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プロローグ/
Summary | |
---|---|
フガク艦内でのトレーニング中に、シエル、
カガミが訪れた。次なる任務の指示を受け、 ファントムフィールドへと浸入する。 |
シエル
あ。 こちらにいらしたのですね、レイさん。 |
Ciel |
シエル
トレーニングルームにいらしたのですか。 訓練を行っていたのでしょうか? |
Ciel |
1: 体力は大事だからね |
1: |
シエル
体力……ですか? |
Ciel |
シエル
確かにレイさんの体力は フガクの艦内スタッフと比べても平均以下です。 |
Ciel |
シエル
ですが、今のままでも特に不自由はないと思います。 それなのになぜ体を鍛えるのですか? |
Ciel |
シエル
筋力トレーニングですか? |
Ciel |
シエル
しかしレイさんは前線で戦うことは ほとんどありません。それなのになぜ体を鍛えるのですか? |
Ciel |
カガミ
お、レイにシエルじゃないか。 なにをしてるんだ、そんなところで。 |
Kagami |
シエル
レイさんはトレーニングルームで 体を鍛えていたそうです。 |
Ciel |
カガミ
ほうほう。それはいい心がけだ。 ファントムフィールドの調査は、ある意味体力勝負だからね。 |
Kagami |
カガミ
少しでも生存確率を高めるために、 体力はあるにこしたことはない。 |
Kagami |
シエル
なるほど……生存確率を高める。 確かにそうですね。さすがです、レイさん。 |
Ciel |
シエル
その心構え、私も参考にさせていただきます。 |
Ciel |
カガミ
いいねいいね、その意気だ。 やる気に満ち溢れていて、私は嬉しいよ。 |
Kagami |
カガミ
そして早速だが、そんなやる気溢れる君たちに 新たな任務だ。 |
Kagami |
カガミ
次なるファントムフィールドが見つかった。 ふたりとも、準備をよろしく頼むよ。 |
Kagami |
カガミ
さて。今回、君たちに |
Kagami |
カガミ
規模としてはとても小さい。 生命反応も確認されているが、実にまばらだ。 |
Kagami |
カガミ
人は少なく、フィールドの規模も小さい。 つまり、そのぶん観測者を見つけるのも容易だろう。 |
Kagami |
カガミ
とはいえ、もちろん油断はしないこと。 危険があるかもしれない。その際は身の安全を確保するように。 |
Kagami |
シエル
了解しました。 レイさんの護衛を最優先に行動します。 |
Ciel |
カガミ
うむ、よろしく。 |
Kagami |
シエル
……レイさん、 トレーニングの直後ですが、大丈夫ですか? |
Ciel |
カガミ
無理はしないでくれよ。といっても、送り出すんだけども。 |
Kagami |
カガミ
レイのことだ。シエルの護衛の負担を 軽減するためにトレーニングを始めたんだろう。 |
Kagami |
カガミ
けど、自身に危険が迫った時は、まずシエルを頼るように。 レイに死なれるのが一番困るからね。 |
Kagami |
シエル
レイさんに危険が迫る前に、 私が危険を排除してみせます。 |
Ciel |
カガミ
頼んだよ、シエル。 |
Kagami |
カガミ
さあ、それではふたりとも、準備はいいかな? |
Kagami |
シエル
問題ありません。 |
Ciel |
カガミ
今回も目的は、観測者の特定および窯の破壊だ。 |
Kagami |
カガミ
くれぐれも無理はしないように。 ……では、始めようか。 |
Kagami |
オペレーター
了解。……ファントムフィールド、接続完了。 |
Operator |
カガミ
|
Kagami |
第1節 獣人式キャンプ/
Summary | |
---|---|
シエル、ラーベと共に降り立った森で、妙に
体格のいい男に遭遇。彼の号令で更に男たち が現れ、どこかへと連れ去られそうになる。 |
シエル
…… |
Ciel |
ラーベ
よーし、無事に到着したようだな。 |
Raabe |
ラーベ
レイも平気か? 体調に問題はないか? |
Raabe |
ラーベ
うん、いいね。状態は非常に安定してる。 タカマガハラシステムの観測も、順調そのものだ。 |
Raabe |
ラーベ
さて、では恒例の、周囲の状況確認といこう。 今回探索するファントムフィールドはどんな感じだ? |
Raabe |
シエル
……森ですね。 |
Ciel |
ラーベ
ふむ……森だな。差し迫った危機を感じないが、念のためだ。 シエル、周囲をサーチ。 |
Raabe |
シエル
了解です。 |
Ciel |
ラーベ
どうだ? |
Raabe |
シエル
近くに敵性反応はありません。 しかし、生体反応はあります。 |
Ciel |
ラーベ
生体反応? |
Raabe |
シエル
近づいてきます。 |
Ciel |
妙に体格のいい男
ん? 君たちは……。 |
Suspiciously Buff Man |
ラーベ
この辺りの住人か? |
Raabe |
ラーベ
警戒しないでくれ。信じられないかもしれないけど、 我々に害意はない。実は……あー、道に迷ってしまってね。 |
Raabe |
妙に体格のいい男
道に、迷った? なるほど、それは大変だね。 |
Suspiciously Buff Man |
ラーベ
ああ、そうなんだ。 |
Raabe |
シエル
ラーベさんを見ても驚いていません。 |
Ciel |
ラーベ
私のような最先端ハイテクに見慣れている文明レベルなのか、 あるいは、彼が想像を越えて鈍感なのか……。 |
Raabe |
ラーベ
ちょうどいい。住人がいるなら、集落に準ずるものがあるはずだ。 情報収集ができる。 |
Raabe |
ラーベ
あー、すまないんだが、君の住んでいる場所に 連れていってもらうことはできるか? |
Raabe |
ラーベ
休憩したいってのもあるんだが、そう、食糧が乏しくてね。 |
Raabe |
妙に体格のいい男
食糧不足か。それはよくない。 いいとも、案内しよう。 |
Suspiciously Buff Man |
ラーベ
助かる。ところで……何故ぐいぐい近づいてくる? |
Raabe |
妙に体格のいい男
何故って、そうしないとわからないこともあるだろう? |
Suspiciously Buff Man |
シエル
レイさんッ!? |
Ciel |
シエル
は、離れてください、 レイさんからすぐに手を離してください! |
Ciel |
ラーベ
ちょい待て、シエル。 どうも変だ。 |
Raabe |
ラーベ
たしかにレイの腕を掴んではいるが…… 危害を加える様子はない。 |
Raabe |
シエル
確かに、敵性反応はありません。 しかし……。 |
Ciel |
妙に体格のいい男
ふむ……君は、細いね。 とてもスリムだ。 |
Suspiciously Buff Man |
妙に体格のいい男
筋肉はなだらかで……無駄な肉がついていない。 未熟にして未完成……素晴らしい。 |
Suspiciously Buff Man |
ラーベ
レイの腕を見てブツブツ言っているが…… まさか変態の類ではないだろうな? |
Raabe |
シエル
レイさんに害を及ぼす方は排除します。 |
Ciel |
ラーベ
まあ落ち着け。もう少し様子を見てみよう。 |
Raabe |
妙に体格のいい男
この華奢でか細く凹凸の少ない体。一見貧弱としか言えないが、 見方を変えると別の言い方が出来るんだ。なんて言うと思う? |
Suspiciously Buff Man |
シエル
それは私たちに向けられた言葉でしょうか? |
Ciel |
妙に体格のいい男
もちろんさ。答えてくれると嬉しいねぇ。 |
Suspiciously Buff Man |
シエル
……申し訳ありません。私にはわかりません。 |
Ciel |
ラーベ
うむ、私にもわからん。 |
Raabe |
妙に体格のいい男
鍛え甲斐のある発展途上の筋肉と言うのだよッ! |
Suspiciously Buff Man |
ラーベ
きん、にく? |
Raabe |
シエル
ラーベさん、やはり戦いましょう。 この方の言動は明らかにおかしいと思われます。 |
Ciel |
ラーベ
うーむ……だがもう少し情報収集を……ん? |
Raabe |
妙に体格のいい男
いたぞ、いたぞーッ!! |
Suspiciously Buff Man |
妙に体格のいい男B
こいつが脱走者か! |
Suspiciously Buff Man B |
妙に体格のいい男C
見つけたぞ! |
Suspiciously Buff Man C |
妙に体格のいい男D
キャンプの素晴らしさが理解できぬわからずやは、 キャンプで鍛えるしかない! |
Suspiciously Buff Man D |
ラーベ
囲まれた! いつの間に!? |
Raabe |
シエル
生体反応、さらに多数が接近しています。 |
Ciel |
シエル
ですが、やはり敵性反応はありません。 |
Ciel |
ラーベ
一般人なのであれば攻撃するわけにもいかんしなぁ…… いったい何者なんだ、こいつらは……! |
Raabe |
妙に体格のいい男
よし、戻ろう! |
Suspiciously Buff Man |
妙に体格のいい男B
ボクたちとともに、根性と筋肉をつけようじゃないか! |
Suspiciously Buff Man B |
妙に体格のいい男C
君も鍛えたら良い筋肉がつきそうだね。 |
Suspiciously Buff Man C |
シエル
あ、あの……良い筋肉とは、なんなのでしょうか。 |
Ciel |
シエル
はっ、それよりも! レイさんを解放してください! |
Ciel |
妙に体格のいい男D
この丸い体型……鍛えたらどんな筋肉がつくんだろう! 気になるなぁ! |
Suspiciously Buff Man D |
ラーベ
待て、やめろ! 私にさわるな! というか私に筋肉なんかつかない! |
Raabe |
シエル
ラーベさんには筋肉がつかないのですか!? |
Ciel |
ラーベ
あたりまえだ!! |
Raabe |
妙に体格のいい男
機械に筋肉がつかないなんて誰が決めたんだい!? 君は限界を超えようとは思わないのかい! |
Suspiciously Buff Man |
ラーベ
駄目だ、まるで言葉が通じない……。 |
Raabe |
妙に体格のいい男
聞きわけのない子は、力づくで連れて行くしかないね。 さあ、我々と一緒にマッスルパラダイスへ向かおうじゃないか。 |
Suspiciously Buff Man |
ラーベ
うわっ、こ、このままじゃまずいぞ! |
Raabe |
ラーベ
やむを得ん……シエル、こいつらを無力化するぞ! |
Raabe |
ラーベ
一回大人しくしてもらわんと、 話が一向に進まない気がする! |
Raabe |
シエル
了解しました! 速やかに鎮圧します! |
Ciel |
ーーー/
Summary | |
---|---|
男たちを退けると、タオカカとチャチャカカ
が現れた。一行を『師匠』の元へ連れていく と言い、ラーベはその提案に乗ることに。 |
ラーベ
やれやれ、どうにか収まったか……。 |
Raabe |
ラーベ
しかしなんだったんだ? 筋肉、筋肉と妙にこだわっていたが。 |
Raabe |
シエル
お怪我はありませんか? レイさん。 |
Ciel |
ラーベ
そいつはなによりだ。 |
Raabe |
ラーベ
さてと、こいつらからも少々話を聞かないとな。 脱走がどうとか言っていたが……。 |
Raabe |
シエル
そういえばラーベさん。 ひとつ気になることがあるのですが。 |
Ciel |
ラーベ
ん? なんだ? |
Raabe |
シエル
結局のところ、ラーベさんは筋肉トレーニングによる 筋肥大はないのでしょうか? |
Ciel |
ラーベ
…………あると思ってるの? 機械にそんなものはつきません。 |
Raabe |
シエル
カガミさんならやりかねません。 |
Ciel |
ラーベ
いや、ないから! そんな無駄な機能ついてないから! |
Raabe |
ラーベ
…………たぶん。 |
Raabe |
???
