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Prologue | one emerging possibility |
Main Story | Prologue · Chapter 1 · Chapter 2 · Chapter 3 · Chapter 4 · Chapter 5 |
Events | |
Character Stories (Unused Content) |
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プロローグ/
Summary | |
---|---|
フガクの自室で休んでいるとノックの音。訪
れたのはラムダで、彼女は『ターター』とい う名前のなにかを探しているのだと言った。 |
カガミ
なるほど。報告ありがとう。
今回の |
Kagami |
シエル
はい。 以上が今回のファントムフィールドの詳細です。 |
Ciel |
カガミ
レイからはなにか、付け足しはある? |
Kagami |
カガミ
おっけー。それじゃあお疲れ様、これで報告はおしまい。
次の |
Kagami |
シエル
了解です。 では、失礼します。 |
Ciel |
シエル
レイさん、ミーティングお疲れ様でした。 |
Ciel |
シエル
帰還後のメディカルチェックでは、 特に異常はなかったと聞いています。 |
Ciel |
シエル
ですがまだ戻ったばかりですし、 心身に疲労やストレス等の負荷がかかっているかと思います。 |
Ciel |
シエル
次の任務までは、ゆっくり休んでください。 |
Ciel |
シエル
では、私はメンテナンスがありますので、 これで失礼します。 |
Ciel |
ラムダ
レイ……確認。 |
Lambda |
ラムダ
…………。 |
Lambda |
ラムダ
…………。 |
Lambda |
ラムダ
…………。 |
Lambda |
1: こんにちは |
1: |
ラムダ
ターター、探してる……。 |
Lambda |
1: ターター? |
1: |
ラムダ
……ターターは、ターター。 それ以外は……わからない。 |
Lambda |
ラムダ
…………。 |
Lambda |
シエル
レイさん、よろしいでしょうか。 渡し忘れていたものが……。 |
Ciel |
シエル
あれ。ラムダさん。 こんにちは。 |
Ciel |
ラムダ
シエル。 |
Lambda |
シエル
レイさんに用事ですか? お邪魔でしたら、私は席を外します。 |
Ciel |
ラムダ
ターター……探してる。 |
Lambda |
シエル
ターター……? それはどういったものでしょうか? |
Ciel |
ラムダ
……わからない。 |
Lambda |
シエル
……ターターと呼称される、詳細不明の物を探している。 ということですか? |
Ciel |
ラムダ
そう。 |
Lambda |
シエル
それでレイさんを頼っていらしたのですね。 |
Ciel |
シエル
その『ターター』という名称は、 どこで知ったのですか? |
Ciel |
ラムダ
……わからない。 でも、ターター、探してる……。 |
Lambda |
シエル
本当に、名称以外は不明なのですね……。 |
Ciel |
シエル
これだけの手がかりで該当のものに行き着くのは、 かなり困難です。 |
Ciel |
シエル
レイさん、心当たりはありますか? |
Ciel |
シエル
そうですか……私もありません。 困りましたね。 |
Ciel |
シエル
探しているということは、ターターというものは ラムダさんにとって重要なものなのでしょうが……。 |
Ciel |
シエル
そうだ、ラムダさん。 なんのために探しているのかは、わかりますか? |
Ciel |
ラムダ
わからない……。 |
Lambda |
シエル
うーん。 |
Ciel |
シエル
この場で解決を図ることは難しいと判断します。 レイさん。カガミさんに相談してみませんか? |
Ciel |
1: 博識だもんね、なにか知ってるかも |
1: |
シエル
はい。そう思います。 では、行きましょう。ラムダさんもご一緒に。 |
Ciel |
ラムダ
……うん。 |
Lambda |
第1節『事変』/
Summary | |
---|---|
指令室を訪れ、カガミとココノエに相談する
が、その最中に響く警報。タカマガハラは観 測者の干渉を警告し、視界が歪んでいく。 |
ココノエ
わからん奴だな。 どう考えてもつけたほうがいいだろうが。 |
Kokonoe |
カガミ
わからんのはそっちだろうが。不要ったら不要だ! そんな余計な機能を追加する余裕は、フガクにはない。 |
Kagami |
カガミ
第一そんなコスパの悪いもの、 出力不足になるのは目に見えてるだろうが。 |
Kagami |
ココノエ
出力だ? そんなもの、増やせばいいだろうが。 なんなら私が現状の倍は出るようにしてやるぞ。 |
Kokonoe |
カガミ
いりませんー。 出力を倍にするだけなら私でもできるわ。 |
Kagami |
カガミ
問題はそれを境界という不安定極まりない空間で維持するのに、 どれだけのコストをかけるつもりだってところだ。 |
Kagami |
カガミ
こちとらなにもかも自給自足のカツカツ運営なんだ。 物資も人手も贅沢に使えると思うなよ。 |
Kagami |
カガミ
いやそもそも! 不必要な機能をつけるつもりはない! |
Kagami |
ココノエ
頑固者め。貴様、それでも科学者か? |
Kokonoe |
カガミ
科学者だが、 同時に大勢のスタッフを抱える責任者でもあるんでね。 |
Kagami |
カガミ
有益な機能ならまだしも、 お前のロマンに付き合ってたまるか。 |
Kagami |
ココノエ
ロマンだけのものだと思ってもらっては困るな。 実用性も十分ある。 |
Kokonoe |
カガミ
ほーお、どんな実用性だ? 聞かせてもらおうじゃないか。 |
Kagami |
TB
あー、ちょっとちょっと。 盛り上がってるところ悪いんだけどさ。 |
TB |
カガミ
なんだ? まさかお前たちまで無駄機能に賛成だなんて 言わないよな? |
Kagami |
TB
いや、そういうのはどうでもいいよ。 そっちで好きにして。 |
TB |
TB
それより、お抱えのスタッフメンバーの一部が困ってるけど、 放っておいていいのかい? |
