Summer-colored Sunshine! ~Blue Sea, Talking Island~

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プロローグ/

Summary
シエル、ラーベと共に訪れたのは、理想を現

実にする夢の楽園島。一行は島の導く声に 従って、理想のリゾートを探しに島を巡る。

カガミ

うーむ……見れば見るほど、興味をそそられる。

Kagami
カガミ

なにか目を引く要素が特別にあるわけではないのに…… 実に不思議な感覚だ。うーむ。

Kagami
シエル

カガミさん、レイさんを お連れしました。

Ciel
カガミ

お、来たか。悪いね、レイ。 シエルもご苦労さん。

Kagami
シエル

なにか考え込んでいたようですが、 新たな任務に関連する事項ですか?

Ciel
カガミ

ああ、うん。そうなんだ。 最初から順を追って説明しよう。

Kagami
カガミ

レイ。 シエルが言うように、新しい任務を頼みたいんだ。

Kagami
カガミ

実は、ちょっと特殊なファントムフィールドが 発見されてね。

Kagami
シエル

特殊なファントムフィールド……どのように特殊なのですか? 途方もなく大きい、などでしょうか。

Ciel
カガミ

いや、大きさはさほどでもない。 むしろ、規模としてはかなり小さいほうだな。

Kagami
カガミ

ただこのファントムフィールド…… おそらく構築されて間もないフィールドなんだ。

Kagami
カガミ

実際に確認するまで確定はできないが、 ほぼ間違いなく、出来立てのホヤホヤだ。

Kagami
シエル

そんなこともわかるのですか。

Ciel
TC

イエス。該当のファントムフィールドは、 フガク観測範囲内に突如出現しました。

TC
TB

境界全体を見通すのはさすがに無理だけど、 観測範囲はおかげさまでそこそこ広いはずだ。

TB
TB

僕らはそれを絶えず見続けている。 で、その範囲内についさっき、ぽっと現れたってわけ。

TB
TA

発見以前に境界内に存在した形跡は 未だ確認されていない。

TA
TA

ゆえに、構築直後――あるいは構築された後、 観測に足る大きさへ発展した直後と推測される。

TA
カガミ

今まさにできたてのファントムフィールドに遭遇するなんて、 そう滅多にあるもんじゃない。

Kagami
カガミ

宇宙のご近所に突然新惑星が現れた気分だ。 科学者の端くれとしては、好奇心がうずくってもんだ。

Kagami
カガミ

今後のファントムフィールドの調査においても、 非常に重要なデータが取れるはずだ。

Kagami
シエル

では、その新ファントムフィールドに浸入 (ダイブ) し、 調査を行うのが今回の任務ですね。

Ciel
カガミ

そういうことだ。 というわけでレイ、シエル、よろしく!

Kagami

1: 浸入 (ダイブ) の成功率に影響はないんですか?
2: 楽しい調査になりそうです

1:
2:

カガミ

うん、大丈夫じゃないかな。 できたてでも成功率には影響なさそう。たぶん。

Kagami
シエル

たぶん。 不確定を意味する語句です。

Ciel
カガミ

いいかい、シエル、レイ。 この世に100%はない。全ては、可能性だ……。

Kagami
カガミ

そうだな、新しい物事はいつでもうきうきわくわくだ。 楽しい調査になることを願ってるぞ。

Kagami
シエル

任務ですから、危険が伴います。 警戒してあたることを推奨します。

Ciel
カガミ

もちろん十分な警戒は前提だが、必要以上の警戒は 発見を遅らせることもある。大事なのはバランスだよ。

Kagami
カガミ

ま、安心しろ。なんとなく今回の調査は、 それほど警戒心マックスで挑まなくても大丈夫な気がする。

Kagami
シエル

なにか根拠があるのでしょうか?

Ciel
カガミ

ううん、別に。強いて言うなら、勘かな。

Kagami
シエル

はっ。もしやそれが『乙女の勘』というものですか? 先日資料で読みました。

Ciel
カガミ

なんの資料読んでるんだシエル。

Kagami
カガミ

どっちかっていうと、科学者としての勘だよ。 ……乙女ってガラじゃないでしょ、私は。

Kagami
シエル

そうでしょうか。 カガミさんは一般的には年若い女性だと思います。

Ciel
カガミ

……あー、ありがとうね、シエル。 素直なのはいいことだ。うん。

Kagami
カガミ

さて。では始めようじゃないの。 準備が整い次第、調査に向かってくれ。

Kagami
カガミ

充実のお土産話を待ってるぞ。

Kagami
シエル

浸入 (ダイブ) 完了。 機能、状況に問題なし。浸入成功です。

Ciel
シエル

……はっ!? レイさん!?

Ciel
シエル

大丈夫ですか!? 待っていてください、すぐに助けます!

Ciel
シエル

ご無事ですか? 砂浜に完全に埋まっていました。 現在の呼吸に問題はないでしょうか?

Ciel
シエル

そうですか、よかったです。

Ciel
シエル

あ。すぐに周囲の状況を確認します。 ええと、ここは……。

Ciel
ラーベ

海辺だな。

Raabe
シエル

はい。海辺です。

Ciel
ラーベ

それも、ただの海ではない……。 めちゃくちゃ綺麗に輝くブルーオーシャンだ!

Raabe
シエル

日差しが強く、気温もあたたかいです。 温暖な気候の海辺ですね。

Ciel
ラーベ

うんうん、いいねぇ〜。 白い砂浜に青い海、輝く太陽に心地よい風……。

Raabe
ラーベ

まさに理想のリゾート地、って感じだ。 こういうところでのんびりしたいなぁ〜。

Raabe
シエル

リゾート……。こういう感じをいうのですね。 確かに、自然豊かで開放的で……はい、心地いいです。

Ciel
シエル

レイさんもそう感じられますか? 精神波長が安定しています。

Ciel
ラーベ

しかもただのリゾート地じゃなくて、 高級リゾート地って雰囲気だからな。う〜ん、見事な光景。

Raabe
ラーベ

なにより喜ばしいのは、我々にもついに この時が来たということだなぁ……うん、うん。

Raabe
シエル

この時、とはなんですか?

Ciel
ラーベ

夏。海。 とくれば決まっているだろう。

Raabe
ラーベ

水着イベントだよ、水着イベント!

Raabe
ラーベ

やっぱりそうかぁ〜。 今回の調査、楽しくなる予感がしたんだよなあっ!

Raabe

1: 水着なんて持ってないですよ?
2: シエルに水着の用意が……?

1:
2:

ラーベ

そりゃ、まさか海辺のリゾートが待ってるなんて 思ってなかったから。用意してないよ。

Raabe
ラーベ

いや、それはほんとすまん。 まさか海辺のリゾートとは思ってなかったから、用意してない。

Raabe
ラーベ

今回のところは、 いつもの感じで雰囲気だけ満喫してほしい。

Raabe
シエル

すみません、ラーベさん。

Ciel
シエル

詳細が理解できていないのですが……水着イベントというのは、 調査において重要な事項なのですか?

Ciel
ラーベ

直接的な関係はないだろうなぁ。 海に潜る必要が出てくれば別だけど……。

Raabe
ラーベ

でも、水着だぞ!? 調査に必要かどうかじゃない。 水着であるということが重要なんだ!

Raabe
ラーベ

水着イベント。それが存在する事象ということが、 とにかく大事なんだ!!

Raabe
???

そのとお〜〜〜〜〜〜〜りっ!

???
ラーベ

わっ、びっくりした!

Raabe
ラーベ

……なんだ? 今の声は。

Raabe
???

よ〜〜〜うこそいらっしゃいました〜〜〜〜〜!

???
???

ここはあなたの理想を現実にする夢の楽園島。 幸せいっぱい夢いっぱい、極楽浄土のリゾートアイランド!

???
???

新しいお客様ですね? ようこそようこそ! 全力で歓迎いたしますよ〜〜〜〜〜!!

???
シエル

あ、は、はい。ありがとうございます。

Ciel
???

そ〜〜〜んな、お礼なんてとんでもな〜〜〜い。 こちらこそ、お越しくださってありがとうございますですよ〜。

???
???

それで、どのようなリゾートライフがお望みですか?

???
???

理想を叶えるのがこの島! あなただけの理想のバカンス、用意いたしますよ!

???
シエル

いえ、我々はバカンスをしにきたのではなく、 ここの調査をしにきたのです。ですので……。

Ciel
???

まぁまぁまぁ、細かいことは気にしないで楽しみましょうよ〜。 ねっ? 息抜きも必要ですって!

???
ラーベ

声は聞こえているが、誰が喋っているんだ? ……見える範囲には誰もいない……よな?

Raabe
???

いやいやいや、見えてますよ! いるんですよ! ず〜〜〜っと、みなさんの前に! 最初から!

???
???

申し遅れました、私…… 島で〜〜〜〜〜す!!

???
???

みなさんが立っている白い砂浜! 優雅な木々を育む豊かな土壌! そう、この島こそ私!!

???
ラーベ

はぁぁぁ!? 島!?

Raabe

はーい、島です! どうもー。

Island
シエル

島が……意思を持っているということになるのでしょうか。

Ciel
ラーベ

そういう感じ?

Raabe

あ、そういう感じです〜。

Island
ラーベ

なんてトンチキな世界観なんだ……。 誰だ、こんなファントムフィールドを構築したのは……。

Raabe
シエル

ここがファントムフィールドである以上、 観測者が存在するはずです。

Ciel
シエル

そしてその観測者の潜在的な願望を元に、 世界が構築されているわけですから……。

Ciel
シエル

誰かが喋る島を望んでいるということに……なるのでしょうか。 これは、不思議な事態です。

Ciel
ラーベ

ほんとにねぇ……。

Raabe
ラーベ

しかも、そのうえ理想のリゾートを叶えるんだっけ? 本当にどんな理想でも叶うのか?

Raabe

はい〜、もちろん! アクティビティにグルメ、 リラクゼーションも思いのままです!

Island
ラーベ

よっぽど心が疲れてる観測者なのか、 よっぽどお気楽な観測者なのか……。

Raabe
ラーベ

どちらにせよ、のんびりした調査になりそうだな。

Raabe
ラーベ

よし、せっかくだ。 慰安も兼ねてリゾートバカンスを体験していこうじゃないか。

Raabe
シエル

よろしいのですか?

Ciel
ラーベ

もちろん調査はする。

Raabe
ラーベ

でも調査対象がリゾート島なんだから、 体験するのが一番密接な調査になるだろ。

Raabe
ラーベ

郷に入っては郷に従えってやつだよ。

Raabe
シエル

なるほど。了解しました。 シエル=サルファー、全力でリゾートバカンスにあたります。

Ciel

お、いいですね〜〜〜! ではでは、どのようなバカンスになさいますか?

Island

理想のリゾート、なんでもおっしゃってください!

Island
シエル

……………………。

Ciel
シエル

……困りました。 理想と言われても、私にはなにも思いつきません。

Ciel
シエル

レイさん、なにかご希望はありますか?

Ciel

1: 海にグルメに昼寝に……迷うなぁ
2: う〜〜〜ん、急に言われても……

1:
2:

……おやおやおや? お二人とも、即答できない感じですか?

Island

さてはどっぷり仕事漬けで、息抜きの方法も忘れてしまった 悲しきワーカーホリックですか? おいたわしい……。

Island
ラーベ

うちをブラック企業みたいに言うんじゃない。

Raabe
ラーベ

なんだ、ふたりとも。なにかあるだろ。 せっかくのバカンスだぞー。

Raabe

まぁまぁ。思い浮かばないということでしたら、まずは 他のお客様のリゾートライフを参考にされてはどうでしょう。

Island
シエル

他にもお客さんがいるのですか?

Ciel

もちろんいらっしゃいますよ〜。皆さま、島の各地で 理想のリゾートを満喫していらっしゃるはずです!

Island
シエル

では、その方々についても調査が必要ですね。

Ciel
ラーベ

理想のリゾートについても考えられるし、一石二鳥じゃないか。 よし、行ってみよう。

Raabe

もし途中でなにか『これだ!!!!』ってバカンスが 思いつきましたら、いつでもお声がけくださいね。

Island

私、島ですのでね。どこでも応対可能です。

Island
シエル

わかりました。その際はよろしくお願いします。

Ciel
シエル

では……行きましょう、レイさん。

Ciel

第1節 友達と過ごす最高の時間/

Summary
島を散策していると、浜辺にいたマイたちか

らバーべキューの誘いを受けた。一行は食材 調達で、砂浜の海の幸?たちを捕獲する。

ラーベ

波の音っていうのは不思議だなぁ……。 同じような音が繰り返されるだけなのに、まったく飽きない。

Raabe
ラーベ

それどころか、心が洗われるようだ。 あ〜、私も海で泳ぎたいなぁ!

Raabe
シエル

ラーベさんが海に入ると、錆びてしまいませんか?

Ciel
ラーベ

その心配は無用だ。なにせ最先端の独立思考型ユニット。 海の塩分くらいでダメージは受けない。

Raabe
ラーベ

そうだ。これだけ綺麗な海なんだし、 それこそ誰か海水浴とかしてるんじゃないのか?

Raabe
ラーベ

海辺なんて格好のレジャースポットだろう。

Raabe
???

わっ、わっ、シオリ!? いきなり何するの!?

???
シエル

あ。これが、噂をすれば、というやつですね。 皆さん、海辺に集まっているようです。

Ciel
ラーベ

おぉ! 見ろシエル! 水着だぞ水着! 待望の水着イベントがいよいよ本格的にスタートだっ!!

