BlazBlue Wiki Story:BBDW Chapter 2

Story:BBDW Chapter 2

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Revision as of 23:40, 13 April 2022 by Chao (talk | contribs) (added translations from story notes)

Chapter 2: Sleeping Beauty (眠り姫 Nemurihime)

第1節 遭遇①/ 1. Encounter - 1

Summary
カガミが新たなファントムフィールドを見つ

け、ダイブするシエルたち。その先で、未確 認生物の襲撃を受ける。

シエル

レイさん。 まだお休み中かと思っていました。

Ciel
シエル

こちらにいらっしゃるということは、 食堂へ向かわれるところでしょうか。

Ciel
シエル

必要であれば、お部屋まで食事を届けますが。

Ciel

1: いや、ちょっと散歩を
2: いや、ちょっと探検を

1:
2:

シエル

そうでしたか。……そういえば、《浸入》 (ダイブ) や メディカルチェックなどで慌ただしく、失念していましたが、

Ciel
シエル

フガク内部の案内は必要ですか?

Ciel
シエル

例えば、この廊下沿いにはスタッフも日頃から利用する、 日常的な行動に関する施設が多くあります。

Ciel
シエル

レイさんも 利用する機会が多いのではないでしょうか。

Ciel

1: いいの?
2: せっかくだし、お願いしようかな

1:
2:

シエル

了解しました。では、ついてきてください。

Ciel
シエル

こちらがキッチンと、食堂になります。

Ciel
シエル

基本的には担当のスタッフが調理を行いますが、 お望みでしたらキッチンの使用も可能です。

Ciel
シエル

こちらはランドリーと……あちらがメディカルルームです。

Ciel
シエル

こちらは多目的ルームになります。

Ciel
シエル

ブリーフィングなどの他、戦闘訓練を行っても耐えうる 頑強な造りになっていますので、様々な用途に対応できます。

Ciel
シエル

そしてこちらが、指令室です。

Ciel
カガミ

お。どうした、ふたり揃って?

Kagami
シエル

レイさんに、フガク内部の共用スペースを 案内していました。

Ciel
カガミ

ああ、そういえばしていなかったな。

Kagami
カガミ

基本的な生活に必要な設備は、あらかた揃ってる。 ある程度は自由に使ってくれて構わないよ。

Kagami
カガミ

それより、ちょうどいいところに来たな、お前たち。

Kagami
シエル

それは、どういう意味でしょうか?

Ciel
TA

タカマガハラシステムの観測の元、 新たなファントムフィールドを感知、認識した。

TA

The Takamagahara System has become aware of and confirmed a new Phantom Field through Observation.

シエル

新たなファントムフィールド…… つまり、次の任務ということですか?

Ciel

A new Phantom Field... in other words, our next mission?

カガミ

その通りだ。次を見つけるまで、 もう少し時間がかかると思っていたんだけど……。

Kagami

That's correct. I thought it would take a bit longer before we found the next one, but...

カガミ

イシャナや階層都市のファントムフィールドで 観測者を解放したことで、

Kagami

It seems that releasing the Observers of the Phantom Fields in Ishana and the Hierarchical City...

カガミ

タカマガハラシステムにも影響があったみたいだな。

Kagami

...Affected the Takamagahara System.

カガミ

これからも観測者を解放するたびに、システムの 観測力を安定させることができるだろう。

Kagami

If we continue to release Observers, the Takamagahara System's power of Observation should become more stable.

TB

そうすれば、僕たちももっと楽に ファントムフィールドを発見できるだろうね。

TB

That's right. With that, we'll be able to more easily discover Phantom Fields.

TC

イエス。我々の観測能力の安定性は、 新規ファントムフィールド発見確率と比例します。

TC

YES. The stabilization of our power of Observation will proportionally affect the chance of detecting new Phantom Fields.

TB

そうだね、もっと『深い』所のファントムフィールドがね。

TB

Indeed, of Phantom Fields that are even "deeper."

カガミ

…………。

Kagami

...

シエル

それで、今回発見されたのはどういう世界なのですか?

Ciel

So what kind of Phantom Field was discovered this time?

カガミ

あぁ、先日の階層都市に比べると、規模は小さい。 でも生命の反応密度はかなり高いみたいだな。

Kagami
TA

人類の生息する地域であることは間違いない。 だが詳細は不明だ。

TA
TB

その辺りを調査するのも、君たちの役目だね。

TB
カガミ

そういうわけだ。もちろん、今回も頼れる我が分身、 ラーベちゃんを同行させるから、安心していいぞ。

Kagami
カガミ

サポート体制は万全だ。 まあ、前回のように危険はついて回るだろうが……。

Kagami
シエル

レイさんの身の安全は、確保します。 それが私の任務ですので。

Ciel
カガミ

だ、そうだ。

Kagami
カガミ

最悪でもお前だけは回収する。 とはいえ、無茶は禁物だぞ。

Kagami
カガミ

何度も言うようだが、お前が死んだらなにもかも台無しだ。 そこは覚えておくように。

Kagami
カガミ

さて……どうだ?

Kagami
オペレーター

準備完了。いつでもいけます。

Operator
カガミ

よし。 お前たちの準備がいいなら、すぐにでも向かおう。

Kagami
カガミ

《浸入》 (ダイブ) の機会を逃すわけにはいかないからな。

Kagami

1: いつでも行けます
2: 準備OK!

1:
2:

カガミ

では、始めよう!

Kagami
オペレーター

了解。……ファントムフィールド、接続完了。

Operator
カガミ

《浸入》 (ダイブ) 開始!

Kagami

――――

――を……なさい……。

Please...them.

そして……私を……。

...and...me....

シエル

……レイさん、どうかしましたか? ぼうっとしていたようですが。

Ciel

...Rei-san, what's wrong? You're spacing out.

1: 今、誰かの声が……
2: なにか聞こえなかった?

1: ...I heard a voice just now.
2: Didn't you hear that?

シエル

いえ、不審な物音は特に聞こえませんでした。

Ciel
シエル

向こうのほうから、車両らしき音は聞こえますが、 それとは違うものですか?

Ciel
ラーベ

……うん、よしよし。機能に異常はなさそうだな。

Raabe
ラーベ

で? どうした、レイ。 来て早々に幻聴か?

Raabe
シエル

ラーベさん。もしかしたら、観測者に関わる なにかの情報を察知したのかもしれません。

Ciel
ラーベ

だったらいいんだが。どうなんだ?

Raabe

1: うーん……
2: 内容ははっきりしない

1:
2:

シエル

そうですか。残念です。

Ciel
ラーベ

とはいえ、レイが感知した情報だ。 ファントムフィールドに全く無関係ということもないだろう。

Raabe
ラーベ

もしまた気になったときは、教えてくれよ。

Raabe

1: はい、わかりました
2: 気を付けておきます

1:
2:

ラーベ

さて。まずは現状確認からいこう。 シエル、状態に問題はなさそうか?

Raabe
シエル

はい。意識もはっきりしています。

Ciel
ラーベ

よしよし。レイも…… うん、特に問題はなさそうだな。

Raabe
ラーベ

タカマガハラシステムの観測も正常に行われている。

Raabe
シエル

周囲の状況ですが、ここは両脇をコンクリート製の壁に 挟まれた屋外の通路のようです。路地です。

Ciel
ラーベ

おう、そうだな……。見ればわかるわ!

Raabe
ラーベ

とはいえ、前回のように森の中とかそういうわけでは ないんだな。街中スタートか。

Raabe
ラーベ

それも、私がよく知っている年代に近い雰囲気だ。

Raabe
ラーベ

となると、どこかに看板かなにかないかな。 地名がわかるものだと、おあつらえ向きなんだが……。

Raabe
シエル

この柱の様なものに『新川浜』と書いてあります。 これがファントムフィールドの地名でしょうか。

Ciel
ラーベ

『新川浜』は確か日本の地名だ。 なるほど、ここは日本か。こいつは色々やりやすい。

Raabe
ラーベ

前回と違って、世の中の組織形態や常識は 私たちの認識とそう変わらないんじゃないか。

Raabe
シエル

人も多く生活している区域のようです。路地を抜けた先には 明かりも多いようですし、車両の音もたくさん聞こえます。

Ciel
ラーベ

うんうん、繁華街近くの裏路地って感じだな。

Raabe
ラーベ

多少、時間軸が圧縮されているみたいだが…… 近しい時代という認識は、間違ってなさそうだ。

Raabe

The timeline may be more or less compressed, but we can confirm the general era, at least.

ラーベ

だとしたら、治安状況は悪くないだろう。少なくとも、 武装した兵士や魔物にいきなり取り囲まれる危険性は少な……。

Raabe

Meaning, this should be a time of peace. Bare minimum, we don't have to worry about armed soldiers or random monsters coming out of nowhe--

シエル

!?

Ciel
ラーベ

なんだ、こいつらは!?

Raabe

1: なんか出た!?
2: 治安状況がなんですって?

1:
2:

シエル

体長、1メートル強。 視覚器官複数確認、聴覚器官複数確認。節足構造を確認。

Ciel
シエル

推定体重、推定機動からして、この路地に生息するには 不適合な身体構造です。

Ciel
シエル

奥の建物の隙間から集まってきています。 敵対反応を感知。

Ciel

1: とりあえず迎撃!
2: どうしよう、どうしよう!?

1:
2:

シエル

了解。戦闘行動に移行します。

Ciel
シエル

問題ありません。戦闘行動に移行します。

Ciel

第1節 遭遇②/ 1. Encounter - 2

Summary
戦闘の音を聞きつけ、シエル達の前に現れる

少年。素性を確認しようとするが、突如少女 サヤが現れ、シエル達に斬りかかる。

少年が戦闘の仲裁に入る。シエルは戦闘解除

し、サヤも刀を収める。

シエル

対象の停止を確認しました。 これは……データ上の新川浜には、生息しない生物です。

Ciel
ラーベ

というか、どう見てもまっとうな生物じゃないだろ。

Raabe
ラーベ

ふーむ。これがこの街にとっての正常な状況なのか、 ファントムフィールド化したことにより発生した現象なのか。

Raabe
ラーベ

そのあたりも調査で明らかにしたいところだな。

Raabe
シエル

観測者の特定の手がかりになりますか?

Ciel
ラーベ

ファントムフィールド内で起こっていることは、 観測者の願望に起因する。

Raabe
ラーベ

この奇妙な生物も、ファントムフィールド内特有の現象 であるのなら、もちろん手がかりになる。

Raabe
シエル

……私達の知らない生態系が確立していると いうことですか?

Ciel
ラーベ

あまり考えたくはないが……可能性がないわけではないしな。 まぁそれがファントムフィールドというものだ。

Raabe
シエル

ではこれからの行動としては、 前回同様、状況についての情報を集めることですね。

Ciel
ラーベ

その通りだ。そして観測者の可能性があるドライブ能力者を 見つけ、その中から観測者を特定する。

Raabe
ラーベ

観測者が特定できたら、窯を出現させ、破壊する。 やることはヤマツミと一緒だ。できるな?

Raabe

1: はい!
2: がんばります

1:
2:

ラーベ

うむ。返事だけはいいな。 さてでは、どこから手をつけるとするか……ん?

Raabe
少年?

おい、あんたら! そこでなにしてるんだ?

Young Man?

Hey, you! What are you guys doing over there?

ラーベ

ん、民間人か? ……とりあえず、 人間は存在しているようだが、それにしては……。

Raabe
シエル

周囲の状況の確認をしていました。

Ciel
少年?

確認? ……何の?

Young Man?
シエル

はい。現地調査を始めるにあたって、 まずは自分たちの状況を確認することが重要だと……。

Ciel
ラーベ

待て待て待て待て、 お前は勝手に話を進めるんじゃない、シエル。

Raabe
少年?

な、なんだこの丸っこいの! しゃべるのか!?

Young Man?

This round...thing...talks!?

ラーベ

ふふん、しゃべるとも。 しゃべるついでに、少年、同じ質問をお前にも返そう。

Raabe

That's right, it talks. It even wants to ask you the same question.

ラーベ

お前こそ、ここになにをしに来た?

Raabe

Who are you, and what did you come here for?

少年?

……は?

Young Man?
ラーベ

私たちに声をかけたとき、お前はずいぶんとこちらを 警戒していたみたいじゃないか。

Raabe

...When you first called out to us, you seemed to be on guard.

ラーベ

その理由はなんだ? 私たちがここにいるのはなにか不自然か? ならばその不自然な場所に……『なぜ』お前がいる?

Raabe

Why was that? Is it because this is an unusual place to be in? And if so...then why are you here?

少年?

なん、だよ。最初に聞いたのは俺だぞ。 まずはそっちから答えろよ。

Young Man?
ラーベ

順番なんて関係ないだろう。 それとも、私の質問に答えられない事情でもあるのか?

Raabe
少年?

んだよ、探るみたいな言い方しやがって。 ねぇよ、んなもん。

Young Man?
少年?

俺はただ……それ。あんたらの足元で崩れてる、 その異様な生き物。そいつを追ってきたんだ。

Young Man?
少年?

そしたら路地の奥の方から物騒な物音が聞こえるから、 なんかあったのかと思ってすっ飛んできたんだよ。

Young Man?
少年?

最初は襲われてるんだと思って助けようとしたんだけど…… あんたらは、あっさり倒しちまいやがった。

Young Man?
少年?

妙な技を使ってたし、いやに冷静だし。 この路地が危険だってわかっただろうに、立ち去りもしない。

Young Man?
少年?

それどころかなにか相談してるっぽかった。蟲についてな。 怪しむなっていうほうが、無理があるだろ。

Young Man?
シエル

『蟲』? この、データにはない生物のことですか?

Ciel
少年?

そうだよ。つか、蟲のこと知らないのか? だったらなんの調査してたんだよ。蟲のことじゃねぇのか?

Young Man?
少年?

なんか明らかにするとか、特定するとか、 そんなこと話してたじゃねぇか。

Young Man?
少年?

……なあ、少しはそっちのことも教えてくれよ。 俺がここに来た理由は話しただろ。

Young Man?
ラーベ

いや、まだ聞いていないぞ。お前はこの蟲とやらを 追ってきたと言っていたが、理由は?

Raabe
少年?

話したら、あんたらが誰なのか教えてくれるんだろうな?

Young Man?
ラーベ

そのときはお前が誰なのかも聞かせてもらいたいものだがな。

Raabe
少年?

はぁ。わかったよ。とにかくこっちのことを 教えればいいんだろ。俺は……。

Young Man?
少年?

っ!

Young Man?
ラーベ

ぐへぇっ!

Raabe
シエル

ラーベさんっ!

Ciel
少年?

くっ……!

Young Man?
少女?

……仕留めそこないましたか。

Young Woman?
ラーベ

ふぅ……死ぬかと思った

Raabe
シエル

ラーベさん、死ぬんですか?

Ciel
ラーベ

それは内緒だ。

Raabe
ラーベ

ところでなんだ、次の登場人物は日本刀を携えた少女か。

Raabe
シエル

対象の敵対反応を感知しました。 下がってください、レイさん、ラーベさん。

Ciel
少年?

っぶねぇな! おい、サヤ! お前、いきなり斬りかかってくるやつがあるか!

Young Man?
サヤ

奇襲をしかけるのに、いきなりでない者がおりますか。

Saya
少年?

なんで奇襲してんだって聞いてんだよ!

Young Man?
サヤ

それはもちろん、兄様がなにやら不審な者どもと 対峙しているようでしたので、助太刀にと。

Saya
サヤ

さあ、覚悟なさいませ、不埒者。 我が兄様に仇なす者とあらば容赦はいたしませぬ。

Saya
シエル

対象の戦闘レベルの上昇を確認。

Ciel
少年?

は? ちょっ、おい、やめろ、サヤ!

Young Man?
サヤ

成敗!

Saya
サヤ

はぁぁぁっ!

Saya
シエル

迎撃態勢。

Ciel
少年?

この……やめろって言ってんだろ!

Young Man?
サヤ

兄様。なぜ邪魔するのです。

Saya
少年?

するわボケ! いいから刀を納めろ! そっちも。妹の無礼は詫びるが、一旦武器を引っ込めてくれ。

Young Man?
シエル

……どうしますか?

Ciel

1: シエル、戦闘解除
2: こっちも無闇に戦う気はないよ

1:
2:

シエル

了解しました。

Ciel
少年?

悪いな。ありがとう。

Young Man?
サヤ

兄様。無警戒が過ぎます。彼奴等が蟲の関係者であったなら、 どうするおつもりですか。

Saya

Dear brother...this is only natural if they're related to the bugs.

少年?

その場合でも、問答無用で斬り殺されたら困るんだよ。 つーか、いつまで俺の首に刀突き付けてんだ、殺す気か。

Young Man?

Even if they were, it doesn't mean you should kill them on sight. And are you gonna stop holding your sword to my neck anytime soon? You trying to kill me or something?

サヤ

お許しいただけるのでしたら、今すぐにでも。

Saya

If you wish, I can do so right now.

少年?

誰が許すか!

Young Man?

Who the hell would wish for that!

サヤ

大きな声を出さなくても、聞こえております。 粗暴な振る舞いはいけませんよ、兄様。

Saya
サヤ

頭に血が上っているのなら、少し掻き出しましょうか?

Saya
少年?

この状況でお前に粗暴さ咎められたくねぇんだけど? いいからその刀を近づけるな! しまえ!

Young Man?
サヤ

……わかりました。手のかかる兄様ですね。 しまえばよろしいのでしょう。

Saya

第1節 遭遇③/ 1. Encounter - 3

Summary
素性を明かすナオトとサヤ。ナオトたちは、

蟲を退治しながら、事態解決の方法を探って いた。

少年?

これでやっと話ができる……。ったく、事情もわかんない うちから刃物振り回すのやめろよ。というか殺すな。

Young Man?
サヤ

なにを申します。全ては兄様をお助けしたいと思えばこそ。

Saya
シエル

あのふたりは、兄妹のようですね。

Ciel
ラーベ

そのようだな。それに先程の戦闘……ふたりとも、 ドライブ能力者だ。

Raabe
少年?

ドライブのことも知ってるとなると、いよいよ一般人って 感じじゃねぇな。本当に何者なんだ、あんたら。

Young Man?

If you guys know about Drives, then you're definitely not normal people. Who the hell are you guys?

少年?

……まあいいや。とりあえず先に仕掛けたのはこっちだ。 お詫びに、まずはあんたらの質問に答えるよ。

Young Man?
少年?

俺から聞きたいことがあるんなら、言ってくれ。 嘘は言わねぇ。まぁ勿論知ってる範囲で、だけどな。

Young Man?
ラーベ

そうか。ならまず素性を教えてもらおうか。 お前たちは、何者だ?

Raabe
ナオト

俺は黒鉄ナオト。で、こっちは妹の……。

Naoto
サヤ

輝弥サヤと申します。 共に新川浜市内の高校へ通う、普通の高校生でございます。

Saya
シエル

二人はご兄妹なのですね?

Ciel
サヤ

はい、この黒鉄ナオトは私の実の兄でございます。

Saya
ナオト

お……素直に話すじゃねぇか。 『実の』って言葉が気になるけどよ……。

Naoto
サヤ

無論です。素性を偽る必要などありますまい。

Saya
サヤ

それに、彼らが敵であったとき、 名も知らぬ者に殺されるのは不憫ですから。

Saya

1: 色々と物騒な発言があったような……
2: 妹さんの殺意が高いよ!?

1:
2:

シエル

同感です。

Ciel
ラーベ

……輝弥……と、黒鉄?

Raabe
サヤ

はい。姓が違うのは、兄の自主的な行為によるものです。 兄は輝弥の名を嫌い、母方の姓を名乗っておりますので。

Saya
ナオト

……輝弥の名前なんて、名乗りたくねぇからな。

Naoto
サヤ

またそのようなことを。 古くから伝わる私達の大切な『銘』ですよ。

Saya
ナオト

お前にとってはそうだろうけど、俺には……。 いや、いいや、家の話は関係ねぇだろ。

Naoto
ナオト

他の話にしてくれ。

Naoto
シエル

では、先ほどの蟲と呼ばれる生物と、どのような関りが あるのか教えてください。

Ciel
シエル

ナオトさんは、蟲を追いかけていたと言っていました。 追う目的はなんですか?

Ciel
ナオト

倒すため。駆除って言ったほうが早いか。 そのために夜の街をあちこち歩き回ってるんだよ。

Naoto
サヤ

この生物は人を襲います。

Saya
サヤ

襲われた者は意識を失い、そのうちの幾人かは体を蟲に 乗っ取られて傀儡のようにうろつく有様。

Saya
サヤ

幸い、私と兄様には荒事の心得がありましたので。

Saya
サヤ

危険な生物が跋扈していると知りながら、 なにもせずにいるのは、いささか道理に反しましょう。

Saya
シエル

道理によって、蟲を退治しているのですか?

Ciel
サヤ

はい。

Saya
ナオト

まあ……それだけってわけじゃねぇんだけどさ。

Naoto
シエル

他にはどんな理由があるのですか?

Ciel
サヤ

調べています。この蟲が発生した原因や、根絶するための方法を。 このまま野放しにしていれば、被害は増えるばかりですから。

Saya
サヤ

被害を受けた人の治療法や、解決法も…… あるのならば知りたいと思っております。

Saya
ナオト

ただ、正直何匹倒しても、それらしい情報なんて なんも見つけられてないんだ。

Naoto
ナオト

だからお前たちが蟲について何か情報を持ってるんなら、 それを教えてもらいたいと思ってる。

Naoto
ナオト

……こんな感じだ。こっちのことはほとんど話した。 そっちの名前くらいは教えてくれよ。

Naoto
ラーベ

……そうだな。まず、こいつはシエル=サルファー。 こっちがレイだ。

Raabe
シエル

よろしくお願いします。

Ciel
ラーベ

そしてこの愛らしい丸いフォルムが魅力的な私は、 ラーベ、もしくはラーベちゃんと呼べ。

Raabe
サヤ

ラーベさん、ですか。口をきくだけでも奇妙と 思っておりましたが、名前もあるのですね。

Saya
ナオト

その前にどうやって浮いてるのかすげー気になるぞ。

Naoto
ラーベ

ふむ。お前たちの興味について答えてやりたいところだが、 ちょっと待ってろ。

Raabe
ラーベ

……おい、レイ、シエル。 カガミとしての名前は、ここでは絶対に口にするなよ。

Raabe

1: なんでですか?
2: えっと破城カガミでしたっけ?

1:
2:

ラーベ

なんでもだ。ややこしくしたくなければ黙ってろ。

Raabe
ラーベ

それを言うなと言ってるんだ……!

Raabe
シエル

口外しない件、了解しました。

Ciel
ラーベ

よし、シエルはいい子だ。

Raabe
ナオト

おい、なにこそこそしてんだ?

Naoto
ラーベ

いや、なんでもない、こっちの話だ。気にするな。

Raabe
ラーベ

それより、蟲の手がかりを求めているという話だが…… 生憎だが、力になれるような情報を私たちは持っていない。

Raabe
シエル

はい。私達がこの街に到着したのはつい先ほどです。 蟲の存在も、先ほど初めて知りました。

Ciel
ナオト

じゃあなにか? なんにも知らないで、こんなところに 迷い込んで、偶然蟲に襲われたってことか?

Naoto
シエル

その通りです。

Ciel
ナオト

マジかよ。迂闊っつーか、間抜けっつーか……。

Naoto
シエル

そんなにここは特徴的な場所なのですか?

Ciel
サヤ

この通りは繁華街からも離れており、 住宅街へも通じておりません。

Saya
サヤ

治安の悪さも届かない、暗く陰気な ドブ臭い闇の吹き溜まり。ですので……。

Saya
サヤ

連中が集まりやすいのです。 ……このように。

Saya
シエル

! また現れました。 先程と同じく、蟲と呼ばれる敵性生物のようです。

Ciel
サヤ

下がってください。私が……。

Saya
ナオト

いや、俺がやるよ。サヤはもう休んでろ。

Naoto
サヤ

なにをおっしゃいます。兄様こそ、ご無理をなさらず。 右手の調子がおかしいままなのでしょう。

Saya
ナオト

だからって、お前に任せてのうのうとしてられるかよ。

Naoto
ラーベ

よし、ならお前たち兄妹に任せた。

Raabe
ナオト

お前らも手伝えよ!

Naoto
シエル

レイさん、どうしますか?

Ciel

1: もちろん
2: 手伝おう!

1:
2:

シエル

了解しました。加勢します。

Ciel
サヤ

獲物の取り合いですね。 勝負ですよ兄様。

Saya
ナオト

勝負とかじゃねぇだろ……。

Naoto
シエル

戦闘行動を開始します。 レイさん、物陰などに注意してください。

Ciel

第1節 遭遇④/ 1. Encounter - 4

Summary
ナオトは御剣機関と良好な関係ではないよう

だが、ある事情を解決するため、シエルたち を信用する選択をする。

サヤ

お見事です。

Saya
シエル

サヤさんとナオトさんこそ、お疲れ様です。

Ciel
ナオト

……なんか今回は、調子よかったな。 いつもより体が軽かった気がしたぞ。

Naoto
サヤ

まあ。ふしだらな。

Saya
サヤ

{{ruby|若い女人|おのこがいるからといって、そのように浮かれるなど。 兄様も、男の子ですのね。

Saya
ナオト

妙な言い方やめてもらっていいですかね、サヤさん。

Naoto
サヤ

誤魔化す必要などありませんよ。仕方のないこと。 でも……そういうものは、胸の内に秘めてこそですよ。

Saya
ナオト

だからそういうんじゃねぇって言ってんだよ!

Naoto
サヤ

さて、いつまでもここにいては、 また奴等がどこからか這い出してくるやもしれませぬ。

Saya
ラーベ

そうだな。雑魚をいくら倒してもこれ以上の情報を望めないなら、 話の続きは場所を変えようか。

Raabe
ナオト

無視しないで!?

Naoto
ナオト

人気もないし、ここでいいか。ベンチもあるし。

Naoto
サヤ

まぁ兄様……

Saya
ナオト

それはもういいから。

Naoto
ナオト

とにかく、もうちょっとだけあんたらのこと聞かせてくれ。 さっき、新川浜にはきたばっかりって言ってたけど……

Naoto
ナオト

新川浜に来た目的ってのが、 あんたらが言ってた『調査』ってやつなのか?

Naoto
シエル

はい、そうです。

Ciel
ラーベ

……この土地に、奇妙な現象が起きていると聞いてな。 その調査に訪れたところだ。

Raabe
サヤ

奇妙な現象……、ですか。

Saya
ラーベ

例えば、あの蟲だ。あれは以前からこの辺りに 生息していたものではないんだろう?

Raabe
ナオト

あんなのがウロウロしててたまるかよ。 1週間くらい前からだよ……突然現れ出したのは。

Naoto
ナオト

……え? あれ、そういうことも知らずに調査に来たのか?

Naoto
ラーベ

そういう情報を収集するための、調査だ。 なにごとにも最初の段階というものはあるだろう。

Raabe
ナオト

ああ、それもそうか。でもなんでそんな調査してんだ? 誰かから頼まれたとかか?

Naoto
ラーベ

それが、我々の仕事だからだ。

Raabe
ナオト

蟲の調査が?

Naoto
ラーベ

異常な現象の調査が、だ。そういう機関の所属でね。 ……『御剣機関』というんだが、聞いたことはないか?

Raabe
ナオト

『御剣機関』だと!?

Naoto
ラーベ

おや。どうやら知ってるみたいだな。

Raabe
サヤ

…………。

Saya
ラーベ

そしてどうやら、良好な関係ではないらしい。

Raabe
サヤ

御剣機関。化け物退治を謳う連中ですよね。珍妙な傭兵などを 雇って、この辺りをうろつかせている不穏な輩……。

Saya

The Mitsurugi Agency. Extolling monster extermination, hiring strange mercenaries and slinking around the region, harbingers of bad luck...

サヤ

ええ、良好でない関係がございます。主に、兄様との間で。

Saya
サヤ

ですので事と次第によっては、私は再び刀を抜く 必要があります……。

Saya
ラーベ

待て待て。落ち着け。

Raabe
ラーベ

確かに化け物退治も業務のひとつだ。必要なら駆除もする。 今回の蟲に関してもそういう部門に属する内容だろう。

Raabe
ラーベ

だが御剣機関と一言に言っても、その内容は多岐にわたるし、 部署も山ほどある。

Raabe
ラーベ

お前たちと関わりのある御剣機関と我々とは、 別物だと考えてもらいたい。

Raabe
サヤ

それを鵜呑みにするのは、いささか難しゅうございます。

Saya
ラーベ

なにしろ訳ありの組織だからな。機密事項が多く、 余程の事じゃない限り、部署間での情報共有は無きに等しい。

Raabe
ラーベ

現に私たちは、お前たちのことを知らなかった。

Raabe
サヤ

……『あれ』を余程では無いと?

Saya
ラーベ

『あれ』?

Raabe
ナオト

サヤ、もういいよ。 確かにこいつらは俺の知ってる『御剣機関』とはだいぶ違う。

Naoto
ナオト

とりあえずは信用しとこうぜ。

Naoto
ナオト

だからよ、あんた等が本当に御剣機関の人間だっていうんなら、 知恵を貸してもらいたいことがある。

Naoto
サヤ

兄様、まさかあのことを……?

Saya
ナオト

……ああ。このまま俺たちが闇雲に蟲退治してたって、 事態が進展するとは思えないだろ。

Naoto
ナオト

こいつらは、少なくとも俺たちよりは知識があるはずだ。 なにか……取っ掛かりくらいは、わかるかもしれねぇ。

Naoto

1: なにか力になれる?
2: 詳しく話を聞かせて

1:
2:

ナオト

……どうせ話すなら、直接見てもらったほうが早いかもな。 案内するから、ついてこいよ。そこで詳しいことも話す。

Naoto

第2節 異変①/ 2. Abnormality - 1

Summary
ナオトに導かれた先には、ラケルという昏睡

状態の少女がいた。彼女を目覚めさせるため、 ナオトはシエルたちに協力を申し出る。

And that's how she's neither dead nor alive. I see.
ナオト

こいつの名前はラケル。

Naoto
ナオト

突然目を覚まさなくなってから、1週間たった。 呼んでも揺すっても反応なし。身動きひとつしない。

Naoto
シエル

1週間、飲まず食わずということですか? とてもそうは見えませんが……。

Ciel

1 week without eating or sleeping? That's hard to believe when she doesn't look like it at all.

ナオト

ああ、まあ、そこんところはちょっとこいつ自身に 原因があると思うんだけど……。

Naoto

Oh, well, that's more something due to Raquel herself...

ナオト

とにかく、なんの前触れもなく突然、 こいつは眠ったままになった。

Naoto
サヤ

そして、それと時を同じくして、 新川浜にはあの蟲が発生するようになりました。

Saya
シエル

彼女が昏睡状態になったことと、 蟲の発生はなにか関連があるのですか?

Ciel
ナオト

わかんねぇ。

Naoto
ナオト

でも、あんまりにもタイミングが近かったからな。 俺たちは、なにか関係があるんじゃないかって考えてる。

Naoto
ナオト

だからとりあえず蟲のことを調べようと思って、 夜な夜なああいう場所を回ったりしてるんだけど……。

Naoto
ラーベ

直接関係があるかどうかもわからないで、 蟲の調査なんかしてるのか?

Raabe
ナオト

そうだよ。他になんにも取っ掛かりがなかったんだ。 そんくらい意味不明な昏睡なんだよ。

Naoto
シエル

医療機関での診察は受けたのですか?

Ciel
ナオト

あ、いや……ちょっと事情があってな。病院には行ってない。

Naoto
シエル

なぜですか?

Ciel
ナオト

それは……。

Naoto
ラーベ

人間用の病院に連れて行っても、意味はないだろうからな。

Raabe
ナオト

なっ……。

Naoto
ラーベ

だろう? でもお前は、彼女がどういう状態なのか、 知りたいとも思っている。

Raabe
ラーベ

私ならわかるかもしれないぞ? なんなら詳しく調べてやろうか。

Raabe
ナオト

……調べるって、なにするんだよ?

Naoto
ラーベ

なに、軽くスキャンするだけだ。レントゲンみたいなもんだな。 痛みもないし、ほんの数十秒で結果もわかる。

Raabe
ナオト

…………。

Naoto
サヤ

兄様、ここまでお話したのです。お願いしてみてはいかがですか。 なにか……手がかりがあるかもしれません。

Saya
ナオト

……ラケルに危害を加えるようなことだけは、絶対にするなよ。

Naoto
ラーベ

加えてどうする。 安心しろ、いやらしいこともしないと誓うぞ?

Raabe
ナオト

あ……あ、当たり前だろ! なに言ってんだあんた!

Naoto
ナオト

……ったく。はぁ。わかったよ、頼む。 ラケルの状況が知りたいのは、間違いねぇんだし。

Naoto
ラーベ

すぐにすむ。そう身構えるな。

Raabe
ラーベ

その間……そうだな、この子達に茶でも用意してくれ。 もっとも私は飲めないが。

Raabe
ナオト

はいはい。紅茶でいいな?

Naoto
シエル

お気遣いいただき、ありがとうございます。

Ciel
サヤ

兄様。私は緑茶をお願いします。紅茶は好みませんので。

Saya
ナオト

わかってるよ。……ったく、美味しいのに。

Naoto
ナオト

お待たせ。紅茶、ここ置くぞ。

Naoto
シエル

ありがとうございます。いただきます。

Ciel
サヤ

熱いですから、舌など焼けただれませんよう 気を付けてくださいね。

Saya
ナオト

普通に火傷って言えよ……。

Naoto
シエル

っ! こ、これは……。

Ciel
ナオト

な、なんだ? 熱かったか? 大丈夫か?

Naoto

1: 美味しい!
2: これは……セイロンティーだね

1:
2:

ナオト

なんだよ、驚かせやがって。 ……美味いか、そりゃよかった。

Naoto
ナオト

おっ。わかるか?

Naoto
ナオト

セイロンのディンブラっていう紅茶だ。ブレンドティーによく 使われてるんだけど、それだけでも悪くないだろ。

Naoto
ナオト

ストレートでもミルクでも、どんな飲み方でも合うんだ。 淹れ方は……。

Naoto
サヤ

兄様。

Saya
ナオト

あ?  ……ああ、はは、悪ぃ、悪ぃ。

Naoto
ナオト

紅茶のことになるとつい、な。 気にすんな、好きに飲んで。

Naoto
シエル

はい。

Ciel
シエル

……これが、紅茶……。 フガクで飲んだものとは、まるで違います。

Ciel
シエル

とても豊かな香りと味がします。これが本物の紅茶であるならば、 私が飲んでいたあの紅茶はまるで茶色い水です。

Ciel
ナオト

茶色い水って……そんなにまずい紅茶なのか?

Naoto
シエル

まずいという言葉の基準がわかりかねますが、 これが正解の紅茶であるのならば、フガクのものは不正解です。

Ciel
ラーベ

おいこらシエル。ばっさり言うんじゃない。 アレでもそれなりの茶ではあるんだぞ。

Raabe
ラーベ

しかし、シエルがそうまで言うほど美味いのか……。 くそっ、私も飲みたい。飲食機能の搭載を要望するべきか……。

Raabe
サヤ

かようなことよりも、いかがでしたか? 計測……とやらは終わったのでしょうか?

Saya
ラーベ

おっと、そうだった。 ああ、終わったとも。ある意味ばっちりだ。

Raabe
ナオト

ある意味? ……なんかわかったのか?

Naoto
ラーベ

ふふん、まあな。まず現状についてだが、 結論から言うと、彼女は現在『生きて』いない。

Raabe
ナオト

…………は?

Naoto
シエル

生きていない、ということは…… 死んでいるということですか?

Ciel
ナオト

んな馬鹿な! そんなはずはねぇ! こいつが『死んで』んなら、俺も『死んでる』はずだ!

Naoto
ラーベ

なるほど。ライフリンクについては知っているみたいだな。

Raabe

I see now. So you know about Life Links.

サヤ

ライフ……リンク?

Saya

Life... Link?

ラーベ

簡単に言うと、命が繋がっている状態のことだ。 命の共有、とも言えるな。

Raabe

Put simply, it's a state where two lives are connected. You could also say it's a sharing of life.

ラーベ

ふたり合わせて、ひとつの命だ。

Raabe

Putting two together to form one life.

ラーベ

片方が生きてさえいれば、もう片方は決して死なない。 ふたり同時に死なない限り、な。

Raabe

As long as one of the two is still living, the other will absolutely not die. As long as they don't die at the same time, at least.

ラーベ

黒鉄ナオトとこのラケルという少女は、 そういう特殊な繋がりを持っている。

Raabe
ナオト

ちょっと調べただけで、そんなことまでわかっちまうのか。 すごいな……。

Naoto
ラーベ

少しはこちらの能力を信用したか?

Raabe
ラーベ

当人が把握しているのなら、話は早い。 ならば改めて断言しよう。彼女は『生きて』いない。

Raabe

If you've grasped this, then this'll go quicker. Let's start over again: she's not "alive" right now.

ラーベ

だが『死んで』もいない。

Raabe

But she's not "dead" either.

サヤ

……どういうことでしょうか?

Saya

Which means?

ラーベ

簡単な言い方をすると『魂』と『肉体』の接続が 切れている状態だ。

Raabe

She's in a state where her "soul" has been split from her "body."

ラーベ

『魂』と繋がっていない肉体、つまり『器』は 物も同然だ。だから『生きて』いるとは言えない。

Raabe

It goes without saying that a body without a "soul" connected to it, in other words, the "vessel," is just an object. So you can't say it's "alive."

ラーベ

だが『魂』そのものが消滅したわけではない。 どこかに必ず存在はしている。なぜなら……。

Raabe

But that's not to say the "soul" has been erased. It must be hidden somewhere, because...

ナオト

ライフリンクで繋がってる俺が生きているから……か。

Naoto

Because I'm connected to it via a Life Link, and I'm still alive... right?

ラーベ

そうだ。

Raabe

That's right.

サヤ

それで、生きてはいないけれど、死んでもいない…… なるほど。

Saya
ラーベ

ただ、魂と器が切り離された状態で居続けるというのは、 かなり特殊な状態だ。通常の人間では、まずありえない。

Raabe

However, to be in a condition where a soul is split from the body for an extended amount of time is very peculiar. Among normal humans it'd be nonexistent.

ラーベ

そこでひとつ確認したいんだが。 彼女は……何者だ?

Raabe

So there's something I'd like to confirm regarding that. This girl...what is she, exactly?

ナオト

……それも今のスキャンってやつで、わかったのか?

Naoto

...You couldn't tell based on your scan?

ラーベ

一目見たときから概ねな。だがスキャンしても…… 確信は得ていない。だからこそ教えろ、彼女は何者だ?

Raabe

I only looked over her briefly. And the scan itself...well, it didn't turn up anything concrete. So please tell us, what is she?

ナオト

……ラケルは……吸血鬼だ。

Naoto

...Raquel is...a vampire.

ラーベ

吸血鬼か!! やっぱり!

Raabe

A vampire!! I knew it!!

ラーベ

いやぁ〜そうかそうかぁ……吸血鬼かぁ……。

Raabe

Ahh, I see. I see, so a vampire, huh...

シエル

吸血鬼……? 空想上の存在だと思っていましたが…… 実在するのですね。やはり、血液を吸引するのですか?

Ciel

A vampire...? I thought they were just figments of imagination, but do they really exist? Do they really drink blood?

ラーベ

うむ……人の生き血をすすらねば生きていけなかったり、 日光にあたると灰になって消滅したり……

Raabe

Indeed...creatures that must drink human blood to live, and will crumble to ashes if exposed to sunlight...

ラーベ

……ということはあまりないな。

Raabe

Do not exist.

シエル

ないのですか?

Ciel

So they don't?

ラーベ

その手の伝承は虚実入り混じっているからなぁ。 血も吸わないわけではないし……。

Raabe

Those stories are all mixtures of fact and fiction. It's not as though they don't drink blood...

ラーベ

だが、本などに書かれている吸血鬼とはちょっと違うぞ。 『実際』の吸血鬼は人が生み出した、最強にして最恐の生物だ。

Raabe

But they're different from the vampires written about in books. "Actual" vampires were born from humans, and they're fearsome and strong creatures.

ラーベ

しかし……なるほどなるほど、吸血鬼か。 それならこの特殊な状況を保ち続けているのにも、納得できる。

Raabe

But then... I see, I see. So she's a vampire. That's how she was able to maintain this abnormal state for so long.

ラーベ

だけど、そうか……吸血鬼か……。

Raabe

But, well... a vampire, huh.

ナオト

なんだよなんだよ。なにか問題あるのか?

Naoto

You got something you wanna ask?

ラーベ

いや。ない。全く。むしろ逆。 本物の吸血鬼のデータを取れる機会などそうそうないから!!

Raabe

No. Nope. Not at all. In fact, it's the opposite. It's very rare one gets the opportunity to extract data from a real vampire!!

ナオト

お前、なにちょっとテンション上がってんだよ……。

Naoto

So you were just leading me on...

ラーベ

そうそう、念のため確認しておきたい。 彼女の名前は……ラケルといったな。

Raabe

Oh, right, I wanted to confirm something else too. Her name is... Raquel, right?

ラーベ

ラケル、その続きは? ファミリーネームのようなものを聞いていないか?

Raabe

Raquel. And then, what comes after that? Have you ever heard something like a family name?

ナオト

『アルカード』? ラケル=アルカードって、 最初に名乗ってたけど……。

Naoto

"Alucard?" Raquel Alucard, or at least that's what she introduced herself to me as.

ラーベ

アルカード! まさか! いや、やはりか!

Raabe

Alucard! No way! No, so she really is!

1: やはりって?
2: アルカードって?

1: "So she really is?"
2: "Alucard?"

ラーベ

アルカードといえば、吸血鬼の中でも 最強の一族の名だ。その存在はもはや伝説。

Raabe

The Alucard clan is, even among vampires, recognized as the strongest. Their existence is almost a legend itself.

ラーベ

むしろその他の全ての吸血鬼が、 アルカードから始まったと言っても過言ではない!

Raabe

It wouldn't be an exaggeration to say all of the other vampires in existence first began with the Alucards!

ラーベ

その伝説が今、私の目の前に…… これは……研究材料としては垂涎ものだな……。

Raabe

And that legend is now right before my very eyes... This is...a research opportunity that can't be missed...

ナオト

あのな。ラケルのことを調べてくれるなら助かるけど、 それ以上、あんま勝手なことはしてくれるなよ。

Naoto

Hey, so. It might help if you look into Raquel, but don't just do whatever you want.

ナオト

相手は意識もないんだからな。

Naoto

She's not exactly conscious.

ラーベ

わ……わかっているとも。失礼だな、君。 本人の許可もなく、勝手に器を弄り回すなどするものか。

Raabe

O...Of course I'm aware of that. That's pretty rude of you. What kind of person would mess with someone's vessel without the person's consent?

ラーベ

だが…… そうか、これがアルカードの吸血鬼の『器』か……。

Raabe

But still.... So this is the "vessel" of a vampire of the Alucards....

ナオト

お、おい。本当に信用していいんだろうな。

Naoto

Uh, hey. Can we really trust you?

ラーベ

当然だ。

Raabe

Of course.

ラーベ

だが万が一、お前にもしものことがあればだ…… そのときは、この器をもらってもいいか? いいだろう?

Raabe

But in the one-in-a-million chance something happens to you....it'll be fine if we take this vessel with us, right? Right?

ナオト

いいわけあるか! 俺のもんじゃねぇよ! やっぱりお前、信用できねぇ……。

Naoto

As if! This isn't just about me! I really can't trust you!

シエル

ラーベさん、本来の目的を忘れています。

Ciel

Raabe, you've forgotten our original goal.

ラーベ

おっと、そうだった。

Raabe

Oh, you're right.

ナオト

はぁ。調べたいことがあるなら、ラケルの目が覚めたときに 本人に聞けよ。

Naoto

Sigh. If there's anything you want to look into, ask Raquel after she wakes up.

ナオト

ラケルがOK出すなら、俺は文句ねぇし。 血圧でもなんでも計ればいいだろ。

Naoto

If Raquel gives the OK, I won't complain. Blood pressure and stuff just gotta be measured, right?

ラーベ

そうか! うんうん、そうだな。本人に聞けばいい。 よし、俄然やる気が出てきた。

Raabe

That's right! Yes, yes, that's very true. We just need to ask her ourselves. Alright, now I'm motivated.

シエル

そういうのを職権乱用と言うのではないでしょうか?

Ciel
ラーベ

馬鹿者。公私混同だ。

Raabe
サヤ

どちらもあまり、 褒められたものではありませんね……。

Saya
ラーベ

さて。差し当たっての問題は、 器と魂の遮断がなぜ起こったのか、だ。

Raabe
ナオト

スルーかよ。

Naoto
ラーベ

彼女が昏睡に至った原因は不明。 ただし同時期に蟲の発生が始まった。これは確かか?

Raabe
ナオト

全く同じ瞬間に起きたとまでは、断言できねぇよ。 でも……偶然とは思えないほど、同じタイミングだったと思う。

Naoto
サヤ

少なくとも私たちがふたつの現象を把握したのは、 とても近しい時でした。

Saya
ラーベ

ふーむ。ラケル嬢が昏睡したから蟲が発生したのか、 蟲が発生したからラケル嬢が昏睡したのか……。

Raabe
ラーベ

あるいはどちらも観測者の望みから発生した事象なのか…… それぞれの因果関係が気になるところだな。

Raabe
ナオト

……ちょっと待て、 今なんかすげえ重要なこと言わなかったか?

Naoto
ラーベ

うん?

Raabe
ナオト

誰かの望みから発生……とか言ったよな?

Naoto
ナオト

ラケルが眠ったままなのは、誰かが仕組んだからなのか?

Naoto
ラーベ

意図して行ったかどうかはさておき、 まあ、そういう因果関係がある可能性は大きい。

Raabe
ナオト

なんだよそれ! どうやって……。 いや、そもそも誰がそんなこと!

Naoto
ラーベ

誰なのかはわかっていない。 その『誰か』を私たちは探しているんだ。

Raabe
サヤ

先ほど、新川浜に異常な現象が発生している……と おっしゃっていましたね。それを調べるのがお仕事だと。

Saya
サヤ

その人探しも、お仕事の一環なのですか?

Saya
ラーベ

ああ。その人物に行き当たれば、 新川浜に起きている異常現象は解決するだろう。

Raabe
ナオト

じゃあ、ラケルのことも!?

Naoto
シエル

目を覚ますのではないでしょうか。

Ciel
ナオト

そっか……。

Naoto
ナオト

あんたらが話してること、たぶん俺、 半分もわかってないと思うんだけどさ。

Naoto
ナオト

それでも、あんたらがやろうとしてることで、ラケルが 目を覚ますかもしれないんなら……。

Naoto
ナオト

その仕事ってやつ、俺にも手伝わせてくれないか。

Naoto
サヤ

兄様……。

Saya
ナオト

正直言って、ラケルのためになにをしたらいいのか、 全然わかんねぇんだ。

Naoto
ナオト

蟲について調べようとしてたのだって、 それしかやりようがなかったからだ。

Naoto
ナオト

でも、いつか起きるかもって待ってるわけにもいかねぇ。 できることがあるんなら、そうしたいんだ。頼む。

Naoto
サヤ

……私からも、お願いいたします。

Saya
サヤ

あなた方のお話は、突飛で荒唐無稽、 そのうえあやふやで信じるに値しません。

Saya
サヤ

ですがそれでも、私や兄様が困惑しているこの状況に対し、 あなた方は私たちよりずっと詳しいご様子。

Saya
サヤ

どうかその人探し、お手伝いさせてくださいませ。

Saya
シエル

……どうしますか?

Ciel
ラーベ

現地での協力者が得られるのは、こちらとしても好都合だ。 だが安全の保障はないぞ。わかってるのか?

Raabe
ナオト

わかってるよ。はなから保障してもらおうなんて思ってねぇ。 それに、安全の保障がないのは今も同じだしな。

Naoto
サヤ

己の身くらいは己で守りますゆえ、ご心配なく。

Saya
ラーベ

……しかし、それほど熱心に協力を申し出てくるとは、 ずいぶんこの吸血鬼少女に思い入れがあるんだな。

Raabe
ナオト

ああ。

Naoto
サヤ

それは、もちろん。

Saya
シエル

おふたりとラケルさんは、どのような関係なのですか?

Ciel
ナオト

関係か……。まあ、簡単に言うと命の恩人だな。

Naoto
ナオト

こいつと出会ったのは、わりと最近のことなんだよ。

Naoto
ナオト

こいつが変な男に絡まれててさ。それを助けようと思って 割って入ったら……返り討ちにあっちまって。

Naoto
サヤ

兄様が危うく命を落としかけたところを、 ラケルさんに助けていただいたのだそうです。

Saya
サヤ

……私がお側にいれば、そのような不届き者、 一太刀のもとに首を落としてみせたものを……。

Saya

Had I been by your side, such rabble would have had their heads cut off with one swing of this sword...

ナオト

首落としたら殺人だろうが……。

Naoto

Beheading them means you'd be a murderer....

サヤ

兄様のためとあらば。

Saya

All for my brother.

ナオト

頼んでねぇから! そういうことすんなよ! マジで!

Naoto

Nobody's asking you to! Don't do it! Seriously!

ナオト

……とにかく、こっちのことは気にしなくていいから。 手伝わせてくれるってことで、いいんだよな?

Naoto

1: もちろん、よろしく
2: 頼もしいです

1:
2:

ナオト

よし、決まりだな。 それじゃ……とりあえず、今夜、泊まってくか?

Naoto
シエル

よろしいのですか?

Ciel
サヤ

そうですね。それがいいでしょう。 今から駅に戻って宿を探すのも。お手間でしょうし。

Saya
ナオト

レイはリビング使ってもらって…… シエルは悪いけど、ラケルの隣でもいいか?

Naoto
サヤ

まあ。破廉恥な。

Saya
ナオト

ばっ……馬鹿か、違ぇよ! そういう変な意味じゃなくてだな! 今から駅戻って宿探すのも大変だろうが!

Naoto
ナオト

もちろん、部屋は分けるから。あー、つっても…… この部屋しかないんだ。ラケルと一緒でもいいか?

Naoto
ラーベ

もちろんだとも!!!

Raabe
ナオト

お前は駄目だ!!!

Naoto
ラーベ

何故だ!!!???

Raabe
シエル

……私は問題ありません。 拠点となる場所もまだ探していなかったので。

Ciel

...I have no problem with it. We have yet to scout the region, after all.

ナオト

あてもなしだったのかよ。無計画だな、あんたらの仕事って。

Naoto

So you guys had no plans at all? Your work sure is unstructured.

ラーベ

柔軟な対応が求められるんでな。

Raabe
シエル

ありがとうございます。 ナオトさんはとてもいい人なのですね。

Ciel
サヤ

おわかりいただけますか。

Saya
ナオト

やめてくれよ、恥ずかしいから。 えーと、寝具はふたりぶんでいいか?

Naoto
シエル

はい、問題ありません。

Ciel
サヤ

では私は一度、失礼いたします。

Saya
ナオト

ああ。帰り、気を付けろよ。

Naoto
シエル

え? サヤさんはどちらへ?

Ciel

Hm? Saya, where are you going?

サヤ

家です。私は別の家で寝起きしておりますので。 ここは元は、兄様が単身でお住まいの部屋です。

Saya

Home, of course. I sleep at a separate house. This was originally my dear brother's single apartment.

ナオト

今は、ラケルが居候中だけどな。

Naoto

Although it's Raquel's now.

シエル

兄妹なのに、一緒に住んでいるわけではないのですね。

Ciel

So even though you're siblings, you don't live in the same house.

サヤ

はい。だって同じ屋根の下で寝起きなどしていたら、 うっかり殺してしまうかもしれないではないですか。

Saya

No, we don't. If I were to live under the same roof as my brother, I might accidentally kill him.

ナオト

さらっと言うことじゃねーよ、一緒に住んでなくても殺すなよ。

Naoto

Don't say that so casually. And don't kill me even if we don't live together, okay?

サヤ

難しいことをおっしゃらないでください。

Saya
ナオト

どのへんが難しいかなぁ!?

Naoto

1: もう遅いのにひとりで平気?
2: 夜道危なくない?

1:
2:

サヤ

ご心配なく。表の通りに車を待たせておりますので。

Saya
サヤ

では……ごゆるりと、お過ごしください。 おやすみなさいませ。

Saya
シエル

……丁寧な方です。

Ciel
ナオト

そうか? ……まあ、お育ちがいいからな。物腰は丁寧だよな。

Naoto
ナオト

それより、布団運ぶの手伝ってもらっていいか?

Naoto
シエル

はい。了解しました。

Ciel
ナオト

おう。 にしても、マジで今日はなんだか体が軽いな。

Naoto
シエル

そうなんですか?

Ciel
ナオト

ああ。なんでかわかんねぇけど、なんとなく。

Naoto
ナオト

あながち、お前らがいるからってのも 間違ってないかもな。はは。

Naoto

第2節 異変②/ 2. Abnormality - 2

Summary
メイドのEsと共に現われた冥は、シエルた

ちのことは言葉だけでは信用できず、実力を 見せろと迫り、手合わせをすることに。

1: うわ!?
2: 誰かがチャイムを連打している……

1:
2:

ラーベ

なんだなんだ、一体?

Raabe
シエル

一秒間に十八回……すごい勢いです。 ナオトさんを呼んできたほうがいいでしょうか。

Ciel
ナオト

あ〜〜〜〜〜! うるせぇうるせぇ! 起きてます! 起きました! 起きたから!!

Naoto
???

あ、本当に起きてる〜。偉い偉い。

???
ナオト

ひなた……お前、いい加減にしろよ、今日くらい……。 学校も休みなんだしよ……。

Naoto
ひなた

そういうわけにはいかないよ。ナオトちゃんが寝坊して、 お客さんがお腹すかせてたら、かわいそうでしょ。

Hinata
ひなた

あ、ほら。お客さん、もう起きてたみたいだよ。

Hinata
ナオト

お前が起こしたんだろ……。 ふぁっ……あ〜ぁ。

Naoto
ひなた

ナオトちゃんったら、大きなあくび。

Hinata
ひなた

おはようございます。 はじめまして、私、姫鶴ひなたといいます。

Hinata
ひなた

ナオトちゃんとは同じマンションに住んでて、 幼馴染なんです。

Hinata
シエル

シエルです。 こちらはレイさん。

Ciel

1: よろしくお願いします
2: ナオトさんにはお世話になってます

1:
2:

ひなた

こちらこそ、よろしくお願いします。

Hinata
ひなた

いえいえ、こちらこそ、 ナオトちゃんがお世話になってます。

Hinata
ラーベ

姫鶴ひなた、か。 で? さっきのチャイム連打はなんなんだ?