TB |
カガミ
うん? |
Kagami |
シエル
……お取込み中、失礼します。 |
Ciel |
カガミ
おお、シエルにレイに、ラムダじゃないか。 急にいるからびっくりしたぞ。 |
Kagami |
ココノエ
さっきからずっといたぞ。 知っててスルーしているのかと思ってたんだが。 |
Kokonoe |
カガミ
私はそんなに性悪じゃな〜〜〜い! |
Kagami |
カガミ
そうだ、ちょうどいいところに現れた。 シエル、レイ〜! 聞いてくれ〜。 |
Kagami |
カガミ
ココノエがフガクを改造するって言って聞かないんだ。 お前たちからもなんとか言ってやってくれないか。 |
Kagami |
シエル
改造、ですか? どのような改造ですか? |
Ciel |
カガミ
変形機能だ。 |
Kagami |
ココノエ
ロマンだろ? |
Kokonoe |
カガミ
だから、お前のロマンに付き合うつもりはない! |
Kagami |
ココノエ
まあ待て、実用性の話だ。この先、敵対組織とした バベルがどんな攻撃をこちらに仕掛けてくるかわからない。 |
Kokonoe |
ココノエ
もしかしたら、これまでのようにファントムフィールド内に 留まらず、境界内でも仕掛けてくるかもしれないだろう? |
Kokonoe |
シエル
それは、思ってもみませんでした。 確かにバベルならば、可能なことかもしれませんね。 |
Ciel |
ココノエ
そんなとき活躍するのが、この変形機能だ。 |
Kokonoe |
ココノエ
バベルがたとえ巨大ロボを戦力として投入してきても、 変形して巨人が如き姿と化したフガクならば対応可能! |
Kokonoe |
ココノエ
さらに変形後の胸部にあたる部分には、魔素を充填して 発射する魔素ブラスター、両手には反重力パンチを搭載! |
Kokonoe |
ココノエ
最終的には付属パーツを開発して、強化合体を……。 |
Kokonoe |
カガミ
却下!!! |
Kagami |
ココノエ
なんだ。パンチじゃなくてドリルのほうが好みか? |
Kokonoe |
カガミ
んなこと言ってないだろうが!! とにかく変形却下! ブラスターもいらん! |
Kagami |
カガミ
フガクは現状で完璧に美しい! ロボット変形はよそでやれ! |
Kagami |
ココノエ
ちぇ。つまらん。 |
Kokonoe |
カガミ
フガクをおもちゃにするなぁ! |
Kagami |
カガミ
ぜぇ、はぁ……というわけでな。 ちょっと揉めてた。 |
Kagami |
1: お疲れ様です…… |
1: |
ココノエ
うむ。 まったく、感性の違う相手と話すのは骨が折れる。 |
Kokonoe |
カガミ
こっちの台詞なんだよなぁ! |
Kagami |
ココノエ
フフ、そうだろう? |
Kokonoe |
カガミ
やめてくれレイ。冗談でも本気にするぞ、今のこいつは。 そして冗談じゃないなら勘弁してくれ。 |
Kagami |
カガミ
それで? お前たちはなんの用だったんだ? |
Kagami |
シエル
あ、はい。カガミさんに伺いたいことがあります。 『ターター』と呼称されるモノをご存じでしょうか? |
Ciel |
ココノエ
……ターター? |
Kokonoe |
シエル
ラムダさんが、探しているそうなのです。 |
Ciel |
シエル
ですが私もレイさんにも心当たりはなく、 カガミさんならなにか知っているかもしれないと思って来ました。 |
Ciel |
シエル
いかがでしょうか? |
Ciel |
カガミ
んー? ターターねぇ……ピンとこないが……。 もうちょっと詳しい話を聞かせてもらえないか? |
Kagami |
シエル
それが、ラムダさんも名称しかわからないそうです。 |
Ciel |
シエル
ですがラムダさんの様子からして、とても重大なことのよう なので、できればお力になりたいと思っています。 |
Ciel |
カガミ
そりゃ、私だって力にはなってやりたいが…… わかってるのは名前だけ? 形状や大きさも不明か。 |
Kagami |
シエル
はい。 |
Ciel |
カガミ
なのにラムダはそれを探していると。 |
Kagami |
シエル
はい、そうです。 |
Ciel |
カガミ
……いや……ターター……。 聞いたことないなぁ。誰かの名前か? |
Kagami |
カガミ
ココノエ。お前の部下だろう? なにか知ってるんじゃないのか? |
Kagami |
ココノエ
さあな。私にもよくわからん。 |
Kokonoe |
カガミ
ラムダ。『ターター』というものに関して、 知っている情報を全て開示してくれ。 |
Kagami |
ラムダ
…………。 |
Lambda |
ラムダ
ターターは……軟体動物門腹足網……。 |
Lambda |
カガミ
新しい情報が出てきたな。 軟体動物門腹足網? |
Kagami |
シエル
軟体動物門腹足網。 軟体動物門に属する分類群の名称です。 |
Ciel |
シエル
腹足綱と呼ばれる種類は、 軟体動物の中ではもっとも多いそうです。 |
Ciel |
カガミ
巻貝やウミウシのようなもの……だな? |
Kagami |
ココノエ
そのようだな。 |
Kokonoe |
カガミ
ラムダはそういう生物の飼育経験があるのか? |
Kagami |
ココノエ
いや、ない。 私の知る限りではな。 |
Kokonoe |
カガミ
お前の知らないラムダの情報が存在するのか? |
Kagami |
ココノエ
基本的には『ない』な。 |
Kokonoe |
ココノエ
だが今の世界はこんな有様だ。 どんなイレギュラーでも、発生の可能性はある。 |
Kokonoe |
カガミ
まあ、そうだが。 |
Kagami |
カガミ
しかし、ウミウシなぁ。少なくともこの船に そういう生物は積んでいないはずなんだが……。 |
Kagami |
シエル
では、ラムダさんの言うターターとは一体何なのでしょうか? |
Ciel |
カガミ
わからん。 ラムダ、他には情報はないか? |
Kagami |
カガミ
どこで見たとか、どこにありそうとか……。 |
Kagami |
ラムダ
ターター…… 探さないと……。 |
Lambda |
カガミ
うわっ!? どうした、状況を報告! |
Kagami |
TA
タカマガハラシステムへの干渉を確認した。 |
'Ta |
シエル