Raabe
シオリ

捕まえました、マイ様。 もう、動いてはいけませんよ?

Shiori
カジュン

海に入る前は、きちんと準備体操ですの。 それに日焼け止めを塗らないと大変なことになりますの〜。

Kajun
カジュン

せっかく素敵な水着を用意したんですもの。 水着焼けなんて、このカジュンが許しませんの!

Kajun
マイ

わ、わかったってば。 大人しくするから放して、シオリ。

Mai
マイ

どっちにしても、これじゃ日焼け止め塗れないよ。

Mai
シオリ

そう言われては……仕方ありませんね。 名残惜しいですけれど。

Shiori
マイ

心配してくれてるのはわかるよ、ありがとう。 でも急に抱きつかれたらびっくりするよ……。

Mai
シオリ

そうでもしないと、 マイ様は止まってくれないでしょう?

Shiori
カジュン

シオリの言う通りですの〜。

Kajun
マイ

うっ……そうだったかも……。 なんだか気分が盛り上がっちゃって……。

Mai
シオリ

わかってくださればいいんです。

Shiori
シオリ

それじゃあ、カジュン。サンブロックをくださいな。 マイ様のお肌を紫外線から守るのは、シオリの役目です。

Shiori
カジュン

いえ、ここはワタクシが。

Kajun
シオリ

いやいや、シオリが。

Shiori
カジュン

ワタクシが。

Kajun
シオリ

シオリが。

Shiori
マイ

ちょっとちょっと、ケンカはしないでよ。 せっかくのリゾートなんだから!

Mai
ラーベ

おーおー、楽しそうじゃないか。

Raabe
シエル

ラーベさん、レイさん。 あちらにもひとがいます。

Ciel
マコト

んん〜なかなか炭に火がつかないな〜……。

Makoto
ツバキ

風向きの問題かもしれないわ。 こっち側からつけてみて。

Tsubaki
ノエル

ふふっ、みんなでバーベキューなんて楽しみ〜。 お料理の準備も進めちゃうね。

Noel
チャチャカカ

ごはんまだニャス? チャチャ、お腹鬼ヘリなんニャスけど〜。

Chachakaka
マイ

あっ! こんにちは。 君たちもこの島のお客さん?

Mai
マイ

私はマイ=ナツメ。よろしくね。

Mai
シエル

こんにちは。シエル=サルファーです。 こちらはラーベさんと、レイさんです。

Ciel
ラーベ

日焼け止めは無事、塗ってもらったのか?

Raabe
マイ

あ、あはは、見られてたんだ、ちょっと恥ずかしいな。

Mai
マイ

シオリとカジュンが、どっちが塗るかでまだ 揉めてるから……こっそり持ってきちゃった。

Mai
マイ

決着がつくの待ってたら、結局日焼けしちゃいそうだしね。

Mai
ラーベ

人気者はつらいな。

Raabe
マイ

ははは……。

Mai
マイ

でも、あれはあれでふたりとも楽しんでるんじゃないかな? なんて言ったって、ここはリゾートだしね!

Mai
マイ

そうだ。君たちもバカンスを楽しんでるんだよね。 私たちはこれから、友達みんなでバーベキューをするんだ。

Mai
マイ

よかったら一緒にどう? バーベキューは大勢のほうが楽しいよ!

Mai
マコト

おっ、いいね〜、名案! あたしも賛成!

Makoto
マコト

その場でメンバーが増えるのも、 リゾートでのバーベキューっぽくていいじゃん!

Makoto
ノエル

うん、私も大賛成! 大勢いれば、それだけ料理しがいもあるもん。

Noel
ツバキ

私も、構わないわ。楽しそうだし。 ただ……ノエルの手料理にだけ、気を付けてもらえれば……。

Tsubaki
ノエル

ふふっ、大丈夫。主役はバーベキューだって、 ちゃんとわかってるよ。作り過ぎないように気を付けるね。

Noel
ツバキ

え、ええ、そうね……ええ、お願いするわ……。

Tsubaki
シオリ

マイ様が望まれるのでしたら、 シオリに反対する理由はありませんわ!

Shiori
シオリ

むしろマイ様のお誘いを断るなんて真似、しないですよね?

Shiori
カジュン

んもう、シオリったら。それじゃ脅してるみたいですの。 もっと普通に誘えばいいですのに。

Kajun
チャチャカカ

い〜んじゃないニャス?

Chachakaka
チャチャカカ

でも取り分が減るのはダルいニャスから、 食材は多めに確保したほうがよさそうニャスね〜。

Chachakaka
ラーベ

大勢の友人たちと海辺でバーベキューか。 青春の香り漂う、美しいバカンス風景じゃないか。

Raabe
マイ

そうでしょ? ね、一緒にやろう!

Mai

1: ぜひ参加したい!
2: 未経験者ですが大丈夫?

1:
2:

マコト

そうこなくっちゃ! 参加したいって気持ちがあれば、もう仲間も同然だよ。

Makoto
マコト

眩しい太陽の下で、みんなでお腹いっぱい食べよう!

Makoto
ツバキ

そんなの気にしないで。 私たちだって経験豊富ってわけじゃないもの。

Tsubaki
ツバキ

それにこの島には、バーベキューのための設備が しっかり整っているから、問題ないわ。

Tsubaki
シエル

では、お世話になります。よろしくお願いします。

Ciel
ノエル

こちらこそ、よろしくね! それじゃあ早速、準備すませちゃおう。

Noel
チャチャカカ

めんどっちぃけど……今回だけは手伝ってやるニャス。 バーベキュー♪ バーベキュー♪

Chachakaka
ツバキ

ノエルと私、カジュンは調理の担当。 マイとシオリとマコトは、食材調達班でいいのよね。

Tsubaki
ノエル

うん! バーベキューに色どりを添えるような 副菜を作るから、楽しみにしててね。

Noel
ツバキ

えっと……ノエルは、野菜を切る係だったはずよ。 だからその……調理そのものには……。

Tsubaki
マコト

そ、そそそ、そうそう! バーベキューは野菜も大事だからね!

Makoto
マコト

あ〜、ノエルが切ってくれる野菜、楽しみだな〜!

Makoto
ノエル

野菜くらい、すぐに切れると思うけど…… そうだね、まずは自分の分担をきっちりと、だね。

Noel
カジュン

え、ええ。お願いするですの。 これはノエルにしかお任せできないことですの。

Kajun
ノエル

ふふ、もう〜。そんなに言われたら、 なんだか恥ずかしいよ〜。

Noel
マコト

……ノエルが味付けとかに手を出さないように、 よろしくね、ツバキ、カジュン。

Makoto
ツバキ

ええ。なんとか……やってみるわ。

Tsubaki
カジュン

野菜を切るだけなら、それほど大きな事故には ならないはずですの……。

Kajun
マイ

ノエル、料理、楽しみにしてるからね! 期待してるよ!

Mai
ノエル

うん! 任せて! 早く下ごしらえを終わらせて、ツバキを手伝うね!

Noel
マコト

……うん。そうなったら、マイに全部食べてもらおう。

Makoto
カジュン

それがいいですの……。

Kajun
カジュン

さあさあ、それでは調理担当のワタクシたちは キッチンコーナーへ参りましょう〜。

Kajun
マコト

あいよ〜! こっちも手分けして食材を探してこないとね。 あたしは南国フルーツを集めてくるよ!

Makoto
マイ

私はシオリと海岸で海の幸を探してくるね。

Mai
シオリ

はい、マイ様! シオリにお任せください、山盛り手に入れてみせます!

Shiori
シオリ

チャチャも行くわよ。ゴロゴロしているだけでは、 美味しいバーベキューは手に入らないんだから。

Shiori
チャチャカカ

え〜、ダルダル〜〜〜……。

Chachakaka
チャチャカカ

チャチャそのへんでお昼寝してるから、 テキトーにとってきてほしいニャス。

Chachakaka
シオリ

働かざる者食うべからずです!

Shiori
マイ

よかったら、レイたちもどう? 一緒に、海の幸探し!

Mai
シエル

よろしいのですか?

Ciel
シオリ

マイ様との時間を邪魔されるのは不服ですけれど、 あなた方のためにシオリが汗水垂らして働くのも解せませんもの。

Shiori
シオリ

ご自分たちの取り分くらいは、きっちり確保してくださいまし。

Shiori
マイ

あはは、そうだね。取り分とかは気にしなくていいけど、 手伝ってくれたらうれしいよ。

Mai
シエル

わかりました。シエル=サルファー、海の幸を確保します。

Ciel
ラーベ

そうは言うが、どうやって確保するんだ? 釣りでもするのか?

Raabe
チャチャカカ

んなコトしないニャス。そのへんにおあつらえ向きのやつらが いるニャスから、はっ倒して食材にしようって魂胆ニャス。

Chachakaka
シエル

おあつらえ向きのやつら……?

Ciel
チャチャカカ

あいつらニャス。

Chachakaka
ラーベ

あれ魔物じゃない!? ねえ!? 食材なの!?

Raabe
シオリ

どこからどう見てもタコとカニじゃないですか。 立派な海の幸です。

Shiori
シオリ

機械のくせに好き嫌いですの?

Shiori
ラーベ

そういう問題じゃないだろ!

Raabe
ラーベ

お、おい島!? あれ食べて大丈夫なのか!?

Raabe

はいはい? あ〜、タコやカニ、うちの島たくさんいるんですよぉ。

Island

もちろん許可なしに獲り放題していただいて大丈夫ですよ! 新鮮でプリップリ! 獲れたてをお好みの調理法でどうぞ!

Island
シエル

問題ないようです。

Ciel
ラーベ

リゾートのくせに突然ワイルドだな……。

Raabe
マイ

さあ、始めるよ! 海の幸、みんなにたーくさん持って帰ろうね!

Mai

ーーー/

Summary
バーベキューを皆で楽しみ、マイはこの時間

が理想だと語るが、一緒に過ごしたかった筈 の誰かのことを思い出せないままでいた。

マイ

うん、大漁!

Mai
シエル

はい。たくさん確保できました。

Ciel
シオリ

さすがマイ様! それに……レイたちも なかなかやりますわね。見直しました。

Shiori
チャチャカカ

うへ〜、ネイル汚れたニャス……。 あとで磨いとこ。

Chachakaka
ラーベ

これだけあれば、みんな好きなだけ 海の幸を堪能できそうだ。

Raabe
マイ

うん! さあ、カジュンたちのところに戻ろう。 きっと料理も南国フルーツも、準備万端だよ!

Mai
ノエル

……マイたち、遅いなぁ。大丈夫かな。 お料理冷めちゃうし、先に食べ始めてる?

Noel
ツバキ

ノ、ノエル、もうちょっと待ってみましょう……。 もう少ししたらきっと帰ってくるから。ね?

Tsubaki
マコト

そそ、そうそう。焦らない焦らない……。

Makoto
カジュン

先に始めていたら、戻ってきたときマイたちが 悲しむかもしれないですの。

Kajun
ノエル

それはそうだけど……。 ううん、そうだよね。もうちょっと待ってみよう。

Noel
ノエル

それでも戻ってこなかったら、みんなで探しに……。

Noel
マイ

みんなー、ただいまー!

Mai
マイ

遅くなっちゃってごめんね。 待たせちゃったよね。

Mai
マコト

ああああぁ〜っ、マイ〜!! 待ってたよぉ! よく戻ってきてくれたっ!!

Makoto
マイ

えぇっ? どうしたの? なにかあった?

Mai
ツバキ

その。ノエルがね……島の食材を見ていたら、 新しい料理を思いついたって言い出して……。

Tsubaki
ツバキ

さっき、新作を完成させたところなの。

Tsubaki
ラーベ

……新作というのは、あれのことか?

Raabe
シエル

……すみません。あれは料理ですか?

Ciel
シエル

私の記憶している言語を当てはめるならば、 名状しがたい冒涜的な物体、という表現が適切なのですが。

Ciel
ツバキ

何故かわからないけど、ノエルが料理をすると ああいう、特別なものができあがってしまうの……。

Tsubaki
マコト

味も見た目通り、言葉で言い表せないほど強烈な 感じでね……あ、あはは。

Makoto
チャチャカカ

いくらお腹が空いていても、 毒は食べる気になれないニャス。

Chachakaka
ラーベ

毒って断言したぞ。

Raabe
マコト

どうにかして、マイが帰ってくるまで待とうって 説得してたんだよぉ〜。

Makoto
ラーベ

マイひとりで解決できる問題なのか?

Raabe
マイ

わぁっ! ノエル、すごくおいしそうだよ! 新作なんだって?

Mai
ノエル

うん! 腕によりをかけて作ったんだ! 食べてみて食べてみて!

Noel
ラーベ

……食べるのか。あれを。

Raabe
カジュン

マイは特別な味覚の持ち主ですの……。

Kajun
カジュン

そのせいでむしろ……ノエルの料理でなければ、 純粋に美味しいと味わえないんですの。

Kajun
ラーベ

そんな……ことが……。

Raabe
ノエル

よーし、無事にみんな揃ったし、 全員分取り分けるね〜。

Noel
ツバキ

ノエルっ! せっかくみんなが海の幸を獲ってきて くれたんだから、こっちを優先しましょう!

Tsubaki
カジュン

海の幸は新鮮さが命ですの! すぐに焼き始めないと!

Kajun
ノエル

え〜? でも私の料理も出来立てが一番おいしいよ?