Raabe
ひなた

え? わあ、しゃべるロボット? すごーい! それに、かわいい。

Hinata
ラーベ

ふふ……そうだろう、そうだろう。 中々見る目があるな、君。

Raabe
ラーベ

って、そうではなくてだ。 あの騒音はなんの儀式だと聞いてるんだよ。私は。

Raabe
ひなた

あ。うるさくしてごめんなさい。 ナオトちゃん朝が弱いから、毎日ああやって起こしてるの。

Hinata
ひなた

普通の目覚ましだと、 いくつセットしても止めて二度寝しちゃうから。

Hinata
ナオト

……時々、自力で起きれてるだろ。

Naoto
ひなた

時々ね〜。

Hinata
シエル

おふたりは仲がいいんですね。

Ciel
ひなた

ふふ、長い付き合いだから。

Hinata
ひなた

あ、まだだったら、顔洗ってきちゃって。 すぐ朝ごはんの用意するから。

Hinata
シエル

食事まで、お世話になっていいんですか?

Ciel
ひなた

もちろん。ナオトちゃんから聞いたよ。 ラケルちゃんのこと、一緒に調べてくれるんでしょ。

Hinata
ひなた

ナオトちゃん、そのことでずっと不安だったみたいだから。 手伝ってくれる人が増えて嬉しいんだ。

Hinata
ひなた

私にできるのはごはんの支度くらいだけど。 朝ごはんしっかり食べて、パワーつけてね。

Hinata
シエル

ありがとうございます。 お言葉に甘えて、お世話になります。

Ciel

1: おなかいっぱい……
2: ごちそうさまでした

1:
2:

シエル

ごちそうさまでした。栄養バランスの整った、 素晴らしい朝食でした。食後に紅茶まで……。

Ciel
ひなた

はぁ〜、やっぱりナオトちゃんの淹れてくれた 紅茶は最高だね。

Hinata
ナオト

いつも作ってくれるお前の食事に比べたら、 大したもんじゃねぇけどな。

Naoto
ひなた

えへへ、ありがとう。ナオトちゃん。

Hinata
ナオト

…………。

Naoto
ひなた

どうかした? ナオトちゃん。

Hinata
ナオト

……いや、なんでもない。

Naoto
ひなた

お客さんかな? はーい。

Hinata
和装の少女

黒鉄! 貴様、また勝手に蟲の駆除に行ったな!?

Girl in a Kimono
ナオト

おお、びっくりした。どうしたんだよ急に。

Naoto
和装の少女

意外そうな顔をするな! 私が来ることは目に見えていただろうが!

Girl in a Kimono
和装の少女

何度も何度も何度も言ったが、 蟲の件にしゃしゃり出てくるんじゃない!

Girl in a Kimono
和装の少女

あれは私が受けた依頼だ! お前が蟲を駆除してしまったら、 私の報酬はどうしてくれるんだ!

Girl in a Kimono
サヤ

ちょうど下で会いまして。 せっかくですから、お連れしました。

Saya
???

お邪魔します。

???
ナオト

エスも一緒か。いらっしゃい。紅茶淹れるよ。

Naoto
Es

はい。いただきます。

Es
和装の少女

紅茶なんぞ飲んでる場合か! 話を聞け!

Girl in a Kimono
ナオト

なんだよ、いらないのか? うまいやつだぞ。

Naoto
和装の少女

……もらおう。

Girl in a Kimono
サヤ

私は緑茶でお願いします。

Saya
ナオト

はいはい、わかってるって。座ってろ。

Naoto
ひなた

あ、私、お手伝いするよ。

Hinata
ナオト

ほい。

Naoto
ひなた

リンゴも剝いてきたから、よかったらどうぞ。

Hinata
和装の少女

ああ。いただこう。

Girl in a Kimono
シエル

ナオトさん。こちらの方々はどなたですか?

Ciel
ナオト

そうだった、紹介するな。こっちが天ノ矛坂冥。 で、こっちがエス。どっちも……俺の知り合いだ。

Naoto
Es

初めまして。Esと申します。 冥の家でメイドとして置いていただいています。

Es
ラーベ

エス? それに天ノ矛坂ぁ? ……あ。いや。 うん、変わった名前だな。

Raabe

なっ……い、今喋ったの、そのちっこいのか?  なんだそれ?

Mei
ラーベ

ちっこいのではない。ラーベと呼べ。

Raabe

名前があるのか。そうか……。 ふう〜ん。……どうなってるんだ、これ?

Mei
ラーベ

おい、こら、やめるんだ! 勝手にあちこちいじくるな!

Raabe
Es

……シエルさんと、レイさん、 ですね。来る途中で、サヤさんからうかがいました。

Es
Es

蟲の調査を手伝ってくださるとか。それから……ラケルさんの 昏睡の解明にも、力を貸してくださると。

Es
シエル

はい。……正確には、我々の蟲の調査に ナオトさんたちがご協力いただくという話でしたが。

Ciel
ナオト

蟲の発生も、ラケルの昏睡も、 それを引き起こす原因になってる奴がいるらしいんだ。

Naoto
ナオト

そいつを見つければ、蟲のこともラケルのことも、 解決するかもしれないんだって。

Naoto

ほう? ずいぶんと突拍子もない話だな。 蟲を放った犯人がいると?

Mei
ラーベ

あー……犯人というか、原因となった存在ってところだが。 まあ、呼び名はなんでもいいか。

Raabe

そんな話を信じろと言うのか? 黒鉄や輝弥のような 短絡思考はまるめこめても、私はそうはいかないぞ。

Mei
シエル

ですが、事実です。

Ciel
シエル

私たちはその人物を探しています。そしてその人物の特定が、 新川浜における異常現象の解決に繋がると判断しています。

Ciel
シエル

ナオトさんとサヤさんもまた、この街で発生している異常現象の 解決を目的としています。

Ciel
シエル

目的が一致したため、私達は協力関係を結びました。 ……状況をご理解いただけるでしょうか。

Ciel

利害の一致、ね……。

Mei

…………。

Mei

……蟲の件の解決につながるというのなら、 やぶさかではない。 その犯人探し、こちらで行おう。

Mei

だからお前たちはもう蟲には関わるな。 手を出そうとするんじゃない。

Mei
ラーベ

何故だ? 私たちに関与されて、困ることでもあるのか?

Raabe
Es

冥は、あなた方を心配しています。 蟲は危険ですから。

Es

馬鹿者。誰が心配なんぞするものか。 ただ素人にウロチョロされるのが迷惑なだけだ。

Mei

蟲の駆除は、天ノ矛坂が行う。余計な手出しは邪魔だ。 報酬の山分けにも応じんぞ。

Mei
シエル

確かに、蟲の駆除に関しての経験値は低いかもしれませんが、 戦闘に関しては冥さんより高いと保証できます。

Ciel

It's true that we may have less experience with the bugs, but I can guarantee our combat ability is higher than yours, Miss Mei.

はっ、言うじゃないか。とてもそうは見えんが…… そうだというのなら、証拠を見せてもらおうか。

Mei

Hah, way to talk big. I really doubt it looking at you, but...you've said it, so let me see what you can do.

ラーベ

なるほど。『天ノ矛坂』らしい言い分だ。

Raabe

I see. Words that fit an "Amanohokosaka."

お前、天ノ矛坂を知っているのか?

Mei

You know of the Amanohokosakas?

……まあいい。外に出ろ。

Mei

...Whatever. Outside, now.

シエル

なぜですか?

Ciel

わからんか? 私より上と言うのなら、お前たちの力を 直接見せて、私を納得させてみろということだ。

Mei

……よし。簡易的なものだが、結界を張った。 短時間なら暴れても周囲に被害は出ない。

Mei

心置きなくやるといい。 こちらもそのつもりで相手になる。

Mei
ナオト

お、おい、冥!

Naoto
サヤ

兄様。レイさんたちなら、大丈夫でしょう。

Saya
ひなた

ほ、本当に大丈夫なの? 怪我しないようにね……?

Hinata
Es

安心してください。準備運動のようなものです。

Es

さあ、行くぞ素人ども。

Mei
シエル

応戦します、レイさん。

Ciel

第2節 異変③/ 2. Abnormality - 3

Summary
御剣機関から蟲の調査と駆除を依頼されてい

る陰陽師の冥。自身の監督のもと、シエルや ナオトたちの関与を認めると言う。

ひなた

すごい……みんな強いんだねぇ。 見ててドキドキしちゃった。

Hinata
Es

冥。もういいでしょう。

Es

ああ。もう十分だ。 それにしても、驚きだな。

Mei

冴えない地味な男と、天然キャラオーラだだ漏れの 萌えっ子にしか見えんが、予想以上の戦闘能力だ。

Mei

冴えない地味な女と、天然キャラオーラだだ漏れの 萌えっ子にしか見えんが、予想以上の戦闘能力だ。

Mei
ラーベ

やはり陰陽術の使い手か……。

Raabe

ん? 何か言ったか丸いの?

Mei
ラーベ

丸いの言うな!

Raabe
シエル

冥さんの戦闘力、正直驚きました。 申し訳ありません、訂正させてください。

Ciel
シエル

あれは確か『陰陽術』と言う東洋の魔術ですよね?

Ciel

ふん。たまたま家が、そういう家系でな。

Mei
ラーベ

あとそっちのエス、えっと確かメイドだっけ? それと合わせて、ふたりともドライブ使いということか……。

Raabe
ラーベ

まぁいい。それで、 我々が素人でないということは証明できたのか?

Raabe

その点に関しては、納得してやろう。

Mei

単純な戦闘技能に関しては、 確かに私より上かもしれん……のだからな。

Mei

おい黒鉄、この者たちはいったい何者だ?

Mei
サヤ

そのあたりのことは、どうぞ部屋に戻ってから。 そのほうがよろしいですよね、兄様。

Saya
ナオト

ああ。是非そうしてくれ。

Naoto
ナオト

いくら結界があるからって、近所で知り合いが派手に やりあってるなんて、ひやひやする。

Naoto
ひなた

ご近所さんから苦情が来たら、困っちゃうしね。

Hinata

わかった。戻ろう。 黒鉄、新しい紅茶を淹れてくれ。

Mei
ナオト

へーへー。人使いが荒いぜ、まったく。

Naoto

御剣機関!? お前たち、御剣機関の人間か!

Mei
ひなた

なあに? そのミツルギ……キカン? って?

Hinata

人の存続がどうとかこうとか言っている、怪しい組織だ。 何度か仕事を手伝ったことがある。

Mei

間違っても付き合いなんか持つんじゃないぞ、姫鶴。

Mei
ナオト

仕事? 天ノ矛坂のか?

Naoto

天ノ矛坂家というより、私、個人の陰陽師としての仕事だ。

Mei

低級の妖を捜索したり、怪奇現象の情報を集めたり、 そういうものの退治も手伝ってやったりな。

Mei

これがなかなか、いい金になるんだ。

Mei
ナオト

金かよ……。

Naoto

当然だ。 知らないのか? 人の世を守るには金がかかるんだぞ。

Mei

ヒーローが無償で守ってくれるのは、特撮の世界だけだ。

Mei
ナオト

へいへい。そうですか。

Naoto

……しかし御剣機関め、私に蟲の調査と駆除を依頼して おきながら、新手を送り込んでくるとはどういうことだ……。

Mei

そもそも、一言うちに断りがあってもいいだろう。 まったく、軽く見られたものだな……。

Mei
シエル

冥さんは、御剣機関から蟲の駆除を依頼されて いるのですか?

Ciel

ああ。……知らないのか? 同じ組織のことだろう?

Mei
ラーベ

ハァ……またこの話か。 黒鉄と輝弥にはもう説明したんだが……。

Raabe

つまり……私の依頼相手とは別口で調査に来ている……と?

Mei
ラーベ

そういうことだ。

Raabe
Es

……冥。 この方達の言っていることに『嘘』は無いと思われます。

Es

……ふん。お前たちが本当に御剣機関の者だとしたら、 蟲の件についてとやかく言うのは無駄だろうな。

Mei

余計な口を出さず、お前たちの調査を許容する――

Mei

――とは、言えんぞ。

Mei
シエル

なぜでしょうか?

Ciel

黒鉄と輝弥だ。

Mei
ナオト

俺たち?

Naoto

お前たちがどんな任務にあたっていようと、私には関係ない。 好きにすればいい。

Mei

だがお前たちはそのご大層な任務に、黒鉄や輝弥を 巻き込もうとしている。

Mei

多少戦いの心得があるといっても、こいつらはただの高校生だ。 それを危険に巻き込むのを、黙って見ないふりなどできん。

Mei
ナオト

ちょっと待てよ! 冥、言っておくが、こいつらが 手を引いたって俺はやめねぇぞ!

Naoto
サヤ

……兄様がやめぬのなら、 私もやめるわけにはいきませんね。

Saya

ええい、落ち着け。お前ら兄妹が言っても聞かないことは、 ここ数日でよーーーーーくわかっている。

Mei

だから、勝手に動くな。

Mei

蟲と戦うにせよ、その犯人を探すにせよ、 私が監督役として同行する。いいな。

Mei
ナオト

は? カントクヤク?

Naoto
シエル

それは……我々やナオトさんたちに、協力してくださるという 意味と解釈できるのですが。

Ciel

協力じゃない、あくまで監督だ。 黒鉄たちが無茶苦茶しないようにな。

Mei

1: 助かります
2: 頼もしいです

1:
2:

だから勘違いするな。むしろお前たちが私に協力すると思え。

Mei

さっきも言ったが私は御剣機関から蟲の調査と駆除を 依頼されている。そのための情報は、常に共有してもらうぞ。

Mei
ラーベ

結果が同じなら、私は構わないよ。

Raabe
シエル

了解しました。

Ciel

……はぁ。そもそも黒鉄と輝弥に、蟲に関わるなと忠告しに 来たはずだったのに。結果があべこべになってしまった。

Mei
ナオト

いいじゃねぇか、もう。どうせ俺たちはなに言われたって やめたりしないんだしさ。

Naoto
ナオト

とにかくここにいる全員、蟲の発生の原因を突き止めたい、 ってことで。な、目的一致。

Naoto

なにが目的一致だ。調子のいいこと言いおって。

Mei
ひなた

でも、一緒にやってくれるんでしょう? えへへ、冥ちゃん、面倒見いいんだ。

Hinata

渋々だ! 別に面倒見たくて見てるわけじゃないからな!

Mei
Es

ところで、冥。蟲の発生の原因についてですが……。

Es
Es

この方達も人為的であると推測しているようですから、

Es
Es

『影』のことは、お話しておいたほうが いいのではないでしょうか。

Es
シエル

影……? 何者ですか?

Ciel
Es

先日、蟲を使役しているらしき人影が目撃されたのです。

Es
Es

といっても、具体的な容姿は判然としていません。 『大きな影のようだった』という証言があるのみです。

Es
ラーベ

なるほどな。だから通称『影』か。

Raabe
ナオト

そいつが蟲の親玉なら、そいつを見つければラケルが目を 覚ますかもしれないってことだよな? どこにいるんだよ!?

Naoto

そう簡単に見つかれば、我々がとうに始末している。 素性も居場所も、なにもかも今のところ不明だ。

Mei
ひなた

そっかぁ……困ったね。なにか探す方法はないのかな。

Hinata

……新川浜のあちこちに、 探知の陣を張り巡らせてはある。

Mei

消極的手段とわかってはいるが……蟲どもを蹴散らしながら、 親玉が網にかかるのを待つしかない。

Mei

影がどういう場所に出没し、どういう条件下で行動するのか、 現状では情報らしい情報などないんだからな。

Mei
サヤ

となれば……我等がとるべき策はひとつ、ですね。

Saya
ナオト

ああ。蟲を見つけて、片っ端からぶっ潰す。

Naoto
ナオト

噂の『影』が蟲の親玉だったら、 手下を倒されていい気はしねぇだろ。

Naoto
ラーベ

誰かが使役しているのなら、蟲を放っている理由もあるはずだ。 蟲の行動から、その辺りを探ることもできるかもしれないな。

Raabe
シエル

では、私とレイさんは 蟲討伐のお手伝いですね。

Ciel
サヤ

出現場所は、冥さんの陣で感知できます。 とても正確ですよ。

Saya

やっぱり貴様たちか! 私の陣を使っていたのは。

Mei
サヤ

あれも日没後、人目につかない暗い夜に出没します。

Saya
サヤ

場所もまた、人目を避けるような薄暗い場所ばかり。 身を潜め、狙いを定めて、襲いかかるのです。

Saya
ラーベ

なるほど……となると、夜を待つ必要があるか。

Raabe
ナオト

なら、駅の周りを軽く案内するよ。 蟲とやり合うなら、多少土地勘があったほうがいいだろ。

Naoto
シエル

助かります。 地理が把握できたほうが、こちらも動きやすいですから。

Ciel
サヤ

では、決まりですね。

Saya

我々は一度家に戻る。

Mei

お前たちに文句を言うためだけに出てきたからな。 ほとんど着の身着のままなんだ。

Mei
ナオト

文句?

Naoto

勝手に自分たちだけで動こうとするなと言っただろがっ! もう忘れたか!?

Mei
ナオト

ああ、あー……そうだった、悪い悪い。

Naoto
Es

財布すら持ち合わせておりませんので。一旦、失礼します。

Es

ったく。姫鶴。このバカが自分から火中に飛び込むような真似を しないよう、きつく言っておけ。

Mei
ひなた

ふふふ。はーい。 冥ちゃんもエスちゃんも、帰り、気を付けてね。

Hinata
Es

はい。では……また夜に。

Es

第3節 蠢々①/ 3. Bugs, Bugs - 1

Summary
ドライブ能力者たちの様子を見るため、蟲退

治に協力するシエルたち。その日はナオトと サヤと組み、蟲憑きの対応に当たる。

蟲憑きを倒し、蟲に寄生された人の安否を確

かめるナオト。彼はドライブ能力に加え、命 の数値がわかる『狩人の眼』を有していた。

ラーベ

レイ、シエル。 そろそろ出かける時間だが……あいつはどうした?

Raabe
シエル

ナオトさんなら、先ほどひなたさんに呼ばれて彼女の家へ。 すぐに戻ると言っていました。

Ciel
ラーベ

そうか。……なら、今の内に念を押しておくぞ。

Raabe
ラーベ

今夜の蟲退治だが。十分、気を付けておけ。

Raabe

1: 蟲にですか?
2: ナオトさんたちにですか?

1:
2:

ラーベ

もちろんそれもだが。 なにより同行するドライブ能力者に、だ。

Raabe
ラーベ

そうだ。わかってきたじゃないか。

Raabe
ラーベ

黒鉄ナオト、輝弥サヤ。それに天ノ矛坂冥と、エス。 今日、蟲退治に同行する者はみんな、ドライブ能力者だ。

Raabe
ラーベ

わかっていると思うが、ドライブ能力者である以上、 彼らは同時にこの世界の観測者候補でもある。

Raabe
ラーベ

いいな、忘れるな。私たちは蟲退治をしに来たんじゃない。 ラケルという少女を助けるために来たのでもない。

Raabe
ラーベ

観測者を特定し、ファントムフィールドを 解放するために来たんだ。

Raabe
シエル

了解です、ラーベさん。

Ciel
ラーベ

よろしい。

Raabe
ラーベ

……しかし、ラケル……か。 あの少女も気になるところだな。

Raabe
シエル

学術的興味のお話ですか?

Ciel
ラーベ

それももちろんあるが。アルカード家の吸血鬼となれば、 彼女もおそらくドライブ能力を有しているはず……。

Raabe
シエル

……ラケル=アルカードさんも、観測者である可能性が あるということですか。

Ciel
ラーベ

一応……な。だが……。

Raabe
ナオト

悪い、待たせた! ひなたがあれも持ってけこれも持ってけ ってうるさくてよ……。

Naoto
ナオト

すぐ出るわ。ごめんな。 あー、また冥になんか言われるぞー……。

Naoto
シエル

こちらの準備はできています。行きましょう。

Ciel

遅い! なにやってたんだ、黒鉄!

Mei
ナオト

悪い、ちょっと手間取って……。 さすがに全員いるな。

Naoto
サヤ

はい。ちょうど陽も沈みました。 蟲たちも動き出すころでしょう。

Saya
Es

まだ冥の陣に蟲の反応はありません。ですが、今の内に 蟲の好みそうな場所へ移動しておこうと思っています。

Es
ナオト

そうだな。陣と人力の二段構えでいこう。 んで、見つけたら片っ端からぶっ潰して回る。

Naoto
ラーベ

スマートなやり口とは言えないが、今は情報集めの段階だからな。 蟲について分析するためにも、地道な作業から始めよう。

Raabe
シエル

了解。地道に蟲を倒します。

Ciel
Es

蟲の出現率の高い場所をいくつかピックアップしました。 蟲が現れるまでは、その辺りを順に見回ります。

Es

我々がいつもやってる手だ。もう少し法則性なり、目的なりが わかれば、もっと効率よく動けるかもしれないが……。

Mei

黒鉄、輝弥。レイたちも連れていけ。 悪いが、ご丁寧に道案内している暇はないのでな。

Mei
シエル

近辺のマッピングは完了していますので、 私達だけで近隣を探索するには、問題ないと思います。

Ciel

……黒鉄たちだけにしておくのも、気がかりでな。

Mei

短絡思考と無鉄砲の兄妹だ。 どんな無茶をやらかすかわからん。

Mei
ナオト

んだよ、心配しなくても適当にやるって。

Naoto

その適当さが信用ならんと言っているのだ!!

Mei
Es

サヤさんは剣の達人ですが、体力面に少々不安があります。

Es
サヤ

…………。

Saya
Es

一方ナオトさんは格闘を得意とされていますが、 このところ右腕に違和感を覚えているそうです。

Es
Es

不測の事態が予想されますので、 互いに戦力を補い合える状況が望ましいでしょう。

Es
ナオト

う……エスにそう言われると…… さすがに突っぱねにくいな……。

Naoto

最初から素直に言うことを聞け、お前は。 エスが相手だと素直だから、また腹が立つ。

Mei

……それに、私はまだお前たちを信用している訳ではない。

Mei
ラーベ

まぁ当然だね。とりあえず同行しようじゃないか。 人数がいれば、状況に応じて戦力を分散させることもできる。

Raabe

じゃあ、私とエスは駅の反対側に行ってくる。 一旦ここでお別れだ。

Mei

1: 気を付けてね
2: 頑張ってね

1:
2:

Es

はい。 レイさんも。

Es
ナオト

さて、俺たちはこっちだ。

Naoto
シエル

了解です。

Ciel
シエル

質問があります。どうしてナオトさんとサヤさんは、 兄妹であるのに別の家に住んでいるのですか?

Ciel
ナオト

あ? あー……まあ、家庭の事情ってやつ。 色々あって、俺が実家に居づらくなっちまってさ。

Naoto
ナオト

そんとき……ひなたが住むところ用意してくれて。 正確には、ひなたの姉ちゃんが、なんだけど。

Naoto
ナオト

それがあのマンションの部屋ってわけ。

Naoto

1: マンションの部屋を!?
2: プレゼント!?

1:
2:

ナオト

いやいや、もらったんじゃねぇぞ、借りてるだけだよ! つっても……家賃はひなたの姉ちゃん……。

Naoto
ナオト

ユキさんって言うんだけど、出世払いでいいからって 受け取ってくれなくてさ。

Naoto
ナオト

飯もひなたが用意してくれるから…… もう、世話になりっぱなしなんだよな。

Naoto
サヤ

本当に、ひなたさんやお姉様には、頭があがりません。

Saya
ラーベ

ふうむ、マンションのオーナー姉妹ね……。 お前とあのひなたという少女は、幼馴染みと言っていたが。

Raabe
ラーベ

どれくらい昔からの付き合いなんだ? 話の様子では、ずいぶんと親密な仲のようだが?

Raabe
ナオト

親密、ってわけじゃねぇよ。 ただまあ、かなり小さいころからの付き合いではあるな。

Naoto
ナオト

ひなたの姉ちゃんと、俺の母親が……知り合いでさ。 だから記憶がないくらい子供のときから、お互いに知ってんだよ。

Naoto
シエル

では、サヤさんも小さなころから?

Ciel
サヤ

……そうですね。ですが私は少し前まで、体を悪くしていて 家にこもりきりでしたから、兄ほど深いお付き合いはありません。

Saya
サヤ

でも、そんな私にも良くしてくださる、優しい方です。

Saya
シエル

私も、ひなたさんは優しい人だと思います。 私達にもとてもよくしてくださいます。

Ciel
サヤ

そうでしょう。不思議なくらい。 兄様など、すっかり骨抜きです。

Saya
ナオト

骨抜きとか言うなよ。つか、ひなたも姉ちゃんも、 なんか有無を言わせないって感じのオーラがあるんだよなぁ……。

Naoto
ナオト

だから、遠慮とかさせてくれねぇんだよ。

Naoto
サヤ

ふふ。それは否定はいたしません。

Saya
サヤ

さあ、目的のエリアはこの先です。 暗い道に入りますから、気を付けて……。

Saya
サヤ

……いえ、その前に対処せねばならないものが あるようですね。

Saya
ラーベ

なんだ? 人か?

Raabe
ナオト

人は人なんだけど、蟲に憑かれているな……。

Naoto
シエル

蟲に襲われた人の中には、蟲に乗っ取られる者がいると 言っていました。あれがそうですか?

Ciel
ナオト

あぁ。どういう原理でそうなってんのかは、知らねぇけど。

Naoto
サヤ

さながらゾンビ映画の一幕のようです。 ……見たことはありませぬが。

Saya
サヤ

私の刀と、絵面としては相性がいいのではないでしょうか?

Saya
ナオト

絵面って……なんの話だよ、ったく。

Naoto
蟲憑き

……う……あ……。あああああああああ!!

Bugs
ナオト

おっと、こっちに気付きやがった! 来るぞ、気をつけろ!

Naoto
サヤ

これは……少々、盛り上がりますね。

Saya
ナオト

いくら蟲に憑りつかれてるからって、元々は人間なんだ。 手加減はしろよ!

Naoto
サヤ

…………ハイ。

Saya
ラーベ

いささか信用に欠ける返答だったな。

Raabe
蟲憑き

……ぐ……が……。

Bugs
シエル

対象の戦闘レベル、消失。 全部倒しました。

Ciel
ナオト

よし。いい調子だぜ。 やっぱお前たちと一緒だと、妙に体が軽くていい。

Naoto

1: みんな怪我はない?
2: 倒れた人はどうなった?

1:
2:

シエル

はい、私は大丈夫です。 ナオトさんとサヤさんにも、大きな外傷はないようです。

Ciel
シエル

調べてみます。触っても、問題ないでしょうか?

Ciel
サヤ

兄様、いかがですか? 蟲憑きたちは?

Saya
ナオト

どれどれ……。ああ、まだ生きてる。 少なくとも、すぐに死んじまうような状態じゃなさそうだ。

Naoto
シエル

ナオトさん、見ただけでわかるのですか?

Ciel
ナオト

わかるっていうか……見えるんだよ。 そいつがどんくらい『生きてる』か、がな。

Naoto
シエル

生きてるかが……わかる?

Ciel
ナオト

『狩人の眼』っていってな。人の……命の数、って言えば いいのかな。そういうのが俺には見えるんだよ。

Naoto
サヤ

兄様。すぐそのようなことを。

Saya
サヤ

その眼は輝弥の家の秘密にして、当主の証。 みだりに人様に話すことではありませんよ。

Saya
ナオト

そうなの? 知らなかったわ。

Naoto
サヤ

白々しい……まったく、困った人です。

Saya
ナオト

だいたい、話したからってどうにかなるもんでもねぇだろ。 それに、俺は輝弥に義理立てするつもりはねぇし。

Naoto
シエル

命の数……。どのように見えるのですか?

Ciel
ナオト

頭の上らへんにな、数値みたいなのが見えるんだ。

Naoto
ナオト

数字がでかけりゃ、それだけ元気。 逆にゼロなら、死んでるってこと。

Naoto
シエル

そのような不思議な力があるのですか。 それは、ナオトさんのドライブの能力なのでしょうか。

Ciel
ナオト

いや、これは俺のドライブとは違う。俺のドライブはそもそも、 ラケルを助けたときにくっついて来たようなもんだしな。

Naoto
ナオト

ただ『狩人の眼』は確かに俺が持ってるけど、輝弥家の当主は 俺じゃない。サヤだ。俺はもう、輝弥の家とは関係ない。

Naoto
サヤ

……そのお話は、またいずれ。 今は止めておきましょう、兄様。

Saya
ナオト

……そうだな。 とりあえずこいつら……どうするか。

Naoto
サヤ

天ノ矛坂の家に連絡をしましょう。 冥さんがうまくとりなしてくださるはずです。

Saya
ナオト

まぁ、いつもどおりか。

Naoto
ラーベ

私の見立てでは、蟲は排除されている。 ナオトが言っていた通り、命に別状はないだろう。

Raabe
サヤ

それはなにより。では、手配いたします。

Saya
ナオト

それが終わったら、さっさと移動しよう。 感謝はしてるが、正直、天ノ矛坂と関わりたくねぇ。

Naoto
サヤ

……はぁ。相変わらずですね、兄様は。

Saya

第3節 蠢々②/ 3. Bugs, Bugs - 2

Summary
無人団地の近くにやって来ると、何匹もの蟲

が一度に現れる。その動きは、まるでシエル たちを狙って現れたかのようだった。

ナオトは蟲に噛まれ、負傷する。しかしその

傷は、ラケルとのライフリンクで得た『再生 能力』により、一瞬で治癒する。

シエル

かなり荒廃した建物があります。街中からそう離れて いないのに、こういった場所があるのですね。

Ciel
ナオト

ああ、無人団地の近くだからな。 嫌な雰囲気だろ。

Naoto
ラーベ

無人団地?

Raabe
ナオト

数年前に事故があってさ。 そのまま閉鎖地区になった団地があるんだよ。

Naoto
ナオト

気味が悪いからって、 近所の人もほとんど引っ越しちまったらしい。

Naoto
シエル

それで、このような廃墟が 撤去されずに残ったのですね。

Ciel
サヤ

はい。 余程のことがなければ、人は近づかぬ負の領域。

Saya
サヤ

でも時々……この薄闇に呼ばれたかのように、 ふらりと人がやってくるのです。

Saya
サヤ

そういう人間を、蟲は襲っているのでしょう。

Saya

1: そういえば、どうして蟲なの?
2: でも虫じゃないよね、アレ

1:
2:

シエル

確かに、一般的な虫類の形状とは違います。

Ciel
サヤ

……そう言われてみれば……そうですね。

Saya
ラーベ

そもそも誰が『蟲』と呼称し始めたんだ?

Raabe
ナオト

さあ? いつの間にか定着してたような……。

Naoto
サヤ

私も、最初に使用された場所は知りません。 いつの間にか……そう呼んでおりました。

Saya
サヤ

こそこそと、暗がりを這い回る様などは、 似ていると言えなくもないですが……。

Saya
サヤ

……! 噂をすれば、です。兄様、冥さんの陣に反応が。

Saya
ナオト

お、どこだ!?

Naoto
サヤ

すぐ……ええ、すぐ近くです。 向こうの暗がりから……こちらへ向かって。

Saya
シエル

っ! ラーベさん。敵性反応を感知しました。

Ciel
ラーベ

シエルの索敵範囲にも入ったか。ということは……。

Raabe
ラーベ

ほう、陣に引っかかってから姿を見せるまでが、すぐだな。 まるでこっちを目指してきたかのようじゃないか。

Raabe
ナオト

へっ、なんだよ、俺達が獲物だってか? 上等だ!

Naoto
サヤ

気を付けてください。 いつものように、1匹や2匹ではありません。

Saya
シエル

路地の反対側からも来ています!

Ciel
ナオト

今夜はずいぶん賑やかじゃねぇか。 ほら、かかってこい!!

Naoto

キ、キチキチキチキチキチ!

Bugs

1: こっちに来た……!
2: うわぁぁぁっ!

1:
2:

シエル

レイさん!

Ciel
ナオト

危ねぇ!

Naoto
ナオト

ぐぅっ……!

Naoto
シエル

はっ!

Ciel

ギ……!

Bugs
シエル

対象の停止を確認。 ……大丈夫ですか、レイさん、ナオトさん。

Ciel
ナオト

っつ……あ、ああ。悪いな、手間かけさせて。

Naoto
ラーベ

噛まれたのか? どれどれ……む、結構深手だな。 ……というかヤバくないかこの傷。

Raabe
ナオト

あぁ、でも気にするな、すぐに……ほら。

Naoto
シエル

あ……ナオトさんの傷が……。

Ciel

1: 傷が治っていく……?
2: す、すごい……!

1:
2:

ナオト

すごいだろ? ちょっとくらいの傷なら、すぐ治るんだ。 つっても、元々こういう特殊体質だったわけじゃねぇぞ。

Naoto
ナオト

ラケルに命を助けてもらった、って言っただろ。

Naoto
ナオト

あれは『殺されそうになった』ところを 助けられたんじゃなくて……

Naoto
ナオト

『殺された』ところを、助けてもらったんだ。 だから今の俺は、吸血鬼の力で『死なずに』すんでる。

Naoto
シエル

吸血鬼……ということは、血を吸われて、ですか? ではナオトさんも吸血鬼なのでしょうか?

Ciel
シエル

吸血鬼に血を吸われた人は、同じく吸血鬼となって 永遠の命を得る、と聞いたことがあります。

Ciel
ナオト

いや、血は吸われたんだろうけど、俺は吸血鬼じゃないよ。

Naoto
ナオト

どうも半端みたいで……ラケルみたいな、吸血鬼としての力は 使えない。

Naoto
ナオト

でもこのドライブと、 滅多なことじゃ死なない体があるってわけだ。

Naoto
ナオト

まあ、ラケルと命を共有してるってことで、 俺は今でもあいつに助けられ続けてるんだけどな……。

Naoto
サヤ

とはいえ、痛みはあるのでしょう? 先ほどのような無茶はなさらないでください、兄様……。

Saya
ナオト

いやぁ、つい咄嗟にな。そう心配すんなって、サヤ。 もう大丈夫だから。ほら。

Naoto
ラーベ

おお、『再生能力』 (リジェネレーション) 。 直接見るのは始めたが、凄いな。

Raabe
ラーベ

本当にすっかり治っている。……体内でどんな 変化が生じているのか、じっくり調査したいもんだ……。

Raabe
ナオト

おいおい、あんまり物騒なこと言うなよ。

Naoto
ラーベ

わかってるって。機会があればの話だ。

Raabe
ナオト

……機会があっても、できれば遠慮したいから。

Naoto
ラーベ

まあまあ、それはそのとき改めて交渉させてもらうとしてだ。 シエル、周囲の反応はどうだ?

Raabe
シエル

はい。敵性反応、索敵範囲にはありません。

Ciel
サヤ

今のところ、冥さんの陣に引っかかっている蟲も いないようです。

Saya
サヤ

……かなりの数でした。 一度にあれだけの蟲を見るのは、初めてです。

Saya
ナオト

ああ。レイたちに ついてきてもらったのは、正解だったな。

Naoto
ナオト

けど話にあった『影』はいない、か。 今夜はハズレだな。

Naoto
ナオト

一旦切り上げるか。 これ以上は、体力的にちょっとキツイ。

Naoto
サヤ

……そうですね。そういたしましょう。

Saya

第3節 蠢々③/ 3. Bugs, Bugs - 3

Summary
行く先々で現れる蟲に困惑するナオトたち。

ラーベの提案で巡回メンバーを変えても、や はり蟲は狙ったように押し寄せる。

蟲には確実に狙いがあるようだった。それを

逆手に取り、シエルたちは囮を立て、蟲の親 玉である『影』をおびき出すことにする。

ひなた

それじゃあ、みんな気を付けてね。

Hinata
ナオト

おう。お前も、遅くに出歩くなよ。

Naoto
シエル

行ってきます、ひなたさん。

Ciel
サヤ

失礼します。

Saya

1: 行ってきます
2: 頑張ってきます

1:
2:

ひなた

うん。怪我しないようにね〜。

Hinata

やっと来たか。待たせるんじゃない、まったく。

Mei
Es

冥。約束の時間通りです。 私たちが早く着きすぎたのです。

Es

わ……わかっとるわ!

Mei
ナオト

それよりほら、行こうぜ。今夜の蟲退治によ。

Naoto
ラーベ

念のために言っておくが、目的は『影』の発見だぞ。 慈善事業で蟲退治をしてるわけじゃない。忘れてくれるなよ?

Raabe
ナオト

それは理解してるけど、蟲はできる限り退治する。 誰かが襲われるかもしれないのに、見過ごすのはできねぇ。

Naoto
ラーベ

はぁ……まぁいいか、ウチにも似たような奴がいるし……。

Raabe

1: ??
2: なんか睨まれてる……

1:
2:

シエル

結局昨夜は『影』は現れませんでした。 戦闘も、あの大量の蟲との一戦のみでしたし……。

Ciel
サヤ

とはいえ、奇妙な一戦でした。

Saya

ああ。一度に何匹もの蟲が、しかも昨夜と同じような場所に 現れたんだったな。

Mei

これまでには見られなかった行動パターンだ。 ……今までの分析が間違っていたのかと思うと、忌々しい。

Mei
Es

ですが、貴重な新情報です。 今日もなにか、有益な手がかりが得られるといいですね。

Es
サヤ

ええ。少しでも早く『影』にたどり着いて…… ラケルさんの目覚めにも、近付きたいものです。

Saya
ナオト

……そうだな。

Naoto

一度にあれこれ多くを望むなよ。 今は蟲と『影』に集中しろ。

Mei

今夜の捜索場所だが、お前たちは駅の反対側をあたれ。 私とエスは郊外を回ってみる。

Mei
ナオト

りょーかい。

Naoto
サヤ

ふぅ……。これで全部、仕留めたでしょうか?

Saya
シエル

そのようです。敵性反応、消失しました。

Ciel
ラーベ

ふむ……。確認するが、蟲の発見は件の陣が必要なほど、 難しいものなのか?

Raabe
ナオト

そうだよ。少なくとも……これまではな。

Naoto
シエル

ですが今夜も、行った先ですぐに遭遇できました。

Ciel
ナオト

しかもまた、うじゃうじゃいやがる。なんなんだ……?

Naoto
サヤ

考えても始まりません。次の場所へと、向かいましょう。

Saya

翌夜。

一体なにがどうなっている!? なんだってお前たちの 行く先行く先に、蟲が大量に出現したんだ!?

Mei
ナオト

知るかよ、むしろ俺が教えてほしいわ!

Naoto
Es

昨夜ナオトさんたちが接触した蟲は、 明らかにこれまでとは違う行動パターンでした。

Es
シエル

新しい習性なのでしょうか? それとも何か別の……。

Ciel
ラーベ

いや、ちょっと試してみたいことがあるんだが。

Raabe

なんだ?

Mei
ラーベ

今夜は巡回メンバーを変えてみないか? ちょうど、輝弥サヤも不在だしな。

Raabe

そういえば、輝弥は今日、どうしたんだ?

Mei
ナオト

体調不良でやめとくってさ。あいつが自分から言い出す くらいだから、結構しんどいんだろ。

Naoto
ナオト

昨日の夜、めちゃくちゃたくさん戦ったからな。 最近はずっと調子よかったんだけど……大丈夫かな……。

Naoto

大事ないといいが……。

Mei
ラーベ

ずいぶん不安げだな。彼女は持病でもあるのか?

Raabe
ナオト

持病っていうか、昔からとにかくやたらと体が弱いんだよ。 つっても、今はそうでもないんだけど。

Naoto
ナオト

小さいころはよく死にかけたりもしてたし。 あいつすぐ無理するから、正直気が気じゃねぇんだわ。

Naoto
シエル

そうなのですか。戦っているときの鋭い剣技からは、 とても想像がつきません。

Ciel
ナオト

そうなんだよ、俺も正直信じられなくてさ。 それでも、強さは折り紙付きなんだよねぇ……

Naoto

それでも、無理を押すことなく、療養を選んでくれたのは いい判断だ。倒れられても、手が回らん。

Mei

よし……ではラーベの言うように、メンバーを変えて みるとしよう。黒鉄はエスと組め。

Mei

レイたちは、私とだ。いいな。

Mei

1: わかった
2: 頼もしいよ

1:
2:

ふん、足を引っ張るんじゃないぞ。

Mei
Es

冥をよろしくお願いします。

Es

おい待て。私がよろしくしてやるんだ。

Mei
シエル

はい。よろしくお願いします。

Ciel
ナオト

ふっ……ははっ。 エスとシエルに挟まれると、決まんねぇなぁ。

Naoto

ええい、天然どもめ……。行くぞ!

Mei

これは……。 本当に、行く先に即座に現れたな……。

Mei

偶然……なわけがない。それにどちらかというと、 たまたま出くわしたのではなく……。

Mei

キキキキキ!

Bugs
シエル

囲まれています。戦闘態勢へ移行。対象を殲滅します。

Ciel

ふん、いくら数を集めても、所詮は雑魚だ。 さっさと蹴散らすぞ。

Mei
ラーベ

……ふむ。やはり思っていた通りだな。

Raabe

なるほど。それが確認したかったのか、お前は。

Mei
ラーベ

ほう、さすが天ノ矛坂。気がついたか。

Raabe

たわけ。家名など関係あるか。これだけあからさまに 見せつけられれば、誰だってわかる。

Mei
シエル

わかる……とは、なにが判明したんですか?

Ciel

蟲はたまたま現れたわけでも、 習性が変わったわけでもない。

Mei

お前を狙ってるんだ。

Mei

1: え……?
2: 僕?

1:
2:

1: え……?
2: 私?

1:
2:

原因はわからんが、蟲はお前に引き寄せられている。

Mei
ラーベ

つまり……これは使える状況ということだ。

Raabe

あぁ……多少の危険は伴うが、止むを得まい。

Mei
ラーベ

うむ。これも任務のためだ。諦めてもらおう。

Raabe
シエル

なにをしようとしているんですか?

Ciel

なに、シンプルなことだ。

Mei
ラーベ

レイ。 お前を『影』をおびき出す囮に使う。

Raabe
シエル

…………。

Ciel

……………………。 …………………………………………。

1: ええーーーーー!?

1:

シエル

ちょっと待ってください。 レイさんを囮にするということは、

Ciel
シエル

レイさんが大量の蟲に狙われる状況を 作るということになります。

Ciel
シエル

それは状況として、 あまりに危険なのではないでしょうか?

Ciel
シエル

レイさんの生命維持の可能性が 著しく低下します。

Ciel
ラーベ

そこはほら、お前が守ればいいことだろ?

Raabe
シエル

……なるほど、了解しました。

Ciel

1: 納得しちゃった!!
2: 反対してくれる人がいなくなった

1:
2:

つべこべ言うな。なに、それなりに根拠があっての考えだ。 とりあえず、黒鉄たちと合流するぞ。

Mei

奴らにも作戦について聞いてもらわないといけないからな。

Mei
ナオト

はぁ!?レイを囮に!? 本気で言ってんのか!?

Naoto
ラーベ

なんだ? 私はいつも本気だぞ。

Raabe
ナオト

いくらなんでも無茶がすぎるだろ。

Naoto
ナオト

だいたい、何度か蟲がこいつめがけて集まってきた からって、親玉までホイホイ出てくるか?

Naoto
ラーベ

噂の『影』とやらが自立行動を取れるのなら、 高い確率で出てくるはずだ。

Raabe
Es

それはなぜですか?

Es
ラーベ

ちとね、あの蟲を調べてみたんだが、

Raabe
ラーベ

蟲が人を襲撃するのは、捕食するためじゃない。 生体に宿るエネルギーを集める為だと思われる。

Raabe
ラーベ

仮に『生命エネルギー』とでも呼んでおこうか。 それを集め、蓄える機能が全ての蟲に備わっていたんだよ。

Raabe
ラーベ

そういう機能を備えているということは、 おそらく『影』は蟲を使って、生命エネルギーを集めている。

Raabe
ラーベ

何故、生命エネルギーを集めているのかは…… 色々と推測は出来るけど、今は置いておこう。

Raabe
ラーベ

とりあえず、ここ数日、蟲どもはレイを 狙うばかりで、ろくに生命エネルギーを集められていない。

Raabe

『影』の目的が生命エネルギーを集めることならば 必ず、なにかしらのアクションを起こすはずだ。

Mei
ナオト

……理屈はわからなくもないけどよ。こいつひとりに 危ないことさせるみたいで、あんまいい気分じゃねぇな。

Naoto
シエル

レイさんのことは、私が守ります。

Ciel
ナオト

いや、そういうことじゃなくて……。

Naoto
Es

……ナオト、気持ちはわかりますが、 ほかに有効な手立てが私には思いつきません。

Es
ナオト

……レイ。お前はそれで良いのか?

Naoto

1: とりあえず、やってみようと思う
2: ん〜ほら、これも任務だし

1:
2:

ナオト

そうか。…なら頼む。 危なくなったら、必ず助けるからな。

Naoto
シエル

…………。

Ciel

では、決まりだな。

Mei
Es

『影』が狙い通りに現れたとして、その先はどうしますか?

Es
ナオト

どうって、ぶっ倒すに決まってんじゃねぇのか?

Naoto
シエル

いえ、ぶっ倒す前に、私達の捜索対象であるかどうか 確認する必要があります。

Ciel
シエル

もし『影』が対象であるのなら、まずそのことを対象自身に 理解してもらわなければなりませんので。

Ciel
ナオト

理解? なんだそれ。

Naoto
ナオト

『影』ってやつに、お前が異変の元凶か、つって聞いたって はいそうですって教えてくれるわけないだろ?

Naoto
ラーベ

まあ、何事も荒事で解決するなと言っているんだよ。 自分が元凶なんだと知らずに……なんてこともあり得るだろ?

Raabe
ラーベ

もし、そいつが元凶であることを望んでいなかった場合は、 こちらのアクションに応じてくれるかもしれない。

Raabe

うまくいけば説得できる可能性があるということか……。 もっとも、できない場合もあるんだろうが。

Mei
ラーベ

まずは『影』とやらが何者なのか判明しないと、 なんともいえないところだな。

Raabe
ナオト

結局、まずは『影』をおびき出せてから、ってことか。

Naoto
ラーベ

そういうことだ。何事も平和的解決が一番だぞ。

Raabe
Es

対話が不可能な場合は、どうしますか?

Es
ラーベ

そのときは、武力解決って事になるな。 ぶっちゃけ話し合いとかメンドイし。

Raabe
ナオト

平和的解決はどこ行った!?

Naoto

質疑応答はこの辺でいいか? では、今夜はこれで解散としよう。

Mei

レイ囮作戦は明日の夜だ。 それまでに、準備したいことがあるのでな。

Mei

今夜はしっかり休んで、体力を回復しておけよ。 レイ。

Mei

第4節 囮餌①/ 4. Decoy - 1

Summary
生命エネルギーの痕跡を辿るため、冥の符を

街の各所に残すシエルたち。予測通り、おび き寄せられた蟲が次々と現れる。

シエル

全行程、完了しました。

Ciel

よしよし。 ちゃんと指定した場所に符を貼ってきただろうな?

Mei

1: もちろん、バッチリ!
2: あれはなんのお札だったの?

1:
2:

さっき渡した符は、簡単に言うとお前の痕跡を たどらせるためのものだ。

Mei

街のあちこちを回ったはずだが、その要所要所にお前が こっちに向かった、こっちにいるぞという印を残してきたわけだ。

Mei
ナオト

地面に矢印描いておくみたいなことか。

Naoto

そうだ。ただし残っているのは誰の目にも止まるものではなく、 生命エネルギーの痕跡だ。

Mei

蟲たちはレイの匂いに誘われてまず符を見つけ、 そこから痕跡をたどって……。

Mei
サヤ

ここまでくる、と。

Saya
Es

新川浜に存在する蟲の大多数が、その痕跡をたどって ここに集まることが予想されます。

Es
Es

……どうかお気をつけてください。

Es
ラーベ

うまくいけば親玉が出てくるだろう。

Raabe
シエル

はい。了解しました。

Ciel

街のあちこちに張った符は、『影』にとってもいい目印に なるはずだ。蟲と同じように、きっとここまでやってくる。

Mei
ラーベ

まあ、なんとかなる。私や冥を信じろ。

Raabe

1: 行ってきます!
2: 絶対に助けてくださいね!?

1:
2:

ラーベ

よーし、頼もしい返事だ!

Raabe
ラーベ

わかってる、わかってる。

Raabe

…………。 ……………………。

シエル

……静かですね。

Ciel

1: みんなは近くにいる?
2: 段々不安になってきた……

1:
2:

シエル

大丈夫です。北側約500メートルの地点で、 身を潜めています。

Ciel
シエル

しばらく、このまま公園の周りを歩き回ってみましょう。

Ciel
サヤ

……どうでしょう。 なるべく暗い道を歩いていただいておりますが。

Saya

さすがに、すぐに状況が動くとは……。

Mei
ラーベ

いや……周囲に複数の反応。蟲だ。

Raabe
ナオト

マジか! レイ……!

Naoto
ラーベ

待て待て。まだいい。

Raabe
ナオト

いや、でも!

Naoto
ラーベ

反応はまだ少ない。 あれくらいなら、レイたちで対処できる。

Raabe
ラーベ

『影』を警戒させたくない。

Raabe
ナオト

馬鹿言うな、あいつらが食われたら意味ねぇだろ! 『影』がこっちの思い通りに動くとも限らねぇんだぞ!

Naoto
ラーベ

そんなことは言われなくてもわかっている。 だがまだ食われたわけじゃない。

Raabe
ラーベ

このまま『影』が現れないなら、そのときは蟲を蹴散らして 次の機会を狙うとも。

Raabe
サヤ

っ! 蟲、動きます。

Saya
ラーベ

どれどれ。まずは相手の出方を見よう。

Raabe
ナオト

…………。

Naoto

1: 来た!

1:

シエル

対象の戦闘レベルの上昇を確認。 これより排除します。

Ciel

第4節 囮餌②/ 4. Decoy - 2

Summary
押し寄せる蟲は、特殊なドライブ能力に惹か

れているようだった。ラーベからの指示を待 ちつつ、シエルは戦闘を継続する。

シエル

敵性反応、消失しました。

Ciel
シエル

……あ、いいえ、反応出現。新たに現れた蟲です。

Ciel

キチキチキチキチキチキチキチキチ。

Bugs
シエル

やはり、狙いはレイさんのようですね。 特殊なドライブに惹かれているのでしょうか。

Ciel
シエル

……ラーベさんからは、戦闘を中断するようにとの 指示はありません。どうしますか?

Ciel

1: とにかく戦うしかないか……
2: 『影』が出てくるまで耐えよう

1:
2:

シエル

わかりました。戦闘態勢に移行します。 対象を確認。戦闘パターンを照合……行きます。

Ciel

第4節 囮餌③/ 4. Decoy - 3

Summary
とうとう現われた『影』。影は奇怪な言語を口

にしながら蟲を生成し、シエルたちに襲いかか る。

中々やるじゃないか。 数が増えたときはヒヤリとしたが。

Mei
ラーベ

当然だ、ウチのエースだからな。

Raabe
ナオト

古い言い方だな……もう少しマシな褒め方しろよ。

Naoto
サヤ

兄様、お静かに。

Saya
ナオト

お前までなに冷静に……。

Naoto

待て、黙ってろ、黒鉄。集中を乱させるな。 なにか……ナニカがいるぞ。

Mei
ナオト

え……?

Naoto
シエル

対象の消滅を確認しました。まだ潜んでいる蟲が 残っているかもしれません。周囲の索敵を開始します。

Ciel
シエル

え――

Ciel

1: シエル!
2: 危ない……!

1:
2:

シエル

っ、く……!

Ciel
シエル

大丈夫です、軽傷です。問題ありません。 ですが……。

Ciel

……けタ……みつ……けた……。 我が……魂の……欲する……。

Shadow

オ……オ……オ、オオ、オ…… 魂……魂、魂、魂、生命、命、力……!

Shadow

長く永く尽きぬ渇望……! 溢れる生命の奔流に 溺れ沈む沈む……その彼方に蒼はあるか……。

Shadow
シエル

これは……。

Ciel

That's...

1: 蟲じゃ、ない……
2: 人間じゃ……ない?

1: ...Not a bug....
2: 'Not human, right?

匂う……かすかに臭う、蒼か、蒼だ、蒼の残滓…… 蒼の染み。どこだ、どこだどこだ……。

Shadow

I smell it...slightly...the Azure, Azure, Azure, Azure's traces...a blotch of Azure. Where is it, where, where, where is it...

どこに隠した!!!

Shadow

WHERE IS IT HIDDEN??

サヤ

……首を、落とし損ないました。

Saya
シエル

サヤさん!

Ciel
ラーベ

無事か、レイ!?

Raabe
ナオト

はぁ、はぁ、悪い、遅くなった。 けど……なんだ、こいつ!?

Naoto

Pant...pant...Sorry, we were running a little late. Anyway...whoa, what the hell is that!?

Es

人……ならざる者……に見えます。

Es

It...doesn't seem human.

外見から判断するに、こいつが『影』だろう。 他にどう呼べと言うんだ。

Mei
ナオト

こいつが? こいつが、蟲の親玉だってか? なんか、想像してたのと違うな……。

Naoto
ラーベ

ちなみに、どんなやつを想像してたんだ?

Raabe
ナオト

もっとこう、薄気味悪い魔法使いみたいなやつ。 性根の曲がった変態野郎だろうと思ってたのによ。

Naoto
サヤ

薄気味悪い、という点では、 こちらの影もそれなりの醜悪さですが。

Saya
シエル

難解ではありますが、言語を口にしていますので 交渉を試みます。

Ciel

This may be difficult, but it seems it can speak, so I will attempt to converse with it.

シエル

失礼ですが、黒い方。アナタが観測者ですか?

Ciel

Excuse me, dark one. Are you an Observer?

ラーベ

お前の交渉技術のなさは、ものすごいな!?

Raabe

Your conversational skills sure are amazing!

グ、ギギギギ……カンソクシャ……。

Shadow

Gigigigi...Observer...

カンソクシャ……カンソクシャ観測シャ観ソク者……!

Shadow

Observer...Observerobserverobserver...!

オマエ、観測者!

Shadow

YOU'RE AN OBSERVER!

シエル

え……?

Ciel

Huh...?

ナオト

レイ!

Naoto

REI!

キサマキサマキサマキサマキサマ 喰らう食らうくらウくらクらう!

