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第1節 浸入①/ 1. Dive - 1
Summary | |
---|---|
カガミから説明を受け、窯を破壊し観測者を
解放するため、シエルと共にファントムフィールドに浸入を開始する。 |
音声
事象確認……座標確認……座標固定、完了。 アンカー射出準備完了。3、2、1、射出。 |
Voice |
音声
アンカー固定完了。浸入準備完了。
|
Voice |
シエル
…………。 ……レイさん、気が付かれましたか? |
Ciel |
シエル
意識の覚醒に時間がかかっていたようですが、 体調、精神状態に不具合はありませんか? |
Ciel |
シエル
……レイさん? まだ意識の混濁が残っているようですね。 |
Ciel |
シエル
必要であれば、状況の整理と確認を行います。 ここに来るまでのことは、思い出せますか? |
Ciel |
1: 確か、カズマさんたちと別れて…… |
1: |
シエル
カガミさん。 レイさんをお連れしました。 |
Ciel |
カガミ
ご苦労さま。取り急ぎメディカルチェックを 受けてもらったが、問題ないみたいだね。 |
Kagami |
カガミ
さて、では改めて自己紹介といこう。 はじめまして、レイ。 |
Kagami |
カガミ
私は御剣機関の『破城カガミ』。 『次元境界潜航艦フガク』の艦長だ。 |
Kagami |
カガミ
まずはこの場所について説明しようか。 今、私たちがいるのは『次元境界潜航船フガク』の艦内。 |
Kagami |
カガミ
次元境界潜航船とは言葉通り、境界を潜航可能な船のことだ。 そしてこのフガクは現在、境界内を航行中である! |
Kagami |
1: 境界? |
1: |
カガミ
境界だよ。知らない? まぁそりゃそうだ、普通は知らない。 ではざっと説明しよう。 |
Kagami |
カガミ
『境界』ってのは、次元と次元…… 『世界』と『世界』の間にある空間だ。 |
Kagami |
カガミ
『世界の外側』とでも言おうか。 そうだな……宇宙空間のようなものをイメージしてほしい。 |
Kagami |
カガミ
宇宙空間を『境界』とするなら、大気圏は『時間』で、 惑星は『世界』だ。 |
Kagami |
カガミ
境界の中を、時間に包まれた世界がいくつも漂っている。 宇宙を漂う惑星のようにね。どう? イメージできた? |
Kagami |
カガミ
ざっくりした説明だけど、世界っていうのはおおよそ、 そんなような仕組みになってるんだ。 |
Kagami |
カガミ
その境界を潜航できるのが、このフガクだ。 |
Kagami |
カガミ
ちなみに、なんで『潜航』かというとだな、 私たちは境界に『潜る』と言うんだ。 |
Kagami |
カガミ
この理由はまた今度話そう。今知らなくてもいいことだし、 いっぺんに全部話しても、わけがわからなくなるだろうからね。 |
Kagami |
シエル
なるほど。そうだったのですか。 |
Ciel |
カガミ
……あれ、教えてなかったっけ? ま、まぁ、それならちょうどいいから、今学んでいきなさい。 |
Kagami |
シエル
はい。 |
Ciel |
カガミ
よし、では話を続けよう。 |
Kagami |
カガミ
もちろん、私たちが元々いた世界の外側にも 境界は存在している。 |
Kagami |
カガミ
その境界を観測する技術を持っていた私たち『御剣機関』は、 日々研究にいそしんでいたわけだが……。 |
Kagami |
カガミ
あるとき境界内に不可思議な『事象』を発見してね。 その調査のために、この『フガク』で境界へ潜航を開始した。 |
Kagami |
カガミ
……とはいえ、実のところ事象の詳細はもちろん、 境界についてだってわからないところだらけ。 |
Kagami |
カガミ
実際になにがあるのかは、行ってみないとわからないって 状況での、ドタバタ計画でね。 |
Kagami |
カガミ
広大な宇宙空間に人を乗せたロケットを放り出して、 未知の惑星を探査してこいって言ってるようなもんだよ。 |
Kagami |
カガミ
まさに人道無視、無謀極まりない計画だ。 ……まあ、これは私の個人的なボヤきだけど。 |
Kagami |
シエル
御剣機関……人道無視で無謀……はい、覚えました。 |
Ciel |
カガミ
いやいや、そこは覚えなくていいから。 |
Kagami |
カガミ
で、だ。 我々が調査するべき、不可思議な事象についてだが。 |
Kagami |
カガミ
今話した境界という空間の中に、 本来『無いはずの世界』が発生していることがわかった。 |
Kagami |
カガミ
存在しえないはずの世界。
誰かの願望が |
Kagami |
カガミ
私たちはそれを『ファントムフィールド』と呼称している。 |
Kagami |
1: 虚構の世界? |
1: |
カガミ
レイも見た……いや、実際に体験しただろ。 |
Kagami |
カガミ
あの『魔道都市イシャナ』は『トリニティ=グラスフィール』が 構築したファントムフィールドだ。 |
Kagami |
カガミ
構築された世界の大きさは、 観測者によってまちまちみたいだけど……。 |
Kagami |
カガミ
彼女にとっては、あの小さな島であるイシャナが 世界そのものだったのかもしれないね。 |
Kagami |
シエル
私……いえ、 私とレイさんが窯を破壊したことで、 |
Ciel |
シエル
トリニティさんは観測者としての『呪縛』から 解放されたのですよね? |
Ciel |
カガミ
呪縛、か。その表現は、ある意味適切かもね。 |
Kagami |
カガミ
ついでだ。ファントムフィールドについて、もう少し詳しく 話しとこう。レイも聞いておいてほしい。 |
Kagami |
カガミ
想像できる? たったひとりの願望によって、 何度も繰り返される世界っていうのを。 |
Kagami |
1: 何度も…… |
1: |
シエル
…………。 |
Ciel |
カガミ
……観測者は、自らが構築している ファントムフィールドの中では『死なない』んだ。 |
Kagami |
カガミ
不死という意味ではないよ。 変な話、殺そうと思えば殺せる。 |
Kagami |
カガミ
ただ、仮にそうしたとしても『無かった』事になるんだよ。 どんな法則かは、わからないんだけど。 |
Kagami |
カガミ
世界が『ある時点』例えば観測者の死だ。 そういう『ある未来』に到達すると……。 |
Kagami |
カガミ
ファントムフィールドに『リセット』がかかる。 まるでゲームみたいにね。 |
Kagami |
カガミ
そしたら、はい、やり直し。どこがセーブポイントなのかは 観測者のみぞ知る〜……みたいな。 |
Kagami |
シエル
レイさん。あのイシャナは、私が訪れた時点で、 182回繰り返していたと計測結果が出ています。 |
Ciel |
カガミ
182回、トリニティは同じ世界を同じように、 あるいは別の形で過ごした。 |
Kagami |
カガミ
そして世界にリセットがかかると、 また観測者の願望を元に世界が再構築され、繰り返される。 |
Kagami |
カガミ
何度も何度も何度も何度も……ね。 |
Kagami |
カガミ
トリニティのどんな願いが あの世界を形作っていたのかはわからない。 |
Kagami |
カガミ
でもその願いを形にするために、そして願いを存続させる ために、それ以外のあらゆる可能性が閉ざされていく。 |
Kagami |
カガミ
それが『ファントムフィールド』なんだ。 |
Kagami |
1: そんな…… |
1: |
カガミ
ただ、観測者となった者を責めないでほしい。 望んで観測者になったわけではないんだ。 |
Kagami |
カガミ
世界が繰り返していることにも、たぶん無自覚だろう。
そのファントムフィールドに |
Kagami |
カガミ
というか、もし自覚している人がいたら、とんでもない話だよ。 まず間違いなく、精神をやられる。 |
Kagami |
カガミ
ああ、ええと、話が逸れすぎちゃったか。 とにかくだ。 |
Kagami |
カガミ
私たちの知る限り、ファントムフィールドを構築している 観測者を『解放』するには、観測者の力の源である、 |
Kagami |
カガミ
その世界の『窯』を破壊する以外に方法がない。
シエルの持つ |
Kagami |
カガミ
窯を破壊すれば、ファントムフィールドは観測者を解放する。 そして私たちを目指す場所へと導いてくれる。 |
Kagami |
1: |
1: |
カガミ
ああ……ごめんごめん、 その辺については詳しく話せないんだ。 |
Kagami |
カガミ
それより、先を続けよう。 可能性を閉ざしながら、繰り返す世界ファントムフィールド。 |
Kagami |
カガミ
ここで重要なのは、繰り返していることじゃない。 『リセット』のほうだ。 |
Kagami |
シエル
リセットのほう……ですか? |
Ciel |
シエル
イシャナへの |
Ciel |
カガミ
シエル、イシャナのリセットが発生したときのこと、 覚えてる? |
Kagami |
シエル
……いえ。すみません、記憶にないです。 |
Ciel |
カガミ
だろうね。リセットが始まると、ファントムフィールドでは このフガクでも『観測不可能』なある『現象』が発生する。 |
Kagami |
カガミ
実に大きな力を伴う現象だよ。 ただその詳細は……不明だ。 |
Kagami |
カガミ
その調査もかねて、イシャナではリセット直後に |
Kagami |
カガミ
今回は、ほら、ね。うん! |
Kagami |
シエル
なにが『ほら、ね。うん!』なのか、説明を求めます。 内容によっては、カガミさんへの信頼ポイントに影響します。 |
Ciel |
カガミ
いやぁ、今回は想定外のことが多すぎたからさぁ〜。 多少、調査結果がグダグダしててもしょうがないかな〜って。 |
Kagami |
カガミ
再構成は不完全だし、アストロラーベは絶不調だし。
そのうえ |
Kagami |
1: |
1: "Stranger?" |
カガミ
ああ、ファントムフィールドに外部から乗り込んできた 存在のことだよ。イシャナでシエルがそうだったようにね。 |
Kagami |
カガミ
|
Kagami |
シエル
<size=150%>無理です。</size> |
Ciel |
1: あの状況ではちょっと…… |
1: |
カガミ
まぁまぁ、今回はシエルの初 |
Kagami |
カガミ
それに……マイ? 彼女を確認できたおかげで、私たち以外の
|
Kagami |
カガミ
そしてなにより、非常に貴重な人材を確保できた。 |
Kagami |
シエル
レイさんですね。 |
Ciel |
1: 僕? / 私? |
1: Me? |
カガミ
そう。ただ貴重は貴重なんだけど、私たちから見ればお前も、
あのマイと同じく正体不明の |
Kagami |
カガミ
イシャナの不完全な再構成も、 お前の干渉が原因じゃないかと考えている。 |
Kagami |
カガミ
第一だな、お前がなんであの『ファントムフィールド』に いたのかさっぱりわからないんだ。 |
Kagami |
カガミ
お前はあの時、あの瞬間、あの時代にいるべき人間じゃない。 採取したデータからしても、それは間違いない。 |
Kagami |
カガミ
そもそもお前のデータはあんまりにも、 普通の人間すぎる。 |
Kagami |
カガミ
どう考えても、あの『魔道都市イシャナ』に入学するような 素質じゃないんだよ。 |
Kagami |
カガミ
だから、私はお前に対する認識を保留にせざるをえない。 味方なのか、敵なのか。はたまたそれ以外なのか。 |
Kagami |
カガミ
そのあたりを見極めたいわけだ。 わかってくれるかな? |
Kagami |
1: 言いたいことは、わかります |
1: |
カガミ
そこでだ。ここからは提案だ。 お前の『能力』は、私たちの作戦にとって大きな助けになる。 |
Kagami |
カガミ
その世界の観測者ではないのに、お前はそれ以上の観測能力を 持っている。非常に特異な『ドライブ』能力だ。 |
Kagami |
カガミ
便宜上、 |
Kagami |
1: ドライブ能力? |
1: |
カガミ
ドライブ能力。 魂の持つ力を具現化したもの……と言われている。 |
Kagami |
カガミ
簡単に言うと、超能力みたいなものだよ。 個々に性質が違い、発現する人は非常に稀な、特殊な力だ。 |
Kagami |
カガミ
とはいえ、あんまり難しく考えなくていい。私たちも存在は 認めているけど、理屈や原理はよくわかってないしね。 |
Kagami |
カガミ
あ、それと名前はなんとなくだ。あったほうが便利だからさ。 気に入らなかったら、自分で付けたらいいよ。 |
Kagami |
カガミ
とにかくだ。私たちはお前の能力がほしい。その力を使って、 ファントムフィールドの解放を手伝ってもらいたい。 |
Kagami |
カガミ
お前が協力してくれるなら、フガクでの安全な生活と、 我々にできる限りのサポートを約束しよう。 |
Kagami |
カガミ
その間に、お前が戻るべき世界が見つかるかもしれない。 悪い話じゃないだろう? |
Kagami |
1: 急に言われても困ります…… |
1: |
シエル
カガミさん。私たちの任務に レイさんの力は間違いなく必要です。 |
Ciel |
シエル
ですが、私が今回無事に帰還できたのは レイさんの協力があったからこそです。 |
Ciel |
シエル
その方に、判断を強要するような交渉は 控えていただけないでしょうか。 |
Ciel |
カガミ
…………シエル、お前レイに甘くない? |
Kagami |
シエル
甘い……とは? 私の最優先事項には レイさんの護衛も含まれています。 |
Ciel |
シエル
レイさんの安全のために、 適切な要請を行うことも、任務の一環だと思いますが。 |
Ciel |
カガミ
いやいや、お前の最優先事項は 窯を破壊して観測者を解放することだから。 |
Kagami |
カガミ
その為の |
Kagami |
シエル
だからこそレイさんの力が必要なのでは? |
Ciel |
カガミ
必要は必要なんだけど、最悪、洗脳って方法もあるし。 |
Kagami |
シエル
それは私が阻止します。 |
Ciel |
1: シエル……頼れるのは君だけだね…… | |
1: | |
カガミ
はぁ……わかったよ。 ……確かに、シエルの言う通りだ。 |
Kagami |
カガミ
現状、レイの観測下でなければ、
|
Kagami |
カガミ
だから素直に頼む。 レイ、私たちに力を貸してくれ。 |
Kagami |
1: |
1: |
TB
本来あるべき |
TB |
TB
それは観測者だった者の望んだ世界ではないかもしれないけど、 『可能性』を秘めた世界だよ。 |
TB |
1: え? なに? |
1: |
カガミ
……これから紹介しようと思っていたんだが、 先走ってくれるね。 |
Kagami |
TB
実に計算された、完璧なタイミングで声をかけたと思うけど? |
TB |
カガミ
君がそう言うのなら、そうなのかもしれないな。 レイ、多少手順が狂ったが、紹介するよ。 |
Kagami |
カガミ
こいつはTB。 ……このフガクをコントロールするメインシステム、 |
Kagami |
カガミ
『タカマガハラシステム』の、 3つあるパーソナルのうちのひとつだ。 |
Kagami |
TB
よろしく。あとTAとTCがいるんだけど…… 『僕ら』は無愛想だからね。 |
TB |
1: |
1: |
カガミ
気にしなくていいよ。最初は混乱するが、そのうち慣れる。 とりあえず、このタカマガハラシステムがなければ、 |
Kagami |
カガミ
フガクは境界を航行することも、 ファントムフィールドを特定することもできない。 |
Kagami |
カガミ
とても重要なシステムだ、と理解していてくれれば十分だ。 |
Kagami |
カガミ
と、いうわけで、レイ。改めて。 何度も聞くのもなんだから、これが最後にしよう。 |
Kagami |
カガミ
私たちに協力してくれ。 |
Kagami |
1: 観測者の解放を? |
1: |
1: 観測者の解放を? |
1: |
カガミ
イシャナでもシエルが言っていたと思うが、 お前には観測者の力がある。 |
Kagami |
カガミ
自己観測っていうんだが……難しい理屈は省くよ。 |
Kagami |
カガミ
その力があれば、 他の観測者の影響を受けずに存在することができる。 |
Kagami |
カガミ
イシャナの事例でいうと、 観測者はトリニティ=グラスフィールだが、 |
Kagami |
カガミ
その存在がファントムフィールドの姿、
ざっくり言うと |
Kagami |
カガミ
だから観測者の影響下にある世界に入ると、どうしても その規則の影響を受ける。 |
Kagami |
カガミ
逆らうと、ろくなことにならない。 最悪、規則違反でその世界から退場……なんてこともありえる。 |
Kagami |
カガミ
だが、お前は違う。定められた規則に干渉することで、 自由に活動することができるし……、 |
Kagami |
カガミ
例のドライブ能力で、別の事象から一時的に 他のドライブ能力者を具現化して戦わせる事ができる。 |
Kagami |
カガミ
その力は誰にでもあるものじゃない……。 |
Kagami |
カガミ
何か意味のある……『特別な力』だ。 |
Kagami |
シエル
…………。 |
Ciel |
カガミ
……とはいえ、これは私たちにとって非常に重要な任務であり お前を危険な状況に立たせることも事実だ。 |
Kagami |
カガミ
正直にいえば生命の保証もできない。 |
Kagami |
カガミ
だから今すぐ決めろとは言わないよ。 部屋を用意したから、ひとまずゆっくり考えてくれ。 |
Kagami |
1: ………… よくわかんないです |
1: |
カガミ
まあいい、とにかく休め。 必要なものはある程度用意してある。 |
Kagami |
カガミ
シエル、部屋に案内してやってくれ。 |
Kagami |
シエル
了解です。 レイさん。こちらです。 |
Ciel |
TA
……いいのかカガミ。 レイの観測能力は未知数だぞ。 |
TA |
TC
イエス・今回のファントムフィールドの様に
|
TC |
TB
でもさ、僕たちも新しい |
TB |
カガミ
…………。 |
Kagami |
1: | |
1: | |
1: (ノックの音? 誰だろう?) |
1: |
シエル
……休息を中断させてしまい申し訳ありません。 |
Ciel |
シエル
…………。 |
Ciel |
1: どうしたの? |
1: |
シエル
……イシャナでは、ありがとうございました。 |
Ciel |
シエル
先程も言いましたが、レイさんのおかげで、 私は生存しています。 |
Ciel |
シエル
特に、あのマイさんという敵性体の戦闘能力は 私を遥かに凌駕していました。 |
Ciel |
シエル
なので、アナタの |
Ciel |
シエル
……また、現状、アナタの助力無しに、
この |
Ciel |
シエル
起動させることが難しいのも事実です。 |
Ciel |
シエル
それを踏まえても……これ以上、アナタを危険な状況に 置くことを私個人として賛同しかねていると、ご理解ください。 |
Ciel |
シエル
レイさんはこのフガクに留まり、 身の安全を最優先させるべきと思います。 |
Ciel |
1: つまり |
1: |
シエル
そう解釈して頂いて構いません。 |
Ciel |
シエル
…………。 |
Ciel |
シエル
ですが……あの……もし、私……私たちの任務に 協力していただけるのでしたら |
Ciel |
シエル
私は身命を賭してアナタをお護りいたします。 |
Ciel |
1: …………は? |
1: |
シエル
……お話は以上です。 すみません。お邪魔しました。 |
Ciel |
シエル
ごゆっくり、お過ごしください。 失礼します。 |
Ciel |
カガミ
……お前たちか? シエルを行かせたのは。 |
Kagami |
TC
ノー。ストレージNo・5への新たな |
TC |
TA
我々にはそれをさせる理由がない。 |
TA |
TB
レイくんの力は貴重だけど、 必須って訳じゃないからね。 |
TB |
カガミ
ふうん。だとしたら……面白いな。 |
Kagami |
カガミ
……引き続き、モニタリングはしておいてくれ。 |
Kagami |
シエル
おはようございます。 レイさんをお連れしました。 |
Ciel |
カガミ
おはよう。よく眠っていたようだな。たっぷり休めたか? |
Kagami |
カガミ
……よしよし。顔色も悪くなさそうだ。 |
Kagami |
カガミ
それで。 ここに来たということは、なにかしら考えてくれたのかな? |
Kagami |
シエル
…………。 |
Ciel |
1: どこまでできるかわからないけど…… |
1: |
カガミ
そうか、力を貸してくれるか! よかった、ありがたい。 正直なところ、人手が足りてなくてな! |
Kagami |
カガミ
それに、我々とフガクはすでに境界の中にいて、 引き上げようにも事情があって帰れないんだ。 |
Kagami |
カガミ
だからどの道、 お前はこの船から出られなかったってわけだ! |
Kagami |
1: そうなんじゃないかなとは思ってました…… |
1: |
カガミ
そうかそうか。 まあ、結果オーライということで。な。 |
Kagami |
シエル
レイさん。本当に良いのですか? |
Ciel |
1: 正直言うと怖いけど…… |
1: やれることがあるなら、やっておきたいかな |
シエル
……了解しました。レイさんが 決めたのであれば、私はそれに従うだけです。 |
Ciel |
カガミ
シエル。言ってる事と表情がバラバラだぞ……。 |
Kagami |
シエル
そうですか? |
Ciel |
カガミ
まぁいい……とにかく、そうと決まったら早速任務だ! |
Kagami |
シエル
新たなファントムフィールドを確認したのですか? |
Ciel |
カガミ
そうとも。だからすぐにでも始められるよう、 昨日のうちに準備しておいた。 |
Kagami |
カガミ
まぁ、断られたら洗脳でもすればいいかと思ってたし。 |
Kagami |
1: 洗脳!? |
1: |
TC
イエス。 破城カガミの発言が冗談である確率は8パーセントです。 |
TC |
1: |
1: |
カガミ
さあ、そんなことよりこっちを見てくれ。 次なるファントムフィールドの情報だ。 |
Kagami |
カガミ
といっても、お前にはなにがなんだかさっぱりだろうが。 とにかく見るだけ見てくれ。 |
Kagami |
シエル
……イシャナのときよりも、 規模の大きなファントムフィールドですね。 |
Ciel |
カガミ
ああ。イシャナは小さな島にある町ひとつ程度の広さだったが、 今度はもっと広範囲を探索しなければならないだろうな。 |
Kagami |
カガミ
それに、イシャナのときよりもさらに未来の時代のようだ。 |
Kagami |
1: ち、ちょっと待って! |
1: |
シエル
はい。……未来へ行くことが、不思議ですか? レイさん。 |
Ciel |
シエル
境界はあらゆる世界へ繋がっています。 それは同時に、あらゆる時間軸に繋がっているとも言えます。 |
Ciel |
シエル
境界を漂っているファントムフィールドは、 様々な時間軸から発生した場ですから、そこでの時代は様々です。 |
Ciel |
シエル
あのイシャナもレイさんの時間軸から
|
Ciel |
1: 知らなかった…… |
1: |
カガミ
だから、お前がどうやってあの場に |
Kagami |
カガミ
とりあえず今は目の前のファントムフィールドだ。 |
Kagami |
カガミ
文明の存在している世界ではあるようだから、 あとは行けばなんとかなるはず。習うより慣れろ、だ。 |
Kagami |
カガミ
タカマガハラシステムもあるし、 |
Kagami |
TC
ノー。ファントムフィールドへの |
TC |
カガミ
あー、んんっ、ごほんごほん! ……期待してるよ、レイ。 |
Kagami |
1: 40……パーセント? |
1: |
カガミ
……大丈夫。自信を持って。 お前なら最悪、漂流で済むはずだ。そしたら回収するから。 |
Kagami |
カガミ
まぁ……私たちが生きている間に回収できるかは、 保証できないけども。 |
Kagami |
シエル
最低限の装備は、私が携帯しています。 必要なものがあれば、言ってください。 |
Ciel |
カガミ
よし、始めよう! |
Kagami |
オペレーター
フガク、固定翼展開。アンカー射出準備。 |
Operator |
オペレーター
該当ファントムフィールドにフガク時間軸同調開始。
|
Operator |
カガミ
よし、アンカーを打ち込め、
|
Kagami |
第1節 浸入②/ 1. Dive - 2
Summary | |
---|---|
無事ファントムフィールドに侵入できたシエ
ル達。発見したその世界の住人と思われる集 団と接触を試みようとする。 |
1: バッチリ思い出した |
1: |
シエル
記憶の混濁はないようですね。 |
Ciel |
シエル
|
Ciel |
ラーベ
私も問題なく機能しているようだな。よしよし。 あの短時間で完璧な調整とは、我ながら恐れ入る。 |
Raabe |
1: あれ、この丸いボール…… |
1: |
ラーベ
正常な状態で対面するのは、これが初めてだったね。 レイ。 |
Raabe |
ラーベ
私は『アストロラーベ』。独立思考型ユニットだ。 |
Raabe |
ラーベ
ファントムフィールド内では、いつどんな不測の事態が 起こるかわからない。 |
Raabe |
ラーベ
フガクとの通信状況も、いつでも保てるという保障はない。 だが責任者である私が、そっちに同行するのもまずい。 |
Raabe |
ラーベ
なので『破城カガミ』と同様の思考回路を持つ、 この私、アストロラーベを同行させることにしたわけだ。 |
Raabe |
1: ということは…… |
1: |
ラーベ
個体としては、別だね。思考を共有しているわけでもない。 ただ私は、破城カガミと同一の思考をし、独自に判断する。 |
Raabe |
ラーベ
気軽にラーベと呼んでくれ。ラーベちゃんでも構わないよ。 戦闘では役に立たないが、頼もしいだろう。可愛いし。 |
Raabe |
シエル
可愛いという感覚はよくわかりませんが、可愛いのですね。 |
Ciel |
ラーベ
シエルにもそのうち、 この洗練された愛くるしさが理解できるようになる。 |
Raabe |
シエル
そんなことよりも、喋れるようになったのですね、カガミさん。 |
Ciel |
ラーベ
ラーベだって言ってんでしょうが。 あと、そんなこと、という発言は聞き流してあげよう。 |
Raabe |
ラーベ
それに、喋れるのは元からだ。 イシャナではお前が無茶させるから、機能が損傷しただけだし。 |
Raabe |
シエル
そうでした。 |
Ciel |
ラーベ
今回はそんなことがないようにしてもらいたいね。 ……さて。とりあえず周囲の状況だが……。 |
Raabe |
シエル
現在地周辺は森林地帯です。 ここはある程度開けた場所のようですね。 |
Ciel |
シエル
近距離に山岳地帯が確認できます。 上部には人工物と思われる区画が見えます。 |
Ciel |
ラーベ
あれは……都市、か? かなり大掛かりだな。 辺鄙な場所にある割には、しっかり整備されているみたいだ。 |
Raabe |
ラーベ
まあでも、無理もないか。この辺りは魔素がやたらに濃い。 あまり人が住むのに適した環境じゃないからな。 |
Raabe |
シエル
魔素……? 確かイシャナでも確認された、微粒子状の成分ですね。 |
Ciel |
シエル
報告書によるとその成分は空気よりも重く、 生物が体内に取り込めば悪影響を与える恐れがあるとか。 |
Ciel |
シエル
それで、 山岳部の高度のある場所に都市が築かれているのですね。 |
Ciel |
ラーベ
まずは、あの場所に関する情報を集めるところから 始めるのがいいかな。 |
Raabe |
ラーベ
観測者を探すにしても、窯を探すにしても、 このファントムフィールドの状況を理解する必要がある。 |
Raabe |
1: 観測者はどうやって探すの? |
1: |
シエル
その件については私も気になります。 |
Ciel |
ラーベ
それじゃあ、ざっくりと。窯を見つけるには、 先ず観測者の特定をしなければならないが…… |
Raabe |
ラーベ
イシャナでの件で、私の仮説が立証できたからね。 観測者の特定とまではいかないけど、推測することは可能だ。 |
Raabe |
シエル
驚きました。推測可能なんですか? |
Ciel |
ラーベ
まず前提として、ファントムフィールドは 観測者の願望に基づいて構築されている。 |
Raabe |
ラーベ
ゆえに、その世界にどんな願望が反映されているのかが 見えてくれば、その願望の持ち主が観測者ということになる。 |
Raabe |
ラーベ
加えて、観測者はドライブ能力者だ。ドライブ能力を 有していることで、窯を通して境界と繋がることが…… |
Raabe |
ラーベ
ああいや、このあたりの理屈はややこしくなるからいいか。 |
Raabe |
ラーベ
それから、ここからがイシャナで立証できた件だが……。 |
Raabe |
ラーベ
シエル。イシャナのファントムフィールドでの 『リセット』のタイミングがいつだったのか、覚えてるか? |
Raabe |
シエル
確か……タカマガハラシステムによれば、 列聖式という儀式が行われた時点でした。 |
Ciel |
ラーベ
そうだ。観測の結果、時期のズレは多少あったが、 必ずリセット付近に『十聖の列聖式』が発生している。 |
Raabe |
ラーベ
魔道都市イシャナでは、相当重要な儀式らしい。 |
Raabe |
ラーベ
理由は知らんが、新たな十聖の |
Raabe |
ラーベ
トリニティ=グラスフィールの願望が 潰えた瞬間なんだろう。 |
Raabe |
ラーベ
つまり、この世界でターニングポイントと思われる事象に 強く影響を受ける人物……それが『観測者候補』となる。 |
Raabe |
シエル
なるほど。 |
Ciel |
シエル
世界を構築するほどの願望があって、けれどなにかの事象で その願望が潰える可能性がある、ドライブ能力者……ですね。 |
Ciel |
ラーベ
とは言っても、推測は推測だよ。リセットに至る事象だって 予定されたモノなのか突発的なモノなのかはわからない。 |
Raabe |
ラーベ
少なくともリセットが発生する程の事象だ、 世界に対してかなり影響のある出来事なんだろうが……。 |
Raabe |
ラーベ
なんにせよ、地道に情報を集めて、 観測者になり得る人物を探し出す事には変わりない。 |
Raabe |
シエル
そうですね、了解しました。 |
Ciel |
ラーベ
まぁ仮に観測者が特定できても、 問題はどうやって窯まで連れて行くかなんだが……。 |
Raabe |
シエル
問題があるのですか? |
Ciel |
ラーベ
本来、観測者は窯へ近付くことを無意識に避けるんだ。 |
Raabe |
ラーベ
だが観測者が窯を認識しなければ、 窯を破壊することはできない。 |
Raabe |
シエル
では、観測者の特定ができたら、 次にどうやって窯まで誘導するかですね。 |
Ciel |
1: すごく大変そうだ…… |
1: |
ラーベ
簡単なはずないだろう。先程も言ったが、 観測者は無意識に窯を避ける。 |
Raabe |
ラーベ
仮に観測者が判明しても、無理やり窯を認識させたら どんな不具合が発生するかわからない。 |
Raabe |
ラーベ
最悪リセットが発生する可能性もある。 できるだけ、強引な手段は取りたくない。 |
Raabe |
1: そういえば、ここにいる状況で |
1: |
ラーベ
一応緊急時にはタカマガハラシステムが私たちを 回収することになっているよ。ただ……。 |
Raabe |
ラーベ
運が悪ければ消滅。 |
Raabe |
シエル
もしくは境界を永遠に漂流ですかね。 |
Ciel |
1: 最悪だ…… |
1: |
ラーベ
だからそうならないように、 まずはしっかり情報を集める。 |
Raabe |
ラーベ
この世界がどういう状況にあるのかがわかってくれば、 こちらの動き方も定まってくるはずだ。 |
Raabe |
ラーベ
……では、そろそろ行動しよう。 話をしているだけでは、事態は進展しないからな。 |
Raabe |
ラーベ
シエル、お前は先行し周囲の索敵。 レイは私と共にここでシエルのバックアップだ。 |
Raabe |
シエル
了解しました。 レイさん、よろしくおねがいします。 |
Ciel |
1: がんばります! |
1: |
ラーベ
つまり、周囲の確認が終わるまで、 ここでおとなしくしていろということだよ。 |
Raabe |
統制機構衛士A
くそっ! ここにも反逆者どもが! こいつら、一体どこから!? |
NOL Soldier A |
統制機構衛士B
視界が悪い、迂闊に術式を使うな! 同士討ちになるぞ! |
NOL Soldier B |
統制機構衛士C
とにかく本隊と連絡を……! 最低でも現状を伝えなければ……。 |
NOL Soldier C |
統制機構衛士A
こちら探索隊第3班! 現在、反逆者から奇襲を…… |
NOL Soldier A |
レジスタンスA
今だ! 一気に攻め込むぞ! 動ける奴はついて来い! |
Resistance Member A |
レジスタンスB
図書館の連中をぶっ潰せ! |
Resistance Member B |
レジスタンスたち
<size=130%>うおおおおおお! |
Resistance Members |
統制機構衛士A
くそっ! 持ち堪えろ! すぐに援軍が来る! |
NOL Soldier A |
統制機構衛士B
ぐあっ! |
NOL Soldier B |
統制機構衛士D
がっ……! |
NOL Soldier D |
レジスタンスA
押せ押せぇ! 今ならこいつらを潰せるぞ! |
Resistance Member A |
統制機構衛士E
こいつら勢いづきやがって……! |
NOL Soldier E |
統制機構衛士C
くっ、撤退すらままならないか……。 |
NOL Soldier C |
レジスタンスB
図書館どもめ! 俺たちの苦しみを思い知れ! |
Resistance Member B |
レジスタンスB
うあ……! |
Resistance Member B |
ツバキ
落ち着いてください。隊列を崩さないように! |
Tsubaki |
統制機構衛士A
ヤヨイ中尉! |
NOL Soldier A |
ツバキ
すぐに増援も到着します。負傷者は速やかに後方へ。 動けない者には手を貸してあげてください。 |
Tsubaki |
ツバキ
戦える者は、私と共に前へ。今は迎撃のみで十分です。 被害をこれ以上広げないことだけを考えてください。 |
Tsubaki |
レジスタンスA
あいつ……十二宗家の! なんでこんな所に!? |
Resistance Member A |
レジスタンスB
くっ、図書館の連中、急に押し返してきたぞ! この……人数ではまだこちらが上のはずだ! |
Resistance Member B |
レジスタンスA
あの指揮官と無理に戦うな! 離脱したほうがいい! |
Resistance Member A |
レジスタンスC
ビビってんじゃねぇ! あの女さえ倒せば、こっちの勝ちだ。 ここで叩くぞ! |
Resistance Member C |
レジスタンスたち(数名)
<size=130%>おおおお!! |
Resistance Members (Several) |
ツバキ
その程度! |
Tsubaki |
ツバキ
今の内に体勢を整えてください! |
Tsubaki |
統制機構衛士A
はっ! 了解しました! |
NOL Soldier A |
レジスタンスD
駄目だ、あの女指揮官、強すぎる……! |
Resistance Member D |
レジスタンスC
くそっ! またあの女に……。 |
Resistance Member C |
レジスタンスA
撤退だ! 逃げるぞ! |
Resistance Member A |
統制機構衛士C
敵対集団が撤退を開始したようです。 中尉、追撃しますか? |
NOL Soldier C |
ツバキ
……いえ、地の利はあちらにあります。 迂闊に追って、罠にかかるとも限りません。 |
Tsubaki |
ツバキ
今は負傷者の救護を優先して下さい。 それから、捕虜にも十分な治療を。 |
Tsubaki |
ツバキ
あなたは後続の分隊と合流後、部隊を再編成して、 周囲の警戒をお願いします。 |
Tsubaki |
統制機構衛士A
了解しました! |
NOL Soldier A |
ツバキ
……それにしても、 彼らの扇動者は捕えられたというのに…… |
Tsubaki |
ツバキ
これだけの攻勢を続ける士気が、 なぜ保たれているの……? |
Tsubaki |
ラーベ
唐突だがレイ。 今のうちに、ちょっと忠告しておくぞ。 |
Raabe |
ラーベ
ファントムフィールドでは、 お前は自分の身を守ることを第一に考えてくれ。 |
Raabe |
ラーベ
無論、任務遂行を優先して行動はしてほしい。 だが、身の危険を感じたら、シエルに任せてお前は退避しろ。 |
Raabe |
ラーベ
ああ見えても……比喩ではなく、シエルはお前の百倍強い。 |
Raabe |
ラーベ
それにシエルもお前の身の安全を最優先にするだろ。 |
Raabe |
ラーベ
まぁ最終手段として、フガクから強制的に回収することも できるが、それも万能ってわけじゃない。 |
Raabe |
ラーベ
いくらお前が観測の力を持っていても、 お前は不死身じゃない。だから無茶はしないように。 |
Raabe |
1: わかりました、気を付けます |
1: |
ラーベ
素直でよろしい。 |
Raabe |
ラーベ
生意気言うじゃないか。でも、そうだな。 |
Raabe |
シエル
ただ今戻りました。 |
Ciel |
ラーベ
偵察ご苦労。どうだった? |
Raabe |
シエル
報告が2つあります。 |
Ciel |
シエル
この近辺で、敵性生物を確認しました。恐らく、原生生物が 高濃度の魔素の影響で、凶暴化したものと思われます。 |
Ciel |
シエル
移動する際に戦闘になる可能性が高いでしょう。 |
Ciel |
ラーベ
魔物か。まあある程度はシエルが対応できるか。 もう1つは? |
Raabe |
シエル
はい、この先でファントムフィールドの住人と思われる 一団を発見しました。 |
Ciel |
シエル
声と生命反応を確認した限りでは、 10人に満たない集団のようです。 |
Ciel |
ラーベ
おっ、それはいい。レイ、今はとにかく情報だ。 その住人たちに接触してみよう。 |
Raabe |
シエル
……! |
Ciel |
シエル
敵性反応、確認。 周囲の魔物がこちらに気付いたようです。 |
Ciel |
ラーベ
ふむ……ちょっと長話が過ぎたか、それとも……。 まぁいい、魔物が数匹……というところか。 |
Raabe |
シエル
撃退します。 |
Ciel |
ラーベ
よろしく頼むぞ。 か弱いユニットである私は、安全圏からサポートしよう。 |
Raabe |
第1節 浸入③/ 1. Dive - 3
Summary | |
---|---|
集団と接触したシエル達だったが、敵対して
いる統制機構の衛士に取り囲まれ、やむなく 戦闘することとなる。 |
シエル
先程発見した反応は、この先です。 |
Ciel |
レジスタンスA
だ、誰だ!? |
Resistance Member A |
レジスタンスD
う……うぅ……。 |
Resistance Member D |
レジスタンスE
くそっ……新手か……? |
Resistance Member B |
シエル
全員負傷しているようです。 うち、数名は重傷ですね。 |
Ciel |
ラーベ
人数は……6名か。何の集団かわからないが、 武装しているところをみると……。 |
Raabe |
ラーベ
戦闘があって、そこから逃げてきた……って感じかな。 |
Raabe |
1: だ、大丈夫ですか……? |
1: |
レジスタンスA
近づくな! |
Resistance Member A |
ラーベ
待て待て、レイ……。 さっき言ったことをもう忘れたのか? |
Raabe |
レジスタンスA
お前たちは何者だ!? 図書館に雇われた咎追いか!? |
Resistance Member A |
ラーベ
……ふむ、貸しを作るのもアリか……。 |
Raabe |
ラーベ
これだけの人数の治療を行える準備は無いけど、 応急処置くらいなら……。 |
Raabe |
レジスタンスA
な、なんなんだ、お前たち……その丸いのも……。 図書館の連中じゃないのか? |
Resistance Member A |
シエル
対象の警戒度上昇。攻撃の意思を確認。 ……レイさん。下がってください。 |
Ciel |
ラーベ
待てシエル、落ち着け。急に我々のような得体の知れない連中が 現れたんだ、警Raabe戒して当然だよ。 |
Raabe |
レジスタンスA
いいから答えろ! なぜ俺たちを追ってきた!? |
Resistance Member A |
シエル
私たちに、アナタ方に対する害意はありません。 ただ情報を聞き出そうと思っているだけです。 |
Ciel |
レジスタンスB
情報だと? 捕えて、尋問しようってのか! |
Resistance Member B |
シエル
警戒度、さらに上昇しています。 |
Ciel |
ラーベ
……うん。シエル、ちょっと言い方がまずかったな。 |
Raabe |
シエル
複数の接近を新たに確認。……対象、魔物ではありません。 すでにこちらを補足しているようです。 |
Ciel |
シエル
統率の取れた動きです。……早いです、既に囲まれました。 |
Ciel |
統制機構衛士E
全員動くな! 武器を捨てろ! |
NOL Soldier E |
レジスタンスA
くそっ! 図書館め、もう追いつきやがったのか! |
Resistance Member A |
統制機構衛士E
反逆者どもを発見したと中尉に連絡しろ。 確保に移る。 |
NOL Soldier E |
統制機構衛士F
待て、見慣れん連中がいるぞ。 子供か? 奴等の仲間には見えんが……。 |
NOL Soldier F |
統制機構衛士E
構わん。一緒にいるということは、関わりがあるはず。 確保した後に聞き出せばいい。 |
NOL Soldier E |
ラーベ
これは参ったな……かなりの人数だ……。 |
Raabe |
シエル
先にいた負傷兵たちとは、敵対関係にあるようです。 どうしますか? |
Ciel |
ラーベ
ん〜どうするというより、どうなるか……。 |
Raabe |
レジスタンスD
くっ……こんな所で……。 |
Resistance Member D |
レジスタンスD
ぐあ……っ! |
Resistance Member D |
統制機構衛士F
この反逆者めが、 本来なら即刻処刑だと言うことを忘れるな! |
NOL Soldier F |
統制機構衛士E
他の連中も動くなよ。 余計な行動をすれば、命の保障はしないからな! |
NOL Soldier E |
ラーベ
……まぁ、こうなるか。 |
Raabe |
1: ちょっと、怪我人相手に…… |
1: |
ラーベ
レイ、お前はぁ〜〜!! |
Raabe |
統制機構衛士E
おい、貴様! 動くなと言ったはずだ! |
NOL Soldier E |
統制機構衛士E
ぐあっ! |
NOL Soldier E |
シエル
レイさんに武器を向けないでください。 |
Ciel |
統制機構衛士F
貴様、歯向かう気か!? |
NOL Soldier F |
シエル
歯向かう? 発言の意味が理解できません。 |
Ciel |
シエル
レイさんに対する攻撃的行動を確認したので、 私はそれを阻止しただけです。 |
Ciel |
統制機構衛士F
なんだと……? |
NOL Soldier F |
ラーベ
あぁもう……こいつもか。 |
Raabe |
統制機構衛士E
少し痛い目を見ないと、自分たちの状況がわからんらしいな。 |
NOL Soldier E |
統制機構衛士E
子供といえど、反逆者に味方するとどうなるか、 身をもって思い知れ! |
NOL Soldier E |
シエル
……対象の戦闘意思を確認しました。 迎撃してもよろしいでしょうか? |
Ciel |
ラーベ
ハァ……今から穏やかに説得っていうのも……無理だなこれは。 こうなったら仕方ない。 |
Raabe |
ラーベ
やっと見つけた情報源を、みすみす手放すのももったいないし。 ここはとりあえRaabeず、反逆者とか言う彼らに恩を売るとしようか。 |
Raabe |
ラーベ
あ、と、よく見ておけレイ。 お前が無茶をすると……こうなるんだぞ。 |
Raabe |
ラーベ
シエル、戦闘開始だ、敵性体を無力化しろ。 |
Raabe |
シエル
了解。対象の無力化を開始します。 |
Ciel |
統制機構衛士F
いいだろう。我々、世界虚空情報統制機構に楯突くならば、 反逆の意思ありとみなす! 捕えろ! |
NOL Soldier F |
第1節 浸入④/ 1. Dive - 4
Summary | |
---|---|
統制機構衛士を倒したシエル達だったが、指
揮官であるツバキが現れ、シエル達を拘束し ようとする。 |
|
ツバキの攻撃をしのいだシエルたちだったが、
統制機構の増援が到着し、更なる戦闘を避け るため拘束されることになる。 |
統制機構衛士E
うぐっ……! |
NOL Soldier E |
シエル
対象の戦闘レベル低下を確認。 |
Ciel |
1: シエルって…… |
1: |
ラーベ
お前の影響だな。 イシャナ時よりも、お前の観測力は増しているようだ。 |
Raabe |
統制機構衛士F
くっ……。反逆者どもの中にまだこんな奴らが……ぐっ。 |
NOL Soldier F |
シエル
完全に無力化しますか? 命令を。 |
Ciel |
ラーベ
いやいや、もう十分だ。 |
Raabe |
ラーベ
うん。多少手荒い流れになったが、 やむを得なかったということにしておこう。 |
Raabe |
ラーベ
レイ、軽率な行動は控えてくれよ。 |
Raabe |
1: すみません…… |
1: |
レジスタンスA
え、衛士たちをこんなに簡単に倒しちまうなんて……。 あんたたちも、図書館と戦っているのか? |
Resistance Member A |
シエル
いえ、御剣機関と図書館という組織との 戦闘に関する記録はありません。 |
Ciel |
シエル
改めまして、私は御剣機関所属のスレイプニール、 シエル=サルファーと申します。 |
Ciel |
シエル
こちらはレイさん、そしてこちらは……。 |
Ciel |
ラーベ
私はいい。 |
Raabe |
レジスタンスA