Noel
マイ

みんなが食べないなら、私が食べちゃおうかな。 いただきま〜す。

Mai
マイ

……はむっ。もぐ、もぐ………むぐ、ごくん。 う〜ん、すごくおいしいよ、ノエル!

Mai
ノエル

よかったぁ〜! 自信作だったんだ。たくさん食べてね!

Noel
マイ

うん、ありがとう!

Mai
マイ

はぁ〜。海辺で、みんなで一緒に食べると、 また格別だよ〜。

Mai
チャチャカカ

チャチャは魚とかタコとかカニがいいニャス。 どんどん焼くニャース!

Chachakaka
シオリ

えぇ。どんどん焼いてしまいましょう。

Shiori
マコト

賛成〜っ! ……ノエルの料理は、マイに任せた。

Makoto
シエル

適材適所、ですね。

Ciel
マコト

悪気がないのはわかってるけど、命は惜しいからね……。

Makoto
ツバキ

……うん、焼けてきた。 いい香りね。お腹が空いてきたわ。

Tsubaki
チャチャカカ

あ〜〜〜ん。 ん〜っ、ヤッバ。ニャスウマなんですけど〜?

Chachakaka
チャチャカカ

チョ〜肉厚カニステーキニャス!

Chachakaka
シエル

……もぐ。……もぐ。

Ciel

1: おいしいね!
2: どう、カニ好き?

1:
2:

シエル

……はい。じゅわっとしていて、ぷりっとしています。 ……おいしいです。もっと食べたいと感じます。

Ciel
カジュン

ふふ、どんどん焼けていきますから、 どんどん召し上がってくださいですの。

Kajun
シエル

……おそらく、好きです。もっと食べたいと思います。 こちらのタコも、貝も……好きです。

Ciel
ツバキ

それはよかったわ。たくさんあるから、好きなだけ食べて。

Tsubaki
マコト

あたしが獲ってきたフルーツも食べてね! 甘くて爽やか! イイ具合に熟れてるよ〜!

Makoto
ツバキ

ノエルもちゃんと食べてね。 お料理の支度、お疲れ様。

Tsubaki
ノエル

うん、ありがとう! 結局マイが全部食べちゃったなぁ……。

Noel
ノエル

みんなに行き渡るように、 もっとたくさん作ればよかった。

Noel
カジュン

そ、それはまたの機会に……ですの……。

Kajun
シオリ

それはそれで、マイ様がもっと喜びそうですけれど…… ふふふ。

Shiori
チャチャカカ

このカニがおいしく味わえなくて、ノエルの料理が おいしいなんて、不幸ニャスね〜……あ〜んっ!

Chachakaka
マイ

……みんな、すごく楽しそうだなぁ。

Mai
ラーベ

そう言うお前も、楽しそうじゃないか。

Raabe
マイ

うん、とっても!

Mai
シエル

みんなで、現地の食材をおいしくいただく…… これがリゾートでの、理想的な過ごし方なのですね……。

Ciel
シエル

勉強になります。

Ciel
マイ

勉強?

Mai
シエル

はい。私たちは理想のリゾートとはどんなものなのか、 考えている最中なのです。

Ciel
シエル

マイさんたちの楽しそうな様子は、大変参考になります。

Ciel
マイ

そっかぁ〜。理想のリゾート……うん、私にとっては、 この光景はまさに理想的だな。

Mai
マイ

やっぱり、 友達と楽しく過ごしたいっていうのが一番だよね。

Mai
マイ

私にとっては、友達との時間が一番大事なんだ。

Mai
マイ

こんな素敵なところで、みんなとずーっと楽しく 過ごしていられたら、幸せだよね。

Mai
シエル

そう……なのですね。友達と、ずっと楽しく……。

Ciel
シエル

確かに、マイさんたちはとても幸せそうに見えますし、 ご一緒できたのはとても……楽しい経験でした。

Ciel
シエル

理想的なリゾートだと思います。

Ciel
マイ

よかった! 誘った甲斐があったよ。

Mai
マイ

ああ、でも……ふふ、こういう場所で、好きな人とふたりで 過ごすっていうのも……ちょっと憧れちゃう、かな。

Mai
ラーベ

ほほ〜ぅ。なんだ、ラブか? 具体的に誰か相手でもいるのか?

Raabe
マイ

えっ、あっ、い、いやっ、そのっ、 そういう、わけじゃ……私はただ……。

Mai
マイ

……あれ?

Mai
シエル

どうされました?

Ciel
マイ

……変だな。一緒に過ごすならこの人がいい……って、 思った気がしたんだけど……。

Mai
マイ

急に誰の事だか、 思い浮かべられなくなっちゃった。

Mai
ラーベ

なんだ、それ? ド忘れか?

Raabe
マイ

いや、うーん……かなぁ? あれ?

Mai
ラーベ

……ふぅむ。ちょっと妙だな。

Raabe
マイ

うん……変なの。

Mai
マイ

まぁ、いっか。大したことじゃないだろうし! 大事なことならきっとそのうち思い出すよ!

Mai
カジュン

マイ〜。次のシーフードが焼けたですの〜。 レイさんたちも、戻っていらしてくださいですの!

Kajun
マコト

早くこないと、あたしが全部食べちゃうぞ〜!

Makoto
マイ

あ、ごめんごめん! いま行くよ!

Mai
マイ

レイたちも行こう。 せっかくなんだから、いっぱい食べて、いっぱい話そう!

Mai
シエル

はい。マイさんの理想のリゾートを堪能します。

Ciel
チャチャカカ

……くあ〜、お腹いっぱいになったら、眠くなってきたニャス。 チャチャいち抜け〜。限界なんでお昼寝タイムニャス。

Chachakaka
シオリ

あ、こら! みんなで片付けしようってときに! ずるいですよ!

Shiori
マコト

うぅ〜、あたしも眠い……。 片付けかぁ、めんどくさいなぁ〜。

Makoto
マイ

まあまあ、しっかりして。 片付けもみんなでやれば楽しいよ!

Mai
ノエル

うんうん。片付けを協力してやるのも、 バーベキューの一環だよ。

Noel
マコト

それもそっか。よし、遊びはきっちり最後まで! やるぞー!

Makoto
マイ

私、このゴミ捨ててきちゃうね。

Mai
シエル

お手伝いします。

Ciel
マイ

ありがとう。よし、じゃあ行こう!

Mai
ラーベ

ここがゴミ捨て場か。理想のリゾートといっても、 こういうところはリアリティ出してくるんだな。

Raabe
マイ

あはは、そうだね。でもこういうところがあるから、 みんなで片付けもやるっていう楽しみが味わえてるよ。

Mai
ラーベ

なるほど。ゴミ捨ても理想の一環ってことか。

Raabe
シエル

皆さん、待ってください。ゴミ捨て場に……魔物です。

Ciel
ラーべ

ゴミを漁ってるみたいだな。 生態系が存在するがゆえの弊害ってところか……世知辛いなぁ。

Raabe
マイ

こんな綺麗なリゾートに、こういうのは似合わないね。

Mai
マイ

食後の運動にちょうどよさそうだし、 私たちで倒しちゃおう!

Mai
シエル

わかりました。戦闘態勢に移行します。

Ciel
マイ

こらぁ〜〜〜! ゴミを漁るのはやめなさい!!

Mai

ーーー/

Summary
後始末のために、ゴミ捨て場の魔物を排除。

島巡りを再開すると、皆のリゾートの過ごし 方が気になる、とマイも同行を申し出た。

マイ

ふうっ……これでよし。魔物は全部追い払ったね。 やっぱりリゾート地はこうでなくっちゃ!

Mai
マイ

レイたち、片付けも手伝ってくれてありがとう。 君たちとはもっともっと仲良くなりたいよ。

Mai

1: ご飯、ごちそうさまでした
2: みんなと過ごせて楽しかった

1:
2:

マイ

こちらこそ。とっても楽しかった!

Mai
マイ

君たちは、これからどうするの? もしすることがないなら、この後も一緒に遊ぶ?

Mai
シエル

いえ、引き続き島のあちこちを見て回るつもりです。

Ciel
シエル

他の方たちがどんなリゾートを過ごしているのか 見に行こうと思っています。

Ciel
ラーベ

まだ我々の理想のリゾートとやらの、 正解は見つけられていないしな。

Raabe
マイ

そっか。 ……ねぇ、それって、私も一緒に行っちゃダメかな?

Mai
シエル

それは……どうですか、ラーベさん。

Ciel
ラーベ

構わないぞ。

Raabe
ラーベ

ただ、マイは友達と過ごすのが理想なんじゃないのか? なんでまた、私たちに同行を?

Raabe
マイ

私も、他の人たちがどんなふうにリゾートを 過ごしているのか気になるんだ。

Mai
マイ

こういう場所で過ごす経験はあまりないから。 今回はみんなでバーベキューをしたけど……。

Mai
マイ

この先、みんなともっと色々なことをしたい。 だからどんな過ごし方があるのか、参考にしたいんだ。

Mai
ラーベ

なるほど。志はシエルたちと変わらないな!

Raabe
シエル

はい。では、一緒に行きましょう。

Ciel
マイ

うん! よろしくね! みんなにも事情を話して、すぐに合流するよ!

Mai

第2節 夏を賭けた魂のヒット/

Summary
人だかりを見つけ近づくと、ビーチバレー大

会が始まるところだった。優勝を狙う久音に 目を付けられ、練習相手を務めることに。

マイ

すぅ、はぁ……。爽やかな風、かすかに香る潮の匂い……。 ただ歩いているだけなのに、こんなに気持ちがいいなんて。

Mai
マイ

あぁ〜、海って最高だなぁ。

Mai
ラーベ

そういえば、マイはどういう経緯で島にやってきたんだ? 元から、ここに住んでいた……わけはないし。

Raabe
マイ

え? うん、私はね……あれ? んん?

Mai
マイ

そういえば、どうして私はここにいるんだっけ……?

Mai
マイ

ここにずっと住んでた……? いや、そんな記憶ないよ……うーん?

Mai
マイ

気が付いたら、いつの間にかこの島にいたんだよね。

Mai
マイ

まぁ、いいや! 考えても仕方ないし。 ここでの暮らしが楽しいってだけで十分だよ。

Mai
ラーベ

ふーむ……成程、今回はそういう感じか。

Raabe
ラーベ

おっ? あそこから浜辺へ降りられそうだぞ。

Raabe
マイ

なんだろう、なにかやってるみたいだ。 人がいっぱいいて、楽しそう。

Mai
マイ

レイ、行ってみよう!

Mai
ラーベ

イベントと言うだけあって、ずいぶんな人出だな。

Raabe
ラーベ

……ん? おい、シエル。 あそこ……あの、遠くにいるのはひょっとして……。

Raabe
シエル

間違いありません、ナインさんですね。

Ciel
ラーベ

だが、イシャナの十聖である彼女が何故ここへ? いや、よく見れば他にもいるな……。

Raabe
ナイン

……そうね、理論は完璧だわ。

Nine
ツヴァイ

あとは魔術を実際に発動させて 制御に慣れていくしかないな。

Zwei
久音

はいっ!

Kuon
ラーベ

イシャナの魔術師が揃い踏みじゃないか。 なにか新しい魔術の研究中……なのか?

Raabe
ナイン

さぁ久音……あなたの研究の成果を 私たちに見せなさい!

Nine
ツヴァイ

全てをぶつけるんだ。

Zwei
ツヴァイ

……この、ボールに。

Zwei
ツヴァイ

お前の、魂を!

Zwei
久音

はいっ! はぁぁ……っ!

Kuon
久音

ビーチバレー魔術・奥義! バーニング……サンセットスパイク!

Kuon
久音

っ……まだまだ! もう一本、トスをください!

Kuon
ツヴァイ

いいぞ。……ほらっ。

Zwei
久音

はぁぁっ!

Kuon
ラーベ

いやいや、待て待て待て。 イシャナの魔術師が揃って、なにをやってるんだ!?

Raabe
ナイン

なにって、見ての通り新しい魔術の研究だけど。

Nine
ラーベ

魔術!? 今のが!?

Raabe
久音

ええ。私が新たに考案し、習得した新魔術…… ビーチバレー魔術の特訓中よ。邪魔しないでもらえる?

Kuon
マイ

あ、ひょっとして、ここで行われるイベントって…… ビーチバレーの大会?

Mai
久音

ええ、その通りよ。 だからこうして、優勝目指して特訓中というわけよ。

Kuon
久音

私は、この新魔術を駆使して絶対に優勝してみせるわ。 そのためにわざわざ十聖にコーチを依頼したんだから。

Kuon
久音

新しい魔術の有用性を、利便性を、 スポーツ性を、この身をもって証明するのよ!

Kuon
ラーベ

えーと……それがお前の理想のリゾートなのか? そもそもリゾートって休んだり遊んだりする場所じゃない?

Raabe
ラーベ

それとも、ここがそういう場所だって知らなかったりする?

Raabe
久音

いえ、この島の説明なら受けたわ。

Kuon
久音

何故この島が、訪れる人の願いを叶えるのかは知らないけど……。

Kuon
久音

でも、せっかくの機会だもの。たっぷり使える時間と場所、 そして機会があるなら、逃す手はないわ。

Kuon
久音

新たな魔術の開発に没頭できて、成果を試すチャンスも あるなんて、天国よ! この世の楽園だわ!

Kuon
ラーベ

へ、へぇ〜……。

Raabe
久音

コーチをしてくれるナインとツヴァイ様のためにも 絶対に負けられないわ!

