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第1節 プロローグ/
Summary | |
---|---|
観測者がいないファントムフィールドに浸入
したシエルたち。そこで記憶を失ったEsと 出会い、原因を探るため行動を共にする。 |
ラーベ
よしよし、無事に浸入できたようだな。 シエル、レイ。ちゃんと生きてるか? ダイブ |
Raabe |
1: 大丈夫 死ぬかも…… | |
シエル
私も身体的損傷はありません。 |
Ciel |
ラーベ
よし。ひとまず安心というところだな。 |
Raabe |
シエル
大丈夫ですか? 身体的外傷はないようですが……。 |
Ciel |
ラーベ
真面目に心配しなくていいぞ。 見るからに元気じゃないか。 |
Raabe |
シエル
なるほど。 レイさんなりの冗談ということですね。 |
Ciel |
ラーベ
そう言うことだな。 |
Raabe |
シエル
それにしても……。 |
Ciel |
シエル
観測者がいないファントムフィールドは これまでにない初めてのケースですね。 |
Ciel |
ラーベ
ああ。観測者がいないということは おそらく窯もないということだろうからな。 |
Raabe |
ラーベ
なにが起こるのか予想もつかない。注意するんだぞ。 |
Raabe |
シエル
了解しました。 |
Ciel |
シエル
特に変わったところはありませんね。 |
Ciel |
ラーベ
そのようだな。 見たところ安定している気がするが。 |
Raabe |
シエル
はい。 これといった異常は検知できません。 |
Ciel |
ラーベ
……しかし、やはり妙だぞ? |
Raabe |
ラーベ
すでにこのファントムフィールドの観測者は解放している。 |
Raabe |
ラーベ
観測者がいないにもかかわらず ファントムフィールドとして安定しているのはなぜだ? |
Raabe |
シエル
原因は不明です。 やはり、詳細な調査が必要ですね。 |
Ciel |
ラーベ
同感だ。 |
Raabe |
ラーベ
だが、とにかく調査の前に安全な場所を探すぞ。 あの時もこんな感じで話していたら……。 |
Raabe |
1: 浸食されしモノ |
1: |
ラーベ
……ほらな。 |
Raabe |
シエル
周囲に複数の敵性反応を感知しました。 どうやら囲まれたようですね。 |
Ciel |
1: 浸食されしモノ |
1: |
ラーベ
ちっ……熱烈な歓迎に涙が出そうだ。 |
Raabe |
シエル
ラーベさん。泣いている暇はないと思います。 |
Ciel |
シエル
敵の攻撃性反応が上昇していますが、どうしますか? |
Ciel |
ラーベ
どうにもこうにも片付けるしかないだろう。 |
Raabe |
シエル
了解しました。 戦闘行動に入り……。 |
Ciel |
???
……戦闘行動開始。 |
??? |
シエル
あれは……。 |
Ciel |
ラーベ
……エス? いや、しかしなぜエスがここに……。 |
Raabe |
1: 浸食されしモノ |
1: |
Es
対象の機能停止、消滅を確認。戦闘行動終了。 |
Es |
シエル
エスさん、ありがとうございます。 助かりました。 |
Ciel |
Es
……? エス? それは私に言っているのでしょうか? |
Es |
ラーベ
んん? |
Raabe |
ラーベ
なにを言ってるんだ? お前はエスだろう? |
Raabe |
Es
…………私の名称はエスと言うのですか? |
Es |
ラーベ
むむ? どう見ても……エスだろ。……だよね? |
Raabe |
Es
どう見れば……エスなのでしょう。 |
Es |
ラーベ
……よし、話が噛み合わない。レイ、パスだ。 |
Raabe |
1: えええ!? シ、シエル、パス…… | |
シエル
お任せください。レイさん。 エスさん、アナタはエスさんですか? |
Ciel |
ラーベ
うおぉぃぃぃ! |
Raabe |
Es
……申し訳ありませんが、私には記憶がないようです。 |
Es |
1: すごい! 噛み合った! | |
ラーベ
……もの凄く釈然としないが、記憶がないだと? |
Raabe |
Es
はい。 |
Es |
シエル
本当に記憶喪失でしょうか? |
Ciel |
ラーベ
……さて。判断するには早計な気もするが。 |
Raabe |
ラーベ
少なくともエス本人がそれを嘘だと 認識している可能性は低そうだ。 |
Raabe |
Es
あなたがたは、私のことをよく知っているのですか? |
Es |
ラーベ
そこまで深い関係ではないよ。 |
Raabe |
ラーベ
だがまあ、顔見知りという言葉で済ませるよりは もう少し込み入った関係だろうな。 |
Raabe |
Es
そうでしたか。 |
Es |
Es
申し訳ありません。 なにも覚えておらず……。 |
Es |
シエル
本当に記憶がないみたいですね。 |
Ciel |
ラーベ
ああ。もしかしたら、エスの記憶がないのは 観測者を解放したのが原因かもしれないな。 |
Raabe |
シエル
なるほど。 |
Ciel |
ラーベ
おそらくだが……観測者が消えたことで、 このファントムフィールドが元の『形』に戻ろうとしている。 |
Raabe |
ラーベ
その影響で、存在定義…… 簡単に言えば記憶などが不安定な状態になっているんだろう。 |
Raabe |
ラーベ
もしかしたら、エスの記憶以外にも、存在する人や物 時間さえ不安定になっている可能性がある。 |
Raabe |
ラーベ
しかしだ……これはこれで興味深い事象でもあるな……。 |
Raabe |
シエル
つまり影響の規模を調べる必要がある……と、いうことですね。 ですが、私たちに対する影響はないのでしょうか? |
Ciel |
ラーベ
ま、我々にはレイとシステムの観測があるし、 とりあえずは大丈夫だろ。 |
Raabe |
ラーベ
それに、あれこれ悩んだり考えたりするよりも ポジティブに考えていくほうが建設的だ。 |
Raabe |
1: ラ、ラーベさん前向きすぎる せ、責任重大だ…… | |
ラーベ
ところでエス、なぜ私たちを助けたんだ? |
Raabe |
Es
感じたからです。 |
Es |
ラーベ
感じた? |
Raabe |
Es
はい。 私の大切な人たちの面影を感じました。 |
Es |
Es
なので、守るべき対象だと判断しました。 |
Es |
1: 大切な人たち? 胡散臭いかも…… | |
Es
はい。そう感じました。 |
Es |
シエル
私たちはエスさんにとって そんなに重要な人物だったのでしょうか? |
Ciel |
Es
わかりません。 |
Es |
ラーベ
守るべきものか……。 アバウトな回答だな。 |
Raabe |
Es
今はそう説明するしかありません。 |
Es |
ラーベ
ふむ……。 |
Raabe |
Es
えぇと……ボールさんは、私の大切な人たちのことを 知っているんですか? |
Es |
ラーベ
おいこら、誰がボールだ。 知らない人に勝手に名前をつけるんじゃない。 |
Raabe |
ラーベ
お前たちもなにか言ってやれ。 この愛くるしい形状をボール扱いしたんだ。 |
Raabe |
シエル
私はシエル=サルファーと言います。 こちらはレイさんです。 |
Ciel |
ラーベ
自己紹介より先に私をフォローしてもらいたかったよ。 |
Raabe |
ラーベ
まあだが確かに……私たちのことを知らないなら 先に自己紹介をしておくべきだったな。 |
Raabe |
ラーベ
私の名前はラーベだ。 ラーベちゃんもしくはラーベ様と呼んでもらって構わないぞ。 |
Raabe |
Es
了解。ラーベ様。 |
Es |
ラーベ
