという観測者に 認識されていると思いますが……?

Ciel
十三

その力の足りない観測者や、 私自身の自己観測じゃ足りないから言ってる。

Juusan
十三

正確には私じゃなくて……私が持ってる『力』を観測しろ。 ゼクスのときと同じだ。できるだろ。

Juusan
シエル

十三さん、力とはどんなものですか? それにレイさんを危険に晒すわけには……。

Ciel
十三

その危険から脱するために、観測しろって言ってるんだ。

Juusan
十三

悠長におしゃべりしてる時間はない。 秩序の力があいつと渡り合えてるうちに、早く!

Juusan
十三

……はは。本当に観測してくれた。 アイツを……。

Juusan
シオリ

な……な……な、なんなんですの、あれは!?

Shiori
タロ

今、どこからともなく、大きな腕が出てこなかった!? しかも、じゅうじゅうが呼び出したように見えたんだけど……?

Taro
ひなた

う、うん、私にもそう見えた……。 すごく恐くて、すごく威圧的な……。

Hinata
アベンジ

あまりにも異様だ。 この世にあってはならないものであるかのような。

Avenge
シエル

検索……検索……該当情報不明。

Ciel
シエル

発掘兵器と称される強力な武具に似ている反応ですが 違うものです。

Ciel
シエル

あれは……十三さん、あれはなんですか?

Ciel
十三

…………。

Juusan
十三

あれは…… アイツは、『巨人』だよ。

Juusan'

11節『その眼で観よ①』/ 11. Watch With Those Eyes - 1

Summary
観測者、秩序の力、『巨人』……戦況は一変

する。しかし超常の力に囲まれて尚、神をも 殺すと嘯く少女はただ不敵に嗤っていた。

アナザーダーク=マイ

なっ……!?

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

それは……まさか……。 事象兵器……。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

君、そんな物騒なもの従えてたの? 事象兵器『巨人・タケミカヅチ』……。

Another Dark Mai
ジン

なんだと?

Jin
十三

残念だけど、私が扱えるのはコイツの力のほんの一部だけだ。 だけどアンタの見抜いた通り、こいつは『巨人』……。

Juusan
十三

かつて人類を全滅の直前まで追いやったとされる災厄。 そいつをねじ伏せ押さえ込んだことがある、巨人の腕だ。

Juusan
十三

黒の因子がどれだけの力を持っているのか知らないが、 こいつからはそう簡単に逃げられないよ。

Juusan
十三

その因子とやらごと、握りつぶしてやる。

Juusan
アナザーダーク=マイ

はっ……。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

すごいや。 観測者に、秩序の力。そのうえ『巨人』か。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

そうそうたる顔ぶれじゃないか。 楽しくなってきた……。

Another Dark Mai
十三

こっちはちっとも楽しくない。 コイツまで引きずり出されて……。

Juusan
十三

ジン=キサラギ。あいつの動きはコイツで押さえる。 なんとか捕まえるから、そこを狙って。

Juusan
ジン

貴様が僕に指図するな。

Jin
ジン

……と、言いたいが……この状況では、 それが最善手だということくらい僕にもわかる。

Jin
ジン

いいだろう。協力してやる。

Jin
アナザーダーク=マイ

クククッ……! これだけのものと一度に対峙できるなんて、そうそうない。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

これを倒せたら……倒したら、 最終的にはきっと僕は、神だって殺せる。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

ああ……そのことを、証明しなくちゃ。

Another Dark Mai
ノエル

マイ……。どうしてそんなことを……。

Noel
ノエル

ううん、あれは私の知ってるマイじゃない。 マイとは違う……そうだよね。

Noel
Es

ノエル、怪我人を連れてもっと下がりましょう。 ここは危険です。

Es
ひなた

巻き込まれちゃう!

Hinata
アベンジ

こっちへ。前には俺が出ておく。

Avenge
シオリ

なにを格好つけているんですか、 あなただってボロボロのくせに……。

Shiori
アベンジ

無論、連中には及ばない。 下手な手出しは足手まといになるだけだ。

Avenge
アベンジ

だが壁役くらいにはなれる。

Avenge
アナザーダーク=マイ

さあ、来なよ。やろう。 戦おう!