御剣機関? なんだそれは? ……聞いたこともないな。 |
Resistance Member A |
レジスタンスB
レジスタンスに参加希望ってわけでもなさそうだが…… 少なくとも、図書館ではないってことか。 |
Resistance Member B |
1: 図書館? |
1: |
レジスタンスA
おいおい、何言ってんだよ。 ……お前ら……本当に図書館を知らないのか? |
Resistance Member A |
シエル
図書館という単語は知っていますが、 おっしゃっているのはどうやら固有の組織名のようですね。 |
Ciel |
シエル
そのような組織については……。 |
Ciel |
ラーベ
シエル、世間話は後にしよう。 さっさとこいつらを連れて、この場から離れたほうが……。 |
Raabe |
シエル
……また誰か来たようです。 |
Ciel |
統制機構衛士A
中尉、連絡にあった場所はこの辺りです。 すでに戦闘は落ち着いているようですが……なっ!? |
NOL Soldier A |
統制機構衛士A
お前たち、何があった!? 貴様ら……連絡にあった反逆者だな!? |
NOL Soldier A |
ラーベ
……ちょっとこっちの対応が遅かったか…… これはマズイかな。 |
Raabe |
ツバキ
……状況の説明をお願いできますか? |
Tsubaki |
統制機構衛士F
や、ヤヨイ中尉! |
NOL Soldier F |
統制機構衛士E
はっ! 発見した反逆者どもを拘束しようとしたのですが、 あの奇妙な連中に不意の抵抗に遭いまして……。 |
NOL Soldier E |
ツバキ
……彼らが? |
Tsubaki |
ツバキ
私は世界虚空情報統制機構の、 ツバキ=ヤヨイ中尉と申します。 |
Tsubaki |
ツバキ
ここにいる私の部下…… 彼らを制圧したのは、あなた達で間違いありませんか? |
Tsubaki |
シエル
……質問の言葉をそのまま返すのでしたら、 そちらの方々を無力化したのは私です。 |
Ciel |
統制機構衛士A
こんな子供が……馬鹿な! |
NOL Soldier A |
ツバキ
つまり……レジスタンスの一員として、 世界虚空情報統制機構に対し攻撃を行ったということですね? |
Tsubaki |
シエル
いえ、私達はレジスタンスではありません。 |
Ciel |
シエル
そちらの方がレイさんに武器を向けたので、 警告をしたのですが……。 |
Ciel |
シエル
それを無視したため、 防衛措置、つまり武力での措置を取らせていただききました。 |
Ciel |
ツバキ
なるほど……言い分はわかりました。 |
Tsubaki |
ラーベ
……………。 |
RaRaabeabe |
ツバキ
事情があったようですが、 それでも統制機構の衛士を攻撃したのは事実です。 |
Tsubaki |
ツバキ
この状況を見過ごすわけにはいきません。 事情も含め、詳しい話を支部でうかがいましょう。 |
Tsubaki |
ツバキ
総員、反逆者とその関係者と思われる者を、 拘束しなさい! |
Tsubaki |
レジスタンスA
くそっ、そう簡単に捕まるか! 立て、お前ら! 俺たちには今、あの嬢ちゃんたちがついてる! |
Resistance Member A |
レジスタンスE
おお! 今ならあの女指揮官にも、勝てるかもしれない! 逆にあいつを捕まえて、連れ帰るぞ! |
Resistance Member B |
ラーベ
やめといたほうがいい。あの中尉さん、かなり強いぞ。 それと、シエルは私の部下だ。勝手に命令するんじゃない。 |
Raabe |
レジスタンスA
なんだと!? この丸いの、何言ってやがる! |
Resistance Member A |
シエル
申し訳ありませんが、カガ……ラーベさんの言う通りです。 |
Ciel |
シエル
私は御剣機関の所有物であって、 レジスタンスとは関係ありません。ですが……。 |
Ciel |
統制機構衛士A
全員、大人しくしろ! |
NOL Soldier A |
シエル
敵対行動に対しての対応はさせていただきます。 |
Ciel |
ラーベ
できれば逃げたいところだけど…… そうはさせてもらえそうにないな。 |
Raabe |
ラーベ
レイ、シエルと対応を頼む。 |
Raabe |
シエル
了解です。レイさんは後ろを。 ……迎撃開始、します。 |
Ciel |
シエル
はあっ! |
Ciel |
ツバキ
くっ……! やりますね。 かなり戦えるようですが……。 |
Tsubaki |
シエル
対象、健在。 戦闘を続行します。 |
Ciel |
ツバキ
いえ、ここまでです。 |
Tsubaki |
シエル
……っ! 動体総数……36……いえ39……更に増えそうです。 |
Ciel |
ラーベ
なるほどな。 今の小競り合いは、増援到着までの時間稼ぎか……。 |
RaabeRaabe |
ツバキ
すでにあなた達の包囲は完了しています。 これ以上の抵抗は無駄です。 |
Tsubaki |
ツバキ
こちらも無闇に、力に訴えるつもりはありません。 大人しく従うのであれば、これ以上の攻撃は加えません。 |
Tsubaki |
レジスタンスA
くそ……そんな脅しに屈するか……! |
Resistance Member A |
ラーベ
おい、レイ。 |
RaabRaabee |
1: |
1: |
レジスタンスA
ぐ……わかったよ。 |
Resistance Member A |
シエル
……わかりました。レイさんに従います。 |
Ciel |
ツバキ
安心してください、約束は守りますから。 この者達を連行しなさい。 |
Tsubaki |
統制機構衛士A
はっ! |
NOL Soldier A |
レジスタンスF
くそ!離せっ! |
Resistance Member F |
統制機構衛士G
早く立て! この反逆者が! |
NOL Soldier G |
レジスタンスF
ぐっ……! |
Resistance Member F |
ツバキ
そこ。不必要な制裁は控えなさい。 捕虜には規則通りの扱いを徹底するように。 |
Tsubaki |
統制機構衛士G
も……申し訳ありません。 |
NOL Soldier G |
ツバキ
我々の行動は、全ての人に対し模範となるべきです。 これは帝のお言葉であるということを、忘れないように。 |
Tsubaki |
統制機構衛士G
は、はっ!! |
NOL Soldier G |
シエル
ツバキ中尉という方は、 周囲と比べて理性的な人物のようですね。 |
Ciel |
ラーベ
それに、ある程度の地位と権力を持つ 人物でもあるようだ。 |
Raabe |
ラーベ
……レイ、どう思う? |
Raabe |
1: ……はい |
1: |
ツバキ
あなた方も、統制機構の支部まで同行願います。 くれぐれも、反抗的な行動は控えてください。 |
Tsubaki |
シエル
わかりました。 |
Ciel |
第2節 秩序を望む者①/ 2. One Who Wishes For Order - 1
Summary | |
---|---|
牢での事情聴取の際に、ツバキから統制機構
とレジスタンスの関係を聞き出すことに成功 する。 |
1: まいった…… |
1: |
ツバキ
場所を変える手間を省いてすみませんが、 このまま、あなた方への尋問を始めます。 |
Tsubaki |
ツバキ
多くの捕虜への尋問と、治療場所の確保のために、 余分な部屋が残っていないものですから……。 |
Tsubaki |
1: 意外と快適です |
1: |
ツバキ
……落ち着いているのですね。このような状況だというのに。 それとも、危機感が薄いのでしょうか……。 |
Tsubaki |
ツバキ
シエル=サルファー。レイ。 名前に間違いはありませんね? |
Tsubaki |
シエル
はい。 |
Ciel |
ツバキ
あなた方2名と、連れている詳細不明の小型機械には、 反逆組織への関与の疑いがあります。 |
Tsubaki |
ツバキ
あなた方と、レジスタンスと自称する彼らの関係について、 なるべく詳しく教えてください。 |
Tsubaki |
ツバキ
最初に断っておきますが、虚偽の証言や黙秘は、拘束期間を 伸ばすだけでなく、ここでの立場を悪くさせます。 |
Tsubaki |
ツバキ
なので返答は慎重に行ってください。 |
Tsubaki |
シエル
わかりました。 |
Ciel |
ツバキ
まず、あなた方は何者ですか? 名前を調べましたが、 この階層都市ヤマツミの住人ではありませんね。 |
Tsubaki |
シエル
私達は、御剣機関の者です。 |
Ciel |
ツバキ
御剣機関? 聞いたことのない名前ね……。 |
Tsubaki |
ツバキ
御剣機関は、 先ほどのレジスタンスたちとどのような関係なのですか? |
Tsubaki |
シエル
レジスタンスという方々と、特別な関係はありません。 |
Ciel |
シエル
そもそもレジスタンスの方々はなにを目的として 活動しているのか、説明していただけないでしょうか? |
Ciel |
ツバキ
……今は私の質問したことにのみ答えなさい。 |
Tsubaki |
シエル
了解しました。 |
Ciel |
ツバキ
なぜ、先ほど一緒に拘束された者たちに 協力したのですか? 活動の目的も知らないのに。 |
Tsubaki |
シエル
それは、レイさんが……。 |
Ciel |
1: な、なりゆきで |
1: |
ツバキ
では……あなた方はレジスタンスの関係者ではないと? |
Tsubaki |
シエル
はい。レジスタンスと呼称される方たちとは、 あの森の中で初めて会いました。 |
Ciel |
ツバキ
なら、あなた方はなんの目的であの森にいたのですか? |
Tsubaki |
シエル
ファントムフィールドを調査するためです。 |
Ciel |
ラーベ
お、おい、こら……! |
Raabe |
ツバキ
ふぁん、とむ? |
Tsubaki |
シエル
この世界の観測者を特定し、 ファントムフィールドの活動を停止……。 |
Ciel |
シエル
きゃう!? |
Ciel |
ツバキ
えっ……、あの、今なにか凄い音が……。 |
Tsubaki |
シエル(ラーベ)
気のせいだ。それよりこちらについてだが。 |
Ciel (Raabe) |
1: 何て自然な二人羽織! |
1: |
ツバキ
え、え? なにか口調も変わっているような……。 |
Tsubaki |
シエル(ラーベ)
気のせいだ。 |
Ciel (Raabe) |
ツバキ
そ、そう……。 こほん。では、改めて。あなた方の目的は? |
Tsubaki |
シエル(ラーベ)
我々御剣機関は学術機関だ。 環境についての調査を行っている。 |
Ciel (Raabe) |
ツバキ
学術機関……? 環境調査と言いましたが、 そのためにわざわざ階層都市から出たのですか? |
Tsubaki |
シエル(ラーベ)
ああ、ええと。それなんだが。 我々はかなり遠方からやってきていてだな……。 |
Ciel (Raabe) |
シエル(ラーベ)
少々トラブルがあって、ここへ辿り着いた。 だからここがどこなのかも、はっきりわかっていない状態なんだ。 |
Ciel (Raabe) |
シエル(ラーベ)
レジスタンスがどういう活動をしているのかも、 実のところよくわかっていない。 |
Ciel (Raabe) |
シエル(ラーベ)
なので改めてお願いしたい。出来ればこの都市の事も含めて、 その辺りの事を教えてもらえないだろうか。 |
Ciel (Raabe) |
ツバキ
……もう一度忠告しますが、下手な嘘を吐いても 良いことはありませんよ。 |
Tsubaki |
1: 嘘はついていません |
1: |
ツバキ
……。わかりました、いいでしょう。 |
Tsubaki |
ツバキ
ここは第十七階層都市ヤマツミ。世界虚空情報統制機構が 管理する、17番目の階層都市です。 |
Tsubaki |
ツバキ
階層都市は、ご覧の通りいくつものプレート状の市街を築き、 それを何層も重ねて構築された都市のことです。 |
Tsubaki |
ツバキ
ですがヤマツミは、階層都市としてはまだ建造中の段階です。 |
Tsubaki |
シエル(ラーベ)
建造中? ここに来るまでに見えた限りでは、 とてもそうは思えなかったが……。 |
Ciel (Raabe) |
ツバキ
ええ。この統制機構支部を始め、上層の都市部分はすでに完成し、 正常に機能しています。ですが……。 |
Tsubaki |
ツバキ
下層部分は現在、施工作業が度々妨害され、 建造が半ば止まっている状態です。 |
Tsubaki |
シエル(ラーベ)
その妨害をしているのが、件のレジスタンスたちか。 |
Ciel (Raabe) |
ツバキ
彼らは、この階層都市ヤマツミの建設に反対し、 それを阻止しようとしています。 |
Tsubaki |
ツバキ
その主体は、建設開始以前からこの山岳地帯に住んでいた 者たちですが、現在では多くの傭兵も所属しています。 |
Tsubaki |
ツバキ
建設の反対に留まらず、統制機構そのものへの反対思想から、 やり方は次第に過激となっていって……。 |
Tsubaki |
ツバキ
今では日常的に、武力衝突が絶えません。衛士だけでなく、 階層都市の市民にも、少なからず被害が出ています。 |
Tsubaki |
シエル(ラーベ)
市民にもとなると、看過できない事態なんだろうな。 |
Ciel (Raabe) |
ツバキ
もちろんです。階層都市を、そして世の秩序を管理する 機関として、統制機構がこれを見過ごすわけにはいきません。 |
Tsubaki |
ツバキ
我々は一刻も早く反逆者を鎮圧し、市民の暮らしの 平穏を守り、都市建設を完了させなければなりません。 |
Tsubaki |
ツバキ
そのため、彼らの活動を阻止するべく、 定期的に都市周辺を警戒巡回しているのですが……。 |
Tsubaki |
シエル(ラーベ)
その最中に起こった、そちらとレジスタンスの衝突に、 我々が遭遇した、と。 |
Ciel (Raabe) |
ツバキ
そういう事になりますが…… 本当に、なにも把握していないのですね? |
Tsubaki |
シエル(ラーベ)
そう。信じるかどうかはそちらに任せるよ。 |
Ciel (Raabe) |
ツバキの部下
失礼します! |
Tsubaki's Subordinate |
ツバキの部下
ヤヨイ中尉、コハク大尉がお戻りになられました。 |
Tsubaki's Subordinate |
ツバキ
わかりました、すぐに向かいます。 |
Tsubaki |
ツバキ
……では、今日の尋問はここまでです。 |
Tsubaki |
ツバキ
あなた達の処遇については、追って通達します。 それまではくれぐれも、問題を起こさないように。 |
Tsubaki |
ツバキ
お待たせしました、コハク大尉。 |
Tsubaki |
ヒビキ
ヤヨイ中尉、お疲れ様です。 |
Hibiki |
ヒビキ
報告はすでに受けています。反逆者との交戦中に 所属不明の戦闘員を拘束したそうですね。 |
Hibiki |
ツバキ
はい。先ほどまで、尋問を行っておりました。 |
Tsubaki |
ツバキ
遠方から環境調査に来た 『御剣機関』という組織の調査員だと主張しています。 |
Tsubaki |
ヒビキ
『御剣機関』……? 聞いたことのない名前ですね……。 |
Hibiki |
ツバキ
レジス……反逆者とは無関係だと言っていますが、 事実関係はこれから確認をとるつもりです。 |
Tsubaki |
ヒビキ
ヤヨイ中尉。あなたはどう感じているのですか? |
Hibiki |
ツバキ
私……ですか? |
Tsubaki |
ヒビキ
はい。事実確認はもちろんですが、直接尋問をした、 あなたの率直な意見を聞かせてください。 |
Hibiki |
ツバキ
……嘘をついているようには、見えませんでした。 |
Tsubaki |
ツバキ
いえ、嘘だとしたら不自然です。 あまりにも、この世界について知らなすぎる。 |
Tsubaki |
ヒビキ
世界について……ですか。 |
Hibiki |
ツバキ
階層都市や統制機構の名前すら、初めて聞いた様子でした。 |
Tsubaki |
ヒビキ
正直、信じられないですね。 統制機構の名前を知らないなんて……。 |
Hibiki |
ヒビキ
それで、彼らはどこに? |
Hibiki |
ツバキ
今は大人しく牢に入っています。 |
Tsubaki |
ヒビキ
一緒に拘束された反逆者も、 彼らは仲間ではないと言っているようですが……。 |
Hibiki |
ヒビキ
連中の仲間でないのなら、それはそれで厄介な……。 |
Hibiki |
ヒビキ
全く……カグラ様が不在だというのに。 こうも問題続きでは、お戻りになったときになにを言われるか。 |
Hibiki |
ヒビキ
……キサラギ少佐の到着には、まだ時間がかかりそうですか? |
Hibiki |
ツバキ
そのようです。どうやら向こうで、トラブルがあったとかで。 |
Tsubaki |
ツバキ
ですが、このような事態に 少佐たちのお手を煩わせるわけにもいきません。 |
Tsubaki |
ツバキ
できればご到着の前に、 こちらの問題を片付けておきたいところです……。 |
Tsubaki |
ヒビキ
それについては、同感です。カグラ様のお力は、階層都市と 統制機構のより良い発展のために活かされるべきです。 |
Hibiki |
ヒビキ
このような些末事に関わる時間はありません。 |
Hibiki |
ヒビキ
だからこそ、その地盤固めが必要なのですが……。 とにかく、手の届くところから、順に片付けていくとしましょう。 |
Hibiki |
ツバキ
はい。引き続き、あの『御剣機関』を名乗る不審人物の 尋問と調査は、私が担当します。 |
Tsubaki |
ツバキ
コハク大尉、申し訳ありませんが、反逆者たちへの 対応をお願いしてもよろしいでしょうか……? |
Tsubaki |
ヒビキ
構いませんよ。もとより自分は、キサラギ少佐不在の間、 あなたの補佐をするようにと言われていますから。 |
Hibiki |
ヒビキ
キサラギ少佐が正式に赴任するまでは、一時的にではあれど ヤヨイ中尉がヤマツミの責任者です。 |
Hibiki |
ヒビキ
だから階級など気にせず、指示してください。 |
Hibiki |
ツバキ
ありがとうございます。 |
Tsubaki |
ヒビキ
ああ、ですがひとつだけ。 ヤヨイ中尉も重々、おわかりだとは思いますが。 |
Hibiki |
ツバキ
……なんでしょうか。 |
Tsubaki |
ヒビキ
自分がヤマツミに出向しているのは、 ひとえにここの建造が遅れに遅れているからです。 |
Hibiki |
ヒビキ
第十七階層都市ヤマツミが完成しなければ、新たに住民を 受け入れることもできず、統制機構はその役目を果たせません。 |
Hibiki |
ヒビキ
この件に関してはカグラ様も気にかけておられます…… その事だけは、お忘れなきようお願いしますね。 |
Hibiki |
ツバキ
……はい、もちろんです。 |
Tsubaki |
ツバキ
なっ!? 一体何が……!? |
Tsubaki |
第2節 秩序を望む者②/ 2. One Who Wishes For Order - 2
Summary | |
---|---|
牢越しに出会ったレジスタンスのリーダーバ
レットは、助けに来た久音と一緒にシエル達 と脱獄することになる。 |
シエル
……、……はっ! |
Ciel |
1: 気がついた? |
1: |
シエル
はい。ですが、ええと……私は一体……。 なぜだか後頭部が少し痛むような……。 |
Ciel |
ラーベ
気のせいだ、気のせい。 |
Raabe |
ラーベ
それより、シエル。 前もって言っておかなかった私も悪かったが……。 |
Raabe |
ラーベ
『窯』や『観測者』のことを、みだりに口にしないように。 要らぬ混乱を招く恐れがあるからね。 |
Raabe |
シエル
了解しました。以後注意します。 |
Ciel |
ラーベ
もちろん、話すべきときは話したほうがいい。 じゃないと何も進まないし。 |
Raabe |
ラーベ
役に立ちそうな協力者であるとか、 観測者かどうか見極めるためにであるとか。 |
Raabe |
ラーベ
まあ、状況に応じてだ。下手に駆け引きしようとしても、 お前に人を騙せるとは思えないし……。 |
Raabe |
シエル
そうですか? |
Ciel |
ラーベ
少しは自覚してほしいぞ。 |
Raabe |
ラーベ
まあいい。ツバキ=ヤヨイから話を聞けたおかげで、 少し状況が見えてきた。 |
Raabe |
ラーベ
ここは世界虚空情報統制機構に管理されている都市、 第十七階層都市ヤマツミ。 |
Raabe |
ラーベ
この統制機構に対して、 レジスタンスは反抗し、武力衝突を繰り返している。 |
Raabe |
ラーベ
公的治安維持組織と、それに抵抗する民間組織。 その抗争の最中に、我々はいるわけだ。 |
Raabe |
シエル
統制機構は、 レジスタンスを制圧しようとしているようですね。 |
Ciel |
シエル
対するレジスタンスは、統制機構に抵抗しているわけですから、 やはり統制機構を倒すことが目的なのでしょうか。 |
Ciel |
シエル
先程の戦力から分析すると、レジスタンスが勝利する見込みは 限りなく低いと思われるのですが……。 |
Ciel |
ラーベ
単純に考えれば、目的は打倒統制機構、だろうな。 でも、抵抗運動とはそういう単純なモノではないんだよ。 |
Raabe |
シエル
勝利が目的ではないのですか? |
Ciel |
ラーベ
まだなんとも言えないな。 統制機構とやらの組織の大きさがまるでわからないし。 |
Raabe |
ラーベ
無論、レジスタンス側も含めてな。 |
Raabe |
シエル
そうですね……。では、両陣営の目的、戦力、組織の規模など。 そういったものを調査しましょう。 |
Ciel |
ラーベ
その辺りが、調査の入り口としては妥当だろうな。 |
Raabe |
ラーベ
繰り返しになるが、ファントムフィールドは、 観測者の願望や欲望の影響を強く受けている。 |
Raabe |
ラーベ
どんな願望がこのファントムフィールドを構成しているか 見えてくれば、観測者を特定する重要な手がかりになる。 |
Raabe |
ラーベ
それで、だ。観測者は基本的に ドライブ能力者であるとを考慮すると……。 |
Raabe |
1: ひとり見つけたね |
1: |
シエル
はい。ツバキ中尉はドライブ能力者でした。 ファントムフィールドの観測者である可能性はあります。 |
Ciel |
ラーベ
加えてツバキ=ヤヨイは、統制機構なる組織において それなりの地位の人物のようだし……。 |
Raabe |
ラーベ
彼女については、もう少し詳しく知りたいところだな。 |
Raabe |
シエル
……ですが、牢屋にいては情報の集めようがありません。 またツバキ中尉が尋問に来るまで待つしかないのでしょうか。 |
Ciel |
ラーベ
それだよなぁ。いつ彼女が現れるかわからない以上、 気軽に待つのも悠長すぎるような……。 |
Raabe |
シエル
牢を破壊しますか? 20秒程いただければ……。 |
Ciel |
ラーベ
破壊って……脱獄する気か、お前は。 |
Raabe |
シエル
事態を動かしたほうが、結果的に情報は集まる。 と、教えてくださったのはカガミさんです。 |
Ciel |
ラーベ
私のバカ。とにかく、今は落ち着け。 もう少し様子を見てからでも……。 |
Raabe |
ラーベ
なんだ? |
RaRaabeabe |
シエル
壁の向こうから聞こえました。 ……誰かが、壁を叩いているようです。 |
Ciel |
???
……おい。聞こえるか? そっちの牢にいるんだろう? |
??? |
シエル
……私達にコンタクトを取りたいようです。 答えますか? |
Ciel |
1: どちらさまですか? |
1: |
???
ふっ……緊張感のない返事だな。あのツバキ=ヤヨイ相手に、 思い切った嘘をつき通しただけはある。 |
??? |
シエル
なにが嘘なのでしょうか? |
Ciel |
???
御剣機関、だったか? 学術機関? 環境調査? そんな嘘を大マジで話したのが逆に良かったのかもな。 |
??? |
???
いいか? この世界で、統制機構と関わりの無い組織は 存在しない。 |
??? |
???
つまり、ツバキ=ヤヨイが知らない時点で、 お前たちの名乗る組織は存在しないと言っていい。 |
??? |
???
どうしてそんな、子供も騙せないような嘘をつく? |
??? |
シエル
嘘ではありません。ですが……そうですか。 この世界では、統制機構はそれ程の組織なのですね。 |
Ciel |
???
『この世界では』だって? 『面白い』言い方だな。 まるでこの世界じゃない場所から来たみたいだ。 |
??? |
ラーベ
………………(面白い?) |
Raabe |
シエル
……そう理解していただいても、問題ありません。 |
Ciel |
???
はははっ! 本当に面白いなお前ら。 それに……思っていた以上に度胸もある。 |
??? |
???
それなら、安心だな。 |
??? |
シエル
安心とは、どういう意味ですか? |
Ciel |
???
聞き間違いでないなら……。 牢を破壊とか脱獄するとか言っていなかったか? |
??? |
シエル
はい。言いました。 正確には……。 |
Ciel |
???
ああ、いい、いい。答え合わせがしたいわけじゃない。 |
??? |
???
脱獄の意思があって、 図書館に歯向かう根性があるかどうか、知りたかっただけだ。 |
??? |
シエル
図書館……。ここに来る前にも何度か耳にしましたが、 それは統制機構のことですか? |
Ciel |
???
なんだ、そんなことも知らないのか。 ああ、そうだ。世界虚空情報統制機構。通称、図書館。 |
??? |
???
連中、武器や格闘だけじゃなく、術式を使うだろ。 あれは『魔道書』を使ってるんだ。 |
??? |
???
管理するためだとか、なんとか言って、 世界中から『魔道書』をかき集めている。だから『図書館』だ。 |
??? |
シエル
なるほど。理解しました。 |
Ciel |
ラーベ
……図書館でも統制機構でもいいが、 脱獄すると決めたわけではないぞ。 |
Raabe |
ラーベ
こちらの事情のために、そうする必要が出てくるかもしれない、 という可能性の話をしていたに過ぎない。 |
Raabe |
ラーベ
そもそも『この世界の常識』を知らないんだからな。 |
Raabe |
???
そうか……。だがもう、あまり時間がない。 悪いが、早々に決めてほしい。 |
??? |
シエル
どういうことでしょう? |
Ciel |
???
お前たち、私と一緒に来ないか? |
??? |
シエル
アナタと……ですか? |
Ciel |
???
そうだ。盗み聞きして悪いが、 お前たち……多分ここから出されることはないぞ。 |
??? |
ラーベ
彼女……ツバキ=ヤヨイから見れば、 私たちは怪しすぎるということか。 |
Raabe |
???
そういうことだ。 |
??? |
1: でも……名前も知らない人についてっちゃ駄目って言われてるし | |
バレット
あぁ、すまない。名乗るのを忘れていたな。 私はバレット。レジスタンスの一員だ。 |
Bullet |
バレット
数日前に投獄されたんだが…… こうしているのも退屈でな。 |
Bullet |
バレット
そろそろ、ここを出ようと思ってるんだ。 |
Bullet |
シエル
え? |
Ciel |
シエル
爆発音です! |
Ciel |
バレット
来たか。 |
Bullet |
バレット
このタイミングで私の隣室とは、 お前たち、運がいい。 |
Bullet |
牢番A
な、なんだ!? |
Prison Guard A |
牢番B
わ、わからん、突然爆発が……。 とにかく、上に連絡を! |
Prison Guard B |
牢番A
なっ……! |
Prison Guard A |
牢番B
ぐあっ! |
Prison Guard B |
レジスタンスA
バレットさん、ご無事ですか!? |
Resistance Member A |
バレット
ああ、こっちだ! |
Bullet |
レジスタンスB
待っててください、今開けますよ! |
Resistance Member B |
バレット
ありがとう、助かった。外はどうなってる? |
Bullet |
レジスタンスA
陽動はうまくいってます。 別のフロアの奴等も、今ごろ仲間が助け出しているはずです。 |
Resistance Member A |
レジスタンスB
例の助っ人が、大活躍ですよ。 |
Resistance Member B |
バレット
それはありがたい。 それで、助っ人は今どこに……。 |
Bullet |
???
こっちはあらかた片付けたわ。そっちはどう? |
??? |
レジスタンスA
久音さん! バレットさんも解放しました。あとは脱出だけです! |
Resistance Member A |
バレット
久し振りだな、久音。 まさか脱獄作戦にも協力してくれるとは思わなかったぞ。 |
Bullet |
久音
脱獄作戦……って。 他に言い様あるでしょ。 |
'Kuon |
久音
……さすがに、レジスタンスのリーダーであるあなたが 不在の中、しれっと出ていくのは気が引けたのよ。 |
'Kuon |
久音
再会の挨拶はあと。 呑気におしゃべりしてる時間はないわ。 |
'Kuon |
久音
衛士が大勢でやってきたら、さすがに手こずるもの。 今のうちにさっさと脱出しましょう。 |
'Kuon |
バレット
ああ。だが、少し待ってくれ。 |
Bullet |
バレット
ようやく、顔が見られたな。 お隣さん。 |
Bullet |
シエル
アナタが、バレットさんですか。 |
Ciel |
バレット
そうだ。お前たちは……思っていたより子供だな。 って、なんだそれは? ボールが、浮いている? |
Bullet |
ラーベ
失礼な、誰がボールだ。私はアストロラーベ。 あるいはラーベと呼べ。 |
Raabe |
バレット
その声……驚いたな。まとめ役だと思っていた声の主が、 まさかこんな姿だったとは……。 |
Bullet |
シエル
私はシエル=サルファーといいます。 こちらは、レイさんです。 |
Ciel |
バレット
よろしく。 |
Bullet |
ラーベ
お前がレジスタンスのリーダーか。 |
Raabe |
バレット
代理だけどな。 待ってろ、すぐに鍵を開ける。 |
Bullet |
バレット
さあ。これでお前たちも自由だ。 |
Bullet |
シエル
私達はまだ、レジスタンスに参加するとは 言っていませんが? |
Ciel |
バレット
協力しなければ助けない、とも言っていない。 |
Bullet |
バレット
仲間を助けてくれたんだろう。そのせいで疑われ、拘束された。 それを聞いて、放ってはいけない。 |
Bullet |
バレット
なにか目的があって、この土地に来たんだろう? ここを出てからどうするかは、お前たちが決めればいい。 |
Bullet |
バレット
まあ、そのうえで、我々に協力してくれると助かるがな。 |
Bullet |
シエル
どうしますか、レイさん。 |
Ciel |
1: ついて行ってみよう |
1: |
ラーベ
確かに、牢に拘束されたままでは 行動に制限がありすぎるしな。 |
Raabe |
バレット
そうと決まれば、こんな所はさっさと脱出するぞ。 |
Bullet |
久音
話がまとまったなら、急いで。 もたもたしてると全員捕まっちゃう。 |
'Kuon |
シエル
わかりました。先導をお願いします。 |
Ciel |
久音
ん……? あなた、その格好……。 |
'Kuon |
シエル
レイさんが、どうかしましたか? |
Ciel |
久音
あ……いいえ、なんでもないの。 とにかく今はここを離れて……。 |
'Kuon |
統制機構衛士A
おい、お前、動くな! |
NOL Soldier A |
久音
やばっ! もう来た! |
'Kuon |
バレット
だが相手は少数だ。強行突破するぞ! |
Bullet |
第2節 秩序を望む者③/ 2. One Who Wishes For Order - 3
Summary | |
---|---|
脱獄したシエル達は警備用ゴーレムと対峙す
る。 |
|
シエル達の脱獄後、ツバキは衛士達に指示を
出すため牢屋に足を運ぶ。 |
シエル
追っ手の反応はありません。振り切れたようです。 |
Ciel |
バレット
他の仲間たちも脱出できたようだな。 では計画通り、3つのルートに分かれてヤマツミを出る! |
Bullet |
バレットの部下
了解! バレットさん、気をつけて下さいね。 |
Bullet's Subordinate |
バレット
お前たちもな。 |
Bullet |
バレット
レイとシエルはその丸いのを持って、 私について来い。 |
Bullet |
バレット
少し遠回りになるが、撹乱しつつ撤退する! |
Bullet |
シエル
戦力を分散させるのですか? |
Ciel |
バレット
ああ。 中には戦闘に不向きな者や、負傷者もいる。 |
Bullet |
バレット
彼らを安全に逃がすためには、真っ先に狙われるだろう私が 囮となって、統制機構を引きつけたほうがいい。 |
Bullet |
バレット
私なら、多少の包囲ぐらい突破できる。 ……お前たちも、かなり戦えるんだろう? |
Bullet |
ラーベ
厄介なほうに巻き込んでくれたってわけか。 シエル、戦闘は任せるぞ。 |
Raabe |
シエル
了解しました。 |
Ciel |
久音
私も一緒にいくわ。 |
'Kuon |
バレット
ああ、よろしく頼む。 派手に暴れて、こちらに注意を引きつけてくれ。 |
Bullet |
久音
ふふ、任せて。そういうのは大得意。 |
'Kuon |
バレット
レイ。 お前たちはあまり無理するな。 |
Bullet |
バレット
危険だと思ったら、先に逃げてくれて構わない。 地獄にまで付き合わせるつもりはないからな。 |
Bullet |
久音
来たわ! あっち、結構焦ってるみたいね。 いかついもの持ち出してきたじゃない。 |
'Kuon |
バレット
警備用のガーディアンゴーレムだ。 兵器が相手なら、遠慮はいらない。思いっきりいかせてもらう! |
Bullet |
シエル
戦闘態勢に入ります。 レイさん、私の側にいてください。 |
Ciel |
ツバキ
収容されていた反逆者たちは、 全員逃亡したようですね。 |
Tsubaki |
統制機構衛士
現在、捜索を続けていますが、拘束には至っておりません。 申し訳ありません……。 |
NOL Soldiers |
ツバキ
逃亡を許したのは残念ですが、 警備に不備はありませんでした。 |
Tsubaki |
ツバキ
彼らの戦力が予想以上であったこと、奇襲が巧妙であったことが 原因です。自分を責めず、できることをしてください。 |
Tsubaki |
ツバキ
それから、負傷者の治療は完了しましたか? |
Tsubaki |
統制機構衛士
まだ数名、治療中です。 ですが死者はなく、全員意識もあります。 |
NOL Soldiers |
ツバキ
何よりです。……ここは、まず簡易的な修繕から始めましょう。 あなたは持ち場に戻ってください。 |
Tsubaki |
統制機構衛士
承知いたしました! |
NOL Soldiers |
ツバキ
……レジスタンス。バレット……。 できれば一度くらい、きちんと話がしたかったけど。 |
Tsubaki |
ツバキ
……そういえば、あの御剣機関と名乗った人たちも、 一緒に行ったのね。無関係だと言っていたのに……。 |
Tsubaki |
ツバキ
でも、そういうことなら。 まだ私にも……希望はあるかもしれないわね……。 |
Tsubaki |
第2節 秩序を望む者④/ 2. One Who Wishes For Order - 4
Summary | |
---|---|
バレットと別れた後、久音は自身がこの世界
の『異物』であることを認識する。 |
|
久音とお互いの情報交換をしたシエル達。別
れる前にバレットから貰った情報を頼りに近 くの村に向かう。 |
久音
さすがに階層都市の外までは追ってこないみたいね。 |
'Kuon |
バレット
外ではこちらに地の利がある。 ここまで来れば仲間とも合流できるし、この暗さだ。 |
Bullet |
バレット
余計な被害を出したくないのだろう。 敵ながら、懸命な判断だ。 |
Bullet |
シエル
先に撤退した方々との合流地点は、この辺りですか? |
Ciel |
バレット
ああ。この先だ。 |
Bullet |
レジスタンスG
バレットさん! |
Resistance Member G |
レジスタンスG
声が聞こえたので、急いで迎えに来たんです。 ご無事で何よりです……。 |
Resistance Member G |
バレット
ああ。そっちも無事か? 負傷者たちは? |
Bullet |
レジスタンスH
みんな無事です。向こうで休んでますよ。 |
Resistance Member H |
バレット
そうか。お前たちもよくやってくれた。 おかげで助かった、礼を言う。 |
Bullet |
レジスタンスH
そんな! 礼だなんて、とんでもない! |
Resistance Member H |
レジスタンスG
そもそも俺たちがしくじらなければ、 バレットさんが捕まることもなかったんですから……。 |
Resistance Member G |
バレット
いや、あれは私の判断がまずかったんだ。 お前たちが気にする必要はない。 |
Bullet |
バレット
それより、さっさとみんなと合流しよう。 夜のうちに、拠点に戻りたい。 |
Bullet |
レジスタンスG
はい! |
Resistance Member G |
バレット
ところで。とりあえず図書館…… 統制機構の支部からは脱出できたわけだが。 |
Bullet |
バレット
久音、シエル。 それに、レイ。 |
Bullet |
バレット
改めて聞く。 私たちレジスタンスに加わらないか? |
Bullet |
シエル
レジスタンスに……ですか。 |
Ciel |
久音
生憎だけど、私は遠慮しておくわ。 |
'Kuon |
久音
元々、前回の作戦で最後にするつもりだったし。 他にやらなくちゃいけないことがあるから。 |
'Kuon |
バレット
そうか……。 レイたちはどうだ? |
Bullet |
1: 少し考えさせてほしい |
1: |
バレット
さっきも、そんなことを言っていたな。 正直、お前たちの戦いぶりを見ていると、残念だ。 |
Bullet |
シエル
助けていただいたのに、ご期待に添えず申し訳ありません。 |
Ciel |
バレット
ああ、構わんさ。元々私が勝手に助けたんだ。 でも気が変わったら、いつでも来てくれ。歓迎する。 |
Bullet |
シエル
そのときはよろしくお願いします。 |
Ciel |
バレット
……では、ここでお別れだ。 |
Bullet |
シエル
バレットさんたちは、これからどこへ向かうのですか? |
Ciel |
バレット
私たちは拠点に戻って、体勢を立て直すつもりだが……。 悪いがそこまで案内はしてやれないぞ。 |
Bullet |
バレット
今のところお前たちは部外者だ。 拠点の場所を教えるわけにはいかないからな。 |
Bullet |
久音
それもそうよね。となると、なにをするにしても ヤマツミに戻るしかないかしら……。 |
'Kuon |
ラーベ
統制機構とやらの目が気になるところだな。 |
Raabe |
バレット
む……そうだな。 |
Bullet |
バレット
この辺りには、階層都市に住むことができない者たちの村が いくつかある。そこへ行けば、寝床くらいは借りられるだろう。 |
Bullet |
バレット
やるべきこととやらの情報も、 少しは手に入るかもしれない。 |
Bullet |
シエル
教えてくださって、ありがとうございます。 |
Ciel |
バレット
なに。統制機構の評判を聞けば、我々に協力したくなる かもしれないからな。そうなることを、少し期待している。 |
Bullet |
久音
そうなったとしても、あなたたちがどこにいるのかも わからないんだから、連絡の取りようがないと思うけど? |
'Kuon |
バレット
もしその時がくれば、おのずとどこかで顔を合わせるさ。 |
Bullet |
バレット
特にレイ。 お前とは、なにか運命的なものを感じる。 |
Bullet |
バレット
きっとまた会うことになるだろう。 |
Bullet |
ラーベ
敵対関係で顔を合わせないことを、祈っているよ。 |
Raabe |
バレット
はは、私もだ。 |
Bullet |
バレット
では、これで失礼する。 魔素の濃い地域は魔物も出る。気を付けろよ。 |
Bullet |
シエル
行ってしまいました。 |
Ciel |
ラーベ
レジスタンスに、そのリーダーであるバレット……か。 特にバレットは、ドライブ能力者だ。動向を気にしておこう。 |
Raabe |
シエル
我々も移動しますか? 魔物が出るとバレットさんも言っていました。 |
Ciel |
シエル
レイさんが休める場所は、 少なくとも確保する必要があると思います。 |
Ciel |
ラーベ
そうだな。確かに。 よく気付いてくれた。 |
Raabe |
久音
ねえ。レイ。 ちょっと聞きたいんだけど。 |
'Kuon |
久音
あなた……私と同じよね。 |
'Kuon |
シエル
同じ、とはどういう意味ですか? |
Ciel |
久音
ここじゃない世界から来た。いいえ、少なくともここじゃない 時代から、気が付いたらこの世界に紛れ込んでいた。 |
'Kuon |
久音
そうじゃない? |
'Kuon |
ラーベ
……どうしてそう思う? |
Raabe |
久音
レイが着てるそれ……イシャナの制服でしょ。 |
'Kuon |
久音
しかも私が知ってるのより、ずっと古いデザイン。 |
'Kuon |
久音
あなた、イシャナの学生なの? |
'Kuon |
1: 入学まであと10分くらいだったと思う | |
久音
なにそれ、どういうこと? |
'Kuon |
シエル
イシャナを知っているということは、久音さんも 関係者なのですか? |
Ciel |
久音
ええ、そう。 ……改めて、きちんと名乗っておくわね。 |
'Kuon |
久音
私は久音=グラムレッド=シュトルハイム。 魔道都市イシャナの学生であり、魔術師よ。 |
'Kuon |
ラーベ
イシャナの魔術師? それがどうして、こんなところにいるんだ? |
Raabe |
ラーベ
座標的には、イシャナからはかなり離れているはずだが……。 |
Raabe |
久音
さっき言ったと思うけど? 私と同じように、この世界に 迷い込んだ人なんでしょう? ……って。 |
'Kuon |
シエル
……それは、久音さんが この世界の人では無いと言う意味に受け取れますが。 |
Ciel |
久音
そう言ってるのよ。 |
'Kuon |
ラーベ
なるほど。お前も『異物』か。 |
Raabe |
久音
『異物』ってなによ、酷い言い方ね! |
'Kuon |
ラーベ
まあ、聞け。『異物』というのは、お前と同じように 別の世界から紛れ込んだ存在のことだ。 |
Raabe |
ラーベ
どの程度の規模で混在するのかはわからないが、 ここに限らず、様々な……。 |
Raabe |
ラーベ
そう。様々な、『場』で同様の現象が起こっている。 もちろん私たちも、その『異物』だ。 |
Raabe |
久音
そう……そうなの。 |
'Kuon |
ラーベ
そうだ。我々は、この世界にとっての異質な物だ。 ゆえに世界はその存在に反発し、異物を排除しようとする。 |
Raabe |
久音
排除? |
'Kuon |
ラーベ
簡単に言うと、 その世界に存在する敵性生物に狙われやすい。 |
Raabe |
ラーベ
こんな風にな。 |
Raabe |
久音
ちょっと、こんな風って、そういうことは早く言いなさいよ! |
'Kuon |
シエル
対象の敵対反応を確認。 こちらへ攻撃してくるつもりのようです。 |
Ciel |
久音
見ればわかるっての! |
'Kuon |
ラーベ
お見事。さすがはイシャナの魔術師だな。 |
Raabe |
シエル
はい。とてもお強いです。 |
Ciel |
久音
それはどうも。 |
'Kuon |
久音
……で、これが私たち『異物』への、 世界からの反応ってわけね。 |
'Kuon |
久音
ここに来てから、しょっちゅう私ばっかり魔物に襲われてる 気がしてたけど。気のせいじゃなかったのね。 |
'Kuon |
シエル
久音さんも『異物』ですから、 世界が排除しようとしていたのですね。 |
Ciel |
久音
でも、色々聞けてよかったわ。ちょっとほっとした。 だって、気が付いたら、見た事もない場所にいるのよ。 |
'Kuon |
久音
そのうえ統制機構だとか、階層都市だとか、 聞いたこともない言葉が常識みたいに横行してるし。 |
'Kuon |
久音
私の知ってる世界と違いすぎて、ずっと混乱していたの。 |
'Kuon |
シエル
ただ、厳密には、私達は久音さんと状況が違います。 |
Ciel |
シエル
久音さんは別の世界から紛れ込んだ、とおっしゃっていますが、 私達は世界の外側から意図してこの世界にやってきました。 |
Ciel |
久音
は? ……それ、本気で言ってるの? |
'Kuon |
ラーベ
ペラペラ本当のことを喋りまくりやがって、 と思う程度には本気かな。 |
Raabe |
久音
じゃあ……ここが何なのか、知ってるの? 知ってるから、わざわざこの世界に自発的に来たんでしょう? |
'Kuon |
シエル
はい。ここはファントムフィールドの中です。 |
Ciel |
シエル
あ。 |
Ciel |
シエル
……頭突きでしょうか。ラーベさん。 |
Ciel |
ラーベ
いや。久音には、ある程度こちらのことを話しておいたほうが、 事がスムーズに進みそうだからな。 |
Raabe |
ラーベ
……というかシエル。お前、そう聞くということは、 また考えなしに発言してたな? |
Raabe |
シエル
トライアンドエラーです。 |
Ciel |
ラーベ
その都合のいい言葉をどこで覚えた。 |
Raabe |
久音
ちょっとちょっと! ややこしい話してるときに、脱線しないでよ。 |
'Kuon |
久音
なに? ファントムフィールドって。 なにか特別な領域なの? |
'Kuon |
ラーベ
まあ、そうだな。とても特別だ。 |
Raabe |
ラーベ
詳しい解説をすると長くなるから、簡単に話すけども。 要は、作られた世界の断片だ。 |
Raabe |
久音
作られた? ……誰かが作ったの?この世界を? |
'Kuon |
ラーベ
そうだ。我々はそれを『観測者』と呼んでいる。 |
Raabe |
ラーベ
観測者は膨大な情報を集める、いわば磁石のようなものだ。 無意識に様々なものを寄せ集めて、仮初の世界を作り出した。 |
Raabe |
ラーベ
それがファントムフィールドだ。 |
Raabe |
久音
じゃあ、ここは……本物の世界じゃないってこと? |
'Kuon |
ラーベ
お前がいた本来のあるべき世界を『本物』と定義するのなら、 その世界とは別物だな。 |