まあその、なんだ……悪かった。 |
Raabe |
Es
? |
Es |
ラーベ
気にしないでくれ。話を続けようじゃないか。 |
Raabe |
Es
それで、私の大切な人についてなにか知っているのですか? ラーベ様。 |
Es |
ラーベ
いや、ラーベ様と呼ばなくていいから。 |
Raabe |
Es
了解です。ラーベ。 |
Es |
ラーベ
距離感の落差がすごいね!? |
Raabe |
ラーベ
……すまないが、エスの知人に関しての情報は なにも持ち合わせてないよ。 |
Raabe |
シエル
こちらもここに到着したばかりで、 情報収集が必要だと考えています。 |
Ciel |
Es
そうですか……。 |
Es |
ラーベ
ところでエスはなぜここにいるんだ? |
Raabe |
Es
わかりません。 気が付いた時にはこの街にいました。 |
Es |
ラーベ
気付いた時? それより前の記憶はないのか? |
Raabe |
Es
はい。なにも。 ただ大切な人たちがいたということしか……。 |
Es |
シエル
このファントムフィールドでの記憶がない ということでしょうか……。 |
Ciel |
ラーベ
だろうな。 記憶を失った境目としては、それが一番しっくりくる。 |
Raabe |
ラーベ
そもそも、今の状況が珍しいパターンなんだし。 |
Raabe |
シエル
なるほど……確かにそうですね。 |
Ciel |
Es
? なんのお話をされているのですか? |
Es |
ラーベ
気にしないでくれ、こっちの話だ。 |
Raabe |
Es
……そうですか。 |
Es |
ラーベ
……こういう時、エスの素直さは便利だな。 |
Raabe |
シエル
エスさんはこれからどうするんですか? |
Ciel |
Es
大切な人たちのことを探します。 |
Es |
ラーベ
記憶がないのにか? |
Raabe |
Es
はい。そうすれば、なにかを思い出せる気がしますから。 なので、あなたがたに同行します。 |
Es |
ラーベ
そうか。 ……ん? |
Raabe |
ラーベ
いやいやなにを言ってるんだ!? 文脈的に繋がってないだろう! |
Raabe |
Es
しかし、私はあなたがたと 一緒にいたほうがいい気がします。 |
Es |
シエル
3人寄れば文殊の知恵と言いますからね。 |
Ciel |
Es
はい。この場合3人と1玉になりますが。 |
Es |
ラーベ
玉と数えるな、せめて1機にしてくれ。 |
Raabe |
シエル
あらためて、これからよろしくお願いします。 |
Ciel |
Es
はい。こちらこそよろしくお願いします。 |
Es |
ラーベ
待て待て待て待て。 勝手に話を進めるな。 |
Raabe |
Es
なにが問題なのですか。説明を求めます。 |
Es |
ラーベ
だからな、エスがここにいるということは…… いや、待て……ふむ。 |
Raabe |
シエル
どうかしましたか? |
Ciel |
ラーベ
……いや。それより、シエル。 エスの同行を許可してやろう。 |
Raabe |
シエル
ラーベさんがそう言うなら、反対する理由はありません。 |
Ciel |
ラーベ
ここは我々にとっても未知の世界だ。 戦力が増えて損はないさ。 |
Raabe |
Es
ありがとうございます。 それでは、これからよろしくお願いします。 |
Es |
シエル
こちらこそよろしくお願いします。 |
Ciel |
ラーベ
まったく。同じようなキャラが2人いると面倒だな……。 |
Raabe |
Es
同じキャラとはどういう意味でしょうか? 説明を求めます。 |
Es |
ラーベ
だからそういうところだ!! |
Raabe |
ラーベ
とりあえず、この場から離れるぞ! |
Raabe |
シエル
そうですね。 また敵に囲まれたら大変です。 |
Ciel |
第2節 道中/
Summary | |
---|---|
僅かに何かを思い出しかけたEs。記憶の欠
片を集めることでEsの記憶が戻り、世界も 正常化する筈だとラーベは言う。 |
シエル
……周囲に敵性反応はありません。 この辺りも特に変わった様子はないようです。 |
Ciel |
Es
こちらも特に異常は感知していません。 |
Es |
ラーベ
そうか……まったく、理解に苦しむ場所だな。 観測者がいないにも関わらず、世界として成立しているなんて。 |
Raabe |
シエル
ラーベさん、エスさんが観測者という可能性はありませんか? |
Ciel |
ラーベ
新たに観測者となった、というわけか。 確かにそう考えるほうがシンプルかもしれないな。 |
Raabe |
ラーベ
だが、可能性は低いと考えていい。 |
Raabe |
シエル
……? なぜでしょうか? |
Ciel |
ラーベ
システムによると、このファントムフィールド内で 窯の『可能性』は感知できていない。 |
Raabe |
ラーベ
仮にエスが観測者だとしたら、 力の源である窯も一緒に存在していなければ妙だ。 |
Raabe |
シエル
なるほど。 |
Ciel |
Es
…………。 |
Es |
シエル
エスさん? どうしたんですか? |
Ciel |
Es
気になることがあります。 |
Es |
ラーベ
なんだ、言ってみろ。 |
Raabe |
Es
いえ。この周辺にはバナナの皮が散乱しているようです。 |
Es |
1: ……バナナだね しかもたくさん | |
シエル
はい、バナナですね。 近隣住民による不法投棄でしょうか。 |
Ciel |
Es
急にお腹が空いてしまった可能性も捨てきれません。 |
Es |
シエル
そうですね。 |
Ciel |
シエル
バナナは栄養価が高く、 体内への吸収が良い食物だと聞いています。 |
Ciel |
ラーベ
……ツッコむのも面倒くさいが。 確かにバナナの皮が散乱しているな。 |
Raabe |
ラーベ
誰がどういう意図でこんなことをしたのか見当もつかないが。 |
Raabe |
シエル
いわゆるフリというやつですね。 |
Ciel |
ラーベ
バカ言え。こんなベッタベタなことをするやつがいるか。 |
Raabe |
Es
では、どういった目的なのですか? |
Es |
ラーベ
ん……? まあ、特別気にすることでもないんじゃないか? |
Raabe |
シエル
しかし、とある文献では バナナの皮で滑る危険性があると……。 |
Ciel |
ラーベ
創作世界の話だ、それは。 現実で転んだりするバカなんて……。 |
Raabe |
シエル
レイさん!? |
Ciel |
ラーベ
お前はドジというか、期待を裏切らないな……。 |
Raabe |
シエル
レイさん! しっかりしてください! |
Ciel |
Es
大きな怪我はないようですね。 |
Es |
1: なんか、ここ暖かくて柔らかい…… 湯たんぽは最高だなあ | |
Es
……! |
Es |
ラーベ
おーい、エス? レイに続いてエスまでおかしくなったのか? |
Raabe |
シエル
エスさん! しっかりしてください! |
Ciel |
Es
…………。 |
Es |
Es
深夜に大声を出すのは 近隣住民に対しての著しい迷惑行為です。 |
Es |
シエル
すみません。 |
Ciel |
ラーベ
そんなに大声を出してはいないだろう。 それに今は昼間だ。 |
Raabe |
Es
……そうでした。 |
Es |
シエル
放心状態だったようですが、大丈夫ですか? |
Ciel |
Es
はい。 |
Es |
Es
言葉で表現するのは難しいですが、 見たことがあるような景色が頭に浮かんできました。 |
Es |
ラーベ
懐かしいということか? |
Raabe |
Es
懐かしいとは? |
Es |
ラーベ