だったら、試してみればいいニャス。 |
??? |
ラーベ
だ、誰だ!? |
Raabe |
シエル
あなた方は……。 |
Ciel |
ラーベ
タオカカにチャチャカカ。 このフィールドに迷い込んだのか? |
Raabe |
タオカカ
ん〜? こいつら、チャチャの知り合いニャスか? |
Taokaka |
チャチャカカ
知らんニャス。ていうか、どうでもいいニャス。 早く仕事を終わらせて、とっとと寝たいニャスよ。 |
Chachakaka |
タオカカ
それもそうニャスね。 お前たち、タオに着いてこいニャス。 |
Taokaka |
タオカカ
抵抗すると、そこに転がってる 筋肉どもみたいになるニャスよ? |
Taokaka |
ラーベ
いや……そいつらを倒したのは私たちなんだが。 |
Raabe |
チャチャカカ
その顔、ビビってるニャスね。 大人しく着いてくるなら、酷いことはしないニャス。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
ここは着いてくる一択ニャスよ。それがベストニャス。 てか、チャチャは眠いから、一刻も早くそうしろニャス。 |
Chachakaka |
シエル
質問をしてもよろしいですか? |
Ciel |
シエル
私たちがおふたりについていった場合、 行先はどこなのでしょうか。 |
Ciel |
ラーベ
そうだな。敵というわけでもなさそうだし、 行先次第ではついて行かないこともない。 |
Raabe |
タオカカ
師匠がお前たちを呼んでるニャス。 だからタオたちが迎えに来てやったニャス。 |
Taokaka |
シエル
師匠……ですか? それはどなたのことでしょうか。 |
Ciel |
タオカカ
師匠は師匠ニャス。 |
Taokaka |
タオカカ
タオたちのキャンプのボスニャス! と〜っても強くて、と〜ってもすごいのネ。 |
Taokaka |
タオカカ
でも師匠はと〜っても厳しいニャスから、時々、 逃げるやつがいるニャス。 |
Taokaka |
タオカカ
とぼけてるみたいニャスが、おまえたちも キャンプから逃げてきたことはわかっているニャス。 |
Taokaka |
タオカカ
だからタオたちが連れて帰るニャス! |
Taokaka |
チャチャカカ
おかげで訓練サボれてラッキーだったニャス。このまま こいつらをキャンプに連行して、あとは昼寝でもするニャス。 |
Chachakaka |
ラーベ
待て待て、まず誤解をしている。 我々はそのキャンプとやらから逃げてきたわけじゃない。 |
Raabe |
チャチャカカ
あ〜、ハイハイ、脱走兵はみんなそう言うニャス。 |
Chachakaka |
ラーベ
だから違うって! |
Raabe |
チャチャカカ
もー、めんどくさい奴らニャスねぇ。 いいからさっさと連れていこうニャス。 |
Chachakaka |
ラーベ
なんてワガママなやつらなんだ! |
Raabe |
ラーベ
まずはこちらの事情を聞けというのに! |
Raabe |
タオカカ
ん〜、タオたちそういうムズカシ〜ことわかんないニャス。 とりあえず師匠のとこで話してほしいニャス。 |
Taokaka |
チャチャカカ
そーそー。てかグダグダ話してても しょーがなくないニャス? |
Chachakaka |
チャチャカカ
チャチャおなかすいたし。着いて来たくないんならないで、 勝手に逃げてほしいニャスけど。 |
Chachakaka |
シエル
ラーベさん、どうしましょうか。 |
Ciel |
ラーベ
……よし、行こう! |
Raabe |
ラーベ
私たちをその師匠とやらに会わせてもらおうじゃないか。 |
Raabe |
ラーベ
というか話の通じないこいつらよりも、その師匠とやらに 直接話した方が、話が早そうだ。 |
Raabe |
シエル
……わかりました。 |
Ciel |
チャチャカカ
ついてくるニャス? そうそう、素直なほうがいいニャス。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
そんじゃま〜、こっちニャスよ〜。 |
Chachakaka |
ーーー/
Summary | |
---|---|
辿り着いたキャンプ地。一帯を取り仕切る
『師匠』獣兵衛は、調査を許可する条件とし て『ブートキャンプ』への参加を提案した。 |
タオカカ
到着ニャス! |
Taokaka |
シエル
ここが……キャンプ、ですか? |
Ciel |
チャチャカカ
そーニャス! |
Chachakaka |
チャチャカカ
いま師匠を呼んでくるから、 そこでおとなしく待ってろニャス。 |
Chachakaka |
1: 人がたくさんいるね |
1: |
シエル
はい。いくつかのグループに分かれているようですが…… あの方々は、なにをしているのでしょう。 |
Ciel |
シエル
はい。張りつめたような……緊張した空気を感じます。 |
Ciel |
シエル
あちらには何人も集まっているようですが、 なにをしているのでしょうか。 |
Ciel |
コーチ?
なんだその動きは!? 寝ながらやってるのかッ!? |
The Coach? |
体格のいい男
違います! これは! |
Buff Man |
コーチ?
言い訳を許可した覚えはない! 言葉を間違うな! |
The Coach? |
体格のいい男
サー! イエッサー!! |
Buff Man |
コーチ?
ふざけるな! 声が小さい! |
The Coach? |
体格のいい男
サー!! イエッサー!!! |
Buff Man |
コーチ?
誰が動きを止めろと言った! 動きながら答えろ! そんなことも出来ないからお前はお荷物なんだ! |
The Coach? |
体格のいい男
サー!! イエッサー!!! |
Buff Man |
コーチ?
いいか! 大腿筋の声を聞け! 鍛えれば鍛えるだけ、 大腿筋は喜びの声を上げる! |
The Coach? |
コーチ?
わかったか、この貧弱どもが!! |
The Coach? |
男たち
サー!! イエッサー!!! |
Everyone |
ラーベ
……なに、あれ? |
Raabe |
シエル
筋力トレーニングを行っているようです。 |
Ciel |
ラーベ
いやまあそれは見ればわかるんだけど…… なんか空気が違うっていうか、汗くさいっていうか……。 |
Raabe |
シエル
そうなのですか? |
Ciel |
シエル
たしかに負担の大きい反復運動なので 汗をかくと思われます。 |
Ciel |
ラーベ
いや、そういうことじゃなくて……。 |
Raabe |
???
あ〜、やっと見つけた。 森で確保された脱走者ってキミたち? |
??? |
ヴァルケンハイン
ふむ、確かに妙な奴らだ。肉体を見る限り、 まじめにトレーニングを受けていたとも思えん。 |
Valkenhayn |
ヴァルケンハイン
貴様ら、何者だ? |
Valkenhayn |
マコト
もしかして、キャンプをスパイしてるとか!? |
Makoto |
???
どうした、お前たち。 なにを騒いでいる。 |
??? |
ヴァルケンハイン
獣兵衛師匠! |
Valkenhayn |
ヴァルケンハイン
この妙な奴ら、キャンプのスパイを している可能性があります! |
Valkenhayn |
マコト
師匠、ご命令を! この筋肉で、こいつらを痛めつけてやります! |
Makoto |
獣兵衛
お前たち、ちょっとは頭を冷やしてこい。 |
Jubei |
獣兵衛
スペシャルコースを3周だ! 1時間で帰ってこい、遅れたら3周追加だ! |
Jubei |
ヴァルケンハイン・マコト
サー! イエッサー!! |
Valkenhayn & Makoto |
ラーベ
なるほど……ここは全員が『この』ノリなのか……。 |
Raabe |
獣兵衛
さて。ふたりが失礼をしたな。 若い者は血の気が多くて困る。 |
Jubei |
シエル
あなたが『師匠』さんですか。 |
Ciel |
獣兵衛
そう呼ばれているな。 名は……獣兵衛だ。 |
Jubei |
獣兵衛
それで、お前たちは? 見たところ、このキャンプの者ではないな。 |
Jubei |
シエル
はい。違います。 スパイでもありません。 |
Ciel |
シエル
私はシエル=サルファーと申します。こちらがラーベさん。 こちらはレイさんです。 |
Ciel |
獣兵衛
レイ……? ほう、なかなか見込みのありそうな 顔立ちをしているじゃないか。 |
Jubei |
ラーベ
なんだ、また筋肉がどうとかって話か? 勘弁してくれ、ここには筋トレに来たわけじゃない。 |
Raabe |
獣兵衛
筋肉? はっはっは、確かにここは訓練場だが 別に筋トレだけをする場ではないぞ。 |
Jubei |
獣兵衛
その辺をきちんと理解していない奴も多いがな。 |
Jubei |
獣兵衛
それよりも、筋肉や体力では補えない特別なものを レイは持っているようだな。 |
Jubei |
獣兵衛
お前たちは、どうしてここに来た? 察するに、なにか事情がありそうだな。 |
Jubei |
シエル
……私たちは、あるものを探しています。 それがこの辺りにあるらしく、調査するために来ました。 |
Ciel |
獣兵衛
危険なものか? |
Jubei |
ラーベ
危険かどうかを判断することも含めて調査している。 |
Raabe |
ラーベ
そちらの訓練とやらの邪魔をするつもりはないんだが、 できればこちらも自由に調査させてほしい。 |
Raabe |
ラーベ
ついでに、あれこれ情報も聞かせてもらえると助かるんだが……。 |
Raabe |
獣兵衛
ふーむ……。 |
Jubei |
ラーベ
……さすがにそんなにうまくはいかないか。 |
Raabe |
獣兵衛
よし、いいだろう。 なにを探しているのか知らんが、協力しよう。 |
Jubei |
ラーベ
本当か! ありがたい。 |
Raabe |
獣兵衛
……ただし。 |
Jubei |
獣兵衛
協力するかわりに、ひとつ条件を飲んでもらおうか。 |
Jubei |
ラーベ
交換条件、というわけか。聞こうじゃないか。 |
Raabe |
獣兵衛
お前たちには、この『ジューベーズブートキャンプ』に 参加してもらおう! |
Jubei |
ラーベ
はぁ〜? |
Raabe |
獣兵衛
なんせこの地は我々の訓練場だ。 |
Jubei |
獣兵衛
お前たちがその調査とやらをしていれば、 気を取られるものも出るだろう。 |
Jubei |
獣兵衛
そうなっては危険だ。訓練には、集中してもらわねばな。 |
Jubei |
獣兵衛
だから部外者であるお前たちはつまみ出すべきなのだが、 それではそちらも困るだろう? |
Jubei |
獣兵衛
そこでだ、お前たちにキャンプ参加者になってもらい、 訓練にも参加するという条件付きであれば、 |
Jubei |
獣兵衛
この敷地内を移動することを許そうじゃないか。 どうだ、悪い話ではないだろう。 |
Jubei |
ラーベ
ええ……訓練? そういうのはちょっと、求めてないというか……。 |
Raabe |
獣兵衛
なにを言う! 訓練はいいぞ! |
Jubei |
獣兵衛
我がキャンプの信念は、 強靭な肉体にこそ強靭な精神は宿る、だ! |
Jubei |
獣兵衛
徹底的に肉体を苛め抜き、鍛え上げることで、 惰弱な体と精神に別れを告げる。 |
Jubei |
獣兵衛
目指すは獣人の身体能力だ。 |
Jubei |
獣兵衛
キャンプを卒業した時、お前たちはとてつもなく強く、 しなやかな体と精神を手に入れる! |
Jubei |
獣兵衛
はずだ!! |
Jubei |
1: ちょっと興味あります |
1: |
シエル
そういえば……レイさんも、 トレーニングに興味をお持ちでしたね。 |
Ciel |
獣兵衛
ほう。なにごとも小さな興味から始まる。 その興味こそが、人が生まれ変わる最初の一歩だ! |
Jubei |
ラーベ
お、おい、本気か、レイ!? |
Raabe |
獣兵衛
いい返事だ! やる気があるのは素晴らしい。 なにごともやる気がなければ始まらないし、続かない。 |
Jubei |
獣兵衛
自分を変えたいという思い、しかと受け止めたぞ。 レイ!! |
Jubei |
シエル
……確かにキャンプに参加しながら調査を進めれば、 身体能力の向上を図りながら任務を遂行できるかもしれません。 |
Ciel |
シエル
なるほど……これが一石二鳥というものですね。 |
Ciel |
獣兵衛
その通りだ! 安心しろ、探し物の邪魔はしない。 そしてバッチリしっかり、訓練もつけてやる! |
Jubei |
獣兵衛
我がキャンプに歓迎するぞ、3人とも! |
Jubei |
シエル
よろしくお願いします。 |
Ciel |
ラーベ
しかたない……キャンプに参加しつつ、 調査といくか。よろしく頼むぞ。 |
Raabe |
ラーベ
……だが、私はトレーニングには参加できないからな。 見ての通り機械だし。 |