か…干渉ですか!? |
Ciel |
カガミ
セキュリティレベルを最大に引き上げろ! 同時に干渉元を逆探知! シエルはレイを! |
Kagami |
シエル
了解です! レイさん、側を離れないでください。 |
Ciel |
カガミ
まさかバベルか……? |
Kagami |
ココノエ
その可能性は高いだろうな。 |
Kokonoe |
ココノエ
しかし、ずいぶんとザルだな、フガクの防壁は。 変形よりも先に、防御システムに手を入れたほうがいいかもしれん。 |
Kokonoe |
カガミ
それは多少同感だが、勝手にいじるんじゃないぞ! この状況が落ち着いてから相談しようじゃないか。 |
Kagami |
ココノエ
いいだろう。 |
Kokonoe |
カガミ
タカマガハラ、干渉はどうなった? |
Kagami |
TA
セキュリティレベルの上昇により、 システムへの侵食は減速した。 |
'Ta |
ココノエ
なら今のうちに手を打つか。 まずは相手の解析を……。 |
Kokonoe |
TB
探知の結果が出たよ。 干渉はフガク内部からだね。 |
TB |
カガミ
な…内部だと!? |
Kagami |
ココノエ
……私じゃないぞ。 |
Kokonoe |
TA
観測者の存在を確認。 |
'Ta |
カガミ
は? 観測者ッ!? |
Kagami |
2節『構築される世界』/
Summary | |
---|---|
シエルたちは構築途中の世界に浸入してしま
う。脱出の方法を探るが、その途上でキイロ とナオトの戦いに巻き込まれるのだった。 |
シエル
レイさん、気が付かれましたか。 |
Ciel |
1: ……ここは? |
1: |
ラムダ
わからない……。 ターターは……どこ……? |
Lambda |
シエル
ラムダさんの言葉の通り、現在地は不明です。 どういう環境なのかも、測定できません。 |
Ciel |
シエル
はい。ですが霧やもやのようなものではないようです。 壁や床といった様子でもありません。 |
Ciel |
シエル
ここは一体……どこなのでしょう? |
Ciel |
シエル
フガクの反応はありません。ラーベさんやカガミさんへの 通信を試みましたが、こちらも反応はありませんでした。 |
Ciel |
シエル
加えて、周囲のスキャンを行いましたが、場所不明、 周囲の形状も不明。さらに私たち以外の生体反応もありません。 |
Ciel |
シエル
見た目の通り、何もない世界です。 ……ですが……何故か落ち着きます。 |
Ciel |
シエル
何もない世界なのに、どうしてでしょう……? |
Ciel |
シエル
ここでじっとしていても、事態の解決にはつながらないでしょう。 辺りの調査を提案します。 |
Ciel |
シエル
とはいえ、近くにはなにもありませんし……。 調査するといってもどの方角に向かえばいいのか……。 |
Ciel |
???
ぬわーーーーーーーーーーー! |
??? |
1: うわ、びっくりした |
1: |
カガミ
びっくりしただと? びっくりしてるのはこっちか!? こっちだな!? |
Kagami |
カガミ
おう、そうだ、カガミさんだ。 私の名前は破城カガミ。合ってるよな? |
Kagami |
カガミ
いやそんなことよりもだ。 な、な、なん、なんだ、なんなんだここは!? |
Kagami |
カガミ
白い! 右も左も真っ白だ。 いやもうこうなるとどっちが右でどっちが左なんだか……。 |
Kagami |
シエル
カガミさん、しっかりしてください。 場所がどこであれ、左右は同じです。 |
Ciel |
カガミ
これはあれだな。あれだろう。間違いなく。 |
Kagami |
カガミ
緊急事態だな! |
Kagami |
シエル
は、はい。そう思いますが……なぜ嬉しそうなのですか? |
Ciel |
シエル
カガミさんは、混乱されているのでしょうか。 |
Ciel |
シエル
……確かに。言われてみればカガミさんとしては 正常な反応のようにも思います。 |
Ciel |
カガミ
すごいぞ! 白い! なにもない! ゆえになにもわからない! |
Kagami |
カガミ
うひょーーーー、これはわくわくするぅ!! ちょっとその辺見てこよう、な! |
Kagami |
カガミ
ふーむ、状況と周囲の様子、 それに現状で測定できる全ての反応を合わせて判断するに……。 |
Kagami |
カガミ
ここはファントムフィールドだな。 |
Kagami |
シエル
この不思議な空間に転移する前に、 タカマガハラシステムが観測者の存在を感知していました。 |
Ciel |
シエル
フガク内部から干渉してきた観測者…… それはレイさんではないですよね? |
Ciel |
シエル
であれば、タカマガハラシステムが感知した何者かによる ファントムフィールドということになるでしょうか。 |
Ciel |
カガミ
うむ。私もそう思う。 |
Kagami |
カガミ
そしてだからこそ、 大至急フガクへ帰還しなければならない……。 |
Kagami |
カガミ
なにせ私たちがファントムフィールドにいるということは、 『観測者』による干渉は、起こったということだからな。 |
Kagami |
カガミ
システムに侵入され、乗っ取られでもしたら、我々はフガクへ 帰還できなくなるどころか、存在の確立すら危うくなる。 |
Kagami |
シエル
それは……本当に緊急事態ではないですか。 |
Ciel |
カガミ
ぶっちゃけ、きょろきょろあちこち見て回って はしゃいでいる場合ではない。 |
Kagami |
シエル
…………。 |
Ciel |
カガミ
そんな目で見るな。しょうがないだろ。 こんな光景初めて見たんだ。 |
Kagami |
カガミ
それよりだ。ここがファントムフィールドだとすると 困ったことになってるんだよなぁ。 |
Kagami |
シエル
困ったこととは、なんですか? |
Ciel |
カガミ
いやね。私がここにいるってことは、 フガクには私がいないってことなんだよ。 |
Kagami |
カガミ
ラーベもいない状況で、どうやってフガクと連携取って 帰還するっていうんだ。 |
Kagami |
シエル
……帰還できないのですか? |
Ciel |
カガミ
うん。今んとこ。 |
Kagami |
カガミ
フガク側は、タカマガハラシステムが自主的に動いてくれるか、 ココノエがどうにかしてくれるかすれば、希望はあるが……。 |