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

フフフ、どれだけ超常的な力を揃えて歯向かってこようと、 無駄なことだって教えてあげる。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

そもそもそっちにいる観測者は、僕に勝てると思ってない。 僕の槍が恐ろしくて、観測の力ごとすくんでるみたいだからね。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

その時点で君たちはもう勝てないよ。

Another Dark Mai
十三

……っ、そんなもの……。

Juusan

1: 君(あなた)には負けない
2: 十三とジンは勝つ!

1:
2:

アナザーダーク=マイ

……生意気だなぁ。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

その虚勢が事実になるかどうか、 試してみようじゃないか!

Another Dark Mai
シエル

くっ!

Ciel
シエル

レイさん、攻撃は私が受け止めます。 私はあなたの盾であり、剣になる。

Ciel
アナザーダーク=マイ

はいはい、弱い連中が涙ぐましいよ。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

段々苛々してきた。 ああ、もう終わりだよ、終わり。

Another Dark Mai
十三

来るぞ、さっきの攻撃だ!

Juusan
アナザーダーク=マイ

無力を……思い知れ!!!</style>

Another Dark Mai
十三

……っ!

Juusan
十三

う、ぐ……なんだ? 弱い……?

Juusan
シエル

……はい。 さっきより、明らかに威力が軽減されています。

Ciel
シエル

これは……。

Ciel
ジン

……貴様の観測によるものか。

Jin
アナザーダーク=マイ

僕の攻撃を、弱いと見なしたのか。 その眼で。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

ふざけるな。僕は弱くない。僕は負けない。</style>

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

その身に教えてやったはずだ。どれだけ君が弱いのか。 なのに……!

Another Dark Mai
十三

レイが気合いを見せてるってことか。

Juusan
十三

なにを見たのか知らないけど、押し返せ! 観測の力なんて、最終的にはアンタの意思なんだから。

Juusan
シエル

行きましょう、レイさん。 アナザーダーク=マイさんを、観測するんです。

Ciel

11節『その眼で観よ②』/ 11. Watch With Those Eyes - 2

Summary
総力を挙げた攻撃に、マイは倒れて消える。

しかしゼクスは既に時間の猶予はないと語 り、彼に対する観測の再開を促した。

観測の下に、ゼクスは戦う力を取り戻し……

迸った鮮血。頽れる彼の背後から現れたの は、『外』からの来訪者──ハーンだった。

アナザーダーク=マイ

はぁぁぁぁっ!!</style>

Another Dark Mai
シエル

っ、あうぅ……!

Ciel
アナザーダーク=マイ

ほら、ほら、ほらぁ! しっかり受け止めなよ、盾になるんだろ!?

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

なに!?

Another Dark Mai
シエル

……衝撃が消えた? 事象干渉……観測ですね。

Ciel
シエル

レイさん……すみません、 何度も力を使わせてしまって。

Ciel
アナザーダーク=マイ

くそ、忌々しい……!

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

だけどいつまでももつもんか。 観測の力で僕の攻撃を打ち消そうなんて目茶苦茶なこと……。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

しまった、巨人!

Another Dark Mai
十三

……ああ、いつまでももつもんじゃない。 だから今のうちに、捕まえさせてもらうよ。

Juusan
アナザーダーク=マイ

う、く、くそぉ……っ!

Another Dark Mai
十三

しっかり観てなよ、レイ。 ……ジン=キサラギ!</style>

Juusan
ジン

僕に指図をするなぁぁぁ!</style>

Jin
アナザーダーク=マイ

……………………。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

…………そんな……ばかな。 僕が……こんなことで……。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

負けるのか……?

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

……僕を観ているな……観測者。 君さえいなければ……あのとき、仕留めていれば……。

Another Dark Mai
シエル

…………。

Ciel
アナザーダーク=マイ

ふ……は、きっと君も、そのうち思うよ。 あのとき大人しく死んでおけばよかった、ってね……。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

これだけの力をつけて、 これだけ常人離れしたことをしてみせて……。

Another Dark Mai
アナザーダーク=マイ

その眼で君は、世界の終わりを観るんだ……から……。

Another Dark Mai
シエル

…………。

Ciel
シエル

倒……した……倒しました。 マイさん……対象の反応が消失しました。

Ciel
十三

……ああ。間違いない。 奴を倒した。

Juusan
十三

アンタの勝ちだよ、レイ。

Juusan
十三

っ、と……。

Juusan'
ノエル

危ない。 ……大丈夫? 足元、ふらついてる。顔も真っ青だし。

Noel
十三

……っ。

JuusanRei

十三

私に構うな。 ……特にアンタは。

Juusan'
ノエル

え? どうして?

