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Character Stories (Unused Content) |
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第1節 アマノホコサカ/
Summary | |
---|---|
目覚めるとホムラという人物と二人、記憶を
なくして出口のない建物にいた。唯一の手掛 かり『最強の剣』を探して行動を開始する。 |
???
……おぉ、目が覚めたか。 |
??? |
???
ずっと眠っていたから、心配したぞ。 大事ないか……? |
??? |
1: ええと、ここは? |
1: |
???
……わからぬ。 |
??? |
ホムラ
余はホムラ。天ノ矛坂焔という。 そなたは、なんという名だ? |
Homura |
ホムラ
余はホムラ。天ノ矛坂焔という。 ……それ以外はなにもわからぬ。 |
Homura |
ホムラ
そなた、名は? |
Homura |
1: ええと、ここは? |
1: |
???
……わからぬ。 |
??? |
ホムラ
余はホムラ。天ノ矛坂焔とという。 そなたは、なんという名だ? |
Homura |
ホムラ
余はホムラ。天ノ矛坂焔という。 ……それ以外はなにもわからぬ。 |
Homura |
ホムラ
そなた、名は? |
Homura |
ホムラ
……レイか。 |
Homura |
ホムラ
うん? 誰か探しているのか? すまぬが、余にはわからぬ。 |
Homura |
ホムラ
そなたを見つけたときから、そなたはずっとひとりで この場に倒れていた……。 |
Homura |
ホムラ
……どうした? 余の顔がなにかおかしいか? |
Homura |
1: 男の子? |
1: |
ホムラ
そ、そんなことが気になるのか? |
Homura |
ホムラ
だが、少し安心した。 そなたとは、ちゃんと会話ができるのだな。 |
Homura |
ホムラ
いや、普通に言葉が交わせる相手と出会うのは、 ここでは少々珍しいことでな……。 |
Homura |
ホムラ
…………。 |
Homura |
ホムラ
もしやそなた、自分がどうしてこのような場所にいるのか、 事情もなにもわからぬのではないか? |
Homura |
ホムラ
……やはりそうか。実は、余もそうなのだ。 |
Homura |
ホムラ
いつの間にか眠っていたようで、 目が覚めたら、この建物の中にいた。 |
Homura |
ホムラ
あちこち探したのだが、外へ出られる場所が見つけられない。 広大な建物だが……まるで牢獄だ。 |
Homura |
ホムラ
そなたが外に出る道を知ってやいないかと思ったのだが…… そううまくはいかぬか。 |
Homura |
ホムラ
あ! そなたが無事であったことは、 喜ばしいと思っているぞ。本当だ。 |
Homura |
ホムラ
ただ……もうずいぶん長くここにいる。 どうにか外に出られる手はないものか。 |
Homura |
ホムラ
やはり『最強の剣』を見つけなければならないか……。 |
Homura |
1: 最強の剣? |
1: |
ホムラ
うむ。なににも負けない、決して折れない『最強の剣』だ。 |
Homura |
ホムラ
うむ。この建物のどこかに『最強の剣』があるはずなのだ。 |
Homura |
ホムラ
それさえ見つけられれば、余はここから出られる。 理由を思い出せないのだが、間違いないはずだ。 |
Homura |
ホムラ
その剣を見つけることが、誰かとの約束だったのだが……。 |
Homura |
ホムラ
約束の相手が誰だったのか、そもそも『最強の剣』とは どんなものだったのか……それも今は思い出せなくて。 |
Homura |
ホムラ
目が覚めたときからそうなのだ。頭に霞がかかったようで、 色々なことがはっきりしない。 |
Homura |
ホムラ
そなたは、そのようなことはないか? ……そうか。ここに来た経緯以外は、思い出せるのだな。 |
Homura |
ホムラ
なによりだ。 |
Homura |
ホムラ
そうだ、そなた。余と一緒に『最強の剣』を探さぬか? |
Homura |
ホムラ
そうでなくとも、なにかしらここから出る手立ては そなたにも必要だろう。協力しようではないか。 |
Homura |
ホムラ
そなたは悪人には見えぬ。 むしろ、信頼を置ける人物のように思える。 |
Homura |
ホムラ
どうだ? |
Homura |
1: こちらこそ、お願いします |
1: |
ホムラ
おぉ、そうか。では、共に行こう。 そうと決まれば、早速だが紹介したい者がいる。 |
Homura |
ホムラ
実は、余には同行する者がもうひとりいるのだ。 |
Homura |
ホムラ
なかなか頼りになる者でな。 今、この先の様子を見に行ってくれているのだが。 |
Homura |
ホムラ
そろそろ戻ってくるのでは―― |
Homura |
ホムラ
っ、な、何事だ!? |
Homura |
冥
ちぃっ! 次から次へと! |
Mei |
ホムラ
冥!! |
Homura |
ホムラ
ど、どうした、なにがあった? 余もすぐそっちに行く、待っておれ……! |
Homura |
冥
あ、こら、来るんじゃない! 逃げろ、馬鹿者! 奴らが押し寄せてきてる! |
Mei |
ホムラ
奴ら? |
Homura |
冥
うわ来た! ええい、走れ、ホムラ! |
Mei |
ホムラ
ま、魔物が、あんなに……! |
Homura |
冥
扉を開けたら、信じられない数の魔物が詰まってたんだ! いくらか倒したが、とても捌き切れん! |
Mei |
冥
一旦退くぞ! |
Mei |
1: 加勢するよ! |
1: |
冥
お前は、さっき倒れていた奴か。 動けるんだな!? |
Mei |
冥
よし、なら構えろ! ぶっちゃけ逃げ切れると思えん! |
Mei |
ホムラ
冥、レイ……! |
Homura |
冥
ホムラは下がっていろ! |
Mei |
冥
レイ、どこの誰だか知らんが、油断するな。 とにかく数が多い! |
Mei |
冥
今追いかけてきてる奴らだけでも張り倒して、 さっさと逃げるぞ! |
Mei |
ーーー/
Summary | |
---|---|
もう一人の協力者・冥も合流し周辺調査中、
突然の殺気と共にヒビキが現れる。ホムラを 解放せよ、と傍に立つ二人に斬りかかった。 |
冥
はぁ、はぁ……ぜー、ぜー…… た、倒した……か? |
Mei |
ホムラ
た、倒した……倒したぞ、冥、レイ! すごい、ふたりで本当に全部倒してしまったとは……! |
Homura |
ホムラ
すごいのだな、ふたりとも! 余は驚いた! それに……安心したぞ。どちらも無事だな? 怪我はないか? |
Homura |
冥
こっちも問題ない。めちゃくちゃ疲れたが……。 |
Mei |
冥
レイがいなければ、危なかったな。 助かった、礼を言う。 |
Mei |
冥
ようやく名乗れるな。私は天ノ矛坂冥。 こう見えても、陰陽術師だ。……お前は、何者だ? |
Mei |
1: なんと説明すればいいやら…… |
1: |
冥
何だ。ややこしい事情があるのか? |
Mei |
冥
迷子? |
Mei |
ホムラ
冥。 レイも余たちと同じなのだ。 |
Homura |
冥
同じ? ……ああ、そういうことか。 |
Mei |
冥
お前もわけもわからずに閉じ込められた系か。 戦力にはなるが、打開策にはならんということだな。 |
Mei |
ホムラ
レイも一緒に、出口を探そうと思うのだが、 構わないだろうか。 |
Homura |
冥
ああ……そうだな。そのほうがいいだろう。 |
Mei |
冥
どうやらこの建物の中には わんさか魔物が潜んでいるらしいからな。 |
Mei |
冥
私がホムラを見つけたときも、 魔物に襲撃されようとしていたところだったし。 |
Mei |
冥
お前を放置して、あとで魔物に食われたところを 見つけでもしたら寝覚めが悪いにもほどがある。 |
Mei |
ホムラ
余は……あまり戦いが得意ではない……。 そのために、冥にばかり戦闘を任せている。 |
Homura |
ホムラ
冥はとても頼りになるが、限界はあろう。 すまぬが……冥を助けてやってくれまいか。 |
Homura |
冥
見くびるな。お前のような子供を 戦わせなければならないほど、落ちぶれていない。 |
Mei |
冥
……とはいえ、限界があるのも事実だ。 |
Mei |
冥
レイが手を貸してくれるのは、 素直に言ってありがたい。 |
Mei |
冥
……聞こえたか? 魔物の声だ。 近くじゃないが、気付かれると面倒だ。場所を変えよう。 |
Mei |
冥
……よし。どうやら気付かれずにすんだようだな。 |
Mei |
冥
ホムラ、大丈夫か? 疲れてはいないか? |
Mei |
ホムラ
大丈夫だ。これくらいで音を上げていては、 そなたたちの足を引っ張るばかりだ。 |
Homura |
冥
ふふ、そうか。 だが、無理はするなよ。 |
Mei |
1: 冥がお姉ちゃんみたいだね |
1: |
ホムラ
実はな、余もそんな風に感じている。 ここに閉じ込められてから、ほぼずっと一緒にいるからだろうか。 |
Homura |
冥
ああ。ここに閉じ込められて、あちこち彷徨っているときに 出会ったんだ。こんな子供をひとりで放っておけんだろう。 |
Mei |
冥
……ホムラに対して、妙な親近感は抱いているな。 なにせ名前が『天ノ矛坂』だ。 |
Mei |
ホムラ
余も驚いた。まさか同じ姓を持つ者と出会おうとは。 |
Homura |
冥
偶然一致するような、ありふれた名ではないからな。 それに天ノ矛坂に限っては、遠縁であることも考えにくい。 |
Mei |
冥
……『天ノ矛坂』という家は少々特殊でな。 |
Mei |
冥
古い家で、分家は多く存在するがそのどれもが違う名を名乗る。 天ノ矛坂を名乗れるのは、本家の者だけだ。 |
Mei |
冥
ゆえにこの名を持つ者は非常に少ない。 |
Mei |
冥
同じ苗字でありながら、私の知らない人物がいるというのは、 実に不思議なことなんだ。 |
Mei |
冥
まあ、とはいえ、絶対にあり得ないとまでは言い切れないし、 そもそもここに来てからというものどうにも意識が曖昧だ。 |
Mei |
冥
私が思い出せずにいる親族のひとり、という可能性もある。 |
Mei |
ホムラ
余にとっても、この名は特別な名であったはずだが…… どのような者が血族にいたかはまるで思い出せぬ。 |
Homura |
冥
わかるぞ、その感じ。自分が、大事な人のことを 忘れているような、そういう感覚がずっとあるんだ……。 |
Mei |
ホムラ
あ、でもレイはそうではないようだぞ。 ここに来る経緯以外は、しっかり思い出せるようだ。 |
Homura |
ホムラ
ならば余たちも、そのうちに思い出したりできるやもしれぬ。 大事なことなのだ……忘れたりするはずがない。 |
Homura |
冥
うん……そうだな。 |
Mei |
ホムラ
……ん。冥、あれを見よ! 扉がある。これまでとは違う扉だ、出口かもしれぬぞ! |
Homura |
冥
おお、確かに。ホムラ、よく見つけたな。 外に出られるかもしれない。行ってみよう。 |
Mei |
冥
む? 今のは……? |
Mei |
冥
殺気! |
Mei |
冥
くっ!? |
Mei |
ホムラ
め、冥!? |
Homura |
冥
なんだ、何者だ!? いきなり斬りかかってくるとか、危ないだろ! |
Mei |
???
