BlazBlue Wiki Story:BBDW Event Beastkin Boot Camp

Story:BBDW Event Beastkin Boot Camp

From BlazBlue Wiki

プロローグ/

Summary
フガク艦内でのトレーニング中に、シエル、

カガミが訪れた。次なる任務の指示を受け、 ファントムフィールドへと浸入する。

シエル

あ。 こちらにいらしたのですね、レイさん。

Ciel
シエル

トレーニングルームにいらしたのですか。 訓練を行っていたのでしょうか?

Ciel

1: 体力は大事だからね
2: 体を鍛えようと思って

1:
2:

シエル

体力……ですか?

Ciel
シエル

確かにレイさんの体力は フガクの艦内スタッフと比べても平均以下です。

Ciel
シエル

ですが、今のままでも特に不自由はないと思います。 それなのになぜ体を鍛えるのですか?

Ciel
シエル

筋力トレーニングですか?

Ciel
シエル

しかしレイさんは前線で戦うことは ほとんどありません。それなのになぜ体を鍛えるのですか?

Ciel
カガミ

お、レイにシエルじゃないか。 なにをしてるんだ、そんなところで。

Kagami
シエル

レイさんはトレーニングルームで 体を鍛えていたそうです。

Ciel
カガミ

ほうほう。それはいい心がけだ。 ファントムフィールドの調査は、ある意味体力勝負だからね。

Kagami
カガミ

少しでも生存確率を高めるために、 体力はあるにこしたことはない。

Kagami
シエル

なるほど……生存確率を高める。 確かにそうですね。さすがです、レイさん。

Ciel
シエル

その心構え、私も参考にさせていただきます。

Ciel
カガミ

いいねいいね、その意気だ。 やる気に満ち溢れていて、私は嬉しいよ。

Kagami
カガミ

そして早速だが、そんなやる気溢れる君たちに 新たな任務だ。

Kagami
カガミ

次なるファントムフィールドが見つかった。 ふたりとも、準備をよろしく頼むよ。

Kagami
カガミ

さて。今回、君たちに《浸入》 (ダイブ) してもらう ファントムフィールドだが……。

Kagami
カガミ

規模としてはとても小さい。 生命反応も確認されているが、実にまばらだ。

Kagami
カガミ

人は少なく、フィールドの規模も小さい。 つまり、そのぶん観測者を見つけるのも容易だろう。

Kagami
カガミ

とはいえ、もちろん油断はしないこと。 危険があるかもしれない。その際は身の安全を確保するように。

Kagami
シエル

了解しました。 レイさんの護衛を最優先に行動します。

Ciel
カガミ

うむ、よろしく。

Kagami
シエル

……レイさん、 トレーニングの直後ですが、大丈夫ですか?

Ciel
カガミ

無理はしないでくれよ。といっても、送り出すんだけども。

Kagami
カガミ

レイのことだ。シエルの護衛の負担を 軽減するためにトレーニングを始めたんだろう。

Kagami
カガミ

けど、自身に危険が迫った時は、まずシエルを頼るように。 レイに死なれるのが一番困るからね。

Kagami
シエル

レイさんに危険が迫る前に、 私が危険を排除してみせます。

Ciel
カガミ

頼んだよ、シエル。

Kagami
カガミ

さあ、それではふたりとも、準備はいいかな?

Kagami
シエル

問題ありません。

Ciel
カガミ

今回も目的は、観測者の特定および窯の破壊だ。

Kagami
カガミ

くれぐれも無理はしないように。 ……では、始めようか。

Kagami
オペレーター

了解。……ファントムフィールド、接続完了。

Operator
カガミ

《浸入》 (ダイブ) 開始!

Kagami

第1節 獣人式キャンプ/

Summary
シエル、ラーベと共に降り立った森で、妙に

体格のいい男に遭遇。彼の号令で更に男たち が現れ、どこかへと連れ去られそうになる。

シエル

……《浸入》 (ダイブ) 、完了。 機能に問題ありません。

Ciel
ラーベ

よーし、無事に到着したようだな。

Raabe
ラーベ

レイも平気か? 体調に問題はないか?

Raabe
ラーベ

うん、いいね。状態は非常に安定してる。 タカマガハラシステムの観測も、順調そのものだ。

Raabe
ラーベ

さて、では恒例の、周囲の状況確認といこう。 今回探索するファントムフィールドはどんな感じだ?

Raabe
シエル

……森ですね。

Ciel
ラーベ

ふむ……森だな。差し迫った危機を感じないが、念のためだ。 シエル、周囲をサーチ。

Raabe
シエル

了解です。

Ciel
ラーベ

どうだ?

Raabe
シエル

近くに敵性反応はありません。 しかし、生体反応はあります。

Ciel
ラーベ

生体反応?

Raabe
シエル

近づいてきます。

Ciel
妙に体格のいい男

ん? 君たちは……。

Suspiciously Buff Man
ラーベ

この辺りの住人か?

Raabe
ラーベ

警戒しないでくれ。信じられないかもしれないけど、 我々に害意はない。実は……あー、道に迷ってしまってね。

Raabe
妙に体格のいい男

道に、迷った? なるほど、それは大変だね。

Suspiciously Buff Man
ラーベ

ああ、そうなんだ。

Raabe
シエル

ラーベさんを見ても驚いていません。

Ciel
ラーベ

私のような最先端ハイテクに見慣れている文明レベルなのか、 あるいは、彼が想像を越えて鈍感なのか……。

Raabe
ラーベ

ちょうどいい。住人がいるなら、集落に準ずるものがあるはずだ。 情報収集ができる。

Raabe
ラーベ

あー、すまないんだが、君の住んでいる場所に 連れていってもらうことはできるか?

Raabe
ラーベ

休憩したいってのもあるんだが、そう、食糧が乏しくてね。

Raabe
妙に体格のいい男

食糧不足か。それはよくない。 いいとも、案内しよう。

Suspiciously Buff Man
ラーベ

助かる。ところで……何故ぐいぐい近づいてくる?

Raabe
妙に体格のいい男

何故って、そうしないとわからないこともあるだろう?

Suspiciously Buff Man
シエル

レイさんッ!?

Ciel
シエル

は、離れてください、 レイさんからすぐに手を離してください!

Ciel
ラーベ

ちょい待て、シエル。 どうも変だ。

Raabe
ラーベ

たしかにレイの腕を掴んではいるが…… 危害を加える様子はない。

Raabe
シエル

確かに、敵性反応はありません。 しかし……。

Ciel
妙に体格のいい男

ふむ……君は、細いね。 とてもスリムだ。

Suspiciously Buff Man
妙に体格のいい男

筋肉はなだらかで……無駄な肉がついていない。 未熟にして未完成……素晴らしい。

Suspiciously Buff Man
ラーベ

レイの腕を見てブツブツ言っているが…… まさか変態の類ではないだろうな?

Raabe
シエル

レイさんに害を及ぼす方は排除します。

Ciel
ラーベ

まあ落ち着け。もう少し様子を見てみよう。

Raabe
妙に体格のいい男

この華奢でか細く凹凸の少ない体。一見貧弱としか言えないが、 見方を変えると別の言い方が出来るんだ。なんて言うと思う?

Suspiciously Buff Man
シエル

それは私たちに向けられた言葉でしょうか?

Ciel
妙に体格のいい男

もちろんさ。答えてくれると嬉しいねぇ。

Suspiciously Buff Man
シエル

……申し訳ありません。私にはわかりません。

Ciel
ラーベ

うむ、私にもわからん。

Raabe
妙に体格のいい男

鍛え甲斐のある発展途上の筋肉と言うのだよッ!

Suspiciously Buff Man
ラーベ

きん、にく?

Raabe
シエル

ラーベさん、やはり戦いましょう。 この方の言動は明らかにおかしいと思われます。

Ciel
ラーベ

うーむ……だがもう少し情報収集を……ん?

Raabe
妙に体格のいい男

いたぞ、いたぞーッ!!

Suspiciously Buff Man
妙に体格のいい男B

こいつが脱走者か!

Suspiciously Buff Man B
妙に体格のいい男C

見つけたぞ!

Suspiciously Buff Man C
妙に体格のいい男D

キャンプの素晴らしさが理解できぬわからずやは、 キャンプで鍛えるしかない!

Suspiciously Buff Man D
ラーベ

囲まれた! いつの間に!?

Raabe
シエル

生体反応、さらに多数が接近しています。

Ciel
シエル

ですが、やはり敵性反応はありません。

Ciel
ラーベ

一般人なのであれば攻撃するわけにもいかんしなぁ…… いったい何者なんだ、こいつらは……!

Raabe
妙に体格のいい男

よし、戻ろう!

Suspiciously Buff Man
妙に体格のいい男B

ボクたちとともに、根性と筋肉をつけようじゃないか!

Suspiciously Buff Man B
妙に体格のいい男C

君も鍛えたら良い筋肉がつきそうだね。

Suspiciously Buff Man C
シエル

あ、あの……良い筋肉とは、なんなのでしょうか。

Ciel
シエル

はっ、それよりも! レイさんを解放してください!

Ciel
妙に体格のいい男D

この丸い体型……鍛えたらどんな筋肉がつくんだろう! 気になるなぁ!

Suspiciously Buff Man D
ラーベ

待て、やめろ! 私にさわるな! というか私に筋肉なんかつかない!

Raabe
シエル

ラーベさんには筋肉がつかないのですか!?

Ciel
ラーベ

あたりまえだ!!

Raabe
妙に体格のいい男

機械に筋肉がつかないなんて誰が決めたんだい!? 君は限界を超えようとは思わないのかい!

Suspiciously Buff Man
ラーベ

駄目だ、まるで言葉が通じない……。

Raabe
妙に体格のいい男

聞きわけのない子は、力づくで連れて行くしかないね。 さあ、我々と一緒にマッスルパラダイスへ向かおうじゃないか。

Suspiciously Buff Man
ラーベ

うわっ、こ、このままじゃまずいぞ!

Raabe
ラーベ

やむを得ん……シエル、こいつらを無力化するぞ!

Raabe
ラーベ

一回大人しくしてもらわんと、 話が一向に進まない気がする!

Raabe
シエル

了解しました! 速やかに鎮圧します!

Ciel

ーーー/

Summary
男たちを退けると、タオカカとチャチャカカ

が現れた。一行を『師匠』の元へ連れていく と言い、ラーベはその提案に乗ることに。

ラーベ

やれやれ、どうにか収まったか……。

Raabe
ラーベ

しかしなんだったんだ? 筋肉、筋肉と妙にこだわっていたが。

Raabe
シエル

お怪我はありませんか? レイさん。

Ciel
ラーベ

そいつはなによりだ。

Raabe
ラーベ

さてと、こいつらからも少々話を聞かないとな。 脱走がどうとか言っていたが……。

Raabe
シエル

そういえばラーベさん。 ひとつ気になることがあるのですが。

Ciel
ラーベ

ん? なんだ?

Raabe
シエル

結局のところ、ラーベさんは筋肉トレーニングによる 筋肥大はないのでしょうか?

Ciel
ラーベ

…………あると思ってるの? 機械にそんなものはつきません。

Raabe
シエル

カガミさんならやりかねません。

Ciel
ラーベ

いや、ないから! そんな無駄な機能ついてないから!

Raabe
ラーベ

…………たぶん。

Raabe
???

だったら、試してみればいいニャス。

???
ラーベ

だ、誰だ!?

Raabe
シエル

あなた方は……。

Ciel
ラーベ

タオカカにチャチャカカ。 このフィールドに迷い込んだのか?