Noel
十三

どうしても。

Juusan
十三

……大丈夫。力を使いすぎただけ。

Juusan
シオリ

マイ様……。

Shiori
シオリ

あっ……シエルも、大丈夫ですか? 傷だらけ……。

Shiori
シエル

あ……はい。運動機能に問題はありません。 ですが……不思議と、信じがたいような気持ちです。

Ciel
シエル

あのマイさんを倒せただなんて……。

Ciel

1: みんなで力を合わせたから
2: 僕(私)もびっくりしてる……

1:
2:

シエル

はい……そうですね。 私もそう思います。

Ciel
シエル

特に十三さんとジンさん、 それにレイさんの力がなくては、不可能でした。

Ciel
十三

なに言ってるんだ。 最大の功労者は、間違いなくアンタだ。

Juusan
十三

私よりずっととんでもないものを持ってるよ、アンタは。

Juusan
ゼクス

……窯が近いゆえか、 それともお前自身の無意識のうちの覚醒ゆえか。

Sechs
ゼクス

黒の因子を持つ者の敗北と退場は、お前の観測が決定づけた。 ……やはり、間違いない。

Sechs
ゼクス

もはやこれは期待や願望ではなく、確信だ。 お前なら私を、完璧に観測することができる。

Sechs
ゼクス

その眼、その力こそ、私が求めるもの。

Sechs
Es

ゼクス……あなたは何を知っているのですか……? 何をしようと……。

Es
ゼクス

問いに答える時間はない。 我々には猶予がない。

Sechs
ゼクス

黒の因子は送り込まれた刺客だ。 それを退けたことは、すでに知られているだろう。

Sechs
ジン

知られている? 誰にだ。

Jin
ゼクス

『外』にいる者に。

Sechs
ゼクス

……私には戦わなければならない相手がいる。 いや、対峙せねばならぬ相手が。

Sechs
ゼクス

戦えねば、全てが覆る。世界が失うべきだったものが蘇り、 世界に在るべきものが失われる。

Sechs
ゼクス

お前の『世界』も、取り戻せなくなるぞ。

Sechs

1: すぐに観測を始めましょう
2: できる限り、やってみます!

1:
2:

ゼクス

……頼む。

Sechs
ゼクス

…………。

Sechs
シエル

……対象を補足、認識……。

Ciel
シエル

先程と大きく変わった様子はありませんが…… 完了したのでしょうか?

Ciel
ゼクス

……ああ。

Sechs
ゼクス

私自身にしか感じ取れないことなのかもしれないが、 先程までとは明らかに違う。

Sechs
ゼクス

内に感じる力も、目に見える光景も、肌に感じる空気も。 全てが鮮明で、克明だ。

Sechs
ゼクス

ただ……万全と呼ぶにはまだ及ばない。

Sechs
ゼクス

戦えるだけの力を取り戻しはしたものの、 より強く正確なお前の観測が私には必要なようだ。

Sechs
ゼクス

レイ。お前には…… ――っ!!

Sechs
ゼクス

が、ふ……っ。

Sechs
Es

ゼクス……!

Es
ひなた

きゃぁぁぁっ!</style>

Hinata
ゼクス

……ぐ……来た、か……。

Sechs
ハーン

……また、会ったね。 レイ。シエル。

Hearn

12節『失われた思い出①』/ 12. Lost Memories - 1

Summary
一同はハーンの襲撃阻止に動く中、ゼクスが

シエルに託した願い……それは窯を破壊し、 彼と世界の繋がりを切り離すことだった。

ハーン

……また、会ったね。 レイ。シエル。

Hearn
ドライ

う……なに、が、起きて……ゼクス……なぜ……?

Drei
ドライ

し……しっかり、してください、ゼクス……!

Drei
ゼクス

…………。

Sechs
ハーン

…………。

Hearn
シエル

あなたは、ハーン……。

Ciel
アベンジ

ゼクスが言っていた『外』の者とは、そいつのことのようだな。 だが、何者だ?

Avenge
シエル

ハーン。バベルという、私たちの敵対組織の一員です。

Ciel
ノエル

バベル……?

