Story:BBDW Chapter 3

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3002

1. ピンクの猫と赤い鬼① / Pink Cat and Red Devil - 1

Summary
次にダイブするファントムフィールドは、明確な

形を持ったファントムフィールドだった。警戒し ながら浸入すると、シエルが窯の反応を感知する。

The next Phantom Field they Dive into is one with a clearly defined form. They stay on guard and Dive, and Ciel picks up the signal of a Cauldron.
シエル

レイさん。 ……レイさん?

Ciel

Rei-san. ...Rei-san?

シエル

失礼します。レイさん、 返事がありませんでしたが、どうしましたか?

Ciel

Excuse me. Rei-san, you're not responding. Are you alright?

シエル

……あ。お休みだったのですね。

Ciel

...Oh. You must be sleeping.

シエル

…………。

Ciel

....

シエル

レイさん。起きてください。 カガミさんが呼んでいます。

Ciel

Rei-san. Please wake up. Ms. Kagami is calling for you.

1: うーん……おはよう、シエル
2: むにゃむにゃ……あと5分……

1: Yeah...Good morning, Ciel.
2: Mnyam mnyam...5 more minutes...

If Choice 1:
シエル

あ。目が覚めてしまいましたか。 おはようございます、レイさん。

Ciel

Ah. You're awake. Good morning, Rei-san.

1: なにかしようとしてた?
2: なにを持ってるの?

1: Were you about to do something?
2: What's that in your hands?

シエル

はい。シンバルです。 思い切り叩こうとしていました。

Ciel

Yes. These are cymbals. I was about to bang them together with all my might.

シエル

もしレイさんがお休み中で、 起きないようなら使えと、カガミさんから預かったものです。

Ciel

Ms. Kagami lent them to me to use in case you were asleep and wouldn't wake up.

If Choice 2:
シエル

……起きませんね……。 状態を確認。秘密兵器を使用します。

Ciel

...You're not waking up.... Assessing situation. Deploying secret weapon.

1: うわぁぁぁぁっ!?
2: な、なに、今の物凄い音……!?

1: Aaaaaaargh!?
2: Wh-what!? What was that sound!?

シエル

おはようございます、レイさん。 さすがカガミさんの秘密兵器です。すぐに目が覚めましたね。

Ciel

Good morning, Rei-san. Of course Ms. Kagami's secret weapon would produce immediate results. You woke up right away.

シエル

これは、シンバルという楽器だそうです。

Ciel

These are cymbals, a kind of musical instrument.

シエル

レイさんが起きなければ使うようにと、 預かりました。

Ciel

I borrowed them to use in case you wouldn't wake up.

シエル

ぐっすり眠っていたようですが、 まだ前回の《浸入ダイブ》の疲れが残っているのでしょうか。

Ciel

You were sound asleep. You must still be tired from our last Dive.

シエル

お疲れのところすみませんが、カガミさんが呼んでいます。 ご同行願えますか。

Ciel

I'm sorry to bother you while you're still tired, but Ms. Kagami is calling for you. Please come with me.

シエル

お待たせしました、カガミさん。 レイさんをお連れしました。

Ciel

Thank you for waiting, Ms. Kagami. I have brought Rei-san.

カガミ

お。やっと来たか。 待ちくたびれたぞ、レイ。

Kagami

Ah, you're finally here. You've really kept us waiting, Rei.

シエル

私もまだお聞きしていませんが、ご用件はなんでしょうか? 次の任務ですか?

Ciel

What did you need from us? I haven't heard yet either. Is it our next mission?

カガミ

その通り。 次のお前達の目的地――

Kagami

That's exactly it. Your next destination―

カガミ

つまり、次に《浸入ダイブ》するファントムフィールドが決定した。

Kagami

―that is, the next Phantom Field you're going to Dive into, has been decided.

カガミ

いやぁ、中々好調な発見速度じゃないか。 これもレイの奮闘のおかげだぞ。感謝、感謝。

Kagami
カガミ

というわけで、このたび観測されたファントムフィールドに 早速赴き、観測者を捜索してきてくれ。

Kagami
カガミ

もちろん最終目的は、窯の破壊だ。 わかっているな?