Raabe
タオカカ

ん〜? こいつら、チャチャの知り合いニャスか?

Taokaka
チャチャカカ

知らんニャス。ていうか、どうでもいいニャス。 早く仕事を終わらせて、とっとと寝たいニャスよ。

Chachakaka
タオカカ

それもそうニャスね。 お前たち、タオに着いてこいニャス。

Taokaka
タオカカ

抵抗すると、そこに転がってる 筋肉どもみたいになるニャスよ?

Taokaka
ラーベ

いや……そいつらを倒したのは私たちなんだが。

Raabe
チャチャカカ

その顔、ビビってるニャスね。 大人しく着いてくるなら、酷いことはしないニャス。

Chachakaka
チャチャカカ

ここは着いてくる一択ニャスよ。それがベストニャス。 てか、チャチャは眠いから、一刻も早くそうしろニャス。

Chachakaka
シエル

質問をしてもよろしいですか?

Ciel
シエル

私たちがおふたりについていった場合、 行先はどこなのでしょうか。

Ciel
ラーベ

そうだな。敵というわけでもなさそうだし、 行先次第ではついて行かないこともない。

Raabe
タオカカ

師匠がお前たちを呼んでるニャス。 だからタオたちが迎えに来てやったニャス。

Taokaka
シエル

師匠……ですか? それはどなたのことでしょうか。

Ciel
タオカカ

師匠は師匠ニャス。

Taokaka
タオカカ

タオたちのキャンプのボスニャス! と〜っても強くて、と〜ってもすごいのネ。

Taokaka
タオカカ

でも師匠はと〜っても厳しいニャスから、時々、 逃げるやつがいるニャス。

Taokaka
タオカカ

とぼけてるみたいニャスが、おまえたちも キャンプから逃げてきたことはわかっているニャス。

Taokaka
タオカカ

だからタオたちが連れて帰るニャス!

Taokaka
チャチャカカ

おかげで訓練サボれてラッキーだったニャス。このまま こいつらをキャンプに連行して、あとは昼寝でもするニャス。

Chachakaka
ラーベ

待て待て、まず誤解をしている。 我々はそのキャンプとやらから逃げてきたわけじゃない。

Raabe
チャチャカカ

あ〜、ハイハイ、脱走兵はみんなそう言うニャス。

Chachakaka
ラーベ

だから違うって!

Raabe
チャチャカカ

もー、めんどくさい奴らニャスねぇ。 いいからさっさと連れていこうニャス。

Chachakaka
ラーベ

なんてワガママなやつらなんだ!

Raabe
ラーベ

まずはこちらの事情を聞けというのに!

Raabe
タオカカ

ん〜、タオたちそういうムズカシ〜ことわかんないニャス。 とりあえず師匠のとこで話してほしいニャス。

Taokaka
チャチャカカ

そーそー。てかグダグダ話してても しょーがなくないニャス?

Chachakaka
チャチャカカ

チャチャおなかすいたし。着いて来たくないんならないで、 勝手に逃げてほしいニャスけど。

Chachakaka
シエル

ラーベさん、どうしましょうか。

Ciel
ラーベ

……よし、行こう!

Raabe
ラーベ

私たちをその師匠とやらに会わせてもらおうじゃないか。

Raabe
ラーベ

というか話の通じないこいつらよりも、その師匠とやらに 直接話した方が、話が早そうだ。

Raabe
シエル

……わかりました。

Ciel
チャチャカカ

ついてくるニャス? そうそう、素直なほうがいいニャス。

Chachakaka
チャチャカカ

そんじゃま〜、こっちニャスよ〜。

Chachakaka

ーーー/

Summary
辿り着いたキャンプ地。一帯を取り仕切る

『師匠』獣兵衛は、調査を許可する条件とし て『ブートキャンプ』への参加を提案した。

タオカカ

到着ニャス!

Taokaka
シエル

ここが……キャンプ、ですか?

Ciel
チャチャカカ

そーニャス!

Chachakaka
チャチャカカ

いま師匠を呼んでくるから、 そこでおとなしく待ってろニャス。

Chachakaka

1: 人がたくさんいるね
2: 独特な雰囲気だ……

1:
2:

シエル

はい。いくつかのグループに分かれているようですが…… あの方々は、なにをしているのでしょう。

Ciel
シエル

はい。張りつめたような……緊張した空気を感じます。

Ciel
シエル

あちらには何人も集まっているようですが、 なにをしているのでしょうか。

Ciel
コーチ?

なんだその動きは!? 寝ながらやってるのかッ!?

The Coach?
体格のいい男

違います! これは!

Buff Man
コーチ?

言い訳を許可した覚えはない! 言葉を間違うな!

The Coach?
体格のいい男

サー! イエッサー!!

Buff Man
コーチ?

ふざけるな! 声が小さい!

The Coach?
体格のいい男

サー!! イエッサー!!!

Buff Man
コーチ?

誰が動きを止めろと言った! 動きながら答えろ! そんなことも出来ないからお前はお荷物なんだ!

The Coach?
体格のいい男

サー!! イエッサー!!!

Buff Man
コーチ?

いいか! 大腿筋の声を聞け! 鍛えれば鍛えるだけ、 大腿筋は喜びの声を上げる!

The Coach?
コーチ?

わかったか、この貧弱どもが!!

The Coach?
男たち

サー!! イエッサー!!!

Everyone
ラーベ

……なに、あれ?

Raabe
シエル

筋力トレーニングを行っているようです。

Ciel
ラーベ

いやまあそれは見ればわかるんだけど…… なんか空気が違うっていうか、汗くさいっていうか……。

Raabe
シエル

そうなのですか?

Ciel
シエル

たしかに負担の大きい反復運動なので 汗をかくと思われます。

Ciel
ラーベ

いや、そういうことじゃなくて……。

Raabe
???

あ〜、やっと見つけた。 森で確保された脱走者ってキミたち?

???
ヴァルケンハイン

ふむ、確かに妙な奴らだ。肉体を見る限り、 まじめにトレーニングを受けていたとも思えん。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

貴様ら、何者だ?

Valkenhayn
マコト

もしかして、キャンプをスパイしてるとか!?

Makoto
???

どうした、お前たち。 なにを騒いでいる。

???
ヴァルケンハイン

獣兵衛師匠!

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

この妙な奴ら、キャンプのスパイを している可能性があります!

Valkenhayn
マコト

師匠、ご命令を! この筋肉で、こいつらを痛めつけてやります!

Makoto
獣兵衛

お前たち、ちょっとは頭を冷やしてこい。

Jubei
獣兵衛

スペシャルコースを3周だ! 1時間で帰ってこい、遅れたら3周追加だ!

Jubei
ヴァルケンハイン・マコト

サー! イエッサー!!

Valkenhayn & Makoto
ラーベ

なるほど……ここは全員が『この』ノリなのか……。

Raabe
獣兵衛

さて。ふたりが失礼をしたな。 若い者は血の気が多くて困る。

Jubei
シエル

あなたが『師匠』さんですか。

Ciel
獣兵衛

そう呼ばれているな。 名は……獣兵衛だ。

Jubei
獣兵衛

それで、お前たちは? 見たところ、このキャンプの者ではないな。

Jubei
シエル

はい。違います。 スパイでもありません。

Ciel
シエル

私はシエル=サルファーと申します。こちらがラーベさん。 こちらはレイさんです。

Ciel
獣兵衛

レイ……? ほう、なかなか見込みのありそうな 顔立ちをしているじゃないか。

Jubei
ラーベ

なんだ、また筋肉がどうとかって話か? 勘弁してくれ、ここには筋トレに来たわけじゃない。

Raabe
獣兵衛

筋肉? はっはっは、確かにここは訓練場だが 別に筋トレだけをする場ではないぞ。

Jubei
獣兵衛

その辺をきちんと理解していない奴も多いがな。

Jubei
獣兵衛

それよりも、筋肉や体力では補えない特別なものを レイは持っているようだな。

Jubei
獣兵衛

お前たちは、どうしてここに来た? 察するに、なにか事情がありそうだな。

Jubei
シエル

……私たちは、あるものを探しています。 それがこの辺りにあるらしく、調査するために来ました。

Ciel
獣兵衛

危険なものか?

Jubei
ラーベ

危険かどうかを判断することも含めて調査している。

Raabe
ラーベ

そちらの訓練とやらの邪魔をするつもりはないんだが、 できればこちらも自由に調査させてほしい。

Raabe
ラーベ

ついでに、あれこれ情報も聞かせてもらえると助かるんだが……。

Raabe
獣兵衛

ふーむ……。

Jubei
ラーベ

……さすがにそんなにうまくはいかないか。

Raabe
獣兵衛

よし、いいだろう。 なにを探しているのか知らんが、協力しよう。

Jubei
ラーベ

本当か! ありがたい。

Raabe
獣兵衛

……ただし。

Jubei
獣兵衛

協力するかわりに、ひとつ条件を飲んでもらおうか。

Jubei
ラーベ

交換条件、というわけか。聞こうじゃないか。

Raabe
獣兵衛

お前たちには、この『ジューベーズブートキャンプ』に 参加してもらおう!

Jubei
ラーベ

はぁ〜?

Raabe
獣兵衛

なんせこの地は我々の訓練場だ。

Jubei
獣兵衛

お前たちがその調査とやらをしていれば、 気を取られるものも出るだろう。

Jubei
獣兵衛

そうなっては危険だ。訓練には、集中してもらわねばな。

Jubei
獣兵衛

だから部外者であるお前たちはつまみ出すべきなのだが、 それではそちらも困るだろう?

Jubei
獣兵衛

そこでだ、お前たちにキャンプ参加者になってもらい、 訓練にも参加するという条件付きであれば、

Jubei
獣兵衛

この敷地内を移動することを許そうじゃないか。 どうだ、悪い話ではないだろう。

Jubei
ラーベ

ええ……訓練? そういうのはちょっと、求めてないというか……。

Raabe
獣兵衛

なにを言う! 訓練はいいぞ!

Jubei
獣兵衛

我がキャンプの信念は、 強靭な肉体にこそ強靭な精神は宿る、だ!

Jubei
獣兵衛

徹底的に肉体を苛め抜き、鍛え上げることで、 惰弱な体と精神に別れを告げる。

Jubei
獣兵衛

目指すは獣人の身体能力だ。

Jubei
獣兵衛

キャンプを卒業した時、お前たちはとてつもなく強く、 しなやかな体と精神を手に入れる!

Jubei
獣兵衛

はずだ!!

Jubei

1: ちょっと興味あります
2: ぜひお願いします!

1:
2:

シエル

そういえば……レイさんも、 トレーニングに興味をお持ちでしたね。

Ciel
獣兵衛

ほう。なにごとも小さな興味から始まる。 その興味こそが、人が生まれ変わる最初の一歩だ!

Jubei
ラーベ

お、おい、本気か、レイ!?

Raabe
獣兵衛

いい返事だ! やる気があるのは素晴らしい。 なにごともやる気がなければ始まらないし、続かない。

Jubei
獣兵衛

自分を変えたいという思い、しかと受け止めたぞ。 レイ!!

Jubei
シエル

……確かにキャンプに参加しながら調査を進めれば、 身体能力の向上を図りながら任務を遂行できるかもしれません。

Ciel
シエル

なるほど……これが一石二鳥というものですね。

Ciel
獣兵衛

その通りだ! 安心しろ、探し物の邪魔はしない。 そしてバッチリしっかり、訓練もつけてやる!

Jubei
獣兵衛

我がキャンプに歓迎するぞ、3人とも!

