Story:BBDW Event MEMORIES RESTORATION

From BlazBlue Wiki

第1節 プロローグ/

Summary
観測者がいないファントムフィールドに浸入

したシエルたち。そこで記憶を失ったEsと 出会い、原因を探るため行動を共にする。

ラーベ

よしよし、無事に浸入できたようだな。 シエル、レイ。ちゃんと生きてるか? ダイブ

Raabe

1: 大丈夫 死ぬかも……

シエル

私も身体的損傷はありません。

Ciel
ラーベ

よし。ひとまず安心というところだな。

Raabe
シエル

大丈夫ですか? 身体的外傷はないようですが……。

Ciel
ラーベ

真面目に心配しなくていいぞ。 見るからに元気じゃないか。

Raabe
シエル

なるほど。 レイさんなりの冗談ということですね。

Ciel
ラーベ

そう言うことだな。

Raabe
シエル

それにしても……。

Ciel
シエル

観測者がいないファントムフィールドは これまでにない初めてのケースですね。

Ciel
ラーベ

ああ。観測者がいないということは おそらく窯もないということだろうからな。

Raabe
ラーベ

なにが起こるのか予想もつかない。注意するんだぞ。

Raabe
シエル

了解しました。

Ciel
シエル

特に変わったところはありませんね。

Ciel
ラーベ

そのようだな。 見たところ安定している気がするが。

Raabe
シエル

はい。 これといった異常は検知できません。

Ciel
ラーベ

……しかし、やはり妙だぞ?

Raabe
ラーベ

すでにこのファントムフィールドの観測者は解放している。

Raabe
ラーベ

観測者がいないにもかかわらず ファントムフィールドとして安定しているのはなぜだ?

Raabe
シエル

原因は不明です。 やはり、詳細な調査が必要ですね。

Ciel
ラーベ

同感だ。

Raabe
ラーベ

だが、とにかく調査の前に安全な場所を探すぞ。 あの時もこんな感じで話していたら……。

Raabe

1: 浸食されしモノ
2: グオオオォォォッ!!

1:
2:

ラーベ

……ほらな。

Raabe
シエル

周囲に複数の敵性反応を感知しました。 どうやら囲まれたようですね。

Ciel

1: 浸食されしモノ
2: グオアァァァッ!!

1:
2:

ラーベ

ちっ……熱烈な歓迎に涙が出そうだ。

Raabe
シエル

ラーベさん。泣いている暇はないと思います。

Ciel
シエル

敵の攻撃性反応が上昇していますが、どうしますか?

Ciel
ラーベ

どうにもこうにも片付けるしかないだろう。

Raabe
シエル

了解しました。 戦闘行動に入り……。

Ciel
???

……戦闘行動開始。

???
シエル

あれは……。

Ciel
ラーベ

……エス? いや、しかしなぜエスがここに……。

Raabe

1: 浸食されしモノ
2: グオアァァァァッ……!

1:
2:

Es

対象の機能停止、消滅を確認。戦闘行動終了。

Es
シエル

エスさん、ありがとうございます。 助かりました。

Ciel
Es

……? エス? それは私に言っているのでしょうか?

Es
ラーベ

んん?

Raabe
ラーベ

なにを言ってるんだ? お前はエスだろう?

Raabe
Es

…………私の名称はエスと言うのですか?

Es
ラーベ

むむ? どう見ても……エスだろ。……だよね?

Raabe
Es

どう見れば……エスなのでしょう。

Es
ラーベ

……よし、話が噛み合わない。レイ、パスだ。

Raabe

1: えええ!? シ、シエル、パス……

シエル

お任せください。レイさん。 エスさん、アナタはエスさんですか?

Ciel
ラーベ

うおぉぃぃぃ!

Raabe
Es

……申し訳ありませんが、私には記憶がないようです。

Es

1: すごい! 噛み合った!

ラーベ

……もの凄く釈然としないが、記憶がないだと?

Raabe
Es

はい。

Es
シエル

本当に記憶喪失でしょうか?

Ciel
ラーベ

……さて。判断するには早計な気もするが。

Raabe
ラーベ

少なくともエス本人がそれを嘘だと 認識している可能性は低そうだ。

Raabe
Es

あなたがたは、私のことをよく知っているのですか?

Es
ラーベ

そこまで深い関係ではないよ。

Raabe
ラーベ

だがまあ、顔見知りという言葉で済ませるよりは もう少し込み入った関係だろうな。

Raabe
Es

そうでしたか。

Es
Es

申し訳ありません。 なにも覚えておらず……。

Es
シエル

本当に記憶がないみたいですね。

Ciel
ラーベ

ああ。もしかしたら、エスの記憶がないのは 観測者を解放したのが原因かもしれないな。

Raabe
シエル

なるほど。

Ciel
ラーベ

おそらくだが……観測者が消えたことで、 このファントムフィールドが元の『形』に戻ろうとしている。

Raabe
ラーベ

その影響で、存在定義…… 簡単に言えば記憶などが不安定な状態になっているんだろう。

Raabe
ラーベ

もしかしたら、エスの記憶以外にも、存在する人や物 時間さえ不安定になっている可能性がある。

Raabe
ラーベ

しかしだ……これはこれで興味深い事象でもあるな……。

Raabe
シエル

つまり影響の規模を調べる必要がある……と、いうことですね。 ですが、私たちに対する影響はないのでしょうか?

Ciel
ラーベ

ま、我々にはレイとシステムの観測があるし、 とりあえずは大丈夫だろ。

Raabe
ラーベ

それに、あれこれ悩んだり考えたりするよりも ポジティブに考えていくほうが建設的だ。

Raabe

1: ラ、ラーベさん前向きすぎる せ、責任重大だ……

ラーベ

ところでエス、なぜ私たちを助けたんだ?

Raabe
Es

感じたからです。

Es
ラーベ

感じた?

Raabe
Es

はい。 私の大切な人たちの面影を感じました。

Es
Es

なので、守るべき対象だと判断しました。

Es

1: 大切な人たち? 胡散臭いかも……

Es

はい。そう感じました。

Es
シエル

私たちはエスさんにとって そんなに重要な人物だったのでしょうか?

Ciel
Es

わかりません。

Es
ラーベ

守るべきものか……。 アバウトな回答だな。

Raabe
Es

今はそう説明するしかありません。

Es
ラーベ

ふむ……。

Raabe
Es

えぇと……ボールさんは、私の大切な人たちのことを 知っているんですか?