Kagami |
カガミ
こっちにラーベがないのが痛い。 窯でもない限り、向こうがどう動こうとサルベージは難しいぞ。 |
Kagami |
ラムダ
……ターター。 |
Lambda |
カガミ
ターター? ここにいるのか? |
Kagami |
カガミ
おおお!? |
Kagami |
シエル
これは……辺りが激しく揺れています! レイさん、掴まっていてください。 |
Ciel |
カガミ
お……おお……おおおおおお!! |
Kagami |
カガミ
すごい! これはすごいぞみんな! よく見ておけ、こんな現象、そうそう見られるもんじゃないぞ! |
Kagami |
シエル
か、カガミさん。 これは一体、なにが起こったのですか。 |
Ciel |
シエル
さっきまで真っ白だったのに、 どんどん景色が出来上がっていきます……。 |
Ciel |
カガミ
これが、観測者による世界構築だよ! 今まさにファントムフィールドが構築されているところだ。 |
Kagami |
1: 観測者? |
1: |
カガミ
そう。ここはファントムフィールドだ。間違いなく。 しかも出来立てホヤホヤ。観測者が観測したばっかりの。 |
Kagami |
カガミ
そう。観測者によってファントムフィールドが 具体的な世界として形を得ている、真っ最中! |
Kagami |
シエル
これが……。 |
Ciel |
カガミ
普段レイたちが
|
Kagami |
カガミ
どれも観測者によって世界が構築され、 観測された状態のものだろう? だがここは違う。 |
Kagami |
カガミ
今まさにここで、世界が、 観測者の望みによって姿を変えている。 |
Kagami |
カガミ
我々は観測者の出現とファントムフィールドの構築を 目の当たりにしているんだ! |
Kagami |
カガミ
くぅぅぅ、こんなときラーベがいてくれたら、 事細かに事象のデータを記録できたのに……もったいない! |
Kagami |
シエル
カガミさん、観測者の出現を目の当たりにしている、 とおっしゃっていましたが……。 |
Ciel |
シエル
もしかして観測者が誰なのか、心当たりがあるのですか? |
Ciel |
カガミ
ああ。観測者は彼女――ラムダだ。 |
Kagami |
シエル
……以前に階層都市で見た覚えのある景色です。 ここが、ラムダさんが観測した世界……なのですね。 |
Ciel |
カガミ
そうだ。空間はラムダの意識に呼応して変化した。 間違いない。 |
Kagami |
カガミ
景色と構造からして、階層都市だな。 ラムダにとって、馴染みのある光景なんだろうか。 |
Kagami |
ラムダ
ターター……。 |
Lambda |
シエル
あ、待ってくださいラムダさん。単独行動は……。 |
Ciel |
カガミ
待て。このまま行かせよう。 私たちはついて行けばいい。 |
Kagami |
カガミ
構築されたばかりの世界を、観測者がその目で見る。 しかも観測者は素体ときた。 |
Kagami |
カガミ
これは実に貴重で、重要なサンプルになる。 経過をよく観察したい。 |
Kagami |
シエル
タカマガハラシステムへの侵入の心配があるから、 緊急で帰還しなければと言っていました。 |
Ciel |
カガミ
確かにそれは心配ごとではあるんだが、 観測者であるラムダに悪意や作為はなさそうだ。 |
Kagami |
カガミ
しばらく泳がせて、 彼女の願望がどう世界に影響を与えるのか見てみよう。 |
Kagami |
カガミ
ラムダの願望が果たされれば、 帰還できる手立てが生まれるかもしれないしな。 |
Kagami |
シエル
……わかりました。 |
Ciel |
シエル
ラムダさんの目的というと、 やはり『ターター』を見つけることなのでしょう。 |
Ciel |
シエル
見失わないように、追いかけましょう。 |
Ciel |
ラムダ
…………。 |
Lambda |
カガミ
おー、街は細部まで観測されているな。 実際のどこかの町を模倣しているのかもしれない。 |
Kagami |
シエル
ラムダさんは何を目指しているのでしょうか? |
Ciel |
カガミ
ターターを見つけようとしてるんじゃないのかな。 |
Kagami |
シエル
しかし、その割には周囲の建物を覗こうともしません。 |
Ciel |
カガミ
自分で作った世界だから、 いないとわかるのかもしれないね。 |
Kagami |
シエル
なるほど。……だとしてもあの足取り。 目的地に向かって歩いているようには見えません。 |
Ciel |
シエル
迷っている……あれではまるで迷子です。 |
Ciel |
カガミ
あ、おい、シエル!? |
Kagami |
シエル
ラムダさん、どちらに向かわれているのですか? |
Ciel |
ラムダ
ターターの方……。 |
Lambda |
シエル
ターターさんの場所はわかるのですか? |
Ciel |
ラムダ
……わからない。でも、探す。 |
Lambda |
1: どうして探すの? |
1: |
ラムダ
……わからない。でも、見つける。 |
Lambda |
ラムダ
見つければ、会えそうな気がする。 |
Lambda |
シエル
会える……どなたにでしょうか? |
Ciel |
ラムダ
……わからない。 ……まだ、わからない。 |
Lambda |
カガミ
(わからない、ねぇ……。本当に知らないのか、それとも 記憶に何者かが干渉、あるいは操作をしているのか?) |
Kagami |
カガミ
(だが、彼女はココノエが調整した素体だぞ。 その素体の記憶に干渉するなんて可能なのか?) |
Kagami |
カガミ
(……そんなことができるとしたら……) |
Kagami |
シエル
カガミさん、前方で戦闘反応を確認しました! |
Ciel |
カガミ
戦闘? もしかして人がいるのか? |
Kagami |
カガミ
人間まで具現化しているとは、すごいな! よし、見に行こう! |
Kagami |
シエル
あ、か、カガミさん、待ってください! |
Ciel |
シエル
……ラムダさん。お手数をおかけしてすみませんが、 カガミさんをひとりにしておけません。ご同行願えませんか。 |
Ciel |
ラムダ
…………。 |
Lambda |
ラムダ
……了解。 |
Lambda |
???
う、ぐぅぅっ……! |
??? |
???