…………。 |
??? |
冥
気配はすれど、応答なし……か。 ということは、手違いってわけじゃないようだな。 |
Mei |
冥
だったら遠慮はいらん。 ……そこだな、これでもくらえ! |
Mei |
ヒビキ
ハッ! |
Hibiki |
冥
式神を斬った……!? |
Mei |
冥
どうやら、さっきまでの魔物とは違うようだな。 |
Mei |
ヒビキ
…………。 |
Hibiki |
ホムラ
な……何者だ? なぜ余たちを襲う? |
Homura |
ヒビキ
勘違いしないでください。 全員を狙ったわけではありません。 |
Hibiki |
ヒビキ
標的は、ホムラ殿下以外の二名だけです。 |
Hibiki |
冥
私とレイを? |
Mei |
ヒビキ
ホムラ殿下を解放しなさい。 今、すぐに。 |
Hibiki |
ホムラ
なっ……狙いは余か!? |
Homura |
冥
そうらしいな。 だが、はいそうですか、と渡せるか。 |
Mei |
冥
挨拶も説明もなしにいきなり斬りかかってくる奴だぞ。 |
Mei |
ヒビキ
交渉決裂、ですね。後悔しますよ? |
Hibiki |
冥
何が交渉だ。脅迫の間違いだろうが! |
Mei |
冥
レイ、手を貸せ。 あいつを追い払うぞ。 |
Mei |
ヒビキ
……仕方ありません。強引にでも、渡していただきます。 |
Hibiki |
冥
舐めてくれるなよ。後悔するのはそっちのほうかもしれないぞ。 行くぞ、レイ! |
Mei |
第2節 メザスベキモノ/
Summary | |
---|---|
刃が迫る刹那、飛び込んできたシエルに救わ
れる。ヒビキの目的はホムラを守る事だと判 明し、一同は和解。皆で窯を目指すことに。 |
冥
はぁぁっ! |
Mei |
ヒビキ
しっ! |
Hibiki |
冥
くっ、また式神を斬られた! なんなんだ、あいつ。しつこいし、強い……! |
Mei |
ホムラ
レイと冥、ふたりがかりでも 倒せないなんて……。 |
Homura |
ホムラ
そのような強者が何故、余を狙う? 何が目的なのだ? |
Homura |
ヒビキ
ふっ……! |
Hibiki |
冥
レイ、注意しろ! 距離を詰められるぞ! |
Mei |
ヒビキ
遅い! これで終わりです。 |
Hibiki |
ホムラ
レイ!? |
Homura |
1: 間に合わない! |
1: |
冥
諦めるな、避けろぉ! |
Mei |
ホムラ
む、無茶だ! 逃げてくれ! |
Homura |
ヒビキ
でやぁっ! |
Hibiki |
ヒビキ
っ……もうひとり、いたのですか。 |
Hibiki |
シエル
はっ! |
Ciel |
ヒビキ
甘い! |
Hibiki |
冥
レイ、無事か? ……無事だな、よし。 |
Mei |
冥
それで、あいつは一体なんなんだ? 私たちが 押されていた相手と互角に打ち合っているが……。 |
Mei |
ヒビキ
……なるほど。なかなかやりますね。 |
Hibiki |
シエル
そちらも、相当な実力者ですね。奇襲には成功したと 思いましたが、対処は冷静で、攻撃は正確です。 |
Ciel |
ヒビキ
さすがにこの程度で冷静さを欠くようでは、 任務を果たすことなどできませんからね。 |
Hibiki |
ヒビキ
ホムラ殿下をなんとしてもお守りする……。 |
Hibiki |
ヒビキ
そのためならば、どれほど集まってこようと 全力で排除するのみです。 |
Hibiki |
シエル
そうですか。でしたら、私もただ、戦うだけです。 |
Ciel |
冥
おい待て、ちょっと待て! そっちの、私たちを襲ってきた奴! 今さらっと大事なこと言わなかったか? |
Mei |
冥
お前の目的は、ホムラを守ることなのか? 危害を加えることではなく? |
Mei |
ヒビキ
当たり前です。 何故、自分がホムラ殿下を傷付ける必要があるのですか。 |
Hibiki |
ヒビキ
自分はホムラ殿下をお守りするべく、得体の知れない あなたがたから殿下を保護しようとしているにすぎません。 |
Hibiki |
冥
…………。 |
Mei |
ヒビキ
事情をご理解いただけたなら、構えてください。 全員まとめてお相手いたします。 |
Hibiki |
シエル
望むところです。 |
Ciel |
1: ちょっと待って、シエル |
1: |
シエル
待つのですか? あちらは、そのつもりはないようですが。 |
Ciel |
シエル
……相手の無力化を優先すべきだと思います。 その方が、交渉も安全に行えます。 |
Ciel |
冥
なんだ、加勢してくれた方は レイの知り合いか。 |
Mei |
冥
だったらいい、引いてくれ、攻撃の必要はない。 こいつがホムラを狙っていないのなら、事情を話し合うべきだ。 |
Mei |
冥
誤解を広げてややこしくするのは得策じゃない。 |
Mei |
ホムラ
余からも頼む。双方、武器を納めてくれ。 余を守ると言うのなら、なおさらだ。 |
Homura |
ヒビキ
……わかりました。ホムラ殿下のご命令とあらば、 従いましょう。 |
Hibiki |
シエル
…………。 |
Ciel |
冥
ひとまず、話を聞いてくれ。 我々がいかに争う必要がないか、わかってもらえるはずだ。 |
Mei |
ヒビキ
……申し訳ありません。 自分の早とちりだったようですね……。 |
Hibiki |
冥
そういうことになる。わかってもらえたか……。 |
Mei |
ヒビキ
この場において、自分以外にホムラ殿下をお守りしようという 人間がいるとは思わず……大変、失礼いたしました。 |
Hibiki |
冥
どこへ行っても魔物だらけだしな。無理もない。 事情を知らなければ、怪しい連中に見えるのもわかる。 |
Mei |
ホムラ
誰かが怪我をする前に、引いてくれてよかった。 聞いてくれて感謝するぞ。 |
Homura |
ホムラ
……して、そなたら。名はなんと言う? |
Homura |
ヒビキ
……ヒビキ=コハクと申します。 |
Hibiki |
シエル
シエル=サルファーです。 |
Ciel |
冥
シエルか。お前はレイと知り合いなんだな? どういう関係だ? |
Mei |
シエル
同じ組織に所属しています。 |
Ciel |
冥
同僚ということか。 |
Mei |
ホムラ
そなたもレイと同じで、 自分についてよくわかっているようだな。 |
Homura |
ヒビキ
そのことですが。もしやホムラ殿下は自分の…… ヒビキ=コハクのことをお忘れですか? |
Hibiki |
ホムラ
すまない。ここへ来てから、 どうも記憶がはっきりしていなくてな……。 |
Homura |
ホムラ
そなたのことを、余は知っているはずなのだな? |
Homura |
ヒビキ
……そうでしたか。 |
Hibiki |
ヒビキ
ではどうぞ、自分のことはお気になさらず。面識はありますが、 殿下にとって重要な人物というわけでもありません。 |
Hibiki |
ヒビキ
ただ自分はホムラ殿下を、命に代えてもお守りする立場に あるというだけのこと。 |
Hibiki |
ヒビキ
……そういう事情があるのなら、自分がホムラ殿下のことを、 殿下と正しく認識できていて幸いでした。 |
Hibiki |
ホムラ
ヒビキよ。そなたは何故、余を守るのだ? |
Homura |
ヒビキ
それが、自分に与えられた任務だからです。 ある方から、殿下の御身を守るよう命じられております。 |
Hibiki |
ヒビキ
……残念ながら、誰にお任せいただいたのかは…… 思い出せないのですが。 |
Hibiki |
冥
お前も思い出せないことがあるのか。 |
Mei |
ヒビキ
はい、そのようです。 |
Hibiki |
ヒビキ
ですがその方を思い出せないことを、 あまり重要な問題とは思っておりません。 |
Hibiki |
ヒビキ
それが誰であれ、その方の命令は自分にとって絶対でした。 そのことさえわかっていれば、自分にとっては十分です。 |
Hibiki |
ホムラ
……そうか。そなたの事情はよくわかった、ヒビキ。 余の元に参じてくれたこと、感謝するぞ。 |
Homura |
ホムラ
余は、そなたを信頼する。余を守ると言う目には 覚悟があり、迷いがない。 |
Homura |
ホムラ
そなたのことを思い出せないまま、こんなことを言うのは 礼を欠いているやもしれぬが……。 |
Homura |
ホムラ
どうか余たちと共にきてはくれぬか。 ここから出る、出口を探したいのだ。 |
Homura |
ヒビキ
はい。お供いたします。 |
Hibiki |
ヒビキ
とはいえ、闇雲に出口を探しても 状況の改善は難しそうですね。 |
Hibiki |
ヒビキ
ホムラ殿下を探す途中、建物の中を調べ回りましたが 出入口らしきものは見つかりませんでした。 |
Hibiki |
冥
そっちもか。……ちょっとは、 新しい情報が出るのを期待していたんだがな。 |
Mei |
ヒビキ
では、あなたがたも特に 打開策となる情報をお持ちではないのですね。 |
Hibiki |
ホムラ
いや。冥とレイには既に話したが、 『最強の剣』を探したい。 |
Homura |
ホムラ
それがどういったものかは思い出せないが、 『最強の剣』は余を守り、助けてくれるもの。 |
Homura |
ホムラ
それさえ見つければ、ここから出ることも可能なはずだ。 ……記憶はないが、確信があるのだ。 |
Homura |
ヒビキ
では出口そのものというより、 その剣を探そうというのですね。 |
Hibiki |
ホムラ
うむ。 |
Homura |
冥
その道中で、運よく出口が見つかることもあるだろう。 『最強の剣』とやら、本腰入れて探してみるか。 |
Mei |
シエル
待ってください。私とレイさんは 残念ながら目的が異なります。 |
Ciel |
1: え、そうなの? |
1: |
1: え、そうなの? |
1: |
シエル
……どうやら、レイさんも一部、 記憶の欠落があるようですね。 |
Ciel |
シエル
私たちの目的は、ファントムフィールドの調査です。 そのためにここへやってきました。 |
Ciel |
シエル
もっとも、現在はイレギュラーが発生しているので、 調査よりも脱出を優先すべき状況だと判断します。 |
Ciel |
シエル
脱出するべく、ファントムフィールドを支える窯を発見し、 破壊することが最優先事項です。 |
Ciel |
ヒビキ
ファントムフィールド……? それに窯を破壊、とおっしゃいましたか? |
Hibiki |
冥
どういうことなんだ、それは? |
Mei |
シエル
事情を説明することは可能ですが、 皆さんの脱出に役立つ情報ではないと思います。 |
Ciel |
シエル
ただ私たちと皆さんの目的は異なりますので、 同行するのは非合理的だということを、お伝えしておきます。 |
Ciel |
ホムラ
では……レイと一緒には行けぬのか……? |
Homura |
ホムラ
そうか……仕方がないが……寂しいな。 |
Homura |
1: 寂しいなら一緒に行こう |
1: |
ホムラ
え……だが、よいのか? 窯とやらを探さねばならぬのだろう? |
Homura |
冥
優しいじゃないか、レイ。 だが、調査はいいのか? |
Mei |
シエル
……私たちの調査を行いながら、ホムラさんの剣探しも行う、 というおつもりですか? |
Ciel |
シエル
目指すものが違うのですから、同時に回収できるとは限りません。 そもそも目的地が違いますから、非効率的ではないでしょうか。 |
Ciel |
ホムラ
シエル、そういうことなら、 ひとつ提案をさせてもらえないだろうか。 |
Homura |
ホムラ
余は『最強の剣』を探したいが、それがどこにあるのかは わかっていない。手がかりもないのだ。 |
Homura |
ホムラ
