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Story:BBDW Event Reminiscence of the Blue Light of the Past

From BlazBlue Wiki
Revision as of 20:38, 2 January 2022 by Chao (talk | contribs) (initial page, formatted with transcript and videos)
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プロローグ/

Summary
フガクの自室で休んでいるとノックの音。訪

れたのはラムダで、彼女は『ターター』とい う名前のなにかを探しているのだと言った。

カガミ

なるほど。報告ありがとう。 今回の浸入 (ダイブ) について、特筆するべき点は以上かな?

Kagami
シエル

はい。 以上が今回のファントムフィールドの詳細です。

Ciel
カガミ

レイからはなにか、付け足しはある?

Kagami
カガミ

おっけー。それじゃあお疲れ様、これで報告はおしまい。 次の浸入 (ダイブ) まで、ゆっくり休んでくれ。

Kagami
シエル

了解です。 では、失礼します。

Ciel
シエル

レイさん、ミーティングお疲れ様でした。

Ciel
シエル

帰還後のメディカルチェックでは、 特に異常はなかったと聞いています。

Ciel
シエル

ですがまだ戻ったばかりですし、 心身に疲労やストレス等の負荷がかかっているかと思います。

Ciel
シエル

次の任務までは、ゆっくり休んでください。

Ciel
シエル

では、私はメンテナンスがありますので、 これで失礼します。

Ciel
ラムダ

レイ……確認。

Lambda
ラムダ

…………。

Lambda
ラムダ

…………。

Lambda
ラムダ

…………。

Lambda

1: こんにちは
2: どうしたの?

1:
2:

ラムダ

ターター、探してる……。

Lambda

1: ターター?
2: それはなに?

1:
2:

ラムダ

……ターターは、ターター。 それ以外は……わからない。

Lambda
ラムダ

…………。

Lambda
シエル

レイさん、よろしいでしょうか。 渡し忘れていたものが……。

Ciel
シエル

あれ。ラムダさん。 こんにちは。

Ciel
ラムダ

シエル。

Lambda
シエル

レイさんに用事ですか? お邪魔でしたら、私は席を外します。

Ciel
ラムダ

ターター……探してる。

Lambda
シエル

ターター……? それはどういったものでしょうか?

Ciel
ラムダ

……わからない。

Lambda
シエル

……ターターと呼称される、詳細不明の物を探している。 ということですか?

Ciel
ラムダ

そう。

Lambda
シエル

それでレイさんを頼っていらしたのですね。

Ciel
シエル

その『ターター』という名称は、 どこで知ったのですか?

Ciel
ラムダ

……わからない。 でも、ターター、探してる……。

Lambda
シエル

本当に、名称以外は不明なのですね……。

Ciel
シエル

これだけの手がかりで該当のものに行き着くのは、 かなり困難です。

Ciel
シエル

レイさん、心当たりはありますか?

Ciel
シエル

そうですか……私もありません。 困りましたね。

Ciel
シエル

探しているということは、ターターというものは ラムダさんにとって重要なものなのでしょうが……。

Ciel
シエル

そうだ、ラムダさん。 なんのために探しているのかは、わかりますか?

Ciel
ラムダ

わからない……。

Lambda
シエル

うーん。

Ciel
シエル

この場で解決を図ることは難しいと判断します。 レイさん。カガミさんに相談してみませんか?

Ciel

1: 博識だもんね、なにか知ってるかも
2: きっと面白がって手伝ってくれる

1:
2:

シエル

はい。そう思います。 では、行きましょう。ラムダさんもご一緒に。

Ciel
ラムダ

……うん。

Lambda

第1節『事変』/

Summary
指令室を訪れ、カガミとココノエに相談する

が、その最中に響く警報。タカマガハラは観 測者の干渉を警告し、視界が歪んでいく。

ココノエ

わからん奴だな。 どう考えてもつけたほうがいいだろうが。

Kokonoe
カガミ

わからんのはそっちだろうが。不要ったら不要だ! そんな余計な機能を追加する余裕は、フガクにはない。

Kagami
カガミ

第一そんなコスパの悪いもの、 出力不足になるのは目に見えてるだろうが。

Kagami
ココノエ

出力だ? そんなもの、増やせばいいだろうが。 なんなら私が現状の倍は出るようにしてやるぞ。

Kokonoe
カガミ

いりませんー。 出力を倍にするだけなら私でもできるわ。

Kagami
カガミ

問題はそれを境界という不安定極まりない空間で維持するのに、 どれだけのコストをかけるつもりだってところだ。

Kagami
カガミ

こちとらなにもかも自給自足のカツカツ運営なんだ。 物資も人手も贅沢に使えると思うなよ。

Kagami
カガミ

いやそもそも! 不必要な機能をつけるつもりはない!

Kagami
ココノエ

頑固者め。貴様、それでも科学者か?

Kokonoe
カガミ

科学者だが、 同時に大勢のスタッフを抱える責任者でもあるんでね。

Kagami
カガミ

有益な機能ならまだしも、 お前のロマンに付き合ってたまるか。

Kagami
ココノエ

ロマンだけのものだと思ってもらっては困るな。 実用性も十分ある。

Kokonoe
カガミ

ほーお、どんな実用性だ? 聞かせてもらおうじゃないか。

Kagami
TB

あー、ちょっとちょっと。 盛り上がってるところ悪いんだけどさ。

TB
カガミ

なんだ? まさかお前たちまで無駄機能に賛成だなんて 言わないよな?

Kagami
TB

いや、そういうのはどうでもいいよ。 そっちで好きにして。

TB
TB

それより、お抱えのスタッフメンバーの一部が困ってるけど、 放っておいていいのかい?

TB
カガミ

うん?

Kagami
シエル

……お取込み中、失礼します。

Ciel
カガミ

おお、シエルにレイに、ラムダじゃないか。 急にいるからびっくりしたぞ。

Kagami
ココノエ

さっきからずっといたぞ。 知っててスルーしているのかと思ってたんだが。

Kokonoe
カガミ

私はそんなに性悪じゃな〜〜〜い!