Jubei
シエル

よろしくお願いします。

Ciel
ラーベ

しかたない……キャンプに参加しつつ、 調査といくか。よろしく頼むぞ。

Raabe
ラーベ

……だが、私はトレーニングには参加できないからな。 見ての通り機械だし。

Raabe
獣兵衛

機械だからどうした?

Jubei
獣兵衛

機械でもトレーニングすれば鍛えられるかもしれないだろ? 何事も、やってみなければ可能性は生まれない。

Jubei
ラーベ

結局お前も脳筋か!!!!

Raabe

第2節 まずはウォーミングアップ/

Summary
キャンプへの参加が決定すると、獣兵衛の態

度が豹変。スパルタ指導の激しいトレーニン グを開始、森で魔物との戦闘を命じられる。

獣兵衛

さて、めでたくキャンプの参加者が3人増えたわけだが……。

Jubei
獣兵衛

準備は良いか! ひよっこども!!

Jubei
ラーベ

……は?

Raabe
獣兵衛

返事はどうした! 鼓膜が破れてるのか!? それとも俺の言葉が理解できないか!?

Jubei
ラーベ

ち、ちょっと待ってくれ。

Raabe
獣兵衛

俺の許可無く口を開くな! このキャンプ中、 お前ら軟弱者に自発的にしゃべる権利などない!

Jubei
ラーベ

いや、だから。

Raabe
獣兵衛

返事を求められたらサーをつけろ、わかったか!? わかったらイエッサーと言え!!

Jubei
シエル

サー、イエッサー。

Ciel
獣兵衛

そうだ! 飲み込みの早い奴は嫌いではないぞ!

Jubei
シエル

先ほど別の訓練をされている方々が口にしていました。 返答の言葉だったのですね。

Ciel
獣兵衛

観察眼もあるようだな、大変よろしい。 だが、今は余計な言葉を口にするな!

Jubei
シエル

サー、イエッサー。

Ciel
ラーベ

ちょっと待て!! 待てって!

Raabe
ラーベ

シエルはなんか馴染んでるみたいだが、おかしいだろ!? さっきと全然態度が違うじゃないか!!

Raabe
獣兵衛

ははーん、さては素人だな? いいか。それがブートキャンプの流儀だ!

Jubei
ラーベ

口汚く罵るのと、『サー、イエッサー』がか!?

Raabe
獣兵衛

そうだ。

Jubei
ラーベ

くっ……それが正義だと信じて疑わない顔だな……。

Raabe
ラーベ

いや、郷に入りては郷に従えか……。 流儀があるというのなら、なるべく従おうじゃないか。

Raabe
ラーベ

ちょっと意味はよくわからないけどもだ。

Raabe
ラーベ

ただ心の準備もできてないうちから、フルスロットルで 流儀押し通されても戸惑うんですけど!?

Raabe
獣兵衛

ふーむ……それもそうか。

Jubei
獣兵衛

確かに、お前たちは流れでキャンプに参加したのであって、 ここがどんな場所なのかを知らずに来たのだからな。

Jubei
獣兵衛

すぐについてこられないのも、無理はない。

Jubei
ラーベ

理解力のある指導者で嬉しいよ……。

Raabe
獣兵衛

指導者というのは堅苦しくていかんな。 他の者と同じように、『師匠』と呼んでくれて構わないぞ。

Jubei
シエル

サー、イエッサー。

Ciel
ラーベ

馴染み方がすごい。

Raabe
シエル

いえ、獣兵衛さんの豹変には驚いています。

Ciel
シエル

ただ、訓練所内の様子をあらかじめ目にしていましたので、 それに倣いました。

Ciel
獣兵衛

なかなか見込みがある。その調子で、食いついてこい。

Jubei
獣兵衛

よし。では実際のトレーニングに入る前に、 改めてこのキャンプの趣旨を説明しておこう。

Jubei
獣兵衛

このブートキャンプは、強靱な肉体と精神を手に入れることを 目的としている。ただし、負荷レベルの基準は獣人だ。

Jubei
獣兵衛

俺たち獣人をトレーナーとし、獣人のような 強靱な体力と優れた身体能力を手に入れる為の訓練を行う。

Jubei
獣兵衛

それがジューベーズブートキャンプだ!

Jubei
シエル

はい。質問してもよろしいでしょうか? 獣人とはなんですか?

Ciel
シエル

そういった種族が存在する、という情報は得ておりますが、 具体的にどのような方々のことを指すのか教えていただきたいです。

Ciel
獣兵衛

いいだろう。

Jubei
獣兵衛

簡単に言えば、俺やさっきのふたりのような、 人間と獣の特色を併せ持った種族のことだ。

Jubei
獣兵衛

魔術的な手法でもって、人為的に生み出されたのが 始まりとされている。

Jubei
獣兵衛

人間よりも長寿な者が多くてな。俺はかなり古い獣人だ。 マコトなんかは若い獣人だな。

Jubei
獣兵衛

タイプは様々あって、俺は見ての通り かなり獣としての特徴が主体となっている。

Jubei
獣兵衛

マコトはリスの獣人だ。俺とは違い、どちらかというと 人間的な容姿の特徴が目立って現れているタイプになる。

Jubei
ラーベ

さっきのふたりって……ヴァルケンハインも獣人なのか? 見た目は普通の人間だが……。

Raabe
獣兵衛

ああ。奴はちょっと特殊でな。 人狼……ライカンスロープと呼ばれる、より古い種族だ。

Jubei
獣兵衛

人の手で生み出された獣人ではない。

Jubei
獣兵衛

いずれにせよ、獣人は人に比べ高い身体能力を持っている。 脚力、腕力、持久力……体を使うことは、通常の人間より得意だ。

Jubei
獣兵衛

その獣人の肉体に近付こう、追いつこう! いや凌駕しよう!

Jubei
獣兵衛

そういう、人間の限界を突破することを、 我がキャンプは目標としている。

Jubei
獣兵衛

どうだ? 獣人とキャンプについて、少しは理解できたか?

Jubei
シエル

はい。ありがとうございます。

Ciel
獣兵衛

他に質問はあるか? なければ、そろそろ……。

Jubei
ラーベ

じゃあついでに質問。さっきの口汚いアレは必要なのか? 体を鍛えることと、罵声を受けることは関係ないんじゃないか?

Raabe
獣兵衛

いいや、大いに関係がある。 あれは昔に作られた、心を作り替えるための方法でな。

Jubei
獣兵衛

参加者の個性を否定し、言われるがままにただひたすら 体を鍛え上げるマシーンに作り替えるための物だ。

Jubei
ラーベ

おい、なんかさらりと酷いこと言ったぞ。 個性を否定つったか!?

Raabe
獣兵衛

よし! サービスタイムは終了だ! 十分に時間は与えた。 ひよっこども、心と筋肉は暖まったな!

Jubei

1: '
2: サーイエッサー!

1:
2:

獣兵衛

よし。まだ微塵も育っていない怠惰な筋肉たちには とりあえずトイレ掃除からでも始めてもらうところだが……。

Jubei
獣兵衛

先に鍛えている少しはマシなひよっこどもに、 一刻も早く追いつかねばならん。

Jubei
獣兵衛

着いてこい! 特別メニューだ!

Jubei
シエル

サー、イエッサー!

Ciel
獣兵衛

ふざけるな! もっと声を張れ!

Jubei
シエル

サー、イエッサー!!

Ciel
ラーベ

……マジでこれやるの? ホントに?

Raabe
獣兵衛

集合!

Jubei
シエル

はぁ……はぁ……。

Ciel
獣兵衛

最初でこのペースか。今回のひよっこは少しはまともなようだ。 喜べ、次のランニングはもっとペースをあげてやろう!

Jubei
ラーベ

い、今ので全力じゃないのか……。

Raabe
ラーベ

シエルが息をあげるようなランニングだぞ。 獣人の体力はどうなっているんだ?

Raabe
獣兵衛

そこ! お前走ってないな! 俺は走れと言ったんだ! 飛べとは指示していない!

Jubei
ラーベ

いや無理だから。足ないし。

Raabe
獣兵衛

口答えか! ひよっこにそんな知能はいらん! 今すぐ捨てろ、わかったか!

Jubei
獣兵衛

返事は!?

Jubei
ラーベ

サ、サー、イエッサー……。

Raabe
獣兵衛

声が小さい! 腹の底から声を出せ! 腹がどこかはわからんが!

Jubei
ラーベ

サー! イエッサー!

Raabe
獣兵衛

お前たちはまだ卵の殻も取れないひよっこだ。 そんな状態で訓練したら、殻が取れる前に死んでしまうぞ!

Jubei
獣兵衛

そこで惰弱な筋肉を少しでも使えるように、相手を用意した!

Jubei
シエル

敵性反応です!

Ciel
獣兵衛

こいつらを蹴散らせ。薄っぺらな筋組織に喝を入れて、 目を覚まさせろ。

Jubei
獣兵衛

お前たちが鍛え甲斐のあるひよっこだということを 証明しろ!

Jubei
ラーベ

サー! イエッサー!

Raabe
獣兵衛

この程度の奴にやられてみろ。 一生泣いたり笑ったり出来ないようにしてやる!!

Jubei
シエル

サー! イエッサー!

Ciel

1: '
2: サーイエッサー!

1:
2:

第3節 打つべし打つべし!/

Summary
スパルタを貫く獣兵衛は追加の教官としてマ

コトを招集。次なる訓練は『攻撃』。俊敏性 と筋肉の活用方法を、実戦形式で学ぶ。

シエル

はぁ……はぁ……。 対象の、殲滅を確認……周囲の敵性反応、ありません。

Ciel
ラーベ

はー、やっと片付いたかぁ……。 長かった。次から次へと……。

Raabe
シエル

はい。多少こたえました……。

Ciel
シエル

ですが、レイさんのおかげで助かりました。 お怪我はないですか?

Ciel
獣兵衛

お疲れ様。よくやったな。 ウォーミングアップにはちょうどよかっただろう。

Jubei
ラーベ

あれでウォーミングアップなのか……。 この先がちょっと不安になってくるな。

Raabe
獣兵衛

なにを甘えたことを言ってる。この程度で根を上げるような、 たるんだ精神の弟子を持った覚えはないぞ!

Jubei
獣兵衛

お前たちクソが目指すのは、飽くなき闘争心で自らの筋肉を 鍛え抜く筋トレマシーンだ。

Jubei
獣兵衛

筋トレマシーンに心は不要。心を殺せ! 魂にこびりついた贅肉を そぎ落とせ! 貧相な体を無心で鍛え上げろ!

Jubei
ラーベ

サーイエッサー!

Raabe
シエル

ラーベさん。 響くような良い返事です。

Ciel
ラーベ

いや……こう言わないと長くなるじゃん……。

Raabe
シエル

師匠。ウォーミングアップは十分です。

Ciel
シエル

もしよろしければ、 他のトレーニングもご教示いただけないでしょうか。

Ciel
獣兵衛

うむ、よし。お前たちは入隊直後のひよっこ共だからな。 その身にたっぷり、俺流を感じてもらうとしよう。

Jubei
獣兵衛

種族の壁を越えて、我等獣人の領域へと到達するまで、 徹底的にしごき倒してやるから覚悟しておけ!

Jubei
獣兵衛

というわけで、だ。

Jubei
マコト

はいはーい! 出番だね、師匠!!

Makoto
マコト

改めましてこんにちは、マコト=ナナヤだよ。 師匠のジューベーズブートキャンプにようこそ!