こんなこともあったなー、って思い出すことだ。 |
Raabe |
Es
古い記憶領域のことですね。それに近いと思います。 |
Es |
シエル
エスさんの思い出、でしょうか。 |
Ciel |
ラーベ
おそらくな……それで? |
Raabe |
Es
なんとなくですが……。 |
Es |
Es
どんな状況で、どんな人がいて……というような、 そういった細かい部分まではわかりません。 |
Es |
Es
ただ、そこにあるものは 確かにあたたかいものだったと思います。 |
Es |
ラーベ
ふーむ……。 思い出したきっかけはなんだ? |
Raabe |
Es
レイが触れたときです。 |
Es |
ラーベ
ふむ……触れたときか。 |
Raabe |
Es
はい。 記憶の中では肉体的に軽微な接触が生じたようです |
Es |
ラーベ
ほぉ〜? よし、レイ。エスの体を触ってみろ。 |
Raabe |
1: どこを触ったら……? 触っていいの!? | |
ラーベ
お前が好きなところを触るといいさ。 |
Raabe |
ラーベ
なあに、心配するな。 どこを触ろうと見なかったことにしてやる。 |
Raabe |
シエル
レイさん? なぜそんなに顔が赤いのでしょうか? |
Ciel |
ラーベ
男女問わずの本能だろ……多分。 ま、あんまり深く触れてやるな。 |
Raabe |
Es
どうぞ、遠慮なく。 |
Es |
シエル
どうですか? |
Ciel |
Es
特に変化はありません。 |
Es |
ラーベ
ふーむ、もしかして……。 |
Raabe |
Es
なにかわかったのですか? |
Es |
ラーベ
確証はないが、このファントムフィールドは エスの記憶が生み出したものなのかもしれんな。 |
Raabe |
Es
私の記憶、ですか。 |
Es |
ラーベ
ああ。ファントムフィールドが解放されたと同時に エスの記憶が欠片となって、世界に散らばったんだ。 |
Raabe |
ラーベ
さっき少しだけ記憶が戻ったのは おそらく記憶の欠片に触れたからだろう。 |
Raabe |
ラーベ
そして、一度触れたものを通して別の記憶を 思い出すことはない。 |
Raabe |
シエル
では、この世界を正常な状態へ戻すには エスさんの記憶を取り戻さなければならない。 |
Ciel |
シエル
ということですか? |
Ciel |
ラーベ
確証はないがな。 しかし、さっきの様子を見る限りではその可能性が高い。 |
Raabe |
ラーベ
集めていけば、エスにも世界にも変化があるだろうな。 |
Raabe |
Es
…………。 |
Es |
ラーベ
どうした? 他にも思い出したことがあるのか? |
Raabe |
Es
いえ。特には。 |
Es |
ラーベ
ふむ……。 |
Raabe |
ラーベ
ではそろそろ次に行くぞ。私の仮説が正しいなら まずはエスの記憶を取り戻すことが最優先だ。 |
Raabe |
シエル
了解しました。 |
Ciel |
ラーベ
まぁクイズに答えて記憶を取り戻さにゃならん…… なんてことは、無いだろ。 |
Raabe |
ラーベ
……無いよね。 |
Raabe |
第3節 道中/
Summary | |
---|---|
記憶の欠片を探すシエルたち。『学園』とい
う言葉に反応を示したEsは、かつての自分 がそこで誰かを見守っていたと語る。 |
シエル
エスさん、なにか思い出せましたか? |
Ciel |
Es
いえ。特には。 |
Es |
シエル
そうですか……。 他に記憶の欠片がありそうな場所はどこでしょうか? |
Ciel |
ラーベ
エスに関係のある場所だとは思うんだがなぁ。 我々はエスの過去を詳しく知っているわけじゃない。 |
Raabe |
ラーベ
どうしたところで、調査をするにも限界があるか。 |
Raabe |
シエル
魔道協会に関する場所などはどうでしょう? |
Ciel |
ラーベ
うーん、どうだろうな。 イシャナがエスと関係しているとは思えないが……。 |
Raabe |
ラーベ
まあ、名前ぐらいは知っているかもしれないがな。 |
Raabe |
Es
イシャナ? |
Es |
シエル
魔道都市イシャナ。 世界で最も安全と言われていた場所です。 |
Ciel |
Es
聞いたことがありません。 |
Es |
ラーベ
一般人ならまず聞かない名前だからな。 |
Raabe |
Es
どこにあるのですか? |
Es |
ラーベ
海のど真ん中だな。 そう簡単に行ける場所じゃあない。 |
Raabe |
Es
なるほど。 |
Es |
ラーベ
だが、割とちゃんとした街だ。 会社もあれば、学園もある。 |
Raabe |
Es
学園……。 |
Es |
Es
…………。 |
Es |
シエル
エスさん? |
Ciel |
Es
申し訳ありません。 また、懐かしい感じがしたので。 |
Es |
Es
……私は学園に入り、誰かを見守っていた気がします。 |
Es |
ラーベ
え、なにそれ。 |
Raabe |
Es
わかりません。 ですが、任務と言える程度に大切なものだったかと。 |
Es |
ラーベ
ストーカー……なんてことはないよな。 |
Raabe |
Es
ストーカー、とは? |
Es |
ラーベ
あ、いや、気にしなくてもいいぞ。 それより他のことは思い出せないのか? |
Raabe |
Es
はい。 |
Es |
シエル
学園というワードに反応したということは エスさんは学生だったんでしょうか。 |
Ciel |
ラーベ
どうだろうな。 |
Raabe |
ラーベ
だがまあ、もしエスが学生だったとしたら さぞかしモテただろうなぁ。 |
Raabe |
Es
モテる、とは? |
Es |
シエル
異性から絶大な人気を得ることをモテるというようですね。 |
Ciel |
Es
なるほど。 |
Es |
シエル
モテる条件は、女子なら可愛い 男子ならかっこいいが必要になるとか。 |
Ciel |
Es
レイ、私は可愛いですか? |
Es |
1: 可愛い 可愛くない | |
Es
ありがとうございます。どうやら私はモテるようです。 |
Es |
シエル
聞いた話によると……。 |
Ciel |
シエル
あんたに言われても嬉しくないんだから! |
Ciel |
シエル
と言えば、さらに効果的という噂です。 |
Ciel |
Es
モテる、というのは難しいですね。 |
Es |
シエル
こういうのをツンデレと言うらしいです。 |
Ciel |
Es
ツンデレ、とは? |
Es |
シエル
ラーベさんのような人のことを言います。 |
Ciel |
Es
そうですか。どうやら私はモテないようです。 |
Es |
シエル
いえ。おそらくレイさんは ツンデレというものだと思われます。 |
Ciel |
Es
ツンデレとは? |
Es |
シエル
ラーベさんとレイさんのような人のことを 言います。 |
Ciel |
ラーベ
おい誰がツンデレだ。 |
Raabe |
Es
ラーベはツンデレ。了解。記憶しました。 |
Es |
ラーベ
余計なことを覚えるな! |
Raabe |
ラーベ
まったく……素直なのはいいが なんでもかんでもすぐに信じるんじゃない。 |
Raabe |
ラーベ
だいたい、シエルもシエルだぞ。 どこでそんな言葉を覚えてくるんだ!? |
Raabe |
シエル
フガク内に置いてある雑誌です。 |
Ciel |
ラーベ
艦内の風紀を再考する必要があるな……。 |
Raabe |
ラーベ
まあいい、これ以上ツッコんでも疲れるだけだ。 おいエス、学園の場所や友人関係とか思い出せないか? |
Raabe |
Es
今のところは特に。 |
Es |
ラーベ
そうか。それなら仕方がない。 またなにか思い出したら言ってくれ。 |
Raabe |