Kagami
カガミ

そうだ、ちょうどいいところに現れた。 シエル、レイ〜! 聞いてくれ〜。

Kagami
カガミ

ココノエがフガクを改造するって言って聞かないんだ。 お前たちからもなんとか言ってやってくれないか。

Kagami
シエル

改造、ですか? どのような改造ですか?

Ciel
カガミ

変形機能だ。

Kagami
ココノエ

ロマンだろ?

Kokonoe
カガミ

だから、お前のロマンに付き合うつもりはない!

Kagami
ココノエ

まあ待て、実用性の話だ。この先、敵対組織とした バベルがどんな攻撃をこちらに仕掛けてくるかわからない。

Kokonoe
ココノエ

もしかしたら、これまでのようにファントムフィールド内に 留まらず、境界内でも仕掛けてくるかもしれないだろう?

Kokonoe
シエル

それは、思ってもみませんでした。 確かにバベルならば、可能なことかもしれませんね。

Ciel
ココノエ

そんなとき活躍するのが、この変形機能だ。

Kokonoe
ココノエ

バベルがたとえ巨大ロボを戦力として投入してきても、 変形して巨人が如き姿と化したフガクならば対応可能!

Kokonoe
ココノエ

さらに変形後の胸部にあたる部分には、魔素を充填して 発射する魔素ブラスター、両手には反重力パンチを搭載!

Kokonoe
ココノエ

最終的には付属パーツを開発して、強化合体を……。

Kokonoe
カガミ

却下!!!

Kagami
ココノエ

なんだ。パンチじゃなくてドリルのほうが好みか?

Kokonoe
カガミ

んなこと言ってないだろうが!! とにかく変形却下! ブラスターもいらん!

Kagami
カガミ

フガクは現状で完璧に美しい! ロボット変形はよそでやれ!

Kagami
ココノエ

ちぇ。つまらん。

Kokonoe
カガミ

フガクをおもちゃにするなぁ!

Kagami
カガミ

ぜぇ、はぁ……というわけでな。 ちょっと揉めてた。

Kagami

1: お疲れ様です……
2: 変形、かっこいいけどなぁ

1:
2:

ココノエ

うむ。 まったく、感性の違う相手と話すのは骨が折れる。

Kokonoe
カガミ

こっちの台詞なんだよなぁ!

Kagami
ココノエ

フフ、そうだろう?

Kokonoe
カガミ

やめてくれレイ。冗談でも本気にするぞ、今のこいつは。 そして冗談じゃないなら勘弁してくれ。

Kagami
カガミ

それで? お前たちはなんの用だったんだ?

Kagami
シエル

あ、はい。カガミさんに伺いたいことがあります。 『ターター』と呼称されるモノをご存じでしょうか?

Ciel
ココノエ

……ターター?

Kokonoe
シエル

ラムダさんが、探しているそうなのです。

Ciel
シエル

ですが私もレイさんにも心当たりはなく、 カガミさんならなにか知っているかもしれないと思って来ました。

Ciel
シエル

いかがでしょうか?

Ciel
カガミ

んー? ターターねぇ……ピンとこないが……。 もうちょっと詳しい話を聞かせてもらえないか?

Kagami
シエル

それが、ラムダさんも名称しかわからないそうです。

Ciel
シエル

ですがラムダさんの様子からして、とても重大なことのよう なので、できればお力になりたいと思っています。

Ciel
カガミ

そりゃ、私だって力にはなってやりたいが…… わかってるのは名前だけ? 形状や大きさも不明か。

Kagami
シエル

はい。

Ciel
カガミ

なのにラムダはそれを探していると。

Kagami
シエル

はい、そうです。

Ciel
カガミ

……いや……ターター……。 聞いたことないなぁ。誰かの名前か?

Kagami
カガミ

ココノエ。お前の部下だろう? なにか知ってるんじゃないのか?

Kagami
ココノエ

さあな。私にもよくわからん。

Kokonoe
カガミ

ラムダ。『ターター』というものに関して、 知っている情報を全て開示してくれ。

Kagami
ラムダ

…………。

Lambda
ラムダ

ターターは……軟体動物門腹足網……。

Lambda
カガミ

新しい情報が出てきたな。 軟体動物門腹足網?

Kagami
シエル

軟体動物門腹足網。 軟体動物門に属する分類群の名称です。

Ciel
シエル

腹足綱と呼ばれる種類は、 軟体動物の中ではもっとも多いそうです。

Ciel
カガミ

巻貝やウミウシのようなもの……だな?

Kagami
ココノエ

そのようだな。

Kokonoe
カガミ

ラムダはそういう生物の飼育経験があるのか?

Kagami
ココノエ

いや、ない。 私の知る限りではな。

Kokonoe
カガミ

お前の知らないラムダの情報が存在するのか?

Kagami
ココノエ

基本的には『ない』な。

Kokonoe
ココノエ

だが今の世界はこんな有様だ。 どんなイレギュラーでも、発生の可能性はある。

Kokonoe
カガミ

まあ、そうだが。

Kagami
カガミ

しかし、ウミウシなぁ。少なくともこの船に そういう生物は積んでいないはずなんだが……。

Kagami
シエル

では、ラムダさんの言うターターとは一体何なのでしょうか?

Ciel
カガミ

わからん。 ラムダ、他には情報はないか?

Kagami
カガミ

どこで見たとか、どこにありそうとか……。

Kagami
ラムダ

ターター…… 探さないと……。

Lambda
カガミ

うわっ!? どうした、状況を報告!

Kagami
TA

タカマガハラシステムへの干渉を確認した。

'Ta
シエル

か…干渉ですか!?

Ciel
カガミ

セキュリティレベルを最大に引き上げろ! 同時に干渉元を逆探知! シエルはレイを!