Raabe |
獣兵衛
機械だからどうした? |
Jubei |
獣兵衛
機械でもトレーニングすれば鍛えられるかもしれないだろ? 何事も、やってみなければ可能性は生まれない。 |
Jubei |
ラーベ
結局お前も脳筋か!!!! |
Raabe |
第2節 まずはウォーミングアップ/
Summary | |
---|---|
キャンプへの参加が決定すると、獣兵衛の態
度が豹変。スパルタ指導の激しいトレーニン グを開始、森で魔物との戦闘を命じられる。 |
獣兵衛
さて、めでたくキャンプの参加者が3人増えたわけだが……。 |
Jubei |
獣兵衛
準備は良いか! ひよっこども!! |
Jubei |
ラーベ
……は? |
Raabe |
獣兵衛
返事はどうした! 鼓膜が破れてるのか!? それとも俺の言葉が理解できないか!? |
Jubei |
ラーベ
ち、ちょっと待ってくれ。 |
Raabe |
獣兵衛
俺の許可無く口を開くな! このキャンプ中、 お前ら軟弱者に自発的にしゃべる権利などない! |
Jubei |
ラーベ
いや、だから。 |
Raabe |
獣兵衛
返事を求められたらサーをつけろ、わかったか!? わかったらイエッサーと言え!! |
Jubei |
シエル
サー、イエッサー。 |
Ciel |
獣兵衛
そうだ! 飲み込みの早い奴は嫌いではないぞ! |
Jubei |
シエル
先ほど別の訓練をされている方々が口にしていました。 返答の言葉だったのですね。 |
Ciel |
獣兵衛
観察眼もあるようだな、大変よろしい。 だが、今は余計な言葉を口にするな! |
Jubei |
シエル
サー、イエッサー。 |
Ciel |
ラーベ
ちょっと待て!! 待てって! |
Raabe |
ラーベ
シエルはなんか馴染んでるみたいだが、おかしいだろ!? さっきと全然態度が違うじゃないか!! |
Raabe |
獣兵衛
ははーん、さては素人だな? いいか。それがブートキャンプの流儀だ! |
Jubei |
ラーベ
口汚く罵るのと、『サー、イエッサー』がか!? |
Raabe |
獣兵衛
そうだ。 |
Jubei |
ラーベ
くっ……それが正義だと信じて疑わない顔だな……。 |
Raabe |
ラーベ
いや、郷に入りては郷に従えか……。 流儀があるというのなら、なるべく従おうじゃないか。 |
Raabe |
ラーベ
ちょっと意味はよくわからないけどもだ。 |
Raabe |
ラーベ
ただ心の準備もできてないうちから、フルスロットルで 流儀押し通されても戸惑うんですけど!? |
Raabe |
獣兵衛
ふーむ……それもそうか。 |
Jubei |
獣兵衛
確かに、お前たちは流れでキャンプに参加したのであって、 ここがどんな場所なのかを知らずに来たのだからな。 |
Jubei |
獣兵衛
すぐについてこられないのも、無理はない。 |
Jubei |
ラーベ
理解力のある指導者で嬉しいよ……。 |
Raabe |
獣兵衛
指導者というのは堅苦しくていかんな。 他の者と同じように、『師匠』と呼んでくれて構わないぞ。 |
Jubei |
シエル
サー、イエッサー。 |
Ciel |
ラーベ
馴染み方がすごい。 |
Raabe |
シエル
いえ、獣兵衛さんの豹変には驚いています。 |
Ciel |
シエル
ただ、訓練所内の様子をあらかじめ目にしていましたので、 それに倣いました。 |
Ciel |
獣兵衛
なかなか見込みがある。その調子で、食いついてこい。 |
Jubei |
獣兵衛
よし。では実際のトレーニングに入る前に、 改めてこのキャンプの趣旨を説明しておこう。 |
Jubei |
獣兵衛
このブートキャンプは、強靱な肉体と精神を手に入れることを 目的としている。ただし、負荷レベルの基準は獣人だ。 |
Jubei |
獣兵衛
俺たち獣人をトレーナーとし、獣人のような 強靱な体力と優れた身体能力を手に入れる為の訓練を行う。 |
Jubei |
獣兵衛
それがジューベーズブートキャンプだ! |
Jubei |
シエル
はい。質問してもよろしいでしょうか? 獣人とはなんですか? |
Ciel |
シエル
そういった種族が存在する、という情報は得ておりますが、 具体的にどのような方々のことを指すのか教えていただきたいです。 |
Ciel |
獣兵衛
いいだろう。 |
Jubei |
獣兵衛
簡単に言えば、俺やさっきのふたりのような、 人間と獣の特色を併せ持った種族のことだ。 |
Jubei |
獣兵衛
魔術的な手法でもって、人為的に生み出されたのが 始まりとされている。 |
Jubei |
獣兵衛
人間よりも長寿な者が多くてな。俺はかなり古い獣人だ。 マコトなんかは若い獣人だな。 |
Jubei |
獣兵衛
タイプは様々あって、俺は見ての通り かなり獣としての特徴が主体となっている。 |
Jubei |
獣兵衛
マコトはリスの獣人だ。俺とは違い、どちらかというと 人間的な容姿の特徴が目立って現れているタイプになる。 |
Jubei |
ラーベ
さっきのふたりって……ヴァルケンハインも獣人なのか? 見た目は普通の人間だが……。 |
Raabe |
獣兵衛
ああ。奴はちょっと特殊でな。 人狼……ライカンスロープと呼ばれる、より古い種族だ。 |
Jubei |
獣兵衛
人の手で生み出された獣人ではない。 |
Jubei |
獣兵衛
いずれにせよ、獣人は人に比べ高い身体能力を持っている。 脚力、腕力、持久力……体を使うことは、通常の人間より得意だ。 |
Jubei |
獣兵衛
その獣人の肉体に近付こう、追いつこう! いや凌駕しよう! |
Jubei |
獣兵衛
そういう、人間の限界を突破することを、 我がキャンプは目標としている。 |
Jubei |
獣兵衛
どうだ? 獣人とキャンプについて、少しは理解できたか? |
Jubei |
シエル
はい。ありがとうございます。 |
Ciel |
獣兵衛
他に質問はあるか? なければ、そろそろ……。 |
Jubei |
ラーベ
じゃあついでに質問。さっきの口汚いアレは必要なのか? 体を鍛えることと、罵声を受けることは関係ないんじゃないか? |
Raabe |
獣兵衛
いいや、大いに関係がある。 あれは昔に作られた、心を作り替えるための方法でな。 |
Jubei |
獣兵衛
参加者の個性を否定し、言われるがままにただひたすら 体を鍛え上げるマシーンに作り替えるための物だ。 |
Jubei |
ラーベ
おい、なんかさらりと酷いこと言ったぞ。 個性を否定つったか!? |
Raabe |
獣兵衛
よし! サービスタイムは終了だ! 十分に時間は与えた。 ひよっこども、心と筋肉は暖まったな! |
Jubei |
1: ' |
1: |
獣兵衛
よし。まだ微塵も育っていない怠惰な筋肉たちには とりあえずトイレ掃除からでも始めてもらうところだが……。 |
Jubei |
獣兵衛
先に鍛えている少しはマシなひよっこどもに、 一刻も早く追いつかねばならん。 |
Jubei |
獣兵衛
着いてこい! 特別メニューだ! |
Jubei |
シエル
サー、イエッサー! |
Ciel |
獣兵衛
ふざけるな! もっと声を張れ! |
Jubei |
シエル
サー、イエッサー!! |
Ciel |
ラーベ
……マジでこれやるの? ホントに? |
Raabe |
獣兵衛
集合! |
Jubei |
シエル
はぁ……はぁ……。 |
Ciel |
獣兵衛
最初でこのペースか。今回のひよっこは少しはまともなようだ。 喜べ、次のランニングはもっとペースをあげてやろう! |
Jubei |
ラーベ
い、今ので全力じゃないのか……。 |
Raabe |
ラーベ
シエルが息をあげるようなランニングだぞ。 獣人の体力はどうなっているんだ? |
Raabe |
獣兵衛
そこ! お前走ってないな! 俺は走れと言ったんだ! 飛べとは指示していない! |
Jubei |
ラーベ
いや無理だから。足ないし。 |
Raabe |
獣兵衛
口答えか! ひよっこにそんな知能はいらん! 今すぐ捨てろ、わかったか! |
Jubei |
獣兵衛
返事は!? |
Jubei |
ラーベ
サ、サー、イエッサー……。 |
Raabe |
獣兵衛
声が小さい! 腹の底から声を出せ! 腹がどこかはわからんが! |
Jubei |
ラーベ
サー! イエッサー! |
Raabe |
獣兵衛
お前たちはまだ卵の殻も取れないひよっこだ。 そんな状態で訓練したら、殻が取れる前に死んでしまうぞ! |
Jubei |
獣兵衛
そこで惰弱な筋肉を少しでも使えるように、相手を用意した! |
Jubei |
シエル
敵性反応です! |
Ciel |
獣兵衛
こいつらを蹴散らせ。薄っぺらな筋組織に喝を入れて、 目を覚まさせろ。 |
Jubei |
獣兵衛
お前たちが鍛え甲斐のあるひよっこだということを 証明しろ! |
Jubei |
ラーベ
サー! イエッサー! |
Raabe |
獣兵衛
この程度の奴にやられてみろ。 一生泣いたり笑ったり出来ないようにしてやる!! |
Jubei |
シエル
サー! イエッサー! |
Ciel |
1: ' |
1: |
第3節 打つべし打つべし!/
Summary | |
---|---|
スパルタを貫く獣兵衛は追加の教官としてマ
コトを招集。次なる訓練は『攻撃』。俊敏性 と筋肉の活用方法を、実戦形式で学ぶ。 |
シエル
はぁ……はぁ……。 対象の、殲滅を確認……周囲の敵性反応、ありません。 |
Ciel |
ラーベ
はー、やっと片付いたかぁ……。 長かった。次から次へと……。 |
Raabe |
シエル
はい。多少こたえました……。 |
Ciel |
シエル
ですが、レイさんのおかげで助かりました。 お怪我はないですか? |
Ciel |
獣兵衛
お疲れ様。よくやったな。 ウォーミングアップにはちょうどよかっただろう。 |
Jubei |
ラーベ
あれでウォーミングアップなのか……。 この先がちょっと不安になってくるな。 |
Raabe |
獣兵衛
なにを甘えたことを言ってる。この程度で根を上げるような、 たるんだ精神の弟子を持った覚えはないぞ! |
Jubei |
獣兵衛
お前たちクソが目指すのは、飽くなき闘争心で自らの筋肉を 鍛え抜く筋トレマシーンだ。 |
Jubei |
獣兵衛
筋トレマシーンに心は不要。心を殺せ! 魂にこびりついた贅肉を そぎ落とせ! 貧相な体を無心で鍛え上げろ! |
Jubei |
ラーベ
サーイエッサー! |
Raabe |
シエル
ラーベさん。 響くような良い返事です。 |
Ciel |
ラーベ
いや……こう言わないと長くなるじゃん……。 |
Raabe |
シエル
師匠。ウォーミングアップは十分です。 |
Ciel |
シエル
もしよろしければ、 他のトレーニングもご教示いただけないでしょうか。 |
Ciel |
獣兵衛
うむ、よし。お前たちは入隊直後のひよっこ共だからな。 その身にたっぷり、俺流を感じてもらうとしよう。 |
Jubei |
獣兵衛
種族の壁を越えて、我等獣人の領域へと到達するまで、 徹底的にしごき倒してやるから覚悟しておけ! |
Jubei |
獣兵衛
というわけで、だ。 |
Jubei |
マコト
はいはーい! 出番だね、師匠!! |
Makoto |
マコト
改めましてこんにちは、マコト=ナナヤだよ。 師匠のジューベーズブートキャンプにようこそ! |
Makoto |
マコト
このキャンプを通過すれば、誰でもあたしくらい強烈なパンチを 繰り出せる! ……ようになるかもね。 |
Makoto |
獣兵衛
よく来たな、マコト=ナナヤ教官。 |
Jubei |
獣兵衛
いいか、ひよっこ共! 次なる訓練は、彼女に見てもらう! |
Jubei |
獣兵衛
訓練内容は大雑把に言って……『攻撃』だ! |
Jubei |
獣兵衛
鍛え上げられた筋肉が最高にしなやかに踊るときはいつか! それは鋭く強烈な一撃を繰り出すときだ! |
Jubei |
シエル
攻撃……なるほど。筋力は攻撃力に直結する。 パワーこそ力ということですね。 |
Ciel |
獣兵衛
そうだ! |
Jubei |
獣兵衛
ここはブートキャンプだからな。 基本的には戦闘することを前提に鍛えていくわけだが……。 |
Jubei |
獣兵衛
その最も基本となる『攻撃』について、 マコト教官からじっくりみっちり指導してもらえ! |
Jubei |
シエル
サー、イエッサー! |
Ciel |
マコト
いい返事だね! それじゃあよろしく! |
Makoto |
ラーベ
ああ……ってことは、 やっとあの変なテンションから解放されるのか―― |
Raabe |
マコト
こらそこ! なに勝手にしゃべってるの! 許可されてないのに口を利くんじゃない、ひよっこボール! |
Makoto |
ラーベ
ええ!? このノリ続くの!? |
Raabe |
マコト
なぁんてね。あいたた……師匠の受け売り。 あたしはそういうノリ、得意じゃないから安心して。 |