Shadow

Eat eat eateateateat you you youyouyou!

サヤ

っ! 下がりなさい!!

Saya Stand back

ギュキィ!

Shadow

GYUGII

1: ありがとう、サヤさん
2: た、食べられるかと思った

1: Thank you, Saya
2: I-I thought I was going to get eaten.

サヤ

ご無事でなにより。

Saya
Es

『影』から明確な殺意を感じます。

Es

チッ、説得交渉は失敗か……。

Mei
ラーベ

いや、どう見てもまともに会話ができるとは思えないだろ。

Raabe
ナオト

んで!? どうするんだよ!?  向こうはやる気満々みたいだし、ぶっとばしていいのか!?

Naoto
シエル

対象の戦闘能力は未知数です。  無闇に仕掛けるのは危険と判断します。

Ciel
ナオト

ならどうする!?

Naoto
ラーベ

とりあえずこの場はしのごう。その間に出来る限りの情報を 集めて、しかるのちに撤退だ。

Raabe

居る……蠢く生命が溢れる芳香の坩堝…… 全部……全部喰らう……齧る啜る……ギギギギギ!

Shadow
シエル

対象の戦闘レベルの上昇を確認。気を付けてください。 蟲とは比べものにならない戦闘能力です。

Ciel

お手柔らかに願いたいところだが、 そうはいかんだろうな。

Mei
サヤ

構いません。動かなくなるまで、刻むだけです。

Saya

オオオオオオオオオオオオ!!

Shadow
ラーベ

なるほど、蟲の発生源はこいつ自身か。

Raabe
ラーベ

しかしまぁ、すごい数だな……。 一体どうやって生成をしているのやら……。

Raabe
ラーベ

まぁいい、その調子でどんどん手の内をさらしてくれ。

Raabe
Es

蟲、多数。および『影』、来ます!

Es
シエル

レイさん、私のそばにいてください。 特に『影』には注意を。

Ciel

第5節 機関①/ 5. The Agency - 1

Summary
アラクネとの戦闘の最中、突如現われた黒服

たち。戦いに介入し、アラクネを守る立ち回 りをする。

ギャギャギャギャ……!

Shadow

なんだ!? いけそうだぞ! ならば観念してもらうか、蟲の親玉!

Mei
Es

このまま押し切ります!

Es
シエル

待ってください、『影』が我々の捜索対象であった場合、 仕留められては私達の任務に支障が出ます!

Ciel
ナオト

って言われても! 手加減できる相手じゃ無いぜ!!

Naoto
サヤ

ならば、死なない程度に削ぎ落とします……!

Saya
サヤ

!?

Saya

何者だ……貴様ら?

Mei
黒服

標的を確認。……情報の通りです。

Black Suit
Es

銃を持っています。気を付けてください。

Es
ラーベ

『影』を退治しに来た。と、いうわけではなさそうだな。

Raabe
黒服

……了解しました。介入を開始します。

Black Suit
ナオト

チッ、誰だか知らねぇが、こっちは取り込み中なんだ。 邪魔すんじゃねぇ!

Naoto
ナオト

クソ! なにしやがる!

Naoto

『影』を守っているんだ。 奴に手出しをするなという意味だろう。

Mei
ナオト

なんであいつを守るんだよ!?

Naoto

そんなこと私が知るか!

Mei
サヤ

来ます。……ことを構えるつもりならば、相手になりましょう。

Saya

1: シエル、援護!
2: 応戦しよう

1:
2:

シエル

はい。戦闘態勢に移行します。

Ciel

第5節 機関②/ 5. The Agency - 2

Summary
黒服との戦闘の間に、影は逃亡する。直後現

われた『不死者殺し』と呼ばれる二人は、ナ オトとシエルたちの捕獲を目的としていた。

黒服

ぐあっ……。

Black Suit
ナオト

はぁ、はぁ……手間取らせやがって。 あっ、『影』は!?

Naoto
ラーベ

……周囲に反応はないな。今の戦闘の間に、逃亡したんだろう。

Raabe
ナオト

んだよ、くそっ! 冥、追えるか?

Naoto

無理だ……札も使い切ってしまったし、奴は既に陣の外だ……。

Mei
ナオト

クソがっ! なんなんだよこいつら。

Naoto
ラーベ

何者かは不明だが、 目的ははっきりしている。『影』の保護だ。

Raabe
Es

そうですね。私たちの攻撃を、 明らかに阻止しようとしていました。

Es
シエル

ということは、彼らは『影』の味方ということですか?

Ciel

もしくは連中が『影』を操っているのか…… この状態では、あらゆる可能を捨てきれんぞ……。

Mei
ラーベ

……ふーむ。

Raabe
ナオト

なあ、ちょっと聞きたいんだけどさ。 『観測者』ってなんだ?

Naoto

そういえば、さっきシエルと『影』が そんなことを言っていたな。

Mei
シエル

観測者というのは……。

Ciel
ラーベ

……そういう特殊な力を持った存在のことだ。 『影』がなぜ突然それを叫んだのかはわからんがな。

Raabe
サヤ

……レイさんへ、 言っていたように見えましたが……。

Saya

1: 僕に?
2: それは……

1:
2:

1: 私に?
2: それは……

1:
2:

――っ!? なんだ、風……?

Mei
ナオト

えっ――?

Naoto
ナオト

が……ぐっ。

Naoto
サヤ

兄様……!?

Saya

1: お、お腹に穴が……
2: 血……血が!

1:
2:

ナオト

な、ん、なにが……。

Naoto
ナオト

ぶっ……!

Naoto
ナオト

…………。

Naoto

黒鉄! おい、しっかりしろ!

Mei
シエル

っ!? 生命反応微弱……。

Ciel
サヤ

兄様……。おのれ……おのれ不届者!

Saya
ヴァルケンハイン

ほう、俺を捉えるか……。 小娘と侮ったが、それなりにできるようだな。

'Valkenhayn
サヤ

うるさい、死ね。

Saya
サヤ

くぅっ……

Saya

サヤ!

Mei
Es

はぁぁっ!

Es
Es

あう! ……くっ……重い……。

Es
サヤ

キサマ…………。

Saya
サヤ

兄様を……私の兄様を、『私以外』が殺すなど…… 許さぬ、決して許さぬぞ下郎!

Saya
サヤ

はぁぁっ!

Saya
ヴァルケンハイン

面白い……どこまでやれるのか見てやろう、小娘。

'Valkenhayn
サヤ

うるさい、死ね死ね死ね死ね………。

Saya
シエル

レイさん、サヤさんの状況はかなり劣勢です。 加勢しますか?

Ciel
ナオト

やめろ、サヤ!

Naoto
シエル

え……?

Ciel
ナオト

そこまでにしとけ……無茶すんな!

Naoto
サヤ

……兄様。

Saya

1: ナオト、大丈夫なの?
2: 傷がなくなってる!

1:
2:

シエル

すごいです……。 あれほどの傷まで修復してしまうなんて……。

Ciel
ラーベ

さすがの再生能力 (リジェネレーション) だな。 かの吸血鬼とライフリンクしているだけのことはある。

Raabe
ラーベ

……ここまで来ると、 どれくらいまで再生できるのか興味が湧いてくる。

Raabe
ナオト

くそが……人の腹、気軽にぶち抜きやがって……。

Naoto
ナオト

またてめぇか、ヴァルケンハイン!

Naoto
ヴァルケンハイン

黒鉄ナオト。……やはり死なんか。

'Valkenhayn
ナオト

やはり、ってなんだよ! んなこと確認するために いちいち人のこと殺すな!

Naoto
ヴァルケンハイン

確認だと? ふざけるな! 貴様の息の根を止めるために決まっているだろうが!

'Valkenhayn
ナオト

決まってねぇよ! なお性質悪いわ!

Naoto
シエル

お知り合いですか?

Ciel
ナオト

こいつの名前はヴァルケンハイン。ついこの前も、 今みたいに突然ぶっ殺されかけたんだよ!

Naoto
サヤ

では……彼奴が兄様に狼藉を働いた、御剣機関の? おのれ、ならばなおのこと生かしてはおけませぬ……。

Saya
ナオト

えっと、気持ちは嬉しいが……ここは抑えろサヤ。 それより気を付けろ、こいつの他にもうひとり……。

Naoto
レリウス

その少年は、数日ぶりに見るな。

Relius

なっ……いつの間に!?

Mei
Es

気配はまるで感じませんでした……。

Es
ナオト

レリウス……クローバー……

Naoto
レリウス

うん? 貴様は……ふむ……。

Relius
Es

……何故でしょうか。 あの人に見られると、とても嫌な気持ちになります。

Es
シエル

はい。私も、なぜかそんな気が……。

Ciel
レリウス

……ほう。 それは『エンブリオストレージ』か。

Relius
Es

!?

Es
レリウス

だがなぜ、そちら側にいる?

Relius
Es

…………。

Es

おい、貴様。うちのメイドに余計なちょっかいを かけるのは、やめてもらおうか。

Mei
レリウス

……メイド? あぁ、なるほど……。

Relius

1: 一体何者なんですか
2: ……目隠ししてませんこの人?

1:
2:

レリウス

ほう……それもまた、面白い形をしているな。

Relius
ナオト

ラケルから聞いた。こいつら、不死者専門の処分屋で、 『不死者殺し』 (イモータルブレイカー) っていうんだってよ。

Naoto
シエル

不死者専門……ですか。

Ciel
サヤ

傭兵まがいの、ならず者ですよ。

Saya
ラーベ

まぁ、人類の脅威にも色々あるが、中でも厄介なのが不死者だ。 なんせその言葉の通り、死なないんだからな。

Raabe

Well, there are many different kinds of threats against humanity, and among them, the immortals are some of the most annoying. Because they don't die, you see.

ラーベ

だがそれを殺してみせるのが『不死者殺し』 (イモータルブレイカー) だ。

Raabe

But the "Immortal Breakers" go around making a show of killing them.

ラーベ

『噂には』聞いたことがあったけど、こいつらがそうか。

Raabe

If it's rumors then I've heard about them...and it seems like this is them.

レリウス

今は不死者を殺すために姿を現したわけではない。

Relius
レリウス

そこの大男はどうやらとうに忘れたようだが ……別の依頼だ。

Relius
ラーベ

依頼?

Raabe
レリウス

黒鉄ナオトの捕獲だ。

Relius

黒鉄を? ……理由を聞かせてもらおうか。

Mei
レリウス

何故だ?

Relius

何故って、当然……友人だからだ。

Mei
レリウス

……ふむ。『友人』か。

Relius

…………。

Mei
サヤ

冥さん。奴の言葉に惑わされてはいけません。 嫌な……底の知れぬ嫌な臭いがします。

Saya
Es

同感です。冥、気を付けて。

Es

あ、ああ。そうだな……。

Mei
ヴァルケンハイン

おい、レリウス、なにを無駄話している。 奴等になにも話す必要はあるまい、邪魔なら処分すればいいだろ。

'Valkenhayn
レリウス

待て……興味が湧いた。

Relius
ヴァルケンハイン

なに?

'Valkenhayn
ヴァルケンハイン

……またお前の悪い病気か……。 この程度の不死者なぞ、いくらでもいただろう?

'Valkenhayn
レリウス

不死者ではない。……アレの方だ。

Relius

1: ……もしかして、僕ですか? /……もしかして、私ですか?
2: 目隠しごしに強烈な視線を感じる……

1:
2:

シエル

レイさん……後ろへ……。

Ciel
レリウス

ふむ。素体……か? ほう……これは中々に面白い。

Relius

Hm...a prime field? Oh? ...This is intriguing.

レリウス

コレは『壊すな』よヴァルケンハイン。 持ち帰って観察したい。

Relius

Don't "break" this one, Valkenhayn. I want to bring it home and obverse it.

ラーベ

待て待て、シエルもレイも数少ない私の大事な 部下なんだ。持ち帰られては困る。

Raabe

Wait, wait, wait. Ciel and Rei are some of my precious few subordinates. I can't have you "bringing them home."

レリウス

困る? ……そうかそれは困ったな。

Relius

No? ...That's a bother.

ヴァルケンハイン

勝手な真似をするなレリウス。 依頼金がパーになるぞ?

'Valkenhayn

Don't get distracted, Relius. Our bounty's gonna evaporate.

レリウス

それも困るな。……まあいい。 死んだなら死んだで、得られるものもあるだろう。

Relius

That would also be a bother. ...Fine, then. If it dies, it dies. There'll still be something to be gained.

ナオト

あいつらがなに言ってんのかさっぱりだけど、 とりあえずムカツクってことだけは理解したぜ。

Naoto

I have absolutely no idea what they're going on about, but it sure ticks me off.

サヤ

あの男らは兄様を捕えたがっており、殺したがっている。 そのうえ我等が客人までも拉致しようとのこと……。

Saya
サヤ

すなわち、倒すべき敵ということです。

Saya
ナオト

それだけわかれば十分だ! お前らぶっ飛ばす!!!

Naoto
シエル

何があろうと、レイさんを害することは 容認できません。

Ciel
ヴァルケンハイン

威勢がいいな。ならば少しは楽しませろよ?

'Valkenhayn
レリウス

ヴァルケンハイン……念のためもう一度言うが、 なるべく壊すな。

Relius

Valkenhayn...I'll say it again, just in case, but please try not to break them.

ヴァルケンハイン

ハハッ! 知るか!! があぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!

'Valkenhayn

Haha! Like I care!! Eat this!!

第5節 機関③/ 5. The Agency - 3

Summary
不死者殺しの強さから絶体絶命に。そこへ御

剣機関の人間を名乗るキイロが現われ、アラ クネと呼ばれる影に手を出すなと忠告する。

レリウス

ほう……観測のドライブ……か? ……クククッ、面白い。

Relius
ヴァルケンハイン

ブツブツ言っている場合かレリウス! 真面目に戦え!

'Valkenhayn
レリウス

楽しんでいるのは貴様のように見えるが……。 もう……時間切れのようだ。

Relius
サヤ

くぅ……っ!

Saya
サヤ

はぁ、はぁっ……。

Saya
ヴァルケンハイン

……確かにな。初撃は脅威的だったスピードも、 今や見る影もない。

'Valkenhayn
サヤ

くっ……体が重い……なぜ……。

Saya
ナオト

まずい、退け、サヤ!

Naoto
サヤ

嫌です! 奴は兄様を殺そうとした……いえ、殺したのです。 私よりも先に! あの首を落とさねば気が済みませぬ!

Saya

くそ、こっちはこれだけ人数がいるというのに……。 人間なのか、あやつは!?

Mei
ナオト

んなわけねぇだろ。あの目隠し野郎は人間っぽいが、 ヴァルケンハインのほうはどう見ても人間の数字じゃねぇ!

Naoto
シエル

数字、ということは『狩人の眼』ですか?

Ciel
ナオト

ああ。 人間の、百倍以上の数字だ……。

Naoto
ナオト

不死者は殺すとか言ってるけど、 あいつも十分そのカウントだろ

Naoto
ラーベ

これはちょっとまずいかな。向こうの戦力が想像以上…… いや、未知数だ。いずれ押し切られるぞ。

Raabe
ラーベ

シエル、一時退却。 レイを最優先に離脱させてくれ。

Raabe
シエル

了解しました。

Ciel
Es

ですが……退路を確保しなければ。 サヤさんも、これ以上は難しそうです。

Es
ラーベ

あ〜それは任せろ、もしものときは……。

Raabe
ヴァルケンハイン

侮るな! みすみす逃がすか!

'Valkenhayn
ナオト

くっ……ん?

Naoto
???

はいは〜〜〜い、そこまで〜〜〜!

???
シエル

あれは……?

Ciel
ヴァルケンハイン

ぬう……。

'Valkenhayn
レリウス

…………時間切れか。

Relius
キイロ

んもう、話が違うじゃない。私はナオトくんを連れてきて、 ってお願いしたのに。

Kiiro
ナオト

あれ? あいつ……どこかで……。

Naoto
ヴァルケンハイン

キイロ……なにをしに来た。 まだ時間ではないはずだぞ。

'Valkenhayn
キイロ

だって、一刻も早くナオトくんに会いたかったんだもの。

Kiiro
キイロ

なのに部下も雇った人たちも、なんか手間取ってるし……。 ほんと、使えない人たちね。

Kiiro
キイロ

しかも殺そうとしてるなんて! 勝手なことされると困るのよね。お金払わないわよ。

Kiiro
ヴァルケンハイン

御剣機関にとって、不死者は排除するべき対象だろう。 それを始末してなにがおかしい!

'Valkenhayn
レリウス

……ヴァルケンハイン。 この件に関して、貴様の味方は諦めてくれ。

Relius

1: な、なんなんだ?
2: 助かったの、かな?

1:
2:

ナオト

ど、どうなんだろうな……。 なんか事態についていけねぇんだが。

Naoto
キイロ

……ナオトくん。あなたが黒鉄ナオト……くんよね。 そうでしょ?

Kiiro
ナオト

お、おお……そうだけど。

Naoto
キイロ

あ〜ん、やっぱり!! 私たちは運命的の糸で結ばれてるのね!

Kiiro
キイロ

ごめんねぇ、ナオトくん。 怪我なんかさせて、痛かったでしょぉ?

Kiiro
キイロ

傷はどこ? よく見せて。早く手当てしなくちゃ。 ……私が舐めて、消毒してあげるから。

Kiiro
ナオト

……ごめん、状況に追いつけてない。

Naoto
サヤ

馴れ馴れしい……。 女、今すぐ兄様から手を放しなさい。

Saya
キイロ

あらやだ、輝弥の死に損ないじゃない。 まだ生きてたの? 案外しぶといのね。

Kiiro
ナオト

いい加減放せよ!

Naoto
キイロ

あん。乱暴。

Kiiro

なにが乱暴、だ。 そちらの対応の方がよほど乱暴ではないか。

Mei
シエル

こちらは命にかかわるほどの攻撃を受けています。

Ciel

1: 理由を教えて欲しい
2: 状況を教えて欲しい

1:
2:

キイロ

え……?

Kiiro
キイロ

あなた……誰? なにこの……ざらつく感覚……。

Kiiro
シエル

……ラーベさん、この方は……。

Ciel
キイロ

だ、駄目よ! 私はもう、ナオトくんのものなんだから。

Kiiro
ナオト

いやいやいや、受け取った覚えはねぇし、 特に欲しくもねぇから。つかお前、誰だよ!?

Naoto
キイロ

照れちゃって。 そういうクールなところも、素敵よ。

Kiiro
キイロ

でも嬉しいわ、やっと私に興味を持ってくれたのね。

Kiiro
キイロ

私は、緋鏡キイロ。御剣機関の人間よ。

Kiiro

I'm Hikagami Kiiro, from the Mitsurugi Agency.

ナオト

緋鏡? それに、今……

Naoto

Hikagami? And...

1: 御剣機関って言った?

1: You said...the Misurugi Agency?

キイロ

あとはなにが知りたい? えっと、スリーサイズなら……直接触って、測ってみる?

Kiiro
ナオト

ば、馬鹿かお前……!

Naoto

なんなんだ、この女は……。 ノリが奇妙すぎて、扱いに困るんだが……。

Mei
サヤ

……いますぐきりすてましょう。

Saya

ちょっ、お前も落ち着け!

Mei
Es

…………。

Es
キイロ

あら、あなた達まだいたの? もう帰っていいわよ。

Kiiro
ナオト

帰っちゃ駄目だから!

Naoto
シエル

帰りませんし、まず質問があります。

Ciel
シエル

なぜ私達を攻撃したのですか? なぜ『影』への攻撃を妨害したのでしょうか?

Ciel
キイロ

あら。あなたは……。

Kiiro
シエル

シエル=サルファーといいます。

Ciel
キイロ

シエル……サルファー?

Kiiro
シエル

はい、私はみつる――

Ciel
シエル

きゃうぅ……。

Ciel
ラーベ

おっとすまん、頭が滑った。

Raabe
キイロ

あら、凄い音。

Kiiro
キイロ

でも驚いた、こんなところで、あなたみたいのに会うなんて。

Kiiro

Well, color me surprised, I didn't think I'd meet something like you here.

キイロ

自立思考型デバイス……プロジェクトは凍結されたって 聞いていたけど。……『誰』の所属かしら?

Kiiro

The Independent Thought Device...Project was shelved, last I heard? ..."Who" are you under?

ラーベ

ほう、『私』を知っているのか?

Raabe

Oh? You know "me?"

ラーベ

ならばなおのこと、教えるわけにはいかないよ。 私とお前では立っている座標 (ばしょ) が違うからな。

Raabe

Then all the more reason to not tell you anything. Our coordinates (locations) are too far apart.

キイロ

なるほどね……まぁ好きにすれば。あなた達には興味無いし。 ただ、私の邪魔をするなら潰すわよ……。

Kiiro

Fine then, suit yourself. I'm not interested in your group anyway. But if you get in my way, I will get rid of you.

ラーベ

怖いな、まぁその時は手加減してくれ。

Raabe

Frightening. Well, hold back on us when we get there, alright?

ナオト

おいおい、邪魔ってなんだよ? あの『影』の事か?

Naoto

Hey, wait, what do you mean by getting in your way? Are you talking about that "shadow" thing?

キイロ

『それも』あるわよ。だって、今ナオトくんにアラクネを 倒されたら、困るのもの〜。

Kiiro

Well, there's that too. Why, if you defeated it, Naoto, I just wouldn't know what to do~.

シエル

アラクネ?

Ciel

Arakune?

キイロ

あれの名前よ。

Kiiro

That's it's name.

キイロ

由来は知らないけど、私たちの間では、そう識別されているわ。 あなたたちは『影』とかって呼んでいるのよね。

Kiiro

ちょっと待て、どういうことだ!?

Mei

名前が定着しているのなら、 当然、そのアラクネとか言うモノが、

Mei

新川浜に蟲を放っていたことも、 把握していたのではないのか!?

Mei
キイロ

当たり前でしょ。

Kiiro
ラーベ

……御剣機関の理念は『人の在るべき世界の悠久の安寧』だ。

Raabe
ラーベ

アラクネとやらの存在は、その理念に反していると思うが?

Raabe
キイロ

ふ〜ん……。 あなた……本当に御剣の人みたいね……。

Kiiro
キイロ

そうよ、確かに私たち御剣機関にとって、 アラクネは明らかな殲滅対象よ。

Kiiro

Of course, you're right, Arakune does qualify as a target for elimination within the Mitsurugi Agency.

キイロ

でもね……今はまだ、ダメなの。

Kiiro

However...it's not time yet.

サヤ

その理由を問うています。

Saya

And why not?

キイロ

だってまだ、使い道があるんですもの。

Kiiro

Because it still has its uses.

Es

使い道……?

Es

Like what...?

馬鹿な!! つまり、あの化け物を野放しにしておけというのか!?

Mei

Ridiculous!! So you're just going to let it run free!?

キイロ

そうよ。だから手を出さないでちょうだい。

Kiiro

That's right. So don't you touch it just yet.

キイロ

アラクネは、 御剣機関が利用し、管理し……『解体』するから。

Kiiro

Arakune is something that the Mitsurugi Agency will use, govern...and "dissect."

なっ……。

Mei

Wha--

キイロ

覚えておいて。どんな化け物でも管理できるのなら、 『脅威』ではないのよ。

Kiiro

Remember this. No matter the monster, if it can be controlled, it isn't a "threat."

キイロ

アラクネだけじゃない。他にも……そう。 例えば、『吸血鬼』とかも……ね。

Kiiro

That's not just for Arakune. Even...right. Even "vampires" and the like...perhaps.

ナオト

なんだと!?

Naoto

Excuse me!?

キイロ

あ〜らぁ。どうしたの、ナ・オ・ト・くん。 ……なにか心当たりでもあるのかしら?

Kiiro
ナオト

っ!

Naoto
キイロ

んふっ、そんな激しい目で見られたら、 ゾクゾクしちゃう。

Kiiro
サヤ

兄様への無礼の数々、腹に据えかねました……。

Saya
キイロ

ちょっと煩いわね、あなた……。解体するわよ?

Kiiro
サヤ

……やってみるがいい、下女め。

Saya
ヴァルケンハイン

……おい、キイロ。 始末も捕獲も必要ないのなら、俺は帰るぞ。

'Valkenhayn
キイロ

もう、我慢の利かないワンちゃんね。待ても出来ないの?

Kiiro
ヴァルケンハイン

なんだと、貴様!!

'Valkenhayn
レリウス

落ち着け、ヴァルケンハイン。

Relius
ヴァルケンハイン

貴様もいい加減にしろ、レリウス! 俺はこんな話、今すぐ蹴ったって構わんのだぞ!

'Valkenhayn
レリウス

それは私が困る。

Relius
キイロ

はいはい、わかったわよ。もう、せっかくの 運命の出会いだっていうのに、ムードが台無し。

Kiiro
ナオト

ムードもクソもあるか! てめぇら……さっきから聞いてりゃ、 好き勝手言いやがって。

Naoto
ナオト

邪魔だろうが何だろうが知ったこっちゃねぇ! 俺は引き下がらないからな!!

Naoto
キイロ

あん……素敵。 そのギラついた目……体の奥が熱くなってきちゃう。

Kiiro
キイロ

でもね、ナオトくん。これはお願いじゃないの。

Kiiro
キイロ

忠告よ。

Kiiro
ナオト

……脅してんのか?

Naoto
キイロ

ナオトくんのことを、心配してるのよ。 だって、御剣機関を敵に回す意味をわかってないみたいだから。

Kiiro
ナオト

んだよ、舐めやがって。

Naoto
キイロ

舐めてなんかないわ。私は真剣よ。

Kiiro
キイロ

……ナオトくんとの舐め合いなら、 もっと真剣になれるんだけど。

Kiiro
サヤ

今すぐその舌を斬り落とす!!

Saya
サヤ

なっ!?

Saya
キイロ

あらぁ、怖〜い。相手してあげてもいいけど…… 残念、一応お仕事中なの。

Kiiro
キイロ

今夜のところは、これで引き上げるわ。

Kiiro
キイロ

またね……ナオトくん……私の運命の人。

Kiiro
シエル

……ラーベさん、あの緋鏡キイロさんという方……。

Ciel

...Raabe-san, that person called Hikagami Kiiro...

ラーベ

あぁ……お前と同じモノだ。

Raabe

Yeah... She's the same as you.

第5節 機関④/ 5. The Agency - 4

Summary
キイロは、アラクネを利用してドライブ能力

者の誰かを探していた。だが突如目の前が白 黒となっていき、謎の人影が忍び寄る。

少女の姿をした謎の人影は、何も語ることは

なく、まるで夢であったかのように姿を消す。

ヴァルケンハイン

いい加減に説明してもらおうか! このままでは納得できん!

'Valkenhayn
キイロ

もう〜、またそれ? うるさいわねぇ。

Kiiro
ヴァルケンハイン

黙れ! あのアラクネに続いて、 黒鉄ナオトまであえて逃がすとは……。

'Valkenhayn
ヴァルケンハイン

貴様、我々の領分をも侵害しているとわかっているのか!?

'Valkenhayn
キイロ

貴方達の領分なんて知ったことじゃないわ。いい? ワンちゃんは忘れちゃったみたいだから、教えてあげる。

Kiiro
キイロ

貴方は『不死者殺し』 (イモータルブレイカー) だけど、 依頼を受けている以上、こちらの指示には従ってもらうわ。

Kiiro

You may be Immortal Breaker, but other than accepting our request you also need to follow our orders.

キイロ

この世界での『掟』 (ルール) は理解しているでしょ? 盟約絶対よ。

Kiiro

You know the laws (rules) of this world, don't you? The contract is absolute.

ヴァルケンハイン

だから、その指示の意味を聞かせろと言っている! 俺たちを都合よく動かせる駒だと思うな!

'Valkenhayn

That's why I'm telling you to explain yourself! Don't think we're just pawns for you to move at your convenience!

キイロ

あらぁ、違ったの?

Kiiro
ヴァルケンハイン

貴様……!

'Valkenhayn
レリウス

よせ、ヴァルケンハイン。 キイロもだ。彼を挑発して遊んでも、新しい発見はないぞ。

Relius
キイロ

私は別に、彼で遊びたくなんかないわよ。 貴方と違ってね。

Kiiro
キイロ

でもあとを引き受けてくれるなら、その野蛮人の相手は お任せするわ。私、もう戻ってシャワー浴びたいから。

Kiiro
レリウス

承った。

Relius
ヴァルケンハイン

おい、レリウス! 勝手に話を片付けるな! 待て、キイロ! 説明を……!

'Valkenhayn
ヴァルケンハイン

気に入らん!!

'Valkenhayn
レリウス

お前が気に入ることなど、ほとんどないだろうに。

Relius
ヴァルケンハイン

うるさい、貴様こそなんとも思わないのか! この状況に!

'Valkenhayn
レリウス

……思う? なにをだ?

Relius
ヴァルケンハイン

……くそっ。どいつもこいつも、一体なんなのだ!!

'Valkenhayn
レリウス

まぁ聞け、ヴァルケンハイン。

Relius
レリウス

……アラクネの蟲は餌となる人間を無差別に襲撃し、 寄生することによって、その生命力を吸い上げ……

Relius
レリウス

本体であるアラクネにその生命力を運搬している……。

Relius
ヴァルケンハイン

なんだ、今更。それくらいは知っている。 前にお前が、この街は蟻の巣のようだとか言っていたな。

'Valkenhayn
レリウス

うむ、だから『女王蟻』は……滅多なことでは動かない。

Relius
レリウス

だが……稀に、アラクネが直接、人間を襲うことがある……。 その (にんげん) には……共通点がある。

Relius
ヴァルケンハイン

共通点? なんだそれは。

'Valkenhayn
レリウス

ドライブ能力者だ。

Relius
ヴァルケンハイン

……なんだと? 初耳だぞ。

'Valkenhayn
レリウス

アラクネの動きはキイロたちが監視しているからな。 私たちには下りて来ない……。

Relius
レリウス

だが……状況を見れば概ね推測は出来る。

Relius
ヴァルケンハイン

ふん。推測だろうと、お前が言うのなら間違いないのだろう。

'Valkenhayn
ヴァルケンハイン

それで……アラクネがドライブ能力者を狙うから、 どうだというのだ?

'Valkenhayn
レリウス

御剣機関はドライブ能力を持つ『誰か』を探している。

Relius

The Mitsurugi Agency is searching for someone who has a Drive.

ヴァルケンハイン

そのためにアラクネを利用していると言うのか? それと、黒鉄ナオトを捕縛することに何の関係がある?

'Valkenhayn

And you're saying that's what they're using Arakune for? Does that have anything to do with the request to capture Kurogane Naoto?

レリウス

ふむ……ドライブ能力者が何人襲われようと、 我々の知ったことではないが……。

Relius

Hm...we don't know how many people with Drives it has tried to attack, but...

ヴァルケンハイン

おいおい、まさか俺たちは、遠回しに黒鉄ナオトの護衛を やらされているわけではあるまいな?

'Valkenhayn

Hey, hey, don't tell me we've been indirectly asked to guard Kurogane Naoto.

レリウス

あのキイロだ……その可能性は大いにあり得るだろう。 しかし『何故』……。

Relius

It came from that Kiiro...so the possibility of it is large enough. But "why"...?

ヴァルケンハイン

……つくづく、不愉快な案件だ。俺は戻るぞ。

'Valkenhayn

...Either way, it's an upsetting request. I'm leaving.

レリウス

……やれやれ。

Relius

...He never changes.

サヤ

不愉快です。 なんなのですか、あの女は……!

Saya
ナオト

おい、落ち着けって、サヤ。 なんでお前が一番キレてんだよ。

Naoto
シエル

周囲の敵性反応、完全に消えました。 追跡者もいないようです。

Ciel
シエル

……どうやら、見逃してもらえたようですね。 ひとまず身の安全は確保されました。

Ciel
ナオト

見逃す? どういう意味だよ。

Naoto
シエル

あのキイロさんという女性ですが、 最初のふたりよりも戦闘力は遥かに上です。

Ciel
シエル

ここにいる『全員』が本気を出したとしても…… おそらく、倒すことは難しいでしょう。

Ciel
ナオト

なっ……マジかよ。

Naoto

とても戦闘員には見えなかったが、 見かけで判断するなということか……。

Mei
サヤ

しかし不可解です。気持ちが悪いです。 あのアラクネとやらを放置しようなどと……。

Saya
サヤ

よからぬ目論見があるはずです。 あの者たちはなにを企んでいるのでしょう。

Saya
シエル

どうでしょうか……。ラーベさん、何か考えはありますか?

Ciel
ラーベ

……………。

Raabe
シエル

あの……ラーベさん?

Ciel
ラーベ

……まずいな。

Raabe

...This is bad.

1: また壊れちゃいましたか!?
2: もしかしてバッテリー切れとか?

1: Are you broken again!?
2: Are you running out of battery or something?

ラーベ

馬鹿者、違うわ。そうじゃない。

Raabe

No, you fool, not that.

ラーベ

冥からこの世界にも御剣機関があると聞いたときに 考慮しておくべきだった……。

Raabe

When I heard from Mei that the Mitsurugi Agency also existed in this world, I should have been more careful.

ラーベ

緋鏡キイロとか言ったか、あの小娘……。 奴は我々の存在に気がついて……いや、

Raabe

Hikagami Kiiro said as much. That she...was aware of our existence. No.

ラーベ

我々の存在を『知っている』。

Raabe

That she "knows" of our existence.

なんだ? 同じ御剣機関なのだろ、 知っていて当然では無いのか?

Mei

So what? You're from the same agency, so knowing of each other should be a matter of fact, right?

Es

待ってください。……今、この世界『にも』と言いましたか?

Es
ラーベ

私も迂闊だな……シエルのことは言えんか。

Raabe
ラーベ

まぁいい、頃合いだ。御剣機関が出てきたからには コイツ等にも話しておいた方がいいだろう。 (やつら)

Raabe
ナオト

おい、なんの話だよ……?

Naoto
ラーベ

お前達、悪いが少し私の話を聞いてほしい。

Raabe
サヤ

申し訳ありませんが、おっしゃっている意味がわかりません。

Saya
ラーベ

話した通りだ。シエルやレイ、そして私は、 この世界の存在ではない。

Raabe
ナオト

は……?

Naoto
ナオト

あー……えっと……悪いけどマジで疲れてるんだ。 なるべく簡単に、わかりやすく説明してもらえるか?

Naoto
ラーベ

我々は別の事象世界の御剣機関で、 この世界を救いに来たと言ったんだ。

Raabe
シエル

(救うのですね?)

Ciel
ラーベ

(大きな意味では間違ってはいないぞ。)

Raabe
ナオト

ごめん、やっぱ全然わかんねぇ……。 つまり、御剣機関なんだけど御剣機関じゃねぇんだよな?

Naoto

あぁもう、黒鉄は黙っていろ。 それより『救う』とは一体何からだ?

Mei

まさかあのアラクネとかいうやつが世界でも滅ぼすのか?

Mei
ラーベ

わからん、だがその『可能性』がないとも言えないな。

Raabe
サヤ

曖昧ですね……。

Saya
ラーベ

曖昧か……それでいい。まだ可能性があるのだから。

Raabe
Es

どういう意味ですか?

Es
ラーベ

……もう一度言うぞ。 とにかくこの世界とは別の場所に存在する我々……

Raabe

I'll say it again. We who exist in this world in a different place...

ラーベ

『御剣機関』が、あらゆる事象世界に、 とある異常現象が発生しているのを確認した。

Raabe

The Mitsurugi Agency has detected in different Phenomenon's worlds, certain abnormal phenomena.

ラーベ

この異常はひどくなると、最終的にその世界が内包している 全ての可能性が消滅し……、

Raabe

If this abnormality grows bad enough, all possibilities contained in the world will be erased...

ラーベ

やがて世界そのものも……。

Raabe

And the world itself will also...

サヤ

……消滅する、とでも?

Saya

Meet its end, you mean?

ラーベ

そうだ。

Raabe

That's right.

サヤ

何故そう言い切れるのです?

Saya

How are you so certain of it?

ラーベ

私たちの世界はそれが原因で消滅したからだ。

Raabe

Because our world was erased because of it.

なっ!

Mei

Wha--!

ラーベ

前に途中まで話した観測者という存在も、 その異常に大きく関わっている。

Raabe

It's also related to the "Observers" we spoke of earlier.

ラーベ

だがな、この世界。いや、他にも世界はあるんだが、 その世界の異常を正せば、我々の世界も救うことができる。

Raabe

But you know, this world--no, there's other worlds out there too, but...if those worlds' abnormalities are corrected, then our world can also be saved.

ラーベ

そのために、私たちはこの世界に浸入したわけだ。

Raabe

That's why we Dove into this world.

ラーベ

…………。

Raabe

...

…………。

Mei

...

サヤ

……正直に申しまして、信じがたいお話です。

Saya
サヤ

あなたがたが、あのキイロとかいう不愉快な女と 手を組んでいて、私たちを陥れようとしている……。

Saya
サヤ

という話のほうが、よほど真実味を感じますね。

Saya
シエル

違います。私達に、サヤさんたちを陥れるつもりは ありません。

Ciel
サヤ

違いなどありません、どちらにせよ不審であることは明白。 ……斬ります。

Saya
ナオト

ちょっ、待てサヤ、落ち着け。 俺は……こいつらが嘘を言っているとは思えねぇんだ。

Naoto
サヤ

……兄様?

Saya
ナオト

なんだっけ? じしょうせかい、だっけか?

Naoto
ナオト

その世界がどうとか、そういうややこしそうな話は 置いとくとして。

Naoto
ナオト

もしキイロと組んでるんなら、昨日の夜のうちにでも 俺を閉じ込めるなり攫うなりできたはずだ。

Naoto
ナオト

アラクネのことだって、マジで知らなかったみたいだし。

Naoto
ナオト

それに、レイたちもキイロたちも、 めちゃくちゃ強いんだったら、

Naoto
ナオト

いちいち小細工使って俺たちをだます必要なんかないだろ。

Naoto
サヤ

ですが!

Saya
Es

私も……この方達が嘘を言っているようには感じませんでした。

Es
ナオト

ほら。エスもそう言ってる。

Naoto

お前ら……なんとなくだとか、そう感じるだとか、 あやふやな感覚でことを片付けていないか?

Mei

いうに事欠いて、別次元、異世界だぞ? それを信じるつもりなのか?

Mei
ナオト

ぶっちゃけ、ドライブだ、吸血鬼だ、なんてモノを 目の当たりにしたあとだ。

Naoto
ナオト

今更、異世界人が出てきたって、マジかよとは思うけど、 そういうのもアリなんだって感じだよ。

Naoto

1: ナオトさん……
2: 懐が深い……

1:
2:

シエル

ありがとうございます、ナオトさん。

Ciel
ラーベ

ふむ、単純な人間は助かる。

Raabe
ナオト

お前なぁ! せっかく信用してやるっつってんのに!

Naoto
サヤ

……はぁ。兄様がそうおっしゃるのであれば、 私の疑念は置いといて、今は……刃は収めるといたしましょう。

Saya
サヤ

ですが、もし兄様の信用を裏切るような事があれば……。

Saya
ナオト

おいサヤ、そう恐い顔すんなって。

Naoto
サヤ

兄様はいつも楽観的なのです! ですから、私が心配ばかりせねばならないのです!

Saya
ナオト

う、ぐ。そ、それはお互い様だろ! お前だって、 いつも無茶ばっかして心配かけるじゃねぇか。

Naoto
サヤ

私は無茶などしておりません。

Saya

あーはいはい。お前たちの仲が良いのはわかったから、 話を引っ掻き回すな。

Mei
Es

冥は……どう思うのですか?

Es

……結論から言えば、今は信用できん。 なので暫くの間は、様子を見させてもらう。

Mei
シエル

了解です。現状の関係が続くのであれば、 信用を置いていただけなくても、問題はありません。

Ciel

…………。

Mei

まぁいい、他にも聞きたいこともあったが、 今夜はここまでだ。帰るぞ、エス。

Mei
Es

はい。

Es
サヤ

あの不愉快な連中に水を差されたままというのは、 いささか不満ですが……承知しました。

Saya
ナオト

そうだな、正直俺も限界だ。 膝ががくがくしてきた。帰ろうぜ。

Naoto
シエル

了解です。行きましょう、レイさん。

Ciel

1: うん、そうだね
2: みんな、お疲れ様

1:
2:

ナオト

お前もお疲れさん。帰ったらゆっくり――

Naoto

1: え?

1:

私とエスはこっちだ。今夜はここで――

Mei
サヤ

お休みなさい。また――――

Saya
Es

はい―― ――――

Es

―――――――― ――――――――――――――――

1: あれ? 誰もいない?

1:

1: え? ……誰?

1:

…………。 ……………………。

…………。 ……………………。

1: !?

1:

シエル

レイさん!

Ciel

1: うわっ! びっくりした!
2: は、はい!

1:
2:

シエル

どうかしたんですか? 何度か呼びかけたんですが、 ぼんやりとしたままでしたよ?

Ciel
ラーベ

……なにかあったのか?

Raabe

1: 夢……?
2: 女の子がいたような……

1:
2:

シエル

夢を見ていたのですか……?

Ciel
ラーベ

女の子って、冥とエスならもう帰ったぞ。

Raabe
シエル

女の子の夢……ですか?

Ciel
ラーベ

おい、こんなところで寝るなよ? せめてナオトの家までは耐えろ。

Raabe
ラーベ

(…………夢だと?)

Raabe
ナオト

…………。

Naoto
サヤ

兄様? 兄様!

Saya
ナオト

あっ……え?

Naoto
サヤ

やっと気付いてくださいましたね。 お疲れでしょうが、もう少しの辛抱……。

Saya
ナオト

い、今、女の子がいなかったか? 背の、低い……。

Naoto
ナオト

よくわかんねぇ……。 はっきり顔が見えたわけじゃねぇけど……。

Naoto
ナオト

ただ急に、周りに誰もいなくなって。 で、振り返ったら……その辺りに立ってたんだ。

Naoto
シエル

ナオトさんも女の子を見たのですか?

Ciel
ナオト

ああ……たぶん。つか、もって?

Naoto
シエル

レイさんも女の子の夢を見たと言っていました。

Ciel
サヤ

お二人共……? まさか心霊現象の類ですか? 兄様達がなにを見たのか、わかりかねますが……。

Saya
サヤ

少なくとも私たちは、ずっとここにおりましたし、 そのようなものは見ておりません。

Saya
サヤ

まさか……『狩人の眼』が霊体までも見れるように なったのでは……?

Saya
ナオト

やめてよ怖い!! 幽霊とか勘弁して!!

Naoto
サヤ

まぁ……異世界人をも受け入れる兄様が、 幽霊を怖いなどと……お可愛いことですね。

Saya
ナオト

う、うるせぇ……。

Naoto
サヤ

ふふふ、冗談です。きっとお二人共お疲れなのでしょう。 まずはしっかりと、体を休めてくださいませ。

Saya
シエル

そうですね、帰投しましょう。

Ciel
ラーベ

……どうした? なにかもの言いたげだな。

Raabe

What's up? You look like you have something to say.

1: さっきの話……
2: 世界が消滅したって?

1: Earlier, you said...
2: The world was erased...

ラーベ

聞いた通りだ。私が……いや、フガクにいる破城カガミが 存在していた世界は、すでに消滅している。

Raabe

It's just as you heard. My world--no, the world of the Hajou Kagami in Fugaku--has already been destroyed.

ラーベ

詳しく知りたければ、本人に聞け。 今はこの世界での任務に集中しろ。

Raabe

If you want to know more, you should ask her yourself. For now, focus on the mission.

1: …………
2: 了解です

1: ...
2: Yes, ma'am.

ラーベ

それじゃ、部屋に戻るぞ。今は休息が必要だ。 体を壊されたりしたら、任務に支障が出る。

Raabe

第6節 少女①/ 6. Girl - 1

Summary
病弱なサヤが不在の中、シエルたちはレリウ

スやキイロの介入を考慮しつつも、引き続き アラクネの捜索を続ける。

…………。

....

……を……探して。 そして、私を……。

...Find.... And...me....

私を……けて……。

...ve...me...

ナオト

う〜〜〜……くそ……はいはい、起きてますよ〜。 起きる気持ちはあったんですよ〜、ひなたさ〜ん……。

Naoto
ひなた

朝ごはん、もう少しかかるから、待っててね。

Hinata
シエル

いつもありがとうございます。ひなたさん。

Ciel
ひなた

いえいえ。気にしないで、ナオトちゃんの分を作るのも、 みんなの分を作るもの一緒だから。

Hinata

1: お腹が空いてきた
2: 今日もお世話になります

1:
2:

ひなた

今日はナオトちゃんと学校行かないといけないから、 簡単なメニューでごめんね。

Hinata
ひなた

でもその分、週末はごちそう頑張るから。

Hinata
ナオト

んな張りきらなくてもいいって。 作ってもらえるだけでありがたいんだから。

Naoto
ナオト

それに、お前が作ればなんだってご馳走だよ。 いつも目茶苦茶うまいじゃん。

Naoto
ひなた

そ、そうかな? そんなことないよ、普通だよ。 でも……ありがと、ナオトちゃん。

Hinata
ナオト

…………。

Naoto
ひなた

ん? なに? どうしたの?

Hinata
ナオト

いや、なんでもない。まだちょっと寝ぼけてるみたいだ。

Naoto
ひなた

まだ顔洗ってないんでしょう。 ご飯の用意しておくから、支度しておいでよ。

Hinata
ナオト

そうだな。そうするか。

Naoto
シエル

おふたりは仲がいいのですね。 まるで夫婦のやりとりのようです。

Ciel
ひなた

えぇっ!? そ、そんなこと……。 私たち、ただの幼馴染みだよ。ね、ナオトちゃん?

Hinata
ナオト

……そうだよ、変なこと言うなって。 ガキの頃から一緒だから家族みたいなもんだ。

Naoto
シエル

そうでしたか。すみません、家族というものをあまり詳しく 知らないものですから。

Ciel

So that was the case. I'm sorry. I'm not very familiar with family matters.

シエル

おふたりは夫婦のようなのではなく、家族のようなのですね。

Ciel

So you two are close like family, not close like a couple.

ナオト

そんな感じだ。

Naoto
ラーベ

なんだつまらん。幼馴染の女の子など良いフラグではないか?

Raabe
ナオト

やめろって、そういうんじゃねぇよ。……マジでさ。 つか、何だよフラグって。

Naoto
シエル

……フラグ?

Ciel
ひなた

あはは……。

Hinata

遅いぞ。……と言いたいところだが、時間通りか。 チッ、几帳面どもめ。

Mei
ナオト

褒めろとは言わねえが、なんだその悪態は。

Naoto

通常営業だ。

Mei
Es

サヤさんは、一緒ではないのですか?

Es
シエル

体調不良だそうです。 おそらく、昨日の戦闘が原因でしょう。

Ciel
ナオト

本人は大丈夫だとか言ってたけど、電話口の声がすでに 駄目そうだったからな。無理やり休ませた。

Naoto

それがいい。……最近、あまり調子がよくなさそうだな。

Mei
ナオト

ああ。スタミナもなんとなくなくなってる気がするし。 体壊してるんじゃないといいんだけどな。

Naoto
Es

サヤさんの分も、私たちが頑張りましょう。

Es
シエル

了解です。

Ciel
ラーベ

とりあえず、昨夜の仕切り直しだ。 蟲を叩き、アラクネを引きずり出す。

Raabe
ラーベ

蟲の発生源は、間違いなく、あのアラクネだからな。 蟲の分布さえ分かれば、捜索場所も絞れる。

Raabe
ナオト

アラクネの件はいいとして、またあの御剣…… いや、キイロに邪魔されたらどうすんだ?

Naoto
ラーベ

大丈夫だ、奴はしばらく出て来ない。なので遠慮なくやれ。 なんなら、アラクネを倒してしまってもいいぞ。

Raabe

1: えっ!?
2: いいんですか!?

1:
2:

ラーベ

構わん。もしアラクネが、私たちが探している 存在なのだとしたら、奴が倒される前に事態が動くはずだ。

Raabe
ラーベ

それでアラクネの正体がはっきりするだろう。

Raabe
Es

不確実かつ、極めて危険な方法です。

Es
Es

万が一アラクネがターゲットであり、それを実際に 倒してしまったら、取り返しはつくのですか?

Es
ラーベ

つかんな。まぁ『もう一度やり直し』が出来るのなら 話は別だが。

Raabe

やり直すってなんだ。ループもののストーリーでもあるまいし、 そんな簡単に言うな!

Mei
ラーベ

万が一の話だ。 それに……私の予測が正しければ、そうはならない。

Raabe
ナオト

……信用していいんだろうな?

Naoto
ラーベ

信用? ……あの緋鏡キイロも言っていただろう?

Raabe
ラーベ

御剣機関を舐めるな……と。

Raabe
ラーベ

我々も『御剣機関』だ。

Raabe

…………。

Mei
ラーベ

緋鏡キイロの動向に関しても、今は警戒しなくていい。

Raabe
ラーベ

奴らが本気なら、私たちはここに集まることすら 出来なかったはずだ。

Raabe
ナオト

……向こうがその気なら、 みんなが集まる前に襲撃されてるってことか。

Naoto
シエル

私達の戦力を考慮すると、各個撃破が最も有効な戦術です。

Ciel
ラーベ

そういうことだ。 特にナオト、お前はあのキイロから狙われているんだぞ。

Raabe
ラーベ

ひとりであのヴァルケンハインとレリウスの相手をできるか?

Raabe
ナオト

くそっ……できねぇよ。

Naoto

……悔しいが、ラーベの言っていることはもっともだな。

Mei

そして我々は、蟲の被害をこれ以上広げないためにも、 アラクネをどうにかする必要がある。まごついている暇はない。

Mei
Es

そうですね。とりあえず可能な限り蟲を排除し、 アラクネを誘い出すことを優先しましょう。

Es
Es

今夜の組み分けはどうしますか?

Es

襲撃の可能性がなくなったわけではない。 黒鉄をひとりにはできん、エス、ついていけ。

Mei
Es

わかりました。

Es

私はレイたちと一緒に行こう。

Mei
ラーベ

いいだろう。 ……ああ、そうだ。

Raabe
ラーベ

もし御剣機関の連中と遭遇したら、すぐに連絡してこい。 お前たちふたりでも対処できる相手じゃないからな。

Raabe
ナオト

こねぇんじゃねぇのかよ!?

Naoto
ラーベ

もしもだ、もしも。

Raabe
ラーベ

特にヴァルケンハインは、挨拶代わりにお前を殺すような奴だぞ。 行動が読めん。

Raabe
ナオト

うっ……全く否定できねぇ……。

Naoto
シエル

ナオトさん、エスさん、気を付けてください。

Ciel
Es

ありがとうございます。 レイさんたちも、十分気を付けてください。

Es

1: 了解!
2: 気をつけます!

1:
2:

蟲憑き

う……あ……。

Bugs

蟲憑きか……面倒だな。

Mei
シエル

ですが放っておけば、一般市民への被害が想定されます。 対処するべきかと思いますが……どうしますか?

Ciel

1: これも任務の一環
2: もちろん、助けるよ!

1:
2:

シエル

わかりました。……対象を捕捉、認識。 戦闘行動に移行します。

Ciel

第6節 少女②/ 6. Girl - 2

Summary
アラクネは観測者ではないと考えているラー

ベ。今後の手がかりについてラーベと冥が話 す間、再び謎の少女がアプローチする。

正体を明かし、語りかけてくる少女。レイチ

ェル=アルカードと名乗った少女は、自身を 吸血鬼であると言う。

この辺りの蟲は概ね片付けたかな?

Mei
シエル

……そうですね。反応は感知できません。

Ciel
ラーベ

なら、ちょっと一息入れるか。 こちらはレイがいるし。

Raabe
ラーベ

のんびりしていても、そのうち向こうからうじゃうじゃと 集まってくれるだろう。

Raabe

1: うじゃうじゃ……想像したら……
2: 人気者は辛いなぁ

1:
2:

確かに、あまり嬉しくない光景だな……。

Mei

ずいぶん余裕じゃないか。

Mei

まぁいい。ところで……ラーベ。聞きたいことがある。

Mei
ラーベ

なんだ、やっとか……。待ちくたびれたぞ。

Raabe

ふん……前に言っていた世界の異常…… 観測者だかなんだか知らんが……。

Mei

お前、アラクネはハズレだと思ってるんじゃないか?

Mei
ラーベ

どうしてそう思う?

Raabe

先程の話だ。お前はまるで、アラクネの先にこそ対象がいる…… とでも言いたげだったぞ。

Mei

キイロとやらが我々を泳がしているのも、 それが理由なんだろ?

Mei
ラーベ

さすがは陰陽師……いや、天ノ矛坂か。

Raabe
ラーベ

そうだ、アラクネは多分『駒』だ。この事態の元凶ではない。

Raabe

駒か……やはりキイロのか?

Mei
ラーベ

いや、まだそうだと断定しているわけではない。

Raabe
ラーベ

なにせアラクネがどういう存在なのか、 まるで情報がないんだからな。

Raabe
ラーベ

アラクネと相見えたのは一度だけだ。 私たちはまず、奴が何者なのかを詳しく知る必要がある。

Raabe

……確かに。

Mei
ラーベ

だがまぁ、ぶっちゃけ、アラクネを追う以外に 取っ掛かりがないと言うのが本音だ。

Raabe
ラーベ

あの緋鏡キイロにちょっかい出すのは危険すぎるしな。

Raabe
シエル

冥さんは、以前に御剣機関とお仕事されたことがあると 言っていました。なにか情報などはありせんか?

Ciel

あぁ……いや……その、そのことなんだが……。

Mei
シエル

どうされました冥さん。

Ciel

う、うむ……実はな……。

Mei
ラーベ

なんだ、歯切れが悪いな。はっきり言ってくれ。

Raabe

私は……今回の件、 御剣機関の依頼で動いているわけではないのだ。

Mei

I...didn't actually take this request from the Mitsurugi Agency.

1: え?
2: は?

1: What?
2: Huh?

ま、まぁ、ある意味、御剣機関とも言えるんだぞ!

Mei

W-well, in a sense, you could say it came from the Mitsurugi Agency!

えっとだな……5年ほど前だ……。 

御剣機関の『ウノマル』という者からメールが来て……

Mei

Let's see...it was five years ago...I received an email from someone called "Unomaru" from the Mitsurugi Agency.

ただ一言『この街を護って欲しい』と書いてあった。

Mei

It had only one sentence in it: "I want you to protect this city."

私も天ノ矛坂の人間だからな。 御剣機関の名くらいは知っている。

Mei

I am from the Amanohokosaka clan, so I'd at least heard of the Mitsurugi Agency before.