Kagami
シエル

了解です! レイさん、側を離れないでください。

Ciel
カガミ

まさかバベルか……?

Kagami
ココノエ

その可能性は高いだろうな。

Kokonoe
ココノエ

しかし、ずいぶんとザルだな、フガクの防壁は。 変形よりも先に、防御システムに手を入れたほうがいいかもしれん。

Kokonoe
カガミ

それは多少同感だが、勝手にいじるんじゃないぞ! この状況が落ち着いてから相談しようじゃないか。

Kagami
ココノエ

いいだろう。

Kokonoe
カガミ

タカマガハラ、干渉はどうなった?

Kagami
TA

セキュリティレベルの上昇により、 システムへの侵食は減速した。

'Ta
ココノエ

なら今のうちに手を打つか。 まずは相手の解析を……。

Kokonoe
TB

探知の結果が出たよ。 干渉はフガク内部からだね。

TB
カガミ

な…内部だと!?

Kagami
ココノエ

……私じゃないぞ。

Kokonoe
TA

観測者の存在を確認。

'Ta
カガミ

は? 観測者ッ!?

Kagami

2節『構築される世界』/

Summary
シエルたちは構築途中の世界に浸入してしま

う。脱出の方法を探るが、その途上でキイロ とナオトの戦いに巻き込まれるのだった。

シエル

レイさん、気が付かれましたか。

Ciel

1: ……ここは?
2: どこもかしこも真っ白だ

1:
2:

ラムダ

わからない……。 ターターは……どこ……?

Lambda
シエル

ラムダさんの言葉の通り、現在地は不明です。 どういう環境なのかも、測定できません。

Ciel
シエル

はい。ですが霧やもやのようなものではないようです。 壁や床といった様子でもありません。

Ciel
シエル

ここは一体……どこなのでしょう?

Ciel
シエル

フガクの反応はありません。ラーベさんやカガミさんへの 通信を試みましたが、こちらも反応はありませんでした。

Ciel
シエル

加えて、周囲のスキャンを行いましたが、場所不明、 周囲の形状も不明。さらに私たち以外の生体反応もありません。

Ciel
シエル

見た目の通り、何もない世界です。 ……ですが……何故か落ち着きます。

Ciel
シエル

何もない世界なのに、どうしてでしょう……?

Ciel
シエル

ここでじっとしていても、事態の解決にはつながらないでしょう。 辺りの調査を提案します。

Ciel
シエル

とはいえ、近くにはなにもありませんし……。 調査するといってもどの方角に向かえばいいのか……。

Ciel
???

ぬわーーーーーーーーーーー!

???

1: うわ、びっくりした
2: あ、カガミさん!

1:
2:

カガミ

びっくりしただと? びっくりしてるのはこっちか!? こっちだな!?

Kagami
カガミ

おう、そうだ、カガミさんだ。 私の名前は破城カガミ。合ってるよな?

Kagami
カガミ

いやそんなことよりもだ。 な、な、なん、なんだ、なんなんだここは!?

Kagami
カガミ

白い! 右も左も真っ白だ。 いやもうこうなるとどっちが右でどっちが左なんだか……。

Kagami
シエル

カガミさん、しっかりしてください。 場所がどこであれ、左右は同じです。

Ciel
カガミ

これはあれだな。あれだろう。間違いなく。

Kagami
カガミ

緊急事態だな!

Kagami
シエル

は、はい。そう思いますが……なぜ嬉しそうなのですか?

Ciel
シエル

カガミさんは、混乱されているのでしょうか。

Ciel
シエル

……確かに。言われてみればカガミさんとしては 正常な反応のようにも思います。

Ciel
カガミ

すごいぞ! 白い! なにもない! ゆえになにもわからない!

Kagami
カガミ

うひょーーーー、これはわくわくするぅ!! ちょっとその辺見てこよう、な!

Kagami
カガミ

ふーむ、状況と周囲の様子、 それに現状で測定できる全ての反応を合わせて判断するに……。

Kagami
カガミ

ここはファントムフィールドだな。

Kagami
シエル

この不思議な空間に転移する前に、 タカマガハラシステムが観測者の存在を感知していました。

Ciel
シエル

フガク内部から干渉してきた観測者…… それはレイさんではないですよね?

Ciel
シエル

であれば、タカマガハラシステムが感知した何者かによる ファントムフィールドということになるでしょうか。

Ciel
カガミ

うむ。私もそう思う。

Kagami
カガミ

そしてだからこそ、 大至急フガクへ帰還しなければならない……。

Kagami
カガミ

なにせ私たちがファントムフィールドにいるということは、 『観測者』による干渉は、起こったということだからな。

Kagami
カガミ

システムに侵入され、乗っ取られでもしたら、我々はフガクへ 帰還できなくなるどころか、存在の確立すら危うくなる。

Kagami
シエル

それは……本当に緊急事態ではないですか。

Ciel
カガミ

ぶっちゃけ、きょろきょろあちこち見て回って はしゃいでいる場合ではない。

Kagami
シエル

…………。

Ciel
カガミ

そんな目で見るな。しょうがないだろ。 こんな光景初めて見たんだ。

Kagami
カガミ

それよりだ。ここがファントムフィールドだとすると 困ったことになってるんだよなぁ。

Kagami
シエル

困ったこととは、なんですか?

Ciel
カガミ

いやね。私がここにいるってことは、 フガクには私がいないってことなんだよ。

Kagami
カガミ

ラーベもいない状況で、どうやってフガクと連携取って 帰還するっていうんだ。

Kagami
シエル

……帰還できないのですか?

Ciel
カガミ

うん。今んとこ。

Kagami
カガミ

フガク側は、タカマガハラシステムが自主的に動いてくれるか、 ココノエがどうにかしてくれるかすれば、希望はあるが……。

Kagami
カガミ

こっちにラーベがないのが痛い。 窯でもない限り、向こうがどう動こうとサルベージは難しいぞ。

Kagami
ラムダ

……ターター。

Lambda
カガミ

ターター? ここにいるのか?