Makoto |
マコト
でも、教官としての指導は負けじとスパルタでいくよ! |
Makoto |
シエル
サー、イエッサー。 |
Ciel |
マコト
あはは、いいね! なんか気分出てきた! |
Makoto |
マコト
それじゃあまずは……問題です。 獣人っていっても色んなタイプがいるんだけど。 |
Makoto |
マコト
ずばり、あたしはなんの獣人でしょう! |
Makoto |
1: その大きな尻尾からして……リス! |
1: |
マコト
ぴんぽんぴんぽーん! 大正解! そう、あたしはリスの獣人。 |
Makoto |
マコト
このもふもふの尻尾と、頭の上のちょこんとした 三角の耳が特徴的でしょ。 |
Makoto |
マコト
ちっが〜〜〜〜〜〜う!! よく見て、耳、かわいくちょこんとした三角でしょ? |
Makoto |
マコト
尻尾だってこんなにもふもふなのに……。 ねずみじゃなくて、あたしはリスの獣人! |
Makoto |
マコト
獣人は『亜人種』なんて言われることもあるよ。 要は、人に近いけど人じゃない種族……って感じかな。 |
Makoto |
マコト
獣人は全体的に体を使うことが大得意だけど、 特に姿形に現れている動物の特性が強く現れる。 |
Makoto |
マコト
あたしの場合はリス特有の、すばしっこさ! それにジャンプ力と、意外とある腕力が自慢だよ。 |
Makoto |
マコト
それらを駆使して、シュバッと相手の懐に潜り込み、 シュバババッとこぶしを叩き込むのがあたしのファイトスタイル。 |
Makoto |
ラーベ
獣人の俊敏性を生かしたインファイターってことか。 |
Raabe |
マコト
あ、いいねその言い方、かっこいい! |
Makoto |
マコト
キャンプで鍛えた筋肉も、使い方がわからなければ 宝の持ち腐れ。 |
Makoto |
マコト
筋肉はコレクションじゃない。 使ってこそ生きるんだよ! |
Makoto |
ラーベ
ただの脳筋かと思いきや、 教官らしいことを言うじゃないか。 |
Raabe |
マコト
でっしょー。 |
Makoto |
マコト
攻撃で大きなダメージを出すには、とにかく 打つべし打つべし打つべし! ……と言いたいところだけど。 |
Makoto |
マコト
なにも考えずにガンガン打撃を繰り出すよりも、相手に隙を 与えないようスムーズに攻撃を繋げていくことが重要だよ。 |
Makoto |
マコト
特にあたしみたいなラッシュタイプの人は、コンボが大事! まず当てる! そして必殺の一撃に繋げるんだ! |
Makoto |
マコト
って口で言っても、よくわかんないよね。 だから体で覚える! |
Makoto |
マコト
さあ、あたしにガンガン打ち込んできて! ただし大きなダメージを狙えるよう、本能で考えて! |
Makoto |
シエル
ほ、本能、ですか? |
Ciel |
マコト
そう! 内なる野性を呼び覚ませ! 敵を確実に沈めるために、今どんな攻撃が最適か……。 |
Makoto |
マコト
嗅覚で嗅ぎ分けるんだよ! |
Makoto |
ラーベ
本能の次は嗅覚か! 獣人ってマジメにそんな直感で戦ってるの……? |
Raabe |
マコト
少なくともあたしはそう! さあ、御託はいいからかかってこい、ひよっこ共!! |
Makoto |
シエル
サーイエッサー! |
Ciel |
シエル
行きましょう、レイさん! |
Ciel |
マコト
あたしとあたしの鍛えた弟子たちに、 君たちのこぶしが通るのか……勝負だ! |
Makoto |
ーーー/
Summary | |
---|---|
一行の思いが乗ったパンチを称えるマコト。
小休憩を挟み、言葉を交わすもつかの間、す ぐに次なる鍛錬へと走り去ってしまった。 |
マコト
はーい、それまで! |
Makoto |
マコト
お疲れ様ー! すごいよ、いいパンチだった! 痺れちゃったな〜! |
Makoto |
シエル
ありがとうございます。これも、ご指導のおかげです。 |
Ciel |
マコト
え? え、えへへ、やだなぁもう。 そんな風に言われると照れちゃうよ。 |
Makoto |
マコト
でも、お世辞でもなんでもなく、いいパンチだったよ。 打撃の強さはもちろんだけど、気持ちが乗ってた! |
Makoto |
シエル
気持ち……ですか? |
Ciel |
マコト
うん。特にレイ。 |
Makoto |
マコト
こんにゃろ! とか。やってやる! とか。 あーもうしんどい! とか。 |
Makoto |
マコト
あっはは、わかるよ、そう思う気持ち! あたしも強くはなりたいけど、厳しい訓練とか好きじゃないし。 |
Makoto |
マコト
でも、それでも頑張ろうっていう姿勢が、 きっと君を強くするよ! |
Makoto |
マコト
さってと……師匠はまだ他の訓練を見てるみたいだし。 こっちはちょっと休憩しよっか。 |
Makoto |
ラーベ
いいのか? スパルタが信条なんじゃないのか? |
Raabe |
マコト
なに、物足りない? だったらもっとやってもいいけど……。 |
Makoto |
マコト
なんてね。自分のペースが掴めていない最初のうちは、 適度な休憩も大事だよ。はい、水分。 |
Makoto |
シエル
あ……ありがとうございます、マコトさん。 |
Ciel |
マコト
ビシバシし続けてると、あたしも疲れちゃうしねー。 よっこいしょっと。 |
Makoto |
マコト
それで、どう? キャンプ、参加してみて。 しんどい? |
Makoto |
1: だいぶしんどいです |
1: |
シエル
レイさんは、 普段から戦闘のために訓練を積んでいる方ではありません。 |
Ciel |
シエル
こういう実戦形式のトレーニングは不慣れでしょうし、 無理もないかと思います。 |
Ciel |
マコト
そっかぁ、そうだったんだ。 だったら、ここはちょっと大変かもね。 |
Makoto |
マコト
師匠、やるとなったらとことん! って人だからさ。 でも本当の無理はさせない……はずだから。大丈夫だよ! |
Makoto |
マコト
……たぶん。 |
Makoto |
マコト
おっ! 肉体改造に快感を見出すタイプ? わかるよ! 鍛えるって楽しいよね! |
Makoto |
マコト
昨日までできなかったことが、今日ついにできるように なったりさ。 |
Makoto |
マコト
着々と自分が変わっていくのを実感できると、 ぐわーっと魂が満たされてく気がするの! |
Makoto |
シエル
魂が満たされる……。充実感のようなものでしょうか。 |
Ciel |
マコト
そうそう。あと、達成感とか! そういうのがさぁ、やみつきにさせるんだよね〜。 |
Makoto |
シエル
……独特な雰囲気に始めは少し戸惑いましたが、 獣兵衛さんやマコトさんのご指導は実践的なものばかりです。 |
Ciel |
シエル
改めて自分を鍛え直すこともできます。 この場を設けていただいたことに感謝しています。 |
Ciel |
ラーベ
確かに、いい経験にはなってるだろうな。 専門的な指導ってやつはそうそうどこでも受けられるもんじゃない。 |
Raabe |
ラーベ
それにしても、獣人っていうのはすごいな。 獣兵衛が言っていた通り、明らかに身体能力が人間を上回っている。 |
Raabe |
シエル
はい。それに、優れた運動機能を、 非常に効率よく使用しているように思えます。 |
Ciel |
シエル
戦闘行為に限らず、その能力は素晴らしいものです。 |
Ciel |
マコト
え、そう? そう言ってもらえると嬉しいな〜。 えへへ。 |
Makoto |
マコト
……ちょっぴり力が強くて、ちょっぴり足が速いけど。 だからって、すごいって言ってもらえるばっかりじゃないからね。 |
Makoto |
ラーベ
含みのある言い方をするじゃないか。 その様子だと、蔑まれることもあるわけか。 |
Raabe |
マコト
まあねー。 |
Makoto |
マコト
やっぱりほら、見た目は明らかに普通の人と違うわけじゃん。 耳があって、尻尾があって。人によっては爪とか牙とか。 |
Makoto |
マコト
気味が悪い、って思われることも多いよ。 嬉しくない言葉を投げられたりさ。 |
Makoto |
ラーベ
ふーむ。種族間の差別意識か……。 |
Raabe |
シエル
そんな……。マコトさんはとても強くて、とても優しい、 素晴らしい教官です。 |
Ciel |
シエル
気味が悪いという言葉が適切とは思えません。 |
Ciel |
マコト
あはは、ありがと。あたしのことは心配いらないよ、大丈夫。 |
Makoto |
マコト
昔は色々あったけど……獣人だとかそういうのじゃなく、 あたしを個人として見てくれる友達に出会えたからね。 |
Makoto |
ラーベ
それはなによりだ。 |
Raabe |
シエル
……はい。 |
Ciel |
マコト
だからって、獣人への差別感情がなくなるわけじゃないけど。 でもそういう人ばっかりじゃないって、わかってる。 |
Makoto |
マコト
……さて! それじゃ、休憩終わり! |
Makoto |
ラーベ
え、もう……? |
Raabe |
マコト
休憩しすぎも良くない! それに、鉄は熱いうちに打てって言うでしょ。 |
Makoto |
マコト
筋肉も同じ。動く内に徹底的に叩いて叩いて叩きぬく! |
Makoto |
マコト
それじゃ次行こう! 一緒にワイルドビューティな肉体を作ろうね! |
Makoto |
ラーベ
割と話の出来る奴だと思っていたが、 あいつもキャンプの参加者なんだよな。 |
Raabe |
ラーベ
脳筋仕様なのを忘れてた……。 |
Raabe |
シエル
ラーベさん、マコトさんを見失います。急ぎましょう。 |
Ciel |
ラーベ
サーイエッサー。 |
Raabe |
第4節 カカ族式生き残り術/
Summary | |
---|---|
新たな教官としてチャチャカカが登場。けだ
るげな彼女から『戦場での生き残り術』につ いて、死ぬ気でちゃちゃっと学ぶことに。 |
チャチャカカ
ひよっこども、すとーーーーっぷニャス!! |
Chachakaka |
チャチャカカ
よしよし、しっかりキャンプを楽しんでるニャスね……。 お前たちの筋肉は喜んでるニャスか? |
Chachakaka |
シエル
サーイエッサー。 |
Ciel |
チャチャカカ
いい返事ニャス。そっちの丸っこいお前はどうニャス? 筋肉喜んでるニャスか? |
Chachakaka |
ラーベ
サー! イエッサー! |
Raabe |
チャチャカカ
ふざけるな! 腹の底から声出せニャス! オマエの肺は飾りニャスか! |
Chachakaka |
ラーベ
ええ!? いや、私のほうがシエルより声出てただろ……! |
Raabe |
ラーベ
というか筋肉も腹もないんだが。 |
Raabe |
チャチャカカ
貴様! 教官に口答えニャスか!? |
Chachakaka |
ラーベ
サーノーサー! |
Raabe |
チャチャカカ
生まれたてのひよっこが口答えなんて百万年早いニャス! せめてあと10回ほど生まれ変わってからにしろニャス! |
Chachakaka |
ラーベ
サーイエッサー!! |
Raabe |
チャチャカカ
そうニャス! やれば出来るニャス! |
Chachakaka |
チャチャカカ
……このテンション、ダルいニャスね……。 師匠はよくこんなことやってられるニャス……。 |
Chachakaka |
ラーベ
じゃあ、やらなきゃいいのに……。 |
Raabe |
チャチャカカ
オマエ、生意気ニャスね。 反抗的ニャス。 |
Chachakaka |
ラーベ
サーノーサー! |
Raabe |
チャチャカカ
やっぱり生意気ニャス。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
あ〜、訓練とかしょーじきめんどっちー……。 なんかもうよくない? って気分ニャスけど……。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
でも他ならぬ獣兵衛師匠から頼まれたことニャスからね。 しょうがない、やってやるニャスか。 |
Chachakaka |
シエル
質問してもよろしいでしょうか、チャチャカカ教官。 |
Ciel |
チャチャカカ
なんニャスか、ひよっこ? |
Chachakaka |
シエル
チャチャカカさんにとって、獣兵衛さんは特別な方なのですか? 獣兵衛さんの頼みなら、とおっしゃっていました。 |
Ciel |
チャチャカカ
あ〜、そうニャスねぇ……。 まー、特別って言えば特別ニャスけど……。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
あ、じゃあこうするニャス! |
Chachakaka |
チャチャカカ