だから、できるならそなたたちの調査とやらに同行させてもらい、 その道中で『最強の剣』を探したい。……どうだろうか。 |
Homura |
冥
なるほど。それはいい考えだ。 |
Mei |
ヒビキ
この建物は魔物の巣窟です。 戦力を分散させないのは、得策でしょう。 |
Hibiki |
シエル
……わかりました。 ご一緒しましょう。 |
Ciel |
シエル
ですがどちらかの目的を優先させなければならないとき、 私は任務を優先させていただきます。 |
Ciel |
ホムラ
もちろんだ、そうしてくれ。 |
Homura |
シエル
ありがとうございます。 |
Ciel |
シエル
窯のおよその位置はすでにわかっています。 まずはそちらを目指しましょう。 |
Ciel |
冥
行くべき先がわかっているのか。それはありがたい。 さっきまでは、闇雲に彷徨うだけだったからな。 |
Mei |
冥
あとはできるだけ、魔物に出くわさないですむと いいんだが……。 |
Mei |
魔物
シャアアアッ! |
Monster |
冥
うわっ! ほら出た、まただ! しかもこの数! |
Mei |
シエル
っ……! かなりの数です。皆さん、警戒してください。 |
Ciel |
ヒビキ
どんどん集まってきます! 各々、離れすぎないように。 はぐれては命取りです! |
Hibiki |
冥
シエル、行き先はこっちで合っているんだよな!? |
Mei |
シエル
はい。 方角は、間違っていません。 |
Ciel |
ホムラ
だが行こうとしている先に、うじゃうじゃいるぞ。 遠回りをしたほうがいいのではないか? |
Homura |
シエル
残念ながら、ルートを変えても同じです。 |
Ciel |
シエル
これだけ多くの魔物が出現するのは、 私たちが窯を目指しているからです。 |
Ciel |
シエル
窯を守るためにファントムフィールドの防衛機構が機能し、 過剰に障害を出現させます。 |
Ciel |
シエル
このファントムフィールドの主な防衛手段は、魔物のようです から……窯を目指す以上、遭遇は避けられません。 |
Ciel |
冥
そいつは困った事態だな。 |
Mei |
ヒビキ
突破するなら、自分が先陣を切ります。 ホムラ殿下、一時お側を離れますが、他の者から離れぬように。 |
Hibiki |
ホムラ
わ、わかった。気を付けろ、ヒビキ。 |
Homura |
ヒビキ
ご心配は無用です。 ……はぁっ! |
Hibiki |
冥
私たちも行くぞ! ホムラは下がっていろ。 |
Mei |
シエル
魔物の殲滅を開始します。 |
Ciel |
ーーー/
Summary | |
---|---|
皆でつかの間囲む食卓を、メイファン、ファ
ジーが襲撃。ホムラが彼女たちを拒絶する と、二人は一同に対し武力制圧を開始する。 |
シエル
…………。 |
Ciel |
シエル
周囲から魔物の気配が消失しました。 殲滅、完了です。 |
Ciel |
シエル
ただ、この建物自体にはまだ多くの魔物が潜んでいるでしょうから、 安全が確保されるのはしばらくの間だけですが。 |
Ciel |
冥
それでも、一息はつけるわけだ。 ふぅ……やれやれだな。 |
Mei |
ヒビキ
ホムラ殿下、お怪我はございませんか? |
Hibiki |
ホムラ
見ての通りだ。みんなが守ってくれたおかげでな。 感謝する。 |
Homura |
冥
……誰だ、盛大に腹の音を鳴らしてるのは。 緊張感のないやつだな。 |
Mei |
ホムラ
……す、すまない……余だ。 |
Homura |
ヒビキ
殿下、空腹ですか? |
Hibiki |
ホムラ
あ、あぁ……少し、気が抜けたのかもしれない。 |
Homura |
ホムラ
みんなが余を守るために頑張ってくれているというのに…… 己が情けない……。 |
Homura |
冥
気にするな、 それだけ今まで気持ちが張りつめてたってことだ。 |
Mei |
ヒビキ
むしろ頼もしい限りです。このような状況に置いても 正常に空腹を覚えることは、大事なことですよ。 |
Hibiki |
ヒビキ
近くに食事ができる場所がないか、探してきます。 みなさんはここで待っていてください。 |
Hibiki |
冥
わかった。気を付けろよ。 |
Mei |
ヒビキ
大丈夫です。ひとり歩きは慣れていますから。 |
Hibiki |
ホムラ
……ヒビキはああ言っていたが、余たちは 黙って待っていていいのだろうか? |
Homura |
ホムラ
何か、手伝った方がいいのではないか? |
Homura |
冥
本人が大丈夫だと言っているのだから、任せておけ。 自分の力量を越えた無茶を簡単にするようなやつではなさそうだ。 |
Mei |
冥
それより、さっきから戦い続きだ。疲れただろう。 今のうちにゆっくり休んでおいたほうがいい。私はそうする。 |
Mei |
ホムラ
むむぅ、休息も務めのうち、というわけか。 余は、やはりまだまだ未熟だな……。 |
Homura |
ホムラ
レイ、そなたも疲れただろう。 共に休もう。 |
Homura |
冥
いつ、魔物がまた襲ってくるかわからないからな。 シエル、周囲の警戒を任せてもいいか? |
Mei |
シエル
…………。 |
Ciel |
冥
シエル? |
Mei |
シエル
……あ、はい。なんでしょうか? |
Ciel |
冥
どうしたんだ、ぼうっとして。 どこか負傷したか? |
Mei |
シエル
いえ……何も問題ありません。 |
Ciel |
冥
そうか? だったら、考え事でもしていたのか? |
Mei |
冥
お前、さっきから私の方を見つめていたじゃないか。 なのに、話を聞いていないというのは妙な感じだ。 |
Mei |
冥
何を考えていた? 私に何か訊きたいことでもあるなら、答えるぞ。 |
Mei |
シエル
いえ。本当に、何でもないです。すみません。 |
Ciel |
シエル
魔物の襲撃に備えて、見張りに立ちます。 みなさんは、休んでいてください。 |
Ciel |
冥
……変な奴だな。レイ、シエルは いつもあんな感じか? |
Mei |
ホムラ
まぁよいではないか、冥。 |
Homura |
ホムラ
任務のことで、思うところがあるのかもしれない。 今はそっとしておこう。 |
Homura |
ヒビキ
ただいま戻りました。 |
Hibiki |
冥
ああ、おかえり。何か見つかったか? |
Mei |
ヒビキ
はい。向こうの部屋にキッチンがありました。 |
Hibiki |
ヒビキ
火も問題なく使えそうです。冷蔵庫に食材もありましたし、 きっと、食事の用意ができますよ。 |
Hibiki |
ホムラ
おお、本当か? |
Homura |
冥
キッチンがあっても作る人間がいないと 料理にならないだろ。 |
Mei |
ヒビキ
料理人のようにとはいきませんが、簡単な料理でしたら 自分ができます。 |
Hibiki |
ヒビキ
空腹を満たす程度の軽食くらいのものですが。 |
Hibiki |
ホムラ
何を言う。それでも十分、ありがたいぞ。 |
Homura |
ホムラ
余は、ヒビキの料理が楽しみだ。 作ってもらえるなら、ぜひ食べてみたい。 |
Homura |
冥
そうだな。 一度腰を落ち着けたら、私もなんだかお腹がすいてきた。 |
Mei |
ヒビキ
では、キッチンへ移動しましょう。すぐにご用意します。 |
Hibiki |
ホムラ
……ヒビキ。そなた、嘘をついたな? |
Homura |
ホムラ
そなたの料理は、とてもおいしいぞ。料理人のようには いかないなどと言っていたが、とんだ嘘ではないか。 |
Homura |
ヒビキ
いえ、そのような……。 |
Hibiki |
冥
いや、本当にこれは大したものだぞ。 なあ、レイ。 |
Mei |
ホムラ
せっかくだ、シエルもこちらで一緒に食べよう。 皆で食卓を囲むのは、楽しいぞ。食事もすごくおいしい。 |
Homura |
シエル
必要ありません。私のことは気になさらないでください。 補給は十分です。索敵と警戒を続けます。 |
Ciel |
ホムラ
そうか……それは残念だ。 |
Homura |
ホムラ
だが、こうして皆で食事をするというのは、良いな。 |
Homura |
ホムラ
記憶ははっきりしないが、以前の余には あまりこういう機会はなかったように思える。 |
Homura |
ホムラ
だがそういうときでも、あやつは決まって……。 あやつは……確か……。 |
Homura |
ホムラ
……? いや、誰だ……? 余のそばには、こういうとき、誰がいた……? |
Homura |
ヒビキ
みなさん、警戒を! |
Hibiki |
冥
レイ! 後ろだ! |
Mei |
冥
無事か、レイ! |
Mei |
ホムラ
な、何者だ!? |
Homura |
ヒビキ
あなたは……メイファン=ラピスラズリ。 |
Hibiki |
メイファン
そうとも、ヒビキ=コハク。 その顔をここで見るとはな。 |
Meifang |
ファジー
僕はファジー。よろしくね。 アハハハハ! |
Fuzzy |
メイファン
さて、不届きな逆賊ども。 即刻……ホムラ様を返してもらおうか! |
Meifang |
ホムラ
ま、また余を狙っているのか……。 |
Homura |
ホムラ
メイファンとやら。 すまぬが、余はそなたのことが思い出せないのだ……。 |
Homura |
ホムラ
だからなぜそなたが余を狙うのか……その理由がわからない。 余はそなたにとって、なんなのだ? |
Homura |
メイファン
ホムラ様は『あの方』の大切なもの。 有象無象が触れていいものではありません。 |
Meifang |
冥
要するに、お前もまたホムラを守ろうとしているのか? だったら、戦う必要はない。 |
Mei |
冥
私たちは皆、ホムラを害するつもりはない。 むしろ守りながら行動を共にしている。 |
Mei |
ホムラ
そうだ、この者たちは余を守ってくれている仲間だ。 だから心配はいらない。メイファン、矛を納めてくれ。 |
Homura |
ホムラ
そなたとこの者たちは、協力できるはずだ。 |
Homura |
メイファン
……ホムラ様。 |
Meifang |
メイファン
あなたは余計なことをお考えにならずともよい。 |
Meifang |
ホムラ
え……? |
Homura |
メイファン
あなたは余人とは異なる存在。特別な地位に座すべき方。 それゆえにあなたの御身は、あなたの物に非ず。 |
Meifang |
メイファン
よくよくご自分のお立場をご理解ください。 |
Meifang |
メイファン
誰が御身を守るかも、誰が御身の味方であるかも、 あなたがお決めになることではない。 |
Meifang |
メイファン
あなたの身柄を預かるべきなのは、私。 それ以外に道は必要ないのです。 |
Meifang |
ホムラ
な……なにを……それではまるで、余は物ではないか! 余は人形ではないぞ! |
Homura |
メイファン
それもまた、御身がお決めになることではありません。 |
Meifang |
メイファン
さあ、ホムラ様。こちらへ。 |
Meifang |
ホムラ
……冥、ヒビキ、レイ。 余は、あの者が怖い……。一緒に行きたくないぞ……。 |
Homura |
ヒビキ
賢明なご判断です。 |
Hibiki |
冥
ああ、当然の反応だ。それにああして、誰かのことを 思い通りにできると信じて疑わない態度、個人的に気に入らない。 |
Mei |
1: ホムラ、隠れてて |
1: |
ホムラ
す、すまない。ありがとう、レイ! |
Homura |
ホムラ
レイ……そなたは、 本当に頼りになるな。嬉しいぞ……。 |
Homura |
メイファン
フン、反逆者どもめ。 邪魔をするなら処分するまでだ。 |
Meifang |
メイファン