Kagami
カガミ

おおお!?

Kagami
シエル

これは……辺りが激しく揺れています! レイさん、掴まっていてください。

Ciel
カガミ

お……おお……おおおおおお!!

Kagami
カガミ

すごい! これはすごいぞみんな! よく見ておけ、こんな現象、そうそう見られるもんじゃないぞ!

Kagami
シエル

か、カガミさん。 これは一体、なにが起こったのですか。

Ciel
シエル

さっきまで真っ白だったのに、 どんどん景色が出来上がっていきます……。

Ciel
カガミ

これが、観測者による世界構築だよ! 今まさにファントムフィールドが構築されているところだ。

Kagami

1: 観測者?
2: 世界構築?

1:
2:

カガミ

そう。ここはファントムフィールドだ。間違いなく。 しかも出来立てホヤホヤ。観測者が観測したばっかりの。

Kagami
カガミ

そう。観測者によってファントムフィールドが 具体的な世界として形を得ている、真っ最中!

Kagami
シエル

これが……。

Ciel
カガミ

普段レイたちが 浸入 (ダイブ) するファントムフィールドは、

Kagami
カガミ

どれも観測者によって世界が構築され、 観測された状態のものだろう? だがここは違う。

Kagami
カガミ

今まさにここで、世界が、 観測者の望みによって姿を変えている。

Kagami
カガミ

我々は観測者の出現とファントムフィールドの構築を 目の当たりにしているんだ!

Kagami
カガミ

くぅぅぅ、こんなときラーベがいてくれたら、 事細かに事象のデータを記録できたのに……もったいない!

Kagami
シエル

カガミさん、観測者の出現を目の当たりにしている、 とおっしゃっていましたが……。

Ciel
シエル

もしかして観測者が誰なのか、心当たりがあるのですか?

Ciel
カガミ

ああ。観測者は彼女――ラムダだ。

Kagami
シエル

……以前に階層都市で見た覚えのある景色です。 ここが、ラムダさんが観測した世界……なのですね。

Ciel
カガミ

そうだ。空間はラムダの意識に呼応して変化した。 間違いない。

Kagami
カガミ

景色と構造からして、階層都市だな。 ラムダにとって、馴染みのある光景なんだろうか。

Kagami
ラムダ

ターター……。

Lambda
シエル

あ、待ってくださいラムダさん。単独行動は……。

Ciel
カガミ

待て。このまま行かせよう。 私たちはついて行けばいい。

Kagami
カガミ

構築されたばかりの世界を、観測者がその目で見る。 しかも観測者は素体ときた。

Kagami
カガミ

これは実に貴重で、重要なサンプルになる。 経過をよく観察したい。

Kagami
シエル

タカマガハラシステムへの侵入の心配があるから、 緊急で帰還しなければと言っていました。

Ciel
カガミ

確かにそれは心配ごとではあるんだが、 観測者であるラムダに悪意や作為はなさそうだ。

Kagami
カガミ

しばらく泳がせて、 彼女の願望がどう世界に影響を与えるのか見てみよう。

Kagami
カガミ

ラムダの願望が果たされれば、 帰還できる手立てが生まれるかもしれないしな。

Kagami
シエル

……わかりました。

Ciel
シエル

ラムダさんの目的というと、 やはり『ターター』を見つけることなのでしょう。

Ciel
シエル

見失わないように、追いかけましょう。

Ciel
ラムダ

…………。

Lambda
カガミ

おー、街は細部まで観測されているな。 実際のどこかの町を模倣しているのかもしれない。

Kagami
シエル

ラムダさんは何を目指しているのでしょうか?

Ciel
カガミ

ターターを見つけようとしてるんじゃないのかな。

Kagami
シエル

しかし、その割には周囲の建物を覗こうともしません。

Ciel
カガミ

自分で作った世界だから、 いないとわかるのかもしれないね。

Kagami
シエル

なるほど。……だとしてもあの足取り。 目的地に向かって歩いているようには見えません。

Ciel
シエル

迷っている……あれではまるで迷子です。

Ciel
カガミ

あ、おい、シエル!?

Kagami
シエル

ラムダさん、どちらに向かわれているのですか?

Ciel
ラムダ

ターターの方……。

Lambda
シエル

ターターさんの場所はわかるのですか?

Ciel
ラムダ

……わからない。でも、探す。

Lambda

1: どうして探すの?
2: 見当とかついたりする?

1:
2:

ラムダ

……わからない。でも、見つける。

Lambda
ラムダ

見つければ、会えそうな気がする。

Lambda
シエル

会える……どなたにでしょうか?

Ciel
ラムダ

……わからない。 ……まだ、わからない。

Lambda
カガミ

(わからない、ねぇ……。本当に知らないのか、それとも 記憶に何者かが干渉、あるいは操作をしているのか?)

Kagami
カガミ

(だが、彼女はココノエが調整した素体だぞ。 その素体の記憶に干渉するなんて可能なのか?)

Kagami
カガミ

(……そんなことができるとしたら……)

Kagami
シエル

カガミさん、前方で戦闘反応を確認しました!

Ciel
カガミ

戦闘? もしかして人がいるのか?

Kagami
カガミ

人間まで具現化しているとは、すごいな! よし、見に行こう!

Kagami
シエル

あ、か、カガミさん、待ってください!

Ciel
シエル

……ラムダさん。お手数をおかけしてすみませんが、 カガミさんをひとりにしておけません。ご同行願えませんか。

Ciel
ラムダ

…………。

Lambda
ラムダ

……了解。

Lambda
???

う、ぐぅぅっ……!

???
???

あぁ〜ん、痛そう。こんなに血が出て……。 でもまだ足りないの。もっと……きて!

???
キイロ

体が熱くて仕方がないの。 早くちょうだい、ナオトくんの熱い想いを!

Kiiro
ナオト

っ、この、いい加減にしろって! 俺はてめぇと戦うつもりなんざねぇんだよ!