始めは悪戯かと思った。だが、それ以来、少なくない額が 天ノ矛坂に入金され続けている。

Mei

At first, I thought it was a prank. But after that, a non-negligible sum of money kept being deposited to the Amanohokosaka Clan's account.

……我が天ノ矛坂家は財政難だったのでな。 正直言って、助かった。

Mei

...Our clan was having some financial difficulties. So it really saved us.

だから私は依頼通り、この街を護ると決めたのだ……。

Mei

That's why I've decided to protect this city as I was requested....

入金されている間はな!

Mei

AS LONG AS WE'RE PAID!

1: 律儀だ!
2: 最後の一言で台無しだけど!

1: How honest!
2: I think you could've kept that last part to yourself!

ラーベ

かわいい所があるじゃないか、冥ちゃん。

Raabe

うっさいわい! それと貴様が冥ちゃんと呼ぶな!!

Mei
シエル

それより何者ですか? そのウノマルさんという方は?

Ciel

So, do you know who that Unomaru is?

色々と調べたが全くわからん……。

Mei

I tried looking into it, but I have no idea....

とにかくだ、以上の理由で、 私は御剣機関との連絡手段を持ち合わせていない!

Mei

Anyway, due to those circumstances I just described, I point of contact with the Mitsurugi Agency at all!

ラーベ

……胸を張って言うことでもないだろう。

Raabe

...I don't think that's something to be proud of.

ふん。

Mei

Ahem.

シエル

どうかしましたか? 渋いお顔ですが……。

Ciel

お前なぁ。……いや、なんでもない。 それともう一つ、聞きたいことがある。

Mei
シエル

何でしょうか?

Ciel

昨日、お前たちが話していた世界を救う理由だが…… っておい、レイ?

Mei
シエル

――――、――

Ciel

――――,――

……、…………、――――

Mei

……,…………,――――

ラーベ

――、……、――

Raabe

――,……,――

…………。 ……………………。

... ... ...

1: まただ……
2: 誰もいない

1: ...This again.
2: There's no one here.

…………。 ……………………。

... ... ...

1: 君は誰? /あなたは誰?
2: 前にも会ったよね

1: Who are you?
2: We met last time, didn't we?

少女

……。……の?

Girl

... ...me?

少女

あなた……私の姿が、見えるの?

Girl

Can you... see me?

少女

……いいえ。まだはっきりとは、見えていないようね。 でも、声はようやく……た、かしら……。

Girl

....No. It seems it's not clear, yet. But my voice...finally...suppose.

少女

……嫌ね。こんな形で……しかないなんて……。

Girl

...Terrible. To have to...like this...

少女

…………よ。 ……とりあえず……悪く思わないで。

Girl

...Well. ...In any case... don't think poorly of me.

少女

……意識ははっきりしているかしら?

Girl
少女

そう。私の声はどう? 途切れることなく……聞こえていて?

Girl
少女

……そう。それと……一応、合格点をあげるわ。 でもね、これは必要なことなの。

Girl

1: 合格? 必要? なんのこと?
2: みんなはどこ?

1:
2:

少女

心配しなくても大丈夫よ。一緒にいた子たちは、 さっきと同じ場所で、同じ姿でいるわ。

Girl

There's no need to worry. The children you were with are still where you left them, in the same place, in the same form.

少女

あなたもそう。私が呼びかけた一瞬、 あの瞬間で時間は止まったまま……。

Girl

And you're the same. The moment I called out to you, time stopped...

少女

……『事象干渉』の真似事よ。

Girl

...in an imitation of "Phenomenon Intervention."

少女

事象そのものではなく時間軸に干渉しているだけ。

Girl

It only interferes with the time axis, rather than with the Phenomenon itself.

少女

……ああ……また。 長くはこうしていられないわね……。

Girl

...Ah, there it is again. We can't stay like this for very long...

少女

ここは……とても脆い世界。脆弱な場。だから少し力加減を 間違えれば、なにもかもを壊してしまうかもしれない。

Girl

This place is...a very brittle world. A fragile place. If one doesn't hold back just enough, everything could come crumbling down.

少女

……不思議そうな顔をしているわね。

Girl

...You have a most strange expression on your face.

少女

ええ……知っているわ。この世界がどんな場所なのか。 だからこそ……私にはあなたが必要なの。

Girl

Yes...I know. I'm aware of what kind of place this world is. That's why... I need you.

少女

だから私の顔を、よく覚えておきなさい、未熟な観測者さん。 そして、忘れないで。

Girl

So be sure to remember my face, novice Observer. And don't forget.

レイチェル

私の名はレイチェル=アルカード。 吸血鬼よ。

Rachel

My name is Rachel Alucard. I'm a vampire.

第6節 少女③/ 6. Girl - 3

Summary
レイチェルと話したことをラーベにも共有す

る。そして新たなる情報を求めるべく、御剣 機関の黒服を見つけ、捕獲を試みる。

尋問するはずが、捕獲の際にシエルは黒服を

気絶させてしまう。そこへレイチェルが初め てラーベ達の前に姿を現す。

ラーベ

『レイチェル=アルカード』…… 確かに、そう名乗ったんだな?

Raabe

1: はい
2: 間違いなく

1:
2:

シエル

アルカードは、最強の吸血鬼の一族だと、 前にラーベさんが言っていました。

Ciel
ラーベ

そうだ。 レイが会ったという自称吸血鬼も……。

Raabe
ラーベ

まぁ、吸血鬼という一族はプライドが高い。 まず嘘はついていないだろう。おそらく同じ一族だ。

Raabe
シエル

そんなに、すごい一族の名前なのですか?

Ciel
ラーベ

そりゃあもう。『すごい』なんて言葉では到底足りないが、 『すごい』以外に言いようもない。

Raabe
ラーベ

もし本当のアルカードなら、少なくともなんらかの 関わりがある存在なんだろう。それに……。

Raabe
ラーベ

ラケルと顔がよく似ていたんだろう?

Raabe

1: 歳はラケルのほうが上に見えた
2: レイチェルは髪をふたつに結っていた

1:
2:

ラーベ

……ふむ、それにしても『レイチェル』か…… ラケルを語源とする名前なのだが……。

Raabe
ラーベ

しかしまぁ、こう短期間に アルカードの名を持つ者がふたりも現れるとはな。

Raabe
ラーベ

この土地はよほど吸血鬼に縁があるらしい。 ……というより、アルカード家に縁があるのか?

Raabe
シエル

もしかしたら、観測者が アルカードの一族に縁深いのかもしれませんね。

Ciel
ラーベ

その可能性もあるな。

Raabe
ラーベ

気になるのは、レイと レイチェル=アルカードの接触を

Raabe
ラーベ

こちらでまったく感知できていない点だ。

Raabe
シエル

はい。1秒に満たない時間と思われます。

Ciel
ラーベ

話からして、おそらく事象干渉ではあるんだろうが……

Raabe
ラーベ

ファントムフィールド内の事象に干渉するなんて、 並大抵のことじゃないんだぞ。

Raabe
シエル

そうなのですか?

Ciel
ラーベ

ああ。ファントムフィールドは例外なく、 観測者という絶対的な存在によって形作られている。

Raabe
ラーベ

だから、そこへ割って入って事象に干渉するなんて、 本来は不可能なことだ。

Raabe
シエル

ですがレイさんは、それを可能にしました。

Ciel
ラーベ

だから特別なんだよレイのドライブは……ん?

Raabe
ラーベ

……もしかしたらレイチェル=アルカードは、 この世界にではなく

Raabe
ラーベ

レイに干渉した可能性があるな……。

Raabe

1: 僕に?/私に?

1:

シエル

しかし困りました……その様な形で接触されると レイさんを、守ることが出来ません……。

Ciel
ラーベ

ふむ……レイ。

Raabe
ラーベ

レイチェル=アルカードは、再びお前にコンタクトを 取ってくるだろう。

Raabe
ラーベ

まぁ今のところ敵意はないみたいだが、十分に警戒するように。 そしてできることなら、彼女の目的を探ってほしい。

Raabe
ひなた

お待たせ〜。

Hinata
シエル

ひなたさん。お財布は見つかりましたか?

Ciel
ナオト

ああ。結局うちの玄関にあったよ。

Naoto
ひなた

もう、なんで出るときに気付かなかったんだろう。 ずいぶん待たせちゃったよね、ごめんね。

Hinata
シエル

いえ、問題ありません。

Ciel
ナオト

ほら、行こうぜ。俺はいいけど、生徒会役員が忘れ物して 遅刻ってのは、カッコつかないからな。

Naoto
ひなた

あはは。私だけじゃなくて、ナオトちゃんも遅刻は駄目だよ。 でも私が生徒会役員なんて、なんだか変な感じだなぁ。

Hinata
ナオト

そうかもな。にしても……学校かぁ。 今、勉強とかって気分じゃねぇんだよなぁ……。

Naoto
ひなた

ラケルちゃんのことが気がかりなのはわかるけど、 自分のことはちゃんとしてないと。

Hinata
ひなた

目が覚めたときに、ナオトちゃんの生活が目茶苦茶に なってたら、ラケルちゃんも嬉しくないと思うよ。

Hinata
ナオト

そうかなぁ。あいつ、その辺わりと適当っつーか……。

Naoto
ナオト

こっちの生活なんて知ったこっちゃないって感じだろ。

Naoto
ひなた

そんなことないと思うよ。ナオトちゃんのことも、その周りの ことも、ラケルちゃんなりに大事に思ってくれてるよ。

Hinata
ナオト

どうだかな。

Naoto
シエル

ラケルさんは、優しい人なんですね。

Ciel
ナオト

どっちかっていうと、素直じゃないお人良しって感じかな。

Naoto
ナオト

それじゃ、学校行ってくるわ。

Naoto
シエル

いってらっしゃいませ。 ご武運を祈っています。

Ciel
ナオト

ありがとよ。

Naoto
ひなた

みんなは、これからどうするの? 放課後また一緒に帰るって言ってたけど?

Hinata
ラーベ

この辺りを適当にブラついてみるつもりだ。

Raabe
ラーベ

地図はインストールしたが、実際に歩いてみるとまた違った 発見があるものだからな。

Raabe
ひなた

そっか。あ、それならこの先の交差点にコンビニがあって、 右に曲がると美味しい喫茶店もあるよ。

Hinata
シエル

了解しました。情報、ありがとうございます。

Ciel
ひなた

それじゃあ、またあとで。

Hinata
シエル

見てください、レイさん。 あれがきっと体育館です。資料で見たことがあります。

Ciel
シエル

……これが本物の『学校』なんですね。 思っていたより、小さいです。

Ciel
ラーベ

そうか、シエルは学校を見るのが初めてか?

Raabe
シエル

以前イシャナでも見ましたが、イシャナの魔法学校は どちらかというと研究施設のような印象がありました。

Ciel
シエル

ここは、資料で見た『学校』というものに 非常に近い造りをしています。

Ciel
ラーベ

そうかもな。 さて……そろそろ行きたいんだが、気はすんだか?

Raabe
シエル

はい。気がすみました。 ……本当は内部も見てみたかったですが。

Ciel
ラーベ

不可能じゃないだろうが、ちょっと手間がかかるな。 今回は諦めろ。

Raabe
シエル

わかりました。諦めます……。

Ciel
シエル

ですが、どこへ向かいますか? 蟲は夜でないと、活動しません。

Ciel

1: コンビニで情報誌でも買ってみる? 喫茶店でメニューでも調査してみる?

1:

ラーベ

興味がないわけじゃないが、実はちょっと確認したいことが あってな。とりあえず、指示通りに移動してみてくれ。

Raabe
シエル

了解しました。

Ciel
シエル

反応……検索……照合。

Ciel
シエル

申し訳ありません。反応が多すぎて何を特定すればいいのか わかりません……。

Ciel
ラーベ

まぁ住宅街だしな。私たちの移動パターンと類似するモノ だけに絞れ。

Raabe
シエル

……いくつか該当する反応がありました。

Ciel
ラーベ

まあ、それでいいか。 よし、その反応の横合いへ出るように先導しろ。

Raabe
黒服

なっ……! 馬鹿な、貴様らどこから……!

Black Suit
シエル

彼らは……確か御剣機関の。

Ciel
ラーベ

緋鏡キイロの部下だな。 我々と黒鉄ナオトらを監視し、尾行していたんだろう。

Raabe
シエル

申し訳ありません、レイさん。 尾行を感知できませんでした。

Ciel
ラーベ

気にするな。連中は蟲などと違って普通の人間だ。 敵意を隠し、人波に紛れられたら、見分けるのは難しい。

Raabe
黒服

ちっ……。

Black Suit
シエル

逃亡しようとしています、どうしますか?

Ciel
ラーベ

捕獲しろ。

Raabe
ラーベ

せっかく近くまで来てくれたんだ。じっくり、色々と 話を聞かせてもらおうじゃないか……フフフッ。

Raabe

1: 了解!
2: なんだか悪役の台詞みたいですよ

1:
2:

シエル

了解。対象を捕獲します。

Ciel
ラーベ

つべこべ言ってないで、さっさと捕まえろ。

Raabe
黒服

ぐはぁっ……。

Black Suit
シエル

対象、捕獲しました。

Ciel
ラーベ

よしよし。……って、気を失ってるじゃないか! これじゃあ、この世界の御剣機関の情報が聞き出せんぞ。

Raabe
シエル

も、申し訳ありません。

Ciel
ラーベ

仕方ない。直接こいつらの脳から情報を引き出すか……。 なに、少し頭に穴を空けるだけだ、死にはしないだろ。

Raabe

1: ち、ちょっと待って!
2: やめてやめて、本当に悪役みたいだから!

1:
2:

レイチェル

お取込み中、失礼。

Rachel
シエル

わ……!

Ciel
レイチェル

ごきげんよう。『異物』の皆さん。

Rachel

第6節 少女④/ 6. Girl - 4

Summary
レイチェルはある目的のため現れたが、途中

不穏な気配を感じ、姿を消す。彼女と入れ違 いに、レリウスが現われる。

シエルたちの観察が終わり、立ち去るレリウ

ス。その彼の前に現われた青年ハザマは、何 かの知らせを携えているようだった。

1: 君は……!
2: レイチェル!

1:
2:

1: あなたは……!
2: レイチェル!

1:
2:

レイチェル

ごきげんよう。『異物』の皆さん。 不思議の国の探検はいかがかしら?

Rachel
レイチェル

レイは言いつけどおり、名前は覚えたみたいね。 でも、不合格。レイチェル様とお呼びなさい。

Rachel
ラーベ

……今のは、空間転移? しかもこの反応、まさか転移魔法か?

Raabe

Just now…was that spatial transportation? And moreover, this reading...don't tell me it's teleportation?

レイチェル

あら。そう珍しいものでもないでしょう? 御剣機関のお嬢さん。

Rachel

Oh my, is it really that rare? Little lady from Mitsurugi.

ラーベ

レイチェル……。お前がレイチェル=アルカードか。

Raabe

Rachel...You're Rachel Alucard, right?

レイチェル

破城カガミ。 それともアストロラーベ (ホワイトラビット) とでも呼んだ方がいいかしら?

Rachel

Hajou Kagami. Or do you prefer Astrolabe (White Rabbit) ?

ラーベ

好きにしろ。しかしその口振りだと、 認識している、ということか。

Raabe

Call me whatever you want. But I can say your speech sure is recognizable.

ラーベ

このファントムフィールドを。

Raabe

In this Phantom Field.

レイチェル

……正確には違うわ。認識しているのは私ではなく『あの人』。 私は教え聞かされただけ。

Rachel

...That's technically incorrect. The one you recognize isn't me but "that person." I only learned it from them.

シエル

あの人、とは誰のことですか?

Ciel

Who is "that person?"

レイチェル

私は、貴女とお話に来たのではないの。

Rachel

I didn't come here to speak with you.

レイチェル

それに、聞けばなんでも答えてもらえると 思わないほうが良いわよ。

Rachel

And don't think I'll answer just because you ask.

シエル

以降注意します。 では、アナタの目的はなんなのですか?

Ciel

Thank you for the warning. So why did you come here, then?

レイチェル

…………。

Rachel

....

レイチェル

……まぁいいわ。会いに来たのよ、レイに。

Rachel

...Fine. I came to see you, Rei.

1: 僕に? /私に?
2: 何故?

1: Me?
2: But why?

レイチェル

ひとつは、確認するため。 私の姿を問題なくあなたが認識できているかどうか。

Rachel

Before that, there's something I'd like to verify. Can you perceive me properly?

レイチェル

……これは問題なさそうね。あなたどころか、 あなたのお友達にも私の姿が見えているみたいだし。

Rachel

...Looks like that's not a problem. And it's not just you, but your friends who can see me too.

レイチェル

……信じがたいことだけれど、本当だったのね。

Rachel

...As hard as that is to believe.

シエル

何がですか?

Ciel

What do you mean?

レイチェル

こちらの話よ。気にする必要はないわ。

Rachel

Oh, it's nothing for you to worry about.

レイチェル

それから、もうひとつの目的は……知るためよ。

Rachel
レイチェル

あなたたちが……いいえ『あなた』が、 なんの目的でこの世界にやってきたのかを、ね。

Rachel

1: 僕の……目的?/私の……目的?

1:

ラーベ

答えるなレイ、呑まれるぞ。

Raabe
レイチェル

驚いたわ、見かけによらず過保護なのね。

Rachel
シエル

ラーベさん、一体何が……?

Ciel
ラーベ

真紅の魔眼 (スレイブレッド) ……吸血鬼が持つ、一種の暗示みたいなものだ。

Raabe

Slave Red...Something vampires have. It's like a type of coercion.

ラーベ

吸血鬼。 私の部下にあまりふざけた真似をするなよ……。

Raabe
レイチェル

あら……怖い。 せっかく、あなた達の手間を省いてあげようかと思ったのに。

Rachel
シエル

手間? レイさんに何をさせるつもりですか!?

Ciel
レイチェル

あなた達と同じ……この世界の『解放』よ……。 それが本当にレイの目的ならのお話だけど。

Rachel
ラーベ

……何だと?

Raabe
レイチェル

いかがかしらレイ。

Rachel
レイチェル

私の下僕になれば、この子達よりも上手くこの異変を解決して、 この世界を解放してあげられるわ。

Rachel

1: お断りします
2: ごめんなさい、下僕は無理です

1:
2:

レイチェル

あら、即答。フフッ……少しさみしいわね。

Rachel
シエル

レイさん……。 あの、その……懸命なご判断だと思います。

Ciel
ラーベ

こちらからも質問だ、レイチェル=アルカード。

Raabe
レイチェル

……まぁいいわ。袖にされたから、もう帰ろうと 思ったのだけれど……聞いてはあげる。

Rachel
レイチェル

ただし、答えるかどうかは、約束しないわよ。

Rachel
ラーベ

お前……この世界の観測者が誰か知っているのか?

Raabe
レイチェル

知らないわよ。当たり前でしょ。

Rachel
ラーベ

ちっ……やはりそういうことか……。

Raabe
シエル

あの、ラーベさん。どういうことなのですか?

Ciel
ラーベ

この吸血鬼は、レイを この世界の上位観測者にするつもりだ。

Raabe

This vampire's thinking of making Rei become a superior Observer of this world.

1: 上位観測者?

1: Superior Observer?

レイチェル

流石はアストロラーベ (ホワイトラビット) 。 理解が早いわね。

Rachel

That's the Astrolabe (White Rabbit) for you, so quick on the uptake.

レイチェル

そうよ、レイが上位観測者になれば、 この世界の窯はすぐにでも破壊可能だわ。

Rachel

That's right, if Rei becomes a superior Observer, it'll even be possible to destroy the Cauldron immediately.

レイチェル

私の下僕になれば……の、お話だけど。

Rachel

However, that's only if Rei becomes my servant.

シエル

そうなのですか?

Ciel

Really?

ラーベ

……可能だろう。本当にコイツがアルカードの吸血鬼ならな。

Raabe

...It's possible. If she really is a vampire of the Alucards.

ラーベ

だがその場合、この世界で、レイが主体の 再構成が始まる。どんな不具合が出るかわかったもんじゃない。

Raabe

...But if that happens, the world will begin reconstructing itself with Rei as the core. We don't know what might go wrong during that.

レイチェル

あら、あなた達の『システム』は そのために在るのではなくて?

Rachel

My, I thought that was what your System was for?

ラーベ

くそっ、そこまで把握しているのか……なら解るだろ?

Raabe

Shit, if you know that much then...you should already know.

ラーベ

イシャナのときとは話が違う、情報の密度も段違いだ。

Raabe

This is a completely different situation from Ishana, the density of information here is on another level.

ラーベ

そんな世界を、主体の不安定な状態で観測するのが どれ程危険なことか!

Raabe

The danger we'd be in if a world like this was put into a situation where the Observer becomes uncertain!

ラーベ

最悪、『世界』が崩壊するぞ!!

Raabe

In the worst case, the "world" will crumble!

レイチェル

あら……まるで『見てきたような』言い方ね、破城カガミ。

Rachel

Goodness...it's as if you've "seen it happen," Hajou Kagami.

ラーベ

!!?? このクソ吸血鬼がぁ……。

Raabe !?? You shitty vampire….
ラーベ

御剣機関が貴様らを殲滅対象に掲げているのを忘れるなよ……。

Raabe

Don't forget, the Mitsurugi Agency has a bounty for extermination on your head.

シエル

……ラーベさんの敵意上昇を確認。 レイチェルさん……アナタは私たちの敵ですか?

Ciel

Raabe's hostility levels are rising. Miss Rachel...are you our enemy?

ラーベ

……やめろシエル。

Raabe

...Stop, Ciel.

シエル

ラーベさん。……了解しました。

Ciel

Ms. Raabe. ...Understood.

レイチェル

フフフッ……怒らせてしまったようね。 でも安心なさい、私はあなたたちの敵ではなくてよ。

Rachel

Hee hee...it seems I've angered you. But please relax, I'm not your enemy.

1: ととと、とりあえずみんなおちつこう
2: ななな、何を、安心、しろと?

1: A-a-a-anyway, let's all calm down.
2: W-w-w-what is there to relax about?

ラーベ

お前が落ち着けレイ。私はもう冷静だ。

Raabe

You should calm down, Rei. I've already calmed down.

ラーベ

それと吸血鬼、よく聞け。

Raabe

And, vampire. Listen well.

ラーベ

我々はこの世界も、他の世界も、そして私たちの世界も救う。 な、レイ。

Raabe

We'll save this world, the other worlds, and our own world. Right, Rei?

1: はい! がんばります!!
2: 最善は尽くします!!

1: Yes! I'll do my best!!
2: I'll put in all I've got!!

シエル

微力ながら、私もお供させていただきます。

Ciel
レイチェル

そう……。なら、もうひとつの目的は果たせたみたいね。 ご褒美に、幾つか質問に答えてあげても良くてよ。

Rachel
ラーベ

お? ならラケル=アルカードとは、どういう関係にある? 同じアルカードなのは、偶然じゃないはずだ。

Raabe
レイチェル

残念だけれど、答えられないわ。

Rachel
ラーベ

お前性格悪すぎだろぉぉ!?

Raabe
レイチェル

まったく……単純な話よ。『ラケル』と自分の関係について、 ここにいる私が知らない。だから答えようがないわ。

Rachel
レイチェル

だから『ラケル』のことは、あの人にお聞きなさい。

Rachel

So, you should ask that person about Raquel.

ラーベ

あの人? さっきも言っていたが、何者なんだ?

Raabe

That person? Is that the same person you mentioned before?

レイチェル

会えばわかるわよ。多分、遠くない未来のことだから。

Rachel

When you meet them you'll understand. It'll probably be in the near future.

ラーベ

曖昧だな……。

Raabe

Well, that's vague...

シエル

あの、私からも……。多分レイさんも 同じ質問をされたいのだと思いますが……。

Ciel

1: 貴女は……何者なの?

1: Just what...are you?

レイチェル

私もこの世界から解放されたい、ただの『異物』よ……。 この世界に私の『探しもの』はないみたいだから……。

Rachel

I'm just another Contaminant like you, seeking to release this world…. Since it looks like what I'm looking for isn't here….

1: 探しもの?

1: You're looking for something?

レイチェル

……質問の時間はここまでね。 不快な気配を感じるから、私はこれで失礼するわ。

Rachel

...Time's up for questions. I'm sensing a rather ominous presence, so I will now take my leave.

シエル

不快な気配?

Ciel

What presence?

レイチェル

貴女ならすぐにわかるわよ。

Rachel

You'll find out soon enough.

レイチェル

それから、お別れの挨拶にひとつ忠告をしてあげる。

Rachel

Before I leave, let me give you all a piece of advice.

レイチェル

この世界は誰かの意思で、誰かの願望で、 あるいは欲望、本能、そういったもので描き出されたもの。

Rachel

This world was illustrated by someone's will, someone's wish, or their desires, instincts, or something similar.

レイチェル

ただ、意思を持つ者には誰しも、思い描ける世界に 限界というものがあるわ。

Rachel

Although anyone could be the bearer of that will, the world that was painted has a limit to it.

レイチェル

ここが誰かの想いを反映しているのなら、 この世界はその誰かの限界ということよ。

Rachel

If this world reflects someone's will, then it also represents their limits.

レイチェル

じゃあね、未熟な観測者さん。諦めずに頑張りなさい。

Rachel

Farewell, amateur Observer. Keep at it, and don't give up.

シエル

反応、消失しました。

Ciel

Reading, lost.

ラーベ

……世界の……限界?

Raabe

A world's...limit...?

ラーベ

チッ、考えるのは後だ。今は、奴の言い残した 『気配』とやらが気になる。シエル、索敵だ。

Raabe
シエル

索敵モードは既に展開中です。……周囲には――あ!

Ciel
シエル

捕獲した人たちが解放されています!

Ciel
シエル

ですが、おかしいです! 接近に気付けませんでした!

Ciel
レリウス

……当然だ。気付かれないようにしたのだから。

Relius
ラーベ

レリウス=クローバー!? 何故貴様が!

Raabe
レリウス

全く……お前が捕虜など取ったせいで、 待機中に駆り出されたのだ……。面倒この上ない。

Relius
シエル

不快の理由……よくわかりました。

Ciel
レリウス

しかし……この面倒の追加報酬としては……十分とも言えるな。

Relius
ラーベ

なに?

Raabe
レリウス

クククッ……実に面白い。興味深い素材となったなソレは。 ……色々と、調べがいがある。

Relius
ラーベ

不味い! 気を付けろ、レイ!

Raabe
レリウス

細部までよく、観せてもらおう。

Relius
レリウス

……ふむ……なるほど。 だが、今の眼では観きれないか……。

Relius
レリウス

複雑な構成……。それだけに、ふむ、興味深い。 しばらくは……ふむ、観察と検証が必要か……。

Relius
シエル

倒れていない……。 手応えがあったのは、人形……?

Ciel
ラーベ

ふむふむうっさい奴だが、気を抜くなシエル。 どうにも底が知れん。

Raabe
シエル

はいっ!

Ciel
レリウス

結構。現段階でのデータとしては十分だ……。

Relius
レリウス

分析の時間が惜しい。……失礼するぞ。

Relius

1: なっ!
2: 速っ!!

1:
2:

シエル

反応……消失。すみません、見失いました。

Ciel
ラーベ

追う必要はない、むしろ追うな。

Raabe
シエル

検証……分析、と言っていました。 彼は一体、なんなのでしょう?

Ciel

1: ちょっと不気味
2: 気にしないほうがいいかも

1:
2:

ラーベ

レリウス=クローバー……。評判は耳にしたことがあるが、 奴を理解しようとするほうが無駄だ。

Raabe
シエル

わかりました。ですが……もし彼が観測者であった場合、 対処は非常に困難になりそうです。

Ciel
ラーベ

いや……その可能性は極めて低いと思うぞ。 むしろ無いと断言してもいいくらいだ。

Raabe
ラーベ

さっき、レイチェルが言っていただろう。 この世界の有様が、そのまま観測者の限界でもあると。

Raabe
ラーベ

もしこの世界がレリウス=クローバーの生み出したもの であるのなら、ここは……あまりに普通すぎる。

Raabe
シエル

……確かに、そうかもしれません。

Ciel
ラーベ

まあだが、可能性がまったくないわけでもない。 万が一ということもあるからな。あったらほんと怖いけど。

Raabe
シエル

はい。油断は禁物ですね、ラーベさん。

Ciel
ラーベ

そういうことだ。

Raabe
ラーベ

……さて、御剣機関下っ端の捕獲には失敗したことだし、 もう少し辺りを見て回ったら学校へ戻るか。

Raabe
シエル

はい。

Ciel

ああ、こちらにいらしたんですか。 探しましたよ、レリウス=クローバーさん。

Man
レリウス

……お前か。

Relius

まったくもう、ひどいじゃないですか。 こっちは任せっきりで、勝手なことばっかりなさって。

Man

あとでキイロさんに嫌味を言われる身にも なっていただきたいものです。

Man
レリウス

……愚痴のために来たのか?

Relius

ああ、いえいえ、そんなわけないじゃないですか。

Man

お知らせしたいことがあったのに、 連絡はつかないし一向に戻られる様子もない。

Man

困り果てていたところに、先ほどウチの職員が、 貴方に助けられた〜という報告が入ったものですから、

Man

慌てて駆け付けたというわけです。

Man

いやぁ、走りましたよ。 勘弁してくださいよ、私、運動は専門外なんですから。

Man
レリウス

……知らせ?

Relius

はいはい。アレの準備がそろそろ整うようです。

Man

Right, right. Preparations are underway.

レリウス

そうか。

Relius

I see.

完成次第、キイロさんはすぐにでも 始めるつもりだそうですよ。

Man

Kiiro's ready to start as soon as it's completed.

あれだけ大きくなると、 こちらで管理するのも一苦労ですからね。

Man

早めに処理してしまいませんと、 コストがかかるばかりです。

Man

The cost is only going rise if it's not taken care of quickly.

レリウス

わかった。こちらはやるべきことをやろう。

Relius

I understand. I'll do what I must.

ええ、よろしくお願いしますよ。

Man

Yes, please do.

……それにしても、面白くなってきたじゃありませんか。 おかしな舞台に、おかしな脚本、おかしな役者。

Man

これは……裏方仕事としても、 より楽しい舞台になるような演出をほどこさねばなりませんね。

Man

第7節 告白①/ 7. Confession - 1

Summary
学校を終えたナオトたちと帰宅するシエルた

ち。ひなたを手伝い、夕飯の準備に当たる。 気合十分にシエルたちは蟲を退治する。

蟲退治に奔走するも、アラクネは現われない。

ナオトは不意に、白昼夢のように出会った女 の子について話す。

ひなた

みんな、お待たせ〜。

Hinata
シエル

ひなたさん、ナオトさん。お疲れ様です。

Ciel
ナオト

悪いな、ずっと待たせてて。

Naoto
シエル

いいえ。我々が待っていると言ったのですから、 気にしないでください。

Ciel
サヤ

こんにちは。本当にいらしていたとは、驚きました。

Saya
シエル

サヤさん。もう体は大丈夫なのですか?

Ciel
サヤ

はい。心配をおかけしました。一日しっかり療養したおかげか、 今日はむしろ調子がいいくらいです。

Saya
ナオト

だからって無理すんなよ。落ち着いてるだけで、 治ったわけじゃねぇんだから。

Naoto
サヤ

わかっております。 ……本当に、わずらわしい体です。

Saya
シエル

お体が弱いと以前に聞きましたが、 それは治しようのないことなのですか?

Ciel
サヤ

え? ……ええ。 医者には、命を繋いでいるだけでも信じがたいと。

Saya
サヤ

これも、幼いころの鍛練の賜物ですね。

Saya
サヤ

それに、一時ではありますが、あのヴァルケンハインとも 互角以上に渡り合えると自負しております。

Saya
シエル

確かにあの剣戟には眼を見張るモノがありました。 しかし、持久戦に持ち込まれた場合……。

Ciel
サヤ

ふふふ。なので、皆様の事が羨ましく思うときもあります。

Saya
サヤ

ですが、シエルさんは本当に、変わった方ですね。

Saya
サヤ

そのようなことを真正面から本人に尋ねる人など、 あまりお目にかかりません。

Saya
シエル

あ。失礼な質問だったでしょうか。すみません。

Ciel
サヤ

いえ、お気になさらず。 気安く励まされるよりずっといいです。

Saya
サヤ

それに、共に戦う仲間の戦力分析は必要ですからね。

Saya
ラーベ

物騒な話は置いといてだ、 サヤも、ナオトたちと同じ学校に通っているのか。

Raabe
サヤ

はい。 ですから、兄とひなたさんは、学校では先輩です。

Saya
シエル

先輩……。

Ciel
サヤ

はい。

Saya
ナオト

なにが先輩だよ、学校でそんな風に呼んだこと、 一度もねぇだろうが。

Naoto
サヤ

それはそうです、兄様を兄様以外でお呼びするのは、 なにやらこそばゆいですから。

Saya
ひなた

ナオトちゃんだって、サヤちゃんに先輩って呼ばれたら、 恥ずかしがるでしょ?

Hinata
ナオト

うーん……まあ、確かに。

Naoto
サヤ

まあ。それでしたら、あえて口にしたいものですね。 黒鉄先輩。

Saya
ナオト

うっ……やめろよ。

Naoto
サヤ

言い出したのは先輩ではありませんか。

Saya
ナオト

だからぁやめろって、なんか、気持ち悪いぞ。

Naoto
サヤ

!? サヤのこと気持ち悪いだなんて…… お兄ちゃんひどい……。

Saya
ナオト

ごめんなさい、おねがいします、かんべんしてください。

Naoto
サヤ

ふふ。これは良いことを覚えました。 もしものときは、活用いたしましょう。

Saya
ナオト

なんだよ、もしもって。

Naoto
サヤ

さて。なにに使いましょうか。

Saya
ナオト

ぜってーロクなこと考えてねぇな、こいつ……。

Naoto
シエル

どうして、先輩やお兄ちゃんと呼ばれるのが 恥ずかしいのですか?

Ciel
ナオト

だ、だってほら、普段と違う呼び方されるとさ、 なんだか落ち着かないじゃん!

Naoto
ナオト

それが妹相手なら、なおさらじゃん!!

Naoto
ラーベ

……ナオト。なんかすごく焦っているように見えるぞ。

Raabe
ナオト

そそそそんな事ありませーん。

Naoto
シエル

つまり、ナオトさんにとって妹というのは、 それほど特別な存在なのですね。

Ciel
ナオト

特別って……まあ……そうだな。一応、家族だし。

Naoto
シエル

家族……。ひなたさんも、家族のようなものだと 言っていました。

Ciel
ひなた

私は……サヤちゃんとはまたちょっと違う感じだよ。 親戚だけど、兄妹ではないし。

Hinata
ナオト

でも、似たようなもんだろ。

Naoto
ひなた

そう? えへへ、じゃあそうかな。

Hinata
シエル

家族にも色々な種類があるんですね。

Ciel
ひなた

うん、そうだね。

Hinata
ひなた

あ、家族で思い出した。スーパー寄って行ってもいい? 夕飯の材料買わないといけないの。

Hinata
ナオト

なんで家族をキーワードに思い出した……? 別にいいけど、なに買うんだ?

Naoto
ひなた

ひき肉とニラと、餃子の皮。今夜は餃子にしようと思って。

Hinata
シエル

ギョウザ……ですか。知らない食べ物です。

Ciel
ひなた

餃子、知らない? あ、なら一緒に作ろうよ。

Hinata
シエル

私でお役に立てるのでしたら。

Ciel
ひなた

やった。餃子ってひとりで包むの大変だから、助かっちゃう。 そうだ、サヤちゃんも一緒に食べていったら?

Hinata
サヤ

お誘いはありがたいのですが、私は一度家に戻ります。

Saya
サヤ

夜に冥さんたちと合流する前に、 明日提出の課題を終わらせてしまいたいので。

Saya
ひなた

偉〜い! ナオトちゃん、聞いた?

Hinata
ナオト

聞いてませーん。

Naoto
ひなた

もう。少しはサヤちゃんを見習いなさい。

Hinata
ラーベ

……ところでナオト。『お兄ちゃん』と言う 呼称についてなのだが……。

Raabe
ナオト

しつけーよ!!!

Naoto
ひなた

タネをこれくらい載せて、皮のフチに水をつけてね。 こうやって……くっつけるの。

Hinata
シエル

……これが餃子、ですか。

Ciel
シエル

データでは知ってましたが、本物は初めて見ました。 思っていたよりも……湿り気のある物質なのですね。

Ciel
ひなた

ここにあるタネを全部こうやって包んだら、フライパンで 焼いて完成だよ。はい、シエルちゃんもやってみて。

Hinata
シエル

はい。やってみます。

Ciel
ひなた

はい、レイくんも。

Hinata
ひなた

はい、レイちゃんも。

Hinata

1: こういうのは得意!
2: こういうのは苦手で……

1:
2:

ひなた

本当? よかった。 たくさんあるから、よろしくね。

Hinata
ひなた

少しずつ慣れたら大丈夫だよ。 たくさんあるから、よろしくね。

Hinata
ひなた

ナオトちゃんも、手伝って〜。

Hinata
ナオト

へーい。

Naoto
シエル

こうして……こう、して……。

Ciel
シエル

中々、難易度が高いです。ひなたさんが作ったものと、 同じようになりません……。

Ciel
ひなた

そんなことないよ、すごく上手だよ。それに、皮がくっついて いれば大丈夫だから、気にしないでどんどん作ろう。

Hinata
シエル

はい。

Ciel
シエル

……あの。こういう技術も、学校で学習するのですか?

Ciel
ひなた

そうだなぁ。家庭科で包丁の使い方とかも教わったりするけど、 料理は家で覚える人が多いんじゃないかなぁ。

Hinata
ひなた

私も、本やテレビで見たり、色々家でやってみて だんだん覚えた感じだよ。

Hinata
ラーベ

そういえば、ひなたの家族とはまだ顔を合わせていないな。 姉がいるんだったか。いつも家にいるのか?

Raabe
ひなた

……ほとんどお仕事で家にいないんだ。 最近は特に忙しいみたいで。

Hinata
ひなた

……あれ? 前に帰ってきたのいつだっけ……。

Hinata
ラーベ

ふーむ、そうか。 確か、ひなたとその姉はナオトの親戚なんだったな?

Raabe
ナオト

ああ、そうだよ。

Naoto
ラーベ

ひとつ聞きたいんだが、 ひなたの姉はドライブ能力者ではないのか?

Raabe
ひなた

どら……いぶ? なに、それ?

Hinata
シエル

ナオトさんやサヤさんが、戦うときに使っている力のことです。 冥さんやエスさんも、持っています。

Ciel
ひなた

ああ、あのすごいやつね! うーん、お姉ちゃんには そういう力はないと思うよ。私も戦ったりできないし……。

Hinata
ひなた

ナオトちゃんたちみたいなことができたら、私もラケルちゃんの 目を覚ますお手伝いができるんだけどなぁ……。

Hinata
ナオト

これ以上の手伝いはいらねぇよ。ひなたまでサヤみたいなこと し始めたら、こっちの身がもたねぇ。

Naoto
ひなた

え、どうして? お手伝いが増えたほうがいいと思うけど……。

Hinata
ナオト

お前に怪我でもされたら、ユキさんに合わせる顔がねぇだろ。 なんて言えばいいんだよ。

Naoto
ひなた

そんなに心配しなくても、大丈夫だよ〜。

Hinata
ナオト

大丈夫だと思えねぇから、心配してんだろうが。

Naoto
ラーベ

……なら、ラケル=アルカードはどうだ? ドライブ能力を持ってるのか?

Raabe
ナオト

ああ。俺がドライブ能力を手に入れたときに、教えてくれたよ。 風を操るドライブだって言ってた。

Naoto
ナオト

それがどうかしたのか?

Naoto
ラーベ

いや、念の為に少し確認しておきたかっただけだ。

Raabe
ナオト

ふうん?

Naoto
ひなた

ナオトちゃん、手が止まってるよー。

Hinata
ナオト

ああ、はいはい。

Naoto
ひなた

ふふ、なんだか大勢で楽しいね。ラケルちゃんが起きたら、 今度はラケルちゃんも一緒に餃子作りしたいな。

Hinata
ナオト

そうだな。まあ、あいつがこういうことやるとは、 思えねぇけど。

Naoto
ナオト

……にしても、量多いな!

Naoto
ひなた

たくさん食べて、夜に備えてもらわないとだからね。

Hinata
シエル

作戦行動に、補給は重要です。頑張ります。

Ciel
ひなた

うん。わぁ、シエルちゃん、それすごく上手!

Hinata
シエル

あ……ありがとうございます。次、作ります!

Ciel
シエル

次、倒します!

Ciel
ラーベ

よし、追いついた。 ちょこまか逃げられる前に、さっさと片付けるぞ。

Raabe
シエル

はい。 行きます、レイさん!

Ciel

ギッ……。

Bugs
シエル

これで最後ですね。

Ciel

1: はー、疲れた
2: 今夜はかなりの数倒したね

1:
2:

シエル

はい。ですがこれで、感知した分は全てです。 お疲れ様でした。

Ciel
ナオト

おーい、そっち終わったか?

Naoto
ラーベ

おお、片付いてるぞー。そっちも無事に終わったみたいだな。

Raabe
Es

任務完了です。こちらが追っていた群体は、片付きました。 あとは冥とサヤさんが……。

Es

どうやら、ちょうどいいタイミングだったようだな。

Mei
シエル

冥さん、サヤさん。 おふたりも戻られたのですね。

Ciel
サヤ

ええ。冥さんの陣にかかった蟲は全て、始末してまいりました。

Saya

しかし、さすがに堪えるな。 連日、これだけの数を駆除するとなると。

Mei
ナオト

ああ……。そのうち全滅させそうな勢いで潰して回ってるって のに、それでもまだ出てくるんだからな……。

Naoto
ナオト

蟲憑きも結構な数見かけた。やっぱアラクネの被害が 広がってるってことだよな。

Naoto
サヤ

先日、レイさんを喰らい損ねたので 焦っているのか、それとも何か別の企みがあるのか……。

Saya

……アレが謀の出来そうな生物には見えんが……。 どちらにしろ、早々になんとかしなければな……。

Mei

天ノ矛坂家の者としても、被害がこれ以上、 広がり続ける現状は看過できん。

Mei
ラーベ

気持ちはわかるが、焦るな。御剣機関が関わっていると わかった以上、事は簡単にはいかないぞ。

Raabe
ナオト

…………。

Naoto
シエル

ナオトさん? どうかしましたか?

Ciel
ナオト

あ、ああ、いや。 そういえば、こんな感じのときだったなーと思って。

Naoto
Es

なにが、ですか?

Es
ナオト

ほら。サヤには話しただろ。 前に……ここに女の子がいたって話。

Naoto
サヤ

ああ……兄様が体験された、心霊現象のことですか。

Saya

心霊現象だと?

Mei
ナオト

いや、そういうんじゃねぇから……。

Naoto
ナオト

この前、冥たちが帰った後、ほんの一瞬、 白昼夢みたいな感じで……女の子に会ったんだよ。

Naoto
ナオト

顔もはっきり見えなかったし、話をしたわけじゃ ないんだけど。なんだったんだろうな、あの子……。

Naoto

1: それって……
2: もしかして

1:
2:

ラーベ

レイ。

Raabe
ナオト

ん? なんだ、どうした?

Naoto
ラーベ

いや、なんでもない。 それより、そろそろ撤収の時間じゃないか?

Raabe
ナオト

うわ、ほんとだ、もうこんな遅いのかよ……。 くそ……今夜もアラクネは現れなかったってことか。

Naoto
サヤ

……居所さえわかれば、奇襲でもなんでも仕掛けるのですが。 歯がゆいですね。

Saya

私とエスはもう少し辺りを調査してから戻る。 奴が出てこないのなら、少しでも多く蟲を潰しておきたい。

Mei
ナオト

あんま無理すんなよ。なんかあればすぐに呼べ。

Naoto

ふん、見くびるな、小僧。 さあ、行くぞ、エス。

Mei
Es

はい。失礼します。

Es
サヤ

私も帰宅いたします。……おやすみなさいませ。

Saya
ナオト

ああ。明日こそ、アラクネの尻尾を掴もう。

Naoto
ナオト

よし。じゃあ俺達も戻るか。 あんまり遅くなりすぎると、ひなたが心配する。

Naoto
シエル

はい。

Ciel

第7節 告白②/ 7. Confession - 2

Summary
特に収穫はなく、数日が過ぎる。ラーベは事

象を乱し続けることが、事態の緩やかな進行 に繋がると言う。

Esを伴わずに現われた冥。この世界になんと

も言えない違和感を覚える冥は、この世界の 住人ではないように思うと告白する。

私とエス、ナオトとサヤ。 それからレイとシエル。

Mei

今夜はこの組み分けでいくぞ。

Mei
シエル

はい。頑張ります。

Ciel
ラーベ

む、私は?

Raabe

……お前は戦力外だからな、好きな奴についていけばいいだろ。

Mei
ラーベ

日に日に扱いが雑になってきてないか!?

Raabe
ナオト

あんたの扱いは置いといてだ。今夜こそなにか……って 思ってるけど、

Naoto
ナオト

ここ数日、収穫は無いしな……。

Naoto

最初にアラクネにたどり着けたのが、むしろ幸運だったんだ。 そう簡単に収穫があるものでもない。

Mei

それより、蟲が活発なのに反して、 御剣機関の連中がいやにおとなしいのが気になる。

Mei

ヴァルケンハインやレリウスなんて規格外を連日相手にするなど、 考えたくもないが……。

Mei

ぱったり姿を見せないのも、それはそれで不気味だ。

Mei
ラーベ

……緋鏡キイロは、ナオトに強い関心を抱いていた。

Raabe
ラーベ

蟲の駆除程度であっても、我々が動いていることを 示し続けることは、御剣機関へのアプローチにもなる。

Raabe
ラーベ

そういう小さな『ちょっかい』が、 物事をやがて動かすはずだ。

Raabe
サヤ

できれば、あまり焦らさず早々に動いてほしいものです。

Saya
Es

……行きましょう。蟲が動き出します。

Es

……そうだな。

Mei
シエル

ラーベさん。私達もこのまま、毎晩の蟲の駆除を しているだけでいいのでしょうか?

Ciel
ラーベ

いいわけがあるか。

Raabe
シエル

えっ!

Ciel
ラーベ

というか、蟲などどうだっていい。 我々が探しているのは観測者だ。

Raabe
シエル

はい。ですが現在、状況は膠着しています……。

Ciel
ラーベ

いや、そうでもない。

Raabe
シエル

そうなの、ですか?

Ciel
ラーベ

観測者の願望から生まれたこの世界にとって、 私たちだけは『あり得ない』存在だ。

Raabe

In a world created from an Observer's wishes, we're "impossible."

ラーベ

それがアラクネや御剣機関といった、 この世界の中心に深く関わっているだろうものに接触した。

Raabe

And we've come into contact with Arakune and the Mitsurugi Agency, things that are probably deeply connected to this world.

ラーベ

これは『あり得ない』出来事だ。

Raabe

Which is itself "impossible."

ラーベ

あり得ない存在が、あり得ないことを引き起こす。 それによって観測者が観測するはずだった事象が乱れる。

Raabe

Impossible existences causing impossible things to occur. Then the Phenomenon that the Observer is supposed to be Observing will be messed up.

ラーベ

重要なのは『乱し続ける』ことだ。 小さな波紋でも、それはやがて大きな波になる。

Raabe

The important thing is to "continue disturbing" things. The ripples it causes may be small now, but they'll grow to have larger effects later.

ラーベ

たとえば、こういう奴等だ。

Raabe
ラーベ

私たちが……いや、レイが事態に 関わり続けていれば、それは膠着じゃない。緩やかな進行だ。

Raabe
ラーベ

なので、心してかかれよ。

Raabe
シエル

なるほど……わかりました。全力で対象を殲滅します。 レイさん、よろしくお願いします。

Ciel
シエル

この周辺も蟲は殲滅しました。

Ciel
ラーベ

アラクネらしい反応も付近にはなさそうだな。 少し休憩するとしよう。

Raabe
シエル

そうですね。あそこにベンチがあります。 レイさん、どうぞ。

Ciel
ラーベ

夜の公園のベンチか。青春の風情があるなぁ。

Raabe
シエル

青春……思春期のことですね。 ですが、どうして公園のベンチが青春なんですか?

Ciel
ラーベ

ん? そうだな……なんと説明したものか……。

Raabe
ラーベ

思春期の人間は、意中の人物となにかと秘密裏に会いたがるんだ。 周囲になるべく気づかれずにな。特に夜だ。

Raabe
ラーベ

そういうときの恰好のあいびき場所が、 夜の公園のベンチというわけだ。

Raabe
シエル

なるほど。ではこれも、あいびきですか?

Ciel
ラーベ

……断っておくが、この場合のあいびきというのは、 好意を寄せる者同士が行うことだからな。

Raabe
シエル

好意……好ましいと思う感情、反応。

Ciel
シエル

好ましいというのは、推奨されるべき状態、 障害がなく順調である様などに用いる表現です。

Ciel
シエル

レイさんは、私を好ましいとお思いですか?

Ciel

1: えっ!? いや、そんな急に言われても……
2: もちろん好ましいよ

1:
2:

シエル

すみません、困らせてしまいましたか。 物事の状況を判断するのは、難しいものです。失礼しました。

Ciel
シエル

では、これはあいびきですね。貴重な体験です。

Ciel
ラーベ

う、うん……まあ、いいか。詳しくつっこまなくても。

Raabe

ここにいたか。

Mei
シエル

冥さん。どうしたんですか? エスさんはご一緒ではないのですか?

Ciel

担当していた辺りが、あらかた片付いたのでな。 様子を見に来た。エスは、向こうで休憩中だ。

Mei

……いや。エスは向こうで、待たせてある。 実は……お前たちに話したいことがあって来たんだ。

Mei

黒鉄や輝弥にはあまり聞かせたくない話だ。 だから……今、聞いてほしい。

Mei
ラーベ

なにやら込み入った話のようだな。ぜひ聞こう。

Raabe
シエル

よろしければ、どうぞ。座ってください。

Ciel

いや、いい。そっちは座ったままでいいから、 そのまま……聞いてくれ。

Mei
シエル

わかりました。

Ciel

前に、言っていただろう。 お前たちは、この世界の『外側』から来たと。

Mei
シエル

はい。

Ciel
シエル

私達のいたところは、不定形の空間で…… その中を潜行する船の中から、ここへ来ました。

Ciel

船? それは想像もしていなかったな。

Mei

てっきり、こことは違う景色の世界から 紛れ込んだのかと思った。

Mei

……私のようにな。

Mei

1: どういうこと?
2: 冥は違う世界から来たの?

1:
2:

私自身、どういうことなのか、よくわかっていないんだが……。 ここは私がいるべき世界ではない。そう強く感じている。

Mei

……あ! 違うぞ、思春期の若者にありがちな、 そういうアレではない。断じて違う!

Mei
シエル

そういうアレとは、なんですか?

Ciel

う、あ、いや……ゴホン。 なんでもない。今のは、なしだ。

Mei

だが、お前たちにならわかるだろう? 私の言っている意味が。

Mei
ラーベ

もう少し詳しく聞かせてくれないか。

Raabe

……私は確かに、日本に住んでいた。 日本の、天ノ矛坂家にだ。

Mei

ここと似た風景の町だったと思う。 だから……最初は些細な違和感でしかなかった。

Mei

いつからそうだったのかは、思い出せない。

Mei

だが気付いたときには私は、 新川浜にある天ノ矛坂家で暮らし、エスというメイドを抱え……

Mei

黒鉄ナオトの学友だった。

Mei

だが徐々に、それは違うと……感じるようになった。

Mei

私には確かに、親しい男の友人がいた……と、思う。 そんな気がする。

Mei

彼と共になにかと戦った気がする。 もう忘れてしまった、微かな夢のような記憶だが……。

Mei

それは、黒鉄ナオトではなかったはずだ。

Mei
シエル

…………。 それは……。

Ciel

悲しいわけではないぞ。 ただ……どちらかというと悔しい。

Mei

はっきりしない違和感がずっと引っかかっていて、 気持ちが悪かった。

Mei

だからな、お前たちが『世界の外側』と言ったとき、 ほっとした。私の違和感は、きっと間違っていない。

Mei

世界は確かに歪んでいる。 そして私は『此処』の住人ではない。

Mei

ならば私は、本当の場所に戻りたい。

Mei

このまま『此処』の人間になるつもりはない。 そのことを……伝えておきたかった。

Mei
シエル

それは……。

Ciel

……これは定かじゃないが、おそらくエスもそうだろう。

Mei

私と同じように、『此処』ではないどこか別の場所を 見ているように感じる。

Mei

どこかというより、誰かを、だな。 そしてそいつはたぶん、この世界にはいないんだ。

Mei
ラーベ

…………。

Raabe

勘違いしないでくれ。だからどうしてくれとか、 そういうことが言いたいわけじゃないんだ。

Mei

ただお前たちなら、こんな妙な話にも 真面目に耳を傾けてくれるだろうと思ってな。

Mei

……話はそれだけだ。誰かに聞いてほしかったんだ。

Mei

集合時間には、まだ少しある。 私はエスと合流して、もうひと仕事してこよう。

Mei
シエル

……あの、冥さん。

Ciel

なんだ?

Mei
シエル

冥さんは……冥さんの言う『本来の世界』に 戻りたいのですか?

Ciel

当たり前だ。 戻れるなら、戻りたいに決まっているだろうが。

Mei

いや、戻りたいんじゃないな。帰りたいんだ。 私の大切なものがあるはずの場所にな。

Mei
シエル

…………。

Ciel
シエル

……ラーベさん。冥さんのお話をどう思われますか? 冥さんは、『異物』なのでしょうか?

Ciel
ラーベ

ふーむ。……わからん。

Raabe
ラーベ

本来の『異物』なら、自分がそうであると自覚しているものだ。 冥の今の告白は、自覚しているがゆえのものだとも受け取れる。

Raabe
ラーベ

だが……。

Raabe
シエル

……冥さんは『帰りたい』と言っていました。

Ciel
シエル

『世界』とはどのようなものなのでしょう。 帰りたくなるような場所なのでしょうか……?