帝様の『最強の矛』として、 我が忠誠に反するお前たちを討つ! ファジー! |
Meifang |
ファジー
はいはーい。簡単に壊れないでね。 すぐ遊べなくなっちゃったら、つまんないからさ〜。 |
Fuzzy |
ヒビキ
……メイファン=ラピスラズリ。自分が所属する組織において、 反逆者を処分する隊を率いる者です。その実力は相当のもの。 |
Hibiki |
ヒビキ
加えて、連れているのはどうやら人ではない様子。 十分にご注意ください。 |
Hibiki |
冥
ついさっき、壁をぶち破ったところを見たばかりだ。 侮るはずもない。 |
Mei |
冥
行くぞ、レイ! |
Mei |
シエル
……戦闘態勢に移行。攻撃を開始します。 |
Ciel |
第3節 ワスレタダレカ/
Summary | |
---|---|
辛くも襲撃から逃げ切るが、シエルは冥をど
こか警戒し、ホムラは記憶が戻らないまま。 各々不安を抱えつつも、一行は先へと進む。 |
メイファン
ちっ……薄汚い反逆者どもめ! 無駄な抵抗を! |
Meifang |
ファジー
アハハー! すごいすごい! いいよ、君たち! もっと楽しもう! |
Fuzzy |
冥
しつこい連中だな! 付き合いきれるか! |
Mei |
ヒビキ
ですが、動きは鈍っています。 撤退するなら、今が好機。 |
Hibiki |
ヒビキ
冥さん、式神で天井を! |
Hibiki |
冥
わかった! レイ! ホムラを抱えて逃げろ! |
Mei |
冥
……さあ、頼むぞ、式神たち! |
Mei |
ホムラ
天井が崩れて、道を塞いだのか! |
Homura |
メイファン
フフフっ、バカめ。この程度で止められるものか。 こんなもの、すぐに破壊して……。 |
Meifang |
冥
……それだけですむと思うのか? |
Mei |
ファジー
あ、ストップ、ストップ。マズイよ、メイファン。 これ、床まで崩れてる! |
Fuzzy |
メイファン
ちっ! 壁は時間稼ぎと目くらましか……! |
Meifang |
ファジー
アッハハ、やられちゃったね〜。 わぁぁ〜〜〜! |
Fuzzy |
ホムラ
はぁ、はぁ、はぁ……ち、ちょっと待ってくれ、 息が……。 |
Homura |
冥
奴らは……? |
Mei |
ヒビキ
追ってはきていませんね。 なんとか撒けたようです。 |
Hibiki |
冥
苦し紛れだったが、なんとかなったな。 |
Mei |
冥
それでみんな、怪我はないか? |
Mei |
ホムラ
余は問題ない。そなたたちがよく守ってくれた。 |
Homura |
ヒビキ
自分とレイさんも大丈夫かと。 |
Hibiki |
冥
どれ、一応診せてみろ。 |
Mei |
冥
……うん。確かに問題なさそうだ。 シエルはどうだ? |
Mei |
シエル
私は大丈夫です。気にしないでください。 |
Ciel |
冥
……お前、私を避けてないか? |
Mei |
シエル
いえ、そんなことありません。 |
Ciel |
冥
本当にそうか? けっこう露骨な気がするんだが……。 |
Mei |
冥
まぁいい。無理に診るものでもないしな。 問題がないなら、それでいいさ。 |
Mei |
冥
……ところで、ホムラ。 『最強の剣』についてはどうだ? なにか思い出せたりしたか? |
Mei |
ホムラ
いや……まだなにも。 |
Homura |
冥
そうか……。いや、さっきのメイファンとやらが、 自分を『最強の矛』だとか言っていたからな。 |
Mei |
冥
『最強の剣』になにか関係していたんじゃないかと、 ふと思ったんだ。 |
Mei |
ホムラ
……どうだろうか。だが、少なくともあやつが 『最強の剣』というわけではない。 |
Homura |
ホムラ
肝心なことは何も思い出せないが、もしも見つけたら、 すぐにそれだとわかるはずだ。 |
Homura |
ホムラ
それくらい、余にとって『最強の剣』とは 大事なもののはずなのだ。 |
Homura |
シエル
失礼ながら……本当に、そんなものがあるのでしょうか。 |
Ciel |
ホムラ
ある! あると言っているではないかっ。 |
Homura |
ホムラ
余の『最強の剣』は、誰よりも、何よりも強くて、 どんなことからも余を守ってくれる……。 |
Homura |
ヒビキ
ですが、それがどんなものかは、 覚えていないのですよね……? |
Hibiki |
ホムラ
……説得力がないのは、自分でもわかっている。 |
Homura |
ホムラ
だが、嘘ではない……あれは決して、 余を見捨てたりせぬ……。 |
Homura |
ヒビキ
……申し訳ありません、ホムラ殿下。 お言葉を否定しようというのではありません。 |
Hibiki |
ヒビキ
自分にも『最強』と呼べるようなものの心当たりが あるように思えてならないのです。 |
Hibiki |
ホムラ
っ! そ、それは真か! |
Homura |
ヒビキ
はい。それはとても強く、誰にも負けない…… 殿下のおっしゃっているようなものでした。 |
Hibiki |
ヒビキ
それはなんなのか……思い出せませんが、間違いなく 存在していたはずです。 |
Hibiki |
冥
……思い出せないもの、か。 |
Mei |
冥
何故だろうな……。 その話を、妄想だと切り捨てるつもりになれないのは。 |
Mei |
冥
とはいえ、『最強』とはひどく曖昧な表現だな。 |
Mei |
ホムラ
冥も、余を信じられないのか? |
Homura |
冥
違う、そうじゃない。力の形は様々だ。 強いと言っても、色々あるだろう? |
Mei |
冥
権力なのか、暴力なのか、能力なのか、人柄なのか。 これらは全て、世界において重要な『力』だ。 |
Mei |
冥
人によって求める強さは違うし、場面によっても 求められる強さは違う。 |
Mei |
冥
……ホムラ。お前の言う『最強』とはどんなものだ? どんな力を『最強』とするんだ? |
Mei |
冥
それがわかれば、何か手がかりになるかもしれない。 |
Mei |
ホムラ
余が思う、『最強』の形……。 |
Homura |
シエル
……お話しの途中ですが、みなさん、警戒してください。 |
Ciel |
1: メイファンたちが追いついてきた? |
1: |
シエル
いえ、これは違います。 ですが、おそらくピンチです。 |
Ciel |
シエル
はい。気配が近づいてきています。 すでにこちらは補足されているようです。 |
Ciel |
シエル
……来ます! |
Ciel |
冥
うわっ!? |
Mei |
ヒビキ
魔物……! ホムラ殿下、我々の背後へ! |
Hibiki |
ホムラ
も、もうまわっておる! 襲われるのにも慣れてきたぞ! |
Homura |
冥
いいぞ、そうやって安全を確保しておけ! つきっきりで守ってやれるほど、余裕はないからな! |
Mei |
シエル
窯を目指す限りは、仕方ありません。 戦闘行動を開始します。 |
Ciel |
ーーー/
Summary | |
---|---|
度重なる魔物の襲撃を切り抜けるが、更に前
方からヴァルケンハインとレリウスが強襲。 天ノ矛坂の血を根絶する、と語り冥を狙う。 |
冥
えぇい、ひどい乱戦だったな……。 |
Mei |
ヒビキ
ホムラ様、ご無事ですか!? |
Hibiki |
ホムラ
無事だ! ……シエル、魔物たちの群れは まだ続きそうか? |
Homura |
シエル
いいえ、さすがに落ち着いたようです。 |
Ciel |
シエル
……と、思ったのですが。 |
Ciel |
冥
こいつら、一体どこから湧いてきた? |
Mei |
ヒビキ
直前まで気配はしませんでしたね。 急に部屋の外に現れたように感じます。 |
Hibiki |
シエル
先ほどの戦闘で殲滅したはずなのですが 防衛機構の動きが活発になっているのでしょう。 |
Ciel |
シエル
私たちが窯に近付いている分、防衛機構の進行を阻止しようと する力も強くなります。 |
Ciel |
冥
なるほど、反発する力が強まるわけか。 |
Mei |
冥
その防衛機構とやらの詳細はわからないが、 よほどお前たちを窯に近付けたくないらしいな。 |
Mei |
シエル
……とにかく、ここで足止めされるわけにはいきません。 |
Ciel |
シエル
出入口に立ちふさがる魔物を散らして、 そのまま廊下へ出ます。あとに続いてください。 |
Ciel |
シエル
はぁぁっ! |
Ciel |
シエル
今です! |
Ciel |
ヒビキ
ホムラ殿下、掴まっていてください! |
Hibiki |
冥
窯の方角はわかっていると言ってたよな! 逃げ回ってばかりだが、ちゃんと近付けているのか!? |
Mei |
シエル
はい。それに関しては問題ありません。 窯へは着実に近付いています。 |
Ciel |
シエル
今のところ、魔物に襲われても対処できています。 この調子で行けば―― |
Ciel |
冥
なんだ? 急に止まったぞ? |
Mei |
ヒビキ
っ! ホムラ殿下、伏せてください! |
Hibiki |
ホムラ
わ、わわっ!? |
Homura |
冥
げほっ、げほっ…… 今度はなんだ……!? |
Mei |
ヴァルケンハイン
…………。 |
Valkenhayn |
レリウス
……ふむ。今ので仕留めたと思ったんだがな。 まぁいい。ひとまず足を止めることには成功した。 |
Relius |
レリウス
……貴様、天ノ矛坂冥だな? |
Relius |
冥
それがどうした? |
Mei |
レリウス
どうもこうもない。 |
Relius |
レリウス
天ノ矛坂の血筋を根絶する。 そのために来た……。 |
Relius |
ホムラ
……今度の狙いは冥だというのか。 |
Homura |
冥
狙われる覚えはないんだがな……。 理由は教えてもらえるのか? |
Mei |
ヴァルケンハイン
……むんっ! |
Valkenhayn |
冥
くそっ、行儀がよさそうなのは服装だけか! |
Mei |
ヒビキ
話し合いはできそうにありませんね。 であれば、戦いを避けるのは難しそうです。 |
Hibiki |
シエル
巻き込まれるのは不本意ですが……仕方ありません。 戦闘態勢に移行します。 |
Ciel |
シエル
レイさん、お気を付けて。 |
Ciel |
第4節 トウセイキコウ/
Summary | |
---|---|
二人を撒いた一行の前に、ハザマとその部下
が現れた。ホムラの身分を明かし引き渡しを 要求、一行が拒否すると実力行使に出る。 |
ヴァルケンハイン
ちぃっ! あいつら、どこへ消えた!? |
Valkenhayn |
ヴァルケンハイン
おい、レリウス! |
Valkenhayn |
レリウス
見当たらん。逃げたのだろうな。 |
Relius |
レリウス
お前の鼻で探せないのか? |
Relius |
ヴァルケンハイン
俺を犬のように言うな! |
Valkenhayn |
ヴァルケンハイン
ちっ……できるならそうしている。嫌な気配をまき散らされて、 追えんのだ。ただでさえここは魔物の臭いがひどすぎる。 |
Valkenhayn |
レリウス
気配を遮断する術……あるいは、ドライブか。 |
Relius |
冥
こ、ここまで、くれば……ひとまず大丈夫じゃないか……? |
Mei |
シエル
……そうですね。先程の二人組の気配は感じられません。 |
Ciel |
ホムラ
や、奴らは一体、なんだったのだ? 冥を狙っておったようだが……。 |
Homura |
冥
私にもわからん。 |
Mei |
冥
ただまあ……特殊な家柄に生まれた者だ。私自身知らない間に、 狙われるに足る理由が生まれたのかもしれない。 |
Mei |
ホムラ
そんなことがあるのか? |
Homura |
ヒビキ
ありますよ。特殊な立場にいればいるほど、 その可能性は高くなるものかもしれません。 |