Naoto
キイロ

そんな寂しいこと言わないで……。

Kiiro
キイロ

私、ナオトくんとこうして、血みどろになるまで 戦いたくて仕方がなかったんだから。

Kiiro
キイロ

ここなら、誰も邪魔しない…… あの小生意気な吸血鬼もいない……。

Kiiro
キイロ

私とあなた、ふたりきりでいつまでも、 手を取り合って体をぶつけあって、乱れ合いましょう〜!

Kiiro
ナオト

お断りだって言ってんだろ!! そんなことよりここから出る方法を……。

Naoto
キイロ

素直じゃないナオトくん、素敵……ッ。 愛を重ねていく内に、素直になっていくの……さあ、早く!

Kiiro
ナオト

人聞きの悪い言い方するな! 世間ではな、戦うことを 愛を重ねるとは言わねぇんだよ!

Naoto
キイロ

あああ! また、こんなにも愛を浴びせられるなんて……! ナオトくんの真っ直ぐな愛に、私も応えないとッ!

Kiiro
ナオト

あーくそ、やりづれぇ! 戦っても逃げても面倒くせぇ! とりあえず落ち着けよ!?

Naoto
カガミ

…………。

Kagami
シエル

先程感知した戦闘の反応は、 あのおふたりのようです。

Ciel
カガミ

……お取込み中のようだから、遠慮するか。

Kagami
カガミ

せっかくの情報源ではあるが、致し方ない。 あんまり関わりたくない雰囲気。

Kagami
カガミ

……な。

Kagami
カガミ

これは見なかったことにしよう。 ふたりだけの世界にしておいてあげるのが、優しさだ。うん。

Kagami
ナオト

あ!!!

Naoto
ナオト

レイ! おい、レイたちじゃないか!

Naoto
シエル

捕捉されました。

Ciel
カガミ

ちっ……遅かった。 うかつに姿を見せるべきじゃなかったな……。

Kagami
ナオト

ちょうどいい、助けてくれ! こいつすごく面倒くさい!

Naoto
キイロ

よそ見はダーメ。私だけを見て。ね?

Kiiro
シエル

お待ちください。私たちのことがわかるのですか?

Ciel
ナオト

悲しいこと言うなよ、知ってるに決まってるじゃねぇか! シエルにレイだろ!?

Naoto
カガミ

ってことは……なぁんだ、異物か。

Kagami
カガミ

行こう。異物からこの世界についての情報が 引き出せるとは思えない。

Kagami
カガミ

一気に興味なくなっちゃった。

Kagami
ナオト

おいおいおい!? 何で行こうとしてるの!? 助けてくれって!

Naoto
カガミ

だって面倒くさそうなんだもん。

Kagami
カガミ

別にファントムフィールドで異物が殺し合ったところで、 本当に存在が消えるわけじゃないし。

Kagami
カガミ

せっかくだから、存分にやり合っていただいて……。

Kagami
キイロ

んふふ、言われなくてもそうするつもりよ。 私とナオトくんの濃密な時間を、邪魔しないでくれる?

Kiiro
ナオト

そんなこと言わないでくれ! なあ、レイ! お前は俺を見捨てないでくれるよな、な!

Naoto

1: 見捨てるのはかわいそう
2: キイロさん、もうその辺で……

1:
2:

ナオト

そうだろ!? お前ならそう言ってくれると思ってたよ。 持つべきものは人の心のある友人だぜ……。

Naoto
キイロ

え〜。まだ始めたばっかりよ〜。 いよいよこれから盛り上がるって雰囲気だったんだから。

Kiiro
キイロ

私からナオトくんを奪うつもりね。 人の念願の逢瀬を邪魔するなんて、許せないわ。

Kiiro
ナオト

俺はこの状況、念願じゃないのよ。

Naoto
キイロ

私、邪魔者は徹底的に排除する主義なの。 だから……相手が誰であろうと、そこにどんな正当性があろうと、

Kiiro
キイロ

邪魔するなら、殺すわ!!

Kiiro
カガミ

すっかりやる気になっちゃったじゃないか……。

Kagami
シエル

カガミさんは安全な場所にいてください。 シエル=サルファー、戦闘態勢に移行します!

Ciel
ラムダ

……対象を補足。 戦闘態勢へ移行。

Lambda

3節『行き止まり』/

Summary
ふいに世界が震え、改変が起こった。そして

現れた十三は、カガミとココノエへの不信を 語り、ラムダを止めるため剣を向ける。

ナオト

いやぁ〜〜〜……それにしても助かった。 ありがとうな、シエル、レイ。

Naoto
ナオト

それにカガミとラムダ、だな。 黒鉄ナオトだ、よろしく。

Naoto
カガミ

どうも、よろしく。

Kagami
ラムダ

…………。

Lambda
ラムダ

…………?

Lambda
ナオト

どうした?

Naoto
ラムダ

……詳細……不明。

Lambda
キイロ

ちょっとぉ、私のナオトくんに色目使わないでよね。

Kiiro
ナオト

色目なんか使ってないだろ。 あと誰がお前のだ。

Naoto
ナオト

んで……話を戻すけど。 ここの世界を作ったのが、このラムダだと。

Naoto
カガミ

そうだ。私たちは元の世界に戻るために、 その方法を探している。こちらの事情は今話した通り。

Kagami
カガミ

そちらの事情を聞いてもいいか?