チャチャの訓練をちゃちゃっと終えてくれたら、 そのことを教えてあげるニャス。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
チャチャはオマエたちひよっこを鍛えて、立派な獣人級の戦士に してやらないといけないニャス。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
そのために死ぬ気で協力しろニャス。 |
Chachakaka |
1: 早く終わりたいんですね |
1: |
チャチャカカ
そうニャス。オマエ、物分かりがいいニャスね。 気に入ったニャス。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
言葉の通りニャス。休みなく必死に訓練して訓練して……。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
自分のことよりも、 チャチャの仕事を早く終わらせることだけ考えろニャス。 |
Chachakaka |
ラーベ
うーん、清々しいほどのサボり主義。 |
Raabe |
チャチャカカ
効率重視と言えニャス。チャチャはそうやって、 世知辛い世の中を渡り歩き、生き残ってきたニャスよ。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
というわけで、チャチャが今から教えるのは、 戦場での生き残り術ニャス。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
社会の中でも己を貫くギャルがごとき生命力と、 どんな場所でも気にしないカカ族がごとき順応力を授けようニャス。 |
Chachakaka |
ラーベ
おっ、なんかちょっとそれっぽくなってきたな。 |
Raabe |
チャチャカカ
戦闘において非効率的なことといえば、倒れることニャス。 倒れたらなにもできないし、お腹もすくし……。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
時間かかるし。モーションとかあるし。スキル減るし。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
まー、その方が効率的になる場面もあるっちゃあるニャスけど…… それは今回、置いておくとして。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
丈夫な奴が攻撃を受け止める! とにかく回復して回復して 回復しまくる! 避けるやつにターゲットを集める! |
Chachakaka |
チャチャカカ
倒れないためにとれる作戦も色々あるのニャス。 |
Chachakaka |
シエル
……案外、ためになることをおっしゃっています。 |
Ciel |
チャチャカカ
おいオマエ。案外とはなんニャスか。 |
Chachakaka |
シエル
はっ、失礼しました! |
Ciel |
ラーベ
気持ちはわかるぞ、シエル。 ちょっとカカ族のイメージと違ったもんな。 |
Raabe |
チャチャカカ
カカ族のことをなんだと思ってるニャスか。 |
Chachakaka |
ラーベ
食欲大魔神。 仕事より昼寝。 |
Raabe |
チャチャカカ
オマエ、カカ族に詳しいニャスね〜。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
気分がいいニャス。そんじゃぁこのいい気分のまま、 実戦訓練開始するニャス! |
Chachakaka |
シエル
サーイエッサー! がんばります! |
Ciel |
チャチャカカ
カカ族式のボコスカ戦闘、見事生き残ってみろニャス!! |
Chachakaka |
ーーー/
Summary | |
---|---|
訓練は無事終わり、チャチャカカは柄になく
スパルタ教官を務める理由を語った。一行は 思いがけず、獣兵衛とカカ族の過去を知る。 |
チャチャカカ
ふいー疲れたニャス……。 はい、きゅーけー。 |
Chachakaka |
シエル
ありがとうございました! |
Ciel |
シエル
……大丈夫ですか、レイさん。 かなりハードな訓練でした。 |
Ciel |
ラーベ
普段とぼけた印象が強いが、いざ戦ってみると カカ族ってやつはかなりの強敵だな。 |
Raabe |
チャチャカカ
ふっふーん、そうだろニャス。 カカ族は意外とやるのニャス。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
でももう疲れた〜ニャス。そもそも柄じゃないニャス、こういうの。 チャチャはもっとのんびり楽して暮らしてたいニャス〜。 |
Chachakaka |
シエル
それなのに教官役をやってくださったのは、 やはり獣兵衛さんのためなのですか? |
Ciel |
チャチャカカ
ああ、そういえばその話をするって約束だったニャスね。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
ん〜、 師匠のため、っていうほど大層な話じゃないニャスけどね。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
でも獣兵衛師匠が、チャチャたちカカ族にとって特別なのは、 間違いないニャス。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
カカ族っていうのは、ずーっと昔にあった大きくて激ヤバな 戦争のときに、兵力として生み出されたのが始まりなのニャス。 |
Chachakaka |
ラーベ
生み出された? カカ族は作られた種族なのか? |
Raabe |
チャチャカカ
そうニャスよ。そういう意味では、獣人と似てるニャスね。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
最初の開発のときに、遺伝子サンプルを提供したのが、 獣兵衛師匠だと聞いてるニャス。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
だから獣兵衛師匠はいわばカカ族の始まり、 みんなのお父さんみたいな存在ニャス。 |
Chachakaka |
シエル
そうだったんですか……。 |
Ciel |
チャチャカカ
そうだったのニャス。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
戦争が終わって、生き残ったカカ族のほとんどは ひっそり暮らしているニャス。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
そういう場所では、獣兵衛師匠の話が伝説みたいに 語り継がれているニャスよ。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
それにちょくちょく師匠が、里に遊びに来てくれるらしい ニャスから、基本的にみんな師匠が大好きなのニャス。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
まー、チャチャはあんまそーゆーの、 気にしてないニャスけどね。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
よし。そんじゃー、これで訓練終わり! 立派にひと仕事終えたチャチャは、お昼寝してくるニャ〜ス。 |
Chachakaka |
ラーベ
あ、おい、私たちはどうすればいいんだ? |
Raabe |
チャチャカカ
知らんニャス。 まーだ筋肉鍛え足りないなら、自主トレでもしてろニャス。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
ま、そのうち獣兵衛師匠が見に来てくれるニャスよ。 そんじゃ〜ニャ〜ス。 |
Chachakaka |
ラーベ
適当だなぁ〜。 まあ、そういうのがカカ族連中のいいところか。 |
Raabe |
シエル
はい、そう思います。 |
Ciel |
ラーベ
しかし、思いがけず興味深い話が聞けたな。 |
Raabe |
ラーベ
チャチャカカもタオカカも、元は獣兵衛の遺伝子から 生み出されたとは。 |
Raabe |
ラーベ
そのうえ目的は戦争の道具だ。 普段のあの様子からは、とても想像できない。 |
Raabe |
シエル
ですが戦力として十分な能力を持っていることは、 今身をもって思い知りました。 |
Ciel |
ラーベ
そうだな。……さて、と。 |
Raabe |
ラーベ
チャチャカカもいなくなったことだし、そろそろ 我々の本当の目的に移ろうか。 |
Raabe |
シエル
次の訓練ですか? |
Ciel |
ラーベ
違う! 観測者探しだよ!! |
Raabe |
ラーベ
本当の目的を忘れるんじゃない! |
Raabe |
シエル
そういえば……そうでした。 |
Ciel |
ラーベ
訓練場はそれほど広くはないし、 軽く情報収集と行こうじゃないか。 |
Raabe |
ラーベ
だけど教官どもに見つかったら厄介だ。 トレーニングしている風で移動しよう。 |
Raabe |
シエル
了解しました。 |
Ciel |
第5節 腹が減っては戦はできぬ/
Summary | |
---|---|
キャンプに戻ると獣兵衛が現れ、休憩を兼ね
たピクニックを提案した……が、結局タオカ カ監督の下、多数の魔物と戦闘することに。 |
獣兵衛
おっ、ひよっこどもじゃないか。 |
Jubei |
ラーベ
しまった、さっそく見つかったか……。 |
Raabe |
獣兵衛
調子はどうだ? そろそろ殻が取れて よちよち歩きくらいはできるようになったか? |
Jubei |
シエル
サーイエッサー。 |
Ciel |
獣兵衛
む、レイは真剣に訓練をこなしていたようだな。 |
Jubei |
獣兵衛
いい面構えになってきた。 今にも倒れそうじゃないか。 |
Jubei |
ラーベ
レイ? どうした、顔色が悪くないか? |
Raabe |
シエル
さすがに疲労がたまっているのだと思います。 |
Ciel |
シエル
長時間歩き続けるような環境とはまた違う、 身体的負担のかかり方をしているでしょうから。 |
Ciel |
獣兵衛
いいぞ、そうやって自らの肉体を追い込むんだ! |
Jubei |
獣兵衛
強靭な肉体は、体を苛め抜いた者に宿る! 人は限界を感じて初めて、さらなる伸びしろが生まれるのだ! |
Jubei |
獣兵衛
だが……倒れてしまってはせっかくの 肉体のゴールデンタイムが無駄になってしまう。 |
Jubei |
獣兵衛
よし、喜べお前たち。 休憩がてら、ピクニックに行こうではないか! |
Jubei |
シエル
ピクニック……ですか。 |
Ciel |
獣兵衛
そうだ! そこらの森に入れば、美しい景観を楽しみながら 山菜だって取れる。 |
Jubei |
獣兵衛
森の中は涼しいし、休憩にはもってこいだ。 |
Jubei |
ラーベ
え、なんか急にすごく優しくない? |
Raabe |
獣兵衛
ただ、森の中は魔獣だらけだからな。 ついでにそいつらを倒しまくる! 実戦形式のトレーニングだ! |
Jubei |
獣兵衛
安心しろ、森の中に罠はない。 丸太が降ってきたり、落とし穴にかかることもない。 |
Jubei |
獣兵衛
教官としてタオも連れて行ってやろう。 だから安心して進むといい、はっはっは! |
Jubei |
ラーベ
はっはっはって笑ってるけどなぁ! 魔獣いるんなら休憩にならないだろ!? |
Raabe |
獣兵衛
つべこべ言うな! さあ、ついてこい! |
Jubei |
タオカカ
ふんふ〜ん、ピクニック、ピクニック、ピクニック〜。 ピクニック〜は〜楽しい〜ニャス♪ |
Taokaka |
ラーベ
そこら中から魔獣の唸り声が聞こえてくる中、 これだけ陽気に歌えるのは見上げた胆力だな。 |
Raabe |
ラーベ
周りの状況だけ考えたら、全然楽しそうな雰囲気ないぞ。 |
Raabe |
タオカカ
ん? 丸い人、ピクニック嫌いニャス? タオは好きニャス! |
Taokaka |
タオカカ
なぜなら……ピクニックにはお弁当があるから! ニャス!! |
Taokaka |
ラーベ
のんきなもんだ。 ……シエル、レイの様子はどうだ? |
Raabe |
シエル
はい、木陰で少し座っているうちに、顔色はよくなってきました。 心拍と発汗も安定しています。 |
Ciel |
シエル
もうしばらく休んでいれば、 問題なく動けるようになると思います。 |
Ciel |
ラーベ
そうか、よかった、よかった。 |
Raabe |
ラーベ
本題の観測者探しのときにレイが 倒れていたら、シャレにならないからな。 |
Raabe |
ラーベ
それにいつ魔獣が現れるかも……。 |
Raabe |
???