Raabe |
久音
そう……。 私、なんだかものすごく厄介なところに来ちゃってたのね。 |
'Kuon |
久音
それで。そのファントムフィールドをどうにかすれば、 私は元の世界に戻れるのかしら? |
'Kuon |
シエル
はい。この世界と境界を繋いでいる窯を破壊すれば、 ファントムフィールドは活動を停止します。そうすれば……。 |
Ciel |
シエル
ええと。どうなるのでしょう? |
Ciel |
ラーベ
結論から言えば、元の世界に戻れる。 |
Raabe |
ラーベ
さっき、観測者を磁石と言ったが、 その磁力が消えるとでもイメージしてくれたらいい。 |
Raabe |
ラーベ
寄せ集められていたものが、自由に解放される感じだな。 |
Raabe |
久音
その話……信じて良いのかしら? |
'Kuon |
ラーベ
それは好きにしろ。 お前にどう思われようと私たちには関係の無いことだ。 |
Raabe |
1: ち……ちょっと |
1: |
久音
ふふふ、いいのよ、気にしないで。 確かにその通り、信じる理由は無いけど…… |
'Kuon |
久音
あなたたちが私を騙す理由も無い。 |
'Kuon |
シエル
……正しい判断かと思います。 |
Ciel |
久音
はぁ、なんだか……ほっとしすぎて、涙が出そう。 |
'Kuon |
久音
この世界に自分がいるって気付いてからずっと、 なにがなんだかさっぱりわからなかった。 |
'Kuon |
久音
自分がここにいる理由さえわかれば、元の世界に戻れるかも って思って色々探ってみたけど、手がかりなんかどこにもなくて。 |
'Kuon |
久音
なのに、町から出ればさっきみたいに、 やたらめったら魔物に襲われるしで…… |
'Kuon |
久音
ああ、バレットとは、そのとき助けてもらった恩があって、 ちょっと手伝ってたんだけど。 |
'Kuon |
久音
ほんとに、途方に暮れたところだったの。 |
'Kuon |
久音
だから、あなたたちの話、確証なんかひとつもないけど、 とりあえず信用するわ。 |
'Kuon |
久音
その窯を破壊する手伝いを、させてちょうだい。 |
'Kuon |
シエル
いいのですか? 先ほど、バレットさんにやることがあると 言っていたように記憶していますが。 |
Ciel |
久音
だから、それが元の世界に戻る方法を探すってやつよ。 そして方法が見つかった。だったら、あとはやるだけでしょ。 |
'Kuon |
久音
どう? 少なくとも戦力になるって、もう見せたわよね。 |
'Kuon |
久音
あと、私の方が、あなたたちより少しだけ、 この世界のことを知っているわよ。 |
'Kuon |
ラーベ
確かに……有益だな。こちらにも損はない。 |
Raabe |
シエル
久音さんが観測者という可能性は、ないのでしょうか。 |
Ciel |
ラーベ
それはないね。もし観測者が久音なら、 世界は久音の知っている姿をしているはずだから。 |
Raabe |
ラーベ
別世界から来たとはっきり自覚している者が観測者ということは、 まずあり得ない。Raabe |
Raabe |
久音
で、どう? ついて行ってもいい? まあ、ダメって言われても無理矢理ついて行くつもりだけど。 |
'Kuon |
1: 一緒に来てくれたら頼もしい |
1: |
久音
期待されただけの働きはするわ。よろしく、レイ。 |
'Kuon |
シエル
私も、久音さんのことを頼もしいと思っています。 |
Ciel |
久音
え? やだ、仲間外れにしたわけじゃないからね。 シエルも、よろしく。ラーベもね。 |
'Kuon |
ラーベ
気を遣ってくれなくても、 シエルよりは物事が理解できているんだけどね。 |
Raabe |
久音
ちょっと、やめてよ、先輩なんて。 |
'Kuon |
シエル
先輩、とはなんですか? |
Ciel |
ラーベ
簡単に言えば、物事を先に行っていた者、かな。 この場合、久音はイシャナの先輩といったところか。 |
Raabe |
シエル
なるほど、勉強になります。 |
Ciel |
久音
ふふっ、なんだかあなたたち、緊張感がないわねぇ。 |
'Kuon |
久音
ま、いいわ。 それじゃあ、いよいよ出発しましょうか。 |
'Kuon |
シエル
はい。ひとまず、休める場所が必要です。 |
Ciel |
シエル
魔物が出るかもしれない森の中で 一晩を明かすのは、危険と考えます。 |
Ciel |
久音
そうだったわね。といっても、今すぐヤマツミに戻ったって、 統制機構が待ち構えてるだろうし……。 |
'Kuon |
ラーベ
バレットが、近くに村があると言っていたな。 それをあてにしてみようか。 |
Raabe |
シエル
村……近くにそれらしい明かりは見えませんね。 |
Ciel |
ラーベ
足元を照らすくらいの照明はあるから。 少し歩いてみよう。 |
Raabe |
久音
ラーベ、あなた浮いてるんだから、 空を飛んで周りを見てみるとか、できないの? |
'Kuon |
ラーベ
無理だな。 私の自主的最高高度は2メートルだ。 |
RaabRaabee |
久音
え、そうなの!? 不便……。 |
'Kuon |
ラーベ
なにおう。私は独立思考型ユニットであって、 便利ロボットじゃないんだぞ。 |
Raabe |
ラーベ
照明機能があるだけありがたいと思え。 |
Raabe |
ラーベ
村が近いなら、そこの住人が使っている獣道があるはずだ。 それさえ見つければ、道の先に村があるだろう。 |
Raabe |
シエル
わかりました。獣道を探します。 |
Ciel |
シエル
周囲を索敵しながら、先行します。 皆さん、気を付けてついてきてください。 |
Ciel |
==第3節 反抗する者①/ 3. One Who Opposes - 1
Summary | |
---|---|
シエル達は村の人々から統制機構とレジスタ
ンスの印象を聞く。更なる情報を求め、別の 村に向かう。 |
シエル
レイさん。 おはようございます。 |
Ciel |
1: おはよう、シエル |
1: |
ラーベ
やっと起きたか、レイ。まあ、無理もないか。
初めての |
Raabe |
シエル
それに、何度も戦闘をしたり、脱獄をしたりと、 慌ただしい一日でしたから。疲労が蓄積していたと思われます。 |
Ciel |
久音
あら。起きたのね。おはよう、レイ。 もう昼だけど。 |
'Kuon |
久音
ぐっすり寝て、お腹すいたでしょ。 お昼ご飯、集落の人が用意してくれたって。 |
'Kuon |
久音
レイにとっては、朝ご飯だけど。 行きましょ。待たせたら悪いわ。 |
'Kuon |
集落の女性
はい、どうぞ。大したものはないけど、 せめて温かいスープを召し上がって。 |
Female Resident |
シエル
ありがとうございます。昨夜と朝に続いて、 昼の食事までお世話になってしまい、すみません。 |
Ciel |
久音
寝るところも貸してもらえて、本当に助かりました。 |
'Kuon |
集落の女性
いいえ、粗末なところでごめんなさいね。 食事も……貧しいものばかりで。恥ずかしいわ。 |
Female Resident |
集落の男性
あんたら、バレットさんの知り合いなんだろう? レジスタンスさんには日頃からお世話になってるからな。 |
Male Resident |
久音
それで、昨夜すんなり私たちを受け入れてくれたのね。 |
'Kuon |
シエル
ここの人たちもレジスタンスの一員なのですか? |
Ciel |
集落の女性
いいえ、ここに住んでいる人はみんな違うわよ。 何人か、レジスタンスに加わって出ていった人はいたけどね。 |
Female Resident |
集落の男性
ここに残っているのは……統制機構に住む場所を追われ、 だというのに戦うこともできずにいる臆病者だけさ。 |
Male Resident |
集落の女性
なにを言うの、戦うだなんて……。向こうは兵隊さんで、 私たちはほとんどが武器を握ったこともない農民よ。 |
Female Resident |
集落の女性
この辺りの魔物にも太刀打ちできないような私たちに、 統制機構と戦うなんて無理よ。 |
Female Resident |
集落の男性
そりゃそうだが……レジスタンスは、 それでも俺たちのために戦ってくれてる。 |
Male Resident |
集落の男性
連中がいなかったら、俺達はとうに魔物の餌食だったかもしれん。 |
Male Resident |
久音
見たところ、ここにレジスタンスが常駐してる感じじゃ なかったけど。魔物が出たりすると、来てくれるの? |
'Kuon |
集落の女性
ええ。それにね、統制機構から奪った魔道書を使って、 魔物避けの術式を残していってくれたりするの。 |
Female Resident |
集落の女性
本当に、感謝しかないわ。 |
Female Resident |
集落の女性
だからそのお礼に、私たちが育てた野菜や、 集めた薬草なんかをね、分けて差し上げたりしているのよ。 |
Female Resident |
シエル
この村とレジスタンスは、 互いに補助し合う協力関係にあるのですね。 |
Ciel |
ラーベ
レジスタンスに対しては、概ね好印象なようだな。 では統制機構はどうだ? |
Raabe |
シエル
住む場所を奪われた、と先ほど言っていましたし、 あまりいい印象はなさそうに思えます。 |
Ciel |
集落の男性
そりゃあ、そうだ。 |
Male Resident |
集落の男性
統制機構が我が物顔で町を作ってる、あの山……。 俺たちの村は、あの階層都市の、一番下の辺りにあったんだ。 |
Male Resident |
集落の男性
だがあるとき、突然村は統制機構のものになっちまった。 俺たちが畑や猟をやってた山ごと、丸ごとな。 |
Male Resident |
集落の女性
私たちの住んでいた家は取り壊されて、山は削られて、 あの大きな町が作られたの。 |
Female Resident |
集落の女性
もちろん、統制機構はあの大きな町に私たちの居住区を 用意してくれるって言ってたのよ。 |
Female Resident |
集落の女性
でもねぇ、強引に追い出されて、今度は連れ戻されて。 |
Female Resident |
集落の女性
狭いところに押し込められたあげく、 統制機構の言いなりにならないといけない生活なんて……。 |
Female Resident |
集落の男性
そりゃ、確かに安全な暮らしなのかもしれねぇ。 |
Male Resident |
集落の男性
けどな、統制機構の連中は、俺たちのことを 家畜かなんかだとしか思っちゃいねぇんだ。 |
Male Resident |
集落の男性
そんな連中に頭下げるくらいなら、 レジスタンスたちと魔素にまみれてたほうがマシだ。 |
Male Resident |
久音
両陣営への印象は、対照的みたいね。 |
'Kuon |
久音
この集落の人たちにとっては、 レジスタンスが味方で、統制機構は敵。 |
'Kuon |
集落の女性
……私はね、敵って言い切るほどの気持ちじゃないのよ。 ただ、納得できないってだけで……。 |
Female Resident |
集落の女性
統制機構の衛士さんが全員、恐い人ってわけでもないしね。 それにほら、ヤヨイ中尉……だったかしら。 |
Female Resident |
集落の女性
あの人は、何度か村の様子を見に来てくれたの。聞いた話じゃ、 偉い人なんでしょう? なのに、個人的に気になったからって。 |
Female Resident |
集落の女性
少しだけど物資を融通してくれたりね。 だから……全面的にレジスタンスの味方ってわけでも……。 |
Female Resident |
シエル
複雑な立場なのですね。 |
Ciel |
久音
むしろ、一番シンプルなんじゃない? ようは中立でいたいってことでしょ。 |
'Kuon |
久音
統制機構もレジスタンスも、全面的に信じるには まだどちらも信用が足りない。だから立場を決められない。 |
'Kuon |
集落の男性
……こっちも、生活で手一杯なんだ。 してくれたことに感謝はしてるけど……な。 |
Male Resident |
シエル
周辺の地図をもらってきました。 |
Ciel |
ラーベ
うむ、ご苦労。……ふむふむ。話に聞いていた通り、 ヤマツミの周囲に点々と、小さな村がいくつかあるんだな。 |
Raabe |
シエル
一番近いのは、ここですね。 次の目的地は、この村でいいですか? |
Ciel |
1: そうしよう |
1: |
シエル
はい。了解しました。 |
Ciel |
シエル
ところで、久音さんが戻られませんね。 情報収集に手間取っているのでしょうか。 |
Ciel |
ラーベ
いや、噂をすればだ。戻ってきたみたいだぞ。 |
Raabe |
久音
待たせたわね。 道中使いなさいって、飲料水を分けてもらったわ。 |
'Kuon |
シエル
助かります。 |
Ciel |
ラーベ
情報収集の成果はどうだった? |
Raabe |
久音
大して新しい発見はなかったわ。ここの人たちは、 割と慎重な考え方の人が多いみたい。 |
'Kuon |
久音
統制機構は気に入らない。レジスタンスには感謝してる。 でもどちらかに積極的に加担するつもりもない。 |
'Kuon |
久音
宿を貸してくれた女の人みたいに、 統制機構を敵視してるわけじゃない、って人もいたわね。 |
'Kuon |
久音
そっちはどう? |
'Kuon |
シエル
同じです。中には、レジスタンスたちはなにをするか わからないところが少し怖い、と言っている人もいました。 |
Ciel |
久音
それはそうよね。見た感じ、大部分は 流れ者とか傭兵の寄せ集めって感じだったし。 |
'Kuon |
久音
そうね。となれば、長居する必要もないし。 次の村を目指すとしましょうか。 |
'Kuon |
シエル
距離からして、日暮れまでには到着できそうです。 |
Ciel |
シエル
ですが途中、どれだけ魔物と遭遇するかわかりません。 油断せず、早めに出発しましょう。 |
Ciel |
==第3節 反抗する者②/ 3. One Who Opposes - 2
Summary | |
---|---|
村が魔物の襲撃を受けているのを発見したシ
エル達。加勢するべく村に向かう。 |
シエル
戦闘終了。……敵の数が増えてきましたね。 |
Ciel |
ラーベ
やはりと言うべきか、ヤマツミから離れるほど 魔物の数も増えるみたいだな。 |
Raabe |
久音
階層都市の周囲は、統制機構も定期的に見回りをするし、 村は魔物避けが仕掛けてあるし。 |
'Kuon |
久音
だけどこの辺りは、 魔物を遠ざけるものがなにもないものね。 |
'Kuon |
シエル
それに『異物』である私達に、魔物は引き寄せられる 性質があります。遭遇率が上がるのは、当然でしょう。 |
Ciel |
久音
その迷惑な性質、 ここに来たばかりのときに知りたかったわ、ほんと……。 |
'Kuon |
久音
そういえば、村での情報収集が終わったら、 どうするの? |
'Kuon |
久音
さっきの感じだと、 あんまり実りある内容には期待できそうにないけど。 |
'Kuon |
ラーベ
同感だね。レジスタンスはともかく、統制機構については もう少し内情に突っ込んだ情報がほしいし。 |
Raabe |
シエル
統制機構については、 階層都市ヤマツミで調査を行うべきでしょうか。 |
Ciel |
ラーベ
そうなるかな……。あまり危険は冒したくないが、 だからといって行かないわけにも……。 |
Raabe |
シエル
! 音声を感知しました。緊迫した人の声です。 |
Ciel |
シエル
それから……これは、魔物の音声。 この先で誰かが魔物と戦っています。 |
Ciel |
久音
行ってみましょう! 近くの村の人が、襲われてるのかもしれないわ! |
'Kuon |
レジスタンスA
くそ! まだ来やがる! |
Resistance Member A |
レジスタンスB
なんだってこんなときに……。 こっちは2人しかいないってのに! |
Resistance Member B |
レジスタンスA
もうすぐ、もうすぐ到着するはずだ! せめてそれまで……! |
Resistance Member A |
シエル
村が襲撃を受けています。 あそこで戦っているのは、レジスタンスの人でしょうか。 |
Ciel |
久音
完全に囲まれてるじゃない。このままじゃ、あの人たちも 集落の人たちも、無事じゃすまないわ! |
'Kuon |
1: 放ってはおけない |
1: |
ラーベ
助ければ恩も売れる。異論はないよ。 |
Raabe |
シエル
了解しました。戦闘状態に移行します。 |
Ciel |
==第3節 反抗する者③/ 3. One Who Opposes - 3
Summary | |
---|---|
シエル達は再会したバレットの手伝いで各村
を回り、聞き込みを開始する。 |
久音
よし、片付いた。 |
'Kuon |
ラーベ
村にも被害はなさそうだね。 |
Raabe |
シエル
こちらの方々も、大きな怪我はなさそうです。 |
Ciel |
シエル
大丈夫ですか? 立ち上がれないようでしたら、運びますが。 |
Ciel |
レジスタンスA
だ、大丈夫だ、自分で歩ける……。 それより、助かった。ありがとう。 |
Resistance Member A |
レジスタンスB
あんたたち、強いんだな。 どっから来た……げぇっ!? |
Resistance Member B |
久音
ん? 私? なによ、そのお化けでも見るような顔は。 |
'Kuon |
レジスタンスB
お、お前は……『爆炎の魔女』! ど、どうしてここに……! |
Resistance Member B |
シエル
爆炎の魔女? |
Ciel |
久音
な、なんでその呼び名を知ってんのよ!? |
'Kuon |
ラーベ
なにか、いわくのあるあだ名なのか? |
Raabe |
久音
い、いわくってほどじゃないわよ。ただ……ヤマツミに 来たばっかりの頃、何度かガラの悪い連中に絡まれて。 |
'Kuon |
久音
そのたびに、身の程を思い知らせてやってたら、 いつの間にかヒソヒソそう呼ばれてたの。 |
'Kuon |
レジスタンスA
お、おお、俺たち、今はなにもやってねぇぞ! あのときのアレは、その、出来心っていうか……。 |
Resistance Member A |
久音
ん? あ! 思い出した! あんたたち、ヤマツミでちょっかいかけてきた奴等ね! |
'Kuon |
レジスタンスB
うわわわ、か、勘弁してくれ! 反省してます! すんませんでしたぁ! |
Resistance Member B |
ラーベ
だいぶ深刻に、身の程を思い知ったらしいな。 |
Raabe |
久音
からかうような言い方しないでよ、もう。 あのときは私も、ちょっと苛々してたから……。 |
'Kuon |
シエル
ラーベさん、久音さん、 レイさん。 |
Ciel |
シエル
なにやら村の方が騒がしいです。 |
Ciel |
ラーベ
うん? |
Raabe |
バレット
お前たち! |
Bullet |
レジスタンスA
<size=130%>バレットさん!?</size> |
Resistance Member A |
バレット
魔物に襲われていると聞いたが、大丈夫だったか? |
Bullet |
バレット
……って、レイ! そうか、お前たちが仲間を助けてくれたのか。 |
Bullet |
シエル
はい。 こちらの村に向かっている途中で、戦闘に遭遇しました。 |
Ciel |
バレット
ありがとう。私からも礼を言う。 お前たちには助けてもらってばかりだな。 |
Bullet |
バレット
本来ならば仲間もこの村も、 我々が助け、守るべきなのだが。本当に助かった。 |
Bullet |
ラーベ
話には聞いていたが、 レジスタンスは本当に村を魔物から守っているんだな。 |
Raabe |
バレット
ああ。彼らは、統制機構の強引な施政の被害者だ。 理不尽な権力に反旗を翻す者として、無視はできない。 |
Bullet |
バレット
いや、強大な存在にも膝を曲げず、抗う者同士、 仲間だとすら思っている。 |
Bullet |
ラーベ
仲間ね。でも、彼らはそこまでの強い思い入れを持って、 レジスタンスを見てはいないんじゃないか? |
Raabe |
バレット
それでも構わない。私が守りたいだけだ。 |
Bullet |
バレット
今回のような有事の際にすぐに対応できるよう、 この近辺の村には、数人ずつ、仲間を滞在させているんだ。 |
Bullet |
バレット
だが最近は、魔物が村の近くをうろつくことが増えてな。 被害がないか確認するために、近辺を回っていたところだった。 |
Bullet |
バレット
お前たちは、どうしてここに? |
Bullet |
シエル
情報収集のために来ました。 村がいくつかあると聞いていたので。 |
Ciel |
バレット
そうか。まあ、あのあとすぐにヤマツミに行くのは、 さすがに危険だろうからな。 |
Bullet |
バレット
なにか有益な情報は、手に入ったか? |
Bullet |
ラーベ
いや、まだこれといってなにもないよ。 だから、この村でも色々と聞かせてもらうつもりだ。 |
Raabe |
シエル
それと、どこか宿に借りられる場所はないでしょうか。 |
Ciel |
バレット
宿? 休む場所か……なら、私たちが活動のために 借りている小屋がある。そこを使ったらいい。 |
Bullet |
シエル
ありがとうございます。助かります。 |
Ciel |
バレット
なんなら、食事も用意するぞ。といっても、豪華な夕食は 期待するなよ。我々も少ない物資でやりくりしているんだ。 |
Bullet |
バレット
……ヤマツミの外では、まともな作物は育たない。 みんな貧しいが、懸命にやっている。 |
Bullet |
久音
もちろんよ。それに、貧しいのは…… 見てれば、なんとなくわかるわ。贅沢は言わないわよ。 |
'Kuon |
バレット
その代わりに、ちょっと手伝ってもらいたい。 |
Bullet |
シエル
なにをでしょう? |
Ciel |
バレット
我々の任務を手伝ってくれ。 つまり、各村の見回りだ。 |
Bullet |
ラーベ
ははーん、 私たちを連れ回して、魔物退治をさせるつもりだな? |
Raabe |
バレット
お前たちは強い。悔しいが、レジスタンスでまともに やり合えるのは私くらいだろう。 |
Bullet |
バレット
中には、つい最近まで喧嘩すらまともにしたことがない 者もいるくらいだ。 |
Bullet |
久音
ふうん。まさに寄せ集めね。 |
'Kuon |
バレット
その通りだ。だが大切な仲間でもある。 無闇に命を懸けさせる必要はあるまい。 |
Bullet |
久音
私たちならいいってこと? |
'Kuon |
バレット
信頼している。お前たちの力をな。 |
Bullet |
久音
うまいこと言ってくれるわね。でも各村を、ってことは、 村を案内してくれるの? |
'Kuon |
バレット
もちろんだ。当然、そこでの宿泊場所と食事は用意する。 どうだ? 悪い話じゃないだろう。 |
Bullet |
シエル
村を回るのなら、より地理に詳しい人に案内してもらうほうが、 道のりとしても効率的で安全だと思います。 |
Ciel |
久音
そうね。それに食事や宿を確保する手間も省ける。 確かに、悪い話じゃないわね。 |
'Kuon |
1: やってみようか |
1: |
ラーベ
ただ、私たちは情報収集のために村を巡ろうとしている。 そのための時間は、確保させてもらうぞ。 |
Raabe |
バレット
ああ、わかっている。私たちも情報のやりとりだとか、 やるべきことがある。 |
Bullet |
久音
なら、交渉成立ってことね。 |
'Kuon |
バレット
助かる。ひとまず、小屋に案内しよう。 今日は時間も遅いから、我々もここで休んでいく。 |
Bullet |
バレット
出発は明日の朝だ。それまでは、自由にしていてくれ。 行こう、こっちだ。 |
Bullet |
久音
お待たせ。色々、聞いてきたわ。 |
'Kuon |
シエル
私達も、話をうかがってきました。 |
Ciel |
シエル
レジスタンスと統制機構の戦力差ですが…… 明確に、統制機構が優勢のようです。 |
Ciel |
ラーベ
まあ、そうだろうな。向こうはいわば兵隊だ。 戦闘訓練だって積んでいるし、戦うための装備も支給される。 |
Raabe |
ラーベ
対してレジスタンスは、多少それらしく訓練したところで 所詮素人。武器も食料も、十分とはお世辞にも言えない。 |
Raabe |
久音
そうね。 これで戦ってるっていうのが、むしろ信じられないくらい。 |
'Kuon |
久音
なのに彼らを統制機構に立ち向かわせているのは、 やっぱりバレットの存在が大きいみたいね。 |
'Kuon |
久音
バレットがいるから、バレットが頑張ってくれているから、 だから自分も戦うんだっていう人がいっぱいいたわ。 |
'Kuon |
1: バレットは強いんだね |
1: |
シエル
そのようです。 |
Ciel |
シエル
それに、 この村では統制機構への敵対意識が強いように感じました。 |
Ciel |
シエル
バレットさんを筆頭に抗い続ければ、いつか勝てるかもしれない。 そう信じている声もいくつか耳にしました。 |
Ciel |
ラーベ
統制機構に対する印象は、決して一辺倒というわけでは ないみたいだね。 |
Raabe |
ラーベ
温情に気持ちが傾く者もいれば、どっちにつくのが得か わかるまで中立でいようとする者もいる。 |
Raabe |
ラーベ
その一方で、強く敵視している者もいる。 ……まあ、民衆ってのはそういうもんか。 |
Raabe |
久音
あ。そうだ。ひとつ気になる話を聞いたわ。 |
'Kuon |
久音
階層都市ヤマツミの現責任者、ツバキ=ヤヨイ中尉だけど、 彼女はどうも一時的な代理の責任者らしいの。 |
'Kuon |
久音
本当は、ジン=キサラギ少佐っていう人が、 あそこの責任者になるはずだったんですって。 |
'Kuon |
久音
でも別の都市でのトラブルに巻き込まれてて、 ヤマツミへの到着が遅れっぱなしだって。 |
'Kuon |
シエル
ジン=キサラギ少佐、ですか。ツバキさんの上官でしょうか。 |
Ciel |
久音
階級的にも、そうかも。で、そのキサラギ少佐って人がね、 そりゃもう目茶苦茶強いらしいのよ。 |
'Kuon |
久音
ひとりで内戦を収めたとか、なんとか……。 |
'Kuon |
久音
とにかく、その人がヤマツミに来ちゃったら、 レジスタンスなんてひとたまりもないって噂よ。 |
'Kuon |
久音
だからその前に、統制機構を倒してしまいたいっていう動きが、 レジスタンス内部にはあるみたい。 |
'Kuon |
ラーベ
なるほどな……。 |
Raabe |
ラーベ
ふーむ……レジスタンスは、統制機構を倒した後 どうしたいんだろうね。 |
Raabe |
久音
ヤマツミを……正確にはそこにある土地を、 奪還したいって感じかしら? |
'Kuon |
ラーベ
奪還してどうする? もうあのとんでもなくデカイ都市は、 ほとんど出来上がってるっていうのに。 |
Raabe |
ラーベ
取り壊すのか? そのまま使うつもりか? |
Raabe |
久音
さあね。でも壊すのは一苦労だし、 自分たちの拠点として活用するほうがいいはずよね。 |
'Kuon |
バレット
やっと見つけた。こんなところにいたのか、お前たち。 |
Bullet |
シエル
バレットさん。 レジスタンスのお仕事は、落ち着いたのですか? |
Ciel |
バレット
ああ。今夜のところは、これでひと段落だ。 これから夕食にするが、一緒にどうだ。 |
Bullet |
シエル
ありがとうございます。 お願いします。 |
Ciel |
バレット
では、行こう。みんなも待っている。 |
Bullet |
ラーベ
レイ。言い忘れていたが。 |
Raabe |
ラーベ
行動を共にするとなれば、 バレットの様子には、注意しておいたほうがいい。 |
Raabe |
1: バレットの? |
1: |
ラーベ
そうだ。 ヤマツミ脱出の際、彼女は確かにドライブを使っていた。 |
Raabe |
ラーベ
ドライブ使いということは、観測者である可能性がある。 彼女自身の動向はもちろん、周囲にも気を付けておくように。 |
Raabe |
ラーベ
我々も行こう。レイに倒れられるのが 一番まずい。補給と休息は、しっかり頼むよ。 |
Raabe |
==第3節 反抗する者④/ 3. One Who Opposes - 4
Summary | |
---|---|
次の村に向かう途中、前方に魔物を発見した
シエル達。倒してから進むことに決める。 |
バレット
もう少しで次の集落に着くぞ。 レイ、大丈夫か? |
Bullet |
1: 大丈夫! |
1: |
バレット
そうか。 |
Bullet |
バレット
そ、そうか……。 |
Bullet |
バレット
お前は一番体力がなさそうだからな。 無理そうだったら、休憩を挟むから遠慮するな。 |
Bullet |
久音
それにしても、かなり森の奥のほうまで来たわね。 魔物の数も増えてきたわ。 |
'Kuon |
シエル
魔素が濃くなってきたせいですね。 |
Ciel |
シエル
……なのに、バレットさん以外のレジスタンスの方を、 連れてこられなかったのは、なにか理由があるのですか? |
Ciel |
バレット
ああ。この先にあるのは、 元々は我々レジスタンスが設営した野営地だ。 |
Bullet |
バレット
そこに、行く場所のなかった人たちが集まって、 小規模な村になっているんだが……。 |
Bullet |
バレット
つまり、すでに私の仲間が多数駐在しているんだ。 |
Bullet |
バレット
そこでやることを終えたら、部隊を改めて編成して、 次の村に向かう。だから余計な戦力は、今は必要ない。 |
Bullet |
久音
しんどいのは村につくまでってことか。 その村は、レジスタンスの拠点みたいなところなのね。 |
'Kuon |
シエル
以前、拠点に部外者を案内するわけにはいかないと、 言っていませんでしたか? |
Ciel |
バレット
拠点ではあるが、いくつかあるうちのひとつにすぎない。 |
Bullet |
バレット
見回りを手伝ってくれているんだし、村と同化している 拠点にくらいは連れて行っても構わないだろう。 |
Bullet |
バレット
もちろん、我々の活動を左右するほどの重要な拠点にまでは、 連れて行くつもりはないぞ。 |
Bullet |
バレット
……む? |
Bullet |
シエル
前方の反応を確認しました。 この先で、多数の魔物が活動しているようです。 |
Ciel |
バレット
……村のあるほうだな。 |
Bullet |
久音
迂回するのも馬鹿馬鹿しいわ。 |
'Kuon |
久音
どうせこの辺りの魔物は、あとで一通り追い払わないと いけないんでしょ。だったら蹴散らして進みましょう。 |
'Kuon |
バレット
そういう解決方法は、私も好みだ。 よし、殲滅してから、村に入る! |
Bullet |
シエル
レイさんは私の後ろへ。 周囲に警戒してください。 |
Ciel |
==第3節 反抗する者⑤/ 3. One Who Opposes - 5
Summary | |
---|---|
村の人々に慕われているバレット。彼女が誇
りのために戦っていることを知る。またシエ ル達にできる限り力になるという旨を話す。 |
レジスタンスC
バレットさん! こっちの補修、終わりました! |
Resistance Member C |
レジスタンスD
すいません、ちょっといいですか。これなんですけど……。 |
Resistance Member D |
集落の女性
もう、それくらい自分たちで決めなさいよ。なんでもかんでも バレットさんに聞いて、休憩する間もないじゃない。 |
Female Resident |
バレット
はは、心配してくれてありがとう。でも大丈夫だ。 暗くなるまでには、一通り終わらせたい。 |
Bullet |
腰の曲がった老女
本当に働き者ねぇ。でも無理はだめだよ。 バレットさんがいないと、みんな路頭に迷っちまう。 |
Stooped Old Lady |
年老いたレジスタンス
そうだとも。 と言っても、あんたは大人しくなんかしてないんだろうが。 |
Aged Resistance Member |
バレット
心配をかけているようだが、そう気遣ってくれるな。 それより、私がいない間、問題はなかったか? |
Bullet |
少年レジスタンス
なにもなかったぜ、リーダー! 近くを魔物が何回か通ったけど、俺たちが倒してやったし! |
Young Resistance Member |
バレット
よくやったな。お前もすっかり、立派なレジスタンスだな。 |
Bullet |
シエル
バレットさんは、 ここの皆さんにとても慕われているんですね。 |
Ciel |
久音
そうね。無邪気っていうか、なんかキラキラしちゃってさ。 |
'Kuon |
ラーベ
それだけ、バレットというリーダーは、 レジスタンスにとってかけがえのないものなんだろうな。 |
Raabe |
久音
でも、ちょっと危うい感じもするわね。 |
'Kuon |
久音
彼女の判断ひとつが、事態を良くも悪くもする。 レジスタンスを生かすも殺すも、彼女次第ってことでしょ。 |
'Kuon |
レジスタンスC
そりゃそうだが、 バレットさんは俺達を見捨てるようなことはしねぇよ。 |
Resistance Member C |
久音
おっとっと。聞かれちゃってた……。 |
'Kuon |
1: バレットを信じてるんだね |
1: |
レジスタンスC
バレットさんはどんなときだって、 俺たちを守ろうと戦ってくれているんだ。 |
Resistance Member C |
レジスタンスD
……統制機構に捕まったのだって、 あのときしくじった俺たちを逃がすためなんだよ。 |
Resistance Member D |
レジスタンスC
誰よりも危険な場所で、誰よりも戦う。 そういう人なんだ、あの人は。 |
Resistance Member C |
久音
ふうん。 |
'Kuon |
バレット
なんだ、お前たち。もう休憩か? |
Bullet |
バレット
こっちの指示は一通り終わった。 手が空いているなら、手伝ってくれ。 |
Bullet |
バレット
半壊したまま放置されていた小屋を直したいんだ。 |
Bullet |
シエル
わかりました。お手伝いします。 |
Ciel |
久音
仕方ないか。ご飯とお宿の恩もあるしね。 |
'Kuon |
久音
でも私やレイは、肉体労働向きじゃないから、 そこんとこよろしく。 |
'Kuon |
バレット
わかってる。無理しない程度に、頼む。 |
Bullet |
1: つ……疲れた…… |
1: |
バレット
ほら、水だ。倒れ込む前に飲んでおけ。 |
Bullet |
1: |
1: |
バレット
シエルや久音はまだ作業中か。よく働いてくれて、助かってる。 おかげで小屋の修理も終わりそうだ。 |
Bullet |
バレット
……ずっと前から倒壊しかけていた小屋でな。少しずつ修理 していたんだ。使えるようになれば、みんな喜ぶ。 |
Bullet |
バレット
…………。 |
Bullet |
バレット
ここからだと、この野営地の全体が見える。 |
Bullet |
バレット
ここにいるのは、ほとんどがレジスタンスだ。 そうでない者も、我々に積極的に協力をしてくれている。 |
Bullet |
バレット
互いに支え合い、励まし合い……老若男女関係なく手を取り、 暮らしている。戦っている。 |
Bullet |
バレット
ここは、みんなにとって大きな家なんだと思う。 ここで一緒に暮らしている者は、みんな家族だ。 |
Bullet |
バレット
私にも、かつてそういう場所があった。 それを与えてくれた人がいたんだ。 |
Bullet |
バレット
……私も、そういう人になりたいと思った。 あの人のように戦えたら、いいと……。 |
Bullet |
バレット
だから、戦っている。 |
Bullet |
バレット
急にこんな話をしだして、驚いたか? ただの雑談だ。でも、ついでに知っておいてほしかった。 |
Bullet |
バレット
私はレジスタンスや、村の人たちの自由と未来のために 戦ってるわけじゃない。 |
Bullet |
バレット
もちろん、それも大事な理由だ。 だが……私は。 |
Bullet |
バレット
私の誇りのために戦っているんだ。きっと。 |
Bullet |
1: 誇りっていうのは…… |
1: |
バレット
別にそれは……どうだっていいだろ。 |
Bullet |
バレット
それより、聞きたかったんだが。 お前、私たちが怖くないのか? |
Bullet |
バレット
武器を持ち、声を上げ、 世界を統治している組織に喧嘩を売っている。 |
Bullet |
バレット
戦って傷つく者はもちろんいる。 死ぬ者だっている。誰かを殺したりもする。 |
Bullet |
バレット
そういう連中と、手を伸ばせば届くような距離で話をして、 同じ小屋で眠るんだぞ。 |
Bullet |
バレット
……いや。余計なことを聞いたな。忘れてくれ。 |
Bullet |
バレット
お前はどうも……こういう荒っぽい世界とは、 無縁の人間だと思えて仕方がなくてな。 |
Bullet |
バレット
そういう、穏やかな世界で暮らしていた人間とは、 あまり付き合いを持ったことがない。 |
Bullet |
バレット
少し居心地が悪いというか……対応に困るんだ。 |
Bullet |
バレット
だからといって、いなくなれと言っているわけじゃないぞ。 レジスタンスは、居場所を求める者には開かれた組織だ。 |
Bullet |
バレット
一晩であれ、共に戦い、共に飯を食えば、仲間だ。 お前はそのうち、目的のためにここを離れるんだろうが……。 |
Bullet |
バレット
私に協力できることがあるなら、遠慮なく言ってくれ。 出来る限り力になる。 |
Bullet |
第4節 影なる凶刃①/ 4. Shadowy Assassin's Dagger - 1
Summary | |
---|---|
バレットに潜伏しているレジスタンスの工作
員を保護してほしいと頼まれ、ヤマツミに向 かうことになる。 |
|
何事もなくヤマツミに潜入できたシエル達。
念のため人目を避けながら工作員の隠れ家に 向かう。 |
ヒビキ
どうぞ。 |
Hibiki |
統制機構衛士
失礼いたします! |
NOL Soldiers |
統制機構衛士
……例の工作員の件ですが、先に捕えていた1名の情報により、 もう1名は発見しました。ですが……。 |
NOL Soldiers |
ヒビキ
もうひとり、いたはずですね。 そちらはまだ発見できていないと。 |
Hibiki |
統制機構衛士
はっ……申し訳ありません。 |
NOL Soldiers |
ヒビキ
……先に捕えていたほうは、もう死んだのでしたね? |
Hibiki |
統制機構衛士
……はい。尋問官が……その……。 |
NOL Soldiers |
ヒビキ
わかっています。……もう1名を捕えたのも、彼ですか? |
Hibiki |
統制機構衛士
は、はい……。 |
NOL Soldiers |
ヒビキ
では、死んでいるんですね。 |
Hibiki |
統制機構衛士
はい……報告を受けたときには、もう。 申し訳……。 |
NOL Soldiers |
ヒビキ
彼を使うと決めたのは自分です。 あなたが責任を感じる必要はありません。 |
Hibiki |
ヒビキ
下がって結構です。 引き続き、もう1名の工作員を捜索してください。 |
Hibiki |
統制機構衛士
はっ! ……あの。コハク大尉。差し出がましいようですが……。 |
NOL Soldiers |
統制機構衛士
例の男は、一体何者なのですか? このまま、コハク大尉の下に置かれるおつもりなのでしょうか? |
NOL Soldiers |
ヒビキ
…………。 |
Hibiki |
統制機構衛士
し、失礼しました! 過ぎた口を……! |
NOL Soldiers |
ヒビキ
いえ。訝しく思っているのは、 なにもあなただけではないでしょう。 |
Hibiki |
ヒビキ
ですが……今の状況を動かすには、必要な人材です。 然るべき時が来れば、然るべき処置を自分が下します。 |
Hibiki |
ヒビキ
以上です。下がってください。 |
Hibiki |
統制機構衛士
はっ! し、失礼いたしました! |
NOL Soldiers |
ヒビキ
……使える人材ですが、制御が難しい。 |
Hibiki |
ヒビキ
カグラ様の足元を汚される前に、やるべきことを終えて、 退場させるほうが得策かもしれませんね。 |
Hibiki |
ヒビキ
それにしても、反逆者とは。 |
Hibiki |
ヒビキ
都合よく現れてくれたのですから、 しっかり使わせていただきましょう。 |
Hibiki |
ヒビキ
肥沃な土地を作るには、十分な肥料が必要ですからね。 |
Hibiki |
久音
さて、今日もレジスタンスのお手伝いに、 情報収集と行きますか。 |
'Kuon |
ラーべ
しかし、ここにもかなり長居しているな……。 そろそろ別の場所に行くか、展開を変えたいところなんだが。 |
Raabe |
シエル
レイさん。ラーベさん。久音さん。 あちらで、レジスタンスの皆さんが何やら相談しているようです。 |
Ciel |
久音
本当ね。どうしたのかしら。 なんだか物々しい雰囲気だけど。 |
'Kuon |
ラーベ
トラブルかもしれんな。行ってみよう。 状況が膠着しているから、トラブルは歓迎したい。 |
Raabe |
久音
ちょっと。それ……バレットの前で言わないでよ? |
'Kuon |
久音
バレット。なにかあったの? |
'Kuon |
バレット
ああ、お前たちか。ちょうどいい。こんなことばかりで すまないんだが……頼まれてほしいことができた。 |
Bullet |
シエル
詳しい話をうかがえますか? |
Ciel |
バレット
もちろんだ。実は……。 |
Bullet |
シエル
見えました。ヤマツミの正門です。 |
Ciel |
ラーベ
数日前にも通ったな。 あのときは大勢の衛士に囲まれながらだったけども。 |
Raabe |
久音
それは行きの話でしょ。 帰りはレジスタンスに囲まれながらだったはずよ。 |
'Kuon |
シエル
そうですね。 あのときは混乱に乗じて、強引に突破しましたが……。 |
Ciel |
シエル
さすがに今は、落ち着いた警備態勢です。 |
Ciel |
久音
下手に暴れて騒ぎにするよりも、無害そうな顔でしれっと 通るほうが、もしかしたらうまくいくかもしれないわよ。 |
'Kuon |
久音
一見、私たちはただの学生の集団って感じだし。 それっぽい理屈をこねれば、案外行けるかも。 |
'Kuon |
シエル
目指すのは、ヤマツミの中層にある レジスタンスの隠れ家です。 |
Ciel |
シエル
そこに、情報収集のために潜入している 工作員さんがいるはずです。 |
Ciel |
1: 統制機構にバレたって…… |
1: |
シエル
はい。 ヤマツミに潜入中のレジスタンスの工作員、3名。 |
Ciel |
シエル
そのうち1名が統制機構に拘束され、 工作員の情報を自白、別の1名と共に処刑されたそうです。 |
Ciel |
シエル
残る1名が、まだヤマツミの隠れ家で身を潜めています。 |
Ciel |
久音
工作員の逃亡を警戒して、都市から出ることへの警戒が 厳しくなってる。工作員本人は、顔も名前も割れてる。 |
'Kuon |
久音
身動きできなくなっちゃって、なんとか状況だけ バレットの元に届いた……って話だったわね。 |
'Kuon |
シエル
私たちに依頼された任務は、生き残りの工作員1名の確保と、 バレットさんのところへの帰還です。 |
Ciel |
シエル
合流する前に見つかって、処刑されていないといいのですが。 |
Ciel |
ラーベ
それなんだが、ちょっと疑問だ。ヤマツミの統制機構の指揮は、 あのヤヨイ中尉がRaabe行っているはずだよな? |
Raabe |
久音
ええ、そうよ。 |
'Kuon |
ラーベ
前にレジスタンスを拘束したときは、 捕虜にも丁寧な扱いをするようにと部下を叱責していた人物だ。 |
Raabe |
ラーベ
それが、工作員とはいえ、さくさくっと処刑してしまうとは。 意外というか、らしくない気がしてならない。 |
Raabe |
シエル
確かに、彼女は優しい人に思えました。 工作員に対する冷静な処罰と、人物像が一致しません。 |
Ciel |
久音
それはそうかもしれないけど、ひとまず考えるよりも先に 合流しちゃったほうがいいんじゃない? |
'Kuon |
久音
バレットから話を聞いた段階では、隠れ家は見つかって ないらしいけど、今この瞬間もそうとは限らないんだから。 |
'Kuon |
シエル
そうですね。ですが、このような重大な任務を行うのが、 私達でよかったのでしょうか。 |
Ciel |
久音
工作員の顔がバレてるってことは、 レジスタンスの人たちのことも知られてるかもしれないし。 |
'Kuon |
久音
下手に身内を潜り込ませるより、一応部外者の私たちを 行かせたほうが、リスクは少ないんじゃない? |
'Kuon |
1: 自分たちも脱獄犯なんだけどね |
1: |
ラーベ
目を付けられているという条件が同じなら、それこそ 戦力が期待できるほうが、都合がいいという判断だろう。 |
Raabe |
シエル
そうですね。任せていただいたのですから、 無事工作員さんを送り届けたいです。 |
Ciel |
久音
さてと。いつまでもこうしていても仕方ないし。 とりあえず正門まで行ってみましょうか。 |
'Kuon |
シエル
待ってください。 |
Ciel |
久音
どうしたの? |
'Kuon |
シエル
森の奥から、敵性反応接近中です。魔物と思われます。 ……どうしますか? |
Ciel |
久音
どうするって、もしこっちに気付いてるんだとしたら、 逃げたらそのままついてきちゃうでしょ? |
'Kuon |
久音
ヤマツミに魔物を連れてはいけないわ。 |
'Kuon |
ラーベ
その混乱に乗じて入り込む、という手もあるが……。 |
Raabe |
1: 迷惑はかけられないよ |
1: |
シエル
はい。戦闘態勢に移行します。 |
Ciel |
久音
そうこなくっちゃ。私も付き合うわ。 目立つといけないから、さっさと片付けましょう。 |
'Kuon |
久音
ずいぶんあっさり入れたわね……。 脱獄犯も一緒だっていうのに、統制機構って案外ザルなのね。 |
'Kuon |
ラーベ
こんな下層で見張りをしているような末端の衛士には、 脱獄の情報自体がいっていないのかもしれないな。 |
Raabe |
シエル
なんにせよ、幸運でした。 早速、工作員さんの状態を確認しましょう。 |
Ciel |
久音
状態、って。無事、とか言ってよ。 隠れ家の場所は、聞いてるのよね? |
'Kuon |
ラーベ
ああ。私が記録してある。 |
Raabe |
ラーベ