Es
ラーベ

おいこら、誰がボールだ。 知らない人に勝手に名前をつけるんじゃない。

Raabe
ラーベ

お前たちもなにか言ってやれ。 この愛くるしい形状をボール扱いしたんだ。

Raabe
シエル

私はシエル=サルファーと言います。 こちらはレイさんです。

Ciel
ラーベ

自己紹介より先に私をフォローしてもらいたかったよ。

Raabe
ラーベ

まあだが確かに……私たちのことを知らないなら 先に自己紹介をしておくべきだったな。

Raabe
ラーベ

私の名前はラーベだ。 ラーベちゃんもしくはラーベ様と呼んでもらって構わないぞ。

Raabe
Es

了解。ラーベ様。

Es
ラーベ

まあその、なんだ……悪かった。

Raabe
Es

Es
ラーベ

気にしないでくれ。話を続けようじゃないか。

Raabe
Es

それで、私の大切な人についてなにか知っているのですか? ラーベ様。

Es
ラーベ

いや、ラーベ様と呼ばなくていいから。

Raabe
Es

了解です。ラーベ。

Es
ラーベ

距離感の落差がすごいね!?

Raabe
ラーベ

……すまないが、エスの知人に関しての情報は なにも持ち合わせてないよ。

Raabe
シエル

こちらもここに到着したばかりで、 情報収集が必要だと考えています。

Ciel
Es

そうですか……。

Es
ラーベ

ところでエスはなぜここにいるんだ?

Raabe
Es

わかりません。 気が付いた時にはこの街にいました。

Es
ラーベ

気付いた時? それより前の記憶はないのか?

Raabe
Es

はい。なにも。 ただ大切な人たちがいたということしか……。

Es
シエル

このファントムフィールドでの記憶がない ということでしょうか……。

Ciel
ラーベ

だろうな。 記憶を失った境目としては、それが一番しっくりくる。

Raabe
ラーベ

そもそも、今の状況が珍しいパターンなんだし。

Raabe
シエル

なるほど……確かにそうですね。

Ciel
Es

? なんのお話をされているのですか?

Es
ラーベ

気にしないでくれ、こっちの話だ。

Raabe
Es

……そうですか。

Es
ラーベ

……こういう時、エスの素直さは便利だな。

Raabe
シエル

エスさんはこれからどうするんですか?

Ciel
Es

大切な人たちのことを探します。

Es
ラーベ

記憶がないのにか?

Raabe
Es

はい。そうすれば、なにかを思い出せる気がしますから。 なので、あなたがたに同行します。

Es
ラーベ

そうか。 ……ん?

Raabe
ラーベ

いやいやなにを言ってるんだ!? 文脈的に繋がってないだろう!

Raabe
Es

しかし、私はあなたがたと 一緒にいたほうがいい気がします。

Es
シエル

3人寄れば文殊の知恵と言いますからね。

Ciel
Es

はい。この場合3人と1玉になりますが。

Es
ラーベ

玉と数えるな、せめて1機にしてくれ。

Raabe
シエル

あらためて、これからよろしくお願いします。

Ciel
Es

はい。こちらこそよろしくお願いします。

Es
ラーベ

待て待て待て待て。 勝手に話を進めるな。

Raabe
Es

なにが問題なのですか。説明を求めます。

Es
ラーベ

だからな、エスがここにいるということは…… いや、待て……ふむ。

Raabe
シエル

どうかしましたか?

Ciel
ラーベ

……いや。それより、シエル。 エスの同行を許可してやろう。

Raabe
シエル

ラーベさんがそう言うなら、反対する理由はありません。

Ciel
ラーベ

ここは我々にとっても未知の世界だ。 戦力が増えて損はないさ。

Raabe
Es

ありがとうございます。 それでは、これからよろしくお願いします。

Es
シエル

こちらこそよろしくお願いします。

Ciel
ラーベ

まったく。同じようなキャラが2人いると面倒だな……。

Raabe
Es

同じキャラとはどういう意味でしょうか? 説明を求めます。

Es
ラーベ

だからそういうところだ!!

Raabe
ラーベ

とりあえず、この場から離れるぞ!

Raabe
シエル

そうですね。 また敵に囲まれたら大変です。

Ciel

第2節 道中/

Summary
僅かに何かを思い出しかけたEs。記憶の欠

片を集めることでEsの記憶が戻り、世界も 正常化する筈だとラーベは言う。

シエル

……周囲に敵性反応はありません。 この辺りも特に変わった様子はないようです。

Ciel
Es

こちらも特に異常は感知していません。

Es
ラーベ

そうか……まったく、理解に苦しむ場所だな。 観測者がいないにも関わらず、世界として成立しているなんて。

Raabe
シエル

ラーベさん、エスさんが観測者という可能性はありませんか?

Ciel
ラーベ

新たに観測者となった、というわけか。 確かにそう考えるほうがシンプルかもしれないな。

Raabe
ラーベ

だが、可能性は低いと考えていい。

Raabe
シエル

……? なぜでしょうか?

Ciel
ラーベ

システムによると、このファントムフィールド内で 窯の『可能性』は感知できていない。

Raabe
ラーベ

仮にエスが観測者だとしたら、 力の源である窯も一緒に存在していなければ妙だ。

Raabe
シエル

なるほど。

Ciel
Es

…………。

Es
シエル

エスさん? どうしたんですか?

Ciel
Es

気になることがあります。

Es
ラーベ

なんだ、言ってみろ。

Raabe
Es

いえ。この周辺にはバナナの皮が散乱しているようです。

Es

1: ……バナナだね しかもたくさん

シエル

はい、バナナですね。 近隣住民による不法投棄でしょうか。

Ciel
Es

急にお腹が空いてしまった可能性も捨てきれません。

Es
シエル

そうですね。

Ciel
シエル

バナナは栄養価が高く、 体内への吸収が良い食物だと聞いています。

Ciel
ラーベ

……ツッコむのも面倒くさいが。 確かにバナナの皮が散乱しているな。

Raabe
ラーベ

誰がどういう意図でこんなことをしたのか見当もつかないが。

Raabe
シエル

いわゆるフリというやつですね。

Ciel
ラーベ

バカ言え。こんなベッタベタなことをするやつがいるか。

Raabe
Es

では、どういった目的なのですか?

Es
ラーベ

ん……? まあ、特別気にすることでもないんじゃないか?

Raabe
シエル

しかし、とある文献では バナナの皮で滑る危険性があると……。

Ciel
ラーベ

創作世界の話だ、それは。 現実で転んだりするバカなんて……。

Raabe
シエル

レイさん!?

Ciel
ラーベ

お前はドジというか、期待を裏切らないな……。

Raabe
シエル

レイさん! しっかりしてください!

Ciel
Es

大きな怪我はないようですね。

Es

1: なんか、ここ暖かくて柔らかい…… 湯たんぽは最高だなあ

Es

……!

Es
ラーベ

おーい、エス? レイに続いてエスまでおかしくなったのか?

Raabe
シエル

エスさん! しっかりしてください!

Ciel
Es

…………。

Es
Es

深夜に大声を出すのは 近隣住民に対しての著しい迷惑行為です。

Es
シエル

すみません。

Ciel
ラーベ

そんなに大声を出してはいないだろう。 それに今は昼間だ。

Raabe
Es

……そうでした。

Es
シエル

放心状態だったようですが、大丈夫ですか?