Ciel

1: 自分の故郷みたいな感じじゃないかな 自分の証明みたいな感じじゃないかな

1:

シエル

そうなんですね。私にはよくわかりませんが…… 大事なものなんでしょうね、きっと。

Ciel
シエル

冥さんが本来の世界に戻れたらいいと思いました。

Ciel
ラーベ

やれやれ。情操教育の時間ではないんだぞ。 体力に問題がないのなら、こちらも動くぞ。

Raabe
シエル

はい。 行きましょう、レイさん。

Ciel

第8節 蟲王①/ 8. Insect King - 1

Summary
放課後、ナオト・サヤと合流したシエル達。

下校途中に蟲憑きが明るい時間に放浪してい る事が目に入り、駆除することを決める。

……を……探して。

そして私……つけて……。

見つけて……。

シエル

学校、お疲れ様です。ナオトさん。

Ciel
ナオト

おう、待たせたな。

Naoto
サヤ

こんにちは。

Saya
シエル

はい、こんにちは、サヤさん。

Ciel
ナオト

あ〜〜〜……疲れたぁ。午後に自習でプリントと読書とか、 寝るなってほうが無理だろ。

Naoto
サヤ

まあ、兄様。兄様が不真面目ですと、 ひなたさんの評判にも障ります。用心してくださいませ。

Saya
ナオト

んだよ、早速小言を言うなって。 一応、頑張って耐えてたんだから。

Naoto
サヤ

ひなたさんに起こされながら、ですか?

Saya
ナオト

……なんでわかるんだよ。

Naoto
サヤ

わかりますとも。兄様のことですから。 まったく、手のかかる兄です。

Saya
ナオト

悪うございましたね。

Naoto
シエル

あの。そのひなたさんは、一緒ではないのですか?

Ciel
ナオト

ああ、そうだった。ひなた、急に生徒会の会議が あるらしくてさ。先に帰ってろってよ。

Naoto
シエル

そうですか。 ……生徒会、とはなんですか?

Ciel
ナオト

んー、学生の役員会みたいなもんかな。

Naoto
ナオト

自分たちの色々なことを、代表者の生徒会役員たちが 話し合って決めたりするんだよ。よく知らねぇけど。

Naoto
シエル

では、ひなたさんは学校の重役なのですか。

Ciel
ナオト

重役っていうか……まあ……そんな感じか。

Naoto
シエル

お料理もお掃除もできて、そのうえ役員とは。 すごい方なのですね。

Ciel
サヤ

ええ。本当に。

Saya
ナオト

そしたら、帰るか。どこか寄るところとかあるか?

Naoto
シエル

いいえ、私達は特にはありません。

Ciel
ナオト

サヤは? どのみち夜また来るんだし、このままうちにくるか?

Naoto
サヤ

そうですね……ですが鞄を持ったまま刀を振るうのも 煩わしいですし、一度家に戻りたくもあります。

Saya
ナオト

鞄くらい、うちに置いておけばいいじゃねぇか。

Naoto
サヤ

よろしいのですか?

Saya
ナオト

当たり前だろ。兄妹で変な遠慮すんなよ。

Naoto
サヤ

まあ。嬉しい。

Saya
ナオト

なんだよ。俺、そんなに普段冷たいか?

Naoto
サヤ

いえ、とんでもない。そんなことはありません。 ですがなにやら、嬉しかったのです。

Saya
ナオト

そーですか。じゃあ、帰るぞ。

Naoto
シエル

はい。

Ciel
シエル

ところで、ナオトさん。質問があるのですが。 学校とは、どんなことをする場所なのですか?

Ciel
シエル

様々な科目について学んでいるということは知っているの ですが、具体的にはどのようなことをしているのだろうと。

Ciel
サヤ

……興味がおありですか?

Saya
シエル

はい。資料でしか知らないので、気になっています。

Ciel
ナオト

まあ……大体は、今言ったみたいに 授業で勉強してるんだけど……。

Naoto
ナオト

昼休みに弁当食ったりとか。おすすめのゲームの貸し借りとか。 まあ、大体友達と下らねぇ話してるかな。

Naoto
サヤ

兄様はゲームがお好きなのだそうですね。 先日も、ご友人からいくつか借りられたとか。

Saya
ナオト

げ。なんで知ってんだよ。 ……まさかひなたか?

Naoto
サヤ

はい。なんでも……『らぶらぶ学園パラダイス』、 『お姉ちゃんといっしょ☆』、そんな題名でしたね。

Saya
ラーベ

ほっほーう。少年、そういう趣味なのか。

Raabe
ナオト

ちげーよ! 俺の趣味じゃねぇから! 友達の趣味だから!

Naoto
シエル

なるほど。 お友達が、そのようなご趣味を持っているのですね。

Ciel
ナオト

えっ……ああ、まあ、うん、そうだな、うん。

Naoto
ラーベ

しかし、ふむ、友達か。 その友達は、なんという人物なんだ?

Raabe
ナオト

ああ、同じクラスで……。

Naoto
蟲憑き

う……う……。

Bugs
サヤ

皆様。あれを。

Saya
ナオト

蟲憑きが、なんでこんな明るい場所うろついてんだ……!?

Naoto
サヤ

さて。このところ蟲の活動が活発であったことと、 なにか関わりがあるのでしょうか。

Saya
ラーベ

あのまま進むと、大通りへ出るな。

Raabe
ナオト

チッ、こんな学校の近くで誰かが巻き込まれるなんて、 とんでもねぇ。今の内に片付けとこうぜ!

Naoto
サヤ

あの程度、造作もありません。 すぐに屍に変えてご覧に入れます。

Saya
ナオト

屍に変える必要はねぇよ!

Naoto
シエル

対象を補足。対象を攻撃します。

Ciel

第8節 蟲王②/ 8. Insect King - 2

Summary
駆除後の夜、帰りの遅いひなたを心配するナ

オト。突如冥に呼び出され、向かった先には、 多くの生命力を喰ったアラクネの姿があった。

ナオト

蟲憑きだけじゃなくて、蟲まで、 こんなとこに出てきやがるなんてな……。

Naoto
サヤ

行動法則が変わったのでしょうか。 いえ……むしろ……。

Saya
ラーベ

活動範囲が広がった、という感じだな。

Raabe
サヤ

そうですね、その通り。 アラクネの力が強まった、と考えるのが自然でしょうか。

Saya
ナオト

くそっ。だったらいっそ アラクネ本人が出てきてくれりゃあいいのによ。

Naoto
ナオト

そしたらとっととぶっ倒してやるってのに……。

Naoto
サヤ

ええ……。

Saya
サヤ

……ですが、アラクネと再び相まみえたとしても、 前回と同じことになってしまっては意味がありません。

Saya
サヤ

アラクネが観測者であったのなら、奴を仕留めてはならない とのこと。であれば私たちはどうするべきなのでしょう……。

Saya
サヤ

どうすれば、ラケルさんの目を覚ますことが できるのでしょうか……。

Saya
ラーベ

今は難しく考える必要はない。 お前たちは自分の意志に従い行動すればいい。

Raabe
ラーベ

なんにせよ、アラクネがいないことには始まらない。 そのためにも蟲を倒して、奴をおびき出してもらわなければ。

Raabe
ラーベ

観測者やアラクネについては、状況を見て私が答えを出す。

Raabe
ナオト

頼りにしてるぜ。 難しいこと考えるのは……正直、苦手なんでな。

Naoto
サヤ

私も、決して利口ではありませんから。 できることはおよそ、敵を斬り捨てることくらい。

Saya
サヤ

お言葉に甘え、斬るべきと思ったものを斬りますゆえ、 どうぞお力を貸してくださいませ。

Saya
ラーベ

お前、時々辻斬りみたいなことを言うな……。

Raabe
シエル

もちろんです。 この町の異変の解決が、私達の任務ですから。

Ciel
サヤ

そうでしたね。心強いことです。

Saya
ナオト

……連絡なし、か。

Naoto
シエル

遅いですね、ひなたさん。

Ciel
ナオト

イベントの前ってわけでもねぇのに、 何やってんだ、生徒会。

Naoto
サヤ

私には……見当もつきませんが。連絡がないようでしたら、 探しに行ってみますか?

Saya
ナオト

そうだな。蟲にでも襲われでもしたら、シャレになんねぇ。

Naoto

…………。 ……………………。

サヤ

ラケルさんもひなたさんもいないと、 この家はとても……静かです。

Saya
ナオト

……だな。

Naoto
ナオト

うわっ! びっくりした!

Naoto
シエル

ひなたさんからの通信ですか?

Ciel
ナオト

通信って……いや、冥だな。

Naoto
ナオト

もしもし? ちょうどよかった。 実は、今夜なんだけど……。

Naoto

すぐに来い、黒鉄!

Mei
ナオト

は? なに?

Naoto

無人団地だ! 今すぐ来い!

Mei
ナオト

な、なんだよ、なんかあったのか?

Naoto

悠長に話している暇はない。いいからさっさと……。

Mei
ナオト

待てって、こっちにも都合が……。

Naoto

アラクネだ! いいからすぐに来い!

Mei
ナオト

なっ……!

Naoto
ナオト

くっそ、こんなときに!

Naoto
サヤ

ですが、行かぬわけにはまいりません。 この機を逃せば、次はいつやってくるか。

Saya
ナオト

わかってるよ! 行くぞ!

Naoto
シエル

はい!

Ciel
シエル

いました、あそこです!

Ciel
ナオト

冥、エス!

Naoto
Es

こんばんは。

Es

来たか。遅いぞ。

Mei
ナオト

無茶言うな、これでも全速力だよ。それで……。

Naoto
サヤ

奴は……。

Saya
アラクネ

オオオオオオオオオオオオオ!!

Arakune
ラーベ

あそこか。

Raabe
シエル

気のせいでしょうか、 以前よりもずっと大きいような……。

Ciel
ラーベ

奴は魔素という特殊な粒子によって、体を構築している。 その粒子が増大し、周囲で渦巻いているせいだろう。

Raabe
ナオト

ってことは、それだけ強くなってるって感じか。

Naoto
ラーベ

私の計測の結果では、そうだな。

Raabe
サヤ

それだけ、多くの生命力を喰ったということ……。

Saya
ナオト

これ以上、好きにはさせねぇ。ここで仕留めるぞ。

Naoto

ああ。そのためにも、この無人団地周辺に結界を張る。

Mei
シエル

ここにアラクネさんを閉じ込めるのですね。

Ciel

そうだ。といってもアラクネに限定した結界だ。

Mei

空間を閉ざすほどのものは、 さすがにすぐには用意できんからな。

Mei

もちろん、その間私は結界の維持にかかりきりになる。 戦いには参加できない。

Mei
ナオト

冥の戦力が欠けるのはいてぇが……。 その分はこっちでなんとかする。頼むぜ。

Naoto
サヤ

さらに戦力を削ぐ提案ですが、 エスさんには冥さんの護衛をお願いします。

Saya
サヤ

万が一、蟲の攻撃に遭い結界が維持できなくなっては、 困ります。逃がしさえしなければ、勝機はありましょう。

Saya
Es

わかりました。冥の護衛に努めます。

Es
シエル

私とレイさんは、 ナオトさんたちと一緒にアラクネさんの対処に向かいます。

Ciel
ナオト

今夜は絶対に逃がさねぇからな。 あいつ、ぶっ倒していいんだよな!?

Naoto
ラーベ

ああ。本気でかかれ。だが異変があればすぐに止める。 頭は冷静でいろ。すべては事態を解決するためだ。

Raabe
ナオト

難しい注文だな。やるだけやってみる!

Naoto

1: もしものときは、僕が止めるよ
2: アラクネの正体を突き止めよう

1:
2:

ナオト

頼むぜ、レイ。

Naoto

任せるぞ、レイ。

Mei

1: もしものときは、私が止めるよ
2: アラクネの正体を突き止めよう

1:
2:

ナオト

頼むぜ、レイ。

Naoto

任せるぞ、レイ。

Mei

……………………。

Mei

……よし。結界は完了だ。 行け!

Mei
Es

ここはお任せください。ご武運を。

Es
ナオト

おう!!

Naoto
アラクネ

オオオオオオオオオオオオオ!

Arakune
サヤ

一番手、取った!

Saya
アラクネ

ギャギャギャギャギャ! ああア黒が飛来する。 その奥底が秘める汚濁を呑み干す者……!

Arakune
サヤ

手応えあり。だが浅い……。

Saya
アラクネ

うぐぐぐぐ、解せぬ、不可解、不愉快! 喰らえ喰らえ喰らえ!

Arakune
ラーベ

気を付けろ、アラクネの内部で反応多数……!

Raabe
サヤ

なっ……あうっ!

Saya
ナオト

くそ、蹴散らすぞ! じゃねぇと親玉にたどり着けねえ!

Naoto
シエル

了解しました!

Ciel
ナオト

おらぁぁっ!

Naoto
サヤ

ふんっ……せやぁっ!

Saya
ラーベ

まだだ! 次が来る! 本格的に集まってきたぞ!

Raabe
ナオト

ふざけんな、どんだけ出てくるんだよ! これじゃキリがねぇ!

Naoto
シエル

ですが、アラクネさんのところへ到達するには、 出てきただけ倒すしかありません。

Ciel
サヤ

ならば、一匹残らず仕留めるまで。この輝弥サヤ、 体力こそ劣りますが、執念深さならば負けませぬ。

Saya
ナオト

はっ、そいつは頼もしいな。 だったら俺も、情けねぇことは言ってらんねぇぜ!

Naoto
シエル

レイさんには、決して近づけさせません!

Ciel

1: もうひと踏ん張り!
2: みんな、気を付けて!

1:
2:

シエル

はい! 戦闘行動に移行します。 レイさん、私の側にいてください。

Ciel

第8節 蟲王③/ 8. Insect King - 3

Summary
ナオトとサヤが蟲を引きつける中、シエルた

ちは以前より強力となったアラクネ本体への 接近を試みる。

ナオト

おらぁっ!

Naoto
サヤ

行ってください、レイさん、シエルさん。 雑魚はこちらで引き受けます!

Saya
ナオト

このままじゃ、マジでキリがねぇ! あいつ、まだまだ蟲を出してくるぞ。

Naoto
シエル

ラーベさん、ナオトさんとサヤさんが危険です!

Ciel
ラーベ

いや、あいつらの言う通りここは任せよう。

Raabe
ラーベ

アラクネの体は高濃度の魔素……小さな窯に近い。 一時的に境界に接続しているようなものだ。

Raabe

Arakune's body is made of extremely dense seithr...and is close to a miniature Cauldron. Something that can temporarily make contact with the Boundary.

ラーベ

実際、奴の蟲にキリなどない。 いちいち相手にしていても、時間の無駄だ。

Raabe

So there's no end to the number of bugs he can put out. Facing each one individually would be a waste of time.

アラクネ

オオ……お……震える、震える。 昏々と湧き出る力を内なる黒が煮えたぎる……。

Arakune
サヤ

迷っている暇はありませぬ。 今ならば少々手薄、近づくだけならばできましょう!

Saya

1: わかった、行こう!
2: 後ろは任せたよ

1:
2:

ナオト

あらかた片付けたら、すぐそっちに合流する!

Naoto
シエル

わかりました。お気を付けて。

Ciel
シエル

対象を捕捉。

Ciel
アラクネ

力……力、力、匂う、ニオウ、ソレが欲しい……。 もっと……もっと、アアア飲み込むゥ!

Arakune
アラクネ

イヒヒヒヒひヒヒヒヒヒヒヒひひヒヒヒ。

Arakune
ラーベ

以前戦った時よりも、強くなっているはずだ。 気を付けろ。それと、周囲に気をつけろ。

Raabe
シエル

対象の戦闘レベルの上昇を確認。行きます!

Ciel

第8節 蟲王4/ 8. Insect King - 4

Summary
御剣機関が動かないことを気にするラーベ。

その間も、アラクネは戦闘レベルを上昇させ ながら襲いかかってくる。

徐々にアラクネの力を削るが、まだアラクネ

は倒れない。だが、飛び込んできたサヤの刀 がアラクネを捉える。

アラクネ

ググ……小さい小さい小さい!

Arakune
アラクネ

飛び回る羽音に焦燥が粟立つ! 影が! 捕え、喰らう!

Arakune
シエル

くっ……! 対象の戦闘レベル、なおも上昇しています。

Ciel
ラーベ

……しかし、気になるな。

Raabe
ラーベ

静かすぎる。戦闘が始まってそれなりの時間がたっている。 というのに、御剣機関が現れる様子もない。

Raabe
シエル

確かにそうですね。 どこかで戦況を観察しているだけかもしれません。

Ciel
シエル

またアラクネさんが追い詰められれば、すぐに介入してくる 可能性は十分にあると思います。

Ciel
ラーベ

ああ。もしくはアラクネに我々が食われるのを 待っているのかもしれない。だが……。

Raabe
ラーベ

これだけ成長しているところを見ると…… あえて介入せずにいるというほうが、連中らしい。

Raabe
アラクネ

ひひひ、ヒヒ、噛み砕きすり潰しこなごなのばらばら。 全部全部吸い尽くす、残らず我のものとする……。

Arakune
シエル

っ、させません!

Ciel
シエル

まだ、これほどの力を……!

Ciel
アラクネ

アハハそこか、そこにいたか蒼! 甘美なる香り、深淵への道標……!

Arakune
ラーベ

余計なことを考えているうちに、取って食われそうな 勢いだな。まずは仕留めるぞ!

Raabe
シエル

はい!

Ciel
シエル

対象の戦闘レベルの低下を確認。 ですが……対象の活動続行を認識。

Ciel
アラクネ

ウググググググ……オノレオノレ! 英知への探求も生命への渇望も悉くを飲み込むか……!

Arakune
アラクネ

許さぬ、許さぬ、許さぬゆるさぬユルサヌ 喰らうくらうクラウ! 喰らうのは我! 我が喰らう!

Arakune
アラクネ

赤も蒼も虹も、我が胎内にて無限へと帰せよ!

Arakune
シエル

くうぅっ……!

Ciel
アラクネ

ガアァァァァァァァァァ!!

Arakune
ラーベ

まだこれほどの力があるとはな。 溜め込んだ生命力は、よほどのものらしい!

Raabe
シエル

危険です……レイさん、離れて……。

Ciel
シエル

え?

Ciel
アラクネ

アグァ……!

Arakune
シエル

サヤさん!

Ciel
サヤ

……取った。

Saya

第9節 交換①/ 9. Exchange - 1

Summary
アラクネを捉え、刀を突き刺したサヤだが、

突如ソウルイーターが暴走し、ナオトは駆け 寄ろうとするが、瞬間ハザマが立ち塞がる。

Saya stabs Arakune with her sword but gets stuck. Suddenly, Soul Eater goes out of control. Naoto tries to run to her but is blocked by Hazama.
ハザマを退けるも、ソウルイーターはアラク

ネの生命力を吸い尽くし、サヤは意識を失っ てしまう。

Hazama concedes, but Soul Eater has already absorbed all of Arakune and Saya collapses.
アラクネ

クェアアアアアアア!!

Arakune
サヤ

え……なっ!?

Saya
ナオト

はぁ、はぁ……おい、サヤ! どうした!?

Naoto
サヤ

わ……わかりません、刀が……抜けないのです!

Saya
サヤ

まるでこのアラクネに飲み込まれていくみたいに……。

Saya
ラーベ

離れろ! そのままだと喰われるぞ!

Raabe
サヤ

そ……そうしたいのですが、う……動けません。 動けないのです! ……あぁ……あああぁ。

Saya
サヤ

あ、あ、ああ……うああぁぁぁっ!

Saya
ナオト

あれは!? まずい! サヤ、おいサヤ!!

Naoto
シエル

あれは、サヤさんのドライブですか……?

Ciel
ナオト

くそっ『ソウルイーター』だ!

Naoto
ラーベ

あれが、『ソウルイーター』……。 他者の命を吸い上げる、最悪のドライブか。

Raabe

So that's "Soul Eater".... The most evil Drive, one that sucks up others' lives.

ナオト

くそ、なにしてやがる! サヤ、さっさとそいつを収めろ!

Naoto
サヤ

あ……あ……。 …………。

Saya
シエル

サヤさんの様子がおかしいです。 ナオトさんの声に反応していません。

Ciel
ラーベ

どうなっているんだ……。 外部から精神干渉を受けているのか?

Raabe

What's going on…. Is it mental interference from elsewhere?

ナオト

なんだよ、精神干渉って!?

Naoto
ラーベ

厳密には違うが、わかりやすく言うと操られている状態だ。

Raabe

It's not exactly like this, but you could say she's being controlled, if it makes it easier to understand.

ナオト

なっ……誰がそんなふざけた真似しやがったんだ!?

Naoto
ナオト

いや、んなことどうでもいい、 サヤをアラクネから引き剥がさねぇと……!

Naoto
???

おやおや、これはおかしなことをおっしゃる。 あなた方、あの黒い怪物を倒したかったはずでは?

???
シエル

っ! 誰ですか?

Ciel
ハザマ

あ、どうもはじめまして。私、御剣機関の……ええと、 ハザマ、でいいですかね。と、申します。

Hazama
ハザマ

どうぞ、お見知りおきを。

Hazama
ナオト

御剣機関……。サヤになにしやがった!?

Naoto
ハザマ

いいえ、別になにも。

Hazama
ナオト

そんなはずあるか! あの状態、どう見ても普通じゃねぇだろ!

Naoto
ハザマ

そんなこと、私に言われても困りますよ〜。

Hazama
ハザマ

大方、噴き出した膨大な生命力に当てられて、 力が誘発されたのではありませんかね。

Hazama
ハザマ

いずれにしても、よかったではありませんか。

Hazama
ハザマ

このまま彼女が力を全て吸い出してしまえば、 あのおぞましい怪物もこの街から消えることでしょう。

Hazama
ナオト

だからって、妹をあのままにしておけるか! どれだけの負担がかかるかもわからねぇってのに!

Naoto
ハザマ

おっと、邪魔をしないでもらえませんかね。 せっかくの怪物退治の場面なんですから。

Hazama
ナオト

うるせえ! そこをどけよ! どかねぇなら、力づくで通るぞ!

Naoto
ハザマ

おお、恐い。私、暴力行為は苦手なんですよ。 戦闘は専門外ですから。

Hazama
ハザマ

でも……悲しいかな、これも仕事ですからねぇ。

Hazama
ナオト

てめぇ……!

Naoto
サヤ

…………、……。 ……………………。

Saya
ハザマ

この街の平和のためにも、アラクネは輝弥サヤさんに 仕留めていただきますよ。

Hazama
ハザマ

あいたたたた……。いやはや、お強い。 これは参りました、降参降参、降参です。

Hazama
ナオト

なにが降参だ、てめぇ!

Naoto
ハザマ

いや本当に、もう戦うつもりはありませんよ。 それに……目的は、もう果たせたようですしね。

Hazama
ナオト

な……まさか、サヤ!

Naoto
シエル

レイさん、ナオトさん、 アラクネさんの様子がおかしいです。

Ciel
アラクネ

ァ……ア……あお……。 我が内なる虚空が……遠のく……。

Arakune
サヤ

……………………。

Saya
ナオト

サヤ!

Naoto
ハザマ

おっとっと、乱暴ですねぇ、もう。

Hazama
ナオト

サヤ!! しっかりしろ!

Naoto
ラーベ

……ハザマといったな。狙いはなんだ?

Raabe
ハザマ

おや。いちいち説明してさしあげる必要があるとは、 思えませんね。

Hazama
ハザマ

ところで、その輝弥サヤさんですが、 こちらに渡していただくわけにはいきませんか?

Hazama
ハザマ

できれば、彼女を回収して帰りたいのですよ。 ええ、上司命令でして。

Hazama
ナオト

ふざけんのも大概にしろよ……。渡すはずがねぇだろうが! 死にたくなきゃ、さっさと消えろ!

Naoto
ハザマ

あらら、いいんですか、本当に。

Hazama
ハザマ

正体不明の怪物の力を吸いこんで、どういう状態かも わからない倒れた妹を抱えて、どうにかできるとでも?

Hazama
ハザマ

素直にこちらに引き渡したほうが、 色々とよろしいかと思うのですがねぇ。

Hazama
ナオト

何度も言わせんな! 消えろ!

Naoto
ハザマ

やれやれ、短気な方は話が通じなくていけません。

Hazama
ハザマ

ですがこれ以上のことは、私も指示されておりません のでね、これで失礼させていただくといたしましょう。

Hazama
ハザマ

輝弥サヤを渡したほうがいい、と。 私、確かに言いましたからね。それでは。

Hazama
ナオト

くそが……っ。

Naoto
シエル

ナオトさん、サヤさんのバイタルを チェックさせてください。

Ciel
ナオト

あ……ああ。

Naoto
シエル

……息はあります。身体的な外傷も、目立ったものは 見当たりません。

Ciel
ラーベ

ああ。命に別状はない。過剰に力を吸ったせいで、 意識を保てなくなっただけだろう。

Raabe
ナオト

無事なのか? 目を覚ますんだろうな!?

Naoto
ラーベ

ラケル=アルカードのときのようなことにはならん。 ただの気絶だ。

Raabe
ナオト

そうか……よかった……。ありがとう……。

Naoto
ナオト

っ、そうだ! アラクネは!?

Naoto
シエル

アラクネさんの反応はありません。 サヤさんの傍らに、黒ずんだ砂のようなものが確認出来ます。

Ciel
シエル

おそらく、これがアラクネさんだったものなのでは ないでしょうか?

Ciel
ラーベ

一応分析はしてみるが、 今重要なのはこっちじゃない。

Raabe

1: 一旦、冥たちと合流しよう
2: サヤを寝かせてあげないと

1:
2:

ナオト

ああ……そうだな。 悪い、レイ。運ぶの、手伝ってくれ。

Naoto
サヤ

…………。

Saya

第9節 交換②/ 9. Exchange - 2

Summary
気を失ったサヤをナオトのマンションへ運ぶ

ナオトたち。そこへキイロから電話がかかり、 サヤと引き換えにひなたを誘拐したと告げる。

They carry the unconscious Saya to Naoto's apartment. There, they receive a call from Kiiro, who asks them to trade Saya for Hinata, who she's taken hostage.
ナオト

じゃあ、エス。冥のこと頼んだぞ。

Naoto
Es

はい。冥には十分に休息を取らせます。

Es

過保護にするな……。私なら大丈夫だ。 それより、輝弥のほうが……。

Mei
ナオト

気を失ってるだけだって話だから、大丈夫だろ。 こっちのことは、俺に任せとけって。なにかあれば連絡するから。

Naoto

必ずだぞ。勝手に動くなよ。 ……ではな。

Mei
Es

失礼します。

Es
シエル

おかえりなさい、ナオトさん。

Ciel
ナオト

ああ。留守番させて悪かったな。エスと冥は帰ったよ。

Naoto
ナオト

それで……サヤはどうだ?

Naoto
シエル

まだ目を覚ます様子はありません。

Ciel
ラーベ

改めて調べたが、やはり命に別状はない。 普通に眠っている状態だから、安心していいぞ。

Raabe
ナオト

そうみたいだな。むしろ、狩人の眼で見える数字は、 普段より健康そうなくらいだ。

Naoto
ナオト

…………。

Naoto
ナオト

紅茶でも淹れてくるよ。

Naoto
サヤ

…………。

Saya
ラケル

…………。

Raquel
ナオト

ったく。無茶ばっかしやがって。

Naoto
ナオト

結局、ラケルは目を覚まさねぇし。 アラクネも倒したってのによ。

Naoto
ナオト

……なあ。結局アラクネは、お前たちが探してたやつじゃ なかったってことなのか?

Naoto
ラーベ

ああ、そうなるな。

Raabe
ナオト

なんだよ、あっさりしてんな。 もしかしてお前、アラクネは違うってわかってたか?

Naoto
シエル

そうなのですか、ラーベさん?

Ciel
ラーベ

そりゃそうだろ。

Raabe
ラーベ

あれだけ支離滅裂な精神状態の奴が、蟲の発生はともかく、 それ以外の事象に影響を与えていたなら、

Raabe
ラーベ

この街はもっと混沌としているはずだからな。

Raabe
ナオト

でも、実際にアラクネを倒したら蟲はいなくなった。 やっぱりあいつが元凶だったんじゃねぇの?

Naoto
ラーベ

私たちが探しているのは、蟲を発生させた奴ではない。 この街をおかしくしている元凶だ。

Raabe
ラーベ

アラクネもその『おかしく』なった部分の、 一部だったというだけの話だ。

Raabe
ナオト

……おかしくなった、か。確かにここはおかしいよな……。

Naoto
シエル

なにか気がかりなことがあるのですか?

Ciel
ナオト

気がかりっつーか……不安っつーか、疑問っつーか。 なんとなくなんだけどさ。

Naoto
ナオト

ここって本当に、新川浜なのかな。

Naoto
シエル

え?

Ciel
ナオト

いや実際、この街の名前は新川浜だ。 俺はそう思ってるし、周りのみんなもそう言ってる。でも……。

Naoto
ナオト

変な話をするけどさ。漠然と、ずっと感じてるんだよな。 俺の生活って、本当にこんな風だったっけ、って。

Naoto
シエル

それは……。

Ciel

1: ナオトは違う世界から来たかも? ここはナオトの知ってる世界じゃない?

1:

ナオト

ああ。そんな感じがする。 大袈裟かもしれないし、気のせいかもしれないけど……。

Naoto
ナオト

ここじゃない、こうじゃない、っていう 漠然とした違和感が、ずっと付きまとってる。

Naoto
サヤ

……兄様も、なのですか?

Saya
ナオト

え? サヤ! 気がついたのか!?

Naoto
サヤ

ええ……今しがた。

Saya
シエル

お体は大丈夫ですか?

Ciel
サヤ

はい。ご迷惑をおかけしたようで、申し訳ありません……。

Saya
ラーベ

そんなことより、今の発言について詳しく聞かせてくれ。 ナオト『も』、と言っていたが?

Raabe
サヤ

……ええ。私も……兄様と同様に、 漠然とした違和感に戸惑っておりました。

Saya
サヤ

長く、外の生活から隔たれていたせいと思っておりましたが……。 まるで夢の中に迷い込んでしまったような心地がするのです。

Saya
サヤ

まさか、兄様も同じ思いを抱えているとは。 安心したような、かえって不安なような。

Saya
シエル

冥さんも、同様のことを言っていましたね。 この世界は自分がいるべき世界ではないように感じる、と。

Ciel
シエル

ということはナオトさんとサヤさんも、 『異物』ということでしょうか?

Ciel
サヤ

『異物』……。

Saya
ナオト

……もしかして、この世界の奴じゃない、って意味か? なら、俺たちは……。

Naoto
ラーベ

まあ、そうだな。そういう感覚があるってことは、 『異物』である可能性は否定できない。

Raabe
ラーベ

だが……うーむ……。

Raabe
シエル

冥さん、エスさんに続いて、 ナオトさんやサヤさんまで『異物』ということですか……。

Ciel
シエル

では、一体誰がこの世界の人なのでしょう……?

Ciel
ナオト

ん? 冥がなんだって?

Naoto
サヤ

兄様。

Saya
ナオト

ん? どうした。なにそんな驚いた顔してんだ?

Naoto
サヤ

……ひなたさんは?

Saya
ナオト

え? あ。そういえば……今何時だ!?

Naoto
シエル

22時15分です。

Ciel
ナオト

10時過ぎ!? マジかよ、もうそんな時間か? 待て、今携帯にかけてみる。家には戻ってるのかも……。

Naoto
ナオト

出ねぇ! メールの返信もねぇし……。

Naoto
シエル

なにかトラブルがあったのでしょうか。

Ciel
ナオト

だったらメールくらい入れてくるだろ。 少なくとも普段のひなたならそうしてる。

Naoto
ナオト

普段の……あいつなら……。

Naoto
ナオト

ちょっと俺、探してくる。お前ら、ここで待っててくれ。 ひなたが帰ってくるかもしれねぇから……。

Naoto
ナオト

!?

Naoto
ナオト

電話だ。ひなたから。驚かせやがって……。 もしもし? ひなた? 今どこにいるんだよ、お前……。

Naoto
ナオト

……あ? 誰だ、てめぇ?

Naoto
ナオト

その話し方……まさか、この前の御剣機関の!

Naoto
ラーベ

なに? おい、ちょっと貸せ。音声を拡散させる。 ええと……こうして、こうだ!

Raabe
キイロ

そうよ。緋鏡キイロ。んもう、忘れたフリなんか しちゃって、シャイなんだからぁ。

Kiiro
ナオト

ちげぇよ。てか、おい! お前! なんでひなたの携帯からかけてきてんだ!?

Naoto
ナオト

ひなたはそこにいるのか!?

Naoto
キイロ

やぁん、恐い声。でもちょっぴりワイルド。素敵よ。

Kiiro
ナオト

っざっけんな!!

Naoto
キイロ

姫鶴ひなたさんは、無事よ。私のすぐ近くにいるわ。

Kiiro
シエル

どうして、御剣機関がひなたさんと一緒にいるのですか?

Ciel
キイロ

もちろん、仲良くお茶してるわけじゃないわよ。 無事なのも、今のところのお話。

Kiiro
キイロ

ナオトくんたちの出方によっては、かわいそうだけど、 この子には犠牲になってもらわないといけないかも。

Kiiro
サヤ

どういう意味です……?

Saya
ナオト

おい。ひなたになんかしてみろ。絶対に許さねぇぞ。

Naoto
キイロ

んふ。ゾクゾクしちゃう。 許さないなら、どんなことされちゃうのかしら。

Kiiro
ナオト

てめぇ……っ!

Naoto

1: こちらへの要求は?
2: ひなたさんを攫った理由は?

1:
2:

キイロ

あら。もう聞いてるんじゃない? 私がこの大事なお友達と交換してほしいもの。

Kiiro
シエル

まさか……。

Ciel
キイロ

ええ、そう。 輝弥サヤを渡して。

Kiiro
ナオト

なっ!?

Naoto
キイロ

待ち合わせ場所の地図をメールで送るわ。 だから持ってきて。そこでお友達と交換しましょ。

Kiiro
ナオト

馬鹿かてめぇ! サヤは物じゃねぇ。 気軽に交換だとか、できるか!

Naoto
キイロ

あ〜ら、お世話になってる幼馴染みじゃないの? 姫鶴ひなたさんって。

Kiiro
キイロ

意外とドライなのねぇ。 ……ね。『ナオトちゃん』。

Kiiro
ナオト

……っ!

Naoto
キイロ

できるだけ早くナオトくんに会いたいから、 今夜中には来てね。

Kiiro
キイロ

あ、でも大丈夫よ、ちょっとくらいゆっくりでも。 私、焦らされるの嫌いじゃないわ。

Kiiro
キイロ

私たちの夜はまだたっぷりあるもの。 待ってるわ、ナオトくん。

Kiiro

……チュ。

サヤ

……切れましたね、電話。

Saya
シエル

地図をメールで送ると言っていました。

Ciel
ナオト

っ! 来た! ……ええと……線路? その高架下か!

Naoto
サヤ

行きましょう。一刻の猶予もありません。

Saya
ナオト

お、おい、ちょっと待て! お前も行くつもりかよ!?

Naoto
サヤ

当然です。あの女は私とひなたさんを交換だと 言っていたではありませんか。

Saya
サヤ

理由はわかりませんが、私を渡さねばひなたさんの身が 危険に晒される。とあれば、選択の余地はありますまい。

Saya
ナオト

そりゃそうかもしれねぇけど、だからってお前を簡単に 差し出せるか!

Naoto
ナオト

連中がお前になにするつもりかわかんねぇんだぞ!

Naoto
サヤ

ではここでまごついていれば、わかるのですか? 危ぶんで機を逃したらば、ひなたさんはどうなります。

Saya
ナオト

それは……っ。

Naoto
サヤ

先ほどから兄様は頭に血が上っておられるようですが、 どうか冷静に考えてくださいませ。

Saya
サヤ

私と、ひなたさんと。 どちらがより危険に対処できましょうか。

Saya
サヤ

ひなたさんは戦闘技術も、経験もない、ドライブもない、 ごくごく一般的な……普通の女の子なんですよ。

Saya
ナオト

サヤ……だけど。

Naoto
サヤ

私のことならば、どうぞご心配なさいますな。 これでも輝弥家次期当主。

Saya
サヤ

御剣機関の女狐の首でも土産に、すぐに戻って参ります。

Saya
ナオト

…………。

Naoto
シエル

どうしますか? ナオトさん?

Ciel
ナオト

……わかった。行こう。 ひなたに手出しさせるわけにはいかねぇ。

Naoto
サヤ

よかった。そう言ってくださらなければ……

Saya
サヤ

今すぐ兄様の腕ごと携帯を斬り落として、 勝手に地図を拝見するところでした。

Saya
ナオト

冗談じゃなさそうだから、恐ぇよお前。

Naoto
ラーベ

では、取引場所に向かうんでいいんだな?

Raabe
ナオト

ああ。 サヤ……信じてるからな。

Naoto
サヤ

はい。

Saya

第9節 交換③/ 9. Exchange - 3

Summary
気を取り戻したサヤと冥、Esも合流し、指定

された場所へ向かう。だがそこはすでに複数 のキイロの部下に包囲されていた。

Together with Saya, who's regained consciousness, they meet up with Mei and Es and head for the location of the exchange. But when they get there, it's already crawling with Kiiro's subordinates.

待たせたな、黒鉄。

Mei
ナオト

いや。悪いな、帰ったばっかりだってのに、呼び出して。

Naoto

気にするな。と言うより、こんなこと私に知らせずに、 勝手にどうこうされていたほうが迷惑だ。

Mei

アラクネの件こそひと段落したが、こんな状況で こっちの用件は片付いたと手を引けるほど、私は薄情じゃない。

Mei
Es

お声掛けいただけて、よかったです。 こういう事態に頼っていただけるほうが、嬉しく思います。

Es
Es

緋鏡キイロとの約束の場所は、この先ですね?

Es
シエル

はい。あの丁字路の先です。 ……ひなたさんが無事だといいのですが。

Ciel

1: もちろん無事だよ
2: まだわからない

1:
2:

シエル

そうですよね。 まだ人質を傷付ける理由はないはずです。

Ciel
シエル

そうですね……。油断せずにいきましょう。

Ciel

相手はあの御剣機関だ。なにがあるかわからん。 慎重に行動しろよ。

Mei
ナオト

地図だと……この辺りか? もう少し奥か。

Naoto
ラーベ

どれ、見せてみろ。

Raabe
Es

……! 皆さん。気を付けてください。囲まれています。

Es
シエル

複数の敵性反応を感知。戦闘レベルの上昇を確認。

Ciel
黒服

……目標、こちらに気付きました。

Black Suit
サヤ

あれは……御剣機関の手の者のようですね。

Saya
ナオト

おい! てめぇらの仲間はどこだ!?

Naoto
黒服

……了解。拘束します。

Black Suit
シエル

どういうことですか。こちらは交渉に来たんです。 戦う必要はないはずです。

Ciel
ラーベ

こっちにはなくても、あっちにはあるんだろう。 拘束してしまえば、暴れられる面倒もないだろうしな。

Raabe

はなからまともに取り引きするつもりはない、 ということか。

Mei
ナオト

ナメやがって……。 なんでもかんでも、てめぇらの好きにさせるかよ!

Naoto

第9節 交換④/ 9. Exchange - 4

Summary
キイロにサヤが連れて行かれてしまう。さら

にラケルにも刺客を差し向けており、新たな 姿で立ち塞がる。

Kiiro takes Saya away with her. Intending to assassinate Raquel, she stands before them in a different form.
キイロの強さに圧倒されるナオトたちにレイ

チェルが現れる。シエルたちはレイチェルの 手助けによりラケルの元へ向かう。

While Naoto's group faces Kiiro's overwhelming strength, Rachel appears. With her help, Ciel and the others are able to go back to Raquel.
キイロ

あ〜ん、ナオトくん。 私に会いに来てくれたのね。嬉しいわぁ〜。

Kiiro
ナオト

なにが、会いに来た、だ。 てめぇが呼んだんだろうが!

Naoto
キイロ

んふ。そうね。 でも呼び出したらすぐに来てくれた。

Kiiro
シエル

ひなたさんは無事なのですか?

Ciel
キイロ

ええ……無事よ。今はぐっすり眠ってるわ。 約束したじゃない。

Kiiro
キイロ

それで。来てくれたということは、こちらの条件は もちろん受け入れてくれるってことよね?

Kiiro
ナオト

……っ。

Naoto
サヤ

はい。その通りです。 私を差し出しますので、ひなたさんを返してください。

Saya
キイロ

ふうん、意外。ナオトくん、それでいいんだ?

Kiiro
ナオト

いいわけ……ねぇだろ!

Naoto

黒鉄、抑えろ。

Mei
ナオト

わかってるよ……!

Naoto
キイロ

やん。激しい目……。 目茶苦茶にされたくなっちゃう。

Kiiro
サヤ

戯言は結構。ひなたさんはどこにいるのです。 ……卑劣者。

Saya
キイロ

んふふ、やぁだ。 言葉責めならナオトくんにお願いしたいわ〜。

Kiiro
キイロ

でもごめんなさいねぇ。 姫鶴ひなたさんは、ここにはいないのよ。

Kiiro
Es

どういうことですか? 話が違います。

Es
キイロ

違わないわよ。ここでひなたさんとあなたの身柄を交換する、 なんて私、言ってないもの。

Kiiro
キイロ

姫鶴ひなたさんは今、 私の部下の車で自宅に向かっているわ。

Kiiro
キイロ

輝弥サヤが大人しく私たちの組織までついてくれば、 彼女は無事、そのまま家に帰れるはずよ。

Kiiro
キイロ

でももしそうならなかったら……そのときは、 彼女になにがあるか、保障はできないわね。

Kiiro
ラーベ

なるほどな。そちらが満足して人質を解放するまで、 こちらは指をくわえて待っているしかないと。

Raabe

そちらが姫鶴ひなたを無事に解放するという 保障はあるのか?

Mei
キイロ

条件を出しているのはこちら側よ。 あなたたちはそれに従うしかない。そうでしょう?

Kiiro
キイロ

自分たちの立場を勘違いしないで。

Kiiro
ナオト

てめぇ……っ!

Naoto
サヤ

わかりました。それで結構です。

Saya
キイロ

賢明な妹さんね。協力的で助かるわぁ。

Kiiro
ナオト

おい。せめて聞かせろよ。なんでサヤを欲しがる!?

Naoto
ラーベ

……大方、それが輝弥サヤにアラクネを仕留めさせた 理由だろうな。

Raabe
シエル

では……サヤさんがアラクネさんにとどめを刺したのは、 御剣機関が仕組んだことだということですか?

Ciel
ラーベ

そうなんだろう? 緋鏡キイロ。

Raabe
ラーベ

そうでなければ、今このタイミングで 輝弥サヤをほしがる理由がない。

Raabe
キイロ

んふ。そうよ。私たちの悲願を達成するために、 今はその子が必要なの。

Kiiro

悲願だと?

Mei
キイロ

ええ。輝弥サヤは、いいえ、正確には『今の』輝弥サヤは、 その決定的な切り札になり得る存在。

Kiiro
キイロ

だから、どうしてもほしいのよ。

Kiiro
キイロ

さあ、大人しくしていてね。少しだけ眠っていて もらわないと。あなたったら、危なっかしいんだもの。

Kiiro
サヤ

え……あっ。

Saya
ナオト

な……おいこら、キイロ! なにしやがった!?

Naoto
キイロ

だから、眠ってもらっただけよ。ひなたちゃんに使った のと同じ、即効性の眠り薬みたいなもの。

Kiiro
キイロ

心配しないで。一晩眠ったら、元気に目が覚めるから。 後遺症はなんにもないわ。首筋に小さな針の痕が残るだけ。

Kiiro
キイロ

……連れていって。

Kiiro
黒服

はい。

Black Suit
キイロ

さて、と。まだもう少し時間があるわね。

Kiiro

時間? なんの時間だ?

Mei
キイロ

やぁねぇ、なんのためにあなたたちをこんな、 寂れた場所に呼び出したと思ってるの?

Kiiro
キイロ

このやり方なら、 ナオトくんの家まで迎えに行くほうが早いでしょ。

Kiiro
シエル

では、なぜ呼び出したのですか?

Ciel
キイロ

もちろん、あの家から離れてもらうためよ。

Kiiro
キイロ

仲良しなあなたたちのことだから、サヤちゃんひとりで 来させるわけがないと思ってたけど。

Kiiro
キイロ

まさかみんな揃ってぞろぞろ来てくれるとはね。 仕事がやりやすくて好都合だわ。

Kiiro
ラーベ

そうか……なるほどな。そうきたか。

Raabe
ナオト

なるほどって、なにがだよ!? あいつはなにを……!

Naoto
ラーベ

落ち着け。簡単な話だ。我々は全員ここにいる。 ではお前の家に残っているのは、なんだ?

Raabe
ナオト

なに、って、家には誰も……まさか!?

Naoto
Es

ラケルさんが……!

Es
ナオト

ふ……ざけんな!!

Naoto
ナオト

うわっ! な、なんだ、剣が飛んできた……?

Naoto
キイロ

ふふ。だめよ。ナオトくん。急に動いたら危ないわ。 間違って刺しちゃったら、大変。

Kiiro

今のは、ドライブ!? 緋鏡キイロも、ドライブ能力者か!

Mei
キイロ

……ねえ、ナオトくん。 お人形遊びは好き?

Kiiro
ナオト

はぁ!? 知るか! んな話、悠長にしてる場合じゃねぇんだよ!

Naoto
キイロ

そういうわけにもいかないわ。 だって……もっとあなたと一緒にいたいんだもの。

Kiiro
シエル

対象の戦闘レベルの上昇を確認。明らかな戦意を感じます。 レイさん、私の側に。

Ciel
キイロ

……本当はね、私のこんな姿、 見せたくなかったんだけど。仕方ないわよね。

Kiiro
ラーベ

おっと。なんだ?

Raabe
シエル

あれは……大きな、剣?

Ciel

Is that...a big sword?

Es

ムラクモユニット……!? ではまさか、あなたは!

Es

A Murakumo Unit…! Then, you're--

キイロ

あん。あんまり見つめないで。 体が火照ってきちゃう。

Kiiro
ナオト

な……なんだ、あれは……。

Naoto
ラーベ

……素体か。

Raabe

A Prime Field...

キイロ

――『EsNo07』。それが私の名前。番号。

Kiiro

--Es No.07. That's my name. My serial code.

キイロ

人に造られた物。自立意思を持つ危険物。 化け物。お人形。

Kiiro

A man-made danger, with an independent will. A monster. A doll.

Es

……私と同じ……『エンブリオストレージ』……。

Es

...The same as me...an "Embryo Storage"....

シエル

同じ……?

Ciel
キイロ

ラケル=アルカードは我々御剣機関が預かるわ。 そのためにも……。

Kiiro
キイロ

あなたたちには、 ここでしばらく遊んでいってもらわないと!

Kiiro
キイロ

きゃぁぁっ!

Kiiro
Es

……これ以上は。ここまでにしましょう。

Es

黒鉄、今のうちに!

Mei
ナオト

ああ!

Naoto
ナオト

っ! くそ、まだ動けるのか……!

Naoto
キイロ

うふふ……ふふふふ。痛い……でも、あなたを失う痛みを 思ったら、なんてことないわ。

Kiiro
キイロ

むしろ気持ちいいくらい。……もっと。 もっとちょうだい……ナオトくん。

Kiiro

くそっ! ここは私が引き受ける。 黒鉄とレイはさっさと戻れ!

Mei
キイロ

いいえ、ダメよ。ひとりも逃さないわ!

Kiiro
シエル

レイさん、下がってください……!

Ciel

1: キイロの剣がこっちに――!
2: (体が動かない……)

1:
2:

キイロ

……弾かれた?

Kiiro
レイチェル

…………。

Rachel
ナオト

!?

Naoto
シエル

アナタは……。

Ciel
レイチェル

ごきげんよう。ひどい夜ね。

Rachel
ナオト

な……なん、だ、あんた……? ラケル……?

Naoto
レイチェル

違うわ。私はレイチェル=アルカード。 ラケル=アルカードとは、別のものよ。

Rachel
ナオト

レイチェル? あ……そうだ、あんた!

Naoto
ナオト

前に公園で会った! あの、夢だか幻だか、わかんないような場所で……!

Naoto
レイチェル

あれは事象干渉。といっても、厳密には 時の流れにのみ干渉したもので……

Rachel
レイチェル

まあ、今はこんな話、している場合ではないわね。

Rachel
キイロ

レイチェル……アルカード? アルカードの吸血鬼が、まだ他にも……。

Kiiro
レイチェル

緋鏡キイロ。あなたの思い描く通りに、 世界が進むとは思わないことね。

Rachel
キイロ

ふん。あなたになにができるのかしら。

Kiiro
キイロ

私の剣をひとつ弾いてみせたところで、 状況はなにも変わっていないんじゃない?

Kiiro
ナオト

そうだ……ラケルが!

Naoto
レイチェル

落ち着きなさい。すぐに彼女がどうこうされることはないわ。 心強い助っ人が、向かっているはずだから。

Rachel

助っ人だと?

Mei
レイチェル

でも……あの人の力だけでは、 事態を動かすことはできないかもしれない。

Rachel
レイチェル

だから……あなたが必要よ、 レイ。

Rachel
レイチェル

私が今、こうしてここに立っていられるように、ね。

Rachel
キイロ

逃がさないわよ。それに……あなた、アルカードの 吸血鬼にしては、ずいぶんと弱いみたい。

Kiiro
キイロ

あなたくらいなら、私でも簡単に切り刻めそうよ。

Kiiro
レイチェル

そうでしょうね。でも、私がここに来たのは、 あなたを倒すためじゃないわ。

Rachel
レイチェル

レイ。あの人のところへ連れていくわ。 助けになって差し上げて。

Rachel

1: あの人って――
2: 前に見た、転移の魔法陣!

1:
2:

キイロ

逃がさないって言ってるでしょ!

Kiiro

くっ……!

Mei
Es

させません。

Es
ナオト

冥、エス!

Naoto
Es

行ってください。ここは、私たちが。

Es
ナオト

……っ、くそ!

Naoto
ナオト

おらぁぁっ!

Naoto
キイロ

激しいのね、でも、いかせないわよ!

Kiiro
ラーベ

おい、離れるな! 転移できないだろ!

Raabe
ナオト

こんな状況で冥とエスだけ残せるかよ!

Naoto
レイチェル

相変わらず……馬鹿ね。

Rachel
ナオト

いいから行け、レイ! ラケルを頼む!

Naoto
シエル

ナオトさん!

Ciel
レイチェル

じっとしていなさい。次元の狭間に放り出されるわ。 ……行くわよ。

Rachel

第10節 魔王①/ 10. Demon King - 1

Summary
レイチェルの転移魔法で移動したのはマンショ

ン近くの公園。レイチェルに見送られ、ラケ ルの元へ急ぐ。

Rachel's teleportation brings them to a park near the apartment. Seeing Rachel off, they hurry to Raquel.
シエル

ここは……ナオトさんのマンションの近くにある、公園です。

Ciel
ラーベ

無事転移できたようだな。だがさすがに、 マンションの部屋の中とはいかなかったらしい。

Raabe

Looks like we were able to successfully teleport. But you weren't able to take us directly into the apartment.

レイチェル

無理を言わないで、 見ず知らずの場所で自在に転移なんてできないわよ。

Rachel

Don't ask the impossible, I can't teleport spontaneously to unknown locations.

シエル

レイチェルさん。 ナオトさんたちは、まだあの高架下にいるのですか?

Ciel

Ms. Rachel, are Naoto and the others still below the high rise?

レイチェル

ええ。 ……転移魔法は、非常に繊細で扱いが難しいの。

Rachel

Yes...Teleportation sorcery is very difficult to control in detail.

レイチェル

あの混乱した状況で、緋鏡キイロだけを省いて 彼らを一緒に転移させることはできなかったし……。

Rachel

It wouldn't have been possible for me to take them along while excluding Kiiro's group, in such a chaotic situation.

レイチェル

なにより、これ以上の人数を運ぶのは難しかったわ。

Rachel

More than anything, it'd be difficult to take more than the current number of people along.

1: 助けてくれてありがとう
2: ラケルのところに急ごう

1:
2:

レイチェル

ええ。さあ、お行きなさい。

Rachel
シエル

レイチェルさんは、行かないのですか?

Ciel

Miss Rachel, are you not coming with us?

レイチェル

今の私が行っても、足手まといよ。 しばらくは何もできないわ。

Rachel

Even if I went, I would just hold you back. I won't be able to do anything for a while.

レイチェル

それに、私があの部屋に入るのは、 あまり良くないだろうから。

Rachel

It also wouldn't be very good for me to go into that room.

シエル

どういうことですか?

Ciel

What do you mean?

レイチェル

……私とラケル=アルカードは、非常に近い存在なの。

Rachel

...Raquel and I are two existences that are unusually close.

レイチェル

あまりに近いから……物理的に同じ空間に長く留まると、 互いの存在に影響を及ぼすわ。

Rachel

Too close, in fact...If the two of us stay in the same place physically for too long, it'll have an effect on us.

レイチェル

今はあの子、眠っているのでしょう?

Rachel

That one is sleeping right now, right?

レイチェル

ただでさえ存在の危うい子に、不用意に近付いたら……。 どうなるかわからないわ。

Rachel

If I were to carelessly approach her while her very existence is in danger...I don't know what might happen.

ラーベ

……最悪、互いに消滅。そこまでいかなくとも、 ラケルの存在を取り込んでしまう可能性は大いにあるな。

Raabe

...In the worst case, mutual annihilation. Or if not that extreme, there's a high chance you might absorb Raquel's existence.

レイチェル

だから、私はここまで。見送るだけよ。 あとはあなたたちと……あの人で、なんとかしてちょうだい。

Rachel

Therefore, this is as far as I'm going. I'll see you off. The rest is up to you...please do something about that person.

シエル

あの、もう一度聞きますが、 あの人とは誰のことですか?

Ciel
レイチェル

行けばわかるわ。 ……それじゃあ、私は一足先に失礼するわね。

Rachel
レイチェル

せいぜい、頑張りなさい。

Rachel
ラーベ

……消えたか。こっちも動くとしよう。

Raabe
シエル

はい。ですがその前に、対処するべき問題があるようです。

Ciel
シエル

対象を補足、照合。……御剣機関です。

Ciel
ラーベ

見張りか。どう見ても、私たちをマンションの中に 入れたくなさそうだな。

Raabe
ラーベ

余計な時間を食っている暇はない。 蹴散らして進むぞ。

Raabe
シエル

はい。ラケルさんのところに急ぎましょう。

Ciel

第10節 魔王②/ 10. Demon King - 2

Summary
ナオトの部屋へ向かうシエルたち。レリウス

を発見したシエル達は、ラケルの回収を阻止 すべく戦闘を開始する。

They head for Naoto's room. Meeting Relius, they fight him to prevent him from taking Raquel.
人形のレリウスを退け、ラケルを抱えた本物

を追おうとする前を何者かに投げ飛ばされた ヴァルケンハインが横切る。

The Relius before them is a doll. Passing him, they see the real one carrying Raquel away, but before they can give chase, Valkenhayn is thrown before them.
シエル

もうすぐナオトさんの部屋ですが……静かですね。

Ciel
ラーベ

ラケル=アルカードを連れ出すだけならば、騒ぎにも ならんだろうが……助っ人とやらは一体どうしたんだ?