正門も通れたくらいだから、あまり警戒する必要は ないだろうが、一応、人目は避けていこう。 |
Raabe |
ラーベ
ええと……地図がこうで、今がここだから……こっちだな。 |
Raabe |
第4節 影なる凶刃②/ 4. Shadowy Assassin's Dagger - 2
Summary | |
---|---|
シエル達は工作員の隠れ家に到着する。脱出
は夜に決行することになり、ラーベと工作員 を隠れ家に残し情報収集と昼食に出かける。 |
シエル
ここ……ですね。 |
Ciel |
久音
普通の家ね。ノックしてみる? |
'Kuon |
1: では失礼して…… |
1: |
くたびれた青年
……はい? どちら様ですか? |
Exhausted Youth |
シエル
私達はレジ……。 |
Ciel |
久音
はいストップ。合言葉、聞いてきたでしょ。 こほん。『西の村から手紙を預かってきた』わ。 |
'Kuon |
くたびれた青年
っ! そ、そうか、君たちが……。よし、入ってくれ。 |
Exhausted Youth |
工作員の青年
……誰にもつけられてはいないみたいだな。 |
Young Spy |
工作員の青年
よかった……よく来てくれた、本当にありがとう。 |
Young Spy |
工作員の青年
連絡員に状況を伝えはしたけど、 どうせもうダメだろうって、諦めかけてたんだ。 |
Young Spy |
久音
生き残りはあなただけって聞いたんだけど……本当? |
'Kuon |
工作員の青年
……ああ。ひとり目が捕まって、俺たちのことを 白状したみたいなんだ。そいつはすぐに殺されたらしい。 |
Young Spy |
工作員の青年
すぐに、もうひとりが町の中で殺されて……。 次は、俺だと思って。怖くて……ずっとここに隠れてた。 |
Young Spy |
久音
そ、そんな震えないでよ。ほら、落ち着いて。 |
'Kuon |
久音
……すぐに連れ出してあげたいところだけど、 そうもいかないわよね。 |
'Kuon |
ラーベ
顔が知られているはずの工作員を連れて、真っ昼間に 堂々と正門から……ってのは、スリリングがすぎるだろうね。 |
Raabe |
シエル
であれば、夜を待って、 どこか目立たない場所から抜け出すべきですね。 |
Ciel |
久音
人目につかずに、ヤマツミから出る方法はある? |
'Kuon |
工作員の青年
ああ、ある。 俺たちが緊急時に、脱出経路にしようとしていた道だ。 |
Young Spy |
工作員の青年
この階層都市の下水道を通るんだが……昼間のうちは、 忍び込むのが難しい。できるだけ暗い時間がいい。 |
Young Spy |
シエル
安全面から考えても、そのほうが望ましいです。 |
Ciel |
工作員の青年
統制機構の、夜間の巡回シフトは入手してある。 この近くから抜け道まで、数十分見張りがいない時間がある。 |
Young Spy |
シエル
その時間帯に、下水道まで辿り着いてしまえばいいのですね。 |
Ciel |
久音
となると……暗くなるまで、暇になるわね。 |
'Kuon |
ラーベ
日没までは、まだしばらくあるな。 それまでの時間を有効に使いたいところだけど……。 |
Raabe |
1: 情報収集してみるのはどう? |
1: |
ラーベ
そうだな。せっかくヤマツミまで来たんだ。 この機会を無駄にするのは、もったいない。 |
Raabe |
久音
あ、賛成。もうお昼過ぎてるし、私もお腹すいちゃった……。 それに、そのついでに情報収集もできるしね。 |
'Kuon |
工作員の青年
お、おい、本気か? ここにいれば安全なのに、あえて外に出るつもりか……!? |
Young Spy |
シエル
心配は不要です。アナタはここに残っていてください。 |
Ciel |
シエル
顔が知られている可能性がある以上、 アナタが外で行動するのはリスクがあります。 |
Ciel |
シエル
ですが我々はどうやら、 この辺りでは特に警戒されていないようです。 |
Ciel |
久音
ちょっとそのへんを歩くくらいなら、問題ないでしょ。 |
'Kuon |
久音
下層は特に、色んな人がうろついてるし。 目立つことさえしなければ、紛れ込めるわよ。 |
'Kuon |
久音
むしろこんな街外れの一軒屋で、人間が4人息を殺して ひっそりしてるほうが、かえって不自然さが出て目につくわ。 |
'Kuon |
シエル
そうですね。辺りの家にはほとんど人がいませんから、 生体反応などを検知されれば明らかに不自然です。 |
Ciel |
ラーベ
いや…… よほどの目的がない限り、そこまでしないと思うがな……。 |
Raabe |
工作員の青年
だ、だが……。 |
Young Spy |
ラーベ
ひとり残されるのも、不安か。 なら、私が残ろう。 |
Raabe |
シエル
ラーベさんが、ですか? |
Ciel |
ラーベ
護衛の意味でも、シエルにはレイと 行動を共にしてもらったほうがいい。 |
Raabe |
ラーベ
久音は私たちよりも、この辺りの知識がある。 |
Raabe |
ラーベ
シエルやレイだけで送り出すのは、 あまりに不安だからな。ついていってやってほしい。 |
Raabe |
ラーベ
となると、あとは私しかいない。だろう? |
Raabe |
工作員の青年
でも……その、こんなボールになにが……。 |
Young Spy |
ラーベ
失礼な奴だな。確かに私に戦闘能力は無いが、 不審人物の接近や周囲の異変を察知することはできる。 |
Raabe |
ラーベ
むしろ私が直々に側についていてやるんだぞ、光栄に思え。 それともひとりで留守番がいいか? |
Raabe |
工作員の青年
い、いいいや、いや、ありがたい。お願いします! |
Young Spy |
ラーベ
ふふん。始めからそう言えばいいんだ。 |
Raabe |
久音
それじゃ、行ってくるわ。 情報収集と、ついでにお昼ご飯ね。 |
'Kuon |
シエル
はい。 レイさんには定期的な栄養摂取が必要です。 |
Ciel |
久音
私にも、ね。 それと、他人事みたいに言ってるけどシエルにもでしょ? |
'Kuon |
シエル
あれば、動力源として活用しますが、なければ補給剤などで 補えます。最優先はレイさんです。 |
Ciel |
久音
機械みたいな言い方するのね。 まあいいわ。ヤマツミで3人でランチ。後、情報収集。 |
'Kuon |
久音
日没までには戻ってくるから。 留守番よろしく。 |
'Kuon |
第4節 影なる凶刃③/ 4. Shadowy Assassin's Dagger - 3
Summary | |
---|---|
昼食の後、ちんぴらに絡まれたシエル達。怒
った久音は「お詫び」のために彼らを裏路地 に誘導し、お灸をすえる。 |
|
チンピラを撃退時の爆発を聞きつけた統制機
構衛士がやってきてしまう。しかし、シエル 達は見逃され、違和感を覚える。 |
久音
う〜ん、さっきのお店、 辺鄙なところにある割には、おいしかったわね。 |
'Kuon |
久音
やっぱりおいしいものを食べると、気分がいいわ。 |
'Kuon |
シエル
そうなんですね。 レイさんも、そうですか? |
Ciel |
1: 気分がいい |
1: |
シエル
なるほど。レイさんについての 新しいデータを獲得しました。 |
Ciel |
久音
ふふ。なんか、懐かれてるのね、あなた。 |
'Kuon |
久音
それにしても。 ちょっと引っかかるわよね。工作員の話。 |
'Kuon |
久音
さっき聞いた感じだと、ひとり目はともかく、 ふたり目は拘束されずに殺されたみたいじゃない。 |
'Kuon |
久音
普通、そういうことする? よっぽどの抵抗にあったら、 そうなる可能性はあるのかもしれないけど……。 |
'Kuon |
シエル
工作員の人たちが、 それほど極端に戦闘に特化しているとは思えません。 |
Ciel |
シエル
さっきの方も、 この事態にとても怯えているようでしたし……。 |
Ciel |
久音
そう、割と普通の人だったわよね。 |
'Kuon |
久音
他の人もそうだったんだとしたら…… ますます、ツバキが彼らを殺すなんて指示をするとは思えないわ。 |
Kuon |
シエル
……そうですね。 このあたりの町でも少しお話も聞いて回りましたが、 |
Ciel |
シエル
皆さん、ツバキさんに対しては とても優しく礼儀正しい方だという評価でした。 |
Ciel |
シエル
実際に会った彼女の印象と、 ヤマツミの町中で聞ける評判は、合致しています。 |
Ciel |
久音
逆に、今回の件に関わる部分だけ、印象が合致してない。 ってことは……単純に考えれば |
'Kuon |
久音
これはツバキの指示じゃないって可能性もあるわよね。 |
'Kuon |
久音
まあ、私たちが知らない顔を持ってるって可能性も、 もちろんあるんだけど……。 |
'Kuon |
久音
わっ、と。 |
'Kuon |
ちんぴらA
お? おいおい、嬢ちゃん。どこに目ぇつけて歩いてんだよ? |
Hooligan A |
ちんぴらB
よそ見してると危ないぞ〜? 恐いお兄さんに見つかっちまうかもしれないだろ? |
Hooligan B |
ちんぴらC
俺たちみたいな、なぁ! ギャハハハハ! |
Hooligan C |
久音
……あっそう。ご忠告どうも。 でも明らかに今、あんたたちからぶつかってきたわよね? |
'Kuon |
ちんぴらA
はぁ? どこにそんな証拠があるんだよ。 俺たちはただ歩いてただけだぜ? 因縁つけようってのか? |
Hooligan A |
ちんぴらB
な〜に、そう怯えるなって。ちょっとお詫びをしてくれりゃあ、 許してやるからさぁ。 |
Hooligan B |
ちんぴらA
そうそう、ちょ〜っとな。 へっへっへ、よく見ると中々美人じゃねぇか、嬢ちゃん。 |
Hooligan A |
ちんぴらB
こっちの白い髪の子も、かわいいじゃ〜ん。 |
Hooligan B |
ちんぴらC
大人しくしてれば優しくしてやるから……。 |
Hooligan C |
久音
…………。 |
'Kuon |
久音
……わかったわ。お詫びしようじゃないの。 でもこんな人通りのあるところでは恥ずかしいから……。 |
'Kuon |
久音
ちょっと、こっちに来てくれないかしら? |
'Kuon |
久音
……よし。ここならいいわね。 |
'Kuon |
シエル
薄暗い通りです。人通りもありませんが……。 |
Ciel |
ちんぴらA
へっへっへ、意外と物分りがいいじゃねぇか。 さぁて、どうお詫びしてもらおうか……。 |
Hooligan A |
久音
バカね。どう、って……。 |
'Kuon |
ちんぴらB
うわっ、あっちちちち! |
Hooligan B |
久音
『こう』に決まってるでしょ! |
'Kuon |
久音
ふん。この私に喧嘩売ろうなんて、百年早いのよ。 |
'Kuon |
ちんぴらA
ひ、ひぃぃぃ! |
Hooligan A |
ちんぴらB
たたたたたた助けてくれぇぇぇぇ! |
Hooligan B |
野次馬A
なんだ、喧嘩か? |
Bystander A |
野次馬B
おい、あの女……確か『爆炎の魔女』って噂の……! |
Bystander B |
野次馬C
うわ、本当だ! あいつ『爆炎の魔女』じゃないか。 ヤマツミを出たって噂もあったのに……。 |
Bystander C |
野次馬A
お、おい、こっち見たぞ、気を付けろ。 下手なことすると、燃やされるぞ……! |
Bystander A |
シエル
……久音さんは、どうやら有名な人のようです。 |
Ciel |
久音
ち、ちち、違うの、違うのよこれは、誤解よ! 私はなにもおかしなことしてないんだから! |
'Kuon |
久音
ちょっと……今の連中みたいなのを こらしめたことはあるけど……それだけだから……! |
'Kuon |
統制機構衛士
何事だ!? |
NOL Soldiers |
シエル
統制機構の衛士です……! |
Ciel |
久音
なっ!? 誰か通報したの? もう、ちょっとくらい街角で 爆発があったからって、血相変えてこなくてもいいのに……! |
'Kuon |
シエル
お言葉ですが、久音さん。 先ほどの爆発は、ちょっとくらいではないと判断します。 |
Ciel |
1: それより、逃げ道が…… |
1: |
シエル
……強引に突破しますか? |
Ciel |
久音
まずいでしょ。完全に目ぇつけられるわよ……。 |
'Kuon |
統制機構衛士
……ふむ。そこのごろつきどもが、子供たちに絡んでいたと。 ……ん? お前たちは……? |
NOL Soldiers |
久音
ど、どうも。 駆け付けていただいて、助かりましたわ、おほほほ。 |
'Kuon |
久音
それじゃあ、あの。あとのことはお任せしますので。 急いでおりますの、失礼〜! |
'Kuon |
統制機構衛士
…………。 |
NOL Soldiers |
シエル
これは強引ではないのですか? |
Ciel |
久音
い、いいから、無害そうな顔してなさい……! |
'Kuon |
統制機構衛士
……いいだろう。行きなさい。 |
NOL Soldiers |
久音
え? あ、あはは、それじゃあ、失礼します〜。 |
'Kuon |
久音
……はぁ〜、よかったぁ。何事もなくて……。 |
'Kuon |
シエル
何事かは十分ありましたが。 |
Ciel |
久音
捕まらなくてよかったって話よ。……あの衛士たち、 完璧に私たちの顔見てたのに、見逃してくれたわね。 |
'Kuon |
久音
やっぱりラーベが言ってたみたいに、末端の衛士には 脱獄のこととか伝わってないのかしら。 |
'Kuon |
シエル
だと思います。そうでなければ、正門の件はともかく、 今の一件は不自然すぎます。 |
Ciel |
シエル
……『爆炎の魔女』とのトラブルを避けたという 可能性もありますが……。 |
Ciel |
久音
だ、だからそれは、この辺の人が勝手に呼び出しただけだから! そんな大げさに言うようなことなかったんだから! |
'Kuon |
シエル
そうなのですか? それにしては、知名度が高かったように思いますが……。 |
Ciel |
久音
くっ……無垢な目で見られると、どうしてか胸が痛むわ……。 |
'Kuon |
久音
そ、それより、さすがにそろそろ戻りましょう。 日が暮れてから戻るんじゃ、心配かけちゃうだろうし。 |
'Kuon |
シエル
わかりました。では、行きましょう。 |
Ciel |
第4節 影なる凶刃④/ 4. Shadowy Assassin's Dagger - 4
Summary | |
---|---|
夜、工作員の下調べにより、見回りがいない
時間に行動していたが、情報になかった見回 りの統制機構衛士に見つかってしまう。 |
久音
……いいわ。誰もいない。 |
'Kuon |
工作員の青年
今の時間なら、衛士はこの町の反対側の巡回に行っているはずだ。 しばらくは戻ってこない。 |
Young Spy |
久音
それでも、誰に見られるかわからないもの。 とりあえず早くここを出ましょう。 |
'Kuon |
久音
抜け道の下水道に入ってしまえば、こっちのものよ。 そんなところまで、衛士も探しになんか来ないでしょうし。 |
'Kuon |
ラーベ
抜け道までの道順は記録してある。ついてこい。 シエル、先導しろ。 |
Raabe |
シエル
了解しました。 |
Ciel |
シエル
…………。 |
Ciel |
1: 静かだね |
1: |
シエル
……広い通りを抜けます。周囲に気をつけて……。 |
Ciel |
統制機構衛士
お前たち! そこでなにをしている!? |
NOL Soldiers |
シエル
!? 統制機構の衛士です! |
Ciel |
久音
嘘!? 見回りの連中はとっくに反対側に向かったはずよ!? |
'Kuon |
工作員の青年
ば、馬鹿な、別の巡回がいるなんて……! |
Young Spy |
統制機構衛士
なにをごちゃごちゃと言っている! そこを動くな。武器を持っているなら捨てろ! |
NOL Soldiers |
ラーベ
まずい、騒ぎになると別の衛士も集まってきかねない。 |
Raabe |
久音
大事にならないうちに、強行突破しかないわね! |
'Kuon |
シエル
了解。戦闘行動に移行します。 |
Ciel |
第5節 抜け道を行く/ 5. Taking the Side Streets
Summary | |
---|---|
脱出経路である下水道の入り口に辿り着いた
シエル達。下水道は魔物の巣窟になっており、 倒しながら進むことを余儀なくされる。 |
久音
……どう? |
'Kuon |
ラーベ
とりあえず、追跡してくる反応はないみたいだ。 うまいこと撒けたな。 |
Raabe |
シエル
驚きました。まさか巡回とは別に衛士がいて、 それにばったり出くわしてしまうとは。 |
Ciel |
久音
あなた、本当に統制機構の巡回の情報、 掴んでたんでしょうねぇ? |
'Kuon |
工作員の青年
ほ、本当だ! 俺の掴んでた情報では、この時間は安全なはずだったんだ。 |
Young Spy |
工作員の青年
別動隊なんて聞いてない。嘘じゃないって……! |
Young Spy |
久音
……まあ。嘘だったとしたら、自分で自分の首を 絞めてるわけだから、疑うのもお門違いか。 |
'Kuon |
ラーベ
とりあえず、下水道までは来られた。 さすがにここまで追いかけてはこないと信じたいね。 |
Raabe |
久音
でも、ここも楽な道じゃなさそうね。 暗いし、嫌な臭いがするし。 |
'Kuon |
シエル
階層都市の構造の中でも、かなり下層のようです。 魔素も濃いですね……。 |
Ciel |
シエル
レイさん、 あまり深く息をしないようにしてください。 |
Ciel |
ラーベ
そうだな。あと、人よりも魔物に気をつけたほうがいい。 |
Raabe |
ラーベ
ここの魔物は魔素に染まった原生生物が主だ。 そういう生き物にとっては、ここは格好の生息地だろう。 |
Raabe |
シエル
……っ! 反応を確認。こちらに向かってきています。 |
Ciel |
ラーベ
早速か。アポなしの来客も歓迎してくれるらしい。 |
Raabe |
シエル
反応、増大。 非常に多数の魔物が、こちらに気付いているようです。 |
Ciel |
ラーベ
全部を相手にしていると、いつまでたっても抜けられん。 駆け抜けるぞ! |
Raabe |
久音
もちろん。こんなところに長居なんてごめんよ。 人目を忍ぶ必要はもうないんだから、思いっきり蹴散らすわよ! |
'Kuon |
第6節 切り裂く者①/ 6. One Who Rips to Shreds - 1
Summary | |
---|---|
統制機構の動きに違和感があると話すラーベ
と久音。出口が目前に見えていることもあり、 ひとまず魔物の排除に集中する。 |
久音
はぁ……はぁ……なんなのよ、この下水道! 魔物の巣窟じゃない! |
'Kuon |
1: 疲れた…… |
1: |
シエル
ですが、ずいぶん進みました。工作員さんが入手した 構造図に従えば、出口まではあと少しです。 |
Ciel |
久音
野営地に戻ったら、速攻お風呂ね……。 あと服と靴も洗わないと……。 |
'Kuon |
シエル
はい。衛生的に非常に劣悪な状況です。 感染症などが発生しては、一大事ですから。 |
Ciel |
久音
それ以前の問題よ……。 |
'Kuon |
ラーベ
…………。 |
Raabe |
シエル
ラーベさん、どうかしましたか? 壊れましたか? |
Ciel |
ラーベ
壊れてないから、チョップの構えをやめなさい。 |
Raabe |
シエル
よかったです。 |
Ciel |
久音
でもどうしたの? 黙りこくって、考え事? |
'Kuon |
ラーベ
まあね。 ちょっと気になるというか、引っかかるというか……。 |
Raabe |
久音
統制機構の動き……ね。 |
'Kuon |
ラーベ
その通り。 ヤマツミに入ったときから、気になってたんだよ。 |
Raabe |
ラーベ
正門の衛士は、私たちをすんなり通した。 街中で遭遇した衛士も、お前たちをあっさり行かせた。 |
Raabe |
ラーベ
余計なトラブルを嫌っただけかもしれないし、 情報が行き渡ってないせいかもしれない。 |
Raabe |
ラーベ
だが今は、内部に工作員が潜んでいる厳戒態勢中なんじゃ ないのか? それでなくてもレジスタンスとの抗争中だろう。 |
Raabe |
久音
確かに、その割には都市の警戒が低いかもね……。 こっちに都合よく事が運ぶから、まあいいかって思ってたけど。 |
'Kuon |
久音
さっき出くわした衛士たちも……動きがね、 こっちの想定といちいち違ってて、 |
'Kuon |
久音
何か気持ち悪いって言うか……。 |
'Kuon |
工作員の青年
気持ち悪いって……ど、どういうことだ? |
Young Spy |
シエル
想定外の動きをするのは、 なにか理由があると予想されます。 |
Ciel |
シエル
その理由が不明なことが、 久音さんやラーベさんには気がかりなのではないでしょうか。 |
Ciel |
久音
ええ、そうよ。考えすぎかもしれないけど。 |
'Kuon |
シエル
であれば、迂闊に動くのは危険な可能性もあります。 ……どうするべきでしょうか。 |
Ciel |
1: 目の前のことから片付けていこう |
1: |
久音
そうね。こんなところで、あれこれ言っていても しょうがないし。ここまで進んだからには、後戻りも嫌だもの。 |
'Kuon |
ラーベ
ああ。 だが、その前にもう少し汚れなければならなそうだぞ。 |
Raabe |
久音
げっ……あちこちにある横穴から……。 |
'Kuon |
久音
でも、冷静に考えると、魔物の住処を荒らしているのは 私たちなのかもね。 |
'Kuon |
シエル
ですが、通り抜けるためです。敵性体の排除を開始します。 |
Ciel |
第6節 切り裂く者②/ 6. One Who Rips to Shreds - 2
Summary | |
---|---|
下水道を出ようとした瞬間、久音は暗闇から
突如現れたリッパーの一撃を受けてしまう。 リッパーを退けるため、迎え撃つ。 |
シエル
見えました! 外の明かりです。 |
Ciel |
久音
ようやくね……。もう、靴がぐちゃぐちゃ。 こんなことなら、ブーツかなにか借りてくればよかった……。 |
'Kuon |
ラーベ
思いの外、時間がかかってしまったな……。 こうも魔物が溜まっているとは、予想外だった。 |
Raabe |
久音
バレットたちが心配してるかもしれないわね。 ちょっと急がないと。下手したら夜が明けちゃうわ。 |
'Kuon |
シエル
レジスタンスの方々が無用に動揺してしまう前に、 野営地に辿り着きたいですね。 |
Ciel |
久音
ええ。あ〜、でもここまで来ると少し空気も変わってきたわね。 |
'Kuon |
久音
外の空気。魔素まみれとはいえ、下水道とは別世界の……。 |
'Kuon |
久音
血の……臭い? ―― !? |
'Kuon |
久音
くっ……! |
'Kuon |
工作員の青年
ひぃぃっ!? |
Young Spy |
シエル
久音さん! |
Ciel |
1: 大丈夫!? |
1: |
1: 大丈夫!? |
1: |
久音
下がって、レイ! |
'Kuon |
シエル
対象、接近……! |
Ciel |
???
ありゃ。浅かったなぁ。もっと血がどばーっと出て、 女の悲鳴がキャーってのを期待してたんだけどな〜。 |
??? |
久音
あんたは……! |
'Kuon |
???
咄嗟に避けたか? ガキだと思って余裕こいてたら、 意外と動けるじゃん、ヒヒッ。 |
??? |
シエル
対象を捕捉……。暗がりに身を潜めていたようです。 すみません、気付きませんでした……。 |
Ciel |
ラーベ
私の索敵にも引っかからなかったとは。 |
Raabe |
ラーベ
出口が近いからって気が抜けていたか? それとも奴の特性か……? |
Raabe |
ラーベ
いずれにしても、気を付けたほうがいい。 尋常じゃない殺気だ。 |
Raabe |
???
お? なにソレ、しゃべんの? へぇ〜、いいじゃん、カワイイじゃん。 |
??? |
???
全員切り刻んだら、お土産にすっか。 いいねェ、お楽しみが増えたぜ。 |
??? |
久音
まさか……リッパー!? どうしてあんたがここにいるのよ!? |
'Kuon |
リッパー
あ? 俺のこと知ってんの? ヒャッハハ、なに、俺ってばゆーめいじん? |
Ripper |
シエル
お知り合いなのですか? |
Ciel |
久音
違うわよ! まぁでも……知ってると言えば、知ってるんだけど。 |
'Kuon |
久音
でもあいつはこっちのこと、知らないみたいね。 |
'Kuon |
久音
あいつは通称リッパー。鋼鉄をも切り裂く指で、 多くの人を惨殺した……最低最悪の快楽殺人鬼よ。 |
'Kuon |
リッパー
お、今のイイねぇ。気に入ったぜぇ〜。 アイドルのキャッチフレーズみたいじゃん。 |
Ripper |
リッパー
あなたの心臓を鷲掴み、リッパーちゃんで〜す、ヨロシクね☆ ヒャハハハハッ! 掴んだら切れちゃうよなぁ〜。 |
Ripper |
ラーベ
……なるほど、あいつも『異物』か。 それも、お前と同じ場所から紛れ込んだわけだ。 |
Raabe |
久音
そういうこと。 |
'Kuon |
リッパー
にしても、おっかしいなぁ〜。俺が殺すはずの、 工作員ってやつは、ひとりだったと思ったけど。 |
Ripper |
リッパー
なのにこーんなに大勢いるとか、聞いてないんですケド。 これじゃあ…… |
Ripper |
リッパー
……大サービスじゃん。 |
Ripper |
リッパー
ヒヒッ、ひとりだと、軽く切り刻んでるうちに すぐ死んじゃうからさぁ。数がいるなら、大歓迎よ! |
Ripper |
工作員の青年
ひっ! あ、あいつ、俺を殺しに来たのか……。 |
Young Spy |
ラーベ
そりゃあ、そうだろう。すでに他の工作員が死んでいるのなら、 お前を生かしておく理由は少ない。 |
Raabe |
リッパー
他の工作員? あー、殺した、殺した。 殺した……と思うけど。どんな奴だったっけなぁ〜。 |
Ripper |
リッパー
ま、いいか。昔の事なんてどーでもいいじゃん。 未来に生きようぜ〜。 |
Ripper |
リッパー
とりあえず今は目の前に新しいオモチャがいるわけだし。 しかもい〜っぱい! |
Ripper |
リッパー
誰が一番、刻み心地がいいか…… チェックチェック、マイクテストマイクテスト〜。 |
Ripper |
シエル
……対象の戦闘レベルの上昇を確認。 戦闘態勢へ移行します。 |
Ciel |
リッパー
まずは試し切りから行くぜぇ〜〜〜!! ヒャーッハハハハハ! |
Ripper |
第6節 切り裂く者③/ 6. One Who Rips to Shreds - 3
Summary | |
---|---|
絶体絶命の状態に陥ったシエル達。そこにバ
レットが合流し、興が削がれたリッパーは退 散した。 |
久音
っ、う……まずい……目が回ってきた……。 |
'Kuon |
シエル
久音さんの動きが、徐々に鈍っています。 最初に受けた傷からの出血は、まだ止まっていません。 |
Ciel |
1: そんな状態で激しく動いたら…… |
1: |
久音
だ……大丈夫、このくらい、かすり傷よ……。 |
'Kuon |
シエル
その状態は、とてもかすり傷と呼べるものでは ありません。出血が続けば、やがて動けなくなります。 |
Ciel |
ラーベ
あいつ、始めからただ息の根を止めるためじゃなくて、 じわじわなぶり殺しにするつもりだったな……。 |
Raabe |
リッパー
ん〜ん、イイじゃん、イイじゃん。 |
Ripper |
リッパー
ドブ臭ぇ中に漂う新鮮な血の匂い! ヘドロに飛び散る赤い色! まさに芸術ってやつ? |
Ripper |
リッパー
あー、血の匂い嗅いでたら、腹減ってきた。 そういやぁ、最近うまいモン食ってねぇなぁ……。 |
Ripper |
リッパー
この辺の連中は、殺しても殺してもうまくねぇ。 前はもっと……あー……あれ、前っていつだ? まあいっか。 |
Ripper |
リッパー
お前らはどうだ? うまいかなぁ。 食欲をそそる匂いはするんだけどよぉ。 |
Ripper |
リッパー
隅々まで開いて、食えるとこないか探してやっから。 それまでは、た〜っぷりイイ声聞かせてくれよなぁ! |
Ripper |
シエル
くっ! |
Ciel |
リッパー
オラ、もっと踏ん張ってねぇと、腹の中身でぐちゃぐちゃに なる前に、なんだかわかんねぇ泥で全身ぐっちゃぐちゃだぜぇ! |
Ripper |
久音
この……! |
'Kuon |
久音
なっ!? |
'Kuon |
シエル
消えた……? |
Ciel |
ラーベ
シエル、索敵! |
Raabe |
シエル
! いけない……レイさん! |
Ciel |
1: え? |
1: |
シエル
ぐぅ……が、はっ……。 |
Ciel |
久音
シエル!? |
'Kuon |
リッパー
大事なお仲間を、身を挺して守るとか……泣かせるねぇ。 けど、そのせいで思いの外深くイっちまったぁ……あ〜あ。 |
Ripper |
1: |
1: |
ラーベ
レイ! しっかりしろ! |
Raabe |
1: なんだか急にめまいが…… |
1: |
リッパー
ヒャーッハハハハ! 泣いちゃうなよ、すぐに同じ血の海に沈めてやっからさぁ! |
Ripper |
ラーベ
レイ、下がれ! |
Raabe |
リッパー
オラァ、次はテメェだぁ! |
Ripper |
リッパー
なにっ……!? |
Ripper |
シエル
……損傷軽微。戦闘行動を続行します。 |
Ciel |
久音
シエル! |
'Kuon |
リッパー
チィッ! |
Ripper |
リッパー
あれー? おっかしーなー、ちゃんと刺したと思ったんだけどな……。 |
Ripper |
リッパー
なんだぁ、雑魚ばっか刻んでたから、なまったか? |
Ripper |
リッパー
……ま、いっか。 さくっと終わっちまったら、つまんねーもんな。 |
Ripper |
リッパー
むしろ生きててくれてラッキーだぜ。今度は指先から ちょーっとずつ、じわじわ細切れにしてやんよ! |
Ripper |
久音
シ、シエル、本当に大丈夫なの? |
'Kuon |
シエル
問題ありません。 ……想定よりも傷が浅かったようです。 |
Ciel |
シエル
それより、久音さんも下がってください。 無闇に動けば出血量が増します。このままでは危険です。 |
Ciel |
久音
怪我してるのは、あなたも同じでしょ。 それに、シエルひとりでどうにかできる相手じゃないわ。 |
'Kuon |
久音
私も加勢する。 下がってたって、じっとしてたらあいつの格好の餌食よ。 |
'Kuon |
ラーベ
リッパーの動きには、暗さも足元の悪さもまるで影響して いない。それどころか、この視界の悪さはいっそ奴の味方だ。 |
Raabe |
ラーベ
久音の言う通り、じっとしていたら気付かないうちに 背後からざっくり……なんてことになりそうだな。 |
Raabe |
工作員の青年
か、感心してる場合じゃねぇよ、どうするんだ、 このままじゃあの子ら、やられちまう。 |
Young Spy |
工作員の青年
そうなったら、俺も……! |
Young Spy |
ラーベ
なに、死ぬときはみんな一緒だよ。 ……なんて、冗談言ってる場合じゃないか。 |
Raabe |
ラーベ
どうにかしてこの場を脱出しないと、 奴の目論見通り、じわじわなぶり殺しにされるのがオチだ。 |
Raabe |
工作員の青年
そ、そんな……駄目だ、そんなのは……。 この情報だけは、バレットさんに伝えねぇと……! |
Young Spy |
リッパー
バレット……ああ、お前がレジスタンスの工作員なのか。 まあまあ、そう焦るなって。 |
Ripper |
リッパー
こいつら適当にバラしたら、次はお前と遊んでやるからさ。 それまでちゃーんと順番守って、大人しくしとけよー。 |
Ripper |
工作員の青年
う、ぐ、くそ……。お、おい、お前! よくわかんねぇけど、要は機械なんだよな!? |
Young Spy |
ラーベ
お、おお、私か? |
Raabe |
工作員の青年
このデータを、バレットさんのところに届けてくれ。 |
Young Spy |
工作員の青年
どんな形でもいい。お前なら、データを取り込んだりして 届けることもできるだろ!? |
Young Spy |
ラーベ
そりゃまあ……できるが。 |
Raabe |
1: ラーベに預けてどうするの? |
1: |
工作員の青年
俺が……あいつの気を引く。 その間に下水道を抜けてくれ。 |
Young Spy |
工作員の青年
俺が残っても足手まといだが、お前たちなら……。 いや、お前だけでも、バレットさんのところに辿り着いてくれ! |
Young Spy |
ラーベ
おいおい。 お前でリッパーを抑えられるとでも思っているのか? |
Raabe |
工作員の青年
そんなわけないだろ。 でも……どうせ死ぬなら、意味のある死に方がしたい。 |
Young Spy |
工作員の青年
頼んだぞ。 ……うおおぉぉぉぉぉお!! |
Young Spy |
久音
馬鹿! なにやって……! |
'Kuon |
リッパー
あららららら。んだよ、せっかちだなぁ。 でも……リクエストには応えてやんよぉ! |
Ripper |
リッパー
ぐおっ……!? 今度は、なんだぁ!? |
Ripper |
バレット
はぁぁっ! |
Bullet |
リッパー
うわっ、とっ、とっ! あぶねっ! |
Ripper |
バレット
何者かは知らんが、私の仲間に手を出すのなら容赦はしない! |
Bullet |
久音
バレット! |
'Kuon |
バレット
久音、無事か! シエルやレイは!? |
Bullet |
シエル
私は軽傷ですが、久音さんは深手を負っています。 早急な手当てが必要です。 |
Ciel |
1: 助かった…… |
1: |
バレット
嫌な予感がしたんでな。この抜け道を使うことは わかっていたから、出口まで迎えに来たんだ。 |
Bullet |
バレット
余計な世話かとも思ったが、 駆け付けて正解だったみたいだな。 |
Bullet |
リッパー
チッ、レジスタンスかよ。 ぞろぞろ大勢連れて来やがって……。 |
Ripper |
久音
形勢逆転、ね。 |
'Kuon |
リッパー
面白くねぇなぁ。これじゃ情緒がないじゃん。 闇夜の殺しってのはもっと、静かでムードがねぇと……。 |
Ripper |
バレット
ならばどうする? 両手を挙げて投降するか? |
Bullet |
リッパー
んなの、決まってんだろ? 帰るんだよ。 |
Ripper |
久音
待ちなさい! そう易々と逃がすと思ってるの! |
'Kuon |
久音
あんたには、聞きたいことがたくさんあるの。 どうしてここにいるの? あんたに指示を出してるのは誰!? |
'Kuon |
久音
誰の指示で……レジスタンスの工作員を殺したの? |
'Kuon |
バレット
何? ということは……その男が、私の仲間を殺したのか! |
Bullet |
リッパー
あー……そっちは盛り上がってるみたいだけど、 俺は全然盛り下がっちゃってるんだわ。 |
Ripper |
リッパー
また今度にしてくんない? |
Ripper |
リッパー
せっかく見つけた獲物だし。 今度はゆーっくり、楽しもうぜ〜。 |
Ripper |
バレット
消えた……? いや、闇に紛れただけだ、まだ近くにいる! 追え! |
Bullet |
ラーベ
止めておいたほうがいいんじゃないか? |
Raabe |
バレット
なぜだ! あいつは仲間を殺したんだぞ! |
Bullet |
ラーベ
だからといって、大勢差し向ければ仕留められる相手でもない。 全員、暗がりのRaabe中で順々に殺されて終わりだ……。 |
Raabe |
ラーベ
お前なら、さっき仕掛けたとき、 それくらいわかっただろう? |
Raabe |
バレット
くっ……それは……。 |
Bullet |
久音
私もそう思う。リッパーは危険な奴よ……。 無闇に追いかけるべきじゃない。 |
'Kuon |
シエル
追跡よりも、撤退を優先するべきです。 工作員さんは無事に保護できました。 |
Ciel |
シエル
それと、久音さんの手当てをお願いします。 |
Ciel |
バレット
そうか、深手を負っていると言っていたな…… 見せてみろ。 |
Bullet |
久音
……ごめんなさい、私としたことが、奇襲に気付けなくて。 |
'Kuon |
バレット
……これはひどいな。久音、外へ。 誰か、応急手当てをしてやれ! |
Bullet |
バレット
それとシエル、お前も怪我をしているようだな。 お前も手当てを受けろ。 |
Bullet |
シエル
わかりました。 その前に、バレットさん。 |
Ciel |
シエル
工作員の方が、 バレットさんにどうしても伝えたい情報があるようです。 |
Ciel |
バレット
情報? 本当なのか? |
Bullet |
工作員の青年
あ……ああ、本当だ! 階層都市の建設に関わる機密だ。 今後の作戦に、きっと役立つ! |
Young Spy |
久音
自分の命を投げ出してでも、届けようとしてたのよ。 まったくもう、無茶してくれるんだから。 |
'Kuon |
バレット
……ありがとう。ご苦労だった。 |
Bullet |
バレット
仲間が命を懸けて手に入れた情報を、無駄にはできない。 ……お前たちの助言に従おう。 |
Bullet |
バレット
情報は野営地まで戻ってから聞く。 総員、撤退! 怪我人の手当てがすみ次第、急いで戻るぞ! |
Bullet |
レジスタンスたち
<size=150%>はい!!</size> |
Resistance Members |
リッパー
……おー。仕事はちゃーんとやっといたぜ。 デキる男だからさー、俺。 |
Ripper |
リッパー
……んだよ。前のやつ勝手に殺しちゃったこと、 まーだグチグチ言ってんのかよ。ありゃ事故だって、事故。な? |
Ripper |
リッパー
……ハイハイ。お仕事たくさんうれしーなー。 いや、マジマジ。殺していいとか、サイコーよ? |
Ripper |
リッパー
……ああ。あの喋るボールと一緒にいた奴等な。 匂いは覚えたからさぁ。 |
Ripper |
リッパー
……ちゃんと俺に、殺させてくれよな? |
Ripper |
第7章 架け橋①/ 7. Mediator - 1
Summary | |
---|---|
統制機構の動きが気になるためバレットと別
れ、戦える程度に回復した久音とともにシエ ル達はヤマツミに向かう。 |
シエル
対象の殲滅を完了しました。戦闘態勢を解除します。 ……お疲れ様でした。 |
Ciel |
バレット
ふう。これで、この辺りの魔物はあらかた片付いたか。 明け方に戻ってきたばかりだというのに、手伝わせて悪いな。 |
Bullet |
シエル
いえ、問題ありません。レイさんの バイタルにも問題はありませんでした。 |
Ciel |
バレット
そうか。 ……相変わらずシエルは、妙な物言いをするな。 |
Bullet |
ラーベ
ところで、いいのか? リーダーのお前が、 こんなところで魔物退治なんかしていて。 |
Raabe |
ラーベ
昨夜保護した工作員が、 重大な情報を持ち帰ってきたんじゃないのか? |
Raabe |
バレット
ああ、その通りだ。 だから今、その情報を元にした作戦の準備を行っている。 |
Bullet |
バレット
そのせいで、外に出て魔物退治をするような人手が、 私くらいしかいなくてな。お前たちにも手伝ってもらった。 |
Bullet |
シエル
バレットさんは、準備に参加しなくていいのですか? |
Ciel |
バレット
もちろん、やるべきことには参加するさ。 それに、魔物退治だって大事な準備だ。 |
Bullet |
バレット
いざ出発するとなったときに、 野営地を魔物に囲まれているようでは、身動きできん。 |
Bullet |
シエル
確かにそうです。 では、私達も役に立っているのですね。 |
Ciel |
バレット
もちろんだ。役に立つどころじゃない。 |
Bullet |
バレット
……野営地に戻る前に、もう一度、改めて礼を言わせてくれ。 我々の仲間を連れ帰ってくれて、ありがとう。 |
Bullet |
バレット
昨夜の作戦は、お前たちでなければ完遂できなかっただろう。 |
Bullet |
バレット
お前たちがいなければ、私は今日、情報を手にすることも できなかったし、大切な仲間を見殺しにするしかなかった。 |
Bullet |
バレット
本当に、心から感謝している。 |
Bullet |
1: 気にしないで |
1: |
バレット
命に関わる危険な任務を依頼したというのに、 屈託のない顔で言うんだな。 |
Bullet |
バレット
相手が違ったら、裏があるんじゃないかと疑うところだが。 お前だと不思議と疑う気になれない。 |
Bullet |
バレット
……お前たちのような人材は、探して得られるものじゃない。 どうだろう、もう一度、考えてみてくれないか。 |
Bullet |
バレット
私たちと共に戦ってほしい。 |
Bullet |
ラーベ
……またその話か。 |
Raabe |
シエル
私には判断できません。 レイさんはどう思われますか? |
Ciel |
ラーベ
一応、私からの意見を言っておくとだな。 |
Raabe |
ラーベ
今レジスタンスに参加すれば、昨夜の情報を元にした なんらかの作戦に参加することになるだろう。 |
Raabe |
ラーベ
それは恐らく、いや十中八九、 統制機構への攻撃を目的としたものだ。 |
Raabe |
ラーベ
つまり参加を表明すれば、統制機構と戦うことになる。 ……そして私は、統制機構の動向が少し引っかかっている。 |
Raabe |
1: そうですね、統制機構の動きが気になります |
1: |
バレット
それは……以前にも言っていた、 『やること』というのに関係しているのか? |
Bullet |
シエル
はい。私達は依然、情報を探しています。 |
Ciel |
バレット
情報、か。私たちにもなにか協力できないか? せめてもの礼だ、手伝えることがあれば、力になりたい。 |
Bullet |
ラーベ
そうだな……だったら、試しに聞いてみてもいいか? |
Raabe |
バレット
なんだ? |
Bullet |
ラーベ
もしこの世界が、誰かの思惑によって思い通りに 動かされているとしたら、それは誰の意思によるものだと思う?Raabe |
Raabe |
バレット
世界が……? ずいぶんと壮大なことを聞くんだな……。 |
Bullet |
ラーベ
深く考える必要はないぞ。 ちょっと参考までに、お前の意見を聞いてみたいだけだ。 |
Raabe |
バレット
そうだな……。 誰かの意思で、世界が動かされているとしたら……。 |
Bullet |
バレット
私はやはり、図書館……統制機構だと思う。 |
Bullet |
シエル
それは統制機構が、 レジスタンスと戦っている敵だからですか? |
Ciel |
バレット
いや、順序が逆だ。戦っているから、 連中が世界を動かしていると主張しているんじゃない。 |
Bullet |
バレット
奴等が世界を、自分たちの思い通りにしようとしていると 感じているから、我々は戦うと決めたんだ。 |
Bullet |
シエル
なるほど……。 |
Ciel |
バレット
個人を特定はできないが…… 今の世の中を操っているのは、統制機構だと断言できる。 |
Bullet |
バレット
そして、それを不服に思いながらも 抗えずにいる人間は、とても多い……。 |
Bullet |
バレット
私たちも、いずれ倒れる運命なのかもしれない。 だがそれまでは、できることをやると決めた。 |
Bullet |
シエル
今、準備している作戦も、 その『できること』のうちのひとつなのですか? |
Ciel |
バレット
その通りだ。統制機構に、世界はお前たちのものではないと、 教えてやるつもりだ。 |
Bullet |
バレット
お前たちも一緒に戦ってくれるのなら心強いのだが、 無理強いはできない。残念だが、諦めよう。 |
Bullet |
シエル
お手伝いできなくて、申し訳ありません。 |
Ciel |
バレット
いや、気にしないでくれ。 だが……お前たちはこれから、どうするんだ? |
Bullet |
バレット
まだ他の村を回るのか? |
Bullet |
ラーベ
いや、ヤマツミにもう一度入ってみようと思う。 |
Raabe |
ラーベ
前回は工作員のこともあって、 あまり大っぴらに動き回れなかったからな。 |
Raabe |
ラーベ
それに統制機構という組織も気になる。 |
Raabe |
バレット
そうか。昨日の今日だ、危険だとは思うが……。 |
Bullet |
久音
ちょっと、そこ! 勝手に話を進めないでくれる? |
'Kuon |
シエル
久音さん。 出歩いて大丈夫なのですか? |
Ciel |
久音
大袈裟ね。かすり傷だって言ったでしょ。 |
'Kuon |
1: 無理はいけないよ |
1: |
久音
う……べ、別に嘘をついてるわけじゃないわよ。 ただ本当に、身動きできないような傷じゃないの。 |
'Kuon |
久音
ちゃんと手当てもしてもらったし、自分でもできる限り 治癒を試みてみたし。 |
'Kuon |
久音
まだちょっと痛みと違和感はあるけど、 血も止まって傷口もくっついた。 |
'Kuon |
久音
リッパーに奇襲を受けた直後より、よっぽどまともな状態よ。 |
'Kuon |
シエル
そうですか。経過が順調で、よかったです。 |
Ciel |
久音
そんなことより、あんたたち。 私を置いてヤマツミに行くつもりだったんじゃないでしょうね? |
'Kuon |
久音
足手まとい扱いはごめんよ。私も行くわ。 |
'Kuon |
ラーベ
それは心強いが……ヤマツミにはリッパーがいる。 それを差し向けたやつもな。 |
Raabe |
ラーベ
穏便なことばかりというわけには、いかないだろう。 本当に大丈夫なのか? |
Raabe |
久音
もちろん。そりゃ、万全ってわけじゃないけど、 そんじょそこらの衛士に引けを取るほどじゃないわ。 |
'Kuon |
久音
それに……リッパーのこと、放っておけないの。 あいつはまた、きっと誰かを殺す。 |
'Kuon |
久音
同じ世界から紛れ込んだ奴が、この世界で好き放題するのを、 黙って見てられないわ。 |
'Kuon |
1: わかった、一緒に行こう |
1: |
久音
ありがと。迷惑はかけないわ。 |
'Kuon |
シエル
では、出来る限りサポートします。暗所での戦闘になれば、 リッパーさんに利があります。単独での対処は、非常に危険です。 |
Ciel |
久音
それはお互いさまね。あいつ、また殺しに来るみたいなこと 言ってたから。シエルも気を付けて。 |
'Kuon |
シエル
わかりました。 |
Ciel |
バレット
お前たちがなにをしようとしているのかは知らないが、 十分注意しろ。 |
Bullet |
バレット
最近の統制機構は、どうにも得体が知れない。 |
Bullet |