グオオオオオォォォ!! |
??? |
ラーベ
言ったそばから、ほらきた!! |
Raabe |
タオカカ
な〜にをぼさっとしてるニャスか、ひよっこども! |
Taokaka |
タオカカ
今こそお前たちのトレーニングの成果を見せろニャス! |
Taokaka |
タオカカ
ヨワヨワな筋肉を奮い起こし、自分が無能でないことを 証明しろニャス!! |
Taokaka |
シエル
サー、イエッサー。 |
Ciel |
魔物
ゴアアァァ!! |
ーーー/
Summary | |
---|---|
疲労回復のためにココノエの診察を受け、休
んだあとは食事の時間。キャンプの面々と共 に、ワイルドすぎる肉料理を堪能した。 |
シエル
……周辺に敵性反応なし。 対象の排除、完了しました。 |
Ciel |
ラーベ
数はどうだろう。 タオカカよりは倒せたんじゃないかと思うんだが……。 |
Raabe |
タオカカ
ニャッハッハ、わかんないニャスよ〜。 タオだってたくさん倒したニャス。 |
Taokaka |
タオカカ
大漁、大漁ニャ〜ス! |
Taokaka |
獣兵衛
おお、倒してきたか。よくやったぞ3人とも。 いい闘争心だ。トレーニングの成果が出ているな。 |
Jubei |
獣兵衛
ただ……レイは今度こそ本当に限界のようだな。 仕方ない、いったん本格的に休ませるか。 |
Jubei |
獣兵衛
とにかくいったん休め。 |
Jubei |
シエル
あ……ありがとうございます。 |
Ciel |
シエル
このまま『ピクニック』なる特殊訓練が続くようであれば、 |
Ciel |
シエル
私がレイさんをおぶって参加しようかと 考えていたところでした。未遂ですんでなによりです。 |
Ciel |
獣兵衛
はっはっは! 助け合う心はいいものだ。 だがおぶる必要はないぞ。 |
Jubei |
獣兵衛
キャンプに戻ろう。救護用テントがあるからそこで休め。 その後に、食事にしよう。 |
Jubei |
獣兵衛
食事は俺が用意してやる。 |
Jubei |
タオカカ
やったニャス! 師匠のご飯はうまいニャスよ! |
Taokaka |
ラーベ
危うくレイを失うところだった……。 救護テントまで、頑張れよ、レイ。 |
Raabe |
ココノエ
要救護者か。症状は……どう見ても過剰な肉体疲労。 シンプルにスタミナ切れだな。 |
Kokonoe |
ココノエ
そこのベッドを使って、少し眠っておけ。 今、栄養剤と水分補給用のドリンクを持ってきてやる。 |
Kokonoe |
ココノエ
私のオリジナルレシピ、特性だ。 |
Kokonoe |
1: それは……安全なものですか? |
1: |
ココノエ
ふふん。貴様は今、安全性など選べる立場か? 黙って大人しく指示に従え、ひよっこ。 |
Kokonoe |
ココノエ
そう、安心しろ。 私が看てやるんだ、たちまち見違えるように助かるとも。 |
Kokonoe |
シエル
ありがとうございます、ココノエさん。 |
Ciel |
ココノエ
そっちはまだまだやれそうだな。 小娘の見た目からは想像もできないタフネスだ。 |
Kokonoe |
シエル
私は戦闘訓練を受けていますから、これくらいの負荷でしたら 想定範囲内です。 |
Ciel |
ココノエ
頼もしいことだ……。 |
Kokonoe |
ラーベ
ココノエが、このキャンプの救護担当なのか。 |
Raabe |
ココノエ
うん? 私のことを誰かに聞いたのか? その通りだ。天才軍医ココノエと呼んでくれ。 |
Kokonoe |
シエル
ココノエさんも……獣人、なのですか? |
Ciel |
ココノエ
……違うように見えるか? |
Kokonoe |
シエル
いえ、耳や尻尾などの特徴が、他の方々と一致しています。 獣人なのだろうとは思うのですが……。 |
Ciel |
シエル
それにしては、生体反応の質が人間に近いようにも思います。 |
Ciel |
ココノエ
なるほど。貴様の |
Kokonoe |
ココノエ
……別に隠すようなことでもないから、構わんが。
私は純粋な獣人ではない。獣人と人間の |
Kokonoe |
ラーベ
混血? へえ。人と獣人の混血児なんてのも存在するんだな。 |
Raabe |
ココノエ
稀にな。普通はあまりない。 姿や生活様式は近くても、あくまで種族としては別のものだ。 |
Kokonoe |
ココノエ
だからまあ……両親の嗜好が特殊だったんだろう。 |
Kokonoe |
ココノエ
……特性ドリンクは飲んだな? だったら少し眠れ。睡眠が持つ回復能力を侮るな。 |
Kokonoe |
…………。 ……………………。 |
|
シエル
……眠ってしまったのでしょうか。呼吸、安定しています。 |
Ciel |
ココノエ
それはなにより。少し無理をさせすぎだな。 指導役にあとで忠告しておくか。 |
Kokonoe |
ココノエ
そいつは訓練などろくに受けてきていない、素人の人間だ。 多少手を抜いているとはいえ、獣人についていけるわけがない。 |
Kokonoe |
ココノエ
……戦闘用に調整されているお前とは違うんだからな。 |
Kokonoe |
シエル
……それは……。 |
Ciel |
ラーベ
ごまかしは通用しない相手だろうな。 シエルが素体であることを、一目で看破したか。 |
Raabe |
ココノエ
心配するな。別に素体だからといって、どうこうするつもりはない。 そんな必要はないしな。 |
Kokonoe |
シエル
おっしゃる通り、私は素体です。 レイさんの護衛を任務としています。 |
Ciel |
シエル
ですからどのような状況下でも、レイさんより先に 活動限界を迎えるわけにはいきません。 |
Ciel |
シエル
そのために、現在も日々訓練しています。 |
Ciel |
ココノエ
であれば、獣人のキャンプくらいわけもないな。 |
Kokonoe |
シエル
……いえ、決してそういうわけではありません。 結構しんどいです。 |
Ciel |
ラーベ
あ、そうなの? |
Raabe |
ココノエ
ふっ……くくっ、そうか。 |
Kokonoe |
ココノエ
あの運動神経だけで生きてるような連中についていくのは、 素体でも簡単ではないか。 |
Kokonoe |
ココノエ
……護衛対象よりも活動限界を長く……その考え方は、 護衛としては素晴らしい。だが、あまり己を過信するなよ。 |
Kokonoe |
シエル
それはどういうことでしょうか。 |
Ciel |
ココノエ
お前が戦闘のために生み出された存在であったとしても、 その身が経験することは戦闘だけとは限らない。 |
Kokonoe |
ココノエ
護衛という役目にだけ固執していると、 思わぬところで取りこぼすぞ。 |
Kokonoe |
シエル
……? |
Ciel |
ココノエ
よくわからんという顔だな。 内心を隠す訓練はあまり積んでいないらしい。 |
Kokonoe |
ココノエ
まあ、すぐに理解しなくてもいい。 これは忠告でもない、ただの雑談だ。 |
Kokonoe |
ココノエ
頭の片隅にでも置いておけ。 |
Kokonoe |
シエル
……わかりました。ありがとうございます。 |
Ciel |
……………………。 …………………………………………。 |
|
ラーベ
お。目が覚めたか、レイ。 さすがによく眠ってたなー。 |
Raabe |
ココノエ
体は正直だな。 ここまで漂ってきた食事の匂いで覚醒したんだろう。 |
Kokonoe |
シエル
さきほどから、肉類の焼ける匂いがします。 外も賑やかになってきました。 |
Ciel |
獣兵衛
おっ。少しは眠れたか、レイ? 飯の用意ができたぞ。起きられるなら来い。 |
Jubei |
獣兵衛
ははは、よし、腹が減るのは元気な証拠だ。 たっぷり寝たら、次はたっぷり食う番だからな。 |
Jubei |
獣兵衛
肉が向こうで山ほど焼けてる。 さっさと行かないと、全部タオカカに食いつくされるぞ。 |
Jubei |
シエル
それは、いけません。あり得ることです。 急ぎ、レイさんの分を確保してきます! |
Ciel |
ラーベ
おい、待て待て。行くぞ、レイ。 あいつあの勢いだと、食べきれないほど持ってきそうだ。 |
Raabe |
獣兵衛
……あー、ココノエも、どうだ。 その、きっとうまいぞ。 |
Jubei |
ココノエ
いや、遠慮しておく。 補給剤で十分だ。 |
Kokonoe |
獣兵衛
う、うむ……そうか。だが補給剤だけでは力が出ないだろう。 たまには外で普通の食事も……。 |
Jubei |
ココノエ
……父親ぶりたいなら、結構だ。間に合っている。 キャンプ中にそんな余計なことをしている暇があるのか? |
Kokonoe |
ココノエ
私は実験に戻る。 医者が必要でないなら、声をかけないでもらおう。 |
Kokonoe |
獣兵衛
う、ぐ、ぬぅ。 ……難しいものだな。 |
Jubei |
タオカカ
あ、来た来たニャス。 こっちニャスよ〜〜〜。 |
Taokaka |
チャチャカカ
師匠特製の焼いた肉ニャス。 あーん、あぐあぐあぐ……。 |
Chachakaka |
タオカカ
ニャスニャスニャスニャス……。 |
Taokaka |
マコト
ふたりとも、いい食べっぷり。 レイたちもどうぞー。 |
Makoto |
シエル
ありがとうございます。 |
Ciel |
ラーベ
……これまた、すごい量の肉だな。 しかもひとつひとつがでかい。いかにもアウトドア料理って感じだ。 |
Raabe |
獣兵衛
おお、やってるな。遠慮するな、どんどん食え。 まだまだ肉はあるぞ。 |
Jubei |
獣兵衛
ナイフやフォークなんて上等なものは、ここはないからな。 ガブッと豪快にかぶりつけ。 |
Jubei |
シエル
わかりました。いただきます。 |
Ciel |
シエル
……これは……! |
Ciel |
1: おいしい! |
1: |
タオカカ
当たり前ニャス! 肉はうまいのニャス!! |
Taokaka |
タオカカ
なので……こっちのおおき〜のはタオがもらったニャス!! |
Taokaka |
チャチャカカ
ふふ〜ん、でかさばかりが肉のうまさじゃないニャスよ。 というわけで、チャチャはこの柔らか〜いところを……。 |
Chachakaka |
チャチャカカ
うんま〜〜〜! |
Chachakaka |
マコト
あはは、レイ、食レポみたい! 表情も相まって、おいしさが伝わってくるよ! |
Makoto |
ヴァルケンハイン
ふん、ベラベラと御託を並べおって。味わいがどうのなど、 語ってなんの意味がある。味に変わりはないだろうが。 |
Valkenhayn |
マコト
そんなことないよ。 味を分かち合うのも、食事をおいしく食べる秘訣だよ。 |
Makoto |
マコト
まったく、わかってないなぁ〜。 |
Makoto |
シエル
……もぐ、もぐ。 このお肉、なんのお肉なのでしょう。不思議な癖があります。 |
Ciel |
ラーベ
……そういえば、これだけの肉どこにあったんだ? |
Raabe |
ラーベ
このキャンプ地に、こんな大量の肉を保管できる施設なんて なかったと思うが……。 |
Raabe |
ヴァルケンハイン
うん、やはりこの時期の肉は脂が乗っていてうまい。 捌きたての魔物は、シンプルに焼くのが一番だな。 |
Valkenhayn |
チャチャカカ
焼いた山盛りの魔物肉は逆に映えるニャス。 肉は茶色くてなんぼニャスからね〜。 |
Chachakaka |
ラーベ
……魔物、肉? |
Raabe |
獣兵衛
ん? ああ、そうだ。 これは全部、さっき森で獲ってきた魔物の肉だ。 |
Jubei |
獣兵衛