Es
了解。 |
Es |
第4節 道中/中ボス出現/
Summary | |
---|---|
不可解な事件が起きるという地域を調査。
そこで発見したのは、不安定な世界の影響を 受けて理性を失ったリッパーの姿だった。 |
ラーベ
エス、ここら辺だったな? |
Raabe |
Es
はい。この地域周辺で 不可解な事件が起きているという情報を入手しました。 |
Es |
シエル
遺体には鋭利な刃物で切り刻まれた後がある とのことでしたね。 |
Ciel |
Es
はい。 |
Es |
ラーベ
シエル、念のために索敵を頼む。 |
Raabe |
シエル
了解しました。索敵開始。 ……周辺に生体反応なし。 |
Ciel |
ラーベ
反応なし、か。 |
Raabe |
ラーベ
エスの記憶に関係すると思って来てみたが、空振りだったか。 |
Raabe |
シエル
付近を調べてみますか? |
Ciel |
ラーベ
ああ。なにがきっかけで思い出すかわからないからな。 |
Raabe |
シエル
エスさん、どうしたんですか? |
Ciel |
Es
鑑識結界を構築し、現場に残留する魔素の詳細情報を……。 |
Es |
ラーベ
ほぉ〜。 この世界のエスはそんな陰陽師みたいなことができるのか。 |
Raabe |
Es
いえ。できません。 そのようなことができる人を知っていたような気がしただけです。 |
Es |
ラーベ
……ふむ。それはもしかして記憶の手がかり なんじゃないのか? |
Raabe |
Es
分かりません。 あくまでも、そういう感覚がしただけなので。 |
Es |
シエル
記憶の残滓、というものでしょうか。 |
Ciel |
ラーベ
その可能性は高いな。 この件、やはりエスの記憶に関係がありそうだ。 |
Raabe |
Es
…………。 |
Es |
シエル
エスさん? |
Ciel |
Es
……生体反応を感知。 |
Es |
ラーベ
おい! エス!? ちっ……あいつを追うぞ! |
Raabe |
シエル
了解しました。 |
Ciel |
ラーベ
エス! 急に走り出すな! |
Raabe |
Es
申し訳ありません。 |
Es |
Es
ですが、怪しい動きをする生体反応を感知しました。 おそらく、この付近に何者かが潜伏しています。 |
Es |
シエル
……生体反応を感知しました。 |
Ciel |
シエル
こちらに迫ってきています! |
Ciel |
ラーベ
リッパーだと!? |
Raabe |
1: 浸食されしモノ |
1: |
シエル
様子がおかしいですね。 姿も声も本来のものではないような……。 |
Ciel |
ラーベ
世界が不安定だからな……。 存在そのモノがおかしくなっているのかもしれない。 |
Raabe |
1: 浸食されしモノ |
1: |
Es
蒼……? |
Es |
1: 浸食されしモノ |
1: |
シエル
敵の攻撃性反応が上昇しています! |
Ciel |
ラーベ
やれやれ、見逃してくれそうにはないな。 シエル、奴を排除しろ! |
Raabe |
シエル
了解しました。戦闘態勢に移行します。 |
Ciel |
Es
対象を潜伏していた生体反応と認識。 敵性生物と断定。戦闘行動開始。 |
Es |
第4節 道中/中ボス出現/
Summary | |
---|---|
リッパーの姿を模す『なにか』を退けたEs
はまた少し記憶を取り戻し、自らの名前と所 属を思い出す。 |
1: 浸食されしモノ |
1: |
シエル
……対象の機能停止を確認。戦闘行動を終了します。 |
Ciel |
ラーベ
ふむ……見た目はリッパーだったが……。 姿を模した『なにか』……か。 |
Raabe |
ラーベ
おい、みんな無事か? |
Raabe |
シエル
私は問題ありません。 |
Ciel |
Es
…………。 |
Es |
ラーベ
エスは大丈夫なのか? |
Raabe |
Es
私は……御剣機関所属……個体認識の呼称はEs…… エンブリオスト……。 |
Es |
ラーベ
なに? おい、エス。 今なんて言った。 |
Raabe |
Es
なにをですか? |
Es |
ラーベ
とぼけるな。 御剣機関所属って言っただろう。 |
Raabe |
Es
……よくわかりません。 |
Es |
ラーベ
嘘を、いや……そうか。ならいい。 |
Raabe |
シエル
ラーベさん、どうしたんですか? |
Ciel |
ラーベ
いや、さっきな……。 エスが御剣機関と口にした。 |
Raabe |
シエル
エスさんがですか? ですが、構成員にエスさんの名前はないはずです。 |
Ciel |
ラーベ
それは我々の世界での話だろう? |
Raabe |
ラーベ
数多ある可能性が分岐した世界。 エスの世界にも御剣機関が存在するのかもしれん。 |
Raabe |
シエル
なるほど。エスさんはそこに所属しているということですね。 |
Ciel |
ラーベ
それに……まぁいい。 |
Raabe |
ラーベ
エス、他には戻った記憶とかないのか? |
Raabe |
Es
いえ、特には。 |
Es |
ラーベ
そうか。些細なことでもいい。 思い出したらすぐに教えるんだ。 |
Raabe |
Es
了解。 |
Es |
シエル
レイさん、顔色が悪いみたいですが 大丈夫ですか? |
Ciel |
1: そ……そうかな? 大丈夫だよ…… | |
Es
先ほどの戦闘で怪我をしたようです。 小さな傷ですが、手当てはしておいたほうがいいかと。 |
Es |
ラーベ
まったく……お前は貴重な存在なんだから、気をつけてくれ。 |
Raabe |
シエル
すみませんラーベさん。私の不手際です。 |
Ciel |
Es
負傷箇所を処置しますので、そこに座ってください。 |
Es |
Es
……レイは緊急時に 想定外の行動を起こす性質があります。 |
Es |
Es
任務遂行上非常に危険ですので 安全な場所で待機をお願いします。 |
Es |
ラーベ
おいシエル、なにをぼんやりしているんだ。 お前の立場が危ういぞ。 |
Raabe |
シエル
え? 私の立場が危うい、とはどういうことでしょうか。 |
Ciel |
ラーベ
それはお前……。 レイの護衛はシエルの役目だろう? |
Raabe |
シエル
レイさんの護衛方法について 再検討をしていたらつい……。 |
Ciel |
シエル
なるほど。これがキャラ被りというもの……なのですね。 |
Ciel |
ラーベ
いや、そうじゃない。 |
Raabe |
シエル
エスさん、どうやら私とキャラが被っているようです。 なので、レイさんの処置は私がします。 |
Ciel |
Es
キャラ被り、とはどういう意味でしょうか? 必要な処置を施しているだけなのですが。 |
Es |
1: 待って待って 落ち着こう | |
ラーベ
はぁ……こういう面倒な天然キャラとしては 被ってるんだがな。 |
Raabe |
Es
天然? 状況不明。説明を求めます。 |
Es |
シエル
面倒とはどういうことでしょうか? 説明をお願いします。 |
Ciel |
ラーベ
やっぱりめんどくさいな! ほら、手当てが終わったなら行くぞ! |
Raabe |
第5節 道中/Esの記憶5/
Summary | |
---|---|
記憶の欠片探しが難航する一行の前に現れた
怪しい自称カレー屋。Esはプリンを食べた ことで幸せについての記憶が蘇る。 |
シエル
エスさんの記憶を取り戻すのはなかなか難しいですね。 |
Ciel |
ラーベ
そう簡単にいかないのはわかっていたが こうも手がかりが少ないと考え物だな。 |
Raabe |
ラーベ
エス、場所や物以外で記憶に残ってるものはないのか? |
Raabe |
Es
わかりません。 それより、レイが空腹を訴えています。 |