シエル
得体が知れないとは、どういう意味でしょうか? |
Ciel |
バレット
わからん。ただ、私たちは幾度も攻撃を仕掛け、 何度かはこちらが優勢の状態に追い込んだんだ。 |
Bullet |
バレット
だがそのたびに、統制機構は急に勢力を増して、 私達が築いた戦果をひっくり返してきた。 |
Bullet |
久音
勝てそうだったのに、突然逆転されたってこと? そういうことが何度もあったの? |
'Kuon |
バレット
ああ。こちらの情報が漏れているのかもしれない。 だがそれにしたって、奴等の動きは柔軟すぎる気がする。 |
Bullet |
バレット
なにか、私たちの知り得ない、 不可思議な力が関わっているのかもしれない。 |
Bullet |
バレット
それこそ……世界を思い通りに操るような力が……。 |
Bullet |
久音
それって……。 |
'Kuon |
ラーベ
……意見を聞かせてくれて、ありがとう。 今後の活動の参考になるよ。 |
Raabe |
バレット
あ、ああ。いや、とはいえ、私の思い過ごしかもしれない。 あまり惑わされないでほしい。 |
Bullet |
シエル
はい。気を付けます。 |
Ciel |
バレット
悪いが、こちらにも準備がある。送り届けることはできない。 だが水と食料は、少しだが支給しよう。持っていってくれ。 |
Bullet |
シエル
ありがとうございます。 |
Ciel |
バレット
昨夜の礼だ。 では……武運を。 |
Bullet |
久音
そっちもね。あんまり無茶するんじゃないわよ。 |
'Kuon |
バレット
それこそ、こっちの台詞だ。 |
Bullet |
第7章 架け橋②/ 7. Mediator - 2
Summary | |
---|---|
シエル達はヤマツミ上層部でツバキと遭遇し
た。ツバキの引き連れていた衛士達は彼女の 制止を振り切り捕らえようとする。 |
|
シエル達との話し合いを望むツバキは、部下
の衛士たちを説得し、落ち着いて話し合いを できるところへ移動する。 |
シエル
第十七階層都市ヤマツミ、下層市街地に入りました。 ……周囲に異常な反応はありません。 |
Ciel |
久音
前来たときと同じね。 特に尋問もなく、あっさり正面から入れちゃった。 |
'Kuon |
ラーベ
町の様子にも、変わりはなさそうだ。 といっても、昨日の今日で様変わりしていたら驚きだけど。 |
Raabe |
シエル
これから、どうしますか。また昨日と同じように、 この辺りを散策して聞き込みをしてみますか? |
Ciel |
ラーベ
昨日と同じことを同じ場所でやっても、 大きな成果は期待できないだろう。 |
Raabe |
ラーベ
手段を変えるか、場所を変えるかしたほうがいいかもな。 |
Raabe |
久音
手っ取り早く、場所を変えましょうか。 少し上層へ行ってみない? |
'Kuon |
久音
階層都市は、上へ行くほど設備も整ってるし、 魔素もほとんどなくなる。 |
'Kuon |
久音
それだけ、住むにはコストがかかるから、上層に住んでるのは 統制機構の関係者か一部の裕福な人だけって話よ。 |
'Kuon |
久音
統制機構について知りたいなら、 下層にいるより情報も集まるんじゃないかしら。 |
'Kuon |
シエル
確かにそうですね。いい選択だと思います。 |
Ciel |
ラーベ
ついでに、統制機構にとって我々が どういう立ち位置の存在なのかも、掴めるといいな。 |
Raabe |
ラーベ
今のところ、自由が利きすぎていて不気味だ。 |
Raabe |
シエル
地図のデータからすると…… あちらから、上の階層に上がれるようです。 |
Ciel |
久音
よし。行ってみましょ。 |
'Kuon |
シエル
驚きました。空気の質がまるで違います。 たった少し、階層を上がっただけなのに。 |
Ciel |
久音
この辺はもう、上層階って呼ばれる場所ね。 見た目からして、全然下とは違うでしょ。 |
'Kuon |
シエル
はい。とても清潔感のある街並みです。 |
Ciel |
シエル
建物の配置はゆとりがあって、道幅も広いですし、 あちこちに健康な植物も見られます。 |
Ciel |
ラーベ
レジスタンスの野営地に比べれば、下層もかなり恵まれた 環境だったけど、これを見ちゃうとなんとも言えないな。 |
Raabe |
久音
見える? あの一番高い場所にあるのが、統制機構の支部よ。 つまり、ちょっと前にあなたたちが捕まっていたところ。 |
'Kuon |
シエル
改めて近くで見ると、かなり大きな建物ですね。 ここがヤマツミの行政の中心地なのですか。 |
Ciel |
1: ツバキさんはどうしてるかな…… |
1: |
久音
さあ。ただ、あれだけ大掛かりな脱獄があったんだもの。 平穏無事ってわけには、いかなかったんじゃない? |
'Kuon |
久音
ああ、そうそう。 支部の近くに行くときは、気を付けてよね。 |
'Kuon |
久音
いくら下層の衛士に私たちのことが伝わってなかったとしても、 上層の衛士はそうはいかないかもしれないから。 |
'Kuon |
シエル
久音さんはヤマツミの事情に詳しいですね。 |
Ciel |
久音
まあね。気が付いたら、当たり前みたいにここにいたから。 右も左もわからないなりに、色々調べたのよ。 |
'Kuon |
久音
少し歩いてみましょうか。 大通りの方に出れば、聞き込みもできるだろうけど……。 |
'Kuon |
久音
あんまり人目がありすぎるのも問題よね。 |
'Kuon |
ラーベ
とりあえず、行ってみよう。 ここで突っ立っていてもしょうがない。 |
Raabe |
シエル
はい。 |
Ciel |
久音
大通りまではわかるから、案内してあげる。こっちから……。 |
'Kuon |
ツバキ
え……? |
Tsubaki |
久音
へっ? |
'Kuon |
ラーベ
あ。 |
Raabe |
シエル
あなたは確か、ツバキ=ヤヨイ中尉。 |
Ciel |
ツバキ
あ、あ、あ…… あなたたち、どうして……。 |
Tsubaki |
統制機構衛士A
中尉、いかがされましたか!? |
NOL Soldier A |
統制機構衛士B
む? おい、お前たち、中尉になんのご用だ!? |
NOL Soldier B |
統制機構衛士C
待て、あいつらの顔、どこかで……あ! |
NOL Soldier C |
ラーベ
まずいぞこれは……。 |
Raabe |
統制機構衛士A
いつぞやの脱獄犯! おのれ、まさかこんなすぐ近くに潜伏していたのか! |
NOL Soldier A |
統制機構衛士B
ひっとらえろ! ヤヨイ中尉はお下がりください。ここは我等が! |
NOL Soldier B |
ツバキ
あ、ち、ちょっと待ってください。私は彼らに……。 |
Tsubaki |
ツバキ
あ、ち、ちょっと待ってください。私は彼女たちに……。 |
Tsubaki |
統制機構衛士A
総員、構え! |
NOL Soldier A |
シエル
相手は問答無用のようです。迎撃の必要があります。 |
Ciel |
ラーベ
ああ、待て、シエル。適当に手は抜くんだぞ。 度が過ぎると、あとで話がややこしくなりそうだ。 |
Raabe |
久音
こんな乱戦で、難しいこと言わないで! 気を付けるけど、もしものときは恨みっこなしよ! |
'Kuon |
ツバキ
<size=120%>はぁっ!</size> |
Tsubaki |
シエル
!? |
Ciel |
統制機構衛士A
や、ヤヨイ中尉、なにを……!? |
NOL Soldier A |
ツバキ
そこまでです。双方、手を引きなさい。 |
Tsubaki |
統制機構衛士B
で、ですが奴等は……! |
NOL Soldier B |
ツバキ
わかっています。彼らは統制機構の法を犯した者です。 ですが……そこにはなにか、事情があったはずです。 |
Tsubaki |
ツバキ
わかっています。彼女たちは統制機構の法を犯した者です。 ですが……そこにはなにか、事情があったはずです。 |
Tsubaki |
ツバキ
反抗の姿勢を見せているわけでもないのですから、 なにも暴力で押さえつけることもないでしょう。 |
Tsubaki |
統制機構衛士A
なにをおっしゃいます。相手は反逆者ですよ! 統制機構に逆らう者に、慈悲など無用です! |
NOL Soldier A |
ツバキ
……もちろん、厳正に対処する必要があります。 |
Tsubaki |
ツバキ
ですがそれは、 あえて事を荒立てて行うことでもないはずです。 |
Tsubaki |
ツバキ
ましてや…… こんな、市民に危害が及ぶかもしれない街中で。 |
Tsubaki |
統制機構衛士B
ですが……! |
NOL Soldier B |
ツバキ
わざわざ、こんな支部の近くに現れたのです、 そうするだけの理由があるのでしょう。……そうですね? |
Tsubaki |
シエル
はい。 |
Ciel |
ツバキ
まずはそこから、聞かせてもらいます。 それに、私も……もう少し、話がしてみたいのです。 |
Tsubaki |
ラーベ
では、ツバキ=ヤヨイ中尉。取引をしないか? |
Raabe |
ツバキ
取引……ですか? |
Tsubaki |
ラーベ
そう。それこそが、私たちがここまでやってきた 理由でもあるわけなんだが……。 |
Raabe |
ラーベ
こちらの持つ、レジスタンスに関する情報を提供しよう。 代わりに、ヤヨイ中尉、あなたと個人的に話がしたい。 |
Raabe |
統制機構衛士A
反逆者の分際で、なにが取引だ! 情報など、拘束してから洗いざらい吐いてもらう! |
NOL Soldier A |
ツバキ
いいえ。手出しは無用です。 |
Tsubaki |
統制機構衛士A
ヤヨイ中尉! |
NOL Soldier A |
ツバキ
全責任は私が負います。 あなた方は持ち場に戻ってください。 |
Tsubaki |
統制機構衛士A
反逆者の言うことを信用するおつもりですか!? |
NOL Soldier A |
ツバキ
私は、統制機構とヤマツミのより良い未来のために、 必要なことをしようとしているだけです。……お願いします。 |
Tsubaki |
統制機構衛士B
……わかりました。 |
NOL Soldier B |
統制機構衛士A
おい……! |
NOL Soldier A |
統制機構衛士B
ヤヨイ中尉がここまでおっしゃっているんだ。 俺たちが口出しするべきことじゃない。 |
NOL Soldier B |
統制機構衛士B
それに、彼女はいくら若いとはいえ、上官だぞ。 これは上官命令だ。 |
NOL Soldier B |
統制機構衛士A
……わかりました。 |
NOL Soldier A |
統制機構衛士B
ヤヨイ中尉。我々はご指示通り、持ち場に戻ります。 |
NOL Soldier B |
ツバキ
ありがとうございます。 |
Tsubaki |
統制機構衛士B
いえ。十二宗家がひとつ、ヤヨイ家の方のなさることです。 統制機構に対し、間違いなどあるはずがないですから。 |
NOL Soldier B |
ツバキ
……それと、こんなことをお願いするのは心苦しいのですが……。 |
Tsubaki |
ツバキ
このことは、コハク大尉には……。 |
Tsubaki |
統制機構衛士B
自分の認識では、この場に何も無かった……筈ですが。 |
NOL Soldier B |
統制機構衛士B
では、失礼いたします、ヤヨイ中尉。 |
NOL Soldier B |
統制機構衛士B
近頃『賊』の出現も報告されておりますので、 十分お気を付けください。 |
NOL Soldier B |
久音
賊ねぇ……。 |
'Kuon |
シエル
衛士の方々が、立ち去っていきます。 ということは、取引に応じていただけるということですか? |
Ciel |
ツバキ
ええ、そうです。 ……というより、取引だなんて口実でしょう? |
Tsubaki |
ツバキ
私があなたたちと話しやすいように、 持ち出してくださったのですね。 |
Tsubaki |
ラーベ
そう思うなら、早速どこか手ごろな場所へ案内してほしいね。 ここは多少、目立つからな。 |
Raabe |
ツバキ
はい、場所を変えましょう。ついてきてください。 |
Tsubaki |
第7章 架け橋③/ 7. Mediator - 3
Summary | |
---|---|
シエル達はツバキからレジスタンスとの和平
交渉の仲介を頼まれる。代わりに統制機構の 内情を教えてもらう。 |
ツバキ
……ここでいいでしょう。 |
Tsubaki |
シエル
植物がたくさんあります。 それも、外の森では見られないほど健康な状態です。 |
Ciel |
ツバキ
住民の憩いの場所として、また階層の縁に 建物が建たないよう前もって整備された、緑地区域です。 |
Tsubaki |
ツバキ
支部からも遠く、階層の端にありますから、 いつ来ても静かな場所です。 |
Tsubaki |
ツバキ
ここに来る住民は滅多にいませんから、 今の私たちにはぴったりだと思いますよ。 |
Tsubaki |
シエル
案内していただき、ありがとうございます。 |
Ciel |
ツバキ
いえ、これは私のためでもありますから。 |
Tsubaki |
ツバキ
……先ほどは、部下が先走り失礼いたしました。 お怪我はありませんか? |
Tsubaki |
久音
大丈夫よ。私もシエルも、そんなにヤワじゃないから。 |
'Kuon |
ツバキ
そのようですね。 |
Tsubaki |
久音
あなた、統制機構の偉い人なんでしょ? ずいぶんこっちに対して、丁寧ね。 |
'Kuon |
久音
もっとみんな 偉ぶってる奴等ばっかりだと思ってたのに。 |
'Kuon |
ツバキ
……私たちの中に、そういう傾向がないとは言いません。 |
Tsubaki |
ツバキ
ですがそれは私たち、 世界虚空情報統制機構の理念とは一致していません。 |
Tsubaki |
ツバキ
私たちは、世界の秩序を守り、 人々の安らかな生活を守るために存在しています。 |
Tsubaki |
ツバキ
その模範となるべき私たちが、野蛮な無法者のように 振る舞うのはいかがなものかと、思っているだけです。 |
Tsubaki |
久音
ご意見には賛同するけど。 あなた、真面目すぎて苦労するタイプっぽいわね。 |
'Kuon |
ツバキ
う……そんなことは……ないと思いますけど。 |
Tsubaki |
ツバキ
わ、私の話はいいのです。 それよりも、まず聞かせてください。 |
Tsubaki |
ツバキ
あなた達が、危険を冒してまで ヤマツミに戻ってきた理由はなんですか? |
Tsubaki |
1: 統制機構の様子を探るため |
1: |
ツバキ
統制機構の? 様子とは、どういうことですか? |
Tsubaki |
ツバキ
私に? なぜそのような……? |
Tsubaki |
ラーベ
それはもちろん、統制機構の動きが不可解だからさ。 |
Raabe |
シエル
昨日、私達はこのヤマツミに潜入しました。 |
Ciel |
シエル
ですがその際、正面から入ったときも、町中で衛士の方に 遭遇したときも、私達は疑いすら向けられませんでした。 |
Ciel |
シエル
私達は脱獄犯のはずです。それなのに、 特別引き止められることもなかったのは……不自然です。 |
Ciel |
久音
だけどさっき、上層では違った。あなたが連れていた 衛士たちは、私たちをちゃんと脱獄犯だと認識したわ。 |
'Kuon |
久音
となると、考えられるのは、下層の衛士は私たちをわざと 捕まえなかったか。あるいは、私たちのことを知らないか、よね。 |
'Kuon |
久音
どちらにせよ、統制機構や、この都市の最高責任者である あなたに興味が湧くのは、自然でしょ。 |
'Kuon |
1: 事情があるなら教えてほしい |
1: |
ツバキ
……まず、あなた達が昨日、このヤマツミに侵入した…… と言うお話ですが、私の耳には入っていません。 |
Tsubaki |
ラーベ
なに? |
Raabe |
ツバキ
それと、誤解があるようですから、訂正させていただきます。 |
Tsubaki |
ツバキ
私はこの、第十七階層都市ヤマツミの、 最高責任者ではありません。 |
Tsubaki |
ツバキ
本来この階層都市には、 別の人物が責任者として赴任する予定でした。 |
Tsubaki |
ツバキ
ですが……今は別の都市でのトラブルに足止めされ、 こちらへの到着が先延ばしになっている状況です。 |
Tsubaki |
シエル
以前に耳にしました。ヤマツミでは本当は、 『ジン=キサラギ』さんという人物が指揮を執るはずだったと。 |
Ciel |
久音
えっと、何とかの英雄? とか言ってたわね……。 本当かどうか知らないけど、戦争を一人で終わらせたとか。 |
'Kuon |
ツバキ
その通りです。 |
Tsubaki |
久音
嘘……。ちょっと信じがたい話ね……。 |
'Kuon |
ツバキ
私は、キサラギ少佐の補佐官にすぎません。 |
Tsubaki |
ツバキ
ですからこれは……統制機構としての正式な決定というよりは、 私の独断による行動です。 |
Tsubaki |
ツバキ
そのことをご理解いただいたうえで、お答えします。 |
Tsubaki |
ツバキ
先ほど述べられた予想の通り、あの脱獄騒動に直接関わった 衛士以外には、あなた方の情報は通達されていません。 |
Tsubaki |
シエル
それは、なぜですか? |
Ciel |
ツバキ
私も、あなた方と話がしたかったからです。 誰かを交えることなく、私とあなた方だけで。 |
Tsubaki |
ツバキ
……脱獄犯として正式に、ヤマツミ全体に通達をすれば、 あなた方は罪を逃れることはできなくなります。 |
Tsubaki |
ツバキ
理解されているかわかりませんが…… 統制機構に対する反逆は重罪です |
Tsubaki |
ツバキ
捕まれば、牢を出て話をすることなど 叶わなくなってしまう。 |
Tsubaki |
ツバキ
ましてや……私から、個人的なお願いをすることなど、 到底不可能となります。 |
Tsubaki |
シエル
お願い、ですか? 私達に、なにか依頼したいことがあるのでしょうか? |
Ciel |
ツバキ
ええ。それこそが、私が情報を止めて、 あなた方と共にここへ来た理由です。 |
Tsubaki |
ツバキ
レイさん。 以前に牢でも尋ねました。同じことを、もう一度質問します。 |
Tsubaki |
ツバキ
あなた方は、レジスタンスではないのですよね? |
Tsubaki |
1: 今は仲間になる気はないよ |
1: |
ツバキ
……そうですか。 やはり、立場としてはあくまでも中立なのですね。 |
Tsubaki |
ツバキ
であれば、やはり、あなた方にお願いしたい。 |
Tsubaki |
久音
だから、なにを? |
'Kuon |
ツバキ
レジスタンスとの、交渉の仲介役です。 |
Tsubaki |
シエル
交渉……? |
Ciel |
ツバキ
はい。 このまま戦い続けても、互いに流れる血が増えるだけです。 |
Tsubaki |
ツバキ
それに……レジスタンスの壊滅は、時間の問題です。 |
Tsubaki |
久音
ずいぶん自信があるのね。 ……というより、本気で確信してる風に聞こえるけど。 |
'Kuon |
ツバキ
今のヤマツミは、最低限の補給で運営されています。 物資や人員の輸送を担う魔操船の運航が滞っているためです。 |
Tsubaki |
ツバキ
ですがこれはあくまでも一時的なこと。 やがてトラブルは収束し、解決します。 |
Tsubaki |
ツバキ
そうなれば、衛士も武器も いくらでも運び込めるようになるでしょう。 |
Tsubaki |
ツバキ
なにより、本来の指揮官であるキサラギ少佐が到着されれば、 レジスタンスの壊滅など容易いことです。 |
Tsubaki |
シエル
ジン=キサラギ少佐という人は、 それほどまでに強い方なのですか? |
Ciel |
ツバキ
先程、久音さんも言っていましたが、誇張ではなく……。 |
Tsubaki |
ツバキ
あの方は一人で戦争を終わらせるほどの力を持っています。 私など、比較にもなりません。 |
Tsubaki |
ツバキ
ですから無論…… レジスタンスのリーダー、バレットさんとも、比較になりません。 |
Tsubaki |
久音
それが本当なら、確かにレジスタンスには分が悪いわね。 あの人たち、バレット以外は素人の寄せ集めって感じだし。 |
'Kuon |
ツバキ
秩序を守るという役目がある以上、 レジスタンスの活動を放置するわけにはいきません。ですが……。 |
Tsubaki |
ツバキ
行き場を失った人たちを、武力でねじ伏せたいとは思いません。 できるなら、平和的な解決を目指したい。 |
Tsubaki |
久音
ちょっと待って。あなた、レジスタンスと よりによって和平交渉をしようっていうの? |
'Kuon |
ツバキ
はい。根本的な相互理解は難しいでしょう。 それでも……無益に戦う以外の道を、選びたいのです。 |
Tsubaki |
ラーベ
理由を聞いても構わないか? なぜ和解したい? |
Raabe |
ツバキ
そんなの! 人が死ぬような戦いなど、したくないからです。 ……戦争は、嫌いです。 |
Tsubaki |
ツバキ
失われていい命などないと、私は考えています。 敗北がわかっている戦いに身を投じて、死ぬなど……。 |
Tsubaki |
シエル
人道的な考え方だと思います。 |
Ciel |
ツバキ
……いいえ、単に甘いだけです。 でも今だけは、私がここの指揮官です。 |
Tsubaki |
ツバキ
私が今の立場にいられるうちに、和平に応じてくれれば、 あの人たちに恩赦が下りるよう尽力いたします。 |
Tsubaki |
久音
逆に、その和平に応じなかったら、 レジスタンスたちは壊滅の後に処刑、ってこと? |
'Kuon |
ツバキ
そう……なるでしょうね。 先程も言いましたが、統制機構に対する反逆は重罪です。 |
Tsubaki |
ツバキ
だから、私がそれを止められるのは、今だけなんです。 |
Tsubaki |
ツバキ
どうか。力を貸してください。 |
Tsubaki |
ツバキ
私が直接乗り込んでも、彼らの戦闘意欲を逆撫でするだけです。 でもレジスタンスでも、統制機構でもない……。 |
Tsubaki |
ツバキ
それでいて、彼らと信頼関係を築けているあなた方の話なら、 レジスタンスの方たちも聞いてくれるかもしれません。 |
Tsubaki |
久音
それはどうかしらね。 あの人たち、説得になんて応じる雰囲気じゃなかったけど。 |
'Kuon |
ツバキ
話を持ちかけてくれるだけでも、構いません。 こちらに和解の意思があることだけでも、彼女に伝えたいのです。 |
Tsubaki |
ツバキ
リーダー……バレットとて、 仲間の命を投げ捨てたくはないはず。そう……信じたいです。 |
Tsubaki |
ツバキ
お願いできませんか? |
Tsubaki |
1: 自分も、戦争は嫌いです |
1: |
ツバキ
ありがとうございます。 |
Tsubaki |
ラーベ
…………。 |
Raabe |
久音
どうしたの? |
'Kuon |
ラーベ
……いや。 とりあえず、取引は成立かな? |
RaRaabeabe |
ラーベ
ならばこちらの要求にも具体的な形で 示してもらいたいな。 |
Raabe |
ツバキ
あ……そうですね。なにが必要ですか? 謝礼は……多くは用意できませんが……。 |
Tsubaki |
久音
ちょっと、お金取る気!? |
'Kuon |
シエル
商魂、というものですね。聞いたことがあります。 |
Ciel |
ラーベ
違うわ! 具体的な情報を要求しようと言ってるんだ。 |
RaRaabeabe |
ツバキ
私に答えられる範囲であれば聞いてください。 ただ、全てにお答えできるかは、お約束出来ませんが。 |
Tsubaki |
ラーベ
それで構わないよ。難しいことを聞くつもりはない。 ヤヨイ中尉。お前はドライブ能力者だな? |
Raabe |
ツバキ
え? 情報って、私のこと? ええ……そうです。でもそれが、なにか? |
Tsubaki |
ラーベ
いや、ちょっとな。 ……ついでに聞くが、ドライブ能力者についてどう思う? |
Raabe |
ツバキ
どうと聞かれても…… そうですね、不思議な力だとは思いますが……。 |
Tsubaki |
シエル
先ほど連れていた衛士の人たちは、違うようでした。 |
Ciel |
ツバキ
そうですね。統制機構といえど、 全ての者がドライブを持っているわけではありません。 |
Tsubaki |
ツバキ
代わりに、魔道書で術式を使えるよう訓練を積みます。 |
Tsubaki |
ツバキ
私も……このドライブは、 少し特殊な経緯で手に入れたものですから。 |
Tsubaki |
ラーベ
(成る程……この世界でのドライブ能力は特殊ではあるが 『希少』では無いということか……) |
Raabe |
久音
そう言えば、レイ達を助けた時、 統制機構のどこかの偉い人が来たとか聞いたんだけど。 |
'Kuon |
久音
あれは誰? そのキサラギ少佐って人とは違うのよね? |
'Kuon |
ツバキ
多分、ヒビキ=コハク大尉ですね。 |
Tsubaki |
ツバキ
世界虚空情報統制機構の、総司令官直属のお方で、 現在、総司令官の特使としてヤマツミに駐在しています。 |
Tsubaki |
久音
ふうん……どんな人なの? |
'Kuon |
ツバキ
……とても冷静で、厳しい方です。 いかなる時も毅然としていらして……尊敬しています。 |
Tsubaki |
ラーベ
それは本心か? |
Raabe |
ツバキ
…………。 |
Tsubaki |
ツバキ
……尊敬しているのは、本当です。 でも私は、コハク大尉のようには……なれません。 |
Tsubaki |
シエル
ツバキさんとコハクさんは別個体ですから、 同じにはなれなくて当然ではありませんか? |
Ciel |
久音
そういう意味じゃないわよ……。 もしかして、その人は、レジスタンスとの和平に反対なの? |
'Kuon |
ツバキ
……はい。コハク大尉は、レジスタンスは全員逮捕し、 罪に問うべきだとお考えです。 |
Tsubaki |
ツバキ
どんな平和的な解決をしても、心根には統制機構への 反感が宿っている。それを取り除くことなどできないと。 |
Tsubaki |
久音
まあ……一理あるかもね。 |
'Kuon |
ラーベ
そのヒビキ=コハクは、レジスタンスの壊滅、 もしくは全員の処刑を考えているのか? |
Raabe |
ツバキ
具体的にどこまでの罰を望んでいるかは、 お聞きしたことはありませんが……おそらく、そうかと。 |
Tsubaki |
ラーベ
だがお前は、レジスタンスと和平を結ぼうとしている。 ……ふむふむ、なるほど。 |
Raabe |
ツバキ
はい。私は望みが叶えばいいと、願っています。 どうか、よろしくお願いします。 |
Tsubaki |
1: 責任重大だ…… |
1: |
ツバキ
……陽が沈んできましたね。そろそろ私は支部へ戻らないと。 |
Tsubaki |
久音
私たちは、このまま見逃してもらえるってことでいいの? |
'Kuon |
ツバキ
拘束してしまっては、 和平交渉の仲介をお願いすることはできませんから。 |
Tsubaki |
ツバキ
……統制機構への対処は、 私がなんとかしておきます。 |
Tsubaki |
ラーベ
なんとかなるのか? |
Raabe |
ツバキ
やるだけやってみます。一応、今は責任者ですから。 |
Tsubaki |
ツバキ
レジスタンスとの交渉のタイミングは、お任せします。 結果がどうあれ、知らせていただけるとありがたいです。 |
Tsubaki |
ツバキ
一番安全なのは…… 私個人宛てに何か封書を送っていただくことでしょうか。 |
Tsubaki |
シエル
わかりました。そうします。 |
Ciel |
久音
でももう夕方だし、今日これからレジスタンスたちの ところに戻るってわけにはいかないわね。 |
'Kuon |
久音
どこか目立たない場所で宿を取って、 早くて明日の朝出発かしら。 |
'Kuon |
ラーベ
そうだな、それがいいだろう。 |
Raabe |
ツバキ
では、地図の……この辺りにある宿はどうでしょうか。 このひとつ下の階層にあります。 |
Tsubaki |
久音
いいんじゃない。行ってみましょう。 |
'Kuon |
ツバキ
後ほど、簡易的な通信機を届けさせます。 なにかあれば、使ってください。 |
Tsubaki |
ツバキ
では、失礼します。 |
Tsubaki |
久音
ええ。こっちもいい報告ができるよう、頑張るわ。 |
'Kuon |
ラーベ
……はぁ。 |
RaRaabeabe |
久音
言いたいことはわかるんだけどね……。 まぁ、とりあえず私たちも移動しましょうか。 |
'Kuon |
シエル
…………。 |
Ciel |
久音
シエル? |
'Kuon |
シエル
あ、いえ。少し気になったので。 |
Ciel |
ラーベ
ツバキ=ヤヨイがか? |
Raabe |
シエル
いえ、違います。 ほんの一瞬ですが……誰かいたような気がして。 |
Ciel |
久音
え? 誰かって誰よ。衛士? |
'Kuon |
シエル
わかりません。 存在を感知したのは、一瞬のことでしたので。 |
Ciel |
シエル
今、改めて周囲を索敵してみても、 それらしい反応は感知できません。 |
Ciel |
ラーベ
シエルに限っては、気のせいというのは考えにくいな。 |
Raabe |
ラーベ
警戒するべき人物がいたのかどうかわからんが、 念のため周囲には気を付けて移動したほうがいいだろう。 |
Raabe |
久音
少なくともここからはね。さっさと離れましょ。 |
'Kuon |
第7章 架け橋④/ 7. Mediator - 4
ツバキと別れたあと、再度リッパーが襲来。
情報を聞き出そうとするが、リッパーは何も 答えず、攻撃を仕掛けてくる。 |
|
ツバキの助けによりリッパーは撤退する。彼
女は自身が知らない情報があることを知り、 内部調査に乗り出す。 |
久音
ちょっと出歩いてたら、すっかり真っ暗ね。 冷えてもきたし……。早く宿に行きましょう。 |
'Kuon |
シエル
情報収集は、あまり思わしくありませんでしたね。 ヒビキ=コハク大尉について、有益な話は聞けませんでした。 |
Ciel |
久音
そうね。具体的にどんな人物なのかも よくわからなかったし……。 |
'Kuon |
久音
ヤヨイ中尉の補佐らしいけど、 大尉が中尉の補佐っていうのも、なんだか不自然だし。 |
'Kuon |
ラーベ
どちらかというと、お目付け役なんじゃないか? |
Raabe |
ラーベ
ヤヨイ中尉はまだ若いし、話してみた感じでは、 箱入り娘といった風情だった。 |
Raabe |
久音
そうかも。なにせ……私たちを呼び出して、なにかと思えば、 レジスタンスとの和平交渉の仲介役をやってほしい、だものね。 |
'Kuon |
シエル
良いことなのではありませんか? いつまでもゲリラ戦が 続くより、平和的に解決できた方が、人命も失われずにすみます。 |
Ciel |
ラーベ
お前……あの理想論を本気にしてるのか? 完全に『統制機構』とやらの基準で話をしてたろ。 |
Raabe |
ラーベ
そもそもレジスタンスたちは、その『基準』が嫌で 反抗運動をしているんじゃないか。 |
Raabe |
久音
それに、レジスタンス側はつい先日、 工作員を殺されたばかりなのよ。 |
'Kuon |
久音
それなのに、和平だなんて…… どう考えてもおかしいわよ。 |
'Kuon |
シエル
おかしいとは、なにがですか? |
Ciel |
久音
和平を申し込むタイミングじゃないでしょ。 さっきも言ったけど、工作員を殺したばかりなのよ? |
'Kuon |
久音
そりゃ、そのことを公表したわけじゃないけど、 工作員の最後のひとりは、昨夜逃げのびてる。 |
'Kuon |
久音
そうなったら、レジスタンスに工作員を始末したことが 伝わるって、当然判断できるはずよね。 |
'Kuon |
久音
そのタイミングで和平なんて言い出したら、 相手の神経逆撫でするどころか、いっそ脅しよ。 |
'Kuon |
久音
殺されたくなければ、和平に応じよ。……ってね。 |
'Kuon |
シエル
ツバキさんは、 レジスタンスを脅そうとしているということですか? |
Ciel |
久音
……そう見えた? |
'Kuon |
シエル
いいえ。本心から和平を望んでいるように見えました。 |
Ciel |
久音
私にもそう見えたわ。 だから……可能性としては、ふたつじゃない? |
'Kuon |
1: ツバキは工作員が死んだことを知らなかった |
1: |
久音
もしくは、彼女は巧みに本心を隠して、 私たちを騙してる……とかね。 |
'Kuon |
久音
もしくは、彼女は工作員が処刑されたことについて なにも知らない。 |
'Kuon |
シエル
……そういえばツバキさん。私たちが昨日、この都市へ 潜入した事についても知らないと仰っていました……。 |
Ciel |
ラーベ
リッパーとやらは統制機構の指示で、工作員を始末して、 |
Raabe |
ラーベ
ツバキ=ヤヨイは、そのことを知らない……。 |
Raabe |
ラーベ
つまりツバキ=ヤヨイとは別の誰かが、 リッパーとやらに指示をしているということか……。 |
Raabe |
久音
そう。そしてその誰かは、 ツバキの意向なんてどうでもいいと思ってる。 |
'Kuon |
ラーベ
現状をみれば、そんなことができるのは ひとりしか考えられないが……それ自体も……。 |
Raabe |
シエル
…………。 |
Ciel |
久音
え? なに、どうしたの。急に立ち止まって。 |
'Kuon |
シエル
今……足音がひとつ多かったような……。 |
Ciel |
久音
ちょっ……や、やめてよそういう非科学的なやつ……! |
'Kuon |
ラーベ
これは意外だな。イシャナの魔道士が、科学至上主義か? |
Raabe |
久音
そんなわけないでしょ! っていうか、これはそういうんじゃなくて……。 |
'Kuon |
久音
っ!! |
'Kuon |
久音
リッパー……! 二晩連続で不意打ちなんて、他に芸がないみたいね。 |
'Kuon |
リッパー
ありゃ、ハズレかぁ。ちょ〜っと出遅れちゃったもんなぁ。 |
Ripper |
シエル
なぜ、私達に攻撃を仕掛けるのですか? |
Ciel |
シエル
工作員さんのいない現状で、アナタが私達に 敵対行動をとる理由が不明です。 |
Ciel |
リッパー
おいおい、本気で言っちゃってるのそれ? |
Ripper |
シエル
質問に対して質問で返されるのは、困ります。 やめていただきたいです。 |
Ciel |
久音
シエル、こいつと会話しようとするだけ無駄よ。 どうせ、工作員を取り逃がした仕返しにでも来たんじゃないの。 |
'Kuon |
リッパー
あー、そういや、そんなこともあったっけなぁ。 ヒャハハ、殺す相手が誰とか、あんま興味ねーからさぁ。 |
Ripper |
リッパー
てか、工作員とか今はもうどーでもいいんだわ。 言ったろ? また今度、ゆっくり楽しもうって。 |
Ripper |
リッパー
……言ったっけ? 言ったよな? あれ。 まあいいか。 |
Ripper |
リッパー
不思議なんだよ。昨日の夜のアレ。結構深くイったと 思ったのにさぁ、感覚っつーか、感触っつーか……。 |
Ripper |
リッパー
とにかく、不思議なのよ。それになんだか、 お腹がすいちゃう『ニオイ』がした気がしてさ〜。 |
Ripper |
リッパー
そういうわけだから、昨日の続きな。今度はもっと、 じっくりゆっくりた〜っぷり、切り刻ませてもらうぜ〜! |
Ripper |
シエル
くっ……。対象の戦闘レベルの上昇を確認。 警戒してください。 |
Ciel |
久音
女の子に対して、ニオイとかやめてよね! 失礼でしょ! |
'Kuon |
リッパー
ヒャッハハハハ! |
Ripper |
久音
この……相変わらず、ちょこまかと! |
'Kuon |
ラーベ
影から影へと逃げ回る……下水道での戦いと同じ手か。 |
Raabe |
久音
つっ……。 |
'Kuon |
1: 久音、無理しないで! |
1: |
久音
わかってる。けど……あいつは私が仕留めないと! |
'Kuon |
リッパー
あ〜ん? なんだ、妙に熱烈じゃん。 もしかして俺のファン? |
Ripper |
久音
笑えない冗談ね。 あんたみたいな快楽殺人犯、虫唾が走るわ。 |
'Kuon |
久音
私はただ、あんたみたいなのを許せないだけ。 |
'Kuon |
リッパー
ハッハ、許すの許さないのって、 なんでお前に許されなきゃなんねーんだっつーの。 |
Ripper |
久音
そうね。確かにこれは、私の自己満足からくる、 自己の正当化に他ならないわ。 |
'Kuon |
久音
だけど、自分と同じ世界から紛れ込んでる『異物』が、 この世界に生きてる人を殺して回るなんて、見過ごせないのよ! |
'Kuon |
リッパー
はっは〜ん、なるほどね。お前、そういうクチか。 |
Ripper |
リッパー
生憎、俺はお前のことがわかんねぇけど、お前は俺を 知ってるわけだ。それも『本来の世界』にいた俺を。 |
Ripper |
久音
あんた……自分が『異物』だって気付いてるわけ? |
'Kuon |
リッパー
なに。『異物』っていうの? 呼び方は知らねーけど、 ああ、自分が何者なのかはなんとなーくわかってるぜ。 |
Ripper |
リッパー
俺はこの世界の人間じゃない。 俺が殺してた連中とは匂いが違うしな。 |
Ripper |
リッパー
それに……切り刻んでも開いても、なんっか物足りねぇ。 |
Ripper |
リッパー
でもそんなことは、大した問題じゃねぇし。 どこの人間だって、中身は大体同じじゃん。 |
Ripper |
久音
……話にならないわね。あんたにまともな理屈を求めるほうが、 どうかしてるんでしょうけど。 |
'Kuon |
リッパー
あれ、怒っちゃった? そんな恐い顔すんなよ〜。 俺、おしゃべりは嫌いじゃないぜ。 |
Ripper |
シエル
ならば教えてください。 レジスタンスの工作員を殺すよう指示をしたのは、誰ですか? |
Ciel |
リッパー
さ〜ぁねぇ。てか、それ聞いちゃう? ヒャハハ、答えるわけね〜じゃん。 |
Ripper |
シエル
今夜、私達がここにいるという情報を アナタに提供したのも、その人物と同じですか? |
Ciel |
リッパー
だぁから、教えてあげねぇっての。せっかく殺しまくっても いい環境手に入ったのに、簡単にネタバラシしてやるかよ。 |
Ripper |
リッパー
いくらこれから、 俺に切り刻まれる可哀想な獲物だったとしてもな! |
Ripper |
久音
この……これで! |
'Kuon |
久音
うっ……ヤバッ……昨日の傷……っ |
'Kuon |
リッパー
オラオラァ! 足が止まってんぞ! |
Ripper |
リッパー
チィッ! また邪魔が入るのかよ、クソ! |
Ripper |
ツバキ
そこまでです。武器を下ろして、大人しくしなさい。 |
Tsubaki |
シエル
ツバキさん! どうしてここに? |
Ciel |
ツバキ
あなた方に届け物をしにきたのです。 ……訳あって私自身で来ましたが、正解だったようですね。 |
Tsubaki |
リッパー
あ? お前……マジかぁ。こいつは困っちゃったなぁ〜。 ザックリいきたいとこだけど、殺しちゃマズイよなぁ……。 |
Ripper |
ツバキ
なにをブツブツと言っているのですか。 指示に従いなさい。 |
Tsubaki |
リッパー
ヒヒッ、指示に従いなさい、だって〜。ヒャハハ! 従うわけないだろぉ? 頭おめでたいんじゃないの、お前? |
Ripper |
リッパー
今まさに殺し邪魔されたってのに、その邪魔しやがったやつの 言うことなんざ聞こうと思うかよ。無理無理〜。 |
Ripper |
ツバキ
殺人鬼、って……。それが事実ならばなおのこと、 見過ごすわけにはいきません。速やかに投降しなさい! |
Tsubaki |
リッパー
や〜だよん。捕まえたきゃ鴉でも捕まえてな! んじゃ、お先〜! |
Ripper |
ツバキ
待ちなさい! |
Tsubaki |
ツバキ
……馬鹿な、いない? |
Tsubaki |
シエル
索敵……追跡不能。 すみません、感知できません。 |
Ciel |
ラーベ
どの道、夜に奴を追いかけるのは無謀だな……。 殺されるまではいかなくても、無事ではすまないだろう。 |
Raabe |
久音
……あいつ、やっぱり工作員のときと同じように、 誰かから指示を受けて私たちのところに来たのかしら。 |
'Kuon |
ラーベ
おそらく、そうだろうな。となると、我々を狙ってリッパーを 送り込んだのは……統制機構の誰かということになるか。 |
Raabe |
ツバキ
え……待ってください、それはどういうことですか? |
Tsubaki |
シエル
リッパーさんという方は統制機構の指示で 工作員を処分していたと思われます。 |
Ciel |
シエル
なので今回も同じく、統制機構側の指示で 私達を狙ったのではないかと予測できます。 |
Ciel |
久音
一度、ちゃんと順を追って説明したほうがいいんじゃない? 余計な誤解を生まないためにも。 |
'Kuon |
1: 説明しよう |
1: |
ツバキ
そんな……レジスタンスの工作員……? そのような情報、聞いていません! |
Tsubaki |
ラーベ
その言葉を、どの程度信用していいものかな……。 |
Raabe |
ツバキ
本当です! 私はそのような指示はしていません。 そんなことをすれば……。 |
Tsubaki |
ラーベ
そう、レジスタンスに工作員殺しが発覚すれば、 和平交渉には大きな亀裂が入ることになる。 |
Raabe |
ラーベ
だがもし発覚しなかったら、あるいはそれがリッパーという 犯罪者の仕業に仕立てられたとしたら、 |
Raabe |
ラーベ
表向き統制機構とは関わりのない場所で、 レジスタンスの情報経路を断つことができたかもしれない。 |
Raabe |
ラーベ
その結果、攻勢に出る機会を失ったレジスタンスは、 容易に和平に応じるかもしれない。 |
Raabe |
ラーベ
……そういう考え方もできるかな。 |
Raabe |
ツバキ
……私を疑っているのですか? |
Tsubaki |
久音
もちろん、和平交渉を妨害するために、レジスタンスとの 関係を悪化させようとしている……って場合もあるわ。 |
'Kuon |
久音
ただ、どっちにしたって、ツバキが無関係だと信じられる 根拠はないわけ。わかるでしょ。 |
'Kuon |
シエル
少なくとも、リッパーさんに指示を出す以上、彼の行為が 公にならないよう手を回す必要があります。 |
Ciel |
シエル
この都市に対して早々の影響力を持っている人物であると、 想定されます。 |
Ciel |
ツバキ
私は、殺害など指示していません! ましてや、そんな方法で レジスタンスたちを追い詰めようとだなんて! |
Tsubaki |
ラーベ
主張はわかったが、こっちはなにもわからん状態なんだ。 自分は違うと言うのなら、ちょっと知恵を貸してくれ。 |
Raabe |
ラーベ
例えば、リッパーを使って 工作員を排除しそうなのは誰なのか。可能なのは誰なのか。 |
Raabe |
ラーベ
……心当たりはないのか? |
Raabe |
ツバキ
…………。 |
Tsubaki |
1: ツバキさんには、僕たち(私たち)を殺す理由がない |
1: |
ツバキ
ありがとうございます。 そう言っていただけるのは、心強く思います。 |
Tsubaki |
ツバキ
……少し、考えます。 心当たりについては、後日お話させてください。 |
Tsubaki |
久音
ええ。是非、あなたの意見が聞きたいわ。 |
'Kuon |
シエル
それまでは、 我々は依頼されたレジスタンスとの交渉を進めます。 |
Ciel |
ツバキ
私の疑惑が晴れたわけではないのに……。 助かります。 |
Tsubaki |
ツバキ
あ……忘れていました、これを。 |
Tsubaki |
シエル
これは……通信機ですね。 |
Ciel |
ツバキ
といっても、私の私物です。統制機構が使っているものを、 お渡しするのは問題がありますから。 |
Tsubaki |
シエル
ありがとうございます。お預かりします。 |
Ciel |
ラーベ
シエル。その通信機をここに入れろ。 |
Raabe |
シエル
わかりました。 |
Ciel |
ラーベ
……ごくん。 |
Raabe |
久音
食べた!? |
'Kuon |
ツバキ
え、えっ……? |
Tsubaki |
ラーベ
……よし。スキャン完了だ。 ふーむ、中々面白い通信方式だな。 |
Raabe |
ツバキ
あ、あ、あの……。 |
Tsubaki |
ラーベ
言っておくけど、食べたわけではないぞ。 内部構造を調べるついでに、機能を取り込んだだけだよ。 |
Raabe |
久音
な、なんだ……びっくりした。 |
'Kuon |
ラーベ
お前らな……。 まあいい。 |
RaabeRaabe |
ラーベ
通信機を持たされると、発信電波を辿って こちらの位置を特定される恐れがあるからな。 |
Raabe |
ラーベ
私が取り込むことで、 そういう小細工を無効化させてもらった。 |
Raabe |
シエル
なるほど。合理的な理由があったのですね。 |
Ciel |
ラーベ
当たり前だろうが。……しかし、私物というだけあって、 あまり通信可能範囲は広くなさそうだな。 |
Raabe |
ツバキ
はい。私が執務室にいるとしたら……上層の、この公園くらい までは来ていただかないと、お話できないかと思います。 |
Tsubaki |
久音
逆に言えば、ここまで来れば通信できるんでしょ。 ないよりずっとマシよ。 |
'Kuon |
ツバキ
……これで信用してくれとは、言いません。 ですが交渉の件は、どうかよろしくお願いします。 |
Tsubaki |
久音
言っておくけど、さっき説明したように工作員のことが あったから、うまくいく可能性は低いわよ。 |
'Kuon |
ツバキ
今は断られても、仕方ありません。 ですが、私の気持ちだけでも伝えてください。 |
Tsubaki |
ツバキ
工作員の件については、こちらで調査します。わかり次第、 事情をレジスタンス側にも説明したいと思います。 |
Tsubaki |
ツバキ
ですから、どうか……。 早急に、この状況を打開したいのです。 |
Tsubaki |
シエル
はい。承知しました。 |
Ciel |
ツバキ
……ありがとうございます。 では、今夜はこれで失礼します。 |
Tsubaki |
第8節 襲撃作戦①/ 8. Plan of Attack - 1
Summary | |
---|---|
シエル達は作戦遂行中のバレット達を発見。
シエルはバレットにツバキからの和平交渉を もちかけるが、受け入れられなかった。 |
|
レジスタンスたちを無力化し、バレットのも
とへ向かう。 |
久音
ツバキが言ってたけど、下層の衛士には あなたたちが脱獄犯だって情報が回ってないわけでしょ。 |
'Kuon |
久音