どれがどれかはもうわからんが…… とりあえず肉があるものは全部焼いた! |
Jubei |
ラーベ
一応、聞いとくけども。 ……安全? |
Raabe |
タオカカ
肉ニャスから、おいしいニャスよ? |
Taokaka |
ラーベ
いやおいしさの問題ではなくてだな。 |
Raabe |
獣兵衛
わからん。もし腹が痛くなったら、ココノエのところに行け。 |
Jubei |
シエル
先程の訓練は、食材調達だったのですね……。 食べるために戦っていたとは、思っていませんでした……。 |
Ciel |
シエル
これが、さっきの魔物……。 |
Ciel |
チャチャカカ
この世は弱肉強食ニャスからね〜。 |
Chachakaka |
ラーベ
……獣人の世界はワイルドで厳しいな……。 |
Raabe |
第6節 牙折る策を巡らせ/
Summary | |
---|---|
食事を済ませ、訓練再開。ヴァルケンハイン
を教官に、『戦闘時の隊の編成と戦力配置』 の技術を身に着けるための実戦に挑む。 |
獣兵衛
よし! 腹も満たされたことだし、訓練再開だ! ここからはより一層実践的で厳しい訓練となる。 |
Jubei |
獣兵衛
心してかかれよ、ひよっこ共!! |
Jubei |
シエル
サーイエッサー! |
Ciel |
ラーベ
このノリにもさすがに慣れてきたな。 |
Raabe |
獣兵衛
もういくつもの試練を越えて、お前たちも力をつけてきたはずだ。 となれば次なる教官は……ヴァルケンハイン! |
Jubei |
ヴァルケンハイン
サーイエッサー!!!!! |
Valkenhayn |
ラーベ
うおっ。ものすごい気合いだな……。 |
Raabe |
ヴァルケンハイン
お任せください、師匠! |
Valkenhayn |
ヴァルケンハイン
このヴァルケンハインが徹底的にこやつらをしごき抜き、 この地に這いつくばらせてみせます! |
Valkenhayn |
獣兵衛
ああ。よろしく頼むぞ、ヴァルケンハイン。 |
Jubei |
ヴァルケンハイン
いいか、キャンプ地の土の味をたらふく味わわせてやるぞ、 ひよっこ共!! |
Valkenhayn |
ラーベ
とんでもない意気込みだ。 |
Raabe |
シエル
それで、今回のご指導はどのような内容なのでしょうか。 獣兵衛師匠、ヴァルケンハイン教官。 |
Ciel |
獣兵衛
いい質問だ。意欲があってよろしい。 |
Jubei |
獣兵衛
ここでヴァルケンハインに指導してもらうのは、 戦闘時における隊の編成と、戦力の配置についてだ。 |
Jubei |
ヴァルケンハイン
俺ともなれば、たとえ考えなしに前へ前へ突撃していこうとも 邪魔な雑兵など取るに足らん。 |
Valkenhayn |
ヴァルケンハイン
だがひよっこである貴様らは違う! 単身で挑むなど よほどの手練れでなければ自ら死にに行くようなものだ! |
Valkenhayn |
ヴァルケンハイン
ゆえに、隊を組む必要があり、隊を組むのであれば どのような戦力をどこに配置するのかが重要となる。 |
Valkenhayn |
ヴァルケンハイン
……ですね、師匠! |
Valkenhayn |
獣兵衛
そうだ。もうすでにわかっていることではあるだろうが、 誰しも得意な間合い、戦術というものがある。 |
Jubei |
獣兵衛
ヴァルケンハインのように、前線に出て至近距離で戦うのが 得意な者もいれば……。 |
Jubei |
獣兵衛
そうだな。そこのシエルのように、近距離であっても 遠距離であっても変わらない戦い方ができる者もいる。 |
Jubei |
獣兵衛
魔術師などに多いが、 肉弾戦を不得手とする者もいるだろう。 |
Jubei |
獣兵衛
そういう人員は、距離を保って戦えるよう布陣したほうが、 持てる力を発揮できる。 |
Jubei |
シエル
個人それぞれに合わせた間合いの取り方がある…… ということですね。 |
Ciel |
シエル
それを無理に変えようとすると、戦闘方法そのものに 無理が生じることもある……と。 |
Ciel |
獣兵衛
自分の得意な間合いは、しっかり把握しておけよ。 |
Jubei |
獣兵衛
間合いの他に、もうひとつ隊の配置を決める際に 重要なことがある。……そいつの『個性』だ。 |
Jubei |
シエル
個性、ですか。……意見するようですが、 軍においての兵は純然たる兵力です。 |
Ciel |
シエル
個々の性格を個性とするのなら、それを重視することは 隊のバランスを欠くことになりませんか? |
Ciel |
獣兵衛
だからこそ、正しく把握し、うまく使え。 どんな性格、性質を持っているのか。 |
Jubei |
獣兵衛
仲間が近くにいることで士気が上がる者、 前線へ配置されることで意欲が向上する者……。 |
Jubei |
獣兵衛
扱う連中が個性豊かであればあるほど、潜在能力を向上させる 状況を作ることができるはずだ。 |
Jubei |
獣兵衛
……とはいえ、急に全てを把握することは難しい。 繰り返し強敵とぶつかることで、自分たちの力を見出すように! |
Jubei |
ヴァルケンハイン
師匠から、直々のありがたいアドバイスだぞ! その弱々しいひよこ脳みそに刻み付けておけ!! |
Valkenhayn |
シエル
サー、イエッサー! |
Ciel |
ヴァルケンハイン
理屈がわかったなら、次はもちろん実戦だ。 さあ、思い切りこい! |
Valkenhayn |
ヴァルケンハイン
貴様らひよっこ共が多少策を巡らせたところで、 この俺を簡単に制することができると思うな……。 |
Valkenhayn |
ヴァルケンハイン
どんな隊を組もうと、ひねり潰してやる!! |
Valkenhayn |
獣兵衛
油断するな。ヴァルケンハインは強敵だぞ。 |
Jubei |
獣兵衛
彼は人狼だ。俺たち獣人とは起源が異なる。 もっと古く、もっと強い。 |
Jubei |
獣兵衛
……さらにいえば、属性は風、さっきも言った通り 近接攻撃を主体とするアタッカーだ。 |
Jubei |
獣兵衛
相手がどんな敵なのか見定めたうえで、 うまく隊を運用して戦え。 |
Jubei |
シエル
これも、アドバイスですね。 ……頑張りましょう、レイさん。 |
Ciel |
ラーベ
キャンプもどうやら大詰めらしい。 気を引き締めていけよ。 |
Raabe |
ヴァルケンハイン
準備はいいな!! いくぞ、ひよっこ!!! |
Valkenhayn |
第7節 最終試験/
Summary | |
---|---|
獣兵衛の号令で訓練は終了。一行の実力が
ヴァルケンハインにも認められ、総仕上げの 卒業試験としてついに獣兵衛と戦うことに。 |
獣兵衛
……そこまで!! |
Jubei |
ヴァルケンハイン
…………。 |
Valkenhayn |
ヴァルケンハイン
……悔しいが、認めよう。見事だ。 この俺をここまで追い詰めてくれるとは……。 |
Valkenhayn |
ヴァルケンハイン
久し振りに、血が湧いた! 楽しかったぞ、ひよっこ共。いや……。 |
Valkenhayn |
ヴァルケンハイン
レイ。シエル。 |
Valkenhayn |
シエル
ヴァルケンハインさん……。 |
Ciel |
1: こちらこそ、楽しかったです! |
1: |
ヴァルケンハイン
ほう? 言うじゃないか。 だが貴様のその言葉、ただの強がりでないことくらいはわかる。 |
Valkenhayn |
ヴァルケンハイン
強い者と戦い、それに勝利することでさらに己の強さを磨く! 貴様が戦いを楽しめる者であること、嬉しく思うぞ。 |
Valkenhayn |
ヴァルケンハイン
ふふふ、そうだろう。 頭で理解するだけでは意味がない。実際に戦ってこそ、だ! |
Valkenhayn |
ヴァルケンハイン
これからも多くと戦い、より強い敵に立ち向かえ。 挑む気持ちが貴様を強くする。今よりももっとな。 |
Valkenhayn |
獣兵衛
実際のところ、驚いた。始めて顔を合わせたときは、 もっとなにも知らない子供だと思っていたが……。 |
Jubei |
獣兵衛
こんな細く頼りない体をしているというのに、やるじゃないか。 俺の観察眼も衰えたかな? はっはっはっは。 |
Jubei |
シエル
いえ、こちらでの訓練は大変貴重な経験となっています。 新たに学べたことも、改めて実感できたこともたくさんあります。 |
Ciel |
獣兵衛
ふ……そうか。そうだな。 経験はなによりも大切な基礎体力だ。 |
Jubei |
獣兵衛
そしてお前たちは俺が思っていたよりもずっと、 その基礎体力がある。 |
Jubei |
シエル
ありがとうございます。 |
Ciel |
シエル
……確かに、私は元々戦闘訓練を受けていますが、 レイさんはそうではありません。 |
Ciel |
シエル
それなのに、驚くほどついてこられています。 きっとこれまでの経験あってのことなのでしょう。 |
Ciel |
獣兵衛
自分でも驚いているか、レイ? だが、慢心するな。 |
Jubei |
獣兵衛
大切なのは日々の積み重ね。そしてなにより、自分の力を 自分自身そのものだと思わないことだ。 |
Jubei |
獣兵衛
特にレイ、お前には特別な力がある。 それは容易に真似できるようなものではない。 |
Jubei |
獣兵衛
だがそれを、自分のものだと思うな。 力はお前を裏切る。お前を傷付ける。 |
Jubei |
獣兵衛
そういうときは、立ち向かえ。 力になど負けるな。 |
Jubei |
獣兵衛
きっとお前ならできる。 |
Jubei |
ラーベ
…………。 |
Raabe |
獣兵衛
……よし。 |
Jubei |
獣兵衛
心しろ、ひよっこ! 貴様の力は貴様だけによって成り立つものではない! |
Jubei |
獣兵衛
時に連携し、時に協力し、高め合い、支え合え。 貴様らの持てる力は、他者との繋がることでもっと大きくなる! |
Jubei |
獣兵衛
返事!! |
Jubei |
シエル
わ、は、はい。ではなく……。 |
Ciel |
シエル
サーイエッサー!! |
Ciel |
ラーベ
いい師匠って雰囲気だったのに、 急に元に戻ったな。 |
Raabe |
獣兵衛
ひよっこボール! 口答えか!? |
Jubei |
ラーベ
おっと……。 ノー、サー! |
Raabe |
獣兵衛
よし、では構えろ! |
Jubei |
シエル
え!? |
Ciel |
ラーベ
おいおい、まさか次は師匠直々に相手だ、とか 言うんじゃないだろうな? |
Raabe |
獣兵衛
そのまさかだ。お前たちに今教えられることは教えた。 これで仕上げだ、教えたこと全部引っ提げて俺を倒してみろ! |
Jubei |
獣兵衛
俺を倒せたら……我がブートキャンプの卒業を許可する!! |
Jubei |
シエル
!! |
Ciel |
シエル
つまりこれは……卒業試験ということですね。 |
Ciel |
獣兵衛
ああ、そうだ。全力でこい。 受け止めてやる。 |
Jubei |
シエル
わかりました……。行きます! |
Ciel |
1: 師匠、よろしくお願いします! |
1: |
獣兵衛
そう呼ばれると気分が高揚する。 ……なぜだろうな。 |
Jubei |
獣兵衛
情けない顔をするな! お前の力を見せてみろ! |
Jubei |
ーーー/
Summary | |
---|---|
試験に勝利し、卒業の時を迎えた。獣兵衛の
案内で窯を壊し、キャンプはやがて消えるが ……彼の思いは、確かに受け継がれていく。 |
獣兵衛
これほどとはな……。 |
Jubei |
獣兵衛
参った。お前たちの勝利だ。 よく戦った! いい戦いぶりだったぞ! |
Jubei |