あぁ〜ん、痛そう。こんなに血が出て……。 でもまだ足りないの。もっと……きて! |
??? |
キイロ
体が熱くて仕方がないの。 早くちょうだい、ナオトくんの熱い想いを! |
Kiiro |
ナオト
っ、この、いい加減にしろって! 俺はてめぇと戦うつもりなんざねぇんだよ! |
Naoto |
キイロ
そんな寂しいこと言わないで……。 |
Kiiro |
キイロ
私、ナオトくんとこうして、血みどろになるまで 戦いたくて仕方がなかったんだから。 |
Kiiro |
キイロ
ここなら、誰も邪魔しない…… あの小生意気な吸血鬼もいない……。 |
Kiiro |
キイロ
私とあなた、ふたりきりでいつまでも、 手を取り合って体をぶつけあって、乱れ合いましょう〜! |
Kiiro |
ナオト
お断りだって言ってんだろ!! そんなことよりここから出る方法を……。 |
Naoto |
キイロ
素直じゃないナオトくん、素敵……ッ。 愛を重ねていく内に、素直になっていくの……さあ、早く! |
Kiiro |
ナオト
人聞きの悪い言い方するな! 世間ではな、戦うことを 愛を重ねるとは言わねぇんだよ! |
Naoto |
キイロ
あああ! また、こんなにも愛を浴びせられるなんて……! ナオトくんの真っ直ぐな愛に、私も応えないとッ! |
Kiiro |
ナオト
あーくそ、やりづれぇ! 戦っても逃げても面倒くせぇ! とりあえず落ち着けよ!? |
Naoto |
カガミ
…………。 |
Kagami |
シエル
先程感知した戦闘の反応は、 あのおふたりのようです。 |
Ciel |
カガミ
……お取込み中のようだから、遠慮するか。 |
Kagami |
カガミ
せっかくの情報源ではあるが、致し方ない。 あんまり関わりたくない雰囲気。 |
Kagami |
カガミ
……な。 |
Kagami |
カガミ
これは見なかったことにしよう。 ふたりだけの世界にしておいてあげるのが、優しさだ。うん。 |
Kagami |
ナオト
あ!!! |
Naoto |
ナオト
レイ! おい、レイたちじゃないか! |
Naoto |
シエル
捕捉されました。 |
Ciel |
カガミ
ちっ……遅かった。 うかつに姿を見せるべきじゃなかったな……。 |
Kagami |
ナオト
ちょうどいい、助けてくれ! こいつすごく面倒くさい! |
Naoto |
キイロ
よそ見はダーメ。私だけを見て。ね? |
Kiiro |
シエル
お待ちください。私たちのことがわかるのですか? |
Ciel |
ナオト
悲しいこと言うなよ、知ってるに決まってるじゃねぇか! シエルにレイだろ!? |
Naoto |
カガミ
ってことは……なぁんだ、異物か。 |
Kagami |
カガミ
行こう。異物からこの世界についての情報が 引き出せるとは思えない。 |
Kagami |
カガミ
一気に興味なくなっちゃった。 |
Kagami |
ナオト
おいおいおい!? 何で行こうとしてるの!? 助けてくれって! |
Naoto |
カガミ
だって面倒くさそうなんだもん。 |
Kagami |
カガミ
別にファントムフィールドで異物が殺し合ったところで、 本当に存在が消えるわけじゃないし。 |
Kagami |
カガミ
せっかくだから、存分にやり合っていただいて……。 |
Kagami |
キイロ
んふふ、言われなくてもそうするつもりよ。 私とナオトくんの濃密な時間を、邪魔しないでくれる? |
Kiiro |
ナオト
そんなこと言わないでくれ! なあ、レイ! お前は俺を見捨てないでくれるよな、な! |
Naoto |
1: 見捨てるのはかわいそう |
1: |
ナオト
そうだろ!? お前ならそう言ってくれると思ってたよ。 持つべきものは人の心のある友人だぜ……。 |
Naoto |
キイロ
え〜。まだ始めたばっかりよ〜。 いよいよこれから盛り上がるって雰囲気だったんだから。 |
Kiiro |
キイロ
私からナオトくんを奪うつもりね。 人の念願の逢瀬を邪魔するなんて、許せないわ。 |
Kiiro |
ナオト
俺はこの状況、念願じゃないのよ。 |
Naoto |
キイロ
私、邪魔者は徹底的に排除する主義なの。 だから……相手が誰であろうと、そこにどんな正当性があろうと、 |
Kiiro |
キイロ
邪魔するなら、殺すわ!! |
Kiiro |
カガミ
すっかりやる気になっちゃったじゃないか……。 |
Kagami |
シエル
カガミさんは安全な場所にいてください。 シエル=サルファー、戦闘態勢に移行します! |
Ciel |
ラムダ
……対象を補足。 戦闘態勢へ移行。 |
Lambda |
3節『行き止まり』/
Summary | |
---|---|
ふいに世界が震え、改変が起こった。そして
現れた十三は、カガミとココノエへの不信を 語り、ラムダを止めるため剣を向ける。 |
ナオト
いやぁ〜〜〜……それにしても助かった。 ありがとうな、シエル、レイ。 |
Naoto |
ナオト
それにカガミとラムダ、だな。 黒鉄ナオトだ、よろしく。 |
Naoto |
カガミ
どうも、よろしく。 |
Kagami |
ラムダ
…………。 |
Lambda |
ラムダ
…………? |
Lambda |
ナオト
どうした? |
Naoto |
ラムダ
……詳細……不明。 |
Lambda |
キイロ
ちょっとぉ、私のナオトくんに色目使わないでよね。 |
Kiiro |
ナオト
色目なんか使ってないだろ。 あと誰がお前のだ。 |
Naoto |
ナオト
んで……話を戻すけど。 ここの世界を作ったのが、このラムダだと。 |
Naoto |
カガミ
そうだ。私たちは元の世界に戻るために、 その方法を探している。こちらの事情は今話した通り。 |
Kagami |
カガミ
そちらの事情を聞いてもいいか? |
Kagami |
ナオト
ああ。……つっても、事情なんてろくにねぇよ。 |
Naoto |
ナオト
気が付いたらあの街中に放り出されて、 気が付いたらキイロとばったり会って |
Naoto |
ナオト
そんであの状況だ。 |
Naoto |
ナオト
お前たちが来てくれなかったら、どうなってたことか……。 |
Naoto |
キイロ
あらぁん、悪いようにはしなかったわよ。 天国を見せてあげたわ。 |
Kiiro |
ナオト
……そーですか。 |