Kuon
マイ

いいなぁ、熱血指導。 特訓中もいかにも本気のスポ根って感じだったよね。

Mai
久音

当然でしょ。

Kuon
久音

イシャナの頂点に立つ十聖から直接手ほどきを受けるなんて 本来はあり得ないことなのよ。当然、本気にもなるわ。

Kuon
久音

しかもその十聖が2人もチームに入ってくれるなんて…… ああ、本当に夢のよう。

Kuon
マイ

特訓かぁ〜いいなぁ。 士官学校時代を思い出すなぁ……。

Mai
マイ

青春まっしぐらって感じで、私はそのノリ、嫌いじゃないよ。

Mai
ラーベ

なるほど。スポ根、青春路線の理想なわけだ。

Raabe
ラーベ

しかし……ビーチバレーに魔術を使うのは ルール的に大丈夫なのか?

Raabe
ラーベ

あのボール、燃えてるし……。

Raabe
久音

さてと……そろそろいいかしら? 大会前に魔術を仕上げたいの。

Kuon
ナイン

あぁ、それなんだけど…… ねぇ、あなたたち、暇? 見る限り暇よね。絶対に。

Nine
ラーベ

はあ?

Raabe
ナイン

良かった。だったら少しだけ久音の練習相手に なってくれないかしら?

Nine
ナイン

ちょうどいい相手がいなくて困ってたのよね。

Nine
ラーベ

いや、誰も暇だなんて言ってな……。

Raabe
マイ

私たちが!? いいの!?

Mai
ツヴァイ

それは名案だ。大会出場者に手の内を見せるのは 得策じゃないが、お前たちなら問題なさそうだしな。

Zwei
ラーベ

えっ、ちょっ……レイとシエルは 休暇の最中で……。

Raabe
マイ

私は付き合うよ! 楽しそうだし!

Mai
久音

あら、そう? だったら是非お願いするわ。

Kuon
久音

でもやっぱり、そっちのふたりも協力してもらえるかしら。 だって、その方がずっと燃えるじゃない?

Kuon
シエル

はい、私は構いません。 スポ根とやら……とても気になります。

Ciel

1: お手柔らかにお願いね……
2: 絶対に負けない!

1:
2:

ナイン

久音、絶対に手は抜くんじゃないわよ。 殺すつもりでスパイクを撃ちなさい。

Nine
マイ

その意気だよ、レイ! なんだか私も燃えてきた!

Mai
ツヴァイ

ふふふ……やはりスポ根の成長にはライバルが不可欠。 久音、この壁を越えて……いや、破壊してこい!

Zwei
久音

はいっ、ツヴァイ様!

Kuon
久音

さあ、いくわよ……! ビーチバレー魔術の神髄を見せてやるわ!

Kuon

ーーー/

Summary
練習相手としての適性と能力を発揮した結

果、久音に気に入られた。大会の開始時間ま で、引き続き特訓に付き合うことになる。

久音

はぁっ、はぁっ……すごい……。 すごいわ、レイ!

Kuon
久音

私の火の玉スパイクから逃げずに、 真っ向からレシーブするなんて……。

Kuon
ラーベ

見たか、これがレイの観測だ!

Raabe
ナイン

観測の力を利用してスパイクを見極めるですって……? これは思いの外、極上の特訓相手を捕まえたようね。

Nine
久音

レイ……お願い。 このまま大会開始まで特訓に付き合ってくれないかしら?

Kuon
久音

あなたと高め合うことができたら、 私はこのビーチバレー魔術を必ず完成させられる!

Kuon
ラーベ

はぁ、やれやれ……こうなる予感はしていたが。 レイ、怪我には気を付けるんだぞ。

Raabe

ーーー/

Summary
ついにビーチバレー魔術を完成させた久音。

彼女から本番用のペアとしても指名を受け、 直接戦闘アリの危険なバレー大会に臨む。

久音

バーニング……サンセット! スパイク!! はぁぁああっ!

Kuon
ナイン

この威力……ついに完成させたわね、久音。

Nine
久音

はい! ありがとうございます!

Kuon
ツヴァイ

もうそろそろ大会も始まる。少し休憩にしようか。 さあ、冷たい飲み物を用意しておいたぞ。

Zwei
シエル

これはなんでしょうか? 牛乳……とは少し違うようです。

Ciel
久音

ラッシーよ。知らないの? いい汗をかいた後のラッシーは格別なんだから。

Kuon
久音

レイも飲んでみたら? きっと生き返るわよ。

Kuon
ツヴァイ

ふふっ、さすがは我が弟子。 魔術だけではなく、カレーの道の素質もありそうだ。

Zwei
ナイン

ええ。魔術の質、量ともに、若手としては申し分ないわ。 まあ、私ほどではないけど。

Nine
マイ

久音……コーチたちが褒めてくれてるよ。 よかったね!

Mai
久音

……嬉しいわね。

Kuon
久音

でも、慢心せずに、もっともっと力をつけていかないと。

Kuon
久音

そして、いつか十聖になって、イシャナと共に魔術を 極めていきたい……そのためには人生だって捧げるつもりよ。

Kuon
マイ

すごい向上心だね……。私も応援してるよ! 絶対に夢を叶えてね!

Mai
ツヴァイ

うん、その心意気やよし。 でも、ひとつ先輩からアドバイスをしてやろう。

Zwei
ツヴァイ

世界には様々な道がある。道は魔術だけじゃないんだ。 その可能性は狭めちゃいけないよ。

Zwei
ナイン

ええ、それと魔術は万能ではなく、危険を孕むものでもある。 ゆめゆめ、忘れないことね。

Nine
久音

……わかりました。ありがとうございます。

Kuon
ツヴァイ

……さて、そろそろ時間だ。

Zwei
ラーベ

お、ついにビーチバレー大会が始まるのか

Raabe
久音

準備運動は完璧よ。絶対優勝するわ。

Kuon
マイ

ところで、久音は誰とペアを組むの? ビーチバレーって、ペアだよね?

Mai
久音

……あ。

Kuon
久音

なんてこと……新魔術のことばかりに気を取られて、 ペアのことを失念していたわ……。

Kuon
ツヴァイ

私かナインのどちらかと組むか?

Zwei
久音

それは、願ったり叶ったり……ですが……。

Kuon
久音

……私にとって、十聖であるおふたりに認めてもらうことも、 この大会の目的のひとつです……。

Kuon
久音

私は、おふたりの力を借りずに優勝したいのです。

Kuon
久音

……そうだわ! レイ。 よければ、私とペアを組んで大会に出てもらえない?

Kuon
久音

私がサポートするから……お願い!

Kuon

1: 乗りかかった船だしね
2: やるからには優勝しよう

1:
2:

久音

ふふっ、心強いわね。 前衛は任せて。ふたりで絶対に優勝するわよ。

Kuon

まもなくビーチバレー大会を開催します! 参加者のみなさんは浜辺へ集まってくださーい!

Island

今大会の司会進行及び実況は私、 島がお送りさせていただきます!

Island

まずは試合開始前、優勝候補の方々に軽く意気込みを 語っていただきましょう!

Island

タオカカあーんどチャチャカカさんっ! 意気込みをお願いいたします!

Island
タオカカ

タオニャス! やるからには絶対優勝ニャス!

Taokaka
チャチャカカ

チャチャニャス! 優勝したら何か貰えるって 信じてるニャス! 貰えなかったら……島、覚悟しろニャス?

Chachakaka

あははは〜。 軽いジョークも混じった素晴らしいお答えでしたっ!

Island

続いては異色のペア! ドライさんアーンド、リッパーさんですっ!!

Island
ドライ

我が魔術の極意……肉体強化の威力を通じて 十聖の威光を示しましょう。

Drei
リッパー

コートの中じゃ逃げ場はねーからな……思い切り 斬り刻んでやる! 俺を楽しませろ! ヒャハハ!

Ripper
ラーベ

いや、反則だろそれ。

Raabe

ラストは、このお二人! 冥さんとEsさんです! 意気込みをお願いしまーす!

Island

優勝賞金はいただきだ! その金で巫女アイドルプロデュースを今度こそ成功させる!

Mei
Es

私は、お金よりプリンの方がいいです。

Es

おっとー!? 早くも仲間割れかー!? 果たして本番までにチームワークを回復できるのか!?

Island
久音

……さすが優勝候補。手強そうなペアが揃っているわね。

Kuon
久音

でも、だからこそ燃えるわ。 ……全員まとめて燃やし尽くしてみせる!

Kuon
ラーベ

だから燃やし尽くすのは反則じゃ……。

Raabe

では今大会のルールを説明します!

Island

とにかく、次々に試合をして、一番ポイントが高かった チームが優勝です!

Island

要するに〜……早く相手を倒せば倒すほど、有利です!

Island
ラーベ

なんて雑なルールなんだ!?

Raabe
久音

むしろわかりやすくていいわね! さあ、いくわよ!!

Kuon
マイ

久音〜! レイ! がんばれ〜〜!

Mai
シエル

私も、ここから応援します。

Ciel
ラーベ

しっかりな〜!

Raabe

それではいきますよー! ビーチバレー大会…… スタートォー!

Island

先手必勝! はぁぁあああっ!

Mei

おっとー!? 冥さんの攻撃で対戦相手がいきなり吹っ飛んだー!?

Island

コート外に吹っ飛んだまま、起き上がれません! 冥さん、Esさんペアの勝利でーす!

Island
ラーベ

ほら! いきなりこれだよ! バレーじゃないって、絶対!

Raabe
チャチャカカ

チャチャもやっちゃうニャス!

Chachakaka
タオカカ

みんな、コートに埋めてやるニャス!

Taokaka
ドライ

……ほう、なかなかやるようですね!

Drei
リッパー

ヒャハハハハ! おもしれぇ〜! 斬り刻み甲斐がありそうじゃねぇかよぉ!

Ripper

これはすごい! ドライ、リッパーペア!

Island

サーブを打ちつつレシーブしつつ! 相手をコートに沈めるために攻撃を繰り出しています!

Island
ラーベ

いや、もうボールすら撃ってないだろ!? これのどこがビーチバレーなんだ?

Raabe

ビーチバレーですよ! ボールを拾えなかったら ちゃんとポイントも失っていきます!

Island
マイ

要するに、普通のビーチバレーに戦闘要素が 加わった感じなんだね。

Mai
シエル

レイさんは大丈夫でしょうか……。

Ciel
久音

私がついてるから安心して、レイ。

Kuon
久音

ビーチバレー魔術は、ビーチバレーであると同時に 戦闘用魔術でもある……。

Kuon
久音

つまりこの勝負、私たちに有利よ!

Kuon
久音

私は今日、この大会を魔道ビーチバレー協会の夜明けに するつもりで戦うわ。あなたもついてきて! さあ、試合開始よ!

Kuon

ーーー/

Summary
実力を発揮し、見事に優勝。久音はふと自分

の記憶に違和感を覚えるが……大会は盛況の 内に終わり、一行は島巡りを再開した。

制限時間いっぱい! ビーチバレー大会、 終了で〜〜〜〜す!

Island
久音

はぁ、はぁ……さすがに、連戦はきつかったわね……。 レイ、お疲れ様……。

Kuon

それではさっそくポイントの集計に移ります! 今大会、もっとも試合に勝利したペアは……なんと……!

Island

飛び入り参加のレイさんと ビーチバレー魔術の久音さんペアで〜〜す!

Island
久音

……っ! やった……やったわ! レイ! 私たちやったのよ!

Kuon
ナイン

久音、おめでとう。

Nine
ツヴァイ

正直言って、驚いたぞ。

Zwei
ツヴァイ

すべての魔術がボールに乗った、いいスパイクだった。

Zwei
ナイン

それを駆使して繰り出す回転レシーブも見事ね。 あなたは浜辺の魔女として長く語り継がれるに違いないわ。

Nine
ナイン

これは、イシャナ発のスポーツとして 確立させることもできるかもしれないわね。

Nine

……まさか、ビーチバレーに魔術の力を乗せるとは…… 私の陰陽道にも、まだ可能性があるのかもしれないな……。

Mei
Es

おめでとうございます。久音こそが優勝に相応しいです。

Es
久音

Esふ……ありがとう。特訓に付き合ってくれたナイン、 ツヴァイ様と……レイのおかげよ。

Kuon

あらためまして、優勝インタビューと行きましょう! MVPの久音さん! 今の喜びを誰に伝えたいですか!?

Island
久音

えぇ、それはもちろん……。

Kuon
久音

……?

Kuon
シエル

どうしたんですか?

Ciel
久音

……変ね。誰かに伝えたいと思ったはずなのに…… 誰なのか、わからなくなるなんて……。

Kuon

えぇと……誰もいません、ということで?

Island
久音

あ、あぁ、いえ……やはり、ナインと、ツヴァイ様です。 少しは、認めてもらえたんじゃないかなって、思います。

Kuon

ありがとうございました〜!! そんなわけで、大会を終わります! またご参加くださーい!

Island
久音

……レイ。 手伝ってくれて、ありがとう。

Kuon
久音

あなたのおかげで目標を達成することができたわ。 十聖になって魔術を極める夢に、一歩近づけたと思うの。

Kuon
久音

これから、さらにビーチバレー魔術の発展に ついて話し合うんだけど、あなたもどう?