Hibiki |
ヒビキ
……ホムラ様も、そのようなお立場です。覚えはなくとも、 様々な理由で御身を狙う者は後を絶たないでしょう。 |
Hibiki |
ヒビキ
ここにいる間のみならず、どんなときでも、 どうぞ身の回りにはご注意ください。 |
Hibiki |
ホムラ
あ、あまり脅かすな、ヒビキ……。 |
Homura |
ホムラ
……だが、そうだな。うむ。そなたの言葉、肝に命じよう。 |
Homura |
ヒビキ
出過ぎた口をききました。 |
Hibiki |
ホムラ
いや、余の身を案じてくれたこと。 それくらいは、余にもわかるぞ。 |
Homura |
ホムラ
……しかし、ここは広いな。これだけあちこち 逃げ回っているというのに、まだ先へ続く道がある。 |
Homura |
冥
そもそも、一体なんの建物なんだろうな。 ホテルのような……役所のような……。 |
Mei |
ヒビキ
おそらくですが、統制機構関連の建物だと思います。 内装の様子がよく似ていますから。 |
Hibiki |
冥
統制機構? なんだそれは? |
Mei |
ヒビキ
正確には、世界虚空情報統制機構です。 |
Hibiki |
ヒビキ
……私の知っている常識を元にした話ですが、世界各地の 都市を管理する組織……といったところでしょうか。 |
Hibiki |
冥
世界規模の行政組織、ということか? 運営することを考えただけで胃が痛くなりそうだ。 |
Mei |
ヒビキ
事実、上に立つ人々は苦労されていたと思いますよ。 |
Hibiki |
冥
で。その統制機構がホムラや我々をここに 閉じ込めている理由はなんだ? |
Mei |
ヒビキ
それは……わかりかねます。 |
Hibiki |
シエル
私にもわかりません……。それに統制機構の施設であるのなら、 これだけ魔物が歩き回っているのも不可解ですね。 |
Ciel |
ヒビキ
はい。私の知る統制機構は、少なくとも 魔物の巣窟になるような場所ではなかったのですが……。 |
Hibiki |
ハザマ
いやぁ、不思議ですねぇ、なぜなんでしょう。 |
Hazama |
ヒビキ
っ、ハザマ大尉!? |
Hibiki |
ホムラ
い、いつの間に? |
Homura |
シエル
っ!? 周囲は警戒していたのですが……すみません。 |
Ciel |
ハザマ
いえいえ、無理もないことです。 私たちは、そういう訓練を受けた存在ですから。 |
Hazama |
冥
ずいぶんと大所帯だな。まるで、私たちを 取り押さえようとしているみたいじゃないか。 |
Mei |
ハザマ
あ〜、察しがよろしい。もちろん、そうならず穏便に事がすめば それに越したことはないのですが。 |
Hazama |
ハザマ
私こう見えて、穏やかな人柄なものですから。 どうぞ手荒な真似はさせないでいただきたいですねぇ、はい。 |
Hazama |
ヒビキ
……なにが目的ですか? |
Hibiki |
ハザマ
話が早くて助かります。ヒビキ大尉。 ホムラ殿下の身柄を、こちらへ渡してください。 |
Hazama |
ホムラ
な、なぜだ。なぜ、余を狙う!? |
Homura |
ホムラ
さっきのメイファンという者といい…… 余はそなたたちのなんなのだ。 |
Homura |
ハザマ
特別な存在、ですよ。私たち、世界虚空情報統制機構に とって……ひいては全世界にとって。 |
Hazama |
ハザマ
あ。さてはご自分のお立場がわかっておいででない? それはいけません。改めてご理解ください、殿下。 |
Hazama |
ハザマ
ホムラ殿下は統制機構を総べる帝、 天ノ矛坂テンジョウの嫡子。 |
Hazama |
ハザマ
テンジョウ様亡きあと、その座を受け継ぎ役目を担うのは あなた様の責務です。 |
Hazama |
ハザマ
望む望まざるに関わらず、あなたは生まれた瞬間から、 そのために生かされ、そのために存在している。 |
Hazama |
ハザマ
だからこそ、良からぬ不穏分子に身柄を抱え込まれるわけには いかないのです。それこそホムラ殿下があまりにも憐れ。 |
Hazama |
ハザマ
……おわかりいただけました? |
Hazama |
ホムラ
余が……帝……。 |
Homura |
冥
……口調と名前からして、ただの子供というわけではないと 思っていたが……ずいぶん大層な重要人物だったな。 |
Mei |
ホムラ
余は……。 |
Homura |
ハザマ
さ、殿下。ご理解いただけましたら、どうぞこちらへ。 |
Hazama |
ハザマ
ここまでご一緒だったお友達を、 ご自分のせいで危険な目になど遭わせたくはないでしょう。 |
Hazama |
冥
おい、なんて言い方をするんだ! 相手はまだ幼い子供だぞ! |
Mei |
ハザマ
子供ではありません。 『天ノ矛坂焔』です。 |
Hazama |
冥
……ホムラ。あんな男の言うことを信用するな。 たとえ天ノ矛坂であろうと、お前はひとりの人間だ。 |
Mei |
冥
それを否定する者に、お前が従う必要はない。 |
Mei |
ヒビキ
……同意見です、冥さん。 |
Hibiki |
ヒビキ
ハザマ大尉。 彼は統制機構の諜報部に所属する衛士のひとりです。 |
Hibiki |
ヒビキ
……詳細な情報までは思い出せませんが……それでも、 彼を信用するべきではない。 |
Hibiki |
ヒビキ
油断して、気を許してはならない相手です。 |
Hibiki |
ヒビキ
それに……彼が口にしたホムラ殿下の情報は間違っていませんが、 話した通りのことをあの男が思っているとは、限らない。 |
Hibiki |
シエル
先代の帝の後継として扱う、とは限らないという意味ですね。 ……確かにそうです。 |
Ciel |
シエル
彼の真意を知らない以上、ハザマさんがホムラさんの安全を 確保する保証はどこにもありません。 |
Ciel |
ハザマ
おやおや、ひどいですねぇ。同じ組織で同じ理念の元、 働く仲だというのに。 |
Hazama |
ヒビキ
少なくともあなたと同じ理念を抱いたことはありません。 |
Hibiki |
ハザマ
やれやれ。それでよろしいのですか、ホムラ殿下? |
Hazama |
ホムラ
うっ……。 |
Homura |
ハザマ
あなたの態度ひとつで、 ここで起こる出来事は大きく変わります。 |
Hazama |
ハザマ
私の後ろにいる大勢の部下たちを、 無用に働かせる必要は本当にあるのでしょうか。 |
Hazama |
ハザマ
よくお考えください。 |
Hazama |
ホムラ
それは……。 |
Homura |
1: ホムラはどうしたいか聞かせて |
1: |
ホムラ
余は……余は、行きたくない。 あやつの目は恐ろしい。 |
Homura |
ホムラ
それに、レイたちと一緒にいたいのだ。 一緒に『最強の剣』を探して、ここを出たい。 |
Homura |
ホムラ
レイ……。 |
Homura |
ホムラ
……余は、怖い。だが、余には強い仲間がたくさんいる。 そなたの脅しに、余とて屈するものか! |
Homura |
冥
よく言った。それでこそ天ノ矛坂の血筋だぞ! ぐっじょぶ! |
Mei |
ヒビキ
御意にございます、ホムラ殿下。 |
Hibiki |
シエル
レイさんが戦われるのでしたら、 私も戦います。 |
Ciel |
ハザマ
はぁー……結局、こうなりますか。残念です。 |
Hazama |
ハザマ
総員、戦闘準備。天ノ矛坂焔を確保せよ。 |
Hazama |
ハザマ
言っておきますが、 一度や二度、退けたからといって安心しないでくださいね? |
Hazama |
ハザマ
私、こう見えてとてもしつこいので。 |
Hazama |
ーーー/
Summary | |
---|---|
部下を目くらましに、ハザマがホムラの身柄
を奪う。それでも尚抵抗を続けるホムラを救 うため、一行はヒビキの作戦に乗って動く。 |
ヒビキ
……ようやく途切れましたか。 |
Hibiki |
冥
組織の人間は、やはり魔物とは違うな……。 戦術が存在する分、厄介だ。 |
Mei |
シエル
常に私たちを分断させるような立ち回りをしていました。 はぐれずに戦闘を終えられてなによりです。 |
Ciel |
ヒビキ
……ハザマ大尉はどこですか? |
Hibiki |
冥
ん? ハザマ? そういえば、どこへ行った……? |
Mei |
ヒビキ
警戒を! あの男が意味もなく消えるはずがありません! |
Hibiki |
ハザマ
その通り。いやぁ〜、残念でしたねぇ。 |
Hazama |
ホムラ
うわぁぁっ! |
Homura |
冥
あ!? ホムラっ! |
Mei |
ホムラ
め、冥……! |
Homura |
ハザマ
あれだけの衛士がただの目くらましにしかならないのは 計算外でしたが、多少の役には立ちましたね。 |
Hazama |
ハザマ
さあ、大人しく投降していただきましょうか。 大事なホムラ殿下に傷がついては、可哀想ですから。 |
Hazama |
ヒビキ
……貴様。 |
Hibiki |
ハザマ
あ、いいです、いいですよ、その表情。 悔しいですよねぇ、情けないですよねぇ。 |
Hazama |
ハザマ
護衛であるかのように側につき従いながら、 結局守ることができなかったのですから。 |
Hazama |
ハザマ
……まぁ、そんなのはどうでもいいんですけど。 さ、ホムラさん。行きましょうか。 |
Hazama |
ホムラ
い、嫌だ! |
Homura |
ホムラ
<size=130%>ヒビキ! 冥! 助けて!</size> <size=130%>シエル、レイ!</size> |
Homura |
ホムラ
余はこやつと行きたくない! そなたたちと一緒が良い! |
Homura |
冥
当たり前だろうが。すぐに助ける! |
Mei |
1: 危ないからじっとしててね |
1: |
ホムラ
わ、わかった! じっとしている! そなたたちを信じているぞ……っ。 |
Homura |
シエル
わかりました。レイさんの意思に従います。 必ず、ホムラさんの身柄の安全を確保します。 |
Ciel |
ハザマ
あらまあ、まさかの熱血展開。 状況がわかっているのですか? |
Hazama |
ハザマ
そう容易く反抗の意思など見せて……。 私が腕の中の殿下になにをするともわからないのに。 |
Hazama |
ホムラ
構わぬ! 余を殺しはしないだろう。 皆、頼む! |
Homura |
冥
ホムラがそこまで言っているのに、怖気づけるか。 お前がなにかしようものなら、その前に動きを封じるまで! |
Mei |
ヒビキ
(冥さん。戦闘中、ハザマ大尉の目を 少しだけ引き付けてくれませんか?) |
Hibiki |
冥
(……何か考えがあるんだな?) |
Mei |
冥
(わかった。やってやる!) |
Mei |
ヒビキ
(よろしくお願いします。) |
Hibiki |
ハザマ
気乗りしませんが、やりますか。 ホムラさんを傷付けないよう、注意してくださいよっ。 |
Hazama |
第5節 ウマレモツヤクワリ/
Summary | |
---|---|
ホムラを奪還し、先へと進む一行の周囲に死
臭が漂ってくる。その行く手には倒れる衛士 たちと、不穏な空気を纏うサヤがいた。 |
冥
はぁぁぁっ! |
Mei |
ハザマ
おっとぉ……! |
Hazama |
冥
シエル、今だ! |
Mei |
シエル
はい! せやぁぁぁっ! |
Ciel |
ハザマ
……くっ。 |
Hazama |
冥
まだまだ、こちらからも行くぞ! |
Mei |
ハザマ
ああもう、ひとりに寄ってたかって、卑怯じゃないですかぁ! |
Hazama |
冥
お前が言うな! |
Mei |
冥
それに……卑怯はまだ終わりじゃないぞ。 |
Mei |
ハザマ
!! |
Hazama |
ハザマ