ここからは、衛士にいちいち警戒しなくていいから、 気分が楽ね。 |
'Kuon |
ラーベ
だがあまり無防備なのも考えものだぞ。そもそもツバキの言葉が どこまで信用でRaabeきるかわからんのだからな。 |
Raabe |
シエル
ツバキさんは、嘘をついているようには見えませんでしたが。 |
Ciel |
久音
彼女が嘘をついてなくても、結果的に嘘になってしまう、 ってことはあるかもね。 |
'Kuon |
シエル
どういうことですか? |
Ciel |
久音
もしツバキがリッパーの件に無関係だったとしたら、 内部に、彼女を無視して行動してる人がいるってことでしょ。 |
'Kuon |
久音
だったらそいつが、勝手に下層の衛士にも 私たちの情報を流してる可能性だってある。 |
'Kuon |
久音
どうも、リッパーを差し向けるくらい、 私たちを始末したいみたいだし。 |
'Kuon |
シエル
なるほど……衛士に指示を出せるのは、ツバキさんだけとは 限りませんよね。警戒レベルを引き上げます。 |
Ciel |
ラーベ
そうしてくれ。 無用なトラブルは避けたいしな。 |
RaabeRaabe |
ラーベ
まあもっとも、有益なトラブルは大歓迎なんだけど。 |
Raabe |
シエル
周囲の反応を検索、分析しながら進みます。 |
Ciel |
シエル
……え? |
Ciel |
久音
なに? 早速、衛士? |
'Kuon |
シエル
いえ……来てください。こちらです。 |
Ciel |
久音
来て、って……ああ、ちょっと待って、シエル! |
'Kuon |
シエル
反応に接近しています。 |
Ciel |
久音
ねえ、なにを見つけたの? |
'Kuon |
シエル
この先の……ここから、入れるはずです。 |
Ciel |
久音
へ? そこって……。 |
'Kuon |
シエル
ついてきてください。 |
Ciel |
久音
えー……本気……? |
'Kuon |
久音
う……って身構えたけど、前に通った下水道とは違うのね。 内部構造の隙間……みたいな感じ? |
'Kuon |
男の声
<size=150%> う、動くな!</size> |
Man's Voice |
久音
わっ、な、なに!? |
'Kuon |
シエル
対象、発見しました。 |
Ciel |
久音
あ。あなた! |
'Kuon |
レジスタンスA
え? あ、あんたら! どうしてここに……!? |
Resistance Member A |
シエル
周囲を検索していたら、データに記録されている レジスタンスの皆さんの反応が複数確認できました。 |
Ciel |
シエル
理由が不明でしたので、コンタクトを試みたのですが…… そちらこそ、なぜここにいるのですか? |
Ciel |
バレット
決まっているだろう。 |
Bullet |
久音
バレットまでいるの? ってことは……。 |
'Kuon |
バレット
ああ。お前たちが連れ帰ってくれた工作員からの情報で、 統制機構への痛手となるだろう作戦を計画できた。 |
Bullet |
バレット
その実行のために、ポイントへ移動している最中だ。 |
Bullet |
バレット
まさかこんな風に遭遇するとはな。 お前たちとは、つくづく縁があるらしい。 |
Bullet |
久音
でもずいぶん急ぎの作戦なのね。こういうのってもっと、 何日もかけて準備するものだと思ってたけど。 |
'Kuon |
久音
善は急げってこと? |
'Kuon |
バレット
いや、本来ならそうしたいところだが、 今回は情報が入手できた時点で、決行日が近くてな。 |
Bullet |
バレット
あまりじっくりと時間をかけることができなかった。 |
Bullet |
ラーベ
情報、と言うが……つまりなんの情報だったんだ? |
Raabe |
バレット
ああ、そうだな。 |
Bullet |
バレット
実は、階層都市の建設に使われるメインシャフトの、 重要なパーツが、数時間後にヤマツミに到着することがわかった。 |
Bullet |
バレット
今回はそれを襲撃する。メインシャフトは、階層都市の機能を 最大限に稼働させるために必要なものらしい。 |
Bullet |
バレット
その完成を左右させるパーツを失えば、 階層都市の建設が大幅に遅れるだろう。 |
Bullet |
バレット
統制機構への一般市民からの不信感を煽ることができるし、 統制機構に大きな負担を与えることができるはずだ。 |
Bullet |
久音
……ねえ、ちょっと。 レイ。 |
'Kuon |
久音
どうする? このままバレットたちが作戦決行しちゃったら、 マズイわよね……。 |
'Kuon |
久音
もしここで本当に統制機構に対して、 大々的にダメージを与えたりしたら……。 |
'Kuon |
シエル
統制機構内部で、レジスタンスへの敵対感情が募るでしょう。 和平への賛同者は致命的に少なくなるかと。 |
Ciel |
バレット
どうした? みんなでこそこそと。 |
Bullet |
1: バレット…… |
1: |
バレット
話がある? 他ならぬお前たちの話だ。聞こう。 |
Bullet |
バレット
総員待機! 今のうちに少しでも休憩しておけ! |
Bullet |
バレット
……統制機構と、和平だと? |
Bullet |
シエル
はい。このまま戦いを続けていても、双方の被害が 大きくなるばかりだと、ヤヨイ中尉は言っていました。 |
Ciel |
シエル
それに、ヤヨイ中尉が責任者である今なら、 レジスタンスへの寛大な処遇も決定することができる、と。 |
Ciel |
久音
お願いだから、冷静に考えて。今は、あなたたちに 勢いがあるかもしれないけど、それって現実的じゃないわ。 |
'Kuon |
久音
統制機構って、ヤマツミにいる彼らだけってわけじゃない。 世界中に支部があるんでしょう? |
'Kuon |
久音
それを相手にして、いつまで戦えるわけがない。 |
'Kuon |
久音
あなたたちの存在に理解を示そうとしている人が いるうちに……別の方法を探してもいいんじゃないの? |
'Kuon |
バレット
…………。 |
Bullet |
シエル
ツバキさんは、戦争は嫌いだと、失われていい命などないと 言っていました。私は、その言葉に嘘はないと感じました。 |
Ciel |
シエル
考えてみてはもらえないでしょうか。 |
Ciel |
バレット
……ふっ。戦争は嫌い、か。 |
Bullet |
バレット
舐められたものだな。 こっちは好き嫌いで戦ってるわけじゃないというのに。 |
Bullet |
シエル
え……。 |
Ciel |
バレット
和平には応じられない。 そもそも応じる理由がない。 |
Bullet |
シエル
ですが、このままではいずれレジスタンスは……。 |
Ciel |
バレット
全滅すると? そんなものは、図書館の一方的な主張に過ぎない。 |
Bullet |
バレット
奴等が見ているものだけが、世界の全てなのか? 奴等の唱えることだけが、世界の真実なのか? |
Bullet |
バレット
そんな馬鹿な話があるか。奴等が認めない者こそが、 奴等の前に立ち塞がらなければならない。 |
Bullet |
バレット
たとえどれほど強大な戦力を振りかざそうと、 それに怯えて図書館の傘下に下るなど、あり得ない! |
Bullet |
シエル
…………。 |
Ciel |
バレット
それに……ここで和平だなどと言い出したら、 これまでに失われてきた命に顔向けができない。 |
Bullet |
バレット
その中には、つい先日統制機構によって葬られた 工作員たちの命もある。 |
Bullet |
久音
……それは、そうよね。 気持ちがわからないわけじゃないわ。 |
'Kuon |
久音
でも、気に留めておいて。統制機構の中には、 ヤヨイ中尉みたいな考えの人もいるんだってこと。 |
'Kuon |
久音
どこかで…… 戦わない選択が必要になるかもしれないでしょ。 |
'Kuon |
バレット
…………。 |
Bullet |
シエル
聞いていただいて、ありがとうざいます。 バレットさんの返答は、ツバキさんに伝えます。 |
Ciel |
レジスタンスA
……ちょっと待ってもらおうか。 |
Resistance Member A |
バレット
お前たち……。 |
Bullet |
久音
武器を構えて取り囲むなんて、物騒ね。 どういうつもり? |
'Kuon |
レジスタンスB
どうもこうもねえ。お前らは、俺たちがこれからやる作戦に ついて聞いちまってる。それを図書館に漏らされたら困るんだ。 |
Resistance Member B |
レジスタンスC
メインシャフトのことは、俺たちの仲間が命がけで 手に入れた情報だ! それを無駄にするわけにはいかねえ! |
Resistance Member C |
久音
馬鹿ね。あんたたちが束になってかかってきたって、 私たちを倒すことなんてできないわよ! |
'Kuon |
レジスタンスA
んなこたぁ、わかってる! けど、時間稼ぎと足止めくらいならできるはずだ。 |
Resistance Member A |
レジスタンスB
さあ、ここは俺たちが引き受けます! 行ってください、バレットさん! |
Resistance Member B |
バレット
……わかった、この場は任せる。 お前たちが稼いでくれた時間、有効に使うぞ。 |
Bullet |
レジスタンスA
はい! |
Resistance Member A |
久音
ちょっと、バレット! |
'Kuon |
ラーベ
……ん? 待て、バレット。 その情報を持ってきたという工作員はどこに……? |
Raabe |
バレット
残りはついてこい! 図書館の魔操船が到着するぞ! |
Bullet |
レジスタンスたち
<size=140%>おぉーーーー!</size> |
Resistance Members |
1: どうにかしないと…… |
1: |
シエル
はい。そのためにも…… ここで過剰に時間を浪費するわけにはいきません。 |
Ciel |
レジスタンスA
邪魔はさせねぇ。 あんたらは、協力してくれた恩人だが……今は違う! |
Resistance Member A |
レジスタンスB
ああクソ、なんでだよ。最初から俺たちの仲間になってりゃ、 こんなことしなくてもすんだのによ! |
Resistance Member B |
レジスタンスC
悪く思うなよ……。 |
Resistance Member C |
久音
それはこっちの台詞ね。悪く思わないで。 |
'Kuon |
久音
私もね、大勢の人を傷付けるようなこと、 見過ごしておけないの! |
'Kuon |
レジスタンスA
うぐっ……くそぉ…… バレットさん、すみま……せ、ん……。 |
Resistance Member A |
ラーベ
死んではいないな? |
Raabe |
シエル
はい。全員、失神しています。 |
Ciel |
ラーベ
ならばよし。バレットたちを追うんだろう。急ぐぞ。 |
Raabe |
久音
魔操船が来るのは上層部。一度戻って、街の中を 突っ切りましょう。そのほうが早いはず! |
'Kuon |
シエル
了解です。 |
Ciel |
第8節 襲撃作戦②/ 8. Plan of Attack - 2
Summary | |
---|---|
レジスタンスの作戦をツバキに伝えたシエル
達。ツバキと合流した矢先、ヒビキが現れ行 く手を阻む。 |
|
ツバキはシエル達にレジスタンスを止めても
らうため、ヒビキを一人で食い止めることに する。 |
ツバキ
……はい。こちらツバキ。 |
Tsubaki |
シエル
シエルです。至急お伝えしたいことがあります。 |
Ciel |
ツバキ
よかった、連絡を待っていました。ずいぶん早かったですね。 それで、結果は……。 |
Tsubaki |
久音
期待を裏切って悪いけど、交渉は決裂よ。 それどころか、一大事なの! |
'Kuon |
ラーベ
レジスタンスたちはすでにヤマツミ内部に潜入し、 作戦を進行中だ。 |
Raabe |
ツバキ
作戦って……? |
Tsubaki |
久音
狙われてるのは、上層の魔操船ポートよ! |
'Kuon |
久音
もうすぐ、階層都市のメインシャフトとかってやつの、 パーツが到着するのよね? それを破壊するつもりらしいの。 |
'Kuon |
シエル
我々では、ポートに到着したとしても 自由に動き回ることは困難でしょう。 |
Ciel |
シエル
ですので、ツバキさんに助力願えないでしょうか。 |
Ciel |
ツバキ
ええ、わかりました。もちろん手を貸します。 |
Tsubaki |
ツバキ
ですが……。 |
Tsubaki |
久音
なに? 迷ってる時間はないんだけど。 |
'Kuon |
ツバキ
そうではないのです。今、彼らはメインシャフトの パーツを破壊しようとしていると、言いましたよね? |
Tsubaki |
久音
あいつら、あの勢いだと船ごと襲う気よ。 |
'Kuon |
ツバキ
それはおかしいです。 |
Tsubaki |
ツバキ
パーツはすでに到着していて、設置工事も完了しています。 今日ポートに到着する船は、ほとんどが民間の船です! |
Tsubaki |
シエル
では、バレットさんたちが襲撃しようとしているのは……? |
Ciel |
ツバキ
とんでもない……そんなことになれば、 一般市民から犠牲が出ます! |
Tsubaki |
ラーベ
……これは、いよいよもって事態が動いてきたな。 |
Raabe |
久音
そんなこと言ってる場合じゃないでしょ! これって、 バレットたちが偽の情報掴まされてるってことじゃない! |
'Kuon |
シエル
情報が操作されていたということですか? 誰かが、 バレットさんたちに民間船を襲撃させようとしていると? |
Ciel |
ラーベ
そうなれば、レジスタンスの社会的な立場は救いようが なくなるだろうが、それは副産物に過ぎないだろう。 |
Raabe |
ラーベ
あくまでも統制機構の一番の目的は、レジスタンスの捕獲…… 特にバレットの確保だろうからな。 |
Raabe |
ラーベ
レジスタンスを魔操船に乗り込ませて、そこを一網打尽に。 爆破してもいいし、出てきたところを叩いてもいい。 |
Raabe |
ラーベ
ようは追い込み漁だ。少なくともバレットさえ仕留められれば、 レジスタンスの抵抗力をガタ落ちさせることができる。 |
Raabe |
久音
でも、それでレジスタンスが大人しくなるとは限らなくない? むしろ、報復しようって、火をつけることになりかねないわ。 |
'Kuon |
ツバキ
それだけは、いけません。レジスタンスの報復があれば、 きっと統制機構もまた報復しようとするでしょう。 |
Tsubaki |
ツバキ
それを繰り返して……争いは、大きくなるのですから。 |
Tsubaki |
ツバキ
すぐに行きます。先日お会いした、公園で落ち合いましょう。 ポートへも、警戒するよう通達します。 |
Tsubaki |
シエル
わかりました。待っています。 |
Ciel |
久音
……まだ騒ぎにはなってない……作戦決行は、まだみたいね。 |
'Kuon |
シエル
事前に阻止できるでしょうか。 |
Ciel |
久音
やるだけやってみましょう。民間人の船を襲撃だなんて、 冗談じゃないわ。 |
'Kuon |
シエル
先日の公園への最短ルートを検出しました。 こちらから行きましょう。 |
Ciel |
ツバキ
はぁ、はぁ、はぁ……お待たせしました! |
Tsubaki |
シエル
来ていただき、ありがとうございます、ツバキさん。 |
Ciel |
ツバキ
いえ、こちらこそ知らせてくださって、ありがとうございます。 |
Tsubaki |
久音
ヤマツミの最高責任者ともあろう者が、ひとりで来たの? |
'Kuon |
ツバキ
どこかでトラブルがあったのか、 衛士の多くが外に出ているようで……。 |
Tsubaki |
ツバキ
ですが、手勢の者はポートに向かわせました。 向こうに話をつけておいてくれるはずです。 |
Tsubaki |
久音
なにからなにまで、ありがとう。 あなたの立場を悪くさせるだろうけど……。 |
'Kuon |
ツバキ
構いません。全てが終われば、理解も得られると思います。 行きましょう、騒動になる前に……。 |
Tsubaki |
ヒビキ
どちらへ行かれるおつもりですか? ヤヨイ中尉。 |
Hibiki |
ツバキ
ヒビキ大尉!? どちらにいらしたのですか。 外出中だとうかがいましたが……。 |
Tsubaki |
ヒビキ
自分がどこにいようと、どうでもいいことです。 それよりもヤヨイ中尉、この状況をご説明いただけますね? |
Hibiki |
ツバキ
あ……はい。実は先ほど、 彼らからレジスタンスの動きについて連絡を受けました。 |
Tsubaki |
ツバキ
あ……はい。実は先ほど、 彼女らからレジスタンスの動きについて連絡を受けました。 |
Tsubaki |
ツバキ
それによりますと、本日、それもこれから、 レジスタンスたちが……。 |
Tsubaki |
ヒビキ
ああ。その話なら、自分も聞いています。 反逆者たちが民間船を襲うとか。信じがたい話です。 |
Hibiki |
久音
なに、その話……。 バレットたちは、民間船を襲うつもりなんかないわ! |
'Kuon |
ヒビキ
なぜ反逆者たちが、民間船を襲わないと言い切れるのですか? まるで彼らのことをよくご存知であるかのようですね。 |
Hibiki |
久音
それは……。 |
'Kuon |
ヒビキ
まあ、あなた方と反逆者の間にどのような繋がりがあろうと、 今の事態には関係ありません。 |
Hibiki |
ヒビキ
現に彼らは民間船を襲撃しようとしています。 それは紛れもなく、非情極まりない犯罪行為です。 |
Hibiki |
ツバキ
とにかく被害が出ないうちに、対応すべきです。 |
Tsubaki |
ヒビキ
ええ、すぐにでも衛士の派遣を指示してもらわなければ なりませんね。責任者代行のヤヨイ中尉には。 |
Hibiki |
ツバキ
はい、至急、通達を……。 |
Tsubaki |
ヒビキ
ですが、ヤヨイ中尉。 あなたの身柄はここで拘束させていただきます。 |
Hibiki |
ツバキ
なっ……! |
Tsubaki |
ヒビキ
理由がわからぬとは、言わせませんよ。 |
Hibiki |
ヒビキ
あなたが今、親しげに肩を並べているその者たちは、 数日前に統制機構の牢を脱した脱獄犯です。 |
Hibiki |
ヒビキ
この状況に、 どのような説明をなさるおつもりですか? |
Hibiki |
ツバキ
こ、これは……! |
Tsubaki |
ヒビキ
話は後ほど、正式に尋問手続きを済ませてから、 聞かせていただきます。 |
Hibiki |
ヒビキ
ああ、ご安心ください。仮にも十二宗家。 そこの脱獄犯などとは、同等に扱いません。 |
Hibiki |
ヒビキ
……あなたの処遇は、最高司令官……カグラ様に報告し、 ご決断いただくことになるでしょう。 |
Hibiki |
ツバキ
いいえ……いいえ、コハク大尉! 今、ここで聞いてください! |
Tsubaki |
ツバキ
レジスタンス……いえ、反逆者たちを、 いたずらに押さえつけるべきではありません! |
Tsubaki |
ツバキ
元は住む場所を追われた、憐れな市民たちです。 制裁や抑圧ではなく、もっと平和的な解決ができるはずです! |
Tsubaki |
ヒビキ
……はぁ。ヤヨイ中尉がそのように甘い考えを お持ちだということは、よくわかりました。 |
Hibiki |
ヒビキ
ですがそんなことでは、 真に争いを収めることはできませんよ。 |
Hibiki |
ヒビキ
争いとは、もっと根深いものです。 |
Hibiki |
シエル
レジスタンスの皆さんは、民間船ではなく 統制機構の船だと思って襲撃作戦を行っています。 |
Ciel |
シエル
何者かが彼らに誤情報を流し、 彼らの闘争心を煽ったのだと考えられます。 |
Ciel |
シエル
鎮圧を掲げるのであれば、 その情報の出どころも突き止めるべきではないのですか。 |
Ciel |
ヒビキ
犯罪者の言うことに、信憑性は感じられませんね。 |
Hibiki |
ヒビキ
……いつまでも、こうしていても仕方がありません。 反逆者の襲撃を食い止めねばなりませんので。 |
Hibiki |
ヒビキ
そろそろ片を付けさせていただきます。 |
Hibiki |
ヒビキ
レイ、シエル=サルファー、 久音=グラムレッド=シュトルハイム。小型機を含めて4名。 |
Hibiki |
ヒビキ
世界虚空情報統制機構への反逆容疑で、拘束します。 |
Hibiki |
ツバキ
ふっ! |
Tsubaki |
ヒビキ
……なんのおつもりですか、ヤヨイ中尉。 |
Hibiki |
ツバキ
行ってください、レイさん! |
Tsubaki |
久音
あ、あなたはどうするのよ! |
'Kuon |
ツバキ
ここを引き受けます。 |
Tsubaki |
ヒビキ
反逆の容疑者を、自ら進んで逃がすおつもりですか? ご自分がなにをなさっているのか、わかっておいでですか? |
Hibiki |
ツバキ
彼らは、ヤマツミを訪れた一般人です。 いたずらに乱暴を働くことは許しません。 |
Tsubaki |
ツバキ
彼女たちは、ヤマツミを訪れた一般人です。 いたずらに乱暴を働くことは許しません。 |
Tsubaki |
ヒビキ
ほう。あくまで、 彼らを容疑者として扱わないということですか。 |
Hibiki |
ツバキ
コハク大尉。……ヤマツミには、レジスタンスを名乗る 反逆者の工作員が潜入していたそうですね。 |
Tsubaki |
ツバキ
あなたなら、その情報はご存知だったはず。 どうして私の耳に入っていないのですか? |
Tsubaki |
ヒビキ
…………。 |
Hibiki |
ツバキ
あなたは……レジスタンスが掴まされたという 誤情報に関わっていますね……? |
Tsubaki |
ヒビキ
なにを誰から聞かされたのかは知りませんが、 それについて、あなたに申し上げるべき言葉はありません。 |
Hibiki |
ツバキ
結構です。 ですが私は、ここをどくつもりはありません。 |
Tsubaki |
ツバキ
さあ、レイさん。ここを離れてください。 ……急いで! |
Tsubaki |
シエル
わかりました。ありがとうございます。 |
Ciel |
1: 行ってきます! |
1: |
ツバキ
はい。 |
Tsubaki |
第8節 襲撃作戦③/ 8. Plan of Attack - 3
Summary | |
---|---|
嘘の情報に踊らされたことに気づいたバレッ
ト達は衛士たちに囲まれる。そのとき、シエ ル達が助太刀に来る。 |
|
ツバキは、自身の私室で軟禁状態にされてし
まう。 |
レジスタンスD
バレットさん、警備は全て無力化しました。 |
Resistance Member D |
レジスタンスD
登録番号196653、茶色い船体に金色の装飾がついた、 盾と翼の紋章をつけた魔操船。あれに間違いありません! |
Resistance Member D |
バレット
よし。 目標は階層都市ヤマツミを完成させるための重要パーツだ。 |
Bullet |
バレット
すぐに突入し、分隊ごとに船内を捜索。 目標を発見し次第、爆破しろ。完了したら即座に撤退する。 |
Bullet |
バレット
……これは階層都市の工事を妨害、場合によっては 中止に追い込むことができるかもしれない、 |
Bullet |
バレット
起死回生の一手となるだろう。 |
Bullet |
バレット
我々の未来を切り開くためにも、みんな、力を貸してくれ! |
Bullet |
レジスタンスたち
<size=150%>はい!</size> |
Resistance Members |
バレット
では行くぞ。――突入! |
Bullet |
通信機の声A
こちらT分隊、シャフトパーツ、ありません! |
Voice from Transmitter A |
通信機の声B
こちらM分隊、目標なし! |
Voice From Transmitter B |
通信機の声C
こちら……。 |
Voice From Transmitter C |
バレット
……どういうことだ、どこにもない? メインシャフトのパーツが積み込まれているはずだ! |
Bullet |
バレット
な……なんだ、今の爆発は! |
Bullet |
通信機の声B
うわ、な、なんだ……うわぁぁぁ! 退避、退却しろ! |
Voice From Transmitter B |
バレット
応答しろ。なにがあった……! |
Bullet |
通信機の声B
図書館です! 馬鹿な、警備は無力化したはず……! |
Voice From Transmitter B |
――ブツッ。 |
|
バレット
おい! どうした、なにが……。 |
Bullet |
バレット
……っ、退却! 魔操船から出ろ! |
Bullet |
バレット
なに……! |
Bullet |
統制機構衛士A
反逆組織のリーダー、バレットだな。 |
NOL Soldier A |
レジスタンスD
図書館……! そんな、どうして!? まさか、罠か……!? |
Resistance Member D |
バレット
謀られた……だと。 |
Bullet |
統制機構衛士B
無駄な抵抗はやめておけ。……と言っても、それこそ無駄 だろうからな。抵抗されたという前提で、多少痛めつけてやれ! |
NOL Soldier B |
バレット
くっ! いいだろう…… そちらがそのつもりなら、相手になってやる! |
Bullet |
バレット
ここは私が引き受ける。 お前たちは脱出しろ! |
Bullet |
レジスタンスD
ほ、本気ですか、バレットさん! いくらなんでも、この人数を相手にするのは無茶が……! |
Resistance Member D |
バレット
わかっている。だがそれでも、抗わずに膝などつけるか! |
Bullet |
統制機構衛士C
馬鹿な反逆者どもめ! ひとりとして逃がすものか! |
NOL Soldier C |
久音
<size=150%>はぁっ!</size> |
'Kuon |
久音
バレット、無事!? |
'Kuon |
シエル
加勢します。 バレットさんたちも早くここから立ち去ってください。 |
Ciel |
バレット
お、お前たち……なぜだ、なぜ助けにきた! 今度こそ、統制機構に追われるぞ! |
Bullet |
1: 友達の危機を見過ごせない |
1: |
久音
こっちよ、早く! |
'Kuon |
レジスタンスD
ま、待ってくれ、でもシャフトのパーツがまだだ! あれを破壊しないと……! |
Resistance Member D |
久音
その話は嘘、この船にはそんなもの積まれてないわ! |
'Kuon |
バレット
なに? |
Bullet |
シエル
すでにパーツは運びこまれ、 設置工事も完了しているそうです。 |
Ciel |
ラーベ
現在は本格稼働のための点検中だそうだ。 まんまとハメられたな。 |
Raabe |
バレット
そんな……じゃあ、あの情報は……。 命がけで持ち帰ったと言っていたあいつは……? |
Bullet |
久音
細かいこと考えてる暇なんかないわ! 今は撤退が先よ。 こんなところにいたら、支部からいくらでも衛士が来る! |
'Kuon |
バレット
……ああ。そうだな。仲間を失うわけにはいかない。 総員、撤退! レイたちに続け! |
Bullet |
ヒビキ
ツバキ=ヤヨイ中尉。 しばらくの間、支部の私室にてお過ごしください。 |
Hibiki |
ヒビキ
極力外出は控えるように。 見張りをつけますので、必要なものがあれば要求してください。 |
Hibiki |
ツバキ
謹慎処分……ですか。 |
Tsubaki |
ヒビキ
あなたがどんな理屈をつけようと、脱獄を犯した者を意図的に 逃がしたことは事実です。当然の処遇とご理解ください。 |
Hibiki |
ヒビキ
カグラ様に事の次第を報告し、中尉の処分が決まるまでの ことです。ご辛抱くださいませ。 |
Hibiki |
ツバキ
……処分によっては、そのまま反逆罪で 投獄となるでしょうね。 |
Tsubaki |
ヒビキ
あなたの行いが問題となれば、 迷惑をこうむるのはヤヨイ家……ひいてはキサラギ少佐ですよ。 |
Hibiki |
ヒビキ
そうならないよう、ご自分の立場をよく考えて、 振る舞っていただきたい。 |
Hibiki |
ツバキ
……っ。 |
Tsubaki |
ヒビキ
とにかく、現状ではあなたが最高責任者のままです。 窮屈な生活ではあるでしょうが、仕事はこなしていただきます。 |
Hibiki |
ヒビキ
……それと。ヤヨイ中尉、ご忠告申し上げます。 |
Hibiki |
ツバキ
これ以上、まだなにか? |
Tsubaki |
ヒビキ
無駄なあがきはやめたほうがよろしいかと。 |
Hibiki |
ヒビキ
あなたの理想論はお見事ですが、 現実はそのように生易しくは進みません。 |
Hibiki |
ヒビキ
レジスタンスたちは止まらないでしょう。 あなたの和平交渉を受け入れることはない。 |
Hibiki |
ツバキ
なぜ、そう断言できるのですか? |
Tsubaki |
ヒビキ
平和を築くのは、優しさなどではないからですよ。 |
Hibiki |
ヒビキ
火がくすぶったままの燃え滓を受け入れれば、 内側から燃えてしまう。 |
Hibiki |
ヒビキ
一度完全に燃やし尽くしてから、徹底的に鎮火する。 それ以外に、一度始まった暴力を収める手段はないのです。 |
Hibiki |
ツバキ
…………。 |
Tsubaki |
ヒビキ
余計なものを排除して、よくお考えください。 あなたが求めるのは自身の理想なのか、民の平和なのか。 |
Hibiki |
第9節 血の臭い①/ 9. The Smell of Blood - 1
Summary | |
---|---|
シエル達がレジスタンスを連れて村に戻ると、
村が壊滅状態となっていた。その惨状をみて、 バレットは統制機構に復讐することを誓う。 |
村人A
う……うぅ……。 |
Villager A |
村人B
バ……バレット……さん……。 |
Villager B |
シエル
…………。 これは……。 |
Ciel |
久音
嘘……でしょ……? |
'Kuon |
バレット
……………………。 |
Bullet |
レジスタンスA
おい……おい、しっかりしろよぉ! 目を開けろって……! |
Resistance Member A |
レジスタンスB
なんで……こんなことになってんだ? なんでこんな……大勢、死んでんだよ……。 |
Resistance Member B |
レジスタンスC
一体……どんだけやられたんだ……? |
Resistance Member C |
シエル
……感知完了。この野営地の範囲内での生存者は12名です。 レジスタンスの皆さんの人数を考慮すると、死者数は……。 |
Ciel |
久音
シエル、もういいわ。それ以上は……。 |
'Kuon |
シエル
……はい。 |
Ciel |
バレット
……………………。 |
Bullet |
ラーベ
……やっぱりか。こっちもだな。 |
Raabe |
ラーベ
どれも、鋭利な刃物で執拗に切り付けられて、殺されている。 多くは失血死だろう。恐ろしいことに、単独犯と見える。 |
Raabe |
シエル
では、殺害したのはリッパーさんですか。 |
Ciel |
ラーベ
……そうだろうな。 |
Raabe |
久音
あいつ……なんてことを。 |
'Kuon |
ラーベ
指示したのは、ヒビキ=コハクだろう。 |
Raabe |
シエル
なぜそう思われたのですか? |
Ciel |
ラーベ
奴は魔操船の襲撃を知っていた。誤情報ではなく、 民間船だという、統制機構が真実にしたがるだろう情報をな。 |
Raabe |
ラーベ
そのどちらも、最高責任者であるヤヨイ中尉は 知らなかったのに、だ。しかもすでに衛士を動かしていた。 |
Raabe |
ラーベ
だというのに、船は無人だった。……少なくとも、 誤情報を仕込んだのが奴だってことは、ほぼ間違いないだろう。 |
Raabe |
ラーベ
まあ、別の誰かが裏で工作員を操り、誤情報を流し、 情報をあのコハク大尉に与えたというパターンもあるが……。 |
Raabe |
ラーベ
それより、我々に重要なのは、 彼がドライブ能力者ってことだ。 |
Raabe |
シエル
『観測者』の可能性があるのですね。 |
Ciel |
ラーベ
そういうことだ。 |
Raabe |
バレット
……こんな……ことが……。 |
Bullet |
久音
バレット、その……大丈夫? ちょっと座ったほうがいいんじゃない……? |
'Kuon |
バレット
なぜだ……。 |
Bullet |
バレット
こんなことが、なぜできる!? |
Bullet |
バレット
私たちへの報復だと言うのか? これが図書館のやり方だと言うのか!? |
Bullet |
バレット
……はっ。 はははははっ! |
Bullet |
バレット
和平を説いたその裏で、これだけのことができるとは。 世界虚空情報統制機構、恐れ入る。 |
Bullet |
バレット
和平に応じねばこうなるぞと、私たちの未来を示したつもりか? そうか。そうか……。 |
Bullet |
バレット
ふざけるな! なにが和平だ!! 従わねば追放するに留まらず、今度は従わねば殺すのか! |
Bullet |
バレット
貴様らに従わぬ者は魔物と同等か! |
Bullet |
シエル
バレットさん。 野営地を襲撃したのは、リッパーさんという男です。 |
Ciel |
シエル
指示をしたのは、ヒビキ=コハク大尉と思われます。 |
Ciel |
シエル
今回のことに、ツバキさんは関わっていない可能性が高いです。 彼女は本心から、レジスタンスとの和平を望んで……。 |
Ciel |
バレット
どっちだろうと同じことだ。 |
Bullet |
シエル
違います。 |
Ciel |
バレット
同じなんだよ! 私たちが戦っているのは、世界虚空情報統制機構だ。 |
Bullet |
バレット
和平を持ちかけてきたのも、工作員を殺したのも、 私たちの仲間を辺り一帯にぶちまけていったのも! |
Bullet |
バレット
全部同じ統制機構なんだ! |
Bullet |
シエル
それは……。 |
Ciel |
ラーベ
そこまでにしておけ、シエル。 こういうのは、理屈じゃない。 |
Raabe |
シエル
……はい。 |
Ciel |
バレット
くそ……くそぉ! う、う……うわぁぁぁぁぁっ……! |
Bullet |
久音
…………。 |
'Kuon |
1: (黙祷する) |
1: |
バレット
……ああ、そうだな。 仲間たちを……このままには、しておけない……。 |
Bullet |
シエル
お手伝いします。 |
Ciel |
バレット
……ありがとう、シエル、レイ。 |
Bullet |
久音
……これで、全部ね。 明るくなったら、墓標も作りましょうか。 |
'Kuon |
バレット
……ああ。そうしたい。 みんな、名前のあるひとりの人だったんだからな。 |
Bullet |
バレット
……くそっ。馬鹿にして……。 こうでもすれば、私が和平を呑むとでも思っているのか……? |
Bullet |
バレット
たとえ投降し、身の安全を獲得したとしても、奴等が私たちを どんな風に見ているのかは今、これ以上ないほど思い知った! |
Bullet |
バレット
踏みにじられたままで倒れられるか……。 |
Bullet |
バレット
お前たちが踏みつけたものがなんだったのか、 教えてやるまで、負けてやることなどできるか!! |
Bullet |
シエル
バレットさん、バイタルが乱れています。 少し休まれたほうが……。 |
Ciel |
レジスタンスA
……そうだ。これで負けだなんて、認められねぇ……。 |
Resistance Member A |
レジスタンスB
これが統制機構のやり方だって言うんなら、 俺たちにだって俺たちのやり方ってもんがある! |
Resistance Member B |
レジスタンスC
これだけやっておいて、ただですむと思うなよ、 図書館の奴等め! |
Resistance Member C |
レジスタンスD
畜生! 畜生……絶対に仇を討ってやる……! |
Resistance Member D |
久音
ちょっと……気持ちはわかるけど、少し落ち着きなさいよ。 仇討ちっていったって、相手は統制機構なのよ。 |
'Kuon |
レジスタンスA
だからなんだ!? 相手が誰だろうが、関係ねぇ! 仲間がやられたら戦う! 俺たちはずっとそうやってきたんだ! |
Resistance Member A |
レジスタンスB
バレットさん! 俺、このままじゃ悔しいですよ! |
Resistance Member B |
レジスタンスB
結局俺ら、あいつらの良いように踊らされて、 仲間大勢殺されただけじゃないですか! |
Resistance Member B |
レジスタンスC
倒せ! 統制機構を! |
Resistance Member C |
レジスタンスD
そうだ、倒せ! |
Resistance Member D |
レジスタンスたち
<size=140%>倒せ! 倒せ! 倒せ! 倒せ!!</size> |
Resistance Members |
シエル
これは……。 |
Ciel |
久音
盛り上がりが異様なレベルになってきたわね……。 |
'Kuon |
バレット
みんな! 聞いてくれ! |
Bullet |
バレット
……お前たちの気持ちは、よくわかった。 私も同じ気持ちだ。このまま黙ってなどいられない。 |
Bullet |
バレット
……本当は、私ひとりでやろうと思っていた。 |
Bullet |
バレット
こんなことがあった直後だ。心をくじかれる者も多いだろう。 もう戦えない者が出たとしても不思議はない。 |
Bullet |
バレット
むしろそのほうがきっと正しい。戦えば傷つく。 傷つくことを恐れるのは、生き物として正しいはずだ。 |
Bullet |
バレット
けれどそれは、私にとっては正しくない。 |
Bullet |
シエル
……自分にとって……正しい……。 |
Ciel |
バレット
行けば、待っているのは手酷く、厳しいものだろう。 命の保証は当然ない。だから、全員を道連れにするつもりはない。 |
Bullet |
バレット
みんなは仲間だ。だが私とは違う人間だ。 恐れていい、逃げていい。生きていい。 |
Bullet |
バレット
だがそれでも、 私と共に地獄へ立ち向かいたいと言う者があるのなら。 |
Bullet |
バレット
行こう。 |
Bullet |
バレット
私たちが何者であるのかを知らしめるために、 負った傷の痛みを思い知らせるために! |
Bullet |
バレット
<size=130%>共に戦おう!</size> |
Bullet |
レジスタンス
<size=140%>おおおぉぉぉーーー!!</size> |
The Resistance |
ラーベ
……死にに行くようなものだぞ? |
Raabe |
バレット
構わない。戦って死ねるなら本望だ。 それが仲間のためで、仲間と共に立った戦場なら、なおさらだ。 |
Bullet |
バレット
それに……負けはしない。 |
Bullet |
バレット
どんなに絶望的な状況であっても、 私たちは生き残り、立ち上がってきた。今度だってきっと……。 |
Bullet |
シエル
非現実的です。希望的観測に過ぎません。 |
Ciel |
久音
そうよ。それに戦うって、本格的に戦争でも始める気? |
'Kuon |
レジスタンスA
シャフトだ! メインシャフトを壊そう! |
Resistance Member A |
シエル
え……? でも、メインシャフトはすでに……。 |
Ciel |
レジスタンスB
すでに工事は終わってるんだったよな。 だったら、その完成したものを壊せばいい! |
Resistance Member B |
レジスタンスC
俺たちを罠にはめるための餌にしたシャフトを、 今度は本当に破壊してやろう! |
Resistance Member C |
レジスタンスD
奴等の成したものを崩せ! 統制機構の支部なんざぶっ壊しちまえ! |
Resistance Member D |
レジスタンスE
よし、やるぞ! 戦いの準備だ! |
Resistance Member B |
バレット
武器を集めろ。手当てが必要なものには十分な治療を。 それから、食事をしろ。しっかり食え! 明日には出るぞ! |
Bullet |
ラーベ
熱気がすさまじいな。 |
Raabe |
久音
ね、ねえ、これって大丈夫なの……? なんだか雰囲気が物騒すぎる気がするんだけど。 |
'Kuon |
ラーベ
この空気に、私たちは加われない。 少し外れた場所で、話すとしよう。 |
Raabe |
久音
この様子じゃ、和平なんてとんでもないわね。 口にするだけで殺されそう。 |
'Kuon |
シエル
残念です。もしヤマツミで和平が成立していれば、 ここの人たちも助かったかもしれません。 |
Ciel |
ラーベ
……いや。それはないだろうな。 |
Raabe |
シエル
なぜですか? 野営地が襲われたのは、レジスタンスへの報復行為です。 |
Ciel |
シエル
レジスタンスが統制機構にとっての脅威でなくなれば、 報復する必要もないのでは? |
Ciel |
ラーベ
死体の様子からして、襲撃されたのはおそらく昨日だろう。 バレットたちがいる間なら、被害はここまで深刻じゃなかった。 |
Raabe |
ラーベ
ということは、襲撃されたのは、 レジスタンスたちが野営地を離れた後の出来事のはずだ。 |
Raabe |
久音
昨日って…… 私たちがツバキに会って、和平交渉を頼まれたときよね。 |
'Kuon |
久音
でもあの夜、私たちはヤマツミでリッパーに襲撃されてるから ……あいつはあのあと、ここに向かったってこと? |
'Kuon |
シエル
では、犯行は昨夜の明け方になるのでしょうか。 あ……では、翌日に和平交渉がうまくいったとしても……。 |
Ciel |
久音
そのときにはもう、ここは、襲撃された後。 つまり―― |
'Kuon |
1: この惨劇は回避できない |
1: |
久音
ええ。 情報を元に、バレットは和平をはねのけて襲撃を決行した。 |
'Kuon |
久音
その襲撃が成功しても、失敗しても、 レジスタンスは野営地全滅という痛手を受ける。 |
'Kuon |
久音
もしも襲撃を諦めて、ツバキと和平を結んだとしても、 戻ってみれば……惨劇が待ってる。 |
'Kuon |
久音
そうなったら、どんな話し合いがあったとしても、 バレットは……レジスタンスは統制機構を許さない。 |
'Kuon |
シエル
観測者は、これを望んでいるのでしょうか。 つまり、和平を結びたくない、と。 |
Ciel |
久音
観測者が、望むって? なんのこと? |
'Kuon |
ラーベ
ファントムフィールドは、観測者の無意識下にある 『願望』をベースに形作られている。 |
Raabe |
ラーベ
つまりファントムフィールドの現状は、 観測者の意識や願望に強く影響を受けた結果となるわけだ。 |
Raabe |
久音
ってことは……なるほどね。 |
'Kuon |
久音
世界がどんな願望に影響を受けているのかがわかれば、 その願望を持ってそうな人が『観測者』ってことか。 |
'Kuon |
久音
この場合『和平を結びたくない』人が、 観測者の可能性があるってことよね。 |
'Kuon |
シエル
はい、そうです。 |
Ciel |
久音
でも、そうだったとしたらなんで和平を結びたくないのかしら。 和平がなければ、対立は続いて…… |
'Kuon |
久音
いずれレジスタンスは敗北する。レジスタンスの敗北が望み? それとも、それによって得られる平和? |
'Kuon |
ラーベ
統制機構による絶対的な支配。あるいはそれによって得られる 社会的な評価…Raabe…。願望そのものはまだ断定はできない。 |
Raabe |
シエル
ですがこのファントムフィールドが、観測者の願望を 順調に叶えている可能性は、十分あると思います。 |
Ciel |
久音
ねえ。でもこれじゃ、観測者が誰だとか、 特定なんていつまでもできなくない? |
'Kuon |
ラーベ
できればこの辺りで、 観測者に対して大きく揺さぶりをかけてみたいところだな。 |
Raabe |
久音
なに、それ。どういうこと? 揺さぶりをかける……。 順調に行ってる予定を、狂わせてやろうってこと? |
'Kuon |
ラーベ
その通りだ。 |
RaabRaabee |
ラーベ
例えば、和平が結ばれないよう仕組まれているのなら…… その和平を結んでしまえば、観測者はどう出ると思う? |
Raabe |
久音
この状況で和平って……。でも、不可能そうなことだからこそ、 無理矢理捻じ曲げる価値があるのよね。 |
'Kuon |
久音
ってことは……キーマンはやっぱり、ツバキじゃない? |
'Kuon |
シエル
彼女だけが、和平を強く希望しています。 |
Ciel |
久音
逆に言えば、 彼女なしでは和平という前提そのものが存在しない。 |
'Kuon |
久音
もちろん、ツバキの本心が和平になかったとしても、 こっちが強引にでも和平に向かって動いていれば、 |
'Kuon |
久音
観測者の想定に逆らうことにはなるはずよ。 |
'Kuon |
1: ツバキに会おう |
1: |
シエル
……はい。 |
Ciel |
ヒビキ
……反逆者たちは、逃亡したようです。 捕獲者を出せなかったのは非常に残念ですね。 |
Hibiki |
工作員の青年
お、俺は、きちんとやりましたよ! 言われた通り、 あの船にメインシャフトのパーツがあるって、あいつらに伝えた。 |
Young Spy |
工作員の青年
だから連中はのこのこ、あそこまで来たんじゃないですか! |
Young Spy |
ヒビキ
ええ。その通りです。あなたは偽りの情報を 反逆者一味に流し、彼らをおびき出してくれました。 |
Hibiki |
ヒビキ
それなのに、捕獲に失敗したのは、こちらの落ち度です。 |
Hibiki |
工作員の青年
じ、じゃあ……報酬は支払ってもらえるんだよな? へ、へへ、焦らせないでくださいよ。……ああ、でもそうだ。 |
Young Spy |
工作員の青年
こっちは命がけだったんですから。 ちょっとは報酬に色をつけてくれても……。 |
Young Spy |
ヒビキ
そうですね。それも手だと思うのですが……。 |
Hibiki |
工作員の青年
じ、じゃあ! はは、さすが統制機構のお偉方は、話がわかる。 |
Young Spy |
ヒビキ
報酬よりも、ご自分の身の振り方を 心配されたほうが、よろしいのではないですか? |
Hibiki |
工作員の青年
え……? |
Young Spy |
ヒビキ
情報が偽りであったと、彼らは当然、知ったでしょう。 |
Hibiki |
ヒビキ
誤情報を持ち込んだ工作員を、 今後も信用することはあり得ない。つまり……。 |
Hibiki |
ヒビキ
あなたをスパイとして反逆者たちの中へ潜り込ませることは、 もうできなくなってしまったのです。 |
Hibiki |
ヒビキ
信用されなくなったスパイを、 こちらで保護する理由はありません。 |