Makoto
マコト

このキャンプを通過すれば、誰でもあたしくらい強烈なパンチを 繰り出せる! ……ようになるかもね。

Makoto
獣兵衛

よく来たな、マコト=ナナヤ教官。

Jubei
獣兵衛

いいか、ひよっこ共! 次なる訓練は、彼女に見てもらう!

Jubei
獣兵衛

訓練内容は大雑把に言って……『攻撃』だ!

Jubei
獣兵衛

鍛え上げられた筋肉が最高にしなやかに踊るときはいつか! それは鋭く強烈な一撃を繰り出すときだ!

Jubei
シエル

攻撃……なるほど。筋力は攻撃力に直結する。 パワーこそ力ということですね。

Ciel
獣兵衛

そうだ!

Jubei
獣兵衛

ここはブートキャンプだからな。 基本的には戦闘することを前提に鍛えていくわけだが……。

Jubei
獣兵衛

その最も基本となる『攻撃』について、 マコト教官からじっくりみっちり指導してもらえ!

Jubei
シエル

サー、イエッサー!

Ciel
マコト

いい返事だね! それじゃあよろしく!

Makoto
ラーベ

ああ……ってことは、 やっとあの変なテンションから解放されるのか――

Raabe
マコト

こらそこ! なに勝手にしゃべってるの! 許可されてないのに口を利くんじゃない、ひよっこボール!

Makoto
ラーベ

ええ!? このノリ続くの!?

Raabe
マコト

なぁんてね。あいたた……師匠の受け売り。 あたしはそういうノリ、得意じゃないから安心して。

Makoto
マコト

でも、教官としての指導は負けじとスパルタでいくよ!

Makoto
シエル

サー、イエッサー。

Ciel
マコト

あはは、いいね! なんか気分出てきた!

Makoto
マコト

それじゃあまずは……問題です。 獣人っていっても色んなタイプがいるんだけど。

Makoto
マコト

ずばり、あたしはなんの獣人でしょう!

Makoto

1: その大きな尻尾からして……リス!
2: その小さな耳からして……ねずみ!

1:
2:

マコト

ぴんぽんぴんぽーん! 大正解! そう、あたしはリスの獣人。

Makoto
マコト

このもふもふの尻尾と、頭の上のちょこんとした 三角の耳が特徴的でしょ。

Makoto
マコト

ちっが〜〜〜〜〜〜う!! よく見て、耳、かわいくちょこんとした三角でしょ?

Makoto
マコト

尻尾だってこんなにもふもふなのに……。 ねずみじゃなくて、あたしはリスの獣人!

Makoto
マコト

獣人は『亜人種』なんて言われることもあるよ。 要は、人に近いけど人じゃない種族……って感じかな。

Makoto
マコト

獣人は全体的に体を使うことが大得意だけど、 特に姿形に現れている動物の特性が強く現れる。

Makoto
マコト

あたしの場合はリス特有の、すばしっこさ! それにジャンプ力と、意外とある腕力が自慢だよ。

Makoto
マコト

それらを駆使して、シュバッと相手の懐に潜り込み、 シュバババッとこぶしを叩き込むのがあたしのファイトスタイル。

Makoto
ラーベ

獣人の俊敏性を生かしたインファイターってことか。

Raabe
マコト

あ、いいねその言い方、かっこいい!

Makoto
マコト

キャンプで鍛えた筋肉も、使い方がわからなければ 宝の持ち腐れ。

Makoto
マコト

筋肉はコレクションじゃない。 使ってこそ生きるんだよ!

Makoto
ラーベ

ただの脳筋かと思いきや、 教官らしいことを言うじゃないか。

Raabe
マコト

でっしょー。

Makoto
マコト

攻撃で大きなダメージを出すには、とにかく 打つべし打つべし打つべし! ……と言いたいところだけど。

Makoto
マコト

なにも考えずにガンガン打撃を繰り出すよりも、相手に隙を 与えないようスムーズに攻撃を繋げていくことが重要だよ。

Makoto
マコト

特にあたしみたいなラッシュタイプの人は、コンボが大事! まず当てる! そして必殺の一撃に繋げるんだ!

Makoto
マコト

って口で言っても、よくわかんないよね。 だから体で覚える!

Makoto
マコト

さあ、あたしにガンガン打ち込んできて! ただし大きなダメージを狙えるよう、本能で考えて!

Makoto
シエル

ほ、本能、ですか?

Ciel
マコト

そう! 内なる野性を呼び覚ませ! 敵を確実に沈めるために、今どんな攻撃が最適か……。

Makoto
マコト

嗅覚で嗅ぎ分けるんだよ!

Makoto
ラーベ

本能の次は嗅覚か! 獣人ってマジメにそんな直感で戦ってるの……?

Raabe
マコト

少なくともあたしはそう! さあ、御託はいいからかかってこい、ひよっこ共!!

Makoto
シエル

サーイエッサー!

Ciel
シエル

行きましょう、レイさん!

Ciel
マコト

あたしとあたしの鍛えた弟子たちに、 君たちのこぶしが通るのか……勝負だ!

Makoto

ーーー/

Summary
一行の思いが乗ったパンチを称えるマコト。

小休憩を挟み、言葉を交わすもつかの間、す ぐに次なる鍛錬へと走り去ってしまった。

マコト

はーい、それまで!

Makoto
マコト

お疲れ様ー! すごいよ、いいパンチだった! 痺れちゃったな〜!

Makoto
シエル

ありがとうございます。これも、ご指導のおかげです。

Ciel
マコト

え? え、えへへ、やだなぁもう。 そんな風に言われると照れちゃうよ。

Makoto
マコト

でも、お世辞でもなんでもなく、いいパンチだったよ。 打撃の強さはもちろんだけど、気持ちが乗ってた!

Makoto
シエル

気持ち……ですか?

Ciel
マコト

うん。特にレイ。

Makoto
マコト

こんにゃろ! とか。やってやる! とか。 あーもうしんどい! とか。

Makoto
マコト

あっはは、わかるよ、そう思う気持ち! あたしも強くはなりたいけど、厳しい訓練とか好きじゃないし。

Makoto
マコト

でも、それでも頑張ろうっていう姿勢が、 きっと君を強くするよ!

Makoto
マコト

さってと……師匠はまだ他の訓練を見てるみたいだし。 こっちはちょっと休憩しよっか。

Makoto
ラーベ

いいのか? スパルタが信条なんじゃないのか?

Raabe
マコト

なに、物足りない? だったらもっとやってもいいけど……。

Makoto
マコト

なんてね。自分のペースが掴めていない最初のうちは、 適度な休憩も大事だよ。はい、水分。

Makoto
シエル

あ……ありがとうございます、マコトさん。

Ciel
マコト

ビシバシし続けてると、あたしも疲れちゃうしねー。 よっこいしょっと。

Makoto
マコト

それで、どう? キャンプ、参加してみて。 しんどい?

Makoto

1: だいぶしんどいです
2: 鍛えるって楽しい!

1:
2:

シエル

レイさんは、 普段から戦闘のために訓練を積んでいる方ではありません。

Ciel
シエル

こういう実戦形式のトレーニングは不慣れでしょうし、 無理もないかと思います。

Ciel
マコト

そっかぁ、そうだったんだ。 だったら、ここはちょっと大変かもね。

Makoto
マコト

師匠、やるとなったらとことん! って人だからさ。 でも本当の無理はさせない……はずだから。大丈夫だよ!

Makoto
マコト

……たぶん。

Makoto
マコト

おっ! 肉体改造に快感を見出すタイプ? わかるよ! 鍛えるって楽しいよね!

Makoto
マコト

昨日までできなかったことが、今日ついにできるように なったりさ。

Makoto
マコト

着々と自分が変わっていくのを実感できると、 ぐわーっと魂が満たされてく気がするの!

Makoto
シエル

魂が満たされる……。充実感のようなものでしょうか。

Ciel
マコト

そうそう。あと、達成感とか! そういうのがさぁ、やみつきにさせるんだよね〜。

Makoto
シエル

……独特な雰囲気に始めは少し戸惑いましたが、 獣兵衛さんやマコトさんのご指導は実践的なものばかりです。

Ciel
シエル

改めて自分を鍛え直すこともできます。 この場を設けていただいたことに感謝しています。

Ciel
ラーベ

確かに、いい経験にはなってるだろうな。 専門的な指導ってやつはそうそうどこでも受けられるもんじゃない。

Raabe
ラーベ

それにしても、獣人っていうのはすごいな。 獣兵衛が言っていた通り、明らかに身体能力が人間を上回っている。

Raabe
シエル

はい。それに、優れた運動機能を、 非常に効率よく使用しているように思えます。

Ciel
シエル

戦闘行為に限らず、その能力は素晴らしいものです。

Ciel
マコト

え、そう? そう言ってもらえると嬉しいな〜。 えへへ。

Makoto
マコト

……ちょっぴり力が強くて、ちょっぴり足が速いけど。 だからって、すごいって言ってもらえるばっかりじゃないからね。

Makoto
ラーベ

含みのある言い方をするじゃないか。 その様子だと、蔑まれることもあるわけか。

Raabe
マコト

まあねー。

Makoto
マコト

やっぱりほら、見た目は明らかに普通の人と違うわけじゃん。 耳があって、尻尾があって。人によっては爪とか牙とか。

Makoto
マコト

気味が悪い、って思われることも多いよ。 嬉しくない言葉を投げられたりさ。

Makoto
ラーベ

ふーむ。種族間の差別意識か……。

Raabe
シエル

そんな……。マコトさんはとても強くて、とても優しい、 素晴らしい教官です。

Ciel
シエル

気味が悪いという言葉が適切とは思えません。

Ciel
マコト

あはは、ありがと。あたしのことは心配いらないよ、大丈夫。

Makoto
マコト

昔は色々あったけど……獣人だとかそういうのじゃなく、 あたしを個人として見てくれる友達に出会えたからね。

Makoto
ラーベ

それはなによりだ。

Raabe
シエル

……はい。

Ciel
マコト

だからって、獣人への差別感情がなくなるわけじゃないけど。 でもそういう人ばっかりじゃないって、わかってる。

Makoto
マコト

……さて! それじゃ、休憩終わり!

Makoto
ラーベ

え、もう……?

Raabe
マコト

休憩しすぎも良くない! それに、鉄は熱いうちに打てって言うでしょ。

Makoto
マコト

筋肉も同じ。動く内に徹底的に叩いて叩いて叩きぬく!

Makoto
マコト

それじゃ次行こう! 一緒にワイルドビューティな肉体を作ろうね!

Makoto
ラーベ

割と話の出来る奴だと思っていたが、 あいつもキャンプの参加者なんだよな。

Raabe
ラーベ

脳筋仕様なのを忘れてた……。

Raabe
シエル

ラーベさん、マコトさんを見失います。急ぎましょう。

Ciel
ラーベ

サーイエッサー。

Raabe

第4節 カカ族式生き残り術/

Summary
新たな教官としてチャチャカカが登場。けだ

るげな彼女から『戦場での生き残り術』につ いて、死ぬ気でちゃちゃっと学ぶことに。

チャチャカカ

ひよっこども、すとーーーーっぷニャス!!

Chachakaka
チャチャカカ

よしよし、しっかりキャンプを楽しんでるニャスね……。 お前たちの筋肉は喜んでるニャスか?

Chachakaka
シエル

サーイエッサー。

Ciel
チャチャカカ

いい返事ニャス。そっちの丸っこいお前はどうニャス? 筋肉喜んでるニャスか?

Chachakaka
ラーベ

サー! イエッサー!

Raabe
チャチャカカ

ふざけるな! 腹の底から声出せニャス! オマエの肺は飾りニャスか!