Ciel
Es

はい。

Es
Es

言葉で表現するのは難しいですが、 見たことがあるような景色が頭に浮かんできました。

Es
ラーベ

懐かしいということか?

Raabe
Es

懐かしいとは?

Es
ラーベ

こんなこともあったなー、って思い出すことだ。

Raabe
Es

古い記憶領域のことですね。それに近いと思います。

Es
シエル

エスさんの思い出、でしょうか。

Ciel
ラーベ

おそらくな……それで?

Raabe
Es

なんとなくですが……。

Es
Es

どんな状況で、どんな人がいて……というような、 そういった細かい部分まではわかりません。

Es
Es

ただ、そこにあるものは 確かにあたたかいものだったと思います。

Es
ラーベ

ふーむ……。 思い出したきっかけはなんだ?

Raabe
Es

レイが触れたときです。

Es
ラーベ

ふむ……触れたときか。

Raabe
Es

はい。 記憶の中では肉体的に軽微な接触が生じたようです

Es
ラーベ

ほぉ〜? よし、レイ。エスの体を触ってみろ。

Raabe

1: どこを触ったら……? 触っていいの!?

ラーベ

お前が好きなところを触るといいさ。

Raabe
ラーベ

なあに、心配するな。 どこを触ろうと見なかったことにしてやる。

Raabe
シエル

レイさん? なぜそんなに顔が赤いのでしょうか?

Ciel
ラーベ

男女問わずの本能だろ……多分。 ま、あんまり深く触れてやるな。

Raabe
Es

どうぞ、遠慮なく。

Es
シエル

どうですか?

Ciel
Es

特に変化はありません。

Es
ラーベ

ふーむ、もしかして……。

Raabe
Es

なにかわかったのですか?

Es
ラーベ

確証はないが、このファントムフィールドは エスの記憶が生み出したものなのかもしれんな。

Raabe
Es

私の記憶、ですか。

Es
ラーベ

ああ。ファントムフィールドが解放されたと同時に エスの記憶が欠片となって、世界に散らばったんだ。

Raabe
ラーベ

さっき少しだけ記憶が戻ったのは おそらく記憶の欠片に触れたからだろう。

Raabe
ラーベ

そして、一度触れたものを通して別の記憶を 思い出すことはない。

Raabe
シエル

では、この世界を正常な状態へ戻すには エスさんの記憶を取り戻さなければならない。

Ciel
シエル

ということですか?

Ciel
ラーベ

確証はないがな。 しかし、さっきの様子を見る限りではその可能性が高い。

Raabe
ラーベ

集めていけば、エスにも世界にも変化があるだろうな。

Raabe
Es

…………。

Es
ラーベ

どうした? 他にも思い出したことがあるのか?

Raabe
Es

いえ。特には。

Es
ラーベ

ふむ……。

Raabe
ラーベ

ではそろそろ次に行くぞ。私の仮説が正しいなら まずはエスの記憶を取り戻すことが最優先だ。

Raabe
シエル

了解しました。

Ciel
ラーベ

まぁクイズに答えて記憶を取り戻さにゃならん…… なんてことは、無いだろ。

Raabe
ラーベ

……無いよね。

Raabe

第3節 道中/

Summary
記憶の欠片を探すシエルたち。『学園』とい

う言葉に反応を示したEsは、かつての自分 がそこで誰かを見守っていたと語る。

シエル

エスさん、なにか思い出せましたか?

Ciel
Es

いえ。特には。

Es
シエル

そうですか……。 他に記憶の欠片がありそうな場所はどこでしょうか?

Ciel
ラーベ

エスに関係のある場所だとは思うんだがなぁ。 我々はエスの過去を詳しく知っているわけじゃない。

Raabe
ラーベ

どうしたところで、調査をするにも限界があるか。

Raabe
シエル

魔道協会に関する場所などはどうでしょう?

Ciel
ラーベ

うーん、どうだろうな。 イシャナがエスと関係しているとは思えないが……。

Raabe
ラーベ

まあ、名前ぐらいは知っているかもしれないがな。

Raabe
Es

イシャナ?

Es
シエル

魔道都市イシャナ。 世界で最も安全と言われていた場所です。

Ciel
Es

聞いたことがありません。

Es
ラーベ

一般人ならまず聞かない名前だからな。

Raabe
Es

どこにあるのですか?

Es
ラーベ

海のど真ん中だな。 そう簡単に行ける場所じゃあない。

Raabe
Es

なるほど。

Es
ラーベ

だが、割とちゃんとした街だ。 会社もあれば、学園もある。

Raabe
Es

学園……。

Es
Es

…………。

Es
シエル

エスさん?

Ciel
Es

申し訳ありません。 また、懐かしい感じがしたので。

Es
Es

……私は学園に入り、誰かを見守っていた気がします。

Es
ラーベ

え、なにそれ。

Raabe
Es

わかりません。 ですが、任務と言える程度に大切なものだったかと。

Es
ラーベ

ストーカー……なんてことはないよな。

Raabe
Es

ストーカー、とは?

Es
ラーベ

あ、いや、気にしなくてもいいぞ。 それより他のことは思い出せないのか?

Raabe
Es

はい。

Es
シエル

学園というワードに反応したということは エスさんは学生だったんでしょうか。

Ciel
ラーベ

どうだろうな。

Raabe
ラーベ

だがまあ、もしエスが学生だったとしたら さぞかしモテただろうなぁ。

Raabe
Es

モテる、とは?

Es
シエル

異性から絶大な人気を得ることをモテるというようですね。

Ciel
Es

なるほど。

Es
シエル

モテる条件は、女子なら可愛い 男子ならかっこいいが必要になるとか。

Ciel
Es

レイ、私は可愛いですか?

Es

1: 可愛い 可愛くない

Es

ありがとうございます。どうやら私はモテるようです。

Es
シエル

聞いた話によると……。

Ciel
シエル

あんたに言われても嬉しくないんだから!

Ciel
シエル

と言えば、さらに効果的という噂です。

Ciel
Es

モテる、というのは難しいですね。

Es
シエル

こういうのをツンデレと言うらしいです。

Ciel
Es

ツンデレ、とは?

Es
シエル

ラーベさんのような人のことを言います。

Ciel
Es

そうですか。どうやら私はモテないようです。

Es
シエル

いえ。おそらくレイさんは ツンデレというものだと思われます。

Ciel
Es

ツンデレとは?

Es
シエル

ラーベさんとレイさんのような人のことを 言います。

Ciel
ラーベ

おい誰がツンデレだ。

Raabe
Es

ラーベはツンデレ。了解。記憶しました。

Es
ラーベ

余計なことを覚えるな!