Hibiki |
工作員の青年
い、いいのか。今度はあんたらの情報を持って、 レジスタンスに戻るかもしれないぞ!? |
Young Spy |
ヒビキ
さっきも言った通り、 あなたはすでに彼らからの信用を失っています。 |
Hibiki |
ヒビキ
それどころか……反逆者たちはあなたを裏切り者として、 狙っているかもしれませんよ? |
Hibiki |
工作員の青年
そん、な……馬鹿な……。でも、じゃあ、俺は……! |
Young Spy |
ヒビキ
今までご苦労様でした。 できればヤマツミから遠くへ身を置くことを、おすすめします。 |
Hibiki |
工作員の青年
ふざけるな……なあ、待ってくれよ! あんたならどうにかできるだろ! |
Young Spy |
工作員の青年
なあ……なあ! おい、なんとか言え……。 |
Young Spy |
工作員の青年
えっ……? |
Young Spy |
リッパー
あーららら。ちょ〜っと深く刺さり過ぎちまったかな? あーあ、あっという間に血だまりになっちゃった。 |
Ripper |
ヒビキ
……掃除が必要ですね。 |
Hibiki |
リッパー
いっそ模様替えでもしちゃったら〜? |
Ripper |
ヒビキ
……リッパー。 まだ『殺せ』とは言っていなかったのですが。 |
Hibiki |
リッパー
ありゃ、そうだっけ? 俺、ステイとか無理なタイプ。 ワオーン。 |
Ripper |
リッパー
それに、どうせ殺すなら早いほうがいいだろ? |
Ripper |
ヒビキ
……殺すつもりはなかったんですよ。 |
Hibiki |
ヒビキ
少し脅して、下手なことをしないよう 釘を刺しておくだけで済ませるつもりでした。 |
Hibiki |
リッパー
へえ? ちょーっと甘いんじゃねぇの? クズは根っからクズだぜ。殺しといたほうが安全だって。 |
Ripper |
ヒビキ
…………。 |
Hibiki |
リッパー
にしても、可哀想になぁ、こいつも。 |
Ripper |
リッパー
せっかく仲間裏切って、お前についたってのに。 あっさり捨て駒にされちゃってさぁ〜。 |
Ripper |
ヒビキ
……無駄口は結構です。 それより、なぜ勝手なことをしたのですか? |
Hibiki |
リッパー
あ? だぁから、殺したほうが後々楽だろ? 脅しとかわけわかんねぇこと仕掛けなくたって……。 |
Ripper |
ヒビキ
反逆者の野営地の件です! |
Hibiki |
リッパー
……ああ。なにイラついてんだよ。 お前の望みを叶えてやったんじゃん。 |
Ripper |
ヒビキ
自分は、野営地の機能を失う程度に破壊してきてください、 と指示したのです。 |
Hibiki |
ヒビキ
……住人を皆殺しにしろと、誰が言いましたか。 |
Hibiki |
リッパー
全員死ねば、野営地じゃなくなるだろ? 死体置き場だ。ヒャハハハッ! |
Ripper |
ヒビキ
……っ。 |
Hibiki |
リッパー
つか、皆殺しにしてねぇし? しようと思って張り切ってたのに、 途中で呼び戻されてさぁ。 |
Ripper |
リッパー
だいぶ刻み損ねたぜ、もったいねーの。 |
Ripper |
ヒビキ
……もう、結構です。命令があるまで、待機していてください。 |
Hibiki |
リッパー
へいへい。 |
Ripper |
リッパー
……でもさぁ、ぶっちゃけお前、思ってるだろ。 邪魔な奴はみんな、消えちまえばいいって。 |
Ripper |
ヒビキ
…………。 |
Hibiki |
リッパー
俺はお前の願いを叶えてやろうとしてやってんじゃん。 そんな恐い顔で睨むなよ。 |
Ripper |
リッパー
んじゃ、またな。 |
Ripper |
ヒビキ
…………。 |
Hibiki |
第9節 血の臭い②/ 9. The Smell of Blood - 2
Summary | |
---|---|
シエル達はツバキへ現状を伝えにヤマツミへ
向かおうとするが、レジスタンスが行く手を 阻み、拘束しようとしてくる。 |
久音
……おはよう。ずいぶん不愛想なあいさつね。 |
'Kuon |
レジスタンスA
…………。 |
Resistance Member A |
レジスタンスB
…………。 |
Resistance Member B |
ラーベ
物々しい雰囲気じゃないか。 武器まで持ってテントを取り囲んで、なんの用だ? |
Raabe |
レジスタンスA
あんたら、この後ヤマツミに行くつもりなんだろう? あの統制機構の女に会いに行くそうだな。 |
Resistance Member A |
久音
……昨日の私たちの話を、誰かが聞いていたのね。 |
'Kuon |
レジスタンスB
統制機構に付こうってんなら、あんたらは俺たちの敵だ。 ……少なくとも、味方じゃねえ。 |
Resistance Member B |
久音
ずいぶん恩知らずなことを言うじゃない。 昨日助けてあげたのは誰だったのかしら? |
'Kuon |
レジスタンスC
恩は感じてるよ! お前たちがいなかったら、 俺たちは図書館に捕まって、もう処刑されてたかもしれない。 |
Resistance Member C |
レジスタンスC
バレットさんだって、まだ捕まったままだったかもしれねえ! |
Resistance Member C |
レジスタンスA
でも……でもよ。これから俺たちがやろうとしてることを、 あんたらに邪魔されたくないんだ。 |
Resistance Member A |
レジスタンスB
統制機構にこっちの情報を流されたら、たまったもんじゃねぇ。 これ以上、余計な策略も裏切りもごめんだ! |
Resistance Member B |
レジスタンスC
殺しはしねぇ。 だが、あんたらには悪いが、大人しく捕まってくれ! |
Resistance Member C |
第9節 血の臭い③/ 9. The Smell of Blood - 3
Summary | |
---|---|
無効化に成功したシエル達だが、バレットが
現れ、拘束しようとしてくる。その要求にシ エル達はおとなしく従うことにする。 |
レジスタンスA
ぐあっ……く、くそっ! |
Resistance Member A |
シエル
武器を下ろしてください。これ以上の戦いは無意味です。 |
Ciel |
久音
そもそも、あんたらで私たちに勝てるわけないでしょ。 手加減してるうちに、馬鹿な考えは捨てることね。 |
'Kuon |
久音
……弱いんだから、 わざわざ命投げ出すような真似するんじゃないわよ……。 |
'Kuon |
バレット
……確かに、私たちは弱い。 お前たちに比べれば、雑兵もいいところだろうな。 |
Bullet |
シエル
バレットさん……。 |
Ciel |
レジスタンスA
ば、バレットさん! すいません、勝手なことをして……。 でも俺たち……! |
Resistance Member A |
バレット
いい。気持ちはわかる。 むしろ……私が指示するべきことだったかもしれない。 |
Bullet |
久音
ってことは、こいつらを止めるために来てくれたわけじゃ、 ないってことね。 |
'Kuon |
バレット
……ヤマツミに行くんだな。 |
Bullet |
シエル
はい。ツバキさんに会いに行きます。 |
Ciel |
1: 彼女がどうしてるか気になる |
1: |
バレット
そうか……。 だが、それは困る。 |
Bullet |
ラーベ
そうだろうな。我々は、お前たちがどれほどの意欲で 統制機構への反撃を企てているか、よく知っているんだから。 |
Raabe |
バレット
その通りだ。 だから、私の仲間もお前たちを拘束しようとしたんだろう。 |
Bullet |
バレット
私もそうする。 |
Bullet |
久音
また戦おうっての? もうやめなさいよ。 これ以上、自分から自分を傷付けるようなこと……! |
'Kuon |
バレット
戦うことだけが私の生き方だ。 押さえつけられるなら跳ねのけ、立ち塞がられるのなら振り払う。 |
Bullet |
バレット
ずっとそう生きてきた。 だから今回も……そうするだけだ! |
Bullet |
シエル
っ! |
Ciel |
バレット
せあぁっ! |
Bullet |
シエル
……一番、戦闘能力の低いレイさんを 人質に取るつもりですか? そうはさせません。 |
Ciel |
バレット
チッ……! それが一番、穏便なやり方だと思ったんだがな。 こうなったら……。 |
Bullet |
ラーベ
待て。シエル、手を引け。 |
Raabe |
シエル
できません。 レイさんの身の安全が保証されません。 |
Ciel |
ラーベ
いいから退け。 バレット、私たちはおとなしく従おう。 |
Raabe |
久音
なに言ってんの!? それじゃあ、ヤマツミに行けないじゃない! |
'Kuon |
久音
それどころか、バレットたちがヤマツミに 攻め込むのを見過ごすっていうの!? |
'Kuon |
ラーベ
そうだ。これ以上、ここで戦闘するつもりはない。 |
Raabe |
ラーベ
それなら、 レイに危害を加える必要もないだろ? |
Raabe |
バレット
なにを企んでいるんだ? ……いや。だが、まあいい。 大人しくしていてくれるのなら、それでいい。 |
Bullet |
バレット
あの小屋に閉じ込めておけ。 |
Bullet |
レジスタンスA
は、はい! |
Resistance Member A |
久音
本当にいいの……? |
'Kuon |
ラーベ
……さあ、大人しくついていこうじゃないか。 |
Raabe |
第9節 血の臭い④/ 9. The Smell of Blood - 4
Summary | |
---|---|
拘束されたシエル達だったが、和平の成立を
拒絶する観測者をあぶりだすため、ツバキに 会おうとヤマツミへ向かう。 |
久音
……静かになった。 外の様子は見えないけど、バレットたちは出発したみたいね。 |
'Kuon |
シエル
ヤマツミに向かったのでしょう。野営地襲撃の報復のために。 |
Ciel |
久音
行かせて、本当によかったの? なにがなんでも止めないと、 和平なんて結べなくなるんじゃない? |
'Kuon |
ラーベ
勘違いするな。 私たちは和平を結ぶためにここにいるんじゃない。 |
Raabe |
ラーベ
観測者を探すために、和平を結ぼうとしているんだ。 |
Raabe |
久音
結局、同じことでしょ。和平が駄目になったら、観測者も……。 |
'Kuon |
ラーベ
まったく違うぞ。和平が結べるかどうかが重要なんじゃない。 和平を結ぼうと行動したら、どうなるかが重要なんだ。 |
Raabe |
久音
……あ。そういうこと……。 |
'Kuon |
シエル
どういうことでしょう? |
Ciel |
ラーベ
私たちは昨夜、和平のためにヤマツミに行こうとした。 そうしたら、どうだ。 |
Raabe |
1: レジスタンスたちが妨害に入った |
1: |
シエル
この状況が、観測者からのリアクションだということですか。 |
Ciel |
ラーベ
どうやら、この世界はよほど和平を望んでいないらしい。 |
Raabe |
ラーベ
それが確認できた。となれば次は……。 |
Raabe |
1: ここを出てヤマツミに向かおう |
1: |
久音
オッケー。そうと決まれば、急ぎましょう。 できるだけ早く、ツバキと合流したいじゃない。 |
'Kuon |
シエル
小屋の前には、数名の見張りがいるようです。 ここを出るには、彼らを無力化する必要があります。 |
Ciel |
久音
お願いしたら送り出してくれるわけでもないし。 手っ取り早く、扉吹き飛ばしちゃいましょうか! |
'Kuon |
シエル
よろしくお願いします。 |
Ciel |
第9節 血の臭い⑤/ 9. The Smell of Blood - 5
Summary | |
---|---|
シエル達はヤマツミに到着し、ツバキと通信
で情報を交換する。軟禁状態にあるツバキと 合流するため、統制機構支部へ向かう。 |
シエル
……索敵完了。 公園内に統制機構衛士と思われる反応はありません。 |
Ciel |
シエル
なんとか、ここまでは来られましたね。 |
Ciel |
1: レジスタンスの人たち…… |
1: |
シエル
一時的に意識を失っていただけで、 生命活動には問題ありません。 |
Ciel |
久音
ちゃんと手加減したわよ。安心して。 |
'Kuon |
久音
それにしても、今回はさすがにどこを歩くのも緊張するわね。 さすがにもう、下層でも私たちのことは知られてるだろうし。 |
'Kuon |
ラーベ
そうだな。入り口はデータをごまかしてどうにかなったが、 直接尋問されたら切り抜けられるかどうか。 |
Raabe |
久音
ここで逮捕されて身動き取れなくなったら、野営地にいた ときとなにも変わらなくなっちゃうもの。用心しないと。 |
'Kuon |
久音
さて。それじゃ、通信機使ってみましょうか。 この公園までくれば、通信が繋がるはずって言ってたわよね。 |
'Kuon |
シエル
はい。呼びかけてみましょう、ラーベさん。 |
Ciel |
ラーベ
よしきた。 |
Raabe |
ツバキ
……こちら、ツバキ=ヤヨイです。 ラーベさんですか? |
Tsubaki |
ラーベ
そうだ。シエルや久音、 レイも一緒だ。 |
Raabe |
ツバキ
よかった……無事だったんですね。あのあと、 結局駆け付けることができずに、申し訳ありませんでした。 |
Tsubaki |
ツバキ
皆さんがヤマツミから逃げられたと聞いたときは、 衛士の身でありながら、ほっとしてしまいました。 |
Tsubaki |
久音
ツバキが公園で、コハク大尉を足止めしてくれたおかげよ。 あの人までいたら、簡単にはいかなかったと思うもの。 |
'Kuon |
ツバキ
少しでもなにかの役に立っていたなら、私としても…… 嬉しいです。 |
Tsubaki |
ツバキ
……あら? でも、それならどうして通信を? レジスタンスと一緒に、ヤマツミを出たのではないのですか? |
Tsubaki |
ラーベ
その言い方からして、お前は知らないのか。 レジスタンスの野営地のことを。 |
Raabe |
ツバキ
野営地……? |
Tsubaki |
久音
リッパーに襲撃されたの。野営地に残っていた、 レジスタンスに協力している人だとか、怪我人だとか。 |
'Kuon |
久音
作戦に参加してなかった人たちがみんな襲われて…… 大勢、死んだわ。 |
'Kuon |
ツバキ
え……そんな……。 まさか……。 |
Tsubaki |
ラーベ
予想はついているんだろう? 私もそう思う。コハク大尉の関与の可能性は否定できない。 |
Raabe |
ツバキ
そんな! でも……どうして、そこまで……。 |
Tsubaki |
ラーベ
和平を結ばせないためじゃないかと、私たちは考えている。 |
Raabe |
ラーベ
だがどうしてそんなにも和平を拒むのかは、わからない。 ……ヤヨイ中尉、お前はどう思う? |
Raabe |
ツバキ
……コハク大尉は、和平では事態の解決にならないと お考えのようです。 |
Tsubaki |
ツバキ
解決のためには、徹底的にレジスタンスを叩くべきだと……。 |
Tsubaki |
ラーベ
一理あるな。 |
RaabeRaabe |
久音
ちょっと、どっちの味方なのよ。 |
'Kuon |
ラーベ
私はどちらの味方でもないさ。 ただコハク大尉の言い分も理解できると言っているだけだ。 |
Raabe |
ラーベ
一度殴り方を覚えた者は、どれほど平穏に暮らしていようと 殴り方を忘れることはない。 |
Raabe |
ラーベ
一度反乱分子として暴れた経験を持つ者は、 また必要な場面に直面したとき、同じように反乱分子となる。 |
Raabe |
ラーベ
生かしておけば、それだけの危険性を 常に抱え込むことになる。実にリスキーだ。 |
Raabe |
久音
じゃあ、バレットたちみたいな人たちは、 もう救いようがないって言うの? |
'Kuon |
ラーベ
そんなことは言っていない。危険性を孕みながらも、 拳を振り上げない選択をすることもできる。 |
Raabe |
久音
でもバレットたちは…… 拳を振り上げることを選んだのよね……。 |
'Kuon |
ラーベ
だからその拳を、降ろす理由を与えてやればいい。 ツバキ=ヤヨイ中尉。お前がやるんだ。 |
Raabe |
ツバキ
私が……? |
Tsubaki |
ラーベ
そうだ。お前はなんとしても、バレットを捕えろ。 出来る限り自分の手でだ。 |
Raabe |
ラーベ
バレットたちと戦っている衛士たちは、レジスタンスを鎮圧し、 処罰したいと思ってる。コハク大尉はその筆頭と言っていい。 |
Raabe |
ラーベ
ヤヨイ中尉以外に捕えられることがあれば、 バレットは無事ではすまない。 |
Raabe |
ラーベ
そうしたら、 バレットの身柄と引き換えに停戦協定を結べ。その場でな。 |
RaabRaabee |
ツバキ
停戦協定……。 バレットさんを人質にするということですか? |
Tsubaki |
ラーベ
そうだ。お前の主義には反するだろうけど、 バレットこそが和平の鍵となる。 |
Raabe |
ラーベ
今のレジスタンスにとっては、 バレットほど失いたくないものはないだろうからな。 |
Raabe |
ラーベ
逆に言えば、停戦を取り付けられれば、 そこから議論を重ねて和平へとつなげることもできるだろう。 |
Raabe |
ツバキ
……わかりました。やってみます。 それで、バレットさんたちは今どこにいるのですか? |
Tsubaki |
シエル
そうでした。ツバキさん、昨夜起こった野営地の襲撃を受け、 レジスタンスは統制機構に対し、報復行動に出ようとしています。 |
Ciel |
シエル
目標は、工事を終えた階層都市のメインシャフトと聞いています。 |
Ciel |
ツバキ
ま、待ってください! 今、メインシャフトを破壊すると言いましたか? |
Tsubaki |
シエル
はい。 |
Ciel |
ツバキ
それは……いけません! メインシャフトは階層都市の 構造を支える基軸に組み込まれています。 |
Tsubaki |
ツバキ
破壊されれば、階層都市全体のバランスが狂い、 場所によっては崩壊する可能性があります。 |
Tsubaki |
ツバキ
もし、上層部の階層が崩れたら……そこに住んでいる人も、 下の階層の人も、無事ではすみません! |
Tsubaki |
久音
嘘でしょ!? そんなことが起こったら、バレットたちは 完全に……悪そのものじゃない。 |
'Kuon |
久音
統制機構と決定的に対立……いえ、もっと大きな、 社会と対立することになる。和平なんて。絶望的だわ。 |
'Kuon |
ツバキ
和平のことも重要ですが、 むしろ今は都市の保持を優先しなくては。 |
Tsubaki |
ツバキ
すぐに合流しましょう。 ああ、でも……。 |
Tsubaki |
ラーベ
なにか問題か? |
Raabe |
ツバキ
情けない話ですが、 私は現在、支部の執務室に軟禁状態にあります。 |
Tsubaki |
ツバキ
扉も窓も非常に強固に封じてあって…… ここを出るのは、少し苦労しそうですね……。 |
Tsubaki |
1: すぐ助けにいくよ! |
1: |
ツバキ
え? は、はい! ……ありがとうございます。 |
Tsubaki |
ツバキ
え? は、はい! 頑張ってみます。 |
Tsubaki |
久音
なら、ツバキの執務室の前で落ち合いましょう。 |
'Kuon |
シエル
緊急のことがあれば、通信で知らせてください。 こちらからも連絡を取ります。 |
Ciel |
ツバキ
わかりました。待っています。 |
Tsubaki |
統制機構衛士A
お前たち、何者だ!? |
NOL Soldier A |
統制機構衛士B
ここは第十七階層都市ヤマツミにおける、 世界虚空情報統制機構の支部だぞ! 部外者は速やかに出ていけ! |
NOL Soldier B |
統制機構衛士B
部外者は速やかに出ていけ! |
NOL Soldier B |
久音
入ってすぐにこれだもの。悪いけど、通してちょうだい。 奥に用があるのよ! |
'Kuon |
統制機構衛士A
なにをふざけたことを言っているんだ! それにお前たち、その風体……反逆者の一味だな!? |
NOL Soldier A |
統制機構衛士B
反逆者の分際で支部に乗り込んでくるとは、馬鹿な連中だ。 捕えろ! |
NOL Soldier B |
第9節 血の臭い⑥/ 9. The Smell of Blood - 6
Summary | |
---|---|
シエル達は敵を倒しながらツバキと合流する。
ツバキの部下も加勢し、メインシャフトへ向 かう。 |
シエル
……階段を上がって、右。廊下を真っ直ぐ……。 ツバキさんの指示通りに来ていますが……。 |
Ciel |
シエル
あ、ありました。あそこで―― |
Ciel |
久音
な、なに!? |
'Kuon |
ツバキ
けほっ、けほっ……ちょっと思いっきりやりすぎたかしら……。 中々開かないから……。 |
Tsubaki |
ツバキ
しまった、見張りの人まで……ああ、ごめんなさい。 ……大丈夫ですか? 気を失ってるだけかしら……? |
Tsubaki |
ツバキ
そうみたいね、よかった……。 ああでも、ドアも壁も壊しちゃった……申し訳ありません……。 |
Tsubaki |
シエル
ツバキさん! |
Ciel |
ツバキ
はっ! 皆さん! |
Tsubaki |
1: 自力で出られたんだね |
1: |
ツバキ
その、皆さんが来てくださることを、 疑っていたわけではないんです。 |
Tsubaki |
ツバキ
ただ、今まさにシャフトが攻撃されているかもと思いながら、 じっと待っているのに耐え切れなくなってしまって……。 |
Tsubaki |
ツバキ
それで、色々試していたら、少々力加減を誤りました……。 |
Tsubaki |
ラーベ
見張りを倒す手間も省けた。効率のいい時間短縮だ。 |
Raabe |
ツバキ
これが、想定外の事故でなければ、 私もそう思えたかもしれないんですが……。 |
Tsubaki |
ツバキ
それより、急ぎましょう。メインシャフトですよね。 |
Tsubaki |
シエル
はい。場所はわかりますか? |
Ciel |
ツバキ
実のところ……メインシャフトの設置は 階層都市建設においての重要機密でもありまして、 |
Tsubaki |
ツバキ
私も具体的にどう行けばたどり着けるのか、 わからないんです。 |
Tsubaki |
ツバキ
でも……用途と支部の構造からして、予想はつきます。 不安な案内人で申し訳ありませんが、ついてきてください。 |
Tsubaki |
久音
予想がつくだけで大助かりよ。 |
'Kuon |
統制機構衛士C
動くな! これ以上騒動を起こすようなら、反逆罪で拘束する! |
NOL Soldier C |
久音
うわ、来た! ぼさっとしてると、あっちこっちから集まってきそうね。 |
'Kuon |
統制機構衛士D
いた、こっちだ! |
NOL Soldier D |
久音
って、言ってる側から……! |
'Kuon |
統制機構衛士D
はぁ! |
NOL Soldier D |
統制機構衛士C
ぐあっ……! |
NOL Soldier C |
久音
え、あれ? |
'Kuon |
シエル
衛士の方が、同じく衛士の方を攻撃しました。 |
Ciel |
統制機構衛士D
ヤヨイ中尉、ご無事ですか!? |
NOL Soldier D |
ツバキ
は……はい、問題ありません。ですが、あなた方……。 |
Tsubaki |
統制機構衛士E
人数を集めるのに手間取り、遅くなってしまいました、 申し訳ありません。我等1分隊お供します、ヤヨイ中尉! |
NOL Soldier E |
ツバキ
いいのですか? 私は謹慎中の身です。それに加担したと あれば、あなた方にも罰則があるかもしれません。 |
Tsubaki |
統制機構衛士D
構いません! 我々は統制機構の人間です。 そしてあなたは、このヤマツミの最高責任者です。 |
NOL Soldier D |
統制機構衛士D
我々に指示をするべき立場なのはヤヨイ中尉であって、 コハク大尉ではありません。 |
NOL Soldier D |
ツバキ
あ……ありがとう、ございます。 |
Tsubaki |
久音
ふうん。意外と、慕われてるのね。 |
'Kuon |
シエル
……反応、接近中。 騒ぎを聞きつけての増援と推測します。 |
Ciel |
ラーベ
いい話の最中に悪いが、ゆっくりしてられそうにないぞ。 |
Raabe |
ツバキ
はい。皆さん、ついてきてください。これから、現在支部に 侵入しているはずのレジスタンスと接触し、交渉します。 |
Tsubaki |
ツバキ
これはヤマツミの秩序ある未来のために、必要なことです。 手を貸してください。 |
Tsubaki |
統制機構衛士D
はっ! 了解しました! |
NOL Soldier D |
シエル
衛士を確認。敵対反応を感知しました。 |
Ciel |
ツバキ
突破しましょう。 ……ですが、彼らも職務に忠実な、善良な一般衛士です。 |
Tsubaki |
ツバキ
どうぞ、お手柔らかにお願いします。 |
Tsubaki |
シエル
了解しました。お手柔らかにします。 |
Ciel |
第10節 全てが壊れる前に/ 10. Before Everything is Ruined
Summary | |
---|---|
(とくになし) | (None) - This chapter consists of a set of three battle-only quests. |
第11節 勝利を求めて①/ 11. Seeking Victory - 1
Summary | |
---|---|
メインシャフトではバレットがヒビキと対峙
していた。シエル達はメインシャフトの目前 で、警備用ゴーレムに行く手を阻まれる。 |
|
警備用ゴーレムを倒したシエル達は改めてメ
インシャフトに向かう。 |
バレット
よし……脱獄の時に使った脱出経路が役に立ったな。 さすがの図書館も、数日では修繕しきれなかったか。 |
Bullet |
バレット
いいか、みんな。この先は支部の中枢だ。 すでに我々が乗り込んだことは知られているだろう。 |
Bullet |
バレット
くれぐれも、油断するな。 目指すは奥にある、シャフトだ。進め! |
Bullet |
レジスタンスたち
<size=150%>おおー!!</size> |
Resistance Members |
バレット
<size=140%>!?</size> |
Bullet |
統制機構衛士A
止まれ! 反逆者ども! |
NOL Soldier A |
統制機構衛士B
速やかに武器を捨てて投降しろ! |
NOL Soldier B |
レジスタンスA
来たな、図書館。俺たちの邪魔はさせないぞ! |
Resistance Member A |
レジスタンスC
仲間の仇だ! 絶対に許さねぇ! |
Resistance Member C |
バレット
こんなところで足止めを喰らっている場合ではない。 道を開けろ! |
Bullet |
バレット
はぁぁっ! |
Bullet |
統制機構衛士A
ぐぁっ! |
NOL Soldier A |
統制機構衛士B
がっ……強い……。 |
NOL Soldier B |
バレット
進め! 私が道を切り開く! ついて来い! |
Bullet |
バレット
っ! 誰だ!? |
Bullet |
ヒビキ
あなたが、レジスタンスのリーダーですか。 |
Hibiki |
バレット
お前は……ヒビキ=コハクか……! |
Bullet |
ヒビキ
直接お会いするのは初めてですね。 |
Hibiki |
ヒビキ
野営地を攻撃されれば、 直接乗り込んでくるのではと思っていました。 |
Hibiki |
バレット
なに……? では、あれは貴様がやったのか!? |
Bullet |
ヒビキ
生憎ですが、 自分はヤマツミを留守にできるほど暇ではありません。 |
Hibiki |
バレット
……だが、なにが起こったのかは把握しているわけだ。 そうか……貴様が……。 |
Bullet |
バレット
うおおおぉぉぉぉぉ! |
Bullet |
バレット
チッ……! |
Bullet |
ヒビキ
……抵抗の意思ありとみなします。 よって、全員ここで始末をつけさせていただきます。 |
Hibiki |
バレット
舐めるな……図書館! |
Bullet |
レジスタンスA
バレットさん、後続の部隊が合流しました! |
Resistance Member A |
レジスタンスB
ここまで来たんだ、やってやりましょう! |
Resistance Member B |
バレット
ああ。全員、突っ込め! 図書館どもを蹴散らして、メインシャフトを破壊する! |
Bullet |
シエル
……なんとか切り抜けたでしょうか。 |
Ciel |
久音
ほんと、後から後から…… 統制機構って、どれだけ人がいるのよ……。 |
'Kuon |
ツバキ
…………。 妙ですね……。 |
Tsubaki |
ラーベ
なにがだ? |
RaabRaabee |
ツバキ
いえ、妙に衛士の数が少ないのです。 |
Tsubaki |
久音
少ないって、あれで!? |
'Kuon |
ツバキ
はい。支部内で、しかも執務室周辺で戦闘が起こっていたの ですから、もっと大勢集まってきてもおかしくないのに……。 |
Tsubaki |
久音
追い払うことだけ考えたら、そうならなくてよかったけど…… その大勢は一体どこに行ったのよ? |
'Kuon |
ツバキ
……メインシャフトかと。 |
Tsubaki |
シエル
レジスタンスの襲撃の情報が、入っていたのですか? |
Ciel |
ツバキ
いえ、それはわかりません。内通者がいたのかもしれませんが、 いなかったとしても、予想できることだと思います。 |
Tsubaki |
ツバキ
……コハク大尉になら。 |
Tsubaki |
統制機構衛士D
……そういえば、本日コハク大尉の動きは、 少々不審でした。 |
NOL Soldier D |
統制機構衛士D
手勢の衛士を中心に隊を組み、通常とは違う配置での 警備態勢を敷いておられました。 |
NOL Soldier D |
統制機構衛士E
我々は、ヤヨイ中尉や十二宗家に傾倒していると、 判断されたのでしょう。 |
NOL Soldier E |
統制機構衛士E
特別命令が出るまでは、待機せよと指示を受けました。 |
NOL Soldier E |
久音
……そもそも、工作員を使って偽の情報を流したのは、 彼の可能性が高いんだものね。 |
'Kuon |
久音
それに、今回のきっかけになった、野営地の襲撃も……。 |
'Kuon |
ツバキ
野営地への攻撃を受けて、レジスタンスたちが奮起し、 大規模な攻撃を仕掛けると……当然予想していたでしょう。 |
Tsubaki |
ツバキ
むしろシャフトパーツ輸送の誤情報も、野営地への襲撃も、 今回の攻撃を誘発するためのものだったのかもしれません。 |
Tsubaki |
ツバキ
そして迎え撃つための警備態勢、 隊の配置を行っていた……。 |
Tsubaki |
久音
復讐心に燃え上がったレジスタンスたちは、きっと総戦力で 乗り込んでくる。もちろん先頭はバレット。 |
'Kuon |
久音
……確かに、簡単に想像がつくことかも。 |
'Kuon |
久音
あとはそれを、言い訳のできない場所で叩けば…… レジスタンスにはもう、反抗する戦力は残らなくなる。 |
'Kuon |
ラーベ
メインシャフトに関しては、パーツ輸送船の襲撃を妨害され、 一度派手に失敗している。 |
Raabe |
ラーベ
レジスタンスの中では、メインシャフトに対して 執着心も芽生えていたかもしれないな。 |
Raabe |
ラーベ
報復作戦の標的としては、最適だ。 |
Raabe |
ラーベ
そこまでヒビキ=コハクが読んで、 手を回していたのだとしたら、空恐ろしいな。 |
Raabe |
シエル
バレットさんたちは、仲間の復讐のため、最も効果的な 攻撃としてメインシャフトの破壊を思いついたのではなく…… |
Ciel |
シエル
復讐するよう仕向けられ、 シャフトを狙うよう仕組まれていたということになります。 |
Ciel |
久音
……なんだか、こんなことを言ったら失礼だろうけど。 これじゃバレットたちが可哀想……。 |
'Kuon |
ツバキ
……彼を止めなければ。 |
Tsubaki |
シエル
彼……。コハク大尉のことですね。 |
Ciel |
ツバキ
そうです。コハク大尉のやろうとしていることは、 確かに現実的かもしれません。 |
Tsubaki |
ツバキ
ですがそのために、多くの罪もない人が犠牲になるのは、 間違っています。 |
Tsubaki |
ツバキ
どんな境遇の人にだって、築かれる秩序や平和を受け取る 権利があるはずなのに。 |
Tsubaki |
ツバキ
それを誰かが一方的に選別して、 選ばれた人にだけ配るなんてやり方は、おかしいです。 |
Tsubaki |
1: バレットを止めよう |
1: |
ツバキ
ありがとうございます。 そう言っていただけると、心強いです。 |
Tsubaki |
ツバキ
バレットさんたちのことも、助けましょう。 このまま、統制機構の犠牲になっていい人たちではありません。 |
Tsubaki |
ラーベ
最悪、私たちのせいにでもして、 うまいこと丸く収めたらいい。 |
Raabe |
ラーベ
手腕に期待しているぞ、ヤヨイ中尉。 |
Raabe |
ツバキ
できれば、誰も悪者にはせずにすませたいです。 |
Tsubaki |
ツバキ
この奥に、通常の執務では使われないエリアがあります。 メインシャフトはその最奥にあると思われます。 |
Tsubaki |
シエル
レジスタンスの皆さんは、 きっとそのエリアへ向かったのでしょう。 |
Ciel |
ツバキ
一部の人間しか立ち入りを許可されていない場所です。 おそらく、コハク大尉もそこに。 |
Tsubaki |
1: バレットが捕まる前に着かなくちゃ |
1: |
ラーベ
ああ、そうだな。どうやらお前が焦りを感じるくらい、 事態は切迫しているみたいだ。 |
Raabe |
久音
急がないとね。 ……あれを蹴散らすのも。 |
'Kuon |
シエル
警告音です。敵対反応を感知しました。 |
Ciel |
ツバキ
警備用のゴーレムです! なぜこんなところに……!? |
Tsubaki |
久音
対レジスタンス用警戒態勢ってこと? なんでもいいわ。 壊さないとシャフトに辿り着けないなら、片付けるまでよ! |
'Kuon |
シエル
対象の機能停止を確認。戦闘終了です。 |
Ciel |
久音
よし。これで進めるわね。すぐに……。 |
'Kuon |
ツバキ
待ってください。 ……誰か、います。 |
Tsubaki |
シエル
あれは……。 |
Ciel |
第11節 勝利を求めて②/ 11. Seeking Victory - 2
Summary | |
---|---|
シエル達の目の前に現れたリッパー。シエル
達はツバキとともに、リッパーと戦う。 |
|
リッパーを倒したシエル達は、バレット達や
ヒビキを止めるため、メインシャフトに急ぐ。 |
リッパー
よーお。遅かったじゃん。 待ちくたびれたって。 |
Ripper |
久音
リッパー!? どうして……って、それは愚問か。 いて当然よね、むしろ。 |
'Kuon |
ラーベ
コハク大尉の指示か? |
Raabe |
リッパー
いやいやいやいや。 |
Ripper |
リッパー
あいつ、ガタガタうるせぇし、 今度は余計な手ぇ出すなとか言ってきたからさ。 |
Ripper |
リッパー
逆に思いっきり手ぇ出してやろうと思って。待ってたわけ。 |
Ripper |
リッパー
……ったく。なにかにつけ、勝手に殺すな、殺すなって…… つまんねー。内心じゃ喜んでるくせにさぁ。 |
Ripper |
リッパー
そもそもあいつだって、散々殺してきてるじゃん。 なのに、なんだよ。自分ばっか楽しもうなんてよ。 |
Ripper |
久音
もう、雇い主のことごまかさないのね。決別したってこと? |
'Kuon |
リッパー
いや? 適当に遊んだら、また殺させてもらうぜ。 あいつの周り、いくら死体転がしたって足りねぇだろ? |
Ripper |
リッパー
なんせあいつには、 消したがってる邪魔者がいくらでもいるんだからよ。 |
Ripper |
リッパー
そいつら、みーんな消しちまいたいって思ってるんだからさ。 言わなくたってわかるよ。そういう匂いがすんだ〜……。 |
Ripper |
リッパー
なんちゃって、ヒャハハハハハ! |
Ripper |
ツバキ
あなたが……レジスタンスの野営地を襲撃し、 罪もない人を殺害したのですか? |
Tsubaki |
リッパー
あ? あぁ、そうですよ〜。 |
Ripper |
リッパー
いやぁ、爽快だったね、月夜に、逃げ惑う人間を切り刻む……。 飛び交う悲鳴に飛び散る血しぶき! 興奮したぜぇ〜。 |
Ripper |
リッパー
ひとり残らず切り刻むつもりだったのに…… 中途半端なとこで呼び戻しやがってさぁ。 |
Ripper |
リッパー
おかげで欲求不満、お腹もぺこぺこ……。 |
Ripper |
ツバキ
なんということを……! いいえ、それだけでなく、 レジスタンスの工作員の命を奪ったことも、許せません! |
Tsubaki |
リッパー
許せないなら、どうするよ? えぇ? トウセイキコウのお嬢ちゃま。 |
Ripper |
ツバキ
……っ! |
Tsubaki |
リッパー
ぶちのめしてとっ捕まえるか? それとも手っ取り早く殺しちまうか。 |
Ripper |
リッパー
俺はどっちでもいいぜぇ〜。 どっちだろうと全員、骨と肉に切り分けてやるよ。 |
Ripper |
久音
好きには、させないわよ。あんたを倒さないと元の世界に 戻れないっていうんなら、喜んで相手になるわ! |
'Kuon |
リッパー
は? 元の世界? |
Ripper |
久音
そうよ。あんただってわかってるって言ってたわよね。 その元の世界に、私はすぐにでも戻りたいの。 |
'Kuon |
リッパー
まじで? え、戻りたいわけお前? |
Ripper |
久音
当たり前でしょ! |
'Kuon |
リッパー
なんでよ。むしろここ、天国じゃん。いくら殺しても捕まらねぇ。 それどころか、殺してくれって頼んでくるような世界だぜ? |
Ripper |
リッパー
今、目の前にも活きの良いのが並んでる。 うまそうな奴等がさぁ! |
Ripper |
シエル
させません! |
Ciel |
リッパー
ヒャハッ! いいぜ、どんどんこいよぉ! |
Ripper |
久音
そう……あんたがそのつもりなら、容赦はしないわ。 今度こそここで、ケリをつける! |
'Kuon |
ツバキ
本来ならば、多数でひとりを追い詰めるような戦い方は したくありません。ですが今は、一刻を争うとき。 |
Tsubaki |
ツバキ
あなたの罪は、私が断ちます! |
Tsubaki |
リッパー
うおっとぉ……さすがにこいつは厳しいぜ。 |
Ripper |
ラーベ
まただ……姿を消すつもりだぞ! |
Raabe |
ツバキ
逃がしません……そこ! |
Tsubaki |
リッパー
なに!? がぁっ……! |
Ripper |
久音
ここでケリをつけるって、言ったはずよ! |
'Kuon |
リッパー
うおっ、やべ……うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! |
Ripper |
久音
はぁ、はぁ……。やっと捕まえた……! |
'Kuon |
リッパー
う……ぐ……くそ、下手こいた……。 ヒ……ヒ、ヒャハ、ハ……。 |
Ripper |
リッパー
こりゃマズイわ……そしたら、お先に失礼……ってな……。 |
Ripper |
久音
……ようやく倒せたわね……ほんと、手こずらせてくれるわ。 |
'Kuon |
シエル
周囲を検索します。……敵対反応なし。 メインシャフトへ向かいましょう。 |
Ciel |
ツバキ
…………。 |
Tsubaki |
シエル
ツバキさん、どうしましたか? |
Ciel |
ツバキ
いいえ。行きましょう。コハク大尉はこの先にいるはずです。 |
Tsubaki |
1: メインシャフトを破壊される前に…… |
1: |
シエル
はい。統制機構とレジスタンスの決定的な対立を防ぎ、 状況を和平へと向かわせましょう。 |
Ciel |
久音
そのときに、どんな反応があるのか……。 確かめてみようじゃない。 |
'Kuon |
1: 行こう! |
1: |
シエル
はい。 |
Ciel |
第11節 勝利を求めて③/ 11. Seeking Victory - 3
Summary | |
---|---|
ツバキの言葉により、レジスタンス達は和平
を受け入れようとしていた。しかし、突如事 象干渉が起き、事態は一変する。 |
シエル
前方、反応を感知。レジスタンスの方々です。 |
Ciel |
久音
な……全員倒れてるじゃない! ちょっと、大丈夫!? しっかりしなさい! |
'Kuon |
レジスタンスC
う……あ……あんた、は……。 |
Resistance Member C |
ツバキ
よかった、息はあるようですね。すぐに人を呼びます。 手当てを……! |
Tsubaki |
レジスタンスC
い、いらん……それより、早く……。 |
Resistance Member C |
ラーベ
……おい、バレットはどうした? |
Raabe |
レジスタンスD
奥だ……先に、向かった……。でも、図書館がそれを、 追って……くそ、足止めできなかった……! |
Resistance Member D |
シエル
奥ですね。わかりました。 バレットさんの元へは、私たちが向かいます。 |
Ciel |
レジスタンスD
頼む……バレットさんを……! |
Resistance Member D |
ツバキ
死なせはしません。事態を収めて、すぐに戻ります。 それまで……じっとしていてください。 |
Tsubaki |
久音
下の階から、人の声が聞こえるわ。 戦闘中ってことは、メインシャフトはまだ、たぶん無事よ。 |
'Kuon |
久音
でもそれも時間の問題。取り返しがつかなくなる前に、 追いつきましょう! |
'Kuon |
バレット
う、ぐ……くそぉっ……。 |
Bullet |
ヒビキ
……ここまでのようですね。 |
Hibiki |
バレット
おのれ……卑劣な図書館めが……! |
Bullet |
ヒビキ
本来なら拘束して、正式な手続きを踏むべきですが……。 |
Hibiki |
ヒビキ
今回は特例です。 抵抗が激しく、これ以上こちらの被害を広げないためにも。 |
Hibiki |
ヒビキ
ここで、死んでいただきます。 |
Hibiki |
ヒビキ
……思いの外、お早い到着でしたね。 |
Hibiki |
バレット
お前、たち……。 |
Bullet |
シエル
大丈夫ですか、バレットさん。 |
Ciel |
久音
向こうであんたの仲間に言われてきたの。 あとで労ってあげなさいよね。 |
'Kuon |
ラーベ
まあ、この状況を打破できればの話だけどな。 |
Raabe |
ツバキ
……コハク大尉。これ以上の独断行為は認められません。 |
Tsubaki |
ヒビキ
独断行為とは、心外です。 |
Hibiki |
ヒビキ
反逆者が階層都市を破壊しようとしているのです。 それを阻止するのは、統制機構に属する者として当然のはず。 |
Hibiki |
ツバキ
そう仕向けたのは、あなたなのではないのですか? |
Tsubaki |
ツバキ
その結果、大勢の市民を巻き添えにする危険を冒しています。 これは見過ごされていいことではありません。 |
Tsubaki |
ヒビキ
事前に阻止できることはわかっていましたから、 危険はありません。市民に大きな影響は出ない。 |
Hibiki |
ヒビキ
それよりも、これほど反逆者をのさばらせ、挙句、 支部への攻撃を許したことのほうが、由々しき事態です。 |
Hibiki |
ヒビキ
その原因の一端は、あなたの指揮能力にもあります。 ご自覚ください、ツバキ=ヤヨイ中尉。 |
Hibiki |
ヒビキ
それよりも、中尉には執務室にて謹慎をお願いしていたと 思いますが。どうしてこちらにいらっしゃるのでしょう? |
Hibiki |
ツバキ
それは……。 |
Tsubaki |
1: ヒビキさんを止めるためです |
1: |
ヒビキ
……部外者が 軽率に口を出していいことではありませんよ。 |
Hibiki |
ツバキ
……いいえ。コハク大尉。 それはあなたのほうです。 |
Tsubaki |
ツバキ
ここは、私が預かった都市です。 キサラギ少佐から全権を任されたのは、私です。 |
Tsubaki |
ツバキ
あなたがどのようにおっしゃろうと、現在のヤマツミにおいて 最終決定権を持つのは私です。私の指示に従ってください。 |
Tsubaki |
ツバキ
この場にいる、全ての衛士も同様です。武器を収めなさい。 これ以上、戦う必要はありません。 |
Tsubaki |
ツバキ
侵入者である彼らに、制裁を加える必要もありません。 |
Tsubaki |
ヒビキ
…………。 |
Hibiki |
バレット
貴様……どういうつもりだ! |
Bullet |
ツバキ
反逆者のリーダー、バレット。 あなたの身柄を、私が拘束します。 |
Tsubaki |
ツバキ
あなたの身の安全は、私が責任を持って守ります。 |
Tsubaki |
バレット
……はっ。守る? 馬鹿馬鹿しい。寝言は寝て言え! 情けは無用だ。いずれ罪に問われ処刑されるのなら、今殺せ! |
Bullet |
ツバキ
それはできません。 私は、あなたと対話をするためにここにきたのですから。 |
Tsubaki |
バレット
対話……? |
Bullet |
バレット
……そうか。お前が、前にレイたちが 言っていた、ツバキ=ヤヨイか。 |
Bullet |
バレット
対話など、くだらない! 私はお前と話したいことなど何もない! |
Bullet |
ツバキ
そうはいきません。あなたは、私と話すべきです。 誰かの生きる未来を、求めているのなら。 |
Tsubaki |
ツバキ
私には部下がいます。守るべき市民がいます。 あなたにも守るべき仲間がいるのでしょう。 |
Tsubaki |
ツバキ
彼らの生きる道を手に入れるために、戦っているのでは ないのですか? であれば、ここがその終わりです。 |
Tsubaki |
ツバキ
戦いはここまで。剣や拳を交わすのをやめて、 今度は向き合って言葉を交わしませんか。 |
Tsubaki |
バレット
なにを馬鹿なことを……。 |
Bullet |
ツバキ
あなた方の気持ちはわかります。 きっと、私の知らない苦しみや痛みがあったことでしょう。 |
Tsubaki |
ツバキ
でもそこにあるのが苦しみや痛みなら、 それを癒す方法を探すべきです。 |
Tsubaki |
ツバキ
私たちはお互いを知らなすぎる。すれ違うことも あるでしょう、意見が合わないこともあるでしょう。 |
Tsubaki |
ツバキ