Raabe
シエル

まさか、もうすでに全て終わった後なのでしょうか。 だとしたらラケルさんは……。

Ciel
シエル

いえ、前方に反応あり。確認……。 反応、レリウス=クローバーです。

Ciel
シエル

いました、あそこです!

Ciel
ラーベ

ひとりか? ……もう一匹のでかいのはどうした?

Raabe
レリウス

……これは驚いた。貴様らは、キイロと一緒に いるものだと思っていたが……。

Relius
レリウス

あの場所からここまで……そう短時間で行き来できる とは思えん……。なにを使った……?

Relius
ラーベ

考察の時間はあとだ。 ラケル=アルカードの回収に来たんだな?

Raabe
シエル

そうはさせません。 ここから先へは行かせません。

Ciel
レリウス

ふむ……では、どうする? 説得で心を入れ替えさせるかね?

Relius
シエル

手を引いてください。 さもなければ、戦わなければなりません。

Ciel
レリウス

なるほど。短絡的だが、効率的とも言える。 問題は私に勝てると判断した分析力だが……。

Relius
レリウス

せっかくの機会だ。 それを含めて、改めて観察させてもらうとしよう。

Relius
レリウス

これらの能力を、解析しきれたわけではないからな……。

Relius
レリウス

さあ……観せてもらうぞ。

Relius
レリウス

……か、はっ……。

Relius
シエル

仕留めた……?

Ciel

1: 前より弱いような……
2: なにか変じゃない?

1:
2:

シエル

……手応えが、妙です。まるで人間ではなく……。 あっ!

Ciel
シエル

これは……人形です。

Ciel
ラーベ

こちらの解析に合わせて擬態させてきたのか。 なら、本物は……!

Raabe
シエル

いました、反対側です。ラケルさんを抱えています。 追いましょう!

Ciel
ラーベ

待て、止まれ、シエル!

Raabe
シエル

今のは……。解析……なにか大きなものが、 目の前を高速で横切り……壁に激突したようです。

Ciel
レリウス

……ちっ。

Relius
ヴァルケンハイン

う……ぐ……くそ……っ。

'Valkenhayn
ラーベ

あれは、ヴァルケンハインか? なんであいつがレリウスめがけて飛んでいったんだ?

Raabe
シエル

違います。彼は何者かに投げ飛ばされたのです。 ナオトさんのマンションの部屋の中から。

Ciel
シエル

誰かいます。警戒してください、レイさん。

Ciel
???

情の薄いことだ、人形師。彼の手助けはしないのかな?

???
レリウス

……任せろと言ったのはお前だぞ、ヴァルケンハイン。

Relius
ヴァルケンハイン

ふざ、けるな……まだ、だ……!

'Valkenhayn
???

丈夫だな、人狼(ライカンスロープ)。……それにしても。

???
シエル

……っ。

Ciel

...

ラーベ

Raabe
???

……なるほど、君か。……道理で。

???

...Oh, so it's you. ...Of course.

シエル

さ……下がって、ください。 レイさん……。

Ciel

G-get back, please, Rei…..

シエル

あれは……アレは……『普通』じゃありません!

Ciel

That's...that's not "normal!"

???

こんばんは、異分子諸君。 レイチェルは問題なく、たどり着けたようだな。

???

Good evening, Contaminants. It seems Rachel made it without a problem.

クラヴィス

私の名前はクラヴィス=アルカード。 レイチェルと、ラケルの……父親だ。

Clavis

My name is Clavis Alucard. Rachel and Raquel's...father.

第10節 魔王③/ 10. Demon King - 3

Summary
「不死殺し」二人を顔色ひとつ変えずに捌く

クラヴィス。クラヴィスと協力し、ラケルを 奪還しようとする。

Clavis handles Immortal Breaker with ease. Working together with him, Ciel, Raabe, and Rei attempt to take back Raquel.
未だ戦おうとするヴァルケンハインをレリウ

スが抑えて立ち去る。

Supporting Valkenhayn, who still wants to fight, Relius leaves.
ラーベ

クラヴィス=アルカード……。

Raabe

Clavis Alucard….

ラーベ

吸血鬼の一族、アルカード家の当主にして、 最強の『幻想生物』……。

Raabe

Head of the vampiric Alucard family, and the strongest of the "Imaginary Creatures."

ラーベ

そのクラヴィス=アルカードが…… ラケルとレイチェルの父親だと?

Raabe

And that Clavis is...Raquel and Rachel's father?

クラヴィス

その通り。だが積もる話は後にしよう。 今は……彼らの応対が先だ。

Clavis
ヴァルケンハイン

ぐるあぁぁぁぁぁぁぁ!

'Valkenhayn
ヴァルケンハイン

ぐぐ……この、化け物が……!

'Valkenhayn
クラヴィス

はは、君が言うかね。

Clavis
レリウス

……っ!

Relius
クラヴィス

おっと。

Clavis
レリウス

……触れただけで人形を破壊するか。

Relius
クラヴィス

やっと手を貸す気になったのかな? レリウス=クローバー。

Clavis
シエル

すごい力です……。 あのヴァルケンハインさんを片手で捕えています。

Ciel
シエル

レリウスさんの人形も、一瞬で粉々に……。 とてもそんな腕力があるようには、見えないのに。

Ciel
ヴァルケンハイン

があぁぁぁぁぁぁっ!

'Valkenhayn
クラヴィス

元気だな。まだ暴れるか。

Clavis
シエル

凄まじいスピードと力です。なのに、そのふたりを相手にして、 クラヴィスさんはまったく押されていません。

Ciel
シエル

すごい戦いです……。 吸血鬼の一族というのが、これほどとは……。

Ciel
ラーベ

違うよ、吸血鬼……だからじゃない、 クラヴィス=アルカードが特別なんだ……。

Raabe
ラーベ

とりあえずだ、これでは、こちらは手の出しようもないな。 となれば、レイ、今のうちだ。

Raabe

1: ラケルを取り戻そう
2: シエル、行くよ

1:
2:

シエル

はい。

Ciel
シエル

はぁぁぁっ!

Ciel
レリウス

くっ……煩わしい……。

Relius
シエル

あうっ! 重い……でも!

Ciel
クラヴィス

娘を返してもらうぞ。

Clavis
レリウス

――っ!?

Relius
ヴァルケンハイン

レリウス! 吸血鬼を奪われるぞ!

'Valkenhayn
レリウス

……わかっている。

Relius
シエル

人形、多数出現。ですがレリウスさんはクラヴィスさんに かかりきりのようです。

Ciel
シエル

これなら、私たちで十分相手にできます。 ……対象を補足。ラケルさんを守ります。

Ciel
ヴァルケンハイン

あ……がっ……。

'Valkenhayn
レリウス

……く……。

Relius
クラヴィス

なにも、君たちの命が欲しいわけではない。 大人しく手ぶらで帰るならば、追いはしない。

Clavis
レリウス

…………。

Relius
ヴァルケンハイン

く、そ、この……!

'Valkenhayn
レリウス

……今宵はここまでだな。 我等は撤退するとしよう……不死者の王よ。

Relius

...We'll leave it at this tonight, I suppose. We shall retreat...No-Life King.

クラヴィス

賢明だ。……あぁ、忘れ物だ、ちゃんと持ち帰ってくれよ。

Clavis
ヴァルケンハイン

がっ……!

'Valkenhayn
レリウス

……やれやれ。

Relius
ヴァルケンハイン

ぐ……放せ……俺はまだ……。

'Valkenhayn
レリウス

まさに負け犬の遠吠えだな。 標的は取り戻され、こちらの戦力はガタガタ。

Relius
レリウス

この状況で、撤退以外になにをする……? 御剣機関に命を捧げるつもりはない。

Relius
ヴァルケンハイン

ぐ……。

'Valkenhayn
レリウス

……失礼する。

Relius

第10節 魔王④/ 10. Demon King - 4

Summary
クラヴィスの強烈な威圧感に気圧されるシエ

ル達。ラケルを部屋に寝かせ、ラケルの状態 やこの世界についての話を聞く。

Ciel, Rei, and Raabe are intimidated by Clavis' overwhelming presence. Taking Raquel back into the room, they talk about Raquel's situation and the current world.
シエル

お疲れ様でした、レイさん。

Ciel
シエル

レリウスさんたちは……もう反応がありません。 索敵範囲外に逃亡したものと思われます。

Ciel
ラーベ

あれだけ一方的にやられておきながら、 まだそれだけの余力があるとはな。

Raabe
ラーベ

新川浜にはどれだけ化け物が集まってるんだ……。

Raabe
シエル

あ……。

Ciel
クラヴィス

怪我はないかね?

Clavis
シエル

は……はい。 私もレイさんも、大きな損傷はありません。

Ciel
クラヴィス

そうか。それはよかった。 人間は時々、驚くほど脆いからな。

Clavis
シエル

…………。

Ciel
シエル

あ……あの。ありがとうございます。 ラケルさんを……助けていただいて。

Ciel
シエル

我々だけでは、とても……対処できませんでした。 ですので……。

Ciel
クラヴィス

……ふむ。

Clavis
シエル

な、なにか……?

Ciel

1: (物凄い威圧感を感じる……) (よくわからないけど目茶苦茶恐い……)

1:

クラヴィス

……いや。礼を言うのは、こちらのほうだ。 ラケルのために奮闘してくれたこと、感謝する。

Clavis
クラヴィス

なにより、この場に来てくれて助かった。 私ひとりでは、ラケルを奪われていたかもしれない。

Clavis
ラーベ

あなたは、先ほど『ラケル=アルカード』の父親だと 言っていたが……あれはどういう意味だ?

Raabe
クラヴィス

そのままの意味だ。 この子は私が存在を与え、姿を与え、ここまで育てた。

Clavis
シエル

レイチェルさんも……ですか?

Ciel
クラヴィス

……そう言っても、間違いではないだろうな。 ただし彼女たちが姉妹かと聞かれると、返答に困る。

Clavis
クラヴィス

……よく眠っている。

Clavis
クラヴィス

場所を変えてもいいだろうか。 この子をこのまま、廊下に寝かせておきたくはない。

Clavis
シエル

あ……はい。 ではナオトさんの部屋に運びましょう。

Ciel
シエル

……布団も、元通りにかけておきますね。

Ciel
ラーベ

さっきはこの部屋でヴァルケンハインと戦っていた ようだが……思いの外、室内に被害はないな。

Raabe
クラヴィス

即席の、結界のようなものを張らせてもらっていた。 ラケルが世話になった家主に、迷惑をかけたくなかったのでな。

Clavis
クラヴィス

さて。腰を落ち着けたところで……。 こちらからも、尋ねていいかね?

Clavis
シエル

は、はい……!

Ciel
クラヴィス

君たちは、この世界の『外側』から来たようだね。 そしてこの世界を『解放』するつもりなのだとか。

Clavis
シエル

はい……その通りです。

Ciel
クラヴィス

そうか。どうかね。できそうかね?

Clavis
シエル

それはまだわかりませんが……。 そうなるために、行動しています。

Ciel
クラヴィス

なるほど。では健闘を祈るとしよう。

Clavis
クラヴィス

でなければ、ラケルはこのまま…… この世界から切り離されてしまうだろうからね。

Clavis
ラーベ

切り離される、とは……。 魂と器が完全に分断されてしまうという意味か?

Raabe
クラヴィス

左様。 そうか、君はラケルの仕組みを理解しているのだね。

Clavis
ラーベ

観測した結果の、大まかなことだけだがな。

Raabe
ラーベ

どういう理屈で魂と器が切り離されているのかは、 把握できていない。

Raabe
ラーベ

そうだ、それについて問いたい。 ラケル=アルカードの魂はどこにある?

Raabe
クラヴィス

境界に。

Clavis
ラーベ

……やはり、そうか。

Raabe
クラヴィス

ラケルの魂……そう呼ばれているものがなんであるかは、 今は説明を省くとして。それは元々、境界にあったものだ。

Clavis
クラヴィス

その魂とこの器を繋げることで…… 彼女はラケル=アルカードとして存在している。

Clavis
クラヴィス

だがこの小さな仮初の『世界』は、 ラケルの魂の居場所を正確に把握してはいない。

Clavis
クラヴィス

そのせいで、一度分断された魂は再び器と繋がることが 難しくなってしまった。

Clavis
クラヴィス

ラケルの魂は、空へ飛ばされた風船のように、 境界を漂うはずだった。

Clavis
クラヴィス

それを辛うじてつなぎ止めているのが……。

Clavis
ラーベ

ライフリンクで繋がっている黒鉄ナオトの存在か。

Raabe
クラヴィス

彼がいてくれたことは、実に幸運だった。 でなければラケルは、この世界から失われていたかもしれない。

Clavis
クラヴィス

いかに仮初の『世界』とはいえ、 『世界』である以上『現実』でもある。

Clavis
クラヴィス

『此処』こそが『現実』となったとき、 そこにラケルが存在しないのでは……まずいのでね。

Clavis
ラーベ

なぜ、まずい?

Raabe
クラヴィス

はは。少々無鉄砲で反抗的なところもあるが、 私とて娘への愛情はある。失いたくはないものだ。

Clavis
クラヴィス

だからこそ、ラケルの存在を繋ぎ止める楔として、 レイチェルを送り込もうとしていたのだが……。

Clavis
クラヴィス

それも、君なしでは叶わなかっただろう。

Clavis
クラヴィス

レイ。 君のその特異な力……。

Clavis
クラヴィス

それをなんと呼称するべきなのか迷うところだが、 その力のおかげで、レイチェルは形を得ることができた。

Clavis
クラヴィス

本当に、感謝しているよ。

Clavis
ラーベ

そうか。レイに観測させることで、 本来はあり得なかった存在を成立させたのか……。

Raabe
ラーベ

だがまさか、レイの力すら把握しているとは。 いや、そもそもあなたは、どこまで知っているんだ?

Raabe
クラヴィス

さて。もちろん全てではない。 だがここが、切り取られた『世界』の欠片であり……。

Clavis
クラヴィス

誰かの思惑によって生み出された『場』であることは、 感じ取っているよ。

Clavis
シエル

……あの。質問があるのですが。それだけのことが わかっていて、あれほどの力を持っているのなら、

Ciel
シエル

この『世界』を生み出している存在が誰なのか わかりませんか?

Ciel
クラヴィス

いや。残念ながら、私もこの世界の一部として取り込まれ、 形作られた存在だ。

Clavis
クラヴィス

世界のルールそのものに干渉することはできない。

Clavis
クラヴィス

もちろん、世界そのもの……ファントムフィールドと 君たちが呼ぶもの自体を、破壊する術も持たない。

Clavis
クラヴィス

……先ほどの、狼男と人形師の件もそうだ。

Clavis
クラヴィス

君がいなければ、私は『ラケルを奪われる』という 世界のシナリオから、逃れられなかったかもしれない。

Clavis
クラヴィス

もっとも、世界がどんなシナリオを求めているのかは、 私でも窺い知ることはできないが。

Clavis
ラーベ

その理屈でいくと、ラケルを奪われないという展開こそ、 世界のシナリオであった可能性もあるわけだな。

Raabe
クラヴィス

無論。 だから、私をあまり味方であると妄信しないことだ。

Clavis
ラーベ

肝に銘じる必要がありそうだな。 幻想生物とやり合うのは、正直リスクが高すぎる。

Raabe
クラヴィス

君たちがどのような目的で行動するにせよ、 私はラケルへの危害を阻止しようとするだろう。

Clavis
クラヴィス

どうか君たちがそれに反することがないよう、 祈るばかりだ。

Clavis

1: ラケルは助ける
2: 頑張ってみます

1:
2:

クラヴィス

……ありがとう。 心から期待している。

Clavis
シエル

クラヴィスさんに真正面からそう言われると、 なにやら精神的重圧のようなものを感じます。

Ciel
クラヴィス

なに、私もできるかぎりの助力はするつもりだ。 ……だが私にできることは非常に少ない。

Clavis
クラヴィス

世界を変えることができるのは、 いつだろうと人の力と可能性だ。

Clavis
クラヴィス

もう一度言おう。 君たちの可能性に、期待している。

Clavis

第10節 魔王⑤/ 10. Demon King - 5

Summary
連れ去られたひなたを救出するため、行動を

開始するシエルたち。

To take back Hinata, Ciel and the others jump back into action.
無事にひなたを救出し、キイロの元からナオ

トの部屋へ集まる一行に、クラヴィスを紹介 する。

They recover Hinata, and on the way back from Kiiro's location to Naoto's apartment, Ciel's group introduces Clavis.
ラーベ

……どうだ、シエル?

Raabe
シエル

……索敵……感知範囲拡大……確認……確認。 照合。認識。

Ciel
シエル

……発見しました。 近辺を走行する御剣機関の車両です。

Ciel
ラーベ

よし、これだけ探して照合できたのがそれだけなら、 間違いないだろう。

Raabe
シエル

向こうの状況はわかりませんが……。 よろしいですか、レイさん。

Ciel

1: こっちはこっちで、できる手を打とう
2: ひなたさんを取り戻すよ

1:
2:

シエル

了解しました。移動、開始します。

Ciel
シエル

対象を確認、補足。 対象の撃破、および人質の奪還を開始します。

Ciel
黒服

くそっ……! なんなんだ、こいつらは!?

Black Suit
黒服

は、はい、申し訳ありません。 人質を奪われました……え?

Black Suit
黒服

り、了解、撤退します……。

Black Suit
シエル

人質の確保を完了。

Ciel
ラーベ

……うん。緋鏡キイロが言ってた通り、 眠らされているだけみたいだな。

Raabe
ラーベ

外傷はない。精神波長にも、問題はなさそうだ。

Raabe
シエル

ナオトさんに良い報告ができますね。

Ciel
ラーベ

早速、連絡してやれ。そうすればあっちも色々と面倒を 切り上げて、戻ってこられるだろう。

Raabe
ラーベ

客人も、紹介せねばならんしな。

Raabe
シエル

はい。わかりました。

Ciel
キイロ

あぐ、う……っ。

Kiiro
ナオト

おらぁぁっ!

Naoto
キイロ

きゃぁっ!

Kiiro
キイロ

っ、ふふ……すごい……すごいわ、ナオトくん。 このまま受け続けていたら、本当に壊れちゃうかも。

Kiiro
ナオト

別にてめぇを殺したいわけじゃない。 ひなたとサヤを返せ! そんで、ラケルから手を引け!

Naoto
キイロ

んふ……ナオトくんに強く要求されるの、興奮する。 ぞくぞくしちゃう。

Kiiro
キイロ

もっともっと、激しく絡み合いたいわ……。

Kiiro
キイロ

んもう。なによ、盛り上がってるところなのに……。

Kiiro
キイロ

…………。

Kiiro
キイロ

はぁ。残念だわ……これ以上のお楽しみは、 また今度にしなくちゃいけないみたい。

Kiiro
ナオト

え……おい、待て!

Naoto
キイロ

またね、ナオトくん。 お友達とばっかり仲良くしてちゃ、嫌よ。

Kiiro
ナオト

!?

Naoto
Es

くっ!

Es
ナオト

わ……悪い。助かった。

Naoto
Es

いいえ、問題ありません。 ですが……緋鏡キイロを、逃がしてしまいました。

Es
ナオト

それは、まあ、いいよ。あのまま戦ってても、 キイロに勝てたとは思えねぇし……。

Naoto
ナオト

それより、冥、大丈夫か?

Naoto

っ……大丈夫、と言いたいところだが、 悔しいが見ての通りだ。

Mei
Es

冥、肩を貸します。掴まってください。

Es

ああ……。それで、どうする?

Mei

レイたちと合流するか? それともひなたを探しに行くか……?

Mei
ナオト

っ! 着信? 誰だ? レイ! どうした……?

Naoto
ナオト

ああ……そうか、よかった。 ひなたも? マジかよ。わかった、すぐ戻る!

Naoto
Es

向こうでなにか進展がありましたか?

Es
ナオト

ラケルは無事だって。 それから、ひなたも保護できたってよ。

Naoto

本当か?

Mei
ナオト

ああ。 どっかでタクシーでもなんでも捕まえて、すぐ戻ろうぜ。

Naoto
ナオト

ラケル!! ひなた!!!

Naoto

おい、黒鉄。 もう深夜だぞ、近所迷惑だろうが!

Mei
ナオト

んなこと言ったって……。 ああ、レイ、無事か! シエルも。

Naoto
シエル

はい。問題ありません。

Ciel
Es

ラーベさんも、ご無事なようですね。

Es
ラーベ

ああ。

Raabe
ラーベ

ラケルとひなたなら、そこの部屋で並んで寝てる。 どちらも怪我はないから、安心しろ。

Raabe
ナオト

そうか……ありがとう。よかった……本当に。

Naoto

うん? レイチェル=アルカードはどうした? 一緒じゃないのか?

Mei
シエル

はい。レイチェルさんは、先に戻られました。 どこへかは……わからないのですが。

Ciel
クラヴィス

私の城へだよ。そこで休んでいることだろう。

Clavis
ナオト・冥・Es

っ!?

Naoto, Mei, & Es ?
クラヴィス

彼女がこちらで活動するには、なにかと余計に 消耗するのでね。休息が必要だ。

Clavis

な……っ……なん、だ、この男は……?

Mei
Es

……!

Es
ナオト

誰だ、あんた……? いや、前に会ったか?

Naoto
クラヴィス

こちらでは、はじめまして。黒鉄ナオト。 クラヴィス=アルカードだ。いつも娘が世話になっているね。

Clavis
ナオト

アルカード? 娘? 誰の?

Naoto
ラーベ

落ち着け、ナオト。気持ちはわかるが、とにかく落ち着け。

Raabe
ナオト

ラケルの父親!? は? なにがどうなって……。 それに……。

Naoto
ナオト

……なんなんだよ、この人……。 いるだけなのに、身がすくむ……。

Naoto
シエル

レイチェルさんの言っていた『助っ人』が 彼のようです。

Ciel
シエル

ラケルさんを、ヴァルケンハインさんとレリウスさんから 守ってくれました。

Ciel
ナオト

そうなのか……。その、ありがとうございます。

Naoto
クラヴィス

……いや。礼を言うのはこちらのほうだ。 娘を守ってくれて、ありがとう。

Clavis
クラヴィス

さて……ラケルの状態についての話は、 もう一度私からしたほうがいいだろうか?

Clavis
ラーベ

いや、こいつらには……。

Raabe
ナオト

ラケルの話? なんだよ、聞かせてくれ!

Naoto
ラーベ

……聞いても、まともに理解できるとは 思えないんだがな。

Raabe
ナオト

それでも聞かせろよ。なにか知ってるんだろ。

Naoto

1: クラヴィスさん、お願いします
2: 僕から説明します

1:
2:

クラヴィス

わかった。いいだろう。

Clavis
クラヴィス

そうかね。では、頼むとしよう。

Clavis

1: クラヴィスさん、お願いします
2: 私から説明します

1:
2:

クラヴィス

わかった。いいだろう。

Clavis
クラヴィス

そうかね。では、頼むとしよう。

Clavis
ナオト

待て。待て待て。

Naoto
ナオト

つまり……この世界は観測者ってやつが作った世界で、 ラケルの魂がある場所から切り離されてる……。

Naoto
ナオト

そのせいでラケルは、眠ったまま目を覚まさない。

Naoto
ナオト

んで、クラヴィスさんはその状態のラケルを 守ろうとしていて……。

Naoto
ナオト

レイチェルって子もそのために現れた……。 で、いいのか?

Naoto
ナオト

おお、情報多すぎて頭がパンクしそうだ……。

Naoto
シエル

大丈夫です。おおむね、理解されていると思います。

Ciel
ナオト

ならいいんだがよ……。

Naoto
クラヴィス

君は、ラケルを目覚めさせようとしているそうだね。

Clavis
クラヴィス

……そのように行動してくれる者が、 彼女の側にいるとは。心強いことだ。

Clavis
ナオト

そりゃ、そうだろ。あいつは俺の……恩人だからな。 できることがあるなら、なんでもするさ。

Naoto
クラヴィス

……そうか。

Clavis
ナオト

今の話からすると、ラケルの魂は境界ってところにあるんだろ?

Naoto
ナオト

そこに行って、ラケルの魂を持ってくる ってわけにはいかないのか?

Naoto
ラーベ

無茶苦茶なことを言うな、お前は。 境界で個の魂ひとつ探し出すなど、正気の沙汰じゃないぞ。

Raabe
ラーベ

大体、そんな簡単に見つかるなら、 クラヴィス=アルカードがもう見つけてるはずだ。

Raabe
ナオト

う……それもそうか……。

Naoto
ラーベ

それに、そもそも境界になんか簡単に行けるものか。

Raabe
ナオト

でも……あるってことは、どっからかは行けるんだろ?

Naoto
クラヴィス

そうやって、人は古来から幾度も境界へと至る門を求めてきた。 ……この街にも、そういう存在はいるのではないかな?

Clavis
ラーベ

……確かに。 そういう使い方ができるのかは定かではないがな。

Raabe
ナオト

なんの話だ?

Naoto
ラーベ

アラクネだよ。奴は高濃度の魔素でできた体を持っていた。 そういうものは……門となる可能性がある。

Raabe
ナオト

門?

Naoto
ラーベ

ようは、境界との接点だ。アラクネは絶えず蟲を生み出して いただろう。あれも境界につながっているがゆえのことだ。

Raabe
ナオト

なっ……じゃあ、あいつの力があれば 境界に行けたかもしれないってことか!?

Naoto
ラーベ

かもしれないだけだ。それにあいつの力と言うが、 あれにどうやって協力させるつもりだ。

Raabe
ナオト

それは……そうだけどよ。

Naoto
ラーベ

どのみちアラクネはもういない。取るとしても別の手段だ。

Raabe
ナオト

……そっか。無理ならしょうがねぇ。 ってことは、マジで観測者をどうにかするしか、

Naoto
ナオト

ラケルを目覚めさせる方法はないってことか。

Naoto
ナオト

サヤのこともどうにかしねぇとだし……。

Naoto
クラヴィス

……ふむ。

Clavis
クラヴィス

黒鉄ナオト。

Clavis
ナオト

っ!

Naoto
クラヴィス

そう身構えることはない。とって食いやしない。

Clavis
ナオト

わ……わかってる、けどさ……。 あんた、なんかおっかないんだよ。

Naoto
クラヴィス

腕を出しなさい。右腕を。

Clavis
ナオト

へ? な……なにを……?

Naoto
ナオト

は……?

Naoto

ひぃっ!?

Mei

1: うぁぁぁぁ!
2: ナナナナナナ……

1:
2:

Es

ナオトの、腕が……取れて、います。

Es

みればわかるっ!!!

Mei
シエル

だ……大丈夫なのですか、ナオトさん?

Ciel
ラーベ

へー面白い構造をしているな……ふむふむ。……ほうほう。

Raabe
ナオト

おめぇは感心してんじゃねぇよ!

Naoto
クラヴィス

やはりそうか。 この腕は、ラケルの……血で作られたものだね。

Clavis
シエル

血? 腕がですか?

Ciel
ナオト

……ああ、そうだよ。でも、なんで知ってんだ。

Naoto
クラヴィス

わかるとも……娘の血は元々、私のものだ……。

Clavis
ナオト

は?

Naoto
クラヴィス

それより……君は、命の危機に瀕した際、ラケルに吸血鬼化 させられたそうだが。本来の腕はそのときに失ったのかね?

Clavis
ナオト

……はっきりとは覚えてねぇけどな。 その時、ラケルが吸血鬼の力で作ったとかって……。

Naoto
ナオト

でも、普通に動くし、ドライブ使うと 右腕だけやたら強くなるし、不便はねぇよ。

Naoto
シエル

驚きです。よくわからないまま、 自分のものではない腕を使い続けているのですか?

Ciel
ナオト

うるせ。今はそんなこと、いいだろ。

Naoto
ナオト

それより、腕返せよ! いつまで眺めてんだ、見せもんじゃねぇぞ。

Naoto
クラヴィス

ああ、これは失礼。

Clavis
クラヴィス

……どうかね?

Clavis
ナオト

……ん。おお。

Naoto
シエル

ナオトさんの腕が元に戻りました。 ぴったりくっついています……不思議です。

Ciel

信じられん……。 吸血鬼というのは、不可解な術を使うな……。

Mei

1: 痛くないの?
2: 本当にくっついてるの?

1:
2:

ナオト

ああ……全然平気だ。ほら。普通に動くだろ。

Naoto
ナオト

それに、なんだ? 妙に軽いっつーか……。 びっくりするくらい、違和感がねぇ。

Naoto
クラヴィス

それがその腕、本来の性能だ。

Clavis
Es

今までは、制限されていたのですか?

Es
クラヴィス

ああ。ラケルはまだ半人前でね。 君の腕を補完する技術も、未熟だったようだ。

Clavis
クラヴィス

だが、その腕ならば、今後の戦いの助けになるだろう。

Clavis
ナオト

……ありがとうございます。 ラケルは必ず、俺が助けますから。

Naoto
クラヴィス

期待しておこう。

Clavis
クラヴィス

さて。そろそろ私は失礼するよ。長居をしすぎた。 あまり人の世に深く関わると、良くないのでね。

Clavis
ラーベ

確かにそうだろうな。事象に対する影響が大きすぎる。 あまりあなたの力は借りないほうがよさそうだ。

Raabe
クラヴィス

ぜひ、そうあってもらいたい。 では……娘を頼む。

Clavis

1: き、緊張したぁ……
2: 口の中がパサパサだよ……

1:
2:

情けない声を出すな……と言いたいところだが、 悔しいかな、同感だ。

Mei

吸血鬼、クラヴィス=アルカード……。 正直言って、息をするのもやっとな威圧感だった。

Mei
Es

ラケルさんのことを……心配しているようでした。

Es
ナオト

父親だって言ってたからな。 ……そうだ、ラケルとひなた!

Naoto
ナオト

ひなた……ったく、呑気な顔しやがって。 怪我がなくて本当によかったよ。数値もいつも通りだし。

Naoto

ひとまず、簡易的な結界を張っておこう。

Mei

レリウスやヴァルケンハインのような奴に 乗り込まれたら、どこまでもつかはわからんが……。

Mei

無防備にしておくよりは、いくらかいいだろう。

Mei
ナオト

ああ、助かる。 ……お前ら、今日どうする? 帰るか?

Naoto

……いや、状況が状況だけに、 暫くは警戒しておいた方が良さそうだ。

Mei
Es

冥。でしたら、あなたの体力、体調を考慮すると、 少々休まれたほうが良いかと思います。

Es

む……。

Mei
ナオト

無理すんなよ。いいから休んどけ。

Naoto

……はぁ。そうだな。確かにエスの言う通りだ。 虚勢を張っても意味などない。

Mei

というか黒鉄、お前も少し休め。

Mei
ナオト

そうだな……。

Naoto
シエル

では、私も警戒に当たります。

Ciel
ナオト

あぁ……疲れてるとこ悪いが、頼むわ。

Naoto
ナオト

……サヤ。無事でいろよ。

Naoto

第11節 襲撃①/ 11. Assault - 1

Summary
御剣機関にて、サヤに協力を迫るキイロとハ

ザマ。一方ナオトたちはラケルの保護場所を 天ノ矛坂家に移動しようとしていた。

In the Mitsurugi Agency, Hazama and Kiiro press Saya to cooperate. Naoto's group decides to move Raquel to the Amanohokosaka family's place for a bit.
キイロ

ご機嫌はいかが? 輝弥家のお嬢様。

Kiiro
サヤ

…………。

Saya
キイロ

恐い顔。でも今のあなたにできるのは、 睨みつけることくらいだものね。ふふ、可哀想。

Kiiro
ハザマ

体調に問題はなさそうですねぇ。 薬の影響も、当然ありません。

Hazama
サヤ

……緋鏡が私をこのような場所に捕らえて、 なにをしようというのです?

Saya
キイロ

ふふ……宗家大黒『天ノ矛坂』、 それに従うは郭柱 (かくちゅう) 『破城』『影辰』『緋鏡』『輝弥』……。

Kiiro

Haha...the Amanohokosaka are the clan's central pillar...and together the Hajou, Kagetatsu, Hikagami, and Terumi support them.

キイロ

封魔の家なら助け合うのは当たり前じゃない?

Kiiro

Evil-sealing families ought to help each other out, don't you think?

サヤ

助け合う? 戯言を。

Saya
キイロ

どう思おうがご勝手にどうぞ。貴女の意志なんてどうでもいいわ。 なにを考えようと、私たちの悲願に協力してもらうんだから。

Kiiro
キイロ

幻想生物の……殲滅に。

Kiiro
サヤ

幻想……生物?

Saya
キイロ

私たち御剣機関はね、人類の存続を理念としているの。

Kiiro
キイロ

だけど世界には、人類を脅かす厄介な怪物が存在しているわ。 そういうものを『幻想生物』と呼んでいるの。

Kiiro
サヤ

……たとえば、吸血鬼など……ですか?

Saya
キイロ

あらぁ〜、察しがいいじゃない。お利口さんね。

Kiiro
キイロ

そうよ。でも貴女の知ってる、ラケル=アルカードの ような、小物じゃないわ……。

Kiiro
キイロ

不死者の王 (ノーライフキング) クラヴィス=アルカード。

Kiiro
キイロ

これを、貴女が倒すの。

Kiiro
サヤ

クラヴィス=アルカード……?

Saya
サヤ

なぜ、私が? お前たちの手先になるつもりなどありませぬ。

Saya
ハザマ

いえいえ、手先などと。 あなたにとっても、悪い話じゃないと思いますよ?

Hazama
サヤ

……貴様は?

Saya
ハザマ

始めましてになりますね、ですが貴女が私の名前を覚える 必要はありませんので……お気になさらないでください。

Hazama
サヤ

…………。

Saya
ハザマ

吸血鬼クラヴィス=アルカードはですねぇ、 御剣機関が観測した中でも、かなり特異な存在なんですよ。

Hazama
ハザマ

なにせとにかく強い。純粋な『力』においては測定不可能です。 さらに不死身とも言える肉体に、それを補う再生能力。

Hazama
ハザマ

おまけに魔法まで使えるらしいんですよ。 もう反則ですよねぇ……。まさに、化け物中の化け物です。

Hazama
ハザマ

正直に言って、仕事でなければできる限り関わりたくない 存在なんですよ。

Hazama
サヤ

話がくどいですね。 その化け物と私に、なんの関係があるのです?

Saya
ハザマ

関係? 関係がある? あります、ありますよぉ。おおありじゃないですか。

Hazama
ハザマ

だって……貴女の『中』にも居るでしょう? できる限り関わりたくない存在。化け物中の化け物……。

Hazama
ハザマ

ソウルイーターが。

Hazama
サヤ

!?

Saya
ハザマ

命を喰らい、魂を喰らい、存在をも喰らう。 それがソウルイーターです。

Hazama
ハザマ

その食欲は留まることを知りません。

Hazama
ハザマ

どんな相手でも……そう、宿主である貴女ですら、 その命を、存在を食われ続けている。

Hazama
ハザマ

そしてそれを止めることは誰にもできない。 ……そうですよね、輝弥サヤさん。

Hazama
サヤ

…………。

Saya
ハザマ

どこかの誰かさんじゃありませんけど、興味がありますねぇ。

Hazama
ハザマ

少しずつ、少しずつその『魂』を削り取られていく気分は、 どんなものなのでしょう?

Hazama
ハザマ

良ければ教えていただけませんかね?

Hazama
キイロ

話が逸れてるわよ。先に進めて。

Kiiro
ハザマ

おおっと、これは失礼しました。つい脱線してしまいまして。 ですが……貴女にも、話が見えてきたんじゃありません?

Hazama
ハザマ

どんなに強大な肉体を持っていても、どんなに強大な力を持ち、 強大な命を持ち……強大な『魂』を持っていたとしても、

Hazama
ハザマ

『存在』ある限り、ソウルイーターにあらがうことは不可能です。

Hazama
ハザマ

それはもちろん、 クラヴィス=アルカードとて例外ではありません。

Hazama
サヤ

……だから、私にクラヴィス=アルカードなる者を 『喰え』というのですか?

Saya

...And that's why you're telling me to "eat" Clavis Alucard?

ハザマ

我々が知る限り、 あの吸血鬼を倒す方法はソウルイーター以外にありません。

Hazama

As far as we know, there's no other way to defeat him other than with Soul Eater.

ハザマ

……ですが我々が知る限り、 あの吸血鬼以上に強い『魂』もまた、ありません。

Hazama

...And as far as we know, there's no other "soul" that's stronger than that vampire's.

ハザマ

『魂』……このところの貴女がたが聞きなじみある言葉に 置き換えますと……生命力、ですかね。

Hazama
ハザマ

比類なき生命力。他のどんな存在でも抱えていられないほどの 膨大な命を、あなたが『喰らう』ことができたなら……。

Hazama
ハザマ

あなたは誰にも引けを取ることのない生命力を、 手に入れられるのですよ。

Hazama
サヤ

それがなんだと言うのです。そんなもの、私には必要ありません。

Saya

It doesn't matter what you say. I don't need something like that.

ハザマ

本当に? 本当にそうですか? 貴女……ずっと欲しかったのではありませんか?

Hazama

Really? Are you really sure about that? Is it not the very thing you've wanted this whole time?

ハザマ

休むことなく戦い続けられる力。 輝弥の家を支えて余りある力。

Hazama

The strength to fight continuously without needing to rest. The strength to support the Terumi family.

ハザマ

どこへでも……兄と一緒に駆けていける、力。

Hazama

The strength to go anywhere...together with your older brother.

サヤ

……っ!

Saya
ハザマ

あらら。図星ですか? 顔色が変わりましたよ?

Hazama
サヤ

……ふん。下らない。下品な憶測ですね。 そのような妄言に、惑わされるものですか。

Saya
ハザマ

妄言などではありませんよ。 それに、貴女はもうすでに知っているはずです。

Hazama
サヤ

なにを……。

Saya
ハザマ

『喰った』でしょう? 膨大な生命力を。 アラクネから。

Hazama
サヤ

あれは、貴様たちが……!

Saya
ハザマ

ええ、ええ。 我々が貴女の力を暴走させて、喰わせたのでしたね。

Hazama
ハザマ

その節は、失礼いたしました。 それもこれも、貴女に力をつけてもらうため。

Hazama
ハザマ

クラヴィス=アルカードと対峙したときに、 即座に負けてしまっては困りますからね。

Hazama
ハザマ

ですが……いかがです? 体は好調ではありませんか? 力がみなぎっているのではありませんか?

Hazama
ハザマ

煮詰められ凝縮された膨大な生命力の味は、いかがですか?

Hazama
ハザマ

……もっと欲しくはありませんか?

Hazama
ハザマ

手に入りますよ。その力があれば。 いいえ、貴女だけが手に入れられるのです。

Hazama
ハザマ

貴女にしか、手に入れられないのです。

Hazama
サヤ

…………。

Saya
ハザマ

それこそが、貴女のなすべきことだと、思いませんか?

Hazama
ハザマ

さあ、一緒に手に入れましょう!! ……貴女が望む世界を。

Hazama

蒼を……探して……。 そして私を……。

Search for...the Azure… And...me…

私を、見つけて……。

Find me….

ナオト……。

ナオト

ごちそうさま。昼飯、用意してくれてありがとうな。

Naoto
ひなた

いえいえ、どういたしまして。

Hinata
ひなた

……お昼過ぎまで寝過ごしちゃったんだもん。

Hinata
ひなた

学校まで休んじゃったし、これくらいしてないと 落ち着かないの。

Hinata
ひなた

冥ちゃんやエスちゃんも泊まりに来てたっていうのに、 全然気づかないで寝てたなんて。

Hinata
Es

気にしないでください。急な用事があったので、 遅くにお邪魔することになってしまっただけですから。

Es
ひなた

でも……。 ナオトちゃんも、起こしてくれればよかったのに……。

Hinata
ナオト

いや、はは、よく寝てたからさ。疲れてたんだろ。

Naoto
ひなた

そうかなぁ。あ、お皿、洗っちゃうね〜。

Hinata
Es

手伝います、ひなた。

Es
ひなた

いいよいいよ。お客さんなんだから、座ってて。

Hinata
Es

いえ、手伝わせてください。

Es
シエル

…………。

Ciel

……ひなたは昨夜のことをまったく覚えていないみたいだな。

Mei
シエル

はい。クラヴィスさんが施してくださった 魔法の効果のようです。

Ciel

便利なものだ。今回は助かったが、敵には回したくないな。

Mei

……さて、今のうちに話しておくぞ、黒鉄。あまり姫鶴に 聞かせることでもないだろうからな。手短に言う。

Mei

ラケル=アルカードの保護拠点を、移したほうがいい。

Mei
ナオト

……やっぱ、そう思うか。

Naoto

ああ。ヴァルケンハインとレリウスを送り込んでくる 程度には、御剣機関は彼女を手に入れたがっている。

Mei

となれば、再び襲撃を受けることは容易に想像がつく。 というか、これですっぱり諦める理由がない。

Mei
シエル

もしまた襲撃を受けたとき、 クラヴィスさんが助けにきてくれるとは限りません。

Ciel
シエル

それに……ここでは、ひなたさんを巻き込む可能性が 非常に高いです。

Ciel
ナオト

そうだよな……。昨日だって、怪我こそなかったけど 間違いなくひなたを巻き込んだんだし……。

Naoto

なら、いいな。

Mei
ナオト

ああ。でも、移すったって、どこに移動させるんだ? ……まさか。

Naoto

こうなった以上、他に選択肢はないだろうが。

Mei
ナオト

天ノ矛坂か……。

Naoto

1: 難しい顔してるけど……
2: なにか問題?

1:
2:

ナオト

ああ、うん……。

Naoto
ナオト

天ノ矛坂、つまり冥の家と、うち……輝弥の家は、 ちょっと特殊な繋がりがあるんだよ。

Naoto
ナオト

……俺とサヤの家族は、事故で死んじまってさ。天ノ矛坂は そのあと、俺たちの面倒を見てくれた家でもあるんだけど。

Naoto
ナオト

俺は勝手に家を飛び出したし、輝弥の跡取りとして大事に 育ててもらってたサヤは今、こういう状況だし。

Naoto
ナオト

あんまり気安く戻れるところじゃねぇっつーか……。

Naoto

確かに体裁は悪いな。粋がって出ていっておいて、 女を抱えて転がり戻るわけだからな。

Mei

不甲斐ない事極まりない。

Mei
ナオト

うぐ……。

Naoto

だが、そんなことを言っている場合でもあるまい。

Mei
ナオト

まあな。でも、いいのか?

Naoto
ナオト

アラクネは倒した。ってことは、蟲の件は一応片がついてる。 天ノ矛坂としては、蟲の件が終わったんならもう……。

Naoto

馬鹿を言うな。……友人の妹が誘拐されているんだぞ。 こっちの用がすんだからといって、おとなしく手を引けるか。

Mei

それに輝弥は、一度は天ノ矛坂が預かった人間だ。 御剣機関といえど勝手は許さない。

Mei

家のことは気にするな。私が責任を持って手配する。 感謝しろよ、黒鉄。

Mei
ナオト

一生恩に着るよ。

Naoto

ほう、忘れるなよ、その言葉。

Mei
ナオト

はは……。

Naoto
ナオト

あ、勝手に話、進めちまったけど。 レイたちは、それでいいか?

Naoto
ラーベ

構わないぞ。状況に合わせて、こちらはこちらで行動する。

Raabe
ラーベ

ラケル=アルカードについては、 当事者であるお前の意見を優先させるといい。

Raabe
ナオト

そうか。わかった。

Naoto
ナオト

じゃあ、支度すっか。ひなたにも言っておかねぇとな。

Naoto
シエル

冥さんが天ノ矛坂の家に連絡して、 車を呼んでくださるそうです。

Ciel
ラーベ

そうか。ナオトのほうは、ひなたに事情を説明しているらしい。

Raabe
ラーベ

……今のうちに言っておくぞ。 レイ、ラケルを決して御剣機関に奪われるな。

Raabe
シエル

それは……そのようにするつもりではありますが、 なにか特別な理由があるのですか?

Ciel
ラーベ

ある。観測者の狙いはラケルだ。

Raabe
ラーベ

御剣機関は強引な手を使ってでも、 ラケルの身柄を手に入れたがっている。

Raabe
ラーベ

それはつまり、観測者がラケルの身柄を少なくとも ナオトの手元に置いておきたくないと思っているからだろう。

Raabe
ラーベ

観測者はラケルをナオトから遠ざけたいんだ。

Raabe
ラーベ

だからラケルの魂と肉体の接続を切った。 続いて、身柄を遠ざけようとしている。

Raabe
ラーベ

だからこそ、ラケルを意地でも確保しろ。 観測者が欲しがっているのなら、それを阻止するんだ。

Raabe
シエル

いわゆる『ちょっかい』ですね。観測者の願望通りに 事が運ばないようにする、と。

Ciel
ラーベ

そうなったとき、観測者は無理にでも動く。 自分の願望を押し通そうとするはずだ。

Raabe
ラーベ

それが『誰』なのか、お前が見なくてはならない。

Raabe

1: 観測の力を使って?
2: そうすることで、観測者が見つかる?

1:
2:

ラーベ

そう。それができるのは、お前だけだ。

Raabe
ナオト

悪い、待たせた。ラケルは変わりないか?

Naoto
シエル

はい。眠ったままです。

Ciel
ナオト

そっか……部屋から運び出しても反応なしかよ。 ったく。

Naoto
Es

お待たせしました。手配が整いました。

Es

数分で車が来るはずだ。 二台来るから、分かれて乗るぞ。

Mei
Es

ナオトは、ラケルさんを連れて、冥と一緒に乗ってください。

Es
Es

レイさんとシエルさん、 ラーベさんは、私と一緒に。

Es
シエル

わかりました。

Ciel
シエル

……! 待ってください。

Ciel
Es

はい。私も感知しました。 後方に数名の反応があります。

Es
ラーベ

御剣機関だろうな。 こちらの同行を見張っているのも、当然か。

Raabe

うちまでついてこられるのは、気分が悪いな。 今のうちに片付けておこう。

Mei
ナオト

ああ。あいつらのいいようにさせてやるかよ。

Naoto
Es

ナオトは、そこにいてください。 ラケルさんを抱えていますから。

Es
シエル

対処は私達が行います。距離……計測。 対象を確認、認識。行きます。

Ciel

第11節 襲撃②/ 11. Assault - 2

Summary
天ノ矛坂家。屋敷を案内したEsが「蟲の発

生」「御剣機関の存在」以外の『異変』が、 この世界に生じていると言う。

At the Amanohokosakas' place, Es leads them to a room and speaks of the "appearance of the bugs," "the Mitsurugi Agency," and other "unusual" occurrences in this world.
ナオト

……これでよし、かな。 マジでまったく反応しねぇな。

Naoto
ラーベ

魂との接続が切れているんだ、それはそうだろう。

Raabe

部屋と屋敷の周辺に結界を張ってきた。

Mei

御剣機関相手にどれくらい効果があるかはわからないが、 ないよりはマシだろう。

Mei

寝具も用意してやる。泊まりたければ泊まっていけ。

Mei
ナオト

いいのか?

Naoto

ラケル=アルカードをひとり残して、 世話を丸投げされても迷惑だからな。

Mei
ナオト

ありがとう、助かるよ。

Naoto
シエル

私達もお世話になってもいいでしょうか。

Ciel

ふん。この大人数で何か月も居座るんじゃないぞ。 そこまで面倒見きれんからな。

Mei
シエル

ありがとうございます。 なんでもお手伝いしますので。

Ciel

ほう。それはそれは。期待しておいてやる。

Mei

とりあえず、軽く家の中を案内しよう。 いちいち教えるのも煩わしいから、一回で覚えろよ。

Mei

エス。

Mei
Es

はい。ご案内します。どうぞ。

Es
Es

こちらが浴室。そしてこの先が裏口になります。 ……これで、邸内を一周しました。

Es

1: 案内してくれてありがとう
2: 広いお屋敷だね……

1:
2:

Es

はい。わからないことがありましたら、 いつでも聞いてください。

Es
シエル

……あの。

Ciel
ラーベ

シエル?

Raabe
シエル

エスさんに聞きたいことがあるのですが。

Ciel
Es

はい。なんでしょう?

Es
シエル

エスさんは……素体なのですか?

Ciel
Es

…………。

Es
シエル

緋鏡キイロさんに言っていました。 自分と同じ、エンブリオストレージだと。

Ciel
シエル

エンブリオストレージとは、素体のことですよね。 では、エスさんは……。

Ciel
Es

はい。素体です。

Es
シエル

Ciel
Es

私は人の手によって作られた存在です。 キイロさんと同じく御剣機関によって作成されました。

Es
Es

……シエルさんも、そうですね。

Es
シエル

……はい。

Ciel
Es

『驚き』の反応を感知しました。 私が素体であることが、奇妙ですか?

Es
シエル

いえ、そうではありません。ただ、このような形で自分以外の 素体と時間をすごしたことがなかったので……。

Ciel
シエル

どのような反応が相応しいのか、わからないです。

Ciel
Es

戸惑われているのですか。 私も、少し奇妙な感覚を覚えています。

Es
シエル

まるでここにいるのが当たり前であるかのように、 エスさんは冥さんたちの日常に溶け込んでいました。

Ciel
シエル

でも、人ではなく素体で……そのうえ、『異物』だと聞きました。 そのことに、とても……驚いて。お話を聞いてみたいと……。

Ciel
Es

異物?

Es
シエル

はい。……本来はこの世界に存在しない、この世界が構築される 際に別の世界から紛れ込んでしまった存在のことです。

Ciel
シエル

冥さんが言っていました。自分はこの世界の人間ではない 気がする、と。エスさんもおそらくそうだろうと。

Ciel
シエル

ですから……。

Ciel
Es

それは違います。

Es
シエル

え?

Ciel
Es

私はシエルさんたちの言う『異物』ではありません。 それに、冥も。

Es
ラーベ

待て、それはどういうことだ?

Raabe
ラーベ

冥が感じていた違和感は勘違いだということか? それとも、『異物』が誰なのかお前にはわかるということか?

Raabe
Es

どちらも少しずつ違います。ただ私は、知っているだけです。 天ノ矛坂冥はこの街の住人だということを。

Es
シエル

そうなのですか? ではどうして冥さんは、 ここは自分のいるべき世界ではないと感じたのでしょうか。

Ciel
シエル

蟲のような異変が起こっているからといっても、世界そのもの が違っているように感じるとは、考えにくいのですが。

Ciel
ラーベ

シエルの疑問も、もっともだ。

Raabe
ラーベ

普通、おかしなことが起こっているからといって、 世界に対して違和感を覚えることは稀だろう。

Raabe
ラーベ

ましてや冥は、陰陽師だ。普段から異質なものと 対峙することも多いだろう。それなのに……。

Raabe
ラーベ

……心当たりは?

Raabe
Es

あります。

Es
Es

皆さんがおっしゃるように、この新川浜には 『異変』が生じています。

Es
Es

ですがそれは、蟲の発生でも、御剣機関の存在でもありません。

Es
Es

時間が圧縮されていることです。

Es
ラーベ

時間……そうか。なるほどな。そういうことだったのか。

Raabe

1: よくわからない。どういうこと?
2: なるほど……説明してください

1:
2:

Es

『過去』と『未来』が『現在』という地点に 集約されているのです。

Es
Es

もう少し噛み砕いて説明しますと……例えば、10年間、 20年間の新川浜が、ここに凝縮されている状態です。

Es
Es

ですから、10年前に新川浜にいた人も、10年後に新川浜に いる人も、ここには存在しうるのです。

Es
シエル

でも……それでは、同じ人が何人も存在することに なりませんか? 10年前のその人と、今のその人と。

Ciel
ラーベ

それが、基本的にはならない。なぜなら世界にそいつは ひとりしか存在しない『はず』だからな。

Raabe
ラーベ

まあ、ファントムフィールドのようなイレギュラーだらけの 世界で普通だとか本来だとか語っても不毛ではあるが……

Raabe
ラーベ

通常は、圧縮された時間軸の中の 『どこか』の存在が抽出される。

Raabe
ラーベ

ある個人の情報が、ある時間の一点に集まるような イメージだと……理解できるか?

Raabe

1: わかるような……
2: わからないような……

1:
2:

ラーベ

まあいい。重要なのは、その何十年間に渡る時間軸の中の、 どこかで新川浜に存在したのなら、

Raabe
ラーベ

今この新川浜に存在していても『異物』ではないということだ。

Raabe
ラーベ

天ノ矛坂冥が感じていた世界への違和感は、 世界そのものへの違和感ではなく、

Raabe
ラーベ

自分が存在する時間軸への違和感だったということになる。

Raabe
ラーベ

……いや、断定は危険だな。そういう可能性がある。

Raabe
Es

はい。そして私は、冥が新川浜に存在した人物であることを 知っています。

Es
Es

……それを信用していただくかどうかは、別の問題ですが。

Es
ラーベ

そう、信用だ。我々は冥の発言を信用しすぎていた。

Raabe
ラーベ

私としたことが、世界への違和感を即座に『異物』に繋げるとは 軽率だった。

Raabe
シエル

待ってください、ラーベさん。

Ciel
シエル

冥さんが『異物』でなかったとなると、 なにか問題があるのですか?

Ciel
シエル

そのような口ぶりに感じますが……。

Ciel
ラーベ

あるとも。というか、私たちは一度しっかり情報を 整理する必要があるぞ。

Raabe
ラーベ

エス。一旦話を戻すが、お前は先ほど、 自分は『異物』ではないと言ったな?

Raabe
ラーベ

それはお前も、新川浜に存在したはずの存在だからか?

Raabe
Es

私が新川浜という土地に踏み込む可能性はあります。

Es
ラーベ

曖昧な言い方だな。断定はできないのか?

Raabe
Es

はい。ですが……わかります。

Es
Es

私は、素体です。そして……具体的で鮮明な記憶はありませんが、 おそらく……『蒼』に触れたことがあります。

Es
Es

だからわかるのです。非理論的なことだとはわかっています。 ですが……感じることができます。

Es
Es

私や冥や……ナオトやサヤさんが、この場にちゃんと 繋がっている存在だということが。

Es
ラーベ

確かに、説得力には大いに欠ける証言だな……。 って蒼に触れただと!?