Raabe
ラーベ

まったく……素直なのはいいが なんでもかんでもすぐに信じるんじゃない。

Raabe
ラーベ

だいたい、シエルもシエルだぞ。 どこでそんな言葉を覚えてくるんだ!?

Raabe
シエル

フガク内に置いてある雑誌です。

Ciel
ラーベ

艦内の風紀を再考する必要があるな……。

Raabe
ラーベ

まあいい、これ以上ツッコんでも疲れるだけだ。 おいエス、学園の場所や友人関係とか思い出せないか?

Raabe
Es

今のところは特に。

Es
ラーベ

そうか。それなら仕方がない。 またなにか思い出したら言ってくれ。

Raabe
Es

了解。

Es

第4節 道中/中ボス出現/

Summary
不可解な事件が起きるという地域を調査。

そこで発見したのは、不安定な世界の影響を 受けて理性を失ったリッパーの姿だった。

ラーベ

エス、ここら辺だったな?

Raabe
Es

はい。この地域周辺で 不可解な事件が起きているという情報を入手しました。

Es
シエル

遺体には鋭利な刃物で切り刻まれた後がある とのことでしたね。

Ciel
Es

はい。

Es
ラーベ

シエル、念のために索敵を頼む。

Raabe
シエル

了解しました。索敵開始。 ……周辺に生体反応なし。

Ciel
ラーベ

反応なし、か。

Raabe
ラーベ

エスの記憶に関係すると思って来てみたが、空振りだったか。

Raabe
シエル

付近を調べてみますか?

Ciel
ラーベ

ああ。なにがきっかけで思い出すかわからないからな。

Raabe
シエル

エスさん、どうしたんですか?

Ciel
Es

鑑識結界を構築し、現場に残留する魔素の詳細情報を……。

Es
ラーベ

ほぉ〜。 この世界のエスはそんな陰陽師みたいなことができるのか。

Raabe
Es

いえ。できません。 そのようなことができる人を知っていたような気がしただけです。

Es
ラーベ

……ふむ。それはもしかして記憶の手がかり なんじゃないのか?

Raabe
Es

分かりません。 あくまでも、そういう感覚がしただけなので。

Es
シエル

記憶の残滓、というものでしょうか。

Ciel
ラーベ

その可能性は高いな。 この件、やはりエスの記憶に関係がありそうだ。

Raabe
Es

…………。

Es
シエル

エスさん?

Ciel
Es

……生体反応を感知。

Es
ラーベ

おい! エス!? ちっ……あいつを追うぞ!

Raabe
シエル

了解しました。

Ciel
ラーベ

エス! 急に走り出すな!

Raabe
Es

申し訳ありません。

Es
Es

ですが、怪しい動きをする生体反応を感知しました。 おそらく、この付近に何者かが潜伏しています。

Es
シエル

……生体反応を感知しました。

Ciel
シエル

こちらに迫ってきています!

Ciel
ラーベ

リッパーだと!?

Raabe

1: 浸食されしモノ
2: ぐっ、うぅぅ……!

1:
2:

シエル

様子がおかしいですね。 姿も声も本来のものではないような……。

Ciel
ラーベ

世界が不安定だからな……。 存在そのモノがおかしくなっているのかもしれない。

Raabe

1: 浸食されしモノ
2: ぐぁ……蒼、が……っ!

1:
2:

Es

蒼……?

Es

1: 浸食されしモノ
2: グオアアァァァァァッ!

1:
2:

シエル

敵の攻撃性反応が上昇しています!

Ciel
ラーベ

やれやれ、見逃してくれそうにはないな。 シエル、奴を排除しろ!

Raabe
シエル

了解しました。戦闘態勢に移行します。

Ciel
Es

対象を潜伏していた生体反応と認識。 敵性生物と断定。戦闘行動開始。

Es

第4節 道中/中ボス出現/

Summary
リッパーの姿を模す『なにか』を退けたEs

はまた少し記憶を取り戻し、自らの名前と所 属を思い出す。

1: 浸食されしモノ
2: グオォォアアァァァァァッ!!

1:
2:

シエル

……対象の機能停止を確認。戦闘行動を終了します。

Ciel
ラーベ

ふむ……見た目はリッパーだったが……。 姿を模した『なにか』……か。

Raabe
ラーベ

おい、みんな無事か?

Raabe
シエル

私は問題ありません。

Ciel
Es

…………。

Es
ラーベ

エスは大丈夫なのか?

Raabe
Es

私は……御剣機関所属……個体認識の呼称はEs…… エンブリオスト……。

Es
ラーベ

なに? おい、エス。 今なんて言った。

Raabe
Es

なにをですか?

Es
ラーベ

とぼけるな。 御剣機関所属って言っただろう。

Raabe
Es

……よくわかりません。

Es
ラーベ

嘘を、いや……そうか。ならいい。

Raabe
シエル

ラーベさん、どうしたんですか?

Ciel
ラーベ

いや、さっきな……。 エスが御剣機関と口にした。

Raabe
シエル

エスさんがですか? ですが、構成員にエスさんの名前はないはずです。

Ciel
ラーベ

それは我々の世界での話だろう?

Raabe
ラーベ

数多ある可能性が分岐した世界。 エスの世界にも御剣機関が存在するのかもしれん。

Raabe
シエル

なるほど。エスさんはそこに所属しているということですね。

Ciel
ラーベ

それに……まぁいい。

Raabe
ラーベ

エス、他には戻った記憶とかないのか?

Raabe
Es

いえ、特には。

Es
ラーベ

そうか。些細なことでもいい。 思い出したらすぐに教えるんだ。

Raabe
Es

了解。

Es
シエル

レイさん、顔色が悪いみたいですが 大丈夫ですか?

Ciel

1: そ……そうかな? 大丈夫だよ……

Es

先ほどの戦闘で怪我をしたようです。 小さな傷ですが、手当てはしておいたほうがいいかと。

Es
ラーベ

まったく……お前は貴重な存在なんだから、気をつけてくれ。

Raabe
シエル

すみませんラーベさん。私の不手際です。

Ciel
Es

負傷箇所を処置しますので、そこに座ってください。

Es
Es

……レイは緊急時に 想定外の行動を起こす性質があります。

Es
Es

任務遂行上非常に危険ですので 安全な場所で待機をお願いします。

Es
ラーベ

おいシエル、なにをぼんやりしているんだ。 お前の立場が危ういぞ。

Raabe
シエル

え? 私の立場が危うい、とはどういうことでしょうか。

Ciel
ラーベ

それはお前……。 レイの護衛はシエルの役目だろう?