Kagami
シエル

はい。了解しました。

Ciel
カガミ

ん? なんだ、レイ。 難しい顔をして。

Kagami

1: あの……カガミさん
2: ちょっと聞きたいことが

1: Um...Ms. Kagami
2: There's something I want to ask

カガミ

あぁ……前回の《浸入ダイブ》のときに、聞いた話か。 うん。把握はしているよ。

Kagami

Ah...is this about what you heard during your last Dive? Yeah. I think it was made pretty clear.

カガミ

……そうだね、『私』が言った通り、 私達の世界は消滅している。

Kagami

....That's right, as "I" said, our world was erased.

カガミ

理由や原因に関して、今は詳しく説明出来ないけど、 『観測者』が関わっていることは間違いない。

Kagami

I can't explain to you the exact cause or reason for it yet, but there's no mistake that an "Observer" was involved.

1: 観測者が?
2: まさかそれって……

1: An Observer?
2: You don't mean...

カガミ

……疑問に思ってることはわかるよ。

Kagami

...I know you're having doubts right now.

カガミ

私たちの世界も、今、『私たち』が行っているように、 『観測者を解放したから消滅した』と……思っているよね?

Kagami

You're probably thinking that our world, like those worlds "we" have been to, "had its Observer released and was erased"...right?

1: …………
2: はい……

1: ....
2: Yes...

カガミ

うん。だからね、把握しておいてほしい。

Kagami

Yeah. That's why I want to make this clear.

カガミ

解放された世界は、消滅しないよ。 正しい世界の形へと『修正』『再構築』されるんだ。

Kagami

The worlds that have been released are not erased. They're "corrected" and "reconstructed" into their proper shapes.

カガミ

未来の可能性としてね。

Kagami

As the possibilities of the future.

カガミ

でも、私たちの世界はそうじゃなかった。 『消滅』した。綺麗サッパリ。

Kagami

But, our world wasn't like that. It was "erased". Cleanly and completely.

カガミ

だから今、私たちは戦っている。 消滅した世界を救うためにね。

Kagami

That's why right now, we're fighting...so we can save the world that was erased.

カガミ

さっきも言ったけど、今は詳しく説明できない。 だけどそれでも、レイ。

Kagami

I said this earlier, too, but I can't explain it in detail right now. Even so, Rei.

カガミ

今は私を信用してほしい。

Kagami

I want you to trust me.

カガミ

それに、うまく行けば世界を救った英雄になれるぞ。

Kagami

And if things go well, you might just become a hero who saves the world.

1: 英雄……ですか
2: なんだか軽いですね

1: A hero...is it?
2: Seems lighthearted

カガミ

重く考えて世界が救えるならそうするけど、 幸か不幸か、私たちはもう失うものは無いからね。

Kagami

If making things serious would help save the world then I'd do it, but for better or for worse, we have nothing left to lose.

1: 次はどんな場所なんですか?
2: 次はどんな世界なんですか?

1: Where are we going next?
2: What kind of world is next?

カガミ

ありがとうレイ。

Kagami

Thank you, Rei.

カガミ

そうだね。詳しいことは実際に《浸入》してみないことには、 なんとも言えないんだが……。 ダイブ

カガミ

ちょっと気になることがあるんだ。

'

シエル 気になること、ですか?

カガミ

今までのファントムフィールドに比べると、 世界の形が明確すぎる、とでも言えばいいのかな。

Kagami

You could say, compared to the Phantom Fields we've visited up until now, this one's world is too well defined.

カガミ

ファントムフィールドというのは、仮初の世界なだけあって 全体像のはっきりしない、あやふやなものでもあるんだが……。

Kagami

Because Phantom Fields are by nature transient worlds, a Field's overall shape is usually unclear, and itself, vague.

カガミ

今回のは、全体像がくっきりしている。 簡単に言えば、ひとつの大きな都市だ。

Kagami

This time, the overall shape is clear-cut. Basically, it's a single City.

カガミ

その『都市』しかない世界。そこだけがくっきり切り取られた 世界……あるいは、そこ以外を排除した世界……。

Kagami

...And nothing else. Either it's a world that cut out exactly that one city, or it’s one that has erased everything else....

カガミ

と、言えるかな……? とにかく輪郭が明確すぎて 逆に不明瞭……いや、未解析な部分が多いんだ。

Kagami

...I guess you could say? Anyway, the boundaries are so clear-cut that it's become completely unclear...no, unanalyzed.