Kagami
ナオト

ああ。……つっても、事情なんてろくにねぇよ。

Naoto
ナオト

気が付いたらあの街中に放り出されて、 気が付いたらキイロとばったり会って

Naoto
ナオト

そんであの状況だ。

Naoto
ナオト

お前たちが来てくれなかったら、どうなってたことか……。

Naoto
キイロ

あらぁん、悪いようにはしなかったわよ。 天国を見せてあげたわ。

Kiiro
ナオト

……そーですか。

Naoto
キイロ

それはそれとして……興味深い話ね。 観測者に、その観測者が構築する仮初の世界……なんて。

Kiiro
キイロ

あなたたちがどんな世界でどんな暮らしをしていたのか、 まったく想像できないけど……。

Kiiro
キイロ

そんな場へ自らの意思で潜り込むだなんて。 御剣機関は、タカマガハラシステムを完成させたみたいね。

Kiiro
カガミ

いや、完成はしていない。 詳細は説明できないがな。

Kagami
キイロ

いいわよ。私はタカマガハラシステムの開発とは、 それほど関わりがないし。

Kiiro
キイロ

聞いたところで 良い意味でも悪い意味でも活用しようがないから。

Kiiro
ナオト

なんの話だ?

Naoto
キイロ

秘密よ。大人の女の秘密。

Kiiro
ナオト

なにが大人の女だよ。

Naoto
ナオト

とりあえず、レイたちは 元の世界に帰るつもりなんだろ?

Naoto
ナオト

そのための方法を探してるって言うなら、俺も手伝うぜ。 そんで俺たちも、元の世界に帰らせてくれ。

Naoto
キイロ

あら、そんなことしなくても、 私とここで暮らせばいいじゃない。

Kiiro
キイロ

他に人がいないことがわかったんだし、 気兼ねなくふたりきりですごせるわ。

Kiiro
ナオト

俺は帰りたいの!

Naoto
ナオト

……でだ、帰るためには、その……ターター? ってのを探せばいいのか?

Naoto
カガミ

そうだな。現状、他に手がかりになる物がない。 それになにせ、彼女は観測者だ。

Kagami
カガミ

願望がターターを見つけることなら、それが叶ったとき、 ファントムフィールドに変化が生じるかもしれない。

Kagami
キイロ

ふーん……この子が観測者、ね。

Kiiro
ラムダ

…………。

Lambda
キイロ

あなた、素体ね。

Kiiro
キイロ

あら、なにかしら。 守るみたいに立ちはだかっちゃって。

Kiiro
シエル

御剣機関スレイプニール、シエル=サルファー。 私も素体です。

Ciel
キイロ

スレイプニール……。

Kiiro
シエル

はい。

Ciel
キイロ

ふうん……。

Kiiro
ナオト

……な、なんか緊張感ある空気だな。

Naoto
キイロ

前に私となにか、あったのね。

Kiiro
キイロ

きっと……ここではない別の『世界』で。

Kiiro
ナオト

おい、レイ。大丈夫なのか、あれ。 シエル、睨んでるぞ。

Naoto
カガミ

……珍しいな。 レイ以外のことでシエルが自発的に動くなんて。

Kagami
キイロ

ふふ。いいわ。 同じ御剣機関なんだし、気にしないでおいてあげる。

Kiiro
キイロ

それに、タカマガハラシステムがあるのなら、 確率事象 (コンティニュアムシフト) なんて珍しくもない。

Kiiro
キイロ

そうでしょう?

Kiiro
キイロ

……でも、あなたは違うみたいね。

Kiiro
ラムダ

…………。

Lambda
キイロ

私やシエルと、あなたは違う。 同じように素体だけど……。

Kiiro
キイロ

素体 (あなた) を『創造』のは誰?

Kiiro
ラムダ

私、は……。

Lambda
カガミ

おぉ!!

Kagami
シエル

レイさん、警戒してください。 私の側にいてください!

Ciel
ナオト

なんだこの音は!?

Naoto
カガミ

ファントムフィールドに異変が生じたんだ。 観測者の意識に引きずられて、世界が改変されたんだ。

Kagami
カガミ

ああ、見ようと思って見られる現象じゃないぞぉ……っ。 私はなんて幸運なんだ。ラーベがいないのがつくづく惜しい!

Kagami
ナオト

何で喜んでるんだよこの人!

Naoto
ナオト

場所が、変わった……?

Naoto
キイロ

……何が起きたのかしら。

Kiiro
カガミ

これが世界の改変だ。 様相が変わった。この姿を今のラムダが望んだんだ。

Kagami
カガミ

いやぁ……すごいなぁ。 本当に世界変わっちゃうんだもんなぁ。

Kagami
ラムダ

…………。

Lambda
シエル

ラムダさん。あの門をご存じなんですか? 待ってください、正面に誰かいます。

Ciel
ラムダ

…………。

Lambda
シエル

あ……あなたは……。

Ciel
十三

…………。

Juusan
十三

はぁ……。 これ、あんたのせい?

Juusan

1: 君は……
2: 覚えてるの?

1:
2:

ナオト

……知り合いか?

Naoto
キイロ

ナオトくんみたいな例もあるし、その可能性もあるわね。

Kiiro
十三

当たり前。あんたみたいなの、忘れるわけないから。

Juusan
カガミ

十三、だったか。

Kagami
十三

……そう。 あんたは……レイとシエルの上司だな。

Juusan
十三

それと、あんた……。

Juusan
ナオト

ん? え、俺?

Naoto
十三

あんたはいつも違う女を連れてるね。

Juusan
ナオト

なっ……お、おい、人聞きの悪い言い方するなよ! って……俺のこと知ってるの?

Naoto
十三

まあね。

Juusan
キイロ

……また素体。

Kiiro
十三

……なに? じろじろ見て。

Juusan
キイロ

別に。ただ、私のナオトくんに気安く話しかけないでくれる?

Kiiro
十三

私が誰に話しかけようと、私の勝手でしょ。

Juusan
キイロ

…………。

Kiiro
十三

……フン。

Juusan
十三

それより、アンタ。 なにやってんの……こんなところで。

Juusan
ラムダ

……ターターを探している。

Lambda
ラムダ

……なに。邪魔しないで。

Lambda
十三

邪魔? この程度で?