Naoto |
キイロ
それはそれとして……興味深い話ね。 観測者に、その観測者が構築する仮初の世界……なんて。 |
Kiiro |
キイロ
あなたたちがどんな世界でどんな暮らしをしていたのか、 まったく想像できないけど……。 |
Kiiro |
キイロ
そんな場へ自らの意思で潜り込むだなんて。 御剣機関は、タカマガハラシステムを完成させたみたいね。 |
Kiiro |
カガミ
いや、完成はしていない。 詳細は説明できないがな。 |
Kagami |
キイロ
いいわよ。私はタカマガハラシステムの開発とは、 それほど関わりがないし。 |
Kiiro |
キイロ
聞いたところで 良い意味でも悪い意味でも活用しようがないから。 |
Kiiro |
ナオト
なんの話だ? |
Naoto |
キイロ
秘密よ。大人の女の秘密。 |
Kiiro |
ナオト
なにが大人の女だよ。 |
Naoto |
ナオト
とりあえず、レイたちは 元の世界に帰るつもりなんだろ? |
Naoto |
ナオト
そのための方法を探してるって言うなら、俺も手伝うぜ。 そんで俺たちも、元の世界に帰らせてくれ。 |
Naoto |
キイロ
あら、そんなことしなくても、 私とここで暮らせばいいじゃない。 |
Kiiro |
キイロ
他に人がいないことがわかったんだし、 気兼ねなくふたりきりですごせるわ。 |
Kiiro |
ナオト
俺は帰りたいの! |
Naoto |
ナオト
……でだ、帰るためには、その……ターター? ってのを探せばいいのか? |
Naoto |
カガミ
そうだな。現状、他に手がかりになる物がない。 それになにせ、彼女は観測者だ。 |
Kagami |
カガミ
願望がターターを見つけることなら、それが叶ったとき、 ファントムフィールドに変化が生じるかもしれない。 |
Kagami |
キイロ
ふーん……この子が観測者、ね。 |
Kiiro |
ラムダ
…………。 |
Lambda |
キイロ
あなた、素体ね。 |
Kiiro |
キイロ
あら、なにかしら。 守るみたいに立ちはだかっちゃって。 |
Kiiro |
シエル
御剣機関スレイプニール、シエル=サルファー。 私も素体です。 |
Ciel |
キイロ
スレイプニール……。 |
Kiiro |
シエル
はい。 |
Ciel |
キイロ
ふうん……。 |
Kiiro |
ナオト
……な、なんか緊張感ある空気だな。 |
Naoto |
キイロ
前に私となにか、あったのね。 |
Kiiro |
キイロ
きっと……ここではない別の『世界』で。 |
Kiiro |
ナオト
おい、レイ。大丈夫なのか、あれ。 シエル、睨んでるぞ。 |
Naoto |
カガミ
……珍しいな。 レイ以外のことでシエルが自発的に動くなんて。 |
Kagami |
キイロ
ふふ。いいわ。 同じ御剣機関なんだし、気にしないでおいてあげる。 |
Kiiro |
キイロ
それに、タカマガハラシステムがあるのなら、
|
Kiiro |
キイロ
そうでしょう? |
Kiiro |
キイロ
……でも、あなたは違うみたいね。 |
Kiiro |
ラムダ
…………。 |
Lambda |
キイロ
私やシエルと、あなたは違う。 同じように素体だけど……。 |
Kiiro |
キイロ
|
Kiiro |
ラムダ
私、は……。 |
Lambda |
カガミ
おぉ!! |
Kagami |
シエル
レイさん、警戒してください。 私の側にいてください! |
Ciel |
ナオト
なんだこの音は!? |
Naoto |
カガミ
ファントムフィールドに異変が生じたんだ。 観測者の意識に引きずられて、世界が改変されたんだ。 |
Kagami |
カガミ
ああ、見ようと思って見られる現象じゃないぞぉ……っ。 私はなんて幸運なんだ。ラーベがいないのがつくづく惜しい! |
Kagami |
ナオト
何で喜んでるんだよこの人! |
Naoto |
ナオト
場所が、変わった……? |
Naoto |
キイロ
……何が起きたのかしら。 |
Kiiro |
カガミ
これが世界の改変だ。 様相が変わった。この姿を今のラムダが望んだんだ。 |
Kagami |
カガミ
いやぁ……すごいなぁ。 本当に世界変わっちゃうんだもんなぁ。 |
Kagami |
ラムダ
…………。 |
Lambda |
シエル
ラムダさん。あの門をご存じなんですか? 待ってください、正面に誰かいます。 |
Ciel |
ラムダ
…………。 |
Lambda |
シエル
あ……あなたは……。 |
Ciel |
十三
…………。 |
Juusan |
十三
はぁ……。 これ、あんたのせい? |
Juusan |
1: 君は…… |
1: |
ナオト
……知り合いか? |
Naoto |
キイロ
ナオトくんみたいな例もあるし、その可能性もあるわね。 |
Kiiro |
十三
当たり前。あんたみたいなの、忘れるわけないから。 |
Juusan |
カガミ
十三、だったか。 |
Kagami |
十三
……そう。 あんたは……レイとシエルの上司だな。 |
Juusan |
十三
それと、あんた……。 |
Juusan |
ナオト
ん? え、俺? |
Naoto |
十三
あんたはいつも違う女を連れてるね。 |
Juusan |
ナオト
なっ……お、おい、人聞きの悪い言い方するなよ! って……俺のこと知ってるの? |
Naoto |
十三
まあね。 |
Juusan |
キイロ
……また素体。 |
Kiiro |
十三
……なに? じろじろ見て。 |
Juusan |
キイロ
別に。ただ、私のナオトくんに気安く話しかけないでくれる? |
Kiiro |
十三
私が誰に話しかけようと、私の勝手でしょ。 |
Juusan |
キイロ
…………。 |
Kiiro |
十三
……フン。 |
Juusan |
十三
それより、アンタ。 なにやってんの……こんなところで。 |
Juusan |
ラムダ
……ターターを探している。 |
Lambda |
ラムダ
……なに。邪魔しないで。 |
Lambda |
十三
邪魔? この程度で? |
Juusan |
カガミ
そうだぞ、邪魔しないでほしいね。 じゃないと我々は帰還出来ないじゃないか。 |
Kagami |
十三
戯言を言う……。 |
Juusan |
シエル