Noel
十三

こいつが……。

Juusan'
ハーン

……敵対組織か。 僕は君と敵対するつもりはないんだけどね、シエル。

Hearn
ハーン

だけど君たちがここに到達してしまったことは、残念だ。

Hearn
ハーン

本当は彼を見つけられる前に、 マイ=ハヅキに始末してもらおうと思っていたんだけど。

Hearn
シオリ

っ……あのマイ様に命令していたのは、 あなたですのね。

Shiori
ハーン

命令だなんていうと、彼女は不服だろうな。 僕はただ、依頼しただけだ。

Hearn
タロ

ゼクスを……始末ってことは。 殺させるつもりだったってことだよね。

Taro
ハーン

そう。

Hearn
ハーン

彼女は黒の因子を持っている。

Hearn
ハーン

それにより、ファントムフィールドの観測者による観測の、 影響を受けずにすむんだ。

Hearn
ハーン

だから観測者を殺すこともできる。

Hearn
ハーン

……なのに、君たちに阻まれてしまった。 残念だよ。

Hearn
ハーン

まあ……。

Hearn
ハーン

蒼の魔道書の写本に、秩序の力。事象兵器の巨人に…… 観測の力まで揃っているんだ。仕方ない。

Hearn
ハーン

そのうえ……観測に縁の深い人物が、 レイ以外にもいるようだしね。

Hearn
ハーン

本当に、これだけの面々をよくそろえたものだよ。 執念をも感じるね。

Hearn
ゼクス

…………。

Sechs
ハーン

だけど。 それでも僕は君を存在させるわけにはいかないんだ。

Hearn
ドライ

っ、させません! ゼクスには手出しをさせませんよ……!

Drei
タロ

だめだ、ドラドラ!

Taro
シオリ

いけません!

Shiori
ハーン

…………。

Hearn
ドライ

なっ、うぐぅぅぅ……お、抑えきれない……っ。 うがぁぁぁぁぁっ!</style>

Drei
ゼクス

くっ……!

Sechs
シオリ

きゃぁっ……!</style>

Shiori
タロ

うわぁぁ!</style>

Taro
ノエル

このっ!

Noel
十三

せあぁぁっ!

Juusan
ハーン

困るな。君たちとは争いたくない。 大人しくしていてくれ。

Hearn
十三

そっちにその気がなくても、 こっちは都合よく同意見ってわけじゃないんだよ!

Juusan
ノエル

事情はわかりませんが……今まさに目の前で、 誰かを殺そうとしていると聞いて、黙ってはいられません!

Noel
ジン

フン……なにより貴様。 どことなく……嫌な気配がするぞ。

Jin
ジン

殺しておいた方が良さそうな気配だ。

Jin
ハーン

……秩序の力……。

Hearn
ゼクス

……お前たちに、もうひとつ頼みたいことができた。

Sechs
シエル

ゼクスさん、今は動かないほうが賢明です。 下がっていてください。

Ciel
シエル

ハーンは、私たちが……!

Ciel
ゼクス

そんなことはどうでもいい。

Sechs
シエル

どうでも……? ど、どういうことですか?

Ciel
ゼクス

私は……やがて倒れる。 そうでなくとも、あの男は私を仕留める。

Sechs
ゼクス

その前に、窯を壊せ。

Sechs
シエル

窯を?

Ciel
ゼクス

可能なのだろう?

Sechs
シエル

はい、可能です。 それが私たちの目的でもあります。

Ciel
シエル

ですがそれは、ゼクスさんからこの世界を完全に切り離すことに なります。わかっていて、おっしゃっているのですか?

Ciel
ゼクス

ああ。 だからこそだ。

Sechs
ゼクス

……私がここで命を落とすことがあれば、 この世界は……どうなる?

Sechs
シエル

観測者が死亡すれば…… ファントムフィールドは即座にリセットがかかって……あ!

Ciel
ゼクス

それを阻止しろ。 繰り返すわけにはいかない。

Sechs
ゼクス

アレを生み出すわけにはいかない。

Sechs
シエル

あれ……?

Ciel
ゼクス

早くしろ!

Sechs
シエル

は、はい、わかりまし……。

Ciel
シエル

っ、なっ!? 突然こんな場所に魔物!?