これは、いけません……! |
Hazama |
ホムラ
ヒビキ! ありがとう……助かった。 |
Homura |
ヒビキ
ハザマ大尉、あなたは諜報員。世界の裏側を暗躍する影。 |
Hibiki |
ヒビキ
ですが自分は暗殺者です。逃げ隠れし物事を暴くのではなく、 標的を仕留めるために影に潜むのは、自分の方が専門です。 |
Hibiki |
ハザマ
……そうでした。通常衛士のような格好をしてはいても、 あなたは『そういう』生まれ育ちでしたね。 |
Hazama |
冥
形勢逆転だな。ホムラも取り返したし、頼みの衛士たちも もういない。まだやるか? |
Mei |
ハザマ
ご冗談を。このような場所で殿下のために、 これ以上この身を賭けるつもりはありませんよ |
Hazama |
ハザマ
一度、退かせていただきます。 ……せいぜい、がんばってくださいね。 |
Hazama |
冥
……消えるようにいなくなったぞ。 |
Mei |
ヒビキ
追うのは危険です。逃げ切ることに関しては、 おそらく自分よりも上でしょうから。 |
Hibiki |
ホムラ
皆の者、すまない……ありがとう。 そなたたちは恩人だ。 |
Homura |
ヒビキ
いえ……。一時とはいえ、御身を危険にさらしました。 申し訳ありません。 |
Hibiki |
ホムラ
何を言う。ヒビキに何も落ち度はない。 余のために策を講じ、余のために戦ってくれた。 |
Homura |
冥
無事でなによりだ。 |
Mei |
冥
レイとシエルの助力あってこそだった。 ありがとう。 |
Mei |
シエル
私は、レイさんに従ったまでです。 |
Ciel |
冥
そっけないな。……あとお前、やはり私を避けていないか。 |
Mei |
シエル
そんなことはありません。 きっと、気にしすぎですよ。 |
Ciel |
冥
……それこそ、そんなことない気がするんだけどな。 |
Mei |
シエル
それより、状況が落ち着いているうちに、 窯へ向かいましょう。 |
Ciel |
ヒビキ
ハザマ大尉はもちろん、メイファン大佐や他の衛士が、 いつ追ってくるかわかりませんからね。 |
Hibiki |
冥
次に襲ってきたら、金でも取るか。 私たちの貴重な時間を奪っているんだからな。 |
Mei |
冥
労働には対価を、だ。 |
Mei |
シエル
……行きましょう。 |
Ciel |
冥
本当にそっけないな……。 |
Mei |
冥
……こんなところを通らないといけないのか? |
Mei |
シエル
窯の気配はこの先です。他に道があるかもしれませんが、 今は探す時間が惜しいです。 |
Ciel |
ホムラ
冥、余を心配しているのか? それなら、気にしなくてもよい。 |
Homura |
ホムラ
余は、シエルとレイに 同行を願い出ている身。わがままを言うつもりはない。 |
Homura |
ホムラ
それにこのような場所だからこそ、余の探しているものの 手がかりがあるかもしれんしな。 |
Homura |
ホムラ
……うわっ! |
Homura |
ヒビキ
大丈夫ですか、ホムラ殿下。 足元が悪いです。お気を付けください。 |
Hibiki |
ホムラ
あ、ああ……すまぬ、濡れているせいか滑ったようだ。 |
Homura |
シエル
足場もですし、視界もあまりよくありません。 こんな場所での戦闘は避けたいですね。 |
Ciel |
冥
こら、思っていてもそんなこと言うな。 フラグというんだぞ、そういうのは。 |
Mei |
冥
……ん? 何か妙な臭いがしないか? |
Mei |
ホムラ
それなら、ずっとしている。 ……余の鼻は曲がりっぱなしだ。 |
Homura |
冥
いや、最初から感じてるカビ臭さとは違って……。 |
Mei |
ヒビキ
……死臭、ですね。 |
Hibiki |
ホムラ
なっ…… それは、この先で誰かが死んでいるということか……? |
Homura |
シエル
皆さん。前方に、誰かいます。 |
Ciel |
冥
あれは……誰だ? |
Mei |
ホムラ
ひっ……あ、あやつの足元に大勢倒れておるぞ!? |
Homura |
ヒビキ
統制機構の制服を着ています。衛士たちですね。 |
Hibiki |
冥
……生きている気配はないな。死臭の元はあれか? |
Mei |
ヒビキ
であれば、おかしいですね。 あれだけの人数が倒れているというのに、少しの血痕もない。 |
Hibiki |
ヒビキ
毒物の類でやられたのだとしても、 もう少し痕跡があるはずです。 |
Hibiki |
サヤ
…………。 |
Saya |
ヒビキ
そこの方。何者ですか? ……衛士たちを殺めたのはあなたですか? |
Hibiki |
サヤ
……? |
Saya |
冥
心ここにあらず、って感じだぞ? |
Mei |
ヒビキ
あなたの仕業でないのなら、状況を説明してください。 |
Hibiki |
サヤ
…………。 |
Saya |
サヤ
あなた、は……。 |
Saya |
サヤ
何故、そのような者たちをお連れになっているのです……? |
Saya |
サヤ
何故……『冥様』のようなお方が、私ではなく、 そのような子供を……大事そうに……従えて……。 |
Saya |
冥
え。わ、私か? |
Mei |
サヤ
何故、そんな得体の知れない者たちと……。 何故……何故、何故……。 |
Saya |
冥
ま、待ってくれ。私はお前のことを知らない。 人違いではないのか? |
Mei |
サヤ
まあ。何をおっしゃいますか……。 |
Saya |
サヤ
あなた様は天ノ矛坂冥様。 その名が示す方はひとりだけ。 |
Saya |
サヤ
あなた様は魔を討ち払う由緒正しき『天ノ矛坂』を継ぎし方。 慈しみ深き我等が当主。 |
Saya |
サヤ
我が『輝弥』を含めた退魔の一族を総べる者……。 それが、あなた様。このサヤが見間違えるはずがありません。 |
Saya |
冥
輝弥……その名まで知っているとは。 私のことを本当に知っているようだな。 |
Mei |
サヤ
ああ、冥様。このような場所でお会いできるなんて。 私は幸運にございます。 |
Saya |
サヤ
どうか……どうか、お願い申し上げます。 あなたのその類まれなる術でもって、どうか……。 |
Saya |
サヤ
私の魔を祓ってくださいませんか……。 |
Saya |
冥
お前の魔? どういうことだ? |
Mei |
サヤ
私の中には魔物が棲んでいるのだと、 教えてくださったのは冥様ではありませんか。 |
Saya |
サヤ
その魔物は怖ろしく、あらゆる命を喰らうのだと。 いずれ私の命も喰らうのだと。 |
Saya |
サヤ
ええ、まさに、今まさに。その魔物が喰らうのです。 私の命を喰らわんと、私の奥底から這い出てくるのです。 |
Saya |
サヤ
ああ、怖ろしい……怖くて怖くてたまりません。 私は喰われたくないのです。ですから、どうか……。 |
Saya |
サヤ
ああどうか、その身を私に喰らわせてくださいませ……! |
Saya |
ホムラ
ひっ……!? |
Homura |
ヒビキ
ホムラ様、下がってください! |
Hibiki |
ヒビキ
……どのような手を使ったのかはわかりませんが、 そこにいる大勢の衛士は、やはりあなたの仕業ですね。 |
Hibiki |
サヤ
私が……? ああ、そう、そうなのかもしれません。 私が喰らってしまったのかしら? |
Saya |
サヤ
ひとり残らず? 魔物が……私の中の魔が、 なにもかも飲み込んでしまう……。 |
Saya |
シエル
明らかに様子がおかしいです。 錯乱状態にあると言えます。 |
Ciel |
ホムラ
それも、彼女の言う魔のせいなのだろうか。 ……サヤは、苦しんでいるのだな。 |
Homura |
冥
……私はあいつのことを思い出せないが、 私に助けを求めているというのなら、助けてやりたいと思う。 |
Mei |
冥
この死の山を築いた事情に、彼女の意思が関わっていないのなら なおさらだ。そこにある魔とやら、祓ってやろうじゃないか。 |
Mei |
冥
ホムラ、力を貸してくれ。 |
Mei |
ホムラ
え……よ、余か? |
Homura |
冥
お前が私と同じ『天ノ矛坂』なら、 同じように退魔の血を受け継いでいるはず。 |
Mei |
冥
家のことなどくそくらえだが、 目の前で助けを求める少女のひとり、助けてやらんと名が廃る。 |
Mei |
ホムラ
……わかった。余にどれほどのことができるかわからぬが…… できることを、やってみる! |
Homura |
サヤ
嗚呼……救ってくださるのですね。 私の手を、取ってくださるのですね。 |
Saya |
サヤ
嬉しい……嬉しゅうございます。 |
Saya |
1: サヤさんから溢れたものが、魔物に…… |
1: |
冥
いや、あれは副産物みたいなものだろう。 彼女の抑えられない力が、魔物の形になって表れているに過ぎない。 |
Mei |
シエル
全て倒せばいいのですか? |
Ciel |
ホムラ
ど、どんどん溢れてくるぞ……! |
Homura |
冥
制御しきれない力の濁流、ってところか。 ああ、とにかく倒せ! でないとサヤに近付けない! |
Mei |
ヒビキ
わかりました。先鋒は私が。 |
Hibiki |
ヒビキ
レイさん、シエルさん。 殿下と冥さんをお願いします。 |
Hibiki |
シエル
了解しました。 |
Ciel |
サヤ
さあ……あなた様を……皆さまを…… 喰らわせてくださいませね……。 |
Saya |
ーーー/
Summary | |
---|---|
サヤから漏れ出す魔物は抑えたが、彼女の内
に渦巻く「魔」が迫る。ヒビキはその正体を ドライブ能力だと看破し、無力化を試みる。 |
サヤ
うううっ……ああっ……! |
Saya |
ホムラ
サヤから噴き出してくる魔物が止まったぞ! |
Homura |
ヒビキ
ようやく、ですね……。このあとは、どうすれば!? |
Hibiki |
冥
元を叩く! ……つまり、あいつの中にいる魔物を黙らせる! |
Mei |
サヤ
あぁぁぅ、うあぁぁ……! |
Saya |
サヤ
私の内で……黒いものが、渦巻くのです……。 私の中に潜むもの……そやつを止めねばなりません……! |
Saya |
冥
えぇい、だったら攻撃してくるんじゃない! 言ってることとやってることが真逆だろうが! |
Mei |
ホムラ
サヤ! 正気を取り戻してくれ! 余たちは、そなたを救いたい! |
Homura |
サヤ
うぅぅ……ぁぁあああっ!! |
Saya |
ヒビキ
……なるほど。サヤさんの言う魔というのは、 彼女のドライブ能力のことですね。 |
Hibiki |
ホムラ
これが、ドライブだと? |
Homura |
ヒビキ
とてつもなく大きな力を持ったドライブ能力……。 その暴走が、彼女の自我を乱れさせ、この状況を作ったのでしょう。 |
Hibiki |
ヒビキ
ドライブがなんなのかまでは、自分には見通せませんが…… そうであるなら、とにかく意識を失わせることです。 |
Hibiki |
ヒビキ
意識がなくても動き続けるドライブでもない限り、 それで一時的には無力化できるはず! |
Hibiki |
冥
わかった、やるぞ! |
Mei |
ホムラ
もう少しの辛抱だぞ、サヤよ! |
Homura |
ーーー/
Summary | |
---|---|
倒れるサヤを冥が受け止める。ドライブ能力
は止まったが、その対処には外部の力ではな く、サヤ自身による解決が必要だった。 |
サヤ
……冥、様……。 |
Saya |
冥
おっと。 |
Mei |
冥
……やっと静かになったか。 |
Mei |
ホムラ
……冥。サヤはどうなのだ? 助けられそうなのか? |
Homura |
冥
……ヒビキの言う通り、 こいつの『魔』の正体はドライブ能力だ。 |
Mei |
冥