カガミ

実際どうしてこういう形になったのかはわからないが、 そのあたりに、観測者を特定する手がかりがあるかもしれないな。

Kagami

We have no idea why the world might have taken this shape, but there may be a clue to who the Observer is in it.

シエル

あの、世界がはっきりしているということは、 それだけ観測の条件がいいということでしょうか?

Ciel

Um, if the world is this clear, then that means the conditions for Observation have been met, right?

TC

イエス。今回の作戦成功確率は52パーセントです。

TC

YES. The chance of success for the current operation is 52 percent.

1: それは大丈夫なんですか?
2: 思ったより低いような……

1: Is this going to be alright?
2: That's lower than I thought...

カガミ

五分五分で成功するんだし。もう成功したも同然じゃないか。

Kagami

That's basically half-half. It's as if you've already succeeded.

TC

ノー。作戦はまだ遂行されていません。

TC

NO. The operation has not started yet.

カガミ

細かいことはいいの。水を差すんじゃない。

Kagami

Details, details. Don't rain on our parade.

TB

まあ、ちょっとは安心していいんじゃないかな。 これでも今までの作戦で、最も高い成功率だしね。

TB

Well, you can relax a little. The operations you've undertaken up until now had much lower rates of success, after all.

TA

よって、今回は比較的安定した作戦行動となる。

TA

Therefore, you can consider this time a more stable operation than before.

シエル

了解しました。

Ciel
カガミ

ん? なんだ、レイ。微妙そうな顔をして。

Kagami

Hm? What's wrong, Rei? You're making a strange expression.

カガミ

念のため言っておくけど、これはお前たちを 送り込むという行為に対する確率だぞ。

Kagami

Just so you know, that's the percentage of sending you guys there.

カガミ

実際のファントムフィールド内での作戦成功確率は、もっと低い。 安心しろ!

Kagami

The chance of your mission succeeding within the Phantom Field itself is actually much lower. So relax!

1: 安心できない!
2: ソレハアンシンデスネー

1: How can I relax!?
2: Oh, very reassuring.

If Choice 2:
カガミ

ははは、うんうん。そうだな。

Kagami

Hahaha, yep yep. That's it.

シエル

カガミさん、レイさんはあまり安心できて いないようです!!

Ciel

Ms. Kagami, Rei-san doesn't seem very reassured!

カガミ

あれ、なんで? ファントムフィールド浸入の成功確率が 10パーセントちょっとだったこともあったんだ。

Kagami

Oh, why not? There were times when Diving into a Phantom Field had just about a 10% chance of success.

カガミ

それが今や、タカマガハラシステムが補強されてきたとはいえ、 50パーセントを越えてくるとは……。

Kagami

And to think that now, thanks to the Takamagahara System's reinforcement, we've managed to exceed 50%...

カガミ

感無量だよ。 それもこれも、お前の存在あってこそだ、レイ。

Kagami

It's very moving. It's all thanks to you being here, Rei.

シエル

それは……そうですね。 確かにレイさんが一緒だと、心強いです。

Ciel

That...That's right. It's true that with Rei here, it's very reassuring.

カガミ

もしお前たちが肉体を失うことになっても、 魂はサルベージしてやる。バックアップ体制も万全だ。

Kagami

If you ever happen to lose your physical body, we'll salvage your soul. Your backup body is already ready to go.

1: ……え、『魂は』?
2: また凄いことを聞いた……

1: ....Huh, my "soul?"
2: Wow, what a thing to say....