Kuon
ラーベ

あー、こほん。すまない、久音。我々はまだ この島について調査をしなければならないんだ。

Raabe
ラーベ

レイたちにも、 個別に目的があってな。なのでここで失礼するよ。

Raabe
久音

そう。残念ね。気が向いたら、また寄ってちょうだい。 それじゃあ、またね。

Kuon
マイ

大会、すごい盛り上がりだったね! どの試合も見ごたえがあったよ。

Mai
マイ

あんなふうにみんなでイベントに 参加するっていうのもいいなぁ。

Mai
シエル

そうですね、本当に楽しそうでした。

Ciel
シエル

今度は私も出てみたいです。

Ciel
マイ

私も私も! あと、久音の水着もよかったよね! すごく動きやすそうだったな〜。

Mai
ラーベ

理想の水着を探すのもまた一興……かもしれないな。 この調子で、次の水着美女を見つけに行こうじゃないか。

Raabe

第3節 黄昏納涼肝試し/

Summary
日暮れ、海辺でサヤと遭遇する。彼女が探す

誰かの代わりとして肝試しの実現に手を貸し てほしいと頼まれ、全員で森へと向かう。

マイ

そろそろ日が暮れてきたね。

Mai
ラーベ

夕焼けになると、また違った海の魅力が見られるだろうなぁ。 ……ん? 誰かいるぞ?

Raabe
シエル

サヤさんです。おひとりのようですね……。

Ciel
シエル

こんにちは、サヤさん。

Ciel
サヤ

まあ、こんにちは。 ……あなたがたは……どこでお会いした方でしょうか。

Saya
サヤ

いけませんね……思考がはっきりいたしません。

Saya
サヤ

ここはどこなのでしょうか?

Saya
サヤ

不思議なことを言うようですが、 気が付いたらこの島にいたのです。

Saya
サヤ

理想のリゾートを叶えてくれると、 不思議な声が聞こえてきたのですが……。

Saya
ラーベ

突然そんなこと言われたら、困惑するのも無理はないな。 ちなみにそれ、本当に叶うみたいだぞ。

Raabe
サヤ

そうなのですか。不思議ですこと……。 ですが、困りました。

Saya
サヤ

ええ……そう、私、ずっと困っているのです。

Saya
シエル

なににお困りなのですか?

Ciel
サヤ

……見つからないのです。

Saya
サヤ

ずっと……この島にやってきたときからずっと 探している人がいるのです。

Saya
サヤ

その人は私にとってかけがえのない方。世界に唯一の方。 誰よりも近く、誰よりも相容れず……。

Saya
サヤ

その方がいないというのは、 私にとってあまりにも退屈。

Saya
サヤ

このような状況では、 理想のリゾートなんて、実現しようはずがありません。

Saya
シエル

マイさんや久音さんと状況が似ているように思います。

Ciel
ラーベ

肝心な誰かを思い出せない、という話だな。 さすがに三人目となると偶然とは言い難い。

Raabe
サヤ

まあ。他の方も同じようなことを? それはお困りでしょう。

Saya
マイ

考えてもしょうがないから、 あんまり深く考えてはいないけどね。

Mai
サヤ

確かに、なるようにしかなりませんものね。

Saya
サヤ

ですが……探している方がいないと、 私のやりたいことが叶いません。なので、困っているのです。

Saya
シエル

サヤさんはその方となにをしたかったのですか?

Ciel
サヤ

それは……。

Saya
サヤ

……! そうです、あなた方がいらっしゃるではありませんか。

Saya
サヤ

私……どうしてもやりたいことがあるのです。

Saya
サヤ

ここで出会ったのもなにかの縁。 どうか、お付き合いいただけませんか?

Saya
ラーベ

だから、それは何を……。

Raabe
サヤ

どうか、お願いいたします。

Saya
サヤ

これをなくして、 私のリゾートバカンスは成り立ちませぬ!

Saya
ラーベ

わ、わかったわかった。付き合うから。 だから落ち着け。

Raabe
シエル

それで、なにをするのですか?

Ciel
サヤ

はい。 肝試しにございます!

Saya
ラーベ

肝試し? え、リゾートでバカンスしようっていうときに肝試し?

Raabe
サヤ

ええ。……私は幼いころから身体が弱く、 他の子供のように無邪気に遊ぶことは叶いませんでした。

Saya
サヤ

水泳こそ覚えがありますが、このような場所で行う…… 『アウトドア』な遊びはとんと存じ上げませぬ。

Saya
サヤ

他の方々がなさるような、浜辺で水を掛け合うような遊びも、 理屈がわからず戸惑うばかり……。

Saya
サヤ

ですが夏に嗜む遊びで、 憧れているものがひとつあるのです。

Saya
ラーベ

……それが肝試し?

Raabe
サヤ

はい。どうか私と一緒に遊んでくださいませ。 幼いころからの理想を叶えるために、なにとぞ。

Saya
シエル

どうしますか? レイさん、ラーベさん。

Ciel
ラーベ

まぁ、やるって言っちゃったしな。

Raabe
サヤ

ふふ……陽が完全に暮れましたね。 それでは、遊び方を説明いたします。

Saya
サヤ

ふたり一組となって、暗い森の中を進んでいただきます。 森の最奥に設置したろうそくを取って、戻ってきてください。

Saya
シエル

ろうそく……どなたが設置されたのですか?

Ciel
サヤ

私が、明るいうちに。

Saya
ラーベ

準備万端か。張り切ってるな。

Raabe
サヤ

ええ、楽しみでございます。

Saya
サヤ

さあさあ、組み合わせはくじ引きで決めましょう。 皆さん、どうぞ。

Saya
シエル

私は、マイさんとペアです。

Ciel
ラーベ

レイがサヤとペアか。 私は留守番してるよ。

Raabe
ラーベ

ライトを空に向けておく。 そうすれば、スタート地点が森の中からでもわかるだろ。

Raabe
シエル

レイさん、気を付けてください。 森の中には危険が潜んでいる可能性があります。

Ciel
シエル

窮地の際は大声を。直ちに駆けつけます。

Ciel
サヤ

……静かで、暗くて、不気味です……。 肝試しにはうってつけですね。

Saya
サヤ

……しかし、服装にも気を遣うべきでした……。

Saya
サヤ

このような遊戯の際には、マイさんのような 軽装の方が様になりましたね。

Saya

1: 確かにサヤは水着も似合いそう
2: 和装がすごく似合っているよ

1:
2:

サヤ

そのように言っていただけますと、 俄然、水着に興味が湧いてまいります。

Saya
サヤ

ありがとうございます。けれど、せっかくです。 またいずれ、機会があれば……。

Saya
サヤ

とはいえ、私、あのような華やかな装いの経験はありません。 ……ちゃんと着こなせるでしょうか。

Saya
サヤ

それに、もしも私がああいった格好をしたら、 『あの方』はどう思うのでしょうね……。

Saya
サヤ

……ふふ。やはり、興味があります。 いつか、挑戦してみますね。

Saya
サヤ

そろそろ森の最奥です。ろうそくは……あら?

Saya
サヤ

レイさん、なにか……なにかいます。 あれは……!

Saya
サヤ

……魔物……と呼んだらよろしいのでしょうか。

Saya
サヤ

幽霊かと思いましたのに。なぁんだ。 残念です。

Saya
サヤ

ああ、せっかくの雰囲気が台無しではないですか。 ……許し難い。

Saya
サヤ

許し難いことです。 無粋は片付けねばなりますまい。

Saya
シエル

レイさん!

Ciel
マイ

やっぱり魔物だったね!

Mai
ラーベ

間に合ったみたいだな。 シエルが敵対反応がどうとか言うから、慌ててきたんだ。

Raabe
サヤ

ご加勢、痛み入ります。

Saya
マイ

とりあえず、こいつらを全部倒しちゃわないとね。 肝試しの続きはそれからだよ!

Mai

ーーー/

Summary
森に現れた魔物を退けるが、肝試しが台無し

になったと残念がるサヤ。代わりに彼女のも う一つの望みである、百物語を行うことに。

マイ

ふぅ〜。結構な数の魔物がいたね。

Mai
サヤ

そうですね……。 ……はぁ。

Saya
シエル

サヤさん、元気がありません。 もしかして、先ほどの戦闘で怪我をされたのですか?

Ciel
サヤ

いえ……怪我はありません。 ご心配なく。

Saya
サヤ

ただ……せっかくの肝試しが台無しになってしまいました。 いい雰囲気でしたのに……。

Saya
ラーベ

目的地に魔物が出てきて、 結果的には肝試しっぽくなったんじゃないか?

Raabe
サヤ

……いいえ。とんでもない。

Saya
サヤ

肝試しとは、いかにも出てきそうな雰囲気でありながら、 実際には出てこない……。

Saya
サヤ

あるいは、出てきたような気がする。そのくらいの形容し難い、 掠めるような怖さが醍醐味なのです。わびさびなのです。

Saya
サヤ

正体が本物の魔物で、 しかもそれを退けることができるなんて……興ざめです。

Saya
ラーベ

そう言われると確かに。

Raabe
マイ

そしたら、なにか代わりになるような別の遊びしようか。 ほかになにか、憧れてたことってないの?

Mai
サヤ

……そうですね…… はっ!

Saya
サヤ

でしたら、百物語はいかがでしょう。

Saya
シエル

百物語? どういったものなのでしょうか?

Ciel
サヤ

古来より日本に伝わる、 怪談を披露する様式のひとつです。

Saya
サヤ

一話を終えるごとにろうそくの火を消す……。 これを百回、繰り返すのです。

Saya
ラーベ

百回やると、本当にお化けがやってくるってやつだな。

Raabe
サヤ

今は百本分のろうそくを用意できませんので、 気分だけになりますが……。

Saya
ラーベ

それでサヤの気がすむなら、付き合おうじゃないか。 いいよな、レイ?

Raabe

1: できれば遠慮したいですが……
2: サヤのためだ、付き合います!

1:
2:

サヤ

怖い話はお嫌いですか? では……まずは弱めの、 いわゆる『ジャブ』なやつから参りますから。

Saya
サヤ

どうか、どうか。サヤのひと夏の楽しみを、 心地よく締めくくらせてくださいませ。

Saya
サヤ

ありがとうございます……! ああ、なんてお優しい方。

Saya
サヤ

それとも、怖い話がお好きなのでしょうか。 どちらにしても嬉しいこと。

Saya
マイ

月明かりも綺麗だし……雰囲気もちょっとあるし。 ここでやろっか。

Mai
サヤ

はい!

Saya
サヤ

では皆さま、どうぞ楽に……柔らかな座布団をご用意できずに 申し訳ありませんが……座って、ろうそくを囲んでください。

Saya
シエル

わかりました。

Ciel
サヤ

ああ、ああ、先程の落胆はどこへやら。 わくわくしてまいりました。

Saya
サヤ

私、幼いころから外に出られない分、 多くの書物を嗜んでまいりました。

Saya
サヤ

その中で出会い、蓄え続けてきた数多の怪談話…… 余すところなく、披露いたしましょう。

Saya
サヤ

皆さんがどれだけ恐怖に耐えられるのか、恐れおののき 震えるのか……楽しみでなりません。

Saya
サヤ

そして全て語り終えましたら、ろうそくを消しましょう。 それまでどうか、ご清聴を……では、参りますよ。

Saya
サヤ

むかし、むかし、あるところに……。

Saya
マイ

ううっ……始まっちゃったね。 どんな話なんだろ……。

Mai
ラーベ

…………。

Raabe
シエル

どうしました、ラーベさん。

Ciel
ラーベ

さっきのサヤの話で気になったんだが…… 確かに、怪談話の醍醐味は、『怖い物見たさ』にある。

Raabe
ラーベ

見たくないのに、いるなら見てみたい、覗いてみたい…… そういう相反する感情に触れる遊戯だ。

Raabe
ラーベ

となると……怪談を聞くことによって、 無意識がむくむくと恐ろしいものを想像し……

Raabe
ラーベ

かつそれを『見てみたい』という願望が 生まれたりするんじゃないだろうか。

Raabe
シエル

そういう願望が生まれると、どうなるのですか?

Ciel
ラーベ

つまり島が……というか、島に備わっているシステムが、 だろうか。

Raabe
ラーベ

そういう私たち、あるいは語り部であるサヤの 『想像』や『期待』を『理想』と勘違いして……

Raabe
ラーベ

具現化しちゃったりして。

Raabe
マイ

……あ。私今、バッチリ想像しちゃったかも。 そこにいるかも……って……。

Mai
マイ

でっ……出たー!?

Mai
ラーベ

くうっ! 憎い! あらゆる可能性を想定してしまう この頭脳の存在が、今は憎い!!

Raabe
マイ

サヤ! ストップ! いったん怪談ストップー!

Mai
サヤ

声は繰り返し、名前を呼んでいるのです。 その声に誘われ、ゆっくりと振り向くと……そこには……。

Saya
シエル

話に集中していて声が届いていないようです……!

Ciel
ラーベ

っていうか、よく見たらサヤの背後から 出てきてるぞあいつら!

Raabe
ラーベ

これ、サヤとの勝負になってないか!?

Raabe
マイ

こ、こっちに近づいてくるよ!

Mai
ラーベ

話が終わるまで止まらないなら、 終わるまで粘るしかないか……。

Raabe
ラーベ

やるぞ、シエル、レイ!

Raabe
シエル

了解です。百物語が終わるまで、お化けを退けます!

Ciel

ーーー/

Summary
恐怖体験を乗り切った一同。サヤは満足した

様子で、夜の浜へと去っていった。入れ替わ りに久音が現れ、共に今夜の宿へと向かう。

サヤ

ふぅ……心ゆくまで語らせていただきました。満足です。 あら? 皆さん、とてもお疲れのご様子ですね?