十三さんの攻撃反応が上昇しています。 レイさんカガミさん、私の後ろに。 |
Ciel |
カガミ
さすがシエル。すかさず防衛行動に入ってくれる。 優秀な部下だ。 |
Kagami |
1: 十三、落ち着いて |
1: |
十三
そっちに戦う気はない? そうかもね。 でも、馬鹿にはされている。 |
Juusan |
十三
身内をダシに使われて黙っていられるほど、 私は優しくない。 |
Juusan |
ナオト
……ダシ? |
Naoto |
カガミ
……んー。 |
Kagami |
十三
誤魔化そうとしないで。 |
Juusan |
十三
こんなファントムフィールドから、 出ようと思えばすぐにでも出られるくせに。 |
Juusan |
シエル
……それは、本当ですか、カガミさん? |
Ciel |
カガミ
えーっと、それは……まあ……。 |
Kagami |
キイロ
ちょっと、あなた、私たちのこと騙してたの!? |
Kiiro |
十三
はぁ……。 |
Juusan |
十三
このファントムフィールドの観測者はラムダだ。 確かにこの世界の全ては、ラムダが観測してる。 |
Juusan |
十三
だけどそのラムダを観測してるのは、ココノエだ。 そっちにいるんだろ、ココノエ。 |
Juusan |
カガミ
…………。 |
Kagami |
シエル
はい。いらっしゃいます。 ラムダさんはココノエさんの部下だと伺っています。 |
Ciel |
十三
観測者であるラムダを、そうじゃなくすることくらい、 ココノエにならできる。 |
Juusan |
十三
それはアンタだって知ってたはずだろ。 『カガミさん』? |
Juusan |
十三
いや、もっと直接言ったほうがいいかな。 どうせ聞いてるんだろ、ココノエ。 |
Juusan |
ココノエ
まさかこうもあっさり見抜かれるとはな。 しかもお前に。 |
Kokonoe |
ココノエ
ずいぶん『変わった』じゃないか。 |
Kokonoe |
十三
知った口を利かないで。 |
Juusan |
ラーベ
やれやれ。計画はここまでか。 |
Raabe |
シエル
ラーベさん!? |
Ciel |
1: いないはずじゃ……! |
1: |
ラーベ
これが全部仕組まれたものだったとしたら、 私がいないのは逆におかしいだろ。 |
Raabe |
ラーベ
やー、シエルの索敵から隠れてなきゃならないから、 緊張したよ〜。 |
Raabe |
シエル
ど……どういうことなんですか? 説明を求めます、カガミさん! |
Ciel |
カガミ
あー、んっとね。 |
Kagami |
カガミ
最初の最初、ラムダが偶発的にファントムフィールドを 構築したところまでは、思いがけないハプニングだったんだぞ。 |
Kagami |
カガミ
ただまあ……偶発的に生まれたとはいえ、 ファントムフィールドの発生、観測、構築、そして最終的には収束。 |
Kagami |
カガミ
その一通りの流れを観察できる、 またとない機会だったし……。 |
Kagami |
カガミ
もしかしたら、この特異に発生したファントムフィールドに 興味を持って、バベルが動きを見せるかもしれないなぁ……と。 |
Kagami |
ココノエ
実際ファントムフィールドに入ったらどんな感じだろうとか、 そういう状況に対してラムダの反応はどうだろうとか……。 |
Kokonoe |
ココノエ
興味のある項目が目白押しだったもんでな。 しばらくデータを取らせてもらった。 |
Kokonoe |
ナオト
な……なんだそれ! じゃあ俺やキイロはその好奇心の実験に巻き込まれたってことか!? |
Naoto |
ラーベ
そうなるね。 |
Raabe |
ナオト
お前らなぁ! |
Naoto |
キイロ
ふぅ。さすが、御剣機関ってところね。 らしいやり方。 |
Kiiro |
シエル
……カガミさん。 |
Ciel |
シエル
私はともかく、場合によっては、レイさんを 無用な危険にさらすことになっていたかもしれません。 |
Ciel |
シエル
こういうのは、困ります。 |
Ciel |
カガミ
うっ……普通にシエルに怒られた……。 |
Kagami |
カガミ
……すいません。 |
Kagami |
ラムダ
……ターター。 どこ……? ここに……いる……? |
Lambda |
十三
『それ』を探すな。 |
Juusan |
ラムダ
……なぜ? |
Lambda |
十三
それは『見つけてはいけない』ものだ。 |
Juusan |
ラムダ
…………。 |
Lambda |
十三
行くなってば! |
Juusan |
ラムダ
邪魔をしないで。 『ニュー』。 |
Lambda |
十三
悪いけど、それはできない。 私はなにがなんでも邪魔をするよ。 |
Juusan |
十三
……それと、私の名前は『十三』。 間違えないで。 |
Juusan |
ナオト
お、おい、あいつら雰囲気やべぇぞ! 止めなくていいのか!? |
Naoto |
シエル
十三さんとラムダさんの戦闘レベルが急上昇しています! 止めましょう、レイさん! |
Ciel |
キイロ
しょうがないわね。 世話の焼けるお人形さんたちだこと。 |
Kiiro |
ラムダ
……どうなっても知らないから。 |
Lambda |
十三
あんたがただのわからず屋だってこと、教えてあげる! |
Juusan |
エピローグ /
Summary | |
---|---|
ラムダの意識が途切れ、世界の崩壊と共に実
験は終了。カガミは今回の騒動を謝罪するが ……その真意は、未だ隠されたままだった。 |
ナオト
うおっ、な、なんだ? 周りの景色が歪んで……。 |
Naoto |
キイロ
きゃぁ〜ん、ナオトくん、こわ〜い。 |
Kiiro |
ナオト
嘘をつけ、嘘を! あとお前はもうちょっと危機感を持ってくれ! |
Naoto |
シエル
これは一体……? また世界が改変されようとしているのでしょうか? |
Ciel |
ラーベ
いや。これは……。 |
Raabe |
ラムダ
…………。 |
Lambda |
十三
ラムダ……! |
Juusan |
十三
……意識が途切れたみたい。 元々、この子に観測者やらせようなんて、無理があったんだよ。 |
Juusan |
ラーベ
みたいだな。そもそも小規模で不安定だった ファントムフィールドが、崩壊していく。 |
Raabe |