Juusan
カガミ

そうだぞ、邪魔しないでほしいね。 じゃないと我々は帰還出来ないじゃないか。

Kagami
十三

戯言を言う……。

Juusan
シエル

十三さんの攻撃反応が上昇しています。 レイさんカガミさん、私の後ろに。

Ciel
カガミ

さすがシエル。すかさず防衛行動に入ってくれる。 優秀な部下だ。

Kagami

1: 十三、落ち着いて
2: こっちに戦う気はないよ

1:
2:

十三

そっちに戦う気はない? そうかもね。 でも、馬鹿にはされている。

Juusan
十三

身内をダシに使われて黙っていられるほど、 私は優しくない。

Juusan
ナオト

……ダシ?

Naoto
カガミ

……んー。

Kagami
十三

誤魔化そうとしないで。

Juusan
十三

こんなファントムフィールドから、 出ようと思えばすぐにでも出られるくせに。

Juusan
シエル

……それは、本当ですか、カガミさん?

Ciel
カガミ

えーっと、それは……まあ……。

Kagami
キイロ

ちょっと、あなた、私たちのこと騙してたの!?

Kiiro
十三

はぁ……。

Juusan
十三

このファントムフィールドの観測者はラムダだ。 確かにこの世界の全ては、ラムダが観測してる。

Juusan
十三

だけどそのラムダを観測してるのは、ココノエだ。 そっちにいるんだろ、ココノエ。

Juusan
カガミ

…………。

Kagami
シエル

はい。いらっしゃいます。 ラムダさんはココノエさんの部下だと伺っています。

Ciel
十三

観測者であるラムダを、そうじゃなくすることくらい、 ココノエにならできる。

Juusan
十三

それはアンタだって知ってたはずだろ。 『カガミさん』?

Juusan
十三

いや、もっと直接言ったほうがいいかな。 どうせ聞いてるんだろ、ココノエ。

Juusan
ココノエ

まさかこうもあっさり見抜かれるとはな。 しかもお前に。

Kokonoe
ココノエ

ずいぶん『変わった』じゃないか。

Kokonoe
十三

知った口を利かないで。

Juusan
ラーベ

やれやれ。計画はここまでか。

Raabe
シエル

ラーベさん!?

Ciel

1: いないはずじゃ……!
2: ずっといたの!?

1:
2:

ラーベ

これが全部仕組まれたものだったとしたら、 私がいないのは逆におかしいだろ。

Raabe
ラーベ

やー、シエルの索敵から隠れてなきゃならないから、 緊張したよ〜。

Raabe
シエル

ど……どういうことなんですか? 説明を求めます、カガミさん!

Ciel
カガミ

あー、んっとね。

Kagami
カガミ

最初の最初、ラムダが偶発的にファントムフィールドを 構築したところまでは、思いがけないハプニングだったんだぞ。

Kagami
カガミ

ただまあ……偶発的に生まれたとはいえ、 ファントムフィールドの発生、観測、構築、そして最終的には収束。

Kagami
カガミ

その一通りの流れを観察できる、 またとない機会だったし……。

Kagami
カガミ

もしかしたら、この特異に発生したファントムフィールドに 興味を持って、バベルが動きを見せるかもしれないなぁ……と。

Kagami
ココノエ

実際ファントムフィールドに入ったらどんな感じだろうとか、 そういう状況に対してラムダの反応はどうだろうとか……。

Kokonoe
ココノエ

興味のある項目が目白押しだったもんでな。 しばらくデータを取らせてもらった。

Kokonoe
ナオト

な……なんだそれ! じゃあ俺やキイロはその好奇心の実験に巻き込まれたってことか!?

Naoto
ラーベ

そうなるね。

Raabe
ナオト

お前らなぁ!

Naoto
キイロ

ふぅ。さすが、御剣機関ってところね。 らしいやり方。

Kiiro
シエル

……カガミさん。

Ciel
シエル

私はともかく、場合によっては、レイさんを 無用な危険にさらすことになっていたかもしれません。

Ciel
シエル

こういうのは、困ります。

Ciel
カガミ

うっ……普通にシエルに怒られた……。

Kagami
カガミ

……すいません。

Kagami
ラムダ

……ターター。 どこ……? ここに……いる……?

Lambda
十三

『それ』を探すな。

Juusan
ラムダ

……なぜ?

Lambda
十三

それは『見つけてはいけない』ものだ。

Juusan
ラムダ

…………。

Lambda
十三

行くなってば!

Juusan
ラムダ

邪魔をしないで。 『ニュー』。

Lambda
十三

悪いけど、それはできない。 私はなにがなんでも邪魔をするよ。

Juusan
十三

……それと、私の名前は『十三』。 間違えないで。

Juusan
ナオト

お、おい、あいつら雰囲気やべぇぞ! 止めなくていいのか!?

Naoto
シエル

十三さんとラムダさんの戦闘レベルが急上昇しています! 止めましょう、レイさん!

Ciel
キイロ

しょうがないわね。 世話の焼けるお人形さんたちだこと。

Kiiro
ラムダ

……どうなっても知らないから。

Lambda
十三

あんたがただのわからず屋だってこと、教えてあげる!

Juusan

エピローグ /

Summary
ラムダの意識が途切れ、世界の崩壊と共に実

験は終了。カガミは今回の騒動を謝罪するが ……その真意は、未だ隠されたままだった。

ナオト

うおっ、な、なんだ? 周りの景色が歪んで……。

Naoto
キイロ

きゃぁ〜ん、ナオトくん、こわ〜い。

Kiiro
ナオト

嘘をつけ、嘘を! あとお前はもうちょっと危機感を持ってくれ!

Naoto
シエル

これは一体……? また世界が改変されようとしているのでしょうか?

Ciel
ラーベ

いや。これは……。

Raabe
ラムダ

…………。

Lambda
十三

ラムダ……!