Chachakaka
ラーベ

ええ!? いや、私のほうがシエルより声出てただろ……!

Raabe
ラーベ

というか筋肉も腹もないんだが。

Raabe
チャチャカカ

貴様! 教官に口答えニャスか!?

Chachakaka
ラーベ

サーノーサー!

Raabe
チャチャカカ

生まれたてのひよっこが口答えなんて百万年早いニャス! せめてあと10回ほど生まれ変わってからにしろニャス!

Chachakaka
ラーベ

サーイエッサー!!

Raabe
チャチャカカ

そうニャス! やれば出来るニャス!

Chachakaka
チャチャカカ

……このテンション、ダルいニャスね……。 師匠はよくこんなことやってられるニャス……。

Chachakaka
ラーベ

じゃあ、やらなきゃいいのに……。

Raabe
チャチャカカ

オマエ、生意気ニャスね。 反抗的ニャス。

Chachakaka
ラーベ

サーノーサー!

Raabe
チャチャカカ

やっぱり生意気ニャス。

Chachakaka
チャチャカカ

あ〜、訓練とかしょーじきめんどっちー……。 なんかもうよくない? って気分ニャスけど……。

Chachakaka
チャチャカカ

でも他ならぬ獣兵衛師匠から頼まれたことニャスからね。 しょうがない、やってやるニャスか。

Chachakaka
シエル

質問してもよろしいでしょうか、チャチャカカ教官。

Ciel
チャチャカカ

なんニャスか、ひよっこ?

Chachakaka
シエル

チャチャカカさんにとって、獣兵衛さんは特別な方なのですか? 獣兵衛さんの頼みなら、とおっしゃっていました。

Ciel
チャチャカカ

あ〜、そうニャスねぇ……。 まー、特別って言えば特別ニャスけど……。

Chachakaka
チャチャカカ

あ、じゃあこうするニャス!

Chachakaka
チャチャカカ

チャチャの訓練をちゃちゃっと終えてくれたら、 そのことを教えてあげるニャス。

Chachakaka
チャチャカカ

チャチャはオマエたちひよっこを鍛えて、立派な獣人級の戦士に してやらないといけないニャス。

Chachakaka
チャチャカカ

そのために死ぬ気で協力しろニャス。

Chachakaka

1: 早く終わりたいんですね
2: 死ぬ気で協力とは……?

1:
2:

チャチャカカ

そうニャス。オマエ、物分かりがいいニャスね。 気に入ったニャス。

Chachakaka
チャチャカカ

言葉の通りニャス。休みなく必死に訓練して訓練して……。

Chachakaka
チャチャカカ

自分のことよりも、 チャチャの仕事を早く終わらせることだけ考えろニャス。

Chachakaka
ラーベ

うーん、清々しいほどのサボり主義。

Raabe
チャチャカカ

効率重視と言えニャス。チャチャはそうやって、 世知辛い世の中を渡り歩き、生き残ってきたニャスよ。

Chachakaka
チャチャカカ

というわけで、チャチャが今から教えるのは、 戦場での生き残り術ニャス。

Chachakaka
チャチャカカ

社会の中でも己を貫くギャルがごとき生命力と、 どんな場所でも気にしないカカ族がごとき順応力を授けようニャス。

Chachakaka
ラーベ

おっ、なんかちょっとそれっぽくなってきたな。

Raabe
チャチャカカ

戦闘において非効率的なことといえば、倒れることニャス。 倒れたらなにもできないし、お腹もすくし……。

Chachakaka
チャチャカカ

時間かかるし。モーションとかあるし。スキル減るし。

Chachakaka
チャチャカカ

まー、その方が効率的になる場面もあるっちゃあるニャスけど…… それは今回、置いておくとして。

Chachakaka
チャチャカカ

丈夫な奴が攻撃を受け止める! とにかく回復して回復して 回復しまくる! 避けるやつにターゲットを集める!

Chachakaka
チャチャカカ

倒れないためにとれる作戦も色々あるのニャス。

Chachakaka
シエル

……案外、ためになることをおっしゃっています。

Ciel
チャチャカカ

おいオマエ。案外とはなんニャスか。

Chachakaka
シエル

はっ、失礼しました!

Ciel
ラーベ

気持ちはわかるぞ、シエル。 ちょっとカカ族のイメージと違ったもんな。

Raabe
チャチャカカ

カカ族のことをなんだと思ってるニャスか。

Chachakaka
ラーベ

食欲大魔神。 仕事より昼寝。

Raabe
チャチャカカ

オマエ、カカ族に詳しいニャスね〜。

Chachakaka
チャチャカカ

気分がいいニャス。そんじゃぁこのいい気分のまま、 実戦訓練開始するニャス!

Chachakaka
シエル

サーイエッサー! がんばります!

Ciel
チャチャカカ

カカ族式のボコスカ戦闘、見事生き残ってみろニャス!!

Chachakaka

ーーー/

Summary
訓練は無事終わり、チャチャカカは柄になく

スパルタ教官を務める理由を語った。一行は 思いがけず、獣兵衛とカカ族の過去を知る。

チャチャカカ

ふいー疲れたニャス……。 はい、きゅーけー。

Chachakaka
シエル

ありがとうございました!

Ciel
シエル

……大丈夫ですか、レイさん。 かなりハードな訓練でした。

Ciel
ラーベ

普段とぼけた印象が強いが、いざ戦ってみると カカ族ってやつはかなりの強敵だな。

Raabe
チャチャカカ

ふっふーん、そうだろニャス。 カカ族は意外とやるのニャス。

Chachakaka
チャチャカカ

でももう疲れた〜ニャス。そもそも柄じゃないニャス、こういうの。 チャチャはもっとのんびり楽して暮らしてたいニャス〜。

Chachakaka
シエル

それなのに教官役をやってくださったのは、 やはり獣兵衛さんのためなのですか?

Ciel
チャチャカカ

ああ、そういえばその話をするって約束だったニャスね。

Chachakaka
チャチャカカ

ん〜、 師匠のため、っていうほど大層な話じゃないニャスけどね。

Chachakaka
チャチャカカ

でも獣兵衛師匠が、チャチャたちカカ族にとって特別なのは、 間違いないニャス。

Chachakaka
チャチャカカ

カカ族っていうのは、ずーっと昔にあった大きくて激ヤバな 戦争のときに、兵力として生み出されたのが始まりなのニャス。

Chachakaka
ラーベ

生み出された? カカ族は作られた種族なのか?

Raabe
チャチャカカ

そうニャスよ。そういう意味では、獣人と似てるニャスね。

Chachakaka
チャチャカカ

最初の開発のときに、遺伝子サンプルを提供したのが、 獣兵衛師匠だと聞いてるニャス。

Chachakaka
チャチャカカ

だから獣兵衛師匠はいわばカカ族の始まり、 みんなのお父さんみたいな存在ニャス。

Chachakaka
シエル

そうだったんですか……。

Ciel
チャチャカカ

そうだったのニャス。

Chachakaka
チャチャカカ

戦争が終わって、生き残ったカカ族のほとんどは ひっそり暮らしているニャス。

Chachakaka
チャチャカカ

そういう場所では、獣兵衛師匠の話が伝説みたいに 語り継がれているニャスよ。

Chachakaka
チャチャカカ

それにちょくちょく師匠が、里に遊びに来てくれるらしい ニャスから、基本的にみんな師匠が大好きなのニャス。

Chachakaka
チャチャカカ

まー、チャチャはあんまそーゆーの、 気にしてないニャスけどね。

Chachakaka
チャチャカカ

よし。そんじゃー、これで訓練終わり! 立派にひと仕事終えたチャチャは、お昼寝してくるニャ〜ス。

Chachakaka
ラーベ

あ、おい、私たちはどうすればいいんだ?

Raabe
チャチャカカ

知らんニャス。 まーだ筋肉鍛え足りないなら、自主トレでもしてろニャス。

Chachakaka
チャチャカカ

ま、そのうち獣兵衛師匠が見に来てくれるニャスよ。 そんじゃ〜ニャ〜ス。

Chachakaka
ラーベ

適当だなぁ〜。 まあ、そういうのがカカ族連中のいいところか。

Raabe
シエル

はい、そう思います。

Ciel
ラーベ

しかし、思いがけず興味深い話が聞けたな。

Raabe
ラーベ

チャチャカカもタオカカも、元は獣兵衛の遺伝子から 生み出されたとは。

Raabe
ラーベ

そのうえ目的は戦争の道具だ。 普段のあの様子からは、とても想像できない。

Raabe
シエル

ですが戦力として十分な能力を持っていることは、 今身をもって思い知りました。

Ciel
ラーベ

そうだな。……さて、と。

Raabe
ラーベ

チャチャカカもいなくなったことだし、そろそろ 我々の本当の目的に移ろうか。

Raabe
シエル

次の訓練ですか?

Ciel
ラーベ

違う! 観測者探しだよ!!

Raabe
ラーベ

本当の目的を忘れるんじゃない!

Raabe
シエル

そういえば……そうでした。

Ciel
ラーベ

訓練場はそれほど広くはないし、 軽く情報収集と行こうじゃないか。

Raabe
ラーベ

だけど教官どもに見つかったら厄介だ。 トレーニングしている風で移動しよう。

Raabe
シエル

了解しました。

Ciel

第5節 腹が減っては戦はできぬ/

Summary
キャンプに戻ると獣兵衛が現れ、休憩を兼ね

たピクニックを提案した……が、結局タオカ カ監督の下、多数の魔物と戦闘することに。

獣兵衛

おっ、ひよっこどもじゃないか。

Jubei
ラーベ

しまった、さっそく見つかったか……。

Raabe
獣兵衛

調子はどうだ? そろそろ殻が取れて よちよち歩きくらいはできるようになったか?

Jubei
シエル

サーイエッサー。

Ciel
獣兵衛

む、レイは真剣に訓練をこなしていたようだな。

Jubei
獣兵衛

いい面構えになってきた。 今にも倒れそうじゃないか。

Jubei
ラーベ

レイ? どうした、顔色が悪くないか?

Raabe
シエル

さすがに疲労がたまっているのだと思います。

Ciel
シエル

長時間歩き続けるような環境とはまた違う、 身体的負担のかかり方をしているでしょうから。

Ciel
獣兵衛

いいぞ、そうやって自らの肉体を追い込むんだ!

Jubei
獣兵衛

強靭な肉体は、体を苛め抜いた者に宿る! 人は限界を感じて初めて、さらなる伸びしろが生まれるのだ!

Jubei
獣兵衛

だが……倒れてしまってはせっかくの 肉体のゴールデンタイムが無駄になってしまう。

Jubei
獣兵衛

よし、喜べお前たち。 休憩がてら、ピクニックに行こうではないか!

Jubei
シエル

ピクニック……ですか。

Ciel
獣兵衛

そうだ! そこらの森に入れば、美しい景観を楽しみながら 山菜だって取れる。

Jubei
獣兵衛

森の中は涼しいし、休憩にはもってこいだ。

Jubei
ラーベ

え、なんか急にすごく優しくない?

Raabe
獣兵衛

ただ、森の中は魔獣だらけだからな。 ついでにそいつらを倒しまくる! 実戦形式のトレーニングだ!

Jubei
獣兵衛

安心しろ、森の中に罠はない。 丸太が降ってきたり、落とし穴にかかることもない。

Jubei
獣兵衛

教官としてタオも連れて行ってやろう。 だから安心して進むといい、はっはっは!

Jubei
ラーベ

はっはっはって笑ってるけどなぁ! 魔獣いるんなら休憩にならないだろ!?