シエル

問題は、ファントムフィールドの観測者ですね。

シエル

前回は観測者が中々特定できずに、苦心しました。 今回はなるべく早い段階で特定ができると望ましいです。

カガミ

まったくだな。ちゃっちゃと見つけて、ちゃっちゃと窯を 破壊して、するーんとフガクに戻ってきてほしいもんだ。

カガミ

とはいえ、そんな都合よく観測者が 名乗り出てくれるはずもない。

カガミ

しかも、これだけ克明な世界を築く相手だ。 一筋縄ではいかないかもしれないな。

シエル

そうですか……。心してかかります。

カガミ

そうしてくれ。ま、いつものことだけど。

カガミ

いやな、ロクな情報もないまま、未知の世界に放り込まれ、 誰ともわからぬ人を探す任務。厳しいことを課しているとは思う。

カガミ

だがまあ、大丈夫でしょ。これまでもなんとなかったし。 今回もきっとなんとかなるなる。

TB

前向きに考えたほうが、物事は好転する、なんて 考え方もあるそうだしね。

カガミ

さあ、長話をしている時間はないぞ。 そろそろスタンバイしてもらおうか、ふたりとも。

シエル

了解。レイさん、こちらへ。

カガミ

向こうについたら、ラーベの言うことをよく聞いて、 頑張るんだぞー。それでは……。

スタッフ

ファントムフィールド、接続完了しました。 タカマガハラシステム、ランニング。

Staff

Phantom Field, contact complete. Takamagahara System, running.

カガミ

よし。 《浸入》ダイブ、開始!

Kagami

Alright, begin the Dive!

シエル

……《浸入》ダイブ、完了。 機能に問題ありません。

ラーベ

こちらも問題なし、絶好調だぞ。 さてさて、レイのバイタルは……。

ラーベ

よーし、問題なし。無事、《浸入》ダイブ成功だね。

シエル

ここが、今回探索するファントムフィールドですね。

シエル

この風景……何処か見覚えがあるのですが。

ラーベ

ふむ……確か統制機構とやらの階層都市……だったか。 《浸入》ダイブに失敗したとは思えんが。

ラーベ

……レイ、気を抜くな。 シエル、周囲をサーチしろ。

シエル

了解です。

シエル

………………。

シエル、どう?

……静かだね

シエル

はい、……とても、静かです……。人の気配も感知出来ません。

シエル

ですが…… あらゆる所から、微かに機械の駆動音のようなものが聞こえます。

シエル

構造的に前回《浸入》ダイブした 場所と大きな違いは感じられないのですが……。

ラーベ

ふーむ、機械音ねぇ……。潜んでいるのか、 本当にいないのか……。少し歩き回ってみるか。

シエル

……あれ。……あれれ?? ラーベさん、レイさん。変です。

え、なに?

どうしたのシエル?

シエル

窯の反応を感知しました。

ラーベ

…………はぁ!?

シエル

窯が出現しています……。場所は……すみません、 不明なのですが。

シエル

確かにこれは、窯の反応です。

は……早いですね

問題解決ですか?

ラーベ

逸るなレイ。

ラーベ

それより……シエルが窯の反応を感知しているのに、 場所は不明? ……どういうことだ??

ラーベ

……まぁいい……よくないけど、今は窯の対応が先か。

ラーベ

つまり、自身が観測者であることを認識している…… って、ことになっちゃうんだが?

ラーベ

うん。そうだな。フガクからの観測でも不明瞭な 点が多かったし、まだ浸入したばかりだからな。

ラーベ

ひとまず、あらゆる可能性を前提にして情報収取を……。

ラーベ

いや。ちょっと待て。 その前に対処すべき問題がやってきたみたいだ。

シエル

! 反応を確認。前方から複数接近してきます。

シエル

あれは……人型の人工物のようです。 敵対反応を感知しました。

ラーベ

窯の次は早速敵か。 慌ただしいファントムフィールドだな。

ラーベ

よし、まずは小手調べだ。 やっておしまい。

シエル

アイアイ……了解しました。対象を確認。 戦闘態勢に移行します。

1. ピンクの猫と赤い鬼➁ / Pink Cat and Red Devil - 2

Summary
なにかの用途として配備されたゴーレムと戦闘。

なぜそこに配備されたのかの理由を探るため、 情報収集を続ける。

They fight the golem, which seems to have been placed there purposefully. They continue gathering information to find out why it's been stationed there.
シエル

戦闘終了。 対象の排除を完了しました。

Ciel
ラーベ

いわゆるゴーレムってやつだね。でも基本構造は機械式で ロボットに近いようだけど……機械音の原因はこれか?

Raabe
ラーベ

人が居ない都市を徘徊するロボット……。 しかも緑生い茂る公園を……か、ちょっとロマンあるな。

Raabe

1: 人はいないんでしょうか?
2: どうしてゴーレムが?