Raabe
シエル

レイさんの護衛方法について 再検討をしていたらつい……。

Ciel
シエル

なるほど。これがキャラ被りというもの……なのですね。

Ciel
ラーベ

いや、そうじゃない。

Raabe
シエル

エスさん、どうやら私とキャラが被っているようです。 なので、レイさんの処置は私がします。

Ciel
Es

キャラ被り、とはどういう意味でしょうか? 必要な処置を施しているだけなのですが。

Es

1: 待って待って 落ち着こう

ラーベ

はぁ……こういう面倒な天然キャラとしては 被ってるんだがな。

Raabe
Es

天然? 状況不明。説明を求めます。

Es
シエル

面倒とはどういうことでしょうか? 説明をお願いします。

Ciel
ラーベ

やっぱりめんどくさいな! ほら、手当てが終わったなら行くぞ!

Raabe

第5節 道中/Esの記憶5/

Summary
記憶の欠片探しが難航する一行の前に現れた

怪しい自称カレー屋。Esはプリンを食べた ことで幸せについての記憶が蘇る。

シエル

エスさんの記憶を取り戻すのはなかなか難しいですね。

Ciel
ラーベ

そう簡単にいかないのはわかっていたが こうも手がかりが少ないと考え物だな。

Raabe
ラーベ

エス、場所や物以外で記憶に残ってるものはないのか?

Raabe
Es

わかりません。 それより、レイが空腹を訴えています。

Es

1: あはは…… ごめんなさい……

ラーベ

のんきなやつだな……。 しかし……ここに食うところなんてあるのか??

Raabe
シエル

ですが、このままではレイさんが 空腹で倒れてしまうかもしれません。

Ciel
Es

空腹状態が続くと、疲労が蓄積し、 心身の健康状態に問題が発生しやすくなります。

Es
ラーベ

そう言っても仕方ないだろ、この状況なんだし。 おいレイ我慢しろ。

Raabe
Es

理解できません。

Es
シエル

パワハラですね。

Ciel
ラーベ

待て待て待て待て待てぇ! ちょっと我慢しろと言っただけだろ!

Raabe

1: ラーベさんは大丈夫なんですか?

ラーベ

大丈夫ではない!!

Raabe
ラーベ

いつもお前たちが美味しいものを食べてるところを 私だけ指をくわえて見てないといけないんだからな!!

Raabe
Es

ラーベ。指は食べ物ではありません。

Es
ラーベ

うるさい! 例えだ、例え!

Raabe
シエル

ラーベさん、落ち着いてください。 血圧が上がってしまいます。

Ciel
Es

ラーベは人体ではありません。 よって血圧の心配は不要かと。

Es
ラーベ

お前たち……私になにか恨みでもあるのか!?

Raabe
Es

いえ。特には。

Es
シエル

私もエスさんと同意見です。

Ciel
ラーベ

一応、私はお前たちの上司なんだが……。 はっ……まさか、これが噂の逆パワハラか!?

Raabe
Es

ラーベは私の上司なのですか?

Es
シエル

いえ、違います。ラーベさんは私の上司となります。

Ciel
Es

なるほど。では、上司とはなんですか?

Es
シエル

どのようなかたを『上司』と定義するのかわかりませんが、

Ciel
シエル

私の上司であるカガ… ラーベさんは以前、指示に従わない部下は洗脳すると……。

Ciel
ラーベ

ごめん、ほんとごめん。なんか涙、出てきた……。

Raabe
Es

? ラーベは涙を流すことができるのですか?

Es
ラーベ

ぐっ……ああ言えばこう言う……!

Raabe
ラーベ

くそっ、こうなったら意地でも 消化器官と味覚認識デバイスをつけるしか……。

Raabe
シエル

それよりもラーベさんには、索敵機能の強化を進言します。 ところで、エスさんは食べたいものなどありますか?

Ciel
ラーベ

くそう、正論で話をぶった切りやがったぞ、この子!

Raabe
Es

特に要望はありません。

Es
シエル

レイさんはどうでしょうか?

Ciel

1: 甘いものが食べたい 辛いものが食べたい

カレーを売り歩く人

おっとキミたち! おいしいおいしいカリィ&ライスはいかがかね?

Curry Hawker
ラーベ

……なんか変なやつが出てきたな。

Raabe
シエル

はい、突然でした。やはり索敵機能の強化を……。

Ciel
ラーベ

その話はもう良いから。今はこの変なやつだ。

Raabe
カレーを売り歩く人

変なやつなんてヒドいなぁ。

Curry Hawker
カレーを売り歩く人

私はカレー道を極めるため、日々厳しい修行に励んでいる 真面目で心優しい一般人さ。

Curry Hawker
ラーベ

変なお面をつけて、カレーを売り歩く人間のどこが 真面目で心優しい一般人なんだ?

Raabe
カレーを売り歩く人

あ、いや、ほらね? 最近なんか物騒じゃん? 流行り病がどうのこうのってさ。

Curry Hawker
カレーを売り歩く人

だから私のカリィ&ライスで元気づけてやろうってわけよ。 感謝するんだね、キミたち!

Curry Hawker
シエル

どういうことでしょうか……?

Ciel
Es

わかりません。

Es
ラーベ

頭が痛くなってきたな……。

Raabe
カレーを売り歩く人

そんな顔してたら幸せが逃げちゃうぞー? ほら、スマイルスマイル!

Curry Hawker
シエル

えっと……。

Ciel
カレーを売り歩く人

そう……私がここまでしても キミたちに笑顔は戻らないんだね……。

Curry Hawker
ラーベ

お前はなにを言っているんだ?

Raabe
カレーを売り歩く人

そう! でも! そんなときこそカリィ&ライス! ライス、イントゥ、ザ、カリィ! あー、たまんないね!

Curry Hawker
シエル

この世界の治安維持組織に連絡したほうがいいかと。

Ciel
カレーを売り歩く人

ちょいちょい警察はマズいでしょ〜? 私、カレー売ってるだけだし?

Curry Hawker
Es

そういう問題ではないかと。

Es
カレーを売り歩く人

そうだ! 今ならなんと! アレもついてきちゃうよ!

Curry Hawker
Es

アレ、とは?

Es
カレーを売り歩く人

っかんないかなぁ〜。アレだよ、アレ。

Curry Hawker
シエル

抽象的でなにを指しているのか不明です。

Ciel
カレーを売り歩く人

フッフッフ……あくまでも白を切るってことかい。 いいねぇ! 気に入ったよ!

Curry Hawker
カレーを売り歩く人

キミたちの心意気に負けた! 特に金髪のゆるふわ天然少女くん! キミにはね!

Curry Hawker
Es

ありがとうございます。

Es
カレーを売り歩く人

だ・か・ら! 今日のところはサービスにしてやろうじゃないか!

Curry Hawker
カレーを売り歩く人

私のカリィ&ライスも、アレも持っていけ泥棒ッ!

Curry Hawker
シエル

……行ってしまいましたね。

Ciel
Es

不思議なかたでした。

Es
ラーベ

……で。アレってなんだ?