Saya
マイ

こ、怖かったよ……。

Mai
シエル

目の前に幽霊が迫ってくるようでした。

Ciel
サヤ

まあ……皆さん、真摯に耳を傾けて、反応して くださったのですね。なんて素晴らしいのでしょう……。

Saya
サヤ

誰かに怪談を披露したのは、初めてでした。 これは……虜になってしまいそう。

Saya
サヤ

……ですが、さすがに身体には堪えました。 ふぅ……。

Saya
マイ

あ……具合が良くなさそうだね。

Mai
サヤ

理想が叶うリゾート地でも、 この身は万全にはならないようですね。軟弱ですこと。

Saya
サヤ

申し訳ございません。 失礼して、少し休養を取ることにいたします。

Saya
シエル

付き添いが必要ですか?

Ciel
サヤ

いえ……ひとりで大丈夫です。 それに今は少し、余韻に浸りたい気分なのです。

Saya
サヤ

失礼いたします。

Saya
マイ

……本当に大丈夫かな。

Mai
ラーベ

ダメだったら、たぶん島がうまいこと 休憩所なりなんなり用意してくれるだろう。

Raabe
ラーベ

リゾートで行き倒れるのが理想なやつは いないだろうからな。

Raabe
久音

あ、やっと見つけたわ。

Kuon
ラーベ

久音じゃないか。こんなところで何を?

Raabe
久音

あなたたちを探していたのよ。 ねえ、今夜の宿のあてはあるの?

Kuon
シエル

ありません。

Ciel
久音

そんなことだろうと思ったわ。私たちもそうだったから。

Kuon
久音

あそこ、見える? さっき、いつの間にかホテルが建ったのよ。

Kuon
マイ

えっ……あれのこと? あれ、窓の明かりなんだ。

Mai
久音

私もあそこに泊まろうと思って。 よかったら、一緒に行きましょうよ。

Kuon
久音

つまるところ、大会のお礼をさせてほしいの。 借りっぱなしは性に合わなくて。

Kuon
マイ

あはは。なんとなくだけど、久音らしいね。

Mai
ラーベ

理想のリゾートの、理想のホテルか……楽しみだな。 きっと楽しいことが待ってるぞ!

Raabe

第4節 豪華ディナーとホテルステイ/

Summary
宿の中には、豪華なごちそうに囲まれるプラ

チナの姿。一行を食事に誘うも久音が断る と、機嫌を損ねたルナは給仕をけしかける。

ラーベ

おおっ、ここが私たちの泊まるホテルか。 いいところじゃないか〜!

Raabe
シエル

こちらのホテルも、 誰かの理想によって造られたものなのでしょうか。

Ciel
ラーベ

これまでの感じでいくと、そうなんだろうな。 豪華なホテルでリゾートステイ。うん、定番だ。

Raabe
シエル

なるほど。これがスタンダードですか。

Ciel
久音

私にとっても、理想ではあるわね。 思いっきり体を動かした後は、のんびりお風呂と、広いベッドよ。

Kuon
マイ

プールなんかもあるのかな。

Mai
久音

ありそうね。でもとりあえず……レストランかしら。 お腹すいちゃった。

Kuon
久音

あ、あっちにあるみたい。行ってみましょ――

Kuon
???

もっともってこ〜〜〜い!

???
マイ

……今の声は?

Mai
ラーベ

そこのレストランからだな。

Raabe
ラーベ

聞き覚えのある声だった。 食事がてら、様子を見に行ってみよう。

Raabe
ルナ

ごちそう! ごちそう! まだまだ足りないぞ! もっともっともってこ〜〜い!

Luna
セナ

ルナ……お行儀悪くないかなぁ。

Sena
ルナ

いいんだよ! セナだって、こんなふうに 好き勝手食べてみたかったんだろ!?

Luna
セナ

それはそうだけど……。

Sena
ラーベ

……あれはプラチナか。 まー、贅沢にテーブルいっぱいご馳走広げて。

Raabe
マイ

お皿が積みあがってるね…… もしかして、あれを全部あの子が食べてるの!?

Mai
ヴァルケンハイン

左様でございます。その勢い、止まることを知らず…… 素晴らしい食欲にございます。

Valkenhayn
ラーベ

ヴァルケンハインが給仕役とはな。 豪華なレストランだなぁ……。

Raabe
ヴァルケンハイン

ゲストにご満足いただくのが、 此度の私の役目でございます。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

皆さま方も、召し上がられますか? ご希望でしたら、すぐにお食事をご用意いたしますよ。

Valkenhayn
ルナ

ん? なんだなんだ? お前たちもご飯、食べるのか?

Luna
ルナ

だったらここで相席にしてやってもいいぞ! でも、ルナのご飯は横取りするなよな!

Luna
久音

せっかくのお誘いだけれど、私は遠慮するわ。

Kuon
久音

大勢でワイワイやるのは、好きじゃないし。 そんなに大量に次々と頼むなんて、ちょっと品がないもの。

Kuon
久音

……何より、せっかくの水着なのに、 お腹が膨れたら格好悪いじゃない……。

Kuon
ルナ

ほーう、せっかくこのルナ様が誘ってやってるのに 断るっていうんだな?

Luna
セナ

ルナ……声が怖いよ。落ち着いて。

Sena
ルナ

ていうか品がないってなんだこらぁ! このウルトラキュートなルナ様たちに向かって!

Luna
セナ

えっ、『たち』って、僕も数に入ってるの?

Sena
ルナ

当たり前だろ。ルナとセナは一心同体だろ。 文字通り。

Luna
ルナ

ふふーん、ルナ様に生意気な口きくと、後悔するぞ。 出てこい、給仕ども! あいつらをこらしめろー!

Luna
マイ

うわわわっ!? な、何かいっぱい出てきたよ!?

Mai
ラーベ

こいつら給仕なの!?

Raabe
ルナ

そーだ! ルナがルナに食事を運ばせるために具現化した、給仕だ。

Luna
ルナ

お前たち……かかれ〜〜〜!!

Luna
ヴァルケンハイン

いやはや、困りましたな。 あまりここで暴れられると、他のお客様にご迷惑が……。

Valkenhayn
ヴァルケンハイン

といっても、今はあなた様方しかおりませんな。 はっはっは。

Valkenhayn
ラーベ

あー、よくわからんがとにかく戦えってことだな!?

Raabe
久音

ふぅ……どこまでもお子様ね。いいわ。 レストランでのマナーってやつを、私の炎で教えてあげる!

Kuon

第4節 豪華ディナーとホテルステイ/

Summary
ルナはひとりの食事が寂しかったのだとわか

り、一同は休戦。彼女もまた記憶が曖昧で、 大切な誰かを忘れてしまっているという。

ルナ

ぜぇ、はぁ、はぁぁ…… い、いい加減バテてきたんじゃないか?

Luna
久音

はぁ、はぁ……そっちこそ……。

Kuon
ルナ

い、一緒にすんな……ど、どうしてもルナ様と一緒に ご飯を食べないつもりか!

Luna
セナ

ルナ……寂しかったんだね。 ひとりでご飯食べるのが。

Sena
ルナ

んなっ!? セナ!! 勝手に、そういうことにすんな!

Luna
セナ

違うの? さっきから一緒に食べようって言ってるの、 ルナだけだよ?

Sena
シエル

はい。確かにそう仰っているのはルナさんだけです。

Ciel
マイ

あはは。なーんだ、そういうことだったんだ。 もっと早くに気が付けばよかったね。

Mai
ラーベ

やれやれ。これだから子供は…… もっと自分に正直になればいいものを。

Raabe
ラーベ

久音。もうそれくらいにしたらどうだ?

Raabe
久音

……そうね。暴れたら余計にお腹がすいちゃった。 一緒に食べましょ。

Kuon
久音

あと、私の言い方も、その……言い過ぎたわ。

Kuon

1: お邪魔するね、セナ
2: ルナ、そのごちそう美味しそうだね

1:
2:

セナ

はい、どうぞ〜。 僕たちだけじゃ食べきれないので、これも食べてください〜。

Sena
ルナ

……しょうがないなぁ。 そこまで言うなら分けてやるか! ルナ様に感謝しろよ!

Luna
ルナ

あっ、これはめちゃくちゃ美味いやつだぞ! 一口ずつだったら食べてもいいからな!

Luna
久音

もう……やっぱり子供ね。

Kuon
マイ

鍋奉行をしたい……みたいな感じなのかな?

Mai
ラーベ

なるほど……これがプラチナの理想のリゾートなわけだ。

Raabe
ラーベ

んで? お前たちはずっとここで食事をしていたのか?

Raabe
ルナ

んなわけないだろ。気が付いたらここにいたんだよ。 なぁ、セナ。

Luna
セナ

はい〜。それまでの記憶も、どうしてここに来たのかも 全然覚えていないんですけど……。

Sena
ルナ

まーでも、目の前に美味そうな飯があったからな! とりあえずお腹も空いてたし、いただいた!

Luna
シエル

では、この食事で満足できたのですね。

Ciel
ルナ

…………。

Luna
久音

なによ、その沈黙は。

Kuon
セナ

それが変なんです。 食べても食べても、違う気がして……。

Sena
ルナ

……楽しいのに、楽しくないんだ。

Luna
マイ

それって、もしかして……。

Mai
久音

……例の、誰かを思い出せない現象だったりしない?

Kuon
久音

一緒にリゾートを過ごしたい人がいるのに、 それが誰か、思い出せないみたいなこと?

Kuon
ルナ

それ、は……。

Luna
セナ

……はい。

Sena
セナ

確かに、僕たちにはそういう人がいたはずなんです。

Sena
ルナ

……なのに、思い出せないんだ……。

Luna
ルナ

確かに、いたはずなのに……どうしてなんだろうな?

Luna
ラーベ

これは……もう偶然ではなさそうだな。

Raabe
久音

きっと、何か原因があるのね。

Kuon
セナ

この気持ちは、どうにもできないのでしょうか〜。

Sena
シエル

私たちにも、わかりません。 現在、原因は不明です。

Ciel
ルナ

うう〜、なんなんだよ、このモヤモヤは!!

Luna
ルナ

誰かが、なにかが頭の中にいるはずなんだ! なのに、なんで思い出せないんだよ!?

Luna
セナ

ルナ……。

Sena
ルナ

あ〜〜〜〜も〜〜〜〜!!! やってられるかー!!!

Luna
マイ

わあっ!? ちょっとちょっとー!?

Mai
久音

こ、こら、やめなさい! お店に迷惑よ!

Kuon
ルナ

うるさいうるさいうるさ〜〜〜〜い!!

Luna
ヴァルケンハイン

おやおや……癇癪が始まってしまったようですな。

Valkenhayn
ラーベ

『誰か』を思い出せないモヤモヤがストレスになって、 たった今爆発したわけだな。

Raabe
久音

はぁ……わかったわよ。ちょっと相手してあげましょ。 こういうときは、思いっきり暴れたほうがすっきりするわ。

Kuon
マイ

そうかも。私も加勢するよ。 ストレス発散の相手は、多いほうがいいだろうしね。

Mai
シエル

戦闘態勢、ですね。 了解、対象の……ストレス対処を、開始します!

Ciel

第4節 豪華ディナーとホテルステイ/

Summary
大切な人を思い出せないストレスで大暴れし

た後、皆で豪遊し落ち着いたプラチナ。記憶 が欠けた理由を島に問うため、外へ向かう。

ルナ

は〜……すっきりした。 もー、眠い……。

Luna
久音

そりゃそうでしょうね。レストランで思いっきり暴れたあと、 プールに行ってジュースやらデザートやらドカ食いして……。

Kuon
マイ

腹ごなしにってみんなでホテルの中お散歩して。 楽しかったな〜。

Mai
ラーベ

やれやれ、子供のご機嫌取りもひと段落だな。

Raabe
ラーベ

それでもう一度確認するが、一緒にリゾートを 過ごしたい人のことは本当に思い出せないんだな?

Raabe
ルナ

うん。不思議とまったく思い出せないんだよなぁ。

Luna
セナ

そういう人がいた、ということしか思い出せないんです……。

Sena
セナ

たくさん遊んで、たくさん食べて、 夢にまで見た豪華な思いもたくさんしましたけど……。

Sena
セナ

その楽しい思い出を伝えたいはずの、一番大切な人のことが どうしても思い出せないんです……。

Sena
シエル

マイさんと久音さんも同じ状態だったんですよね?

Ciel
マイ

うん……。

Mai
久音

優勝インタビューのとき、一番喜びを伝えたい人を 問われて、とっさに答えられなかったわ。

Kuon
久音

あの時、誰かの存在が頭に浮かんだはずなのにね。

Kuon
ルナ

……なんだよ。そんなのおかしいじゃん。

Luna
ルナ

ここは理想のリゾートで、望みを叶えてくれるって 島は言ってたのに。

Luna
ルナ

こんなの全然、理想じゃないぞ!

Luna

1: ルナの言う通りだね
2: 何か事情があるのかも?

1:
2:

ラーベ

原因は不明だが、島に訊いてみた方がいいかもしれないな。

Raabe
久音

島? 今の話、聞いてた? 聞こえてるなら返事して。

Kuon
久音

…………。 ダメみたいね。ホテルの中だからかしら。

Kuon
マイ

それじゃあ、外に出てみようか。

Mai
ルナ

島に文句言うんだな? だったらルナたちも行くぞ! 一言びしっと言ってやる!