1:
2:

ラーベ

ふむ……。

Raabe
ラーベ

ゴーレムが自然発生する特殊環境下でないのなら、 作成し、配置した何者かがいる……あるいは、いたはずだな。

Raabe
シエル

私達を排除しようとしていたようです。

Ciel
ラーベ

そもそも私たちは、このファントムフィールドにとって 『異物』だ。こういったものに狙われるのは当然だけど……。

Raabe
ラーベ

そもそもこいつらが配備された理由はなんなんだろうな。

Raabe
シエル

この場所の防衛でしょうか。もしくは侵入者や遭遇者の 排除などが考えられます。

Ciel
ラーベ

防衛にせよ、排除にせよ、そうする理由があるはずだ。 まず取っ掛かりとしてはその辺りからかな。

Raabe
ラーベ

お……?

Raabe

1. まだまだたくさん来た!
2. 情報は聞き出せなさそうですね……

1:
2:

ラーベ

そうだな。でも対話だけが情報収集じゃないぞ。 こいつらの構造に行動パターン、じっくり観察させてもらう。

Raabe
シエル

対象、多数。いきます。

Ciel

1. ピンクの猫と赤い鬼③ / Pink Cat and Red Devil - 3

Summary
ゴーレムは防衛目的で配備されたと推測するラー

ベ。さらなる情報収集をしようとしていると、赤 い巨影がシエル達の前に立ちはだかる。

Raabe suspects the golems were set up for defense. Before they can continue gathering information, a giant, red shadow looms over them.
『赤鬼』テイガーと共にココノエの研究室へ向か

うシエル達。ココノエは自らが『観測者』である と告白し、窯の破壊に協力しろと言う。

Rei, Ciel, and Raabe head for Kokonoe's lab together with the "Red Devi" Tager. Kokonoe reveals herself that she's the "Observer" and asks them to cooperate with her to destroy the Cauldron.
ラーベ

……ほー、なるほど。こういう仕組みか。

Raabe
シエル

なにかわかりましたか?

Ciel
ラーベ

こいつら、かなりシンプルな構造みたいだ。

Raabe
ラーベ

単純な命令を、永続的に行うことを目的としている感じだが。 これだけシンプルにすると、逆にかなりの技術がいる。

Raabe
ラーベ

作成者は相当な腕前の技師と見た。

Raabe
シエル

なるほど。 ではどこかに、技師さんがいるかもしれませんね。

Ciel
ラーベ

それから、行動パターンや中身からして、 こいつらは防衛目的で配備されたと推測できる。

Raabe
ラーベ

となると、こいつらは何を……いや、何から守ろうと……。

Raabe
???

見つけたぞ。

???
???

お前たちだな。侵入者というのは。

???
ラーベ

……とりあえず会話のできそうな奴はいるみたいだな。

Raabe
シエル

すごく大きな方です。それにとても赤いですね……。 とにかく会話を試みてみます。

Ciel
シエル

そこの赤い方、質問です。アナタは人間ですか?

Ciel
テイガー

……こちらテイガー。目標を発見した。 これより戦闘行動に入る。

Tager
シエル

残念ながら会話は成立しませんでした!

Ciel

1: ……シエル、頑張れ!
2: 無視されたのでは……?

1:
2:

ラーベ

うん、大丈夫。 こうなるんじゃないかなぁ〜って、思ってたから。

Raabe
ラーベ

それになるほど、報告を入れる相手もいる……か。 しかし、力ずくとは穏やかじゃないな。

Raabe
テイガー

すまんが、これも仕事だ。 少々手荒になるぞ。

Tager
シエル

対象、戦闘態勢に入りました。 迎撃します!

Ciel
シエル

っ、固い……。

Ciel
テイガー

なかなかやるな。 ……このくらいで十分ではないか、ココノエ?

Tager
ココノエ

ああ。とりあえず今必要なデータは十分だ。

Kokonoe
シエル

通常回線からの通信です! ですが……。

Ciel
ラーベ

……なんだ、この性根の悪い解析妨害は……。

Raabe
シエル

あらゆる方向から話しかけられるみたいで……。 凄く気持ち悪いです……。

Ciel
ココノエ

おい、貴様ら。ちょっと顔を貸せ。

Kokonoe
シエル

顔……ですか? すみません、私の顔は、 取り外すことができない構造になっています。

Ciel
シエルそうじゃない

用があるから来てって意味だよ

シエル

はっ……慣用句、比喩表現ですね。 失礼しました。

Ciel
テイガー

……本当に、この者たちでいいのか?