Raabe

1: 蒼?
2: 前にも聞いたような……

1:
2:

Es

先程も言ったとおり『曖昧』な感じでしかありませんが……。

Es
ラーベ

ぬぅ……とても興味はあるが、今は現状の対策が先だ……。

Raabe
ラーベ

だから改めて確認するぞ、エス。

Raabe
ラーベ

お前から見て、私たちがこれまで出会ってきた人物の中で、 明確に『異物』だと断定できる者は誰かいるか?

Raabe
Es

いません。強いてあげるなら、アラクネがそうです。 でもあれは……とても奇妙な存在ですから……判断が難しいです。

Es
ラーベ

そうか、わかった。ありがとう、非常に参考になった。

Raabe
Es

はい。……お役にたてたなら、幸いです。

Es
ラーベ

私たちは少し、今後について相談しなければならない。 少しこの場を借りるぞ。

Raabe
Es

わかりました。よろしければ、こちらのお部屋をお使いください。 客間になっておりますので。

Es
シエル

ありがとうございます。お借りします。

Ciel
Es

では、私は先に失礼します。皆さんが所用で少しの間 席を外すことを、冥に伝えておきます。

Es
ラーベ

さて。さっきも言ったが、一旦情報を整理するぞ。 事態がちょっとばかり変わってきた。

Raabe
シエル

繰り返しの質問になりますが、エスさんや冥さんが 『異物』でないと、なにが問題なのでしょうか?

Ciel
ラーベ

私たちの目的は観測者探しだ。観測者が見つからなければ、 私たちがここにいる意味はない。そうだな?

Raabe
シエル

はい。

Ciel
ラーベ

で? 観測者の条件は?

Raabe
シエル

ドライブ能力者であることと……ファントムフィールド化した 『時間軸』の世界の住人であることです。

Ciel
シエル

あ……『異物』であれば、観測者の候補から外れますが……。

Ciel

1: 『異物』じゃないってことは……
2: 観測者候補になるってことだ

1:
2:

シエル

はい。『異物』だとお聞きした時点で、私などは冥さんや エスさんを観測者の候補から外していましたが……。

Ciel
シエル

エスさんのお話が事実ならば、その前提が なくなることになります。

Ciel
ラーベ

そうか『異物』か、と馬鹿正直に納得していたが、 これで誰も彼もが観測者候補に逆戻りというわけだ。

Raabe
ラーベ

……むしろ、これを機にもっと疑ってかかるべきだな。

Raabe
ラーベ

自分は『異物』だと申告してきた証言も、意識的か無意識的かは 別にして、偽りである可能性を十分考慮しなければならない。

Raabe
ラーベ

もちろん、エスの証言自体も一応疑っておく必要があるが。

Raabe
シエル

となると……困りましたね。観測者を絞り込む手がかりを 失ったことになります。

Ciel
ラーベ

いや、事は前向きに考えるとしよう。

Raabe
ラーベ

クラヴィス=アルカードが使っていた言葉だが、 観測者のシナリオという表現があったな。

Raabe
ラーベ

エスの今の証言も、観測者の描いたシナリオのうちだったと すると、候補者はむしろ絞り込まれたと言える。

Raabe
シエル

そうなのですか?

Ciel
ラーベ

アラクネが倒れ、蟲が消え、 新川浜の街を襲っていた異変は表向き解消された。

Raabe
ラーベ

だが代わりに御剣機関が台頭してきた。 輝弥サヤが捕獲され、ラケル=アルカードが狙われる。

Raabe
ラーベ

ファントムフィールドを形成する観測者の意思を、 ひとつの渦に喩えるとすると……

Raabe
ラーベ

その範囲は確実に狭まり、 かつ深くなってきているだろう?

Raabe
シエル

……物事が、新川浜の街全体から、我々が接触している 人物の周囲に限定されてきている、という意味ですか?

Ciel
ラーベ

その通り。よくできたな。

Raabe
シエル

ありがとうございます。

Ciel
ラーベ

では聞こう。これにより、どんなことが推測される?

Raabe
シエル

…………。 ……わかりません。

Ciel
ラーベ

わからんのかい。 レイ、お前はどうだ?

Raabe
ラーベ

今までのファントムフィールドでのことを思い返して 考えてみろ。単純な話だ。

Raabe

1: 観測者とはすでに出会っている……? この事態の関係者が観測者、とか

1:

ラーベ

そう、賢いぞ。 事態が……いや、言葉を変えよう。

Raabe
ラーベ

事象が収束している現状において、 観測者が部外者なはずがない。

Raabe
ラーベ

すでに観測者のリストアップは完了しているということだ。 そしてそのリストを、先ほどのエスの証言が補完した。

Raabe
シエル

つまり……すでに出会っている人で、かつドライブ能力者、 さらに『異物』でないとされている人ですから……。

Ciel
シエル

ナオトさん、サヤさん、冥さん、エスさん。

Ciel
シエル

御剣機関の緋鏡キイロさん、ヴァルケンハインさん、 レリウスさん、ハザマさん。

Ciel
ラーベ

クラヴィス=アルカード、レイチェル=アルカード。 そしてラケル=アルカード……。

Raabe
ラーベ

だが、『魂』がこの世界と切断されているラケル=アルカードは 除外して良いだろう。

Raabe
シエル

ファントムフィールドは観測者の願望、つまり『魂』を 映し出した世界だからですね。

Ciel
ラーベ

そうだ、それに彼女は観測者にとって、『邪魔者』の様だしな。

Raabe
ラーベ

まぁ一応あたりはつけてある。 でも今、それを私が口にするのは……やめておこう。

Raabe
シエル

なぜですか? わかっているのなら、教えてください。

Ciel
ラーベ

レイに不要な先入観を与えると、それをもとに この世界に余計な干渉をする可能性が出てくるだろ。

Raabe
ラーベ

もし私が間違った推測をしていて、にも関わらず間違った 推測の元でレイが誤った観測者を認識したら、

Raabe
ラーベ

もうとんでもなくややこしくなるじゃないか。

Raabe
シエル

誤った観測者の認識……。

Ciel
シエル

レイさんの意識によって、本来とは違う誰かを 観測者にしてしまうことがあり得るというのですか?

Ciel
ラーベ

その可能性が否定できない以上、 あえて行う必要はないということだ。

Raabe
ラーベ

わざわざ自分の行く先に地雷を埋めるやつがあるか。

Raabe
ラーベ

……誰がなんと言おうと、最終的には誰が観測者なのかは、 レイに見定めてもらわなければならない。

Raabe
ラーベ

レイ。

Raabe
ラーベ

お前はお前の眼で観て、確かめたものを信じろ。 いいな。

Raabe

1: はい、わかりました
2: 責任重大なんですね……

1:
2:

ラーベ

ま、そう堅苦しくなるな。観測者をおびき出す手はある。

Raabe
シエル

その、手についてお聞きしてもいいですか?

Ciel
ラーベ

さっきも話しただろう。ラケル=アルカードだよ。

Raabe
ラーベ

観測者はどうやら彼女の存在がお気に召さないらしい。 昏睡させたうえで、身柄を狙うほどにな。

Raabe
ラーベ

だったら観測者が一番されたくないことはなにか。

Raabe
シエル

……なんでしょう?

Ciel
ラーベ

ラケル=アルカードの覚醒だ。

Raabe
ラーベ

だからなレイ、 そのチャンスがあったら、積極的に狙え。

Raabe
ラーベ

お前のドライブなら、それがラケル=アルカードの魂だと 認識することが可能だろう。

Raabe
ラーベ

彼女が目覚めれば、誰かの顔色が大いに変わるはずだ。

Raabe

1: 了解です!
2: がんばります!

1:
2:

ラーベ

よし。いつまでもここで話していると、ナオトたちが 気にするだろうからな。そろそろ戻ろう。

Raabe
シエル

はい。

Ciel

第11節 襲撃③/ 11. Assault - 3

Summary
深夜。冥の結界を破り、サヤが天ノ矛坂家に

現れる。

Midnight. Saya breaks through Mei's barrier and enters the Amanohokosakas' house.
サヤの攻撃を耐えるナオトたち。そこへ倒し

たはずのアラクネが現れ、ラケルをひと飲み にする。

Naoto and the others hold off Saya's attacks. Arakune, who should have been defeated, appears and swallows Raquel whole.

――夜は冴え冴えと、月は煌々と。

誘う声に導かれて、弧は檻を破るだろう。 笑う蛇に促されて、銀は肉を斬るだろう。

いつかの夜もまた、そうであったように。

黒鉄! レイ! 起きているか!

Mei
ナオト

当たり前だろ。なにがあったんだ。 今……明らかに誰かの悲鳴が聞こえたぞ。

Naoto
シエル

この邸内での悲鳴でした。男性のものが、2名分。

Ciel
ナオト

御剣機関か? ったく、深夜に堂々と乗り込んでくるとはな。

Naoto
Es

……反応を感知しました。ですが、これは……。

Es
シエル

……皆さん、警戒してください。

Ciel
サヤ

……ああ……こちらでしたか。皆さま……お揃いで。

Saya

1: サヤさん……

1:

サヤ

……兄様。

Saya
ナオト

サヤ……お前、どうした……?

Naoto

様子がおかしい。気を付けろ、ナオト。

Mei
ナオト

見りゃわかるよ。

Naoto
サヤ

兄様……兄様……。

Saya
サヤ

……ラケル=アルカードの命、いただきに参りました。

Saya
サヤ

ふっ……。

Saya
ナオト

マジかよ……普通じゃねぇぞ……。

Naoto

……なにをされたのか知らんが、 少なくとも今までの輝弥ではなさそうだ。

Mei
ナオト

御剣機関か……ふざけやがって!

Naoto
サヤ

……シッ!

Saya
Es

強い……!

Es
シエル

確認……確認。 対象の戦闘レベル、上昇を続けています。

Ciel
シエル

これまでの計測をすでにはるかに上回っています。

Ciel
ラーベ

そういえば、アラクネが貯め込んだ生命力を 根こそぎ取り込んだんだったな。

Raabe

Come to think of it, she absorbed all of Arakune's life energy earlier.

ナオト

つまり……絶好調ってことかよ……?

Naoto

So...she's in top form…?

ラーベ

そういうことだな。

Raabe

Yup.

ナオト

くそっ……。おいこら、サヤ! 目ぇ覚ませ!

Naoto

Shit… Come on, Saya! Wake up already!

ラーベ

呼びかけても無駄だ。 輝弥サヤの精神波長に、少しの乱れも見られない。

Raabe

There's no point in calling out to her. Terumi Saya's brain waves aren't distorted in any way.

ナオト

それって……嫌な予感しかしねぇぞ!!

Naoto

So...that doesn't sound good!

ラーベ

うむ、これが輝弥サヤの本性だ。

Raabe

Indeed. This is Terumi Saya's true character.

サヤ

ふふ……さあ、さあ、さあ! もっと殺し合いましょう、兄様!

Saya

Haha...Now, now, now! Let's kill each other, brother!

Es

ナオト、手を抜いて戦って、勝てる状態ではありません。

Es

Naoto, if you hold back, you have no chance of winning.

ナオト

全力だっつーの!!

Naoto

This is me at full strength!!

レリウス

……行け。

Relius

なに……!?

Mei
アラクネ

見つけた……みつけたみつけた、 アーーーーーーーーーーーン……。

Arakune
ラーベ

まさか、アラクネだと!?

Raabe
ナオト

しまった、ラケル!!

Naoto

第12節 矛先①/ 12. At Spearpoint - 1

Summary
ラケルがアラクネに飲まれたことでライフリ

ンクが切れ、腕と足を失うナオト。現れたレ イチェルの助力を受け、アラクネに組み付く。

Now that Arakune has swallowed Raquel, Naoto's Life Link with her is cut off and he loses his arm and his leg. Rachel appears, and with her help, they wrestle with Arakune
アラクネ

……ごくん。

Arakune
ナオト

ラケル!!

Naoto
シエル

ラケルさんが……アラクネさんに…… 食べられてしまいました……。

Ciel
アラクネ

ンンンン…… 手に入れた……手に入れた、手に入れタ!

Arakune

Mmmmm….I have obtained it....I have obtained it, I have obtained it!

アラクネ

蒼だ! 無限の英知甘美なる深淵、 揺蕩う漆黒の浜辺へと至る門の鍵……!

Arakune

The Azure! The key to the gate of that swaying, pitch-black shore, the sweet abyss, infinite wisdom…!

ナオト

ふ……ふざけんな! ラケルを返しやがれ!!

Naoto
Es

ナオト! いけません!

Es
ナオト

――っ!

Naoto

黒鉄……!

Mei
ナオト

う、ぐ……あ、あぁぁぁぁ……っ! 足、が……!

Naoto
アラクネ

ケケケケケケ! 溢れる……煮える、沸き立つ、 我が臓腑から込み上げる無限の蒼! 無限の力!

Arakune
ラーベ

……サヤがアラクネから生命力を吸収したのと、 同じだな。

Raabe
ラーベ

ラケル=アルカードの力を飲み込んで、奴の力が 尋常じゃない速度で増幅……いや、膨張している。

Raabe

It eats Raquel's power, and its own power is rapidly amplified...no, it expands.

シエル

でも、どうしてアラクネさんが……。サヤさんによって、 生命力を全て奪われ、消滅したはずです。

Ciel

But, why is Arakune even…. Earlier, Saya stole all of its life force and it should have perished.

レリウス

……一度『観』た物だ。不思議はないだろ。

Relius

...It was Seen once. Nothing strange about it.

レリウス……まさか貴様がアラクネを……?

Mei

Relius...Don't tell me Arakune was your doing…?

レリウス

再生させただけだよ、断片を採取できたのでな。

Relius

It's only been revived from some fragments I gathered.

レリウス

……奴の体を構成しているものは、ほとんどが魔素だ。 構造さえわかれば、組み直すだけでいい。

Relius

...Its body is composed almost entirely of seithr. As long as you know how to make it, you only need to recreate its form.

レリウス

といっても……ふむ……。まだ改善の余地はありそうだな……。

Relius

Although...hm...there's still room for improvement….

ヴァルケンハイン

……チッ。あんな化け物を使わずとも、さっさと 奴等を『殺しきって』しまえばいいだろうが……。

'Valkenhayn
レリウス

それではただの殺戮だ。

Relius
ヴァルケンハイン

貴様のやっていることは、生命への冒涜だろ!

'Valkenhayn
レリウス

……個人的な道徳観を押しつけるものではないな。

Relius
アラクネ

キキ、き、ききききいひひひひひひひ。

Arakune
ナオト

……ぐぅっ……つ、造り直しただと……? ったく……どっちが化け物だよ……!

Naoto
アラクネ

オオオ喰らう、全て喰らうぞ……オマエも、 オマエもオマエもオマエもぜーんぶいただきまぁす。

Arakune
ナオト

う、るせぇ……足の一本が、なんだ…… んのくらい、すぐに再生して……、っ!?

Naoto

Shut...up...just one leg will regenerate in no time…?!

ナオト

なんで、だよ! なんで治らない!?

Naoto

Wait, what? Why isn't it healing!?

レリウス

……コレ (アラクネ) の体内は一種の異次元だ。 そこにラケル=アルカードが取り込まれたことで、

Relius

...Inside that thing (Arakune) is a kind of alternate dimension, which Raquel Alucard has been taken into.

レリウス

貴様とラケル=アルカードの間に結ばれていた繋がりは…… 断たれたのだよ。

Relius

The connection that binds you and Raquel Alucard together...has been severed.

ラーベ

ライフリンクが切れたのか! ……待てよ。なら、今の黒鉄ナオトは……!?

Raabe

So the Life Link has been cut! ...But wait. Then, what about Naoto…!?

ナオト

なっ……!? う……腕が……!?

Naoto

Wh--!? ...M-my arm…!?

ラーベ

クソッ……ラケル=アルカードとの繋がりが無ければ、 その形を保つことが出来なくなるのは当然か……

Raabe

Shit...Of course it wouldn't be able to keep its form if his connection to Raquel is gone.

シエル

ナオトさんの右腕は、ラケルさんの力で作られたもの……。 ライフリンクが切れたことで、その腕も機能を失ったのですね。

Ciel
レリウス

……ふむ。模造品とはいえ、 機能は問題なく稼働しているようだな。

Relius
ナオト

く……そ……! テメェら、他人事みてぇに 涼しい顔して解説してんじゃねぇよ!!!

Naoto
レリウス

……親切心から、忠告してやるが…… あまり暴れないほうが身のためだぞ。

Relius
ヴァルケンハイン

吸血鬼の力を失った貴様なぞ、 ただの死にぞこないだ……つまらん。

'Valkenhayn
レリウス

ふむ……。つまりただの……『餌』だ。

Relius
ナオト

んだと……テメェら……!

Naoto

やめろ黒鉄、大人しくしていろ! すぐにこいつらを片付けて、手当てを……!

Mei
Es

駄目、逃げてください、ナオト!

Es
ナオト

あっ……や、やべぇ……。

Naoto
アラクネ

あーーーーーーーーーーーーーん……。

Arakune
アラクネ

ギャァァ!?

Arakune
ナオト

!? 風……?

Naoto
レイチェル

無様ね。こんな出来損ないに弄ばれるなんて。

Rachel
ナオト

た……助かったぜ、ありがとよ。 レイ、悪いがそっちは任せる!

Naoto

1: どうするつもり?
2: 任された!?

1:
2:

ナオト

う、ぐ、おぉぉ……ぅ、足、なら…… もう一本あんだよ!

Naoto
ラーベ

おい、まさかその状態で戦うつもりか? 無茶だ。

Raabe
ナオト

このコールタール野郎がぁ! ラケルを返してもらうぞ!!!

Naoto
アラクネ

グゲゲゲ!?

Arakune
アラクネ

飛んできた、トンデきた、ケケ、 羽虫が安息の消化器官を求めて猛る焔へ身を投げる……。

Arakune
レリウス

ほう。……自ら喰われるか……面白い。

Relius
ナオト

食えるもんなら食ってみやがれ! その前に、てめぇの腹ん中からラケルを引きずり出す!

Naoto
ナオト

おらぁぁぁっ!

Naoto
アラクネ

グゲ……ッ!? あががががが放せ離せハナセ!!

Arakune
アラクネ

風が……風が阻む、 我の爪、牙、アアア届かないぃぃ!

Arakune
レイチェル

馬鹿ね、捨て身の救出だなんて。 でも……そういう馬鹿は、嫌いではなくてよ。

Rachel
レイチェル

だから少しだけ、手伝ってあげるわ。

Rachel
サヤ

レイチェル……アルカード……。 お前も……吸血鬼……邪魔者……。

Saya
サヤ

でも力を……手に入れなければ……余りある、力を……。

Saya
レイチェル

っ!

Rachel
シエル

させません。今、レイチェルさんを攻撃されれば、 ナオトさんがアラクネさんに……食べられてしまいます。

Ciel

全員、レイチェル=アルカードへの攻撃を防ぎつつ、 黒鉄を援護しろ!

Mei
Es

了解しました、冥。

Es

第12節 矛先②/ 12. At Spearpoint - 2

Summary
アラクネに組み付くナオトたち。ラーベの一

言に従いアラクネの中へ入ると、そこは…。

Naoto and Rei grapple with Arakune. Following Raabe's instructions, they enter Arakune, where…
ラケルを観測しようとするが上手く観測でき

ない。「ラケル」ではなく「ラケルを知る人」 を観ろというクラヴィスの助言に従う。

Rei tries to Observe Raquel but can't seem to do it well. Following Clavis' advice, Rei then Observes "someone who knows Raquel" rather than "Raquel" herself.
サヤ

あう……!

Saya
レリウス

ふむ……これくらいはやるか。

Relius

黒鉄、無事か!?

Mei
ナオト

もう……ちょっと……届かねぇ……っ!

Naoto

1: ナオト、加勢するよ!
2: 支えてるから、手を伸ばして

1:
2:

ナオト

レイ……!

Naoto
Es

ナオト、レイさん。 それ以上は危険です。戻ってください!

Es
ラーベ

……いや。これはチャンスか……。

Raabe
ラーベ

ナオト、レイ! そのままアラクネの中に飛び込め!

Raabe

Naoto, Rei! Jump into Arakune, just like that!

飛び込む!? 正気か!?

Mei

Jump in!? Are you crazy!?

ラーベ

無論、正気だとも。 お前たちも解るよな、ナオト、レイ。

Raabe

Of course, I'm completely sane. You know what I mean, right, Naoto, Rei?

1: はい!
2: ナオト、思い出して!!

1: Yes!
2: Naoto, remember!?

ナオト

そうか……アラクネ……! わかった、行ってくる!

Naoto

I get it...Arakune...! Alright, let's go!

アラクネ

オオオオオオォオオォ! イヤダイヤダイヤダ!! 蒼だアオだ蒼はワレのものだ!

Arakune

Oooooooooooooooo! No no no no! The Azure the azure the Azure is mine!

アラクネ

憤怒憤怒憤怒憤怒憎悪憎悪憎悪憎悪!!

Arakune

Ragerageragerageragehatehatehatehatehate

アラクネ

満ちたりぬ空虚なる胎底に満たす安寧を奪う者に 罪深き痛みをぉぉ!

Arakune

Suffering to the sinner who would rob the tranquility that will fill the gaping void of the womb!

ラーベ

レイチェル、今だ、アラクネの口を閉じさせろ!

Raabe
レイチェル

無茶なことをさせるのね。……いいわ。 放すわよ!

Rachel
シエル

レイさん!

Ciel

…………。 ……………………。

...

――探して。

...Search for….

そして私を。

...and...me…

見つけて。

...Find me….

…………。 ……………………。

.... ... ....

1: ここは……?
2: うまく……いった?

1: So, where is this...?
2: Did it work...?

ナオト

う……あ? な、なんだ、ここ? 綺麗だけど、薄ら寒いような……。

Naoto

Uh...huh? W-what's with this place? It's pretty, but weirdly cold….

ナオト

そうだ! アラクネの中に飛び込んだんだ。 ……って、レイ大丈夫か?

Naoto

Right! We jumped inside Arakune. Rei, you alright?

ナオト

お前までついて来る必要無かったのに……。

Naoto

You didn't have to come with me, you know….

クラヴィス

いや、必要だよ。

Clavis

No, it was necessary.

ナオト

!? 

Naoto ?
クラヴィス

黒鉄ナオト、君一人でこの『場』に存在するのは 難しいと言うことだよ。

Clavis

Kurogane Naoto, I'm saying it would be difficult for you to "exist" here by yourself.

クラヴィス

しかし、よどみなく存在を保っていられるとは、 さすがだねレイ。

Clavis

Still, to be able to protect your existences without faltering...I expected no less from you, Rei.

1: ど……どうも……
2: 自覚はありませんが……

1: T-thank you….
2: 'I'm not doing it consciously...

ナオト

……クラヴィス=アルカード。

Naoto

Clavis Alucard….

ナオト

なんで、あんたが……アラクネの中にいるんだ?

Naoto

Why are you here...inside Arakune?

クラヴィス

少し気になってね……それにここはアラクネの内部ではあるが、 アラクネの体内ではないよ。

Clavis

Curiosity got the better of me...Additionally, this place is within Arakune, but not within Arakune's body.

クラヴィス

わかっていて、自ら飛び込んだのだろう?

Clavis

You came here yourselves knowing that, did you not?

ナオト

じゃあ……ここが…… 『境界』ってやつか?

Naoto

So...that makes this the... "Boundary?"

クラヴィス

そうだよ。 ……正確には、『境界』に仮に設けられた『場』だがね。

Clavis

That's correct. ...To be precise, it's a "place" that is mimicking the Boundary.

ナオト

何でもいいよ。それよりラケルだ!! ここに居るんだろ!?

Naoto

Sure, whatever! Anyways, where's Raquel?!! She's here, right!?

クラヴィス

居るよ。……正確にはまだ『居ない』が。

Clavis

She's here. Although she still does "not exist" here yet.

ナオト

はぁ? どういうことだよ? だってアラクネに飲み込まれて……。

Naoto

Huh!? What's that mean? She was swallowed up by Arakune, right?

クラヴィス

何かが『存在』するには、それが『存在』していると 認識される必要がある。

Clavis

For something to "exist," it must first be recognized to "exist."

クラヴィス

だからラケルが、その魂が『此処』に存在していると、 認識してもらわなければならない。……わかるかね?

Clavis

That's why for Raquel, for her soul to exist "here," it must be recognized to be here. ...Do you understand now?

ナオト

わかんねえって! つまりラケルはどこにいるんだよ?

Naoto

No, I don't! So where is Raquel!?

クラヴィス

すぐ近くだ。なにせ、君が『此処』に現れたのだからね。 ……ライフリンクが、彼女の居場所を教えてくれるだろう。

Clavis

Right nearby. You have "appeared" here, after all....Your Life Link tells you where she is, does it not?

ナオト

教えてくれるって……どうやって!?

Naoto

It tells me? ...How!?

クラヴィス

『想い』だよ、黒鉄ナオト。 君だけがラケルと繋がっているのだから。

Clavis

"Remember" her, Kurogane Naoto. You are the only one connected to Raquel Alucard, after all.

クラヴィス

まぁその想いが、あの世界を生み出したのかな……。

Clavis

Although, those memories did bring about that world….

1: え?
2: 今なんて?

1: Eh?
2: What did you just say?

クラヴィス

……おっと、それより客が来たようだ。

Clavis

...Dear me, it looks like we have some guests.

ナオト

な、なんだこいつら!?

Naoto

Wh-what's with these guys!?

クラヴィス

ここは境界でもあるが、アラクネの内部でもある。

Clavis

This place is at once the Boundary as well as within Arakune.

クラヴィス

つまり過剰に魔素が集まっていてね。 そういうものが余計な形を得ることもある。

Clavis

In other words, an excessive amount of seithr gathers here. Occasionally, this gives rise to extraneous forms.

ナオト

つまり、ラケルを探すには こいつらをぶっ飛ばす必要があるってことだな?

Naoto

So to find Raquel I just have to beat these guys up?

クラヴィス

そうだ。君の思考は明快で気持ちがいい。

Clavis

That is correct. It's pleasing to see your thoughts are so clear.

ナオト

そりゃどーも。

Naoto

Well, thanks.

クラヴィス

すまないが、私は手を貸せない。ここで私が力を使えば、 『場』にどんな影響を及ぼすかわからないのでね。

Clavis

I apologize, but I will not be able to help. If I were to use my power here, I don't know how it will affect this "place."

ナオト

自分の身は自分で守れってことか。 アルカード家はスパルタだな。

Naoto
ナオト

いいぜ、かかってこいよ真っ黒野郎ども! 相手になってやる!

Naoto
ナオト

行くぜ、レイ!

Naoto
...Most likely.
ナオト

ふぅ……やつらは倒したぞ。 で、どうやって探せば良いんだよ?

Naoto

Ha...Great, we've defeated them. So, how do we go about searching?

クラヴィス

ふむ。ところで何をそんなに焦っているのかね?

Clavis

Hm. By the way, why are you in such a hurry?

ナオト

焦るって……当たり前だろ!!

Naoto

Well...of course I'm in a hurry!!

ナオト

俺たちがこうしてることを、外にいる冥たちは知らない。 俺たちはアラクネに食われっぱなしになってる。

Naoto

The guys outside have no idea what we're doing in here! To them, we've just been eaten by Arakune!

ナオト

こうしてる間にも、あいつらは、俺たちを助けようと 戦ってるかもしれないじゃねぇか。

Naoto

The whole time we're here, they might be fighting to save us.

クラヴィス

なるほど。では、その心配は必要ない。

Clavis

I see. Then, there's no need to worry.

ナオト

なんでだよ。 俺たちがここにいる間、時間は止まってるってか?

Naoto

Why the heck would that be? Time's stopped while we're in here?

クラヴィス

おや。察しがいいね。

Clavis

My. Very good intuition.

ナオト

へ? ……マジかよ。

Naoto

Huh? ...Seriously?

クラヴィス

より正確に言うならば、あちらの時間が止まっているの ではなく、こちらの時間が別方向に進んでいるのだよ。

Clavis

To be more precise, it isn't that time outside has stopped, but that the time in here moves in a different direction.

クラヴィス

まぁ意味を理解する必要はない。今の君たちに必要なのは、 この先に……ここに。ラケルの魂があるという事実だけだ。

Clavis

You don't need to understand what that means. What matters to you...is the truth that Raquel's soul will be here.

クラヴィス

それよりもこの『場』がいつまで保てるかの方が心配だよ。

Clavis

I am more concerned with the preservation of this "place."

クラヴィス

先程の敵だって無尽蔵に湧いてくるし、『場』の構築も かなり無理をしているからね。

Clavis

Those creatures from before have been appearing nonstop, and no doubt puts a strain on the construction of this "place."

1: やっぱり時間は無いって事ですね!
2: つまり心配の必要ありです!

1: So we don't have time after all!
2: So we do need to worry!

ナオト

ったく……。どうして吸血鬼の奴らは こんなにも時間に対して適当なんだよ……。

Naoto
クラヴィス

とにかく黒鉄ナオト、集中したまえ。 そして『想』いなさい、我が娘を、ラケル=アルカードを……。

Clavis
クラヴィス

君だけなんだよ、彼女の魂を描けるのは。

Clavis
ナオト

あ、あぁ……。

Naoto
ナオト

(ラケル………………)

Naoto
クラヴィス

どうかなレイ?

Clavis

How is it, Rei?

1: え?
2: だ……誰?

1: Hm?
2: W-who?

クラヴィス

……よかった。君には見えるようだね。

Clavis

...Thank goodness. You can see, it seems.

ナオト

見えるって、なにがだ? レイ。そこになにかあるのか!?

Naoto

See what? Rei, is something there!?

1: わ、わからないよ……
2: 光……なんだけど……

1: I-I don't know….
2: It's too bright….

クラヴィス

そうだねレイ。 君はラケル=アルカードを知らない。

Clavis

Of course. Rei, you don't know Raquel Alucard.

クラヴィス

だから君の力でも彼女の観測は不可能だ……。

Clavis

So even with your power, Observing her is impossible.

クラヴィス

でもね、君はラケル=アルカードを誰よりも知っている 人物は知っている筈だよ。

Clavis

Still, you should know someone who knows her better than anyone else.

クラヴィス

その『彼』を、『想』いを、観測 () てあげてほしい。

Clavis

Please try Seeing "him"...and those "memories."

1: 黒鉄ナオトの……想い

1: Naoto Kurogane's...memories.

ナオト

ラ……ラケル!

Naoto
ラケル

……ナオト? どうして……いえ、どうやってここに……?

Raquel
ナオト

どうしてって……いや、詳しい話をすると、 ややこしいし、長くなるけど……

Naoto
ナオト

やっと見つけたぜ……お前を。

Naoto
ラケル

そう……ね……。

Raquel
ナオト

全く……探してたんだぞ、ずっと、ずっと! 『私を見つけて』って、夢ん中で何度も言いやがって!

Naoto
ナオト

だいたい、見つけろって、どうやって見つけろってんだよ! いつもいつも曖昧な話ばっかしやがって!!

Naoto
ナオト

ったく……ヒントくらい言いやがれ……。

Naoto
ラケル

でも、見つけてくれたわ。

Raquel
ナオト

……いや、俺じゃねぇよ。レイのおかげだ。 俺一人じゃどうすりゃ良いか、わかんなかったし……。

Naoto
ラケル

それでも、見つけてくれたのは貴方よ、ナオト。

Raquel

1: そうだね
2: ナオトはがんばったよ

1:
2:

ラケル

……あなたが……レイね。

Raquel

1: はい
2: は、はじめまして……

1:
2:

ラケル

そのドライブ……観測の力……なるほど……

Raquel
ラケル

とりあえず礼を言うわ。ありがとう。

Raquel
ナオト

へぇ……。

Naoto
ラケル

……なによ。物言いたげな顔ね。

Raquel
ナオト

いや……お前がそんなに素直に礼を言うなんて 珍しくてな。

Naoto
ナオト

それよりさ、こんな場所だから しょうがねぇのかもしれねぇけど……。

Naoto
ナオト

なんとかならなかったのかよ、その格好?

Naoto
ラケル

…………。 ……なにかおかしい?

Raquel
ナオト

あぁもう、突っ込むのもめんどくせぇが…… おかしいわ!!

Naoto
ナオト

……はぁ。まぁいいや、それよりも……。

Naoto
ラケル

……お父様。

Raquel
クラヴィス

久しいね、ラケル。元気そうで何よりだ……。

Clavis
クラヴィス

それに……良き供も得たようだ……。

Clavis
ラケル

はい……最高の友です。

Raquel
クラヴィス

さて、レイ。

Clavis

Now then, Rei.

クラヴィス

君が我が娘の存在を認識したことで、 ラケルは『あの世界』でも居場所を得られるだろう。

Clavis

By recognizing my daughter, she will be able to obtain a place in "that world" as well.

クラヴィス

君という針がラケルと世界の間に糸を通したのだ。 あとは戻って、世界とラケルとを繋ぐ必要がある。

Clavis

You are the needle that draws the thread between Raquel and the world. After you return, Raquel will need to be connected to the world.

クラヴィス

なに、簡単だよ。ここに居るラケルを、あの世界で 同じ存在だと認識するだけでいい。

Clavis

It's a simple affair. You only need to recognize that the Raquel here is the same existence as the one there.

ナオト

そうすれば……ラケルは目を覚ますんだな!?

Naoto

If you do that...Raquel will wake up!?

クラヴィス

……おそらくは。

Clavis
ナオト

おそらくって……。

Naoto

"Most likely," huh….

クラヴィス

経験はないのでね。いやはや、 これだけ生き長らえていても、初体験はあるものだな。

Clavis

I have no experience with this, after all. But to think there would still be a first for someone as long-lived as me.

ラケル

フフフ……頼んだわよ、ナオト、レイ。

Raquel

Hee hee... I'll be counting on you, Naoto, Rei.

ナオト

笑ってる場合かよアンタら……。 ……でも、そうとわかれば早く戻ろぜ、レイ。

Naoto
ナオト

ラケルを早く目覚めさせて、そんであいつらと さっさと合流してやらねぇとな。

Naoto
ナオト

それから……サヤのことも、なんとかしねぇと。

Naoto

And...we've still got to do something about Saya.

クラヴィス

そうだね。君たちでの解決を願うよ。 私は特に君の妹君には、近づきたくないのでね。

Clavis

That's right. I'll be praying for your success. I would rather not approach that younger sister of yours.

ナオト

サヤに? なんでだ?

Naoto

Saya? Why?

クラヴィス

彼女は『ソウルイーター』のドライブ能力者だからだよ。

Clavis

She has the Drive "Soul Eater."

ナオト

あぁ、サヤのドライブか……。

Naoto

Oh, her Drive….

ナオト

アレには俺もひどい目に遭ったからなぁ…… ガキの頃なんか、マジで死ぬかと思ったし……。

Naoto

I had a bad experience with it once, back when I was little. I totally thought I was gonna die.

ナオト

でもさ、あんた程の奴が警戒するくらいヤベェモノなのか?

Naoto

But someone like you doesn't need to be worried about it, right?

クラヴィス

……なるほど。 君は『ソウルイーター』の真の姿を知らないようだな。

Clavis

...I see. You are unaware of the true nature of "Soul Eater."

クラヴィス

発動すれば、周囲の命を根こそぎ吸い尽くす、 最悪にして最凶のドライブ。というのが、私の印象だよ。

Clavis

When activated, it absorbs life from its surroundings, and is at once the most evil Drive and the most unfortunate. That is my impression of it.

クラヴィス

それに、あのドライブと私の相性は最悪なんだ。 ……以前、私も酷い目に……。

Clavis

My compatibility with it is the worst....I also had a bad experience...

クラヴィス

いや、酷い事が起きた……と、言うべきかな。

Clavis

No, I should say...it was a horrifying experience.

ナオト

以前もって……。あんた、ソウルイーターと……。

Naoto

So, before...you...and Soul Eater have…

クラヴィス

あぁ、戦った事があるよ。だから言える事なんだが……。

Clavis

Yes, we've fought. So, I'll say this…

クラヴィス

黒鉄ナオト、君なら見えるよね、私の生命力が。

Clavis

Kurogane Naoto, you should be able to see my life force.

ナオト

あぁ……ヤベェって事が解るくらいだけどな……。

Naoto

Yeah, only enough to know it's a crazy amount though.

1: やばいってどれくらい?
2: 全く見えないので解説お願いします!

1: Crazy, as in how crazy?
2: I can't see it at all, so please explain!

ナオト

えぇ?? 俺がか!? え、えぇと………。

Naoto

You want me to explain!? Uh, well….

ラケル

お父様は、人々の意思……『願望』から産まれた 『幻想生物』と呼ばれる、その中でも最強と云われる存在よ。

Raquel

Father was born from people's thoughts...their "wishes," as an Imaginary Creature. Among them, he is the strongest.

ラケル

つまりね、お父様は不死身ではない。 人が、人間が存在する限り……『不滅』なの。

Raquel

In other words, Father is not undying. As long as people, as long as humanity exists, he is "immortal."

ラケル

だから『命』に対しての定義が 他の生命体と根本的に違うけど……。

Raquel

So what composes his "life" is fundamentally different from other living creatures' lives, but….

ラケル

お父様の『命』はある意味、無尽蔵と言っていいわ。

Raquel

You can say Father's "life" is, in a sense, inexhaustible.

ラケル

そんな命を、あのソウルイーターが 本気で吸い尽くそうとしたら……

Raquel

If Soul Eater were to make a serious attempt at absorbing that life…

ラケル

街の一つくらいなら軽く消えるわよ……あらゆる生命体がね。

Raquel

At least one city would disappear...or, all kinds of life within it.

ナオト

想像したくねぇ……。

Naoto

I don't even want to imagine that….

クラヴィス

理解できたのならソウルイーターには気を付けなさい。 あれは……自身すらも喰らい尽くす悪食だ。

Clavis

Now that you understand, be careful around Soul Eater. It...is so gluttonous it even devours itself.

ナオト

自身も……ね。

Naoto

Even...itself.

ナオト

とにかくだ、サヤの目を覚まさせねぇと。 早く俺たちを戻してくれ。

Naoto

Anyway, we need to get Saya back to her senses. Let's return quickly.

クラヴィス

……………。

Clavis

....

ラケル

……………。

Raquel

....

1: ……………
2: ……誰に言ったの?

1: ....
2: ...Who was that directed at?

ナオト

……え? って、この場合あんただろ、クラヴィスさん!

Naoto

...Huh? Well, in this case, it's your turn, Mr. Clavis!

クラヴィス

私かね? でもどうやって?

Clavis

Oh, mine? How so?

ナオト

……は?

Naoto

...Huh?

ナオト

え、は!? 戻せねぇの!?

Naoto

Wh- huh!? You mean we can't get back!?

クラヴィス

私は、境界に飛び込んだ君を辿ってここまで来ただけだ。 ここへ招いたわけではないよ。

Clavis

I simply followed you when you jumped into the Boundary. I was not invited here.

クラヴィス

君たちは君たちの道順で、ここにたどり着いた。 それを解消する術を私が持っていなくても、不思議はあるまい。

Clavis

You reached this place through your own methods. That I would not be able to undo that is not strange in itself.

ラケル

あら……大変……。

Raquel

My...what a predicament.

ナオト

いや、ちょっと待て、そりゃ言ってることはもっともだけど…… じゃあどうすんだよ!?

Naoto

Well, I mean, you're right, but... what do we do, then!?

ナオト

つかラケル、お前他人事すぎ!!

Naoto

And Raquel! You're way too detached about all this!

クラヴィス

ふむ、先ほどからどうすべきか思案していたのだけれど…… 良きタイミングで迎えが来たようだ。

Clavis

Hm. I have been considering what to do, but it seems they have come to get you, and at a good time.

クラヴィス

よく見てごらん、レイ。 君が『認識』すれば、それは『存在』できる。

Clavis

Take a close look, Rei. If you can "recognize" it, it will "exist."

???

……て、くださ……。

???

...hand...please.

1: あれは……
2: エス!

1: That's....
2: Es!

Es

手を、伸ばしてください! ナオトさん、レイさん!

Es

Take my hand, please! Rei, Naoto!

第12節 矛先③/ 12. At Spearpoint - 3

Summary
Esによりアラクネの中から救出されるナオ

トたち。去ろうとするレイチェルを、現れた キイロが妨害する。

Naoto, Rei, and Raquel are saved from within Arakune by Es. Rachel plans to leave, but is blocked by Kiiro.
シエル

レイさん! 反応、検索……反応、ありません。

Ciel
シエル

ラーベさん……ナオトさんとレイさんが、 アラクネさんに飲み込まれてしまいました……!

Ciel
ラーベ

見ればわかる。

Raabe
シエル

レイさんを救出します! ラーベさん、アラクネさんの体内に侵入する許可を!

Ciel
ラーベ

まぁ待て……と、言いたいが。少し興味はあるな。

Raabe

ば……馬鹿者! お前たちまで喰われたら、 まるで意味がないだろうが!

Mei
アラクネ

ゥケケケケケケケ、食らう食らう満たされる、 蒼の臨界に溶けて我が肉を得よ際限なく知を注げ!

Arakune
Es

どいてください、冥!

Es

エス? おい待て、なにをするつもりだ! お前まで飲み込まれるぞ!

Mei
Es

では飲み込まれないよう、アラクネを抑えていてください。

Es
レイチェル

無茶を言うわね……!

Rachel
アラクネ

ギィィィィィィ風ガガガ……!

Arakune
Es

はぁっ!

Es
アラクネ

グァ、ギャアァァァァァァ!?

Arakune
Es

このまま……奥に! 手を……伸ばしてください……。

Es
ラーベ

アラクネの体は魔素の集合体……その内部は…… やはり予想通りだな。シエル、エスを手伝え。

Raabe
シエル

了解です!

Ciel
レリウス

……ほう。これは興味深い。

Relius
Es

くっ……もう少し……。手を伸ばしてください、 ナオトさん、レイさん!

Es
シエル

レイさん!

Ciel
ナオト

うわ、った、うべっ。

Naoto

黒鉄! しっかりしろ!

Mei
ナオト

う、るせ……生きてる、よ。

Naoto

ふ。確かに、口だけは元気そうだ。

Mei
ナオト

それより、こいつを……頼む……。

Naoto

ラケル=アルカード……! アラクネの中から取り戻したのか!?

Mei
ナオト

へへ……とうぜん……だろ……。

Naoto

1: 心配かけてごめん、シエル
2: 助けてくれてありがとう、エス

1:
2:

シエル

いえ。力及ばず、申し訳ありません。

Ciel
Es

お手伝いができて、よかったです。

Es
Es

見てください。アラクネが。

Es
アラクネ

ア……ガ、ガ……蒼……アオ…… オォ…………。

Arakune
レリウス

……この程度で、存在が保てなくなったか。 ……存外に脆いな。

Relius
ヴァルケンハイン

所詮は即製のまがい物ということではないのか。

'Valkenhayn
レリウス

それなりの作だったのだがな……残念だ。

Relius
ヴァルケンハイン

思ってもいないことを言うな。

'Valkenhayn
レイチェル

……あの子が戻ったようね。 なら、私の出演はここまでかしら……。

Rachel
レイチェル

っ!?

Rachel
キイロ

どこへ行くつもりなのかしら? アルカードのお姫様。

Kiiro
キイロ

この場からは逃がさないわよ……誰一人ね。

Kiiro
レイチェル

……ムラクモユニット。

Rachel
ナオト

キイ、ロ……てめぇ、なにしに……来やがった……。

Naoto
キイロ

あら、ナオトくん、ひどい怪我じゃない! もぉ〜、一体誰にやられたの? 可哀想〜。

Kiiro
ナオト

ふざけんな! もとはと言えば、てめぇのせいだろがっ!!

Naoto
キイロ

私のせい!? 大変! だったら、責任取らないと。

Kiiro
キイロ

安心して、ナオトくん。ここが片付いたら、すぐに手当て してあげるから。もちろん、手も足も、新しいモノを用意するわ。

Kiiro
キイロ

だから……もうちょっと、我慢してね。

Kiiro
キイロ

ふふっ…… あなたもアルカードのお姫様なんでしょう?

Kiiro
キイロ

なら遠慮しないでいいのよ、 またじっくりと解体してあげるから……。

Kiiro
レイチェル

くっ……。

Rachel
シエル

レイチェルさんが集中的に攻撃を受けています。 援護しますか?

Ciel
ラーベ

…………。

Raabe
シエル

ラーベさん?

Ciel

シエル、あまり戦力を分散させてくれるな!

Mei

こっちには意識不明の吸血鬼と、 立てもしない役立たずがいるんだぞ!

Mei
ナオト

ひでぇ言われようだな!!

Naoto

それに私らだけじゃ、あの二人はキツすぎる、 奴らだって十分化け物だって事を忘れるな!!

Mei
ラーベ

……シエル、お前はラケルの護衛を最優先しろ。

Raabe
シエル

了解しました。

Ciel
レイチェル

……わからないわね。あなたが狙っているのは、 ラケル (あの子) でしょう? 私を狙う必要があって?

Rachel

...I fail to understand. Your target is Raquel (that child) , isn't she? Then why attack me?

キイロ

気付いてないとでも思っているの? それに私たちが狙っている のは『ラケル』でも『レイチェル』でもないわ。

Kiiro

Did you think we wouldn't notice? And our target isn't "Raquel", nor is it "Rachel."

キイロ

クラヴィス=アルカードよ。

Kiiro

It's Clavis Alucard.

レイチェル

お父様?

Rachel

Father!?

キイロ

そう、御剣機関の悲願。 幻想生物クラヴィス=アルカードの討伐。

Kiiro

That's right. The Mitsurugi Agency's most ardent desire...is Clavis Alucard's suppression.

キイロ

それを成すために、輝弥サヤだろうが、 あなたたちアルカードの吸血鬼だろうが何でも使うわ。

Kiiro

To achieve that, we'll use whatever we can get our hands on...be that Saya Terumi, or you vampires of the Alucards.

ラーベ

……なるほど、 それが御剣機関……いや『緋鏡キイロ』の目指すところか。

Raabe

I see...So that's what the Mitsurugi Agency...what "Hikagami Kiiro" is aiming for.

キイロ

あら、自立思考型ユニットじゃない。 そうよ、そしてそれは順調に進行し、もうすぐ達成される。

Kiiro

My, if it isn't the Independent Thought Unit. That's right. Plans are moving along smoothly and we're almost done.

レイチェル

本気でお父様を殺せるとでも思っているのなら、 おめでたい頭ね。

Rachel

If you truly think you can kill Father, you think too highly of yourselves.

キイロ

『殺す』? ……フフフッ、乱暴ね。 あなたの方がおめでたいんじゃないの?

Kiiro

Kill him? ...Hehehe, how violent. Aren't you the one who thinks too highly of yourself?

キイロ

でもそうね、確かに……クラヴィス=アルカードは強敵よ。

Kiiro

But it's true...Clavis Alucard is formidable.

キイロ

ならどうするの? ただただ強い…… そう、冗談としか思えないほどの強さを誇る化け物に……

Kiiro

So what do we do? Against a foe who has overwhelming, brute strength...an unimaginably powerful monster....

キイロ

……どうすれば勝てるのかしら?

Kiiro

...How do we win?

キイロ

力で対抗する? 化け物には化け物とか? フフフ……そういうのも嫌いじゃないけど。

Kiiro

Oppose with force? Pit monster against monster? Hehehe….I'm not against it.

キイロ

所詮はクラヴィス=アルカードもただの化け物よ……。

Kiiro

In the end, Clavis Alucard is but a monster….

キイロ

ただ『強いだけ』の化け物……。

Kiiro

...A monster with only strength to his name.

キイロ

不死身で不滅の……人の『願望』が生み出した、 ただの化け物……。

Kiiro

Undying and immortal...born from humanity's wishes...but a monster like any other.

キイロ

でも、アレは『神』じゃないわ。

Kiiro

And a monster isn't a "god."

キイロ

だから人間を舐めるんじゃないわよ、この化け物共!! その存在ごと消滅させてやるわ!!!

Kiiro

So don't underestimate us humans, you monsters!! We'll erase your very existence!!

ラーベ

退け、レイチェル=アルカード!! お前ではこの女に敵わない!!

Raabe

Dodge, Rachel Alucard! You can't match up to her!!

ラーベ

というか、この世界からとっとと退場してくれ!

Raabe

Actually, just leave this world already!

レイチェル

私もそうしたいわ!

Rachel

I would if I could!

キイロ

言ったわよ、誰も逃さないって!

Kiiro

I told you, didn't I? I won't let anyone get away!

サヤ

!!

Saya !
レイチェル

くぅ……っ。

Rachel

Ack....

キイロ

レリウス、ヴァルケンハイン。 早くラケル=アルカードを回収して。

Kiiro
レリウス

……人使いの荒い事だ。

Relius
ヴァルケンハイン

チッ……。

'Valkenhayn

こっちにも来るぞ!

Mei
Es

……ナオトさん、ラケルさんの側にいてください。 守ります。

Es
ナオト

悪い……。

Naoto
ラーベ

シエル、レイを守れ! 最優先だ!!

Raabe
シエル

り、了解です!

Ciel

第12節 矛先④/ 12. At Spearpoint - 4

Summary
アルカードに固執するキイロの目的は『クラ

ヴィスの観測』。サヤの刃がレイチェルを捕 らえた時、クラヴィスが現れた。

Persistently hounding the Alucards, it turns out Kiiro's aim is "Clavis' Observation." When Saya stabs Rachel with her sword, Clavis appears.
シエル

はぁぁっ!

Ciel
レリウス

…………ふむ。なるほど。『このタイミング』か。

Relius
シエル

っ……く! 反応、解析。対象の戦闘レベル、不定。 こちらを試しているような動きです。

Ciel
ヴァルケンハイン

何を言っているレリウス! 観察がしたいのなら、叩き潰してからにしろ!

Valkenhayn
レリウス

それではまるで意味がない……。 止まっている状態のものなど、いくらでも再現できる。

Relius
ヴァルケンハイン

ええい……いつまでもお前に付き合っていられるか! もういい加減、全員叩き潰す!

Valkenhayn
Es

対象の戦闘レベルの上昇を確認…… まだ本気ではなかったということですか!?

Es

これ以上、私はもたんぞ!

Mei
ラーベ

駄目だ! ラケル=アルカードは何があっても護り通せ! 最悪レイチェル=アルカードは見捨てる!!

Raabe

Not good! No matter what, be sure to protect Raquel Alucard! Worst case, prepare to sacrifice Rachel Alucard!

ナオト

なっ!?

Naoto

Wh--!?

レイチェル

……正しい選択よ。

Rachel

...That's the correct choice.

シエル

ラ、ラーベさん!? ですが……。

Ciel

Ms. R-Raabe!? But!

ラーベ

だから最悪の場合だ。 それよりシエル、お前はレイから離れるな。

Raabe

Only in the worst case. Ciel, don't leave Rei's side.

ラーベ

まったく……クソッ、クソッ……。

Raabe

Everything's...! Shit, shit.

ラーベ

何故だ……どうしてだ……? もしかしたら意図的に『考えない』様、構築されているのか?

Raabe

Why...how? Was this constructed intentionally from the "unthinkable?"

1: あのぉ……
2: ラーベ……さん?

1: Um....
2: Ms. Raabe?

ラーベ

……レイ、シエル、二人共黙って聞け。

Raabe

...Rei, Ciel, keep quiet, just listen.

ラーベ

この状況だから要点だけ話す。 だから質問も反論も無しだ、いいな。

Raabe

Because of the situation I'm only going to go over the main points. No questions, no comments, alright?

ラーベ

緋鏡キイロは異物でも《未確定存在》 (ストレンジャー) でもなく、 この世界の存在だ。

Raabe

Hikagami Kiiro is neither a Contaminant nor a Stranger, but someone from this world.

ラーベ

にも関わらず、彼女はこの世界がファントムフィールドで あることを認識している。

Raabe

Despite that, she's realized that this world is a Phantom Field.

ラーベ

でも、これでキイロのタイミングの良さに合点がいったよ。

Raabe

From this, I can understand how Kiiro's timing was so good.

ラーベ

恐らく、この世界にも『タカマガハラシステム』が存在している。 サヤを捕らえているのもシステムだろう。

Raabe

Most likely, the "Takamagahara System" exists in this world. The one who captured Saya is probably the System, too.

ラーベ

そしてキイロの目的はクラヴィス=アルカードの『観測』だ。

Raabe

And Kiiro's aim here is Clavis Alucard's "Observation."

シエル

!?

Ciel ?
ラーベ

観測さえできてしまえば、その存在をある程度とはいえ、 どうとでもできる。

Raabe

As long as you can Observe it, to an extent, anything is possible.

ラーベ

だが、システムは未知の存在を正確には観測出来ない。

Raabe

However, the System cannot properly Observe things that it has no knowledge of.

ラーベ

レイ、お前だって知らない奴は まともに観測出来ないはずだ。

Raabe

Rei, even you shouldn't be able to Observe people you don't know.

1: 確かに……
2: できないと思います

1: Yeah, you're right....
2: I don't think I could.

ラーベ

しかしクラヴィスに近い存在、レイチェルやラケルから情報を 取り込めばシステムの精度も上がり、観測可能になる。

Raabe

However, if the System takes in Rachel and Raquel Alucard, existences close to Clavis Alucard, its accuracy will increase and it will become able to Observe (them?).

ラーベ

サヤのソウルイーターなら 『魂』という、最も繋がりの強い情報を引きずり出せるだろう。

Raabe

Saya's Drive, Soul Eater, will draw in the "soul," information of the strongest of bonds.

ラーベ

キイロが『アルカード』に固執する理由はそれだ。

Raabe

That's why Kiiro is so set on the Alucards.

ラーベ

そのうえでレイまで、 この世界のタカマガハラシステムに組み込まれたりしたら、

Raabe

Above all, if even Rei is incorporated into this world's Takamagahara System...

ラーベ

全て終わりだ。

Raabe

...Then it's all over.

ラーベ

この世界の観測者が不明な状況でこれ以上の危険は冒せん。

Raabe

There is no greater danger than having the Observer of this world become uncertain.

ラーベ

だから、レイ。私が危険と判断したら、 お前を緊急離脱させる。

Raabe

So, Rei. If I decide it's dangerous, you need to perform bail out.

ラーベ

その時はシエルも私も諦めるようにと『私』に言っといてくれ。

Raabe

Tell "me" that you were told to give up on Ciel and I.