Es |
1: あはは…… ごめんなさい…… | |
ラーベ
のんきなやつだな……。 しかし……ここに食うところなんてあるのか?? |
Raabe |
シエル
ですが、このままではレイさんが 空腹で倒れてしまうかもしれません。 |
Ciel |
Es
空腹状態が続くと、疲労が蓄積し、 心身の健康状態に問題が発生しやすくなります。 |
Es |
ラーベ
そう言っても仕方ないだろ、この状況なんだし。 おいレイ我慢しろ。 |
Raabe |
Es
理解できません。 |
Es |
シエル
パワハラですね。 |
Ciel |
ラーベ
待て待て待て待て待てぇ! ちょっと我慢しろと言っただけだろ! |
Raabe |
1: ラーベさんは大丈夫なんですか? | |
ラーベ
大丈夫ではない!! |
Raabe |
ラーベ
いつもお前たちが美味しいものを食べてるところを 私だけ指をくわえて見てないといけないんだからな!! |
Raabe |
Es
ラーベ。指は食べ物ではありません。 |
Es |
ラーベ
うるさい! 例えだ、例え! |
Raabe |
シエル
ラーベさん、落ち着いてください。 血圧が上がってしまいます。 |
Ciel |
Es
ラーベは人体ではありません。 よって血圧の心配は不要かと。 |
Es |
ラーベ
お前たち……私になにか恨みでもあるのか!? |
Raabe |
Es
いえ。特には。 |
Es |
シエル
私もエスさんと同意見です。 |
Ciel |
ラーベ
一応、私はお前たちの上司なんだが……。 はっ……まさか、これが噂の逆パワハラか!? |
Raabe |
Es
ラーベは私の上司なのですか? |
Es |
シエル
いえ、違います。ラーベさんは私の上司となります。 |
Ciel |
Es
なるほど。では、上司とはなんですか? |
Es |
シエル
どのようなかたを『上司』と定義するのかわかりませんが、 |
Ciel |
シエル
私の上司であるカガ… ラーベさんは以前、指示に従わない部下は洗脳すると……。 |
Ciel |
ラーベ
ごめん、ほんとごめん。なんか涙、出てきた……。 |
Raabe |
Es
? ラーベは涙を流すことができるのですか? |
Es |
ラーベ
ぐっ……ああ言えばこう言う……! |
Raabe |
ラーベ
くそっ、こうなったら意地でも 消化器官と味覚認識デバイスをつけるしか……。 |
Raabe |
シエル
それよりもラーベさんには、索敵機能の強化を進言します。 ところで、エスさんは食べたいものなどありますか? |
Ciel |
ラーベ
くそう、正論で話をぶった切りやがったぞ、この子! |
Raabe |
Es
特に要望はありません。 |
Es |
シエル
レイさんはどうでしょうか? |
Ciel |
1: 甘いものが食べたい 辛いものが食べたい | |
カレーを売り歩く人
おっとキミたち! おいしいおいしいカリィ&ライスはいかがかね? |
Curry Hawker |
ラーベ
……なんか変なやつが出てきたな。 |
Raabe |
シエル
はい、突然でした。やはり索敵機能の強化を……。 |
Ciel |
ラーベ
その話はもう良いから。今はこの変なやつだ。 |
Raabe |
カレーを売り歩く人
変なやつなんてヒドいなぁ。 |
Curry Hawker |
カレーを売り歩く人
私はカレー道を極めるため、日々厳しい修行に励んでいる 真面目で心優しい一般人さ。 |
Curry Hawker |
ラーベ
変なお面をつけて、カレーを売り歩く人間のどこが 真面目で心優しい一般人なんだ? |
Raabe |
カレーを売り歩く人
あ、いや、ほらね? 最近なんか物騒じゃん? 流行り病がどうのこうのってさ。 |
Curry Hawker |
カレーを売り歩く人
だから私のカリィ&ライスで元気づけてやろうってわけよ。 感謝するんだね、キミたち! |
Curry Hawker |
シエル
どういうことでしょうか……? |
Ciel |
Es
わかりません。 |
Es |
ラーベ
頭が痛くなってきたな……。 |
Raabe |
カレーを売り歩く人
そんな顔してたら幸せが逃げちゃうぞー? ほら、スマイルスマイル! |
Curry Hawker |
シエル
えっと……。 |
Ciel |
カレーを売り歩く人
そう……私がここまでしても キミたちに笑顔は戻らないんだね……。 |
Curry Hawker |
ラーベ
お前はなにを言っているんだ? |
Raabe |
カレーを売り歩く人
そう! でも! そんなときこそカリィ&ライス! ライス、イントゥ、ザ、カリィ! あー、たまんないね! |
Curry Hawker |
シエル
この世界の治安維持組織に連絡したほうがいいかと。 |
Ciel |
カレーを売り歩く人
ちょいちょい警察はマズいでしょ〜? 私、カレー売ってるだけだし? |
Curry Hawker |
Es
そういう問題ではないかと。 |
Es |
カレーを売り歩く人
そうだ! 今ならなんと! アレもついてきちゃうよ! |
Curry Hawker |
Es
アレ、とは? |
Es |
カレーを売り歩く人
っかんないかなぁ〜。アレだよ、アレ。 |
Curry Hawker |
シエル
抽象的でなにを指しているのか不明です。 |
Ciel |
カレーを売り歩く人
フッフッフ……あくまでも白を切るってことかい。 いいねぇ! 気に入ったよ! |
Curry Hawker |
カレーを売り歩く人
キミたちの心意気に負けた! 特に金髪のゆるふわ天然少女くん! キミにはね! |
Curry Hawker |
Es
ありがとうございます。 |
Es |
カレーを売り歩く人
だ・か・ら! 今日のところはサービスにしてやろうじゃないか! |
Curry Hawker |
カレーを売り歩く人
私のカリィ&ライスも、アレも持っていけ泥棒ッ! |
Curry Hawker |
シエル
……行ってしまいましたね。 |
Ciel |
Es
不思議なかたでした。 |
Es |
ラーベ
……で。アレってなんだ? |
Raabe |
シエル
いろいろ入っているようです。 |
Ciel |
シエル
……これは興味深いですね。 フレッシュ野菜のトロピカル激辛サラダ。 |
Ciel |
ラーベ
アレって……これか? いやいや、あいつカレー屋って言ってなかった? |
Raabe |
シエル
細かいことを気にしたら負けというやつでしょう。 |
Ciel |
Es
食べてみます。 |
Es |
ラーベ
……どうだ? |
Raabe |
Es
…………。 |
Es |
シエル
エスさんの生体反応、徐々に小さくなっています!! |
Ciel |
ラーベ
死にかけているじゃないか! おいエス! しっかりしろ! |
Raabe |
Es
はっ……!? |
Es |
シエル
生体反応確認。脈拍数正常。 エスさんが復活しました。良かったです……。 |
Ciel |
Es
この食べ物は非常に危険です。 今すぐ隔離施設に収容するべきです。 |
Es |
ラーベ
そんなに不味かったのか……。 |
Raabe |
1: 口直しになりそうなものもあるよ 全部食べるの? | |
Es
それはなんですか? |
Es |
Es
生命の維持を優先します。 よってこれを食べることはできません。 |
Es |
シエル
私もそう思います。 ですので、こちらをどうぞ。 |
Ciel |
Es
これはなんですか? |
Es |
ラーベ
茶碗蒸し? いや、カレーは……? |
Raabe |
Es
食べてみます。 |
Es |
Es
…………。 |
Es |
シエル
どうですか? |
Ciel |
Es
これは求めていた味ではありません。 作り直したほうがいいかと。 |