Raabe
シエル

いろいろ入っているようです。

Ciel
シエル

……これは興味深いですね。 フレッシュ野菜のトロピカル激辛サラダ。

Ciel
ラーベ

アレって……これか? いやいや、あいつカレー屋って言ってなかった?

Raabe
シエル

細かいことを気にしたら負けというやつでしょう。

Ciel
Es

食べてみます。

Es
ラーベ

……どうだ?

Raabe
Es

…………。

Es
シエル

エスさんの生体反応、徐々に小さくなっています!!

Ciel
ラーベ

死にかけているじゃないか! おいエス! しっかりしろ!

Raabe
Es

はっ……!?

Es
シエル

生体反応確認。脈拍数正常。 エスさんが復活しました。良かったです……。

Ciel
Es

この食べ物は非常に危険です。 今すぐ隔離施設に収容するべきです。

Es
ラーベ

そんなに不味かったのか……。

Raabe

1: 口直しになりそうなものもあるよ 全部食べるの?

Es

それはなんですか?

Es
Es

生命の維持を優先します。 よってこれを食べることはできません。

Es
シエル

私もそう思います。 ですので、こちらをどうぞ。

Ciel
Es

これはなんですか?

Es
ラーベ

茶碗蒸し? いや、カレーは……?

Raabe
Es

食べてみます。

Es
Es

…………。

Es
シエル

どうですか?

Ciel
Es

これは求めていた味ではありません。 作り直したほうがいいかと。

Es
ラーベ

急にグルメだな。

Raabe
Es

……この食べ物は、食べた人に偽りの世界をもたらします。 よって隔離施設に収容するべきです。

Es
ラーベ

そういう危険なことを言うのはやめなさい。 シエル、他にはなにか入ってないのか?

Raabe
シエル

残っているのはプリンだと思います。

Ciel
ラーベ

カレー、入ってないよねそれ。 予想してたけど。

Raabe
Es

プリンとは、どのようなものでしょうか?

Es
シエル

プリンは、卵や牛乳を使用したお菓子です。 本来はプディングと呼ばれ、そもそもの由来は……。

Ciel
ラーベ

……と、説明しても分かるまい。 もっと簡単に特徴を教えてやれ。

Raabe
シエル

なるほど、そうですね。失礼しました。

Ciel
シエル

……私が調べてみたところ 甘くて、ふわふわーで、食べると幸せになるもの、です。

Ciel
Es

幸せ? とは。

Es
シエル

レイさんが 自室で二度寝をしているときの気持ちと同じかと。

Ciel

1: わかっていただけますか なぜ知っている!?

Es

もっとわかりやすくお願いします。

Es
Es

あとレイ、 多分大事な所なので黙っていてください。

Es
ラーベ

おまえ容赦ないな……。

Raabe
ラーベ

幸せとは、『同じ時間が続いてほしい』って思うことだ。 ほら、食べてみろ。

Raabe
Es

了解。

Es
Es

!?

Es
Es

プリンは……幸せです。

Es
ラーベ

エスはプリンが好きなのか?

Raabe
Es

はい。プリン、好きです。 大切な人にプリンをいただいた記憶があります。

Es
ラーベ

……そうか。そいつを思い出せるか?

Raabe
Es

……いえ。おかわりをください。 もっと食べれば思い出せるかもしれません。

Es
シエル

こちらにありますよ。

Ciel
Es

ありがとうございます。 ……はむ。

Es
ラーベ

美味いか?

Raabe
Es

ははふへふはふはでふ。(甘くてフワフワです。)

Es
ラーベ

食べてから話せ。 なにを言っているのかさっぱりわからん。

Raabe
Es

私はこれが幸せだとプリンに教えてもらいました。

Es
Es

おかわりは……まだありますか?

Es
シエル

すみません。さっきので最後です。

Ciel
ラーベ

プリンぐらい後で買えばいいだろう。 レイが買ってくれるって言ってるぞ。

Raabe
Es

!? 宜しいのですか?

Es

1: ええっ!? 勝手に決めないで!

ラーベ

そんなに驚くことはないだろ? しょせんプリンだし、そんな高いものじゃない。

Raabe
Es

それでは、プリンを1年分ほど要求します。

Es
ラーベ

……1年分って365個なのかな?

Raabe
Es

いえ、毎日5個は必要なので、 レイ期待しています。

Es
Es

期待を裏切る行為は信用を著しく低下させます。

Es
ラーベ

ほら、こう言ってるぞ。 それに見てみろ、エスの期待する目を。

Raabe
シエル

あまり変化はないようですが。

Ciel
Es

いえ。私のなかではレイに対する期待値が 30パーセントほど増加しています。

Es
ラーベ

ま、記憶が全て取り戻せたら レイにねだるといいさ。

Raabe
Es

わかりました。 こうしてはいられません。すぐに出発しましょう。

Es

第6節 道中/ボス出現/

Summary
蘇った思い出を手掛かりに『大切な人』との

出会いの場を捜索するEsたち。そこで一行 は、Esに似た何者かの襲撃を受ける。

ラーベ

エス。本当にここにお前の記憶を 取り戻せるようなものがあるのか?

Raabe
Es

おそらくは。

Es
ラーベ

おそらくって…… 理由はないのか、理由は。

Raabe
Es

…………。

Es
Es

ここは、私と大切な人が出会った場所、のような気がします。

Es
ラーベ

なるほどな。出会いの場所か。 ロマンチックの欠片もない場所だが。

Raabe
Es

Es
シエル

大切な人と出会うには相応しくない場所だと ラーベさんは言いたいようです。

Ciel
Es

相応しい、相応しくないがあるのでしょうか?

Es
ラーベ

そりゃあなあ。

Raabe
ラーベ

異性だろうが同性だろうが こんな殺伐とした場所で出会いたくはないだろ。

Raabe
Es

わかりません。

Es
シエル

私もレイさんと出会った場所はそうでした。 なので、安心していいかと。

Ciel
ラーベ

そういうことではなくてな……。

Raabe
ラーベ

しかしまあ、ロマンチックかどうかを抜きにしても 奇妙なところだな、ここは。

Raabe
Es

ここは無人団地となっています。

Es
Es

原因は不明ですが 一夜にしてこのような状態になったとのことです。

Es
ラーベ

……また、広範囲だな。

Raabe
Es

はい。 面積が大きいため、手分けして探すほうが効率的かと。

Es
ラーベ

それなら私とエス、シエルとレイで組むか。

Raabe
Es

問題ありません。

Es
ラーベ

何かあったら、すぐに連絡するように。

Raabe
シエル

了解しました。

Ciel
シエル

エスさんに記憶が戻ったら、どうなるんでしょうか?

Ciel

1: どういうこと?