Ciel
ゼクス

……窯から出現したのか? 私の意図したことではないぞ……。

Sechs
ちんぴら

……………………。

Ruffian
ちんぴら

おお……女だ、女がいるぞ。 さらえ、奪え、殺せ、全部俺たちのもんだぁぁ!

Ruffian
魔物

ギシャァァァァァァァ!!

Monster
シエル

これはもしかして、ファントムフィールドの防衛機構……!?

Ciel
シエル

窯を破壊されるという危機的状況が確定したために、 発生しているのかもしれません。

Ciel
ゼクス

やれ。雑魚は私が……。

Sechs
アベンジ

その体でどれだけ引き受けられると思っているんだ。

Avenge
シエル

アベンジさん。

Ciel
アベンジ

お前が死んだらまずいのだろう? だったら俺が引き受ける。

Avenge
アベンジ

だが長くはもたないぞ。 向こうも、こっちに専念できる状況ではないようだしな。

Avenge
Es

私も、お手伝いします。

Es
シエル

エスさん。ありがとうございます。

Ciel

1: 後ろはお願い
2: 行こう、シエル!

1:
2:

アベンジ

ああ。乗り掛かった舟だ。 最後まで付き合う。

Avenge
Es

了解。任せてください。

Es
Es

……知らなければならないことも、ありますので。

Es
シエル

はい! 目標、前方に展開された魔物及び人型障害。 切り拓き、窯の破壊を行います!

Ciel
Es

お願いします。

Es
Es

……まだ知らなければならないことがある。 退けません。

Es
シエル

戦闘態勢に移行します!

Ciel

12節『失われた思い出②』/ 12. Lost Memories - 2

Summary
ハーンの猛攻に耐え、窯の破壊に成功する。

ゼクスは微笑みを残して倒れ──目覚めると フガクの中で、シエルたちに囲まれていた。

シエル

たぁぁぁぁぁっ!

Ciel
シエル

っ、はぁ、はぁ……手が緩んだ……。 今なら行けます、レイさん!

Ciel

1: シエル、蒼の魔道書を!
2: ファントムフィールドを解放しよう!

1:
2:

シエル

了解です!

Ciel
ハーン

……っ、窯が……!

Hearn
ハーン

どいてくれ!

Hearn
ノエル

!?

Noel
ノエル

あぁぁぁぁっ!</style>

Noel
ジン

そこだ!

Jin
ハーン

くっ……邪魔をするな!

Hearn
ジン

っ、ぐ、ぐぁぁっ……!!</style>

Jin
ハーン

せめて窯が壊れる前に、ゼクス、君だけは……!

Hearn
Es

いいえ、それは許しません。

Es
ハーン

……っ。

Hearn
シエル

第666拘束機関解放。次元干渉虚数方陣展開。

Ciel
シエル

『蒼の魔道書・写本』 (ブレイブルー) 起動!</style>

Ciel
シオリ

うあぁっ……と、とんでもない衝撃です。 これを、シエルさんがやっているのですか……!?

Shiori
タロ

どうやら、そうみたい。 彼女の魔道書、ものすごい威力だ。

Taro
ノエル

今、蒼の魔道書 (ブレイブルー) って……。

Noel
ジン

…………。

Jin
シエル

……窯の停止、破壊を完了しました。

Ciel
ゼクス

…………。

Sechs
ドライ

ゼクス……!

Drei
ハーン

……ああ、壊れてしまったか。

Hearn
ハーン

そうなる前に、彼だけでも持っていきたかったけど。

Hearn
Es

…………。

Es
ハーン

君がどうしても通してくれなさそうだな。

Hearn
ひなた

……あの。あなた……。

Hinata
ハーン

…………。

Hearn
ひなた

あなたのこと……どこかで……私、どこかで……。

Hinata
Es

……はい。ひなた。 私もそう感じてなりません。

Es
Es

彼のことを……知っている。

Es
ハーン

…………僕を知っているって?

Hearn
ハーン

僕は『世界から存在を否定された者』。

Hearn
Es

あなたは……。

Es
シエル

存在を、否定……?

Ciel
ハーン

……君たちは誰かを忘れている。

Hearn
ハーン

思い出したらいい。 思い出せたら、僕が誰なのかきっとわかる。

Hearn
Es

!?

Es
Es

――――あなたは。

Es
シエル

レイさん、これは……フガクです! 窯の解放を感知したため、強制帰還が実行されます!