Es |
ラーベ
急にグルメだな。 |
Raabe |
Es
……この食べ物は、食べた人に偽りの世界をもたらします。 よって隔離施設に収容するべきです。 |
Es |
ラーベ
そういう危険なことを言うのはやめなさい。 シエル、他にはなにか入ってないのか? |
Raabe |
シエル
残っているのはプリンだと思います。 |
Ciel |
ラーベ
カレー、入ってないよねそれ。 予想してたけど。 |
Raabe |
Es
プリンとは、どのようなものでしょうか? |
Es |
シエル
プリンは、卵や牛乳を使用したお菓子です。 本来はプディングと呼ばれ、そもそもの由来は……。 |
Ciel |
ラーベ
……と、説明しても分かるまい。 もっと簡単に特徴を教えてやれ。 |
Raabe |
シエル
なるほど、そうですね。失礼しました。 |
Ciel |
シエル
……私が調べてみたところ 甘くて、ふわふわーで、食べると幸せになるもの、です。 |
Ciel |
Es
幸せ? とは。 |
Es |
シエル
レイさんが 自室で二度寝をしているときの気持ちと同じかと。 |
Ciel |
1: わかっていただけますか なぜ知っている!? | |
Es
もっとわかりやすくお願いします。 |
Es |
Es
あとレイ、 多分大事な所なので黙っていてください。 |
Es |
ラーベ
おまえ容赦ないな……。 |
Raabe |
ラーベ
幸せとは、『同じ時間が続いてほしい』って思うことだ。 ほら、食べてみろ。 |
Raabe |
Es
了解。 |
Es |
Es
!? |
Es |
Es
プリンは……幸せです。 |
Es |
ラーベ
エスはプリンが好きなのか? |
Raabe |
Es
はい。プリン、好きです。 大切な人にプリンをいただいた記憶があります。 |
Es |
ラーベ
……そうか。そいつを思い出せるか? |
Raabe |
Es
……いえ。おかわりをください。 もっと食べれば思い出せるかもしれません。 |
Es |
シエル
こちらにありますよ。 |
Ciel |
Es
ありがとうございます。 ……はむ。 |
Es |
ラーベ
美味いか? |
Raabe |
Es
ははふへふはふはでふ。(甘くてフワフワです。) |
Es |
ラーベ
食べてから話せ。 なにを言っているのかさっぱりわからん。 |
Raabe |
Es
私はこれが幸せだとプリンに教えてもらいました。 |
Es |
Es
おかわりは……まだありますか? |
Es |
シエル
すみません。さっきので最後です。 |
Ciel |
ラーベ
プリンぐらい後で買えばいいだろう。 レイが買ってくれるって言ってるぞ。 |
Raabe |
Es
!? 宜しいのですか? |
Es |
1: ええっ!? 勝手に決めないで! | |
ラーベ
そんなに驚くことはないだろ? しょせんプリンだし、そんな高いものじゃない。 |
Raabe |
Es
それでは、プリンを1年分ほど要求します。 |
Es |
ラーベ
……1年分って365個なのかな? |
Raabe |
Es
いえ、毎日5個は必要なので、 レイ期待しています。 |
Es |
Es
期待を裏切る行為は信用を著しく低下させます。 |
Es |
ラーベ
ほら、こう言ってるぞ。 それに見てみろ、エスの期待する目を。 |
Raabe |
シエル
あまり変化はないようですが。 |
Ciel |
Es
いえ。私のなかではレイに対する期待値が 30パーセントほど増加しています。 |
Es |
ラーベ
ま、記憶が全て取り戻せたら レイにねだるといいさ。 |
Raabe |
Es
わかりました。 こうしてはいられません。すぐに出発しましょう。 |
Es |
第6節 道中/ボス出現/
Summary | |
---|---|
蘇った思い出を手掛かりに『大切な人』との
出会いの場を捜索するEsたち。そこで一行 は、Esに似た何者かの襲撃を受ける。 |
ラーベ
エス。本当にここにお前の記憶を 取り戻せるようなものがあるのか? |
Raabe |
Es
おそらくは。 |
Es |
ラーベ
おそらくって…… 理由はないのか、理由は。 |
Raabe |
Es
…………。 |
Es |
Es
ここは、私と大切な人が出会った場所、のような気がします。 |
Es |
ラーベ
なるほどな。出会いの場所か。 ロマンチックの欠片もない場所だが。 |
Raabe |
Es
? |
Es |
シエル
大切な人と出会うには相応しくない場所だと ラーベさんは言いたいようです。 |
Ciel |
Es
相応しい、相応しくないがあるのでしょうか? |
Es |
ラーベ
そりゃあなあ。 |
Raabe |
ラーベ
異性だろうが同性だろうが こんな殺伐とした場所で出会いたくはないだろ。 |
Raabe |
Es
わかりません。 |
Es |
シエル
私もレイさんと出会った場所はそうでした。 なので、安心していいかと。 |
Ciel |
ラーベ
そういうことではなくてな……。 |
Raabe |
ラーベ
しかしまあ、ロマンチックかどうかを抜きにしても 奇妙なところだな、ここは。 |
Raabe |
Es
ここは無人団地となっています。 |
Es |
Es
原因は不明ですが 一夜にしてこのような状態になったとのことです。 |
Es |
ラーベ
……また、広範囲だな。 |
Raabe |
Es
はい。 面積が大きいため、手分けして探すほうが効率的かと。 |
Es |
ラーベ
それなら私とエス、シエルとレイで組むか。 |
Raabe |
Es
問題ありません。 |
Es |
ラーベ
何かあったら、すぐに連絡するように。 |
Raabe |
シエル
了解しました。 |
Ciel |
シエル
エスさんに記憶が戻ったら、どうなるんでしょうか? |
Ciel |
1: どういうこと? | |
シエル
ラーベさんもお話していた通り、 |
Ciel |
シエル
エスさんの記憶が戻ったら 世界があるべき姿に戻る可能性が高いです。 |
Ciel |
シエル
ですが……。 |
Ciel |
シエル
せっかくお知り合いになれたので お別れするのは寂しいと言いますか……。 |
Ciel |
1: なるほどね たしかにね | |
シエル
はい。 エスさんとは、お友達になれそうな気がします。 |
Ciel |
シエル
レイさんも同じ考えでしたか。 |
Ciel |
シエル
しかし、この世界をそのままにすることはできません。 |
Ciel |
シエル
世界のためにも、エスさんのためにも 絶対に記憶を見つけ出さなければなりませんね。 |
Ciel |
シエル
……レイさん。止まってください。 私たちを追跡する生体反応があります。 |
Ciel |
シエル
半径数十メートル以内に入らず ぴったりと後をついてきているようです。 |
Ciel |
1: エスたち? 敵? | |
シエル
わかりません。 |
Ciel |
シエル
ですが、こうやって距離を取るということは 私たちに気付かれたくないということだと思います。 |
Ciel |
シエル
……! |
Ciel |
シエル
レイさん! 先ほどの生体反応が急速に接近しています! |
Ciel |
シエル
エスさん? |
Ciel |
闇Es
…………。 |
Dark Es |
シエル
どうしたんでしょうか…… 呼びかけに反応がありません。 |
Ciel |
シエル
!? |
Ciel |
シエル
エスさんの攻撃性反応が急激に上昇しています! |
Ciel |
シエル
くっ……! 対象を敵性体と認識します! |
Ciel |
シエル
レイさん! 離れていてください! 戦闘行動を開始します! |
Ciel |
シエル
うぅ…… レイさん、逃げてください……! |
Ciel |
???