Juusan
十三

……意識が途切れたみたい。 元々、この子に観測者やらせようなんて、無理があったんだよ。

Juusan
ラーベ

みたいだな。そもそも小規模で不安定だった ファントムフィールドが、崩壊していく。

Raabe
カガミ

その崩壊を引き起こしたのは、そこにいる十三だ。 すごい性能だな……。

Kagami
十三

うるさい。

Juusan
十三

……今回は見逃してあげる。だけど次にこの子を利用したら、 許さないから。特にそこの化け猫。

Juusan
ココノエ

ほう? 許さなかったらどうするつもりだ?

Kokonoe
カガミ

私も少々興味があるぞ。

Kagami

1: 約束するよ、十三
2: ラムダを守るよ

1:
2:

十三

……他の誰が言っても信じられないけど、 アンタが言うなら信じておくよ。一応ね。

Juusan
十三

……そうして。この子は私にとって……特別なの。 アンタを信用して、託すから。

Juusan
ラムダ

…………。

Lambda
シエル

十三さん。すみませんでした。

Ciel
十三

アンタのせいじゃないってことは、間違いないでしょ。 組織に従属する素体なんだから。

Juusan
十三

……でも、アンタも気を付けな。

Juusan
十三

カガミやココノエみたいな連中は、 結局頭の中でどんなこと考えてるのかわからない。

Juusan
シエル

…………。

Ciel
十三

ここはもう消えてなくなる。 帰るならさっさと帰りな。

Juusan
十三

私も行くから。 ……じゃあね。

Juusan
シエル

十三さん……。

Ciel
ナオト

……んで? 俺たちは元の世界に戻してもらえるんだろうな?

Naoto
カガミ

ああ。まさか異物を巻き込むとは思わなくてな。

Kagami
カガミ

これでファントムフィールドは崩壊、 状況としては窯を破壊したときと同じになる。

Kagami
カガミ

自動的に、お前たちは元の世界に戻されるだろう。

Kagami
ナオト

ったく。とんだ目にあったぜ……。

Naoto
キイロ

私はまあまあ楽しかったけど。

Kiiro
ラーベ

我々も帰還しよう。フガクとの接続が完了した。

Raabe
ラーベ

……シエル?

Raabe
シエル

あ……はい。帰還します。

Ciel
カガミ

待て、落ち着けレイ! そんなに怒ることはないだろう!?

Kagami
カガミ

確かにラムダを利用する形にはなったが、ちゃんと安全にも 考慮していた。実際無事だったじゃないか!

Kagami
TB

やれやれ、騒がしいなぁ。ケンカなら他所でやってよね。

TB
TC

イエス。 フガクスタッフの精神的ストレス値が上昇しています。

TC
TA

フガクの状態は安定している。 引き続き、我々は境界内の観測を続ける。

'Ta
カガミ

ああっ、タカマガハラ! お前たち、私を見なかったことにするんじゃない!

Kagami
ココノエ

ふむ……ラムダの様子が気になるな。 入念なチェックをしてくる。

Kokonoe
カガミ

おいココノエ! ひとりで逃げるな!

Kagami
ココノエ

逃げる? 人聞きの悪い。戦闘で負傷したラムダの 心配をするのは当たり前のことだろう?

Kokonoe
ココノエ

テイガー、手伝ってくれ。

Kokonoe
テイガー

……あとで状況を詳しく聞かせてくれ。 なにが起こったのかさっぱりわからん。

Tager
カガミ

くそっ……ひとりにされた……!

Kagami
シエル

…………。

Ciel
カガミ

うう、シエルまで厳しい目を私に向ける……。

Kagami
カガミ

だ、だがな、これもファントムフィールドや 観測者の仕組みについて調べる、重要な調査なんだ。

Kagami
カガミ

今回とれたデータは、非常に有益なものだ。 今後の私たちの活動に、大いに役に立つ!

Kagami

1: 仲間を利用するのはやめて
2: 今度はちゃんと話して

1:
2:

カガミ

……わかったよ。悪かった。 結果的に、戦闘行為も発生したわけだしな。

Kagami
カガミ

……わかった、悪かった。 実際、お前たちのことも利用していたわけだしな。

Kagami
カガミ

この流れで私が言うのもおかしな話だが。 一応、今回も浸入 (ダイブ) ではあった。

Kagami
カガミ

シエル、レイのメディカルチェックを頼む。

Kagami
シエル

……はい。わかりました。 行きましょう、レイさん。

Ciel
シエル

……今回の浸入 (ダイブ) は大変でした。 レイさんも、苦労したと思います。

Ciel
シエル

ラムダさんに何事もなければいいのですが……。

Ciel
シエル

……ところで……『ターター』というのは、 結局なんだったのでしょうね。

Ciel
シエル

できれば、見つけてあげたかったです。 ラムダさん、とても真剣に探していましたから。

Ciel
シエル

……ひとつ、聞いてもいいですか?

Ciel
シエル

先ほど、レイさんはラムダさんのことで、 カガミさんにとても怒っておられました。

Ciel
シエル

それは、ラムダさんのことが……。

Ciel
シエル

……ええと……。

Ciel
シエル

すみません。なにか胸のあたりがもやもやとしたのですが、 それがなんなのかわからなくて……。

Ciel
シエル

言葉にできなくなってしまいました。

Ciel
シエル

もう少し整理してから、質問します。

Ciel
シエル

失礼しました。メディカルチェックを行いましょう。 終わったら、食事をとりましょうね。

Ciel
TB

……いい観測ができたね。

TB
カガミ

結果はどうだった? 予想を超える数字だったか?

Kagami
TC

イエス。 ――の存在損失率は0.002%です。

TC
TB

すごいじゃないか。これは驚くべきことだよ。

TB
TA

類似する過去のデータは、 シミュレーションで提示した通りだ。

'Ta
カガミ

ふふ…… 本当に……本当にすごいよ、レイは。

Kagami
カガミ

今思い出しても身震いする。観測者にあれほどの 『怒り』を向けられるというのは、本当に……。

Kagami
カガミ

そうだな。さっきの私なら、 あのココノエにも勝てそうじゃないか。

Kagami
カガミ

……うん。興味深いことだ。

Kagami