1: でも……!
2: それじゃシエルとラーベさんが……

1: But...!
2: Then you and Ciel will....

ラーベ

シエル。そうならないように全力でレイを護れ。 いいな?

Raabe

CIel. To prevent that, you'll need to give your all to protect Rei.

シエル

了解しました。

Ciel

Yes, ma'am.

キイロ

作戦会議は終わった? でもいいわよ、十分、時間稼ぎにはなってもらったから。

Kiiro

You done with your little strategy meeting? Well, I don't mind, I'm trying to buy time here too.

シエル

時間稼ぎ……はっ!

Ciel

Buying time...Gasp!

レイチェル

あ……。

Rachel

Ah...

サヤ

…………。

Saya

...

レイチェル!

Mei

Rachel!

レイチェル

結局……最後に、足を引っ張ったのは……私ね。 ひどい、無様……だこと……。

Rachel

So...I'm the one...dragging everyone down...in the end. How...humiliating....

キイロ

さあ、まずはひとり。

Kiiro

That's one down.

サヤ

……喰らい尽くせ……。

Saya

...Devour it....

ナオト

サヤ、やめろ!

Naoto

Saya, stop!

サヤ

……『ソウルイーター』……!

Saya

...Soul Eater...!

レイチェル

あ、う……あぁ……っ。

Rachel

Ugh... Augh...

ラーベ

不味いな、いくら弱っているからといっても、 アルカードの吸血鬼だ。

Raabe
ラーベ

取り込まれたら、さらに手が付けられなくなるぞ……。

Raabe
ナオト

やめろ、サヤ! くそっ、この……っ。 足、早く治れよ!

Naoto

レイチェル=アルカードを、サヤから引き離せ!

Mei
Es

了解!

Es
キイロ

させないわ!

Kiiro
Es

くっ!

Es
ナオト

どけよ!

Naoto
キイロ

ナオトくんのお願いでも、 こればっかりは聞いてあげられないわ。

Kiiro
キイロ

私の、邪魔はさせない。

Kiiro

1: レイチェルを放せ!
2: シエル、走って!

1: Let go of Rachel!
2: Ciel, run!

レイチェル

レイ……。

Rachel

Rei...

シエル

はい!

Ciel

Right!

サヤ

ぐあっ!

Saya

Ack!

キイロ

っ、なに!?

Kiiro

W-What!?

ヴァルケンハイン

来たか!

Valkenhayn

He's here!

ナオト

サヤ!

Naoto

Saya!

クラヴィス

……レイ。 やはり君の存在は危険かもしれないね。

Clavis

....Rei. Your existence really might be a danger.

クラヴィス

だが、今は感謝しよう。

Clavis

But I will thank you this time.

クラヴィス=アルカード!

Mei

Clavis Alucard!

レイチェル

お父様……ごめんなさい……お手を、煩わせて……。

Rachel

Father...I'm sorry...to have forced your hand....

クラヴィス

ラケルの側だ。気に病むことはないよ。

Clavis
ヴァルケンハイン

うおおぉぉぉぉぉぉ! クラヴィス=アルカードぉぉぉぉぉ!

Valkenhayn
レリウス

まったく……血の気が多くていかんな。

Relius
キイロ

ぼやいてる場合じゃないでしょ。あなたも戦いなさい、 それが契約よ。

Kiiro
レリウス

……やれやれ。

Relius
キイロ

……何故? どうしてこのタイミングでクラヴィス=アルカードが……。

Kiiro

あれが……幻想生物……クラヴィス=アルカードなのか? ……強い。常軌を逸している。

Mei
Es

冥。今のうちに、ナオトさんとラケルさんを奥へ。

Es
ラーベ

……シエル。正面の防護を受け持て。 レイ、顔色が悪いが大丈夫か?

Raabe

1: 大丈夫です……
2: ちょっとめまいがしただけで……

1:
2:

シエル

レイさん、私の後ろにいてください。

Ciel
ラーベ

(……やはりレイが喚んだのか……。 あのクラヴィス=アルカードを……。)

Raabe

(...So Rei summoned him here...that Clavis Alucard....)

ラーベ

(……面白いじゃないか。)

Raabe

(...Isn't that interesting?)

ヴァルケンハイン

があぁぁぁぁぁぁ!

Valkenhayn
クラヴィス

……少し、大人しくしていてくれ。

Clavis
ヴァルケンハイン

なに!? しまっ……ぐはっ!

Valkenhayn
レリウス

……!

Relius
レリウス

……!

Relius
レリウス

やはり……今の私では……手に余るな……。

Relius
ヴァルケンハイン

馬鹿……な……こんな……ことが……。

Valkenhayn
サヤ

せやぁぁっ!

Saya
クラヴィス

……っ。

Clavis

....

サヤ

クラヴィス=アルカード……お会いしとうございました……。

Saya

Clavis Alucard... Well met....

クラヴィス

……君は、倒すことも倒されることも遠慮させてもらおう。

Clavis
サヤ

ぐう……、う……。

Saya
クラヴィス

……レイ。 舞台へと招いてくれたことは感謝する。

Clavis

...Rei. Thank you for beckoning me to this stage.

クラヴィス

おかげで娘をひとり、失わずに済んだよ。 だが、同じ土に立てるのはここまでだ。

Clavis

It is thanks to you that matters could be settled without losing my daughter. But I shall not stand with you any longer.

レイチェル

…………。

Rachel

...

シエル

クラヴィスさん……?

Ciel

Mr. Clavis...?

クラヴィス

帰るよ。レイも限界のようだ。

Clavis

We're leaving. Rei is almost at their limit.

クラヴィス

あの少女はレイチェルの力を取り込んだ。 レイチェルの力は、間接的に私に繋がっている。

Clavis
クラヴィス

私がここに存在し続ければ、ソウルイーターから私へも 間接的な繋がりが生まれてしまうだろう。

Clavis
クラヴィス

それはいけない。君たちがことごとく消え去る恐れすらある。 個人的に、それは避けたいのでね。

Clavis
ラーベ

是非ともそうしてくれ。後はコチラで何とかする。

Raabe

1: ありがとうございます……
2: 助かりました……

1:
2:

クラヴィス

構わないよ。

Clavis
ナオト

待てよ……。

Naoto
Es

ナオト。無理に起きては、体に障ります。

Es
ナオト

ラケル……ラケルはどうすんだ?

Naoto
クラヴィス

ははは、君にしては愚問だな。 ナオト、ラケルを頼むよ。

Clavis
クラヴィス

……可能性の子らよ。その手に未来を。

Clavis

...Children of possibility, the future is in your hands.

シエル

……消えてしまいました。

Ciel

...He's gone.

キイロ

あん、もう。 この3人がかりでも、ろくな傷ひとつつけられないなんて。

Kiiro
キイロ

でもまあ、別にいいわ。どのみち、ラケル=アルカードを 手に入れれば、クラヴィス=アルカードは現れる……。

Kiiro
キイロ

いえ……引きずり出せるわ。

Kiiro
キイロ

それに……。

Kiiro
キイロ

面白い《能力》 (ドライブ) ね、それ……。

Kiiro
ラーベ

……やはり気づかれたか。 レイ、ちょっと来い。

Raabe

1: はい
2: 何でしょう?

1:
2:

ラーベ

シエルは何があってもレイに キイロを近づかせるな。

Raabe
シエル

了解しました。

Ciel
ナオト

ちっ……こっちの状況はあんま変わってねぇな……。

Naoto
ラーベ

レリウスとヴァルケンハインを考えなくていいだけましと思え。

Raabe

だが、私たちであのキイロとサヤを御せるのか……? いや、そうせねば。我が天ノ矛坂の敷地内で、勝手は許さん!

Mei
ナオト

ラケルは……渡さねぇ……。 それに、サヤもだ!

Naoto
Es

…………。

Es
シエル

緋鏡キイロさん。サヤさんの洗脳を解き、撤退してください。

Ciel
シエル

……それに個人的にも、アナタと戦うことは 避けたいと考えています。

Ciel
キイロ

あら、優しいのね。でも無理よ。

Kiiro
キイロ

輝弥サヤ……ラケル=アルカードの力を根こそぎ奪いなさい。 そうすれば貴女は……。

Kiiro
キイロ

比類なき力を……手に入れられる。

Kiiro
サヤ

…………。 ……ふふ。それは素敵……素敵な……ことですね。

Saya
キイロ

ええ。そしてそれを、邪魔はさせない!

Kiiro

第13節 覚醒①/ 13. Awakening - 1

Summary
ラケルが目覚めたことで、ライフリンクが復

活したナオト。目覚めたラケルに驚くキイロ をサヤが貫く。

Raquel wakes up and through their re-established Life Link, Naoto resurrects. Saya stabs Kiiro, who is surprised to see Raquel wake up.
キイロ

あうっ……。

Kiiro
キイロ

……ふふ、ふふふ。もう、肌に傷がついちゃった。

Kiiro
シエル

はぁ、はぁ……対象、戦闘レベルを維持……。

Ciel

く、そ……もうかなりやり返してやったのに…… こちらに手応えは十分あるはずなのに、なぜ倒れない!

Mei
シエル

ダメージは確実に与えているはずです。ですが……。

Ciel
Es

まるで……倒れないとあらかじめ 決められているかのようです。

Es

馬鹿なことを言うな。 そんなこと、あってたまるか。

Mei
シエル

……観測者の力が関与していると考えられます。

Ciel

なに?

Mei
シエル

『こう』なることを、観測者が望んでいるのなら…… 私たちは勝つことが出来ません。

Ciel
シエル

観測者の望みに添って、世界は『観測』されています。 そこから外れることは、できません。

Ciel

では、我々がいくら戦っても無駄だということか!?

Mei
Es

……いえ、違います。 この場合、重要なのはそこではありません。

Es
Es

この展開が、観測者の思い描いたものならば、 私達は既に負けているはずです。

Es
シエル

はい。それはつまり……。 ……っ!

Ciel
キイロ

……あーあ。目の前を飛び回られるのも、 うっとうしいわね。いいわもう。殺しちゃって。

Kiiro
サヤ

ふっ!

Saya
シエル

対象を補足。対処します。

Ciel
Es

いえ、私が……。

Es
キイロ

なっ……。

Kiiro
ナオト

っ、らぁぁぁっ!

Naoto
サヤ

っ、く……。

Saya
シエル

ナオトさん。……足が、あります。

Ciel
ナオト

ついさっき、治ったんでな。言っただろ。 俺はちっとやそっとのことじゃ死なねぇ。

Naoto
ナオト

さっきまでは勝手が違ったが…… ご主人様が起きれば、こんなもんだ。

Naoto
シエル

ご主人様?

Ciel

ということは……!

Mei
ラケル

……ずいぶんと、寝心地の悪いところで 寝かされていたものね。

Raquel
ラケル

それに、とても騒々しいわ。最悪な目覚めよ。

Raquel

1: すみません……
2: 何故か反論出来ない凄みが……

1:
2:

ナオト

そう言うなよ。こっちはてめぇの盛大な寝坊のせいで、 散々苦労したんだ。

Naoto
ラケル

仕方無いでしょ、久しぶりに戻るんだから……調整が必要なの。

Raquel
ナオト

久しぶりって……まだ二週くらいしかたってないんだけどな。

Naoto
キイロ

……な……なぜ、どうして……。

Kiiro
ラケル

あら。私の目が覚めることが、そんなに不自然?

Raquel
ナオト

……凄みながら俺の後ろに隠れるなよ。

Naoto
キイロ

そんな、あるはずないわ! あなたが目を覚ますはずがない!

Kiiro

That's impossible! You shouldn't be waking up!

ラーベ

ラケル=アルカードの昏睡にシステムが関わっていると わかれば、そんなに難しいことではないぞ。

Raabe

Once you realize the System is involved in Raquel's sleep, it's not that strange.

ラーベ

こっちにはレイもいるしな……。

Raabe

We also have Rei here with us, after all....

キイロ

玩具の分際で……。

Kiiro

You're all just damned toys….

ラーベ

優秀だろ? それより、どうやって魂と器を完全に 切り離したかだ。此処のシステムでは不可能だと思うが。

Raabe

Rei's good, aren't they? Now then, how did you completely separate the soul from its vessel? I thought it was impossible for the System here.

ラケル

それは自主的によ。

Raquel

It was voluntary.

ナオト

はぁ!? 自分でやったってか? マジかよ!

Naoto

Huh!? You did it yourself? Seriously!?

ラケル

仕方ないでしょ、あんなモノに私が観測されるなんて 耐えがたいもの。

Raquel

There was no way around it. I couldn't stand being Observed by something like that.

ラーベ

なるほど……これで概ねの状況は把握できたぞ。 キイロがアラクネを放置した理由はそれか。

Raabe

I see….Most things are falling into place now. That was the reason why Kiiro needed Arakune.

ラーベ

アラクネはドライブ能力者しか襲わない。 観測システムを強化するには丁度いい素材だ

Raabe

Arakune only attacks Drive users, making it the perfect material to strengthen the Observation system.

ラーベ

しかし、それでは説明できない事象もあるんだが……。

Raabe

There's still some phenomena left unexplained, though….

キイロ

ごめんねぇ〜。玩具と語り合う言葉は持ち合わせてないの。

Kiiro
キイロ

それに小娘が起きた程度で、形勢が逆転できたとでも 思ってるの? むしろ好都合だわ。

Kiiro
キイロ

ラケル=アルカードの意識があったほうが、 力を吸収しやすいもの。

Kiiro

Raquel Alucard's power will be easier to absorb if she's conscious.

ナオト

もうやめろよ、キイロ! こんなことして…… なにがてめぇの望みだっていうんだよ!?

Naoto

Stop it already, Kiiro! What do you even want out of all this!?

キイロ

何度も言ったでしょ。 クラヴィス=アルカードを倒すことよ。

Kiiro

I've told you over and over again, it's to defeat Clavis Alucard.

キイロ

私は……私達はそのために創られたのだから。

Kiiro

It's why I...why we were created.

シエル・Es

…………………

Ciel & Es

....

キイロ

レイ……とか言ったわよね。 その能力も私達の悲願の為に有効活用してあげるわ……フフフ。

Kiiro

そこまでの執着心……もはや呪いだな……。

Mei

しかし自白にも等しいぞ、緋鏡キイロ。 お前がこの世界の観測者とやらなのだろう?

Mei

1: いや……
2: ……違う

1:
2:

シエル・ナオト

!?

Ciel & Naoto ?
サヤ

そのお話はもう……聞き飽きましたので……。

Saya
キイロ

え……あ……なに……?

Kiiro
サヤ

喰らえ……ソウルイーター。

Saya
Es

止めてください、サヤさん!!

Es
Es

くぅっ……

Es
キイロ

あ、あああ、あ……。 …………、……………………。

Kiiro
ナオト

キイロ!!

Naoto
サヤ

ああ……やはり。 あなたもまた、大きな力を持っていたのですね。

Saya
サヤ

胸の内が温められるようです。

Saya
シエル

サヤ……さん? どうして、キイロさんを……。

Ciel
サヤ

おや。異なことを。緋鏡キイロは兄様に刃を向ける敵。 であれば、仕留めてなにがおかしいのですか?

Saya
シエル

いえ、そうではなくて。

Ciel
ナオト

お前……なんでキイロを殺した!? 操られてたんじゃ……なかったのか!?

Naoto
Es

シエルさん。計測を。

Es
シエル

はい。……感知……計測。照合。認識。 輝弥サヤさんの精神波長、先程から何も変わってはいません……。

Ciel

では、まだ洗脳されているということか!?

Mei

So she's still brainwashed!?

サヤ

異なことを……私は『操られている』だなんて、申し出た覚えは ありませんよ。

Saya

What a strange thing to say...I don't recall saying I was ever "being controlled."

サヤ

緋鏡キイロとて、私を『操っている』だなどとは 一言も申しておりませぬ。

Saya

Nor do I recall Kiiro ever saying she was "controlling" me.

ナオト

な……た、確かにそうだけど……でも、じゃあ、さっき 問答無用で襲いかかってきたのはなんだったんだよ!

Naoto

W-well, yeah, but….then, what was up with earlier? You weren't even holding back!

ナオト

明らかに様子がおかしかっただろうが! いやそもそも、なんだってラケルを殺そうとしたんだ!?

Naoto

There was clearly something strange about you! To begin with, why were you trying to kill Raquel!?

サヤ

質問の多い兄様ですこと。

Saya

My brother has so many questions to ask.

サヤ

なぜラケルさんを殺そうとしたか、ですか? 質問を質問でお返しして申し訳ありませんが……

Saya

Why did I try to kill Raquel? I'm sorry to answer a question with a question, but…

サヤ

殺せるのですか? その吸血鬼は。

Saya

Did I try to kill her? That vampire?

サヤ

その吸血鬼の生命は兄様そのものです。

Saya

That vampire's life is my brother himself.

サヤ

なのに『何故』私が殺さなければならないのでしょう?

Saya

So why would I try to kill her?

サヤ

何故『そんなやり方』で 兄様を殺さなければならないのでしょうか?

Saya

Why would I try to kill my brother in "that way?"

サヤ

……私は今まで一度もラケル=アルカードさんを 『殺そう』などと思った事はありませんよ。

Saya

…I never once thought I was trying to kill Raquel Alucard.

ナオト

……サヤ。

Naoto

...Saya.

サヤ

ただ……その『魂』を頂戴できればと……。

Saya

But...if I can just take in that vampire…

サヤ

そうすれば兄様と一つの命で繋がれる…… 私が死ねば……兄様も死ぬ……あぁ……なんて素敵な事でしょう。

Saya

Then my life and my brother's life will become one.... If I die...my brother will die, too. ...Ah, what a wonderful thing.

サヤ

なのに酷いお話です……魂ごと消えてしまわれるなんて。

Saya

Yet something horrible happened...the soul disappeared entirely.

サヤ

でも……おかげで楽しい思いもできました。 兄様と、夜毎夜毎の化け物退治……。

Saya

But thanks to that, I was able to make some good memories. Night after night, exterminating bugs with my brother….

サヤ

とても貴重な経験でございます……このままラケルさんが 目覚めなければと……本気で思うようにもなりました……。

Saya

It was an incredibly valuable experience….If only Raquel hadn't woken up...then everything would have gone as I wished….

サヤ

本当に……このまま永遠に……。

Saya

For all eternity….

1: 輝弥サヤが……
2: 観測者だ

1: Terumi Saya is...
2: ...the Observer.

シエル

では、私たちは最初から観測者と行動を共にしていたと いうことですか?

Ciel

So, we've been cooperating with the Observer this whole time?

ラーベ

そうなるな。

Raabe

I suppose that's how it is.

ラーベ

ラケル=アルカードを『殺す』ことなく、生き続ける そのための『アラクネ』だったか……。

Raabe

Rather than killing Raquel Alucard, Arakune was here to help you continue to survive….

ラーベ

蟲の集めた生命力を喰っていたのはお前だな……輝弥サヤ。

Raabe

You were the one eating the life force collected by the bugs...Terumi Saya.

シエル

……窯の出現……いえ、存在を感知しました。 サヤさんが観測者で間違いないと思われます。

Ciel

The Cauldron has appeared...no, its existence has been confirmed. I believe there is no mistake Saya is the Observer.

ナオト

嘘だろ……。

Naoto
ナオト

なあ、ちょっと待ってくれ、 観測者はキイロだったんじゃねぇのかよ!?

Naoto
ラーベ

間違いなく……輝弥サヤが観測者だ。

Raabe

そう、なのか? 輝弥……?

Mei
サヤ

さて。私も今の今まで、忘れておりましたが……。

Saya
サヤ

ですが、そう指摘されてみると……ええ、ええ。 どうしてでしょう。おっしゃる通りかもしれません。

Saya
サヤ

観測者……。その言葉が実際にどのようなものを意味するのか、 これまでは曖昧でありましたが。しみるように理解できます。

Saya
サヤ

ああ……そして、そうなのだと理解すれば、 なにもかもに納得いたします。

Saya
サヤ

そうでしたか。まあ、まあ。 なんということでしょう。

Saya
サヤ

この世界は、私の《願望》 (ゆめ) に溢れております。

Saya
ナオト

……嘘をついてるようには……見えねぇな。 いや。お前は嘘をついたりはしねぇ。

Naoto
ナオト

特に、こういうことではな。

Naoto
サヤ

でも、兄様は未だ信じがたいお気持ちでいらっしゃる。 でしたら……論より証拠と参りましょう。

Saya
シエル

どういうことですか?

Ciel
サヤ

ご覧いただくのです。

Saya
サヤ

この世界の禍々しき物は、どのような姿でしたか? あなた方を脅かす者は、どのような形でしたか?

Saya
サヤ

きっとこのようでありましたでしょう!?

Saya
Es

これは……!

Es
ラーベ

我々にとっての敵対存在を、 自在に呼び出してみせているというわけか……。

Raabe
ラーベ

おいレイ、 もう一度クラヴィスを喚び出せないか?

Raabe

1: ……どうやって?
2: 無理っぽいです……

1:
2:

ラケル

お父様の手を煩わせるまでもないわ。 私がいるでしょ?

Raquel

No need to involve Father in this. I am here, am I not?

お、おい、大丈夫なのか?

Mei
ラケル

……守ってもらってばかりでは、癪に障るもの。 寝起きの運動には丁度いいわ。

Raquel
ナオト

そいつは心強いぜ。 よし、俺の体もすっかり元通りだ。行くぞ!

Naoto

第13節 覚醒②/ 13. Awakening - 2

Summary
観測者、サヤの求めた願望は『共に生きる命』

だった。自分を生き長らえさせる世界を守る 為、サヤは事象干渉を使い、時を巻き戻した。

Saya's wish as the Observer was for "life to live together." To protect a world where she can extend her lifespan, Saya uses Phenomenon Intervention to turn back time.
シエル

対象の制圧を完了しました。

Ciel
Es

……あれだけの数の敵を具現化したというのに、 サヤさんの力には少しの衰えもないようですね。

Es

これが観測者の力というわけか……信じられんな。

Mei
サヤ

あら……この程度で驚いて頂けるなんて。

Saya
ラケル

まるで新しいおもちゃを手に入れた子供ね。

Raquel
サヤ

己の思うままに世界を変えられるとあらば、 はしゃぎもいたします。

Saya
サヤ

ですが、少々はしたのうございましたね。 この程度の力では、まだ全てを完璧には彩れませんのに。

Saya
サヤ

やはり……もっと力が必要です。

Saya
サヤ

この世界が私の願いのままに歪むのであれば、もっと、 もっと思うさま歪めてみとうございます。

Saya
サヤ

まだ足りぬのです……ラケル=アルカード。 あなたの『魂』をもって、それを補わせてくださいませ。

Saya
ナオト

冗談じゃねえ、ふざけんな!

Naoto
サヤ

兄様……。

Saya
ナオト

アラクネだの蟲だのから、他人の命めいっぱい奪って、 レイチェルからも奪おうとして……

Naoto
ナオト

キイロまで犠牲にして、次はラケルだってか!?

Naoto
ナオト

次から次へと人の命奪いつくして、それじゃまるで お前のドライブそのままじゃねぇか!

Naoto
ナオト

なんだよ……わかんねぇよ!

Naoto
ナオト

そうまでしてなにがしたいんだよ! 人の命かき集めてどんな世界作りたいって言うんだよ!?

Naoto
サヤ

未来……と言っても理解しては頂けないのでしょうね……。

Saya
ナオト

未来? なに言ってんだ、お前が観測者だってんなら、 ここで起こってることは全部お前が望んだことなんだろ!?

Naoto
ラーベ

違うぞ。観測者は意識的に世界の在り方を望んで、 1からその形を構成するわけではない。

Raabe
ラーベ

無意識のうちにある欲望や願望を元に構築する……。

Raabe
ラーベ

観測者は持ちうる『情報以上の世界』を創る事は出来ない。

Raabe
ナオト

それでも、サヤがこの世界を作ったことに 変わりはねぇんだろ。

Naoto
ナオト

蟲もアラクネも、ラケルが眠ったことも、ラケルが狙われる ことも、全部あいつの中にあった願望からできてたんだろ!

Naoto
ナオト

なのに未来……って。……サヤ……お前……まさか。

Naoto
サヤ

生きる……。共に生きる『命』が欲しゅうございました。

Saya

なに……?

Mei
サヤ

この脆弱な体を動かし続け、軟弱な呼吸を保ち続け、 貧弱な血液を回し続けるにこと足りる、

Saya
サヤ

有り余るほどの命が欲しい。

Saya
サヤ

未来 (さき) へと進める……『命』が。

Saya
ナオト

…………。

Naoto
ラーベ

……なるほど。これがレイチェル=アルカードが言っていた、 観測者の『限界』か。

Raabe

...I see. So this is what Rachel Alucard meant by the Observer's "limit."

1: ……限界?
2: そっか……確かに

1: Limit?
2: Oh...you're right.

ラーベ

言っていただろう。この世界が観測者の願望でできている以上、 限界があると。

Raabe

I said this earlier: This world was created by the Observer's wishes, but it has a limit.

ラーベ

輝弥サヤの場合は、自分の命だ。

Raabe

In Terumi Saya's case, it was her own life.

ラーベ

他者の命で補わなければならないほど、尽きかけている…… という事実を、彼女は観測者でありながら変えられなかった。

Raabe

To be worn away to the point of needing to take in others' lives...that truth was something she could not change, even as an Observer.

Es

ですが……では、 本来の世界でのサヤさんの命は……。

Es

Then...then Saya in the old world would have….

ラーベ

何時尽きても、不思議ではない状態なのだろうな。

Raabe

Exhausted herself at any hour, and it wouldn't have been strange.

シエル

死ぬ、ということですか?

Ciel

You mean, death?

サヤ

まあ、酷い事を言いますね、私は生きておりますよ。 この新川浜で、皆様と共に……今も、今までも……。

Saya

What a terrible thing to say. Am I not alive right now? Here, in Shin Kawahama, together with everyone...right now, up until now…

サヤ

そして……これからも。

Saya

And...from now on, as well….

ナオト

サヤ……。

Naoto

Saya...

サヤ

同情してくださるのですか、兄様? でしたらどうか、その吸血鬼をサヤにくださいませ。

Saya
ナオト

そんなこと、できるわけねぇだろ!!

Naoto
サヤ

ご安心ください、頂戴したいのはその魂だけ……。 お身体の方は永遠に眠り続けて頂いて構いません。

Saya
サヤ

お世話は……このサヤが責任を持って致します。

Saya
ラケル

やっぱり。貴女の狙いは、私とナオトのライフリンクなのね。

Raquel
サヤ

ふっ……あっはっは、そうですとも、その通り!

Saya
サヤ

あなたが、この卑しい吸血鬼が、 兄様を人ならざる者に変えてしまった。

Saya
サヤ

我等の身に流れる輝弥の血に、あなたの血が割り込んできた!

Saya
サヤ

兄様は私の兄様なのに! なにが命の繋がりですか!!

Saya
サヤ

私以外の『何か』が兄様の命を縛るなんて…… 許せませぬ!!

Saya
サヤ

断じて否です!!

Saya
サヤ

ラケル=アルカード……その魂、私にくださいな……。

Saya
サヤ

そうすれば…… そうすれば兄様は、ずうっと私と一緒にいてくださる。

Saya
サヤ

この世界で、これまでそうだったように。 共に語り、共に鍛え、共に駆け、共に戦ってくださる。

Saya
サヤ

共に生きてくださる。 ただの……『普通の兄妹』のように。

Saya
ナオト

てめぇ……馬鹿か。そんなことしなくたって、俺は……!

Naoto
サヤ

私と一緒にいてくださいますか? ……いいえ。そうはならないのです。その吸血鬼がいる限り。

Saya
サヤ

だって、だからこの世界は『こう』なのですから。

Saya
ナオト

サヤ……!

Naoto

…………。

Mei
サヤ

冥様まで、そのようなお顔をなさって。憐れんでくださるの ですか? 愚かなサヤを。であれば、どうか。

Saya
サヤ

その吸血鬼をくださいませ。それから……そうですね。 レイさん。あなたも。

Saya

1: 僕?

1:

1: 私?

1:

サヤ

ええ。あなたの力は、とてもお強い。 飲み干せばきっと、私の世界がより完璧になりましょう……。

Saya
サヤ

……更なる未来へと進める可能性も……。

Saya
シエル

それはできません。

Ciel
シエル

レイさんの命も、ラケルさんの命も、 あなたに差し上げるわけにはいかないのです。

Ciel
ラーベ

わかっているだろ。私たちがなにを目的としているのか。

Raabe
サヤ

……そうでした。 あなた方は私の世界を破壊しに来たのですよね。

Saya
シエル

正確には窯を破壊し、観測者をファントムフィールドから 解放することです。

Ciel
シエル

この世界と観測者の接続を断ち、世界がこれ以上、 『個』の観測によって変えられてしまわないようにします。

Ciel
サヤ

小難しいお話は結構。 私から、この世界を取り上げるということでございましょう?

Saya
サヤ

つまり……この私に『死ね』と。

Saya
シエル

……これはあるべき世界ではありません。 サヤさんの個人的な願望により認識された、歪められた世界です。

Ciel

...This is not how the world should be. It's a warped world that recognized Saya's personal desires.

ラーベ

いわば、偽りの世界だ。

Raabe

In other words, a fake world.

ラーベ

このままだと歪みはさらに大きくなり、やがてこの世界が 持つ可能性を全て食い潰して、どこにも行けないまま終わる。

Raabe

If the distortion grows even bigger, it will eventually devour all other possibilities, and this world will simply meet its end.

ラーベ

そして、その歪みはこの世界『だけ』の問題じゃない……。 本当に何もかも食い尽くす怪物が産まれるぞ……。

Raabe

And the problem isn't limited to this world "alone." ...A real monster that devours everything will be born….

サヤ

それと私に何の関係が?

Saya

…………。

Mei

……輝弥。お前の気持ちがわかるとは言えん。

Mei

ラーベの言うことを全てそのまま信じたわけじゃない。 正直、今でも意味がわからんとも思っている。

Mei

だが、私の存在自体がお前の言っていることを否定している。 悪いが、お前の望むものを、叶えてやることはできない。

Mei
Es

どうか退いてください、サヤさん。 あなたに剣を向けたくありません。

Es
Es

きっと誰よりも、ナオトさんがそう思っているはずです……。

Es
サヤ

ならば退くのはそちらのほうです、エスさん。

Saya
サヤ

私は譲りませんよ。この世界を愛おしく思っております……。

Saya
サヤ

皆様と共に過ごし、共に学舎へ通い、寝食を共にする……。

Saya
サヤ

そして、私を生き長らえさせ、兄様と共に過ごさせてくれる 素晴らしい世界です。

Saya
ナオト

……………。

Naoto
サヤ

それを壊そうなどともってのほか。認めるわけにはいきませぬ。 そのようなこと、私は嫌いです。

Saya
サヤ

ええ。大嫌い。

Saya
シエル

っ!?

Ciel
レリウス

…………ふむ。なるほど。『このタイミング』か。

Relius
ヴァルケンハイン

何を言っているレリウス! 観察がしたいのなら、叩き潰してからにしろ!

'Valkenhayn
レリウス

それではまるで意味がない……。 止まっている状態のものなど、いくらでも再現できる。

Relius
ヴァルケンハイン

ええい……いつまでもお前に付き合っていられるか! もういい加減に、全員叩きのめすぞ!

'Valkenhayn
ナオト

ぐぅっ……! なんでこいつら……さっきまで完全に ぶっ倒れてたじゃねぇか!

Naoto
ラーベ

事象干渉を使ったか……。

Raabe

So she's using Phenomenon Intervention now...

ラーベ

まずいぞ。このまま事象干渉を自在に操れるようになれば、 サヤを倒すことはほぼ不可能になる。

Raabe

This is bad. If Saya becomes able to control Phenomenon Interventions on her own, she'll be practically undefeatable.

ナオト

なっ……え、じゃあ、どうすんだよ!?

Naoto

1: 任せて!
2: がんばります!!

1: Leave it to me!
2: I'll do my best!!

ラーベ

今ならまだレイの力で事象干渉を 抑えることができる。

Raabe
ラーベ

早くなんとかしろ、ということだ。

Raabe
ラーベ

具体的に言うと、輝弥サヤを倒せ。

Raabe

……やはりそうなるな。

Mei
Es

戦うしかないのでしょう……。

Es

……私は引き下がれない。 お前はどうなんだ、黒鉄?

Mei
ナオト

聞くなよ。

Naoto
ナオト

サヤは俺の妹なんだぞ。 ……サヤを止めるのは俺だ。

Naoto

よく言った。 ……だが、その前にヴァルケンハインとレリウスか。

Mei

こいつら相手に、我々でやれるのか?

Mei

1: でも、やるしかない
2: きっと倒せる!

1:
2:

シエル

援護します。

Ciel
シエル

戦闘態勢に移行します。目標、補足!

Ciel

第13節 覚醒③/ 13. Awakening - 3

Summary
まるでごく普通の日常会話をするナオトとサ

ヤ。だがサヤは決めたことを曲げることはな く、シエル達は戦闘を開始する。

Saya and Naoto converse as if it's just another day. But Saya refuses to back down, and Ciel and the others prepare for battle.
サヤを倒し、窯の破壊を成功させるシエル達。

世界が再び未来へ進むまで少し時間がある。 サヤが救われる可能性もあるかもしれない。

They defeat Saya and succeed in destroying the Cauldron. There is still some time before the world once again proceeds towards the future. There is a chance that Saya can be saved.
シエル

……対象の消滅を確認。

Ciel
サヤ

馬鹿な……消えるだなんて……。 これは……。

Saya
サヤ

おのれ……おのれ、レイ。 その目、その耳、その命。憎らしや。

Saya
サヤ

ならば小細工は捨てましょう。 この腕、この刃でもって、お命頂戴するまで!

Saya
ナオト

そういうわけにはいかねぇぞ、サヤ。

Naoto
サヤ

……兄様。あなたまで邪魔をなさいますな。

Saya
ナオト

なあ……もうやめろ。もうやめにしよう。

Naoto
サヤ

嫌です。ここは私の世界。 たとえ兄様であっても、それを壊すのであれば切り捨てます。

Saya
ナオト

めちゃくちゃじゃねぇか。 お前、俺と一緒にいたかったんじゃねぇのかよ。

Naoto
サヤ

ええ、そうです。なので先ずは動けなくし、それからじっくりと 時間をかけて殺しますので、ご安心を……。

Saya
ナオト

安心出来ねぇよ!!

Naoto
サヤ

瞬殺がお望みですか? それだとサヤが楽しめません。

Saya
ナオト

どっちもゴメンだ!!!

Naoto
サヤ

ふふふっ。

Saya
ナオト

……サヤ、悪い。

Naoto
ラケル

ナオト、なにをやっているの。 あの子が自分で決めたことを、今更覆すとは思えないわ。

Raquel
ナオト

……わかってるよ。 レイ、力を貸してくれ。あいつを止める。

Naoto
ナオト

サヤをこのままにはできねぇ。

Naoto

同感だ。それが……輝弥の願望を砕くことになったとしてもだ。

Mei
Es

この世界に、私が導かれた意味……『蒼』に従いましょう。

Es

1: サヤを止めよう
2: サヤ、終わりにしよう

1:
2:

サヤ

ああ……なんということでしょう。レイさん。 あなたのせいで、私の世界は台無し。

Saya
サヤ

大事な人も、穏やかな時間も、愛しい夢も……みんな台無し。 今日も台無し。明日も台無し。明後日も明々後日も台無し。

Saya
サヤ

あなたが私から奪うおつもりならば、 私は守り抜いてみせましょうぞ。

Saya
サヤ

ここは私の世界。私のもの!

Saya
サヤ

これ以上、汚らわしい手で 私の世界を蹂躙することは許しません!

Saya
シエル

対象の戦闘レベルの上昇を確認。 対象の制圧を開始します。

Ciel
それに現状、この世界の上位観測者は レイさんです。
ナオト

サヤ……!

Naoto
サヤ

……ああ……なんとあっけない……なんと儚い……。

Saya
サヤ

ここまでだというのですか……私の世界……私の……。

Saya
ナオト

……少し休めよ、サヤ。

Naoto
サヤ

……兄様……。嫌ですよ。それは……死ぬのと同じ。

Saya
サヤ

ねえ、兄様。死ぬのであれば、どうか、どうか。 一緒に死んでくださいませ……。

Saya

輝弥!? お、おい、まさか死んだのか……!?

Mei
Es

……いいえ。気を失っているようです。 生命活動に問題はありません。

Es
ナオト

ざけんな……死ぬ気もねーけど、お前を死なせる 気もねーよ。ったく……面倒かけやがる。

Naoto
ナオト

おい、観測者は倒したぞ、これからどうするんだ?

Naoto
ラーベ

決まっているだろ。窯を破壊する。

Raabe
シエル

窯の場所はすでに特定出来ています。

Ciel
ナオト

そっか。なら、俺もつれていってくれないか。

Naoto
ナオト

……サヤの願望 (ゆめ) がこれで終わりだってんなら、 せめて俺が見届けたいっていうかさ……。

Naoto
ラーベ

ついてくる分には、構わないぞ。好きにしろ。

Raabe
ナオト

ありがとな。んじゃ……よっ、と。

Naoto
ラケル

その子もつれていくの?

Raquel
ナオト

当たり前だろ。

Naoto
ラケル

……大丈夫なの?

Raquel

...Is that alright?

ナオト

え? 何がだ。

Naoto

Huh? Is what alright?

……黒鉄。 輝弥はこの世界の観測者なのだぞ……。

Mei

...Kurogane. Saya's this world's Observer, you know…

ナオト

それはそうだけど……やっぱマズイか、レイ?

Naoto

That's true, but...So is this bad, Rei?

1: ど……どうでしょう?
2: 僕に聞かれても!/私に聞かれても!

1: I-Is it?
2: Don't ask me!

ラーベ

安心しろ、輝弥サヤに意識が有ろうが無かろうが、

Raabe

It's fine, whether Terumi Saya is conscious or not.

ラーベ

敗北を認めた時点で、 現状の上位観測者はレイだ。

Raabe

The moment she recognizes her own loss, the superior Observer becomes Rei.

1: え、そうなの!?
2: そんな感じはしないけど……

1: O-oh, really!?
2: It doesn't really feel like it….

ラーベ

なにもレイがこの世界を 観測しているわけじゃない。

Raabe

It doesn't mean that Rei is Observing everything about this world.

ラーベ

輝弥サヤの観測能力を抑えているだけだ。

Raabe

It just suppresses Terumi Saya's Observation.

シエル

なのでご安心ください、冥さん。ラケル……さん?

Ciel
ナオト

……ああ、あんま気にすんな。 それより早く行こうぜ、窯ってやつを壊しにさ。

Naoto

...Yeah, don't worry about it too much. Let's hurry and get to destroying that Cauldron thing.

お、おい、ちょっと待て。先に聞きたい。 窯を破壊したら……私たちは、どうなるんだ?

Mei

Hey, wait a sec. Before you do that, I have something I want to ask. When the Cauldron is destroyed...what happens to us?

ラーベ

世界は観測者の『願望』 (ユメ) から覚め、本来あるべき形へと 再構築されるが……。

Raabe

The world is roused from the Observer's wish ("dream") and is reconstructed in its original form….

ラーベ

といっても、即座に急激な変化はない。同じ場所をぐるぐる 回っていた世界が、前へ進むために一旦立ち止まるような状態だ。

Raabe

But that's not to say the change will be immediate or sudden. For a world that's been rolling around for a while to move forward, it'll need to stand still for a bit.

ラーベ

それがどれくらい続くかは不確かだが…… やがてお前たちは、それぞれあるべき場所に戻るだろう。

Raabe

It's uncertain how long that'll take, but...eventually, you will all return to where you belong.

Es

圧縮されていた時間軸も、戻っていくのですね。

Es

The compressed timeline will also return to normal, won't it?

ラーベ

そのはずだ。

Raabe

It should.

ナオト

時間軸? なんだそれ?

Naoto
Es

なんでもありません。ナオト。

Es
ラケル

……観測者は、どうなるの?

Raquel
ラーベ

どうともならん。観測者ではなくなるだけだ。 そいつはただの『輝弥サヤ』として存在し続ける。

Raabe
ラケル

……ですって。

Raquel
ナオト

そうか……。ちょっとほっとしたよ。

Naoto
ラーベ

さあ、質問は以上か? だったら窯へ移動するぞ。

Raabe
Es

私もご一緒させてください。

Es

ついでだ、私も行こう。少し興味もあるしな。

Mei
ラケル

…………。

Raquel
ラケル

……げ、下僕が行くのだから……わ、私も同行するわ。 は、はや、く、案内し、なさい。

Raquel
シエル

ラケルさん? 先程から気になっていたのですが どうしてナオトさんの後ろに隠れてしまうのですか?

Ciel
ナオト

あ。ようやく冷静になったか。 こいつ、シエルくらいの女の子と話すの苦手なんだよ。

Naoto
ナオト

ここには冥もエスもいるしな。ビビッて縮こまってんだ。

Naoto
ナオト

あ。ようやく冷静になったか。 こいつ、シエルくらいの女の子と話すの苦手なんだよ。

Naoto
ナオト

ここには冥もエスもいるしな。ビビッて縮こまってんだ。

Naoto
ナオト

あぁ……でもレイにはちょっと 耐性があるみたいだけどな。

Naoto
ラケル

だ、誰がビビるものですか! いいから早く案内なさい、下僕!

Raquel
ナオト

俺が場所なんか知るかよ。 ……なあ、窯ってのはどこにあるんだ?

Naoto
ラーベ

おいおい……遠足じゃないんだぞ……まったく。

Raabe
シエル

ではご案内します。

Ciel
ナオト

ここは……新川浜の駅……か?

Naoto

その地下に、こんなところがあったとはな……。 手がけたのは大方、御剣機関か。

Mei
ラーベ

線路と駅の真下に作られた空間だな。

Raabe
ラーベ

生命力をかき集めたがるファントムフィールドの窯だ、 人の多い場所……

Raabe
ラーベ

学校か、あのでかいホテルか、駅のどこかだろうとは 思っていたが、これほどしっかり設備が整えてあるとはね。

Raabe
ラーベ

よくできている。

Raabe
ナオト

感心するところかよ。

Naoto
Es

ナオト。サヤさんを背負う役目を、代わりましょうか? ずっと背負っています。

Es
ナオト

いいんだよ。こいつ痩せてっから。軽いし。

Naoto
ラケル

やせ我慢。

Raquel
ナオト

……本当に、軽いんだよ。

Naoto
Es

…………。

Es
ラケル

……そう。

Raquel
シエル

この先です。

Ciel
ナオト

うわっ、なんだこれ……!

Naoto

これが……窯……。

Mei
ナオト

……これが、サヤにこんな世界を作らせたのか?

Naoto
ラケル

……窯に意思はないわ。 ここにあるのは、膨大なエネルギーだけよ。

Raquel
Es

これを、破壊するのですね。

Es
シエル

はい。

Ciel
ナオト

壊す前にひとつ確認させろ。 ……本当にサヤは大丈夫なんだろうな?

Naoto
ラーベ

輝弥サヤはただの人に戻る……そこから先にどうなるか なんて、誰も保証はしてくれない『ただの人間』にな。

Raabe
サヤ

…………。

Saya
ナオト

保証はねぇか……。 なら少なくとも、最後まで側にいてやらねぇとな。

Naoto
ナオト

俺はこいつの兄貴なんだし。

Naoto

1: ナオト……
2: そうだね

1:
2:

ナオト

んで、こんなとんでもねぇもの、どうやってぶっ壊すんだよ?

Naoto
シエル

窯に物理的な干渉は通用しません。 ですが、私の持つ魔道書ならそれが可能です。

Ciel
ラケル

窯を破壊できるほどの魔道書って……え? まさか……。

Raquel
ラーベ

気にするな、シエル、やれ。

Raabe
シエル

……第666拘束機関解放。次元干渉虚数方陣展開。 『蒼の魔道書・写本』 (ブレイブルー) 起動!

Ciel
シエル

……窯の破壊を完了しました。

Ciel
ナオト

す、すげえな、なんだ今のは?

Naoto
ラケル

ブ……ブレイ……ブルー。

Raquel
ナオト

ん? どうしたんだラケル?

Naoto
ラケル

……なんでもないわ。 少し……いえ、とても驚いただけ。

Raquel
ラーベ

……さて、では私たちは戻るとしようか。 今ここでやるべきことは終わった。

Raabe
ラーベ

……悪いな吸血鬼。ここでの物語は終わりだ。 お前が『干渉』することじゃない。

Raabe
ラーベ

あぁでも、我が船に検体として来ていただけるのなら 大いに歓迎しよう。

Raabe
ラケル

お断りだわ。

Raquel
ラーベ

残念だ……。 レイ、シエル、帰還するぞ。

Raabe
シエル

了解しました。

Ciel

なんだ、もう行くのか。

Mei
シエル

私たちはこの世界に本来存在しない異物です。

Ciel

We're Contaminants who didn't originally exist in this world.

Ciel

And additionally, Rei is currently this world's superior Observer.

シエル

世界に影響を及ぼす前に、速やかな退去が推奨されます。

Ciel

It is recommended we leave quickly, before part of the world becomes affected.

ナオト

んじゃ、お別れか。

Naoto
ナオト

難しい理屈はわかんねぇけどさ、 もしまた顔出せる機会があったら、遊びに来いよ。

Naoto
ナオト

そういう簡単なものじゃないんだろうけど。なんつーか。 また会おうぜ。どこでもいいから。どっかで。

Naoto

そうだな。私にも挨拶くらいしに来い。茶菓子を持ってな。

Mei
Es

お待ちしています。きっとまた会えます。蒼の導きがあれば。

Es
ラケル

私はほとんど眠っていたから、 あまり貴方たちと接する時間もなかったけれど……。

Raquel
ラケル

助けてくれて、ありがとう。

Raquel
ラケル

ご褒美をあげる時間は……なさそうね。 またの機会にしておくわ。

Raquel
ラケル

それまでせいぜい、役目に励みなさい。

Raquel
ナオト

お前なあ、世話かけた側のくせに、偉そうに。

Naoto
ラケル

偉そうなのではないわ。私は高等なの。 それに相応しい振る舞いと発言なだけよ。

Raquel
ナオト

はいはい、そーですか。

Naoto
ナオト

……だってよ。こいつ、こういう感じなんだよ。 でも別に悪意があるわけじゃねぇんだ。

Naoto
ナオト

こいつなりに、純粋に感謝してんだよ。 それから、これからも頑張れってよ。

Naoto
ラケル

わ……私は、ほとんど眠っていたから…… あまり貴女たちと接することができなかったけど……。

Raquel
ラケル

その……私を助けたこと、褒めてあげ、ても、いいわ。

Raquel
ラケル

……ご褒美をあげる時間はなさそうだから、 またの機会にしておくけれど……。

Raquel
ラケル

そ、それまでせいぜい、役目に励むことね。

Raquel
ラケル

……………………。 ……と、伝えなさい。ナオト。

Raquel
ナオト

お前なぁ……こんなタイミングで、 思い出したようにコミュ障発揮すんなよ!!

Naoto
ラケル

べ、別にそういうのではないわ。 ちょっちょっと意識しただけよ!!

Raquel
ラケル

もぉ、いいから、伝えなさい……。

Raquel
シエル

私やレイさんとお話するのは、 やはり苦手なようですね。

Ciel
ナオト

苦手っていうか、緊張しすぎなんだよ。

Naoto
ナオト

あんたらに、感謝してるってさ。 あと、これからも頑張れって。

Naoto
サヤ

…………。

Saya
ナオト

こいつには、俺から全部話しておくよ。

Naoto

1: ……ナオト
2: ……ごめんね

1:
2:

ナオト

何いってんだ、別にお前を恨んじゃいねぇよ。

Naoto
ナオト

……たぶん、俺たちの居場所をお前が守ってくれたんだ。

Naoto
ナオト

だから、サヤも……必ず、必ず救う方法を見つける。

Naoto

1: ありがとう
2: がんばって

1:
2:

シエル

ナオトさんなら、できると思います。

Ciel
ナオト

シエルもありがとな、お前も無理……すんなよ。

Naoto
シエル

お気遣いいただきありがとうございます、ナオトさん。

Ciel
ラーベ

さて、時間だ。

Raabe
カガミ

よーしご苦労! 任務無事達成おめでとう! よくやってくれたね。心身に変調はないか?

Kagami
シエル

問題ありません。 レイさんはどうですか?

Ciel
カガミ

バイタルに問題なし。大丈夫そうだな。 とりあえずあとでメディカルチェックは受けてもらうとして……。

Kagami
カガミ

これでファントムフィールド『新川浜』から 観測者は解放された。

Kagami
カガミ

世界はこれ以上歪むことなく、本来あるべき姿に ゆっくり戻っていくことだろう。

Kagami
カガミ

お前たちの功績だぞ、レイ。

Kagami
シエル

カガミさん。今回のファントムフィールドについて、 質問があるのですが。

Ciel

Ms. Kagami. I have a question about the Phantom Field this time.

カガミ

ああ。時間軸の圧縮のことか。

Kagami

Yeah. About the timeline's compression, right?

シエル

はい。確か、何年分かの時間が圧縮されている……という ようなお話でしたが、結局あれはどういうことだったのですか?

Ciel

Yes. Something was said about some years' worth of time being compressed...but what was that about, in the end?

シエル

ナオトさんや冥さんが、ご自分を異物だと感じていたことと 関わりがあるようでしたが。

Ciel

It seemed to be related to why Ms. Mei and Mr. Naoto thought that they were Contaminants.

カガミ

うむ。まあ概要は、エスとの話の通りなんだが…… 改めて説明するとだ。

Kagami

Indeed. The framework is basically the same as what was covered with Es, but...how about I explain it again?

カガミ

あのファントムフィールドは『新川浜』という場所には 明確に『何時』という断定が出来ないんだ。

Kagami

Exactly "when" in Shin Kawahama that Phantom Field took place can't be specifically determined.

カガミ

共通事項として、数年間……いや、おそらく数十年間だな。 それくらいの幅のある時間が、収束していたんだよ。

Kagami

What they have in common is a distance of several years...or probably several decades, or some period of time around that, that have been compressed together.

カガミ

だから数年前に新川浜に住んでいた人間と、数十年後に新川浜に 住む人間が、同じ時期に住んでいたかのように存在していた。

Kagami

That's how people living many years in the past in Shin Kawahama and those living many years in the future in Shin Kawahama came to live there together as if from the same time period.

カガミ

……これは私の想像だが、黒鉄ナオトと天ノ矛坂冥は、 知り合いではあるが、年代が違うんじゃないかな。

Kagami

….This is just conjecture, but Kurogane Naoto and Amanohokosaka Mei may have known each other, but were from different eras.

カガミ

だからどちらも、自分の暮らしていた世界とは違う。 なんて、感じていたんだろう。

Kagami

That's why both of them thought the world was different from the one they used to live in. They felt it, in a way.

シエル

なるほど……。

Ciel

I see….

カガミ

恐らく、観測者の輝弥サヤ。彼女の存在していた……。

Kagami

Likely, Terumi Saya, the Observer, focused on the timeline she existed in….

カガミ

いや、『存在出来ていた』時間軸を中心に、前後数十年 が引き寄せられ、圧縮されていたんだろう。

Kagami

Or rather, the timeline she "could have existed in," pulled in several decades before and after that point, and compressed them.

1: やっぱり……
2: そうだったんですね

1: Ah-ha.
2: So that's how it was.

カガミ

なんだレイ、気付いていたのか?

Kagami

What, you already figured it out, Rei?

シエル

では……あのファントムフィールドはやがて、 圧縮された時間も元に戻るのでしょうか?

Ciel

Then...the Phantom Field's compressed timeline will return to its original form eventually, right?

カガミ

最終的にはな。ただ、解放されたファントムフィールドは、 世界としては停滞している状態にあるし。

Kagami

Eventually, yeah. It's just that Phantom Fields that have been released are, in terms of the world, in a state of stagnation.

カガミ

今回は特殊だから、元に戻るには少し時間がかかるだろうね。

Kagami

This time was an exception, so it'll take some time for it to return to normal.

1: よかった……
2: なら、少しは時間があるんですね

1:
2:

カガミ

……冷たいことを言うようだが、あの輝弥サヤを救うのは 難しいぞ。限りなくゼロに近いと言っていい。

Kagami
カガミ

あのファントムフィールドを構築していた要素は輝弥サヤの 渇望した『生』だ。それが崩れればどうなるか、わかるだろ?

Kagami

1: それでも……
2: 希望はあります

1:
2:

シエル

……レイさんはサヤさんを助けたいのですか?

Ciel

1: もちろん!
2: あたりまえだよ!

1:
2:

カガミ

そういうお前はどうなんだ、シエル?

Kagami
シエル

…………わかりません。

Ciel
シエル

ですが、ナオトさんとサヤさんが、笑顔でお話している姿を もう一度見たいとは思います。

Ciel
カガミ

……そうか。

Kagami
カガミ

よし、じゃあ私はこれから、 今回の任務で得られたデータの解析を行う。

Kagami
カガミ

ファントムフィールド内では、時間の圧縮が起こりうる という貴重なデータも取れたことだしな。

Kagami
カガミ

お前たちはまずメディカルチェックだ。 その後、十分に休息を取るように。

Kagami
カガミ

次のファントムフィールドが見つかったら、 また《浸入》 (ダイブ) してもらわなければならない。

Kagami
カガミ

それまでに、体調を万全に整えておいてくれ。

Kagami
シエル

わかりました。 では、失礼します。

Ciel
シエル

……レイさん。任務、お疲れ様でした。 メディカルルームへご案内します。

Ciel
シエル

……新川浜では、色々なことがありましたね。 時間が圧縮されているという現象は、想定外でした。

Ciel
シエル

それに……素体と呼ばれるものと今回のような形で 接触することも、想定していませんでした。

Ciel
シエル

話したり、戦ったり。なんだか奇妙な感覚でした。 ……そう思うのは、おかしいでしょうか?

Ciel
シエル

……おかしいような気がしたので、質問しました。 ですが、この質問もまた、奇妙ですね。

Ciel
シエル

失礼しました。気に留めないでください。

Ciel
シエル

メディカルチェックが終わったら、食事を用意しましょうか? それとも、すぐにお休みになりますか?

Ciel

1: 食事がいいな
2: シャワーがいいな
3: すぐに寝たいな

1:
2:
3:

シエル

わかりました。 終わり次第、必要なものをお持ちします。

Ciel
シエル

では、失礼します。

Ciel
シエル

レイさん。

Ciel
シエル

……次の《浸入》 (ダイブ) も、よろしくお願いします。