Ciel
シエル

ですが……っ、くぅぅ……っ!

Ciel
ハーン

……レイ。

Hearn
ハーン

僕は、否定された僕自信と、僕の世界を取り戻す。

Hearn
ハーン

君がその障害となるのなら、取り除く。

Hearn
ハーン

……さようなら。 また会う日まで。

Hearn
シエル

……さん、レイさん……!

Ciel
シエル

レイさん。 ……よかった、意識を取り戻されましたね。私がわかりますか?

Ciel
シエル

はい。シエルです。

Ciel
シエル

……具合は悪くありませんか? どこかおかしなところは? 痛むところや、ええと、あとは……。

Ciel

1: 大丈夫
2: ただいま

1:
2:

シエル

よかった……本当に、よかったです。 ご無事でなによりです。

Ciel
シエル

とても心配していました。

Ciel
シエル

はい。おかえりなさい、レイさん。 ご無事でなによりです。

Ciel
シエル

ずっとお帰りを、待っていました。

Ciel
カガミ

レイ!</style> ああ、よかった、本当にレイなんだな!?

Kagami
カガミ

よかった、よかったぁ〜〜〜〜〜〜〜……。 あ〜〜〜、ほっとしたらどっと疲労が……。

Kagami
カガミ

あ、いかん、立ちくらみが……。

Kagami
ココノエ

だらしない姿をさらすな。

Kokonoe
ココノエ

任務ご苦労、レイ。 それから……。

Kokonoe
ココノエ

また会ったな。

Kokonoe
テイガー

積もる話に、山ほどの報告があるだろうが…… まずは体を休めることが先決だろうな。

Tager
テイガー

慣れない状況下に長時間置かれたのだ。 心身共に相当な負荷がかかっているはずだからな。

Tager
シエル

あ、そうです、そうですよね。 急いでメディカルチェックを行いましょう。

Ciel
カガミ

それと、栄養たっぷりの食事と質のいい睡眠をとってくれ。 報告の類は全部あとでまとめて聞く。

Kagami
カガミ

こっちもこっちで、 目茶苦茶にいじり回したフガクの再調整があるしな。

Kagami
カガミ

……ん? どうした?

Kagami

1: シエル、カガミさん
2: 助けてくれてありがとう

1:
2:

カガミ

……なんだよ。助けてくれてありがとうって? そんなの当然だろう。

Kagami
カガミ

……よせよせ、改まって。 第一、当然だろう。

Kagami
シエル

先に助けてくださったのは、レイさんのほうです。 境界に飛び込んだとき、いいえ、もっとずっと前から……。

Ciel
シエル

あなたはいつだって、私を支えて、助けてくれました。 だから、私はあなたを助けに行きました。

Ciel
シエル

あなたともっと一緒にいたいから。

Ciel

終節『ひとたび幕は下り』/ Finale: The Curtain Closes on One Journey

Summary
フガクは再び日常に戻り、艦にラムダを迎え

て次の一手へと動き出した──やがて『蒼』 へと至るまで。物語は、紡がれ続けていく。

1: ふわぁ……よく寝た
2: 勉強中断、休憩しよう

1:
2:

シエル

あ。レイさん。 ちょうどよかったです。

Ciel
シエル

今、声をかけにいこうと、 お部屋に向かっていたところでした。

Ciel
シエル

そろそろ食事の時間ですから、 よろしければ一緒にいかがですかと、思いまして。

Ciel
シエル

ありがとうございます。 では、食堂に向かいましょう。

Ciel
シエル

カガミさんは、今日も司令室で食事にするようです。

Ciel
シエル

タカマガハラシステムの状態を元に戻すのに、 まだもうしばらくかかるみたいです。

Ciel
シエル

ついでに長い間、負荷がかかっていたので、 その辺りのメンテナンスも行うとおっしゃっていました。

Ciel
シエル

大変そうですが……ココノエさんもいらっしゃいますし。 そう遠くないうちに、状態も安定すると思います。

Ciel
シエル

次こそは、レイさんと一緒に行けると、 少し楽しみでもあったのですが……。

Ciel
シエル

しばらくは、フガクでのトレーニングに励みます。

Ciel
シエル

レイさんは、 どのように過ごすか決めていますか?