Luna
ラーベ

クレームつけに行くわけじゃないんだが…… まあいいか。行くぞー。

Raabe

第5節 島の名は。/

Summary
記憶の欠落は、島自身が大切な誰かを忘れた

ことで起こっていた。観測の力で解決するた め、マイ、久音、プラチナと戦闘をする。

ルナ

おーい、島っ! 島〜〜〜〜〜っ!!

Luna
久音

ちょっとー! 聞きたいことがあるのよ。 返事しなさい〜!

Kuon

はいはいはーい? あらまあ、皆さんお揃いで。どうしましたー?

Island
ルナ

『どうしました?』じゃない! この詐欺島!

Luna

ひどいっ!? さっきまでごちそう三昧でリゾートを 堪能していたはずなのに、いきなり詐欺扱いなんて!?

Island
ラーベ

まぁまぁ、ちょっと待てルナ。 いきなり喧嘩腰で話をするんじゃない。

Raabe
ラーベ

確認したいんだが。 ここは理想のリゾートを叶える島……だったよな?

Raabe

ええ、その通り。そうですとも。 あ、理想のリゾート、思いつきました?

Island
シエル

いいえ、まだです。 現在私たちは、島さんの機能について疑問を抱いています。

Ciel

疑問? なんでしょう。 ご質問でしたら遠慮なくどうぞ。

Island
シエル

マイさん、久音さん、サヤさん、プラチナさん…… みなさん、やりたかったことを実現できました。

Ciel
シエル

そういった意味では、理想が叶ったと言えます。

Ciel
シエル

ですが……彼女たちはみんな、理想のリゾートを共に過ごしたい 特別な人がいたそうなんです。

Ciel
ラーベ

だが全員、なぜかその『誰か』のことを思い出せない。 さらに加えると、どうやらその人物は島にはいないようなんだ。

Raabe
ラーベ

これはどういうわけなんだ?

Raabe
ラーベ

島のシステムにそういう不具合でもあるのか? それとも意図的に、お前がそうしているのか。

Raabe

…………。

Island
ルナ

おいこら! だまってないで、なんとか言え!

Luna

ああ……やっぱりそうだったんですね……。

Island
久音

やっぱりってことは、何か心当たりがあるのね?

Kuon

はい。 実は……そうなってしまうのには、事情があるのです。

Island
マイ

事情? どんな?

Mai

……ご説明しましょう。

Island

これは、私のおぼろげな記憶……。

Island

いつ、どこで見知ったのかはわかりませんが、 私の中に確かに刻まれている、いつかのメモリー……。

Island

私はかつて、どこかの海に浮かぶ無人島でした。

Island

でもただの島ではありません。 私には不思議な力が備わっていました。

Island

その力は、誰かの理想を叶える力……だったはずです。

Island

ですがそれが誰のための、どんな力だったのか! 私自身にも、思い出せないのです……。

Island
シエル

誰かのための力……。 でもその誰かを思い出せない……。

Ciel
シエル

マイさんたちの状況に、少し似ています。

Ciel

私は、どうにかして本来の力を取り戻したい。 そして、本来叶えるべき方の理想を叶えたい……!

Island

その力をつけるために、多くの方の理想を叶えて、 『理想を叶える島』という存在を確立したかったんです。

Island

しかし、どれだけ力をふるっても、訪れる方の 『本当にリゾートを共に過ごしたい人』の存在だけは……。

Island
久音

叶えることができない……というわけね。

Kuon

く……くくく。

Island
セナ

ん……? なんで笑ってるんです?

Sena

クォオオオオオオンンンンンンンンッ!!

Island
マイ

わーっ!? 地震、地震っ!

Mai

なんたる! なんたる無力!!

Island

私の力は誰かの理想を叶えるためにあるはずなのに、 本当の形で叶えられないなんて……!

Island

これでは『理想のリゾートを叶える島』として 認められない!!

Island

ましてや私の本来の力を取り戻すことすら……っ!!

Island
ラーベ

わかった! わかったから落ち着け! ステイ!!

Raabe
シエル

こ、このままでは本当に、 リゾートどころではなくなってしまいます……!

Ciel

はぁ、はぁ……すみません……取り乱しました……。

Island
ルナ

うっぷ……さっき飲んだジュース、吐きそう……。

Luna
セナ

ええ〜……やめてよぉ〜?

Sena
久音

島自身が取り乱したら、天変地異が起こるのね……。

Kuon
ラーベ

頼むから、 大事になるような自然災害はやめてくれよ。

Raabe
マイ

でも、なんだかかわいそうだなぁ……。

Mai
マイ

理想を叶える島自身が、 自分の理想を叶えられないなんてさ……。

Mai
シエル

自らの存在意義に関わる問題ですね。

Ciel

1: 島の力になりたいな
2: どうにかする方法はないかな?

1:
2:

レイさん……!

Island
マイ

うん。気持ちはよくわかるよ、レイ。 私も、なにか力になれるならなりたい。

Mai

レイさん……!

Island
久音

気持ちはわかるけど、どうにかって……。 どうしたらいいのかしら。

Kuon
シエル

うーん……島さんの理想を叶える方法……。 本来の力を取り戻せる方法……ですよね。

Ciel
ラーベ

そうだなぁ……ん? 待てよ。

Raabe
ラーベ

本来の力を取り戻すってことは、 本来の姿で島の存在が確立されればいいわけだよな。

Raabe
ラーベ

なら、なんとかできるかもしれないぞ。

Raabe
ルナ

本当か!?

Luna
ラーベ

『理想を叶える島』という存在を確立させる。 島がやろうとしていたことは、簡単な観測の仕組みだ。

Raabe
ラーベ

他者から望む形で認識されることで、 己の存在の形を得ようとしたわけだ。

Raabe
ラーベ

これをレイの力を使って、 やってみようじゃないか。

Raabe
ラーベ

類まれな観測力でもって『理想を叶える島』だと認識すれば、 島の存在は十分安定するはずだ。

Raabe
ラーベ

それにより、自己がなにものであったのか、 本来の力とはどんなものだったのか、

Raabe
ラーベ

自分で認識できるようになるかもしれない。

Raabe

そんなことができるんですか!?

Island
ラーベ

断言はできないが、可能性はある。

Raabe
マイ

そういうことなら、私たちも協力するよ!

Mai
久音

より願いが叶うなら、協力を拒む理由はないわ。

Kuon
ルナ

よくわかんないけど、ルナもやるぞ!

Luna
久音

それで、私たちはなにをすればいい?

Kuon
ラーベ

島そのものを正確に観測するっていうのは、 レイもあんま経験ないし……。

Raabe
ラーベ

まずは『理想を叶えられた者』の存在を 強く観測するところから取りかかろう。

Raabe
マイ

じゃあ、私たちをじーっと見つめられていればいいの?

Mai
ラーベ

違う違う。強く観測するには、あれが手っ取り早い。

Raabe
シエル

今までの経験からすると……あれですね。

Ciel
ラーベ

レイも、 なんとなくもうわかってるだろ?

Raabe
ラーベ

戦闘だ! 戦闘!

Raabe
久音

なるほどね。相手のことをよく知るなら、 実際ぶつかってみるのが一番ってことね。

Kuon
久音

そういうの、嫌いじゃないわ。

Kuon

……おぉ。

Island

おぉぉぉ〜〜いおいおいおい!

Island
ルナ

うわっ、ま、またかよ!? すぐ泣くな、島のくせに!

Luna
セナ

ルナが言う……?

Sena

ず、ずびばぜん〜! こんな、こんなに 親切にしていただけるなんて〜〜!

Island
マイ

ストップストップ! それさっきもやったでしょ!?

Mai

あ、すみません……ふぅ、ふぅ……。 はい、落ち着きました。

Island

みなさんの熱いお気持ちに感謝いたします……。

Island

理想のリゾートのために戦っていただくなら、 もっとリゾートっぽい雰囲気が必要ですよね!?

Island

相応しい舞台を用意します……見ててくださいよぉ! ふんっ! ふんぬぬぬぬぬぬぬ〜〜っ!

Island
ルナ

うわっ! 昼になったぞ!

Luna

リゾートといえば、 やっぱり眩しい太陽と青い海は欠かせませんからね!

Island
マイ

あはは。確かに、テンション上がるね!

Mai
久音

せっかくの水着だしね。

Kuon
ルナ

ちょうど海で泳ぎたいって思ってたしなー。 レイ、遊んでやってもいいぞ!

Luna
マイ

そうだね……思いっ切り遊んでもらうよ!

Mai
久音

せっかくの機会だもの。手加減なしでいくわよ!

Kuon
ラーベ

準備はいいな、レイ。 しっかり観るんだぞ!

Raabe

ーーー/

Summary
観測されたことで島は記憶を取り戻す。早速

かつて目指した理想の具現化を始めるが…… その結果現れたのは大小無数の魔物だった。

マイ

ふぅ〜……太陽の下で目いっぱい動いて、いい汗かく……。 こんな過ごし方もいいね!

Mai
久音

清々しい気分になるわよね。 ビーチバレー魔術の研究も進むし、素敵なリゾートだわ。

Kuon
久音

……ということで、レイ。 もう一勝負行きましょうか!

Kuon
ルナ

ええ〜……まだやんのかよ〜……。 いい加減暴れ疲れたぞ!

Luna
シエル

レイさん、 観測の度合いはいかがでしょうか?

Ciel
ラーベ

レイより島に聞いてみた方がいいんじゃないか。 様子はどうだ?

Raabe

……来てます。来てます、来てます! めちゃくちゃ来てますよコレ!

Island

かすんでいた記憶が、意識が、 はっきりしてくるのを感じるんです……はっ。

Island
セナ

どうしました〜? ……もう地震はやめてくださいね〜。

Sena

……思い出しました。

Island

そうだ……私は、勘違いをしていた。

Island

私は、 『理想のリゾート』を叶える存在などではない……!

Island
ラーベ

お、いいぞいいぞ。

Raabe
シエル

では、いったいなんなのですか?

Ciel

私が美しいリゾート島であるのは、 単に私の造形の問題……。

Island

私が叶えるべき……具現化するべき理想は 『リゾート』ではなく……。

Island

『兄』!!

Island
シエル

……『兄』?

Ciel

そう、『兄』! 私は理想の『兄』を具現化する力を持ったスペシャルな島!!

Island

その名も『兄島』ですッ!!!!!

Island
ラーベ

……ん? ん、んん、ん?

Raabe
ラーベ

ごめん、思ってた以上にわけがわかんない。

Raabe
ラーベ

なに? 理想の兄を具現化する? なんだそれ。どんな狭いニーズだ。

Raabe
久音

兄……!?

Kuon
マイ

あ……!

Mai
ラーベ

え、なになに? 二人とも心当たりがあるの?

Raabe
久音

兄……そういえば、そうだわ。 私には、兄がいた……いたはず……。

Kuon
久音

とても大切で、憧れていた兄が……。 誰よりも、私のことを認めてほしかった人。

Kuon
マイ

……私も……。

Mai
シエル

マイさん?

Ciel
マイ

それ……私も、少し似ている……。

Mai
マイ

私に兄はいないけど。でも……頼りになる、 それこそ兄みたいに大好きな人が、いるはずなんだ……。

Mai
マイ

なんでかな。兄って聞いて、その人のことが思い浮かんだんだ。 ピンと来たっていうのかな。

Mai
ルナ

頼りになる、大好きな人か……。 それなら、ルナたちにもいたよな、な!

Luna
セナ

はい〜。とっても頼りになって、とっても大好きで……。 世界にその人は、その人だけ。

Sena
ルナ

誰も代わりになんかなれない、ちょ〜〜〜かっこいい人!

Luna
シエル

ラーベさん。 サヤさんにも、お兄さんがいたはずです。

Ciel
マイ

サヤさんにも? じゃあもしかして、この島が具現化できなかったのって……。

Mai
久音

『一緒にリゾートを過ごしたい人』じゃなくて、 『兄』なんじゃないかしら。

Kuon
久音

それも血の繋がった家族という意味での『兄』じゃないわ。 もっと広い意味で……。

Kuon
久音

かけがえのない、唯一の…… 心よりどころとも言える人……。

Kuon
ルナ

うん、わかるぞ。ルナにとって、あの人は そういう感じの人だ!

Luna
セナ

血は繋がっていないですけど、 大事な……兄のような……。

Sena
セナ

うーん、兄とはちょっと違うかもしれませんけど、 でもこの場合『兄』としておこうという感じの人……。

Sena
マイ

きっとそうだよ。私たちの心にいる、『兄』に近い人のことを、 島は具現化できなかったんだよ

Mai
ラーベ

しておこうとか、近いとか、それもうだいぶ兄じゃなくない? いいの? そんな雑な感じで。

Raabe

ああっ、イイ! イイですよみなさん! その『兄』の定義こそ、まさに私が失っていた概念!

Island

『兄』とは全にして一……個にして全!

Island

健やかなるときも病めるときもヤンデレのヤンもデレも 全て包み込む、焼き立てパイの衣のような存在!

Island

殺意も憎しみも全部、等しく愛と書いてフリガナを ふるレベルの天然人たらし! グレイトな存在!

Island
ラーベ

それ『兄』かなぁ!?

Raabe

そんな『兄』を、私は現実のモノに……! 今、胸を張って言えます! 私は、『兄島』!!

Island

かつて島を訪れた『理想の兄との日々』を夢見る者のため、 理想の兄を具現化した由緒正しきスーパーアイランドぉ!

Island
ラーベ

なんだ!? また地震か!?