Tager
ココノエ

……いささか不安だが、背に腹は代えられんだろうが。

Kokonoe
ラーベ

こらこら。そっちで話を進めないでもらおうか。 私たちはまだ、『顔を貸す』ことを承諾していないぞ。

Raabe
ラーベ

だいたいだ、用件も聞かず、初対面の相手の要求を ほいほいと気軽に呑めるか。

Raabe
ココノエ

余計な手間は時間の無駄だ。 私のところまで来い。そうすれば説明してやる。

Kokonoe
ココノエ

それに、『そちら』とて情報がほしいところだろう。

Kokonoe
ココノエ

ここが『どんな』場所で、『誰』が作ったのか……。 知りたいんじゃないのか?

Kokonoe
ラーベ

……ほう。それは当然、『こちら』のことを わかって言っているんだろうな?

Raabe
ココノエ

ふん。御託はいいからさっさと来い、『御剣機関』。

Kokonoe
シエル

あ……映像が消えてしまいました。

Ciel
ラーベ

なるほど……こちらの手の内はお見通しか。 食えない奴……いや、奴等か?

Raabe
テイガー

今のはココノエ。私の名はテイガーだ。

Tager
シエル

テイガーさん……ココノエさん……了解。 認識しました。

Ciel
シエル

私は判断できる立場にありません。 レイさん、どうされますか?

Ciel

1: 行ってみよう
2: 会ってみよう

1:
2:

テイガー

助かる。私の上司は少々気難しいのでな。

Tager
ラーベ

さっきのが上司か。やれやれ、ここから近いんだろうな。 わけもわからず長旅なんてごめんだぞ。

Raabe
テイガー

安心しろ。すぐ近くだ。

Tager
シエル

……ここは?

Ciel

1: 確か……図書館?
2: 統制機構……だっけ?

1:
2:

テイガー

こっちだ。

Tager
ラーベ

なるほど、こういう『仕組み』か……。 だが……なんだ、この感覚は?

Raabe
シエル

……正面。生体反応を感知しました。

Ciel
ココノエ

遅いぞ。

Kokonoe
テイガー

距離と速度を考えれば、至って平均的な経過時間だと思うが。

Tager
ラーベ

人を呼びつけておいて、遅いだのなんだの文句とはな。 ずいぶんな態度じゃないか。

Raabe
シエル

カガミさんも、よくそのようにおっしゃられます。

Ciel
ラーベ

無邪気は時として首を絞めるぞ、シエル。

Raabe
シエル

どういう意味でしょうか?

Ciel
ラーベ

いや、いい。今のお前にはちょっとばかり難しかったな。

Raabe
シエル

意味を教えて頂ければ理解します。

Ciel
ココノエ

……おい。話を進めるぞ。

Kokonoe
シエル

あ。失礼しました。お願いします、ココノエさん。

Ciel
ココノエ

ああ……テイガーから聞いたのか。 手間が省けた。それで、お前たち、名は?

Kokonoe
シエル

シエル=サルファー。御剣機関のスレイプニールです。 そして、こちらはレイさんです。

Ciel

1: よろしくお願いします
2: はじめましてレイです!

1:
2:

ラーベ

私はアストロラーベ。ラーベと呼ぶがいい。

Raabe
ココノエ

シエル=サルファーにレイ、 それとポンコツボール……面倒だな、ポンコツでいいか。

Kokonoe
ラーベ

その略し方には異議がある!  つか、人の名前を勝手に変えるな!!

Raabe
ココノエ

お前たち。私に協力しろ。

Kokonoe
シエル

協力? あの、なにへの協力を求められているのでしょうか?

Ciel
ラーベ

訂正しろ! 私はポンコツではないぞ!!

Raabe

1: すごい!!
2: 話が全く噛み合っていない!

1:
2:

ココノエ

説明が必要か? そんなものは時間の無駄だ。 お前たちは私の指示に従い、行動すればいい。

Kokonoe
ラーベ

…………どれだけ自分勝手なんだコイツ。 お前が説明してやると言ったから、ここまで来たんだぞ。

Raabe
シエル

ココノエさん。私たちには任務があります。 それを放棄するわけにはいきません。

Ciel
ココノエ

知っている。『観測者』を探しに来たんだろう。 だったらもう必要ない。

Kokonoe
ココノエ

私が『観測者』だ。

Kokonoe
シエル

……え?