Ciel
シエル

……あ。

Ciel
ココノエ

おお。お前たちか。

Kokonoe
テイガー

食堂か? 規則正しく食事をとることは、いいことだ。 心身のコンディション維持に効果がある。

Tager
シエル

はい。おふたりもお食事でしたか?

Ciel
ココノエ

いや。私は基本的に皿に乗った食事はとらない。 栄養補給もカロリー摂取もエネルギーバーで十分だ。

Kokonoe
テイガー

……お前たちは、このようにはなるなよ。

Tager
テイガー

かくいう私も、取り立てて食事を必要としない体だ。 補給用のオイルがあるからな。

Tager
ココノエ

こんなところをうろついている理由は、こいつだ。

Kokonoe
シエル

あなたは……?

Ciel
ラムダ

ラムダ。

Lambda
ココノエ

私が直接調整した、次元境界接触用素体、Λ-No.11だ。

Kokonoe
ココノエ

レイが行方不明になったとき、境界に入って フガクとファントムフィールドの中継地点になってもらっていた。

Kokonoe
ココノエ

それを今しがたサルベージしたので、 メンテナンスをしてきたわけだ。

Kokonoe
ラムダ

…………。

Lambda
シエル

そういえば、もうひとり部下がいるというようなお話を されていましたね。それが、ラムダさんだったのですね。

Ciel
シエル

はじめまして。シエル=サルファーと申します。 御剣機関に所属しているスレイプニールです。

Ciel

1: レイです、よろしく
2: ラムダにも助けてもらったんだね

1:
2:

ラムダ

…………よろしく。

Lambda
ラムダ

…………ラムダは命令に従っただけ。

Lambda
ココノエ

愛想のないやつだが、いつもこんな感じだから気にするな。

Kokonoe
ココノエ

これからの任務は、私やテイガーに加えて、 ラムダも協力することになるだろう。

Kokonoe
ココノエ

境界そのものの調査も可能になるはずだ。

Kokonoe
シエル

それは、とても頼もしいです。

Ciel
カガミ

レイ、今いいか?

Kagami
シエル

カガミさん。お疲れ様です。

Ciel
カガミ

なんだ、シエルも一緒だったのか。

Kagami
シエル

はい。 ココノエさんとテイガーさん、それにラムダさんも一緒です。

Ciel
カガミ

勢ぞろいじゃないか。ナイスタイミング、私。

Kagami
テイガー

我々にもなにか用事か?

Tager
ココノエ

ああ。あのことか。

Kokonoe
カガミ

そうだ。急で悪いんだが、ええとそうだな…… レイの部屋に集まってくれないか。

Kagami
カガミ

司令室だとガチャガチャうるさいからな。 ああ、部屋貸してくれ、レイ。

Kagami

1: わかりました
2: なにをするんですか?

1:
2:

カガミ

よろしく。私もすぐ行く。

Kagami
カガミ

あとで説明する。とにかくよろしく。

Kagami
カガミ

それじゃあ、あとでな。

Kagami
カガミ

お、揃ってるな。 よしよし。

Kagami
シエル

はい。……なにか、重大な話ですか?

Ciel
カガミ

うん、まあね。

Kagami
カガミ

ただこれはフガク全体で取り組むというより、 私とココノエによる個人的な企みだ。

Kagami
カガミ

だからこういう場所を使わせてもらった。

Kagami
カガミ

……きっかけは、先日のファントムフィールドに、 ハーンが乗りこんできたことだ。

Kagami
カガミ

彼は、そしてバベルは、具体的な目的を持って活動している。 それはもう疑いようがないだろう。

Kagami
カガミ

ファントムフィールドに関わることも、ツルギについても。 あの異様なマイについても。なにかしらの目的があってのことだ。

Kagami
カガミ

そして彼らの、その目的のための活動は、 徐々に活発になってきている。

Kagami
ココノエ

あのハーンという男が、 観測者であるゼクスを殺害しようとしたこともそうだ。

Kokonoe
ココノエ

これまではどこか実験でも見守るようだったそうだが、 今回は違う。自発的で積極的な、意思ある行動だ。

Kokonoe
カガミ

そこでな、ココノエと相談した結果、 こちらの対応を少し変える必要があると考えた。

Kagami
テイガー

対応を変えるというのは、具体的にどうするつもりなのだ?