Raabe
獣兵衛

つべこべ言うな! さあ、ついてこい!

Jubei
タオカカ

ふんふ〜ん、ピクニック、ピクニック、ピクニック〜。 ピクニック〜は〜楽しい〜ニャス♪

Taokaka
ラーベ

そこら中から魔獣の唸り声が聞こえてくる中、 これだけ陽気に歌えるのは見上げた胆力だな。

Raabe
ラーベ

周りの状況だけ考えたら、全然楽しそうな雰囲気ないぞ。

Raabe
タオカカ

ん? 丸い人、ピクニック嫌いニャス? タオは好きニャス!

Taokaka
タオカカ

なぜなら……ピクニックにはお弁当があるから! ニャス!!

Taokaka
ラーベ

のんきなもんだ。 ……シエル、レイの様子はどうだ?

Raabe
シエル

はい、木陰で少し座っているうちに、顔色はよくなってきました。 心拍と発汗も安定しています。

Ciel
シエル

もうしばらく休んでいれば、 問題なく動けるようになると思います。

Ciel
ラーベ

そうか、よかった、よかった。

Raabe
ラーベ

本題の観測者探しのときにレイが 倒れていたら、シャレにならないからな。

Raabe
ラーベ

それにいつ魔獣が現れるかも……。

Raabe
???

グオオオオオォォォ!!

???
ラーベ

言ったそばから、ほらきた!!

Raabe
タオカカ

な〜にをぼさっとしてるニャスか、ひよっこども!

Taokaka
タオカカ

今こそお前たちのトレーニングの成果を見せろニャス!

Taokaka
タオカカ

ヨワヨワな筋肉を奮い起こし、自分が無能でないことを 証明しろニャス!!

Taokaka
シエル

サー、イエッサー。

Ciel
魔物

ゴアアァァ!!

ーーー/

Summary
疲労回復のためにココノエの診察を受け、休

んだあとは食事の時間。キャンプの面々と共 に、ワイルドすぎる肉料理を堪能した。

シエル

……周辺に敵性反応なし。 対象の排除、完了しました。

Ciel
ラーベ

数はどうだろう。 タオカカよりは倒せたんじゃないかと思うんだが……。

Raabe
タオカカ

ニャッハッハ、わかんないニャスよ〜。 タオだってたくさん倒したニャス。

Taokaka
タオカカ

大漁、大漁ニャ〜ス!

Taokaka
獣兵衛

おお、倒してきたか。よくやったぞ3人とも。 いい闘争心だ。トレーニングの成果が出ているな。

Jubei
獣兵衛

ただ……レイは今度こそ本当に限界のようだな。 仕方ない、いったん本格的に休ませるか。

Jubei
獣兵衛

とにかくいったん休め。

Jubei
シエル

あ……ありがとうございます。

Ciel
シエル

このまま『ピクニック』なる特殊訓練が続くようであれば、

Ciel
シエル

私がレイさんをおぶって参加しようかと 考えていたところでした。未遂ですんでなによりです。

Ciel
獣兵衛

はっはっは! 助け合う心はいいものだ。 だがおぶる必要はないぞ。

Jubei
獣兵衛

キャンプに戻ろう。救護用テントがあるからそこで休め。 その後に、食事にしよう。

Jubei
獣兵衛

食事は俺が用意してやる。

Jubei
タオカカ

やったニャス! 師匠のご飯はうまいニャスよ!

Taokaka
ラーベ

危うくレイを失うところだった……。 救護テントまで、頑張れよ、レイ。

Raabe
ココノエ

要救護者か。症状は……どう見ても過剰な肉体疲労。 シンプルにスタミナ切れだな。

Kokonoe
ココノエ

そこのベッドを使って、少し眠っておけ。 今、栄養剤と水分補給用のドリンクを持ってきてやる。

Kokonoe
ココノエ

私のオリジナルレシピ、特性だ。

Kokonoe

1: それは……安全なものですか?
2: ありがとうございます、助かる……

1:
2:

ココノエ

ふふん。貴様は今、安全性など選べる立場か? 黙って大人しく指示に従え、ひよっこ。

Kokonoe
ココノエ

そう、安心しろ。 私が看てやるんだ、たちまち見違えるように助かるとも。

Kokonoe
シエル

ありがとうございます、ココノエさん。

Ciel
ココノエ

そっちはまだまだやれそうだな。 小娘の見た目からは想像もできないタフネスだ。

Kokonoe
シエル

私は戦闘訓練を受けていますから、これくらいの負荷でしたら 想定範囲内です。

Ciel
ココノエ

頼もしいことだ……。

Kokonoe
ラーベ

ココノエが、このキャンプの救護担当なのか。

Raabe
ココノエ

うん? 私のことを誰かに聞いたのか? その通りだ。天才軍医ココノエと呼んでくれ。

Kokonoe
シエル

ココノエさんも……獣人、なのですか?

Ciel
ココノエ

……違うように見えるか?

Kokonoe
シエル

いえ、耳や尻尾などの特徴が、他の方々と一致しています。 獣人なのだろうとは思うのですが……。

Ciel
シエル

それにしては、生体反応の質が人間に近いようにも思います。

Ciel
ココノエ

なるほど。貴様の感覚 (センサー) はかなり優秀なようだな。

Kokonoe
ココノエ

……別に隠すようなことでもないから、構わんが。 私は純粋な獣人ではない。獣人と人間の混血 (ハーフ) だ。

Kokonoe
ラーベ

混血? へえ。人と獣人の混血児なんてのも存在するんだな。

Raabe
ココノエ

稀にな。普通はあまりない。 姿や生活様式は近くても、あくまで種族としては別のものだ。

Kokonoe
ココノエ

だからまあ……両親の嗜好が特殊だったんだろう。

Kokonoe
ココノエ

……特性ドリンクは飲んだな? だったら少し眠れ。睡眠が持つ回復能力を侮るな。

Kokonoe

…………。 ……………………。

シエル

……眠ってしまったのでしょうか。呼吸、安定しています。

Ciel
ココノエ

それはなにより。少し無理をさせすぎだな。 指導役にあとで忠告しておくか。

Kokonoe
ココノエ

そいつは訓練などろくに受けてきていない、素人の人間だ。 多少手を抜いているとはいえ、獣人についていけるわけがない。

Kokonoe
ココノエ

……戦闘用に調整されているお前とは違うんだからな。

Kokonoe
シエル

……それは……。

Ciel
ラーベ

ごまかしは通用しない相手だろうな。 シエルが素体であることを、一目で看破したか。

Raabe
ココノエ

心配するな。別に素体だからといって、どうこうするつもりはない。 そんな必要はないしな。

Kokonoe
シエル

おっしゃる通り、私は素体です。 レイさんの護衛を任務としています。

Ciel
シエル

ですからどのような状況下でも、レイさんより先に 活動限界を迎えるわけにはいきません。

Ciel
シエル

そのために、現在も日々訓練しています。

Ciel
ココノエ

であれば、獣人のキャンプくらいわけもないな。

Kokonoe
シエル

……いえ、決してそういうわけではありません。 結構しんどいです。

Ciel
ラーベ

あ、そうなの?

Raabe
ココノエ

ふっ……くくっ、そうか。

Kokonoe
ココノエ

あの運動神経だけで生きてるような連中についていくのは、 素体でも簡単ではないか。

Kokonoe
ココノエ

……護衛対象よりも活動限界を長く……その考え方は、 護衛としては素晴らしい。だが、あまり己を過信するなよ。

Kokonoe
シエル

それはどういうことでしょうか。

Ciel
ココノエ

お前が戦闘のために生み出された存在であったとしても、 その身が経験することは戦闘だけとは限らない。

Kokonoe
ココノエ

護衛という役目にだけ固執していると、 思わぬところで取りこぼすぞ。

Kokonoe
シエル

……?

Ciel
ココノエ

よくわからんという顔だな。 内心を隠す訓練はあまり積んでいないらしい。

Kokonoe
ココノエ

まあ、すぐに理解しなくてもいい。 これは忠告でもない、ただの雑談だ。

Kokonoe
ココノエ

頭の片隅にでも置いておけ。

Kokonoe
シエル

……わかりました。ありがとうございます。

Ciel

……………………。 …………………………………………。

ラーベ

お。目が覚めたか、レイ。 さすがによく眠ってたなー。

Raabe
ココノエ

体は正直だな。 ここまで漂ってきた食事の匂いで覚醒したんだろう。

Kokonoe
シエル

さきほどから、肉類の焼ける匂いがします。 外も賑やかになってきました。

Ciel
獣兵衛

おっ。少しは眠れたか、レイ? 飯の用意ができたぞ。起きられるなら来い。

Jubei
獣兵衛

ははは、よし、腹が減るのは元気な証拠だ。 たっぷり寝たら、次はたっぷり食う番だからな。

Jubei
獣兵衛

肉が向こうで山ほど焼けてる。 さっさと行かないと、全部タオカカに食いつくされるぞ。

Jubei
シエル

それは、いけません。あり得ることです。 急ぎ、レイさんの分を確保してきます!

Ciel
ラーベ

おい、待て待て。行くぞ、レイ。 あいつあの勢いだと、食べきれないほど持ってきそうだ。

Raabe
獣兵衛

……あー、ココノエも、どうだ。 その、きっとうまいぞ。

Jubei
ココノエ

いや、遠慮しておく。 補給剤で十分だ。

Kokonoe
獣兵衛

う、うむ……そうか。だが補給剤だけでは力が出ないだろう。 たまには外で普通の食事も……。

Jubei
ココノエ

……父親ぶりたいなら、結構だ。間に合っている。 キャンプ中にそんな余計なことをしている暇があるのか?

Kokonoe
ココノエ

私は実験に戻る。 医者が必要でないなら、声をかけないでもらおう。

Kokonoe
獣兵衛

う、ぐ、ぬぅ。 ……難しいものだな。

Jubei
タオカカ

あ、来た来たニャス。 こっちニャスよ〜〜〜。

Taokaka
チャチャカカ

師匠特製の焼いた肉ニャス。 あーん、あぐあぐあぐ……。

Chachakaka
タオカカ

ニャスニャスニャスニャス……。

Taokaka
マコト

ふたりとも、いい食べっぷり。 レイたちもどうぞー。

Makoto
シエル

ありがとうございます。

Ciel
ラーベ

……これまた、すごい量の肉だな。 しかもひとつひとつがでかい。いかにもアウトドア料理って感じだ。

Raabe
獣兵衛

おお、やってるな。遠慮するな、どんどん食え。 まだまだ肉はあるぞ。

Jubei
獣兵衛

ナイフやフォークなんて上等なものは、ここはないからな。 ガブッと豪快にかぶりつけ。

Jubei
シエル

わかりました。いただきます。

Ciel
シエル

……これは……!

Ciel

1: おいしい!
2: 香ばしい風味、ジューシーな味わい……

1:
2:

タオカカ

当たり前ニャス! 肉はうまいのニャス!!

Taokaka
タオカカ

なので……こっちのおおき〜のはタオがもらったニャス!!

Taokaka
チャチャカカ

ふふ〜ん、でかさばかりが肉のうまさじゃないニャスよ。 というわけで、チャチャはこの柔らか〜いところを……。

Chachakaka
チャチャカカ

うんま〜〜〜!

Chachakaka
マコト

あはは、レイ、食レポみたい! 表情も相まって、おいしさが伝わってくるよ!