……敵性生物を認識。戦闘行動開始。 |
??? |
Es
大丈夫ですか? |
Es |
シエル
エスさん……? |
Ciel |
ラーベ
話は後だ。場所を変えるぞ。 |
Raabe |
闇Es
…………。 |
Dark Es |
Es
周囲に敵性反応なし。戦闘行動を終了。警戒態勢を継続。 |
Es |
ラーベ
どうにか振り切れたみたいだな。 |
Raabe |
Es
はい。しばらくは問題ないかと。 |
Es |
ラーベ
やれやれ……好戦的すぎだな、あいつは……。 |
Raabe |
Es
私と同等の戦闘能力を持っていると思います。 |
Es |
ラーベ
そりゃまた面倒なやつに目を付けられたな……。 |
Raabe |
シエル
あの、ラーベさん。 あれはエスさんなんですか? |
Ciel |
ラーベ
ん? まあ、エスであってエスじゃないような存在だな。 |
Raabe |
シエル
というと……? |
Ciel |
ラーベ
私も最初はエスにしか見えなかったんだが…… 一戦交えたときに、思い出したんだ。 |
Raabe |
ラーベ
シエルはリッパーと戦闘になったときのことを思い出せるか? |
Raabe |
シエル
はい。 |
Ciel |
ラーベ
あのときのリッパーと同じだ。 闇エスも同じような感じだっただろう? |
Raabe |
ラーベ
おそらく、あれは この不安定になった世界が作り出した『なにか』だ。 |
Raabe |
ラーベ
だから、あいつも『なにか』だし、 あえて言うなら『不安定な存在のエス』というのが私の見解だ。 |
Raabe |
シエル
なるほど。 |
Ciel |
Es
私も概ね同じ意見です。 |
Es |
ラーベ
ん? エスは他に感じるものがあったのか? |
Raabe |
Es
はい。あれは私が失ったものを具現化した存在だと思います。 |
Es |
ラーベ
ほー……面白いことを言うな。 |
Raabe |
Es
あれを倒さなければ、記憶が戻らないような気がします。 |
Es |
ラーベ
なぜそう思うんだ? |
Raabe |
Es
わかりません。 |
Es |
シエル
どうしますか? |
Ciel |
ラーベ
ふむ…… まあ、ここはエスの言う通りにしてみるか。 |
Raabe |
ラーベ
エスが何か感じているということは、 ほぼ間違いなくこの世界に関係しているだろうからな。 |
Raabe |
シエル
了解しました。 |
Ciel |
ラーベ
エス。迎え撃つぞ。 |
Raabe |
Es
了解。 |
Es |
シエル
作戦はありますか? |
Ciel |
ラーベ
エスは真正面から突撃。シエルは裏をかくように動け。 |
Raabe |
シエル
それだけでいいんですか? |
Ciel |
ラーベ
ああ。あいつはエスの攻撃パターンをトレース…… というかおそらく同じだ。 |
Raabe |
ラーベ
しかし、この世界のエスは不安定だろう? 記憶もないしな。 |
Raabe |
ラーベ
だからシエルの行動は読めないんじゃないか って考えている。 |
Raabe |
シエル
なるほど。 |
Ciel |
ラーベ
まあ、単純なパワーだけならあちらのほうが上っぽいがな。 |
Raabe |
シエル
脳筋スタイルというやつですね。 |
Ciel |
ラーベ
否定はしない。 |
Raabe |
Es
……敵性反応を確認。 |
Es |
ラーベ
お出ましだぞ。 |
Raabe |
ラーベ
急だなおい! できれば私たちはお前と戦いたくないんだがな! |
Raabe |
闇Es
…………。 |
Dark Es |
シエル
沈黙ですね。 |
Ciel |
Es
意思疎通をする気がない以上、交渉は不可能かと。 武力衝突は避けられません。 |
Es |
闇Es
…………。 |
Dark Es |
シエル
……動かなくなってしまいました。 |
Ciel |
ラーベ
敵意は向けられたままだがな。 |
Raabe |
Es
……! |
Es |
シエル
攻撃性の急速な上昇を確認しました! レイさん、気を付けてください! |
Ciel |
Es
……来ます。 |
Es |
第6節 ボス戦後/Esの記憶6/
Summary | |
---|---|
闇Esとの戦闘が続く中、Esはその正体が
自身のなくした記憶であると気づく。失った ものを取り戻すため、彼女は剣を振るう。 |
Es
ハアッ! |
Es |
シエル
はっ! えいっ! |
Ciel |
シエル
くっ……! |
Ciel |
ラーベ
ちっ。やっぱり一筋縄ではいかないか……。 |
Raabe |
闇Es
…………。 |
Dark Es |
シエル
このエスさん……強いです……。 |
Ciel |
シエル
……っ! |
Ciel |
Es
回避してください。 |
Es |
ラーベ
これは想定していた能力をはるかに上回っていたな。 シエルたちの攻撃がまったく通らない。 |
Raabe |
ラーベ
それどころか押されてるな……。 これは参った……どうするか……。 |
Raabe |
シエル
……! |
Ciel |
シエル
レイさん! 危ない!! |
Ciel |
シエル
ぐっ……! |
Ciel |
ラーベ
シエル! まずいな……立て直すぞ! |
Raabe |
1: シエルは!? 逃げるの!? | |
ラーベ
シエルは大丈夫だ、安心しろ。 |
Raabe |
ラーベ
闇エスは攻撃対象からシエルを外したみたいだ。 あれ以上狙われることはないよ。それに……。 |
Raabe |
闇Es
……。 |
Dark Es |
ラーベ
闇エスの狙いはこっちみたいだからな。 悪いが、シエルのことは後回しだ。とりあえず、逃げるぞ! |
Raabe |
Es
了解。 |
Es |
闇Es
……。 |
Dark Es |
ラーベ
くぅっ……何処かに隠れて体勢を立て直したいのだけど……。 あいつ……転んでくれたりしないかなぁ……。 |
Raabe |
Es
それは無理なお願いかと。 |
Es |
ラーベ
言ってみただけだよ! ああもう、どうするか考え…… |
Raabe |
ラーベ
ぎゅふっ!? |
Raabe |
Es
ラーベ!? |
Es |
闇Es
……。 |
Dark Es |
Es
!? ……気を抜くとは迂闊でした。 |
Es |
Es
対象の攻撃性上昇を確認。戦闘行動を開始。 レイは安全な場所まで退避してください。 |
Es |
Es
なるほど。 やっぱり私の戦闘データを持っているのですね。 |
Es |
Es
…………。 |
Es |
Es
これは私の記憶……。 |
Es |
Es
やはり、あなたは私が失ったものを 具現化した存在なのですね。 |
Es |
Es
大切な人たちのことを思い出すためにも あなたを倒さなければならないということですか。 |
Es |
闇Es
…………。 |
Dark Es |