残念ながら、 これを私たちの力で引きはがすのは不可能だな……。 |
Mei |
冥
外部からの力ではなく、 サヤ自身がどうにかしなければならない問題だ。 |
Mei |
ホムラ
……そうか。 |
Homura |
冥
……できることなら、祓ってやりたいがな。 |
Mei |
ホムラ
……『最強の剣』があれば、サヤも助けられるだろうか。 |
Homura |
ヒビキ
……ホムラ殿下。 それは難しいかと思いますよ。 |
Hibiki |
ヒビキ
剣がどんなものかはわかりかねますが。 いかに最強であろうとも、それは万能とは違います。 |
Hibiki |
ホムラ
……そう、だな。そうかもしれん。 |
Homura |
ホムラ
だが、それでも余は―― |
Homura |
シエル
口を挟んで申し訳ありませんが、先を急ぎましょう。 |
Ciel |
シエル
もう、ここにいても私たちがサヤさんのために できることはありません。違いますか? |
Ciel |
冥
いや、その通りだ。……ホムラ、行こう。 |
Mei |
ホムラ
…………。 |
Homura |
ホムラ
(『最強の剣』……そなたは今『どこにいる』?) |
Homura |
第6節 サイキョウノツルギ/
Summary | |
---|---|
最深部に辿り着き、窯を発見。しかしシエル
が破壊に臨むと、これまでをはるかにしのぐ 数の魔物の群れが現れ、襲撃を受ける。 |
シエル
ありました。あれが窯です。 |
Ciel |
シエル
そしておそらく、ここがこの建物の最深部ですね。 |
Ciel |
ホムラ
お、大きいな。それに……なんとも言えぬ、威圧感がある。 少し怖いくらいだ……。 |
Homura |
ヒビキ
こんなところに……窯が……。 |
Hibiki |
冥
これほどのものを、破壊するつもりなのか? |
Mei |
シエル
はい。窯を破壊すれば、 ファントムフィールドは解放されます。 |
Ciel |
シエル
私とレイさんは 帰還するべき場所へ帰ることができるでしょう。 |
Ciel |
シエル
それに、この場に迷い込んでしまった皆さんも、 この建物から解放されると思います。 |
Ciel |
冥
何? そうなのか!? |
Mei |
シエル
ファントムフィールドが解放されれば、この世界における 歪みは正され、それぞれ本来あるべき形に戻ります。 |
Ciel |
シエル
……皆さんがこの建物に閉じ込められている状況が、 この世界としてのあるべき形だとは思えません。 |
Ciel |
シエル
少なくとも、永遠に建物の中を彷徨うという状況は、 解消されるのではないでしょうか。 |
Ciel |
ヒビキ
……それがわかっていながら、そのことを黙っていたのは 何故ですか? |
Hibiki |
ヒビキ
そのうえあなたは、初め、 自分たちの同行を拒否しようとしていましたよね。 |
Hibiki |
シエル
お伝えする必要がないと判断したので、言いませんでした。 |
Ciel |
シエル
私とレイさんが窯を破壊すれば、 おのずと事態は解消されます。 |
Ciel |
シエル
同行を拒否したのは、窯へ向かう以外のことに リソースを割く可能性が高くなるためです。 |
Ciel |
シエル
非効率的と考えました。 |
Ciel |
冥
それでも、話しておいてもらいたかったがな。 |
Mei |
冥
だったら始めから『最強の剣』なんてものを 探す必要すらなかったんだから。 |
Mei |
ホムラ
まぁ、いいではないか、二人とも。 |
Homura |
ホムラ
結果的に、余たちはこの場所を出るために 行動できていたということだろう? |
Homura |
ホムラ
余たちを本気で拒むつもりなら、 シエルは断ることもできたはず。でも、そうはしなかった。 |
Homura |
ホムラ
共にここまで来て、共にこの建物から出られる。 余は、それでいいと思う。 |
Homura |
ヒビキ
……そう、ですね。ホムラ殿下の安全と無事が叶うなら 詮索は必要ありませんね。 |
Hibiki |
冥
まぁ、私もここを出られるなら文句はないが……。 |
Mei |
シエル
…………。 |
Ciel |
シエル
では、窯の破壊を開始します。 ……レイさん、どうされましたか? |
Ciel |
1: 観測者は誰だったんだろう? |
1: |
シエル
……そのこと、でしたか。 確かに私たちはまだ、この世界の観測者を特定できていませんね。 |
Ciel |
シエル
……私にもわかりません。本来は、観測者が 特定できない限り、窯は出現しないものですが……。 |
Ciel |
ホムラ
観測者、というのはなんだ? |
Homura |
シエル
この世界を構築している意識のことです。 |
Ciel |
シエル
全てのファントムフィールドは、観測者の意識や願望を 元に、窯から流れ込む力を使用して形成されます。 |
Ciel |
シエル
その観測者が自らを観測者である、と認識できていない限り、 基本的に窯は姿を現しません。 |
Ciel |
冥
ってことは、すでに観測者……という誰かは、 自分がそうであるとわかってる……ってことになるか? |
Mei |
シエル
はい。おそらく。 |
Ciel |
シエル
……それは冥さんか、ヒビキさんか、ホムラさんではないかと、 レイさんはお考えなのではないですか? |
Ciel |
冥
待て待て。私たちの中に、この状況を望んだ者がいる っていうのか? |
Mei |
シエル
その可能性はあります。もちろん、ハザマさんや メイファンさんの可能性もありますから、断定はできません。 |
Ciel |
シエル
ですが誰が観測者であるかを追求、特定する必要はありません。 窯はすでに出現し、破壊可能な状態となっています。 |
Ciel |
シエル
速やかに目的を達成し、状況の解決をはかりましょう。 |
Ciel |
冥
む……近いな? |
Mei |
ヒビキ
なにをするにしても、 先に魔物の排除を行ったほうがよさそうですね。 |
Hibiki |
ホムラ
き、来たぞ! なんだ、これまでの襲撃よりもだいぶ数が多いような……。 |
Homura |
シエル
最深部で、しかも窯の目の前ですからね。私たちを窯付近から 排除するべく、防衛機構が働いているためでしょう。 |
Ciel |
シエル
くっ! 隙を見て窯を破壊するのは難しそうです。 |
Ciel |
シエル
まずは安全を確保しましょう! |
Ciel |
冥
ああ、わかった! |
Mei |
ーーー/
Summary | |
---|---|
戦況は悪化。無力を痛感するホムラが取り戻
した記憶の中の『カグラ』に助けを求め…… 溢れ出す闇を纏い、『最強の剣』は現れた。 |
冥
はぁ、はぁ……これでどうだ、だいぶ倒したぞ。 |
Mei |
ヒビキ
そのはずなのですが……。 |
Hibiki |
冥
なに……? くそっ、どうなってるんだ、今までの襲撃とまるで違う。 |
Mei |
冥
本当に切れ間なく魔物が襲ってくるじゃないか……! これも防衛機構とやらのせいなのか!? |
Mei |
シエル
はい、そうだと思います。 ……冥さん、気を付けてください。 |
Ciel |
冥
そのつもりだが、この数が相手ではな。 いつまで湧き続けるんだ? |
Mei |
シエル
それは……わかりません。 |
Ciel |
ホムラ
うわ、わぁっ……! く、くるな! あっちへ行け! |
Homura |
ヒビキ
ホムラ殿下、こちらへ! |
Hibiki |
ホムラ
あ、ああ……! |
Homura |
冥
はっ! |
Mei |
冥
くうぅ……きつい……! いつまでももたないぞ! |
Mei |
シエル
同感です。一旦退いたほうが……。 |
Ciel |
ホムラ
ひっ……! だ、だが、どこから逃げる……? |
Homura |
ヒビキ
っ、全員、集まってください。魔物の標的はホムラ殿下です! 殿下を囲むように陣形を組みます。 |
Hibiki |
シエル
わかりました。 レイさん、大丈夫ですか? |
Ciel |
1: まだ大丈夫! |
1: |
シエル
では私の隣へ。援護をお願いします! |
Ciel |
シエル
堪えてください。まだ魔物は来ます。 ご自分の安全を確保してください。 |
Ciel |
冥
うぐっ……く、くそ……っ。 |
Mei |
ホムラ
め、冥……! |
Homura |
冥
だ、大丈夫……かすり傷だ。 前へ出るな、ホムラ。狙われているのは、お前なんだぞ。 |
Mei |
ホムラ
だが……っ! |
Homura |
ホムラ
だが……このままでは……冥も、ヒビキも、 シエルも、レイも……。 |
Homura |
ヒビキ
はぁぁっ! |
Hibiki |
シエル
ふっ!! |
Ciel |
ホムラ
……余が、いなければ。 |
Homura |
ホムラ
余がここにいなければ、守る必要などなければ、 皆はここまで苦戦することはなかったのではないか……。 |
Homura |
ホムラ
余は、皆が余のために傷つくのは嫌だ! 余のことは捨て置け、自分たちの身を守ることを……。 |
Homura |
ヒビキ
いいえ、ホムラ殿下。それはできません。 |
Hibiki |
ヒビキ
たとえ他のなにを犠牲にしようとも、殿下だけはお守りします。 あなたを傷付けさせるわけにはいきません。 |
Hibiki |
ヒビキ
それが―― |
Hibiki |
ヒビキ
それがカグラ様の副官である自分の務めです。 |
Hibiki |
ホムラ
…………。 |
Homura |
ホムラ
……カグ……ラ……? |
Homura |
ホムラ
(……そうだ。 そうだ、何故、余は忘れていたのだ。) |
Homura |
ホムラ
(いつも余を護り、 いつも余の側にいてくれた者のことを……。) |
Homura |
ホムラ
(彼さえいれば、このようなことにはならなかった。) |
Homura |
ホムラ
(冥も、ヒビキも、シエルも、レイも。 無用に傷付け、苦労させることはなかった。) |
Homura |
ホムラ
(囚われることも、助けてくれた人を危険にさらすことも、 こうして皆を苦しめることも……。) |
Homura |
冥
くっ……もう、限界だ……! |
Mei |
ヒビキ
うぐぅぅっ、ぐ……っ。 |
Hibiki |
シエル
はぁ、はぁ……このままでは……。 |
Ciel |
ホムラ
……助けて。 |
Homura |
ホムラ
助けてくれ。 ――『カグラ』。 |
Homura |
冥
な、なんだ……!? |
Mei |
シエル
これは……。 |
Ciel |
ヒビキ
……あ……あな、たは……まさか……。 |
Hibiki |
アナザーダーク=カグラ
…………。 |
Another Dark Kagura |
ホムラ
『カグラ』!! |
Homura |
アナザーダーク=カグラ
……はぁぁっ! |
Another Dark Kagura |
アナザーダーク=カグラ
手加減はなしだ……消し飛べ。 |
Another Dark Kagura |
シエル
…………。 |
Ciel |
冥
……強い……あれだけの魔物を、たったひとりで……。 なんなんだ、あれは。常軌を逸しているぞ。 |
Mei |
アナザーダーク=カグラ
……終わりか? あっけねぇな。 |
Another Dark Kagura |
冥
……味方、なんだよな? |
Mei |
ホムラ
カグラ……。 |
Homura |
ホムラ
来てくれたのだな、カグラ。 余の『最強の剣』……! |
Homura |
冥
『最強の剣』? あの男がか……? |
Mei |
ヒビキ
…………。 |
Hibiki |
アナザーダーク=カグラ
……参上しました、ホムラ殿下。 ご無事でなによりです。 |
Another Dark Kagura |
ホムラ