Makoto
ヴァルケンハイン

ふん、ベラベラと御託を並べおって。味わいがどうのなど、 語ってなんの意味がある。味に変わりはないだろうが。

Valkenhayn
マコト

そんなことないよ。 味を分かち合うのも、食事をおいしく食べる秘訣だよ。

Makoto
マコト

まったく、わかってないなぁ〜。

Makoto
シエル

……もぐ、もぐ。 このお肉、なんのお肉なのでしょう。不思議な癖があります。

Ciel
ラーベ

……そういえば、これだけの肉どこにあったんだ?

Raabe
ラーベ

このキャンプ地に、こんな大量の肉を保管できる施設なんて なかったと思うが……。

Raabe
ヴァルケンハイン

うん、やはりこの時期の肉は脂が乗っていてうまい。 捌きたての魔物は、シンプルに焼くのが一番だな。

Valkenhayn
チャチャカカ

焼いた山盛りの魔物肉は逆に映えるニャス。 肉は茶色くてなんぼニャスからね〜。

Chachakaka
ラーベ

……魔物、肉?

Raabe
獣兵衛

ん? ああ、そうだ。 これは全部、さっき森で獲ってきた魔物の肉だ。

Jubei
獣兵衛

どれがどれかはもうわからんが…… とりあえず肉があるものは全部焼いた!

Jubei
ラーベ

一応、聞いとくけども。 ……安全?

Raabe
タオカカ

肉ニャスから、おいしいニャスよ?

Taokaka
ラーベ

いやおいしさの問題ではなくてだな。

Raabe
獣兵衛

わからん。もし腹が痛くなったら、ココノエのところに行け。

Jubei
シエル

先程の訓練は、食材調達だったのですね……。 食べるために戦っていたとは、思っていませんでした……。

Ciel
シエル

これが、さっきの魔物……。

Ciel
チャチャカカ

この世は弱肉強食ニャスからね〜。

Chachakaka
ラーベ

……獣人の世界はワイルドで厳しいな……。

Raabe

第6節 牙折る策を巡らせ/

Summary
食事を済ませ、訓練再開。ヴァルケンハイン

を教官に、『戦闘時の隊の編成と戦力配置』 の技術を身に着けるための実戦に挑む。

獣兵衛

よし! 腹も満たされたことだし、訓練再開だ! ここからはより一層実践的で厳しい訓練となる。

Jubei
獣兵衛

心してかかれよ、ひよっこ共!!

Jubei
シエル

サーイエッサー!

Ciel
ラーベ

このノリにもさすがに慣れてきたな。

Raabe
獣兵衛

もういくつもの試練を越えて、お前たちも力をつけてきたはずだ。 となれば次なる教官は……ヴァルケンハイン!

Jubei
ヴァルケンハイン

サーイエッサー!!!!!

Valkenhayn
ラーベ

うおっ。ものすごい気合いだな……。

Raabe
ヴァルケンハイン

お任せください、師匠!

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

このヴァルケンハインが徹底的にこやつらをしごき抜き、 この地に這いつくばらせてみせます!

Valkenhayn
獣兵衛

ああ。よろしく頼むぞ、ヴァルケンハイン。

Jubei
ヴァルケンハイン

いいか、キャンプ地の土の味をたらふく味わわせてやるぞ、 ひよっこ共!!

Valkenhayn
ラーベ

とんでもない意気込みだ。

Raabe
シエル

それで、今回のご指導はどのような内容なのでしょうか。 獣兵衛師匠、ヴァルケンハイン教官。

Ciel
獣兵衛

いい質問だ。意欲があってよろしい。

Jubei
獣兵衛

ここでヴァルケンハインに指導してもらうのは、 戦闘時における隊の編成と、戦力の配置についてだ。

Jubei
ヴァルケンハイン

俺ともなれば、たとえ考えなしに前へ前へ突撃していこうとも 邪魔な雑兵など取るに足らん。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

だがひよっこである貴様らは違う! 単身で挑むなど よほどの手練れでなければ自ら死にに行くようなものだ!

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

ゆえに、隊を組む必要があり、隊を組むのであれば どのような戦力をどこに配置するのかが重要となる。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

……ですね、師匠!

Valkenhayn
獣兵衛

そうだ。もうすでにわかっていることではあるだろうが、 誰しも得意な間合い、戦術というものがある。

Jubei
獣兵衛

ヴァルケンハインのように、前線に出て至近距離で戦うのが 得意な者もいれば……。

Jubei
獣兵衛

そうだな。そこのシエルのように、近距離であっても 遠距離であっても変わらない戦い方ができる者もいる。

Jubei
獣兵衛

魔術師などに多いが、 肉弾戦を不得手とする者もいるだろう。

Jubei
獣兵衛

そういう人員は、距離を保って戦えるよう布陣したほうが、 持てる力を発揮できる。

Jubei
シエル

個人それぞれに合わせた間合いの取り方がある…… ということですね。

Ciel
シエル

それを無理に変えようとすると、戦闘方法そのものに 無理が生じることもある……と。

Ciel
獣兵衛

自分の得意な間合いは、しっかり把握しておけよ。

Jubei
獣兵衛

間合いの他に、もうひとつ隊の配置を決める際に 重要なことがある。……そいつの『個性』だ。

Jubei
シエル

個性、ですか。……意見するようですが、 軍においての兵は純然たる兵力です。

Ciel
シエル

個々の性格を個性とするのなら、それを重視することは 隊のバランスを欠くことになりませんか?

Ciel
獣兵衛

だからこそ、正しく把握し、うまく使え。 どんな性格、性質を持っているのか。

Jubei
獣兵衛

仲間が近くにいることで士気が上がる者、 前線へ配置されることで意欲が向上する者……。

Jubei
獣兵衛

扱う連中が個性豊かであればあるほど、潜在能力を向上させる 状況を作ることができるはずだ。

Jubei
獣兵衛

……とはいえ、急に全てを把握することは難しい。 繰り返し強敵とぶつかることで、自分たちの力を見出すように!

Jubei
ヴァルケンハイン

師匠から、直々のありがたいアドバイスだぞ! その弱々しいひよこ脳みそに刻み付けておけ!!

Valkenhayn
シエル

サー、イエッサー!

Ciel
ヴァルケンハイン

理屈がわかったなら、次はもちろん実戦だ。 さあ、思い切りこい!

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

貴様らひよっこ共が多少策を巡らせたところで、 この俺を簡単に制することができると思うな……。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

どんな隊を組もうと、ひねり潰してやる!!

Valkenhayn
獣兵衛

油断するな。ヴァルケンハインは強敵だぞ。

Jubei
獣兵衛

彼は人狼だ。俺たち獣人とは起源が異なる。 もっと古く、もっと強い。

Jubei
獣兵衛

……さらにいえば、属性は風、さっきも言った通り 近接攻撃を主体とするアタッカーだ。

Jubei
獣兵衛

相手がどんな敵なのか見定めたうえで、 うまく隊を運用して戦え。

Jubei
シエル

これも、アドバイスですね。 ……頑張りましょう、レイさん。

Ciel
ラーベ

キャンプもどうやら大詰めらしい。 気を引き締めていけよ。

Raabe
ヴァルケンハイン

準備はいいな!! いくぞ、ひよっこ!!!

Valkenhayn

第7節 最終試験/

Summary
獣兵衛の号令で訓練は終了。一行の実力が

ヴァルケンハインにも認められ、総仕上げの 卒業試験としてついに獣兵衛と戦うことに。

獣兵衛

……そこまで!!

Jubei
ヴァルケンハイン

…………。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

……悔しいが、認めよう。見事だ。 この俺をここまで追い詰めてくれるとは……。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

久し振りに、血が湧いた! 楽しかったぞ、ひよっこ共。いや……。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

レイ。シエル。

Valkenhayn
シエル

ヴァルケンハインさん……。

Ciel

1: こちらこそ、楽しかったです!
2: 勉強になりました、教官!

1:
2:

ヴァルケンハイン

ほう? 言うじゃないか。 だが貴様のその言葉、ただの強がりでないことくらいはわかる。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

強い者と戦い、それに勝利することでさらに己の強さを磨く! 貴様が戦いを楽しめる者であること、嬉しく思うぞ。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

ふふふ、そうだろう。 頭で理解するだけでは意味がない。実際に戦ってこそ、だ!

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

これからも多くと戦い、より強い敵に立ち向かえ。 挑む気持ちが貴様を強くする。今よりももっとな。

Valkenhayn
獣兵衛

実際のところ、驚いた。始めて顔を合わせたときは、 もっとなにも知らない子供だと思っていたが……。

Jubei
獣兵衛

こんな細く頼りない体をしているというのに、やるじゃないか。 俺の観察眼も衰えたかな? はっはっはっは。

Jubei
シエル

いえ、こちらでの訓練は大変貴重な経験となっています。 新たに学べたことも、改めて実感できたこともたくさんあります。

Ciel
獣兵衛

ふ……そうか。そうだな。 経験はなによりも大切な基礎体力だ。

Jubei
獣兵衛

そしてお前たちは俺が思っていたよりもずっと、 その基礎体力がある。

Jubei
シエル

ありがとうございます。

Ciel
シエル

……確かに、私は元々戦闘訓練を受けていますが、 レイさんはそうではありません。

Ciel
シエル

それなのに、驚くほどついてこられています。 きっとこれまでの経験あってのことなのでしょう。

Ciel
獣兵衛

自分でも驚いているか、レイ? だが、慢心するな。

Jubei
獣兵衛

大切なのは日々の積み重ね。そしてなにより、自分の力を 自分自身そのものだと思わないことだ。

Jubei
獣兵衛

特にレイ、お前には特別な力がある。 それは容易に真似できるようなものではない。

Jubei
獣兵衛

だがそれを、自分のものだと思うな。 力はお前を裏切る。お前を傷付ける。

Jubei
獣兵衛

そういうときは、立ち向かえ。 力になど負けるな。

Jubei
獣兵衛

きっとお前ならできる。

Jubei
ラーベ

…………。

Raabe
獣兵衛

……よし。

Jubei
獣兵衛

心しろ、ひよっこ! 貴様の力は貴様だけによって成り立つものではない!

Jubei
獣兵衛

時に連携し、時に協力し、高め合い、支え合え。 貴様らの持てる力は、他者との繋がることでもっと大きくなる!

Jubei
獣兵衛

返事!!

Jubei
シエル

わ、は、はい。ではなく……。

Ciel
シエル

サーイエッサー!!

Ciel
ラーベ

いい師匠って雰囲気だったのに、 急に元に戻ったな。

Raabe
獣兵衛

ひよっこボール! 口答えか!?

Jubei
ラーベ

おっと……。 ノー、サー!

Raabe
獣兵衛

よし、では構えろ!

Jubei
シエル

え!?

Ciel
ラーベ

おいおい、まさか次は師匠直々に相手だ、とか 言うんじゃないだろうな?

Raabe
獣兵衛

そのまさかだ。お前たちに今教えられることは教えた。 これで仕上げだ、教えたこと全部引っ提げて俺を倒してみろ!

Jubei
獣兵衛

俺を倒せたら……我がブートキャンプの卒業を許可する!!

Jubei
シエル

!!

Ciel
シエル

つまりこれは……卒業試験ということですね。

Ciel
獣兵衛

ああ、そうだ。全力でこい。 受け止めてやる。

Jubei
シエル

わかりました……。行きます!

Ciel

1: 師匠、よろしくお願いします!
2: もうへろへろだけど……やるしかない!

1:
2:

獣兵衛

そう呼ばれると気分が高揚する。 ……なぜだろうな。

Jubei
獣兵衛

情けない顔をするな! お前の力を見せてみろ!