Es
あなたの相手は私です。 |
Es |
Es
……っ!? レイ! |
Es |
Es
なぜ……私ではなくレイに攻撃を……? |
Es |
闇Es
…………。 |
Dark Es |
Es
違う……私にレイを『守らせた』……!? |
Es |
闇Es
…………。 |
Dark Es |
Es
グッ……! |
Es |
Es
はぁ……はぁ……。 |
Es |
闇Es
…………。 |
Dark Es |
Es
身体の損傷個所……多数確認。 戦闘の継続は困難……。 |
Es |
1: エスを助けないと……! | |
Es
レイ……? |
Es |
Es
私には……護りたいものがある。 |
Es |
闇Es
…………。 |
Dark Es |
Es
……あなたは。 |
Es |
Es
いえ……これが『思い』なのですね。 なら、私の大切な人たちへの思いを『返して』もらいます。 |
Es |
第7節 エピローグ/
Summary | |
---|---|
ついに闇Esを打ち破るEs。記憶のすべて
は戻らなかったが、彼女はこの戦いを通して 『大切な人』を見つけられたのだった。 |
闇Es
…………。 |
Dark Es |
Es
…………。 |
Es |
Es
対象の機能停止、消滅を確認。戦闘行動終了。 |
Es |
Es
レイ。大丈夫ですか? |
Es |
1: こっちは大丈夫 エス……泣いてる……? | |
Es
了解。ラーベたちと合流しましょう。 |
Es |
Es
泣く、ですか。 |
Es |
Es
感情の起伏や目の物理的刺激からなる反応。 私が、そのような……。 |
Es |
Es
それよりラーベたちと合流しましょう。 |
Es |
ラーベ
どうやらあの黒いのを倒すことができたみたいだな。 |
Raabe |
Es
はい。 |
Es |
シエル
お力になれず、申し訳ありません…… レイさんにもご迷惑をおかけしました。 |
Ciel |
ラーベ
気にするな……と言いたいが、今回は反省だな。 すこし迂闊だったぞ。 |
Raabe |
Es
ラーベも人のことは言えません。 |
Es |
ラーベ
私は戦闘用ではないんだよ。 |
Raabe |
ラーベ
……それでエス。 |
Raabe |
Es
はい……。 |
Es |
ラーベ
思い出せたか? |
Raabe |
Es
……世界のことや、御剣機関のことは……思い出しました。 |
Es |
ラーベ
やっぱり御剣機関に所属していたのか。 |
Raabe |
Es
はい。御剣機関所属、個体認識の呼称はEsです。 |
Es |
ラーベ
ん? 『ことは』? おい、大切な人たちというのは……。 |
Raabe |
Es
大切な人たちのことは……。 |
Es |
シエル
思い出せませんでしたか? |
Ciel |
Es
すべて……ではないかもしれません。 でも、頭の中のモヤは少し晴れた気がします。 |
Es |
ラーベ
そうか……。 |
Raabe |
Es
申し訳ありません。上手く表現ができません。 |
Es |
ラーベ
いいよ。 でも、必要最低限の記憶は戻ったみたいでよかったじゃないか。 |
Raabe |
Es
はい。 |
Es |
Es
それから、新しい発見もありました。 |
Es |
ラーベ
へぇ? なんだそれは。 |
Raabe |
Es
大切な人を見つけました。 |
Es |
シエル
? 思い出したのですか? |
Ciel |
Es
違います。 |
Es |
ラーベ
ははーん、なるほどな。 なかなか嬉しいことを言ってくれるじゃないか。 |
Raabe |
シエル
どういうことでしょう? |
Ciel |
Es
レイ、シエル、あなたたちは私の大切な人です。 共に行動していて感じました。 |
Es |
シエル
なるほど、そういうことでしたか。 ありがとうございます。 |
Ciel |
ラーベ
おいまて、なぜ私が入ってない? |
Raabe |
Es
ラーベは人ではありません、ですから大切なボールです。 |
Es |
ラーベ
……すまん、その呼びかたやめて。 一応、これでも人だから、恐らく。 |
Raabe |
Es
わかりました。ではラーベも大切な人です。 |
Es |
1: 笑顔になった……? 今、表情が…… | |
ラーベ
ん? エスの表情がどうかしたのか? |
Raabe |
シエル
特に変わらないかと。 |
Ciel |
ラーベ
ああ。笑顔だったな。 |
Raabe |
シエル
エスさんの笑顔、初めて見ました。 |
Ciel |
Es
そうでしょうか? |
Es |
シエル
エスさんはこれからどうするのですか? |
Ciel |
Es
大切な人たちを探します。 |
Es |
Es
きっとあの人はどこかにいるはずです。 なので、私は大切な人を探します。 |
Es |
シエル
それは……可能なのでしょうか? |
Ciel |
ラーベ
可能だよ……そこに『可能性』があるなら。 |
Raabe |
Es
そう……ですか。 |
Es |
Es
……レイたちはどうするのですか? |
Es |
ラーベ
なんだ? 私たちとお別れするのが辛くなったのか? |
Raabe |
Es
はい。 |
Es |
シエル
エスさん、私もです。 |
Ciel |
ラーベ
……可愛いな。 まぁ、お前たちの気持ちはよくわかったが……。 |
Raabe |
Es
どうなのですか? |
Es |
ラーベ
うん。正直にいって私も連れて帰りたい。 なんだかんだいって、お前可愛いし。 |
Raabe |
ラーベ
でもね、エス。 お前は『この世界』が再構成するために必要な存在なんだ。 |
Raabe |
ラーベ
未来へ続くためのね。 |
Raabe |
Es
そうですか、私は必要とされているのですね。 |
Es |
ラーベ
うん。だけど、私たちは外部から介入した存在だからね、 この世界にいるべき存在ではない。だから当然消える。 |
Raabe |
ラーベ
ああ、消えると言っても本当にいなくなるわけじゃないぞ。 在るべき場所へ戻るだけだ。 |
Raabe |
Es
不思議なお話です。 |
Es |
シエル
不思議……私たちにとっては当たり前でしたが 確かに不思議なのかもしれませんね。 |
Ciel |
ラーベ
さて、これ以上名残惜しくなる前に、そろそろ戻るとしますか。 |
Raabe |
シエル
了解しました。 ……アクセスを確認。これより帰還します。 |
Ciel |
Es
……レイ。 私は大切な人たちに会うことができるのでしょうか。 |
Es |
1: できるよ! 信じよう!! | |
Es
ありがとうございます。 |
Es |
シエル
そうですね、レイさんの言う通り、 信じる思いは大切だと思います。 |
Ciel |
Es
そうですね、私もこの思いを信じます。 |
Es |
Es
さようなら……私の、大切な人たち。 |
Es |