ああ。……ああ、嬉しいぞ、カグラ。 そなたに会えて、余は嬉しい。 |
Homura |
アナザーダーク=カグラ
どうぞこちらへ。 |
Another Dark Kagura |
ホムラ
うわ……ヒビキ、冥、それにレイ。 心配するな、あれはカグラだ。カグラ=ムツキ。 |
Homura |
ホムラ
なににも負けない『最強の剣』ぞ。 |
Homura |
アナザーダーク=カグラ
…………。 |
Another Dark Kagura |
アナザーダーク=カグラ
……おい、ヒビキ。なんだってお前が俺の邪魔をする? そこをどけ。 |
Another Dark Kagura |
ヒビキ
……いいえ。 |
Hibiki |
ヒビキ
あなたは、カグラ様ではありません。 自分の知るカグラ=ムツキとは、異なる存在です。 |
Hibiki |
アナザーダーク=カグラ
…………。 |
Another Dark Kagura |
ホムラ
なにを言う! 彼はカグラだ! 間違いない! |
Homura |
ホムラ
余を助けに来てくれたのだ。 |
Homura |
ヒビキ
いいえ、違います。 カグラ様は……そのような目をなさる方ではない。 |
Hibiki |
アナザーダーク=カグラ
お前が俺を決めるってのか? ずいぶんな口の利き方じゃねぇか。 |
Another Dark Kagura |
ヒビキ
……自分はカグラ様より、カグラ様がご不在の際は 命に代えてもホムラ様をお守りするよう命じられています。 |
Hibiki |
ヒビキ
あなたがカグラ様と同じ名を名乗り、同じ顔で現れたとしても、 主から任を解かれる前に、任務を放棄するわけにはいきません。 |
Hibiki |
ヒビキ
なにより、あなたはカグラ様ではない。 |
Hibiki |
冥
事情はよくわからんが……ヒビキがそう言うのなら、 私もここをどけない。 |
Mei |
冥
そうだろう、レイ。 |
Mei |
アナザーダーク=カグラ
ちっ……うぜぇな。 |
Another Dark Kagura |
アナザーダーク=カグラ
くだらねぇ茶番に付き合うつもりはない。 俺を阻もうっていうんなら、そいつは全員敵だ。 |
Another Dark Kagura |
アナザーダーク=カグラ
……もう一度言う。 そこをどけ。ホムラを渡せ。 |
Another Dark Kagura |
ヒビキ
いいえ。できません。 |
Hibiki |
アナザーダーク=カグラ
なら、死ね。 |
Another Dark Kagura |
ーーー/
Summary | |
---|---|
現れた男に対立するヒビキたち、剣を向ける
カグラ。戦いは思わぬ決着を迎え……シエル が正体を現した時、景色と共に姿は消えた。 |
冥
なに……!? |
Mei |
シエル
まだ起き上がるのですか……? それに、まるで反応が衰えません。状態としては、ほぼ無傷です。 |
Ciel |
ヒビキ
そんな、確かに、倒したと……手応えがあったはず。 |
Hibiki |
アナザーダーク=カグラ
はっ……何の手応えを感じたんだ? ヒビキ……。 |
Another Dark Kagura |
アナザーダーク=カグラ
俺が……倒れるわけがねぇだろ。 俺はホムラ殿下の『最強の剣』だぞ。 |
Another Dark Kagura |
ホムラ
カグラ……カグラ! |
Homura |
ヒビキ
お待ちください、ホムラ殿下……! っ、う、ぐ……。 |
Hibiki |
ホムラ
もうよい、もうよいぞ、ヒビキ。 戦うことはない。余はカグラと共に行く。 |
Homura |
ホムラ
カグラがいれば、もうなにも怖いことはない。 余もそなたたちも、みんな守ってくれる。 |
Homura |
ホムラ
そうだろう、カグラ。 |
Homura |
アナザーダーク=カグラ
……殿下が望むなら。 |
Another Dark Kagura |
1: ホムラをどうするつもり? |
1: |
アナザーダーク=カグラ
ホムラ殿下を……ここから連れ出す。 |
Another Dark Kagura |
アナザーダーク=カグラ
殿下はこんな狭い場所に閉じ込められるべき存在じゃない。 |
Another Dark Kagura |
アナザーダーク=カグラ
いつか、帝となる。誰よりも日に近い場所で、 世を再建するだろう……。 |
Another Dark Kagura |
アナザーダーク=カグラ
それを邪魔する奴は、俺が排除する。 もう戦う力も残っていないような、お前でもだ。 |
Another Dark Kagura |
アナザーダーク=カグラ
……一刀で首は落としてやる。安心しろ。 |
Another Dark Kagura |
ヒビキ
いけない……レイさん! 退避を! |
Hibiki |
冥
(防護の符ではもたない。私の攻撃では止められない。 ならば……) |
Mei |
冥
(そうだ。あの男は、ホムラの呼び声に応じて現れた。 もしそれがホムラの力が成したことなら……) |
Mei |
冥
(さっきのサヤと同じように、コントロールできない ドライブの可能性がある……) |
Mei |
冥
すまん、ホムラ! |
Mei |
ホムラ
うあっ!? |
Homura |
ホムラ
……カグ、ラ。 |
Homura |
1: ……公園? |
1: |
冥
…………な……なん、だ? なにが起こった? |
Mei |
冥
突然目の前が真っ暗になって、気が付いたら……。 どうなっている!? |
Mei |
シエル
……邪魔をしてもらいたくは、なかったのですが。 |
Ciel |
冥
シエル……? どういう意味だ? なにを知っている? |
Mei |
1: ……本当にシエル? |
1: |
シエル
……そうおもっていないから、 そう尋ねられているのですよね、レイさん。 |
Ciel |
シエル
……お気づきでしたか。やっぱりあなたの目を誤魔化すのは 難しいですね。レイさん。 |
Ciel |
シエル?
いや。レイ。 |
Ciel? |
冥
……!? |
Mei |
冥
シエル、が……男に変わった? |
Mei |
ハーン
……姿を似せるのは簡単だったけど、僕は君やシエルについて あまり多くを知らないからな。 |
Hearn |
ハーン
じきに見抜かれるとは思っていた。 それでもいいと思っていたけど……。 |
Hearn |
ハーン
最初から君の記憶を封じてしまうほうが、 都合がよかったかもしれないな。 |
Hearn |
冥
……………………。 |
Mei |
ハーン
本当は君を排除してしまえるのが、一番よかったんだけど。 欲張り過ぎると足元をすくわれるかな。 |
Hearn |
ハーン
もうひとつの目的は達成できたから、良しとしよう。 |
Hearn |
ハーン
……なにも君個人に恨みがあるわけじゃない。 レイ。 |
Hearn |
ハーン
だが君がいると、 厄介な異物を色々と巻き込んでしまうからね。 |
Hearn |
ハーン
できればもう会わないことを祈っているけど…… そうはいかないだろうな。 |
Hearn |
1: ハーンの目的は何? |
1: |
ハーン
……知ったら、君はどう思うかな。 笑うかもしれないな。 |
Hearn |
ハーン
……いずれ知ることになるよ。 君が望まなくても。 |
Hearn |
ハーン
今回は、ここまでだ。もうすぐこの空間も解放されて、 君たちはあるべき場所に戻るだろう。安心していい。 |
Hearn |
ハーン
……きっと、また会うんだろうな。 |
Hearn |
ハーン
そのとき君が僕をどんな |
Hearn |
ハーン
――少しだけ興味があるよ。 |
Hearn |
冥
…………。 |
Mei |
冥
今の、は……。 |
Mei |
冥
今のは『誰』だ……? 私は、あいつを……どこかで……。 |
Mei |
冥
どこか、違う場所で……一緒に……―― |
Mei |
エピローグ/
Summary | |
---|---|
自室で目を覚ますと、傍にシエルがいた。心
配した様子で異変はないか尋ねるが、眠って いる間に見たものの記憶は夢と消えていた。 |
シエル
レイさん。 ……レイさん! |
Ciel |
シエル
レイさん! ご無事ですか!? |
Ciel |
シエル
……あれ? |
Ciel |
1: どうしたの? |
1: |
シエル
いえ、あの……。 それが、私にもよくわからないのです……。 |
Ciel |
シエル
それは、私がお尋ねしたいことです。 ……なんともないんですね? |
Ciel |
シエル
カガミさんから、大至急レイさんの 様子を確認するように言われたんです。 |
Ciel |
シエル
非常に慌てていたようなので、 私も大急ぎで来たのですが……。 |
Ciel |
シエル
見たところ、異常はなさそうですね……。 ちょっと、失礼します。 |
Ciel |
シエル
心音、脈拍、瞳孔の状態…… 全て問題ありませんね。 |
Ciel |
シエル
肌ツヤもよく、唇や舌も異常なし。 それどころか、良好に思えます。 |
Ciel |
カガミ
シエル! レイはどうだ!? 無事か!? |
Kagami |
シエル
はい。特に健康状態に問題あるようには見えません。 一体どうされたのですか? |
Ciel |
シエル
レイさんの周りで、 何か異常が観測されたのでしょうか? |
Ciel |
カガミ
…………。 |
Kagami |
シエル
カガミさん? |
Ciel |
カガミ
あ、ああ、すまない……そうだった。 |
Kagami |
カガミ
異常が観測されたんじゃない。その逆だ。 |
Kagami |
カガミ
実は、先ほど、タカマガハラシステムが突然、 レイを見失ったんだ。 |
Kagami |
シエル
……それは、つまり、レイさんの 存在がフガクから消えていたということですか? |
Ciel |
カガミ
もちろん現在は、問題なく観測できている。 見失ったといっても、ほんの数十秒のことだ。 |
Kagami |
カガミ
だが……本来なら、あり得ないことだ。 システムの誤作動を疑ったけど、その形跡もなかった。 |
Kagami |
カガミ
他の事象については、何も問題なく観測できていた。 レイだけを見失ったんだ。 |
Kagami |
シエル
……レイさん、 本当に何もないですよね? |
Ciel |
カガミ
私もそれを確認したいね。 何かおかしな点はないか? |
Kagami |
カガミ
…………。 ……………………。 |
Kagami |
カガミ
寝ていて、夢を見ていただけ……か。 |
Kagami |
カガミ
だが、誰かに会った気がするだけで、 夢の内容までは覚えていないと。 |
Kagami |
カガミ
もしかしたら、頭の中を調べてみたら 夢の内容を解析できるかもしれないな。 |
Kagami |
カガミ
ちょうど、そういう手法に興味が湧いていたところだ。 試してもいいか? |
Kagami |
シエル
カガミさん、絶対に止めてください。 レイさんが怖がっています。 |
Ciel |
カガミ
そうか……残念だ。ちぇ。 |
Kagami |
カガミ
冗談はさておき、問題がないようでよかった。 |
Kagami |
カガミ
シエル、念のためにレイの そばにいてやってくれるか。 |
Kagami |
カガミ
私は、もう一度タカマガハラシステムのログと、 機能に異常がないかをチェックしてくる。 |
Kagami |
シエル
わかりました。 |
Ciel |
カガミ
レイ、 体調が悪くなったらすぐに言うんだぞ。 |
Kagami |
シエル
レイさん、安心してください。 私が必ずあなたをお守りします。 |
Ciel |
シエル
誰かが危害を加えようと接近しても、 体調が悪くなっても、対処してみせます。 |
Ciel |
シエル
レイさんの護衛は、私の最優先任務ですから。 |
Ciel |