シエル

ラーベさんもお話していた通り、

Ciel
シエル

エスさんの記憶が戻ったら 世界があるべき姿に戻る可能性が高いです。

Ciel
シエル

ですが……。

Ciel
シエル

せっかくお知り合いになれたので お別れするのは寂しいと言いますか……。

Ciel

1: なるほどね たしかにね

シエル

はい。 エスさんとは、お友達になれそうな気がします。

Ciel
シエル

レイさんも同じ考えでしたか。

Ciel
シエル

しかし、この世界をそのままにすることはできません。

Ciel
シエル

世界のためにも、エスさんのためにも 絶対に記憶を見つけ出さなければなりませんね。

Ciel
シエル

……レイさん。止まってください。 私たちを追跡する生体反応があります。

Ciel
シエル

半径数十メートル以内に入らず ぴったりと後をついてきているようです。

Ciel

1: エスたち? 敵?

シエル

わかりません。

Ciel
シエル

ですが、こうやって距離を取るということは 私たちに気付かれたくないということだと思います。

Ciel
シエル

……!

Ciel
シエル

レイさん! 先ほどの生体反応が急速に接近しています!

Ciel
シエル

エスさん?

Ciel
闇Es

…………。

Dark Es
シエル

どうしたんでしょうか…… 呼びかけに反応がありません。

Ciel
シエル

!?

Ciel
シエル

エスさんの攻撃性反応が急激に上昇しています!

Ciel
シエル

くっ……! 対象を敵性体と認識します!

Ciel
シエル

レイさん! 離れていてください! 戦闘行動を開始します!

Ciel
シエル

うぅ…… レイさん、逃げてください……!

Ciel
???

……敵性生物を認識。戦闘行動開始。

???
Es

大丈夫ですか?

Es
シエル

エスさん……?

Ciel
ラーベ

話は後だ。場所を変えるぞ。

Raabe
闇Es

…………。

Dark Es
Es

周囲に敵性反応なし。戦闘行動を終了。警戒態勢を継続。

Es
ラーベ

どうにか振り切れたみたいだな。

Raabe
Es

はい。しばらくは問題ないかと。

Es
ラーベ

やれやれ……好戦的すぎだな、あいつは……。

Raabe
Es

私と同等の戦闘能力を持っていると思います。

Es
ラーベ

そりゃまた面倒なやつに目を付けられたな……。

Raabe
シエル

あの、ラーベさん。 あれはエスさんなんですか?

Ciel
ラーベ

ん? まあ、エスであってエスじゃないような存在だな。

Raabe
シエル

というと……?

Ciel
ラーベ

私も最初はエスにしか見えなかったんだが…… 一戦交えたときに、思い出したんだ。

Raabe
ラーベ

シエルはリッパーと戦闘になったときのことを思い出せるか?

Raabe
シエル

はい。

Ciel
ラーベ

あのときのリッパーと同じだ。 闇エスも同じような感じだっただろう?

Raabe
ラーベ

おそらく、あれは この不安定になった世界が作り出した『なにか』だ。

Raabe
ラーベ

だから、あいつも『なにか』だし、 あえて言うなら『不安定な存在のエス』というのが私の見解だ。

Raabe
シエル

なるほど。

Ciel
Es

私も概ね同じ意見です。

Es
ラーベ

ん? エスは他に感じるものがあったのか?

Raabe
Es

はい。あれは私が失ったものを具現化した存在だと思います。

Es
ラーベ

ほー……面白いことを言うな。

Raabe
Es

あれを倒さなければ、記憶が戻らないような気がします。

Es
ラーベ

なぜそう思うんだ?

Raabe
Es

わかりません。

Es
シエル

どうしますか?

Ciel
ラーベ

ふむ…… まあ、ここはエスの言う通りにしてみるか。

Raabe
ラーベ

エスが何か感じているということは、 ほぼ間違いなくこの世界に関係しているだろうからな。

Raabe
シエル

了解しました。

Ciel
ラーベ

エス。迎え撃つぞ。

Raabe
Es

了解。

Es
シエル

作戦はありますか?

Ciel
ラーベ

エスは真正面から突撃。シエルは裏をかくように動け。

Raabe
シエル

それだけでいいんですか?

Ciel
ラーベ

ああ。あいつはエスの攻撃パターンをトレース…… というかおそらく同じだ。

Raabe
ラーベ

しかし、この世界のエスは不安定だろう? 記憶もないしな。

Raabe
ラーベ

だからシエルの行動は読めないんじゃないか って考えている。

Raabe
シエル

なるほど。

Ciel
ラーベ

まあ、単純なパワーだけならあちらのほうが上っぽいがな。

Raabe
シエル

脳筋スタイルというやつですね。

Ciel
ラーベ

否定はしない。

Raabe
Es

……敵性反応を確認。

Es
ラーベ

お出ましだぞ。

Raabe
ラーベ

急だなおい! できれば私たちはお前と戦いたくないんだがな!

Raabe
闇Es

…………。

Dark Es
シエル

沈黙ですね。

Ciel
Es

意思疎通をする気がない以上、交渉は不可能かと。 武力衝突は避けられません。

Es
闇Es

…………。

Dark Es
シエル

……動かなくなってしまいました。

Ciel
ラーベ

敵意は向けられたままだがな。

Raabe
Es

……!

Es
シエル

攻撃性の急速な上昇を確認しました! レイさん、気を付けてください!

Ciel
Es

……来ます。

Es

第6節 ボス戦後/Esの記憶6/

Summary
闇Esとの戦闘が続く中、Esはその正体が

自身のなくした記憶であると気づく。失った ものを取り戻すため、彼女は剣を振るう。

Es

ハアッ!

Es
シエル

はっ! えいっ!

Ciel
シエル

くっ……!

Ciel
ラーベ

ちっ。やっぱり一筋縄ではいかないか……。

Raabe
闇Es

…………。

Dark Es
シエル

このエスさん……強いです……。

Ciel
シエル

……っ!

Ciel
Es

回避してください。

Es
ラーベ

これは想定していた能力をはるかに上回っていたな。 シエルたちの攻撃がまったく通らない。

Raabe
ラーベ

それどころか押されてるな……。 これは参った……どうするか……。

Raabe
シエル

……!

Ciel
シエル

レイさん! 危ない!!

Ciel
シエル

ぐっ……!

Ciel
ラーベ

シエル! まずいな……立て直すぞ!

Raabe

1: シエルは!? 逃げるの!?

ラーベ

シエルは大丈夫だ、安心しろ。

Raabe
ラーベ

闇エスは攻撃対象からシエルを外したみたいだ。 あれ以上狙われることはないよ。それに……。

Raabe
闇Es

……。

Dark Es
ラーベ

闇エスの狙いはこっちみたいだからな。 悪いが、シエルのことは後回しだ。とりあえず、逃げるぞ!

Raabe
Es

了解。

Es
闇Es

……。

Dark Es
ラーベ

くぅっ……何処かに隠れて体勢を立て直したいのだけど……。 あいつ……転んでくれたりしないかなぁ……。

Raabe
Es

それは無理なお願いかと。

Es
ラーベ

言ってみただけだよ! ああもう、どうするか考え……

Raabe
ラーベ

ぎゅふっ!?