Ciel
ラーベ

は?

Raabe

1: えええええええっ!?
2: 今、なんて言いました……?

1:
2:

ココノエ

言われたことは一度で理解しろ、ポンコツとその一党。

Kokonoe
ココノエ

私が、このファントムフィールドを構築した『観測者』だ、 と言ったんだ。

Kokonoe
ラーベ

そう……きたか……。

Raabe
ラーベ

すでに観測者本人が、自分のことを自覚していると。

Raabe
ラーベ

だからさっきシエルは、浸入直後だっていうのに 窯の反応を感知できたんだな……。

Raabe
ラーベ

あり得ない話じゃないが、にわかには信じがたい。 そのうえ、ファントムフィールドのことまで把握してるなんて。

Raabe
ココノエ

実際に起こっている事象なのだから、 それを解明したまでだ。

Kokonoe
ココノエ

さすがに驚きはしたがな。 私を観測者として、『世界』が構築されているなど。

Kokonoe
ココノエ

これ好都合とばかりにいくらか面白い実験も出来たが、 もうそろそろやれることも尽きてきた。

Kokonoe
ココノエ

だからいい加減、この小癪な仮想世界、 『ファントムフィールド』というのか? それを終わらせたい。

Kokonoe
ココノエ

お前たちの任務とやらでもあるのだろう? なら協力しろ。

Kokonoe
ラーベ

…………つまり飽きたってことだろ。最低だなコイツ。

Raabe
シエル

……ですが浸入直後に、観測者が自ら接触してくるなんて、 想定していませんでした。

Ciel
ラーベ

こんなスムーズな展開があろうとは……。 だが、コイツの態度は気に入らん!

Raabe
ココノエ

知るか。それよりだ、確かに私は観測者で、 この世界を終わらせることに異論はない、むしろ早く終わらせろ。

Kokonoe
ココノエ

そのためには『窯』を破壊して、私と境界との接続を 断つ必要があることも理解している……。

Kokonoe
ココノエ

が……この世界は未だ存在している。 その意味は……わかるよな?

Kokonoe
ラーベ

……やはり観測者でも窯の破壊は不可能……と、いうことか。

Raabe
ココノエ

観測者は『神』では無いからな。 何でもかんでも出来るわけではない。

Kokonoe
ココノエ

だが……お前たちはその『《術》』を持っているのだろ?

Kokonoe
すべ
ココノエ

まぁ安心しろ。再構築が始まっても私は干渉しないと 約束してやる。

Kokonoe
ラーベ

ちッ……そこまでも把握しているのか……。 ほんと何者だ、コイツ。

Raabe

1: 窯の位置はわかるんですか?
2: 窯へはどうやって行くんですか?

1:
2:

シエル

そうですね、教えてくださいココノエさん。

Ciel
シエル

窯の存在は感知できましたが…… 実際にどこにあるのか、わからないのです……。

Ciel
シエル

今まではもっとはっきり感じ取れていたのに。どうして 今回はこんなにも、漠然としか感知できないのでしょうか?

Ciel
ラーベ

窯の位置は不特定か……よほど巧妙に隠蔽されているか。 可能性は色々と考えられるが……。

Raabe
ラーベ

おい猫耳、第三者の介入の可能性は?

Raabe
テイガー

他勢力の介入については不明だ、無いと断言は出来ない。 だが、窯の位置なら見当はついている。

Tager
テイガー

そうだな、ココノエ?

Tager
ココノエ

ああ。

Kokonoe
ラーベ

観測者が自覚している。窯の位置も判明しているとか……。 イレギュラーのオンパレードだな。

Raabe
ラーベ

それで? 窯はどこにあるんだ?

Raabe
ココノエ

この都市の一番下だ。

Kokonoe
シエル

下……地下ですか?

Ciel
ココノエ

ああ、そうだ。

Kokonoe
ココノエ

簡単に言えば、ここ、階層都市の最下層だ。

Kokonoe
ラーベ

階層都市……そういえば以前にも聞いた名称だな。 猫耳、お前も統制機構とやらの関係者か?

Raabe
ココノエ

も?……なんの話だポンコツ。

Kokonoe
ラーベ

んだと!?