Tager
カガミ

ああ。これまで私たちは、バベルの存在を知り、 脅威に感じながらも、その目的がはっきりしないことから……。

Kagami
カガミ

追求と対処を保留し、自分たちの主目的である ファントムフィールドの探索、解放、確保を優先させてきた。

Kagami
カガミ

それは狂った、あるいは歪んだ情報を消去して、 正しくあるべき形に情報を整える作業でもあった。

Kagami
カガミ

そういったファントムフィールド内での我々の活動は、 全てタカマガハラシステムと……。

Kagami
カガミ

レイの観測によって、成り立ってきた。

Kagami
シエル

はい。レイさんの観測力は、 目覚ましく成長していると感じます。

Ciel
カガミ

私もそう思う。 だからこそ、この手が使えるようになったとも言える。

Kagami
カガミ

我々のこれまでの活動に関わる全ての情報は、 タカマガハラシステムに記録され、整頓、管理されている。

Kagami
カガミ

だが、これからはより詳細で主観的な情報を、 タカマガハラシステムとは別に記録し、保持しようと思う。

Kagami
シエル

タカマガハラには記録せず、別の媒体で管理するのですか?

Ciel
カガミ

そうだ。

Kagami
カガミ

もちろん、記録したという事象と情報はシステムに記録されるが、 大事なのは別の場所にも保管場所を設けるという点だ。

Kagami
カガミ

バベルの今後の関与によって、 どんな事態が引き起こされるかまったくもって予想ができない。

Kagami
カガミ

タカマガハラシステムが使えない状況に陥ることも 考慮したほうがいい。

Kagami
カガミ

他にも、予期できない事態に見舞われたとき。 万が一、レイの観測力が失われたとき。

Kagami
カガミ

これまでとこれからの記録を、 タカマガハラに頼らず参照できる環境を作っておきたい。

Kagami
ココノエ

そのために、 レイにはちょっと手伝ってもらう。

Kokonoe
ココノエ

やることは簡単だ。レイのこれまでの記憶を、 全て書き出させてもらう。

Kokonoe
ココノエ

その仕組みは私が構築した。 お前はただ装置をつけて、じっとしているだけでいい。

Kokonoe
ココノエ

身の安全は保障しよう。

Kokonoe
シエル

……本当ですか?

Ciel
テイガー

ココノエよ、その言い方をお前がすると、 かなり信用できない印象になる。

Tager
ココノエ

なんでだ。心外だ。 私の作るものはいつだって、安心安全設計だろうが!

Kokonoe
テイガー

……ノーコメントで頼む。

Tager
シエル

本当に、レイさんに危険はないんですね?

Ciel
カガミ

うん、安心しろ。私が保証する。

Kagami

1: カガミさんが言うのもちょっと怪しい
2: おふたりを信用します

1:
2:

カガミ

ははは、疑心暗鬼はよくない、 もっと純真な心で世の中に接したまえよ、若者。

Kagami
カガミ

おっと。そう真っ直ぐ言われると、ちょっと照れちゃうな。

Kagami
ココノエ

安全だ。記憶障害の類も引き起こさない。

Kokonoe
ココノエ

……もしそうでなかったとしても、 レイには協力してもらいたいところだがな。

Kokonoe
カガミ

協力してくれるか。ありがとう。

Kagami
カガミ

……お前にはいつも、選択しようのないことを 選ばせているな。

Kagami
カガミ

すまない。だが、助かっている。 それは間違いない。

Kagami
カガミ

……話は以上だ。 まあ、まずはゆっくり食事でもしてきてくれ。

Kagami
カガミ

その間にこっちで準備をしておくから。 じゃあな。

Kagami
シエル

……記憶の書き出し……記録の管理。

Ciel
シエル

ココノエさんたちは、 とても大掛かりなことを始めるおつもりのようですね。

Ciel
シエル

少し不安ではありますが、もしあなたに危険が 及ぶようであれば、私が全力で阻止します。

Ciel
シエル

私はレイさんの護衛です。 お任せください。

Ciel
シエル

……では、行きましょう。

Ciel

蒼より出で、蒼に帰す。 生まれ出でた者、消え去った者、忘れられた者。

世界は大いなる目を失い、可能性という混沌の中に揺蕩う。

始まりはやがて終わりへとたどり着き、 終わりはやがて始まりへと至る。

これは紡がれ続ける蒼の軌跡。

――『蒼』へと至るべき物語。