Raabe
Es

ラーベ!?

Es
闇Es

……。

Dark Es
Es

!? ……気を抜くとは迂闊でした。

Es
Es

対象の攻撃性上昇を確認。戦闘行動を開始。 レイは安全な場所まで退避してください。

Es
Es

なるほど。 やっぱり私の戦闘データを持っているのですね。

Es
Es

…………。

Es
Es

これは私の記憶……。

Es
Es

やはり、あなたは私が失ったものを 具現化した存在なのですね。

Es
Es

大切な人たちのことを思い出すためにも あなたを倒さなければならないということですか。

Es
闇Es

…………。

Dark Es
Es

あなたの相手は私です。

Es
Es

……っ!? レイ!

Es
Es

なぜ……私ではなくレイに攻撃を……?

Es
闇Es

…………。

Dark Es
Es

違う……私にレイを『守らせた』……!?

Es
闇Es

…………。

Dark Es
Es

グッ……!

Es
Es

はぁ……はぁ……。

Es
闇Es

…………。

Dark Es
Es

身体の損傷個所……多数確認。 戦闘の継続は困難……。

Es

1: エスを助けないと……!

Es

レイ……?

Es
Es

私には……護りたいものがある。

Es
闇Es

…………。

Dark Es
Es

……あなたは。

Es
Es

いえ……これが『思い』なのですね。 なら、私の大切な人たちへの思いを『返して』もらいます。

Es

第7節 エピローグ/

Summary
ついに闇Esを打ち破るEs。記憶のすべて

は戻らなかったが、彼女はこの戦いを通して 『大切な人』を見つけられたのだった。

闇Es

…………。

Dark Es
Es

…………。

Es
Es

対象の機能停止、消滅を確認。戦闘行動終了。

Es
Es

レイ。大丈夫ですか?

Es

1: こっちは大丈夫 エス……泣いてる……?

Es

了解。ラーベたちと合流しましょう。

Es
Es

泣く、ですか。

Es
Es

感情の起伏や目の物理的刺激からなる反応。 私が、そのような……。

Es
Es

それよりラーベたちと合流しましょう。

Es
ラーベ

どうやらあの黒いのを倒すことができたみたいだな。

Raabe
Es

はい。

Es
シエル

お力になれず、申し訳ありません…… レイさんにもご迷惑をおかけしました。

Ciel
ラーベ

気にするな……と言いたいが、今回は反省だな。 すこし迂闊だったぞ。

Raabe
Es

ラーベも人のことは言えません。

Es
ラーベ

私は戦闘用ではないんだよ。

Raabe
ラーベ

……それでエス。

Raabe
Es

はい……。

Es
ラーベ

思い出せたか?

Raabe
Es

……世界のことや、御剣機関のことは……思い出しました。

Es
ラーベ

やっぱり御剣機関に所属していたのか。

Raabe
Es

はい。御剣機関所属、個体認識の呼称はEsです。

Es
ラーベ

ん? 『ことは』? おい、大切な人たちというのは……。

Raabe
Es

大切な人たちのことは……。

Es
シエル

思い出せませんでしたか?

Ciel
Es

すべて……ではないかもしれません。 でも、頭の中のモヤは少し晴れた気がします。

Es
ラーベ

そうか……。

Raabe
Es

申し訳ありません。上手く表現ができません。

Es
ラーベ

いいよ。 でも、必要最低限の記憶は戻ったみたいでよかったじゃないか。

Raabe
Es

はい。

Es
Es

それから、新しい発見もありました。

Es
ラーベ

へぇ? なんだそれは。

Raabe
Es

大切な人を見つけました。

Es
シエル

? 思い出したのですか?

Ciel
Es

違います。

Es
ラーベ

ははーん、なるほどな。 なかなか嬉しいことを言ってくれるじゃないか。

Raabe
シエル

どういうことでしょう?

Ciel
Es

レイ、シエル、あなたたちは私の大切な人です。 共に行動していて感じました。

Es
シエル

なるほど、そういうことでしたか。 ありがとうございます。

Ciel
ラーベ

おいまて、なぜ私が入ってない?

Raabe
Es

ラーベは人ではありません、ですから大切なボールです。

Es
ラーベ

……すまん、その呼びかたやめて。 一応、これでも人だから、恐らく。

Raabe
Es

わかりました。ではラーベも大切な人です。

Es

1: 笑顔になった……? 今、表情が……

ラーベ

ん? エスの表情がどうかしたのか?

Raabe
シエル

特に変わらないかと。

Ciel
ラーベ

ああ。笑顔だったな。

Raabe
シエル

エスさんの笑顔、初めて見ました。

Ciel
Es

そうでしょうか?

Es
シエル

エスさんはこれからどうするのですか?

Ciel
Es

大切な人たちを探します。

Es
Es

きっとあの人はどこかにいるはずです。 なので、私は大切な人を探します。

Es
シエル

それは……可能なのでしょうか?

Ciel
ラーベ

可能だよ……そこに『可能性』があるなら。

Raabe
Es

そう……ですか。

Es
Es

……レイたちはどうするのですか?

Es
ラーベ

なんだ? 私たちとお別れするのが辛くなったのか?

Raabe
Es

はい。

Es
シエル

エスさん、私もです。

Ciel
ラーベ

……可愛いな。 まぁ、お前たちの気持ちはよくわかったが……。

Raabe
Es

どうなのですか?

Es
ラーベ

うん。正直にいって私も連れて帰りたい。 なんだかんだいって、お前可愛いし。

Raabe
ラーベ

でもね、エス。 お前は『この世界』が再構成するために必要な存在なんだ。

Raabe
ラーベ

未来へ続くためのね。

Raabe
Es

そうですか、私は必要とされているのですね。

Es
ラーベ

うん。だけど、私たちは外部から介入した存在だからね、 この世界にいるべき存在ではない。だから当然消える。

Raabe
ラーベ

ああ、消えると言っても本当にいなくなるわけじゃないぞ。 在るべき場所へ戻るだけだ。

Raabe
Es

不思議なお話です。

Es
シエル

不思議……私たちにとっては当たり前でしたが 確かに不思議なのかもしれませんね。

Ciel
ラーベ

さて、これ以上名残惜しくなる前に、そろそろ戻るとしますか。

Raabe
シエル

了解しました。 ……アクセスを確認。これより帰還します。

Ciel
Es

……レイ。 私は大切な人たちに会うことができるのでしょうか。

Es

1: できるよ! 信じよう!!

Es

ありがとうございます。

Es
シエル

そうですね、レイさんの言う通り、 信じる思いは大切だと思います。

Ciel
Es

そうですね、私もこの思いを信じます。

Es
Es

さようなら……私の、大切な人たち。

Es