Raabe
シエル

あ……ラーベさん、レイさん。 大変です。

Ciel
シエル

窯が現れました。 島の中央です。

Ciel
ラーベ

は!? 今!?

Raabe
ラーベ

え……。このタイミングで現れたってことは……あれか? 島が観測者ってこと?

Raabe
シエル

……そのようですね。

Ciel
ラーベ

島が観測者なの!?

Raabe

レイさん、感謝いたします! 力を取り戻した今の私なら、きっと生み出せるはずです!

Island

『理想の兄』を、ここに! 私が具現化すべき、 最高最大最愛の具現化を……ふんっ、ふんぬぬぬぬ〜!!

Island
マイ

すごい……私にもわかるよ。 島が持つ力が高まっていく!

Mai
久音

感じる……私の中の兄への期待が膨れ上がっていく……。

Kuon
久音

もしかして……ついに、会える……?

Kuon
ルナ

もし会えたら……いっぱい遊んでもらう!

Luna
セナ

いっぱい褒めてもらって、 楽しかった思い出をたくさん話して……。

Sena

1: すさまじい力……!
2: 何かが、くる!

1:
2:

みなさん……お待たせしてすみませんでした。

Island

『理想の兄』! ここに、爆誕です!!!

Island

ああ、これが……私が形にすべき、『理想』……。

Island
ラーベ

……何も見えないぞ!? どうなった!?

Raabe
シエル

待ってください、光が、だんだん弱まっていきます。 光の中心部に、反応を確認。これは……!

Ciel
ルナ

ぎゃーーーーーーーっ!?!? 魔物ーーーーーーーーーー!!!!!

Luna
シエル

……これが、 みなさんの『理想のお兄さん』なのでしょうか?

Ciel
ルナ

っんなわけないだろ! 誰がこんな奴と思い出話すんだよ! ナデナデされたら潰されちゃうだろ!

Luna
久音

ち、ちょっと、大小いっぱいいるんだけど!? どうなってんのよこれ!

Kuon
ラーベ

おい、島!? 最高最大最愛の具現化はどうした!?

Raabe
ラーベ

騙したのか!?

Raabe
マイ

みんな、構えて、来るよ!

Mai
久音

あーもう、なんなのよ!

Kuon
ルナ

ルナ様を期待させたくせに裏切りやがってー! 許さないからなー!

Luna
久音

同感よ! 燃やし尽くしてあげるわ!

Kuon
シエル

戦闘態勢に移行します! レイさん、囲まれないように気を付けてください。

Ciel
シエル

目標、多数確認。対象の排除を開始します!

Ciel

エピローグ/

Summary
激闘の末、魔物を撃破。島は力不足を謝る

が、一同は楽しかったと爽やかに笑い、残さ れた夏を目いっぱい満喫するのだった。

マイ

うそでしょ……これだけやっても、まだ倒れないの!?

Mai
久音

だったら、動けなくなるまで攻撃を打ち込むまでよ!

Kuon
ラーベ

いや、待て!

Raabe
ルナ

あっ。止まったぞ……?

Luna
セナ

これはもしかして……。

Sena
シエル

……対象の消滅を確認しました。 新たな反応、ありません。

Ciel
シエル

戦闘態勢を終了します。 レイさん、皆さん、お疲れ様でした。

Ciel
マイ

ふぅ〜……とにかく全員無事でよかったよ。

Mai
久音

そうね。さすがに今のは肝が冷えたわ。

Kuon
ルナ

あ、そうだ!

Luna
ルナ

おい、島っ! いったいどういうことなんだよ! なんだってあんな魔物をけしかけてきたんだ!?

Luna

う……うう……あ……あ、あ……。

Island
ルナ

あ?

Luna

ありがとうございます〜〜〜〜〜!!!! お〜いおいおいおいおい〜〜〜〜〜〜〜〜!!!

Island
マイ

またこの流れなの!?

Mai
ラーベ

泣くな、喚くな。落ち着け落ち着け……。

Raabe
ラーベ

なんで島をなだめなきゃならんのだ……。 とにかく、説明してくれ。今のはなんだ?

Raabe

よかったぁ! よかったです! まさか私も、あんな化け物が出てくるなんて……!

Island
ラーベ

まさか?

Raabe
ラーベ

先ほどの魔物は、意図して呼んだものじゃない…… ということか?

Raabe

当たり前じゃないですかぁ! 私、リゾート島ですよ!?

Island
ラーベ

説得力ない主張だなー。 今までも結構魔物いっぱいいたしな……。

Raabe

私はただ…… 正真正銘、『理想の兄』を具現化しようとしただけで……。

Island

なのに、あんなことになるなんて……うっうっうっ。 こわかったよー……。

Island
ラーベ

ふ〜む、あの魔物になにか思い当たる節はないのか?

Raabe

はい、まったく……。 あんなもの、私の具現化のイメージにはありませんでした……。

Island

記憶の奥底にあるイメージとは、かけ離れたモノです。 あんな姿では絶対にないはずなんです……。

Island
マイ

じゃあ、なんであんな魔物が現れたんだろう?

Mai
ラーベ

うーん……そいつを特定するには情報が少なすぎるな。

Raabe

おそらく、私の力不足が原因でしょう……。

Island

きっと私の、『兄島』としての力が足りなかったせいです。 それで具現化が不完全になり……あんな恐ろしい魔物を……。

Island
ラーベ

『兄島』としての力、ねぇ……。

Raabe
ラーベ

……具現化しようとしたモノ自体に問題があったか、 島の記憶がバグの原因になっている可能性もあるが……。

Raabe
ラーベ

なんにせよ、これ以上の調査は無意味だろうね。 どこまで行っても推測の域を出そうにない。

Raabe

面目ありません。……みなさんの『理想の兄』を 具現化できず、不甲斐ない気持ちでいっぱいです……。

Island
マイ

そんなに落ち込まないで。

Mai
久音

そうよ。『理想の兄』と喜びを分かち合えなかったのは 残念だったけれど……。

Kuon
ルナ

けっこう楽しかったしなー。

Luna
セナ

ごちそうも、お腹いっぱい食べられましたしね〜。

Sena
久音

この島のおかげで、ビーチバレー魔術も完成に至ったわけだし。 トータルで見れば、悪くないリゾートだったわ。

Kuon
マイ

うん! 私も皆でバーベキューできて楽しかった! 新しい友達もできたし。

Mai
マイ

大事な人とその時間を共有できなかったのは残念だけど…… 理想のひと時ではあったよ。

Mai
ルナ

だから、そんなヘコむなよ、な。 次、ちゃんと具現化すればいいだろ!

Luna
ルナ

なんならこのルナ様が、具現化のコツを教えてやるからさ!

Luna

み、みなさん……。

Island
シエル

私にとっても、 色々と勉強になる有意義なリゾート体験でした。

Ciel

1: 僕も楽しかった!
2: みんな、素敵な夏をありがとう

1:
2:

セナ

はい〜、本当に楽しかったです〜。

Sena
ルナ

ルナはもっともっとも〜っと、 リゾート満喫したいけどな!

Luna
マイ

こちらこそ、ありがとう! 島さんにも、ありがとう。

Mai
久音

私も、お礼を言うわ。 ありがと。

Kuon

1: 私も楽しかった!
2: みんな、素敵な夏をありがとう

1:
2:

セナ

はい〜、本当に楽しかったです〜。

Sena
ルナ

ルナはもっともっとも〜っと、 リゾート満喫したいけどな!

Luna
マイ

こちらこそ、ありがとう! 島さんにも、ありがとう。

Mai
久音

私も、お礼を言うわ。 ありがと。

Kuon
ラーベ

たぶん、サヤも同じ気持ちなんじゃないか。 あんなに楽しそうに怪談を語っていたんだからな。

Raabe

うっうっうっ……ありがとうございます、みなさん……。 島冥利に尽きます……私、三国一の幸せ者です……!

Island

…………よし、決めました! 私、一から島として修業し直します!

Island

きっと、いつか理想の『兄』を――憧れの象徴を 具現化できる島になってみせますよ!

Island

そう……『兄島』として!! 次こそはきっと成功させますから!

Island
ラーベ

次……。

Raabe
ラーベ

あー、コホン。そんな話をしているところ悪いんだが……。

Raabe
ラーベ

私たちは実は、この世界に調査へ来ていたんだ。 奇怪な発生の仕方をしたこのファントムフィールドの……。

Raabe

ファントム、フィールド……?

Island
ラーベ

この世界、というか島のことだ。

Raabe
ラーベ

調査が終わり次第、窯は破壊して、 ファントムフィールドを解放しなければならない。

Raabe

ちょ、ちょっとちょっと! 待ってください。何の話ですか?

Island
ラーベ

事情を説明するよ。 ちょっと長い話になるけど、聞いてくれ。

Raabe

なんと……そんなことが……。

Island

じゃあ観測者である私は、ファントムフィールドとして 自分自身を……この島を存在させたということ、ですか?

Island

そしてその結果、多くの人を異物として 巻き込んでしまっていた……。

Island

知らずとはいえ、多くの人に迷惑をかけてしまいました。 重ね重ね、面目ございません……。

Island
シエル

窯を破壊すれば、ファントムフィールドは停止します。

Ciel
シエル

そしてそれが、私たちの目的です。 島さん。窯の破壊に、同意していただけますか?

Ciel

それは……。

Island

…………。

Island

先ほどのお話だと、私というファントムフィールドを このままにしておくのは、危険なんですよね?

Island

これ以上、皆さんにご迷惑をおかけするわけにはいきません。

Island

……シエルさん、ラーベさん。 窯の破壊に同意します。

Island
マイ

せっかくのリゾートだけど……仕方ないね。

Mai
久音

ええ。だけどおかげで楽しい時間を過ごせたわ。

Kuon
ルナ

だな。飯も美味かったし、そんなに悪くなかったと思うぞ!

Luna
セナ

うん、そうだね。

Sena
セナ

島さん、次こそはきっと素敵な兄島になってくださいね〜。

Sena

うっうっ……皆さん……ありがとうございます!

Island
シエル

島さん、ご協力に感謝します。

Ciel

いいえ。私は幻の無人島『兄島』。 楽しい夏の思い出は、永遠には続かないものです……。

Island

ひと夏のきらめくメモリアル。 でもそれはやがて、儚く消えてしまうもの。

Island

そう、海の泡のように……。

Island
ラーベ

ちょっと感じ違うんだけど……まあいいか。

Raabe
ラーベ

よしじゃあ、レイ、シエル。 ひと仕事しに行くぞ。

Raabe
シエル

はい。 よろしくお願いします、レイさん。

Ciel
シエル

第666拘束機関開放。次元干渉虚数法陣展開……。 『蒼の魔道書・写本』 (ブレイブルー) 、起動!

Ciel

あの〜……。

Island

たしか窯が破壊されても、私が取り込んでしまった人たちが 完全に島を立ち去るまでには時間がかかるのでしたよね?

Island
ラーベ

その通りだ。ファントムフィールドは少しずつ 本来のあるべき姿へと帰っていくことになる。

Raabe

ああ、よかった。でしたら……。

Island

皆さん、どうぞ最後の瞬間まで 残り時間を存分にお楽しみください!

Island

海も、イベントも、お食事も、怪談も なんでも取り揃えておりますよ〜!!

Island
マイ

えっ、いいの!?

Mai
マイ

だったら、皆で海に行こうよ! 時間ギリギリまで、思いっきり楽しんじゃおう!

Mai
久音

そうね! 私もビーチバレー魔術のさらなる向上のため 特訓に戻るわ!

Kuon
久音

ねえ、皆もビーチバレーやってみない? ペアで、負けた方はジュースをおごるのよ!

Kuon
ルナ

おっ、いいなそれ! ルナにはジュース5本にしてくれよ!

Luna
セナ

ルナ……そんなに飲んだら、お腹こわすよ〜。

Sena
久音

シエル、レイ。 あなたたちも一緒に来なさいよ、ねぇ。

Kuon
シエル

……私もですか?

Ciel
久音

当たり前でしょう。人数は多い方が楽しいんだから。 さあほら、行きましょう! 時間がないわよ!

Kuon
シエル

あっ、えっ……あっ……。

Ciel
ラーベ

レイは行かないのか? まだいいんだぞ、遊んできても。

Raabe
ラーベ

あ、でもフィールドの解放が始まる前には帰るからね。 あんまり遅くまで遊びすぎないように。

Raabe

1: ラーベさんは行かないの?
2: 本当に行ってきても大丈夫?

1:
2:

ラーベ

皆で羽目を外して、万が一にでも そのまま帰れなくなったりしたら大変だからね。

Raabe
ラーベ

私はいつでも声をかけられる場所に待機してるよ。

Raabe
ラーベ

ああ、もちろんだ。

Raabe
ラーベ

普段こんなに休めることなんかないんだ。 今のうちに少しでも羽を伸ばしてきなさい。

Raabe
マイ

レイ〜、早く早く! 先に行っちゃうよ〜!?

Mai
ラーベ

ほら、呼ばれてるぞ。

Raabe
ラーベ

行って思い切り遊んでこい。

Raabe
ラーベ

やれやれ……まあ、たまにはこういうのもいいだろう。

Raabe
ラーベ

これから先、まだまだ大変だろうからなぁ…… 今のうちにゆっくりと……。

Raabe
ラーベ

あ〜、それにしてもヤシの木陰ってやつは気持ちいいな〜。 シチュエーション、最高。

Raabe
ラーベ

……私もちょっと、いい気分に浸ってくか。

Raabe