それでもまず、話し合って、 お互いのことを知ることから始めていけるはずです。 |
Tsubaki |
ヒビキ
……ヤヨイ中尉。そんな言葉で、 なにかが変えられるとお思いですか? |
Hibiki |
ヒビキ
あなたは戦争を知らなすぎる。あなたが今、しようとしている ことは……夢見がちな少女のままごとのようです。 |
Hibiki |
ヒビキ
夢と理想など、儚いものです。 あなたもご存知でしょう。 |
Hibiki |
ヒビキ
かつて我々が直面したイカルガ内戦が、 どれほどひどく醜い戦争であったか。あれこそが、人です。 |
Hibiki |
ヒビキ
あなたの尊敬するキサラギ少佐とて、あの戦争を収めるには 圧倒的な武力を用いるしかなかったはずですよ。 |
Hibiki |
ツバキ
……ええ。そうです。かつてキサラギ少佐は、 そのお力で戦争を終わらせました。 |
Tsubaki |
ツバキ
でも、私たちに与えられた選択肢は、 それしかないわけではありません! |
Tsubaki |
ツバキ
私たちの前にあるのは、戦争ではありません。 まだ戦争にならずにすんでいるものです。 |
Tsubaki |
ツバキ
このまま、本当に醜い戦争を始めるか、別のものを始めるか。 それを決められるのは、今の私たちではないのでしょうか。 |
Tsubaki |
シエル
……迷いのない口調と表情です。 ツバキさんの言葉は、ツバキさんの本心そのものなのですね。 |
Ciel |
ラーベ
中々の演説じゃないか。平和ボケと誹られる考え方かも しれないが、私は結構、ああいうのは好きだ。 |
Raabe |
シエル
はい。私は、好きや嫌いはよくわかりませんが、 不快ではありません。 |
Ciel |
ツバキ
バレットさん。ひとまず、我々と停戦していただけませんか。 その代わり、あなたの身柄は解放します。 |
Tsubaki |
バレット
馬鹿な……ことを……。 |
Bullet |
ツバキ
そして互いに、多くを預かる者として…… そしてひとりの人間として、話をしましょう。 |
Tsubaki |
ツバキ
求めているものや、願っていること。大切なものや、 守りたいものや……。 |
Tsubaki |
ツバキ
そういうものをお互いに明かして、譲り合えるものを探して、 歩み寄れる場所を見つけませんか。 |
Tsubaki |
ツバキ
すべての希望が合致するとは思いません。 でもやってみないと、始めてみないと、なにも作れはしません。 |
Tsubaki |
ツバキ
……レジスタンスの皆さんにも、お願いします。 憎しみ合い、傷つけ合うだけでは、痛いばかりです。 |
Tsubaki |
ツバキ
どうか私たちと皆さんとで、 皆が一緒に暮らせる場所を、一緒に作りましょう。 |
Tsubaki |
レジスタンスA
…………。 |
Resistance Member A |
レジスタンスB
…………。 |
Resistance Member B |
ツバキ
どうか力を貸してください。 ヤマツミはあなた方のための都市でもあるのです。 |
Tsubaki |
レジスタンスA
お、おい……どうするんだ……? 話し合いなんて、無理だろう。今更……。 |
Resistance Member A |
レジスタンスB
俺だってそう思うよ。でも……あんな風に言われると、 正直、気持ちが揺れちまう……。 |
Resistance Member B |
レジスタンスE
戦うことに夢中だったけどさ。 俺たちって結局、どうしたくて戦ってたんだっけな。 |
Resistance Member B |
レジスタンスF
前は……戦いなんかしない毎日が、普通だったんだよな。 |
Resistance Member F |
レジスタンスF
……一緒に暮らせる場所か。そういうものがあったら…… もう誰も殺さなくていいのかな……。 |
Resistance Member F |
レジスタンスB
……なあ、バレットさん。 俺……考えてみても、いいんじゃないかと思うんだ……。 |
Resistance Member B |
レジスタンスA
お、おい、お前、なにを! |
Resistance Member A |
レジスタンスB
だってよ。今の俺達に、勝ち目はねぇだろ。なのに…… あの衛士さんは迎え入れようって言ってんだぜ? |
Resistance Member B |
レジスタンスA
…………。 |
Resistance Member A |
久音
……空気が変わったわね。 ツバキの気持ちは、ちゃんと伝わってる。 |
'Kuon |
シエル
レジスタンスの方々も、 戦いを終えたいと思っていたのでしょうか。 |
Ciel |
ラーベ
それはそうだろう。戦うのには原因がある。 原因をどうにかしたくて、普通は戦うんだからな。 |
Raabe |
久音
このまま停戦になって、ツバキとバレットが 対話することになったら、なにか起こるのかしら。 |
'Kuon |
ラーベ
さあな。だが、和平の道は常に断たれてきた。 ツバキの執務室への軟禁もそのひとつだろう。 |
Raabe |
ラーベ
なにかしら、状況の変化が訪れるはずだ。 |
Raabe |
シエル
気になるのは、誰が、なぜ和平を拒絶するのか……ですが。 それもすぐにわかるでしょうか。 |
Ciel |
バレット
……は……だ。 |
Bullet |
ツバキ
バレットさん。どうか……。 |
Tsubaki |
バレット
それは……だめだ。 |
Bullet |
シエル
え……!? |
Ciel |
バレット
<size=150%> なにが対話だ、ふざけるな!</size> |
Bullet |
バレット
<size=150%>だめだ。認められない。認めてはいけない!</size> |
Bullet |
レジスタンスA
ば、バレットさん、どうしたんですか? |
Resistance Member A |
バレット
図書館に屈するのか、敵に屈するのか、戦士たち! 我等への侮辱を忘れたか!? 仲間の死を忘れたか!? |
Bullet |
バレット
戦場の土を思い出せ、死んだ皆の血の臭いを思い出せ! 私たちの戦いはまだ終わっていない!! |
Bullet |
ツバキ
すべての希望が合致するとは思いません。 でもやってみないと、始めてみないと、なにも作れはしません。 |
Tsubaki |
ツバキ
……レジスタンスの皆さんにも、お願いします。 憎しみ合い、傷つけ合うだけでは、痛いばかりです。 |
Tsubaki |
ツバキ
どうか私たちと皆さんとで、 皆が一緒に暮らせる場所を、一緒に作りましょう。 |
Tsubaki |
レジスタンスA
…………。 |
Resistance Member A |
レジスタンスB
…………。 |
Resistance Member B |
ツバキ
どうか力を貸してください。 ヤマツミはあなた方のための都市でもあるのです。 |
Tsubaki |
1: え!? これって…… |
1: |
シエル
ラーベさん。明らかに事象が繰り返しています。 なんらかの干渉を受けたことは、明らかです。 |
Ciel |
久音
……空気が張りつめてる。 ツバキの言葉は、ちゃんと伝わってるのかしら……? |
'Kuon |
シエル
……どうやら、久音さんも干渉を受けているようです。 |
Ciel |
久音
え? 干渉? なんのこと? |
'Kuon |
バレット
――惑わされるな! |
Bullet |
バレット
対話だと? 一緒にだと? 笑わせる。 我等と統制機構の協力関係などあり得ない! |
Bullet |
バレット
私たちはなんのために戦っている? 対話などのためではない! 見せしめるためだ! 統制機構に、傲慢なる権力者に! |
Bullet |
バレット
お前たちに従う者だけが人間ではないのだと! お前たちが唯一の勢力ではないのだと! |
Bullet |
バレット
お前たちの唱えるものだけが、正義ではないのだと! 奴等の言葉に耳を貸す必要はない! |
Bullet |
レジスタンスA
……そうだ……そうだ、対話などあり得ない! 俺たちの戦いはまだ終わっちゃいない! |
Resistance Member A |
レジスタンスB
大勢の仲間が死んだんだ…… なにを語ったところで、あいつらが生き返るわけじゃない! |
Resistance Member B |
レジスタンスE
戦うぞ……。いつまででも、戦ってやる! |
Resistance Member B |
シエル
ラーベさん、レイさん。これは……。 |
Ciel |
ヒビキ
これが彼らの本性です。 いい加減に諦めなさい、ヤヨイ中尉。 |
Hibiki |
ヒビキ
対話など……くだらない。 |
Hibiki |
ヒビキ
総員、戦闘態勢! 反逆者どもを始末する! |
Hibiki |
統制機構衛士たち
はっ! |
NOL Soldiers |
ツバキ
ま、待ってください! みんな、落ち着いて。どうか話を……! |
Tsubaki |
久音
話なんてできる状況じゃないことくらいは、わかるでしょ! あいつら、あなたを本気で殺すつもりよ! |
'Kuon |
シエル
戦闘態勢に入ります。 |
Ciel |
第12節 願い請う者①/ 12. One Who Wishes - 1
Summary | |
---|---|
バレットは自らが観測者だと自覚した。それ
に伴い出現した窯を守るため、大量の魔物や レジスタンスが襲い掛かる。 |
レジスタンスA
ぐぁっ……! |
Resistance Member A |
シエル
はぁ、はぁ……凄まじい勢いです。 |
Ciel |
久音
でも、いくら勢いがあったって、力の差は歴然でしょ。 優秀な指揮官がふたりもいたんじゃ、統制機構には到底勝てない。 |
'Kuon |
ツバキ
防御術式展開! 相手を無力化させれば十分です。 速やかに拘束用の術式を! |
Tsubaki |
ヒビキ
右翼、さらに隊を伸ばして後方へ回り込みなさい。 敵陣は自分が背後から切り崩します。 |
Hibiki |
ラーベ
みるみる鎮圧されていくな。さすがの手際だが……。 |
Raabe |
統制機構衛士A
ぐっ……! |
NOL Soldier A |
統制機構衛士B
後方より新手です! 敵数不明! レジスタンスと思われます! |
NOL Soldier B |
ヒビキ
な……馬鹿な……。 |
Hibiki |
ラーベ
やはりな。そうくるか。 |
Raabe |
シエル
増援がくるとわかっていたのですか? |
Ciel |
ラーベ
いや、増援が来るとはっきりわかっていたわけじゃない。 ただ、何かしら対策してくるだろうとは、予想できる。 |
Raabe |
ラーベ
負けないために、どうとでもできたろうさ。 なんせ……この世界の観測者は、彼女なんだからな。 |
Raabe |
1: バレットが…… |
1: |
久音
バレットが観測者って、どういうこと? なんでわかるの? |
'Kuon |
シエル
先ほど、時間が巻き戻るような現象を確認しました。 私も体験するのは初めてですが、あれは事象干渉といいます。 |
Ciel |
シエル
事象そのものに干渉する力。 『なにが起こるか』を書き換えることができる力です。 |
Ciel |
ラーベ
それを行えるのは、観測の力を持つ者のみだ。 ……基本的にはね。 |
Raabe |
久音
なに、それ……? 私はなにも感じなかったけど……。 そっか。シエルたちは、それを感じたのね。 |
'Kuon |
久音
そしてそれをやってのけたのが、バレットっていうこと……。 つまり、自らが観測者だって証明してみせてくれたってわけね。 |
'Kuon |
バレット
……さっきから、なにをわけのわからない話をしている。 私が……なんだって? |
Bullet |
シエル
バレットさんは、このファントムフィールドの観測者です。 |
Ciel |
シエル
この世界で起こったことの全ては、 バレットさんの観測によって引き起こされた現象です。 |
Ciel |
バレット
なにを……なにを馬鹿なことを言っている。 私が引き起こした? 全てを? |
Bullet |
バレット
この戦いも、レジスタンスも、統制機構もか!? 仲間の苦しみや痛み、わずかな勝利と多くの敗北もか!? |
Bullet |
ラーベ
その通りだ。 |
RaabRaabee |
バレット
はっ……ははははは! 相変わらずだな。どこまでも妙な連中だ。 |
Bullet |
バレット
ならば聞こう。私が全ての現象を引き起こしているのなら、 なぜ我々は統制機構に勝てない? |
Bullet |
バレット
何度も何度も何度も、多くの仲間を失いながら立ち向かった。 それなのに、なぜまだ統制機構は我が物顔でヤマツミにいる? |
Bullet |
ラーベ
それこそが、観測者であるお前の望みだからさ。 |
Raabe |
バレット
なに……? |
Bullet |
ラーベ
ファントムフィールドは……この世界は、 観測者の無意識下にある願望に基づいて形作られる。 |
Raabe |
ラーベ
初めは、統制機構による統治を目指した世界なのかと考えた。 |
Raabe |
ラーベ
あるいはレジスタンスとの和平を結び、 平和になることを願って生まれた世界なのだろうかとな。 |
Raabe |
ラーベ
だがそれは違った。 |
Raabe |
久音
そうね。統制機構の統治を目指しているわりには、 レジスタンスの抵抗はいつまでも続いてる。 |
'Kuon |
久音
逆に和平を求めているにしては、 チャンスのたびにどうしようもない障害が発生してた。 |
'Kuon |
シエル
和平を絶対に成立させずに、レジスタンスの壊滅を 観測者は求めているのかも……という考えもありましたが、 |
Ciel |
シエル
これも明らかな戦力差がありながら、 レジスタンスが抵抗を続けられたことから否定されます。 |
Ciel |
ラーベ
では観測者が、つまりバレット、お前が望んでいた、 そして世界が勝手に汲み取って描いてみせたものとは……。 |
Raabe |
1: 戦いが終わらないこと |
1: |
ツバキ
戦いが……終わらない? |
Tsubaki |
ラーベ
そうだ。思い返してみれば、レジスタンスと統制機構の 対立構造が崩れそうになると、その流れは必ず断たれてきた。Raabe |
Raabe |
ラーベ
バレットが拘束されれば、強引な脱獄作戦はなぜか成功した。 誤情報でおびRaabeき寄せられたときも、待ち伏せから逃れられた。 |
Raabe |
久音
そっか。和平交渉がどうしたってうまくいかなかったのも、 そのせいね。和平が成立すれば、戦いは終わるもの。 |
'Kuon |
シエル
なにより、バレットさんはご自分の口で言いました。 『いつまででも、戦ってやる!』と。 |
Ciel |
バレット
……ふっ。馬鹿な。私が望んだ……? 戦いを……? |
Bullet |
バレット
……そうか。……そうだな。 不思議な感覚だが、お前たちの言っていることが理解できる。 |
Bullet |
バレット
確かに私は望んでいたとも。今日も、明日も、明後日も。 眠って起きるたびに次の戦闘が私を待っている…… |
Bullet |
バレット
そんな日が、ただただ延々と続くのを…… ああ、願っていないと言えば嘘になる。 |
Bullet |
ツバキ
なぜですか? 私には、レイさんや あなたの話が、まるでわかりません……。 |
Tsubaki |
ツバキ
ですが、バレットさんが望んだからこそ、私たちのこの対立が あるのなら……なぜそんなことを望むのですか!? |
Tsubaki |
バレット
……さあな。理由なんか知らない。考えたこともない。 ただ私は、戦っていたいだけだ。 |
Bullet |
ヒビキ
ずいぶんと身勝手な物言いですね。 |
Hibiki |
ヒビキ
……不審人物たちの話を真に受けるつもりはありませんが、 これが事実なのだとしたら、 |
Hibiki |
ヒビキ
あなたは自分勝手な願望によって、大勢のお仲間を 終わりなき殺し合いに巻き込んだということになりますね。 |
Hibiki |
レジスタンスB
バレットさん……? |
Resistance Member B |
レジスタンスE
あの……? |
Resistance Member B |
バレット
…………。 |
Bullet |
シエル
……ファントムフィールド内における、 窯の出現を感知しました。 |
Ciel |
ラーベ
そうか。 |
Raabe |
ラーベ
……バレット。窯が現れたということは、お前の願望が この世界を作り出したことは、間違いなさそうだ。 |
Raabe |
ラーベ
でも、お前が意図的に戦いを引き起こしたわけでもないことを、 私たちは知ってRaabeいる。 |
Raabe |
ラーベ
むしろお前は、この世界の中では真剣に、 仲間のために戦ってもいたんだろう。 |
Raabe |
久音
でもそれを、ファントムフィールドが阻んでいた……。 |
'Kuon |
久音
バレットが無意識に抱いていた、 『戦い続けたい』っていう願望を、形にし続けるために。 |
'Kuon |
バレット
…………。 |
Bullet |
ラーベ
この世界は、お前の願望を映し出した夢のようなものだ。 ここにいる限り、お前は永遠に戦い続けることになる。 |
Raabe |
バレット
それが……私の望みだから……か。 |
Bullet |
バレット
……やめる方法は、あるのか? |
Bullet |
ラーベ
もちろんあるとも。 |
Raabe |
シエル
ファントムフィールドには、 必ずエネルギーの供給源である『窯』が存在します。 |
Ciel |
シエル
それを破壊すれば、必要なエネルギーの供給を受けられず、 ファントムフィールドは維持できなくなります。 |
Ciel |
シエル
そうなればこの場は消滅し、この世界に存在していた 全ての人は、本来あるべき世界に戻ります。 |
Ciel |
バレット
本来あるべき世界? ……ここはそうじゃないのか? |
Bullet |
ラーベ
違う。さっきも言っただろ。 ここはお前の願望が生んだ世界だ。 |
Raabe |
ラーベ
本来の世界は、誰かの願望で歪められることのない、 数多の可能性の中に存在している。 |
Raabe |
バレット
元の世界に、戻るのか……。 |
Bullet |
バレット
それで。その『窯』とやらは、どこにあるんだ? そいつを壊せば……全部、元に戻るんだろ? |
Bullet |
バレット
つまり……正常な世界ってやつに。 |
Bullet |
シエル
はい。窯はこの奥……階層都市の地下にあります。 メインシャフトの真下から、反応を感じます。 |
Ciel |
バレット
……そうか。そこに……あるのか。 |
Bullet |
久音
その窯を壊せばいいのよね。行ってみましょう。 いいわよね、ツバキ? |
'Kuon |
ツバキ
はい。もちろんです。必要であれば、ご案内します。 |
Tsubaki |
ヒビキ
……興味深いお話です。自分も同行しましょう。 |
Hibiki |
シエル
では、参りま……。 |
Ciel |
シエル
う、ぐ……っ! バレットさん? |
Ciel |
バレット
弾かれたか。さすがに強いな。 |
Bullet |
久音
ちょっと、どういうつもり!? |
'Kuon |
バレット
どうもこうもない。 |
Bullet |
バレット
私は戦いの中で生きてきた。物心ついたときには、戦場にいた。 周りは傭兵ばかり。誰も彼も、いつも戦いの中で暮らしていた。 |
Bullet |
バレット
大事なことは戦いの中で覚えた。 下らないことも戦いの中で知った。 |
Bullet |
バレット
友達も家族もみんな戦いの中にいた。 ……かけがえのない、大事な人も。 |
Bullet |
バレット
……窯を壊せば、この世界はなくなるんだろう? 私の戦いの日々も終わる。 |
Bullet |
シエル
そうです。ですから、早く窯を……。 |
Ciel |
バレット
なぜだ? |
Bullet |
シエル
え? |
Ciel |
バレット
なぜ破壊する。 いや……なぜ、私が壊してほしがっていると思うんだ? |
Bullet |
久音
バレット! この世界は本物じゃない。あなたが本当に 生きてきた世界じゃないの。もうわかってるんでしょ!? |
'Kuon |
バレット
ああ、わかっている。ここは違う。 私の知ってる『世界』じゃない。 |
Bullet |
バレット
だが私は、私から戦いを取り上げる 連中に従い、それを受け入れることなどできない! |
Bullet |
久音
バレット……! |
'Kuon |
バレット
私は戦うことしか知らない。戦いしかなかったんだ。 それを、私の生きる意味を奪うというのなら……。 |
Bullet |
バレット
<size=130%> 私から『奪う』というのなら、</size> <size=130%> 『抗う』しかない!</size> |
Bullet |
バレット
<size=130%>お前たち! 我々から世界を奪う者たちを……</size> <size=130%>倒せ!!</size> |
Bullet |
レジスタンスたち
<size=130%>おおーーーーーーー!!</size> |
Resistance Members |
レジスタンス
俺たちの敵を倒せ! 倒せ! |
The Resistance |
レジスタンス
バレットさんと共に! 俺たちはどこまでもついていくぜ! |
The Resistance |
ツバキ
防御術式、展開! |
Tsubaki |
ヒビキ
これは……。 |
Hibiki |
久音
やばいやばい、ものすごい勢いで来るわよ! |
'Kuon |
魔物
グアァァァァァァァ! |
Monster |
シエル
っ! 魔物の出現を確認しました! |
Ciel |
ラーベ
『窯』を守るために、ファントムフィールドそのものが 私たちを排除しようとしているんだろう。 |
Raabe |
ラーベ
敵になるものならなんでも、ぶつけてくる可能性があるぞ。 気を付けろ、レイ! |
Raabe |
シエル
戦闘を開始します。 レイさん、側にいてください。 |
Ciel |
第12節 願い請う者②/ 12. One Who Wishes - 2
Summary | |
---|---|
観測者の力がコントロールできていないバレ
ット。彼女の影響でヒビキまでもがシエル達 の前に立ちはだかる。 |
シエル
はぁっ! |
Ciel |
久音
もう、いい加減にして! |
'Kuon |
ツバキ
はぁ、はぁ……一体、なにが……。 |
Tsubaki |
ラーベ
……うん、よし。一旦落ち着いたか。 さすがはレイだな。 |
Raabe |
1: どういうこと? |
1: |
1: どういうこと? |
1: |
ラーベ
観測の力ってやつだ。お前がいなかったら今ごろ、無尽蔵に 湧いて来る敵対生物でもみくちゃになってるところだ。 |
Raabe |
久音
聞いてないわよ、それ! |
'Kuon |
ラーベ
ならないかどうか、軽い賭けだったが。 やるな、レイ! |
Raabe |
久音
嘘でしょ……信じられない! |
'Kuon |
レジスタンス
うぐ、くそ……よくも俺たちを、裏切りやがって……! |
The Resistance |
シエル
私たちは、アナタ方を裏切ったわけではありません。 |
Ciel |
ラーベ
まともな思考を求めるのは無駄だぞ、シエル。 今の奴等にとっては、我々は倒すべき裏切り者なんだからな。Raabe |
Raabe |
ラーベ
それが、あいつらにとっての『現実』だ。 観測者が選んだ『事象』なんだよ。 |
Raabe |
久音
その人の意思どころじゃない……。誰がなにをするのか、 そういう出来事そのものを再確定させる力なのね……。 |
'Kuon |
ラーベ
というか、あったかもしれない可能性の中から、 自分好みのものを選んで現実にしてしまう力だ。 |
Raabe |
ラーベ
だから世界は、観測者に都合よくねじ曲がっていく。 |
Raabe |
レジスタンス
すみません……バレットさん……っ。 俺たち……。 |
The Resistance |
バレット
……よく戦ってくれた。お前たちは私の誇りだ。 ありがとう。 |
Bullet |
ツバキ
もうやめましょう、バレットさん! お願いです……。 |
Tsubaki |
ツバキ
彼らは、あなたの誇りなのでしょう。仲間なのでしょう? そんな彼らを、あなたのための犠牲にするつもりですか? |
Tsubaki |
バレット
……犠牲になど、しない。 私は誰も、見捨てたりはしない。 |
Bullet |
バレット
誰も……置いて行ったりはしない。 |
Bullet |
バレット
そうだ。犠牲になるものがあるとすれば…… それは……仲間ではない。 |
Bullet |
ツバキ
もうやめましょう、バレットさん! お願いです……。 |
Tsubaki |
ツバキ
彼らは、あなたの誇りなのでしょう。仲間なのでしょう。 そんな彼らを、助けたいとは思わないのですか。 |
Tsubaki |
久音
な、なに? これ……時間が戻ってる……。 これが、事象干渉……? |
'Kuon |
ラーベ
お。久音が事象干渉を認識したか。 ……レイはちゃんと機能しているようだな。 |
Raabe |
久音
こんなの、目茶苦茶じゃない! |
'Kuon |
ラーベ
そうとも。だが、これほど事象干渉を バレットが使いこなせるとは思えない。 |
Raabe |
ラーベ
どちらかというと、使わされている、って感じだろうな……。 |
Raabe |
久音
使わされるって、誰に? |
'Kuon |
1: それってもしかして…… |
1: |
久音
そっか……。 |
'Kuon |
久音
ファントムフィールドそのものが、戦いを終わらせないために、 バレットの観測者としての力を利用しているわけね。 |
'Kuon |
シエル
ではもう、バレットさんには コントロールできていないということですか? |
Ciel |
ラーベ
そもそも、初めからコントロールなんかできてないだろ。 自在に使えるなら、もっと効率的なやり方がいくらでもある。 |
Raabe |
ツバキ
戦いは終わりにするべきです。今なら、そしてあなたなら それができるはずです。どうか……。 |
Tsubaki |
ヒビキ
――勝手なことをしてもらっては困ります、 ツバキ=ヤヨイ中尉。 |
Hibiki |
ツバキ
コハク大尉……! |
Tsubaki |
ヒビキ
暴徒化する反逆者の鎮圧、ご苦労様でした。 ご助力いただき助かりました。 |
Hibiki |
ヒビキ
ですがこれで、あなたの罪状が消えたわけではありません。 |
Hibiki |
ヒビキ
ヤヨイ中尉、以下三名とユニット一機。 以上は統制機構を混乱させ、秩序維持を著しく妨害しました。 |
Hibiki |
ヒビキ
よって、ここに制裁します。 |
Hibiki |
ツバキ
ま……待ってください、コハク大尉! もう戦う必要はないはずです! 我々は……! |
Tsubaki |
ヒビキ
いいえ、戦う必要はあります。 乱れなき世のために。戦なき世のために。 |
Hibiki |
ヒビキ
戦争というのは……争いというのは、 永遠に続くイタチごっこです。 |
Hibiki |
ヒビキ
どちらかが負け、どちらかが勝ち、その勝敗を覆すために 繰り返される。終わることはない。 |
Hibiki |
ヒビキ
それでも平和を望むのなら、上に立つべき者が立ち、 決められたルールに従わせるほかないのです。 |
Hibiki |
ツバキ
コハク大尉……。 |
Tsubaki |
ヒビキ
『レジスタンス』などと名乗る無法者は無力化しました。 次はあなた方です。……総員、戦闘用意! |
Hibiki |
ツバキ
……っ! これは……コハク大尉、一体どうされたのです!? |
Tsubaki |
ラーベ
説得は無意味だろうな。 彼らはすでに、観測者による事象干渉の影響下にある。 |
Raabe |
ラーベ
こういう事象を観測者が選んだんだ。 それをツバキ、お前の言葉でも曲げることはできない。 |
Raabe |
ラーベ
お前もまた、この世界の観測下にあるんだからな。 |
Raabe |
久音
で、私たちは観測下にないから、 とにかくなんでも出して消そうってこと。 |
'Kuon |
久音
バレットも……観測者も、後がないって感じじゃない。 |
'Kuon |
ラーベ
だがこの調子でいくと、次はツバキが敵になるぞ。 |
Raabe |
久音
う……それはちょっと、やりにくいわね。 |
'Kuon |
バレット
…………。 |
Bullet |
1: そのつもりなら、とことん付き合う |
1: |
バレット
……減らず口は、命を繋いでからにするんだな。 |
Bullet |
ヒビキ
攻撃開始! |
Hibiki |
統制機構衛士
はっ!! |
NOL Soldiers |
第12節 願い請う者③/ 12. One Who Wishes - 3
Summary | |
---|---|
ツバキはバレットに狙われるが、間一髪でジ
ンに助けられる。バレットを倒すためシエル 達はジンと協力する。 |
ヒビキ
くっ……衛士は全員やられましたか。 しかし……! |
Hibiki |
久音
私がいるの、忘れてもらっちゃ困るわね。 観念してもらうわ、大尉さん! |
'Kuon |
1: 行ける、シエル! |
1: |
シエル
はい! |
Ciel |
久音
オッケー。なら思いっきり、いくわよっ! |
'Kuon |
ヒビキ
うぐっ、く……ぅ……。 まさか、自分が……。 |
Hibiki |
ラーベ
どうやら、期待する展開に運ぶ力としては、 レイのほうが上だったようだな。 |
Raabe |
ラーベ
あとは……。 |
Raabe |
ツバキ
……あうっ! |
Tsubaki |
バレット
……どうして、邪魔をするんだ? |
Bullet |
ツバキ
あ、ぐ……はな、して……くださ……っ。 苦し……っ。 |
Tsubaki |
バレット
対話だの、平和だの…… そんなものが、成立するはずがないというのに……! |
Bullet |
ツバキ
いいえ……そんなはずは、ありません。 あなたにだって……語り合い、わかり合えた人が、いたはずです。 |
Tsubaki |
バレット
そんなものはない! |
Bullet |
ツバキ
大事な、人が……いたはずです。その人との時間は、 きっと……穏やかで、安らかだったはずです……。 |
Tsubaki |
バレット
そんなものは知らない。知らない! |
Bullet |
ツバキ
バレットさん……! |
Tsubaki |
バレット
不愉快だ……お前の存在が! 対話などという可能性を示したことが、不愉快でたまらない! |
Bullet |
バレット
お前がいなければ……余計なことに惑わされる仲間も いなかったのに! お前がいなければ……! |
Bullet |
久音
冗談でしょ、なによこの数……! |
'Kuon |
久音
ちょっと、バレット、いよいよなんだかおかしくない!? |
'Kuon |
シエル
まるで、自分自身の事が コントロールできていないかのようです。 |
Ciel |
ラーベ
と、いうより、まさにそういう状態だろうなこれは。 観測者でありながら、自分のことを正確に観測できていない。 |
Raabe |
ラーベ
だがそれにしては、戦闘意欲だけは凄まじいのだから、 感心するな。 |
Raabe |
久音
呑気なこと言ってる場合じゃないわよ! ツバキが……! |
'Kuon |
ツバキ
きゃぁっ! |
Tsubaki |
シエル
ツバキさん! くっ……魔物が多すぎて、近づけません……! |
Ciel |
1: ツバキ、危ない! |
1: |
バレット
うわぁぁぁぁぁっ! |
Bullet |
ツバキ
――っ!! |
Tsubaki |
シエル
これは……。 |
Ciel |
1: 魔物がみんな氷漬けになってる…… |
1: |
ツバキ
ジン、兄様……キサラギ少佐!? |
Tsubaki |
ジン
……これはなんの騒ぎだ? |
Jin |
ツバキ
どうして、ここに……。 |
Tsubaki |
シエル
キサラギ少佐……。 彼があの、戦争をひとりで収めたという……。 |
Ciel |
バレット
馬鹿な……ジン=キサラギだと……? お前がここに来るはずがない……! |
Bullet |
ジン
『はずがない』? ならば僕は何者で、どうしてここにいる? |
Jin |
バレット
馬鹿な……馬鹿な、馬鹿な、あり得ない。あり得ない! お前がいたら、私たちは勝てない! いや、負ける! |
Bullet |
バレット
だからこそ……! |
Bullet |
久音
だからこそ、本来ならとっくに着任してるはずの少佐が、 いつまでも到着しなかった……ってことか。 |
'Kuon |
久音
『来るはずがない』ってわかっていたのは、 観測者であるバレットだけ。 |
'Kuon |
シエル
……そうなりますね。 |
Ciel |
ジン
……例の反逆者の騒動か。 では、貴様がリーダーのバレットだな。 |
Jin |
ジン
命までは取らない。大人しく降伏しろ。 |
Jin |
バレット
……はっ。はは、ははははは! ……仲間はみんな倒れた。敵も倒れたが……。 |
Bullet |
バレット
最後に現れるのはお前か、ジン=キサラギ。 |
Bullet |
バレット
だが……私はまだ負けていない。私はまだ立っているぞ。 |
Bullet |
バレット
私から、戦いは奪わせない。 どうしても奪いたいなら……。 |
Bullet |
1: 力尽くで? |
1: |
バレット
そうだ。レイ。 戦って、勝って、奪え。 |
Bullet |
1: |
1: |
久音
え、でも……! |
'Kuon |
シエル
了解しました。戦闘態勢に移行します。 |
Ciel |
久音
シエルまで……んもう、わかったわよ、付き合うわよ! |
'Kuon |
ジン
……ツバキはそこにいろ。前線へは僕が出る。 |
Jin |
ツバキ
わ、私も戦えます、一緒に……うっ……。 |
Tsubaki |
ジン
命令だ、ヤヨイ中尉。 後方にて待機。動けるなら、倒れた衛士たちの介抱をしろ。 |
Jin |
ツバキ
……はい。 |
Tsubaki |
ジン
貴様ら。何者か知らんが……ツバキの知り合いか? ……足を引っ張るなよ。 |
Jin |
久音
お言葉ね。そっちこそ、どんだけ強いのか知らないけど、 足手まといにならないでよね。 |
'Kuon |
ジン
……フン。 |
Jin |
バレット
上等だ。 さあ……<size=130%>来い!</size> |
Bullet |
第12節 願い請う者④/ 12. One Who Wishes - 4
Summary | |
---|---|
バレットとの戦いに勝利したシエル達は窯の
破壊に成功する。シエル達はフガクに帰還し、 そして世界は、あるべき未来に進んでいく。 |
バレット
く、は……っ。 |
Bullet |
シエル
対象の戦闘レベルの低下を確認。 これ以上の戦闘の続行は不可能です。 |
Ciel |
ジン
…………。 |
Jin |
バレット
…………負けたのか。 |
Bullet |
1: 大丈夫? |
1: |
バレット
は、はは、気遣うな。私は敵だぞ。 |
Bullet |
久音
そう割り切れないから、態度に困ってるのよね……。 |
'Kuon |
バレット
……私もだ。お前たちには恩がありすぎる。 共に戦った仲間でもあるしな。 |
Bullet |
久音
だったらこんなことしないで、 大人しくしててほしいわね。 |
'Kuon |
バレット
そうはいかない。私は戦士だ。 守るべきもののために戦わなければならない。 |
Bullet |
バレット
だが……さすがにすっきりした。 |
Bullet |
シエル
すっきり、ですか? 戦って、気分が爽快になるのですか? |
Ciel |
バレット
人によるだろうけどな。私はなる。 ……なる、らしい。理由はわからないけどな。 |
Bullet |
久音
はぁ。しょうがない人ね、あなた。 |
'Kuon |
バレット
……手を貸してくれないか。 立ち上がりたいんだが、自力ではどうにもうまくいかない。 |
Bullet |
1: はい、掴まって |
1: |
バレット
……ありがとう。 |
Bullet |
バレット
……お前たちは、まだ戦えそうだな。大したものだ。 |
Bullet |
シエル
いえ、かなりの消耗率です。 損傷個所もあり、後ほどメンテナンスが必要です。 |
Ciel |
バレット
そうか。だが、まだ動けるんだよな? |
Bullet |
久音
もう一回同じように戦えって言われなければね。 |
'Kuon |
バレット
それは、私が無理だ。 |
Bullet |
バレット
だがもう少し……歩くくらいならできる。 だから、見せてくれないか。その『窯』ってやつを。 |
Bullet |
ラーベ
私たちはそれを破壊しに行くんだが、いいのか? |
Raabe |
バレット
ああ。もう邪魔はしない。お前たちは戦って、私に勝った。 だから遠慮なく奪っていけ。 |
Bullet |
久音
つくづく不器用な人ねぇ。 |
'Kuon |
シエル
では、向かいましょう。『窯』の反応は支部の地下です。 メインシャフトを使って降りられるでしょうか? |
Ciel |
ツバキ
そうだと思います。必要であれば、案内しましょうか? |
Tsubaki |
ラーベ
それは助かるな、お前の助けがあったほうがスムーズだろう。 |
Raabe |
ツバキ
はい。では……あ……。 |
Tsubaki |
ジン
ここには僕が残る。気にかかることがあるのなら、行けばいい。 |
Jin |
ツバキ
ですが、キサラギ少佐に全てお任せしてしまうのは……。 |
Tsubaki |
ジン
僕はなにも、休暇に来たわけじゃない。いいから、行け。 ……コハク大尉も、運ばせておく。 |
Jin |
ジン
戻ったら、状況を知らせろ。 |
Jin |
ツバキ
はい。ありがとうございます。行ってまいります。 |
Tsubaki |
ジン
…………。 |
Jin |
ツバキ
お待たせしてすみません。行きましょう。 メインシャフトは、こちらです。 |
Tsubaki |
バレット
……これが……『窯』か。 |
Bullet |
ツバキ
大きい……こんなものが、支部の地下にあっただなんて……。 |
Tsubaki |
ラーベ
なるほど、今使った昇降装置はおまけか。 |
Raabe |
ラーベ
メインシャフトの本来の目的は、この窯に統制機構の支部を 接続させる意味があったわけだ。 |
Raabe |
ラーベ
今はたまたまここに『窯』があるが……実際の階層都市 とやらは、一体なにを腹の中に抱えていたんだか。 |
Raabe |
ラーベ
……世界虚空情報統制機構、 思っていた以上に裏がありそうな組織だな……。 |
Raabe |
久音
これを、壊すのよね? でもどうやって? ちっとやそっとじゃ、壊れそうにないけど。 |
'Kuon |
ラーベ
『窯』は通常の物理攻撃を一切受け付けない。
破壊できるのは、唯一…… |
Raabe |
バレット
ブレイ……なんだそれ? |
Bullet |
ラーベ
まあ、見てればわかる。 シエル、やってくれ。 |
Raabe |
シエル
はい。では……始めます。 |
Ciel |
シエル
第666拘束機関解放。次元干渉虚数方陣展開。
|
Ciel |
シエル
……反応の消失を確認。『窯』の破壊を完了しました。 |
Ciel |
久音
すごい……本当に壊しちゃった……。 |
'Kuon |
ラーベ
よし。こちらでも確認した。無事にシステムの観測下に入ったな。 Raabe |
Raabe |
バレット
……これで、終わりなのか? |
Bullet |
シエル
はい。するべきことは全て完了しました。 あとは帰還するだけです。 |
Ciel |
バレット
窯が壊れれば、この世界も終わるんだろう? だが……なんともないぞ? |
Bullet |
久音
そうね。姿が消えるとか、するのかと思ってたけど。 |
'Kuon |
ラーベ
観測者の願望を元に構成される世界、 という在り方が終わったにすぎない。 |
Raabe |
ラーベ
難しい話をしても仕方ないだろうから、省くが。 世界そのものがたちどころに消失するわけではない。 |
Raabe |
ラーベ
これからは、この世界が本来持っていた 『進むべき未来』へと進んでいくだろう。 |
Raabe |
ツバキ
私たちが進むべき未来……ですか。 |
Tsubaki |
ラーベ
そうだ。観測者ではなく、 この世界に属しているお前たちが、作る未来にだ。 |
Raabe |
ラーベ
……ただ、久音は別だ。 お前は異物だからな。本来、この世界の存在じゃない。 |
Raabe |
久音
じゃあ、どうなるの? |
'Kuon |
ラーベ
じきにこの世界からは存在が消えるだろう。 だがそれは、お前が在るべき世界に存在を戻しただけのことだ。 |
Raabe |
ラーベ
この世界で認識したことは忘れ、 本来の世界での、あるべき形で存在を続ける。 |
Raabe |
久音
そう。ならいいわ。私の目的は果たされるんだから。 |
'Kuon |
ラーベ
さて、やるべきことも終わったし、 我々は早々にここから脱出するとしようか。 |
Raabe |
シエル
はい。回収をお願いします。 |
Ciel |
久音
えっ、もう行っちゃうの? |
'Kuon |
シエル
ファントムフィールド内でやるべき任務は 全て完了しましたので。 |
Ciel |
ラーベ
名残惜しいと思ってくれるのはありがたいが、 自ら出ていける以上、長居するわけにはいかない。 |
Raabe |
ラーベ
私たちもまた、異物だ。 それもかなりイレギュラーな、な。 |
Raabe |
ラーベ
存在が残れば残るほど、 この世界にあり得ない影響を与えてしまう。 |
Raabe |
ツバキ
そうなのですか……。 |
Tsubaki |
1: 色々ありがとう |
1: |
ツバキ
それはこちらの台詞です。本当に、ありがとうございました。 あなた方に会えて、本当によかった。 |
Tsubaki |
バレット
ああ。……ありがとうな、レイ。 最後まで、私と戦ってくれて。 |
Bullet |
1: 戦う以外のこともあったよ 2: バレットと一緒にいられて楽しかったよ |
1: 2: |
バレット
そうだな。……お前と過ごした時間は、忘れがたい。 |
Bullet |
バレット
さあ、ほら。もう行け。 ずるずると引き延ばすのは性に合わないんだ。 |
Bullet |
シエル
はい。そうします。 では……お世話になりました。 |
Ciel |
久音
またどこかで会えたら、今度はゆっくり、 あなたたちのことを聞かせてよ。 |
'Kuon |
シエル
では、私達には久音さんのことを教えてください。 |
Ciel |
久音
いいわ。情報交換ね。 楽しみにしてる。 |
'Kuon |
バレット
私も、どこかでまた会うことがあったら、 今度は最後まで仲間として戦いたい。 |
Bullet |
バレット
お前たちのために、戦ってみたい。 |
Bullet |
シエル
頼もしいです。こちらこそ、お願いします。 |
Ciel |
ラーベ
よし、帰還するぞ。 |
Raabe |
1: ツバキもバレットも久音も、またね |
1: |
久音
ええ! また――……、……、…………―― |
'Kuon |
久音
……行っちゃった、か。 |
'Kuon |
ツバキ
……では、戻りましょう。 そこで改めて、バレットさんの身柄を拘束させていただきます。 |
Tsubaki |
バレット
わかってる。負けは負けだ、好きにしろ。 |
Bullet |
ツバキ
好きに……。では、停戦協定にも応じていただけますか? |
Tsubaki |
バレット
ここまでくると、しつこいなお前も。 わかった、わかった。停戦、和平、なんでもいい。 |
Bullet |
バレット
……その代わり、言ったことは守ってもらう。 |
Bullet |
バレット
我々を対等な人間として扱い、今後の在り方については、 私とお前が話し合うことで決める。 |
Bullet |
バレット
お前の要求を一方的に飲むことはない。 |
Bullet |
ツバキ
はい。わかっています。 |
Tsubaki |
バレット
……信用しておいてやる。 統制機構は信用できないが、お前のことはな。 |
Bullet |
ツバキ
その気持ちに応えてみせます。 |
Tsubaki |
バレット
どうだか。ほら、さっさと上がろう。もうここに用はない。 |
Bullet |
久音
そうね。でもレイたち、無事に戻れたかしらね。 |
'Kuon |
バレット
レイ? ……誰のことを話してるんだ? |
Bullet |
久音
え? 誰って……。 あ……そういうこと。 |
'Kuon |
久音
存在が残れば残るほど、あり得ない影響を与える……。 |
'Kuon |
久音
つまり、影響をまったく与えないためには、 存在そのものが消える必要がある。ドライな考え方ね。 |
'Kuon |
ツバキ
久音さん? どうしましたか? |
Tsubaki |
久音
なんでもないわ。 |
'Kuon |
久音
……じゃあ、私もそのうち、そうなるのね。 |
'Kuon |
久音
この世界から消えて……別の場所で存在することになって。 でもそのときには、あなたたちのことは覚えてない。 |
'Kuon |
久音
ちょっと寂しいけど、きっとどこかで会えるわよね。 レイが、そう言ったんだもの。 |
'Kuon |
バレット
置いていくぞ、久音! |
Bullet |
久音
ああ、待ってよ。行くわよ、今行くってば! |
'Kuon |
カガミ
お帰り〜! よしよし、手も足もあるな? 意識はどうだ? 自分の名前は言えるか? 指、何本に見える? |
Kagami |
1: レイです…… |
1: |
カガミ
よーしよし、意識レベルに問題なし。 では改めて、ファントムフィールドの攻略、お疲れ様! |
Kagami |
シエル
お疲れ様でした、レイさん。おかげで、 ファントムフィールドをひとつ解放することができました。 |
Ciel |
1: シエルもお疲れ様 |
1: |
シエル
はい。 |
Ciel |
カガミ
ひとまず、これで一通りの流れは掴んでもらえたかな。 |
Kagami |
カガミ
今後も同じように、様々なファントムフィールドに
|
Kagami |
カガミ
次の |
Kagami |
カガミ
……それにしても、見事なものだ。 まさか本当にやってのけるとはな。 |
Kagami |
シエル
ファントムフィールドの解放を、ですか? |
Ciel |
カガミ
ああ。思っていたよりも物騒な展開になっていたし、 緊急時の準備をしてずっと気を張っていたんだが。 |
Kagami |
カガミ
うまくいって、なによりだよ。色々なデータも取れた。 本当に、助かった。 |
Kagami |
カガミ
さーて、あとはこちら、エンジニア側でのお仕事だ。
次の |
Kagami |
シエル
レイさん。 お休みになる前に、メディカルチェックを受けてください。 |
Ciel |
シエル
私もメンテナンスを受けます。 そうしたら……。 |
Ciel |
シエル
……ええと。すみません、なにを言おうと思ったのか、 わからなくなってしまいました。 |
Ciel |
1: ミーティングでもしようか |
1: |
シエル
……名案です。そうしましょう。 |
Ciel |
シエル
お茶……? はい、ご希望であれば、ご用意します。 |
Ciel |