カガミ
その崩壊を引き起こしたのは、そこにいる十三だ。 すごい性能だな……。 |
Kagami |
十三
うるさい。 |
Juusan |
十三
……今回は見逃してあげる。だけど次にこの子を利用したら、 許さないから。特にそこの化け猫。 |
Juusan |
ココノエ
ほう? 許さなかったらどうするつもりだ? |
Kokonoe |
カガミ
私も少々興味があるぞ。 |
Kagami |
1: 約束するよ、十三 |
1: |
十三
……他の誰が言っても信じられないけど、 アンタが言うなら信じておくよ。一応ね。 |
Juusan |
十三
……そうして。この子は私にとって……特別なの。 アンタを信用して、託すから。 |
Juusan |
ラムダ
…………。 |
Lambda |
シエル
十三さん。すみませんでした。 |
Ciel |
十三
アンタのせいじゃないってことは、間違いないでしょ。 組織に従属する素体なんだから。 |
Juusan |
十三
……でも、アンタも気を付けな。 |
Juusan |
十三
カガミやココノエみたいな連中は、 結局頭の中でどんなこと考えてるのかわからない。 |
Juusan |
シエル
…………。 |
Ciel |
十三
ここはもう消えてなくなる。 帰るならさっさと帰りな。 |
Juusan |
十三
私も行くから。 ……じゃあね。 |
Juusan |
シエル
十三さん……。 |
Ciel |
ナオト
……んで? 俺たちは元の世界に戻してもらえるんだろうな? |
Naoto |
カガミ
ああ。まさか異物を巻き込むとは思わなくてな。 |
Kagami |
カガミ
これでファントムフィールドは崩壊、 状況としては窯を破壊したときと同じになる。 |
Kagami |
カガミ
自動的に、お前たちは元の世界に戻されるだろう。 |
Kagami |
ナオト
ったく。とんだ目にあったぜ……。 |
Naoto |
キイロ
私はまあまあ楽しかったけど。 |
Kiiro |
ラーベ
我々も帰還しよう。フガクとの接続が完了した。 |
Raabe |
ラーベ
……シエル? |
Raabe |
シエル
あ……はい。帰還します。 |
Ciel |
カガミ
待て、落ち着けレイ! そんなに怒ることはないだろう!? |
Kagami |
カガミ
確かにラムダを利用する形にはなったが、ちゃんと安全にも 考慮していた。実際無事だったじゃないか! |
Kagami |
TB
やれやれ、騒がしいなぁ。ケンカなら他所でやってよね。 |
TB |
TC
イエス。 フガクスタッフの精神的ストレス値が上昇しています。 |
TC |
TA
フガクの状態は安定している。 引き続き、我々は境界内の観測を続ける。 |
'Ta |
カガミ
ああっ、タカマガハラ! お前たち、私を見なかったことにするんじゃない! |
Kagami |
ココノエ
ふむ……ラムダの様子が気になるな。 入念なチェックをしてくる。 |
Kokonoe |
カガミ
おいココノエ! ひとりで逃げるな! |
Kagami |
ココノエ
逃げる? 人聞きの悪い。戦闘で負傷したラムダの 心配をするのは当たり前のことだろう? |
Kokonoe |
ココノエ
テイガー、手伝ってくれ。 |
Kokonoe |
テイガー
……あとで状況を詳しく聞かせてくれ。 なにが起こったのかさっぱりわからん。 |
Tager |
カガミ
くそっ……ひとりにされた……! |
Kagami |
シエル
…………。 |
Ciel |
カガミ
うう、シエルまで厳しい目を私に向ける……。 |
Kagami |
カガミ
だ、だがな、これもファントムフィールドや 観測者の仕組みについて調べる、重要な調査なんだ。 |
Kagami |
カガミ
今回とれたデータは、非常に有益なものだ。 今後の私たちの活動に、大いに役に立つ! |
Kagami |
1: 仲間を利用するのはやめて |
1: |
カガミ
……わかったよ。悪かった。 結果的に、戦闘行為も発生したわけだしな。 |
Kagami |
カガミ
……わかった、悪かった。 実際、お前たちのことも利用していたわけだしな。 |
Kagami |
カガミ
この流れで私が言うのもおかしな話だが。
一応、今回も |
Kagami |
カガミ
シエル、レイのメディカルチェックを頼む。 |
Kagami |
シエル
……はい。わかりました。 行きましょう、レイさん。 |
Ciel |
シエル
……今回の |
Ciel |
シエル
ラムダさんに何事もなければいいのですが……。 |
Ciel |
シエル
……ところで……『ターター』というのは、 結局なんだったのでしょうね。 |
Ciel |
シエル
できれば、見つけてあげたかったです。 ラムダさん、とても真剣に探していましたから。 |
Ciel |
シエル
……ひとつ、聞いてもいいですか? |
Ciel |
シエル
先ほど、レイさんはラムダさんのことで、 カガミさんにとても怒っておられました。 |
Ciel |
シエル
それは、ラムダさんのことが……。 |
Ciel |
シエル
……ええと……。 |
Ciel |
シエル
すみません。なにか胸のあたりがもやもやとしたのですが、 それがなんなのかわからなくて……。 |
Ciel |
シエル
言葉にできなくなってしまいました。 |
Ciel |
シエル
もう少し整理してから、質問します。 |
Ciel |
シエル
失礼しました。メディカルチェックを行いましょう。 終わったら、食事をとりましょうね。 |
Ciel |
TB
……いい観測ができたね。 |
TB |
カガミ
結果はどうだった? 予想を超える数字だったか? |
Kagami |
TC
イエス。 ――の存在損失率は0.002%です。 |
TC |
TB
すごいじゃないか。これは驚くべきことだよ。 |
TB |
TA
類似する過去のデータは、 シミュレーションで提示した通りだ。 |
'Ta |
カガミ
ふふ…… 本当に……本当にすごいよ、レイは。 |
Kagami |
カガミ
今思い出しても身震いする。観測者にあれほどの 『怒り』を向けられるというのは、本当に……。 |
Kagami |
カガミ
そうだな。さっきの私なら、 あのココノエにも勝てそうじゃないか。 |
Kagami |
カガミ
……うん。興味深いことだ。 |
Kagami |