Raabe
シエル

以前、第十七階層都市と呼称される場所で任務を行いましたが。

Ciel
シエル

その時は統制機構と呼称される組織が、 階層都市の管理をしていました。

Ciel
シエル

この都市も、第十七階層都市と同じ都市構造の様なので。

Ciel
ココノエ

十七……か、その都市自体を私は知らんし、 統制機構の関係者でもない。

Kokonoe
ココノエ

それに、階層都市と呼ばれるものは 大体同じような造りをしているからな。

Kokonoe
ココノエ

市街の層をいくつも重ね、地上に充満する魔素から 逃れるべく、標高の高い位置に市街を築く……。

Kokonoe
ココノエ

その最上部は統制機構のアジトが居座り…… 最下層、最深部には……必ず窯がある。

Kokonoe
シエル

確かに第十七階層都市も、その様な構造になっていました。

Ciel
ラーベ

だからこの階層都市の地下にも、窯がある、と?

Raabe
ココノエ

そうだ。というか、順番が逆だな。

Kokonoe
ココノエ

観測者でありながら、窯の位置を明確に把握できない状況が 気に入らなかったのでな。

Kokonoe
ココノエ

無駄を徹底的に省いて、ファントムフィールドの規模を 階層都市ひとつに縮小させた。

Kokonoe
ココノエ

階層都市は窯の上に築かれる。

Kokonoe
ココノエ

であれば、世界に階層都市ひとつしか存在しない以上、 窯は必然的に都市の地下に配置される。

Kokonoe
ラーベ

……は?

Raabe
ラーベ

お……お前、窯の位置に必然性を生じさせるために、 世界の規模をいじった? 《世界構造》をいじったのか!? ワールドコンソール

Raabe
ラーベ

……とんでもない話……と言うかコイツ人間か?

Raabe
シエル

猫の様な耳と、尻尾が確認出来ます。

Ciel

1: 気に……なるよね 2: 本物……かな?

1:
2:

ココノエ

この世界は私の観測で構築されているんだろう。 だったら、そう認識してやればいいだけのことだ。

Kokonoe
ラーベ

いやいやいやいや、そんなに自在に調整できるもんじゃないぞ。

Raabe
ココノエ

できたのだから、問題あるまい。

Kokonoe
シエル

そうですね。確かに合理的だと思います。

Ciel
ラーベ

そういう問題じゃないんだが……。

Raabe
ラーベ

くっ、私の感じている衝撃を理解できるやつが、 今ここにいない……!

Raabe
ココノエ

これでこちらの事情は理解できたな。 では早速、窯へ向かうぞ。テイガー、先導しろ。

Kokonoe
テイガー

ああ。了解した。

Tager
ココノエ

っと……そうだな。特殊な状況下だ。 一応、貴様らの意思を確認しておいてやろう。

Kokonoe
ココノエ

私に協力することに、異論はないな?

Kokonoe
ラーベ

なんでこいつはこう、いちいち上から目線なんだ……。 おい、レイ、シエル。

Raabe
シエル

私はレイさんに従います。

Ciel
ラーベ

はいはい、そう言うと思いましたよー。

Raabe
ラーベ

悪いが猫耳。私は少々反省をしていてな。 お前を全面的に信用することはできない。

Raabe
ラーベ

むしろ、話が突拍子すぎて信用するほうが難しい……。

Raabe
ラーベ

だからレイ、お前が決めていいぞ。 今回に限り撤退も許可する。

Raabe

1: 喜んで協力します!!
2: でも、協力しないと帰れないし……

1:
2:

ラーベ

<size=150%>少しは悩めよ!!!</size>

Raabe
シエル

そうですね。

Ciel
シエル

ですが、ご安心ください。 レイさんは、必ず私がお守りします。

Ciel
ココノエ

では決まりだ。

Kokonoe
ココノエ

貴様らが自ら決めたことだ。 あとで泣きごとを言うんじゃないぞ。

Kokonoe
ラーベ

……嫌な予感がビンビンする。むしろ嫌な予感しかしない。

Raabe
テイガー

……私が言うのもおかしな話だが。 ココノエの意思が作った世界なら、十分に気を付けることだ。

Tager
テイガー

どんなとんでもないことが飛び出してきても、 おかしくはないからな。

Tager
シエル

肝に銘じます。

Ciel

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