シエル
ありがとうございます! |
Ciel |
獣兵衛
お前たちに今師匠として教えられるのは、ここまでだ。 厳しい訓練の数々、よくついてきてくれた! |
Jubei |
シエル
師匠……。 |
Ciel |
ラーベ
……感動的なシーンみたいな雰囲気出てるところ悪いが…… ってことは、これでキャンプ卒業ってことでいいんだな? |
Raabe |
獣兵衛
ああ……お前たちは卒業だ。 |
Jubei |
獣兵衛
これからもよく学び、よく考え、よく戦え。 精進し、己を高めることを忘れるな。 |
Jubei |
シエル
はい! がんばります! |
Ciel |
ラーベ
は〜、やれやれだ……結局訓練だなんだで、調査がほとんど できなかったからな……。 |
Raabe |
ラーベ
これからあちこち見させてもらって……。 |
Raabe |
獣兵衛
卒業祝いといってはなんだが…… ここまで俺に付き合ってくれたお前たちに、見せたいものがある。 |
Jubei |
獣兵衛
ちょっとついてきてくれないか。 |
Jubei |
シエル
見せたいもの、ですか? わかりました。ついていきます。 |
Ciel |
獣兵衛
こっちだ。 |
Jubei |
シエル
獣兵衛さん。これは……ここは、まさか。 |
Ciel |
獣兵衛
……ああ。ここだ。 |
Jubei |
ラーベ
!? なん……なんだと? |
Raabe |
獣兵衛
……お前たちの探し物は、これなんじゃないか? |
Jubei |
シエル
は……はい。反応を確認。間違いなく、窯です。 稼動しています。 |
Ciel |
シエル
でも、どうして……不思議です。 |
Ciel |
シエル
キャンプ地から少し離れてはいても、 窯が存在しているのなら、本来なら感知できるはずなのに……。 |
Ciel |
シエル
すぐ近くに来るまで、わかりませんでした……。 |
Ciel |
獣兵衛
なに? そんなことができたのか。 そいつはすまん。 |
Jubei |
獣兵衛
誰にも見つかりたくなくてな。 できる限りの方法で隠そうとしていた。 |
Jubei |
ラーベ
隠密関係の術かなにかか……? この場そのものの反応が弱いな。 |
Raabe |
ラーベ
というより、あのキャンプ地とその周辺の反応が強すぎて、 かき消されていた感じか。 |
Raabe |
ラーベ
もしかしてこれも、獣人の特性か? キャンプ地という テリトリーを我々にわざと強く認識させた……みたいな。 |
Raabe |
獣兵衛
そこまで便利な特性は持ち合わせていない。 ただ……この『場』において、俺は少々特殊らしいからな。 |
Jubei |
獣兵衛
その特殊性が、獣人の能力と合わさって、そういったことを 可能にしたのかもしれん。 |
Jubei |
シエル
特殊、というと……もしかして、獣兵衛さんが このファントムフィールドの観測者なのですか? |
Ciel |
ラーベ
窯へ案内することができたんだ。 間違いなくそうだろう。 |
Raabe |
ラーベ
この筋肉マシーン量産ブートキャンプの存在を望んだのは、 観測者である獣兵衛……ということだ。 |
Raabe |
ラーベ
いやどんな願望だよ。 |
Raabe |
獣兵衛
なるほど。俺の願望が基盤になっているのか。 |
Jubei |
獣兵衛
だったら、弟子を持ちたいとか、自分の技術を後世に 伝えたいだとか……大方そんな願望だろうな。 |
Jubei |
獣兵衛
だとしたら、つくづく情けない話だ。 |
Jubei |
シエル
情けない……どうしてそう思われるのですか? |
Ciel |
獣兵衛
……このキャンプの存在は俺が原因なんだと気付いて、 この窯を見つけて以降、何度も窯を破壊しようと試みたんだ。 |
Jubei |
獣兵衛
だができなかった。 |
Jubei |
ラーベ
それはそうだろう。 窯は通常の物理的手段では破壊できない。 |
Raabe |
獣兵衛
ああ、知っている。 だがそういうことじゃない。 |
Jubei |
獣兵衛
刀を抜くことすらできなかった。 窯へ攻撃できなかったんだ。なにもできなかった。 |
Jubei |
獣兵衛
おそらく観測者というのは、そういうものなんだろうな。 自分の手で窯を破壊できない。 |
Jubei |
獣兵衛
だが俺はそれが悔しかった。俺が原因で発生していることの ケリを、俺の手でつけられないなんて。 |
Jubei |
獣兵衛
これは俺の、心の弱さだ。 |
Jubei |
ラーベ
無茶を言うな。師匠の言っている通り、これは 『そういうもの』なんだ。 |
Raabe |
ラーベ
今のように自分で窯の場所へ案内するだけでも、 十分すぎるイレギュラーだ。 |
Raabe |
獣兵衛
そう言ってもらえることで、 多少慰められる気持ちはあるがな。 |
Jubei |
獣兵衛
この程度のことで自分の心に打ち勝てないとは、 鍛えが足りない。 |
Jubei |
獣兵衛
それなのにいっちょ前に教官面とは、片腹痛い! |
Jubei |
獣兵衛
もっと鍛えて、もっと強くならなければ…… 後世に技を伝えたいだなどとでかい口は叩けんよ。 |
Jubei |
ラーベ
……あの鬼教官モードじゃなくても、結構目茶苦茶、 脳筋なこと言う人なんだなぁ。 |
Raabe |
獣兵衛
お前たち、探していたからには、 こいつをどうにかできるんだろう? |
Jubei |
シエル
はい。私たちは窯を破壊するために、ここへ来ました。 |
Ciel |
獣兵衛
破壊か、そいつはいい。 すぐにでもやってくれ。 |
Jubei |
シエル
よろしいのですか……? |
Ciel |
獣兵衛
ここは俺の意識を反映した場所らしいが……ここにあるものは、 まったく俺の理想なんかじゃない。 |
Jubei |
獣兵衛
……俺の欲しいもの、欲しかったものは、 なにもない。 |
Jubei |
獣兵衛
ここはまるで、小さな世界から抜け出せず、 自分の力を誇示するばかりだった子猫のころの自分だ。 |
Jubei |
獣兵衛
そんな未熟で弱い己の内面を突きつけられているようで…… 辛いんだ。 |
Jubei |
シエル
……わかりました。獣兵衛さんが……いえ、師匠が そうおっしゃるのなら、遠慮なく、窯を破壊させていただきます。 |
Ciel |
シエル
行きます、レイさん。 対象を捕捉……。 |
Ciel |
シエル
……第666拘束機関解放。次元干渉虚数方陣展開。 |
Ciel |
シエル
|
Ciel |
獣兵衛
|
Jubei |
シエル
はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!! |
Ciel |
獣兵衛
……そうか。 |
Jubei |
獣兵衛
では、これで俺はファントムフィールドと窯から解放され、 じきに本来あるべき世界に戻れるんだな。 |
Jubei |
ラーベ
そうなる。いつになるかはわからないけど……。 |
Raabe |
ラーベ
どれだけかかったとしても、 元の世界に戻れば待ち時間の長さなど忘れるだろう。 |
Raabe |
ラーベ
……まあ、検証したことはないんだけど。理論上な。 |
Raabe |
獣兵衛
気長に待つさ。ここには気の合う連中もいるし。 それに俺は人間よりもずっと長生きだからな。 |
Jubei |
獣兵衛
きっとさして気にならんさ。 |
Jubei |
獣兵衛
……レイ。 お前には謝らないといけない。すまなかった。 |
Jubei |
獣兵衛
お前に観測の力があるんだろうと、薄々ではあったが 始めからわかっていた。 |
Jubei |
獣兵衛
お前に俺のことをよく観測してもらいたくて、 キャンプに誘ったんだ。 |
Jubei |
獣兵衛
そうすれば、窯を壊せるかもと思ってな。 結局、今の俺にはそこまでの力は得られなかったが……。 |
Jubei |
獣兵衛
だが、ここで共に過ごすことで、お前は俺を観測した。 その事実は間違いない。 |
Jubei |
獣兵衛
お前がもし俺を必要とすることがあれば、その力で 俺をどうとでも観測してくれ。 |
Jubei |
獣兵衛
俺をここから解き放ってくれた、せめてもの礼になればいい。 |
Jubei |
ラーベ
簡単に言ってくれるじゃないか。 好きに観測してくれ、だなんて。どうなっても知らんぞ? |
Raabe |
獣兵衛
望むところだ。受けた恩は返す。 |
Jubei |
獣兵衛
俺にとっては、 お前たちが来てくれたことはそれくらいの恩だ。 |
Jubei |
獣兵衛
……楽しい仲間たちはいるが、俺にはこういう ひとつ所に留まるような暮らしは合ってない。 |
Jubei |
獣兵衛
在るのなら、もっと広い世界がいい。 生きるなら、もっと厳しい場所がいい。 |
Jubei |
獣兵衛
お前たちとの出会いは、俺をきっとそういう場所に 帰してくれるだろう。 |
Jubei |
獣兵衛
ありがとう。 |
Jubei |
1: お世話になりました |
1: |
獣兵衛
こちらこそだ。 フガクとやらに帰るんだったよな。 |
Jubei |
獣兵衛
どう帰るか知らんが、気を付けてな。 元気でやれよ。 |
Jubei |
獣兵衛
いいだろう。 それにはもうちょっと、戦いの技術を身に付けろ。 |
Jubei |
獣兵衛
護身術でもなんでもいい。 そうしたら、それを本格的に使えるように鍛えてやる。 |
Jubei |
シエル
大変お世話になりました。こちらで学んだことは忘れません。 きっとこれから先の戦いに、活用いたします。 |
Ciel |
獣兵衛
ここにいる間だけでも、お前たちはずいぶん逞しくなった。 でもこんなもんじゃない。 |
Jubei |
獣兵衛
強くなれよ。 |
Jubei |
獣兵衛
ラーベもな。 |
Jubei |
ラーベ
だから機械なんだって……。 |
Raabe |
ラーベ
……まあ、そんな機能がついたらね。 |
Raabe |
カガミ
――よし。問題ないな。 |
Kagami |
カガミ
お帰り、レイ、シエル。 今回もお疲れ様だったね。 |
Kagami |
カガミ
詳細はラーベのデータを解析するから、まずは メディカルチェックを受けて、最低限の体力回復に努めてくれ。 |
Kagami |
カガミ
どうやら今回は、かなり肉体的にハードな ファントムフィールドだったようだしね。 |
Kagami |
シエル
はい。了解しました。 メディカルルームまで、レイさんに同行します。 |
Ciel |
シエル
……今回は本当に、お疲れ様でした。 いつもより身体的な負担が大きいと思います。 |
Ciel |
シエル
お休みになられる前には、しっかりストレッチなどで 体をほぐしてください。 |
Ciel |
1: シエル、お願いがあるんだけど |
1: |
シエル
はい。なんでしょうか。 私にできることでしたら、なんでもおっしゃってください。 |
Ciel |
シエル
今回のことで、なにか思うところがありましたか。 でしたら、私もお供します。 |
Ciel |
シエル
……………………。 |
Ciel |
シエル
……護身術、ですか? 私が、レイさんに? い、いいえ、問題ありません! |
Ciel |
シエル
専門的な技術がなくても扱えるような護身術を、 いくつかお教えできると思います。 |
Ciel |
シエル
指導役が私で、よろしいのですか? |
Ciel |
シエル
……はい、よろこんで、教官役を務めさせていただきます。 |
Ciel |
シエル
ですがまずは休息です。 休めるときにしっかり休む。……これも、師匠からの教えです。 |
Ciel |
シエル
十分にお休みになったら。 ビシバシ、鍛えさせていただきます。 |
Ciel |