Jubei

ーーー/

Summary
試験に勝利し、卒業の時を迎えた。獣兵衛の

案内で窯を壊し、キャンプはやがて消えるが ……彼の思いは、確かに受け継がれていく。

獣兵衛

これほどとはな……。

Jubei
獣兵衛

参った。お前たちの勝利だ。 よく戦った! いい戦いぶりだったぞ!

Jubei
シエル

ありがとうございます!

Ciel
獣兵衛

お前たちに今師匠として教えられるのは、ここまでだ。 厳しい訓練の数々、よくついてきてくれた!

Jubei
シエル

師匠……。

Ciel
ラーベ

……感動的なシーンみたいな雰囲気出てるところ悪いが…… ってことは、これでキャンプ卒業ってことでいいんだな?

Raabe
獣兵衛

ああ……お前たちは卒業だ。

Jubei
獣兵衛

これからもよく学び、よく考え、よく戦え。 精進し、己を高めることを忘れるな。

Jubei
シエル

はい! がんばります!

Ciel
ラーベ

は〜、やれやれだ……結局訓練だなんだで、調査がほとんど できなかったからな……。

Raabe
ラーベ

これからあちこち見させてもらって……。

Raabe
獣兵衛

卒業祝いといってはなんだが…… ここまで俺に付き合ってくれたお前たちに、見せたいものがある。

Jubei
獣兵衛

ちょっとついてきてくれないか。

Jubei
シエル

見せたいもの、ですか? わかりました。ついていきます。

Ciel
獣兵衛

こっちだ。

Jubei
シエル

獣兵衛さん。これは……ここは、まさか。

Ciel
獣兵衛

……ああ。ここだ。

Jubei
ラーベ

!? なん……なんだと?

Raabe
獣兵衛

……お前たちの探し物は、これなんじゃないか?

Jubei
シエル

は……はい。反応を確認。間違いなく、窯です。 稼動しています。

Ciel
シエル

でも、どうして……不思議です。

Ciel
シエル

キャンプ地から少し離れてはいても、 窯が存在しているのなら、本来なら感知できるはずなのに……。

Ciel
シエル

すぐ近くに来るまで、わかりませんでした……。

Ciel
獣兵衛

なに? そんなことができたのか。 そいつはすまん。

Jubei
獣兵衛

誰にも見つかりたくなくてな。 できる限りの方法で隠そうとしていた。

Jubei
ラーベ

隠密関係の術かなにかか……? この場そのものの反応が弱いな。

Raabe
ラーベ

というより、あのキャンプ地とその周辺の反応が強すぎて、 かき消されていた感じか。

Raabe
ラーベ

もしかしてこれも、獣人の特性か? キャンプ地という テリトリーを我々にわざと強く認識させた……みたいな。

Raabe
獣兵衛

そこまで便利な特性は持ち合わせていない。 ただ……この『場』において、俺は少々特殊らしいからな。

Jubei
獣兵衛

その特殊性が、獣人の能力と合わさって、そういったことを 可能にしたのかもしれん。

Jubei
シエル

特殊、というと……もしかして、獣兵衛さんが このファントムフィールドの観測者なのですか?

Ciel
ラーベ

窯へ案内することができたんだ。 間違いなくそうだろう。

Raabe
ラーベ

この筋肉マシーン量産ブートキャンプの存在を望んだのは、 観測者である獣兵衛……ということだ。

Raabe
ラーベ

いやどんな願望だよ。

Raabe
獣兵衛

なるほど。俺の願望が基盤になっているのか。

Jubei
獣兵衛

だったら、弟子を持ちたいとか、自分の技術を後世に 伝えたいだとか……大方そんな願望だろうな。

Jubei
獣兵衛

だとしたら、つくづく情けない話だ。

Jubei
シエル

情けない……どうしてそう思われるのですか?

Ciel
獣兵衛

……このキャンプの存在は俺が原因なんだと気付いて、 この窯を見つけて以降、何度も窯を破壊しようと試みたんだ。

Jubei
獣兵衛

だができなかった。

Jubei
ラーベ

それはそうだろう。 窯は通常の物理的手段では破壊できない。

Raabe
獣兵衛

ああ、知っている。 だがそういうことじゃない。

Jubei
獣兵衛

刀を抜くことすらできなかった。 窯へ攻撃できなかったんだ。なにもできなかった。

Jubei
獣兵衛

おそらく観測者というのは、そういうものなんだろうな。 自分の手で窯を破壊できない。

Jubei
獣兵衛

だが俺はそれが悔しかった。俺が原因で発生していることの ケリを、俺の手でつけられないなんて。

Jubei
獣兵衛

これは俺の、心の弱さだ。

Jubei
ラーベ

無茶を言うな。師匠の言っている通り、これは 『そういうもの』なんだ。

Raabe
ラーベ

今のように自分で窯の場所へ案内するだけでも、 十分すぎるイレギュラーだ。

Raabe
獣兵衛

そう言ってもらえることで、 多少慰められる気持ちはあるがな。

Jubei
獣兵衛

この程度のことで自分の心に打ち勝てないとは、 鍛えが足りない。

Jubei
獣兵衛

それなのにいっちょ前に教官面とは、片腹痛い!

Jubei
獣兵衛

もっと鍛えて、もっと強くならなければ…… 後世に技を伝えたいだなどとでかい口は叩けんよ。

Jubei
ラーベ

……あの鬼教官モードじゃなくても、結構目茶苦茶、 脳筋なこと言う人なんだなぁ。

Raabe
獣兵衛

お前たち、探していたからには、 こいつをどうにかできるんだろう?

Jubei
シエル

はい。私たちは窯を破壊するために、ここへ来ました。

Ciel
獣兵衛

破壊か、そいつはいい。 すぐにでもやってくれ。

Jubei
シエル

よろしいのですか……?

Ciel
獣兵衛

ここは俺の意識を反映した場所らしいが……ここにあるものは、 まったく俺の理想なんかじゃない。

Jubei
獣兵衛

……俺の欲しいもの、欲しかったものは、 なにもない。

Jubei
獣兵衛

ここはまるで、小さな世界から抜け出せず、 自分の力を誇示するばかりだった子猫のころの自分だ。

Jubei
獣兵衛

そんな未熟で弱い己の内面を突きつけられているようで…… 辛いんだ。

Jubei
シエル

……わかりました。獣兵衛さんが……いえ、師匠が そうおっしゃるのなら、遠慮なく、窯を破壊させていただきます。

Ciel
シエル

行きます、レイさん。 対象を捕捉……。

Ciel
シエル

……第666拘束機関解放。次元干渉虚数方陣展開。

Ciel
シエル

『蒼の魔道書・写本』 (ブレイブルー) ……起動!

Ciel
獣兵衛

『蒼の魔道書』 (ブレイブルー) だと……!?

Jubei
シエル

はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!

Ciel
獣兵衛

……そうか。

Jubei
獣兵衛

では、これで俺はファントムフィールドと窯から解放され、 じきに本来あるべき世界に戻れるんだな。

Jubei
ラーベ

そうなる。いつになるかはわからないけど……。

Raabe
ラーベ

どれだけかかったとしても、 元の世界に戻れば待ち時間の長さなど忘れるだろう。

Raabe
ラーベ

……まあ、検証したことはないんだけど。理論上な。

Raabe
獣兵衛

気長に待つさ。ここには気の合う連中もいるし。 それに俺は人間よりもずっと長生きだからな。

Jubei
獣兵衛

きっとさして気にならんさ。

Jubei
獣兵衛

……レイ。 お前には謝らないといけない。すまなかった。

Jubei
獣兵衛

お前に観測の力があるんだろうと、薄々ではあったが 始めからわかっていた。

Jubei
獣兵衛

お前に俺のことをよく観測してもらいたくて、 キャンプに誘ったんだ。

Jubei
獣兵衛

そうすれば、窯を壊せるかもと思ってな。 結局、今の俺にはそこまでの力は得られなかったが……。

Jubei
獣兵衛

だが、ここで共に過ごすことで、お前は俺を観測した。 その事実は間違いない。

Jubei
獣兵衛

お前がもし俺を必要とすることがあれば、その力で 俺をどうとでも観測してくれ。

Jubei
獣兵衛

俺をここから解き放ってくれた、せめてもの礼になればいい。

Jubei
ラーベ

簡単に言ってくれるじゃないか。 好きに観測してくれ、だなんて。どうなっても知らんぞ?

Raabe
獣兵衛

望むところだ。受けた恩は返す。

Jubei
獣兵衛

俺にとっては、 お前たちが来てくれたことはそれくらいの恩だ。

Jubei
獣兵衛

……楽しい仲間たちはいるが、俺にはこういう ひとつ所に留まるような暮らしは合ってない。

Jubei
獣兵衛

在るのなら、もっと広い世界がいい。 生きるなら、もっと厳しい場所がいい。

Jubei
獣兵衛

お前たちとの出会いは、俺をきっとそういう場所に 帰してくれるだろう。

Jubei
獣兵衛

ありがとう。

Jubei

1: お世話になりました
2: また修行してください

1:
2:

獣兵衛

こちらこそだ。 フガクとやらに帰るんだったよな。

Jubei
獣兵衛

どう帰るか知らんが、気を付けてな。 元気でやれよ。

Jubei
獣兵衛

いいだろう。 それにはもうちょっと、戦いの技術を身に付けろ。

Jubei
獣兵衛

護身術でもなんでもいい。 そうしたら、それを本格的に使えるように鍛えてやる。

Jubei
シエル

大変お世話になりました。こちらで学んだことは忘れません。 きっとこれから先の戦いに、活用いたします。

Ciel
獣兵衛

ここにいる間だけでも、お前たちはずいぶん逞しくなった。 でもこんなもんじゃない。

Jubei
獣兵衛

強くなれよ。

Jubei
獣兵衛

ラーベもな。

Jubei
ラーベ

だから機械なんだって……。

Raabe
ラーベ

……まあ、そんな機能がついたらね。

Raabe
カガミ

――よし。問題ないな。

Kagami
カガミ

お帰り、レイ、シエル。 今回もお疲れ様だったね。

Kagami
カガミ

詳細はラーベのデータを解析するから、まずは メディカルチェックを受けて、最低限の体力回復に努めてくれ。

Kagami
カガミ

どうやら今回は、かなり肉体的にハードな ファントムフィールドだったようだしね。

Kagami
シエル

はい。了解しました。 メディカルルームまで、レイさんに同行します。

Ciel
シエル

……今回は本当に、お疲れ様でした。 いつもより身体的な負担が大きいと思います。

Ciel
シエル

お休みになられる前には、しっかりストレッチなどで 体をほぐしてください。

Ciel

1: シエル、お願いがあるんだけど
2: やっぱり少しくらい、鍛えたいな

1:
2:

シエル

はい。なんでしょうか。 私にできることでしたら、なんでもおっしゃってください。

Ciel
シエル

今回のことで、なにか思うところがありましたか。 でしたら、私もお供します。

Ciel
シエル

……………………。

Ciel
シエル

……護身術、ですか? 私が、レイさんに? い、いいえ、問題ありません!

Ciel
シエル

専門的な技術がなくても扱えるような護身術を、 いくつかお教えできると思います。

Ciel
シエル

指導役が私で、よろしいのですか?

Ciel
シエル

……はい、よろこんで、教官役を務めさせていただきます。

Ciel
シエル

ですがまずは休息です。 休めるときにしっかり休む。……これも、師匠からの教えです。

Ciel
シエル

十分にお休みになったら。 ビシバシ、鍛えさせていただきます。

Ciel